平成８年１２月１２日

第５回厚生年金基金の資産運用に係る受託者責任ガイドライン研究会（議事要旨）

• 「受託者責任履行を確保するために」ということのみに絞って二つあげてみたが、本来は、基金の目的の認識をどうするかとか、ガイドラインの主旨を書いたり、目的達成のための基金関係者の業務、役割分担、責任などがあって、受託者責任履行の確保として資産運用委員会の設置等があり、最後に「情報開示」のことが一番大事なことと思う。
• 情報開示の内容についても、受給権保護の観点からいえば、財政の状況をもう少し詳しく加入員や受給者に案内する必要があるのではないか。
• 従来は、貸借対照表や損益計算書が出ているが、大体簿価ベースで出ているので本当の内容がよくわからない。また、積立水準等はほとんど加入員へ示されてないので、これらの状況で指定年金数理人が言っていることを加入員や受給者へ案内する。
• 各運用機関ごとのパフォーマンス等は、あまり問題はなかろうと感じている。
• 全体で運用結果がこうなっている、とか資産運用委員会の中でこういう議論をしている、というようなことを説明する必要があると考えている。
• また、「株主権行使」の問題を思っている。この場合、個々の基金のお金で直接買っている資産と、合同口でやっている場合、特に直接投資で基金のお金で買っているような場合に、株主権についてもう少し意思表示を理事の責任で言うべきではないか。
  ただ、信託の合同口というのは、投資信託のようなものなので、そこをどのように対応するか、という検討は必要と考える。
• ガイドラインは、その性格や、現状の制約をふまえた５Ｗ１Ｈに沿って作ってはどうか。
• 「受託者責任」の対象では、誰がどういう場合に受託者責任を負うのか、ということを明確にすればいいのではないか。
• 一つは、資産運用のプロセスには「議決権の行使も入る」ということを明確化する、というのはどうか。
• 結果責任ではないということを明確にする。つまりプロセスに対する責任であり、それに伴い、結果は良くても、責任が問われる可能性もある。
• 責任遂行の程度というのは、相対的なものであろう。例えば、分散投資するにも、株式なら、４銘柄ならいいが３銘柄ならダメ、という絶対的なものは難しいのではないか。
• 例えば、生命保険の一般勘定というものが、受託者責任をとれない商品だとすれば、それに１００％任せるというのは、受託者責任を遂行できるのか、あるいは、例えば外国で決済関係等がまだ未発達のような所へ証券投資するというようなことでは、最終的に責任がとれないであろうということもあって、そういうものはあらかじめ排除しておく必要があるのではないか。
• 利害関係者の取引も、米国では禁止されており、ここでのイメージとしては、ガイドラインという性格もあるが、基本的に正当性を説明できる根拠が用意されていれば、利害関係者間の取引でもいい。
  ただし、事後的に責任を追求された時に、その根拠が明示的かどうか、あるいは、合理的かどうかというのは当然ながら判断される、と考えてはどうか。
• 規制緩和が進み、サービスの対価が変わってくるということも踏まえて、運用に伴う取り引きコストへの注意を払う義務もある程度明確にしておく必要があるのではないか。
• 「資産の保全」「より実務的に役立つもの（例えばチェックリストのようなもの）」との二つの観点を盛り込んでいただきたい。
• 「資産の保全」については、元本リスクに直結する問題でもあり、是非この点は、考えていただきたい。
• 資産の保全の場合、基金がカストデイーのところに出かけて行き、チェックするというイメージか。
• 例えば、運用機関、資産管理機関を選定する際、あるいは選定した後に、ルーテイーンのチェックを基金サイドからかける際のポイントを具体的な項目として例示し、それをチェックリストとするというイメージで考えている。
• 法律的な問題があるかどうかは別として、資産の保全がしっかりされいるかどうかの確認をしてから委託する、というイメージかと思う。
• 「基金の義務」「理事の権限と責任・義務」「監事の責任・義務」「事業主の責任・義務」「運用機関の責任・義務」「年金数理人の責任・義務」「コンサルタントの責任・義務」に亘り、基本的にはこの研究会の対象は、資産運用に関わる者というようなことですが、基金として財政の問題にも触れてから、運用の問題に入っていくことが大事ではないかと考える。
• その意味からも、基金の、まず注意義務を果たしていく上で、財政の問題も資産運用との関係の中でとらえていく必要があるのではないか。
• この資産運用に係る受託者責任ガイドライン研究会で、できるだけ、基金・受託者の責任というものを可能な限り、網羅していただくということと、その関係の中で、運用機関・年金数理人・コンサルタントの責任も、より明確にしていく必要があるのではないか。
