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第8回厚生年金基金の資産運用に係る
受託者責任ガイドライン研究会(議事要旨)


1 日時 平成9年3月25日(火) 13時30分〜16時
2 場所 全社協・灘尾ホール 第2会議室
3 参加委員  ・神田委員 ・小林(廉)委員 ・小林(昭)委員 ・鈴木委員
・角田委員 ・青木委員 ・遠藤委員 ・宗委員 ・柿沼委員
・土浪委員 ・渡辺委員 ・伊勢谷委員 ・角田委員 ・霜鳥委員
・矢野局長 ・松本審議官 ・坂本室長

4 議事要旨

○ 11頁の(1)の中で、「信用リスク」を「財産的基礎」と修正しているが、財産的基礎では一般的になじみがなく、(注)を付けなければわかりにくい。信用リスクのままで良いのではないか。
○ 財政とか財務状況とか適当な言葉がないだろうか。
○ 信用力、財産的基礎につき、と例示的に並べてみてはどうか。信用力という言葉の方が、信用リスクよりは柔らかい。財産的基礎ではガイドラインとしてイメージがわかない。
○ ガイドラインに書いたままの言葉で聞くというわけではなく、適切な聞き方で説明を求めるという意味であり、信用力とさせていただきたい。
○ 2頁の(2)に「基金関係者と受託機関は、 … 法令等の考え方や内容の整合性を図るべきである。」とあるが、これは行政(国)がやることではないか。
○ これは、もちろん国がやることという意味である。
○ 17頁の2つ目の○に「 … 評価を行う場合には、運用受託機関等の関係者である委員が審議に加わることは適当でない。」とあるが、信託銀行を母体とする基金の場合、審議に加わることができる委員がいなくなってしまう。例外規定を入れていただかないと具合が悪い。
○ 受託機関の関係者として加わるか、母体の関係者として加わるかということで区別してほしい。
○ 解釈で、母体である信託銀行の役職員は、ここでいう関係者には含まれないということでいきたい。
○ 17頁の3つ目の○の「 … 意思決定はあくまで理事会で行う」について、理事は厚年法上の機関であるから、意思決定機関を理事会でやるか、理事がやるかは基金が決めるべきものではないか。理事会は単なる理事の集まりであるので、通知でもそうなっているが、理事会とするのはおかしいのではないか。
○ 厚年法でも「理事の過半数により決し … 」とあり、理事会という言葉はないが、意思決定は理事会で議決により行うこととなっている。
○ 理事と書くよりは、法令の趣旨からいうと、理事会と書いたほうが良い。
○ 10頁の(契約上の義務の違反)について、「 … 責任を問わなければならない。」とあり、修文では「基金の資産に損害が生じ」を消しているが、義務規定になっているので、相当の理論的なものを追求しなくても、損害が生じたら責任を追及するという方が良いのではないか。忠実義務違反があったら訴求しろと言うのでは、考え方は正しいと思うが義務規定では実体論として基金にとっては大変ではないかと思う。
○ どこまで法律的に書くかという問題であるが、法律的には「基金の資産に損害が生じ」があった方が良い。当然、損害がなければ損害賠償はできない。しかし契約解除はできる。あまり法律的に細かく書くよりも、法律的には不正確にはなるが精神を書き、理事は契約違反がある場合にはその違反を問いなさいというようなもののほうが、ガイドラインとしては分かり易いのではないかと思う。同じ趣旨のことが全ての受託について書いてある。忠実義務とは違う。
○ 14頁のイについて、現在は自家運用は連合会しか行っていないので問題ないが、例えば、総合型の基金が自家運用する場合、たくさんの事業主と関係のある社債が買えないという問題がある。アに「緊密な」と入れているのだから、イにも入れてはどうか。
○ 総合型かどうかという問題は、基金と事業主との緊密性を問題にしなければならないから、アで書いてあるような表現では解決できるものではない。
○ a、b、cの条件をクリアすれば、買ってはいけないということではないのではないか。
○ もちろんそうである。総合型の場合でも、事業主の社債を買う場合にはa、b、cの手続きを踏めということが、現在の忠実義務の解釈として求められているかということで、やれないからやれるようにしてくれというのは、筋の悪い議論である。ご指摘は、総合型の場合には、事業主である1企業の発行する社債をa、b、cの手続き抜きに買ったからといって、直ちに忠実義務違反の恐れが生じるかということについて、確かに一理ある。現在はまだ事例がないことなので、a、b、cの手続きを踏んでもらうということにしたい。
