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第1回血液行政の在り方に関する懇談会議事録



1.日 時 平成8年10月30日(水)10時00分〜ll時50分
2.場 所 厚生省共用第7会議室
3.出 席 者
(委 員) 以下敬称略
井形昭弘 神尾友和 行天良雄 草刈 隆 曽野綾子
高久史麿 中谷瑾子 秀嶋 宏 藤田 仁 前田義章
三星 勲 森嶌昭夫 湯浅晋治
(専門委員) 小室勝利 中井一士 布施 晃 宮島 剛 宮村達男
(厚 生 省) 薬務局長
企画課長 審査課長 安全課長 監視指導課長
血液事業対策室長 医薬品副作用被害対策室長
医薬品適正使用推進室長 他
4.議事内容 (1) 開 会
(2) 薬務局長挨拶
(3) 委員及び専門委員紹介
(4) 座長選出
(5) 議 事
(1)血液事業の現状と課題について
(2) その他
(6) 閉 会


血液室長
本日はご多忙のところご出席いただきまして大変ありがとうございました。ただいまから「第1回血液行政の在り方に関する懇談会」を開催いたします。私は厚生省薬務局企画課血液事業対策室長の外口でございます。本日は委員の中で坂巻煕委員、清水鳩子委員、菅谷忍委員、渡辺俊介委員がご都合によりご欠席でございます。本日当懇談会に丸山薬務局長が出席しておりますので、ひとことご挨拶を申し上げます。
薬務局長
厚生省薬務局長の丸山でございます。「第1回の血液行政の在り方に関する懇談会」の開催にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
本日委員、専門委員の皆様方にご多用のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
血液事業につきましては「昭和39年の献血の推進」という閣議決定を受けまして、本格的な推進が図られてから30年余が過ぎています。この間、血液事業は医学、医療技術の進歩に伴って大きな変貌をとげてまいったわけでございます。すべての血液製剤を献血により国内自給するということを目標にしております現在の血液事業も、成分献血、400ml献血の推進、血液製剤の使用の適正化、安全確保対策など関係者の方々のご努力により進展をしてまいったものでございます。
しかしながら、今般のHIV感染問題におきまして非加熱血液製剤により血友病患者など多数の方々がHIVに感染し、患者や家族の方々にたとえようのない苦痛をもたらしたことは痛恨の極みでございます。これまでの薬害の経験を的確に生かしきれなかったということを深く反省し国民の生命、健康を守るべき責務を改めて深く認識をしなければならないというふうに考えている次第でございます。
厚生省では本年7月にまとめました「医薬品による健康被害の再発防止に関するプロジェクトチーム報告」などにおきまして血液行政について総合的な見直しを行うことが指摘をされております。この懇談会も今回の事件を重い教訓として多くの分野の先生方の参加を得て、血液行政の在り方を総合的にご検討いただくという趣旨でお集まりいただいて開催になったものでございます。
委員の先生方におかれましては血液製剤の安全性、安定供給をはじめとして血液行政の新たな展開におきまして幅広くご審議いただいて忌憚のないご意見をいただきますようお願いを申し上げる次第でございます。
簡単でございますが、私のごあいさつに代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
血液室長
次に本日ご出席の委員の方々をご紹介いたします。
井形昭弘委員でございます。
神尾友和委員でございます。
行天良雄委員でございます。
草刈隆委員でございます。
曽野綾子委員でございます。
高久史麿委員でございます。
中谷瑾子委員でございます。
秀嶋宏委員でございます。
藤田仁委員でございます。
前田義章委員でございます。
三星勲委員でございます。
森嶌昭夫委員でございます。
湯浅晋治委員でございます。
次に専門委員の方々を委員名簿順にご紹介させていただきます。
小室勝利専門委員でございます。
中井一士専門委員でございます。
布施晃専門委員でございます。
宮島剛専門委員でございます。
宮村達男専門委員でございます。
なお、本日の会議は、12時までの予定とご案内申し上げているところでございますが、都合により10分早めて11時50分までとさせていただきますので、よろしくご協力をお願いいたします。
続きまして当懇談会の座長選出をお願いしたいと思いますが、事務局の提案でございますが、高久委員に座長をお願いしたいと思いますが如何でございましょうか。
ありがとうございました。それでは高久委員に座長をお願いすることにいたします。よろしくお願いいたします。
それでは高久座長から一言ご挨拶お願いいたします。
高久座長
ただいま座長に指名されました高久でございます。血液行政の在り方に関しましては、さきほどの局長さんのご挨拶にもありましたように、極めて重要な問題でありますし、また社会、世間一般の方々に非常に関心のあることだと思います。今日は第1回ということでありますが、今後も引き続き何回かご審議願うことになると思います。委員の皆さん方のご忌憚のないご意見をお伺いいたしまして、懇談会の目的を果たしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは続きまして事務局から本日の資料の確認をよろしくお願いいたします。
血液室長
それでは資料の確認でございますが、お手許の資料をご参照願います。議事次第、座席表、委員名簿の他に、資料1、資料2という冊子と参考資料がございます。資料1はこれから事務局がOHPを使って説明させていただきます図や表と同じものをコピーして綴じたものでございます。資料2はこの資料1に関連したより詳細な資料でございます。なお、参考資料といたしまして米国の厚生省がこの度国立医学研究所に血液によるHIV感染について研究委託しました報告書を添付いたしました が、この資料は第2回の会議で使用する予定でございます。以上でございます。
高久座長
どうもありがとうございました。なおこの会議の公開ということでありますが、あらかじめ委員の皆さん方のご意見をお伺いいたしましたところが公開をしても良いのではないかということで記者席などを設けさせていただきました。ご異存がなければ次回以降もこのようにさせていただきたいと思いますが、如何でしようか。それではそのようにさせていただきたいと思います。一般の方々に血液行政の問題をご理解していただく為にもよいのではないかと思いますので、よろしくお願い致します。
それでは本日の議題に入ります。まず本日は資料1と資料2に基づきまして事務局の方からわが国の血液事業の現状と課題について説明をお願いいたしまして、それに基づいて委員の方々のご自由な討論をお願いしたいと思っていますが、その前に実は本日欠席をされております清水委員からあらかじめ書面でご意見をいただいておりますので、ここでご紹介させていただきます。
清水委員からのご意見でありますが、「第1回血液行政の在り方に関する懇談会に出席できず残念に思います。輸血をはじめ血液や血液製剤の安全性の確保は国民にとって大きな関心のあるところです。安全な血液が安定的に供給されるには何が必要なのか検討が進められるべきであると考えます。また安全性に関する情報がタイミングを失しないよう分かりやすく公開されていくことが必要であります。情報の提供ということによって、患者自身も判断のトレーニングをなされていくことも期待されます。さらに安全性のみならず血液事業に関して種々の情報が幅広く国民に分かりやすく提供されることが求められていると思います。情報の提供を受けることによって国民の血液事業に対する関心のレベルが高まり、また事業への信頼を増すことにつながると考えます。」
以上が清水委員からのメッセージであります。
それでは、事務局から資料1及び資料2についての説明をよろしくお願いいたします。
血液室長
それではOHPの用意をお願いします。
