98/02/13 第15回年金審議会全員懇談会議事録 第15回 年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成10年2月13日(金) 15:00〜17:10 場 所 厚生省特別第一会議室  1 開 会 の 辞  2 委員出席状況報告  3 議 事   ・ 有識者調査について   ・ 年金白書等について   ・ 平成10年度物価スライドについて   ・ その他  4 閉 会 の 辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   八 木 委 員  砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員    国 広 委 員  神 代 委 員  都 村 委 員 福 岡 委 員 桝 本 委 員  目 黒 委 員 山 田 委 員  山 根 委 員 吉 原 委 員  若 杉 委 員  船 後 委 員  ○会長 本日は、御多忙のところ、お集まりいただきありがとうございます。全員懇談会では ございますが、記者クラブの方から、冒頭にカメラ撮りをしたいという申し出がござい ましたので、議事に入るまでの間、これを許可したいと思いますが、よろしゅうござい ましょうか。                (「はい」と声あり) ○会長  それでは、そのようにさせていただきます。報道関係の人に入ってもらってください               (報道関係カメラ撮り) ○会長  ただいまから、第15回の年金審議会全員懇談会を開催いたします。初めに委員の出欠 状況につきまして、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局  本日は久保田委員、坂巻委員、高山委員、富田委員、渡邉委員、貝塚委員が御欠席で ございます。そのほかの委員は御出席でございますが、福岡委員からは30分程度おくれ る見込みである旨の御連絡がございました。 ○会長  本日は、まず、厚生省の方で3月に実施を予定いたしております次期年金制度改正に 関する有識者調査につきまして、事前の御報告を受けることにしたいと存じます。次に 厚生省の方で作成いたしました、お手元にございます「年金白書」などについて、事務 局から説明を受け、その内容について御議論いただきたいと考えております。  まず有識者調査について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局  資料1をごらんいただきたいと思います。「次期年金制度改正に関する有識者調査の 概要」の資料でございます。今、会長からお話がございましたように、来月3月を実施 時期と考えておるところでございまして、今回の制度改正に際しまして、年金制度のあ り方につきまして、各界有識者の御意見をお伺いいたしまして、制度改正の参考にさせ ていただくというのがこの目的でございます。  前回の年金制度改正におきましても、その前の年の平成5年3月に同様の調査を実施 しておるところでございます。調査対象とさせていただく方々についてでございますが IIIにございますように、経済界、労働界、報道・評論、年金実務、青年、女性、学識経 験者等、各界の有識者の方から約2,000名を抽出いたしまして、アンケート調査を実施さ せていただきたいと考えております。 なお、恐縮でありますが、本審議会の委員は有識者ではいらっしゃいますけれども、 調査対象とはさせていただきませんので、あらかじめお含みをいただきたいと思います 調査方法でございますが、郵送により20問程度の「調査票」を送付いたしまして、無 記名で御回答いただくということでございます。調査票には、各設問の前に、制度の現 状や関連する情報を図表を用いてわかりやすく説明をいたしました前文を記述いたしま して、その後に「問」、そして、それに対する「答」という形の調査票を作成したいと 考えております。設問に対する回答は選択式ということで、その他という部分におきま して、自由に記述をしていただく。こういう前回の基本的な問答の形式は踏襲したいと 考えておるところでございます。最終的な調査票を今私どもは準備をしておるところで ございます。 2ページ以降、今回の調査の調査項目を6ページまで、12項目ほどに整理をいたして おります。  1.まず、社会保障全体における年金制度の位置づけということで、高齢化社会への 対応として、社会保障の分野において、重要な課題となることはどういうことでしょう かということで、以下にございますようなものから3つ選択をしていただくという形で 社会保障の中における重要な課題について、有識者のお考えを聞こうというのがまず最 初の問でございます。  2.次に年金の話に入っていくわけでございまして、老後における公的年金の役割に つきまして、1つは、公的年金が老後において基本と考えるのか、企業年金や貯蓄など の自助努力が基本と考えるのか、あるいはその組み合わせか、こういう問でございます  また、これに関連しまして、公的年金で老後生活のどの範囲までをまかなえるものと するかということで、衣食住等、消費生活の基本的な部分でよいのか、交際費等も含め た老後の消費生活のほとんどすべてをまかなえるようにするのか、あるいはその中間ぐ らいかという問でございます。  3.次に、年金制度における給付と負担の均衡をどのように図っていくかということ で、まず基本的な考え方につきまして、(1)でございますが、給付はできるだけ下げ ずに維持し、負担を上げる方向で均衡させるべきか。負担をできるだけ上げずに維持し 給付を下げる方向で均衡させるべきか。給付もある程度抑制し負担もある程度高める方 向で均衡させるか。この均衡のとり方について、基本的な考え方を問うというものでご ざいます。  そして(2)で、具体的な負担と支出総額の組み合わせにつきまして、具体的な組み 合わせはどれがよいかということで、いわゆる「5つの選択肢」のうち、どれがよいか というのを問いかけてみたいというふうに考えております。  (3)年金水準ということで、現在のモデル的な年金水準について、「高い」と考え るか、「適当」と考えるか、「低い」と考えるか。 それから、年金水準のあり方として、どれぐらいが適当と考えるか。  4.いわゆる民営化論につきまして、どう考えるかということを問いかけまして、民営 化するという御意見の場合につきましては、二重の負担について、どのように解決する のかということで、保険料、税、国債のいずれで対応するのかということも問として立 ててみたいと考えております。  5.それから、将来の負担を抑制する場合の手法ということで、選択肢に関連をいた しまして手法を発表したわけでありますが、それにつきまして、それぞれ有識者の方は どのようにお考えかということで、次の1)から7)まで、  1)年金の水準を抑制することについてどう考えるか。 2) 年金裁定後は賃金再評価をやめて、物価スライドのみとすることについてどう考える か。 3)、4)、5)は支給開始年齢に関連した質問でございます。  6)65歳から69歳までの在職者について年金を支給停止することについてどう考えるか  7)一定以上の収入のある者に年金支給を制限すべきだという考え方があるわけですが これについてどう考えるか。その場合に、一定以上の収入とはどの程度のものを考える かという問でございます。  6.一方、負担の話に入っていくわけでございまして、現在の保険料引き上げスケジ ュールにつきまして、これを前倒しをし、世代間の負担の公平を図るとともに、その運 用収入によって、将来の保険料負担を抑制するということについてどう考えるかという 問でございます。  7.ボーナスを保険料負担、給付の水準の対象とする、いわゆる総報酬制の導入につ いてどう考えるか。  8.基礎年金の年金額あるいは一方での保険料負担水準についてどう考えるか。  9.基礎年金の国庫負担につきまして、将来的にどう考えるか。  10.第3号被保険者の問題につきまして、1)この制度を維持するのか、2)第3号被保 険者からも独自に保険料を徴収すべきか。3)将来見直すとしても、現在の実態からみて 当面は現行制度を維持すべきかというような問いかけをしてみたいと考えております。  11.少子化対策につきまして、年金制度において何らかの少子化対策を講じることに ついて、適当かどうか。どう有識者の方は考えられるか。  12.最後に、施設入所者に対する年金支給についてということで、年金の給付の支給 と医療、福祉給付との調整についてどういうふうに考えるかという問も立ててみたい。  以上のような項目を整理いたしまして、20問程度の調査票を送付し、無記名で御回答 いただくというのが現在考えております有識者調査の概要でございます。 ○会長  ありがとうございました。ただいま御説明のありましたような骨組みの案でございま すが、御質問、御意見、御助言がございましたら、どなたからでもどうぞ。 ○A委員  ちょうど5年ほど前、社会保障制度審議会で、やはり社会保障全般について、有識者 調査が行われまして、そのとき意見を述べさせていただいた経緯もありまして、今回と の関連でちょっとお尋ねしたいと思います。調査対象に、制度審では、自営業、農林水 産団体関係が1割ぐらい入っておりました。こういう関係の団体とか関係の方が入って いるのかどうか。もう一つは、制度審のときには、行政関係の方を1割対象に入れてい るんですけれども、その人たちが入っているのかどうか。  もう一点は、2ページの1.の年金の位置づけについてなんですけれども、制度審で も同じような問いをしていて、この場合には、社会保障の体系別の領域をすべて細かく というか、例えば福祉であれば、4つの領域に分けるとか、体系別にとらえて取り上げ たわけです。今回は3)の介護が入っているということで新しいわけですけれども、例え ば制度審ので見ますと、老人保健というのが結構高い率で出てきているんですね。今回 の1.ですと、老人保健は2)と7)に分かれる可能性もある。8)は福祉のところでしょう か。2)と7)に分かれる可能性があるということと、福祉と介護の関連で、福祉のところ に、括弧でもう少し中身を書かなくてもいいのかどうかということですね。特に老人保 健の方が分かれて出るのではないか。  5年前のでは、老人福祉が1位で、2位が年金保険で、3、医療保険、4、老人保健 と、医療と老人保健分けておりますのでそうなっているんですが、もし医療と老人保健 を合わせれば、それが全体で1位になるというようなことですので、その辺がどうなの か、2点について、お尋ねいたします。 ○事務局  まず、第1点の調査対象でございますが、前回の場合でございますと、農林水産・自 営業団体というのを、1つのグループといたしまして取り上げております。  それから、委員の御指摘がございました行政機関というのも1つのグループとして対 象としておりまして、今回も基本的には同じような形で考えていきたいということです こういったグループに関して、それぞれ200ないし300というような数の方を対象として 名簿で選んでいくという形をとらせていただこうというふうに考えておるところでござ います。 それから、まず最初の調査項目の1について、これはいろいろ専門の先生方からも御 意見をいただいているところでございまして、それぞれの境界をどう考えるのかという のは非常に難しいところでございますが、今回は、「医療」のほか、「介護」と「健康 管理」、「生きがい」、それに「福祉」という分野もやはり大事でございますので、挙 げさせていただいてはどうだろうかということで分けてみました。 ○B委員  今の調査対象のところに、わざわざ「女性」と入れたのはどういう意味があるのか。 