ただし、「事業主と資本又は人的関係のある会社」の部分については「緊密な」と入れる手はある。「事業主」については、bしか問題にならない。特別に事業主に有利な価格で購入するというのはいけない。bで、普通の価格で購入することを理事会で確認しなさいということに、また、「緊密な」を入れることにしたい。この関連で、12頁の「親密な」を「緊密な」に統一させていただきたい。
○ 15頁(2)の3つ目の○で、「 … 理事長等の反対意見が会議録に … 責任を問われる可能性がある。」とあるが、この場合、理事長等はどうしたら良いのか。
○ 文章がわかりにくいかもしれないが、仮に、多数意見がA、理事長が反対でBであった場合、議事録には留められても、多数決結果はAである。普通の考え方であれば、理事長は決まったことを執行するのが役割なので、自分が反対意見だからといってAという行動の執行を拒むことは本来はできない。その話とは違って、ここではあくまでAの執行が善管注意義務または忠実義務に違反する場合である。例としては、会社の役員会において、総会屋に金を渡すことが過半数により議決されたからといって、それを実行すれば、当然会社法違反となり、責任を問われることになる。理事長がいくら正論であるBを主張していても、違反行為であるAを実行したら当然責任を問われるということである。理事長はその執行を拒まなければならない。あるいはやめるという選択肢もあると思うが。ご指摘の点の危惧はないと思う。
○ 9頁の(注)について、合同運用の生命保険契約についてだけで良いのか。合同口なら信託は良いのだろうか。逆に言えば、合同口の信託には基本方針を提示しなければならないということであるが、生命保険にはなぜ提示しなくても良いのか。
○ 現在の制度では、年金以外の金も入っているので、基本方針を示されても、生保側からするとどうしようもないことである。
○ 第一特約の新商品については資産別だから基本方針を示す必要があるのではないか。
○ 現行政令上では、生保の合同運用商品である一般勘定と第一特約だけが運用基本方針を提出する必要がないとなっている。
○ 一般勘定に限定して、第一特約については運用基本方針を提出するということは可能なのか。
○ 信託については、信託自体が基金の意向を受けて配分を決めるのであって、債券等の個々についてどうしろといっているわけではない。生保の新第一特約については、割合を決めてくださいといっているので、投資対象資産自体については決められない。
○ 法律的にはいくつかの論点があり、生保、信託が守れるかどうかには関係なく基本方針を示すというやり方もあるが、守れないものを提示しても仕方ない。提示したらどうですかというのでは、あまり一般的であるということで限定している。
○ 法令上の整理としては、信託の場合には単独運用を原則としており、生保の場合には、合同運用を原則としている。
○ 意見であるが、今回修文されたところで、「各契約の特性を踏まえて」とあるが、これは具体的には生保が絶対認可商品になっていて、単一契約しか認めないということを示していると思う。今のところも、生保については2つも(注)があり、法理論ではないが、基金側から見れば少なくとも受託者責任を遂行しようとしても不整合があるということである。「各契約の特性を踏まえて」を削るのは難しいので、そこはそれで良いが、2頁の中段の「 … 本ガイドラインどおりに基金の理事が行動しようとすると、 … 各業法等の法令に抵触する場合も … 」というのは、そもそもおかしい。受託者責任を全うしようとしたら法令に触れた、その場合には常に法令を優先させるというのではおかしい。受託者責任を明確化するような方向での整合性を示すべきではないか。あるいは、報告書としては、基金の加入員の利益を第一に考えたものにしたらどうか。
○ 今指摘されたコメントは、先程の「損害が生じた場合には」と同じ話で、法律論として正確に言うと優先というのは出てこない。こちらが忠実義務を履行するという話と、例えば、保険業法に違反したことを要求した場合、生命保険会社としてはやれないことはやれないというそれだけのことである。基金側から見れば、生保はそういう商品であり、信託はある種の商品であり、どの商品を利用すれば最も加入員のためになるかというだけで、そういう意味で業法等を優先させるという表現は厳密にいえばミスリーディングである。これはあくまで全国の基金の理事の方々に示すガイドラインである。法律に厳密に書くと、忠実義務を果たすために、受託に対して業法に違反したことまでも言い張らなければ義務を果たさないことになるのではないかと誤解される可能性がある。そういうことで、表現はやや問題があるかもしれないが、法律が優先するという言い方になっている。
○ 2頁のなお書きについてであるが、制度論を言った方が良い。そもそも受託者責任を全うできない商品を使うこと自体が受託者責任違反である。そういう商品を基金のために変えるべきであるということは制度論としては言える。
