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公衆衛生審議会成人病難病対策部会議事録

厚生省保健医療局疾病対策課

公衆衛生審議会成人病難病対策部会次第

日 時:平成8年7月31日(月) 17:45〜19:35

場 所:霞山会館「松の間」

議 題

1.開 会

2.議 事

(1)厚生省特定疾患調査研究事業「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急調査研究班」の中間報告について

(2)その他

3.閉 会

○塚原保健医療局疾病対策課長補佐

お待たせをいたしました。ただいまから公衆衛生審議会成人病難病対策部会を開催いたします。
本会議を開催するに先立ちまして、7月に事務局の異動がございましたので、職員を紹介させていただきたいと存じます。
まず、小林保健医療局長でございます。
それから、右手に座っております遠藤疾病対策課長でございます。
申し遅れましたが、私、疾病対策課課長補佐を仰せつかっております塚原と申します。
本日は不慣れでございますが、進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は倉田委員、島委員、南委員、宮本委員、津久江委員、山口委員の6名が御都合がつかず欠席しておられますので、御報告をいたします。
なお、本日は特定疾患調査研究事業「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急調査研究班」の班長でございます佐藤先生の御出席をいただいております。また、班員でございます自治医科大学の柳川先生もおこしをいただいておりますので、御紹介をさせていただきます。
それでは、続きまして、小林保健医療局長から一言をごあいさつ申し上げます。

○小林保健医療局長

保健医療局長の小林でございます。7月2日付で生活衛生局長から代わってまいりました。
今日は公衆衛生審議会の成人病難病対策部会を開きましたところ、お忙しいところ、曲げて御出席をいただきましてありがとうございました。それもこんな夜分になってしまって誠に申し訳なく思っております。先生方の中には、今日、昼間の厚生科学会議に出られた方、公衆衛生審議会の伝染病予防部会に出られた先生方、いろいろいらっしゃいまして、本当に厚生省も大変人使いが荒いなと自分で思っている次第でございますけれども、誠にありがとうございました。
本日の議題の「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急調査」というのは、実は今年の3月20日にイギリスが狂牛病の肉からバリアントクロイツフェルト・ヤコブの患者さんが出てきたというところから始まったものですから、その当時、私は生活衛生局長をいたしておりまして、その当時は、日本の現状はどうだろうか、サーベイランス実態はどうなのかということを私が生活衛生局長の立場で、こちらの局にお願いをした立場でございまして、それが佐藤先生を中心として柳川先生等に助けていただきまして、調査結果が大分まとまってきたというふうにお伺いをして、今日、このようにして会議を開いていただく訳でございます。本当に感謝申し上げる次第でございます。
私も事務局から内容を見せていただいて、まだ完全にというところではないようでございますけれども、今の段階ではバリアントクロイツフェルト・ヤコブと言われるものはなさそうというふうな感じを受けております。先生方に細かく解析をしていただいて結論が得られるものと思いますけれども、今のところ、国民はO-157の方に関心がいっておりまして、クロイツフェルト・ヤコブの方にはきておりませんけれども、またこれもいずれ再度日本でもにぎやかになるのではないかと思います。その間にも着実に研究を進めてきちんとしたデータを持っておくということは大変大切なことでございますので、厚生省としても今後一生懸命やってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

○大谷部会長

皆さん、お暑い中どうも御苦労さんでございます。それでは、早速審議に入らせていただきます。
ただいま局長からお話がありました、前回5月の時に、クロイツフェルト・ヤコブについて皆さん方からいろいろ御意見を承りました。今日は佐藤班長から後で御説明いただきますが、その前に事務局から資料の説明をお願いします。

○塚原補佐

それでは、資料の御確認をお願いしたいと存じます。
お手元に部会の次第と座席表、委員の先生方の名簿がございます。そのほかに本日用意させていただいた資料が3つございまして、資料1番が「厚生省特定疾患調査研究事業『クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急調査研究班』の中間報告の概要について」というペーパーが1つございます。それから、資料2といたしまして、二次調査票の案がございます。それから資料の3でございますが、本日記者発表を予定しておりまして、その場で班長先生の方からコメントをいただく原案のペーパーがございます。以上、資料の1から3まででございます。

○大谷部会長

ありがとうございました。という訳で、今日は重要な会議ではないかというふうに思います。それで、まず佐藤班長から緊急調査研究班の中間報告について御報告をお願いいたします。