• 基本的な事項は、この研究会である程度方向性を策定していく必要がある。
• 具体的な内容の中に、更に各論をつめて、各基金や関係者に責任、受託者責任ということのコンセンサス、周知啓蒙がされていく、と考える。
• 基金の自己責任という問題について、とにかく逃げずに当事者意識を持って対応するのが基本であると考える。
• その関連として、どのようなものが現在の法令等であるかということは、ガイドラインを作る際、終わりの方に、まとめて体系的に記載する必要はあると思うが、条文で書くより、認識を徹底することが基本的なことと考える。
• 財政運営についても、具体的に「こういうものが望ましい」というものは盛り込んだ方がいいと考える。
• 情報の開示については、相手により理解度が異なるため、ただ詳しい情報を流せばいい、というのではなく、相手のレベルに応じたわかりやすい情報を提供する、ということを心掛けることが必要と考える。
• 基金により状況が異なるため、それを考慮しながら進める必要があると考える。
• 基金の運用に関し、母体財務の方はよく発言をされるが、そういった方をそのまま基金の理事にし、受託者とはっきり位置づけてしまってはどうか。
• 理事を対象にしているということになると、１，８００以上の基金が有るわけだから、当然解り易いものでなければならない。
• 非常勤理事と常勤理事の責任分担の違いにも触れていただければ、基金の立場からすれば非常にわかりやすいガイドラインになるのではないか、と考える。
• 忠実義務というものが、外見的に簡単に規定できるのか、という点をつめるべきではないか。
• 株式持ち合いの中でどうなるのかがよくわからないので、そこも検討していってはどうか。
• 理事会がイギリスのトラステイーなどのように実質的に担うという形の重みをはっきり明示した方がいいのではないか。
• 理事会の理事のメンバーの中には理事長、常務理事、執行理事と、それぞれ重みを持っているわけだが、逆に言うと一体誰が主たる責任者なのかがわかりにくい。ということで、「ここは、全体責任である」とした方がいいと思うが、そういったことは盛り込めないか。
• 資産運用委員会の位置づけやその構成メンバーについては、専門性を必要とするためイギリスの例のように専門家が入ってくるということもあり得る、というようなこともいいのではないか。
• 基金の責任に関しては、いくつかあると思うが、受給権の確保に対するものがある。その受給権確保にもレベルがいくつかあり、既発生の受給権を最低限守る、ということと将来の給付を順調にこなしていくための制度運営という部分と、いくつか色分けがあっていいのかな、と思う。後者については、適正な資産運用計画が立てられ、適正な掛け金計算や継続基準積立金などが維持されていなければいけない、ということになる。
• 情報開示義務がある、ということを盛り込まねばならない。
• 基金と母体企業との関係についても、拠出に関して企業母体として責任を持つ人が参加すべき、ということがあってもいいと思う。
• 同時に、そういう人が、その基金の決定時に関して、企業母体の利益を優先させるということがない、ということも言っておく必要がある。
• 基金が、外部の専門的な協力者を使うということについては、その方が適正である場合には、そうしなければならないし、そうする権利がある。
• 専門家に何を期待しているのかは、ある程度明らかにしておく必要がある。
• 委託に関しても、複数の機能が委託されるときは、利益相反行為がそこの間で起こるということもあるので、それについても言及する必要があるのではないか。
• 運用に関する責任の具体的内容を記述せねば、責任ということが非常に抽象的になってしまう。まず、運用結果そのものに対する責任が問われるものではないということは、はっきりさせるべき。
  また、安全確実な運用をすることで逆に財政運営が不健全になってしまうということのリスクについて、責任を負う必要がある。また、リスク資産投資そのものが悪というものではない。ということを否定する必要があるのではないか。
• 責任を評価するポイントとしては「判断を下した時点」「受益者のため、との観点で見る」「慎重さ」「客観性」「専門性の有無」「ポート理論の背景をもった決定の仕方」「その決定自身のプロセスの妥当性」等の点が大事だと思う。
• 基本方針についてもある程度具体的なことを盛り込む。
• 運用マネージャーに対しては、「何をターゲットにするのか」ということを明らかにすることが必要と思う。
