審議会等議事録 ホームページへ戻る

全国児童福祉主管課長会議
(会議録)

平成8年12月16日




厚生省児童家庭局



会議内容


会議日時 平成8年12月16日 午後2時〜午後5時
出席者 厚生省 横田児童家庭局長
      大泉  〃  企画課長
      大河内 〃  家庭福祉課長
      河   〃  育成環境課長
      福井  〃  保育課長
      北井  〃  母子保健課長
      名須川 〃  企画課児童福祉監査指導室長
      畠山  〃   〃 施設調整室長
      島崎  〃  育成環境課児童手当管理室長
    都道府県・指定都市・中核市の児童福祉主管課長等
議事      
  説明事項等
    児童家庭局長挨拶 横田児童家庭局長
    中央児童福祉審議会基本問題部会報告(中間報告)
に至る経緯及び今後の予定について
大泉企画課長
    少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて
(中間報告)
大泉企画課長
    少子社会にふさわしい保育システムについて
(中間報告)
福井保育課長
    母子家庭の実態と施策の方向について
(中間報告)
大河内家庭福祉課長
  質疑応答


[児童家庭局長挨拶:横田児童家庭局長]

 去る11月22日付で児童家庭局長を拝命いたしました横田でございます。
 本日は全国児童福祉主管課長会議を急遽開催させていただきましたところ、年末のお忙しい中にもかかわらず、遠路お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。御出席の皆様方におかれましては、日ごろから児童福祉行政の推進につきまして、多大の御尽力を賜っていることに対し、この機会をお借りして厚く御礼申し上げます。
 また、今般は厚生省で福祉行政に携わっておられる方々、福祉施設で福祉事業に日夜努力されている方々、並びに多くの国民の方々に厚生行政に対する信頼を根底から揺るがしかねないような事態を招いていることに対して、心からおわび申し上げます。
 私どもといたしましては、再びこうした事態が生じないように、公務員倫理の確立と綱紀粛正の徹底を図るとともに、不祥事の原因究明及び制度面を含めた防止策を講ずることによりまして、信頼回復に努めてまいりたいと考えておりますので、児童福祉行政の円滑な推進につきまして、引き続き御理解、御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 さて、御承知のように、来年は児童家庭施策の中心でございます児童福祉法が昭和22年に制定されまして以来、50年目を迎えることになる訳であります。この間における児童福祉行政につきましては、皆様方の御努力によりまして、誠に目覚しい発展を遂げてきた訳でございますが、最近における児童福祉を取り巻く環境は、少子化、核家族化の進行、あるいは夫婦共働き家庭の増大などによりまして大きく変わってきております。
 また、虐待や不登校などの新しい問題が社会問題化するなど、児童家庭を巡る環境は大きく変わり、多様化、複雑化してきているところでございます。  とりわけ近年の晩婚化の進行等によりまして、少子化の進行は誠に著しいものがあります。平成7年の出生数は御承知のとおり119 万人、合計特殊出生率は1.43と史上最低の水準となっております。
 こうした最近の出生動向が今後とも続くといたしますと、21世紀中には我が国の人口が半減するという未曾有の事態が見込まれている訳であります。
 現時点におきましては、介護保険制度の創設、あるいは医療保険制度の改革といった問題が大きな課題となっている訳でありますけれども、今後急速に少子化の問題が高齢化問題以上に大きな問題としてクローズアップされてくるのではないかと考えております。
 こうした少子化問題そのものにつきましては、単に私ども児童家庭局だけでなく、厚生省全体、あるいは政府全体の問題として多角的、総合的な観点に立ちまして、本腰を入れて取り組んでいくことが必要な課題ではないかと考えております。
 児童家庭局といたしましては、こうした状況をも背景に踏まえまして、平成7年度からは、御承知のとおり、エンゼルプランの策定や、これに基づく緊急保育対策等5か年事業の推進に取り組むとともに、本年3月からは中央児童福祉審議会基本問題部会におきまして、保育対策、要保護児童対策、及び母子家庭対策の在り方について御審議をお願いしてきたところであります。
 基本問題部会におきましては、この12月3日に3つのテーマについて中間報告が取りまとめられ、厚生大臣宛て提出がなされたところであります。
 今回の報告書におきましては、21世紀を展望しつつ、次代を担う子どもたちが個性豊かでたくましく育つ環境づくりを図る見地から、児童家庭福祉制度の再構築を図ることが必要であるといたしまして、保育につきましては、従来の行政処分による措置方式から保育内容等に関する情報公開をいたしまして、それを基に利用者が自ら保育所を選択する利用方式へと改めるべきであること、保育料につきましても、所得に応じた徴収金方式から、年齢別の保育コストに応じました均一の保育料方式に改めるべきこと等が提言されております。
 また、教護院、養護施設等につきまして、入所中心主義から退所後のアフターケア、在宅サービスも含めた施設機能の見直しを図ることや、母子家庭の自立支援、あるいは児童扶養手当制度についての見直しが提言されているところであります。
 私どもといたしましては、この報告を基に今後関係方面と調整を図りながら、来年の通常国会に児童福祉法等の改正案を予算非関連法案といたしまして、提出したいと考えているところであります。
 本日の会議におきましては、この報告書についての経緯や内容につきまして、御説明させていただきますとともに、児童福祉の責任者でもあり、現場にも精通しておられる皆様方から忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。
 最後に児童福祉施策に対する引き続きの御理解、御支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきたいと存じます。


[中央児童福祉審議会基本問題部会報告(中間報告)に至る経緯
及び今後の予定について:大泉企画課長]


 本日の会議の趣旨は、中央児童福祉審議会基本問題部会の中間報告の御説明というのが中心になります。この中間報告をいただいて、厚生省がこれからどういう形にしていくかというところでございますので、御質問もたくさんいただきましたけれども、すべてお答え出来る段階にはないということをお断り申し上げたいと思います。
 あらかじめいただいた質疑・御意見でございますが、それぞれ担当課長から御説明いたしますときに、皆様の質疑を出来るだけ織り込んでお答えするようにいたしたいと考えております。
 さらに十分でないと思われる方は、質疑の時間も設けておりますので、その時間をお使いいただきたいと思います。
 併せていただいた御意見は、これから厚生省が考え方をかためていく訳でございますので、十分に参考にさせていただきたいと思っております。
 最初に3つの中間報告の今後の扱いについて申し上げたいと思います。
 局長の方から既に申しましたけれども、この3点セットと私ども呼んでおりますけれども、中間報告が3つございますが、この3つ合わせまして法案をつくってまいります。そして、来年の1月から3月に掛けまして、中央児童福祉審議会にその法案要綱を諮問して答申をいただくという予定でございます。
 更に社会保障制度審議会に諮りまして、通常国会に提出するという予定になっております。予算非関連で10年4月の実施を考えております。
 したがいまして、御質問の中にも幾つかございましたけれども、これから御説明申し上げますものは9年度予算、来年度予算には直接関係はございません。
 それから、中間報告を御紹介するときにその中に既に書かれてございますけれども、基準の見直しというのも必要だということでございます。
 したがいまして、基準についても、10年度の実施に向けまして、同時に検討を始める予定でございます。今のところこの検討の場は中央児童福祉審議会を使おうということも考えております。10年度実施と申しますと、10年度予算の編成くらいまでにははっきりした形にしていかなればならないという予定になります。
 それから、皆様の御質問の中に幾つかございましたけれども、業界団体の動きなどはどうかという御質問がございました。業界団体たくさんございますけれども、日本保育協会とか私立保育園連盟とか全国養護施設協議会とか、そういう団体とも話し合いをさせていただいて、おおむね了解を得ているところでございます。
 勿論、労働団体等、いささか意見の異なるところもございますけれども、これから先各団体と私ども十分に話し合いを続けさせていただきたいと考えているところでございます。
 それでは、内容の方に入らせていただきたいと思います。
 私の方からは児童自立支援の中間報告と、中児審の全体の動きと、これを御説明させていただきたいと思っております。
 今年の1月でございますが、当時の多田事務次官が児童福祉法の改正をやりますという発言をしましてから、もう1年になろうとしている訳でございます。そのときに多田次官が来年児童福祉法制定以来50年になると。制度疲労を起こしている部分が多々ございますと申し上げ、地方紙でございますけれども、新聞にも書かれた訳でございます。
 50周年で制度疲労を起こしているということでございますが、私どもの今、住んでいる社会は少子社会ということで、終戦後の子どもがたくさん生まれた状況と大変違っている。この少子社会の子育て環境づくりを目指した制度の再構築ということで、中央児童福祉審議会に基本問題部会というのを新たに設けまして、3月からこの11月まで、8か月間にわたって精力的に審議を続けてきた訳でございます。
 基本問題部会で取り組むべき課題といたしまして、3点選ばれました。児童保育施策と要保護児童施策と母子家庭施策でございます。今回はこの3点に合わせて中間報告がそれぞれ同時に出来上がったということでございます。
 また、先月の末に社会保障制度審議会会長会議の中間報告というのが出ておりますけれども、この中で社会保障構造改革の4分野といたしまして、介護保険、医療保険、年金制度、そして4点目に少子化対策というのが入ってございます。今度の児童福祉法の制度の見直しもこの少子化対策の一環として位置づけられている訳でございます。
 この基本問題部会ですが、8か月審議してまいりましたと申しましたが、実に14回部会の審議と、それ以外に要保護児童施策と母子家庭施策については5回ずつ専門調査会での審議がございまして、全部で先生方24回集まっていただいた。私どもとして十分に御審議いただきましたと自負をしている訳でございます。
 ちょっとメンバー表を見ていただきますと、全員で21人、学者、マスコミ、現場の方々、そして何よりも女性の委員が8人という構成になってございます。
 そして3部作の中間報告がこの委員の方々によって12月3日厚生大臣に江草委員長から手渡された訳でございます。こういう状況でございました。

[少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて(中間報告):大泉企画課長]

