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第2回血液行政の在り方に関する懇談会議事録



1.日 時 平成8年12月13日(金)10時00分〜l2時00分
2.場 所 厚生省共用第7会議室
3.出席者
(委 員) 以下敬称略
井形昭弘 神尾友和 行天良雄 草刈 隆 坂巻 煕
清水鳩子 曽野綾子 高久史麿 中谷瑾子 秀嶋 宏
藤田 仁 前田義章 三星 勲 湯浅晋治 渡辺俊介
(専門委員) 中井一士 布施 晃 宮島 剛 宮村達男
(厚生省) 薬務局長
審議官(薬務担当)
審査課長 安全課長 監視指導課長
血液事業対策室長 医薬品副作用被害対策室長
医薬品適正使用推進室長 他
4.議事内容 1 開 会
2 議 事
(1)諸外国の血液事業等について
(2) その他
3 閉 会


血液室長
本日はご多忙のところご出席いただきましてありがとうございました。定刻になりましたので、ただいまから第2回血液行政の在り方に関する懇談会を開催いたします。私は厚生省薬務局企画課血液事業対策室長の外口でございます。
本日の出席者についてでございますが、菅谷徹委員と森嶌昭夫委員は都合によりご欠席でございます。なお秀嶋委員と中谷委員は遅れているようでございます。次に専門委員の方では小室勝利委員が都合によりご欠席でございます。
高久座長
皆さん方朝からお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。第2回血液行政の在り方に関する懇談会を今から開かさせていただきます。
本日は主に前回の第1回にご指摘のあったことについての事務局側からの説明と、それから各国の血液事業等についての事務局の方からの説明があると思います。一応事務局の方からの説明を聞いて、皆さん方の方からご質問やご意見をお伺いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、本日の資料の確認を事務局の方からお願いいたします。
血液室長
それでは本日の資料の確認をさせていただきます。まずお手許に「第1回血液行政の在り方に関する懇談会の議事録」がございます。これは前回10月30日に行いました第1回の懇談会の議事録で、氏名入りの議事録です。
そして本日使用させていただきます資料は資料1と資料2がございます。両方とも諸外国の血液事業等についてという題名になっておりますけれども資料1の方は後ほど説明に使いますオーバー・ヘッド・プロジェクターの資料と同じものです。また、資料2の方は資料1の参考の資料でございまして、関連資料については同じ番号をつけてありますので、ご参照をいただきたいと思います。
また、パンフレットが3冊同封してあると思いますけれども、緑色のパンフレットにつきましては、これは三星委員からいただいたものでございまして「ライオンズクラブ献血登録制の手引き」であります。
日本赤十字社の方から二つパンフレットがございまして、一つは「献血と血液のハンドブック」もう一つは「かけがいのない生命−たしかな贈り物」、二つのパンフレットでございます。のちほどご参照いただきたいと思います。
高久座長
ありがとうございました。資料1と資料2はお手許の方にあると思います。なければ事務局の方に申しつけ下さい。
それでは事務局の方から資料1と資料2についての説明をよろしくお願いいたします。
血液室長
本日説明させていただきます資料1については20枚のシートを予定しておりますが、大きくその20枚が三つの部分に分かれます。まず前回の指摘事項について、それから米国、ドイツ、フランス、英国、日本といった各国の血液事業の概要並びに安全対策等について、そして最後にそれら各国の対策の比較表を用意してございます。
それでは最初に1枚目のシートです。見にくい方は資料1の方の1ページをみていただきたいと思います。
まず諸外国の血液事業の説明に入ります前に前回第1回の指摘事項がございます。1番目が自己血輸血の現状について、これは井形委員よりご指摘のあった件でございますけれども、事務局の方で過去調査した数字を表にさせていただきました。資料2の1ページ。「1−1自己血輸血の現状」というところをご参照願います。これは平成4年の10月から12月の3カ月間における自己血輸血の状況について厚生省が行った全国アンケート調査の結果です。この表では300床以上の全施設について回答を求めました。回収率は59.3%でした。診療科別にみますと自己血輸血を実施しているところでは多いのは件数では整形外科、続いて心臓血管外科、産婦人科という順番になります。また、この表におきます手術件数、そして自己血実施件数というのを聞いておりまして、手術件数を分母にして自己血実施件数を分子にしたものを実施率として右側の%で表に出させていただいております。手術件数というのは輸血の有無にかかわらない手術件数でございまして、輸血実施の件数については未調査でございます。なお、この表の中で内科、小児科にも手術件数というのが出てますが、これは骨髄ドナーについての実施が含まれているということによるものでございます。それからここに書いてございませんけれども、二つ数字をあげさせていただきますが、300床以上の全施設の調査なのですけれども、一つの医療施設で自己血輸血を実施しているかどうかを科にかかわらず聞いた場合には実施している医療施設は48.5%となります。自己血輸血にはご存じのように貯血式、回収式、希釈式といろいろな方法がございますけれども、一番多いのは貯血式でした。貯血式の割合は73.5%となります。以上が自己血輸血の現状についてでございました。
次にアルブミン製剤の使用実態、これについては前回多くの委員から指摘がございました。最初に疾病別の使用量について説明をさせていただきます。資料2の2ページ「1−2疾病別アルブミン製剤使用量」というのがございます。これは平成5年11月を対象期間として500床以上の病院に行ったアンケート調査の結果でございまして、ここには15歳以上の患者さんに対する調査結果をまとめてあります。なお回収率は59.1%であります。これでみますと疾病名で一番多いのは慢性肝疾患及び肝硬変です。2番は胃の悪性新生物、つまり胃ガンです。この胃ガンも含めまして4番の肝臓の悪性新生物、それから6番の大腸の悪性新生物、7番の食道の悪性新生物等消化器系のガンに対する使用が多いようにも思えます。また、この表では手術の「有り」、「無し」というので分類もしてありますけれども、時期は不明ですが、手術なしの時期の投与も多いようです。そして前回指摘がありました腎炎及びネフローゼについての使用はここでは10番目になっています。
次に都道府県別の使用量についてでございます。資料2の3ページをご覧いただきたいと思います。「1−3都道府県別アルブミン使用状況」というのがまとめてありますけれども、これも厚生省が行ったアンケート調査で対象は全国の精神病院を除く一般病院です。これは過去2回調査をしてございまして、1回目が平成3年の11月、2回目が平成7年の11月を対象期間としております。平成3年のときの回収率は59.9%、平成7年のときは58.9%であります。ここには県別、これは県別にした場合に回収率に差がありましたので、1000床あたりということで比較できるようにしてありますけれども、アルブミン製剤、これを原料血漿換算でみますと平成3年のときは一番多いのは京都で 416.60L。続いて千葉、奈良、北海道という順番になっております。また、少ないところでは47番目から逆にみますと高知、沖縄、佐賀という順でございます。これは都道府県で一番多いところと少ないところを比較しますと約10倍の差となっております。次に平成7年の11月の調査でも多いところは茨城、北海道、京都、少ないところでは高知、富山、佐賀、やはり10倍近くの差となっております。ここで一つ考えられることといたしまして、たとえばアルブミン製剤の多いところと少ないところでは逆に新鮮凍結血漿の使用が逆相関の形であるのではないかということも一つ考えらるわけでございますけれども、新鮮凍結血漿についてみますと平成7年11月の方をみていただきたいのですが、新鮮凍結血漿の使用量の多いのは一番多いのはここで順位5番目の愛知、二番目は順位9番目の栃木、次に順位17番目の神奈川。少ないのは47番目の新鮮凍結血漿の場合も少ないのは高知、それから45番目にある佐賀が2番目に少なくて34番目にある和歌山が3番目。逆相関というよりはむしろ正の相関でございます。この差につきましては、これはさきほどお示ししました疾病別の患者さんの偏りということではなかなか説明できないものでありまして、現在このアルブミンを含めた使用基準について、いろいろ検討しているところであります。今後、輸血学会の先生方等のご協力を得ながらこの点については早急に再検討をしたいと考えております。
次に各国別の使用量でございます。これは資料2の4ページ、「1−4アルブミン製剤の使用量の国際比較」というのがございます。これは人口100万人あたりのアルブミン製剤の使用量をs単位で表したものです。ちなみに1sというのは原料血漿に換算しますと、約39Lであります。この表でみますと日本は615s、フランス350s、ドイツ400s。1.5倍とか、1.9倍になろうかと思います。なお、米国の数字でございますけれども、この数字につきましては公表できない民間調査機関のデータしかないわけでございますので、こういった書き方にしてありますけれども、日本の使用量の4分の3程度と言われております。
