審議会等議事録 ホームページへ戻る

公衆衛生審議会成人病難病対策部会議事録

厚生省保健医療局疾病対策課

公衆衛生審議会成人病難病対策部会議事次第

日 時 平成8年10月21日(月) 14:00〜16:00

場 所 通産省別館共用第946号室

次 第

1開 会

開会の辞
局長あいさつ
資料確認
2議 事
成人病の現状について
生活習慣病(仮称)の概念の導入について
成人病難病対策部会専門委員会の設置等について
臓器の移植に関する法律案について
その他
3閉 会

◯塚原補佐

それでは定刻となりましたので、ただいまから「公衆衛生審議会成人病難病対策部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ御出席をいただきましてありがとうございます。
本日は倉田委員、島委員、杉村委員、鈴木委員、南委員及び津久江委員の6名の委員の先生方が御都合がつかず欠席されておられます。
まず会議に入ります前に、小林保健医療局長からごあいさつ申し上げます。

◯小林保健医療局長

保健医療局長の小林でございます。委員の先生方には大変お忙しいところ、日程を曲げて時間をつくっていただきまして、この公衆衛生審議会成人病難病対策部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げたいと思います。
また大変今日天気がよろしゅうございまして、こういうところで会議をしているよりは外を散歩している方が健康増進にはいいのではないかという気もいたしているので、天気がよ過ぎてもったいないなと思う次第ですけれども、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
ちょうど1か月ぐらい前だったでしょうか、実はある新聞に厚生省は成人病対策という名前を生活習慣病対策に変えるという記事が出ました。実はまだ何も決めていないのでありますが、私ども局内でディスカッションをしたときに、実はこれまでずっと成人病対策ということでやってきたけれども、どうも成人病対策と言うと、国民の認識は病気の早期発見・早期治療というところにどうも重荷が掛かってしまったり、または小児成人病などという言葉で出てまいりまして、小児成人病というのはどちらだろうか。子どもさんと成人病の予防のスタートのところなのだろうかとか、または成人病の中に小児などという名前がつくようなところがあるのだろうかとかいろいろ御意見もありまして、一遍公衆衛生審議会のこの部会でもって、成人病という名前について御議論いただいたらどうだろうかと、こんな議題を中で言っていたのです。
ちなみにアメリカでは成人病という英語はライフスタイル・ディジーズとなっているのでしょうか。成人病というのはアメリカの訳とはまたちょっと感じが違う訳でございまして、そういう意味では局内でディスカッションしていまたら、生活習慣病対策はどうだろうかなというのが我々の局内の議論であった訳でありますけれども、そんなものが新聞にどこかで漏れてしまいまして出た訳であります。今のところ私どもに寄せられた御意見は余り批判の声はなかったのですけれども、大変驚いたという声は出たところであります。
いずれにいたしましても、これは先生方の御意見をよくお伺いをし、御意見を聞いて、そしてみんなで御判断をして変えていかなければいけないのではないかなということを思っている訳であります。
今はこれから本当に本格的な高齢化社会を迎え、やはり早期発見、早期治療も大切だが、その前にそういう病気を予防するということが大変大切であるし、それからもう一つ我々が気にしていますことは、がんならがんの病気の予防対策ではこういう12か条があるとか、糖尿病の世界のときは糖尿病ではこういうことを気を付けようとか、それぞれ病気の疾患グループごとにいろいろなことで書物には出てまいりますが、なかなか人間トータルで見た場合の生活習慣どうしたらいいのかということについては、今のところ私たちも国民の皆さんにこういうまとまったものがありますよというところまでは至っていないような気がする訳であります。我々の不勉強かもしれませんけれども、何とかこの公衆衛生審議会成人病部会でもって、何らかの新しい処方せん的なものが出来たらいかがかなというふうに思っておるところでございます。
この成人病についての審議会の御意見は、平成3年にがん・循環器について中間報告をいただいて以来の会議ということですから、年数としてもそれより5年もたっておる訳でございまして、そんなことから今日この会議を持たさせていただいたということでございます。
もう一つリウマチにつきまして、本年度から標榜科目としてリウマチというのが追加されましたことにかんがみまして、リウマチ対策を充実させるために専門家会議を設けてはどうかなと、こんなことも我々は考えておりまして、これについても先生方の御意見を聞かせていただければということを思っておる次第でございます。
なお、臓器移植に関する法律案でございますが、さきの国会が解散になりまして、あれは議員立法であるためにそのまま即廃案ということになりました。今後のことは昨日選挙があり、国会議員さんも新たに決まった訳であります。これから内閣が出来、そして委員の構成も各委員会等に割り振られていく訳ですけれども、臓器移植につきましては、今のところは法律が全くない状態。国会にもかかっている状態ではない訳でございまして、臓器移植学会では自分たちの責任でもって、国民の皆さんに情報開示をしながらきちっとやってまいりたいというのが臓器移植学会の考えのように伺っておりますが、これは今度新しくなられました国会議員の先生方、また国会に集まりまして、先生方は先生方でいろいろなことをおっしゃられると思うのでありますが、その辺については今後の審議を見ながら考えていこうと思っておるところでございます。
皆さん方には大変お忙しい中をこうやってお集まりいただきまして、ここで出来るだけ自由闊達な、そして21世紀に向けた新しい御示唆を我々にいただければということを思った次第でございます。本当に今日はよろしくお願い申し上げたいと思います。

◯大谷部会長

どうもありがとうございました。皆さん今日は御苦労様でございます。
それではまず議事に入ります前に、資料の確認を事務局からお願いします。

◯塚原補佐

それでは、委員の先生方のお手元にお配りしてございます資料の確認をさせていただきます。
まず資料1といたしまして、「生活習慣病(仮称)の概念の導入について」というものが資料1でございます。
それから資料2といたしまして、「成人病難病対策部会専門委員会の設置について」と書いてございます資料がございます。
資料3といたしまして、『「臓器の移植に関する法律案」提出後の経緯』という1枚の紙を付けてございます。
参考資料といたしまして、3つお手元にお配りしてございます。参考資料1が「成人病の現状」ということでかなり分厚い資料が1つございます。
それから「リウマチの現状」ということで、2ページでありますけれども、参考資料2としてお配りしてございます。
それから『海外における「成人病」等の状況』ということで、参考資料3ということでお配りしてございます。
資料は3つ、参考資料が3つでございます。それから、資料というよりは「成人病のしおり」という冊子を先生方のお手元に1冊お配りさせていただいております。
それから資料ではございませんが、1枚の紙で「公衆衛生審議会成人病難病対策部会調整表」というものをお配りさせていただいております。11月末から12月の頭に掛けまして、もし今日お分かりになるようであれば、先生方の御都合を審議が終わりましたところで御記入をいただいて、机の上に置いていっていただければというふうに思いましてお配りさせていただきました。
資料の確認は以上でございます。