 それでは、早速でございますが、少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて(中間報告)から御説明いたしたいと思います。
 その前に、この3点セットの全体を見ますと、これは局長の方から申しましたけれども、特徴を簡単に申し上げますと、保育は利用システムへの変換というキーワードで表されると思います。古色蒼然とした恩恵的な福祉制度からの脱却というものを考えられている訳でございます。エンゼルプラン、緊急保育対策等5か年事業で、いわばインフラの整備に努めているところでございますけれども、制度改革の方は質的転換をねらっているということでございます。
 それから、要保護のキーワードは、児童の自立支援ということでございます。子どもを自立させて立派な社会人にするというのがキーワードになっております。
 3番目の母子家庭問題でございますけれども、母子の場合は、従来の施策の充実というのもございますけれども、新しい問題、新しい課題へのチャレンジも含まれております。そのような全容になってございます。
 では、児童自立支援システムの中間報告をごらんいただきながら御説明いたしたいと思います。
 前文いろいろ書いてございますが、前文の後の1番の方から入っていきたいと思います。「児童をめぐる現状と今後の支援の在り方について」でございます。
 児童を巡る状況の変化としては、1つは、児童の最善の利益の尊重、言うまでもなくこれは児童権利条約の中のキーワードでございます。
 ページをめくっていただきまして、「少子化がもたらす児童の成長への影響」。子どもが少なくなって、子どもたちの間で切磋琢磨する機会や思いやりがなくなったということや、学歴偏重の風潮というものが子どもたちに与える影響が大きくなっているのではないか。 3点目でございますが、「家庭や地域の子育て機能の低下」、これも言われて久しい訳でございますか、家族の人数が減ったり、知らんぷり社会になったりということで、全体で子どもを育てていく機能が低下している。その中で特に児童虐待の問題というのが深刻化、複雑化しているということで、これに有効な対応が必要だという指摘がされております。
 同じページのところで「問題の多様化・複雑化」というのがございますけれども、少子化の新たな問題として、量的に新たなもの、質的に新たな問題として虐待、不登校、いじめ、それから性非行、それから高校ドロップアウト、そうした問題が増えてまいりまして、新たな有効な対応が必要であるということがここで指摘されております。特に虐待については総合的な検討が必要だと。
 次のページに掛かっていきますけれども、最近の女子中学生や高校生のテレクラなどの性非行でございますけれども、これは商業主義的な性風俗の蔓延などによるというのが書かれておりまして、地域の環境改善に向けた努力が必要であるという指摘がされている訳でございます。
 これに対して「今後の支援に当たっての考え方」でございますけれども、従来のように子どもを保護し養育する。あるいは施策として施設中心主義であった要保護児童対策というものを反省いたしまして、自立した社会人にするということを基本理念にしようと、ここで提言されている訳でございます。併せて家庭支援という視点もここで強調されている訳でございます。施設に入っている子どもたちも家庭のある子どもが増えてまいりましたので、そういう家庭を含めた支援、あるいは地域に住んでいる子どもたち、家庭を含めた支援というのを強調していこうということでございます。
 その次「施設の在り方について」、具体的な改革の提言がされている訳でございます。
 まず、入所の実態で言いますと、ここで指摘されていますのは、現行の施設体系の分類では対応出来ないケースが増加していると。児童福祉施設の機能と現実に入っているお子さん方の間にそごがある。施設と子どもたちのニーズの間にミスマッチがあるということが言われている訳でございますが、これはどういうことだという御質問がありましたが、例えば非行の子どもが教護院に入るべき子どもも、なかなか親御さんの同意が得られなくて入れなくて養護施設に入っているというようなミスマッチ。あるいは、年長児への処遇、対応がもっと必要であるにもかかわらず、なかなか対応出来なかった。
特に教護院などはそういうことが言えると思いますけれども、そういう意味でのミスマッチというものが生じてきているということでございます。
 次のページに掛かりますけれども、教護院については特筆されております。処遇内容が変化に対応し切れていないということが言われている訳でございますが、今申し上げたように、義務教育を終えた時点で教護院を卒業させるということが多うございますが、これでいいだろうかという疑問視がされている訳でございます。
 それに引き続いて「今後の方向」というところに若干お答えが書いてある訳でございますが、従来の施設に入れという入所だけでなく、相談、あるいは通所、それから地域の方々の在宅サービスというものの積極的な提供を図るべきであるという提言がされている訳でございます。児童福祉施設というものは地域サービスをやっていける施設にする。これまで児童福祉施設が専門性を培ってまいりましたけれども、これを地域に生かすという形にすべきであるという提言でございます。
 ここでもまた教護院が特筆されておりますけれども、名称の見直し、あるいは運営形態の弾力化、それからこれまで準ずる教育ということで学校教育が導入されておりませんでしたので、部分的には導入されておりますけれども、全面的な学校教育の導入等の学習指導体制の充実。そして、教護院自身の専門的機能の強化を図るべしという提言がされている訳でございます。
 ここについて幾つか御質問がございましたが、運営形態の弾力化は何かということでございますが、先ほどの通所を取り入れていくというのも1つございますし、審議会の初期の段階では公設・民営なども検討されましたが、検討課題としてはそこら辺もあり得ると。あるいは、夫婦小舎制の在り方、そんなものが入ってくると思います。
 ただ、審議会の議論の中でも必置義務の廃止とか、あるいは御質問がたくさん出ておりました都道府県の共同経営というのは極めて消極的な御意見であったと考えられます。
 それから、今後の方向という意味では、教護院だけではない訳でございますが、施設全体地域サービスをやっていくということが言われておりますのと、対象児童をどうするかということでございますが、明らかに教護院については、この提言で対象児童が広がっていくということが考えられます。いわゆる非行の児童だけでなくて、高校ドロップアウトとか、あるいは中学校の不登校とか、非社会的な子どもたちとか、そういうのを併せて教護院で自立支援の施設にしたらどうであろうかという提言がされている訳でございます。
 (3)の「児童の自立まで一貫した支援」というところから次のページに掛かってまいりますけれども、施設が連携を図りながら最も適切な施設で処遇することが重要であるということと、施設を退所した後も子どもたちが自立するまでアフターケアを施設が行っていくべきであるという提言がされている訳でございます。
 そして、5ページの「(4)施設におけるサービスの質の向上」というところで、国民生活の水準は向上したということに合わせまして、基準の見直しが必要であるということが言われております。これは最後にまた重ねてこの提言がされております。
 同じページで「3.地域社会における支援体制の強化」というところがございます。
 ここにこども家庭支援センターというのが出てきている訳でございます。全国にございます児童相談所、今175 ございますが、この数ですと地域レベルの対応に限界がございます。そこで地域にございます児童福祉施設を活用しまして、総合的、専門的な相談指導を行うこども家庭支援センターというのが整備すべきであるという提言がされている訳でございます。言ってみると、児童相談所のブランチ的な存在として整備すべきということでございます。
 考えられる対象児童福祉施設としては、保育所と障害の施設を除きますと1,050 ございますけれども、この主なところにこども家庭支援センターを付置すべきであるという御意見でございました。
 このこども家庭支援センターの整備に当たりましては、保健・医療とか司法、警察、それから教育、各種の地域資源がございますが、こういう期間、資源等と十分な連携を図るということが提言されておりまして、かつ、今いろいろなところに、いろいろな相談機関がございますけれども、こういう相談体制をこのこども家庭支援センターに集約すべきであるという御意見が趨勢でございました。こども家庭支援センターへ行けば母子相談が出来る。こどもの相談も出来る。あるいは虐待の24時間相談も出来る。あるいは児童相談所のブランチと申しましたので、一時保護の受託も出来るというように、地域の中の必要なことはここで、相談も、そして一時保護も出来るような形にすべきであるという御議論でございました。
 こども家庭支援センターの次には、(2)(3)が、地域での対応でございます。問題の早期発見、早期対応とアフターケアの充実でございますが、これは児童委員の活用というのがこの辺で提言されている訳でございます。
 また、問題の早期発見、早期対応のところでは、今民間で行われている虐待防止センターというような、民間ボランティアも含めた地域の連携の強化というのが提言されておりますし、またアフターケアのところでは、児童委員がきめ細かに、例えば施設を退所した子どもたちの保護者役としてボランティア活動をしていただくことや、やはり民間の自立援助ホーム、養護施設でやっているものもございますが、こういうものを制度的に位置づけることも検討すべしということが提言されている訳でございます。
 それから、里親制度というのがございますが、里親については、ここで書かれておりますのは、運用の改善、実態を踏まえて今後検討を行うことが必要であるというふうに書かれております。今回の審議会での検討では、明瞭な結論というのは正直なところ得られておりません。里親制度について、形になるものはもう少し検討が必要であるというスタンスで書かれている訳でございます。
 次に「児童相談所の活性化について」というところでございますが、先ほどこども家庭支援センターの整備というところで既に1つの活性化が提言されている訳でございますが、もう一つ、ここでバック・アップ機能の創設というのが提言されております。児童相談所の処遇決定の専門性、あるいは客観性を確保する。あるいは児童の権利擁護を確保するというこの2つの目的のために、お医者さんとか、弁護士とか、あるいは施設関係者などの専門家から成るバック・アップのグループを児童相談所に付けることが望ましいという提言でございます。
 これには両論併記がございまして、これを仮に第三者機関と呼びますと、児童相談所の内部に設けるべきと外部に設けるべきと両方の意見がございましたが、趨勢としては、内部に設けるべきという意見の方が強かったというふうにとらえております。
 こうしてバック・アップ機能を持って児童相談所、あるいはその手足であるこども家庭支援センターをもってこれから虐待などの対応に重点を置いてまいりまして、権利擁護機関としての力を発揮していただきたいという思いが込められている訳でございます。この辺が最後の5ページの指導力の強化のところに書かれておりまして、その一番最後、これは繰り返しになりますけれども、児童福祉施設最低基準についも見直しが必要であると書かれております。これは併せて検討していくことを冒頭に申し上げた訳でございます。
 まだ若干時間がございますので、皆様方からいただいた御質問の中から基本的なものにいて少しお答えをしたいと思います。
 まず、後で保育システムについての中間報告の御説明がある訳でございますが、局長が申しましたように、今度の保育システムの中では、選べる保育所というのが出現する訳でございます。選ぶために保育所が情報提供をするということですけれども、選ぶ、選択する、あるいは情報提供とうことは要保護施設の方ではどうなるかという御質問がある訳でございます。これには2つの答え方があると思います。
 1つは、情報提供、選択というところは、子どもの意見表明権などと関連してくる訳でございます。かなり大きい子であれば、例えば養護施設を見て選択するということもあり得ると思う訳でございます。意見表明権そのものは制度上確立するということもございますし、あるいは実際運用上選ぶというのであれば、運用上そういう手段を取ればよろしい訳でございまして、法制面、あるいは運営面、両方から選択、あるいはその裏返しである情報提供というのを検討したいというふうに考えております。
 もう一つの答え方でもっと大きい問題になる訳でございますが、保育の方は行政処分を今回やめるという考え方でございますが、では、児童福祉施設全体はどうするかという問題が残っている訳でございます。
 これについては、中央児童福祉審議会の審議そのものは非常に慎重でございました。養護施設、教護院というのを前提に置きますと、虐待、非行の扱いというのは制度をはずすと非常に難しいという御意見がございました。したがって、この辺は今後の検討に委ねられているということでございます。
 それから、虐待についての御質問はたくさんございましたが、虐待については法制度だけではなくて、それこそ通知の解釈など運用面での改善も全部含めて検討したいと考えてございます。ただ、御意見によくありますような親権の問題など、民法に絡むものは今回はかなり難しい。ここまで法制化するのはかなり困難であるという感覚を持っております。
 それから、御質問の中で施設関係でございます。教護院については、大体お答えしたとおりでございますが、そのほかの施設はどうなるかという御質問がございます。いずれも自立支援という理念の下に児童福祉施設を書き替えられる訳でございますが、自立支援であり、かつ地域サービスを積極的にやっていく施設になろうかと思います。より具体的には情緒障害児短期治療施設における、年齢の問題、あるいは短期というものの問題、これを検討しなければなりませんし、あるいは虚弱児施設というものも実態に合わせた検討をしなければならないということを考えております。
 また、乳児院と養護施設の関係でございますけれども、審議会の最初のころの検討では、合体するような検討もあった訳でございますけれども、これについては、今回は提言はされておりません。あとは現実的に乳児院から養護施設に子どもを措置換えするときにスムーズにいくような手段を検討すべきであるということが考えられる訳でございます。
 また、施設に関連しまして、児童福祉法の18歳という年齢はどうなるのかという御質問もございましたが、今の18歳というのを特段変える提言はございませんでした。しかしながら、自立援助事業とか、あるいは施設のアフターケア事業とかいうものの実施に当たってはどこまで弾力化出来るのかというのが今後の検討課題であろうというふうに思われます。
 アフターケア事業についても、かなり質問がございましたが、養護施設の方で、これは9年度予算には関係ないと申しましたが、この制度改正を先取りいたしまして、児童自立定着事業というか、アフターケア事業などを予算措置で始めようとしております。これは都道府県事業を施設でやっていくということになる訳でございます。アフターケアが必要かどうかという判断は結局措置権者が最終的にすることになりますけれども、実際には子どもたちをいつも見ている施設が大部分の判断をしていくものであろうと思われます。
 それから、こども家庭支援センターの関係でございますが、これは大分御説明申し上げました。具体的な形はどういうものか、これは本当にこれからの検討課題なんでございますが、いろんな相談に答え得るとすると、それこそお医者さんも要るし、弁護士さんも要るし、それからこども家庭支援センターは必ずしも子どもだけの相談ではなくて、もし母子寮などにつける場合には、特に離婚の相談なども含める訳でございますので、非常にいろんなスタッフが要る訳でございます。その辺はまさに10年度実施の予算化と一緒に考えていきたいというところでございます。
 現在、例えば母子相談員、あるいは予算措置でやっている養護施設等の虐待相談がありますが、こういうものもこども家庭支援センターを活用していきたいと考えている訳でございます。
 それから、こども家庭支援センターの数についても、まだ検討課題でございます。先ほど申し上げましたように、対象となる施設は1,050 ございますが、一挙にという訳にはまいりませんし、これも状況を見ながら決めていくことになろうと思います。
 それから、自立援助ホームの法定化に対する考えはあるかということでございますが、これは提言に書かれておりますので、そういう自立援助ホームという施設としての法定化ではございませんが、この事業についての法定化は検討課題にしてございます。
 あと、そのバック・アップ機能については、先ほど両論併記ですけれども、趨勢としては児童相談所の内側に付けるというのが好ましいという意見があったというふうに申し上げましたが、両方検討いたしましたが、そのような趨勢にあるということを申し上げておきたいと思います。
 大体主な御質問は以上であろうかと思いますが、もし、漏れがありましたら、後ほどの質問時間を使っていただきたいと思います。

[少子社会にふさわしい保育システムについて(中間報告):福井保育課長]