資料は4つの大きなパートと、二つの項目に分かれております。全部で19枚のシートを使って説明いたしますけれども、最初に再発防止対策について、次に血液事業の概要について、その次に安全性の問題、そしてその次に国内自給を含めた需給の問題。そして最後に緊急時の対応の問題と各セクターの役割の問題。この順番で説明をさせていただきます。
1枚目のシートは医薬品による健康被害と再発防止対策についてであります。冒頭の局長挨拶の中でも紹介いたしましたが、平成8年4月には医薬品による健康被害の再発防止対策に関するブロジェクトチームを設置し、これまでの薬害の経験を的確に生かしきれなかったことを深く反省し、関連する行政の在り方を抜本的に見直すことといたしました。平成8年7月には医薬品による健康被害の再発防止対策についての報告書をまとめております。お手許の資料2の1ページと2ページをご参照いただきたいと思います。資料2の1ページと2ページは医薬品による健康被害の再発防止対策についての報告書のポイントをまとめたものであります。1ページの1の再発防止のための危機管理システムの構築として、小さな1番の情報の収集、分析、評価、伝達体制の強化など4点、次のページの大きな2番の透明度の高い薬事行政の確立の小さな1番、薬事行政組織の再編など4点ございますが、これらの点につきまして具体的な改革を検討すべき課題として報告いたしました。
平成8年9月には医薬品による健康被害の再発防止対策についてそのフォローアップ報告として取り組み状況をまとめました。その内容として3ページから6ページをご参照いただきたいと思います。
2枚目のシートは先ほど申し上げましたこの9月に発表した医薬品による健康被害の再発防止対策についての推進状況の4つの柱を示したものでございます。詳細については資料2の3ページから6ページに記載してあります。まず一つ目の柱、総合的な危機管理体制の確立であります。資料2の9ページにやや細かい図がございますけれども、この図のように情報の収集、分析、評価、提供体制の整備を進めておるところでございます。
2番の柱は、薬事行政の体制の見直しと充実でございます。資料2の10ページをご参照願います。資料2の10ページには組織の見直し後の業務という図表がございますが、この図のように右側が見直し後すなわち平成9年度の組織の予定でございますが、平成9年度に薬務局を廃止し、医薬品振興部門は健康政策局の所管とし、安全対策をさらに充実させていくために医薬安全局(仮称)を設け、審査体制も強化していく予定であります。
3番目の柱は中央薬事審議会の見直しであります。資料2の6ページにありますように、情報公開や運営方法の改善を図っていく予定であります。
次に第4の柱が血液行政の見直しであります。資料2の6ページの下の段をご参照願います。「多分野の専門家による血液問題に関する検討の場を設置し、立法措置を含め幅広く検討を行う」との記載がございますが、この検討の場が本日開催しております「血液行政の在り方に関する懇談会」であります。この6ベージには平成8年度から9年度の予定と記載してありますが、できましたら、半年くらいの期間でご提言をまとめていただけたらと考えております。この懇談会における論議と並行して実行可能なご提言は逐次施策に取り入れていく他、懇談会の報告書については中央薬事審議会においてさらに論議をいただき、立法措置を含め、具体的な施策実現に結び付けていきたいと考えております。
3枚目のシートは、今回は最初の会議でもありますので、血液の一般的な事柄についてもご説明させていただきます。まず血液の組成についてでありますが、左側に簡単な試験管を模式したものでございますけれども、このように血液に血を固まらなくする抗凝固剤を入れて放置する、あるいは遠心すると上に液体の成分が残ります。下に血球などの有形成分が沈みます。上に残った血漿と呼ばれる液体成分は体積では55%程度であります。役割としては栄養分や老廃物の運搬、あるいは血圧の保持などの働きをしております。そしてこの血漿の中にはアルブミン、免疫グロブリン、血液凝固因子などあわせて100種類以上のタンパク成分と少量の糖質や脂質、無機塩類等が含まれております。下に沈んだ血球、これは体積では45%ぐらいでありますが、この中で一番多いのは酸素を運ぶ役割をしております赤血球であります。この他病原菌を殺すなどの身体の防御のための役割をつかさどる白血球、そして出血を止める作用の一役を担う血小板が含まれております。白血球、血小板はちょうど血漿と血球の間あたりに薄い白い膜として存在いたします。なお参考に血液の量でございますが、体重の約13分の1程度が一般的な数字でございます。60kgの体重の方では約4.5Lと考えられます。
4枚目のシートは血液製剤の区分についてであります。血液製剤は大きく分けて2種類、すなわち輸血用血液製剤と血漿分画製剤に分類できます。
まず輸血用血液製剤についてでありますが、以前は輸血といえば血液の中の成分を分けないいわゆる全血が主体でありました。しかしながら1970年代からは血漿、赤血球、血小板といった成分別に使用するようになり、これによって不要な成分による副作用を防止し、さらには循環器系への負担も減らすようになっております。この輸血用血液製剤の特徴としてはいくつかございますが、ワン・ドナー、ワン・ロットということばがありますように献血者一人ひとりごとに成分が違うという特性もございます。また有効期限が短いということもあります。血小板では有効期限はわずか3日間でございます。赤血球製剤では21日間、血漿製剤は採血したあとすぐ分離して凍結いたしますけれども、それでも期間は1年間でございます。さらにこの輸血用血液製剤の特徴といたしましてはウイルス感染を防ぐための加熱処理などのさまざまな物理化学的な処理を加えることが困難であるといった特性ももっております。
次に血漿分画製剤であります。血漿分画製剤は、血漿から作られる医薬品でございます。血漿という液体にアルコールを加えたり、あるいはPhを変えたり、そういった操作を繰り返しながら、医薬品として必要なタンパク成分を変質させることなく精製したものでございます。主なものとしてはアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤等数々の種類があるわけでございますが、最近では技術の進歩によりまして、遺伝子組み換え技術を応用した血漿を使わないで同じ成分を作る技術も開発されております。
5枚目のシートは献血体制の概要でございます。わが国では1964年の閣議決定におきまして献血推進の方針を決めて以来、国、都道府県、日赤の三者が一体となって献血の推進に努めてきております。もちろんこの献血体制の中でもっとも大切な役割を担っているのは善意の献血者の方々であります。さらには各地域で献血推進にご協力をいただいております多くの民間団体の方々であります。
6枚目のシートは献血量の推移についてでございます。資料2の11ページをご参照願います。資料2はこのシートをさらに細かくした数字が記載してございますが、折れ線で示した献血の量は近年は約200万Lでやや減少はしておりますが、横ばいであります。一方棒グラフで示した献血者の数は献血量と比べて減少しておりますが、その差には400ml献血の導入や成分献血の普及による影響も含まれております。
7枚目のシートは血液事業の沿革についてであります。資料2の12ぺージから14ぺージをご参照願います。ここにはたくさんの項目がございますが、血液事業の方針に関しての主なものにしぼって説明をさせていただきます。まず1964年の閣議決定、献血の推進についてでありますが、当時は売血制度の弊害、すなわち供血者の固定化による供血者の貧血、あるいは輸血による肝炎が問題となっており、保存血液は献血で確保する方針を打ち出したところであります。1975年には血液問題研究会意見具申が出ております。この当時は血液成分輸血の相当量がまだ医療機関内でいわゆるファミリードナーから提供されておりましたので、13ページにありますように医療に必要な血液の献血による確保等のいくつかの方針が出されたところであります。