◯大谷部会長

ありがとうございました。それでは議題1の成人病の現状につきまして、事務局から資料の説明をお願いします。

◯塚原補佐

それでは参考資料1「成人病の現状」という厚い資料がございますので、こちらを中心に御説明をさせていただきたいと存じます。中身が非常に多くなっておりまして、目次がございますので、それをごらんいただきたいと思います。
まず、先ほど局長の方からもごあいさつで触れていただきましたように、「公衆衛生審議会成人病難病対策部会等の開催状況」ということで、がんと循環器につきましては平成3年に報告書が出ておりますのでこれを添付してございます。
2番目に「成人病の動向」ということで死亡、あるいは患者数、一般診療医療費といったような資料を付けてございます。
3番目に生活習慣の現状ということで、おおむね国民栄養調査の中で調査されておりますので、「国民栄養の現状」ということでこれも資料を付けております。
それから「成人病対策の現状」ということで各部各局各省庁において健康対策というものが行われておりますので、その重立ったものについて事務局の方でまとめましたのでそれが資料の中に入っております。
それから「成人病研究の現状」。
それから関連財団・社団の一覧。
最後に「成人病対策の歩み」ということで、昭和30年代から今までどんな対策がそれぞれされてきているかというのをまとめた年表のようなものを準備しております。
それではページを追いまして御説明させていただきたいと思います。まず1ページをごらんください。
「公衆衛生審議会成人病難病部会対策部会等の開催状況」でございますが、成人病難病対策部会が設置されましたのが平成2年11月ということになっておりまして、第1回の部会で部会長さんの選出が行われております。具体的な審議は第2回以降始まりまして、この平成3年1月の部会でがん対策と循環器、それから骨髄移植という3つの専門委員会が設置されまして、おおむね半年の議論を経てがん対策専門委員会報告、あるいは循環器対策専門委員会報告、骨髄移植対策専門委員会報告というものがなされております。この報告をなされました後、骨髄移植対策専門委員会につきましてはその後ずっと開催をされまして、延べ13回の専門委員会が開催されております。
次のページをごらんいただきたいのですが、平成5年からは今の委員の先生方にも大変御尽力いただきました難病対策専門委員会というものがスタートいたしまして、都合16回の専門委員会を開催させていただきまして、平成7年12月に難病対策専門委員会報告ということで部会の方でお取りまとめをいただきました。
直接成人病に関係する報告が2つございまして、がんと循環器になります。4ページをお開きいただきたいと存じます。
平成3年6月にまとめられました「がん対策専門委員会報告」でございます。詳しくは後ほどお読み取りいただければよろしいと思いますけれども、結論的なことが6ページに載っておりまして、4「当面取り組むべき諸問題」というところで集約されております。こちらの内容を見ますと、2行目に書いてありますように1次予防に取り組むことが大切であると。1次予防を推進すべきであるというようなことが書かれております。
下の方にいきますと、地域がん登録でありますとか、診療等に関する情報システムの構築の推進というようなことを諸課題ということでこの報告書では述べられております。
1次予防につきましては、例えばがんを防ぐための12か条というようなものをつくりまして、国民の啓発というようなものに取り組んでおりますし、研究の推進も重要課題の1つとして進めているというところでございます。
2番目の情報システムの構築というものにつきましては、平成7年度からがん診療情報ネットワークシステムというものを立ち上げまして、現在国内の数か所の医療機関とがんセンターを結んで、画像を中心としたテレビ会議といったような情報システムを今、運用しているところでございます。詳しくは後ほどお読み取りいただければというふうに思います。
続きまして、10ページ以降が「循環器疾患専門委員会報告」でございます。これも非常に提言をいただいておる訳ですけれども、11ページ以降の概要を御説明させていただきたいと思います。
11ページに「循環器疾患対策への提言」ということで循環器専門委員会の提言がまとめられております。やはり1次予防というところに非常にページ数が割かれておりまして、ここに書いてありますように1次予防、生活習慣の改善が循環器疾患予防対策の鍵である。1次予防を更に強化した対策が必要であるということが平成3年の段階で指摘されております。
具体的には、集団と個に対する健康教育ということで、リスクファクターをリスクインディケーターとして1次予防対策を更に強化していく必要があるのではないかというようなことが述べられております。
右側の方に移りまして、1.2に「健康知識の普及」というふうに書いてございますけれども、マスメディアの活用でありますとか、次のページをごらんいただきますと、学校保健の場で小さいころから健康に対する習慣でありますとか、教育をしていく必要があるというようなことが述べられております。
もう一つは下の方にございますけれども、(3)「医療機関における健康教育」ということで、役所がやっております健康教室というようなもののほかに、医療機関の場で積極的な予防教育というものが行われていく必要があるというようなことが述べられております。
12ページの右の方にまいりますと2次予防ということで、13ページの中ほどに書いてございますが、循環器疾患早期発見対策の実施に当たっては、コスト・エフェクティブネスの観点からそれぞれの妥当性、科学的な根拠に基づいた適正化を検討する必要があるというような御指摘をいただいております。
続きまして、中ほどから3次予防ということでまとめてございますけれども、結論的には一番下のところに書いてございますように、地域に密着した体制で脳卒中のみならず心臓病、リウマチ等も含めた総合的なリハビリテーション対策を推進する必要があるというような御提言をいただいております。
4番目といたしまして、予防対策を推進するための基盤整備ということで、人の確保でありますとか、施設の整備、評価システムの確立その他もろもろのことが書かれてございます。詳細につきましては後ほどお読み取りいただければと思います。
続きまして16ページをお願いいたします。「成人病の動向」ということで、主要死因別に見ました死亡者数、総患者数、一般診療費につきまして、その概要を上位10疾患について取りまとめたのがこの資料でございます。
死亡者数につきましては、平成6年度の「人口動態統計」によってここにまとめてありますが、御案内のように1位ががんで24万人余り。心臓病が2位で16万人弱。脳卒中が3位で12万人。そのほか腎臓病ということになりますと、8番目に腎炎、ネフローゼ症候群及びネフローゼということで2万人弱の死亡がございます。それから10番目といたしまして糖尿病が1万人強という死亡でございます。
総患者数でございますけれども、平成5年度の厚生省「患者調査」によりますと、1位が高血圧性疾患で640万人。2位が心臓病160万人。3位が糖尿病約160万人。4位脳卒中が約110万人。7番目にがんがございまして90万人強というような総患者数の実情でございます。
一般診療医療費でございますけれども、1位が脳卒中で1兆9,000億弱。2位のがんが1兆7,000億強。4番目に高血圧がございまして、1兆6,200億円ぐらい。17ページにいきますけれども、7位に糖尿病がございまして、8,800億円。これは糖尿病を主病因とする診療医療費でありまして、例えば合併症で腎不全になった場合の透析医療費というのはこちらには含まれておりません。それから8番目に腎炎、ネフローゼ及び腎不全ということで8,400億円。虚血性心疾患が10番目にございまして、6,500億円。
というようなことで、今、申し上げましたいわゆる成人病関連の疾患全体で7兆7,000億円。割合で言いますと35%というような中身になっております。
以上が非常に簡単でございますが、成人病の実態ということでございます。
18ページをごらんいただきたいのですが、それでは国民の生活習慣の現状がどうなっているのかというのがこの資料でございます。「国民栄養の現状」ということで毎年国民栄養調査を健康増進栄養課の方が実施をしてございまして、その概要を事務局の方でまとめさせていただいたものでございます。
まず「栄養素等の摂取状況」でございますが、エネルギーの減少傾向に対しまして、動物性たんぱく質、あるいは動物性脂肪が依然わずかながら増加傾向にあるというのが1点でございます。具体的な数値は表1に書いてございます。
次に国民1人当たりの栄養摂取量、これを平均栄養所要量に対する充足率で見ますと、エネルギーはほぼ適正摂取となっておりまして、カルシウムを除く栄養素については所要量を上回っている。カルシウムのみが栄養所要量を下回っているというような状況でございます。
19ページをお願いいたします。その中でエネルギー摂取量でございますけれども、糖質エネルギー比率は減少傾向に対しまして、脂質のエネルギーの割合が増えている。それで適正比率の上限とされております25%を昭和63年以降毎年超えておりまして、なお現在も漸増傾向にあるということでございます。
続きまして食塩摂取状況ですけれども、こちらの方は昭和62年まで減少傾向でございましたが、逆に摂取量がその後増加をいたしましてここ数年間横ばいが続いております。13グラム弱というのがここ数年続いているというのが現状でございます。目標摂取量として1日10グラムとされておりますが、なかなか10グラムに近づいていかないというのが現状ではなかろうかと思います。
20ページをお開きいただきたいのですが、栄養の次に今度は「運動の状況」でございますけれども、栄養調査の方では運動習慣のある人というのを運動週2回以上、1回30分以上、1年以上継続している人というふうに定義して調査しておりますが、こういった運動習慣のある方は年々増加傾向を見せているということでございます。年齢別の運動習慣のある者につきましては図4に性別、年齢別に載ってございます。
嗜好の問題でまず飲酒と喫煙でございますけれども、「飲酒の状況」につきましては、これも定義上週3回以上、1日に日本酒1合以上またはビール大ビン1本以上飲んでいる人を飲酒習慣のある人というように定義しているようでございますが、男性では全般に減少傾向であるのに対し女性では横ばい傾向であるという状況でございます。
最後に「喫煙の状況」でありますが、「吸っている」「吸っていない」という問いに対しまして吸っていると答えた人の割合が男性43.8%、女性が9.1%。平均しますと24.5%ということになります。
以上が国民の生活習慣の現状ということになります。
次に「成人病対策の現状」ということで、主たる健康関連の事業についてこちらの方でまとめてございます。
まず21ページに「健康づくり対策の体系」ということで、ライフステージに合わせてそれぞれの方がどんな保健事業の対象となっているかというのを簡単にまとめるとこのようになります。
母子の関係は説明を省略させていただきまして、成人病関連ですと、まず「地域保健」の中におきましては、18歳〜39歳までの地域の婦人の方を対象とした婦人健診が行われております。40歳を過ぎますと、他の健康保険といったものには対象とならない方を対象といたしまして、いわゆる老人保健事業が実施されております。
「職域保健」におきましては、事業者の責任において行うものと保険者がやっているものとございます。事業者の事業といたしましては、労働安全衛生法に基づきまして、各種健診項目で健診するというようなものがございますし、保険者ですと、社会保険庁が健診事業を実施しております。
その中身につきまして具体的に次のページから御説明させていただきますが、22ページから「老人保健事業」。福祉局の老人保健課の方から資料をいただきましてまとめておりますが、平成8年度の予算額としまして約437億円ぐらいの事業費でございます。これは3分の1補助でございますので、事業費ベースで見ますとこの約3倍ということになります。
その保健事業の中身は6つございまして、40歳以上の方に健康手帳の交付をするのが1つ。それから健康教育、健康相談。ある意味で1次予防と申しましょうか、教育相談というものが行われております。ある意味で3次予防と言うのではないかと思いますけれども、機能訓練事業、市町村保健所によります訪問指導というようなものが実施されておりまして、それぞれ昭和58年から実施されております。
1次予防的な事業といたしまして健康教育と健康相談がある訳ですけれども、その中でも重点健康教育、あるいは重点健康相談ということで内容に書いてありますような重点的に健康教育を行う、あるいは重点的に健康相談を行うというようなテーマとして肺がんでありますとか、乳がん、大腸がん、糖尿病というようなものが規定されておるようでございます。
次のページをごらんいただきたいのですが、健康診査ということで40歳以上の方、乳がんと子宮がんについては30歳以上の女性ということになっておりますけれども、基本的に40歳以上の方を対象とした健診事業が行われております。大きく基本健康診査とがん検診に分かれておりまして、基本健康診査は御案内のように、内容に書いてありますような項目で健診が行われている。がん検診につきましては、昭和62年までは胃がんと子宮がんの2つだけでありましたけれども、昭和62年以降子宮体がん、肺がん、乳がんが追加になりまして、平成4年度には大腸がん検診が新たに対象になっている。それぞれの検診の検査の方法につきましては内容に書いてあるとおりでございます。
平成4年から総合健康診査ということで、40歳、50歳ピタリの節目の年に当たる方は基本健康診査と各種がん検診を一度にやるというようなメニューも追加されております。
健診を受けていただくための受診指導でありますとか、受診後の生活習慣改善指導といったようなものが並行して行われております。
24ページをごらんいただきますと、それぞれ健康手帳の交付から各種健診、訪問指導といったような6つの老人保健事業につきまして、開始年度と昭和57年〜平成6年までの実績がちこらの方にまとめられております。中身につきましてはお読み取りをいただきたいと思います。