○佐藤先生

班長を仰せつかっております国立精神・神経センター国府台病院院長の佐藤でございます。私自身は専門が神経内科でございまして、今回の疫学調査については、公衆衛生的な観点から自治医大の柳川教授にいろいろ御指導をいただいて、今回の結果をまとめました。
それでは、順序御説明申し上げます。まず、資料1のアンケートの送付診療科数は4,027ヵ所でございまして、対象は精神科、神経科、神経内科を標榜する病床を有する診療科にアンケートを依頼してあります。
今日までの回答診療科数は2,637ヵ所でございまして、大体65.5%の回答率でございます。そのうち重複例を除きまして、ヤコブの症例の報告数は766 例でございます。この中のGSS と書いてございますのは、ゲーストマン・ストライシャー・シャインカー症候群と申しまして、家族性ヤコブ病での特殊な病型を呈する症候群でございまして、若年発症などもこの中に含まれます。これとは別の家族性のヤコブ病もやはり病態が少し特殊でございますので、この51例を全体の解析から除外して715例について解析してございます。内容の記載不備なものもこれからは除外してございます。
集計結果の概要は、平均年齢は62.5歳でございまして、これは男性、女性とも同じ平均年齢でございます。これは従来の報告と同一でございました。男女比は女性の方が1.54とやや男性よりも多くなっております。
患者数の年次推移は、これは後でまた表で直接御審議いただきますが、年次推移は1993年までと比べて94年と95年がやや増加傾向に認められました。
それから、先ほど小林局長がおっしゃいましたイギリスで問題になった狂牛病の影響があるかもしれないというのをニューバリアント・フォーム・オブ・クロイツフェルト・ヤコブ・ディズイズと呼んでVCJDと呼んでおりますが、この特徴の1つが、若年発症でございますので、今回の調査を特に若年発症者に注目いたしましたが、この10年間の若年発症者数の最近の増加は認められませんでした。
それから、アンケートの内容で、ある程度医原性の可能性ありと従来指摘されております硬膜移植、角膜移植、脳下垂体製剤等の投与歴についても問い合わせましたが、硬膜移植に受けたという症例が28例ございました。手術日は、1981年から89年の1月にピークがわたっております。角膜移植は1例でございまして、この1例は既に文献で報告されている症例と同一でございまして、87年の7月でございます。それから、脳下垂体製剤の投与歴ある者は、「有」という回答は1例もございませんでした。
それでは、2ページに移っていただきますと、まず表の1は、先ほど申しましたGSS症候群及び家族性のものを除外しまして、一応孤発性あるいは散発性のクロイツフェルト・ヤコブ病と記載されたものとについて、発症年齢別、発症年代ごと縦軸が発症年代でございますが、一番右の年次別の報告患者数をご覧いただきますと、最近の94年、95年が100、103 例と多くなっておりまして、この5年間がある程度正確な情報を得られるとしましても、やや多い傾向があるように見受けられました。
家族性のヤコブ病については「有」と答えられましたのが51例ございますが、これについては従来指摘されておりますように、やや発症年齢が若年に偏っておりまして、実際の発症者も30歳代の発症者が7例と従来のように若年発症の中には家族性あるいはGSS と遺伝子的に診断された症例が多うございました。
それから、表の3は、硬膜移植例を除外して表を作成したものでございますが、これは表の1とほぼ同様の傾向にございます。
3ページに移っていただきます。3ページは、今回のアンケートで硬膜移植歴が「有」と回答された数が24例でございます。横軸に発症年齢、縦軸に発症年代をまとめてありますが、縦軸をご覧いただきますと、95年に10例発症しております。それから一番早い発症が86年でございまして、もう一つは横軸の発症年齢をご覧いただきますと、20代が1例、30歳代が4例と平均年齢が50歳で、先ほどのヤコブ病の平均年齢62歳と申し上げましたが、平均年齢でご覧いただいてもやや若年の傾向にありますし、若年発症者が30歳以下が5例とやはり多い傾向に認められました。
それから、硬膜移植例については、既に日本で文献で報告されてありますので、その4例を加えまして、28例について硬膜移植を受けた手術の年代を横軸にとりまして、縦軸に発症年代を並べてみますと、先ほど申し上げましたように95年に10例と非常に多く発症しておりますが、手術年代をご覧いただきますと、横軸になりますが、85年の手術を受けた人が5例、84年が7例、83年が3例でございまして、83年から86年にわたって主に硬膜移植の手術を受けた症例が95年に発症のピークがあることが分かりました。
それから、表の6は、従来、死亡診断書でクロイツフェルト・ヤコブ病として診断された死亡者数を人口統計動態から拾い出していただいたものですが、この死亡者数から今回の全体の調査での、その年の死亡と回答されたのを比較してみますと、やはり65%でして、今回の調査が全体の回収率と、死亡から推計した回収率から見ても、大体の全体の患者の65%近くは把握している調査と判断いたしました。
それから4ページは、今回の会員名簿でございまして、今回は、緊急性を鑑みまして、北海道から九州まで神経内科系の医院と精神科系の協力班員に三十数名入っていただきまして、その中のキーになる先生方に班員としてお願いしてあります。自治医大の柳川先生は、評価委員をなさっております関係上、同じ教室の助教授の中村先生に班員になっていただいております。