経済界にも労働界にも報道界にも皆女性が進出しているのだろうと思うのですが、「女 性」とわざわざ出したのは、家庭の主婦だという意味なのか。何で「女性」とわざわざ 書かなければいけないのか。  もう一つは、基礎年金のことを聞くのはいいんですが、報酬比例部分については何も お聞きにならないのか。それは何か意味があるのか。民営化のところで、やめる部分に ついては書いてありますが、報酬比例部分についてどう考えるかという設問はあえて省 いてあるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。 ○事務局  前段の女性のグループでありますが、これは他の調査などを見ましても、いわゆる女 性団体・婦人団体と言われる方々を分野としまして、名簿で抽出をして聞いているとい うのが通常でございまして、家庭の主婦と言われる方々につきまして、広くいろいろ意 見を聞くということはありますけど、今回は「有識者調査」ということでもございます ので、女性団体など、名簿の整備された分野におられます有識者の方を抽出してやって みようといたしました。  したがいまして、ここで抽出される方と、また御指摘がございますように、経済界、 労働界にももちろん女性の有識者に該当する方々がいらっしゃるわけでありまして、そ ういう意味で、女性団体から数百とほかの分野からの女性の方もいらっしゃるわけであ ります。 そういったものを総体として、有識者における女性の方々の意識というものを探らせて いただく、こういう整理をさせていただいてはどうかと思っています。  2番目の報酬比例部分の扱いについてでございますが、御指摘のように、ここでは、 今調査票のところは基礎年金の部分についてでございますが、その前にモデル年金の年 金水準などを聞いておりますので、3.(3)の問いかけと、基礎年金の水準について の問いかけと、これを両方合わせることによって、報酬比例部分ということについての 考え方もうかがい知ることができるのではないか、こんな整理をしておるところでござ います。 ○B委員  これで本当によくわかるんですかね。聞くことははっきり聞かれた方がいいん じゃないでしょうかね。後で分析をするかどうかは別として、聞くなら聞くというふう にした方がいいと思いますけれどもね。 ○A委員  今の御質問の関連なんですけれども、1ページのところの、団体関係者に聞く というのであれば、「青年・女性団体関係」というふうにした方がもっと明確になる。 ご質問にありましたように、主婦なのか、どうして「女性」だけがここに出てくるのか 概要という形で発表されるのであれば、ここのところはかえる必要があるのではないか  それから、先ほどの自営業、農林水産団体関係も明記された方が、項目として6つか 7つですから、もし概要も公にされるのだったら、その中に入れる。それから、「青年 女性、」というところもかえた方がいいのではないかと思います。 ○事務局  十分御指摘の点を踏まえて発表させていただきたいと思います。 ○C委員  実際に質問されるときは、もう少し解説されるのかもしれませんが、例えば「年金制 度において何らかの少子化対策を講じることについて、適当かどうか。」とこう聞かれ ても、私は何のことやらわからないだろうと思うんです。それは質問されるときに、こ ういうことを考えているんだけれども、こういうことについてはどうかというふうにお 書きにならないといけないんじゃないかと思います。 ○事務局  御指摘のとおりでございまして、ここでは調査項目の柱だけを掲げておりますが、年 金白書で少子化対策についての、これまでの本審議会の議論等を整理したものを明記さ せていただきたいと思います。そういった内容を要約した前文を少子化対策の場合、2 ページほどつけまして、そして具体的な設問に入っていきたいと思っておりまして、十 分設問に入る前に御理解いただけるようにいろいろな考え方を整理したいというふうに 考えております。 ○C委員  それから、民営化する場合の二重の負担の問題についてですが、「二重の負担」も非 常にわかりにくいと思いますので、これもよく御注意をお願いします。 ○事務局  御指摘のとおりでございまして、重ねてで恐縮でございますが、資料1の1ページの ローマ数字IVの(2)に書いておりますように、設問の前に、今、御指摘がございまし たように、ある意味での専門的な言葉になっている部分につきまして、現状や今、御指 摘ございました「二重の負担」などの、今回の改正に係る言葉につきまして、わかりや すく図や表なども使いまして説明した前文を掲載したい、このように考えております。 ○D委員  今の「二重の負担」のところなんですが、ここは民営化で二重の負担と言っているん だけれども、別に民営化とは限らず積立方式にすれば二重の負担は発生するわけですね それから、民営化といっても、強制加入でなければ、必ずしもそうなるかどうかという のは制度論上はわからない。ここは民営化で二重の負担というのは非常に不正確な感じ がするんですけど、いかがですか。  あわせて、この有識者アンケート調査というのは、どの程度この審議会の議論に影響 を与えるものなんですか。初めてなので教えてください。 ○事務局  今の設問の立て方についてでございますが、御指摘のとおり、民営化論と積立方式へ の移行ということについて、どうかというのは御議論があるところでありますけれども 今回出されております民営化論というのは、いわゆる公的年金は1階建てに限定をいた しまして、2階建ての部分を廃止し、そして、その部分について積立方式による民間の 年金の方にゆだねていくと、こういう考え方をしまして、そういった場合に生ずる二重 の負担の問題についてどう考えるかというふうな形で設問を立てさせていただいたらど うかということでございます。御指摘のとおり、具体的なそれぞれの考え方について整 理するには、それぞれまたお考えはあろうかと思います。  それから、有識者調査のこの回答についての取り扱いについては、これは本審議会に おいて、十分御検討いただけたらというふうに考えておるところでございます。 ○D委員  後段の方の事務局のお話は、これはかなり重要な参考資料として扱われるべきものだ と、こういうことだろうと思うんですが、もし、そういうことであれば、これは幾つか 申し上げなくてはいけないと思うんですね。  1つは、3ページのところで、「『5つの選択肢』のうち、いずれがよいか」、こう いう聞き方をここの中に入れてあるということなんですが、これははっきり言ってやめ てもらいたい。  水準については、次のところで聞いているし、負担の問題は後で聞いているのであっ て、それを聞く前に、まず組み合わせの中で、あの「5つの選択肢」はどれなのかとい うのは、そもそもあれが昨年末ここの席で報告をされたときに、出された当審議会での 議論の経緯を踏まえれば、極めて穏当を欠く話なのではないでしょうか。  私は基本的な考え方は括弧にして聞かれるのは大変いいことだし、水準についても負 担についても聞かれることはもちろん結構だと思うんですが、それだけ聞けば基本的な それぞれの回答者の考え方はわかるはずであって、そこにわざわざ「5つの選択肢のい ずれがいいのか」、こういう毒々しい話を挟むべきではないと思います。ここに強く申 し上げておきたいと思います。 ○事務局  今の御指摘でございますが、3.(1)で、基本的な考え方について哲学を聞くわけでご ざいまして、その後にやはり具体的な組み合わせの議論ということについてどう考えら れるかということで、前文におきましては、確かに選択肢の考え方を述べさせていただ きたいと思いますが、具体的にはやはり今回のA案におきます給付は現状程度に維持し 将来の負担は、いわゆる34.3%ぐらいまで上昇してもよいのかどうか、こういった具体 的な給付と負担の組み合わせにつきまして、有識者の御意見を聞かせていただく必要が あるのではないか。そういう意味におきまして、いわゆる「選択肢についてどうお考え か」というのを聞かせていただく必要があるのではないか、こういうふうに考えて設問 をつくらせていただいたところでございます。 ○D委員  お気持ちはよくわかりますが、必要があるとは思えませんし、12月のこの審議会で出 たさまざまな意見や、この間の大阪の審議会の席上、これは国民に対する脅迫だという ことまで言われた経緯、この辺のことは十分に斟酌されるべきで、今の事務局がおっし ゃったように、一体35%近くまで上がってもいいのかというお話でしたけど、まさにそ れ自体が、そういう脈絡の中で、私は問題にされていい発言だというふうに思うんです よね。  だから、そんなこと言わなくたって、要するに水準について聞くわけでしょう。哲学 があって水準について聞く。その後で負担の問題について聞く、こういうつくりになっ ているし、前文のところで「5つの選択肢」についての説明はされるとしたら、その説 明を念頭において、水準について、負担について、それぞれ考え方を聞けば十分なんじ ゃないですか。 ○事務局  今回の有識者調査も、具体的に「選択肢」で示した4つの案にもちろん限定するわけ ではございませんで、その他ということで、具体的に、厚生年金の給付と負担について お考えがあればもちろん前文において述べたところを斟酌いただきまして御回答いただ くわけでございます。しかし、そうは申しましても、今回の年金制度改正におきまして は、具体的な給付と負担の組み合わせというのをやはり議論していただかなければ、議 論が深まらないということでございますので、その前提といたしまして、私どもといた しましては、有識者の方の、こういった具体的な給付と負担の組み合わせについての御 意見をお伺いをしたい。  繰り返しになりますけれども、その他の御意見があるのも事実でございます。それは その他ということで表明をしていただくということを十分表記をいたしまして、私ども としては、ぜひこういった質問が必要ではないかと、こんなふうに考えるところでござ います。 ○D委員  これ以上申しませんが、5つの選択肢で非常に誤解を招きやすいのは、あそこで言わ れている給付水準が「給付総額」だということなんですね。給付総額ということは、正 確に理解されるためには相当な解説が必要であって、あれは1人当たりの給付水準とい うことに直ちに頭の中ですりかわりやすいというか、まさにそういうものとして単純に 受け取られやすい。その意味では大変難しい表現なのだと思うんです。  しかも、(3)のところで水準について言われている。その後、負担について言われ ている。おのずから、回答者の念頭においている組み合わせが出てくるはずなのであっ て、わざわざここで「5つの選択肢のうち、どれがよいか」というふうなことを(2) で聞く必要は私は全くないと思う。これは私の意見ですから、御答弁は結構です。 ○事務局  2つのことがあろうかと思うんです。今、御指摘いただいた点は十分注意して調査票 をつくりたいと、こう思っております。  それから、2つのことの1つは、前回(平成6年)改正におきまして、一番基本にな ったのは、保険料負担が月収ベースで30%を超えないと、この範囲内に給付を抑制する ということが前回改正の一番大きな柱になったわけですね。だから、こういう一番大事 な問題については、やはり有識者のお考えを聞く必要があるのではないかというのが第 1点でございます。  もう一つは、有識者調査をどう受けとめ、評価するかという問題にも関連するわけで すが、有識者調査で答えが出たら、これは尊重しなければいけませんけれども、そのと おり全部決まりということではないわけで、もし、そういうことであれば、年金審議会 の存在自体が要らないじゃないかと、こういう議論にまでなってしまうわけですから、 そういうことではない。 