老人保健事業の最後になりますが、「各種がん検診の事業実績」ということで、これもデータとしていただけたのが平成6年度まででございますので、平成6年度のものを載せてございます。
各種がん検診につきまして受診者、そのうち要精検と言われた人がどのくらいになって、最終的にがんの発見がどのぐらいなされたかということをまとめてございますが、胃がん検診につきましては約430万人の方が受けられて、がんを発見された人が6,200人弱ということで、発見率といたしましては0.144%というようになります。同じように子宮がん、子宮体がん、肺がん、乳がん、大腸がんにつきましてはこれだけの方が受診されて、最終的に一番下段に書いてありますような数の方ががんとして診断されているというような状況でございます。
続きまして26ページをごらんいただきたいのですが、26ページに老人保健事業になる年齢の前の39歳までの家庭の主婦、あるいは自営業者の婦人等を対象といたしました婦人健康診査等事業というのがございます。
事業内容につきましては、市町村がこういった方々に健康診査を提供していくということで、基本的には老人保健事業の基本健康診査と非常に同じような項目でされております。平成8年度の予算が8億4,000万円ということで、実施市町村が平成7年度で約1千か所、受診者数が約30万人ということになっております。
次に27ページをごらんいただきたいのですが、保険者がやっております健診事業でございます。関係省庁といたしましては社会保険庁でございますけれども、政府管掌健康保険の成人病予防健診というものがございます。これは政管健保の被保険者及びその配偶者ということが対象になっております。
メニューといたしましては、一般健診、日帰り人間ドック、乳がん・子宮がん検診というものが行われております。予算としては500億円程度。事業実績といたしましては、一般健診の1次検査を受けた方が約330万人。その中で2次検査が必要と判断されて2次検査を受けられた方が約36万人ということになります。
28ページをごらんいただきたいのですが、28ページは労働省が労働安全衛生法に基づきまして一般健康診断というものを事業主に義務づけておりまして、その実績でございます。実施対象者としましては全労働者ということで対象者が5,500万人ぐらいになるようであります。事業の内容は1年に1回健康診断を行うということで、ある意味で老人保健法の健診と非常に同じような項目で健診が行われております。予算的には事業者実施なので公的な負担はありません。事業の実績ですけれども、毎年50人以上の規模の事業者から報告がございまして、平成7年度は受診者数が1,130万人ということになっているようであります。
10人以上を雇用する1万2,000の事業所を対象にした結果では、10人以上の健診を行っている事業所が86%ぐらい。定期健康診断の実施率が88%というような状況のようでございます。
以上が大きく4つの健診事業等でございます。
29ページに「成人病研究の現状」ということで、平成8年度の予算ベースで整理しております。
「がん」につきましては、がん克服新10か年戦略。それから国立病院部が持っておりますがん研究助成金。科技庁、文部省等々のこういった研究がございます。
「循環器疾患」につきましては、国立病院部が持っております循環器病研究委託費、あるいは私ども疾病対策課で持っております長期慢性疾患総合研究事業等々こういったような研究事業がございます。
「糖尿病」「腎臓病」についても長期慢性疾患総合研究事業ということで、科技庁あたりですと非常に疾病という観点からでない研究事業が幾つかあるかとは思いますけれども、何々病という観点から研究を行っているのはおおむねこういったような形に集約されるということでございます。
30ページに参考までに「成人病関連財団・社団一覧」ということで、成人病、がん、循環器、糖尿病、腎臓病ということで、こういったような数多くの財団が研究助成金でありますとか、正しい知識の啓発、普及といったような事業に取り組んでいただいております。 最後に「成人病対策の歩み」ということで年表のようなものをまとめておりますが、こちらの方はまず31〜32ページにわたりましてがんのこれまでの歴史的な経緯をまとめております。
昭和31年に成人病予防対策協議連絡会というのが発足しまして、この考え方を受けて33年に第1次悪性新生物実態調査というものが実施されました。37年に国立がんセンターが出来まして、38年に厚生省がん研究助成金の制度が出来ております。胃集団検診車の整備・運営などが始まったのが昭和41年で実施期というふうになってまいります。その後、老人保健法が57年に成立いたしまして、各種がん検診が行われるようになっております。平成6年からがん克服新10か年戦略ということで、第2ステージに研究の方は入っているというような状況でございます。
33〜34ページが循環器疾患でございます。昭和36年に成人病基礎調査ということで全国的な実態調査がスタートしております。52年に国立循環器病センターが開設されました。それから54年に脳卒中リハビリテーション対策ということで病床の整備を開始しております。57年に老健法が施行されまして、元年からはいわゆるゴールドプランというものがスタートしております。
35ページをごらんいただきますと、糖尿病対策の歴史をまとめてございます。
こちらは西暦になっておりまして恐縮ですが、1956年に糖尿病研究班というものが組織されて、糖尿病の疫学調査というものが初めて行われたようであります。1981年にはインスリン自己注射が保険で適用されておりまして、1983年に同じく老健法で尿検査、あるいは血糖検査というものが項目に入ってきております。あとはお読み取りいただければと思います。
36ページをごらんいただきますと、腎不全対策ということでまとめてございまして、人工透析の医療保険適用が昭和42年でございます。昭和55年に角膜及び腎臓の移植に関する法律というものが出来まして、腎移植と角膜移植というものが推進されてきております。
この年表の中にありますように、生体腎の売買あっせんでありますとか、海外における腎移植といったような問題が起こるたびに私どもの課長名でいろいろな通知を出させていただいてきております。
平成2年に都道府県腎移植推進情報センターというものの整備を開始いたしまして、37ページでありますけれども、現在平成7年に日本臓器移植ネットワークというものが設立されて臓器移植の推進の基盤が図られつつあるというような状況でございます。
以上が「成人病の現状」ということで、非常に駆け足になりましたが御説明させていただきました。
同じく参考資料3とございますけれども、『海外における「成人病」等の状況』ということで、海外の状況をこちらの方に別途まとめてございます。
3ページをごらんいただきたいのですが、『海外における「成人病」等の死亡率』ということでヨーロッパ人口で年齢調整をしている死亡率でございますが、悪性新生物につきましては、がんが日本の場合は先進国と比べて少ない。胃がんが多くて肺がんが少ない、乳がんも少ないという、非常に概要的に申し上げますとそのようになっておるようでございます。
次のページをごらんいただきたいのですが、4ページが循環器系の疾患ということでまとめております。虚血性心疾患が少なくて、脳血管疾患が多いというのが我が国の特徴になろうかと思います。
駆け足で恐縮ですが5ページをごらんいただきたいのですが、糖尿病につきましては死亡率と有病率を両方載せてございます。糖尿病の死亡率は「Japan」と書いてあります下から3番目に日本がありますが、男女ともどちらかというと世界的に見ると糖尿病の死亡率というのはむしろ少ないというふうに言えるのではないか。
右側の方に各国で行われております疫学調査によります糖尿病有症率をまとめてございますが、ここに日本が入っておりませんで、日本は40歳〜64歳ということで若干年齢の幅が違いますが、日本の場合ですと糖尿病研究班で調査していただきました結果では、男 6.9%、女性が4.5%ということで、これもほかの先進国と比べますとそう多くない数字ではないかというように思われます。
次に6ページでございまして、こちらは病気ではなくて生活習慣の国際比較でございますけれども、各国の喫煙率を並べてございます。これも日本が抜けておりまして恐縮ですが、日本は男43.8%、女性が9.1%。男性はむしろ各国よりも若干高目かなと。女性については各国よりも喫煙率が低いのではないかというような状況でございます。
最後ですが7ページに、各国におけますアルコール飲料消費量ということで資料を用意させていただいておりますが、日本は順位で言いますと26番目に「日本」と書いてありまして、1位のフランスの半分ぐらい飲んでいるということになります。ただ、消費量としては横ばいといいますか、若干変動はありますけれどもこういった状況でございます。
以上が海外におけます成人病等の状況ということで、大変駆け足で恐縮でございますが、議題1の御説明とさせていただきます。
◯大谷部会長
大変要領よく政府側の関係資料をまとめていただいてありがとうございました。何か御質問ありましたら御遠慮なくどうぞ。
◯小坂委員
塚原さんから非常に要領よく説明していただいたのですけれども、質問ということではなく、若干付け加えさせていただければと思います。「成人病の動向」というのが16ページのところにあり、ここでは糖尿病は10位になっておりますけれども、皆さん御存じのように上から2番目と3番目の心臓病と脳卒中の少なくとも3分の1ぐらいの症例では糖尿病が背景にあって悪いことをしているということがあります。
総患者数の3のところに糖尿病が160万人とありますけれども、厚生省に御援助いただいて調査した結果によりますと、大体3分の2の方が未治療のまま放置されているということで、患者数は本当から言いますと500〜600万人とお考えいただいた方がよろしいかと思います。
17ページに移りまして、8位に腎不全というのがありますが、腎不全に陥って人工透析に入る方の3分の1が糖尿病性腎症であるということでございます。
19ページにエネルギーの栄養素の摂取量がありますが、これが恐らく循環器と同じように糖尿病の発症を非常に助長している。特に動物性の脂肪の摂取が問題。BMI、肥満は出ておりませんけれども、日本人も最近は男では30歳代から、女では40歳代からが確実にBMIが高くなっておりまして、このBMIと糖尿病の発症率とがきれいに相関していきますので、これは確かにライフスタイルに関係すると思います。もっと言えば日本の経済が社会的、文化的、経済的発展とパラレルになっているというのが非常に問題であります。
最後に諸外国との比較がございました。これも御説明いただいたとおりでございますけれども、日本人がアメリカのシアトルとかロサンゼルスなどへ移住して2世、3世になりますと、大体現在の日本人の3倍ぐらいに多くなって、わずかなBMIの増加に伴って急速に多くなるのです。日本人はチャイニーズやインド人と同じように糖尿病に対して非常に感受性が高い国民ではないかと言われており、恐らく近未来、10年とかそのぐらいの間には今の500万人という推定が3倍ぐらいに急速に増えてしまうという危険性を私たちはひしひしと感じています。
◯大谷部会長
ありがとうございました。事務局何か意見ありますか。ただいまの御指摘は本当に非常に重要な御指摘で、本日の議題にも関係ある訳で、従来から厚生省では循環器対策であるとか、がん対策であるとかそれぞれ個別の対策をやっていっている訳なのですけれども、実は後ほどの議題になります生活習慣、先ほど局長もあいさつされましたが、やはり総合的視点というのは非常に大事なことで、実はこの部会で3〜4年前に尾前委員と杉村委員がそれぞれがんと循環器の報告をお出しいただくのにつきまして、両方とで調整して、受ける側の消費者の側から立って別々に勝手に病気の予防だけ言わないでもらいたいという……。
1人の人間という立場からそういう観点の報告書を将来調整するべきという意見が実は3〜4年前にこの部会でやっているのです。だけれどもその後先生方もお忙しいし、厚生省の方でもそんなに専門委員会つくるというのも大変だというようなことでそのままになっているのですけれども、まさに今小坂委員言われたように、すべて関係ある。がんとそれとの関係はどういう関係なのか、食事か環境の関係かそういうことですが、循環器とか心臓とか何とかの関係はまさに今小坂委員おっしゃったとおりなので、こういう問題は恐らく次の議題の大きなあれになると思います。
◯小坂委員
数年前から疾病対策課も糖尿病に非常に力を入れていただいておりますので、歴代の課長さんも、補佐の先生方も今お話ししたようなことは十分御理解いただいていて、資料としてなかったということだけだと思います。
◯瀬在委員
今のお話を伺いながら非常に重要なことなのですけれども、各国との対比をかなり慎重にしなければと。正しい対比が行われているかどうか。というのは、各国の医療事情、あるいは医療費に対するサポートが非常に違う訳です。
実は私、十数年前韓国循環器病センターをつくるということで数年ほどJICAに頼まれて対応したことがあります。ある年になりましたら、突然虚血性心疾患が多くなったのです。それまでは感染性の疾患が多い訳なのです。私が韓国に行く3年ほど前、あの国の政府の統計をずっと見てみたのです。そうしましたら突然多くなっているのです。どういう訳かと思いましたら、その年から医療費が30%、3割国で見ると。それはお調べになれば分かると思いますけれども、3割医療費をサポートするというだけで循環器疾患というか、特に虚血性心疾患が増えているのです。ですから感染性の病気ですとすぐにかからなければいけませんけれども、今まで病気になっても医者にかからないと、医療施設に来ないと。
そういうことで、統計から見た比較検討というものの落とし穴ということがあると。日本だけですといいですけれども、他の国とそれを比較する場合、他の国の医療費のサポートの状態がどうであるか、また非常に経済的なグレードの問題、その点のところを考えなければ、やはり他国との比較はなかなか難しいと。十分にそれを入れていただいて検討していっていただきたいというふうに思います。だから今のお話を伺いながら、私つくづく、殊に循環器はそういうふうに思いましたので。