5ページに移りますと、これが5月の末に第一次アンケート票として発送した原票でございまして、この概略は、患者さんのイニシャルあるいは住所、生年月日等、重複を除くために、質問してあります。重要なのは、発症年月日、最終にその施設がご覧になった年月日と、真ん中「診断」とございますが、1がクロイツフェルト・ヤコブ病、2番がゲーストマン・ストライシャー・シャインカー症候群、3が視床変性症、これは睡眠障害症として最近ヤコブ病との関連が注目されておりますので、特に設問いたしました。4が今回イギリスで指摘されておりますVariant-CJD 、これについては、定義を同封してあります。それから、5はその他としてございます。
診断の確実性、1の確実は、この定義は剖検で確認したものを1とすると定義づけであります。2は臨床的にほぼ確実だろうという症例、3は疑いとなっております。
それから、一番右の方に、手術等の治療歴として手術が「有」、「無」、その中に先ほど申し上げました角膜の移植術、硬膜の使用手術、ホルモン製剤の投与の有無について聞いてあります。この結果、先ほど申した24例の回答をいただいております。それから剖検の「有」、「無」でございます。
次に、続いて資料2の説明に移らせていただきます。資料2は、第二次調査票案です。今回の一次調査の結果を踏まえまして、若年発症者例、あるいはバリアントフォームと診断された症例について出来るだけ詳しく情報を得ることと、もう一つの目的は、WHOでヤコブ病の新たな発生の患者について世界的な疫学調査をリコメンドしておりまして、膨大な調査票でございますが、ある程度日本の国情に合わせまして少しモデファイしてありますが、調査項目が非常に多くなっているのはそういう事情でございます。この票は、現在、協力班員の先生方にある程度書きやすい形と、この項目でよろしいかどうかという質問を出しておりまして、1週間ぐらいで回収出来ると思いますので、その後、正式な調査票のレイアウトをした上で第二次調査を予定しております。
概略を申し上げますと、2段カラムの左のカラムは、従来の感染の背景につてい質問して、その下に手術歴、今回は、脳外科手術が「有」との回答が50例くらいございまして、ほかに例えば婦人科の手術、あるいは虫垂の手術、それから胃腸の手術と様々でございますが、ある程度脳外科手術との特異性を比較するために手術日を今回設問することにいたしました。
それから、特殊治療歴はWHOの内容そのものでございまして、輸血あるいは手術の有無、それから筋電図を受けたどうか、鍼治療を受けたかどうか、刺青があるか、ピアスまで設問してあるので、必要かどうかちょっと分からないんですが、そういうことを質問してあります。それから旅行歴、職業歴は非常に詳しく、患者さんとの接触歴を各職種について設問してあります。
2ページに移っていただきますと、この票は臨床症状でございます。初発時、全経過を通じての精神症状、それから神経内科的な症状についての設問ですが、これは班員の幹事の方にあらかじめこの票について御意見を伺いましたら、ほとんどの先生方が詳しく過ぎて大変だという意見がございましたので、これを5分の1ぐらいに簡略化しまして、出来るだけ二次回答の施設に御迷惑かからないようにレイアウトを変えたいと思います。
検査成績、脳波の周期性の「同期性」の「セイ」がワープロのミスプリントですので、「性質」の「性」に直していただきます。脳波、画像、髄液、プリオン遺伝子について遺伝子検査を施行されたかどうか。特に若年性のバリアントフォームの場合には、コドン129 の多型性がMet/Met 、あるいはVal/Val のフォームの形の時に若年性が多いということが指摘されておりますので、もし調査されておったら答えてほしいという内容を設問してあります。それから、病理所見、結婚歴、重症痴呆患者との接触歴等書いてございます。結婚歴はWHOが非常に詳しく聞いてありますが、この程度はと聞いても失礼ではないのじゃないかということで設問してあります。
それから右の方は、動物の、あるいは動物由来組織との職業的な接触歴、あるいは特に生活歴で接触したことが多いかどうか。
例えば6の接触で毛皮を常時着ていたかどうかという設問までありますので、一応そこは書いておきました。それから、各家庭内でのペットの様子、あるいは食事の摂取が、特に嗜好が偏っていたかどうかという設問もあります。
これについてはある程度説明をつける予定にしておりますし、記入しやすいようにもう少しレイアウトを変える予定にしております。
次に、資料3に移っていただきます。以上の結果を踏まえまして、一応今回の一次調査の中間まとめからうかがわれることをまとめてみました。
まず1は、先ほど申しましたように1994年と95年に年次患者の発症数は増加しておりますが、この点については、二次調査で患者発生の疫学的な臨床像の特徴等をさらに詳しく調査する予定になっております。
それから、一次調査は10年間にさかのぼって資料を収集しておりますが、例えばこれは10年前ですともう既にカルテのない施設もございますので、やはりかなり患者さんの把握率が低くなることが予想されまし、特に最近の5年間についてこのデータからうかがわれるように、果たして増加傾向にあるかどうか慎重に判断したいと思います。
2の項目は、今回の緊急調査の一番の命題でございます輸入牛肉との関係でございますが、今回の第一次調査票では、例えば職業的な接触歴、あるいは嗜好歴等については設問してございませんで、その点については若年発症者、あるいはバリアントフォームとマルをつけた施設に詳しく伺う予定にしております。
それから、バリアントCJD とそこにマルをつけて回答された調査票が4例ございました。その中の2例については60歳から70歳で非常に高齢でございまして、直接電話でバリアントフォームと診断された内容について伺ったんですが、むしろ従来の典型的なヤコブと比較し、非定型的であったのでバリアントとマルをつけたと回答しておられました。いわゆるイギリスの症例とはかなり異なっておりますので、そう解釈してもよろしゅうございましょうかと確認したんですが、高齢の2例については、主治医の先生もそれでよろしいという御返事でした。