次に1985年の血液事業検討委員会中間報告とそれに続きます第2次中間報告であります。この当時は血漿分画製剤の外国依存が問題でありました。もちろん今も問題となっているわけでありますが、この問題に対しまして国内で必要とする血液製剤を献血で確保する体制を目指すこと、血液製剤の使用の適正化の推進等を打ち出しました。しかしながら国内自給の目標の達成はなかなか難しいものであり、1989年の新血液事業推進検討委員会の第1次報告では国内供給のための対策を再検討し、緊急性の高い血液凝固因子製剤の自給を第1の目標とし、引き続く1990年の第2次報告で、当面取り組むべき対策を報告しました。
なお、1995年の血液問題検討会報告では輸血用血液製剤の特性を踏まえて感染予防のために最善の選択を行っていくこと等を報告しました。
8枚目のシートは血液製剤の特性についてでございます。「輸血用血液製剤は現在の科学技術の水準のもとではウイルス等の感染や免疫反応等による副作用を技術的に完全に排除することは困難である。」これは1995年の血液問題検討会報告書からの引用であります。この完全に排除することが困難であるという事実をいかに最小限のものにしていくか、そしてそのための選択肢が不確定なときにはいかなるプロセスをとっていくべきであろうかということが大きな課題であると考えております。
9枚目のシートは血液製剤の安全性確保のための対策の現状についてであります。
1番は献血による国内自給の推進であります。国内自給の方針は、全血輸血、血液成分輸血は臓器移植でもあると言われていることから倫理面からも異論のないところと思われますが、この国内自給の問題は安全面からみてもたとえばもし何か新しい輸血感染症が起きた場合に国内自給の場合であれば、献血者個人個人のレベルから対策、対応が可能であると、そういったことからも大変重要ではないかと考えております。
次に問診の実施であります。輸血感染症にかかわる病原体の数は大変多いわけでありますが、残念ながら現在の技術ではいまだ確認できないものもございます。例えばクロイツフェルトヤコブ病のように検査法の確立されていないもの、G型肝炎のようにマススクリーニング検査技術の確立していないもの、あるいはHIV、HCV等多くの感染症で共通ないわゆるウインドウ・ピリオドと呼ばれる感染直後の検査で特定できない期間を有すること等、このような問題があるわけでございまして、これらについては問診が唯一の手段となるわけでございます。
3番目は検査の充実であります。現在まで日赤では献血された血液の安全性の確保のために、検査の充実と改善に努めております。詳細については後ほど説明させていただきます。
4番目は添付文書の活用であります。資料2の15ページをご参照願います。15ページには代表例として赤血球製剤の添付文書をコピーさせていただきました。この15ページの添付文書の裏側のところを見ていただきたいと思います。裏側のページの左上のところに警告というところが四角い枠で囲んでありますが、これはGVHDに対する警告の記載でございます。またその下に使用上の注意という記載がございますが、例えば一般的注意の(1)には「本剤は以下に記載するようなウイルス等の感染や副作用の危険性がありうるので、他に代替法がなく治療上の有効性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書いてございます。また(2)には「本剤を投与する場合は患者またはそれに代わりうる適切な者にその必要性、副作用の可能性について理解しやすいことばでよく説明し同意を得ること」いわゆるインフォームド・コンセントにかかわる記載がございます。このような添付文書の活用も安全性の確保のために重要な手段でございます。
5番目は使用の適正化についてでございます。輸血の回数が減れば輸血の副作用のリスクも減るわけであります。代替的な治療法の研究あるいはそれに伴う治療の適正化によりまして、安全性を確保していくための一助としていくことも大変重要なファクターであります。
6番目その他でございますが、安全性の確保のためには、さまざまな対策が考えられます。例えばこういった検査とか、添付文書とかいう直接的なものでなく、200ml献血から400ml献血を導入することによりまして、実際に感染リスクが減っており、肝炎のデータでも見られますようにこの時期に輸血感染が減少しているというデータもございます。こういった献血から輸血になりますシステム自体の検討工夫も大切であります。また自己血輸血というものがありますが、この自己血輸血というのは例えば手術の前に自分の血液をあらかじめ保存しておく方法、あるいは手術中の出血を手術室で回収してきれいにしてそのときに同時に戻すと、そういった方法などがあります。こういった方法を使いますともちろん自分の血液ですから、自分にとってはかなり安全な血液ということになります。そういった方法を推進していく方法も安全確保にとって大切であります。また将来的には現在予算要求しておりますけれども、人工血液の開発ということも大変重要なファクターであると考えております。
10枚目のシートは現行の問診による安全性の確保であります。資料2の16ページをご参照願います。この16ページは現在献血の際に使用している問診票でございます。この問診票と献血者が記載された内容に基づきます問診により、安全な輸血を行うためのご協力をお願いしているわけでございます。エイズウイルス感染の有無、あるいは肝炎ウイルス感染の有無、その他のウイルス感染の有無、細菌感染等の有無。こういった項目にしたがいまして、記載していただきまして、献血者の協力を得て、安全性の確保をしているわけでございます。
11枚目のシートは検査の充実についてであります。検査の充実の詳細については資料2の17ページをご参照願います。このシートの部分には主な検査項目をあげておりますが、梅毒血清学的検査、肝機能検査、B型肝炎検査、不規則抗体スクリーニング、そしてHCV抗体検査に至るまでさまざまな検査をスクリーニング検査技術の確立にあわせまして逐次導入して安全な血液の確保に資しているわけでございます。
12枚目のシートは輸血用血液製剤による健康被害についてであります。ここにあげたものは主なものでございます。大きく分けますと輸血感染症、そして免疫学的反応によるものとに分けられます。
まず感染症の方の代表的なものとしてウイルス肝炎でございますが、資料2の18ページの図をご参照願います。18ページには階段状の図がございますが、この図は日本赤十字社「輸血後肝炎の防止に関する特定研究班報告」より抜粋させていただきました。これは日赤の西岡技術顧問のまとめた図でございます。ちょうど1960年代頃いわゆるここには売血時代と記載してありますが、輸血後の肝炎発症率は50%ぐらいでありました。それが関係者のご努力によりまして、献血制度が導入されまして、16%まで減少してまいりました。そしてさらにB型肝炎のスクリーニング検査の導入によりまして、14%に、そしてさきほど申し上げましたけれども、400mlの献血の導入によりまして、8%まで減っております。さらには新たに確立されたC型肝炎の検査、そしてその検査法の改良によりまして、現在では約0.5%ぐらいまで減少しております。この0.5%の中の内容でございますけれども、この中でウインドウ・ピリオドの問題がございますし、あるいは検査法の精度限界すれすれのところで測定できなかったものといったものもあるかも知れない。またこの中にはたとえば非B非C型肝炎といわれるようなまだ測定法の確立されていない肝炎の患者さんも含まれております。
次にHIV感染であります。HIV感染につきましてはスクリーニング検査を導入して以来陽性血液を排除し安全な血液の確保に努めているところでございます。ちなみに現在600万検体以上の献血の検査をしておりますが、陽性血液の数は40検体程度でありますが、もちろんこれらの血液は排除されて焼却されております。
次にHTLV−1感染でございます。このHTLV−1ウイルスは成人T細胞白血病や脊髄の変性性神経疾患を起こすウイルスでございます。感染した場合の発症の頻度は同じレトロウイルスでありますHIVより極めて少なく、スクリーニング検査によりほぼ感染の可能性は阻止されております。
次にサイトメガロウイルス感染、このサイトメガロウイルスは日本人の成人では9割以上が抗体陽性で持続感染の形をとっているようであります。一般には感染しても症状は出ませんが、免疫不全の患者さんには重篤な感染症を起こす可能性があり、治療上の注意が必要となっております。