 保育課長の福井でございます。常日ごろ御苦労様でございます。また、保育行政に対します御協力、御支援に改めてこの場を借りまして感謝を申し上げたいと思います。
 早速御説明に入らさせていただきたいと思います。
 本日の会議の位置づけでございますけれども、冒頭企画課長の方からお話をさせていただきましたとおりでございます。保育の関係につきましても、いろいろと御質問、あるいは御意見をちょうだいをいたしている訳でございますが、現段階で、またお答えの出来る範囲ということでもって、私の話の中に織り込むような形でお話をさせていただきたいという具合に思っております。よろしくお願いをいたします。
 次に、今後のスケジュールということでございます。これも先ほど企画課長の方から冒頭申し上げました。若干重複するかもしれませんが、年明けの通常国会に関係の法案を提出をさせていただきたいという具合に思っております。しかしながら、実施につきましては、平成10年度、保育ということで申し上げれば、最近各都道府県の御支援、御努力のお陰で、年度途中の入所のお子さんも増えてきておりますけれども、大部分はやはり4月1日ということでの入所でございますので、平成10年4月1日、現時点ではその時期を実施の時期ということで考えておる次第でございます。
 したがいまして、制度改正からはのっけからずれてしまいますが、来年度の予算編成、平成9年度の予算ということで申し上げれば、法案の方はそういうことで、平成9年度予算非関連ということで申し上げた訳でございますけれども、来年度予算ということでございますれば、緊急保育対策等5か年事業を始めといたしまして、基本的に従来ベースの予算ということでやっていきたいという具合に思っています。5か年事業につきましては、財政当局もこれは御案内のとおり、3大臣の合意ということでもって策定をされたものでございまして、私はその重みを十分に理解をしているという具合に認識をいたしております。ただ、それ以外の分野につきましては、施策と施策の間の整合性の問題、あるいは地方分権という流れの中で、いろんな工夫をしていく必要がある。来年度予算については、そう考えておる訳でございます。むしろいろいろと工夫をして、この5か年事業のための財源を確保するということかなという具合に理解をいたしております。
 それから、いろいろ御質問の中に保育関係者の意見の徴収というお話があった訳でございます。今回の基本問題部会のメンバーの中には、例えば保育関係団体の方が入っておられない訳でございます。しかしながら、私ども審議会の事務局といたしまして、定期的なものも含めまして、また、公立の保育所の先生方も含めまして、非公式ではございますけれども、いろいろと意見をお聞かせ願い、また、意見交換を行ってきたところでございます。
 また、今回の中間報告に関連をいたしまして、保育関係の団体、御意見をちょうだいいたしているところもある訳でございます。各論的にはいろいろございますけれども、前回、つまり3年前、保育問題検討会のとき、実は反対に回った保育団体もあった訳でございますけれども、今回は評価し、賛同し得る、あるいは理解をし得るといった表現の文書を既にちょうだいをいたしておるところでございます。
 また、蛇足になりますが、プレス、マスコミの関係につきましても、前回と比べますと何と言いますか好意的、あるいは中立的な記事が多く載っているという具合に私自身は受け止めておるところでございます。
 しかしながら、企画課長の話にもございましたように、保育に御関係の方々、一層の御理解も必要であろうかと思っております。関係者の意見もよく承りながら対応を考えてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、総論的な御質問の中で、幼保一元化の話がございます。中央児童福祉審議会、厚生省の審議会ということでございまして、幼保一元化ということになれば、役所で申し上げれば私ども厚生省と文部省ということでもって、役所の所管ということであればまたがるということになる訳でございますけれども、この一元化ということで、一元化そのものを念頭に置いた御議論は厚生省の審議会ということでもあり、ほとんどなされていなかったという具合に私は認識をいたしております。
 なお、地方分権推進委員会、これはもう最終的なとりまとめの段階に入っている訳でございますけれども、こちらの「くらしづくり部会」というところで御議論がなされております。間もなくまとまるということで伺っておる訳でございますけれども、仄聞をいたしますと、幼稚園と保育所ということの関係で申し上げれば、おのおののシステムの目的、あるいはその差異と申しますか、違いを念頭に置いた形での御検討が行われてきているということで聞いておる訳でございます。
 したがいまして、制度なりシステムなりそれ自体を一元化をするといった議論にはなっていないという具合に私自身現時点で認識をいたしております。
 こういったことで基本的なシステムの違いを前提としつつ、おのおの保育所と幼稚園が運用といった面でいろいろと弾力化を図っていくという議論はあり得るのかなという気がいたしているところでございます。
 総論的な御意見、御質問の中で、今の補助金制度は非常に煩雑だと。事務の簡素化を図れ、事前承認をやめてくれ、こういった御指摘がある訳でございます。しかしながら、冒頭申し上げましたような昨今の情勢の中で公金を補助差し上げるということである以上、やはりより一層の適正化、あるいは厳正化といったものが求められるのではないかという具合に理解をいたしております。時々、年々、いろいろな形で事務の簡素化を図ってきたつもりではございますけれども、やはり補助金ということになりますと、言ってみればこのシステム自体の“さが”のようなものではないかという具合に思っておる訳でございます。
 しかしながら、今後保育所にかかわります国と地方公共団体との間の財政システムを中長期的な観点から検討するという際におきましては、今回の制度改正に関連いたしまして、今申し上げましたような御意見が出たことを参考にさせていただきたい、かように考えております。
 それでは、少し前置きと言いますか、総論的な話が長くなりましたが、中間報告に沿いまして、順次御説明をさせていただきたいと思っております。
 「少子社会にふさわしい保育システムについて(中間報告)[平成8年12月3日中央児童福祉審議会基本問題部会]」をごらんをいただきたいと思います。
 1ページのところにつきましては、前文という形で書かれておる訳でございます。少子化の状況等が述べられておる訳でございますが、ポイントは2番目のパラグラフという具合に考えております。
 戦後間もなく制定された児童福祉法、子どもは歴史の希望として、今の児童福祉法の昭和22年のころでございますけれども、児童福祉法の制定に携わられました当時厚生省のお役人であった訳でございますが、松崎芳伸さんが、子どもは歴史の希望という言葉を児童福祉法の中に入れたいというお気持ちも持っておられたということでございます。若干文学的な表現でもあり、そういうことには至らなかった訳でございますけれども、子どもは歴史の希望として、心身ともに健やかに生まれ、育成されなければならないと。こういう基本的な理念は21世紀を迎えようとする今日でも変わりはない。しかしながら、次代を担う子どもたちが個性豊かでたくましく育つためには、新しい時代にふさわしい、質の高い子育ての環境づくりを目指した制度の再構築が急がれると。こういうことが書かれておる訳でございます。
 私どもといたしましても、ここに書いてございます児童福祉法の基本的な理念につきましては、今日でも変わっていないという具合に考えておりますが、一方では子どもや家庭を取り巻く環境は大きく変化をしてきておる訳でございます。そういった意味におきまして、新しい時代にふさわしい質の高い子育ての環境づくりを目指した制度の再構築に向けて努力をいたしたいと考えておるところでございます。
 その後ずっとございますが、「子育てをめぐる現状と今後の保育の方向について」ということでございます。
 (1)といたしまして「子育てをめぐる状況の変化」、これが1ページから3ページに掛けまして書いてございます。
 まず子育てを巡る状況の変化が述べられている訳でございますけれども、具体的には表題だけ申し上げれば、1つは「子どもの最善の利益の尊重」、2番目が「少子化のもたらす子どもの成長への影響」、3番目が「夫婦共働き家庭の一般化」、4番目が「家庭や地域の子育て機能の低下」と、以上4点が述べられておる訳でございます。
 ポイントにつきましては、「子どもの最善の利益の尊重」というところに書かれておる訳でございますけれども、子育てのための多様な選択肢が用意をされると。その子に最も適している方法を選ぶ、そういうシステムが優れているという具合に書かれておる点でございます。
 3番目の「夫婦共働き家庭の一般化」ということでございまして、夫婦共働き家庭が一般化をすると。放課後児童に対するニーズも含めまして、ニーズが多様化をしてきているという点でございます。
 それから、(2)の「子育てに対する社会的支援の強化」でございます。ここは今回、3月から基本問題部会ということで各委員に御検討をお願いしておった訳でございますけれども、今回の報告の中ではとり分け重要なポイントだと考えている訳でございます。
 書いてございますように、この最初のパラグラフでございますけれども、子どもが最善の子育てを受けるということについては、特に少子化の傾向が定着した現段階においては、社会にとって最も優先して実現すべき課題の1つであるという具合に書かれておる訳でございます。
 次のパラグラフでございますが、少子・高齢社会という具合に言われる訳でございます。高齢者の分野につきましては、例えばこの臨時国会、公的介護保険法案を提出をさせていただいている訳でございまして、既に審議も開始をされました。寝たきり、あるいは痴呆といった高齢者をシステムと費用負担の両面で社会的に支援をしていくという考え方につきましては、国民的なコンセンサスといったものは得られているんだろうという具合に考える訳でございます。
 更に次代の社会の担い手である子育てについても、社会全体で支援すべきであるということを国民的合意として再確認をするという必要性が明確に述べられている訳でございます。これまで国の児童福祉審議会におきまして、これだけ子育てについての社会的支援ということでクリアー、明確な形で御指摘をいただいたことは余りなかったのではないかと理解をいたしておりまして、今回の中央児童福祉審議会の基本問題部会におきます御議論、御検討の中で理念として非常に重要な部分であるという具合に受け止めておる訳でございます。
 そして、保育に関しましても、夫婦共働きが一般化をする、就労形態も多様化するということの中で、1つは、子育てと就労の両立を図っていく。また、2番目に子育て家庭の負担の軽減をしていく。こういう観点から、システムと費用負担の両面から子育てを社会全体で支援をしていくということの必要性が述べられている訳でございます。
 その場合、専業主婦家庭も含めまして、幅広く子育て家庭全体へ支援を強化していく。あるいは企業や社会ということで考えましても、育児休業等々含めまして、子育て支援型社会を形勢をすべきだということが言われている訳でございます。
 次に「多様な子育て支援システムの整備」ということでございます。
 ここにつきましては、「(3)多様な子育て支援システムの整備」につきましては、保育システムを多様なニーズに対応出来るものとして整備をする。利用者が適切な保育サービスを選択出来るシステムにしていく必要があるということでございます。
 そして、制度を見直して機能強化を図ることにより、ニーズに即応したと、ポイントはこの言葉でございますが、即応したサービスの提供が確保されるようにするということがまず述べられている訳でございます。
 それから、7年度を初年度といたしますエンゼルプラン、及び緊急保育対策等5か年事業が進められているが、これについては、今後とも着実な推進に努めていくべきであると、こういう具合に書かれている訳でございます。
 先般の日経新聞の記事につきまして、いろいろと御心配をお掛けをいたしたのではないかという具合に思っておりますが、私自身も実は困惑をいたしている訳でございます。今年度、2年次目に入ったばかりでございます。緊急保育対策等5か年事業につきまして、これは着実に推進をしていきたいと考えておるところでございます。
 来年度予算、平成9年度の予算でございますけれども、財政が非常に厳しい状況ではございます。私ども省全体の予算の枠ということで申し上げれば、今議論になっておりますが、医療保険制度の改革といったものの帰趨にもよる訳でございますけれども、現在、財政当局と最後のつばぜり合いを行っているところです。非公式情報では20日ごろ内示ということで聞いておる訳でございますけれども、そういったことで一生懸命やっておるいう状況である訳でございます。
 なお、申し上げておきたい訳でございますが、エンゼルプラン、あるいは緊急保育対策等5か年事業の双方に、保育システムの改善・見直しを行うということも記述をされておるということをこの際申し上げておきたいということでございます。
 今回、この報告におきまして、5か年事業を着実に推進をしなさいということの文言でございますけれども、私どもといたしましては、制度の改善・見直しも推進をせよと、こういう具合に受け止めて努力をさせていただいておるということでございます。
 いずれにいたしましても、この5か年事業の実施、来年度が3年度目に入る訳でございますけれども、5か年事業の実施によりまして、何年度に幾らということは、そのときどきの予算編成で決まってまいりますので、幾ら幾らということは年次ごとには申し上げられない訳でございますけれども、いずれにいたしましても、この緊急保育対策等5か年事業の実施によりまして、今後保育の分野に対する公費投入の額というものはますます伸びていく基調にあるということをこの際申し上げておきたいと思います。
 それから、認可外の保育施設等につきまして、サービス内容の質に留意をしつつ、地域の保育資源として位置づけ、その活用が図られるようにすべきという点でございます。ポイントは地域の保育資源としてというところかという具合に理解をいたしております。
 後ほどの文書の中で出てくる訳でございますけれども、現在、認可保育所が全国ベースで見ますと、定員に比しまして、大体20%の空きがあるという状況である訳でございます。国の立場として考えますと、保護者、父母の方々からなかなか利用しやすい保育所になっていないんじゃないか、これは認可保育所の話でございますけれども、そういうことでいろいろと御批判を受けたりいたしているところでございますが、この認可保育所をより利用しやすいものとしていくということが課題だという具合に考えておる訳でございます。
 ただ現に、都道府県、あるいは市区町村によりまして、おのおのの地域の実情に応じまして、こういった認可外の保育施設を支援をしておられるというところもある訳でございます。国としてどうするかという点につきましては、なお慎重な検討が必要であるという具合に現段階では考えておるところでございます。
 それから「保育所について」というところでございます。4ページでございます。
(1)の「保育内容の情報提供と利用者が選択できる保育所・保育サービス」というところでございます。読み上げます。
   現行の保育所制度は、市町村が保護者の労働等の事由により保育に欠けると認めた児童について保育所に措置することとなっている。措置を行う際に希望する保育所を訊くことが通例であるが、制度上は利用者が選択出来る仕組みではない。
     子どもの成長にとって保育所の与える影響は大きい。子どもの最善の利益の確保という観点からは、利用者が保育所の保育内容、保育サービスの種類等の情報が十分に提供され、これらに基づいて利用者が保育所、保育サービスを選択する仕組みとすべきである。
     保育所、保育サービスを選択出来るようにした場合においても、定員との関係での調整や優先度の高い人が利用出来なくならないような配慮の必要性などを考えると、申し込みは市町村に対して行うことが適当である。また、保育に係る費用等に対する公費負担などの面において、全体として公的責任が後退することのないようにすべきである。」