残りの40歳の例と30歳代の2例につきましては、1例は横浜の症例でございましたので、直接診察をさせていただきましたが、この患者さんは、なお生存して病気としてはかなり進んだ状態でございますが、従来の典型的な古典型のヤコブ病との臨床的な鑑別は困難でありました。
それから、残りの1例は不明でございますが、最近、電話で情報が入りまして、この症例は経過がよくなってきておりますので、ヤコブ病はよくなることがないので、その点はむしろヤコブ病の診断そのものに問題ありと考えてよろしゅうございましょうかと聞いたんですが、主治医の先生も非常に悩んでおって、やはり非定型的な意味でマルをつけたということでございますので、私の印象としては、イギリスの症例との共通性の可能性はないと考えております。
以上まとめますと、現在までの緊急な疫学調査結果では、イギリスと類似の症例の存在の確認は出来ませんでした。
それから、先ほど申し上げましたように、もう一つの特徴は若年発症でございますが、戻って恐縮ですが、資料1の2ページの表の1でございます。横軸の発症年齢をご覧いただきますと、30歳代までが25例、30歳までの年次分布、1985年以前と最近の10年間をプロットしてみますと、ほとんどどの年にも数名ずつ存在しておりました。イギリスが若年発症に注目したのは最近の5年間、さかのぼる10年間と比較しますと、さかのぼる10年間では、その間に2例しか発症がなかったのが、最近の5年間では11例の発症があるという点から、若年発症に注目して今回の牛の海綿状脳症との関連性が問題になった発端でございますが、そのような傾向は我が国では現在のところ認められておりませんで、イギリスのような傾向は、一つは臨床的、あるいは年次推移から見て現在のところは影響ないと判断してよろしいように考えております。
それから、資料3の班長まとめの3の項目の御説明に移りますが、今回、硬膜移植の既往歴を有する症例は、文献例を含めて28例確認されております。硬膜移植から発症までの時期は2年から14年でありまして、手術時期から発症までの期間は外国で十数例報告がありますが、それと一致しております。
それから2)でございますが、移植を受けた時期は84年から85年にピークがあります。この期間の分布も諸外国の報告例とほぼ一致しております。
それから、3)の項目でございますが、硬膜の使用数、これは国内で輸入した死体からとりました硬膜を苛性ソーダ処理等をして、それが日本に輸入されている訳ですが、2つの業者がございまして、年間約2万件、1人の人に2枚使う場合もあるんだそうでして、必ず件数イコール例数ではないと思いますが、約2万例と考えますと、この10年間の硬膜移植例については1万人に約1名の割合で発症しておりまして、通常のヤコブ病は100 万人に1人の発症率でありますので、この時期に硬膜の移植を受けたグループは100 倍の発症率になるということが分かりました。
それから、28例については電話、あるいはファックスで使用した硬膜が2社ございますが、その商品名を出来るだけカルテで確認してほしいという依頼をしまして、大半は御返事をファックスでいただいておりますが、21例はドイツのB社の製品を使用しておったということが確認されております。残りの7例については現在、問い合わせ中のもの、あるいは10年前のことでカルテを探したけれども、見つからなかった。脳外科医も記憶していないということで特定出来ない症例も混じっております。
それからちなみに文献例はすべてドイツのB社の製品でございます。
個々の症例については、硬膜移植手術とヤコブ病の発症との因果関係は、この調査から直接因果関係を特定することは出来ませんが、過去のある時期に硬膜移植手術を受けた集団における硬膜移植手術とヤコブ病発症との間には何らかの関連があるものと考えられました。
次に、コメントの2ページに移っていただきます。4の項目でございますが、医療行為とヤコブ病との発症の関係につきましては、外国ではヒトの成長ホルモン製剤、角膜移植等のことが指摘されておりますが、今回の調査で把握された患者の中では、ヒトの成長ホルモン投与の既往のある症例は1例も報告がございませんでした。角膜移植の例については既に文献で1例で報告されておりますが、この例もドナーの方が必ずしもヤコブ病でなかったので、かなり問題はあると思いますが、その1例のみでございました。
5は、一次調査の回収率が65%と、これは最近の疫学調査と比較しますと回収率はよろしゅうございますが、今回の社会的な意義を考えますと逆に必ずしも十分ではございませんで、未回答施設については第一次の督促を行いましたが、督促の結果でも65%、数%増えただけでございますので、今度は各ブロックの先生方にお願いして、例えば北海道なら北海道の先生に、そのブロックの未回答の施設に直接電話でお願いしてみようかと考えております。
それから、一次調査では、性、年齢、診断名、手術歴の有無、病理解剖の有無等について簡単な設問でありますので、今回二次調査は、先ほど二次調査票を御説明申し上げましたが、臨床症状、脳波所見、病理解剖所見等、特にイギリスのバリアントフォームで非常に重要な診断根拠になっております病理解剖所見、脳波が典型的な周期性のイギリスの例はないと記載されておりますので、その内容、患者さんの生活歴、職業歴等に関する情報を収集して、一次調査の回収率を上げると同時に、内容の精査でより日本での安全性を確認する調査目的の精度を高めたいと考えております。
以上でございます。

