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生活環境審議会水道部会議事録

議事次第

日時:平成10年3月24日(火)10:00〜12:00

場所:通産省別館8階 共用第825号館

1.開会

2.議事

 1)水質検査及び簡易専用水道の検査のあり方について

 2)施設基準専門委員会及び水質管理専門委員会の審議について

 3)水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針の改正について

 4)その他

3.閉会

○岡澤水道整備課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより生活環境審議会水道部会を開催いたします。
なお、規定により、部会委員の過半数の出席がないと会議は成立しませんが、現在、部会所属委員25名中18名の方が出席でございますので、本日の会議は成立しております。
それでは、藤田部会長よろしくお願いいたします。

○藤田部会長 本日は、年度末のお忙しい中お集まりくださいまして大変ありがとうございます。それでは、議事に先立ちまして水道環境部長からごあいさつをお願いしたいと思います。

○浜田水道環境部長 今日は、国会用務で生活衛生局長が出席出来ませんものですから、私の方から一言ごあいさつをさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、年度末の大変御多忙の中、水道部会を開催いただきまして誠にありがとうございます。
近代水道の歴史も110 年くらいになり、東京都の水道がちょうど今年で100 年を迎えるというような節目の時期にも来ております。また、8年度末の全国の水道普及率が96%にまで至りました。まさに、数字の上では成熟した時代に入ってきたということでございますが、それだけに水道の重要性というものは平成7年の阪神・淡路大震災を思い起こすまでもなく、市民生活や経済活動にとって大変重要な役割を果たしているということが言えるかと思います。
ただ、自然的条件あるいは社会的条件が最近は非常に大きく変わっておりまして、それに対する対応という意味では、ある意味では大変難しい時代に突入してきているのではないかという思いを私どもしている訳でございます。
御案内のとおり、政府におきましてもさまざまな行財政改革という動きがございます。規制緩和、地方分権、財政構造改革、更には省庁再編成といったようなことで中央政府を中心にさまざまな見直しが行われております。水道行政あるいは水道事業の在り方につきましても、さまざまこうした時代に合った対応にしていかなければならないという課題がございます。また一方では、大変先ほど申し上げましたように歴史が古いということは水道施設が古くなってきているということでございまして、これを将来にわたって安全で安心出来る施設としていくには、適正な更新事業でありますとか、それから、新しい国民のニーズに合ったものにしていくといった質的な向上というようなことも求められている訳でございます。
そうした中で、具体的な対応といたしましては、前回の水道部会にも御報告、御了承いただきましたように、給水装置に関する規制緩和措置ということを平成8年6月の水道法改正以来、着々と進めてきておりまして、いよいよこの4月から新しい水道指定店制度がスタートする状況でございます。
また、規制緩和ということでは、今日の部会でも御審議いただきますが、水質検査の在り方あるいは簡易専用水道の検査の在り方につきまして検討すべしという課題がございます。これにつきまして懇談会の議論を踏まえ、一応の方向が出てきておりますので、後ほど御審議をいただきたいと思っております。
また、水質の問題につきましては、国民生活の安全性ということに対する関心が高まっている中で、新しい水質項目について国際的にも議論がされてきております。WHOにおきましてはつい先般、飲料水ガイドラインの見直しの結果を一部まとめたところでございます。それに対応した我が国の基準の見直しとしまして、水質管理専門委員会で御議論し、取りまとめていただいた結果を後ほど御報告させていただきます。それ以外にも、「水道水におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を一昨年の10月に定めておりますけれども、その後の知見をもとに見直しをしておりますので御報告させていただくなど、さまざま今日盛りだくさんな御報告事項を用意させていただいているところでございます。よろしく御審議を賜りますようお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。

○藤田部会長 ありがとうございました。それでは、まず、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 お手元に本日の議事次第、水道部会委員名簿とございます。恐縮でございますが、水道部会委員名簿の訂正をお願いいたします。山本委員でございますが、「全国町村会理事」となってございますが「全国町村会副会長」ということでございます。それから、クリップでとめております配付資料の一覧というものから一式でございます。順に確認をさせていただきますが、資料1−1に続きまして、参考資料1がございます。そして、資料1−2、別添とございます。続きまして、専門委員会関係でございますが、資料2−1、その次に施設基準等専門委員会の名簿、資料2−2、その次に水質管理専門委員会の名簿、別紙の1、別紙の2、水質項目別個別情報とございます。その次に、クリプトスポリジウム関係で資料の3−1、検討会の名簿、資料3−2とございます。次に、平成9年度の施策の状況で資料4−1、4−2、4−3、4−4とございます。その次に、平成10年度の予算の関係で資料5がございます。更に、別冊で費用縮減に向けての具体的な実施手引きというものがございます。
以上でございます。

○藤田部会長 よろしゅうございましょうか。
それでは、議事に入ります前に、この部会の公開と資料の取扱いについて岡澤課長から説明をお願いいたします。

○岡澤水道整備課長 生活環境審議会の部会の公開につきましては、審議会及び部会の決議によりまして、原則として発言者氏名を記した議事録の公開を行うこととされています。ただし、個人の秘密及び企業の知的所有権等が開示され、特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれその他非公開とすることについて正当な理由があると認められる部分については、部会長の決するところにより、当該部分は非公開ということになっております。
また、提出資料につきましても、部会長が個人の秘密及び企業の知的所有権等が開示され、特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれその他の非公開とすることについて正当な理由があると認められる部分を除き公開するものとするというふうにされております。
本日の資料につきましては、こうした要件に該当すると思いませんので、公開することが適当であるというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○藤田部会長 それでは、発言者氏名を記した議事録と提出資料を公開することといたしたいと思います。
それでは、水質検査及び簡易専用水道の検査の在り方について審議いただきたいと思います。資料1−1の説明をお願いいたします。

○由田水道水質管理官 それでは、お手元の資料1、それから、参考資料1を御覧いただければと思います。
まず、水質検査及び簡易専用水道の検査の在り方に関しましては、平成9年3月に閣議決定されました規制緩和推進計画におきまして、水道の水質検査の委託機関の指定の基準及び簡易専用水道の検査の在り方につきまして、当生活環境審議会で検討を行い、10年度早期に結論を得るというふうにされたものでございます。
厚生省としましては、生活環境審議会の本検討に先立ちまして、規制緩和をすべきという立場の者、それから、規制緩和を維持すべきという立場の者、水道事業者、消費者の方々あるいは学識経験者などの関係者が議論を深め、論点整理を行う場としまして昨年10月、水道環境部長の委嘱によります「水質検査及び簡易専用水道の検査の在り方に関する懇談会」を設置いたしました。本部会の委員でございます、北海道大学の眞柄先生に座長をお願いいたしまして、議論をしてきた訳であります。5回にわたりまして幅広く議論が行われまして、その結果、この3月に別添の報告書が取りまとめられた訳でございます。
内容について御説明させていただきます。
まず、1点目の水質検査の委託機関の指定の在り方について概略申し上げます。水道事業者といいますのは各市町村の水道局というところに当たる訳でありますが、水道局におきましては、常時家庭の蛇口のところまで水を届ける訳であります。これに関しまして水質検査を自ら行うことを原則といたしております。
ただ、必ずしも自ら水質検査が出来ない場合もございますことから、厚生大臣が指定する者に委託することが出来るということになってございます。現在の指定検査機関は公益法人に限定をしている訳でありますが、この公益法人に限定していることを撤廃すべきかどうかということでございます。
これに関しましては、懇談会の結論を申し上げますと、現在の技術水準に照らし合わせ、検査担当者の人的要件、精度管理等の技術的な基準を強化、また、一定期間ごとの財政的な基盤としての継続性・安定性の審査を要件として追加することにより、公益法人に限定する基準を撤廃するということとなっております。
もう一点は、簡易専用水道の管理の検査の簡素化についてでございます。簡易専用水道と申しますのは、御承知だろうと思いますが、ビルに受水槽がついていて一旦受水槽で水道局からの水を受けまして、これをビルでポンプアップして供給をしているもので、受水槽の有効容量が10 を超えるものでございます。
簡易専用水道においては、設置者に対して一定の管理を義務づけており、管理がなされているかどうか確認するため、地方公共団体の機関または指定検査機関による年1回の定期検査を受けることが義務づけられております。規制緩和の意見はきちんと管理しているところは簡易専用水道の管理の検査を簡素化してはどうかというものでございます。
懇談会の結論は、ビル管理法の管理体制と同様の管理体制を有している簡易専用水道について管理の検査を簡素化するには、管理体制についてビル管理法と同様の法的担保を講ずることが必要であるが、簡易専用水道の3割程度が不適合という実態があり、むしろ、規制の強化を求める意見も強いという一方で、簡易水道に関する制度全体の議論と切り離して、こうした簡素化の措置のみを講ずることは適当ではないということでございます。さらに、現行制度の下で、管理の実態の改善を図るとともに、今後、簡易専用水道全体の問題として管理体制の強化の側面も含め、規制の在り方について検討すべきであるということになっております。
詳細につきましては別添の報告書にございますが、考え方と結論につきましては以上のとおりでございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。
2点ございますが、1つは水質検査の委託機関の指定の在り方についてという方からいきたいと思います。何か御意見ございますでしょうか。