 このように書かれておる訳でございます。
 審議会の審議経過からまず申し上げますが、ここの部分、つまり情報提供が行われて、保育の場合にはお子さんは小そうございますので、実際には親御さんの判断、親御さんのお考えということになる訳でございますけれども、保育内容等につきましての情報提供がなされまして、それを踏まえて利用者が保育所を選択をしていく。こういう仕組み。この点につきまして、勿論、私は審議会に出ておった訳でございますけれども、ほとんど御異論はなかったという具合に受け止めております。
 ポイントということで申し上げますと、今のシステムは、書いてございますように、これは厚生省の方の通達で指導しているということもある訳でございますが、実際上希望する保育所を訊くということはある訳でございますけれども、法制度上、利用者が選択出来る仕組みにはなっておらない訳でございます。子どもの成長にとって保育所の与える影響というのは大きい訳でございます。子どもの最善の利益を確保するという観点から内容、あるいはサービスのメニューといったことでの情報が十分与えられて、それを前提といたしまして、利用者が保育所、保育サービスを選択する仕組みと、こういう具合にすべきだと受け止めております。これはまさに保育所の利用の一般化、普遍化ということがあろうかと思っております。
 共働き家庭という家庭の形態が、そういう形態自体が一般化と言いますか、当たり前の状況になってきておる。
 そして、そういった共働き家庭の子育ての手段といたしまして、この保育所を利用するということが極めて当たり前の状況になってきておるということを背景といたしまして、こういった状況の中で保育所の入所システムを制度上、行政処分のシステムから利用システムへ、利用選択するシステムへ転換をせよということだと受け止めておる訳でございます。
 子どもさん、親御さんを利用選択の主体として制度上位置づける。制度上行政の側の一方的な処分システムから、言わば利用者主権のシステムに改めていくということだという具合に受け止めておるところでございます。
 しかしながら、利用選択のシステムということで申しましても、例えば保育に欠けているかどうかということの事実上の確認ということもある訳でございますし、また、非常に評判のよろしい保育所がありまして、実際上親御さんの希望どおりにいって定員一杯になってしまう。そういう場合やはり優先度の高い人についての配慮といったこともある訳でございます。そういった点におきまして、申し込みは市町村に対して行うことが適当だという具合にされておる訳でございます。
 また、利用選択のシステムにしたら、費用負担の面で公費の投入の額が減るということになってはいけないということもございまして、公的責任が後退することのないようにすべきだという具合に書かれたと理解している訳でございます。
 3年前の保育問題検討会のときの議論でございます。当時、事務局たたき台というものを提出をさせていただいた訳でございますが、親御さんの年収を500 万円で区切ると。500 万円を超える家庭のお子さんは、保育所と直接契約を結ぶ。500 万円以下の家庭のお子さんについては、それまでどおり措置制度の対象という考えであったという訳でございますが、その違いということで申し上げたい訳でございますけれども、今回はそもそも検討の切り口というものが、単に制度論としての措置がいいとか、契約がよいのかという発想に立っていないという点において、前回と異なっておるという具合に理解をいたしております。
 子どもの個性、あるいは親御さんの就労の状況に見合って、保育内容等についての情報公開を前提といたしまして、利用者が主体的に選択をする、利用する、そういうシステムにせよということだろうと思っています。
 しかし、私立幼稚園のように、直接保育所に申し込むということではなくして、申し上げましたような種々の配慮ということで、市町村当局に対してこの申し込みというものはやっていただくということでございまして、ここも前回と異なっている訳でございます。
 また、公費負担の額等の面で、要するに公の責任が後退することのないようにせよということが明記をされているという点につきましても、前回の検討会の報告とは赴きを異にいたしている訳でございます。
 いずれにいたしましても、私ども負担金の総額、あるいは前回負担金、あるいは補助金という議論もあった訳でございますけれども、審議会の今回の基本問題部会の報告を踏まえさせていただきまして、対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 若干御質問への回答という感じにもなります。現時点で詰め切っておりませんので、すべてお答え出来ない点については御容赦をお願いをしたいという具合に思っておる訳でございます。
 利用システムということで申し上げましたが、利用者の市町村への申し込みを法律上書きたいと、法文上書きたいと思っております。ただ、まだ現時点で内閣法制局と詰めた議論をいたしておる訳でもございませんし、また、当然、法案を出す際には閣議決定ということになる訳で、内閣一致してということになる訳でございまして、各省との関係もございますが、私は利用者の市町村への申し込みという点を法律上明文化をしたいという具合に考えております。
 定員、若干のプラスαも認めている訳でございますけれども、その親御さんの希望どおりに入れていっていただくということになる訳でございます。現在、この児童福祉法に基づいて行われている保育につきましては、今後も引き続き何らかの形での市町村の保育サービスに対する責務と言いますか、それを前提といたしまして、市町村と民間保育所との関係、これはこれまでどおり委託、受託ということで基本的に変わらないという具合に考えております。
 それから、この選択制ということに関連いたしまして、1つの市町村の中で通所区域を決めておるというところがあるようでございます。私ども厚生省の保育課でも、保育所の関係でいろいろと活発な活動をしておられる親御さん方といろいろ接触をする機会がある訳でございますけれども、その親御さん方から得た情報の中にも、通所区域を決めているという県があるということで実は御指摘をいただいておる訳でございます。
 具体的にどうしているのかという点は勿論ある訳でございますけれども、一市町村の中で通所区域をあらかじめ決めてしまうというようなやり方が、果たして利用者の選択ということに反しないのかと、どうもそぐわないような気がいたしますが、なおよく実態をお聞かせいただきながら検討をさせていただきたいと思っております。
 それから、整備費の国庫補助の在り方について、この選択制との関係で、これまで審議会を含めまして議論なされた経緯はございません。
 それから、居住している市町村以外の市町村の保育所の利用、言ってみれば広域利用ということになるのかもしれませんが、これについては私ども問題意識を持っております。現在、各市町村の間におきまして、協定等を結んだりしてこの広域利用をやっておられるという例がある訳でございまして、現在、各都道府県御担当の方を通じまして、情報を収集をいたしておるところでございます。
 ただ、各市区町村それぞれによりまして保育ニーズも異なっております。それから、保育所の入所状況、整備の状況も異なっております。それから保育需要の多様化への取り組みの状況も異なっております。更に保育料の負担も御案内のとおりおのおの市区町村によって多様な状況があるということでございます。
 現段階でどうするということは申し上げられませんが、私といたしましては、現在、既に行われている広域利用の協定等によって、各市町村間で協定を結んだりして配慮がなされている訳でございますけれども、現に今行われているものがやれなくなってしまうということでも困りますので、おのおのの市区町村の実情に応じて多様なやり方で利用者の選択の幅というものが広がっていくような方策を、これは法律事項になるかどうかも含めてということになりますが、検討をさせていただきたいと思っております。
 それから、優先度、あるいは市町村の配慮といった御議論がある訳でございますけれども、やはり親御さん、利用者の選択に応じて入所が行われるということが基本だろうと考えております。すなわち、優先度云々ということで申し上げれば、先ほど申し上げましたように、評判のよろしい保育所があって、いっぱいになってしまうというような状態に立ちいったときの議論かなという具合に思います。
 どこにもお子さんが行けない、あるいは第2希望に回っていただくという場合の優先順位の付け方、やり方ということになる訳でございますが、私ども実態をいろいろとお聞きをいたしておる訳でございますが、おのおの市町村におきまして、点数化をするというようなことでやられておる訳でございます。
 重要な点は、透明に、オープンにやっていただくということが重要ではないかと思っておりますが、具体的な点数の付け方等々につきましては、おのおの地域の実情等々がある訳でございまして、おのおの地域の実情を踏まえたやり方があるのではないかと思っております。
 例えば母子家庭、父子家庭ということで考えますれば、こういった家庭の保育所入所につきましての優先度合いは高くなるということは、私どもこれまでの通知でも申し上げていることではございますけれども、基本的に今までと同様であるという具合に理解をいたしております。
 それから、情報提供の主体の話でございます。 これは従来市町村におきましても、広報といった形で行われている訳でございますけれども、私どもといたしましては、現時点で市町村とともにおのおのの保育所ということで考えております。その内容、あるいは媒体と申しますか、方法と申しますか、情報提供の内容、方法につきましては、現在保護者の方々からの御要望も今承っておる段階でございます。何と言いますか、誇大広告になったり、過度の競争といったことになるのはまずいと思っておりますけれども、可能な限り広く考えていきたい。親御さんの側からは、ハードの面もございますし、どういった保母さんの体制になっているかというお話もあるようでございますし、また、一日の保育、どういう形でお子さんが過ごすのかということも公開をしてくれるとありがたいという話を承っているところでございます。
 いずれにいたしましても、実施まではガイドライン、各市町村をきつく縛るという考え方は持っておりませんが、やはり一定のガイドラインというもの、これは出させていただく、そういう必要があるのかという具合に考えております。
 それから、次に4ページの「保育所における多様なサービスの拡充」という点でございます。
 書いてございますように、さまざまな多様な保育サービスを拡充をせよということで書かれておる訳でございます。ここにつきましては、保育に欠けるという要件につきまして、御質問がある訳でございますけれども、やはり保育所の法制度上の基本的な機能を広げると、保育に欠けるということでなくして、もっと広げるということにつきましては、やはり現実問題として幼稚園も含めました就学前の保育、教育ということでの制度上の問題というものもありましょうし、また、保育に欠けない子について公費を投入をして保育をしていくということについての社会的なコンセンサスといった問題もあるのではないかと考えております。
 したがいまして、現段階におきましては、十分慎重な検討が必要ではないかと思っております。
 ただ、制度上、現在で言う保育に欠けないお子さんにつきましても、例えば地域子育て支援センター事業というようなことで子育て支援スペースの整備も含めまして、対応を進めているところでございますので、こういったことについては、引き続き努力をしていくという考えを持っておる訳でございます。
 それから、障害児保育についてのお尋ねがあった訳でございますが、これにつきましては、まずは実施する保育所の数を増やしていきたい。私どもの補助事業でもある訳でございますが、来年度予算におきましても、実施する保育所の数を増やしていくという方向で当面は対応したいと考えております。
 それから、すべてこれは同じような御趣旨の質問かどうか分かりかねたのでありますけれども、いわゆる過疎地と申しますが、乳幼児人口の減少している地域、地区の保育所の経営の問題、これについての御指摘があった訳でございます。厚生省として具体的にどうするこうするという話ではございません。これはやはり地域の保育体制をどうしていくかという話になる訳でございまして、公立について言えばおのおの市町村長さん方の御判断ということになると思いますし、民間ということで申し上げれば、当然、市町村御当局の関係もある訳でございますが、おのおのの社会福祉法人の御判断ということになる訳でございます。
 社会福祉法人ということで法人化をいたしまして、個人の財産から切り離された形で法人の財産という具合になっている訳でございます。やはりこれは仮に保育の事業がなかなか大変だということであれば、他の社会福祉事業の用に供していただく。そういった面で社会福祉法人の持つ能力なり財産なりを生かしていただくということではないかと思っております。
 例えば老人福祉施設との合築等につきましては、これは国の補助という面におきましても、優先採択をいたしている訳でございます。平成8年度で数字を申し上げますと、今回私どもの課でもって563 件の施設整備を担当させていただいた訳でございますが、そのうち老人デイサービスセンター、あるいは特養等との合築が23件、児童館なども含めますと563 件のうち57件が他の施設と合築をしておるという状況になっておる訳でございます。
 そういったようなことで、例えばお年寄りの施設との合築ということもあるのではないかと思っております。
 それから、病後児保育の普及につきましては、その対応につきまして、やはり検討させていただきたいと思っております。
 それから、5ページの「保育所による地域の子育て支援」の関係に移りたいと思います。
 保育所は子育てに関するノウハウを蓄積をしておるということでございます。夫婦共働き家庭のみならず、専業主婦家庭に対しても幅広く相談に応じられるように体制の整備を進めるべきであると。
 地域の子どもとの交流の促進、母親クラブなどの地域の子育てサークル、子育てボランティアの支援など、地域における子育てのネットワークをつくっていくことが今後ますます求められてきている中で、保育所が地域における子育ての専門的センター的機能を幅広く担える方向を目指すことが必要であるということでございます。
 ここについて申し上げれば、厚生省の補助事業ということで申し上げれば、地域子育て支援センターのことを念頭においておる訳でございますけれども、5か年事業の最終目標ということでも割合として1市区町村に1か所の割合で、3,000 ということでございますので、この子育て支援センター、すべての保育所という訳にはまいらない訳でございます。
 勿論、どこの保育所におきましても、これはむしろ各地方公共団体の中から長年やってきて出てまいった事業だろうという具合に認識をいたしておりますが、勿論、どこの保育所においてもこういった相談事業に気軽に応じていただくということをやっていただくことは望ましいことだと考えております。
 この子育て相談等々の機能につきましては、現在で申し上げれば措置児童の保育という保育所のもつ本来の機能に付加された機能であるという具合に考えておるところでございます。
 それから、5ページ(4)の「保育所サービスの質の確保と運営の弾力化」に移りたいと思います。
 保育所サービスの水準については、次代を担う子どもにふさわしい内容が確保される必要があり、国民の生活水準の向上に見合って安全、衛生、設備・構造、職員配置等の面で質の確保が図られなければならない。これが大原則でございます。
 更に、保育所の設備・構造、職員配置等の基準については、サービスの質を確保しつつ、効率的なサービス提供が図られるよう、施設運営の自主性や地域性にも配慮しつつ、基準の弾力化を進めていくことが必要であるということが書かれておる訳でございます。
 ここにつきましても、いろいろと御指摘をちょうだいをいたしている訳でございます。基本問題部会におきまする御議論としては、勿論、例えば最低基準で何対何と決まっている。この数をもって増やせという御議論も当然あった訳でございますけれども、この質の確保を前提といたしまして、現在、全国一本の基準で設置主体を問わず保育所の運営が行われているということで、例えば保育の内容でございますとか、保育の方法でございますとか、あるいは利用者のニーズへの即応体制、即応の問題、あるいは保育所自身のいろいろ自発的、先駆的な取り組みへのインセンティブ、そういった面で問題があるんじゃないかという指摘がかなり多かったように私自身は記憶をいたしておる訳でございます。
 また、基本問題部会とは別に、市町村長さん、民間保育所サイドからは、いろんな意味で規制を緩和をしてほしいといったお話も承っている訳でございます。
 また、保育コストの増を招くということで、これが保育料にはね返ると。今国ベースで言いますと、大体1年間保育所で使われるお金の半々ということでもってマクロ的に申し上げれば、公の負担と保育料の負担ということになっている訳でございますけれども、保育コストの増が保育料にもはね返ってくるということになりますと、はね返りまして、例えば全額徴収階層、あるいはその下の階層ということで申し上げれば、なかなか認可保育所へのアクセスというものに困難を来すということで、認可外の施設に行くというようなお話も聞いている訳でございます。
 したがいまして、質の確保をするということが前提になる訳でございますけれども、そういった意味からも効率的なサービス提供を図っていく必要があると考えているところでございます。
 具体的には、保育システムについての中間報告の放課後児童対策の一番最後の後のところでございますけれども、6行ほど書いてございますけれども、今回、基本問題部会ということで申し上げれば、法の改正を必要とする基本問題について検討を行ってきた。保育所の職員配置、設備・構造の基準については、児童福祉最低基準で規定されておると。この基準の在り方についても、制度の見直しと平行して検討を行い、時代の要請にふさわしい基準を策定していくことが必要であると。その際、基準の在り方としては、保育所運営の自主性が確保されるように、出来る限り弾力化される方向で検討されることが望ましいという具合にされている訳でございまして、冒頭企画課長の話にもございましたように、保育所以外の児童福祉施設の関係も含めまして、なるべく早くという具合に思っておりますが、実際には法案が国会に提出されるころになってしまうかなと思っておりますけれども、この基準の在り方、あるいはその運用につきまして、検討の場を審議会の中に設けて御検討をお願いしたいという具合に考えておるところでございます。