○大谷部会長

ありがとうございました。皆さんの御意見を伺う前に、研究班長コメントは記者発表する訳かな。

○塚原補佐

はい。
○大谷部会長
皆さんの御意見を入れて、発表するということですね。ほかの資料はどうなんですか。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

発表させていただく資料は、資料の1と資料の3を記者発表に使わせていただいて、あとこの会議でのコメントがあれば、それを口答でお知らせしようかと思っております。

○大谷部会長

ということでございますので、質問も御意見も分けませんので、どうぞ御自由に御意見をお願いいたします。どうぞ。

○小坂委員

アンケートを送った先の選出基準というのはあるんですか。

○佐藤先生

病院の情報部にお願いしまして、標榜科目が精神科、神経科、神経内科と標榜して、病床があるという施設、例えば大きい病院ですと精神科と神経内科がございますが、そこは別々に発送してあります。それから、病理解剖の時に新たに診断がつく可能性があるかもしれないということで、神経病理学会の評議員に発送してありますが、ほとんど臨床で答えておりますという御回答で、そういう懸念はありませんでした。一応そういう対象で送ってあります。

○小坂委員

回収率は3分の2ぐらいですね。これは表現がよくないですけれども、しかるべき病院からはきていますか。

○佐藤先生

第1回の時は、実際のリストから当然しかるべき病院から御回答いただくはずだと思って、督促のはがきは特に私どものメモでマークしましたが、しかるべき病院は大体御返事いただいております。これは学会発表で文献リストを別に作っておりまして、報告が多い施設は特にマークをして、そこの症例から御回答いただけたかどうかチェックしております。ただ、これは100 %ではございません。これからもう一回お願いする予定にしております。

○小坂委員

もう一つ、資料3の・のところに関係するんですけれども、ドイツのB社というのがありますね。これのほかに他社がもう一つあるという訳ですけれども、実際に使用数の中でB社と他社の割合は分かるのでしょうか。B社がものすごく多くて、もう一つの他社が非常に少ないとか……。

○佐藤先生

薬務局の方が正確な数字を把握しておられると思います。

○薬務局

85年以前、日本では、ドイツのB社製のものしか承認がございません。他社の方は、85年の8月に日本で承認をとっておりまして、承認をとってからしばらく品物が入ってくるまで時間がございますので、実際には84年、85年に入れていたのはほぼB社ではないかというふうに考えております。

○小坂委員

ありがとうございました。

○石井委員

ヤコブ病が難病に指定されたのは国じゃなかったですか。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

ヤコブ病は、調査研究事業の方の対象疾患になってございますけれども、いわゆる医療費の公費負担の対象にいたします治療研究事業の方には入っておりません。

○大谷部会長

正確に分かる訳ですね。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

東京都が昨年の10月から6月現在で10人いないような感じの数字だったと思います。

○石井委員

その程度でしたら関係していませんね。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

東京都は昨年の10月からでしたので。

○大谷部会長

はい、どうぞ。

○尾前委員

85年の前も入っている訳だけれども、調査された施設のベッド数とか、そこはコンスタントだったんでしょうか。これが変わるとか、分母がどのくらい変わっているかということも問題になりはせんかと思ってお聞きするんですけれども、そこはどうでしょうか。神経内科が新しく出来たとか、そういうようなところもあるんじゃないかなと思うんだけれども、その辺はいかがですか。

○佐藤先生

ベッド数は、一応柳川先生のサゼスチョンがございまして、調べてありますものからすると、御質問のような対比はまだしておりませんが、やはり最近の5年間というのは調査施設で記憶しておりますし、やはりその前の10年間と比較しますと、最近の5年間の数字がほぼ年次推移で信頼性がある数字ではないかと考えてございます。先ほど少し申し上げましたが、死亡診断書で年間の死亡者数の実数が出ておりまして、今回、その年に死亡されたという回答の数と比較しますと、やはりそれも65から67%でして、そうしますとほぼ実数の67%は把握しているような気がいたします。

○尾前委員

それでバイヤスを図っているというようなことは余り考えなくてもいいということですか。

○佐藤先生

この5年間は考えなくてもよろしいのではないか。さかのぼる、さらに6年前から10年は逆に非常に不正確だと思うんです。おっしゃるようにバイヤスが非常にかかっている訳です。

○尾前委員

それから、ともかく若い人が増えないけれども、年取っている方が増えているのは、これは診断技術が向上したからですか。倍ぐらいになっている感じがするんですが。

○佐藤先生

これはおっしゃるように年齢分布の人口での推移を反映しているかもしれません。御指摘のことは、もう少しきちんと数がそろいましたところでもう一回分析したいと思っております。

○尾前委員

大体この病気を調査なさったところが、日本全体のどのくらい把握しているという非常に大まかな見当でもつくでしょうか。

○佐藤先生

これは各県での回収率が一番悪いところで50数%、いいところで70%でそう大きい違いはありませんので、大体分布については平均的な把握をしているんじゃないかと考えておりますが、ただ、これはブロックごとの先生に第3回目の督促をこれから予定しておりますが、何か恐縮のような気もするんですが、一応引き受けてくださったら、残りの施設に電話していただいて、恐らくそうしていただくと10%上がると思いますので、そういう方法で確認してからまた今回の御質問なり、検討すべきことについて正確な数字を出すことを予定しております。

○尾前委員

これは全国のですけれども、地域によって余り差がないかどうか、あるところだけ急に増えたり、そういうことはなかったんですね。

○佐藤先生

人口100 万に1人ですので、1人多くなっても100 万人で2人になりますと、ものすごく変わってくるので、実は内々にはある程度家族性である地域が多いということは指摘されておりますので、そこは注目しております。それはもう少し数がそろったらきちんと最終的には確認したいと思います。