したがって、ここでの調査を参考にして、この年金審議会で御論議いただきたいとい うことでございまして、そういう意味では、いろんな問題点について、まんべんなく有 識者の意見を聞くという姿勢、そういう考え方が適当ではないか、こう判断しているわ けでございます。 ○E委員 そもそも有識者というのはだれのことかという定義がなくてやられるのですが、社会 調査というのは、やはりある目的があって、ある程度世論誘導といいますか、結果を導 けるものですよね。ですから、この有識者というのが何かによって、結果は当然違って くるわけですから、この有識者というときに、例えば学識者であれば、ある程度社会保 障とか年金関係のことの学識者なのか、一般的な意味での学識者なのかというようなこ とがここでは出ていないので、私としては、一体だれのことを有識者と言っているのか なという疑問があります。 今、参考にするというふうにおっしゃったわけですけれども、例えばある方向に答え がはっきり出るということもあり得るわけですよ。数としてこの調査をとらえた場合。 私は、調査対象は全くランダムでもないし、それを参考にするのはいいんですけれども 危険性もあるということをやっぱり認識した上でやっていただきたいと思うし、質問も そういう形でやっていただきたいと思うんですね。だからD委員の心配なさっている、 皆さんも心配なさっている面は確かにあるのではないかと思うんです。 もう一つ、「5つの選択肢」について、有識者に一体何を聞きたいかということなん ですけれども、5つの選択肢のどれを選ぶかということを聞きたいのか、今回年金を改 革するに当たって、5つの選択肢という形で、厚生省がこういうふうに意見を求めるこ とに対して、有識者がどれだけ受けとめたかとか、これをいいことととらえたかとか、 そういうレベルのことは、ほかの調査ではとらえられないことですので、できれば、私 はそういう質問を入れていただけるといいなと思います。この調査は、参考といっても どういう位置づけなのかというのをもう少し明確にわかるとありがたいと思います。 ○F委員  大阪で公開の審議会やったときに、特に八田先生の御意見などを伺ってみると、 必ずしも「5つの選択肢」の中のE案でしたか、最後のいわゆる民営化と言われている あの案とイコールでもないような気がするんですよね。全然違うとも言えないんだけど 全く同じでもないですね。  新聞で案を出した後にいろんな反響がありましたが、専門的な方のコメントの中に、 5つ以外にもいろいろ考え方はあるのではないかという趣旨の御発言があったように記 憶しているんですね。ですから、5つの選択肢は基本的に重要な選択を迫られている問 題なので、何かの格好で、いずれにしても選択をしなければいけないわけですから、ど の組み合わせが適当かということについての意見を求める必要があると思うんですが、 5つだけに限るのがいいかということになると多少どうかな。あるいは6つの選択肢に してもいいのかなという気もしますし、私自身、現状でどれか選べと言われたら、つま り、給付率を媒介にして、保険料率と給付水準との組み合わせということで言うとああ いうことになるかもしれませんが、その他のいろいろな小技があってたくさん組み合わ せがあり得るわけですね。そうすると、必ずしも給付水準を給付率のところの調整だけ でやらなくてもいいのかもしれないし、私はまだ正確に認識してないのかもしれないけ れども、給付水準はC案ぐらいがいいけれども、保険料率の負担はいろいろ組み合わせ て、結果的にD案ぐらいの方がいいかなというような、個人的には気持ちを持っていま すから、あの5つの組み合わせそのものがぴたりストレートに、「この中でどれがいい ですか」という聞き方がいいのかどうかは、多少吟味していただいた方がいいのではな いか。  D委員も内容的に給付水準と保険料率のいろんな組み合わせの選択が必要だというこ とを否定されているわけではないと思うので、その辺の設問の仕方の工夫で多少調整が つくのではなかろうなというふうに思いますが。 ○事務局  F委員の御発言に関連して補足説明をさせていただきますが、4ページの4.の「民 営化論」でございますが、ここでは、先ほど御指摘がございましたように、民営化論に ついてどう考えるか。そして、民営化する場合の二重の負担についてどう考えるかとい う2つの問いになっているわけでありますけれども、この前提といたしまして、いわゆ る5つの選択肢で言えば、E案でありますが、E案についてどう考えるかという問いか けではもちろんございませんで、今、御指摘がございましたように、給付と負担を抑制 するという流れの中で、こういう民営論というのがあって、それについてどうお考えに なるかという問いかけでございます。A案からE案の1つを選んで、そのE案の人につ いてだけこれを聞くという趣旨ではございませんで、ここは私どもいろいろ議論いたし ましたけれども、整理といたしましては、E案ではありますけれども、民営化論につい て、どうお考えになりますかという答えの中では、直ちにやるべきというお考えもある でしょうし、将来にわたって、現状でいくべきという御意見もございましょうし、また 将来そういったことを考えるべきだという御意見もございましょうし、その他というの もあろうかと思います。そういったことで、お答えにつきましては、幅広に選んでいた だけるようにしたいと、こんなふうに考えて準備をしているところでございます。 ○G委員  5ページの「総報酬制の導入について」ですけれども、もう少し事前の説明があるの かもしれませんが、これだけの質問ですと、例えば保険料の料率に掛ける相手が月収か らボーナスを含む年収の12分の1になると考えると、これは大変保険料が増えるという ふうな誤解を与えますし、また給付の基準も、例えば月収から年収に変わった場合に格 差が拡大するわけで、それをしないようないろんな手だてを講じるかどうかということ によっても、イエスかノーか変わると思いますから、この辺の問いかけは、前提といい ますか、質問の意味がはっきりしませんと、大変誤解に基づいた回答になるのではない かと思いますが、いかがですか。 ○事務局  御指摘の点を十分踏まえて、私どもといたしましても、制度導入につきましては、財 政的に中立なものを前提にした総報酬制の導入について、どうお考えになりますかとい う形で、前文をつけさせていただきたい。  後ほど白書の方でも、その辺の財政中立の議論と整理された部分を御紹介させていた だきたいと思っておりますが、そういった観点を十分に前文に記述をいたしまして、総 報酬制について、どうお考えになるかという意識を問わせていただきたいというふうに 考えているところでございます。 ○H委員  おくれて来て申しわけないんですが、例えば、3ページのところで、「年金水準につ いて」ということで、現行の年金水準について、1)「高いか」、「適当か」、「低い か」と問いかけています。  一方で、2ページの2の(2)で、「公的年金で老後生活のどの範囲までをまかなえ るものとするか。」と問いかけており、ここでは「公的年金」とはっきり書いてあるわ けですが、3ページでは「年金水準」となっているんですが、これは公的年金の水準の ことを言っているのかどうかということなんです。問題はそれも1つなんですけれども 例えば23万1,000円という年金水準について、「高いか」、「適当か」、「低いか」とい うのを有識者に聞いて、どういうことが期待されるんですかね。 つまり23万円なら23万円、また23万円以外にもいろいろな数字があるのでしょうけ れども、それはどこまでをまかなうものだという棒を引っ張った2ページの資料が前に ありましたね。生活費全体を、娯楽教養費まで含めた全部をまかなうものとか、そうい う数字的な裏づけを持って、23万1,000円が適当なのかどうかというふうに聞くのか。具 体的な生計費の内容と範囲が出ているわけですから、それとの裏づけで、公的年金とい うのは、どこまでまかなうのが適当と考えますかということを問うわけです。もちろん もう一つ裏には、今度は保険料との関係があるわけで、そこを束ねて考えていかないと 少なくとも、まずは設問の3の裏にある数字的な根拠として、2ページの(2)の範囲 を示すものとのリンクの中で、年金水準は適当かどうか、つまり自分の生計をまかなう 範囲はどこまでが適当かという設問と、もう一つは、負担との関係でどこまでが適当か という問いを行なうべきではないか。つまり、この23万 1,000円というのは、保険料の 負担との関係で、高いのか、低いのか、適当なのかという問題と、老人の生計をまかな っていく上で、高いのか、適当か、低いのかという問題と2つの問題があるわけで、少 なくともそこまではリンクして聞かないと、有識者調査にならないのではないかという 気がちょっとするんですけれどもね。 ○事務局  まず補足説明をさせていただきたいと思いますが、今、委員が御指摘の2の(2)の 公的年金の守備範囲といいますか、どこまでの範囲をまかなえるものかというのは、こ れは公的年金ということで、2の(1)の、いわゆる公的年金のそもそも論との関連に おいて、どこまでカバーするのかという、これをやや定性的に伺うというのが、2の (2)の趣旨でございます。3に入りまして、「年金制度における給付と負担の均衡に ついて」でありますが、3の(3)は、いわゆる厚生年金について、今、お話がござい ましたように、現役世代の消費支出というようなものもにらみ合わせて、現行の水準に ついてどう考えるか、そして、その後に御指摘がございますように、いわゆる負担との 関係も念頭において、給付水準をどう考えていくかという流れでございます。まさに総 論として、公的年金の守備範囲を有識者の方はどう考えられるか、そして、給付と負担 の均衡という具体的な掘り下げにおいて組み合わせ、そして、前提としての年金水準に ついてどう考えるかという流れで、これを整理しておるものでございます。 ○H委員  実際問題、書く人の立場でつくらないと、1人1人、今みたいな細かい説明をして回 るわけはないのでしょうから、あくまで問題意識を明確にした問いかけにしておかない と、私が今素朴に質問したような話に必ずなるはずですよね。情緒的に聞かれても困る ことになるはずですから、そこのところをクリアにした、どういう問いかけなのだとい うことを明確にしておかないといけないのではないか。  また、これはあくまで、さっきの事務局の話だと、有識者調査は1つの参考資料だと もちろん軽視するという意味では毛頭ないと思いますし、年金審議会で議論すればいい という判断だということなんですが、こういうものが1つの結論を出しますと、やっぱ りひとり歩きする可能性は十分あるわけなんで、そこはよく踏まえて、設問の段階から ある程度考えておかないとまずいのではないかという気はしますね。それは申し上げて おきたいと思います。 ○I委員  前回の調査のときのことで、今、手元に資料があるわけではないんですが、記憶を呼 び戻しますと、落としどころは、先ほど話題になりました30%の負担の問題がキーであ ったのではないか。要するに全体の意識もそうなっていますよというアンケート結果が されたような記憶があるんです。今度の場合はキーワードは「給付と負担」というとこ ろに原点が置かれているようになっていますが、「5つの選択肢」の問題も、先ほどか ら話がありますように、問いかけとしては、これ以外にあるのかないのか。有識者だっ たら、それぐらいは答えていただかなければいけない人たちではないかと思いますから そういう問いかけの仕方も1つ方法論としてはあるのではないかと思います。  もう一つは、せっかくの機会ですから、少子化対策だけを聞くのではなしに、あるい は給付と負担のことだけに集中的に導いていく。現実のそういう側面だけではなしに、 少子化・高齢化に向けて年金制度全体を補完していくシステムみたいなものが何かない のかというような点も少し聞かれた方がいいのではないか。