○太田委員 この2つの問題は、実は産業界の方から提案をさせていただいておりまして、その関係で一言申し上げさせていただきたいと思います。
水質検査の委託機関の指定のあり方については、懇談会で取りまとめられた結論は、私ども常々主張しております民間活力を出来るだけ尊重していくという、規制緩和の方向にまさに合致しているというふうに考えております。水質検査の委託機関の指定の基準を出来るだけ早くまとめていただいて民間にも開放していただきたい。できるだけ早くやっていただくといってもある程度時間はかかると思いますが、どのくらいで措置される予定であるのか何かあればお聞かせいただければ、ありがたいと思います。以上でございます。

○由田水道水質管理官 出来るだけ早い時期に方向は示すようにさせていただきたいと思っております。

○眞柄委員 懇談会の座長を務めさせていただきましたので、若干申し上げますと、これまで環境基準、水質汚濁防止法で定める排水基準あるいは大気汚染防止法に定める排ガスの基準等につきましては、計量法で環境計量士の制度がございます。そういう意味では民間の検査機関の方が水道の水質検査を行う上でのある意味での技術水準をお持ちな訳です。残念ながら計量法の制度では、細菌試験や微生物学的な試験が入っていませんでしたので、そういう生物、微生物、細菌関係の試験を行う上でどういうことが技術的に必要であるかということを検討する時間がいるという点をお考えいただければと思います。
それから、もう一つは、水道の水質検査というのは、本来は水道事業体が自ら検査をされるべきものである訳ですが、全国的に見ると中小の水道というのは自主検査がとても出来ないということがあります。水質検査の委託機関にある意味での技術支援も行っていただいているという経緯もございますので、そういう意味では参入しようとする民間の検査機関の方々においても、技術支援をしていただきたいという観点でも業務の継続性ということが重要であるという点も御理解をいただければと思います。

○藤田部会長 ありがとうございました。簡易専用水道の管理の検査の簡素化の方については、いかがでございましょうか。

○竹居委員 済みませんが、簡易専用水道ととビル管理法との関係についてもう少し説明していただけないでしょうか。

○由田水道水質管理官 水道法におきましては、受水槽の有効容量が10 を超えるものを簡易専用水道と定めています。簡易専用水道は水道事業から供給を受ける水のみを水源といたしており、その管理については、水道法において一定の管理体制がつくられております。
一方、床面積の合計が3千平方メートル以上の一定の用途の建築物についてはビル管理法が適用され、給水の設備やビルの空調について一定の管理の体系が出来上がっております。ビル管理法においては、一定の資格を有する技術者を必置にするなど法律に基づく維持管理の基準、管理体制が適用されることから、水道法に基づく簡易専用水道の管理の検査について、通知により、実地の検査ではなく、書類検査で足りるとし、検査の簡素化を図っているところでございます。

○竹居委員 今回、対象となっているのは、ビル管理法の適用を受ける特定建築物以外の建築物に設置されている簡易専用水道ということでよろしいのでしょうか。ビル管理法の特定建築物に設置された簡易専用水道については現行どおり書類検査で足りるということでしょうか。

○由田水道水質管理官 そのとおりでございます。

○竹居委員 そうすると、特定建築物以外の建築物に設置された簡易専用水道について、管理が不十分なところはむしろきちんとしなければいけないというふうに言っている訳ですか。

○由田水道水質管理官 そういうことです。

○太田委員 この問題もやはり産業界から提案していますので一言申し上げさせていただきます。今、竹居委員が御指摘のところと関係している訳ですが、産業界からの提案は、すべての簡易専用水道を一律に書類検査にしてほしいということではなくて、今、お話にありました簡易専用水道の管理体制に応じて検査の方法にバリエーションを持たせてもらえないかということでございます。事実上、ビル管理法による管理と同じような管理をやっているところ、つまり、管理体制がしっかりしているところは現場における検査を必要としないで書類検査に出来ないかということです。言ってみれば、適正な管理が確保される仕組みがちゃんと出来ているのであれば、安全な水が確保されるということになるので、検査方法の選択肢を増やしていただけないかということです。そもそも行政改革とか経済構造の改革の目的の一つは高コスト社会の是正ということにあり、出来るだけ自主検査に移行していくということが求められているので、自ら十分に対応できるものについては自らやるということが必要なのではないか。一方で、先ほど由田水道水質管理官がおっしゃったように、簡易専用水道の中で管理体制を整備する必要がある部分については、水の安全性を確保するという観点から別途またやらなければいけないという問題はあるかもしれません。産業界としては、この懇談会の御意見に必ずしも納得している訳ではありませんが、出来るだけ早い機会に総合的見地から検討していただきたいという趣旨でございます。

○甲斐委員 3千平方メートル以上の特定建築物というのは、もし団地で言うと何世帯ぐらいですか。

○岡澤水道整備課長 ビル管理法の対象となる特定建築物は、多数の者が使用するような建築物を対象にしていまして、例えば、デパートだとかショッピングセンターという施設が主に対象になります。

○甲斐委員 そうすると、住宅などは対象とならないのでしょうか。

○岡澤水道整備課長 通常の住宅の場合は、簡易専用水道となります。

○甲斐委員 私が団地にいたころには、停電したら水が出ないということを経験して、初めて受水槽に水を受けているということを知って、びっくりしたのですが、そういう建物は残っていないのですか。

○岡澤水道整備課長 今でも簡易専用水道というのは、水道の水を一旦地下の受水槽に受けまして、それをポンプで上げて高架水槽に入れて、それから各戸に水を供給する仕組みになっています。簡易専用水道は受水槽の容量が10 以上のものを対象としておりますが、並びから申し上げますと、水道の定義は100 人以上に水を供給するものとなっていますが、100 人の居住者のいるビルに水を供給する設備というのが、大体10 の受水槽を持つビルに相当するというふうに考えています。床面積で申し上げますと、100 人ですから世帯数は大体30戸ぐらいになり、1戸当たりの床面積を60〜70平方メートルとし、公共スペースを勘案すると大体3,000 平方メートルよりちょっと小さくなる程度のものが簡易専用水道の対象となります。

○甲斐委員 では、団地などはビル管理法からは外れる訳ですね。

○岡澤水道整備課長 通常のマンションなどの場合には、大体簡易専用水道になり、ビル管理法の対象とはならないということになります。

○甲斐委員 そうですか。そうしますと、私も子育て中に団地におりましたのですが、子どものミルクをつくりますときに、水を沸かさなければいけないのだろうか、それとも水道の水でじゃぶじゃぶと洗う方がよいのか悩んで、私どものときは煮沸消毒で何分とやっていました。今はもう孫の時代になりましたが、受水槽を使っているところに住んでいる方もずいぶん多くいらします。御存じか分かりませんけれども、ミルクの瓶をつけて消毒のできる薬品がいろいろなところから売られていますし、電子レンジで消毒が出来るとかいろいろな方法を推薦しておられるわけでございます。小さい乳児のときはきちんと消毒した方がいいですけど、何か月か経ってしっかりしたら、少々抵抗力が出来た方がいいかと思って水道の水でゆすげば、それがベターだと思っていたのです。ですが、一回受水槽でためている水を見てびっくりしまして、これは1歳になるぐらいまでは沸かさないといけないのかなと実感した時期があったんです。今は、大変整備されたとおっしゃるのですけれども、浄化槽もそうなのですが、設置するときには大変厳しく建築基準などで検査なさるのですが、その後、放ったらかしなんですよね。それで、結局町が汚水でにおうとか汚れるという時期がありまして、私も若いとき駆けめぐった記憶があります。建築の方と一体になって、つくったときからずっと管理が出来るようにならないものかなと思っていました。
私は、規制緩和は賛成なんですけれども、規制緩和をするときにはやはり受け皿をちゃんとした上で規制緩和しないといけないと思います。今、専門家ではないので、どこをどうしたらいいのかというところまでは細かく申し上げられませんけれども、そういう実感と今、子どもを抱えている親たちにやはり水道水は何歳ぐらいまでは煮立てて飲ませた方がいいと言うべきか、水を信用しろと言うべきか迷っておりますので、よろしくお願いします。

○佐藤委員 ちょっといいですか。今、規制緩和をしたらどうかという御意見がありましたけれども、私ども実は水を供給している側から見た場合、現行の法規制の中で検査をされている状況はまだ80%程度ということ自体もまだ問題だろうと思っています。また、お手元のありますように3割程度は不適合だということを考えますと、もっと信頼されるようにしなければならないと思っております。今ある最低限の基準すらクリア出来ていないという状況があるなかで、安易な規制緩和はすべきではないだろうというふうに思います。今おっしゃられましたように、一定程度条件整備などが必要だということはあるようですけれども、やはりもう少し信頼がおけるような状況になるということが、まず先決だろうと思います。そういう意味では安易な規制緩和はやるべきではないというふうに私どもは思っております。

○藤田部会長 ありがとうございました。簡易専用水道が設置者が責任を持つことになっておりますけれども、最終的には水道局の方に苦情が行くことが多いんですね。今井さん、いかがですか。何かそんなことで御発言ございませんか。