 次に、これは6ページになりますが、費用負担の関係、まず保育料の公平な負担という点でございます。
 ここに書いてあるとおりでございますけれども、何度も申し上げておりますように、保育所の利用が一般化をしてきているということの中で、戦後間もなくのように戦災孤児、あるいは引き揚げ孤児、お父さんが仮におられても、やはりお母さんも働かないと食べていけないという御家庭のお子さんを実際上念頭において入所していただくということ。勿論、現在でも低所得者の方々おられる訳でございますけれども、低所得者のみが利用するという保育所ではなくなってきている。そういう状況の中で、申し上げましたように、利用方式ということで申し上げれば、サービス提供に応じてコストを御負担をいただくというのが基本の考え方だろうと思っている訳でございます。
 また、書いてございますように、現行の応能負担方式ということで申し上げれば、さまざまな問題がある訳でございます。中堅所得階層の負担感の問題。あるいは税の捕捉の関係での不公平感、こういったことが指摘をされておる訳でございます。審議会の御議論ということで申し上げれば、この応能負担方式をどう改めるかというのは別といたしまして、この応能負担方式自体を改めるという点、そのこと自体につきましては、私の記憶におきまして、そんなことはだめだという委員はおられなかったように記憶をいたしておるところでございます。
 こういったことにつきましては、これはまさに市町村の保育の関係、あるいは税務の関係の事務ともかかわってくる訳でございますけれども、市町村の事務負担の緩和ということにもつながるのではないかと思っております。
 私ども、厚生省のインターネットにも、この均一化をしてくれという話が来ておる訳でございます。
 また、平成6年の10月に、私どもの関係しております財団法人こども未来財団、これが子育てに関する社会的支援に関する調査ということで、これはたしか有識者に郵送配布回収という方法で行ったものでございます。若干回答数が少ないという感じもいたしますけれども、「保護者が負担する保育料については、各市町村が保護者の税額に応じて徴収することとなっています。国は10段階に分けて基準額を設定しており、例えば1〜2歳では、生活保護世帯は無料、所得税額15万円から21万円の世帯では5万円、43万円以上の世帯では保育単価(平均約8.3 万円)となっています。この仕組みについては、これが適当であるという意見と、税額を通じた所得の状況の把握について、クロヨンと言われるような不公平があり、保育料の基準として適当ではないという意見がありますが、あなたはどうお考えですか。」という質問に対する回答ということでございますが、その上の表、全体のところをごらんいただければと思いますけれども、「原則として、一律の保育料を徴収するけれども、負担能力のない低所得者に対しては、減免措置を講ずることで対応することがよい。」これが62.9%。それから、「納税額にかかわらず、サービスの内容に応じて一律の保育料を徴収する方がよい。」これが7.1 %、合わせて70%という具合になっている訳でございます。
 更に、「支払い能力に応じて負担する方がよいので、現行の仕組みのままでよい」というのが23.3%と相なっている訳でございます。
 今回、本日のこの会議でございますけれども、これにつきましても、いろいろな御意見、御質問を寄せていただいておる訳でございますけれども、相変わらず今までと同じ応能負担がいいというところはほとんどございません。1市のみでございました。ほかの各都道府県、政令市、中核市の方々につきましては、では、一体水準はどうなるんだと。あるいは低所得者と言っているけれども、その範囲というのは一体どうなるんだという御議論、あるいは御質問はある訳でございますけれども、今のままの応能負担がいいという御意見であったところは1市だけでございました。
 こういったことである訳でございますが、この保育料の問題につきましては、内部的に検討を進めていく必要があります。現在の制度を前提といたしますれば、具体的には平成10年度予算編成、この過程で決まってくるということになろうかと思っております。
 それから、若干御質問との関係で申し上げれば、御案内のとおりでございますけれども、実際に保護者との関係で適用されます保育料の基準につきましては、市町村において条例等により決められている訳でございまして、現在の団体事務というものを前提といたしましての精算基準としての位置づけの性格は変わらない訳でございます。医療保険制度ですと、一部負担金幾らという具合に法律上書いてある訳でございまして、これは全国どこへ行っても、どこの医療機関に掛かっても一部負担金というのは法律で書かれているとおりということになる訳でございますが、この保育料の関係につきましては、国で定める基準というのは、精算基準、更にガイドラインという意味を持っている訳でございまして、精算基準、あるいはガイドラインとしての性格は変わらない。逆に申し上げれば、保護者との間で実際に適用される保育料の基準というのは、市町村において条例等により決められるということになる訳でございます。
 保育料の徴収、これにつきましては、いろいろと御意見の中で保育所でもって徴収をしたらどうかと。こういう御意見もちょうだいをいたしておる訳でございます。現実に私も保育所において徴収をしている、そういう保育所を拝見をさせていただいたこともありますけれども、実態は実態として、そういうところがやれなくなってしまうということまでは考えておりませんが、保育料の徴収は今までどおり市町村ということになろうかと思っております。
 それから、日経の記事に関連をいたしまして、保育所ごとに料金格差の話が出てきておる訳でございますが、これにつきましては、市町村がまさに直営と言いますか、自らの保育所で行う、あるいは民間の保育所に委託をするという前提で考えるということでございますが、コストが同じであれば、それによって格差が保育所によって出てくるということはないということでございます。
 それから、年齢や定員規模、地域によって保育コストは異なると。御指摘のとおりでございます。そういったことも念頭におきまして検討を進めていく必要があろうかと思っております。
 この保育料の水準、あるいは低所得者の範囲、減免の額、多子世帯等の軽減などのいろいろな配慮措置等々につきましては、現在、検討を開始いたしておりますけれども、更に検討を進めまして、状況を見ながらでございますけれども、お示し出来るような状況になれば、これまたオープンにさせていただきたいという具合に思っているところでございます。
 それから、6ページの公費負担の在り方につきまして、お話をさせていただきたいと思います。  これにつきましては、保育料の方を利用方式にする。あるいは中堅階層の負担感、それから更に不公平感といったことに配慮いたしまして、コストに応じた均一の方式にするということである訳でございますけれども、一方で若夫婦でございます。そんなに所得が高い階層ばかりという訳でもない訳でございまして、子育て家庭の経済的負担を軽減するための社会的支援ということで、保育料負担の適正な水準を確保するためには、引き続き所要の公費負担が必要であるとされている訳でございます。
 子育てと就労の両立の支援、あるいは女性の就労等々が社会全体にとってプラスになる。その2点がその場合の留意点、テイクノートすべきこととして述べられている訳でございます。
 つまり、保育料につきましては、コストに応じた均一の負担という考え方に立つ訳でございますが、更に今申し上げましたようなことで、公費の投入をいたしまして、適正な負担水準にせよ。併せ読みますとそういうことだろうと。
 また、低所得者にも配慮をせよということで受け止めさせていただいておる訳でございます。  公費投入の方法につきましては3つの方法が述べられている訳でございます。
 1つは、通常の開所時間内のサービスと、それ以外の延長や一時的保育の部分に分けて利用者に共通の前者の部分に公費を重点的に投入するという方法でございます。この考え方につきましては、公平な負担にかなうのではないかと思っております。
 大部分の人とは別の事情でより多くのサービスを受けるということであるとすれば、その分やはりコストに応じて御負担をいただくという考え方である訳でございまして、保育時間の延長、一方で夜間保育ということもある訳でございますけれども、基本的には日中保護者の労働等によりまして、保育に欠ける状態のお子さんを集団として保育をするという保育所本来の機能ということを考えますと、また、公費投入に伴ないまして、市町村事業としてのもろもろの制約も出てくる。そういったものから逃れて、保育所自らがニーズに即応した形で弾力的できめ細かな対応を行うことが出来るということである訳でございます。
 その場合の保育料は、当然のことながら、保護者にとって無理のないものにしていく必要もあるという具合に考えておる訳でございます。ただ、これにつきましては、一方で保育事業というものが多様化をしてきている。恒常的に就労の時間が長くなるということで、そういった人たちに対する配慮をどうするんだという御議論があることも事実でございます。そういったようなこともございまして、次にということで2番目になる訳ですが、利用時間帯にかかわりなく、利用時間の長さが同じであれば、保育料の方も同じになるように公費投入をするという方法である訳でございます。保育料のところの考え方に対になった公費負担の議論でございます。
 この考え方ということで申し上げれば、サービス提供をするという側から見ますと、利用時間帯によってコストが実は異なる訳でございますけれども、それに見合った形の保育料を負担していただけるんだろうかということもございます。
 また、実務的に一人ひとりのお子さんの保育時間というものを把握をしておくという必要も出てくるではないかと思っております。
 それから、バウチャー方式でございます。これはいろんなやり方が実務的には想定をされる訳でございますけれども、例えば親御さんが市町村で保育料相当額を払う。バウチャー、つまり利用券をそこで入手をすると。一定の質の確保された保育所、認可保育所ということになるのかもしれませんが、そこを自由に選択してその利用券を保育所に渡すということでもって、保育所を利用し、保育サービスを受ける。保育所はその利用券を市町村に持っていくということで運営費を受け取る。これはいろんなやり方がバリエーションとしてある訳でございますけれども、言ってみれば、選択性の極致とも言うべき方法かなという具合に思っております。
 もう議事録もオープンになっておりますので、ごらんいただいているかもしれませんが、委員の先生方からは、こういう方法もあるのではないかということで、これは私自身の受け止め方ですが、評判が悪いという訳ではなかったという具合に思っておりますけれども、私自身、なかなかこれは関係者の意識がそこまでついていけるのかなと。あるいは、いろいろ実務上の問題も出てくるのかなと、そんな気がいたしておるところでございます。
 どのような方法を取るかにつきましては、利用者の適正な保育料負担水準、実務上の問題等を考慮せよということとされている訳でございますけれども、やはり費用負担の公平の問題、ニーズに即応したサービス提供の拡大といった観点も含めて、審議会の御議論を踏まえて、検討を更に進めていきたいという具合に思っております。
 それから、なお書きが書いておる訳でございますが、私なりにこういうことかなということで受け止めておるということで申し上げれば、例えば乳児保育ということで申し上げれば、赤ちゃんを保育所で保育をするということになりますと、国の基準で申し上げれば、保育コストは月14万8,000 円掛かっております。
 これに対しまして、国ベースの保育料の平均徴収額は月額4万2,000 円ということでございまして、10万円以上が一般国民を始めとする税でもって賄われているということでございます。
 一方、育児休業も普及をしてまいっております。女子常勤労働者の約七割が育児休業制度を利用という状況になってきておる中でございますけれども、家で赤ちゃんを育てるということになれば、25%の育児休業給と、社会保険料が免除になるということでございまして、公的なお金の投入という面で差、あるいはそのバランスという問題があるのではないかと。こういったことだという具合に私自身は受け止めておるところでございます。
 若干御質問の関係になりますが、国と地方の負担割合でございますが、先ほど申し上げましたように、全体の半分を保育料、半分を公費ということですが、その公費の中が、国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1という具合になっておる訳でございますけれども、この2分の1、4分の1、4分の1という割合を今回変えるという御議論は、中央児童福祉審議会基本問題部会の中では出ておりませんでした。
 それから、義務的経費を増やせという御指摘もある訳でございますけれども、私自身地方分権という大きな流れの中で、地方が縛られてしまう度合いの大きい義務的経費というものを増やしていくという方向というのは、政府部内も含めまして、コンセンサスが得られるんだろうかという感じを持っている訳でございます。
 それから、(6)の「保育所以外の保育施設」でございます。
 ここでは最初のパラグラフ、保育サービスの安定的確保、信頼性、質の確保の観点からは、今後も保育所が保育サービスの供給の中心となると考えられるということでございます。認可保育所が今後とも中心だという具合に言っている訳ですが、私はその後の2行、条件が書いてあると思っております。認可保育所の利用システムの弾力化を行っていくと。多様なニーズに対応出来ようにしていくことが必要であると。言わば条件としてこの点についてはということで書かれているんだろうという具合に思っております。
 現時点におきまして申し上げましたように、定員に対して2割の空きがあるという状況の中で、国としてこういった施設に対しまして、助成をしていくということにつきましては、申し上げましたように慎重な検討が必要ではないか。地域の実情に応じまして、地方公共団体において適切な対応がなされるということが基本ではないかと思っております。 一方、基準を守っていない保育施設に対しましては、各都道府県にも大変御苦労を煩している訳でございますけれども、やはり今まで以上に、より実効性のある対応を今後検討していく必要があるという具合に思っております。
 それから、急ぎ足で申し訳ありません。放課後児童対策でございます。
 これにつきましては、最初のパラグラフに書いてございますように、多様な運営主体によって現在行われておるということでございます。全国で8,605 か所、対象の児童数が32万人、実施市町村ということで申し上げれば、大都市を中心にしまして、全体の約3分の1で行われておるということでございます。
 その次のパラグラフに書いてございますように、これもやはり夫婦共働きが一般化してきているという中で、小学校低学年の子どもを持つ家庭についても、子育てと就労の両立支援、あるいはこういったお子さんの健全育成を図る必要性が増大をしておるということでございまして、この事業の普及を図るために市町村の積極的な取り組みが求められているということで審議会の部会報告におきましては、放課後児童クラブをシステムとして児童福祉法体系の中に位置づけることを積極的に検討する必要があるという具合に書かれている訳でございます。
 法システムに位置づけるということを積極的に検討せよということでございまして、現在検討を行っておりますが、各地域でもって多様な方法で今実施をされております。今後、将来のことを考えましても、まさに利用者、お子さん、あるいは親御さんのニーズに合った形で柔軟な形で事業が拡大をしていくということが要請をされている訳でございまして、そのことと法制度化ということとの関係につきまして、現在、鋭意検討をいたしておるところでございますし、この点につきまして、十分な検討が必要だろうという具合に思っている訳でございます。
 駆け足で申し訳ございません。最後に何点か申し上げたいという具合に思っております。今回、各都道府県、政令市、中核市の方々からいろいろな御意見、御質問をちょうだいをいたしました。ここですべて現時点でお答え出来る訳ではございませんですけれども、私ども大変参考になった次第でございます。今後の検討の中でよき材料として生かさせていただきたいと思っておりますし、御質問の趣旨について、若干分かりかねる点もございますので、これはまた後で問い合わせ等をさせていただくことがあろうかと思います。よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから、保育行政ということについて申し上げたい訳でございますけれども、今まで以上に、あるいは今までと異なった手法で、より利用者の立場に、お子さんや親御さんの立場に立った行政展開をしていく必要があろうかと思っております。これが1点でございます。
 もう一つ、地方分権という流れの中におきまして、これは私、今年の3月の児童福祉主管課長会議におきましてもお話をさせていただいた点でございますけれども、やはり地域の実情に合った保育行政の展開が求められているという具合に考えております。 利用者の立場に立った行政展開とも関連をいたす訳でありますけれども、おのおの地方公共団体におかれましては、より住民サイドのニーズを的確に把握をされる。そういったことはもとより、より主体的な御対応がこれから求められてくるのではないかと考えている次第でございます。
 以上、3点申し上げまして、どうか今回の制度改革につきまして、御理解と御支援をお願いをいたしたいと思っております。
 また、今後とも情報の相互流通を更によくしていくということで、私のお話を終わらさせていただきたいと思います。