◯尾前委員

小坂委員、瀬在委員がおっしゃられたこと、私も同じように感じているのですけれども、ここに出ているこれは患者調査のデータですか。これは実際に病院に来てなくて高血圧とか糖尿病というのはたくさんおる訳です。だから高血圧は大体2千万人はおると言われているのですよね。それで糖尿病と高血圧が合併した患者さんも非常に今多いので、だからこれはどうしても一緒に対策を講じないと、血圧だけやる、糖尿病だけやるというようなことでは非常に不完全だというふうな気がしていますので、症状のないのが特徴なので、病院調査ではだめだと思うのです。循環器病基礎調査とかそういうものをずっと定期的にやっていますから、その数字から類推すると、これよりはるかに多い無症状の自覚していない患者さんが実際いるということが実態ですので、それを対象にどうするかということが非常に大事な今日の議題ではないか。
病院に来る方は治療を受けたりするからまだいいのです。病院に来ない人で、しかも事故が起こって初めて来るというような人がたくさんおるので、それをどういうふうにして予防するかという、いわゆる1次予防というところが非常に審議会の大事なことではないかというふうに思います。
それからもう一つ今お話がありましたように、3〜4年前に杉村委員とやり掛かったのをやり切らぬでおるのが実際正直なところなのですけれども、私どもが久山町の健診をやったり、循環器とか脳卒中でやったのですけれども、実際がんがぼろぼろ出てきまして、循環器だけでやっておれなくなってきたという実態があるので、どうしてもトータルに管理する方法ということを考えないと、健診を受ける側もそうでないとなかなかついていきにくいだろうと思いますので、そういうものをこの際本当にきちっとしたあれにやれれば、この前やり残したことがありますので、非常にそういうことを感じさせられております。

◯宮本委員

これは厚生省の類推の数だと思うのです。16ページの2の6番目に、喘息が107万人と書いてございますけれども、我々が現在調査している範囲内では成人が大体3〜4%、小児の場合には3〜5%を超えるというふうなデータが出ておりまして、全人口の中では大体500万人を超えるのではないかというふうにデータなのです。これは疾病対策課からいただいているアレルギー調査研究事業での疫学調査でも大体そういう数なのです。ですからここに出ている数は、必ずしも実際の国民の病気をそのまま反映しているのではないのではないかという気がいたしますけれども、蛇足ながら追加させていただきます。

◯小坂委員

厚生省のお示しいただきました各国との比較の中の糖尿病に関しましては先ほど御説明いただいたとおりで、5ページの右の方にありますのはWHOが基準をつくりまして、その基準によって全世界行われましたので、このデータはかなり信頼してよろしいのではないでしょうか。地域にわたって相当な数をやっておりますから。先ほどの御説明のとおりだと思います。

◯大谷部会長

高久委員質問でなくてもいいから、今日お忙しいそうなので御意見だけでも。

◯高久委員

前にたしかがんセンターと循環器病センターとで、共通の予防のための12か条を作ろうという話がありましたが、あれは結局出来なかったのですか。一緒につくったのですか。

◯尾前委員

かなり合わないところもたくさん出てきたということで、それで大分私どももそれに関心を持っていたのですけれども、企画室などと通じていろいろやっていたのですけれども、結局最終的なところまでいきませんでした。だからあれはやはりやるべきだったのですけれども、少々努力が足らぬで中途半端になったままになっています。具体的なあれまでは煮詰められないで終わっているのです。

◯高久委員

最近、がん学会の会長をやらせられましたが、そのときの一般公開に3,400人ぐらいの人が集まりました。そのときに渡辺昌先生が「食事とがん」という話をされたのですが、そのときも食事中のβカロチンでも調査によってがんの発症と関係があったりなかったり意見が一致していないのですね。ですから予防のための12か条などは基本的なことだけにまとめればまとまるのではないかと思います。
聴衆の方々にも非常に興味があると思いますので、私座長をさせられていたものですから、渡辺先生に「がんの予防にはどういう食事がいいのですか」とお尋ねしたら、「バランスのとれた食事が重要で、強いて言えば食物繊維が大腸がんにいいぐらいでないか。その他のものについてはその一つ一つの成分を取り上げるとプラスに出たりマイナスに出たりする」ということです。たばこは論外ですが、そういうことを考えると、循環器とがんとで皆さんが実行しやすくて、しかもある程度の学問的な裏づけのある簡単な予防の12か条、あるいは5か条ぐらいでも出来るのではないかなと思います。

◯尾前委員

特にたばこなどというのは共通のリスクということははっきりしておりますよね。ところが、がんはまた出来る部位で必ずしも同じでないというような御意見があったりしてね。あと渡辺昌先生とM大学に行った小西君が循環器とがんと両方でサーベイを厚生省のお金をいただいてやった仕事があるので、それを渡辺先生が出されたのではないですか。

◯高久委員

そうではなくて、外国のデータを大分紹介されました。

◯尾前委員

日本でも沖縄とか調べられた成績があるのですけれども、私も最終的な報告まで見ていませんけれども、そういうことはやる必要があるということで調査はされたのです。うちの集団健診部とがんセンターの疫学と両方で調査をなされた成績はあるはずなのですけれども、私どもが最初ここで話し合った後にですね。

◯大谷部会長

藤崎君、今、健康増進栄養課では30種類食べろと。あれは目的は何だったかな。

◯藤崎健康増進企画官

1日30食とか、いろいろ食べ物をとってバランスよくということで。

◯大谷部会長

そうしたら何がどうなるの。

◯藤崎健康増進企画官

手っ取り早く言えば、野菜が多くなるとかですね。普通好きなものだけ食べていますと、例えば肉が好きな人は肉だけ食べるとかいろいろありますけれども、そういうものはかなりバランスがとれていくだろうということですし、そういう数を考えていけばやはり必然的にそういうものも広がっていくだろうということになります。理想的に何か特定のパターンを示したものだけを、こういうメニューだといいよとかいうふうに幾つか定型的に示しても限界がありますので、そういうことを実践しやすく何か1つ言うとすればそのあたりがいいだろうと。そんな割りきりも含めて指針がつくられたということだろうと思います。

◯尾前委員

循環器も同じようなことを言っているのですよね。バランスのとれた食事をということで、1つに偏らないように、これがいいからというのでそればかり食べるようなことはするなと。いろいろなものをやはり食べた方がいいし、繊維もよろしいというような格好で、その点はがんと似ている気がするのです。

◯高久委員

脂肪も大腸がんや乳がんと関係があるらしいから少ない方がいいと考えられますね。
◯尾前委員
塩も余りとらないとらない方がいいとか。

◯高久委員

かなり共通な注意があるのですね。

◯大谷部会長

ですから、そういうふうに生活する者は1人の人間ですから、がんの予防だとか糖尿病の予防とか個別の対策というのは、これを拝見すると大分いろいろ詰められている訳なので、だからがんの予防をやっていればそれだけでいいのかというような。この資料は割合よく集まっているということですね。ただ、小坂委員が初めにおっしゃったように連関といいましょうか、要するにダブりといいましょうか、そういう問題をもう少し素人の方に分かりやすい整理が必要であると。対策の方も出来るだけ簡単にして、日常普通にやっていれば大体こういうようなものがいいのだというようなことなのでしょうが、それは恐らく健康増進栄養課で。

◯藤崎健康増進企画官

1つだけ補足させていただきますと、今、部会長おっしゃられた30食というのは1つの全般的な食生活指針なのですが、対象特性別にいろいろな指針がもう少し実は細かく出来ておりまして、成人病対策に関して言えば成人病予防のための食生活指針が45ページにございます。
ということで、成人病の中に幾つかございます。がんもあれば循環器もある訳ですけれども、そういうものを今度は成人病予防という観点から総括的に見た場合どんなものがいいかという形でもお示ししてありますし、それからあと成長期の食生活指針とか、高齢者のとか、やはりそういう対象特性別に、その方々の年齢とか体格によってもいろいろ違うと。こういうふうなものは幾つか示してございます。あとはそれをどのようにうまく、分かりやすく出していくのかと。その辺が課題かなと思っております。