○今井委員 今、部会長がおっしゃったように、簡易専用水道は設置者が責任を持つということでありまして、私ども水道事業者は常々受水槽以下の水はバケツにくんだ水と同じですよと言っているところでございます。蛇口から出るまでは水道局が責任を持ちますけれども、くんでバケツに入れた水をどうお使いになるかは使う方の責任です。同様に、受水槽以下についても一度水道局と縁が切れますから、そこから先は設置者の責任ですよということを常々、これは口をすっぱくするほどPRをしているのですが、なかなか御理解が得られない。
先ほど、太田さん側は自主管理ということをおっしゃいましたが、自主管理ということを我々も常々言っているけれどもなかなか出来ない。例えば、アメリカの社会でありますと、他人の家へ無断で立ち入ったら射殺されても文句は言えない。ところが、日本人は法律論としては分かっておりましても、現実に射殺事件が起きるともっともだと思う人は余りいない訳ですね。だから、いつだったか浦和の保育園において、保健所から井戸水の水質が不適という指摘があったにも関わらず放置して不幸なことに死亡事件が起きました。園長は刑事責任を問われましたが、あのときも、保健所がもう一歩踏み込んで何でもっと指導してやらなかったという声がございました。日本では、まだ、行政や公的機関への依存体質というのが到底抜け切れていないと思います。そこを整理いたしませんと、なかなか理屈どおりに規制緩和とはいかないのではないでしょうか。
東京都の場合、受水槽の設置個数というのが都全体で約21万あり、そのうち簡易専用水道に当たるものが2万8,000 、約13%であります。そのうち、ビル管理法の適用を受けるものが5,680 件、2.6 %となっており、これについては非常に厳しい管理がなされており、大体心配はない訳です。私どもも簡易専用水道について100 %検査を受けて、何も不適合な点がなければ本来何も問題もない訳です。要するに、浄水場できれいにした水がそのまま蛇口から出ることになる訳ですから。ところが、冒頭の御説明にもございましたように、30%が不適合になるという状況がある訳です。
私も東京都水道局で板橋の営業所長をしていたときに、保育園から赤い水が出るからちょっと見に来てくれということがありました。赤い水が出るというのは3つ原因があるんです。1つは、当時、板橋はまだ水道の普及率が100 %でございませんでしたので工事を方々でやっており、その工事に伴い赤い水が生じる場合があります。それから、もう一つが、受水槽に何か不純物が入っている場合。もう一つが、受水槽以下の配管が錆びている場合があります。保育園ですからたしか4〜5階だったと思うのですが、地下タンクはきれいだった。屋上タンクは屋上にございますので、見てくださいといわれても一般の人ではなかなか見られないので、ついおっくうになってしまうというのが実情ではなかろうかと思うのです。話はその先でして水道局が心配するのは、簡易専用水道として規制をされていない残り87%でございます。東京都の場合には水道局と保健所で連絡を取りまして、受水槽の設置状況について、水道局に届けられたものを保健所にも連絡し、保健所で分かった事故は水道局にも連絡するという体制を取っております。
ただ、詳しいことは分からないのですが、87%のうち一番問題だと思われるのが5 以下だと思います。実は、これについて一度、台東区が自主的に検査をしたんです。小さいもの、しかも、半地下式のものが非常に問題であった。しかも、設置位置というのが建築を優先しておりますから、ひどいのは汚水槽の隣、コンクリートの壁1つで並んでおるというのがあるんです。こういったものが一番実は水道局から言うとおっかないんです。使っている御本人は無関心。何か問題があると水道局に来る。ところが、水道局といっても冒頭に申し上げましたように、設置者の責任ですよと幾ら口をすっぱくしてもなかなかきいてくれない。要するに、土地の有効利用が優先で、受水槽を適切な位置に設けられないことが多かったわけです。今は建築基準法が改正になりましてその点は改善されたのですが、このように、10 以上でも不適合のものが3割あり、小規模のものの問題もある。それをどうするかをあわせて議論せず理屈だけで規制緩和をするのは適当ではないと思います。

○竹居委員 ちょっと話がどんどん広がってしまったのですけれども、要するに、ここでいう規制緩和の意見というのは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に定められた管理体制と同等以上の体制を有するものについては、書類検査によることとすべきであるということであり、いいかげんなところを書類検査にしてくれなんて一言も言っていない訳ですよ。だから、きちんとしたところは過剰な規制をする必要はないでしょうということを言っているだけなのではないでしょうか。管理が不適切なところは設置者の問題であって、今回の規制緩和とは関係ない話です。話が、規制緩和を要望した方に責任があるような話になっていますけれども、それは全然趣旨と違うと思いますよ。

○正木委員 今、竹居委員がおっしゃるのと同じなんですけれども、この簡易専用水道の3割が不適合という内容なんですが、維持管理が不適合ということであれば水質基準も不適合になってしまうのだろうと思うんですが。もし、そうならば非常に私どもにとっては問題だと思います。
それで、検査して3割が不適合で改善の指令を出してもなかなか改善しないということだとすると問題ではないかと思うんですけれども、どうなっているのでしょうか。

○岡澤水道整備課長 検査の結果、不適合というのが3割ぐらいあるというのは何らかの形で管理が不適合ということで、例えば書類が不備だとか、それから、虫が入らないための網が破けているとか、あるいは汚水のパイプが近くを通っているとか、何らかの形で問題があるということで、直ちに水質上の問題があるということを言っている訳ではありません。衛生上問題があるものについては、保健所の指導ということになるんですが、そのような事例というのは、大体全体の数%ぐらいという感じではないかと思います。
いろいろな御意見があるところではございますが、簡易専用水道については、昭和52年に仕組みを導入しています。これは当時、今もお話がありましたけれども、受水槽以下の水道でいろいろな事故が起きて、それを是正するために簡易専用水道という仕組みを導入して設置者の責任によって施設を管理するということとしたものでございます。ところが、今、お話がありましたように、必ずしもそういう仕組みもうまく運用されていないという実態がある。一方では、しっかり検査しているところではそれが過重な負担になっているというようなこともあるということであります。
しかし、一般的に言うと、簡易専用水道の管理の在り方について、これで満足出来るという状況ではないのではないかということがあります。しかも、受水槽以下の水道から見れば、今、簡易専用水道として規制しているのは受水槽の容量10 以上のものですけれども、それ以下のものもありますので、こうしたものの衛生対策もどういうふうに考えていくかということが今後の課題だろうと思います。
今、ここで議論になりました設置者による検査をどの程度させるかということは、やはり簡易専用水道あるいは小規模受水槽以下の水道の管理をどのようにさせるかということを整理した上で、設置者の義務をどこまでの範囲とするのかということを議論すべきだというふうに思います。20年以上経ってもなかなか管理がうまくいっていないということは制度的な問題もあるのかもしれないというような感じがしますので、今後、改めて簡易専用水道の管理の在り方について検討した上で、その中で設置者に課す義務というものを整理して、そこで規制緩和の観点からも満足出来るような結論が得られればというふうに考えております。

○藤田部会長 ありがとうございました。いろいろ意見がございましたけれども、水道部会といたしましては、懇談会の報告書を了承するということでようございましょうか。何かありますか。

○眞柄委員 取りまとめた者として是非、これは非常に個人的な意見ではありますけれども一言付け加えさせていただきます。今、日本を含めて多くの工業先進国を眺めてみますと、受水槽を使わないで直接蛇口まで水を供給出来る建物の範囲というのは、残念ながら我が国は非常に遅れている訳です。昭和52年といいますと今から20年前になりますが、当時の我が国の水道施設あるいは我が国の経済状況の下でつくらなければならなかった体制な訳でございます。今後、21世紀を目指して水道のことを考えていきますと、簡易専用水道を設置しなくても国民に等しく安全で快適な水が供給出来るようにすべきではないかという点をやはり議論していただかないと、この問題は解決しないというのが率直な気持ちでございます。
御存知のように、水道法というのは国民に安全で快適な水を豊富、低廉、いつでも供給するというのが水道法の趣旨ではあるのですけれども、この簡易専用水道の問題はどちらかというと飲み水の安全性の問題で、水道事業の問題とはちょっと離れているのだろうと私自身は思っています。そういう意味でのことも含めて、出来るだけ早い時期に厚生省として簡易専用水道の在り方そのものについて議論をしていただいて、どういう管理なり規制の仕組みを将来に向けてつくっていくかということを是非、御検討いただきたいというふうに思います。

○藤田部会長 ありがとうございました。
それでは、この部会としては懇談会の報告を了承するということにいたしたいと思います。
それでは、次の施設基準等専門委員会及び水質管理専門委員会の審議経過についてに入りたいと思います。これは資料の2−1ですか。