年金を取り巻いている様々 なことを有識者の人たちは考えておられるのではないかと思います。我々1人1人の立 場や国民レベルで考えても、そういうものに対する欲求があるのだと思います。せっか くの機会ですから、そういう設問もあってもいいのではないかということを御意見とし て申し上げます。 ○会長  この辺で、先へ進んでよろしゅうございますか。年金白書のことがございます。 現物がお手元に届いておりますが、今年度から「年金白書」を作成することになりまし たそうで、その御報告を受けたいと存じます。あわせて、積立方式に関する追加資料、 平成10年度の物価スライドに関する資料、その他、本日配付の資料につきましても御説 明をお願いします。 ○事務局  お手元に「年金白書」の現物をお届けしています。それから、資料2で「年金白書」 の概要について、私どもで資料をつくらせていただいておりますので、概要と現物と並 行して内容について御説明をさせていただきたいと思います。  まず「『年金白書』のねらい」についてでございますが、1ページにございますよう に、今後幅広く議論をしていただく、あるいは制度のわかりやすい説明をする、そして 情報を広く公開するという3点のねらいでこの白書を取りまとめているところでござい ます。 今、会長からお話がございましたように、今回「年金白書」の発刊は初めてでございま して、私どもといたしましては、今回の関係方面の御反応も踏まえながら、10年度以降 も継続して取りまとめていきたいと考えているところでございます。  概要の2ページ、全体の構成でございますが、本編と資料編から構成をいたしており ます。本編につきましては、目次でもごらんいただけますけれども、序論と現状編、改 革編という3部構成になっておるところでございまして、序論をお読みいただければ、 年金改正の背景、必要性につきまして、一目でお読みいただけるようにという気持ちで 書いておるものでございます。また、今回の白書の編集に当たりましては、できるだけ わかりやすくということで、図表、色刷りを多用しまして、レイアウトに工夫をしてみ たものでございます。  また、関係方面から御意見をいただきまして、そういった御意見につきまして囲みと いう形で御紹介をさせていただいておるところでございます。具体的に御意見をいただ きました有識者の方々のお名前は、この資料の最後のページに掲載されております。  それから、この白書の中にハガキが折り込んであろうかと思いますけれども、国民の 方々から、今回の年金改正について意見をいただくということで、この出版社あるいは 直接厚生省あてに、今回の改正についての御意見をいただこうということです。他にも 電子メールによる御意見というのも受けつけているところでございます。  次に白書の中身に入っていくわけでありますが、先ほど申し上げましたように、序論 におきまして、年金の現状、改革の必要性など、今回の審議会におけます「論点整理」 「5つの選択肢」に至ります経緯を整理いたしておりまして、具体的には2ページから 9ページまででございますが、ここをお読みいただければ、今なぜ年金改革が必要かと いうことが御理解いただけるのではないかというふうに考えたところでございます。  次に、第1部、「年金の現状を考える」ということでございまして、公的年金、企業 年金、積立金の順番に、年金の現状について整理をいたしておるところでございます。 公的年金の役割、私的年金との違い、実質的な意味を14ページ、15ページあたりに整理 をさせていただいておりますし、基本的な仕組みにつきまして、16ページ、17ページに 賦課方式の要素が強まりつつあるわけでありますが、段階保険料という現在の保険料の 負担の方式につきまして、19ページに、そして財政再計算ということの意味につきまし て、19ページから21ページにかけて記述をいたしておるところでございます。  以降、制度の概要ということでございまして、これまで資料などで、制度の概要につ いては公表をさせていただいているところでございますが、再度整理をいたしまして、 各共済を含めまして、各制度の状況を記述をさせていただいております。28ページから 29ページにかけまして、基礎年金の費用負担の仕組み、国庫負担の仕組みについても整 理をいたしているところでございます。  国民年金以降につきましては、30ページに、左側を文章とし、右側を図とするという 基本的なレイアウトに基づきまして、加入者数、年金受給者数、平均年金月額などを整 理をいたしております。それから、未加入者・未納者対策ということについて、今回の 大きな議論になっておりますので、その現状につきまして、36ページにかけまして整理 をいたしておるところでございます。  37ページ以降、厚生年金でございまして、基本的に同じような形で整理をいたしてお ります。  41ページ以降、前回の公的年金の将来見通しということで、前回の再計算の数字を掲 げております。それが49ページまででございます。  それから、一元化の関係につきましては、50ページから52ページにかけまして、59年 の閣議決定以降の経緯につきまして、詳しく記述をいたしておるところでございます。  54ページ以降は現業関係でございまして、社会保険業務センターを中心とした社会保 険の現業につきまして、こういった形にまとめたのは初めてではないかと思っておりま す。 それから、現在やっております国民年金の未納・未加入対策につきまして、59ページか ら、現在講じております対策を整理をいたしております。最後に基礎年金番号につきま して、現状を挙げさせていただいております。  65ページ以下、制度改正の経緯ということでございまして、公的年金の歴史を3つの 時期に分かちまして、この間の制度改正の取り組みにつきまして記述をいたしておりま す。 74ページ以降、企業年金の関係でございまして、企業年金の現状、厚生年金基金 の仕組みと現状につきまして整理をいたしております。平成7年9月から研究会をつく りまして、厚生年金基金制度の見直しを図ってきており、その辺のところの改正の取り 組みを83ページ以下に掲げておるところでございます。  それから、90ページ、適格年金の状況を厚生年金基金と比較する形で表を載せさせて いただいております。  92ページ以下は、国民年金基金の関係の現状でございます。  96ページからは、年金積立金の運用ということで、積立金の関係につきまして、財投 との関連、還元融資の制度の状況につきまして掲げております。  100ページ以降は、年金福祉事業団が行っております市場運用事業の状況につきまして 取りまとめております。 最後に年金福祉事業団につきまして、昨年6月に特殊法人の整理・合理化ということ で閣議決定されておるわけでございまして、そこまでの経緯につきまして、107ページま でに記述をいたしておるところでございます。 108ページ以降、ここで「ちょっと一息」ということで、国民にとりましては、自分の 年金がいつ、幾らもらえるのかというのはやはり最大の関心事項でございまして、でき るだけこの内容について記述をしようというふうに考えたわけでありますが、やはり 個々の方々の年金額まで対応するのは不可能でございまして、これにつきましては、巻 末に「相談窓口」という形で、「年金に関する問い合わせ先一覧」というのをつけまし て、これでそれぞれお近くの最寄りの箇所にお尋ねをいただくと、こういった形で対応 させていただくということを前提に、ここでは世帯類型別の年金額の算定、老齢基礎年 金、老齢厚生年金、障害年金、遺族年金の順に、受給要件、年金額の計算方法につきま して、整理をしてみたものでございます。 第2部、122ページ以降でございますが、「年金改革を考える」ということで、本審議 会におきますこれまでの御議論などを整理をいたしまして、まず年金制度を取り巻く社 会経済状況の変化ということで、少子・高齢化の進展、経済基調の変化といった状況に つきまして、整理をいたしておるところでございます。 133ページからは、先ほどちょっとお話がございましたが、高齢者の生活における年金 の意義と現在担っている役割につきまして、平成8年の調査結果を使いまして図示をい たしております。  134ページ以降が、現役世帯との対比ということでございます。  137 ページ、高齢者の生活意識調査ということで、各意識調査の結果を138ページにか けまして記述をいたしております。 140ページからは、「公的年金制度の機能・基本的設計に関する議論」ということで さまざまな議論を本審議会を初め関係方面からいただいておるわけてございまして、こ れを整理をいたしまして、紹介をさせていただいております。 まず「公的年金の機能と現状」ということで、141ページの図表におきまして、端的に その機能を整理いたしております。 それから、142ページ、「賦課方式と積立方式」の財政方式ということで、積立方式か 賦課方式かという議論。それから、世代間の公平論というような議論があるわけでござ いますので、こういったことにつきまして整理をいたしております。 それから、経済との関係ということで、これまで右肩上がりの経済を前提とした制度 であったわけでありますが、こういう変化の中で、抱える問題につきまして、146ページ 以下に整理をいたしております。 それから、153ページ、確定拠出方式についての議論もなされてきているわけでござい まして、それについて掲げております。 それから、飛ばしましたが、民営化論につきまして、いわゆる二重の負担の問題につ きまして、150ページから151ページ、152ページと記述をいたしております。 それから、「社会保険方式と税方式」ということで、税方式による場合の国庫負担の 見通しというのを155ページに掲げております。 156ページ以下、本審議会におきます「論点整理」につきまして、詳しく紹介をさせて いただいております。これが164ページまででございます。 166ページが「5つの選択肢」ということでございまして、選択肢、それの解説、いわ ゆる給付と負担を均衡させるための手法につきましての内容と解説を227ページまでいた しております。 229ページ以下、「公的年金制度のその他の課題」ということで、女性と年金問題、い わゆる第3号被保険者制度、遺族年金、世帯単位と個人単位の設計ということで、3号 被保険者の問題から、ずっと整理をいたしておりまして、本審議会におきます議論、資 料をベースにいたしまして、もう一度こういった重要課題につきまして整理をいたして おります。それが234ページまででございます。 「パートタイム労働者への厚生年金適用」ということで、パートタイム労働者の問題 が236ページから記述されてございます。 少子化の問題、先ほども御議論がございましたが、239ページから240ページにかけて 整理いたしておるところでございまして、基本的には、先ほどの有識者調査におきまし ても、こういった御議論を紹介をしながら、設問に入っていくことを想定しておるとこ ろでございます。 240ページからが「学生の国民年金適用」の問題、「年金給付と医療・福祉給付との調 整」と「障害年金」の問題。 244ページ以下は、現業関係でございまして、現業関係におきまして、地方分権推進委 員会の勧告までの議論を整理をいたしております。247ページからが「年金の国際化」で ございます。 企業年金の方でございますが、もう一度企業年金の意義とか役割の確認をいたしまし て、代行制度、支払い保証制度など、現在の課題を整理いたしております。確定拠出型 年金、企業年金基本法の議論、258ページでは、3省会議におきます企業年金に関する包 括的な基本法についての検討事項を掲げさせていただいておるところでございます。  260ページ以降、「年金積立金の自主運用の確立」の関係でございます。