◯高久委員

これは非常によく出来ていますね。
◯大谷部会長
これはとてもよく出来ているのだけれども、例えば下にがんを防ぐための12か条と書いているでしょう。それと全体の生活はどうなるのかというような疑問がね。だからそういう点をきちっと分かりやすくするということかな。
だんだん本題に入ってきましたので、次に厚生省が用意している生活習慣病の概念の導入についてという議題をまず説明していただいて、そしてまた質問に返っていただいてもよろしいし、御意見に進めていただいてもよろしゅうございますので、一応事務局から、先ほど局長のごあいさつにもありましたが、「生活習慣病(仮称)の概念の導入について」を御説明お願いします。

◯塚原補佐

それでは、お手元にございます資料1とナンバリングしてございます「生活習慣病(仮称)の概念の導入について」ということで、議論のたたき台を事務局の方で準備させていただきましたので説明させていただきます。
まず「趣旨」でございますが、成人病対策は昭和30年代以降、成人の全死因に占める割合の多いいわゆる三大成人病を中心といたしまして、予防対策でありますとか、診断治療技術の開発、調査研究などが行われてきております。その間国民の生活環境でありますとか、生活習慣の変化、あるいは三大成人病に関する対策の成果といたしまして、脳卒中でありますとか幾つかの疾患の死亡率は低下してきております。
一方、調査研究の成果として、こういったようないわゆる成人病という病気に対しまして、食生活等々の生活習慣が成人病の発症に、あるいは進行に大きく関与しているということも分かってまいりました。また三大成人病以外にも糖尿病でありますとか腎臓病の発症や進行に生活習慣が大きく影響するという疾患も明らかになってきております。
成人病の概念はそもそも成人の死亡数の多寡というものを指標にしてつくられた行政的な用語でございますが、糖尿病のように直接死因としての死亡数は少ないけれども患者数が多い。あるいは合併症ともなると非常に著しく患者のQOLが低下されるというような疾病も含まれております。
そこで生活習慣という概念に着目をいたしまして、また死亡数以外にも患者さんの患者数、あるいは患者のQOLといったようなものを考慮したような疾病群の概念を明確にいたしまして、これまで重視されてきた早期発見治療システムを踏まえ、生活習慣に着目した1次予防でありますとか、合併症の予防、あるいは患者さんのQOLといったような最近の課題を視点に置きました医療技術の開発といったような、疾病対策の在り方や社会資源の配分といったようなものを検討してはいかがかということで趣旨がございます。
いわゆる成人病などの疾病群の用語といたしましてどんなものがあるかというのを事務局の方でいろいろ調べて見ました。
まず1番目に成人病でありますが、成人病とは主として脳卒中、がんなどの悪性腫瘍、心臓病などの40歳前後から急に死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも高位を占め、40歳〜60歳くらいの働き盛りに多い疾患を考えている。ということで昭和32年の2月に第1回の成人病予防対策協議連絡会というところでこういう概念の整理が取りまとめられて、40年余りを経過している訳でございます。
次のページをごらんいただきたいのですが、「習慣病」という言葉が出ております。これは日野原重明先生が書かれておりますものから持ってまいりましたが、衣食住の中で間違った食生活、間違った生活の仕方を続けているためになる病気ということで日野原先生が定義をされておられます。
それから「生活様式病」という用語もありました。糖尿病や循環器疾患など、その病因(リスクファクター)が日常生活習慣に内在する疾患群ということで、保健・医療・福祉の総合年鑑というところに出ておりました。
東京大学の川久保清先生が生活習慣病と言われる成人病ということで「生活習慣病」という言葉を使っておられました。大体この4つぐらいが我が国の文献上見つけた用語でございます。
次に健康と生活習慣という関連につきまして幾つか記載がございましたので、それをこちらの方にまとめてございます。
「習慣とは」ということで、これは広辞苑をそのまま引っ張っておりまして、「後天的に身につけた行動方法で、比較的固定して、少ない努力で反復できるもの。狭義には、行動に関係したものだけをいう」ということでございます。
健康と習慣という関係で言いますと、「ブレスローの7つの健康習慣」というのが比較的有名でございますけれども、ここに書いてございますように、適正な睡眠時間、喫煙をしない、適正体重を維持する、過度の飲酒をしない、定期的にかなり激しいスポーツをする、朝食を毎日食べる、間食をしないという7つの習慣を健康な習慣ということで規定しております。この習慣のうち幾つ守っているかというようなものでその集団を比較しまして、この7つのうちたくさん健康習慣を持っている人は健康習慣を持っていない人よりも病気になりにくいとか、長生きするというようなデータを出されております。
(3)の「5つのS」という記述がございまして、これも保健・医療・福祉の総合年鑑というものに載っていまして、その基がどこにあるかというのはちょっと調べることが出来ませんでしたが、ソルト、シュガー、スナックス、スモーキング、シッティングということで5つのSを代表的なリスクファクターということで言われているようでございます。
ここには書いてございませんが、先ほど御指摘がありましたように、がんについてはがんを予防するための12か条というようなものがございますが、ここは特定の疾病に対する予防というものは省略させていただきました。
次のページをごらんいただきたいのですが、そういったようないろいろな状況を踏まえまして、例えば仮称でございますけれども、生活習慣病という用語を導入していこうとなりました場合の概念整理のポイントとして幾つか議論のポイントを整理してみました。
(1)は「疾病の発症・進行への影響」ということで、特異的な病因がなく、疾患の発症あるいは進行に生活習慣が内在していることというような観点が1つあるのではないか。
それから「経過・予後」ということで、慢性疾患、あるいは急性に発症して障害を残すというような観点があるのかなと。
それから具体的には書いてございませんが、「除外疾患」というようなものも整理のポイントとしては入ってくるのではないかということで議論のたたき台として非常に簡単なペーパーですが用意させていただきました。
4ページをお開きいただきたいのですが、それを絵にいたしますとこんな概念になるのかなということでございます。
ブレスローの7つの健康習慣というものを集約しますと、結局飲酒と喫煙と休養と運動習慣と食生活ということに大きく集約されるのではないか。今まで成人病という用語の定義がございましたけれども、成人病につきましては、いわゆる三大成人病という使われ方をすることが比較的多うございまして、がんと心臓病と脳卒中というものが成人病の代表的な疾患。40歳から死亡率が高くなり、全死因に占める割合が大きいということで規定された言葉でございます。高血圧性の疾患でありますとか糖尿病、腎臓病なども恐らく成人病という概念の中には入ってきて議論されてきているのではないかと思いますが、そのほかにも胃潰瘍でありますとか、骨粗鬆症などという問題も最近大きくなってきてまいりますし、これが従来の成人病という概念の中に入っていたかどうかということが私ども整理が出来ませんでしたので、一応成人病の外に入っているのかなというようなことでこのペーパーは整理させていただきました。
それから参考資料の3をごらんいただきたいのですが、『海外における「成人病」等の状況』という資料をごらんいただきたいと思います。私どもの方で海外に駐在している厚生省の職員に問い合わせをいたしまして、それぞれ重立った諸外国で、いわゆる成人病といいますか、生活習慣病といった概念がどういう言葉で使われているかというのを調べてまとめたのがこの資料の1〜2ページでございます。
まずアメリカでありますけれども、成人病、生活習慣病に相当する用語はない。ただ、あえて示すとすれば一般的な用語としてはクロニック・ディジーズという言葉が使われているのではないかということでございます。
次にイギリスですが、イギリスも該当する用語はないようですが、強いて言えばライフスタイル・リレーテッド・ディジーズという用語が近いのではないか。ほかにクロニック・ディジーズですとか、ここに書いてあるような用語もあるようでございます。
次にフランスですが、日本の成人病という用語ほど一般的な用語は存在しないようでありますけれども、訳すと生活習慣病、あるいは文明病、成人病というような言葉があるようでございまして、専門家の間では生活習慣病が比較的よく使われるということのようですけれども、専門家でない一般市民は余りこういったような言葉は使っていないということでございます。
ドイツでございますけれども、ドイツ語では該当する用語はないようです。あえて類似の単語を挙げれば以下のとおりということで、訳をいたしますと文明病。文明病という言葉が自然民族にはまれな病気全般を指しまして、食事・生活習慣に起因する病気とのイメージがあるようです。連邦保健省のパンフレットには『心臓・循環器疾患、腎臓病、糖尿病等の「文明病」』というような記載がございます。そのほかに成人年齢期の病気、あるいは老人病というような言葉も使われることがあるというようなことでございます。
それからスウェーデンでございますけれども、公式の用語としては特に日本の成人病に相当する用語はないようでございます。よく政府のレポートでも使用されるような言葉といたしましては、裕福病、あるいは福祉病というような言葉が成人病というような疾患群の概念に相当するケースがあるのではないかという程度のことでございました。
以上が私どもの方で準備させていただきました、議論のためのたたき台の資料と諸外国の状況でございます。

◯大谷部会長

ありがとうございました。そういう訳で本日の一番のテーマの議題になりますが、生活習慣病という言葉というかそういう概念というものが妥当であるのかどうか。あるいはそういうものを認めるとして、今後の基本的方向というふうなものもどう考えるかというふうな観点からひとつ御自由に御意見賜りたいというふうに思います。

◯高石委員

2点申し上げたいと思いますが、第1点は、私は仕事の関係で学校保健にかかわり合いを持つことが多いのですけれども、学校保健教育の中で、当然先生方御存じのように心の問題とかHIV等々、近くはO−157とかいろいろある訳でございますけれども、ここ10年、20年の間低迷として非常に大きなベースになっているのはやはり成人病予防のことでございまして、それは小さいときからの生活習慣が大事なのだということを教え込もうとしている訳です。
ただ、何と言っても子どもたちは、勿論病気の子どももおりますけれども大部分元気な訳ですから、どうしても大人になってからの病気ということですといまひとつピンとこないですね。そういう意味では、たとえ仮称であっても生活習慣病というようなたぐいの言葉がきちんと入ってくることは、子どもたちに本当の意味でライフスタイルを望ましい方向に持っていこうとする意味では大変すばらしいことだと思います。それが第1点です。
ただ、第2点に申し上げたいのは、子どもたちはまっさらですから何でも先生の教えることをそのまますっと全部吸収してしまいますが、生活習慣だけなのかというところが問題になるのだろうと思うので、一番難しいところではございましょうけれども、遺伝的な素因みたいなものを考えますと、私は英語で言えばライフスタイル・リレーテッド・ディジーズ、リレーテッドというところはかなりいいポイントを言っているなという気がするのです。ただ、日本語として生活習慣関連病と言ったらまたちょっと学校現場では何か複雑で困るなと。生活習慣病の方がむしろズバリ言っていいなという感じは一方でするのですけれども、そういう意味で、また先生方いろいろ御意見を交換していただければありがたい。しかし、考え方としては大変ウエルカムというか、すばらしいことだと思っております。
以上です。