○岡澤水道整備課長 それでは、資料2−1でございますけれども、施設基準専門委員会の審議経過について御説明させていただきます。
水道法の第5条におきましては、水道施設の要件が規定されておりまして、その中で必要な技術的基準は厚生省令で定めるというふうになっております。ただ、水道の仕組みというのは国が直接水道事業者を監督するような形になっておりまして、国自らが技術的な判断をするということになっております関係上、今のところ技術基準が定められていないという状況にございます。その代わりに、水道協会から水道施設設計指針というものを出しておりまして、これを技術的基準に代わるものとして運用しているところでございます。
ところが、最近になりまして、水質の問題がいろいろ出てきて、それに対する施設対応ということがいろいろな課題になってきているということ、それから、阪神・淡路大震災などを契機としまして、耐震性の問題についても関心が高まっていること、あるいは、公共工事費用の縮減というような観点から基準の見直しということが求められているわけでございます。
一方で、地方分権の議論の中で、現在、水道事業については国が認可をするという仕組みになっておりますけれども、その認可権限のうち一部を都道府県に委譲するという方向が定められております。そうなりますと、水道事業の認可あるいは監督を国と都道府県とが並列して行うということになり、技術的基準についても国だけが見る訳ではなくなり、県は県の立場で見るというふうなことになりますので、全国共通のスタンダードとしてやはり法律に基づく技術基準というものを整理していく必要があるのではないかというところから、この基準の内容について検討するために施設基準等専門委員会というものを、この部会の中に設けているところでございます。
メンバーにつきましては、その後の委員名簿にありますように、12名の委員の方にお願いしておりまして、この部会からは住友委員、藤田部会長、眞柄委員の3人に御参加いただいております。これまでに当専門委員会を2回開催いたしまして、施設基準の設定に当たっての基本的な考え方あるいは盛り込むべき事項などについて検討を行っております。現在までのところ、施設基準そのものについては、余り細かい数字を持ち込むようなものにするのではなくて、性能基準的なものとして整備していこうというような方向、それから、水道の施設については維持管理が非常に大事でございますけれども、維持すべき水準というふうなことも念頭に置いて基準を整理していこうというようなことが出てきております。
なお、座長が眞柄先生でございますので、眞柄先生の方から補足していただければと思います。

○眞柄委員 今、岡澤課長さんから御紹介がありましたように、施設基準の検討を進めておりまして、水道施設として有すべき機能あるいは性能というのがどういうものであるかという基本的な議論を踏まえまして、具体的に水道施設の在り方というような観点から施設基準の検討を進めようという段階に来ております。
構造あるいは設計に必要な細かい仕様を決めているのが従来の施設基準ではありますが、そういう細かい仕様ではなくて、それぞれの地域の水道にふさわしい施設の在り方ということで、ある意味では各水道事業者がそれぞれの判断で水道施設を設計・計画し、場合によればそれを運用するための考え方を示そうということで進めております。
ある意味では、ある種の規制緩和ということになるのかもしれませんし、全国の水道の施設をいろいろな機会に拝見をしておりますと、残念ながらワンパターンの施設が非常に多い訳ですが、この施設基準が出来ますと、それぞれの地域に特有な水道施設が生まれるというふうに期待をしております。

○藤田部会長 ありがとうございます。何か御意見ございますでしょうか。

(「なし」と声あり)

○藤田部会長 それでは、引き続きまして、水道水質に関する基準の見直しについて水質管理専門委員会の座長の黒川委員の方から御説明願いたいと思います。それでは、黒川先生お願いします。

○黒川委員 水道水質に関する基準を検討するために水質管理専門委員会が昨年12月に設置された訳でございまして、今日、お手元に委員16名の名簿がいっているかと思います。
さらに、「水道水における未規制化学物質等調査研究班」というのがございまして、WHOで飲料水ガイドラインの改定が検討された化学物質の検出状況、検査方法、毒性の評価が行われており、その結果も活用しつつ、これまで4回にわたって水道水質に関する基準の検討を行っております。資料2−2から計4つございますので、詳しくは事務局から御説明願いたいと思います。
以上でございます。

○由田水道水質管理官 それでは、御説明をさせていただきます。
水道の水質に関する基準につきましては、平成4年12月に、それまで26項目であった水質基準を46項目に拡充をいたしております。このときに厚生省令に定めます水質基準のほかに、どれぐらい水道水源水域で検出されているのか監視していくために監視項目というのを設定しております。
それから、快適水質項目というものも設定しておりまして、合計項目数では85項目について設定しております。これが平成5年12月から施行されているということでございます。
この改正に関しましては、1993年にWHO飲料水水質ガイドラインの改訂の動きに合わせて見直しを行ったものでございます。
WHOは2003年にWHO飲料水水質ガイドラインを全面的に見直すということになっておりますが、それまでの間も部分的に改訂作業を行い、逐次、その成果を補遺として公表していくこととしています。WHOのガイドラインの見直しは一昨年の12月からスタートいたしておりまして、特に、化学物質が先行して検討がなされてきております。このような中、先ほど黒川委員の方から御説明がございましたように、水質管理専門委員会が設置され昨年の冬から検討をしてきていただいた訳でございます。
お手元の資料2−2をお開きください。
まず、水道水質基準の見直しに関しましては、3つのジャンルに一応分けてございます。一番目は、水道水質に関する基準として追加するかどうかを検討する項目でございます。今回のWHOの飲料水水質ガイドラインの改定においてガイドライン値なとが提案されたものについて検討するということでございます。これは、現在、基準項目にも監視項目にもなっていないものでありまして、ウラン、ミクロキスティン−LR、ベンタゾン、カルボフラン、シアナジン、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ジクワット、グリホサートでございます。
それから、このうちベンタゾン、カルボフラン、2,4−Dに関しましては、現行のWHO飲料水水質ガイドラインでも取り上げておりますが、今回のWHOの改定作業で毒性の評価の見直しが行われたものでございます。これらの農薬は、平成4年の検討の際には、水道水質に関する基準として設定をしないということになっておりますが、この点につきましても現行データから再検討するということで議論をしていただきました。
2番目のジャンルでございます。これは、水質基準とされている亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素、監視項目とされているニッケル、ホウ素というのがございますが、これらに関しましてWHOのガイドライン改定におきまして毒性の見直しが行われておりますので、これを踏まえて基準値または指針値について検討を行っております。
それから、3つ目のジャンルでございますが、監視項目から水質基準にするかどうかを検討すべき項目でございます。現行の水道水質に関する基準は平成5年12月から施行しておりまして、その後平成6年、7年、8年の測定結果を踏まえ、監視項目について基準項目にすべきかどうかということの検討を行ったものでございます。
これにつきましては、ニッケル、ホウ素、アンチモン、ジクロロ酢酸、抱水クロラール、ホルムアルデヒドでございます。ジクロロ酢酸、抱水クロラール、ホルムアルデヒドにつきましては、いわゆる消毒副生成物でございます。
それから、ニッケル、ホウ素につきましては、WHOの飲料水質のガイドラインの改定におきましてもガイドライン値に関します見直しが行われておりますので、これも考慮しておるということでございます。
別紙1は、水質基準及び監視項目の見直しに関する基本的な考え方でございます。
この基本的な考え方に基づいて議論を進めていくということにしております。
ポイントだけ申し上げますと、毒性試験からTDIという一日に人間が摂取してもいい耐容量が得られ、それを用いて評価値というのを出します。そして、調査結果の最大値データが評価値の50%を超えているというもので、かつ、評価値の10%を超えるものの検出率が数%のレベルであるものについて、基準項目とするという考え方でございます。
それから、監視項目については、調査結果の最大値データが評価値の数%レベル以上であり、更に、評価値の1%を超えたものの検出率が数%レベル以上であるものは監視項目として監視していこうという考え方でございます。
そのほか、発がん性の観点の考え方も2のところに挙げてございます。
こういう考え方に従いまして、先ほど申し上げました項目について検討をしてきております。この結果は別紙2にまとめてございます。
一番上のウランからホルムアルデヒドまで15項目に関して、現在の段階での取りまとめ状況を申し上げますと、ウランに関しましては、0.002 mg/ l という値で新たに監視項目として追加。これは、ラットの毒性試験の腎毒性に基づきます観点からでございます。
それから、ミクロキスティン−LR、ベンタゾン、カルボフラン、シアナジン、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ジクワット、グリホサートに関しましては、引き続き我が国におきます水道原水等の水質の測定結果を収集した上で検討ということにいたしております。これは、実はWHOの最初の情報が私どもに入ってきましたのが、昨年の4月でございまして、実際にデータを集めましたのが8月からになっております。ミクロキスティンはアオコ毒でありますから、まさしく5月ぐらいから発生してくるというものでありますし、農薬については、使用時期が春から夏にかけてということになりますから、引き続きデータを収集する必要があるということでございます。
それから、亜硝酸性窒素でございます。現行の水質基準は硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の総量で10mg/ l となっておりますが、これに加えまして亜硝酸性窒素単独で監視項目として指針値0.05mg/ l を設定するということでございます。
それから、ニッケル、アンチモン、ジクロロ酢酸、抱水クロラール、ホルムアルデヒドでございますが、ニッケル、アンチモンは金属で残りの3つは消毒副生成物でございますが、これらのものに関しましては、引き続いて毒性情報を整理しました上で基準項目とする方向での検討ということにいたしております。
それから、ホウ素に関しましては、現在、監視項目として指針値0.2mg/ という値が定められておりますが、1mg/ とするというものであります。ホウ素は、実は海水に含まれておりまして、主として海水を淡水化する施設において問題となるものでございます。したがいまして、海水淡水化施設に限定いたしまして基準項目に準ずるような形で、運用をすることを検討していくという方向でございます。ほう素については食品からの摂取を把握するためにマーケットバスケット調査を行っており、食品から摂取する割合というものを調べており、水道からの摂取の寄与率を40%とすることが妥当ということで1mg/ l という数値にしてございます。
以上、簡単ではございますが、水質管理専門委員会での検討の状況でございまして、引き続いて検討するというものが多くあります。これに関しましては、秋までに検討を行いまして、再度部会の方に報告することとしたいと思っております。したがいまして、ウラン、亜硝酸性窒素、ホウ素というところを除きまして、引き続いて、秋に向けて更に検討をしていくということでございます。ものによっては測定結果を収集し、評価するというもの、それから、毒性を更にレビューをしていくというものがございますが、いずれにしましても、引き続いて秋まで検討していくということになろうかと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。