次に三星委員から提出された資料についてです。これにつきましては資料2の5ページ、6ページ、7ページを参照していただきたいと思います。前回三星委員より献血者のお立場、そしてライオンズクラブのお立場からいろいろなご指摘をいただきました。ここに書いてありますものがご指摘を文書であらためていただいたものでありますけれども「国内需給の実現について結論を出すべきである。」といった需給に関する基本的な考え方、そして「安心して献血できる法と制度が必要である。」というライオンズクラブのご意見等についてまとめていただいております。
また、この5ページの4番にからんでいることでもありますけれども、後ほどご案内いたしますけれども、次回の「血液行政の在り方に関する懇談会」では会議の後に血液センター等の視察を予定しております。また各委員におかれましても、こういった指摘事項の形で事務局に意見を提出していただければこのような形で次の回の会議資料にさせていただきたいと思います。
それでは、これから各国の血液事業の概要について説明させていただきます。次のシートをお願いいたします。
資料1では2ページ、資料2では8ページになります。これから各国の血液事業の概要についてご説明させていただきますけれども、その内容につきましては、去る11月2日〜14日にかけて厚生省からこの会議の専門委員であります予防衛生研究所の布施室長、そして私の隣に座っています血液事業対策室血液専門官であります山崎、そして日赤の方からは血漿分画センターの沼田課長、そして中央血液センターの田所副所長の4名が欧米の調査に行ってまいりました。さらに、それに加えて血液製剤調査機構、ここからは本日中井理事が専門委員として出席していただいておりますけれども、この調査機構の協力を得ましてまとめたものでございます。
まず米国の実情でございます。輸血用血液製剤につきましては米国赤十字血液センター、これは数では約45になります。それから病院血液銀行、これも約600ほどございます。それから地域の血液センター、約135ございますけれども、ここで無償の献血により採血が行われ、輸血用血液製剤が調製されて医療機関で作られているわけであります。実際のシェアですけれども、米国赤十字血液センターで約45%、病院血液銀行で11%、地域血液センターで42%であります。これを足すと98%で2%残ってしまうのですけれども、この2%につきましては、ドイツやスイスから赤血球の形で輸入が行われております。
次に血漿分画製剤についてでありますが、血漿分画製剤につきましては上の三つの組織からきた血漿が民間事業者に集められ、またその下にありますけれども、民間事業者独自で血漿センターを設けております。そこから採取もされております。ちなみに民間事業者の血漿センターからの採取は600万Lから900万L(年間)と推測されます。民間事業者の血漿センターは、これは有償でありますけれども、平均するとだいたい1回700mlを15ドル〜20ドルで採取をしているようであります。
一番下に米国赤十字血液センターというカラムがありますけれども、米国の場合には米国赤十字血液センターの血漿を民間事業者にこれは製造委託いたしまして、それから赤十字血液センターを通じて医療機関に供給しているというわけでございます。なお、これらの血液が分画製剤につきましては資料2の8ページに一番左側にFDAというカラムがございますけれども、このFDAが製造承認、製造許可、査察等の監督を行っております。FDAは米国の厚生省の一組織であります。
次のシートをお願いいたします。
次に米国の安全対策等についてであります。
まずこれは献血者の献血記録の管理からでございますけれども、献血者の献血記録の管理、これは米国では全国的なシステムはございません。これは事業者が3種類に分かれているからです。事業者ごとにデータを管理されております。全国的な統一も課題となっているようでございます。
2番目に献血者のHIV等の抗体検査の結果の通知でありますけれども、これは安全対策というよりも献血者本人のためかと思いますけれども、HIVの場合も、HTLV- 1というATLを起こすウイルス、この場合も検査結果は献血者に伝えられております。
3番目、HIV抗原検査(P24)これは最近開発された検査であります。ご存じのようにHIVに感染した後で抗体ができる場合にウインドウ・ピリオドという抗体検査で感染が分からない期間というのがありますけれども、その期間を少しでも短くしようと今年から米国が行っているスクリーニング検査であります。
その次に不活化のバリデーション/PCR検査という欄がありますけれども、これは分画製剤にたいして行われているものであります。ことばがなかなか分かりにくいんですけれども、バリデーションというのは確認という意味です。それからPCR検査というのはポリメラーゼ・チェイン・リアクション検査の略で、遺伝子レベルで行うウイルスの精密検査であります。いずれも分画製剤のウイルス感染を防ぐための安全対策でありますが、たとえばC型肝炎ウイルスの場合であれば、ウイルスを除去し、不活化する不活化工程の確認試験や不活化工程がない場合には遺伝子レベルでのウイルスの精密検査が行われております。
次に血液製剤による感染症の報告、これは米国の厚生省の一機関であるCDCの行います肝炎やHIVのサーベイランスシステムが活用されております。
最後にルックバックということが書いてありますけれども、これについては次のシートでご説明させていただきます。
このルックバックというのはなかなか良い訳がないんですけれども、遡及調査とでも訳すことができるかと思います。ルックバックというのは大きく分けて2種類に分かれます。まず供血者、献血者も同じようなものですけれども、供血者から開始するルックバック、そして受血者、これは患者さんの方で、輸血を受けた患者さんですけれども、この受血者からスタートするルックバックと2種類に分かれるかと思います。上の方は米国、フランス、ドイツで制度化されております。下の方はフランスで制度化されドイツでも実質的に実施されている方法であります。
まず1番目。供血者から開始するルックバックでありますけれども、例えば今回の供血血液がHIV等に感染していることから、以前の供血血液がウインドウ・ピリオドであった可能性がある場合、ここに書いてありますけれども、ルックバックというのはウインドウ・ピリオドに対する対策でもあるわけです。例を申し上げますと私が今月献血したとします。今月献血したときにその血液はHIV陽性であったとします。そうすると私が3カ月前に献血したときの血液はHIVのウインドウ・ピリオドであった可能性があるわけです。そういった場合に3カ月前に採った血液はもちろん抗体検査では陰性であるわけなんですけれども、ウインドウ・ピリオドの可能性が否定できないので、ルックバック(遡及調査)が行われるわけであります。次のシートお願いいたします。
これはルックバックを図にしたものですが、たとえば供血、あるいは献血をしたときにその血液がHIV陽性であったときに、一つ前のたとえば3カ月前の献血のときの血液はHIVの抗体は陰性なんですけれども、これがウインドウピリオドである可能性があるわけです。そのときは感染の可能性があるわけです。その血液に逆上って原料血漿や、実際に患者さんに使われたケースに対して遡及調査をするわけであります。たとえば患者さんが輸血を受けた後HIVの感染が明らかになったとします。この場合に供血者に逆上ってルックバックをいたしまして原料血漿あるいは他の輸血用血液たとえば患者Aに赤血球の輸血をした場合には患者Bに血漿や血小板の輸血を同じ血液から分離して使っている可能性がありますので、そういった血液について遡及調査をするわけであります。次のシートお願いいたします。
これが米国におけるルックバックの例についてでございますが、ウインドウ・ピリオドに対する対策でありまして、再度血液を提供したドナーが抗体陽性を示した場合に、ここでいう再度というのは抗体検査が再度陽性になった場合という意味でありますけれども、1回陽性だった場合に確認のためにもう1回検査をして陽性だった場合にルックバックをしまして、感染リスクのある製品の隔離、そして安全性の確認これはPCR検査であります。それから当該リスクを有する製剤を輸注した患者さんに対する説明等を行うわけであります。これらについては逆上る時期がアメリカの場合決まっておりまして、以前の供血時の血液について輸血用の場合でしたら5年以内。これはカルテの保存期間ともからんでいるわけです。そして血漿分画製剤の製造に用いる場合、これは6カ月以内。6カ月以内と短いのは原料血漿の段階であればそれを隔離する。プールして製造工程に入った場合は、これは他の不活化工程とかPCR検査とかいろいろございますので、そういった安全対策の方で対処する。これらの手続きについてはFDAにより定められております。なお、詳細につきましては資料2の9ページにまとめてありますので、ご参照お願いしたいと思います。次のシートお願いいたします。
次のシートは米国における血液対策の最近の動きであります。前回第1回のときに米国の厚生省の委託を受けて米国の医学研究所(IOM)が95年7月に報告した血液製剤によるHIV感染問題に関する報告書という資料をお配りさせていただいておりますが、この報告を踏まえまして、米国厚生省は、現在以下の対応を行っております。