○尾前委員

これだけよく集まったと思います。ありがとうございました。

○小林保健医療局長

ちょっと教えてください。
表1の数を見ていると、年代別にいきますと1988年から1989年ごろ、大体50ぐらいですよね。それが94年、95年になると100 を超すというのはいかにも多い。柳川先生が見られても、やはりこれで上昇をみても何でもないと言い切るのもちょっと気持ちが悪いしね。
多分新聞記者さんは、このごろたくさん牛肉を食い始めたんじゃないのと言うんじゃないか。これをどう考えたらいいのかというのが1点です。その1点をお願いします。
○大谷部会長
柳川先生、お願いします。

○柳川先生

ある程度の偏りはあると思うんです。カルテは5年間保存はされていると思うんですけれども、それ以前についてはかなりの施設がカルテをみて症例を得ることが出来ないと思うんです。それにつきましては、この調査票にカルテを確認出来た期間というのを、いつまで確認出来たかということを聞いてありますので、次のステップとして確認された割合を逆にかけ算すれば、多分こんなに大きな違いはないのではないかと思います。
それから、先ほど佐藤先生が言われた死亡例の推移を見ますと、表の6ですけれども、確かに85年、86年あたりは、最近に比べて少ないように見えております。 これは多分診断技術の向上であるとか、これは佐藤先生にお伺いした方がいいと思うんですが、その辺のところがかなりきいているんじゃなかろうかと思います。

○小林保健医療局長

もう1点、さっき佐藤先生の御説明の中で角膜提供者がCJDでなかったという御発言がありましたね。

○佐藤先生

文献では確認出来ていなかったと書いてあったと思っているんですが、そうでしたね。

○小林保健医療局長

先生、それはどういう意味ですか。というのは、クロイツフェルト・ヤコブの角膜だとクロイツフェルト・ヤコブがうつるというふうにみられているんですか。

○佐藤先生

外国では、ドナーがクロイツフェルト・ヤコブ病で、それを接種すると発症したという報告がありますけれども、日本のこの方の症例は、ドナーの方は特定出来なかったと書いてあります。

○小林保健医療局長

その時問題になりますのは、硬膜を植えてこうなったのは、硬膜の提供者がクロイツフェルト・ヤコブだったから、そうなる確率が高かったということがあるんですか。といいますのは、私は全然別のことを考えていまして、昔のパプアニューギニアでクールーというプリオン病があった。あの時は、多分亡くなって脳を食べられた方の人がプリオン病であったからたくさん起きたのではなくて、私は多分正常な人を食べてもプリオン病になったんじゃないのかと思うんです。
それで、ここは全く私の仮説で心配しているんだけれども、すべての人間は正常プリオンを持っていることははっきりしています。みんな異常プリオンも持っているんじゃないのか。
だから、問題は食べた量ということがあって、それが徐々に時間が経って増えてくるんだから、人間からの硬膜をとった、また角膜を植えてもらっても、その提供者の方がクロイツフェルト・ヤコブであるかないかということは余り関係がないんじゃないかなと。それをいうのはクロイツフェルト・ヤコブの人は異常プリオンを持っているけれども、そうじゃない人間は持っていないということを言わないといけないと思うんだけれども、そんなデータもないし、私はそこがちょっと分からないので、佐藤先生、そういうふうにおっしゃられちゃうと、クロイツフェルト・ヤコブの人だけからうつるのかと、こういうふうになっちゃうんじゃないのか。そこはまだ確認が出来ていないのではないかと私は思っているので、さっきの御発言は、分からない時は何も言わない方がいいなという印象を持っているんですが、いかがですか。私は後段の方は仮定をして言っているんですけれども、クールーの時は、たしか文献読んでも、食べられた方の人がクロイツフェルト・ヤコブであったという記載はなかったような記憶をしているんですけれどもね。

○佐藤先生

今の小林局長の御質問は、硬膜移植歴のある人と、今回票には掲出してありませんが、硬膜移植歴がなしとした脳外科の手術例を同じようにプロットしてありまして、硬膜移植歴なしという記載の方については、確かになかったかどうかカルテ上御確認くださいと設問してありまして、なかったという症例が21例ぐらいありますが、半数ぐらいは83年から84年の症例がありますので、局長がおっしゃるように、もし移植していなくても同じ年代にどうして手術を受けた症例が多いかということが疑問になってまいりますが、もう少しこの点は慎重に、本当に有意性があるかどうかを確かめる必要があると思います。
それから、ほかの手術でも、例えば婦人科でも硬膜を使う時があるんだそうですが、婦人科とか、腹部の胃とか、肝臓の手術でも三、四十例ありますので、その手術時期が今回の一次調査では分かっておりませんで、それと比較する必要はあろうかと考えております。
それから、従来のこの調査とは別に、日本で10年くらい前に行われた疫学調査でも、やはり世界的に見ても、手術歴がある方が、ない方よりも有病率は高いというデータが出ております。

○大谷部会長

そこまで議論がいかなくても、3の下の行で何からの関連がある。要するに硬膜移植手術とCJDというのが素人には説明不足のようにも思えるんですけれども、これはどうなんでしょうね。
つまり硬膜移植手術とCJD発症との因果関係は1万分の1というふうに先ほど御説明あった訳なんだけれども、硬膜移植手術とCJDというのが素人には説明不足のようにも思えるんですけれども、これはどうなんでしょうね。「何らかの関連があるものと考えられる」と書いてあるんだけれども、1万分の1だから関連があるのか、そこのところはもうちょっと説明が要るような気がするんですけれども。