○藤田部会長 ありがとうございます。
多くの物質を検討いただいておりますが、いかがでしょうか。

○甲斐委員 ほう素は暫定となっていますが、これは、自然界でほう素濃度が高い場合があるので一応暫定値ということにして、本当はもっと低くしたいという意図があるのでしょうか。

○眞柄委員 水質項目別個別情報の27ページをお開きいただきますと、ホウ素というのがございます。現行の基準は先ほどからありますように指針値として0.2 mg/ l でございます。1993年にWHOがホウ素のガイドラインを暫定値として0.3 mg/ l というのを示しまして、98年に、ごく最近ですが、0.5 mg/ l という暫定値を示しております。それから、ECでは1mg/ l という数字を示しております。WHOが0.5 mg/ l で暫定ということを示しましたのは、ホウ素を除去する技術がないことが理由です。温泉ですとかヨーロッパですと岩塩の影響を受けている河川だとか地下水が多いとか、そういうところではホウ素が取れないということで、暫定となっております。ただし、先ほどからありますように、ホウ素はそれなりに健康影響を持っておりますので、こういうガイドライン値を示して達成出来る範囲で出来るだけ少なくするようにという趣旨で、この暫定という数値が出ているということでございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。いかかでございましょうか。この部会としては、この水質管理専門委員会の審議経過を了承するということでようございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○藤田部会長 どうもありがとうございました。大変な作業ですが、引き続いてよろしくお願いしたいと思います。
次は、3の水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針の改正に関する議事を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。

○由田水道水質管理官 資料の3−1をお開きください。
「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針改正案の概要」という紙がございます。まず、クリプトスポリジウムの問題に取り組んだ背景でございますが、既に御案内のとおり、平成8年6月に埼玉県の越生町で我が国で初めて水道を介しましたクリプトスポリジウムによります感染症が発生いたしまして、約8,800 人の方が感染症、下痢症などにかかっております。
これを踏まえまして、平成8年10月に水道事業者等におけます予防対策、それから、万一感染症が発生いたしました場合の適切な応急措置を講ずるよう所要の対策を内容とする「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」というものを策定いたしまして、都道府県を通じて水道事業者に周知した訳でございます。
当時、この指針に関しましては、緊急的に収集した知見に基づきまして暫定的に定めましたものでございまして、新たな知見が得られればこれを見直していくことといたしていた訳であります。
その後、幾つかの知見が分かってきたことから、平成9年8月に専門家で構成いたします「水道におけるクリプトスポリジウム等の病原性微生物対策検討会」を設置いたしまして、この指針の見直しについて検討をしていただいているところでございます。近々、この暫定対策指針改正案を取りまとめる予定にいたしております。
改正の中身としましては、資料3−2の2ページを開けていただければと思います。指針が施行されましてから、取水施設の近傍上流域に、畜産の施設あるいは下水の施設といった施設等の排出源がない場合もみられたことから、これまでクリプトスポリジウムによる汚染のおそれというものをかなり限定的にしておりましたが、ここを少し広げる必要があるという判断から修正をいたしております。
続きまして、3ページでございます。浄水の濁度が常時0.1 以下に維持されている場合というふうなことがどうも独り歩きしたところがあります。きれいな水を原水とする町村部の簡易水道では、通常、濁度が0.1 以下になっているんですが、これは必ずしもクリプトスポリジウムがいないということとは本来関係がないわけですが、かなりここの部分で誤解を生じたということがございまして、削除することといたしております。
5ページでございますが、ろ過池の洗浄排水や捨て水をリサイクルする浄水場における留意すべき事項を記載しております。
別添1の2ページをお開き願いたいと思います。全国94水道水源、277 地点で昨年全国調査をした訳でありますが、そのときの結果をここに載せております。そのほか、神奈川県の衛生研究所などで行いました調査も載せてあります。それから、米国などでも新たな調査結果が出たものに関して加えております。
それから、最後から3枚目でありますが、参考として「ジアルジア(Giardia lamblia )の生物学的性状等について」ということで書き込んでございます。実はジアルジアに関しましては、クリプトスポリジウムのオーシストと同じようにジアルジアというものはシストというものをつくりまして、いわゆる殻の中に虫がいるという状態に環境中ではなる訳でありまして、これもクリプトスポリジウムと同じように塩素耐性がございます。そういう意味では、ジアルジア症というものが特に途上国などではよく出ているという実態がある訳であります。
 これまで、ジアルジアにより水道水を介して感染症が発生した事例はございませんが、生物学的性状等がクリプトスポリジウムに類似することから、参考としてジアルジアの生物学的性状等の知見を新たに記述したものでございます。
それから、試験方法に関しまして少し触れさせていただきたいと思います。
元の資料3−1に戻っていただきますと、今、御説明いたしましたのは改正案の概要、おそれの判断、予防対策ということでありますが、2ページの裏側のところを見ていただきますと「クリプトスポリジウム検出のための暫定試験方法」というのがございます。このクリプトスポリジウムに関しましては、検査が大変難しいということが、また1つの特徴でございます。そういうふうなことで、現在、暫定的な検査方法を定めてございますが、それに従って検査をやりましても、検査をやった担当者がなかなか正確に見極められないというようなこともございます。これは熟練の問題というふうに言われておりますが大変難しいということであります。そういうことから、今年度からより簡便で確実な検査方法の研究に着手をしていただいておりますが、その途上で何か使える方法があれば、今回の暫定的な試験方法に盛り込んでいこうということで幾つかの方法を盛り込もうとしております。
これは、加圧ろ過法、大量の検水を自動的に濃縮可能なカートリッジフィルター法、繰り返しの濃縮操作が不要な遠心沈殿法、それから、フィルターとオーシストの分離が効率的な特殊フィルターに対応した超音波処理法といったものを検水の濃縮過程で取り入れて使っていったらどうかということです。
それから、精製処理過程に関しましては、いわゆる免疫磁気ビーズ法という抗原抗体反応を使ったものがございます。
それから、蛍光染色過程において、直接抗体法、顕微鏡観察の中で鮮明性を向上をさせるためのスライドグラス上での染色法、オーシストの内部の核を染めて見やすくするDAPI染色法といったものを導入してはどうかということです。
以上でございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。
専門家がたくさんお集まりになって暫定対策指針の改正案というものを作っていただいたところでございますが、いかがでございましょうか。

○甲斐委員 表−1「水道水源水域におけるクリプトスポリジウム及びジアルジアの検出状況調査」に関してですが、亜熱帯地方に多いと言われているジアルジアですけれども、温度にはあまり関係ないのでしょうか。それと、意外とジアルジアの方がたくさん出ているんですが、原虫としては多いということですか。

○由田水道水質管理官 今の御質問の1点目の温度でどうかということでありますが、確かに、途上国などではよくかかるということで言われておりますけれども、基本的にはクリプトスポリジウム、ジアルジアとも春夏秋冬、必ずしもいつよく出るかということは関係がないというふうに今のところ言われております。
それから、まさしくジアルジアというのは結構どこでも実際には存在し得るというふうに考えて差し支えなかろうかというレベルかなという気もいたしております。

○藤田部会長 何か御意見ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、この暫定対策指針をこの部会として了承するということでようございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○藤田部会長 ありがとうございました。

それでは、次は、資料の4番目のその他でございますが、資料4−1の御説明をお願いしましょうか。

○事務局 水道法関係の水道改正について概略を御説明いたします。
資料4−1でございますが、これは認可についてでございます。御案内のとおり水道事業につきましては、厚生大臣が認可を行うということになっておりますが、その一部につきまして都道府県知事に権限委任をしている訳でございます。この資料にございますように、平成8年12月の地方分権推進委員会の勧告に従いまして、都道府県知事が認可を行うその範囲を広げようという内容の政令改正を行ったということでございます。
現在、給水人口5万人以下の水道事業につきまして都道府県知事の認可とするとなっております。これを新たに、給水人口が5万人を超え、1級河川、2級河川を水源としない水道事業の認可についても都道府県知事の権限とするということでございます。
地方分権推進委員会の中で水道事業のうち、水利調整の必要性があると考えられるもの以外については都道府県知事におろしてはどうかという御指摘がございまして、それを踏まえたものでございます。
それから、地方分権の関係で申し上げますと、御案内のとおり、今回の地方分権の中では機関委任事務を原則として廃止するという考え方になってございます。水道事業につきましても、基本的に認可権限につきまして都道府県の自治事務とするという考え方で整理をされておりますが、国は引き続き、一定規模を超える水道事業及び水道用水供給事業の認可について事務を直接行い、機関委任事務制度を廃止するということでございます。
ただし、「都道府県知事が自治事務として行う水道業者などに対する命令、勧告についても、緊急時等必要な場合には、国が直接行うことができる」というような考え方が示されております。
機関委任事務の廃止につきましては、水道に限らずいろいろな分野で行われる訳でございます。追っていろいろな法律を通しての制度改正がなされていく中で水道につきましても、こういう考え方に沿った整理をしていくということでございます。
また、ここに書いてございませんけれども、併せまして水道事業の変更の認可につきまして申請書類を簡素化するようにという御指摘もありますので、その点につきましては事務的な作業を進めさせていただいているところでございます。
資料4−1については以上でございます。