〔母子家庭の実態と施策の方向について(中間報告):大河内家庭福祉課長〕

 家庭福祉課長の大河内でございます。
 日ごろ要保護児童対策、あるいは母子家庭対策の施策の推進につきましては、御尽力頂いておりますことを、この席をお借りいたしまして、御礼申し上げたいと思います。
 私からは3つのテーマのうちの母子家庭施策関係について御説明申し上げます。時間の関係もありますので、資料の中間報告書についての概要版で御説明申し上げていきたいと思います。6ページからでございます。出来る限り事前に頂戴いたしております御質問、あるいは御要望を踏まえながら御説明申し上げていきたいと思います。
 中間報告では大きく3つの観点から提言されております。1点目は母子家庭の現状と施策の方向について、それから2点目は社会的支援のための施策についてで、具体的な施策について触れております。
 3点目は児童扶養手当制度についてという構成になっております。
 1点目の「母子家庭の現状と今後の施策の方向について」でございますけれども、母子家庭の施策の検討に当たって現状をどのようにとらえ、それを踏まえてどのように施策を考えていく必要があるかということで提言されておる訳でございます。
 母子家庭の現状、あるいはその認識は、1点目は、母子家庭の形態はかつてと異なり、離婚など生別母子家庭が大半を占めていること。それから収入状況は平成5年度の全国母子世帯等調査結果でございますけれども、215 万円となっている訳でございますけれども、分布を見ると相当拡散しているということ。
 それから、就労状況は約9割の方が働いているものの、転職を希望している人が多く、その理由は収入がよくないとしている者が約5割となっていること。その理由としては、我が国の労働市場では、特に中年層の女性で年少の子どもがいる場合、ハンディキャップがあると考えられること。
 それから、離婚世帯で現在養育費を受けている世帯は約15%にとどまっており、経年変化を見ても著しい状況の変化は見られない。そのような現状と認識が示されておる訳でございます。
 (3)にありますけれども、社会的支援に当たって、いろんなデータとか現状から見ますと、母子家庭の実態は一様ではないということで、例えば「継続的に手厚い社会的支援を必要とする層」それから、「適切な社会的支援を講ずることにより自立が可能な層」、「必ずしも経済的に困っていない層」など、幾つかの層に分かれるのではないかということであります。
 したがいまして、社会的支援も母子家庭であるから必ずしもすべて必要であるという訳ではなくて、また、社会的支援が必要があるケースでも、就労支援が優先される人、経済的な支援が有効な人、保育など子育てと就労の両立支援が必要な人、精神的な支援が必要な人のように、態様やニーズも多様であり、それに応じたきめ細かな支援が必要であると提言されております。
 そこで(4)となる訳でございますが、母子家庭の対応が一様ではないということとともに、一般の家庭においても、共働き家庭が増加するなどの変化が見られる中で、母子家庭施策を一般施策と別個のものとしてとらえるのではなく、子育てと就労の支援や相談ニーズなど、ニーズの内容に着目し、施策の総合化や普遍化を図ることが必要ということが提言されております。その中で父子家庭については、収入状況等も母子家庭と異なっており、同一にとらえることは出来ないが、困っていることなどを見ますと、経済的な面より家事とか子育てと就労の両立支援や各種の相談ニーズは共通しているので、これらの施策については、母子家庭と区別することなく取り扱うことが適当であるという提言となっております。
 事前の御質問とか御要望の中で、母子家庭と父子家庭を区別することなく、一人親家庭として積極的な支援策をという御要望や、「父子福祉法」を制定する考えはないかという御意見を頂戴しておりますが、審議会の議論の中でも一人親家庭としてとらえるべきではないかという御意見もありましたが、父子家庭については、労働市場におけるハンティキャップや収入状況は母子家庭の場合と異なっており、両者を全く同一にとらえることは適当でないというふうに考えている訳でございます。
 また、父子家庭についても、母子家庭と同様に低所得の家庭に対して、例えば児童扶養手当等の経済的な支援を行うべきではないかという御意見も頂戴しております。先ほど申し上げましたように、両者には労働市場におけるハンディキャップや収入状況の相違があることや、他の所得の低い一般世帯との均衡等の問題もあり、なかなか難しいというふうに考えている訳でございます。
 しかしながら、子育てと就労との両立支援や各種相談等のニーズについては、母子家庭のニーズと重なり合っており、こうした施策の分野では母子家庭と父子家庭を区別することなく取り扱うことが適当であると考えておる訳でございます。
 現在、介護人派遣事業とかショートステイ事業など、必要なニーズに対しては区別することのないように改善に努力してきておりますけれども、今後も必要なニーズに対しては改善に努力していくことが必要ではないかと考えている訳でございます。
 それから、次に2つ目は、社会的支援のための施策についてでございます。ここでは施策の方向については、4つの項目にわたりまして、具体的に提言を頂いている訳でございますが、母子家庭の自立を考えたとき、特に就労対策の推進や相談体制の整備が大切ではないかとの御意見が多く行われた訳でございますが、具体的な提言としましては、技能習得や職場の確保、就労に当たって子育てと就労の両立支援、それから相談体制の整備、あるいは母子寮の機能強化の4つの項目に触れられている訳でございます。
 (1)の技能習得や職場の確保では、この分野は労働省などの施策にわたる面が非常に多い訳でございますが、企業等の事業主などの理解を求めなくてはいけないという分野であると思っております。事前の御質問、それから御要望には、優先雇用の話とか、あるいは法定雇用率を設定したらどうかという御意見も頂戴している訳でございますが、母子家庭だけを取り出してこうした制度を設けることが妥当かどうかという問題がありまして、まず、これまでの就労確保対策の充実を図ることが重要であるということであります。
 それから、御意見、御要望では使用者側の意識開発や周知徹底が必要ではないかという御意見も頂戴しております。審議会でもそのような御意見も出ておりました。私どもも努力していかなくてはいけないと思いますけれども、皆様方の方でも労働部局と一層の連携を図っていただき、あらゆる機会を通じて周知徹底などを図って頂きたいと思っております。
 それから、ホームヘルパーについて触れられておりますけれども、母子・寡婦福祉団体が実施しているホームヘルパー養成研修等の内容の見直し、あるいはホームヘルパーを採用する市町村との連携が必要ということで提言を頂戴している訳でございますが、これに関しても、皆様方からさまざまな御意見を頂戴しております。ホームヘルパーとして優先雇用が考えられないか、取得したい資格や技能に必要なカリキュラムに応じて弾力化な運用が出来る補助制度に改善されたいとか、研修期間中の生活費の補助が必要ではないかといろいろ御意見を賜っております。
 因に、私どもの補助事業として、母子家庭及び寡婦自立促進費でホームヘルパー等養成講習会の経費を計上している訳でございますけれども、9年度の要求で2級のヘルパー資格が取れるよう、時間数を増やすように要求しているところでございます。
 実際の雇用につながるよう、市町村との連携を図る上でも皆様方のお力添えが必要になってくるのではないかと考えております。
 それから、ちょっと概要の方には出ておりませんけれども、報告書には母子福祉貸付金について触れられておる訳でございますが、もっとニーズに即した内容、あるいは手続の簡素化というようなことについて提言がある訳でございますけれども、皆様方の方から簡素化の具体的な内容はどうか、あるいは貸付金額の増額を図って欲しい、ニーズに合った貸付金にして欲しいとか、いろいろ御意見・御要望を頂戴している訳でございますけれども、具体的な内容につきましては、現在、検討しているところでございます。
 それから、簡素化の議論の中で母子家庭ですと、保証人の確保が難しいというお話も聞く訳でございますけれども、皆様方の御意見の中には、簡素化もいいけれども、償還の問題があり、十分な検討をして欲しいとの御意見を頂戴しております。
 いろんなこうした御意見等を踏まえながら、今後十分検討してまいりたいと思っています。
 それから、(2)の子育てと就労の両立支援では、保育サービス等の充実や、介護人派遣事業の利用要件の緩和の検討が必要と提言されている訳でございます。介護人派遣事業の利用要件は、現在、傷病等に限定されている訳でございますが、緩和ということで、これから詰めていくということになろうかと思います。皆様方の御意見、御要望の中には、急な状況の変化に対応出来るように利用しやすい制度にして欲しいとか、あるいはホームヘルパーと一体化を図ったらとか頂戴しております。
 前者はともかくといたしまして、後者につきましては、今後更に検討すべき課題かと思っております。
 それから、(3)の相談体制についてでございますが、全国母子世帯等調査によれば、相談相手がいない人は約3割に上り、そのうち約7割以上の母子家庭は相談相手を必要としているというような結果が報告されております。相談内容も多岐にわたっていることから、身近な相談機関で総合的、かつ専門的な相談支援体制を整備することといたしまして、具体的な方策としては、1つは児童自立支援システムの方で、大泉企画課長からお話があったと思いますが、母子寮や養護施設等を活用した「こども家庭支援センターの積極的な活用。2つ目には、母子相談員の有効活用、婦人相談員の一体的活用。3つ目は、母子家庭や離婚時に際しての相談にはいろいろ法律関係の問題がある訳でございまして、適切なリーガル・サービスを受けることが出来る仕組みを設けるべきとの3つの提言がなされております。
 リーガル・サービスを受けることが出来る仕組みとか、現にある自立促進事業の特別相談事業というのがある訳ですけれども、それとの違いはというような御質問をいただいておる訳でございますけれども、ここではこども家庭支援センターなどで、こうしたリーガル・サービスを受けられるような仕組みを考えており、提供の基本的仕組みは検討中でございます。必ずしも弁護士が常駐する必要はないにしても、弁護士会等と協力を仰ぎながら、適時・適切に答えるように工夫していきたいと考えております。
 それから、特別相談事業は母子福祉センターなどで母子相談員において取り扱った母子家庭を対象とした事業でありますが、この事業の延長線上でいくのか、あるいはこども家庭支援センターの機能として考えていくのか、この辺の関係についてもこれから検討したいと思っております。
 それから、(4)の母子寮についてでございますが、母子寮は単なる住居の提供だけではなく、入所者のニーズに応じたケースワーク、あるいは寮内保育とか緊急一時保護等を実施し、それぞれの母子家庭の自立に向けて積極的な支援が求められている施設で、現在の母子寮中には、その役割を十分果たしていない施設が多いということで、そういった機能を果たすために、積極的なインセンティブを与えて十分に機能を発揮出来るようにすべきという提言であります。
 それから、母子寮に関しましては、広域措置の点に触れておりますが、母子寮の入所措置は現在、御案内のように、郡部、市部の福祉事務所単位で行っている訳ですが、管轄外からの入所に積極的でない施設が見受けられる。夫の暴力等で逃避する場合に、スムーズになかなか措置がうまくいかないという御指摘もあり、そこで広域的にスムーズに行くような仕組みを検討すべきという提案を頂いておる訳でございますが、現在、例えば入所ケースの費用負担の明確化など、運用面における改善措置がどこまで出来るかというところで検討しているところでございます。
 次に、大きな柱の3つ目の児童扶養手当制度でございますが、御案内のように、児童扶養手当制度は昭和36年度に母子福祉年金の補完制度として創設され、60年の改正を経て、今日に至っておる訳でございますが、創設当時は母子家庭の離別は少なかった訳ですが、その後、離婚が増加しているというようなことから、受給者数も増加して、現在では約60万人の方が受給している訳でございます。
 それに伴い、受給者の対応もいろいろと複雑化しており、皆様方もその事務処理には御苦労が多いと思っておりますが、例えば御要望の中には、事実婚の明確な判断基準とか、扶養義務者と生計関係の明確な判断基準を示して欲しいとか、現行制度の運用面での御要望も来ております。それはさておき、今回の報告では、児童扶養手当に関して3つの点で提言が行われております。
 1つは、離婚母子家庭への児童扶養手当の支給に当たっては、社会的公正の確保という観点を踏まえて、手当を支給した上で、要は受給者たる母への支給がストップしないで、離婚した夫からその所得等を勘案しまして、手当に要する費用の全部または一部を徴収出来る仕組みを導入することも考えられるので、その可否などについて理論面、それから実務面の検討をすべきではないかという点が1点でございます。
 それから、2点目としましては、児童扶養手当と併給禁止の公的年金の額が、児童扶養手当の支給額を下回る場合の取り扱いの検討が必要という点です。
 それから、3つ目の点は、未婚の母の子が父親から認知された場合の支給の是非も検討が必要という点、以上の3つの点が提言されております。
 御意見、御要望が多かった1点目について、現段階で考えていることを御説明申し上げたいと思いますが、御案内のように、60年の改正に当たって、離婚した夫が高額所得者である場合には、手当を支給しない旨の規定が設けられておる訳でございますが、夫の養育費の支払い能力と、実際の履行は別という議論が国会でもなされまして、この規定は御案内のように未施行となって現在に至っている訳でございます。
 今回の提言が60年の改正と異なるのは、夫が高額所得者であることをもって母子家庭の支給制限をするということではなく、あくまでも支給はするが、夫から費用の全部または一部を徴収するという点で大きな違いがある訳でございます。
 皆様方から事前に頂いた御意見、御要望を拝見しますと、中間報告の趣旨なり考え方については、理解は出来ても実務面が心配という御意見が寄らせれております。そのほか、民事で解決すべきではないかとか、養育費の支払いの取り決めや、その履行の減少に結び付く恐れはないかという御心配を頂いておる訳でございます。
 後者の点から申し上げますと、養育費の支払いの適正な実施は、子どもにとって極めて重要で離婚の際の適切な養育費の取り決めとともに、適正な履行のため、早急に対応を講ずることが必要があるという認識の下に、我が国の離婚は協議離婚が圧倒的に多い訳でございますが、実際、養育費を受けている方は相変わらずの状況といったことを踏まえて、夫の扶養意識を高めるとともに、社会的公正の確保を図るということが重要であるとの議論があった訳でございます。
 今回の報告の徴収制度の考え方は、先ほど申し上げましたように、児童扶養手当を支給制限するのではなく、支給するに当たってその費用の全部または一部を子に対して養育義務を負っている夫から徴収することとするものでありまして、母子家庭の立場に配慮したものと理解している訳でございます。
 離別した夫と妻との養育費の取り決め等の内容等につきましては、御意見があるとおり、基本的には民事上の問題として当事者間で話し合いの上、決められるべき性格の問題であり、今回の費用徴収制度とは直接関係するものではないというふうに考えている訳でございます。
 実態的に養育費を減額するというようなことが生じるではないかという御懸念も寄せられておりますが、先ほど申し上げましたように、基本的は当事者間で適切に話し合いがなされるべき性格の問題であると考えております。
 なお、適切な話し合いが行われずに、養育費の履行が打ち切られるといった事例につきましては、先ほど申し上げましたリーガル・サービスの活用等が図られるよう配慮していきたいと考えている訳でございます。
 それから、実務面の御心配でございますが、所得状況の把握とか、他県に行った場合、どうしたらいいかというようなこととか、膨大な事務量になるんじゃないか。都道府県や市町村の事務が過剰とならないようにして欲しい、あるいは実際、離婚した夫から徴収出来るのか。その場合の債権管理とか、徴収出来ない場合の負担を都道府県だけが負うのかと。それから、事実婚や未婚の母の子の父親はどうなるのかというような御質問なり御要望なりを頂いております。
 具体的な仕組み、例えば徴収対象となる夫の所得額や徴収額とか、夫の所得証明の仕組みとか、夫の所得が激減した場合の取り扱いとか目下検討中でありますが、考え方の方向といたしましては、徴収対象となる夫の所得額、徴収額につきましては、一定のラインで線引きし、離婚の前年度所得がそれを上回る場合には一定額を一定期間徴収する。あるいは、夫の所得証明については、離婚した妻に夫の所得証明を出させることをしないで確認出来ないかとか。それから、夫の所得が激減した場合には、一定の減免基準を設け、所得が激減したことを夫に挙証させるということを現段階では考えておる訳でございます。
 いずれにしても、この制度を設けることにつきましては、理論面でも実務面でも更に検討が必要でありまして、皆様方の負担が過重とならないような工夫が出来ないかということで検討しております。社会的公正の確保という観点から、こうした仕組みも検討していく必要があると考えておりますので、御理解方よろしくお願いしたいと思います。
 なお、御質問の中に母子及び寡婦福祉法の改正を行うのかという御質問がありましたけれども、今回、御提言頂いている内容を見ますと、既存の事業の拡充とか、通知の改正で済むものが多いということを認識しておりまして、仮に改正するとしても、全面改正にはならないと考えております。
 今後は厚生省として関係省庁と協議しながら内容を詰め、成案を得られれば児童福祉法の改正と一緒に法案を提出したいというふうに考えております。
 以上で御説明を終わらせていただきます。
*