• 基本資産配分については、基本資産配分の選択の自由度があるということと同時に、基本資産配分を一定の枠の中でマネージしていくためには、シェア変更に関しての自由度がもう少し与えられてこないといけない。決して、マネージャーを短期的にころころ変えることが目的ではなく、アセットミクスをコントロールしていくためにもシェア変更の自由度が必要になってくるのではないかと思う。
• 評価基準のところで、ポートフォリオ理論と言われましたが、これは「学説を意味していることではない」と理解してよろしいか。
• はい、リスク分散とか、一定の、当然考えられるようなものに基づいたものを背景にするというものある。
• 要するにポートフォリオ全体で考えるということではないでしょうか。
• 第１点は、私どもは、ガイドラインを研究するわけですから、法律に縛られている点があると言わざるを得ないわけで、ガイドラインの性格というか、制約というものが自ずからあるわけですから、そのあたりを意識せざるを得ない、ということが第一点である。
• 第２点は、このガイドラインの守備範囲ですが、先ほど５Ｗ１Ｈというお話もありましたが、一番問題なのは、一体誰についてのガイドラインなのかというところが決まらないと、なかなか守備範囲が決まらないのではないか。もう一点は、財政の運用との関係で、最初に触れるのか、あるいは、将来の受給権確保ということになると財政の話しになるので、運用をはみ出る部分というか、財政分も取り上げるかどうか。この２点が範囲の問題としてあるように思う。
• 第３点は、関係者相互の役割分担がよくわからないところが初に申しました、ガイドラインであり、法律を立法的な提言をするわけではないので、難しい面があろうと思う。基金の理事は、カッコ付き受託者だとした時に、今日は、かなりの方のメモでは受給者ということでかなり強く出ているのではないかと思うが、受給者のみでいいのか。母体企業の利益と受給者の利益が相反するような場合に、母体企業は何か言って来ても「我々は受給者の利益を第一に考えなければいけないので何を言ってきてもそれははねつけます。」というガイドラインでいいのか、また、そういうガイドラインが現在の法律のもとでどういう意味を持つのか、まだ見通しが立たない面があろうかと思う。
• ただ、ガイドラインである以上、誰に対してというのは、ぎりぎりコンフリクトが生じた場合には、主従をはっきりしておかないと行動できない、ということになる。多くの場合は、全体としていい運用をすれば皆がプラスだということで疑いがないところだと思うが、利害があわない、という状況があるわけで、そのときに誰の利益を第一に考えるのかというのをはっきりしないと動きようがない、というようなことになるように思う。
• 一般勘定は、連合会の報告書では、忠実義務や善管注意義務を明示しなくていい、との考え方できているが、一般勘定をすること自体が受託者責任を問われるようなことでこの研究会が進んでしまうことは、問題ではないか。
• ２．５が低いというのも一つの考え方かもしれないが、あるいは、５．５というのが、高いのかもしれないし、それを、一般勘定は問題外だとしてこの研究会を進めるのは問題ではないかと思う。
• ４．５を２．５へ下げるというのはどういうことですか。あの契約は１年ごとですか、更新ということですか。それとも５年契約あるのに途中で２．５へ下げるというのはどういうことですか。
• 契約は永遠である。
• そうすると、あたかも変動金利の定期預金のようなものだと考えていいのか。しかも、それは生保側が、一方的に変えることができると。
• そこは、団体年金の方は全契約に２．５が適用になったんですね、ところが個人の場合は、新しい人から利率が下がることになっていて、そこは、基金サイドからも、おかしいではないかと言った。現実としては、全基金にそこから契約が改定になる、新たな契約を結んだ訳です。
• よく似た話が、住宅ローンで一時、金利が下がってくると借換というものが起こる、そこで、逆に金利が上がったらどうなるのかというと、金融機関がお客さんのところを回って書き換えてもらったという話しがある。例えば、４％だったのを６％にして下さい、と。
  そういう話なのか、つまり、あくまでいやだと言い張れば、確定利付でいけるものなのか、あるいは、契約の中で４を２に下げれる権利を保険会社がもっているような契約なのか。
• 基金の受け止め方としては、もう一般勘定はいい、といったところだが、要するに、基金側と生保側の話し合いでは、確かに「なぜ、突然利率が変わるんだ」との不満はある。それについて、生保の説明では、個人の場合は、ぐるぐる契約が変わるのでうまくいくが、団体年金の場合は、新規の契約がないため、新利率が適用できなくなってしまう。ということで、今のを下げねばしょうがない、ということである。
  しかし、「一般勘定はダメだと決めつけるのは良くないのでは」ということ。