次に梅毒でありますが、現在ではスクリーニング検査と感染者自体の減少にもよりまして、感染の可能性は極めて少なくなっております。
その他マラリア等を含めてかなりの数の感染症があるわけでございますが、これらも問診等を通じまして、リスクが排除されているわけでございます。
次に免疫学的反応として重要な疾患としてはGVHDというものがあります。これは移植片対宿主病と訳されておりますけれども、一言でいえば輸血された血液の中のリンパ球、リンパ球というのは白血球の一種でありますが、この輸血された血液中のリンパ球が患者さんの身体の組織を攻撃する、そういった病気であります。
13枚目のシートは安全性に関する課題であります。ここには4点あげてございますが、1番目は危険性をいかに軽減していくかということであります。先ほど申し上げましたような問診の強化、検査の充実、システムの改良、あるいは製造工程での不活化処理等、さらには警告文書や添付文書、そういったさまざまな手段を駆使していく必要があります。
次は危険性に関する情報をいかに把握し、評価し、その情報を整備していくかということであります。医療現場からの情報も含めて国内外からの安全性に関する情報は膨大な量になります。これをいかに的確にその情報を整理して必要な情報を選択していくか。そして不確定な段階での情報にどのように対応すべきかが課題となっているわけであります。
3番目は危険性に関する情報をいかに伝達していくかであります。これは単に情報を伝達するといことだけではなく、その情報を的確に実行性をもって生かしていただくかが重要であります。
そして4番目が健康被害にいかに対応していくかであります。最高水準の安全性を確保しても、現行の科学技術水準ではなお健康被害が防ぎえないときの被害をどのように考えて、対応していくかは、たいへん大きな課題であります。
14枚目のシートは血液製剤の製造・供給のしくみであります。今まで安全性について申し上げてきましたが、これから需給の問題に移ります。血液製剤は先ほど申し上げましたように輸血用血液製剤と血漿分画製剤に分かれるわけでありますが、赤血球、血漿、血小板といった輸血用血液製剤は献血された血液が日赤の血液センターを通じまして、医療機関に運ばれ、そして患者さんに使用されるわけです。一方血漿分画製剤の方は血液センターからの血漿が原料として日赤の血漿分画センター、これは北海道の千歳にございますが、ここに原料血漿として送付され分画製剤に加工されます。また血漿の一部は民間メーカーを通じまして、血漿分画製剤に加工され、そして医療機関、患者と、この流れにのるわけであります。また海外からの血漿分画製剤につきましては輸入販売業者を経まして医療機関、そして患者と、このラインに流れるわけであります。
15枚目のシートは需給に関する基本的な考え方であります。「血液事業の実施にあたってもっとも重要なことは、すべての血液製剤を国内の献血でまかなうことである。」これは1989年9月の新血液事業推進検討委員会第1次報告の中で記載されていることばであります。また国際的にも「無償献血を基本とする国営の血液事業を推進する。」これは1975年のWHO決議であります。このWHO決議につきましては資料2の19ページ、これをご参照願います。1975年の第28回WHO総会におきまして「血液および血液製剤に関するWHOの計画」という決議が採択されております。この中でちょうど2、1のところさきほど申し上げましたような「無償献血を基本とする国営の血液事業を推進すること」という項目があるわけでございます。16枚目のシートは血液製剤の自給率についてであります。資料2の20ページの図表をご参照願います。さまざまな取り組みによりまして、自給率が高まっているところであります。さまざまな取り組みと申しますのは例えば成分献血の推進、あるいは医療機関への働きかけ、そして献血由来製剤の薬価の改正等、そういったさまざまな取り組みによりまして、また関係者のご努力によりまして、少しずつではありますが、自給率は推進されておるところでございます。しかしながら現状におきましてもアルブミン製剤についてはまだ24%の自給率であります。グロブリン製剤については40%であります。アルブミン製剤につきましては一人当たりの使用量は米国よりはやや多いわけでございます。使用量の適正化も含めて、自給率の向上が大きな課題であります。グロブリンにつきましてはこれは重症感染症等の治療に使われるわけでありますが、これは単に国内自給の面というだけではなく、その他の考え方もあるわけであります。このグロブリン製剤というのは病原体に対する防御の作用をもっておりますので国内の献血者の免疫グロブリンの方が、国内の病原体の防御に適しているんではないか。こういった専門家の指摘も聞いておるところでございまして、そういったことも含めましてグロブリン製剤の自給率の推進ということも大きな課題であります。
次に凝固因子製剤でありますが、これは一部のインヒビター用製剤を除いて血液由来のものが現在では100%自給であります。
17枚目のシートは国内自給に向けての課題、国内自給をどのようにして達成していくかということは大変大きな課題であります。今までもいろいろな取り組みがされてきたわけでございます。今後もさまざまな施策を展開していく必要があるわけであります。まず国内自給に向けての当面の目標をどこにおくか。使用の適正化の余地等はどうであろうか。そういったことがあります。たとえば資料に示しておりませんけれども、病床数を分母にして血液製剤の使用量を分子にして県ごとの差を調べてみますと、これは実際かなりの差が認められます。もちろんそれだけで一概には言えないわけでありますが、これがかりに患者さんの病態以外に何か使用量に影響する要因が示されているものとすれば、こういったことも自給目標の設定の際には検討すべき点ではないかと考えております。
資料2の21ページ、最後のページですけれども、ご参照願います。この資料2の21ページには使用基準の要約を示してありますが、昭和61年より血液製剤使用適正化ガイドラインを作成して使用の適正化に努めておるところでございます。次に計画的な需給調整に関する方法は何かという問題があります。原料自体の有効利用はもちろんのことでありますが、成分献血の推進等も含めさまざまな取り組みが必要であります。そしてその取り組みを具体化して実行していくための課題は何なのか、これを明らかにしていくことが大変重要であると考えております。
18枚目のシートは医薬品の健康被害に関する緊急時の対応についてであります。未知のウイルスによりエイズ感染のような問題が起きたときに対応できる体制を強化していく必要があります。この図は資料2の9ページに戻りますが、9月にまとめました医薬品健康被害再発防止策の中の総合的な危機管理体制の確立の中から、図の関連部分の概略をまとめたものであります。今後、この図で示した流れをより具体的な施策として示していきたいと考えております。厚生省における省内及び試験研究機関の情報収集、分析、評価、伝達体制の強化、そして政策決定手続きの明確化、さらには政策の迅速な見直し、これらの3点は危機管理体制を強化するにあたって大変重要な点であります。
19枚目の最後のシートは血液事業に関連する各セクターの役割の現状であります。ここには厚生省、都道府県、日本赤十字社、民間事業者、医療機関、この5つの関連セクターが図式化してありますけれども、さらなる安全性の確保と国内自給の推進に向けて、これらのセクターの役割分担は将来に向かっていかにあるべきでしょうか。資料2の6ページに戻ってご参照願います。資料2の6ページ下の段の血液行政の見直しのところで、主要検討事項の(1)は国、日赤等の役割と責任の在り方であります。今後この懇談会で検討していただく主要議題の一つであります。この図に示した5つのセクターの役割をもう一度再検討し、そしてこの図に記載されていない献血者、そして患者の方々により役立つものにしていきたいと考えております。以上で説明を終わります。
高久座長