[質疑応答]

○(問)1つは、今後の進め方の中で、この中間報告に基づいて法改正案を作成して提出するという御説明であったと思う訳ですが、審議会の方で今後の日程で、例えば最終提言を改めてもらうとか、そういうことは考えておられないのかどうかということが1つ。
 それからもう一つは、保育課長の説明の中で、保育所関係者からは、公立も含めて事務局が定期的に非公式に意見を交換したというふうに御説明があったとお聞きするんですが、この提言は審議会の方で提言をまとめられたんであって、審議会の方への保育所の関係者からの意見とか提言はどうなっておるのか、改めてお聞きしたい。とりあえずこの2点をお聞きしたいと思います。
○企画課長 まず1点目でございますけれども、おっしゃいましたとおり、この中間報告をもって法案を策定していく予定でございます。したがいまして、この3点のテーマにつきましては、この後審議はいたしません。最終報告というものはないものと考えております。
 それから、法案要綱という形で冒頭に申し上げましたとおり、別途諮問いたしまして、答申をいただくということになってございます。
○保育課長 審議会の事務局である厚生省の児童家庭局長、あるいは保育課長宛てに幾つかの保育関係団体から御意見と言いますか、あるいは御要望と言いますか、こういったものが出てきておる訳でございまして、審議会の席上、何と言いますか、配布という訳ではございませんけれども、そういう旨出てきておるということで、御紹介をさせていただいて、審議会の委員の御判断でもってそれを読まれるということがあった訳でございますし、それからこの基本問題部会、この第1回目のシリーズが終わった後出てきておるというものにつきましては、また、これは今後先ほど申し上げましたように、諮問、答申と、こういうことがある訳でございますので、同じようなことでもって対応をさせていただきたいという具合に思っております。
 現時点で、審議会において保育関係団体から意見聴取をする場をつくるということについては、事務局として現時点ではそういう考え方を持っておりませんが、当然、いろいろなお考えがこれからも出てくるのではないかと思っておりますので、それは今申し上げましたような形で、審議会の方へお知らせをするということで対応したいと思っております。

○(問)まず1点目は、最低基準についても、中央児童福祉審議会において検討するということをちょっと伺ったように思うんですけれども、これは施設の一人当たりの最低面積ですとか、職員配置基準についての見直しも検討されるのかどうかというのが1点。
 もう一つ、福祉施設の関係で、乳児院と養護施設との合体、一体的な運営とかについての提言は特にありませんでしたという御説明だったと思うんですけれども、運用の弾力化で問題が解決出来るかどうか。その辺のところも若干の説明を願えればと思います。
○企画課長 まず1点目でございますけれども、最低基準と申しますと、勿論、施設の面積、あるいは職員の配置、それも含めての検討を行っていくという意味でございます。
 2点目についてでございますが、御説明したとおりでございますけれども、当初、専門調査会などで乳児院、それから養護施設の合体論のような審議はされておりましたけれども、結果として、合体そのものではなくて、措置換えをスムーズに行うなどの運営の方の改善を考えたらどうかという提言になっている訳でございます。
 これを具体的にどうするか。法律事項も含めて、今、検討中でございまして、具体的にどうするかについて、即申し上げることは出来ませんけれども、この点、乳児院から養護施設に移行するときに、法の規定に合わないようなことも生じていることも念頭に入れて、法改正、あるいは通知改正、それらを含めて検討させていただいているという状況でございます。