○藤田部会長 引き続いて4−2の方もお願いします。

○事務局 資料4−2でございます。これは、今、申し上げました権限委任とは時期的には前後いたしますけれども、平成8年の規制緩和推進計画に基づきまして、給水装置関係の規制緩和を中心といたします水道法の改正を行ったものでございます。それについてのその後の経過ということでございます。御案内かと思いますが、給水装置と申しておりますのはいわゆる蛇口と、それから、配水管から蛇口につながります給水管の部分、この辺を合わせまして給水装置と言っているものでございます。
給水装置につきましては、従来、市町村の水道事業者ごとに給水装置工事にかかわります工事事業者を指定するというような制度をしておったところでございますけれども、より広域的に事業が出来るようにということで規制緩和を行ったものでございます。
そういう観点から、給水装置工事の技術レベルを確保するために、全国的な資格といたしまして給水装置工事主任技術者の国家資格を創設いたしました。また、給水装置工事事業者についての指定要件を統一化するというようなことをいたしました。
それにつきまして、国家試験関係では平成9年度から、また、指定工事店につきましては平成10年度から施行するということでございます。国家試験につきましては、昨年10月に第1回を行いまして、そこにございますとおり1万7,000 人ほどの受験者でございます。合格率といたしまして約56.9%ということでございます。従来の制度によりまして水道指定工事店というような形で仕事をしていらっしゃる一定の能力・経験のある方につきましての経過措置講習会を現在開催しているところでございます。
また、給水装置自体につきましても使用規制の合理化というのを併せて行った訳でございます。給水措置の構造、材質に関する基準を法定して、明確化したものでございます。従来どういう性能を持っている給水装置であるかということにつきまして、特定の第三者機関による認証を受けなければ事実上給水用具として使用できなかった訳でございますけれども、そういう義務づけを廃止し、製造事業者などが自らの責任で適切な給水装置であるかどうかというのを確認し、事業を行うというような仕組みにしたところでございます。
それに伴いまして、給水装置がどういう性能を持っているか、基準に適合しているかどうかというような情報につきましては、消費者でございますとか水道事業者に情報を提供する必要がございますので、私どもの方で給水装置データベースというのを構築いたしまして、情報提供を行っているところでございます。
また、海外基準との調和でございますとか、海外の認証機関との相互認証というようなことにつきましても、作業を進めているというところでございます。
以上、簡単でございますが、水道法関係の制度改正の状況でございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。
 地方分権と規制緩和については当部会で御審議願ったもののでございますが、その実施状況、施行状況ということでございます。いかかでございましょうか。

○甲斐委員 質問してよろしいですか。この前のときに、これは決められたことで、やはりちゃんとした技術者がいなければいけないのではないかということであったのですけれども、合格率が56.9%ということは、結構難しかったのかなというのと、この下の経過措置としての講習会なんですけれども、その講習会でそれだけ難しいものがクリア出来るのかなと思いました。

○岡澤水道整備課長 これは、国が新たに指定資格制度を設けた訳でございます。それ以前はそれぞれの水道事業体ごと、自治体ごとにこういう制度を設けておりまして、それぞれの自治体がそういう資格を交付した訳でございます。ですから、全国的に統一のレベルかどうかは別として、それぞれの観点からほぼ同じような資格が付与されていたということでございますので、改めて能力的には基本的には同じレベルであることを確認するために全国統一の経過措置講習会を設けまして、新たな試験制度に基づいて資格を取得とした者というふうにみなしておるところでございます。技術レベルの問題はないというふうに考えております。

○藤田部会長 いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。

○藤原委員 ちょっと質問してよろしいですか。私は、初めてなので余りよく分からないんですが、今、地方分権と言っている時代に、これが何で国家資格なのかなと不思議に思いながら今、拝見しております。都道府県知事の認定ということになってもいいんじゃないかと思うのですが。つまり、今、中央の行革の中で大臣が認定するいろいろな資格をもっと権限委譲して地方に下ろそうという動きがある中で、どうして国家資格なのかとちょっと驚きながら拝見しておりました。そして、そのことについて今後も国家資格という形でお続けになるのかということと、それから、もう一つ、約4割の方が落第をなさった訳ですが、そういった方は今後そういう仕事に就けないのか、救済措置があるのかどうか分かりませんけれども、やはり試験となりますと不得意な人というのは必ずいる訳で、その辺がどう救済されるのかという、この2点をお尋ねしたいのですが。

○藤田部会長 長い議論の末にこうなったのですが、御説明をお願いできますでしょうか。

○藤原委員 ごめんなさい。では、既に議論をされたことを私はお聞きしているんですね。

○藤田部会長 はい。非常に長い間議論してこのようになっております。

○藤原委員 済みません、ちょっと分からなかったものですから。

○岡澤水道整備課長 では、簡潔に申し上げますと、従来は市町村ごとに指定工事店というものを指定しておった訳です。その指定された業者というのは、その水道事業体の工事しか出来なかった。その資格というのはそれぞれ水道事業体ごとに違いましたから、例えば、隣の町の水道で仕事をやろうと思っても、それは出来ないということになっていた訳です。それを能力のある者に広く参入機会を与えようということから、資格を全国で統一しまして、同じ資格を持った者であれば全国どこででも仕事が出来るようにしたということでございます。ですから、これはもし国の資格を設けないと、それぞれの地域ごとに、ばらばらに資格を設けて、かつ、マーケットを小さくしてしまうということがございますので、日本全国のマーケットで共通に流動化するためには国家資格が必要だということから設けた訳でございます。ですから、参入規制の緩和をしたものと考えております。
それから、試験の不合格者については、新規参入者に対する試験でございまして、新規参入者は意欲と能力があればどこでも仕事が出来るということが原則ですが、少なくとも能力的に問題があるところについては排除させていただく。試験は何回でも受けられますので、勿論来年受け直していただくのは構わないんですが、いずれにしても一定の能力を持たなければ、どこででも仕事をしていいという訳にはいかないということでございます。

○住友委員 ちょっと済みません。私は、やはり藤原委員の御意見に賛成で、一体だれがだれのための法だというような思いで聞いているんです。現在、全国曲がりなりに皆さん一生懸命水道を給水していて、国民一人一人がそう大きな不安を持っているという訳でもないというのが現状かと認識するのですが。例えば、越生町に発生したらやはりお金を投入して二度と発生しないように対策するということは大事ですけれども、その一例をもって全国をどうするとか、WHOがどうされたからどうするとか、一体だれがだれのための法改正だという思いがちょっと強くて、だからといって自分の私見をここで言うつもりはないですが、今、御発言のような意見はやはり真摯に聞くべきだと思います。若干のコメントです。
地方分権と言いましても、見てびっくりしたんですが419 のうち1割もいかない数字が変更するだけというのは、これは一体何のことかと思うような意味で、ここに個別の意見は言いませんが、やはり今の御発言のような意見はもっと重要に聞いていただいてほしいという希望を述べさせていただきたいと思います。

○岡澤水道整備課長 衛生規制については、基本的には衛生規制とか環境規制とか安全規制については、一定の資格を設けることは世界的にも認められています。そこは、そういう意味での一定の資格を有する者に歯止めを掛けるという従来の指定工事店制度自体は、それほどおかしな規制ではないと思います。
ただ、あとは、マーケットへの参入規制というものはなるべく広く取ろうということが昨今の規制緩和の焦点でございますので、そういう観点では、今回の措置はそういう趣旨に沿っているのではないかと思っております。

○山本委員 いいですか。ちょっと2つでお尋ねなりをしておきたいのですが、指定業者の問題です。これは今そういう論理はいいと思うんですよ。それは全国不変ですから、それはいいと思うんですが、いっぱい私のところへ全部来たって受け入れられる訳はない訳です。
それから、新しくつくるものならいいけれども、長い歴史を持っている訳です。さっきのお話のように、日本の水道は100 年経過している訳ですから。ですから、そこへ居ついた水道工事店というのがたくさんいる訳です。だから、私のところの町なら町に10人おるとすれば、それに新たな人が来たってそれだけの仕事がある訳がない訳です。ところが、有資格者だから俺にもさせろ、私にもと言われると整理がつかなくなる訳です。ですから、市町村がそれを選択して、これとこれの業者しか指定をしないよということは出来るんでしょうか、それが1点目です。
それから、権限の委譲なんですけれども、補助金制度がなくなっていないのに許認可権だけを事務委譲するということであっても、結果は一緒なんです。5万人以下というのは地方分権のあまり対象にならない部分です。地方分権という言葉はなかなかさわやかでとてもいいように思うんですけれども、5万人以下は余り対象にならない訳です。だから、この認可というのは言うならば地方分権の対象にならないような市町村なんです。そういうところの許認可権は、今の自治法上でいけば県知事が権限を与えることになっている訳ですから、別に実質的に変わるものはない訳なんですが、これをこういうふうに変えたのには補助金制度との見直しをするために先行して変えたのかどうか、そこの辺りがちょっと分かりづらいのでお聞きしておきたいと思います。2点教えてください。