まず血液安全指導者の任命であります。これは米国の厚生省の中の組織がございますけれども、厚生省長官は保健担当次官補、これは局長級のポストでありますけれども、を血液安全指導者に任命して、この血液安全指導者が血液安全対策の調整監督につき包括的な責務を有することとなりました。すなわち血液安全対策についてハイレベルのリーダーシップを確保したということであります。
次に血液安全委員会の設置、米国におきましてもエイズ問題については関係機関の連携が果たしてよかったのかどうかということが大変問題になったわけでございますけれども、そういった反省を受けまして、政策決定のためのハイレベルの場として血液安全指導者、FDAの長官、CDCの所長、NIHの所長等をメンバーとする血液安全委員会が設置されました。ここで関係機関の相互連携を密にすることが行われているわけであります。
3番目、血液の安全と有用性に関する諮問委員会の設置というのがございます。これは2番目の血液安全委員会の諮問機関として委員会が設置され、従来からFDAでは技術的なことに対する委員会はあったわけですけれども、それらに加えましてこの諮問委員会では血液の安全性の判断に際し、経済的要素がどのように考慮されるべきか、そういった問題、あるいは倫理的な問題。こういった問題も含めた幅広い問題につきまして助言することとなっております。現在この諮問委員会の委員については人選中ということでございます。この説明につきましては資料2の10ページにさらに細かく書いてありますので、後ほどご参照いただきたいと思います。次のシートをお願いいたします。
次はドイツの血液事業の概要です。ドイツにつきましては輸血用の血液製剤はドイツ赤十字血液センターと病院付属血液センター、民間の血液センターの三つの組織が担当しております。この中で一番多いのはドイツ赤十字血液センターで約8割はそちらで対応しております。民間の血液センター、ここでは諸外国の場合輸血用血液製剤の場合は赤十字とか、公的なセンターが多いんですけれども、民間の血液センターでも新鮮凍結血漿の一部を供給しております。なお、血漿分画製剤につきましてはこれらの上の三つの組織から集めました原料血漿、さらには輸入血漿等も活用しまして分画製剤がつくられて医療機関に供給されております。
資料2の11ページの方をご参照願いたいんですが、左側にこれらの組織を管理監督する州とポール・エーリッヒ研究所というのが書いてあります。各センターに対する製造の許可や査察や市販後調査につきましては各州に権限があります。また、1994年からは分画製剤の審査につきましては、これは国の組織でありますポール・エーリッヒ研究所があたっております。次のシートお願いいたします。
次のシートはドイツの血液の安全対策等についてでございます。
まず献血者の献血記録の管理につきましては、後に説明いたします現在準備中であります輸血法案というのがあります。ここの輸血法案では管理については10年間管理ということが考えられているようであります。
2番目、献血者へのHIV抗体検査の結果の通知についてですけれども、これは現在必ずしもすべて教えられているわけではないようでありますけれども、輸血法案の中では義務づけということを考えているようであります。なお、ドイツにおきまして、これはHIVと同じレトロ・ウイルスでありますHTLV−1の検査については、頻度の問題もあるんでしょうけれども行われておりません。
3番目、新鮮凍結血漿の6カ月間の保管またはSD処理によるウイルスの不活化等、これは新鮮凍結血漿に対する安全対策なわけですけれども、これはウインドウ・ピリオドを意識したものです。新鮮凍結血漿の6カ月間の保存というのは、これは献血された方の血漿を新鮮凍結血漿の形で6カ月間保管しておきます。 6カ月後に再度献血にこられた人の結果が陰性であれば、この場合ウインドウ・ピリオドのリスクはきわめて少ないわけでありますので、はじめて6カ月前のを出荷する、こういったシステムであります。それからSD処理、これは化学薬品を用いたウイルスの不活化の方法です。こういったSD処理は分画製剤の場合は良く使われておりますけれども、新鮮凍結血漿についてもこういったことが試みられております。この場合には新鮮凍結血漿をプールしてSD処理をするものですからSD処理の効かないウイルスに対してはリスクがかえって増すのではないかという意見も一部にはあります。
その次、輸血前後の検査、これは現在はドイツにおいて義務づけされてはいないわけでありますけれども輸血法案の中では盛り込まれることも検討されているようです。
それから不活化のバリデーション/PCR検査、これはさっき米国の安全対策のところで説明したものと同様でございます。
それからルックバックでありますが、これは現在は勧告により実施されておりますけれども、輸血法案では義務づけが考えられております。
書いてありませんけれども、参考までに申し上げますと、米国で行っておりますHIVのP24抗原検査の導入についてはドイツでは考えられておりません。
次のシートお願いいたします。
ドイツににおける血液対策の最近の動きであります。ドイツでは80年代のいわゆる薬害エイズのような問題、そして90年代にもウーベー・プラズマ事件というような事故があったのでございますけれども、そういった事故の再発防止を目的といたしまして、1994年に中央保健組織の新整備に関する法律というものが制定されました。この中でかつて連邦保健省の中で医薬品の承認や危険性の評価、防止等を行っておりました連邦保健庁という保健省の中の組織が解体されまして、血液製剤の審査についてはポール・エーリッヒ研究所に移管されました。そして現在ドイツでは先ほど申し上げましたような輸血法(Transfusionsgesetz) の検討がなされております。このドイツの場合の輸血は日本で使われている輸血という概念よりやや幅広いようでございまして、採血から使用に至るまでの概念も含まれているようでございます。この中で献血記録や新鮮凍結血漿の保管、輸血前後の検査の実施、感染症発生の報告等について盛り込まれることが検討されているようです。なお、関係者の話によると「98年秋ごろまでには成立できるのではないか。」そういった見込みもあるようでございます。次のシートお願いいたします。
次はフランスの血液事業の概要についてであります。フランスでは93年にやはりエイズ問題等の反省を受けまして「輸血及び医薬品の安全性に関する法律」が公布されました。そして血液事業について大改革が行われたのであります。
まず最初に13番目のシートについて説明させていただきます。13番目のシートについては14ページです。フランスにおける血液対策の最近の動きでありますけれども、この新しい法律で血液公社と医薬品公社という二つの特殊法人が設置され、さまざまな改革が行われております。前の法律は1953年の公衆衛生法典というところで旧体制について決められていたわけですけれども、これらにつきましていろいろ意見ご指摘がありました。その内容については1992年にフランスの上院調査委員会というところで報告が行われておりまして、指摘されたこととしては「行政の血液センターの監督が不十分である」「血液センターの輸血サービスが不均一である」そして「自発的な無償献血が安全であるということに対して過度の信頼がなされている」こういったことが指摘されました。自発的な無償献血が安全であるという過度の信頼があったということは別のことばでいえば問診のやり方が不適切であるということでもあります。そういったことを受けまして法改正がなされたわけであります。
10番目のシートにもどります。
資料2の12ページも併せて参照いただきたいと思います。
フランスでは輸血事業と分画の事業が分離されました。そして新たに設けられました血液公社では血液センターの認可監督、ヘモビジランス(血液監視)の統括や、輸血用血液製剤の安全性確保措置として献血者の選択や採血やスクリーニング検査や輸血用血液の調製等についての規則が作成されております。それらは血液公社の中で担当されております。血液公社の中では献血者協会と協力して献血キャンペーンの実施も行われております。なお、フランスの血液センターにつきましては先ほど不均一だったということを申し上げましたけれども、前は185あったかと思いますけれども、その血液センターが43に統合されております。それから分画製剤につきましては医薬品公社というのが新たに設けられました。この医薬品公社につきましては、その下の段にあります分画生物工学研究所(LFB)といっておりますけれども、これの監督を行うわけであります。この医薬品公社につきましては、血漿分画製剤だけでなくて他の医薬品も担当しております。そして一番下の分画生物工学研究所が分画製剤の製造を担当しております。これは以前は7箇所の血液センターが担当していたわけでございますけれども、それが統合されました。 なお、フランスにつきましては、これは資料2の12ページの左側をみていただきたいんですけれども、国の方は血液の安全と品質を保つための法規の作成や新たにできた血液公社、医薬品公社の監督、輸血用血液製剤の譲渡価格の決定等を担当しております。次のシートお願いいたします。