○小林保健医療局長

ちょっと中座していたので、言われたのかも分かりませんが、硬膜移植された方からクロイツフェルト・ヤコブがたくさん出たというのは外国で指摘があって、今、言ったブラウン社は途中で消毒方法を変えたんです。消毒を変えてから新製品に変わったんです。それが1987年ごろに変わっているんです。エイズが非加熱から加熱製剤に変えたと同じようなことが実は1987年当時に起きているんですよ。だから、ここに出てくる89年の事例というのは未回収事例なのかどうか、ここは調べてみなければよく分かりませんけれども、もうこの時には新しい消毒法の硬膜は出来てはいたんです。日本の製品じゃないし、特にどうだということは、ここはそこまで分かりませんけれども、少なくとも87年に新しい消毒法に切り替わった。これはメーカーの方もはっきり言っているんです。そういうクレームがついたから消毒方法を工夫して変えましたということは言っていらっしゃるようですから。

○大谷部会長

だから、エイズ薬害の歴史に反省すれば、そこのところはきちんとしておかないと。

○小林保健医療局長

明日、薬事審議会が開かれるという話ですから。

○大谷部会長

恐らく薬務局の方がきちんとしているはずだけれども、やはり後々になってみると、そこのところで僕らも分からぬなりに薬務局できちんとチェックしているだろう。新しい製品で不活化していたんだからいいであろうというようなこと、そこのところはきちんとしておかないと、事務局は分かっているかもしれないけれども、僕らには全然分からないから、そこのところは……。

○小林保健医療局長

私は前の局長時点から触っているものですからよく分かりますけれども、87年に変わっていますから、それ以後は出ていないんですね。この1例以外はぐっと減っている訳です。だから、そこに切り替わったということは有効だったということがはっきりしているんですね。
○大谷部会長
いろいろ聞いて悪いけれども、どういう不活化の方法があるんですか。

○小林保健医療局長

たしか苛性ソーダで消毒したのか。薬務局で誰かいますか。

○大谷部会長

誰か薬務局はいないのかな。

○薬務局

会社からの報告では、1規定の濃度の苛性ソーダで消毒をしているということです。

○大谷部会長

だから、それをきちんとしておかないと、保健医療局とか、医療に責任のある局は全然関係ないのか。エイズの問題だって輸入の時のチェックの問題で限定されて薬務局ということになるけれども、やはり病気全体の問題ということにすれば、公衆衛生審議会としては曖昧なままでという訳にいかないから、やはり教えてもらっておかないと。

○小林保健医療局長

89年にありましたということをここでははっきり言っている訳です。
明日、薬事審議会が開かれるそうですから、当然そこできちんとされると思います。ここでどうだということは必要ないんですけれども、ただ、89年にこういう事例があったということはこの調査ではっきりしましたと。薬務局さんの方でどういう指示をされたか、どういうふうにやられたかというのは薬務局さんの方の担当でおやりになられる。今回ここで言えることは、今回の調査では89年のものがありましたと、その方が96年に発症されましたという事例が1例ありましたということだけはここではっきりしている。
○大谷部会長
僕も移植を推進してきたんだけれども、それは厚生省の方で絶対それは無害なものを提供している、輸入しているものだって無害なものを提供しているという前提に立っている訳だから、そこのところでチェックを私どもの方でしなかったということになっては困るから、やはりそこのところはどうなっているのかというのはきちんと書類で報告してもらいたい。僕は素人論で言っているんだけれども、太田先生は学者だから僕よりはよく御存知でしょう。