○岡澤水道整備課長 前段の制限の話ですが、この制度は要するに資格を持って、かつ、希望があればどこででも仕事が出来るという仕組みを担保しようということでして、市場が大きいか小さいかというのは関係なく、やりたい者には参入させるというのが原則でございます。ですから、ある特定の水道にとってみれば、仮に10社の業者がいればちょうど間に合うというところに30社入ってきても、それは本人たちがやりたいということであれば参入は認める。あとは自由競争でサービスのいいところが生き残ると。怠慢なところは振るい落とされていくという自由競争の仕組みを導入して、ユーザーのメリットに結び付けようということですので、基本的に市町村の側から見れば参入希望が出たものを拒否は出来ないということになります。ですから、過当競争でどうぞやってくださいということです。

○山本委員 それは、あんたの方は気持ちがいいかもしれぬけれども、受ける方の我々としては大変ですよ。仕事がいっぱいあれば別ですよ。

○岡澤水道整備課長 ですから、それは市町村が選ぶのではなくて業者がどのように競争するかを選ぶ訳ですから。

○山本委員 そうはいかないですよ。そんな東京で議論するようなだけで現場はいかないんです。だから、水道工事店の仕事をどう配分するかの選択肢が市町村側になければならぬ訳ですよ。

○岡澤水道整備課長 それは市町村が民間の事業者の仕事の需給調整を行い、これだけのマーケットがあるので何者業者を与えるということで、それが値段をつり上げたりサービスの競争というものを阻害しているのではないかという批判があった訳です。それに対してマーケットへの参入の規制を緩和して自由に参加させることによってサービスの競争をさせようということであります。

○山本委員 その原因は厚生省側にあるんですよ。何かというと、例えば、材料が高いんです。基準を厚生省で決めてある訳ですよ。ところが、その基準どおりにやると1万円掛かる訳です。普通、我々が自分で材料を購入してやるとすると3,000 円ぐらいで済むんです。そういう基準をこしらえてあるんですよ。だから、今のような自由参入とか何とかいうのを考えなければならぬようになってきたのではないですか。だから、こういうものを変えるならば、例えばパイプの呼び径何mmのものは何mで幾らであるというのを撤廃しなければだめですよ。あれがそのまままだついているでしょう。

○浜田水道環境部長 部長でありますが、昔、水道整備課長としてこの制度をやってまいりましたので一言申し上げます。今、山本町長のお話にはちょっと誤解があります。材料について問題になりましたのは、日本水道協会の型式承認制度というのが以前あって、確かにおっしゃるように寸法も材質も合っていないとだめだというような実質的な規制が水道事業者、市町村の側で行われていたものでございます。それをむしろ撤廃しようということで、それはやめてもらいまして、今度は法律で性能基準、こういう性能にあっていれば材質、寸法は問わないというようなことにさせていただいたというのが1つあるんです。

○山本委員 それはいつからですか。

○浜田水道環境部長 これは、去年の10月からです。

それから、指定工事店の問題につきましても、まさに今、町長さんがおっしゃったような問題が町村からも提案されましたけれども。

○山本委員 無視された。

○浜田水道環境部長 無視ではありません。さまざまな議論の中で、これは経済界からの強い要請がありましたこと、諸外国からの規制緩和の要請があったというのが背景にありましたけれども、結局、市町村の運用がどうしてもおっしゃるように参入規制になっているんです。やや経済規制的なところにもなってしまいまして、それは、住宅建設や給水装置の製造等は全国的な市場を対象に行っているわけですから、全国的にやっている人たちにとってみれば、技術があるのに隣の町へ行ったら出来ないというのはおかしいではないかというような疑問がありまして、そこをベースに議論いたしました。
ただ、市町村による指定制度というのは残しましたので、申請をしていただいて要件に合っていれば添田町であれば添田町で指定はするという行為はしていただけますので、その指定した者がちゃんとした工事をやるかどうかという監督を引き続きやっていただけるような仕組みにはなっております。これは水道管に物をつないでやりますので、そこをきちんとやってもらわないと困ることにもなりかねないという意味での監督はやっていただきますが、経済活動としてはさっき課長が申し上げたように、いいもの、きちっとしたものを低コストで入れられるのであれば、それは消費者が選んでもらえばいいのではないかということで基本的な問題を整理したものです。

○山本委員 長くなるから、もう議論はいいですけれども、余りいいことではないと私は言っているんです。
それと、もう一つの5万人以下の市町村の問題は、補助金制度のことを考えて前倒しでやるんですか。

○岡澤水道整備課長 必ずしもそういうことではございません。

○山本委員 これは、やっても全然意味がないじゃないですか。全く変わらないじゃないですか。

○岡澤水道整備課長 これは、今は機関委任事務として厚生大臣の権限を一部都道府県知事に委任している訳ですけれども、将来的には機関委任事務を廃止して都道府県知事の権限としようということを考えております。その委譲する範囲というものを設定いたしまして、その設定した範囲でとりあえず権限を委任しておく。将来的には委任したものをそっくり都道府県知事の権限にしようということで、その前倒しにやっているものでございます。

○浜田水道環境部長 5万人以下のものについてはもともと都道府県知事の権限です。

○山本委員 補助金はどうなのですか。国に残っているでしょう。

○浜田水道環境部長 簡易水道ですね。

○山本委員 補助金制度がある訳ですから、補助金制度がなくならないと地方分権というのは成り立たない訳でしょう。だから、そこら辺りがどういう整合性があるのかが分かりづらいからお尋ねしたんです。

○岡澤水道整備課長 補助金については、とりあえず今は枠だけの話になっておりまして、補助金をどうするかについては、また別途検討すると。国の中でもそれなりに議論がありますので、その中でこれから詰めていくことになるかと思います。

○山本委員 全然現行と変わらない訳ですよね。

○岡澤水道整備課長 それは、ですから、今まさに規制緩和の議論をやっている最中でして、補助制度についてはどうしようかとか、それから、認可権限をどうしようか。順番に片づいてきまして、認可権限の委譲範囲についてはとりあえず整理された。補助金の執行の方法とかその他いろいろな問題がございます。それは順番に議論して片づけていくということになっております。

○山本委員 お尋ねしておけばいいのですから。分かりました。

○藤田部会長 それでは、次に4−3の御説明をお願いします。

○由田水道水質管理官 これは、平成6年3月に我々のやっている水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律という法律が出来た訳でございます。御案内かと思いますがざっと申し上げますと、原水の汚濁などによりまして、水質基準を満たさなくなるおそれがあり、水道だけではなかなか対応出来ないという場合には、水道事業者が下水道でありますとか、合併処理浄化槽という水道原水の水質保全に役立つような事業の実施について、計画を策定するよう都道府県に要請することが出来るという法律でございます。その都道府県の計画に基づきまして、いろいろな水質保全事業を推進するという法律でございます。
平成6年5月の施行以来、今日までこの一覧表に載っておりますような水道事業者において関係の都道府県に対しまして計画の作成要請が出されておるということでございます。平成7年度までのものにつきましては、既に御報告したところでございますが、一番下にございます穂波町につきまして、平成9年度に新たな計画策定要請が出されているということでございます。
それぞれの計画におきましてどんな内容が計画として定められておるかということにつきまして、計画の概要というところに書かれてございます。下水道ですとか合併処理浄化槽の村集落排水処理施設、家畜糞尿肥料化施設というような施設の整備というのがそれぞれ計画に基づきまして推進されておるというところでございます。
以上でございます。