フランスの血液の安全対策等についてでございますが、献血者の献血記録の管理、これは40年間保管することとなってます。次に献血者へのHIV等の抗体検査の結果の通知ですけれども、これは公衆衛生上の観点から通知することとなっております。次に新鮮凍結血漿の4カ月間の保管又は、SD処理によるウイルス不活化等。これについては考え方はドイツと同様であります。次にこれはフランスの特徴的な考え方ですけれども、献血された血液の一部保管。たとえば献血された血液の一部をサンプルとして保存しておくことでございまして、セロテックと書いてあるのは血漿サンプルとでも訳したら良いかと思います。そういったものを保存しておくことを推奨しております。そういったことによって後で逆上って調査するときに非常に確認がしやすいということになるわけです。5番目に輸血前後のHIV検査等の実施の勧奨というのがありますが、これは96年の10月の省令に基づくものでありまして、輸血前後のHIVの検査等については実施が勧奨されるとあります。不活化のバリデーションにつきましてはこれは他国と同様であります。血液製剤による感染症の報告、ルックバック、これらを含めたヘモビジランスという制度がフランスの特徴的な制度としてございます。フランスの場合でもHIVのP24法の検査については導入しないことと決めております。むしろ問診の充実にその経費をあてるべきではないかという決定のようであります。しかしフランスの場合HIVのPCRのスクリーニング検査が確立されれば移行するということのようです。次のシートお願いいたします。
フランスのヘモビジランスであります。血液監視システムとでも申し上げても良いかと思いますが、まず一番下の輸血による感染症等の発生、これは感染にかかわらずあらゆる事故が対象となるわけでありますが、たとえば輸血による感染が医師等により医療現場で発見された場合に病院のコリスポンデント(担当者)、同じく血液センターのコリスポンデント(担当者)、そこに8時間以内に連絡することとなっております。それからコーディネーター(州)に48時間以内にファックスで報告することとなっております。これは担当者が行います。そして血液公社の方に伝えられる。それから事故の程度によっては血液公社の方にもダイレクトでゆくのもあるわけです。そして血液センターのコリスポンデントは直ちに同一献血者由来の血液を確認し調査します。また献血者まで逆上る調査を行います。こういったシステムです。次のシートをお願いいたします。
次は英国の血液事業の概要です。資料2の方では13ページを併せてご参照願います。英国(イングランド)と書いてありますけれども、英国の場合は国の中が分かれていてご存じのようにスコットランドとか、北アイルランドとかあるわけです。イングランドが一番大きいというか、主な部分でありますので、調査はここに関して行っております。英国ではもとより医療は国営のナショナル・ヘルス・サービスにより提供されているわけでありますけれども、その中の組織として1993年にナショナル・ヘルス・サービスの一部門であるナショナル・ブラッド・オーソリティ(NBA)が設立され、血液サービスを統括しています。英国の場合の基本的な考え方は、何点かありまして、こういったシステムによりまして、「自発的な献血のシステムが大切である。」それから「国の需要に適した適切な供給が大切である。」それから「安全性確保と効率の良い運営が大切である。」こういった基本的な考え方があるようでございます。
輸血用血液製剤につきましては、血液センターがNBAの管理を受けて担当しておりまして、そして輸血用血液製剤の調製が行われると同時に血漿分画製剤につきましてはこういった原料血漿を用いまして生物製剤研究所(BPL=バイオ・プロダクツ・ラボラトリー)で分画製剤が製造されております。また、同じく民間事業者によっても輸入製剤が輸入され医療機関に提供されております。次のシートお願いいたします。
英国の血液の安全対策等についてでございますが、献血者の献血記録の管理については、現在全国的なコンピューター・システムが導入されているところであります。
次に献血者へのHIV抗体検査結果の通知ですけれども、これは各国同様ではあります。ATLの原因となるHTLV-1の検査についてはドイツの場合と同様実施されておりません。
新鮮凍結血漿に対する対策ですけれども、これはドイツ、フランスで行われているような保管はまだ検討中でございまして、現在はリピートドナー、これは初めて献血される方というよりは2回目以降の再来者を利用する、こういったことでございます。
4番目の不活化のバリデーション/PCR検査については同様でございます。
5番目の血液製剤による感染者の報告は、これは医師への勧奨が行われておりますけれども、義務づけはされておりません。
ルックバックについてはこれはケース・バイ・ケースで行われているようでありますけれども、ガイドラインによる手続きはまだ決められていないようであります。次のシートお願いいたします。
これはご存じの日本の血液事業の概要についてでございまして、資料2の14ページをご参照いただきたいと思います。輸血用血液製剤については日赤の血液センターが中心となり、血漿分画製剤については日赤の分画センター及び民間事業者が対応しているわけでございます。この内容につきましては前回説明させていただきましたので、今回は省略させていただきます。次のシートお願いいたします。
日本の血液の安全対策等についてですけれども、まず献血者の献血記録と管理についてでございますが、これは現行のシステムでは県の単位、センターの単位で行われているわけでありまして、県をまたがった献血の記録の管理というのは今後の課題であろうかと思います。
次に検査を目的とした供血の排除、これは日本ではHIV検査の結果は現段階では検査目的の献血によるリスクを考慮いたしまして原則的には通知しないこととしております。
献血された血液の一部保管、これはフランスでセロテックという形でやっておりますけれども、これも安全対策といたしまして、日赤の方で本年9月からすべてのセンターで開始しております。
それから不活化のバリデーションとPCR検査、これは分画製剤についてでありますけれども、これについても次第に充実されつつあるようでありますが、これに加えて献血時のHIVのPCR検査システムについても開発が進められております。
次に血液製剤による感染症の報告については、これは本年改正されました薬事法に盛り込まれております。
ルックバックについてでありますけれども、これは現在自主的に行っている方法について改善の検討が進められております。次のシートお願いいたします。
次は各国の安全対策等についてまとめさせていただきました。資料2の15ページに「18、各国の安全対策等」というのが載っておりますけれども、それぞれの国がそれぞれの特徴を出して安全対策を行っております。米国の場合のルックバック、ドイツの場合のFFPの保管やSD処理、フランスの場合の一番下、言葉では書いてありませんけれども、ヘモビジランスの制度。そして英国は英国のやり方があるわけでございます。
日本でもさまざまな検討が行われております。日本の場合でも他国と比較して大きな差はもちろんないわけでございますけれども、各国の特徴については参考にしていきたいと思っております。なお、安全対策にからみまして、GVHDの対応につきましては日本では、現在ハイリスクの患者さんに対しまして医療機関または依頼された血液センターで照射された血液を使うこととしておりますが、各国ともこの照射血液についてはハイリスクグループに使われているようであります。この日本のGVHDへの対応策につきましては12月20日に開催予定の中央薬事審議会副作用調査会でさらなる検討が行われる予定であります。次のシートお願いいたします。
次は諸外国の国内自給推進の取り組み等でございます。資料2の16ページをご参照願います。米国、ドイツ、フランス、英国と書いてありますけれども、外国の場合も輸血用血液製剤では各国ではほぼ自給がされております。ただ分画製剤につきましては米国とフランスでは自給されておりますけれども、ドイツ、英国では部分的な輸入が行われております。
まず米国についてですけれども、米国では一部の輸血用血液製剤を除いて国内自給が達成されております。一部の輸血用血液製剤というのは米国の説明のときにちょっと申し上げました2%の量に相当する赤血球でございますけれども、これは文献で調べましたところ欧州の一部の国では血漿だけを採取することもありますけれども、全血による採血が多く、血漿の分離後に余剰の赤血球が出る場合があります。そういったものが米国への輸出にも活用されているようであります。1994年の数字を調べてみましたところ、米国にはドイツ、スイス、オランダから使用量の2%に相当する赤血球が輸入されているようであります。
次にドイツでありますけれども、ドイツは輸血用血液製剤はもちろん自給されておりますが、国の方で赤十字によるプラズマフェレーシス、これは血漿の成分献血でございますけれども、そういったプラズマフェレーシスのキャンペーン等が実施されてきております。なお、血液凝固因子製剤の相当部分については米国から輸入されております。これは数値でいいますと、原料血漿換算で 約40万L分、ドイツの使用必要量の3分の1にあたるかと思います。
次にフランスですけれども血液公社が献血キャンペーンを実施し、また献血者協会という民間団体にキャンペーンの協力を依頼しております。フランスの場合は一部の血液製剤を除けば全般的に自給が達成されております。一部の血液製剤というのは特殊な免疫グロブリンで、これはごくわずかなものであります。