◯高久委員

私も基本的に生活習慣病というのはかなりいい名前だと思っています。ただ、高石委員がおっしゃったように、がんも遺伝子の異常がかなり分かってきましたし、糖尿病でも遺伝的なファクターが今後明らかになったときにその点をどう整理するかという問題があります。
それから、この中でも例えば骨粗鬆症などは必ずしも生活習慣と関係がなくて、ある年齢になりますとおこり易くなります。しかし生活習慣病は概念から言うと成人病に近いので、何でもかんでも生活習慣病に入れるのではなくて、かなり注意して入れる必要があります。

◯大谷部会長

学問的にスクリーニングしなさいと。

◯高久委員

はい。そういうことが必要だというふうに思っています。

◯大谷部会長

それはちょっと大事な問題だから、記録しておいて後で検討してください。 名称の問題ですけれども、今、両先生がおっしゃったもので私も思うのだけれども、アル中問題は私も昔やったのだけれども、アルコール中毒というのはいかぬということになって、アルコール中毒のひどい場合はあれなので、軽い場合はアルコール嗜癖というふうに言っていたのだけれども、最近は、今ちょうど高石委員が御指摘のようにアルコール・リレーテッド・プロブレムと。要するにアルコール関連問題という訳の分からない名前になっているのです。アルコール中毒とか嗜癖とか言わないで、アルコール・リレーテッド・プロブレム、アルコール関連問題と言っているのです。これはアルコールセンターでその定義のことを一生懸命やっている人がいるからそれはそれで聞かれたらどうですか。
しかし、問題については先生方から是非意見をいろいろ伺いましょう。生活習慣病という問題をめぐってですね。こういう概念というか、こういう問題を総合的に考えるということについては、恐らく諸先生方皆さんがんとか何とかだけピックアップするのではなしに、全体考えるということについては御賛成だと思うのですけれども、端的に「病」と言うのか、あるいはまた群的なものに考えるのか、もっと嗜癖のように広くとるのか、ひとつどうぞ御自由に御意見あればお願いします。

◯石川委員

私はドクターではなくて一般の市民という立場から見た場合、通常言われている成人病とやると概念的に頭の中であるところで年齢を引いてしまうのですね。しかし今おっしゃったようにたばこなどの場合なども、今どんどん女の子も吸っている訳ですが、だんだん低年齢の人たちが吸い始めている。そのときに格好いいとか何とかというだけの理由ではなくて、難しい言葉で言うと、例えばCOとO2がヘモグロビンとくっついてどうやって運ばれていくかという話までしていったら、たばこの中に含まれるタールとかニコチンだけではなくて、先ほど高石委員がおっしゃいましたけれども、一酸化炭素の問題というのはもう少し学校保健の問題でも注目していく課題だと思うのです。
そうなりますと、そういう嗜好品まで含めた中の生活習慣という中から、病気ということを連想しながら家庭生活の食生活も含めた設計をしていくということが、成人病と言われるよりももっと興味を持ってもらえるし、切実な身近な問題かなという概念を国民に与える可能性は、成人病と呼ぶよりももっとあるというふうに思うのです。

◯宮本委員

生活習慣病にどういう疾患を入れるかということによってはかなり違うと思うのです。ですから概念としては大変結構だとは思うのですけれども、現在言われております成人病の中にいろいろな疾患が入ってくる訳ですね。例えば、年をとって発症するような病気。現在それが入っているかどうか知りませんけれども、肺気腫であるとか、気道閉塞性の疾患、こういうものも成人病の中の1つであろうと思うのです。
ですから、そういうものまで広く包括して年をとって発症するような病気、あるいは年をとって問題になるような病気ということであれば、私もどうしていいか分かりませんけれども、成人病という言葉は大変適切な言葉ではないかというふうに思います。
ただ、生活習慣等々に関連して発症するような疾患のみに限ってこれをこういうふうにするのだというふうなことであれば私は異存ありませんけれども。

◯小坂委員

先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、これは私がやった仕事ではなくて東大の保健学科の先生がやった仕事ですけれども、昭和35年をスタートにしまして、その後の糖尿病の死亡率を縦軸、横軸に他のファクターをとってみますと、自動車の生産量とも、電話の回線とも、食肉の販売量とも、砂糖の消費量とも、DNPともきれいに相関する。だから一つ一つとある病気とを結び付けるのは非常に難しいので、社会、経済、文化の発達に伴って起きてくる一連の疾病がある。それらの疾病は社会環境そしてライフスタイルと関連しておこると理解するのがよいのではないかと思うのです。
先ほどもお話のありました遺伝と環境の相互作用というのが多くの疾患の説明の仕方ですね。恐らくは糖尿病も、高血圧もその他も多因子遺伝であるということがほぼ分かっていますね。個々の遺伝子がどの程度、どのようなウエートを持ってそれぞれの疾病の発症に関与しているかは分かりませんけれども、それに確かに環境が発症に相当関与している。促進因子になっていることは間違いありませんので、そこまでよく考えた上で生活習慣病というのも私はそれほど悪くないと思います。そういうことを理解した上で、発症を促進する生活習慣という意味でですね。
だからもっと言えば、日本人全体が豊かな社会の中で賢く生きていくということが非常に大事ではないかと思うのです。先ほども少しお話ありましたが、小学校の給食、私たちは小さいときには残さずに全部食べろというふうに教育された訳ですけれども、残すことも場合によっては上手に教えるというようなことが非常に必要ではないかと私などは思うのです。いろいろな豊かな社会になると、自分で自分の健康を大切にするために食事も遊んでとる知恵といいますか、学校教育時に栄養についてもちょっと教え込む必要があるように思うのです。これは文部省のことで厚生省ではないかもしれませんけれども。

◯山口委員

私は小児科医なのですけれども、初めにこの生活習慣病という名前を聞いたときに何だか余りピンとこなくて、余りいい名前ではないのではないかと思ったのですけれども、いろいろ御説明を聞いたり、私自身でいろいろ考えたりしますと、今、確かに小児科の現場では高脂血症とか、肥満というのが非常に大きな問題になっておりまして、それは親の食べさせ方とか、あるいは子どもが自分で食べる食生活の内容とか、すべて生活習慣に根差しているのです。
そうしますと、先ほど局長も言われましたように、小児成人病というのも至るところに出ているのですけれども、皆さんから小児成人病というのは一体何なのだと。子どもが成人病、成人病が子ども、さっぱりよく分からないという話をよく聞きまして、確かに生活習慣病と言うとそのものズバリなのですね。
ですから私は耳慣れないと思って変かなと思っていたのですけれども、何でもなれれば違和感感じなくなってきますので、最初はなれなくても後になってなれてくると思いますので。これは全部を包含しなくてもいいと思うのです。生活習慣に根差す病気を取り上げてどうしようかと考えるだけでいい。ですから広い成人病の中では、勿論こぼれていくものもあると思うのです。だからそれはそれでまた何かで拾っていくということで、生活習慣に根差した病気……。

◯小坂委員

腎臓病などは本当に生活習慣病であろうかと私は思いますけれども。

◯山口委員

拾えるものは拾って、落ちているものはまた何か別なもので拾うというか、とにかく生活習慣に根差した病気ということで対策を立てていただくというのは小児科医の立場からも是非必要なことだと思いますし、お願いしたいと思います。

◯大谷部会長

事務局のお考えでは肥満は入るのかな。

◯塚原補佐

肥満を疾病と言うかどうかという議論はあると思うのですが。

◯大谷部会長

生活習慣病として、「病」と言うかどうかと。リレーテッド・プロブレムというふうにもう少し範囲を広げるかどうかということも少し議論していただいておいた方がいいかもしれません。もしリレーテッド・プロブレムであれば、今の肥満児なども当然セラピーやる必要がある訳ですね。生活習慣を変えさせる必要がある訳です。

◯石井委員

私ども保健所ではまさに今の健康教育がメーンの仕事だということで日常的にやっている訳でございますが、資料の23ページの御説明があったかと思いますが、老人保健法で生活習慣改善指導事業というのがございまして、どこの保健所でもこれを一生懸命やってる訳です。老健法による健康診査の結果、要指導とした者について生活習慣に起因すると思われるものについては指導するということで、ですから我々保健所では生活習慣病と言われてそんなになれないという感じではなくて、別に素直に受け入れられる名前ではないかと思っております。
それから先ほどいろいろな指針のお話がありましたが、厚生省の方で余りにもいろいろな指針を出されますので、現場で使うときには本当に何を今度は使おうかという訳でございまして、私自身はブレスロー1本で、あれが一番簡単で分かりやすいと思っています。いろいろつくっていただいているのですが余り使ってはおりません。
それから細かいことではありますが、少し本題と外れますが、先ほどの御説明の中で婦人健康診査というのがございました。あれを国ではあくまでも婦人の健康づくり事業というふうになさっておりますが、婦人というのは差別用語だそうでございまして、婦人という言葉はこのごろ地方自治体では使えないのですよね。全部女性になっておりまして、国でおっしゃる婦人の健康づくり事業は現場では女性の健康づくり事業というふうに変えて言っておりますので、少し複雑なので是非国の方でもお変えいただけたらと思っております。余り問題になったことはございませんか。

◯笹本健康増進栄養課長

厚生省の行政一般について今、統一的な観点から見直させていただいておりますので、また年末には今、石井委員言われたような御指摘も踏まえて多分検討させていただくことになろうと思います。