昨年来、本審 議会におきまして御報告させていただきました自主運用検討会の報告の関係を中心に整 理をいたしております。 266ページ以下、「諸外国の年金制度改革」ということで、世銀の改革案を中心といた しました国際的な動きを紹介をさせていただいております。 以下、268ページ、ドイツ、スウェーデン、アメリカ、イギリスその他ということで 直近の制度改正あるいは制度改正についての提言を私どもが現時点で承知しております 資料をベースに記述をさせていただいているところでございます。 以上が本編でございまして、資料編におきまして、年金制度の基礎統計ということで 国民年金、厚生年金の順に細かく実態の数字を挙げさせていただいているところでござ います。 そして、最後の方に、諸外国の関係につきましても、概要に始まりまして、これは本 審議会でもいろいろ細かいデータについて御指摘あったわけでありまして、私どもとし ても、さらに精査をしていかなければならないと思っておりますが、今回の改正におい て検討課題となっております各制度の諸外国におきます取り扱いにつきましても記述を させていただいております。 最後に、先ほど申し上げましたように、年金に関する問い合わせ先一覧というのをつ けさせていただきまして、「年金白書」全体を締めくくっておるところでございまして 私どもといたしましては、これを全国関係方面に、6,000部ほど刷りまして、配布をさせ ていただきたいと思っています。また、市販のものも数万部印刷をして刊行するという ふうに聞いておるところでございます。  以上が「年金白書」の関係でございまして、次に資料3、「公的年金における積立金 について」の資料を御説明させていただきたいと思います。「積立金保有の意義」につ いて記述をしておる資料でございますが、あわせて御報告にありますけれども、1月9 日の審議会におきまして、「年金積立金の運用の基本方針に関する研究会」をスタート させていただくというふうに申し上げたところでございますが、昨日までに、3回行っ ておるところでございます。積立金の規模につきましては、年金審議会のテーマでござ いまして、これをどう考えるかというのは御議論があるということで、これは年金審議 会で主としてお考えいただく事柄であるという話があったわけでございますが、年金積 立金の規模につきまして、仮に将来積立度合いを落とすとどうなるかということにつき まして、本審議会でもいろいろ御議論がございまして、資料を出すようにということで ございましたので、それを資料に整理してみたものでございます。  2の「現在の財政計画」のところにございますように、積立金の規模を縮小する財政 運営を行えれば、当面は保険料率を低くすることはできますけれども、最終保険料率は 高くなるというのが結論でございまして、2ページの資料は、積立度合いを1年分にす るということにした場合でございまして、38%程度に最終保険料率がなるというふうに 見込まれるところでございます。  3ページ目は、積立度合いを将来ゼロにする、いわゆる賦課法式に移行するとした場 合の最終保険料率でございまして、この場合には40%程度にすることが必要であるとい うふうに見込まれるところでございます。  以上が、年金の積立度合いに関する資料でございます。  それから、資料4でございますが、「平成10年度の年金額の改正について」というこ とで、1月の予算説明の際に、1.9%の年金額の改定を見込んでおるというふうに申し上 げましたが、1月末、平成9年の暦年の消費者物価指数が発表されまして、それに基づ きます年金額の改定を1.8%ということで確定をいたしましたのであわせて御報告をさせ ていただきたいと思っております。 それから、あと1点だけ、参考配付ということで、「平成8年度社会保険事業の概 況」ということで、既に報ぜられたところでございますけれども、資料をまとめました ものを、本日改めまして、参考配付とさせていただいているところでございます。以上 でございます。 ○会長  ありがとうございました。ただいま御説明のありました事項につきまして、御質問、 御意見などございましたら、どなたからでも御自由にお願いします。 ○A委員  「年金白書」を見せていただいて、このようなのができますと、高校生とか大学生と かに年金制度について理解させるという点で、非常にカラフルな図表とかもあるので、 すごく参考になり、サブテキストとしていいのではと思いました。  それで、概要の最初のところにもありましたように、国民的議論の素材を提供すると いう意味で、いずれゆっくり読ませていただきたいわけですけれども、いろいろな問題 が含まれていると思うわけですけれども、「年金白書」と同じように、今後、国民の合 意を形成していく上で、さらにその啓発が必要な問題について、ちょっと述べさせてい ただきたいと思います。  健やかで安心できる高齢社会というのは、高齢世帯だけではなくて、現役世代や将来 世代にとっても不可欠であるわけですけれども、そこでのキーコンセプトの1つは、世 代間で助け合っていくということだと思うんですね。そこで年金制度を考えるに当たり ましては、21世紀の高齢社会はどう変わるか。どんな社会か、家族とか地域、また雇用 環境、女性の役割などがかなり変わると思うんですけれども、それがどう変わるか。介 護、医療、雇用など高齢者の生活の具体像とあわせて年金制度を議論する必要があると 思うわけです。 健やかで安心できる高齢社会のための費用というのは、結局、社会全体としては避ける ことができない負担であるということを、世代を問わず共通に認識してもらうことが必 要だと思うんですね。その上で、社会保障と私的扶養のどのような組み合わせにするか という議論が出てくると思うんです。  年金制度では、少子化とか高齢化は非常に急速に進んでいるということで、将来世代 の負担が非常に重くなることから、これまでの世代間の助け合いを基本とした仕組みか それとも積立方式の自助による所得保障を重視するのかというのが議論になっているわ けですけれども、私は、インフレに対応できるとか、幾つかの点で長所を持っている公 的年金が機能することの社会全体としてのメリットと、世代間の負担の不公平の程度を どう考えるかというところにポイントがあると思うわけなんですね。  公的年金としての一定の給付水準は維持しながら、負担の不公平をできるだけ少なく するということが必要だと思うんですね。それと、最初に申しましたように、あわせて 介護、医療、雇用、それを含めて、高齢社会の全体像を示して、健やかで安心できる高 齢社会は、世代間で助け合っていくことが、将来の世代も含めて、社会全体としてプラ スとなるということを、やはり若い世代に理解してもらって、それで世代間の合意形成 を図っていくことが必要だというふうに思うわけですね。  健やかで安心できる高齢社会を実現するためには、公的年金が必要なことを理解して もらうためにも、やはり高齢社会の全体像をわかりやすく国民、特に若い層に伝えるメ ッセージが必要なのではないかというふうに思うわけです。  積立金につきましても、公的年金の意義をもっと国民に理解してもらうためには、た だ、市場で有利に運用するというだけではなくて、積立金が将来世代のために役立つと いうこと、それから、高齢社会の基盤整備にも役立つということ、それから、還元融資 は現役世代の子育て援助とか、高齢期の準備などにも役立つというようなことを、これ まで以上に国民に積極的にメッセージとして伝える必要があるのではないかというふう に思います。  一言、ちょっと長くなりましたけれども、意見を述べさせていただきました。 ○会長  ほかに何か御発言ございませんか。 ○D委員  この白書をつくるのは大変だったと思います。御苦労さまでした。我々もこれからハ ンドブックとして十分に活用させていただきたいと思います。  これから毎年というお話でしたけれども、これと同じものを毎年おつくりになるとす ると、また物すごく大変なような気がするんですが、ちょっと余計なことを言いますと 毎年改定しなければいけないところというのは、ぎりぎりに考え詰めてしまうと、制度 が変われば、また制度改正のところが変わると思いますが、毎年本当に変えなけれはい けないのは後ろの資料編ではないかと思うんですね。理念的なところなどを述べられた ものは、一応あるところは、場合によっては3年とかそのぐらい使えるのだとしたなら ば、むしろ資料編と分けちゃって、資料編の方はもう少しいろいろなものをつけ加えて いただいて、パンクチュアルに改定していただく。概説的なところは使えるものはその まま版を重ねていただくといったようなことがあってもいいのかなと、余計なことを申 しますが、とにかく御苦労さまでした。 ○J委員  白書の13ページなんですけど、図表1−1−1ですけど、年金受給世代のこのイメー ジ、絵なんですけど、杖をついた腰の曲がったイメージ、これはちょっとひどいと思い ますね。こういうイメージがあるから、高齢者の社会が悲惨だという、そういう受けと め方につながっていくわけで、こういう人は、今、栄養状態もよくなっているし、今、 日本に何%いるのでしょうかね。せっかく図表を出しているのは、そのイメージ形成な わけですから、わかりやすくするために、このイメージではめくちゃくちゃだと思うん です。  それから、男女がわからないようなモノセックスで描こうとされたかなと、好意的に 見ようとしているんですけど、何か男性中心のような感じがする。とにかく、高齢者の イメージがこれではひどすぎると思いますので、今後御配慮いただいた方がいい。 ○K委員  さっきA委員がおっしゃったことと関連ありますけど、年金の議論はどうしても世代 間の扶養という概念で言われますけど、私は将来、世代の中でも、高所得者と低所得者 の間の扶養関係が生じるような制度になるのではないかと思うんですね。つまり、かな り高所得で保険料もたくさん納めたけれど、自分が受け取る年金額はやや低くなるとい うふうなこともあってもいいし、それは税制でやるかどうか、それも問題ですけれど、 いろんな格好でやらないと、今の制度でいくと、人口構成が非常にいびつなものですか ら、世代間の方で、若い世代がすごく負担を負わされる。今の高齢者の人の方が非常に 有利だという考えにどうしてもなりますね。  だから、制度を徐々に徐々に変更させながら、世代の中でも相互の、同じ高齢者世代 の中でも相互に扶助するという部分がだんだん出てくると言わないといけないのではな いかなと私は思います。 ○C委員  今のK委員の議論はちょっと別な考え方も今ありまして、これからの公的年金という のは、自分が積み立てたものは、自分が積み立てた分だけ、できるだけもらえるように しなくちゃいかんという考え方も1つありまして、それはそれだけで1つ大変大きな議 論すべきテーマなんですね。完全積立方式というのは、自分が積み立てたものは必ずも らえるようにしようという考え方が基礎にありまして、自分の積み立てたものがほかの 人のところへ行くのはおかしい、それはほどほどにしようという考え方があるので、ち ょっとなかなか難しい議論だということだけをお話し申し上げておきたいと思います。 ○D委員  私はA委員の御指摘を大変感動を持って伺ったところで、同時に、K委員から言われ た世代内の助け合いという問題は、特に高齢期に入って、昔と違って、例えば定年退職 してから、実際に亡くなるまで長いですから、そこの個人差はすごく大きいわけですよ ね。早い話が「定年65歳問題」を今、労働組合の中で非常に議論していますが、とても じゃないけど、もう60になったら、仕事は勘弁してくれという人から、70になっても元 気で働ける人までの個人差というのは非常に大きくて、実際の労働市場や労働需要、職 場環境は、とてもその多様性に対応できるものになってないわけで、もっと多様性に対 応できるような工夫を相当行なうことが、逆にK委員の御指摘の世代間の助け合いとい う、つまり貢献できる人は積極的な貢献をし、そのことがちゃんと社会的にも評価され る、他方で、給付を受ける立場に身を置く人は給付を受けることが別に社会的に恥では ない。