• それは、ご指摘の通りだと思う。
• いずれにしても法律的なことは、後で確認させてもらうが、今までの受け止め方は、市場が悪くなれば、４．５で回らなくなることは明らかですから、問題は、それに応じなければいけないか、ということですね。
• ２．５という数字自体は、受託者責任との関係で言うと、検討項目にはなると思う。つまり、もし確定で考えるとしたら、少なくとも過去において１０年国債の新発の値段というものは、それよりも高いわけだか、将来の見通しをどう立てるかにもよるが、向こう１０年のキャッシュフロー等に問題のない基金であれば、１０年国債を買い貯めていくだけで、２．５以上のレートは出せる可能性がある。それにも関わらず２．５の固定金利で預けるということが、受託者責任になるのかというのは、当然あると思う。
• 最低の保証であり、生保も配当すると言っているので、そこは、また、少し違うと思うが。
• 仮に２．５だとしても、それで確定していれば、振れがあるよりは、その方が、この部分についてはいい、との判断もある。
• 資産の保全という問題が、基金の受託者責任として考えていく場合、非常に大きな問題がある。今後、外貨建資産の多くなる時代の中で、その点の保全という問題を織り込まないと、基金側として外貨建資産の運用がいいと判断して行った場合、倒産とかがあった際、責任を負いかねない、という問題がある。現実にベアリングの場合については、オランダのＩＭＤ、の買収で終わったが、これからも、まだまだ出てこようと思う。そこで、外資系の投資顧問に確認した事項だが、取引先の証券会社が倒産した場合、責任はどこにあるか、というのは非常に難しいということ。
  従って、外資系の投資顧問については、事前に会社の稟議、あるいは信用調査を十分にして、倒産をするような企業のチェックを事前に行っているという模範的な回答をもらったが、国内の受託機関がそこまでの内部的な規範を設けて取引先のチェックが行われているかどうか、この点も、基金側としては確認をせざるを得ないということも、考えている。
• 従って、受託者責任に絡んで、資産の保全と言うことから取り上げる必要がある。
• チェックリストに関しては、海外の基金において、こういう内容でチェックをして、運用機関の選定なり、委託をしていると、いう事例の報告があった。
• 預けた先が倒産した場合、銀行などは手当てされている。しかし、証券会社については、手当てが何もされていない。従って、つぶす訳にはいかない。
• もう一つは、トランザクションリスクという問題である。先に代金を払い、ものをもらう前に、取り引き相手がつぶれる場合である。もし、ガイドラインへ盛り込むとしたら、留意点としては、その両面に触れる必要があるのではないかと思う。
• 外貨建ての場合、預り証方式について、我々は当然、こうすべきである、と言わねばならないが、現実として、投資顧問などから、「預り証にしました」ということがあったので、受託機関の方からも開示をするということは、是非必要なのではないだろうか。
• 預り証は、普通の事だと考えていいのか。
• ベアリングの問題から変わってきた。
• ガイドラインは、誰を対象に作るか、ということに関することだが、日本の年金基金というのは、昭和４０年代、５０年代に大量に作られてきた訳だが、メインバンク制や企業の系列などがしっかりしていたような時代に、メインバンクだ企業系列だということで総幹事が決まり基金が設立されてきた経緯が一つあり、もう一つは、年金基金の担当者というのは、従来会社のトップではなかったという経緯がある。従って受託機関を決める際も、会社の経営方針に則り決められてきたというのは紛れもない事実と思う。
  運用機関・シェア等を決めるとき、会社の意向に反して決められるかとなると難しい。そこで、企業の偉い人を基金の役員にしてしまうのが一番いいが、それも現実問題として難しいという事になると、基金の理事長以上の実力ある人がいて、指示したとして、かつその場合に、その意にそぐわないような場合、基金の理事長・常務などは受託者責任違反ということになるのか。
• 財務担当役員を入れるとしても、連合あるいは総合基金の場合、どこの財務担当役員を入れるかが難しくなる。労働組合の存在意義ということになるが、代議員会の利用ということが一つの補助的な解決の手段となるのではないかと思う。
• 母体とのつながりから意見がでるが、責任論から基金の意見を通したというように、理解は、進んでいるが、委員会に財務が出席して基金との協力関係を更に進めていけばいいと思う。
• 企業の利益がないと成り立たない。基金の実態を知るためにも財務の責任者が入った方がよい。
• 母体企業からの独立の問題はぎりぎりの所までいったら完全に独立を貫き通すというのは難しいと思う。