次に英国でありますが、輸血用血液製剤は自給されております。分画製剤についてでございますけれども、血液凝固因子製剤についてはかなり米国から輸入されているようであります。自給率は50%〜70%のようであります。ただアルブミンについては90%が自給されているようであります。グロブリンについては英国の場合は製造承認許可が遅かったせいかまだかなり輸入の量が多いようであります。最後のシートをお願いします。
血液対策に関する各国の比較であります。資料2の17ページをご参照願います。資料2の17ページに今まで説明させていただきましたことについて特徴、事業主体、安全対策、自給状況について縦の項目。横に米国、ドイツ、フランス、英国、日本について、表を作らさせていただきました。
この特徴のところをみていただきたいと思います。血液供給の特徴的な制度についてもう一度繰り返しますと米国、ドイツでは多様な事業主体による採血、そして輸血用血液や分画製剤の製造供給が行われております。国または州が安全性の確保に関して権限を有して各事業主体に対して監督を行っております。フランスでは公的サービスの枠組みの中で地域ごとに非営利の血液センターにより採血や輸血用血液の製造供給等が行われており、また非営利のLFBにより分画製剤の供給が行われております。フランスにおける安全性の確保につきましては特殊法人である血液公社、及び医薬品公社が権限を有しており、これらの法人の理事会には国の代表が半数を占めております。
そして英国ではナショナル・ヘルス・サービスが医療全体のサービスを提供しておりますが、血液及び分画製剤の製造供給につきましてもナショナル・ヘルス・サービス(NHS)の一組織であるナショナル・ブラッド・オーソリティー(NBA)が運営管理を行っております。
日本ではご存じのように日赤が採血及び輸血用血液の供給を行っており、輸血用血液については国内自給が達成されております。また、分画製剤の製造供給につきましては日赤と民間事業者により行われておりますが、こうした日赤、民間事業者が実施する血液事業について安全性確保等を中心といたしまして国が監督その他の権限を有しておるわけです。
以上で説明を終わらせていただきます。
高久座長
資料1・2に基づいた詳細な説明ありがとうございました。今から約1時間、12時までの間、皆さん方から今の説明に対するご質問、あるいはご意見を伺わせていただきたいと思いますので、どうぞこの時間を有効にお使いくださるようお願いいたします。
渡辺委員
今のご説明の中でアルブミンの使用に関することなんですが、血液の国内自給を目指すためには適正使用は欠かせないわけでありまして、そういった意味でアルブミンにつきまして、特に資料のご説明いただいたわけなんですが、まずこれをみてだれでも驚くのは地域において非常に差があるということ、ご説明の中で都道府県で10倍の差があるということが第一点で一般的に驚くべきことで、また日本が諸外国に比べて大変多い。これはアルブミンにつきましてうわさかも知れませんけれども、たとえば栄養剤代わりに使っているとかいったような指摘もこれまであったわけでありまして、これだけ大きな差がありますと、果たして適正に使用されているか疑わしいと思わざるを得ない部分も素人目にも分かるわけなんですが、そういった意味でまず厚生省にお求めしたいのは原因を、つかみにくいかも知れませんが究明しないと適正使用につながらないことは確かであります。先ほども病状別の使用がございましたが、この中で栄養剤代わりに使ったのはどれかというのはなかなか把握しにくいかも知れないけれども、なんらかのかっこうでこの原因を、とにかく10倍も差がそこにあるわけですから把握しなくてはいけないと思います。これについて現段階でどういうデータ、あるいはお考えお持ちなのか、今後どうしていこうとその他も含めてお答えいただきたいと思います。
血液室長
アルブミンの使用状況に関してでございますけれども、渡辺委員ご指摘のように10倍の差というのはなかなか医学的理由だけで説明のできるものではございません。これは県別でありますけれども、病院別とか、そういった可能性もあるわけでございまして、こういったことにつきまして今までの取り組みですけれども、使用基準というのを作っておりまして、実際使用基準を作ったときにアルブミンの使用量はかなり減ったという経緯もございます。ただ、いずれにしても各国と比べて大変多いわけでございまして、この差がどこにあるか、今も輸血学会の先生方ともいろいろ議論しているところでございますけれども、これはぜひ詳細な分析をして有効な資源を有効に活用できるような対策をしていきたいと思います。栄養剤としての使用は、そういったことはもちろん適応としてはおかしいわけでございます。それに加えて少し考え方で、今後学会の先生方に良く分析、また教えていただきたいのはたとえば悪性新生物の患者さんに対する使用の方法、末期の患者さんに対して、アルブミンを使用するときの適応の場合ですと、かなり難しい議論にもなりかねない。実際アルブミンを使えば患者さんの病状はよくなることがあるわけです。そういった場合にアルブミンをどうするかと。もちろんこれについてはアルブミン以外の代替的なコロイド製剤とか、あるいは利尿剤の活用とか、いろんな方法を含めての方法を代替的に示しながら医学的な面も含めて考えていくべきではないかと考えております。いずれにしても輸血学会の先生方とこのへんにつきましてはぜひ早く検討を進めていきたいと思っております。
高久座長
どうぞ。
湯浅委員
アルブミンの使用量が多い一つの理由は、血液製剤は医薬品という概念が定着していることです。厚生省の委託研究によれば病院で、アルブミンがどこで管理されているかというと、病床数700以上の病院、ここではたくさんの血液製剤を使っているわけですが、94.6%が薬剤部です。輸血部はたったの2.9%です。輸血用血液製剤である全血、あるいは血液成分製剤の取り扱い場所も43%が薬剤部です。大事なことは分画製剤であろうが、輸血用製剤であろうが、血液製剤だという認識をはっきり持つことです。アルブミンが医薬品として薬剤部扱いになっているため使う方も安易に他の薬品と同じに使うわけです。前回も申し上げたんですけれども、国とか、日赤センターの体制ばかりでなくて、医療機関における血液製剤を取り扱う体制の確立、つまり血液製剤の保管管理や輸血検査を行う輸血部門を設置しそこで適正使用を指導しチェックを行うことです。自給率24%というアルブミンを本当に国内確保する決意なら医学的に有効だからいくらでも使うというのでなく、アルブミンは有限なヒト由来の血漿ですから倫理的なものもあるということを加味して適応を厳しくする必要があると思う。医学的に水準は同じなのだから、欧米の使用量からみても現在の半分近くは減らすことはできるんではないかと思う。そういう面も含めてやはり臨床側に血液製剤の特性つまり献血によるものであること、一般の医薬品とは違うことを認識させしかも、国内自給もしていかなければいけないことを理解し協力を求めることが大事である。それには血液を取り扱う部門の体制作りと、そこでの適正使用のチェックと指導の役割をさせることです。
高久座長
資料2の2ページをみますと、慢性の肝疾患、肝硬変と消化器系のガンでだいたい40%使っているんです。たしかに肝硬変の場合にアルブミンが減りますと腹水がたまるので臨床の現場としてはアルブミンを使いたくなるのは止むを得ない点があると思います。それから消化器系の悪性腫瘍に適応になっていまして、おそらく外科の多くの先生方にはアルブミンが低いと手術した後の傷の治りといいますか、回復が遅いという考えがある。それが学問的に根拠があるかどうか、私、外科でないから分からないのですが、そういう理由でおそらく術前、術後にかなりアルブミンを使っておられることは間違いないと思います。使わないよりは使った方が患者さんの状態がよくなることは事実なんですけれども、それをどういうふうなレベルで抑えるかというコストベネフィットなことも考えなきゃならないと思いますので、先ほど輸血学会といろいろご相談する、湯浅先生もいらっしゃいますが。それも必要ですが、私はそれと同時に肝臓の方の専門の学会の人たち、それから消化器外科の学会の方々と相談をして、どのレベルまでアルブミンが下がったときにアルブミンを使用するか、またコストベネフィットを考えるとどの時期が一番リーズナブルであるかということを良く検討されることが必要だと思います。そうしますとそういうガイドラインを作りますと地方によるアルブミンの使用量の相違というのが大分減るんじゃないかと個人的には思っています。
前田委員
アルブミンの使用については、内科と外科ではかなり違いがあると思います。外科について云いますと、先程の自己血の話につながりますが、自己血輸血がやれている病院では貯血出来た範囲で手術を済まそうとしますので、自然と輸血のやり方が適正な方向へ向うようになっています。内科の場合や、外科の患者でも術後で長引く場合はアルブミンの使用に幅があると思います。少なくとも自己血で手術をやっている外科ではアルブミンを併用することは殆どないようです。ただ日本の場合は凍結血漿の使用も多いので、アルブミンだけではなく凍結血漿が併用されていないかどうかを注意する必要があると考えます。原料血漿の確保を考える場合、アルブミンも凍結血漿もタンパクとしての量を計算をするようにしなくてはなりません。それから、アルブミン使用の地域差はちょっと激しすぎます。冗談として病院の医師に話すのですが、選挙の場合の一票の差が3.5倍で揉める位だからアルブミン使用の地域差が10倍もあるのは、適正使用の観点からもおかしいのではないかと。医療の現場ではこのようなことは殆ど意識されていないようです。