○ 保険を変えるべきでだというのは、直ちには出てこない。
○ 基金で非常に問題となっていることはそういうことである。前にここで2.5%の話があり、私は良いのではないかと言ったが、そういう類の話の全てが認可商品であるので仕方がないということで終わってしまう。本当に加入員のためということを考えるとどうなのかと思う。方向性を示し、生保が変わって行くべきではないか。
○ 具体的には、契約を自由にしてほしい。一般的に、この商品は統一的な契約でなければ売らないというのは、基金側から見ればやめてほしい。
○ 運用先というのは、世の中一般としてたくさんある。銀行から始まり信託、生保という形態をとっているものもある。例えば、銀行に預金保険制度がないとした場合に、制度論として、銀行預金には年金の相手をするために預金保険制度を付けるべきだという要望をすべきだというように聞こえるが、2頁で現在要望している事柄とは質が違う。預金保険制度が付いている預金と付いていない預金とは、そういうものとして基金がどのように振り分けて利用するかという問題である。生保の中にも付合契約性が強いものがあるのかもしれないが、そういう生保を基金側としてはどのように使うかという判断である。そのことと、契約上生保が保険契約なので何の善管注意義務も負いませんというのはおかしいから、およそ生保という契約形態を問題とするというのは、言ってみれば銀行預金制度を再検討しろという要望をするようなもので、質が違うと思う。
○ 受託者責任を何のために確立するかといえば、加入員のためであり、また、基金は生保、信託、投資顧問しか運用を任せられないのだから、独占しているようなものである。そうであれば、基金に応じて変わっていかなければならない。
○ 基金から言わせればそうであるが、生保から言わせれば基金が生保を理解しなければならないということになる。それは、立場の問題である。生保の立場から、変わっていかなければいけないとは言えない。信託、あるいは銀行預金でも同じである。
○ 2頁の(1)で客観的にみると、現行法制の整備を行うべきという表現があり、かなり踏み込んだ表現になっていると思う。
○ 表現を確定するために最初に指摘された9頁の(注)の部分に戻るが、合同運用を取るとまずいのか。
○ 第二特約は基本方針を示さなければならないこととなっている。しかし、生保の一般勘定と第一特約は合同運用であることから法令により除外している。
○ そうすると、(注)については原案のとおりで良いのではないか。第一特約であっても、合同運用なので基本方針を示しても意味がないので、現行のままの取扱いをせざるを得ないのではないか。
○ 第一特約が4月から商品別で、信託が行うのと全く同じ種類のものが発売される。選択するかどうかは基金の判断であるが、総合口がバランス型であり、株式口とか外貨建て口にも運用の指示ができる。
○ 例えば、第一特約の外貨建て口で外株100%の運用ができる。この場合はどうか。また、評価をしなければならない。合同運用だということで生保の第一特約を最初から除いてしまって良いのか。
○ 生保の場合は入口から合同である。信託の場合には入口は単独で、二重信託というか、その先は合同である。信託は入口が単独なだけに運用方針を示すことができる。これに対し、生保は入口から合同であるため、運用方針を示されても信託の場合とは意味が違ってくる。当面はこのまま様子を見て、4月1日以降、運用方針を示すほうが実務的に望ましいという場合には、またガイドラインを見直すなどして、対応を考えることにしたい。
○ 1頁の「プルーデントマンルール」を「受託者責任に関するルール」に変えたことにより、「健全な裁量 … 」は「プルーデントマンルール」、狭い意味の注意義務に対する説明だと思うので、受託者責任をいうのであれば、受給者の利益を図るなどのことをいう必要があるのではないか。つまり、狭い意味での忠実義務に対する説明をここに入れたほうが良いのではないか。
13頁の「忠実義務違反」という言葉について、善管注意義務と忠実義務を並記している中で、なぜ、ここだけ忠実義務違反と書いているのか。何か特別な意図があるのか。14頁の(3)については単に義務と書いているが、ここも上に合わせて忠実義務と読めるのではないか。
○ 13頁の「忠実義務違反」については、もともとは利益相反と書いていたが、ここでは忠実義務違反という言葉を使ってもらいたい。特別な意味はないが、忠実義務と善管注意義務の異質説をとっても、中に含まれるという説をとっても、どちらの説にしてもここでは忠実義務違反の問題である。ご指摘の(3)については忠実義務と書いたほうが表現は統一できるが、ただ義務と書いても間違いではなく、軽く書いているというだけである。