どうもありがとうございました。詳しいしかも要領を得た説明をしていただきましたが、今の説明に対するご質問がおありでしたら、お受けしたいと思いますが、如何なものでしょうか。
井形委員
自己血輸血が最近普及しつつあると聞きましたけれども、この量は献血量として客観的に把握できるんでしょうか、それともまったく各病院で把握されないで行われているものでしょうか。
血液室長
自己血輸血につきましては別途全国アンケート調査等を用いまして調べたものがございます。ちょっと申し上げますと、自己血輸血でございますけれども、300床以上の医療施設にかぎった場合には48.5%、そして300床未満の施設では7.1%で実施されているという数字があります。こういった施設では300床以上の医療施設では総手術例数の約8%が自己血輸血症例であると、こういった調査がございます。内容としては整形外科がもっとも実施率が高く、その次に心臓血管外科、産婦人科、一般外科、消化器外科の順になってございます。
高久座長
他に何かご質問おありでしょうか。資料1の14ページの血漿分画製剤の中で日赤の血漿分画センターと民間メーカーとの割合はどれぐらいになっているか分かりますか。
血液室長
凝固因子製剤では日赤は、リコンビナント製剤を含めても50%以上ですから、第VIII因子では、血液由来のうち8割ぐらいが日赤のものだと思います。
森嶌委員
輸入ですが、一番最後の輸入血漿、輸入製剤となっておりますが、ご説明なりました自給率のところでは血液製剤の自給率と書いてございますが、この血液製剤は、これを見ますと血漿分画製剤のことなんでしょうか。
血液室長
さようでございます。
森嶌委員
血漿製剤の輸入というのはどれぐらいの自給率になっておりましょうか。
血液室長
輸入の問題でございますけれども、もちろん輸血用の血液製剤は一切輸入されていないわけでございます。血漿はちょっと細かい数字ないんでございますが、確かに原料血漿での輸入の部分とそれから製品としての輸入の部分と両方あるわけでございます。ちょっと数字の方は持ち合わせておりません。
高久座長
どなたかご存じの方ございませんか。データーはないようですね。分かりました。どなたかご質問あるいはご意見でも結構ですが。どうぞ。
森嶌委員
日本では諸外国に比べて輸血の量が多いと言うふうに聞いておりまして、さきほどのお話でもアメリカに比べれば血漿の使用量が少し多いということでしたが、どれぐらいでしょうか。
血液室長
この数字がたいへん変動の激しいものでもありますけれども、直近の数字では確かアルブミンの場合で、1.3倍から1.4倍ぐらいが、一人当たりの使用量です。それからグロブリンの場合は最近アメリカの使用量は、たいへん伸びておりまして、日本よりやや多いようでございます。
高久座長
私が知っている範囲ではグロブリンについてはあまり差がなく、アルブミンに関しましては確かに日本では多いと思います。その理由の一つは日本では肝炎から肝硬変になる患者さんが多く、肝硬変では血漿アルブミン値が下がってむくみがくるためにアルブミンを使用せざるをえないというのが一つで、もう一つの理由は私もこれは正しいかどうか分かりませんが、外科のお医者さんが術後にアルブミンを使うことが多いのではないか、それに対する批判があって、最近では減ってきていると思いますが、保険適応をみましても大きな外科手術の後には使って良いということになっております。アルブミンの低い患者に対してアルブミンを投与しますと傷の回復が早いという意見もありますので、比較的アルブミンを使いやすい日本では外国に比べてアルブミンを使っているのではないかという意見がありました。しかしこれは正確なデータに基づいておりません。どなたかこの事についてご意見は。
血液室長
海外の状況についてでございますけれども、11月2日から2週間かけまして、この委員会の布施専門委員と厚生省の職員、さらには日赤からも参加していただきまして海外の血液行政、あるいは血液製剤の動向、さらにはエイズの問題以降の取り組み方等を欧米を主体としまして調査するチームを派遣することといたしております。そこでただいまご指摘のあったようなことにつきましてもよく調査いたしまして次回の会で報告させていただきたいと考えております。
秀嶋委員
さきほど外科の術後に非常にアルブミンを使うとおっしゃいましたけれども、ネフローゼとの比較はどうなんでございましょうか。
高久座長
ネフローゼにはもちろん使うと思います。内科では肝硬変とネフローゼの患者さんに一番使うと思います。ネフローゼの患者よりは肝硬変の方がはるかに多いのではないかなと思っています。最近では腎炎そのものがかなり減っていまして、ネフローゼに比べると少なくなっていると思います。正確なデータは分かりませんが、そういう印象を持っております。私も現場から離れていますので、分かりませんが、数について、宮村先生ご存じですか。
宮村専門委員
肝炎程度が多いと思います。
三星委員
この今のお話の中で疑問点やお願い事項やらございますが、まず資料1の15ページ。これに「血液事業の実施にあたってもっとも重要なことはすべての血液製剤の国内の献血でまかなう」と、ちゃんとうたってあるんですね。それで平成元年にこれが答申される。資料ずっとめくっていきましたら、その前の昭和50年昭和60年にも同じようなことがされておるんですね。それがなぜ今までそういう形にされなかったのか、ならなかったのか。今回の会議ではそういうことについてはっきりお出しをいただけるのかどうか、そのへんのところですね。すぐやれっと言ってもこれは不可能なことですよね。ですからちゃんと3年後だとか5年後だとかまで目標決めてやっていただく。実は医者でもございませんし、医学的なことは全然分からない私ですけれども、なにかせっかくこういうものが出ていても何か隘路があってできなかったんだと思うんですね。そういう問題を今度は越していただいて、どうしてもこれやっていただけないかというお願いが一つ。それからもう一つ実は過去に2年ほど前から行天先生などに司会をしていただいてPL法の問題が出ていろいろお話を申し上げたことがあるんですが、そういう結果からしましてライオンズクラブとしてやはりいろんな意味の何回か討議をしたクラブとしての答えが出ておるわけで、それの基本としてはどう考えても血液の事業というのはこれは国の事業ではないでしょうかと思っております。国と日本赤十字社との役割責任と、献血を支えている献血者(ドナー)の保護、国民の献血思想の普及、そういうようなものをはかる法律がどうもはっきりしていないんじゃないか。ですからこの際ぜひとも法律を制定していただいて、これは私がというよりもわれわれが提案して、決議を決めておりますので、これは国会などにもお願いをしているはずですけれども、何かはっきりしていないという形でございますので、ぜひともこのへんのところ、とにかく尊い血液事業というものを国民の医療に関することでありながら国の事業になっていないんだと。何かことあると日赤さんが悪者になりますけれども、何かそのへんを十分考えていただけないかな。と申しますのはわれわれ31年間献血奉仕を続けております。そういうような観点から立ってPL法に入っているのは止むを得ないとしても血液の安全ということをもっと強調していくにはそのようなことが是非必要じゃないかと思います。それともう一つ最後に是非一つ先生方答えの中で申し訳ないんだけれども、ほんとうに国民が善意をもって献血している会場を見てもらいたい。おそらく先生方そういうところへ足を運んでいただく機会が少ないと思いますので、この懇談会の中で是非ともそういうところを見ていただいて献血の会場もあり、成分献血のルームもございますので、そういう中からこの今後の目標について新しいお考え方も先生方から出していただけるんじゃないかと思いますので、ぜひ一つお願いを申し上げたいと思います。以上3点申し上げました。
高久座長
今、いくつかの問題点を指摘していただきましたが、最初の問題の、すべての血液製剤を国内の献血でまかなうということが1989年9月に報告されましたが、現状ではアルブミンが24%でガンマグロブリンが40%という状況である。この事について如何でしょうか、日赤関係の方々で何かご意見、前田先生、草刈先生ご意見ありませんか。
前田委員