そういう新しい大変未来的な課題だろうというふうに思います。  そういう意味では、世代間の問題と同一世代間の問題は両方とも大変大事なことだと 思うんですね。それぞれが自分の努力によって蓄積したものを自分が享受するというこ とは、これは一方で自立ということを考えれば、非常に必要な観点で、自立のための努 力をいわばしない方が得するようなシステムはよくないに決まっているわけですね。だ けど、そのことは弱肉強食の議論とは抜本的に違うはずで、弱肉強食ではないような意 味で、自立を促進し、そのことが人間的な矜持だとか何だとかというものを高めて、そ れが社会的にも評価されるという、このようなメカニズムをつくるのは、今までの社会 保障や福祉論の中で非常に欠けていた点だと思いますから、未来の年金設計というのは お金がないから削ろうという話でなく、そういう未来志向型の話にぜひしたいものです  その意味で制度論を考えると、一番今大事なのは、「5つの選択肢」で扱われた給付 と負担の問題以上に、基礎年金そのもののあり方の問題なのではないでしょうか。その 点について、むしろ本審議会で、次回以降になると思いますが、かなり突っ込んだ議論 がされることを私は強く希望しておきたいと思います。 ○H委員  これは厚生省という立場を超えられませんから仕方がないといえば仕方がないのです が、税金というか、税制の問題との絡みはどうしても出てくるのだろうと思うんですね やっぱり議論をせざるを得ない問題になるのではないかなという気がします。ですから 一番基本のところで、そもそも社会保障という大きな枠組みの中で、社会保険の果たす 役割と税の果たす役割を整理しておかないと、後にまた議論が混乱してくるのではない かという気がいたしますので、一番冒頭にそれはやっておかないと。今、D委員からあ りました基礎年金の問題などについても、税のあり方論と無関係ではないと思います。 後々出てくる女性の年金権の問題も、これもまた税と無関係ではないと思いますので、 その辺は、我々としてはどうしても触れざるを得ない問題であるというふうに最初に指 摘しておきたい。 ○I委員  白書にかかわることで、お尋ねをしてみたいのですが、定額部分の単価と報酬比例部 分の乗率の年齢ごとの経過措置が今続いているはずなのですが、白書の現行制度の解説 の中に全然載せられてないように思いますが、そのことについてちょっとお聞きしてみ たい。私が見落としているのかもしれません。どこかへ出ていましたか。 ○事務局  出ています。 ○I委員  それは失礼しました。どこかへありましたか。 ○事務局  経過措置の乗率は、113ページの表で、定額部分と報酬比例部分、生年月日別にすべて 載せております。 ○I委員 どうもありがとうございました。 ○事務局 税の問題は、御指摘のように大変大事なポイントであると私どもも考えております。 何も厚生省は税をやってないから、この問題から逃げているのではないかとか、そうい うことではないわけでございまして、非常に年金と税は関連が深いということで、これ はいろいろな問題について考えなければいけない非常に重要なポイントだと思っており ます。 したがいまして、基礎年金について、国庫負担の引上げというような考え方があるわ けですが、今回の有識者調査につきましても、そういう国庫負担の引上げについてどう 思うか、あるいは全額税方式でやるというお考えもあるわけですので、こういったもの についてどう考えるか、こういった点も調査項目に加えることを考えております。 それから、お金持ちの年金カットというのがこの審議会でもしばしば御議論いただい たわけですけれども、これにつきましても、税での対応というのが非常に有力な意見と してあるわけでございまして、したがって、今回の有識者調査におきましても、そうい う税との絡みについてどう考えるか、そういった点も指摘した上で、それで、この問題 をどう考えるか、そういう聞き方をしたいということも考えておるわけです。  そういうことで、直ちに厚生省で税の問題はどうこうできる問題ではないのですけれ ども、非常に重要なポイントですし、これはこの審議会でも御議論いただきたいし、私 どもとしても必要とあれば、関係当局と御相談したいと思っております。 ○会長 皆様方のお話が、次期制度改正の基本的なあり方といいますか、問題点にわたってま いりましたが、時間もございますので、しばらく、ほかにも基本的なあり方の問題につ いて、どなたからでも御発言いただければと思います。 ○L委員 「白書」についての質問でよろしゅうございますか。 ○会長 どうぞ。 ○L委員 85ページの「企業年金等」ということに関しまして、予定利率の設定の弾力化の項と 給付水準の変更の弾力化の項があるわけですが、予定利率の弾力化について、弾力化し てよろしいということになりまして、ただし、下限については、10年ものの国債の直近 5年間の平均利回りとこういうふうにやられていますね。これはこういうふうにして予 定利率を弾力化されたわけですが、一方、給付水準の弾力化につきましては、新しく入 る人については、弾力化を一定の条件のもとに認めるということになっていますけれど も、下から5行目のところに、既に年金を受けている受給者については、原則として引 下げの対象とすべきでないと、価値判断が1つ入っているわけですが、やむを得ず存続 のために引下げざるを得ない場合……とありますけれども、この予定利率の方だけは 100%近く一定の下限がついておりますが、弾力化しておきながら、給付水準につきまし ては、引下げの対象にすべきでないということで相当規制されるわけですね。 そうしますと、長期的に金利が変動する中で、厚生年金基金の財政の健全が保たれる 保証があるのかどうか、ちょっと疑問なところがあるのですけれども、どういうお考え でしょうか。 ○事務局 これは、バブル崩壊以降、厚生年金基金が非常に財政が悪化したということで、どう 建て直すかということで研究会をつくりましていろいろ御議論いただいたわけですね。 そのときも大変議論になったところでございまして、どちらかといいますと、事業主サ イドとしては、できるだけフリーハンドで下げたいというお考えがあったわけですけれ ども、一方で受け取る立場からは、それに対して非常に強い反論といいますか、御意見 がございまして、これは随分もめたところなんですけれども、最終的に何とかこういう ことで折合いがついた。今年金をもらっている方はそれをあてにして生活を送っている わけなので、それが急に明日から下がるというのは大変なことですので、やはり基本的 には、そういう方については下げるべきではないということになったわけです。 ただ、会社が倒産して基金も解散せざるを得ないとなったら大変なことですから、そ ういう場合には引下げも、いろいろな手続きを踏んでいけば、それもできるということ で、これは労使それぞれの大変な御議論がございまして、最後に両者が歩み寄って、何 とかここでまとまったと、こういうことでございまして、何とかこういう形で、私ども もやるのが現状から見て一番妥当ではないか、こういう判断をしたわけです。 ○L委員 経緯はよくわかりますが、現時点ではそうなるのはよくわかるんですけれども、この 「白書」の中では、引下げの対象とすべきでなくてと価値判断をされておるんですね。 そうしますと、これは長期的には事業主の方は算数は合わないとこういうことになるん ですが、今のお話で、既受給者の方は当然のことなんですが、それは現在もらっている 人が法改正によって下がったりしますと、これは当てが狂うわけですね。今後、新受給 者になる人は、ある一定の公平なルールのもとに変動するのであれば、それはあらかじ めそういうつもりでいくとなりますので、その辺の議論は十分あったと思いますけれど も、いかがでしょうか。 ○事務局 これは厚生省で、今回、「年金白書」をつくるので、こういう書き方をしたのではな くて、そういう大変な議論を踏まえて、そのときの考え方をそのまま踏襲したというこ とです。 ○L委員 わかりました。 ○D委員 すいません。私、別にL委員に御説明申し上げる立場でもないんですが、実は審議会 の場だけではなくて、「連合」と日経連の間でもこの問題は大変重視をして、事務方で 幾つかの点は相当詰める議論を実はさせていただきました。場合によっては、審議会日 程そのものも両方の話がまだ整理ついてないので延ばしてもらったなんていうことも実 はございました。 そのときの考え方なんですが、厚生年金基金の特殊性というのは、公的年金を代行し ている部分が入っているということですよね。 ○L委員 それはやむを得ないです。 ○D委員  それから、2つ目は、それに上乗せされた部分は退職金をいわば横倒しをしたもので あり、退職金そのものは労働協約で1人1人の属性によって1円のところまで確定して いるものですが、さらにそれにもう一つ上乗せをされる、いわゆる第二加算と言われる ところは、これは全く企業内の福利厚生の自主的な決定の部分です。この3つの部分を それぞれ性質が違うのだというふうに私どもは考えました。  現在の既裁定者についてもう一つ考慮しなければいけないことは、その人たちが民事 訴訟に訴えたときに、明らかにこれが契約違反であるというふうな解釈が成り立ち得る ような制度を国の制度としてつくることは絶対できないと、これがもう一つの問題でご ざいます。 ○L委員  現在、すでに年金を受けている人についてはそうですね。 ○D委員  ええ。ですから、今後発生する受給者についての御指摘だと思いますが、これはここ の文章で言えば、下の方の原則として引下げの対象でないというものよりは、この上の 部分にどちらかといえば入るところになるのだと思いますが、厚生省の方がこれをどう いう文意で書かれたかわかりませんが、当時の議論を思い返しますとそういうふうに解 釈されます。それは今後の企業年金の設計の中で、私どもの立場から言えば、まず代行 部分は代行ですから、本体が変わらないときにこれが変更されるべきではないのではな いか。  もう一つは、労働協約の立場から言えば、退職金として確定されたものが、後でもっ て変更される理由はない。しかし、第2加算といわれる企業内福利厚生で使われるとこ ろは、どういう設計をしようと、それ自体は当該の労使の間で決められるべきだし、事 後的な変更というものが条項としてきちんと確認されていれば、それはさまざまなケー スがあってしかるべきではないか。こういう整理でございます。  そういう観点で、日経連さんとも当時話をさせていただき、労働側の中では、私は弱 腰ではないかという御批判もいろいろあったところです。 ○L委員  D委員がおっしゃることについては異論はございません。ちょっと厚生省のこの文章 は若干気になるところです。 ○事務局  今、L委員の御指摘の「白書」の85ページ一番下の段落の「すでに年金を受けている 受給者については、原則として引下げの対象とすべきではなく」の部分は、これは別に 厚生省の価値判断としてここに書いたわけではございませんで、今私どもから説明すれ ば本来よろしかったんでしょうが、D委員から御説明があったように、法律的に、上乗 せの部分については、いったん受給を始められた方々は「受給権」という権利が発生し ております。これは民事上の権利ですから、その権利を剥奪することはできません。原 則としては認めませんと表現しているわけです。ただ、倒れそうなときにその権利が本 当に保全されるかどうか、そこはもう一回、御本人の承諾があれば、強制的に剥奪でな くて、合意の上ですから、そこはできるということでございまして、そういうことで、 いろんな回りくどい法律上の説明をせずに、こういった表現にしたということでござい ます。 ○会長  よろしいですか。 ○L委員  また後ほどじっくり議論します。 ○B委員  私は先ほどA委員がおっしゃったようなことは極めて大事なことだと思っております が、そういう中で、年金というのは、社会保障全体の中でどういう役割を持つべきかと いうことは一度議論をしておく必要はあるのだと思っております。  もう一つは、2100年とか2060年とかいう表がいろいろ出ておりますが、実はついこの 間、平成6年に計算をしたときの表と、たまたま平成9年の1月に人口調査をやりまし たら、非常に年少人口が減少したということが、わずか3年の間に出てくるということ がありますから、長いスパンでこうなるのだということを出して、そういうことをやっ て、若い人に失望感を与えるというようなことは余りよいことではないのではないかと いう感じがいたしております。  それはあくまでも、最終的には給付と負担の問題になるし、そのことについて提起を しなければならんのでしょうが、その間における社会的な環境の変化や経済の変化は当 然あると思いますし、また、少子化になったからといって、途端に生産年齢人口が落ち 込むということではなくて、むしろ女性の社会的進出でありますとか、あるいは高齢者 のもっと多くの社会への進出があって、負担をする人がもっと増えてくる可能性もある わけです。 「5つの選択肢」というものを見ましても、そういう部分は実は要素に入っていません から、そういうものは一体どういうふうに受けとるかということもやはりございますか ら、全体的なことを見てやるためには、そんなに長い期間を見るのではなくて、むしろ ちょうどこの審議会が5年に一度財政再計算をやるわけですから、その中で考えられる 人間の知恵などはその程度のものだろうと私は思いますから、長期のことを参考として 頭におきながら、今考えられることが何かということについて、みんなでどうするかと いう議論をしていくことの方が、むしろ現実的であると私は思っております。 ○E委員  今の前後の議論とはちょっと離れてしまって申しわけないんですが、少子化への対応 の部分なんですけれども、「白書」では239ページなんですが、余り審議会でも少子化へ の対応ということを深くまで議論してきていないと思うんですが、この白書の文脈もそ うですし、今までの議論もそうなんですが、少子化への対応というのは、はっきり言わ ないながらも、少子化を防ぐというか、子供をもう少したくさん産んでもらうことにつ ながるような年金での対応はどうかという、そういう議論だと思うんですね。それにつ いては、人口問題に対して、そういうことは余り有効ではないという御意見があったと 思うんですが、そうではなくて、先ほどC委員からもあったんですが、つまり子供を産 まない人が増えてくるわけですよね。 子供を産まない人というのはどういう人かというと、次世代を持っていないわけです から、賦課方式ではなくて、積立方式を好む人々になりますよね。自分が年取ったとき に見てくれる人がいないわけですから、自分でやる。そういう意味の少子化対策という のが、年金制度として必要かどうかという意味の検討は今まで全然なされていないと思 うんですね。 だから、少子化への対応というのは、今、厚生省は子供を産む方向ばかり考えていま すけれども、社会の現実から照らして、そういう方向の議論も、そこをからめて、それ をどう考えるか、どう対策するかということも必要ではないかと思います。 ○事務局 厚生省は子供を産んでもらうことばかりを考えているというお話ですけれども、実は そういうことではないんですね。経済的に何か金をばらまいたら子供が増えてくる、そ ういう楽観的な人は余り実はいないわけでして、ここで「少子化対策」という場合に考 えているのは、子を産んで育てるというのはそれだけ大変なわけですね、経済的にもい ろいろな面で。ところが年金制度の上では、そうやって苦労して子供を育てた人も、デ ィンクスというような形で毎日楽しくやった人も同じ保険料負担、同じ給付、これは不 公平ではないかということで、やはり年金制度の上で、次世代を育てて年金を支えてく れた人に対してはそれなりの配慮が必要だし、もし、そういうことをやってない人は、 それに見合う負担をしていただくということで、実質的な公平性を確保するということ が年金制度の上で重要ではないかという意思があるわけです。 そのためには、少子化ということで、何らかの対応をしたらどうか、こういう議論な んですね。もちろんいろいろな人がいらっしゃるわけですから、そうでない人もいらっ しゃるんですけれども、そういう子育てした人としない人との負担の公平性ということ を年金制度の上で考えたらどうかと、そういう視点からこの問題を見ている人が多いと いうことでございます。 ○E委員 私、ちょっとそこがどうも、年齢によってもその受けとめ方は違うと思うんですね。 子供を持つか持たないかというような若い年齢の人は、将来、自分が年金をもらうとき のことは考えない。私の経験からいうとそういう先まで考えてないと思うんですね。 損か、得か、子供を持つと損か得かみたいな考え方というのか、それを年金制度の中に 組み込むということは、私はむしろどうかなと思うんですね。 私ぐらいの年齢になって、子育てがある程度終わってみると、子供を持っていない人 と持っている人で、同じような階層の人を比べた場合は、やっぱり子供がいる方が安心 なんですね、基本的には、自分の老後というものに関して。全然違うんですね、そこは だから子供を持っていない人は、物すごく一生懸命いろいろな制度で、貯金しようとか いろいろなことをしますよね。子供を育てたことは確かにお金もかかりましたし、貯金 も余りできませんでしたけれども、普通に育てた場合は安心、世代間扶養というような 感じがやっぱりあるんですね。 私は、今の事務局の考え方はどうかなというふうに思います。これは正直な生活をし ている者としての実感としてですね。 ○D委員 この間、運用の専門家の先生方の研究会に出させていただいたら、そこでもこんな議 論がちょびっとあったりして、私どもも中で議論はするんだけど、どうやってしていい かわからないという問題があります。ただ、幾つかお教えいただきたいことを重ね合わ せてみると、子供がいる人は次の保険料の負担者をつくったのだから、年金制度の中で その分を有利にするというのは、年金制度だけで自己完結したシステムを想定するとい う感じがするんですね。  だけど、それはそうではなくて、年金制度ではそこは特に何もないけれども、例えば 税法上、扶養家族の控除があるとか、育児面での助成措置があるとか、いろいろな方法 はそこは考えられるわけで、日本の社会保障全体のシステムの中で、例えば乳幼児につ いての医療については自己負担をゼロにするとか、さまざまなものが考えられ、全体が 1つのシステムとしてトータルに機能したときに、子育てについてディスカレッジしな いシステムであればよいのではないでしょうか。何か直接1対1で、例えば保険料に差 をつけるだとか何だとか出てくると、年金システムとしては、妙な要素を抱え込むよう な気が個人的にはするのですが。 ○K委員  私は非常に今の議論には関心がありまして、どう考えていいかもわからないんですが 今、私が考えていることは、年金財政が苦しくなったから少子化対策をやるというのは ちょっと人口政策としては目先が近すぎるということです。やっぱり子供を産みたいと いう人が相当いますから、なぜ、その人が産まないかというと、非常に教育費がかかる あるいは自分が働きたい、働きながら育てることが難しいと、そう言っているわけです から、そちらの方の児童福祉、母子福祉、あるいはもっと広い意味の家族政策というふ うな、社会保障全体の中で、そういう手を本来打つべきだったので、そっちの方から主 張していただいた方が、私はよくて、どうも年金が苦しくなってきたので、少しこっち でというのはちょっと目先が近すぎるのではないかなと、人口の専門家としては思って います。  ただ、広い意味での子育ての支援というのは非常に重要なことで、簡単に言えば、年 金財政が破たんするよりも人口が破たんしかかってきたわけで、人口構造そのものが。 だから、少なくとも合計特殊出生率2.05ぐらいのところへ戻るぐらいの家族政策は広い 意味でやってもらいたい、こういうことになります。 ○事務局 今の議論に関連して、これはこういう議論があるという御紹介をさせていただきたい と思うんですけれども、今おっしゃったのは正論だと思うんですね。つまり社会保障の 広い分野で子育て支援策を講じていくというのも全くおっしゃるとおりだと思うんです けれども、現在、財政が非常に厳しいわけです。しかも財政構造改革ということで法律 も通りましたし、毎年縮減していかなければいけない。 そういう中で、世の中をずっと見回しまして、金があるというのが年金ぐらいなんで すね。年金も将来大変なわけですけれども、何しろ積立金が130兆円あるというところに 目をつけられまして、したがって、いろいろやろうとしても金がないのではないか、唯 一やろうとしてやれるのは年金だけではないかと、そういう指摘がある。年金が非常に 期待されていると、そういう点は1つ言えるかと思います。 ○I委員 今の少子化の問題をどうするのかという問題は素人ではなかなかわかりにくいんです けど、私が1つ前々から思っていることは、我々男性も女性もまた家族という単位で考 えても、日本人全体の意識の中に子供というのが「社会の子」という発想に全然なって いない。そういうことを原点に、少子化の問題を年金とあわせて考えるとそこに要因が あるのだろうと思うんです。そういう発想が基本的にあることが大変重要なポイントの ひとつではないかと思っています。もっと「社会の子」という意識になれば、社会全体 でどうするのかということにつながるのだと思います。もう一つは、私たちの反省でも ありますが、こういう年齢になるまで企業の中に埋没して生きているわけで、それをど う意識の面で改革するのか、働き方も含めて、見直しをする時期に差しかかっているの ではないか。 もっともっと包容力のある社会をどういうように築いていくかというソフト面の方がむ しろ少子化対策にとって大事なのではないかと思います。最近は多少働き方もフレキシ ブルになってきていますけれど、要するに家庭が全く忘れられた働き方になっている。 我々労働界にとっても大変重要な反省点であるし、我々1人1人が、もっと家庭という ものに力点を置いた生活、そういうものをお互いがつくっていくという意識の改革がな い限り、この問題はなかなか前進しないのではないかと思います。企業の中においても カッコいい言い方になるかもしれませんが、女性が企業の中で位置づけられている存在 というのは、少子化を考える以前の大変つらい状況に置かれている。そのことがむしろ 切り返されて、その底流を企業の中や社会全体で新しい流れをつくっていかないと、な かなか少子化の問題は解決しないのではないかという感じがします。 ○M委員  若干、今までの議論の流れと違っているかもしれませんので申しわけありませんが、 実は昨年以来、要請のハガキをたくさん自宅にも職場にもいただいておりまして、皆さ ん御承知かと思うんですが、その中で、審議会委員として、どういう役割を果たせるの かみたいなこと、また、当然のことですが、審議会としてどういう答申を出して、その ことが全体としての年金制度の改正にどういう影響力を及ぼすのかという部分と関連す るのかと思うんですけれども、あの要請の中にある幾つかの中で、2点についてどう考 えたらいいのか。1つは、共済年金制度全体の一元化の方向の中で、閣議決定があるわ けですが、その際、共済組合の対応については、それぞれ共済組合の置かれた状況と検 討状況を踏まえて検討しますよという閣議決定があるというふうに理解しているのです が、そのことについて、どうも年金審議会で一元化の方向をさらに検討して出せば、そ の方向で、行っちゃうというんですか、そういう受けとめになっているのかどうか。