問題は、利益相反と書いてはなぜいけないかということだが、利益相反は常にあることである。例えば、地下鉄の社長がその地下鉄に乗る場合、直接取引と称して利益相反となる。なぜなら、売り手はできるだけ高く売ろうとし、買い手はできるだけ安く買おうとするので、会社と社長の間で取引があれば、常に利益相反がある。ただし、利益相反がある場合に全て忠実義務違反となるかは法政策上の問題であり、商法の場合には原則として忠実義務違反となるが、取締役会の決議を得ればやっても良いが、その場合に生じた損害については無過失に賠償せよというルールになっている。例外として判例や解釈で、地下鉄の社長が切符を買って乗るのであれば、他の人と同じことなので良いということになる。この場合には、利益相反はあるものの忠実義務違反はないということになる。現在の法令の取扱いは、1つには上の禁止行為というのは、こういう利益相反行為は忠実義務違反の恐れが極めて高いという政策的判断に立って、一律に禁止している。法律が禁止していないような利益相反行為とは何であるかというと、現在に法令の解釈として、次のような状況でやると忠実義務違反になる恐れがあるということとなる。それでこういう書き方をしている。利益相反の恐れというのも、非法律的な表現であればそれで良いのだが、ここは法律的に書いたほうが良いと思い、忠実義務違反とした。そういう意味でいくと、12頁の(1)については、法令上の禁止行為としたほうが良いかもしれない。
○ 1点目についてであるが、最初の部分については厚生年金基金制度研究会の文章を引用して書いており、資産運用をいかに効率的なものにするかという観点から書かれたものであるので、プルーデントマンルールと書きたかったわけだが、今回、受給権保護等の話が強く出てきているので、このような表現とした。資産運用の効率性だけでなく少し広げた形で書き直しているわけであるが。
プルーデントマンルールというのは狭い受託者責任のことなので、最初のほうに資産運用の効率性だけでなく、受給権保護等の言葉を入れてみてはどうか。
○ 10頁の(注)の「情報の内容によっては、 … 適当な場合がある。」とあるが、「情報の内容によっては」というのは具体的にはどういう場合を想定しているのか。
○ 投資顧問会社に運用を委託している場合、数値的データ等を信託に直接問い合わせることもあるのではないかという指摘もあったので入れた。
○ 投資顧問に運用を委託しているにもかかわらず、直接実際に運用している信託銀行に問い合わせをされるのは好ましくない。そうした場合は、運用受託機関に通知の上とか、運用受託機関を通じ、というふうに書いてはどうか。
○ しかし、実際やるときはそうするのであって、もっと法律的に書くのであれば、受託機関を通じという表現で良いと思うが、ガイドラインとしては、そこまで書けないのではないか。受託機関ではわからないこともあるので、そういうことについては管理機関に聞きなさいという趣旨で、直接聞く場合もあるかもしれないということである。
○ 8頁の5:3:3:2規制について書いてある部分についてであるが、現在5:3:3:2規制がある以上、それを守るべきであるというくだりが必要ではないか。いずれ撤廃されるかもしれないが、運用関係者の役割と責任という観点から守るべき義務があるのではないか。運用基本方針の中の資産構成割合ということで書いてあるが、その前に運用責任者という立場から、基本的な留意事項としてそのようなくだりが必要ではないか。
○ 現在の文章では「資産配分規制の範囲内において」という表現は、資産配分規制を守らなければならないという意味を含んでいる。これはそれより先のことだけを書いているような文章なので、これとは別に5:3:3:2規制の適用がある基金はそれを守りなさいという文章を表現として書いたほうが良いのかもしれない。ただ、1行目の資産配分規制のあとにカッコ書きで5:3:3:2規制と入るので、「資産配分規制の範囲内で」という表現で読めるのではないか。
○ 資産管理機関についての「各契約の特性を踏まえ」というのはどういう意味か。運用受託機関に関しては、善管注意義務の内容が信託、生保の各契約によって異なるのでその辺を明確にしておきたいという趣旨であると言っていたが、説明してほしい。
○ 運用受託機関の対象となるのは、信託、生保、投資顧問。資産管理機関として想定しているのは、信託銀行、生命保険会社である。生保について基金側からみれば資産管理機関という位置付けだろうということで、生命保険契約、信託契約の特性を踏まえてという趣旨で書いている。
