I ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害に係る身体障害認定基準
1 障害程度等級
-
1級 |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活がほとんど不可能なもの |
2級 |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が極度に制限されるもの |
3級 |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が著しく制限されるもの |
4級 |
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの |
2 障害程度等級認定基準・要領[13歳以上]
(1)障害程度等級認定基準
-
1級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1. |
CD4陽性Tリンパ球数が200/μl以下で表1の6項目以上に該当する状態 |
2. |
回復不能なエイズ合併症のため介助なくしては日常生活がほとんど不可能な状態 |
2級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1. |
CD4陽性Tリンパ球数が200/μl以下で表1の3項目以上に該当する状態 |
2. |
エイズ発症の既往があり表1の3項目以上に該当する状態 |
3. |
CD4陽性Tリンパ球数に関係なく表1の1から4までの1つを含む6項目以上に該当する状態 |
3級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1. |
CD4陽性Tリンパ球数が500/μl以下で表1の3項目以上に該当する状態 |
2. |
CD4陽性Tリンパ球数に関係なく表1の1から4までの1つを含む4項目以上に該当する状態 |
4級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1. |
CD4陽性Tリンパ球数が500/μl以下で表1の1項目以上に該当する状態 |
2. |
CD4陽性Tリンパ球数に関係なく表1の1から4までの1つを含む
2項目以上に該当する状態 |
表1 検査所見・日常生活活動制限
1 白血球数について3,000/μl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く
2 Hb量について男性12g/dl未満、女性11g/dl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く
3 血小板数について10万/μl未満の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く
4 ヒト免疫不全ウイルス-RNA量について5,000コピー/ml以上の状態が4週以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続く
5 一日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感および易疲労が月に7日以上ある
6 健常時に比し10%以上の体重減少がある
7 月に7日以上の不定の発熱(38゜C以上)が2か月以上続く
8 一日に3回以上の泥状ないし水様下痢が月に7日以上ある
9 一日に2回以上の嘔吐あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある
10 表2に示す日和見感染症の既往がある
11 生鮮食料品の摂取禁止等の日常生活上の制限が必要である
12 軽作業を越える作業の回避が必要である
表2 日和見感染症
1 口腔内カンジダ症(頻回に繰り返すもの)
2 赤痢アメーバ症
3 帯状疱疹
4 単純ヘルペスウイルス感染症(頻回に繰り返すもの)
5 糞線虫症
6 伝染性軟属腫
7 その他
(2)認定要領
ア ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の確認方法
- 「サーベイランスのためのAIDS診断基準」(厚生省エイズサーベイランス委員会,1994)を準用する(資料参照)。具体的には、次のいずれかに該当する場合にヒト免疫不全ウイルス感染とする。
- 1) 酵素抗体法(ELISA)又はゼラチン粒子凝集法(PA)といったHIVの抗体スクリーニング検査法の結果が陽性で、かつWestern blot法又は蛍光抗体法(IFA)といった確認検査法の結果も陽性であった場合
- 2) 抗原検査、ウイルス分離、PCR法等の病原体に関する検査によりHIV感染が認められた場合
イ CD4陽性Tリンパ球数の測定
- 4週以上の間隔をおいた連続する2回の検査値の平均値のこれまでの最低値とする。
ウ 白血球数、Hb量、血小板数、ヒト免疫不全ウイルス-RNA量の測定における、4週以上の間隔をおいた連続する2回の検査の時期は、互いに一致している必要はなく、これまでの最低値とする。
エ エイズ発症の診断基準
- エイズ発症の診断は、「サーベイランスのためのAIDS診断基準」(厚生省エイズサーベイランス委員会,1994)による。
オ エイズ合併症
- 「サーベイランスのためのAIDS診断基準」(厚生省エイズサーベイランス委員会,1994)が採択した特徴的症状としてあげられている合併症を意味する。
カ 期間・回数・症状等の確認
- 7日等の期間、一日3回等の回数、10%等の数値、下痢・嘔気・嘔吐・発熱の症状の確認は、カルテにもとづく医師の判断によるものとする。
キ 日・週・月の取り扱い
- 特別の断りがない限り以下によるものとする。
1日:0時から翌日の0時前まで(以下同じ)を意味する。
1週:連続する7日を意味する。
1月:連続する30日を意味する。暦月ではない。
ク 回復不能なエイズ合併症
- エイズ合併症が回復不能に陥った場合をいい、回復不能の判定は医師の判断による。
ケ 日中
- 就寝時以外を意味する。
コ 月に7日以上
- 連続する30日の間に7日以上(連続していなくてもかまわない)を意味する。
サ 日常生活上の制限
- 生鮮食料品の摂取制限以外に、生水の摂取制限、長期にわたる密な治療、厳密な服薬管理、人混みの回避が含まれる。
シ 軽作業
- デスクワーク程度の作業を意味する。
3 障害程度等級認定基準・要領[13歳未満]
(1)障害程度等級認定基準
-
1級 |
ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次に該当するもの
表3のA群に規定する症状のうち1項目以上を示すもの |
2級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1 |
表3のB群に規定する症状のうち1項目以上を示すもの |
2 |
表4に定める免疫学的分類において「重度低下」に該当するもの |
3級 |
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ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次のいずれかに該当するもの |
1 |
表3のC群の症状のうち2項目以上を示すもの |
2 |
表4に定める免疫学的分類において「中等度低下」に該当するもの |
4級 |
ヒト免疫不全ウイルスに感染していて、次に該当するもの
表3のC群に規定する症状のうち1項目以上を示すもの |
表3 ヒト免疫不全ウイルス感染の臨床症状
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A群 |
「サーベイランスのためのAIDS診断基準」(厚生省エイズサーベイランス委員会,1994)が採択した特徴的症状 |
B群 |
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A群又はC群以外の症状 |
1 |
30日以上続く好中球減少症(<1,000/μl) |
2 |
30日以上続く貧血(<Hb 8g/dl) |
3 |
30日以上続く血小板減少症(<100,000/μl) |
4 |
1か月以上続く発熱 |
5 |
反復性又は慢性の下痢 |
6 |
生後1か月以前に発症したサイトメガロウイルス感染 |
7 |
生後1か月以前に発症した単純ヘルペスウイルス気管支炎、
肺炎又は食道炎 |
8 |
生後1か月以前に発症したトキソプラズマ症 |
9 |
6か月以上の小児に2か月以上続く口腔咽頭カンジダ症 |
10 |
復性単純ヘルペスウイルス口内炎(1年以内に2回以上) |
11 |
回以上又は2つの皮膚節以上の帯状疱疹 |
12 |
菌性の髄膜炎、肺炎又は敗血症(1回) |
13 |
ノカルジア症 |
14 |
播種性水痘 |
15 |
肝炎 |
16 |
心筋症 |
17 |
平滑筋肉腫 |
18 |
HIV腎症 |
C群 |
1 |
リンパ節腫脹 (2カ所以上で0.5cm以上。対称性は1カ所とみなす) |
2 |
肝腫大 |
3 |
脾腫大 |
4 |
皮膚炎 |
5 |
耳下腺炎 |
6 |
反復性又は持続性の上気道感染 |
7 |
反復性又は持続性の副鼻腔炎 |
8 |
反復性又は持続性の中耳炎 |
表4 年齢区分毎のCD4陽性Tリンパ球数及び全リンパ球に対する割合に基づく免疫学的分類