○(問)2点ほど、お尋ねと申しますよりも、やや御意見のようなところがございますけれども、申し上げさせていただきます。
 1点目には、最後の御説明で出てまいりました児童扶養手当の費用を徴収していくというシステムの関係でございまして、各県すべて同じだと思いますけれども、児童福祉の措置にかかわる措置費の利用者負担の部分でございますとか、あるいは母子・寡婦の貸付金の返還でございますとか、そうした児童福祉の関係で徴収しなければいけないものを多々担当させていただいておりますんですけれども、どこでも、どうしても徴収出来ないものが出てくるという実態で、それが未納金の形になり、時効で処理をしているという実態があり、少々問題になっているような部分もございます。
 こうした中で、児童扶養手当についての本来の扶養義務者である父親からの費用徴収ということを考えてみますと、離婚した世帯の場合ですので、母親と父親の関係が大変険悪な状態にあって、なかなか徴収に応ずるような事態でないということを容易に予想出来ますのと、それから父親側が新しい世帯をつくり上げていかれるだろうということがある訳でございまして、例えば生活保護の場合でも、離婚した後子どもを引き取らなかった方が新しい家庭を持たれた場合に、そちらに扶養義務を追及するというのはかなり限定的に行わざるを得ないということで非常に限られた範囲で費用徴収を、可能であれば求めていくというようなやり方を取っているはずでございますので、そうした中で画一的に離婚された母子に対して父親ということになりますが、そちらに費用徴収を求めていくやり方というのは、これは実務的に非常に難しいというふうに私ども感じておりまして、御意見をお出ししたところでございますので、そうしたことは御理解いただきたいと思っておりますのが1点でございます。
 2点目は、実は今回の報告とはほとんど直接関係いたしませんけれども、全国的にエンゼルプランを策定して計画的に行政を進めるということの音頭を取っていただきまして私ども進めているところでございまして、この数値目標を定めていくということで設定いたしますと、これを実現するというのは、それを制定しました行政庁としての政治責任という形でやっていかなければいけない形になっておりますので、こうした事業について、具体的に実現するための事業をお願いする場合に、これは安定的にそれを応えていっていただけるようにしていただきたいという気持ちを持ってございます。これはやや個別の話ではございますけれども、こうした事情を十分御理解いただきたいというふうに感じております。
 以上、2点でございます。
○企画課長 最初の御質問でございますけれども、費用徴収の難しさというのを承知の上で検討させていただいているということで御意見を十分拝聴いたしました。 2点目、エンゼルプラン、あるいは緊急保育対策等5か年事業の実現、これは保育課長が申しましたように、一生懸命これを実現すべくやっていくつもりで、これは制度改正は制度改正、エンゼルプランはエンゼルプランということで、両方念頭において実施していくつもりでございます。 ○児童手当管理室室長 実務の件につきましては、今、企画課長の方から申し上げたとおり、簡単だというふうに考えている訳ではございませんで、出来るだけ都道府県の方に御負担を与えないような工夫を講じていきたいと考えております。
 ただご質問の中で民法との関係について言及されましたので、その関係について一言だけ付け加えさせていただきたいと思います。
 今回の費用徴収の考え方は、養育費の取り決めでありますとか、民法上の扶養義務と直接連動させるというように考えている訳ではございません。
 と申しますのは、諸外国におきましては、協議離婚ということではなく、裁判離婚の際に、言わば養育義務や程度というものが決まってくる。ところが、我が国の場合は、協議離婚が前提でございますので、養育費の取り決めが行われないということがあり得る訳であり、むしろそういうケースの方が多いという実態になっております。
 したがいまして、今回の徴収は、そうした養育費の履行義務を言わば国が肩代わりしたから、その代わりに徴収をするという考え方ではありません。ちょうど老人福祉施設の費用徴収と同じように、この場合には扶養義務者は特定いたしますけれども、その扶養義務の程度のいかんにかかわらず、その扶養義務者の所得に応じて費用徴収されるという構成になっている訳であり、例えば民法上の養育義務が毎月2万円だとしましても、その養育義務とはかわりなく、専ら所得に応じて費用徴収されるという構成になってくる訳でございまして、こうした徴収方式にならって検討してまいりたいと思っています。
 そういうふうにいたしませんと、恐らく実務的には乗ってこないというふうに私ども考えている次第でございます。
 それから、その他、今回の徴収については、いろいろ御意見をいただいているところでございますが、1つだけ御理解を頂戴したいのは、一方で扶養義務の履行が低調なままに、児童扶養手当の支給が行われている。本来的に扶養義務と言いましょうか、養育義務を負うべき夫が扶養義務を履行しないという状態を放置したままで、全額公費の児童扶養手当を支給し続けてよろしいのかという議論が、部会の中で強く出されたということを申し添えさせていただきたいと存じます。

○(問)児童自立支援システムについての中で、いわゆるこども家庭支援センターの総合的、専門的な相談、指導の在り方と、次に出てくる児童相談所の活性化についての部分でのバック・アップ機能の創設の中で、より専門的な医師、弁護士、施設関係者等の第三者の専門家で構成する協力システムにおける相談体制の在り方の違いについて、少し御説明いただければありがたいのですけれども。
○企画課長 こども家庭支援センターと申しますのは、児童相談所のブランチというふうに御説明申し上げましたように、身近なところに、地域にある相談機関みたいになるものでございます。それを児童福祉施設に付置しようということが提言されている訳でございます。
 そのスタッフをどうするかというのはこれからの問題でございます。どういう専門の方を置くか。あるいはその施設の方をどういうふうに活用していくかというのはこれからの問題でございますが、いずれにいたしましても、地域住民のための相談機関というような位置づけとお考えくださればよろしいかと存じます。
 児童相談所のバック・アップ機能の方は別でございまして、児童相談所の措置に関する効率化とか透明化を図るため、あるいは施設の処遇などに御意見をいただくために、児童相談所のアドバイザリー・グループみたいなものを児童相談所のなかに、あるいは外にという御意見もございましたが、付けましょうというものでございます。そういう方々、専門家から成るものを付けて、例えば法律関係だったら弁護士さんに入っていただくとか、あるいは精神科のお医者さんに入っていただくとか、あるいは施設の現場の方に入っていただくということで、実情に在った意見を行っていただくということを考えております。

○(問)保育関係について多少細かい部分になってしまうんですが、お尋ねをさせていただきたいんですけれども。
 まず、1点目ですけれども、公費負担の在り方の部分で、この文言の中では、通常の開所時間内の保育サービス部分というふうにあるんですけれども、これは具体的に何時から何時までを想定されているのかを1点お尋ねいたします。
 それから、2点目ですけれども、保育所における多様なサービスの拡充ということで、現在の乳幼児健康支援デイサービス事業では、保育所併設型は認められていませんが、方向として保育所での病後児の保育を一定の条件の下に認めていこうとお考えになっているのか。これが2点目てす。
 それから、最後の3点目なんですけれども、保育所の入所に関しまして、保護者及び児童の希望と言いますか、主体的な選択の中でというお話がありましたけれども、通常の保育所の措置という点で児童福祉法の第24条の中で、規定がある訳ですけれども、今回の中央児童福祉審議会の中間報告を受けて、この児童福祉法の第24条の規定というものがどのような形で対応していくのか、それをお伺いしたいと思います。
○保育課長 第1点目の通常の保育時間ということでございますが、最低基準には8時間ということが書かれておる訳でございますけれども、保育時間の意味ということにもなる訳でございますが、いつ付けの局長通知だか忘れましたが、開所時間ということで申し上げれば、朝7時から夕方6時までということを、これはたしか開所時間の延長保育サービスの関係の通達の最初の方だったかと思いますけれども、そういうことでお示しをさせていただいているかと思います。
 それから、24条がどう変わるかという点につきましては、今日申し上げましたような趣旨で、例えば申し込みというようなものも書きたいと思っていますし、それから24条につきましては、現在、これから各省あるいは内閣法制局と子細な点については詰めていきたいと思っています。現時点で具体的にこういう条文にするというイメージは私の頭の中には、まあ、おぼろげながらありますけれども、現段階ではお話し出来ような段階ではないという具合に思っています。
 それから、お話のとおり緊急保育対策等5か年事業で進めております乳幼児健康支援デイサービスを現在では乳児院等においてやっている訳でございますけれども、これを例えば保育所でやるというのも、理論的には1つのやり方であろうかと思いますし、それからまた、保育所独自で、これは5か年事業云々ということにならないかもしれませんが、保育所独自にと言いますか、今の乳幼児健康支援デイサービス事業とは別にという意味でございますけれども、保育所において、御案内のとおり、例えばちょっとした発熱でもって電話が掛かってきて、お子さんを取りに来なさいという具合に言われるということについてのお母さん方のいろいろな不満というものも、いろいろな保育所に対する不満は多いんですが、かなり高い順位の不満になっている訳でございまして、保育所において少なくとも医療機関と何らかの形で連携を取るというようなことは必要だと思っておりますけれども、乳幼児健康支援デイサービスを保育所で適用するというのも1つの方法かもしれませんし、また、その事業とは別に、保育所で医療機関との連携なども保ちながらやっていくという方法もあるかもしれませんし、いずれにしても、検討させていただきたいと、このように思っております。

○(問)今回の自立支援システムという中間報告の絡みでございますが、虚弱児施設とか情緒障害児短期治療施設との絡みで、今回この中間報告には特には触れられていない訳ですが、例えば不登校児童の受け入れという自立支援、そういう絡みで法改正等、あるいは今後何らの形でこれがまた一層明確に位置づけられる可能性等につきまして、承りたいと思います。
○企画課長 具体的に一つひとつの施設について提言がされている訳ではございませんけれども、御説明で申し上げましたように、自立支援という理念の下に、地域サービスを行っていく施設、これはすべての児童福祉施設の改正につながってまいります。 今、個別の施設のお名前がございましたが、虚弱児施設とか情緒障害児短期治療施設がどうなるかということですが、この施設の全体の提言を受けまして、私どもこれから検討していく訳でございますが、虚弱児施設については、ちょっと申し上げましたように、実態に合わせてどのようにすべきかというのが検討の視点でございますし、情緒障害児短期治療施設につきましては、平成6年2月の中央児童福祉審議会の家庭児童健全育成対策部会報告にもございましたように、年齢の問題、あるいは短期という問題がございますので、この辺が検討の視点になる予定でございます。結論はこの検討を踏まえてということになります。

○(問)お話に出なかった点を2点ほどお尋ねしたいと思います。
 1つは、今回の少子社会にふさわしい保育システムと、児童の自立支援システムということでございますが、一連の児童福祉サービスの中におけます行政システムの在り方というものについて、審議会の中で議論が出たのかどうか。行政システムというのは、県というのもありますし、市町村もありますし、あるいはその中間形態としての広域行政圏でどのようにサービスを共同して持っていくかという発想もあろうかと思うんですけれども、まず、審議会の中で議論がされたのかという点と、あと児童家庭局としてもしお考えの点があれば教えていただきたいということでございます。
 私ども、特に保育サービスの中につきましては、過疎が進んでおります地域は、1つの市町村の中でサービスを完結していくという形態も出来れば望ましいんですけれども、複数の市町村で1つのサービスを持っていくというタイプも今後の多様化するサービス形態として考えていきたいと思っているんですが、その中で制度的な面もありますし、また、運用面での補助金の交付とか、使途がより円滑に使えるような形にしていただきたいという希望を持っております。
 一方で児童の自立支援問題につきましては、見ておりますと、やはり市町村の関与が非常に薄いという気がいたしておりますので、今回、新しくつくられるとされておりますこども家庭支援センターということで、先ほど児童相談所のブランチとして考えているということをおっしゃった訳ですけれども、これについて行政の関与の仕方はどうなっているのかと。 施設の自主事業なのかどうかと。あるいは、行政も多少は関与していくという形になるのかどうかという点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、2点目でございますが、児童扶養手当の問題でございます。これは全くお話の中で出ておりませんので、恐らくお考えになっていないんだろうと思いますけれども、児童扶養手当という金銭給付は、単に金銭給付をばらまいていくという面だけではなくて、生活保護との関係でありますとか、あるいは在宅福祉サービスとの関係、総合的に母子家庭を支援していくということが必要だろうと思っております。
 私ども現在、県だけで全市町村の児童扶養手当の認定でありますとか、支給とか債権管理というのをやっておりますけれども、やはり在宅サービスとか生活保護との連動でもって、これは県の希望といたしましては、少なくとも政令市に事務を委譲したらどうなのかという希望がある訳でございますが、恐らくお話に出ていないことを見ますと、非常に難しいんだろうと思いますが、考えをお聞かせいただきたいと思います。
○企画課長 行政システムの在り方についての審議というのは、児童相談所については大分審議された訳でございますけれども、国のシステムはどうあるべき、県のシステムはどうあるべきというようなことで審議はされてございません。
 それから、こども家庭支援センターの市町村への関与ということでございますが、こども家庭支援センターが児童相談所のブランチということを考えますと、基本的に都道府県事業を受託するという立場になる訳でございます。
 また、児童福祉施設の方で既に予算措置でやっている虐待の24時間相談事業などもある訳でございますけれども、どちらにしましても、おっしゃるとおり市町村という関与がずっと薄かったことは事実でございまして、中間報告をよくごらんいただきますと、市町村という文字では出てきておりませんけれども、地域の児童福祉施設、機関という言い方をしておりまして、これは当然に市町村の機関も入っているということを考えての上でございます。
 したがって、こども家庭支援センターを運営していくに当たっては、当然に市町村を巻き込んで、ネットワークの1つとしてやりたいということがここで提言され、考えられている訳でございます。
 それから、児童扶養手当の政令都市への委譲というのは、これは都道府県の方から御意見が出ていることは、以前から出ている訳でございますが、逆に政令市の方がお受けにならないという御意見も出ている訳でございまして、今回、このために検討したことはございませんけれども、将来の課題として認識しているということでございます。
○保育課長 いわゆる行政システムという面において、今回の基本問題部会において、そうたくさんの御議論があった訳ではないという具合に認識いたしております。
 先ほど保育の点について触れいただいた訳でございますが、なお、よく実態、実情等を伺わせていただきながら検討していきたいという具合に思っています。

○(問)児童福祉法が今度大きく改正されるということで、施設の会などに伺っても、この改正について大きく注目されて、期待を寄せているんですが、例えば最低基準等の見直しのところで暫定定員のところがありますが、勿論、少子化のところで、変な言い方をすれば出来高制みたいなもので、年度末にならないと、次の年の見込みが立たないという経営状況の中で、よい人材を長く安定して雇うという見込みが立たないから、雇い入れがどうしても不安定な状態になってしまうという心配を抱えている施設があるんですが、今回、規制緩和的にそのような方向に向けての検討をまた今後される予定があれば教えていただきたいんです。
○企画課長 大変いい御提言をいただきまして、ありがとうございます。基準の見直しのときにその御提言を踏まえて検討していきたいということでございます。
 なお、1つ付け加えさせていただきますけれども、今日、たくさん御意見が出まして、まだまだ言い足りないというお顔をしていらっしゃいますけれども、また、私どもこれから法案をつくっていく訳でございますが、具体案が出来た段階で、またこのような機会を設けたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。

−閉会−
  問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
     担 当 福田(内3113)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03−3595−2491

審議会等議事録 ホームページへ戻る