○ 確かに、生命保険契約についてはぴったりしない。抽象論だけいえば、例えば、外国ではどうしているかというと、独立したカストディに出している場合を念頭に置くと、「契約の特性に応じて」というのは、信託契約であれば信託契約であるし、独立したカストディに出していれば委任契約ということになると、信託契約の場合は分別管理は信託法28条で当然義務となるが、委任の場合には義務ではないので分別管理義務を課さなければならない。いずれにしろ、「各契約の特性に応じて」というのはそういう趣旨なので、不要と言えば不要かもしれないが、運用受託機関のほうで入れたのでここでも入れている。
○ 議決権の行使については、12頁で削除で、要望に書くとなっているが、3頁の(3)に書き替える。
○ 読み方により意味が二通りにとれる文章がある。例えば、生保あるいは信託に対する基本方針や、信用力についての部分であるが、これらについて、注釈を付け加えたほうが良いのではないか。例えば、別添にするという方法もあると思うが。
○ 注釈については、(注)を入れて文章が見苦しくなっている部分もあるが、厳密にいえば、ほとんど全てについて注を入れていかなければわからないかもしれない。ただ、そうした場合、ガイドラインとしてはきたないものになってしまう。このガイドライン解釈のための方法を検討したいと思う。
○ 行政サイドとしては、このガイドラインを中心にした、既存の通知の手直し作業を主体としてやっていく。これに加えて、細かい点について書いたものをできるだけ早く作りたいと思う。
○ ガイドラインは既存の通知の整理・統合という面も合わせ持つことになるので、そういうものの解釈として行政側で解説書を作るときには、この研究会での議論も十分に尊重してもらい、そういう解説を早く出してもらいたい。
○ 5頁にガイドラインと法令に競合があるときとあり、これについては2頁にまず書いてあるが、この話はそもそもおかしい気がする。方向として加入員の利益を守るための受託者責任を追求した結果、業法にぶつかるというのは格好の良い話ではない。最初の部分でこう書いてあるのは研究会としての考えで、ガイドラインとしてはそこに触れないということは考えられないか。それが無理であれば、5頁の「 … 当該法令が優先されるべきである」という表現は、「優先されるものである」としたほうが良いのではないか。また、報告書の最初で触れていることなので、ことさら後ろで触れることはないのではないか。
○ これは重要な指摘である。先程申し上げたが、特に良くわかっている方にとっては良くない書き方だと思う。もともとこれを入れたのは、基金の理事は受託機関の業法を知らないであろうし、また、知っている必要もないのだが、ガイドラインどおりに行動しなければならないと考え、受託機関との間に無用のトラブルが生じる恐れがあるとの指摘を受けてである。そのようなトラブルを未然に防ぐための教育的な文章であるので、表現が良くないのはわかっているのだが。
○ 案としては、2頁については「 … その場合には、法令が優先する」と、5頁については「 … 当該法令が優先する」としてはどうか。個人的には、本当はこの文章は入れたくないのであるが、指摘を受けたように、基金の理事がまじめにやり過ぎて無用のトラブルが生じるのは良くないと思うので、これでどうか。ここにいる方にはもちろん必要のないものだと思うが。
○ 17頁の「会議録等の作成・保存」についてであるが、「理事会の会議録」と「代議員会の会議録」の中味は同じであるが、表現が異なっている。表現の統一ができないものか。また、「 … とどめておくことが望ましい」とあるが、会議録・議事録は作成しなければならないものであり、「 … 望ましい」という表現は不適切ではないか。
○ 17頁の「会議録等の作成・保存」については、原案ではもともと「 … とどめておくこと」となっていたが、この表現の意味するところが、「べき」なのかあるいは「望ましい」なのかとの指摘があり、善管注意義務から、しないと義務違反だということまではいえないということで、消去法で「望ましい」とした。しかし、かえってもとの表現のほうが良かったということになってしまった。
○ 原案の体言止めの気持ちは、「しなければならない」に近い意味である。
○ ただ、このガイドラインは最初の定義が厳格であるから、「しなければならない」という表現の場合、しないと法令違反・善管注意義務違反を生じる恐れがあるということをいっているわけである。気持ちは「しなければならない」であるが、ここで善管注意義務違反を直ちに生じるという解釈論は、裁判所がこのガイドラインを参考とした場合、おかしいと言われかねない。体言止めというのは、「しなければならない」ではないけれども「しなければならない」の意味も持つ表現のつもりで書いていたのであるが。確かに、ご指摘のとおり「望ましい」では意味が弱い。


[問い合わせ先]
 厚生省年金局運用指導課
 担当 伊藤(内3348)
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