○藤田部会長 ありがとうございます。
引き続いて資料4−4もお願いします。

○事務局 続きまして、費用縮減の関係ということで資料4及びお手元に30ページぐらいの冊子がお配りしてあるかと思います。「水道施設整備における費用縮減に向けての具体的な実施手引き」というもので、この2つ資料を使って御説明させていただきたいと思います。
御存じかと思いますけれども、このコスト縮減に関しましては平成9年4月4日、政府として行動指針を作成いたしました。簡単に内容を申しますと、平成9年、10年、11年の3か年を使いましてコスト縮減をトータル10%しようという内容でございます。これは、公共工事に携わる各省庁一緒にやりましょうということで、行動指針をつくった後に行動計画をそれぞれの省庁でつくりました。
厚生省としましては、平成9年4月22日に計画をつくりまして、この内容につきまして各都道府県へ通知をしております。内容の方は冊子の方の後ろに水色の紙が挟んでありまして、そこから後ろに各都道府県へ送付した文書並びに、水道施設整備に関する部分の行動計画を載せてございます。この中では、国としてどういった取り組みを成すべきかということで、国が何をするかということを主眼に書いてございます。費用縮減のための具体的な内容としては、工事の計画・設計等の見直しに関する施策として、5つほど計画書の見直しのから積算の合理化まで、それぞれどういったことをするかということが書いてございます。
それから、工事発注の効率化等に関する施策の中では、1から4まで公共工事の平準化の推進あるいは諸手続の電子化等、こういった4つほど書いてございます。
そして、もう一つ、工事構成要素の費用縮減ということで、それぞれ具体的に書いてございます。
国として何をするかということを中心に書いてございますので、工事発注のところ等の中では水道事業者の方で実際に入札契約制度の検討とか発注というのをしていただくということになりますので、検討していただくように要請するというような形で言葉はなっております。
そして、実際に各都道府県あるいは政令市等では、自治省からの文書等に基づきまして行動計画をつくるというような形で水道事業者にも併せて指導を行っているというところでございます。実際の動きを見てみますと、コスト縮減に対してかなり積極的に取り組んでいるような自治体あるいはまだ十分そこまでのレベルにいっていないと、どこからやったらいいのかという、よく取り組みが出されていないところが実態としてはあるところであります。水道界全体としてコスト縮減に向かっていかないと成果は上がらないということで、平成10年3月12日に水道事業者の方々がどんなことをしたらいいのかというような実施手引きということでつくりまして送付いたしました。
この2ページのところを開いていただければと思いますけれども、施策というのがこれは行動指針にも書いてあります項目の施策でございます。そして、施策の項目という具体のところでございますけれども、これは行動計画で書いてございます具体の内容でございます。それぞれに対して、具体にどんなことがコスト縮減として水道事業者の方々が取り組めるのかということで、具体の事例を掲げてございます。その内容についてそれぞれ現状の留意事項、効果といったものをそれぞれコメントさせていただくことで、より水道事業者の方が自ら主体的に積極的な取り組みが出来るということで、この冊子をすべての水道事業体の方に届くように送付したところでございます。
平成9年度は初年度ということで、これは国あるいは公団の費用縮減効果について公表していくということで今、取りまとめの作業をしておりますけれども、次年度、10年度、11年度につきましては水道事業体、要は地方公共団体の方々の取り組み結果についても公表していくということで、政府内部で今、話し合いをしているところでございます。
以上、簡単でございますけれども、コスト縮減の関係の説明でございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。
最初の4−3は平成6年に施行されましたいわゆる水源法ですか、これの施行状況のようでございますね。
次の方は、水道施設整備の費用縮減のお話でございますが、何か御意見ございますでしょうか。こういう状況だということでございますので、御了解願えればと思います。よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○藤田部会長 それでは、最後になりますが、資料5の予算の関係について御説明願いましょうか。

○事務局 それでは、資料5、平成10年度水道関係予算の概要を説明させていただきます。
皆様よく御存じのとおり、我が国の財政状況は非常に悪化しております。公債発行残高で約240 兆円を超すという負債の状況の中で、平成10年度の水道施設整備におきましては、「国民を守る安心な水道づくり」を重点課題といたしまして、O−157とかクリプトスポリジウム、亜硝酸性窒素など新しい水質問題にも対応しました安全な水道水をいつでもどこでも利用出来るというようなことで、水道未普及地域の解消、高度浄水の処理などを推進し、地震・渇水にも強い水道を計画的・効率的整備にするという予算といたしまして、国土庁、北海道、沖縄の他省庁の予算も含めまして1,882 億円ということで、対前年度90.1%という大幅な減額になっております。
減額の主な要因といたしましては、事業が完了または完成が近づいております事業の減少が見込まれております水資源開発公団分といたしまして、ここが対前年度61.8%ということで相当減額となっております。これを除けば、対前年度94.4%ということで公共事業全体が7.8 %の減という中では小さい幅になっております。
それで、地方の生活基盤となります簡易水道整備といたしましては、463 億円ということで、対前年度96.5%。それと、上水道の予算といたしましては1,418 億円ということで88.2%ということになっています。
次のページに移っていただきますと、厚生省の予算といたしましては簡易水道と上水道を合わせまして1,350 億円ということで、94%ということで全体の公共事業に比べればちょっとよいというような状況であります。
特に、3本柱で厚生省といたしましては仕事をやっていくということで、1つ目の柱といたしましては、「地方の生活基盤となる簡易水道の整備近代化」ということで、365 億円ということで対前年度96.6%。この中で特に、有害物質とかO−157に対しても安全な水道水をどこでもだれでも利用出来るというようなことで、水道未普及地域を積極的に解消するということで、対前年度2%の増ということの151 億円を計上いたしまして、積極的に進めたいと考えております。
次は、2番目の柱といたしまして「安全で安心できる生活を支える水道の整備」、これは対前年度大体同額ぐらいの106 億円ということを計上いたしまして、これも特に重点的に行うものは(1) でありますが、異臭味被害とか四塩化炭素やヒ素等による水源汚染とか塩素耐性を有する感染性微生物による健康被害等の防止をするために、より安全で安心して飲用出来る水道水を供給する高度浄水施設の整備を積極的に行っていきたいと考えております。
次のページに、3つ目の柱といたしまして「地震・渇水に強い水道施設の整備」ということで877 億円の対前年度92.4%ということでなっていますが、これは(1) の水道水源開発ということでダム等の進捗とかいろいろ財政構造改革で言われていまして、中止とかいろいろあります。そういう関係で、水源に関するものが大きく減って87.3%というような状況であって、全体が92.4%となっておりますが、重点的に行うものといたしましては、地震・渇水の災害に対応するために重複投資を排除して水源を安定的に確保するための水道広域施設ということで、これが大体441 億円、96.5%。
それ以外に、特に(3) と(4) で地震に強いということで対応していくために緊急時給水拠点確保等事業の充実・強化、これが大体対前年度2%の増というもの。
それと、ライフライン機能の強化といたしまして、神戸市でモデル事業というのをやっておりますが、大容量送水管のモデル事業ということも着実に進めていくということで、対前年度82.4%の増ということで要求して、これを重点的にやっていきたいと考えております。
次は「その他」といたしまして公共事業の調査費といたしましては、水道施設の整備の効率化方策の検討といたしまして、1,000 万円ほど計上しております。これは、より効率的・計画的な水道整備を促進するために技術基準の見直しとか積算の合理化のために必要な方策の確立とか、新技術とか資器材等の情報交換体制の整備とか、今、社会経済情勢の変化に伴いまして、水道施設整備の計画書の見直しなどについて調査・検討を行う経費であります。
次のページは、一般行政経費ですが、先ほどもちょっと話がありましたが、亜硝酸性窒素対策といたしまして、亜硝酸性窒素は塩素消毒によって硝酸性窒素に変化すると言われておりますが、どのような条件下でどの程度変化するなどについて明確になっていないという現在状況がありますので、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の地下水とか浄水場における存在状況や消毒過程における変化等について調査を行いまして、汚染原因の低減化方策などを検討して対策指針を策定するための経費でございます。
次は、新しいものといたしまして下に括弧で「参考」としてありますが、簡易水道等の補助区分の見直しということで、簡易水道は昭和27年ぐらいから出来上がっていて、その補助基準の緩和とか充実をやってきた関係で、いろいろ少しずつ追加してきたというようなものがありまして、申請するごとに複雑になっているということで、地方分権等でも問題があるということで指示を受けまして、大蔵省が補助金等の実態調査を行いまして、そのとき事務の手続が煩雑だというような報告がありました。それに伴いまして、平成10年度から補助目的ごとに整理いたしまして、事務の簡素化を図るというものであります。
次、今、財政構造改革で言われていますように、下限の設定をしなさいというのがありまして、簡易水道については幾ら小額でも一定補助とやっておりましたが、法律に伴いまして下限設定を総事業1,000 万円以下は補助しないというものを新しく制度改正をやった部分であります。
最後に、財政構造改革の施行に伴いまして、平成10年度以降も水道施設の整備におきまして費用対効果の分析を活用した補助対策の在り方とか、再評価システムの導入など新しい補助対策の方針を打ち出す必要がありまして、現在検討しているところであります。公共事業の在り方について今後、ますます厳しいものになると考えておりますが、国民生活に密着した水道事業と言えども現状のまま進めていくということはなかなかきつくなっていくのではないということで、平成11年度以降におきましても事業の一層の重点化を迫られてくるのではないかと考えております。
以上でございます。

○藤田部会長 ありがとうございました。平成10年度の水道関係の予算の概要の御説明でした。何か御質問ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
今日は、12時ということだったのですが、大分時間が過ぎてしまいまして申し訳ないことをしたと思っています。これで本日の予定は終了いたしましたが、何か全体的に御発言ございましたら。

(「なし」と声あり)

○藤田部会長 よろしゅうございましょうか。どうもありがとうございました。

○岡澤水道整備課長 今日は非常に長時間にわたりまして、大変課題の多いところを御熱心に御討議いただきましてありがとうございました。また今後ともひとつよろしくお願いいたします。

○浜田水道環境部長 どうもありがとうございました。

問い合わせ先:厚生省水道環境部水道整備課

TEL:[現在ご利用いただけません](4034)



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