さっきアルブミンが外科の手術後に多く使用されていて、それが我が国の使用量が多い原因かもしれないというお話がありましたが、その他にもアルブミンの使用については非常な地域差があり、それが県毎の使用量の違いとして出ているようです。
一概に外科の使用量が多いためとは言えないと思います。使用の適正化といわれていますが、どこまでを適正というのかよく判りません。日本が世界で一番使っているということは数字的にはあるようです。医療先進国と言われている外国の普通のレベルまで使用量を落とすことなしには、献血で賄えるかどうかいう話にはならないし、現在の使用状況のままでは不可能だと思います。ガンマグロブリンについては、日本の方がアメリカより先行して沢山使っていたのは事実のようですが、アメリカはエイズが出現したため、合併する感染症対策のために増加したと聞いています。はっきり確かめたわけではございません。今まで述べましたようなことから、現在の体制のまま、現在の使用状況のままでいく限り、献血で全部賄えるかどうかという計算はつきにくいのではないのでしょうか。
草刈委員
さきほど事務局からご発表になりました外国の輸入アルブミンの回収問題、国内のシェアの25%ある会社が回収しますと国内の需要がほとんど危機的な状況になりうるということでございまして、国民の医療を守るための安定供給はいかにあるべきかという視点からも対策は必要だと思います。それにつきましても献血者の皆さんの理解がなくてはならない。それをときにはお忘れになってはいないかということがございます。私ども日本赤十字社で行っておる血液事業は献血者あっての血液事業でございますし、献血者の方々と今三星委員がおっしゃったように30年いっしょに歩んできたということは決して忘れていただきたくない。
高久座長
そうですね。問題はいろいろあると思いますが、全血に関しては国内で自給しているわけですね。そうしますと今24%しかないアルブミンを国内で全部まかなうとすると献血血液そのものが今の3倍必要になる。それは非常に難しいと思います。それをすると赤血球が、余るかも知れない。その点はいかがなものでしょう。
ですからアルブミンの使用制限をするという事が現状では一番やりやすい方法だと思います。たとえば適応を削ることはできるのですか。皆様11月にアメリカに行かれますね、それで向こう側の適応をよく検討してアメリカではこの様に適応がかぎられているから日本のアルブミンもここまでにかぎったらどうかというようなことができるかどうか。できるならした方がよいと思います。
血液室長
方向としてはお答えにちょっとつながらないかも知れませんけれども、医薬品の再評価ということもありますので、ただこれは有効性とかの再評価でありますが、そういったことも一つの方策ではないかと。
高久座長
そうですね。有効性ということに関しては、血漿アルブミン値が非常に下がってしまった肝硬変やネフローゼの患者には使わざるをえないですね。一番の問題は外科の適応ではないと私は思っておりまして、そこのところをキッチリすれば自給率が上がってくると思います。アルブミン製剤の適応の中で、悪性腫瘍が入っていますね。悪性腫瘍の患者に使わなければならない場合もあるかと思いますが、それでもアルブミンを悪性腫瘍の患者に使うのは考える必要があると思います。
血液室長
さきほど血液事業に関する役割のところで法律に関するご意見ございましたけれども、現在わが国の血液事業に関しての役割に関する一番根拠となっておりますのは昭和39年の献血に対する閣議決定でございます。その中で国と地方公共団体と日本赤十字社が三位一体となって推進するということになっているわけでございます。もちらん三星委員ご指摘のように役割関係をもっとキッチリ規定すべきではないかといったご意見も聞いております。そういったところはいろいろとご審議していただきたいと考えております。
草刈委員
法律のことでございますが、厚生大臣のご答弁がございましたが、安全を担保するために薬事法に入れて血液製剤の安全を図るということで、薬事法の中にございます。その56条でございますが、専門の先生方また行政のご当局からのご意見もいただかなくてはならないのですが「病原体によって汚染され、また汚染されたおそれのあるものは製造、販売、陳列してはならない」というふうに書いてあるのではないかと記憶しております。そうしますと今議論のございます加熱、非加熱のことすらおかしくなる。さらに血液製剤総則というのは薬事法から派生したのでございますが「病原体が消滅または除去が確認されたもの」とこういうふうにございますが、血液に関する限り、いくら加熱しても。その後今のように進んだ技法で計ってみますとウイルスの断片が存在するわけです。そういうものは昔の細菌学の知識やら合成化学の知識の中で作られたものではないかという気がいたします。これはそれぞれのその時々の方々が一生懸命やった成果だと思いますが、今の科学の知識あるいは現在の我々が求めている安全のためには前のような役割を果たしているかということははなはだ疑問でございます。とくにプリオンとか、G型肝炎という新たなウイルスとの戦いのために、血液の特性に見合った位置づけをしていただくとありがたい。一つだけ献血者の前で申し上げますが、われわれに600万人の方が献血してくださっております。その方々はご存じのとおり病床であえいでいる方ではございません。元気に活動している。国際社会で活動している。あるいは学校で活動している。そういう方々というのは元気でございますから、感染の可能性が無限大にあるということでございます。その方々の善意をいただきながら、われわれ与えられた技術でできるかきりの安全性を求めておりますというところでございます。そういう意味で先ほどの法律はどうかという座長のご質問にお答えいたしました。法律の専門でもない人間がこんなことをいって申し訳ありません。
森嶌委員
今法律の話がでましたので、現行法は薬事法でも輸血のことを考えていなくてできているんだろうと思うんですが、現在いろいろなことが問題になっていると同時に他の医薬品と違うのは血液製剤がさきほどお話ございましたようにまず献血を前提として日赤。民間の製薬会社で扱ってないことはありませんけれども基本的には全部日赤に最終的には帰するということだと思うんですね。私は製造物責任法を作るときに作る方の立場にございましたけれども、その際に厚生省から血液製剤については製造物責任の外に出せと、そういうご意見がございました。これは血液製剤を製造する側から言えば今までのお話のようなことを前提に普通のものとは違うんだから、外してほしいというお気持ちは分かるんですけれども、逆にそれを使われる方と申しましょうか、消費者という意味で患者側から申しますと、現在の科学技術をもって検知できないと。しかしながらそういうウイルスなり何なりが入っていることは分かっているという可能性があるということは分かっていると。しかし、それは検知できないだけだということになりますと、他の製品でもそういう製品はあるわけですね。例えば一番簡単な例が現在の製造方法をもってしては、どこかで何万に一つぐらいはオシャカが出てくる。しかもそれは製品検査をしても破壊検査等をしない限り分からない。そこで検知する、あるいはそれを除去するという技術はまだないんですけれども、それの確率が低いためにある程度出さなければならない。危険なものを出さなければならないという場合には、それをカバーするのが製造物責任という考え方ですので、血液製剤の場合ですと、確かに責任が日赤に集中してしまうという問題があるわけです。ところで国民の健康という点からいえば、血液製剤をなくしてしまうわけにはいかないということで、私は他の面でも責任というと何かすぐ「お前は何をしていたか、謝れ」と、そういう責任ということを考えがちですけれども、そういうことでなくて、まず防止責任の面においても国が率先をして、防止しなければならない。そしてそれを現実に執行にあたるのが日赤であると、しかしそれのコストとか、制度的なものについては国がその役割負担をしなければならないと。そして必要あって、血液製剤を世の中に出してたまたま検知できないようなウイルスがそれに入っている場合には国がそのコストをもつというような形での役割分担ですね。