高久座長
どうもありがとうございました。他にどなたかご質問ご意見ございませんでしょうか。
坂巻委員
ちょっと関連なんですが、千葉県が半分以下に減っているんですね。これは何か特別な理由があるのか、どうかをちょっとお調べいただいたかどうか、そのへんのあたりを伺いたいんですが。千葉県だけが急激に減っていますけれども、何か理由があるんでしょうか。
高久座長
何か分かりますか。
血液室長
千葉県の減り方については大変注目しているんですけれども、現在のところまだ詳細な内容は分かりませんので、またいろいろ関係者に聞いてみたいと考えおります。
高久座長
私の方からちょっと気になったのは、フランスや、ドイツでは新鮮凍結血漿を4カ月とか6カ月とか経ってから使う。それは全部ですか。そうするとたとえば2度目にきたときに陰性だった場合に初めて6カ月前のを使うわけですか。2度目に来ない人。1度しか来ない人の新鮮凍結血漿は使われないということになりませんか。そうするとずいぶん無駄があるような気がしますが。
中井委員
私も5月の連休のときに現場にいったんですけれども、うまく回答はできないかも知れませんがそのシステムは皆さんご案内だと思うんですけれども、ウインド・ピリオドをどのようにクリアするかという趣旨からそれらが設けられているんだと思います。したがって、関係の国のリピーテッド・ドナーというのを非常に安全性対策の柱に置いているようです。ですから、かなりのものについてはリピートされるという前提から考えますと、そこでクリアされると。そしてもしそれがクリアできないケースというのは、おそらくこれも推測が半ばありますけれども原料血漿にしていく。一部のところで聞いた話ですから全体かどうかはちょっと分かりませんけれども
高久座長
どうもありがとうございました。ほかに。どうぞ。
中谷委員
各国の安全対策の関係でいろんな資料をいただいておりましてたいへん参考になりましたけれども、フランスはご案内のように生命倫理法などを作りまして、この方面の規制といいますか対応をちゃんとしてますし、イギリスもそういう点は熱心なんですけれども、フランスの献血者の献血は40年間保管とおっしゃいましたけれども、イギリス(イングランドとウェールズは常に共通の取扱い。スコットランドだけ別扱い)のイングランドの方の献血記録の保管について、どのくらいの期間管理しているのか、もう一点フランスの方で4番目に献血された血液の一部をセロテック血漿サンプルですか、保管するとありましたが、これも保管の期間みたいなものが分かるのでしょうか。教えていただきたい。
血液室長
2点ご質問いただきました。1点目がイギリスの献血記録の保管ですけれども、これは32年。これは大変細かい数字ですけれども、説明は消費者保護法の観点からだそうでございまして、消費者保護法から自らを守るためでありまして、かりに0歳のときに投与された製剤により被害が生じた場合、成人して訴えることができるまでに18年必要であると、さらに消費者保護法の時効が14年であるから足して32年であると。こういったことのようであります。それからセロテックについてでありますけれども、これも一応40年というようになっております。
高久座長
40年ですか。一部というのはどれぐらいの量なんですか。40年間保管しているというのは。
血液室長
これはちょっと分かりません。
高久座長
どうぞ。
中井委員
非常に簡潔にまとめていただいたんですが、私どもの知っている範囲と比較すると、これは細かい話になると思うんですけれども、国と比較する場合非常に難しいのは、特にヨーロッパの場合にはEUとかあそこにはカウンセル・オブ・ヨーロッパという血液問題についてはそこでいろんなレギュレーションらしきものを出しておりますので、その部分をどういうふうに評価していくのかというのが一つ重要であるように思うんです。中谷委員が言われたように原理性というのはカウンセル・オブ・ヨーロッパの考え方の強くそれぞれの国に反映しておりますので、そこのカウントをどのように考えていくのか。もう一点は特にドイツとかアメリカもそうなんですけれども、州マターでいろんなレギュレーションがありまして、この州マターをどのように評価していくのかということを考えないとその国はこうかというようにあんまり一つの結論を出していくと誤解を与えることもあるかも知れないと。そういう観点からいくとアルブミンの問題で非常に重要なことを一つ申し上げますと、ヨーロッパでは血液の使用する際にドナーが特定できない血液は使用してはならないという大原則があるんです。分画製剤についてもドナーが特定できないようなものは使ってならないという大原則がありまして、この問題は日本では特に輸入に依存している場合にはかなり微妙な問題ではないかというふうに私は思っておるわけですけれどもフランスもドイツも。フランスの場合はほとんど国内で処理していますから、その問題はないんですけれども、ことに輸入製剤については今の考え方は非常に重要な考え方だろうということで、ぜひこの点を知っていただきたいということで。
草刈委員
その大原則はだれがどこで作られたのか、どこで公表されているものか、どこで印刷になっているのかということを明らかにして発言していただきたいと思うんです。というのは外国の事情というのは往々にして聞いた話だとか、うわさだというのは我々実務屋としては困るので、今度の厚生省がお調べになったのは大変好感がもてます。分かっているものは分かっている分かっていないものは分かっていないというので非常に私はありがたいと思っているんですが、ですからこういう委員会ではやはりドキュメントの裏付けのあるもの。オーソライズされたものという意見をぜひお願いしたい。この大原則は常に大切なご発言だと思いましたので、ぜひご紹介していただきたいと思います。
中井委員
特定を申し上げますと、ドナーが特定できないものを原料として使ってはならないというのはEC時代の1989年の中にあります。それはEC加盟国はその法律にしたがって各国が国内法に転換すべきだというディレクティブな。
高久座長
先生その場合ドイツは血漿製剤を、輸入していますが、アメリカからだと思いますけれども、その事はそのレギュレーションに相反することにならないのですか。
中井委員
おそらく今度の輸血素案の中にも特定できないものは使ってはならないという素案の中に書いてありますので、おそらく現在でもその原則は維持していると思います。そこはちょっと分かりませんが、少なくとも輸血法素案の中にはその考え方は導入しておりますし、さきほど室長の方からプラズマの紹介ありましたけれども、あの事件というのは特定の採血メーカーが検査をしないで、マーケッティングした製品なんですけれども、それをドイツのみならず世界各国にその製剤が出回った。それを日本にも輸入されておったわけでありますけれども、おそらく日本国内ではそれを特定できなかったんだろうと思うんですね。だからこれからおそらく世界の交流を禁止するというのは方向としてはないんだろうと思うんですけれども、その場合安全性をどのように確認するかというのはドナーを特定でき、具体的に承認するときにいちいち確認しろということではなくて、確認された製剤を輸入するという業者の責任ということになるだろうと思うんですけれども、そういう仕組みは大原則としてあるんだろうと思います。そして現在でも多くのメーカーではそのようにやっていると思います。

高久座長

どうぞ。
曽野委員
せっかく先生方の医学的というか科学的お話の中に私がこの場におります意味というのは周辺の末端のところで、連ならせていただいているということは前回お話申し上げたんですが、このお話割り込むの申し訳ないのですが、私会議ございましてちょっと中座いたしますのでお許しいただきたいと存じますが、ただいまのお話伺っておりますと、国際的な血液製剤の動きに関してちょっと別かも知れませんけれども、一応原則としてはドナーの特定されることというのは今や常識のようになっている、素人の私には思えたのでございますが、この問題をつきつめてまいりますと、プライバシーの保護ということと、大きく社会でぶつかってまいります。それで私は最初から国民総背番号制度というのは賛成でございました。どこが悪いんだろうと思っておりました。もうすでに健康保険はございますし、脱税がいけないならば国民総背番号制度であらゆることを登録する。そしてそれを漏らさないということにおける制度を作っていくということでございます。ここにおきまして40年間私の素行病歴すべてが記録されるわけでございます。こういうことに対する私ども周囲のマスコミとか、一般国民のコンセンサスをもしよきことを望むならこういう犠牲も必要であるということを、あるいは自分のプライバシーを登録するならばそれをどうしたら必要以外には絶対漏れないという制度を作れるかという、このへんのことも同時に私ども周囲のものが考えていくという任務があるようにと思います。どうも申し訳ございません。よけいなことばかり申し上げて。
高久座長