• ガイドラインの書き方はいろいろあると思う。
• 株式会社法は、トップが勝手にやった場合、自分たちは連帯責任となるので、止めねばならない。どうしても止めれなければ、取締役会を召集して、そういう手を打つ。又は自分が辞めるしかない。そこまでやれば責任を果たしたことになるのか、ということだと思うが、ただ、この場合、ルールとしては、受給権者なり加入員なりとして考えねばならないのか、とも思う。
• ガイドラインに明記しないと基金は動きにくいのではないか。
• 基金のレベル・体制・ヒストリーを見直す必要がある。
• 企業年金のお金は、会社の商取引のお金ではなく加入員の将来に亘るお金である。意識を変えて、運用機関も襟を正す必要があるのではないだろうか。
• 適格退職年金との比較でいうと、企業が信託銀行へ直接出すような形になるが、受給者が受益者になる。ところが、厚生年金基金の場合は、基金が、委託者兼受益者というか、受益信託ということになる。
• 要は、適年の場合は、少なくとも、法律論としては企業が委託者となっている。従って受給者が受益者になる。信託銀行は受給者に対して、善管注意義務及び忠実義務を負う形になる。では、企業は何も言えないかとなると、信託の法律をそのまま形式的に解釈すると、委託者としての権利がある、ということになる。
• 基金は、受給者なり加入員に対して、フィデユーシャリーであるという方向感しかないと思う。
• 企業年金をどう維持していくかが企業で今問われている。カフェテリアプランが福利厚生の見直しであるが、要は、どう必要なものにコストをかけて、カットできる所はカットしていくというような動きが最近見える。そんな中で、退職金自体が、本当に引当金の中でいいのか、年金が一つの老後の所得保証という意味では、その辺をもう少し社会的に認知してそういう方向にせざるを得ないと感じる。そういうことを含めて、この受託者責任という問題をどう確認していくかということと思う。
• 母体企業とは、何か。経営者が正面の主体と思っている。受給権者保護とは、何か。企業あるいは経営者と相対立する概念ではなく、どちらかといえば、同じ船に乗っている面があり、共同責任といった方が現実的かと思う。よって、経営マターとして、基金の運営は大事な事項であるという留意が必要と思う。
• 外出しのお金は、企業のお金ではなく、受益者のお金である、というのが原則と思う。背景には、既発生の年金債務が発生しており、それに相当するものがここにある、ということと思う。
• 給付制度では、今の発生給付のみならず、将来に渡り発生する部分もあり、そこに一つ曖昧な所がある。
• また、別のお金であれば、資産の運用に関しては、母体は口を出さない、というしきりもあると思うが、実際、将来の給付まで考えた場合、その次のアクションとして掛け金をどの位負担して、運用リスクをどの位とるかは、基金が安全運用で行きたいと決定するということは、企業母体にその分だけ、たくさんの掛け金を出してもらわねばならない。
• いずれにしても、母体企業との関係は不可分であり、基金だけの独自運営はできないと思う。
• ただ、企業の利益があまり入ってはならないと思うが、企業自体の経済活動の関係等からも、難しいと思う。
• 単連で見ると、独立性が低い。社長から見ると自分が責任者と思っていても、株主から見ると相反する。
• どちらも判るが、意識の改革が必要。独立したものとの考えが必要。
• バブルで大きくなり、企業も拡大を図った。しかし、はじけて負債となった。いい関係が作れるようにして欲しい。
• ガイドラインの範囲と主体の関係で、年金数理人やコンサルタントをどう扱うかもあると思う。
• 基金の組織や人などはどうか
• 監事は入れるべき。
• 運用に関わる受託者責任といった場合に、例えば、年金信託と投資顧問の一任契約は明らかに意味合いが違っており、そのほかに年金数理業務などが入ってくるので、独立した問題ではなく、現行の問題としてどうとらえるか、ということ。
• 設立形態の違いが資産運用へ与えるインパクトはあり得るのか。
• ワンマン社長などがいて、最終的に責任を問う場合など、どういうことになっていくのかが、よくわからない。
• そういうことになっていると、企業側の問題となる。どのように、退職金、年金等の契約を結んでいるか、ということかと思う。
• 書くときの表現の問題として、もともと受託者責任、フィデユーシャリー、忠実義務など基本的に英米の信託法的な表現を使っているが、現行法との関わりも含め、もう一度検討していただきたい。
• その点は確かに気をつけていきたい。

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