それをキッチリこの際一度法律にすべきだと私は思いますけれども、とかく日本では法律にするというだけで何か非常に悪いことをするような感じがありまして、今まで同じことを行政指導であれば良いんですけれども、法律にしようと思うといろんなところから反対が出てきてできないということはないわけではありませんけれども、HIV以降厚生省もお考えがお変わりになりましたし、国自体も行政指導でなくてやるという、私はどのような法律ができるかは別として、最終的には法的制度に組むとすればどういう考え方があるのか、ということを考え、ここでもお考えいただきたいと思います。そしてその際に、行政、国と日赤との役割分担というものはあくまでも役割分担であって、その場合にどちらが責任というのは法的責任というのは行政ではどういう責任を負うかということ、それからいわゆる責任ですね。損害賠償責任という形で第三者、国民に対する直接的な法律責任をどちらがというよりも私はこういう事業の場合は国が負うべきだと思いますけれども、現に最終的に国がお金を出すかどうかは別としまして、医薬品の被害の副作用救済基金なんていうのもありまして、そのへんの基金とどういうふうに結び付けるのか、あるいは国がそれを算出をするのか、これは立法上の問題ですが、建前としては私は問題あってもどうしてもやらなければならないという事業については国が最終的にはバックアップしておかなければならないというふうに考えております。
草刈委員
法律的なことは分かりませんけれども、別に製造物責任がどうのこうのと申しているつもりはさらさらございません。国で決められ、国法でキチッとそのようになればわれわれ国民の一人としてそれに従うだけのことでございます。ただその議論の間に、あるいはこの委員会の議論で、ご承知おきいただきたいことは、40億年の人類の進化の間で、一つの閉鎖系である血管系、脈管系に針を差し入れて他人の血液を入れるということは、本来どんなものだろうかということでございます。口から入れて出ていくというのはこれはほんとうに進化の中で作られたシステムでございますが、そのシステムにはないもの。しかし救命のために救急のためにやらなければいけないときになされるものであって、森嶌先生の血液であっても人さまにあげるための血液では決してないわけでございます。先生のために作られた血液を先生がたまたま健康にめぐれまているから、その凝固因子が先天的に足りないとか、あるいは今赤血球、あるいは血小板が足りない方に分けてあげるわけですね。それは口からではなくて、血管だということ。ABO型の血液が発見されてまだ100年しかたっていないのです。これは湯浅先生の専門でございます。それから血液には微妙な人間の顔以上に微妙な差があること。ABO型が同じで不規則抗体がないから良いではないんで、他人の血液は基本的に異物であるのです。自己血でありましても自分の身体から離れたらもうこれは異物である。既に温度差がある。それからタンパク変性等はあり得るわけであります。輸血を受けた患者さんというのは先生方から伺いますと、そのいただいた血液の中に救命に必要な部分は一生懸命使うけれども、さらに異物として一生懸命排除するんだと。それにたいへんなエネルギーを使うんだということでございます。また湯浅先生後で補足していただきたいと思いますが、その中で極端なものがGVHDで、受けた患者さんの命が危なくなるというようなことがあることをご理解いただければありがたいと思います。そのことを忘れて欲しくない。大変失礼でございますが、先刻ご承知のことと存じますが、ぜひ思い起こしていただきたいのです。
中谷委員
さきほど森嶌委員の方から法的な問題についていろいろ説明がありましたけれども、私も法律をいろいろ考えたり、見たりしていますけれども、厚生事業に関する法の体系を見ますとなにしろあぜんとするほど古い法律がいっぱいあるわけでして、他で森嶌先生もいっしょですけれども、伝染病予防法などというのは明治30年の法律で刑法よりも古いわけですから、びっくりするわけでございます。そういう意味で薬事法その他の関連法令についても何しろ医学とか、薬学とかの非常に古い段階で作られたものであぜんとするような規定があるわけですから、そういうものを含めましてこの懇談会でも検討していかなければならないんじゃないかというふうに考えております。同時に先ほど森嶌先生は消極的なご発言だったような気がしますけれども、行政の責任の取り方みたいなものも非常に問題になっておりまして、責任というものをどういうふうに考えていくのかということも含めまして検討できたらよろしいんではないかなと。そういう点で少しお役に立てればありがたいなというふうに考えておりますのでまた先生方のご指導えまして、勉強させていただきたいと思います。
曽野委員
私は今日、ご講義を伺ってだまって座っているのが一番得だと思って、そうしようと思っていたんですが、そうしますと何のためにお前はここにいるんだということで、それでもよろしいんですけれども、私はここにいさせていただくたった一つの意味というのは国民とこういう行政で医学との間にどうやったら理解が可能かという非常に末端で大事な問題というのをもしかすると働かせていただける場合があるかなと思って座っているわけでございます。今、草刈先生のおっしゃったことやこの8ページにございますことは私の今日ほんとうに大きな、昨日から拝読していたんでございますけれども。ウイルス等の感染や免疫反応に対する副作用を技術的に完全に排除することは困難であるという一言でございます。これは期限をかぎっていうのではないのかも知れない。私は医師でありませんので、何ともいえないんですが、これはむしろ神学の問題かも知れない。私はずっとこれをもってこんなに明確な科学的な把握ではございませんけれども、動物的にこれをもって生きてきたのでございます。生きるということが今また草刈先生がいわれ私がいろいろ教えていただいておもしろいと思うんですけれども、血液の中に異物を入れる。血管の中に血液を入れるということは今までになかったことなんだ。最近人間の浅知恵だか深知恵だか知りませんけれども、それが見つけたやり方なんだろうと思うんでございますけれども、そういうことも含めて生きることっていうのは何なんだろうということがずっとここ数年私の中にあります。たとえば私飢餓の年のエチオピアで何回か子どもを「今持っていってくれ」って言われたんです。それは中国かどこかで子ども100円で買ってくれと言われた人が私の知人にあるんですけれども、100円というちゃんと値段がついていました。私の場合はもっと素朴で今持っていってくれというのです。それは一人は母親で一人は父親でございましたけれども、片親になっている。父親の場合は「今あなたが持っていってくれればあなたが持っていってくれることによってこの子どもは生きる」母親の方は何も言いませんでしたけれども、とにかく名前も何も分からなくても親がだれでも良い。この子を生かすということに意義があるという一つの現実を知ったんでございますね。それから私も今のところは冷酷なのか何か分かりませんけれども、一人ひとりの命を私自身の場合は可能性を使い切ったら自然に死ぬのが良いのではないかと思っておりますけれども、何が何でも生きたいと人の希望というものも現実にあることは間違いないんでございますね。それに対して、どういうふうにそこに折り合いをつけるか、これ一番大事なことはわれわれの文化とか、思想というもの、あるいは可能性というものが100%ではないという当たり前のことを最近やっと到達したということなんです。原発問題でもなんでも100%の安定なんてありますかという言い方をしてそれは人間的な問題だと言葉として通るようだという風習があったように思います。しかし、すべてのものは100%ではないわけであります。ただ限りなく望ましい方向に100%もっていくようにする努力を怠るということではございませんが決して100%ではないと思います。私はその面についてここに幸いマスコミの皆さんがいらっしゃいまして私は一人の参加に過ぎませんけれども、こちらに大きな媒体をもっていらっしゃる方が新聞記者の方がたくさんいらっしゃいます。それに対して大きな力をこれから正当に発揮される。今まではどうもセンチメンタリズムの部分が多すぎました。