それでは清水委員さきほど手を挙げられたと思いますが。
清水委員
前回欠席いたしまして大変申し訳ございませんでした。本日は、日赤それからライオンズクラブの資料を頂戴いたしましてたいへんありがとうございました。ぜひ私たちのNGOの団体も含めましてこういう基本的なことについてもう少し学習して情報を豊かに得ていくべきだということを思っておりまして、次回血液センターの見学がご提案ございましたけれども、また私どものようなNGOの団体も積極的にそういうところに見学させていただいて、そして血液行政の正しい認識を広げていけたらというふうに思いますことが一つと、先ほど血液の保存期間についての室長さんからの消費者保護法というご説明がございましてプラス期間が延長になっているということですけれども、あれは消費者保護法というよりもむしろPL法の関係じゃなかったんですか。私勉強不足ですからなんとなくそう思ったのでお伺いしたいのと。それから3点目ですけれども、三星先生のお出しいただきましたペーパーの中に法律の制定を強く求めておりますという文言がございますけれども、この部分は今ドイツで検討されているという血液法案のような単なる献血の部分だけじゃなくて、もっと幅広い中にこういう項目を入れるような法律を日本でも作るべきだとお考えなのか、そこの点をお尋ねしたいと思います。
高久座長
それでは事務局側の方からどうぞ。
血液室長
まずイギリスの方の消費者保護法の関連でございます。これちょっと私の言い方が悪くて大変失礼しましたけれども、もう一度申し上げますけれども、イギリスのNBAが消費者保護法により訴えられたときにNBAを守るためにでございます。もう一度いいますNBAがNBAを消費者保護法で訴えられることから守るために0歳のときに投与された製剤により被害が生じた場合成人して訴えることができるまで18年必要であるので、消費者保護法の時効が14年であることを考えて32年としていると、こういうことでございます。
中井委員
消費者保護法の中にイギリスはPL法が入っているんですね。
高久座長
三星委員どうぞ。
三星委員
清水先生からお話の件でございますが、ちょうど文章の中に私どもライオンズクラブとしてPL法の問題が起きましたときに本当の意味において献血をやってくれるドナーさんに対する保護について行天先生からも大分お叱りをいただいたわけですが、本当の意味で解説ができないままにPL法の中に組み込まれていった現実があるわけでございますけれども、なんといっても前回の答申にもありましたように日本は日本人の国内の皆さんからお願いできる献血によってすべての血液がまかなわれるようにしたいという献血団体としての念願といいますか心からのお願いがあるものですから、今のはっきりした法律がないように思いますし、そもそもが売血を取り締まっていく法律や規制で行われているように思いますので、献血全体についての関心ができるような法律を作っていただきたいというような念願です。それからついでに今お話申し上げた献血一本による国内の自給というのが私たちの大きな願いでございまして、国内では全血については100%図られているわけでございますから、次に問題になる第[因子製剤であるとか、アルブミン製剤であるとか、ようは減らしていっていかなくてはいかんなという中でまず今日伺いますと渡辺先生や湯浅先生からアルブミンの使用量については先ほどからご論議いただいているようにうまくすれば半分には減るんじゃないかと。大変われわれとしても明るい見通しのお話をいただいた後でございますが、われわれが考えている中で第[因子製剤は日赤の千歳工場で100%供給が可能になったということを日赤のセンターから聞いておったわけでございますが、いろいろな討議をしている中で現実はまったく違うよというような声が出ました。これは国内の献血についてはPL法の関係で血液問題検討会において献血者の意欲を損なったりするぐらい問診を強化して徹底的に厳重にされておるわけでございますけれども、また血液そのものについては日赤さんにおいて現在考えられる最高の検査を行って血液の安全ということについては徹底的にやっていただいているわけでございますが、世の中自由競争という時代がございますけれども、エイズ問題を始めとして血液製剤については大きく問題になっている現実についてもリコンビナントの製品の輸入がどんどん増えてきているんだというようなことから、しかも、そのリコンビナント製品の製造過程で売血の血液が使用されている。詳しい理由は分かりませんが、そういうように聞いて大変驚いたわけでございます。献血に基づいた分画製剤の国内の自給と、リコンビナント製品の輸入とどういうふうに関連づけておられるのか、できればわれわれは輸入ものは中止にさせていただきたいと考えているわけでございます。なお、国内の輸血の100%国内供給をやっていく上においても分画製剤についてこの100%自給に対する献血をしてくれる国民の皆さんに理解を十分得ていることが必要だと思いまして、それぞれアルブミン製剤だとか、グロブリン製剤だとか分けて献血者に理解をいただいてこれだけ足りないんだから、献血の量をこれだけ増やすんだというような細かいご説明を個々にいただいて献血者に対して協力を求めていきたいし、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいと思うわけでございます。さらに、先ほどお話になったアルブミンなどは国内で外国からの輸入がバッと入ってきて、それに問題が起きたようにも伺いました。そのようになりますと製剤輸入業者、国内の自給がどうなるのか。ようするに国内の分画製剤を増産しなければならないようなことになっているとうかがっておりますので、このへんの輸入業者の責任はどんなふうに考えておられるのか明確にしていただければなおさらありがたいと思います。さらに委員の方が入っておられないんですが、製薬会社の方が一社も入っておらないんで、組合の関係の理事長さんが入っていると知ったわけですが、実際問題として国内の自給に参画している製薬会社の方たち、今いろいろと問題になっております過去の事件は法律によって裁かれることでございましょうが、現時点では献血による国内自給に貢献をされている日本製薬さんでしょうか。ミドリ十字さんとか、血清予防研究所などの各製薬会社がどのように国内の自給に向けて協力してまた一番望んでいる安全対策を講じてくれているのか、それぞれ責任者の方からわれわれ国民に対して目で見える形でできうればこういうところの委員会でご説明をいただければ大変ありがたいなと思っております。そもそも国民が責任を持っていただいて、国が責任を持っていただいて献血者の方々、日赤、真剣に取り組んでいると言われる製薬会社、血液を使用される各病院の先生方、関係者全部が心を合わせて国内自給ということについて取り組んでいければなんとか解決がつくんではなかろうかなと考えておりますので、ぜひ一つそういう点真剣なこの委員会のご討議をお願いしてそういう前回から何回となく討議されていることについてのお答えを出していただければ大変ありがたいとこう思うわけでございます。
血液室長
いろいろご指摘をいただきまして、三星委員のご質問の内容について、もちろんこの委員の中で今後議論していただくこともあろうかと思いますけれども、ちょっと関連することについて一つ二つ説明させていただきますと、まずリコンビナント製剤についてのご指摘ですけれども、リコンビナント製剤というのは凝固因子製剤の第[因子製剤につきましてふつうはヒトの血液由来で作るわけですけれども、遺伝子組み換えで製剤をする技術が開発されておりまして、それによる製剤が今、日本ではシェア30数%になっております。残りの部分はこれはヒトの血液由来で国内の献血血液からすべてできているわけです。このリコンビナント製剤は遺伝子組み換えでできるんですけれども先ほど三星委員から製造工程で売血が使われていると。これはアルブミンが確かにリコンビナント製剤の中に入っておりましてそのことかと思いますけれども、これは遺伝子組み替え製剤を作るときの安定剤としてアルブミンが使われております。このアルブミンの量は1バイアル、一つのビンですね、数十rの大変微量なものでございまして、もちろんアルブミンについては抗体の陰性のスクリーニングを最初にしてその後アルブミンですから加熱しておりますので、安全性についてはまず問題ないと思っております。そういった点で国内自給というとご指摘のように倫理面、安全面、それから医学的な面といろいろな面からあるわけでございますけれども、そういった点からリコンビナント製剤について、そういった状況だけで輸入禁止と、そこまで考えるのはちょっと問題あるかなと。いずれにしてもご指摘の国内自給は、それに基盤となります倫理面、安全面というご指摘も踏まえまして、ぜひ他の製剤についても進めていきたいと思います。それから凝固因子製剤、アルブミン製剤、グロブリン製剤のそれぞれの国内自給の方針でございますけれども前回も申し上げましたけれども、国内自給率でいうとアルブミン製剤24%。グロブリン製剤が40%。凝固因子製剤に比べると大変むずかしいと思います。先ほどアルブミンの適正化の話もございましたけれども、そういった適正化、有限な資源を大切に使うためのいろいろな知恵を絞りまして国内自給を推進していきたいと考えておりますし、また、献血者の方々にやはり現状をできるだけ明確に説明してご理解をいただくことが何より大事だと思います。そういった点でこの会議も全面公開でやっておるわけでございます。最後に輸入業者の点についてご質問がありました。ご指摘の点は10月に米国センテオン社工場の問題だったかと思いますけれども、細菌混入の可能性があったアルブミン製剤につきまして全面回収、日本に輸入していたある会社のシェアが確か25%ぐらいだったと思いますけれども、それがまだ工場を再開してなかったと思いますけれども、そういった点で市場が混乱したことがございました。このときにはもちろん輸入業者は速やかな回収措置と報道を通じた周知徹底。医療機関に対する周知徹底を行ったわけでございますけれども、これにつきましては各社とも、関係の予研とかいろいろなところの協力によりましてとりあえず今のところ安定供給はなんとか支障をきたさないで進んでおります。ご指摘の各メーカーがどんな安全措置を講じているか、そういうのも明らかにする、もちろん当然のご意見だと思います。今これはまだ進めているところですけれども、ガンマグロブリン製剤についてわれわれの方で各メーカーに対しまして安全対策、不活化措置等についてどんなことをやっているかということを公表できる資料を作ってくださいと、そういったことを今頼んでいます。これが出そろったところで公表したいと思うのです。そういった試みも続けながら信頼の回復に努めて行きたいと考えております。以上です。