◯石井委員

よろしくお願いします。

◯太田委員

腎臓分野で一言だけ言わせていただきますと、小坂委員の言われたとおり、腎臓病というのは非常にマルチなのです。いろいろな疾患やその合併症により腎臓がやられて腎不全になるということになりまして、大部分の病気はそういうことになってくる可能性があると思うのです。
今、糖尿病は31.9%、最近は腎硬化症もどんどん増えてきておりまして、これが入ってくる平均年齢が71.5歳でございます。そういうことで、慢性腎炎から入ってくる患者は39.4%まで低下しました。また、平均年齢がまたどんどん上がっていきまして、今、透析を受けている患者さんの平均年齢は58歳でございます。
そういうふうなことで、全体として腎臓病、腎不全を考えた場合、生活習慣等に根差しているものが増えましたが、割合としては半分に満たない。例えば難病とか成人病対策というふうなことでいろいろとお金が出る、援助が受けられるということでやってきましたけれども、こういうものを余り厳密にやるとその辺のところは非常に難しくなります。確かに生活習慣病という名称は、私も山口委員と同じで最初に聞いたときにはえっと思ったのですけれども、皆さんの御説明を聞いて理由がよく分かりました。
ただ、やはり腎炎、ネフローゼが生活習慣病に入るとなるとちょっとこれは抵抗あるなという気がいたします。といって、そういうグループの仲間外れをされますと……。

◯大谷部会長

研究費が減る。

◯太田委員

そういうことでわびしい感じを味わうのではないかという心配もあるのです。ですからその辺のところを是非お考えいただいて、仲間に入れていただきたいと思っておりますが、うまく何とか包括されるようなことでよろしくお願いいたします。

◯瀬在委員

やはりこういう言葉というのは、広い意味では人間の生活文化の中で自然発生的に出てくるというふうに考えていいのではないかと思います。実は私も通知をいただいたときに、生活習慣病と、自分なりにいろいろな観点から調べてみたのですけれども、その根底になっているのはやはり成人病と。
それで日本成人病学会というのがあるのです。あの学会は30回近いのではないですか。私は別に直接属しておる訳ではないですけれども、あれをつくられた発起人の1人である東大の元外科の教授の石川先生、今年の総会で特別講演をされて、先生がまた改めてこの定義のこと、また言葉のこと、外国語ではアダルト・ディジーズと言うのだということを提唱されたと。ですから、まだまだ人間の意識なり生活が変化していく中で、成人病ということをそういうような特別講演の中で改めて述べられて、述べられるということは、会長が石川先生にそういう特別講演を依頼された訳なのです。
成人病というのは割合におぼろげながらもいろいろな方も含めて、我々の生活の中であらゆる面で定着してきていると。しかしこの生活習慣病ということを先ほどからお話を伺っておりますと、その範囲内では非常によく理解出来るようになりました。しかし言葉というのはやはり時代とともに流れていくので、例えば我々の世界で使われている虚血性心疾患も、百数十年前にイギリスで初めてエスケーミック・ハート・ディジーズというふうに使われた言葉でして、せいぜい百数十年の歴史しかない訳です。それが今、世界各国で使われていると。日本語にも訳されて、厚生省始めあらゆるところで使われている訳ですね。ですから、そういう生活文化の中で発生的に出てくるのは必要であろうと。
例えば、医学用語とは違いますけれど、スポーツだってそうだと思うのです。あれは16世紀にイギリスで初めて出来た言葉でして、それが全世界で今、使われている訳です。ですから言葉なりこういう用語というのは、生活の中で生まれてきて当然いいのではないかと。だから今まで学問の進歩によってかなりのものが分かっていると。しかしその発症なり病気の進行に非常に関係するこのような生活習慣病というものは必要であるということであれば、そういうふうに指導していけば、人はそういうふうにだんだんなっていくのではないかというふうに思いまして、そういうことを考えるといい言葉かなというふうに先ほどから思っているのですけれども。

◯大谷部会長

町野委員何か御感想でも。

◯町野委員

非常に結構な言葉だと思うのですけれども、少し分かりませんのは、従来の成人病対策からこの言葉を変えるということになりますと、先ほどから何人かの方が危惧を漏らされておりますように、仲間外れになるといいますか、一体そちらはどうなるのだろうかというあれがありますので、変えるということでないのかなと。やはり導入だけなのかなと。そこら辺が少しまだ分からないのですが。

◯大谷部会長

塚原君、事務局の先ほどの図を見ると成人病の中に入れ込んでいるみたいで、生活習慣病の方が広いということですか。

◯塚原補佐

成人病というのがどこまで入るかというのが余りはっきりとした概念が定まっておりませんで、少なくとも三大成人病は入って、なおかつ高血圧とか糖尿病といったような成人期に起こるような病気は入るのだろうなという認識である訳なのですが、日野原先生の関連の習慣病の範囲が、痛風ですとか、脂肪肝とかアルコールの膵炎とか、非常に幅広い疾患群をまとめて習慣病と。随分有名な病気はほとんど入ってしまうような感じで書かれておりましたので、日野原先生のおっしゃる習慣病というのは非常に成人病よりは広い概念としてとらえておられるのではないかということで。

◯大谷部会長

問題提起だけれども、生活習慣病と言った場合に、例えばアルコールの飲み過ぎとか、いわゆるアルコール中毒で言えば、完全に中毒というのは要するに自分が心身ともにコントロール出来ない状態を言うのですけれども、その以前としてお酒を10日間飲んであと1日はあけなさいよと言われても、どうしても1日はあけられないけれども、しかし病気と言うほどではないと。しかし異常であるという場合に、アルコール嗜癖という範囲でそれがずっと幅広いスペクトルになっている訳です。
生活習慣病と言った場合に、例えばそういうふうに肥満的な状態だとか、あるいは糖尿病でも潜在的というのがあるのかどうか知りませんが、そういうような病気と言うほどではないがそういうものも入れて生活習慣病と言うのかどうか。そこらのところも専門家の方に少し御検討をいただいた方がいいのではないか。今日だけの会議ではなかなかそれは難しいと思いますね。大体一般に「病」と言えばフォーカスみたいに病気というのは決まってしまうような感じもしますし、だからそこらをそれで入れてしまうのかどうかということも次回のときまでに少し御検討いただいておいたらどうですか。

◯尾前委員

私も今おっしゃったように思います。というのは、高血圧1つとりましても、これを生活習慣病と定義することは大変問題なのです。これは非常に生活習慣が関係しているものもあれば、ほとんど関係していないものもあるのです。腎臓病というのはちょっとニュアンスが違うと思うのです。
ですから、やはり生活習慣病というふうに言うならば、こういうものをいうという定義がないとね。高血圧が病気かどうかで大議論になっているのです。高血圧そのものは病気かと。これは全然今までの病気と違う概念でないと病気と言ったらいかぬという意見が非常にございまして、これは状態を言っているだけで、いろいろなことをやれば治ってくるものもあるし、これは病気ではないのではないかという意見が専門家の間でまだかなり根強くありますので、実際生活習慣病というのをもし使うなら、これがひとり歩きすると、どこまでをそう言うのかと言われたときに相当用意しておかないとその辺が少し問題になるのではないかなということを私心配しますので。
ただ、脳卒中なども実際ずっとリスクを見ますと、一番効いているのはどうも年齢みたいなのです。血圧がその次に来るのです。やはり長く生きるということ自体に問題があるのです。
ですから、長寿社会になると非常にいろいろなことが起こり得ると思うので、長生きということ自体がリスクだと私は思っていますので、だからそういうことまで含めると、中身を少し詰めて、少し分けて検討して、こういうものだということをはっきりさせていただいた方が問題が少ないのではないかなという気がいたします。

◯小坂委員

厚生省も公式に提言するとなると影響が非常に大きいですからね。

◯尾前委員

アメリカのNIHの合同委員会で、高血圧の予防はライフスタイル・モディフィケーションという言葉を使っているのです。それまではいろいろ治療とか言っていますけれども、ライフスタイル・モディフィケーションという言葉を使っていまして、それが第一の治療だというふうにしているのですけれども、ディジーズとまでは言っておりませんので、その辺のところがちょっと病気になっても違うことも考慮に入れて少し中身を検討していただいたらと思います。

◯大谷部会長

この問題につきましては、病気、その周辺、それから健康状態というような3段階で一体どういうふうな分け方が出来るのかというのは先生方にもまたお考えいただき、それから事務局の方でそういうことの詳しい、好きな先生もおられるかと思うので、ちょっと調べて一遍それは整理しておいてください。幸田委員何かありますか。

◯幸田委員

今まで各委員から御発言のあったことで尽きると思うのですが、資料1の1ページの成人病の定義は、たまたま昭和32年の時代のあれなので、私などが素人なりに考えると、成人というのはやはりエイジングとか加齢ということに伴う病気だという感じが成人病という言葉の中に入っているのではないかと。だから単なる死亡率の問題だけではないのではないかなという感じが成人病という言葉からはしますので、これは昭和32年にやったときのものではないかなという、今と少し違うのではないかなという感じがします。 それから2ページの健康と生活習慣の中でおっしゃっていることはそのとおりなのですが、いわゆるストレスの問題が全く触れられていないのが少しどうかなと。5つのSとか、7つの健康習慣というのがありますが、やはり心を豊かにというのか素人ですから分かりませんが、ストレスとか、都会の生活とか、通勤地獄とかいろいろなものがあると思いますが、その辺をもう少し強調していただくことも必要ではないかなと。
4ページのこの表はさっき部会長からもお話がありましたように、私はやはり生活習慣に根差す病気、あるいは生活習慣が大きな誘因になっている病気と、成人病というのは重なりある部分もあるけれども、やはり2つの円がこうなっているのではないかなと。どの病気がどこに入るのか私は素人ですからよく分かりませんけれども、成人病を広い意味でエイジング、加齢に伴う病気というふうにとらえて、生活習慣病の方はむしろ生活習慣に根差す病気、あるいは生活習慣が大きなウエートを占める病気。勿論これは遺伝的な要素は人間である以上必ずある訳ですから、それから下界の環境、飲み食いだけではなしにいろいろ外気にさらされている訳で、やはり大原の交差点の隣りに住まなければならない人間もいる訳ですから、単なる生活習慣だけではなしに、そういう意味での問題も少し考えていって、生活習慣だけで割り切るというのはちょっとどうかなと。
ただ、今、申し上げたような成人病と生活習慣病という、「病」がいいのかどうか分かりませんが、そういうことで、非常に私は意欲的な試みだと思いますので、生活習慣に根差すものについてはこういうことの生活習慣をやったらいいではないかと。
いろいろお話があったように、がんの12か条とかいろいろなものが出過ぎていますので、出来ればその辺をうまく統一して、30種類の食品も結構ですが、何か1つのものにまとめてね。例えばがんはそれ以外にこれとか、出来るのかどうか分かりませんが、循環器病はそれ以外にこれが特に、あるいは高脂血症はこれを特に考えなさいというようなことの根底になるようなものと、それぞれのものについてのものが出来れば、それは生活習慣に対する……。
生活習慣病というのは恐らく国民教育ということでお考えになっていることだと思いますから、そういう総合的な観点で1人の人間を、1つの病気だけでなしに全体的に見てどういう生活習慣がいいかということをお決めになるのは非常に意欲的な試みだと思いますし、出来るだけ早い機会にそういうことが出来れば、私自身も実践してみたいと思いますので。