例えば私、木を伐るってちょうど森林の会議あったんです。国際的な。その森林の会議でも日本の人たちはインテリがほとんど。カナダの代表というのは木こりの代表がいらっしゃる。こんな大きな方がいらっしゃるとそれだけで圧倒されて素晴らしいなと思っていたんですけれども、ちょうどそのときに使い捨てのプラスティックの箸を再び同じ業者が回収してそしてそれによって特殊なもう一回使える割り箸を作るというのが新聞に出たんです。私は面白いから会議に持っていって、それに箸置きまでつけるようになっていて、なんとも日本的なデリカシーがあるものだったんです。それを見せたら、カナダの代表数人が「間伐ということが必要なことに対して日本人は何を考えているんだ。間伐しなければ、間を一定に開けなければ木というものは全部だめになるのに、それによって使う用途を閉ざしていったらどうなるか」ということをかなり怒って私に言った。木は伐らなきゃ良いなんていうものじゃ絶対にないんだということです。私はどちらとも良く分からないので、そういうときはうつむいて卑怯な顔して座っていることにしているんでございますけれども、どうぞこの場合にもセンチメンタリズムを排してかつ妥協なく国民にこの100点満点であり得ない現世の姿をお示しいただいて、そしてそれを新聞記者や私もマスコミの末端に座っているつもりでございますが、そういう人間が全力をあげて文章だけでなくマンガも良いだろうテレビも良いだろう、さまざまな可能性と悲しみと喜びについてお伝えいただきたい。そういうふうに私は願ってここに座っているわけです。
高久座長
どうもありがとうございました。8ページの1995年の血液問題検討会の報告書は私が座長だったのですが、まさしくこの通りであります。曽野委員がおっしゃったように限りなく安全にするのがこの委員会の大きな役目だと思います。安全性については13ページに非常に良くまとめられていると思います。危険性をいかに軽減し、又、危険に関する情報を把握し、それを伝達し、また起こった場合にいかに対応していくかということを検討するのがこの委員会の役目だと思います。危険性をいかに軽減するかということの中に報告書の9ページにあります国内自給の推進、この問題についても委員会で今後ご検討を願いたいと思います。曽野委員のご意見にありましたように8ページに書かれた論点の上に立ってしかも100%近く排除することを目指すというふうに考えたいと思いますので、その具体的な案につきまして次回以降の委員会で検討したいと思います。
湯浅委員
今回血液行政の見直しということでございますけれども、私は臨床の場から一つ申し上げたいと思います。アルブミンの自給にもかかわりますし、適正使用にもかかわわることであります。今回の不幸な事件は薬害ということばが使われておりますが、これは薬害即ち、医薬品ではなく、血液製剤によるものであるととらえることが重要と考えます。血液製剤というのは医薬品とは根本的に違っているということ。つまり、その特殊性は現在の最高技術レベルでも排除できないリスクがあるということであります。したがいまして、ここで血液製剤の安全性確保をいかにするかという時、血液事業にかかわる国と血液センターの二つの柱ではなく、血液製剤を使う臨床の場もその一つの柱に位置づけなければならないということです。資料1の19ページの表にございますけれども、安全性を考える中では、厚生省と赤十字、そして医療機関のこの3本柱の役割をしっかり作ることです。血液センターでの問診やスクリーニングと共に現場での血液製剤の適正使用、つまり厳重な適応のもと、リスクを伴う血液製剤を使用するときには患者さんのインフォームド・コンセントを得ること。その中に同種血の代替として自己血輸血があること。そしてさらに大事なことは、輸血検査体制や血液製剤の保管管理を厳重にするということです。これらを徹底することが同時に安全性確保につながるわけです。それを具体的に効果的に実施するには厚生省のガイドラインに示されているように医療機関の中に輸血業務を一括して扱う輸血部門を作り、そして院内に輸血療法委員会を作るということです。それがまだ徹底しておりません。国立大学では全部の施設に輸血部ができましたが、医育機関ではそこで医師が教育を受け育って一般病院に行くわけですから、少なくともその中に輸血部門を作り、輸血療法委員会を作ることが大事です。今回も危険性の情報をいかに伝達するか、あるいは適正使用遵守の具体的方策ということがテーマになっておりますが、そのような体制があれば赤十字血液センターや、厚生省からの伝達やガイドラインが臨床の医者に的確に伝わります。
血液行政の見直しの中で、医療機関の中にそれらの設置を是非ご提言していただいて臨床現場における血液製剤の特殊性を踏まえた輸血療法への意識改革を行い、その安全性確保と適正使用につとめたいと思います。
宮村専門委員
現在の技術では完全に排除することができないと銘記したところが前回の血液問題検討会の一番大事なところだと思うんです。それは時々刻々新しい事実が判明して解決してゆくのですけれども、同時に今われわれが分からないから、無知であるから、危険度が分からない。そういうものもある。知れば知るほど新たなものが出てくるということは永劫に続くことだと思います。そしてもう一つ血液製剤に対する医療上での要請と考える時、原材料を本当に血液に頼らなければならないのかということです。血液凝固第VIII因子の材料はほとんど国内自給で成立することになりました。一方で遺伝子組み換えの凝固因子製剤が上市されて、そのシェアは非常に拡大されていくというふうに書かれております。このような画期的なものができているのになぜこれがB型肝炎のワクチンのように100%組み換え産物でシェアできないのか、もし問題があるとしたらそれはどこにあるのか、そういうことも考える必要があると思います。
高久座長
どうもありがとうございました。同じことがアルブミンでも言えると思います。今日はさきほど事務局からお話がありましたように11時50分で止めさせていただきますので、最後に事務局の方から連絡を。
血液室長
それでは事務局からでございますけれども、この血液行政の在り方に関する懇談会の今後のスケジュールについてでございますが、2カ月に1回程度開催し、できましたら、半年ぐらいの間に取りまとめをしていただくと、こう考えておりますので、よろしくお願いいたします。ついては次回の開催日をここで決めていただきたいと思うのでございますが、事務局の希望では12月中旬に開催したいと思います。それで事前に委員全員の方ではないんですけれども、かなりの人数の方に日程の概略を聞かせていただいたんですが、大変残念でございますけれども、全員が出席可能な日というのがありませんでした。最大公約数としてお許しいただければ12月13日金曜日の10時から12時まで。もしご欠席の場合は今回の清水鳩子委員のようにご意見をメッセージの形で出していただいてはどうかと思います。大変僣越ではございますけれども、こんな形で12月13日の10時から12時までとさせていただきたいと思いますけれども、いかがでこざいましょうか。
高久座長
今事務局の方からの説明がありましたように皆さん方すべての方のご都合が良いというわけにはいきませんので、最大公約数的な日として12月13日の10時から12時を予定させていただきますので、よろしくご了承のほどお願いしたいと思います。
血液室長
13日の場所等はおって連絡させていただきます。本日は委員の方々に昼食を用意しておりますので、そのままでお待ちいただければと思います。
高久座長
それではこれで本日の委員会終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
        問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
                担 当  猪 俣(内2903)
                電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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