高久座長
どうもありがとうございました。さきほどから中井委員の方からヨーロッパ諸国ではドナーがはっきりした血液だけを使うという、日本もそうなっているわけですね。
草刈委員
ルックバックはできるようになっております。
高久座長
そうですね。今、室長から説明がありましたようにリコンビナント製剤は基本的には血液製剤に入っていないのですが、安定性のためということでいろんなリコンビナントのものに少しアルブミンが入っているのですね。ですからそれをなくすわけにはいかないだろうと思います。ただし、量的にみますとリコンビナントのいろんな製剤に入っているアルブミンの量は非常に少ないと思います。アルブミンに関しましても、かなり前からいろんなベンチャーの会社が遺伝子組み換えによるアルブミンの製造を試みておりまして、うまくいったとか、いかないとかいう情報が入ったり、切れたりしています。しかしいずれ、リコビナントのアルブミンができるようになるというふうに私たちは考えておりまして、そうしますと自給24%という問題は片づきます。むしろ難しいのはガンマグロブリンの方でないかと思います。というのはガンマグロブリンが、重症感染症に効くということ、またそれに対する疑問なども出ましたが、最近大規模な再検討試験を行いました。その結果やはり効果があるという事になりました。アメリカなどでもガンマグロブリンが重症感染症に有効であるという意見が増えてきているというふうになりました。ガンマグロブリンを遺伝子組み替えで作るのは非常に困難だと思います。ですからアルブミンの問題はいずれ解決されるという希望はもっておりますが、ガンマグロブリンをどうするのか。その問題は臨床的な使用のガイドラインを果たして作れるのかという問題も含めて非常に重要な問題ではないかというふうに思います。
高久座長
他にどなたかご質問ご意見ございませんか。
前田委員
話しが少々各論になってきたようです。血液や血漿分画製剤によるエイズ感染が世界各国に血液行政の危機管理をどうするかという問題を提起し、種々の委員会がつくられ対策を立てるようになった。先程のお話にもでましたように、アメリカでは政府高官を血液行政の責任者に任命して、責任を持って事に当たるようになったということですが、そのような問題について、何かこの血液行政の懇談会がやるということでしょうか。あるいはもっと他の所で決まっていくのでしょうか。その点をはっきりしないで、各論の話ばかりしても始末はつかないという気がします。
高久座長
その点については事務局からお願いいたします。
血液室長
はい。全体的に危機管理体制につきましてはこの在り方懇談会を開始する前から厚生省の方で「医薬品による健康被害の再発防止策」を作りまして、その対策、これは一番最初の報告書が出たのが7月であります。それを受けまして、さまざまな取り組みをしております。それから組織の見直しもしております。その組織の見直しにつきましてはたとえば医薬安全局(仮称)でございますけれども、そういった組織の新設でございますとか、審査体制の強化のための組織の再編でございますとか、そういったことを来年の組織の再編に向けて今進めているところでございます。
高久座長
前田委員から、こういう問題を議論した方が良いのではないかという御意見が出されましたがその点についてどなたかお考えがおありでしたら。確かにその問題は重要でこの委員会で議論をすべきだと思います。アメリカのような組織が必要ではないかとか。あるいは政府の組織ではなくて、委員会でやるとか、あるいはヨーロッパのように法律を作っていろいろなことを規定していくのか、ということなどについて皆さん方のご意見をお聞きしたいと思います。中谷先生いかがですか。
中谷委員
日本では、これまで全く法制などが整っていませんから、この問題だけではなくて、いろいろな意味で整えていかなければいけないだろうと思っております。フランスのように、罰則でがんじがらめの大変な制度をつくっているところもありますし、イギリスのように、コンサルテーション・ペーパーか何かを発表して、一般国民の意見を聞いてからそれを立法に反映させるというところもあります。各国それぞれ固有の法制度の中で、いろいろな対策の取り方はあるかと思いますけれども、いずれにせよ、何らかの明確な基準になるようなものは必要になってくるのではなかろうかと考えられますので、私もそういう法的対応が整備されることを希望している者の一人ではあります。
中井委員
たしかに今厚生省から説明していただいたのは基準をどう考えるかということだろうと思うんですけれども、そうすればアメリカもヨーロッパも基準というのは科学技術の変化によって変わっていく話だと思うんです。だからむしろそういう、基準を決めていくプロセスをどういうようにしたらよりベターなのかというのが多くの国で議論されていることであろうと私は思っております。それからもう一点重要なのは基準を決めた際にその基準の履行を担保するにはどういう仕組みが必要なのかという、おそらくこの二つがアメリカでもヨーロッパでも重要なテーマだったろうと思います。おそらくそういうことの方が重要ではないかと私は気もいたしますけれども、これは皆さんのご意見もあるでしょうけれども。
高久座長
前回と今回は私も含めまして委員の勉強会の様なことでありました。次回から今迄提起されてきた問題についていろいろ皆さん方からご意見いただきたいと思います。それから事務局の方も今まで日本の血液行政がどういう形で決まってきたか、もちろん厚生省と日赤との間で決まってきたのだろうと思いますが、どういう形で今まで経緯してきたかということを少し調べてきていただければと思います。次回からは今後の在り方について皆さん方のご意見をお伺いしたい、そういうふうに思っております。前田委員のご指摘にありましたように今回は勉強会という事で勘弁していただきたいと思います。次回は2月ということになっておりますから、2カ月ほど時間がありますので、今後の議論のための資料を整えていただきたいと思います。次回の日程について何か事務局の方から。
血液室長
それでは次回の日程についてでございますけれども、これは2月の上旬を予定しております。実は事前に各委員にご都合をお伺いしましたところ前回同様に全員の出席可能な日はありませんでした。それで最大公約数をとりまして2月7日、金曜日午前10 時から12時までとさせていただきたいと思います。
高久座長
ちょっと待ってください。10時から12時でしょう。ちょっとペンディングにしてください。
血液室長
それでは2月5日がもしよろしければ。
高久座長
5日なら大丈夫です。
血液室長
それでは2月5日水曜日とさせていただきます。午前中です。よろしいですか。
血液室長
それでは2月5日午前10時から12時まで会議を行いまして、先に申し上げましたように、午後は日本赤十字社の協力を得まして都内の血液センターや献血ルームの見学を予定したいと思います。詳細につきましては後ほど各委員の皆様方にご連絡させていただきます。以上でございます。
高久座長
どうもありがとうございました。本日は事務局の方から調査していただきました日本のアルブミンの使用状況でありますとか、諸外国の血液行政の問題についてご質問、ご意見をいただきました。先ほどいいましたように次回はこれからの日本の血液行政の在り方について、もちろん血液製剤の安全と有効利用に基盤をおいた意見になると思いますけれども、そのことについて、忌憚のないご意見をいただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

        問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
                担 当  猪 俣(内2903)
                電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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