◯大谷部会長

本当はヨーロッパでこのチビリザチョンとかシビライゼーションと言っているのは非常にやはりそういう意味で成人病と、今、幸田委員言われたので私もそういうふうに思いますね。だからシビライゼーションというニュアンスが込められるのかもしれませんね。
そういうことですが、実はこの部会、私も部会長をやらせていただいておりますが、12月でこの2年間の部会は一応終わると。引き続きやっていただく方もある訳なのですがね。それで、出来ればこの2年間の部会の間の一区切りとして、生活習慣に伴うそういった概念の整理というものと、それに対する将来の基本方向くらいは、例えば研究の方向とか、あるいは対策とか、指導の方向とか、何かそういうものを12月までちょっと忙しいのですが、一応のまとめにさせていただいたらどうかなというふうに考えております。
それで出来れば、事務局に悪いけれども次回の部会を先生方の日時を聞いて、それまでに今日の御意見等を踏まえて、もっと専門家の人にいろいろ意見を聞いてまとめておいていただけませんか。それをたたき台にして、もしまとまれば、一応の区切りは2年任期、2年任期となっておりますので、今回の2年のものにこれをまとめということにさせていただけないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは時間がだんだんなくなってきましたが、あと2つ議題が残っているので大急ぎで事務局次の議題を説明してください。

◯塚原補佐

議題の3につきましては、資料2「成人病難病対策専門委員会の設置等について」に基づきまして御説明させていただきます。
まず「成人病対策部会及び専門委員会で検討されるべき分野」ということで、今回提示させていただいております生活習慣病(仮称)対策というものにつきましては、1次予防という観点と2次予防の再評価という観点から議論が必要ではないか。
また にございますように、延命・救命を中心とした対策が今まで中心的な対策であったかと思いますけれども、近年QOLというようなものも重視されてきつつありますので、合併症あるいは進行予防、低侵襲医療技術開発、リハビリテーション、終末期医療などといったような分野について検討が必要かなというのが事務局の認識でございます。
成人病対策専門委員会の設置ということでお諮りする訳ですが、がんと循環器については平成3年に中間報告が発表されております。この中間報告を踏まえまして新たな治験を加えつつ今後の対策を取りまとめていったらいかがかと。
それから糖尿病と腎不全につきましては、その重要性、特殊性にかんがみまして、今後重点的な対策、立案、施行が必要ではないか。
リウマチにつきましては今年度から標榜診療科目名として追加されましたし、高齢者を含む患者さんの増加というようなものがございますので、早急に構築する必要があるという疾病ではないかというふうに考えております。
「専門委員会の設置等(案)」でございますが、生活習慣病(仮称)対策につきましては、その概念の導入の是非も含めまして、成人病対策部会、この部会本体で議論を当面していただいたらどうか。
リウマチについては別途リウマチ対策専門委員会を設置いたしまして、対策・評価・検討を講じていくというような在り方をもって検討を進めていきたいということでお諮りしたいというふうに思います。

◯大谷部会長

ただいまの御説明について何か御質問等ございましたらどうぞ。
御質問もございませんようでございますので、リウマチ対策専門委員会というのを新設いたしたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか

(「異議なし」と声あり)

◯大谷部会長

それではそういうことにさせていただきまして、専門委員の指名につきましては私に御一任していただいてよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

◯大谷部会長

それでは、さようにさせていただきます。
それでは次の議題に入りまして、議題4の臓器移植法案について事務局より資料3について説明をお願いします。

◯貝谷臓器移植対策室長

資料3に基づきまして、御説明申し上げます。
内容的には冒頭局長が御説明申し上げましたような臓器移植法案、このたびの解散に伴いまして廃案ということになりました。資料3におきまして、2年半ほど前に出されました法律の経過がございます。
6年4月に提案されて以降、本会議での趣旨説明、そして厚生委員会での参考人意見聴取、それから平成7年の11月には愛知県で地方公聴会をやっております。というようなことでごらんいただきますように、余り進捗ははかばかしくございませんでした。
平成8年の6月になりまして、そういう状況を踏まえまして、審議促進を図る観点から、法律案を提案された国会議員の先生方自らが法案の一部を修正して審議促進を図るというような動きがございました。内容的には2点大きな点がございました。脳死が人の死であるという前提に立ちながら、2点目は、その承諾の手続に当たりましては、本人の生前同意のほか、家族が本人の意志を忖度してやってもいいというような内容だった訳でございますが、その後段の家族の忖度で摘出出来るという部分を削除して、本人が生前に意志をはっきり明示している場合に限って摘出が出来るということで修正案を取りまとめられた訳でございます。
しかしながら、ここの経過にございますが、この修正案も通常国会の期間が終わりますとともに失効いたしました。法案自体は継続でなされましたが、去る9月27日の解散に伴いまして廃案という形になった訳でございます。
なお、今後でございますが、御案内のとおり臓器移植法案といった立法につきましては、かつての脳死臨調におきましても、心臓、肝臓といった臓器の移植を今後行っていくためには体系的な立法化が望ましいという御指摘もございますし、私どもとしても何らかの形で立法ということを目指してまいりたいと思っています。具体的な対応につきましては国会の先生方とも今後御相談しながら対応していきたいと思っております。
以上でございます。

◯大谷部会長

ありがとうございました。そうすると新しい新立法ということで出す訳ですね。同じ文章では出せないのかな。そんなことはないのでしょう。

◯貝谷臓器移植対策室長

そこはいろいろございますので、私ども政府の方からどうのこうのございませんが、これまでの経過、議論の積み重ねがございますので、そういったことは十分念頭に置いてまとめられるのではないかと思います。

◯大谷部会長

余り先延ばし先延ばしして、エイズの問題で本当恥かいておるのに、これ以上またこういう重大な問題をね。この間患者さんにも出会ったけれども、やはり待望している人もいる訳なので、そこらの点も真剣に考えていないと、延ばすのはいいのだけれども、やはりいろいろな立場の国民の皆さんもある訳だから、どんな少数でもそういうのを考えていただきたいというふうに思いますけれども、太田委員何か御意見ありますか。

◯太田委員

明後日から日本移植学会が始まりますけれども、移植学会としては法案なしでやるという決意を述べております。実際問題としまして臓器が出ないことには移植は出来ない。臓器は救急医療関係のところは出ることが多い。ですから救急医療の関係者が安心して臓器を提供出来るような状況をつくらないとだめですね。彼らとしては、やはり法案が出来ないと協力は難しいということを言っている訳でして、それがこれでもって変わることはないと思いますので、やはり法律がないと実際には動かない。
そしてまた検視という問題にしましても、やはり、法律に基づいてやるという行為になると思いますので、それが出来ないと動きがとれない。この2つの足かせがついておりますので、そう簡単に移植学会は動けません。ですからどうしても法律をつくってください。それを是非よろしくお願いします。積極的に考えておいてください。

◯大谷部会長

それでよろしくお願いいたします。

◯小坂委員

臨調が出来て答申が出た後に、国会になるのですか、政府になるのですか、それに対してきちんと対応しなければいかぬということになっているわけです。議員立法でこうなっているというのだったら難しい問題とはいえ議員にやって頂く以外にないですね。

◯太田委員

ですから、それがまた問題になるというふうに私たちは考えておりますが、是非よろしくお願いいたします。

◯大谷部会長

ほかに何かございませんでしょうか。事務局何かございますか。

◯木村企画課長

1つ御報告させていただきます。
来年度の組織改正の関係でございまして、実は薬務局の見直しということを中心にいたしまして、いわゆる衛生部局の再編成というものを今、考えておりまして、それで実は薬務局の経済課、医療機器開発課を健康政策局の方に持っていくと。それで薬務局を医薬品の安全中心の局に編成するということ。
そこを中心にやっておりますが、それに伴いまして今、健康政策局にあります地域保健、今、計画課の中にあります地域保健の部分を保健医療局の方に持ってくるということで、ついでに保健医療局の中の課の再編も考えております。今、企画課、健康増進栄養課、疾病対策課、エイズ結核感染症課という四課でございますけれども、企画課はそのままでございます。
そして健康増進栄養課に疾病対策課の成人病部分を持ってくるということで、地域保健健康増進課という課にすると。
それから疾病対策課を、成人病を持っていった関係で今度エイズを持ってまいりまして、エイズ疾病対策課という課にする。
今あるエイズ結核感染症課を新興・再興感染症対策に特化するということで、感染症対策課ということで危機管理をも行うという課に特化していくと。そういう課の再編を考えております。
したがいまして、今日も出てまいりました成人病対策を栄養、健康増進ということも絡めて考えると。それに対応するために地域保健健康増進課というような課の名称にして、そこで成人病も栄養も、それから健康増進も、地域保健も併せ行うという課にしたいということで考えておりまして、今、総務庁に組織要求を提出しておるという状況でございますので、ちょっと補足的に御報告させていただきます。

◯大谷部会長

それではほかに事務局連絡事項ございますか。

◯塚原補佐

日程表を冒頭申し上げましたように、今お分かりになる委員の先生方はお書きの上、よろしくお願いします。

◯大谷部会長

ありがとうございました。それではこれで閉会にいたしたいと思いますが、本日の審議内容は審議会の議事録を各委員の下に御送付いたしますので、間違っている点とか不適当な点はお直しいただきまして、原則公開ということになっておりますので、御確認の上事務局へ御返却お願いをいたします。
それでは本日の審議はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

審議会等議事録 ホームページへ戻る