こ の閣議決定をどんなふうに受けとめていけばいいのか、そして、閣議決定に対しまして 年金審議会としては、さらに一定の方向をきちんと出していけるということで理解して いいのかという部分が1つどうしてもありました。  2つ目は、基礎年金の部分についての国庫負担についても、3分の1から2分の1に という議論があります。この点も、今、事務局からもありましたが、閣議決定どころか 法律が出ちゃっているみたいな中で、なかなか見通しのつかない財政再建の目標期間は 負担の引き上げはしませんよというわけですが、財政の目標達成の期間は一体いつにな るんだと、だれでも疑問に思うわけであります。しかし、それにしましても、そうした 閣議決定の方向について、審議会の委員としても、審議会全体としても、それはそうい う方向だけでは進まないぞという言い方ができるのかどうか、というふうに思っておる 次第であります。似つかわしくない話かもしれませんが、そんなふうに受けとめたとい うことがあります。  それともう一点、今回の「白書」は大変わかりやすく勉強させてもらいます。なお、 それと関連して、225ページに国庫負担の見直し問題が出されておりますが、その一番下 に、「なお、手法では国庫負担率を変えた場合の国庫負担額の推計値を示しています」 と書いてありまして、私自身はこの年金審議会の場で、いわゆる手法に基づきます推計 値を見せてもらっておるわけでありますが、今回、この白書の中には、この推計値は入 ってないというふうに見ていいんですね。最後の部分は質問であります。 ○事務局 今、御発言の冒頭の一元化の問題につきましては、年末の「論点整理」におきまして もいろいろ御議論があったわけでございますので、今の御意見も踏まえ、私どもとして は、今後また十分本審議会におきまして、そのお取り扱いにつきまして、御検討いただ けたらと考えています。 最後の御質問でございますが、御指摘ございました225ページはいわゆる解説の部分で ございまして、いわゆる手法の本文におきましては221ページでございますが、ここに推 計値を掲載いたしておりますので、あえて、この解説の部分には掲載をしなかったとい う編集上の整理でございます。 ○M委員 わかりました。 ○F委員 今後の議論の進め方について、ちょっとお願い方々お伺いしたいんですけれども、多 分秋ぐらいに最終的な答申をまとめなければいけないことになると、月に2回やるとい うのはなかなか大変だし、そうたくさん回数がないと思うんですね。一応基本的な検討 すべき論点そのものは、前回の整理で私は出ていると思うんですが、議論を詰めなけれ ばいけないことをいろいろ考えると、いつごろどの問題が議論されるかということがあ る程度わかっていた方が、外国の出張とかいろいろありますのでありがたいんです。私 自身は前回出た「5つの選択肢」とその他の小道具のアペンディックスといってはちょ っと重要度を軽視することになるかもしれませんが、その他の組み合わせと、全体を含 めて考えてみて、大阪でやったのは非常に有益でしたけれども、特に経済学者の年金専 門にやっている人たちの中での世論というようなことも、私の商売がたきというか、同 業者といいますか、そういう人たちの目が一番私は気になるものですからね。  もう少し、5つの選択肢なら5つの選択肢、6つなら6つでもいいんですけれども、 AからEの案の中で言うと、AからDまでを選ぶか、Eを選ぶか、あるいはEのバリ エーションのE´かFを選ぶか、要するに積立方式に基本的に戻すような方式を選ぶか それが民営化なのか社会保険方式なのか、いろいろあるにしても、AからDまでの選択 とEの選択は非常に大事なところで、そこの議論の詰めを、こちらからいろいろ投げか けている。私は理論的なところで言えば、八田さんが言っておられるのに非常に共鳴す るんですけれども、ただ、政策としての現実性ということになると非常に疑問が多いの ですが、そういうことについて、八田さん以外にも八代さんなんかも既にいろいろ書い ているし、ほかにもたくさん立派な年金学者がいらっしゃるので、そういう人たちが、 我々が提起している疑問に対してどういうふうに答案を出してくれるのかということを もう少し知りたいんですよね。  ですから、大阪で公聴会をやったのだから、東京でもやってもいいのではないかとい う気もしないでもないんですけれども、いずれにしても、もう少し基本的なところの選 択のために議論を詰めていただけないかということ、今、話題になった少子化の問題も 私は基本的には第3号被保険者の扱いの問題だと思いますけれども、あるいは税制との 絡みの問題だと思いますが、あるいは物価スライドをどうするか、賃金スライドをどう するかとか、個々の問題でも相当細かく議論していくと、詰めなければいけない論点が たくさんあると思うんです。ですから、いつごろ全体の議論のスケジュールが我々に示 されるのか、展望をもし可能ならば、与えていただけると好都合なんですが。 ○事務局  実は、私ども一巡の御議論をいただきまして、これから二巡目の議論に資するいろい ろな議論の整理を今させていただいているところでございまして、私どもといたしまし ても、できるだけ早く委員御指摘の具体的なたたき台につきまして御議論いただきたい というふうに考えておりますが、本日の審議会の御議論を聞かせていただきましても、 女性と年金の問題、少子化の問題、一元化の問題でございますとか、幾つかの重要課題 がございますので、できるだけ早く整理をさせていただきまして、本審議会における御 審議をお願いしたいと考えておりますし、また、そのスケジュールにつきましても、目 途というのはございますので、もう少しお時間をいただきまして、私ども幅広に御議論 いただくように努力はさせていただきたい、こんなふうに考えております。 ○J委員  関連質問ですが、今後の進め方に関して、状況は今御説明いただいたんですけれども 基本的な問題についてというのは、きょうもいろんな御意見が出ていますが、そういう 御意見は多少のバリエーションはありますが、去年からずっと私たちは意見を出し合っ てきたところなんです。表現は違っても同じようなことがたびたび出てくるわけです。 むだとは言いませんけれども、何度か議論を繰り返している中で、私たちは意識を高め てより理解を深めるわけですから、それは重要なことだと思いますが、今後の日程を考 えますと、余りこういう議論を繰り返しているということは、あとで大変なことになる と思いますので、F委員がおっしゃったように、できるだけ我々の議論をどういうふう にまとめていくかというスケジュールをぜひ知りたいんです。  そのまとめる場合に、論点ごとに、何月何日にやって、それで一応終了という形にす るのか、あるいは特定の論点についての議論をする場合に、こういうふうな形で意見を 出し合って、何らかの調整をそこでしていくのか、その方法をどうお考えになっていら っしゃるのか。それはある程度のアイディアはおありじゃないかと思いますが、お聞か せいただけませんでしょうか。 ○事務局  率直に申し上げますと、前回(平成6年)の改正は、大方針というのが月収の30%以 内に保険料を抑制するのだと、その範囲内で給付を収まるようにするのだと、これが一 番大きな基本的な骨格だったわけですね。したがいまして、私どもとしては、そういう 一番の次期制度改正の大枠の議論をやっていただいて、ある程度審議会としてのコンセ ンサスが得られたあとに、そういう流れに沿って、支給開始年齢をどうするか、スライ ドをどうするのか、あるいは女性の年金をどうするのかという個別の御議論をしていた だくというのが流れとしては一番スムーズではないかと思うんです。ただ、現実にそう いう御議論ができるかどうかといったら、これはまたなかなかいろいろ問題もあるので はないかと思いますので、そこが非常に理想と現実のギャップがあるわけですけれども そういう大枠の議論を念頭に置きながら、次回以降、個別の問題について御議論をいた だく、そういう進め方しか実際問題としてはとりえないんじゃないかという感じはいた しております。  それで、今後のスケジュールにつきましては、私どもの方でたたき台みたいなのを考 えて、また皆さん方の御意見を個別にお伺いするとか、せっかくそういうスケジュール を示せというお話でございますので、できるだけそういう声に応えられるように努力し たいと思っています。 ○会長  今の問題、よろしゅうございますか。あと、やや事務的な案件が若干ございます。 1つは、この審議会の公開について議論がございましたので、事務局から報告を受けた いと思います。 ○事務局  今、会長から御指摘がございました事柄につきまして、昨年5月審議会が、今回の改 正について御議論を始められます際に、議事は公開にしないけれども、議事録を匿名で 公開するということを御決定いただきまして、その御決定に従いまして、現在取り扱っ てきておるところでございます。  今回、プレスの方から、審議会の公開について要請がございまして、各委員の御感触 をお伺いいたしましたところ、自由な発言を確保する等のために、現在の取り扱いのま までよいとする御意見の方が多かったように思いますので、これまでどおりの取り扱い とさせていただいてどうかと考えております。  なお、議事録の作成につきまして、現状、若干日時を要しておりますので、議事内容 の公開を早めるために、新たに議事要旨というものを作成をいたしまして、早期に公表 することとさせていただいてはどうかと、あわせて御提案させていただきたいと思いま す。 ○会長  そういうことでよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  今の議事要旨でございますが、1月9日と、1月20日の全員懇談会の議事要旨をお手 元に配付してございますが、このとおり確定してよろしゅうございましょうか。皆様方 に全部原稿をお送りしてごらんいただいていると思います。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、そのようにさせていただきます。  それから、3番目は、本日の資料でございますが、これはすべて今までと同じように 公開することとしたいと考えますが、よろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり) ○会長  それでは、そのようにさせていただきます。今後の日程でございますが、事務局から 確認をお願いいたします。 ○事務局  既に3月の日程につきまして、御決定いただいていますので確認をさせていただきま す。次回は3月6日(金曜日)午後3時からでございます。次々回でございますが、3 月18日(水曜日)午前10時からお願いをしたいと思っています。  それから、恐縮でございますが、本日新たに4月の日程につきましてお願いをさせて いただきたいと思います。4月7日(火曜日)と23日(木曜日)、いずれも午後3時か らお願いをしたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いします。 ○会長  忙しくなってまいりますが、よろしくお願いします。  本日はこれで閉会したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  どうも長時間御苦労さまでございました。                                                               年金局 企画課                                須田(3316)