○佐藤先生

私の方で申し上げます。薬務局が2つの業者に、ブラウン社ともう1社にヒアリングをされておりまして、第1回のヒアリングの時に私の方からも希望して同席させていただきました。そのメモがございますので、明日の午前中に薬務局がこの問題について薬事審議会の部会を予定しておられますが、私が伺っている範囲をお答え申し上げますと、1987年の2月にアメリカのFDAからニュースで86年の暮れに硬膜移植を受けた症例がヤコブ病に発症した。その硬膜はブラウン社のロット番号が二千何番かのものであるので、極めて少ない病気であるけれども、病気そのものは深刻なので、そのロットのものは使用しないようにという勧告が出ておりました。
ブラウン社の方でも、一応それ以前の旧消毒法のものは2つ問題がございまして、1つは0.5 規定の苛性ソーダで1時間つけまして、それから10%の過酸化水素で24時間消毒をして、その後、紫外線滅菌でBSに対する消毒をして、それを凍結乾燥したものを商品としておりましたが、問題は、1例を1つのパックに入れて消毒したのではなくて、たくさん重ねて多数の人のものを一遍にする処理方法をとったということが1つの問題と、それから、0.5 規定の苛性ソーダは、ヤコブ病のプリオンに対しては賦活化の作用がないということが実験的に分かりまして、86年に会社の方でも依頼されて動物を用いて硬膜の消毒法の安全性についてチェックをしております。そのチェックで1規定の苛性ソーダで少なくとも1時間以上浸すと動物では硬膜からは感染性がほとんど失われるというデータをもとに、会社の消毒法は、1規定の苛性ソーダで1時間浸して、それに10%の過酸化水素で24時間処理しております。もう1社の方も同じように苛性ソーダの濃度は0.5 規定と薄かったんですが、もう1社の方と違うことは、アセトンでさらに処理しておりまして、ブラウン社はアセトンを通していないという差異がございました。新製品と称しているのは、1規定の苛性ソーダで1時間浸したものを新製品として使用しておりまして、旧消毒法のものがアメリカのFDA勧告で因果関係があるかもしれないという勧告が出て、日本の代理業者にブラウン社から回収が指示されたのがこれは時期があまり明確ではございませんが、1987年の秋から88年の初めにかけて日本の代理業者に対しては回収を会社が指示したというふうに答えておられます。その時に、問題は病院内に納品したものについては回収をしなかったということを言っておりまして、病院内に納品したものの使用期限が5年間でございますので、そうすると、87年に旧消毒法のものがもし納入されておると非常に高価なんだそうでして、病院では5年間それを使う可能性はあったんじゃないかと考えられております。
それで、今回の調査で、資料1の3ページの表の5をご覧いただきますと、1996年に発症した症例で、この症例が89年に手術を受けております。これは第1回の薬事審議会の海面状脳症部会で出席を求められまして、この調査の状況について質問を受けましたので、そこで硬膜移植を受けた症例が9例ありますと話しましたところ、その議事録がそのまま新聞に公表されまして、その新聞をもとに家族から問い合わせがあったのがこの症例でございます。奥さんなんだそうですが、自分の家族は、因果関係についてはどうですかという電話での問い合わせがあったんですか、私は、一応今日の部会と明日と薬事審議会の部会の意見と、この前、班会議で幹事の先生方にお集まりいただいて、調査データについて複数の専門の先生方に御審議いただいた結果についてまとまる予定なので、今晩か明日の晩には必ず御返事しますと、この患者さんの御主人には返事してありますが、3回ぐらいいつ返事をするかという問い合わせがございましたので、一応答えはそういう答えにしてありますので、明日の薬事審議会の結果を待って、その結果どういう判断に基づくかということを御返事することを約束してあります。
私が伺ったところは以上でございます。

○大谷部会長

何しろ業界の言うことを聞いていたらエイズの薬害問題なんか、そんなものは起こらなかったはずなんだから、やはり審議会としては、納得出来るような説明をきちんとやってもらっておかないと困るので、今日は聞いたって僕も素人だから訳が分からないから、要するに薬事審議会において僕らが移植医療を推進しているんだから、それは医療のためにいいと思ってやってきている訳だから、根本において汚染したようなものをやられては全く申し訳ないことになる訳だし、現にエイズ薬害問題では、はっきりしていないという厚生省の姿勢ははっきりしている訳だから、今回以降そういうことの反省に立ってやってもらわないと困る訳で、私としては、あらゆる危険性も考えた上で、しかし、そうかといって移植医療をストップしてしまうと問題もあるし、太田先生からも恨まれるし、だから止めるつもりはないけれども、やはりそこのところは、各局間のセクショナリズムということで曖昧になるといけないから、私も実はエイズ問題の時は医務局長をやったから、本来いえば、医療の立場からいうともっと薬務局に対してものを言うべきだったかもしれぬと思うんだな。それは輸入の問題ということで所管になってきたけれども、しかし、それで済まないなという反省にとらわれている訳だ。 これは公式に申し上げる訳ではないんですけれども、血液のお医者さん方に話を聞いていたら、若い人は知らなかったとみんな言っている。医者としてそんな無責任なことはないと思うんだ。そうじゃないですか、瀬在先生。申し訳なかったと謝るなら分かるけれども、情報を何も知らなかったと言っているけれども、医者が注射しておって、そういうようなことが許される訳はないと私は思います。みんなに地べたに座って医者は謝らなければいかぬ。知らなかったからといって法律的責任は免除されるかもしれないけれども、道義的に考えたらば4,000 人のうち半分以上も死なせる結果になってしまっている訳なので、そういう点、医者はもっと反省しなければいけないし、審議会自身も所管が違うということなのでありますけれども、そこの点はきちんとやらなければいけないから、このデータを見ていても、そこの点をきちんとやってもらいたい。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

情報については検討いたしますけれども、薬務局なり、薬事審議会の……。

○大谷部会長

そこの点は薬事審議会がやるというんだから、簡単にこんなデータぐらいで了承したと言われては困るので、明日の薬事審議会に審議会の意向を強く伝えておいてくれないと困る。あらゆる移植に関係する、そう思いませんか。太田先生、どうですか、あなたは推進してこられたから僕よりもっと責任がありますよ。

○太田委員

ちょっとお伺いしたいんですけれども、不活性化されたとか、この消毒法でいいんだという、どういう方法を使って調べているんですか。

○佐藤先生

2つの方法を使ってございまして、1つは、ヒトの硬膜に実際に感染性が証明されているヒツジの脳そのものをヒトの硬膜に塗布しまして、それを1規定の苛性ソーダの処理法に浸したものをハムスターに植してみまして、処理しないものと、処理したものと比較すると処理した方は発症がゼロであったと報告しています。実験方法としてはかなり強い方法を使っているんです。それで発症しなかったという根拠が1つです。
それからもう一つは、ハムスターにスクレーピーの脳を接種しまして、ハムスターがプリオン病に発症する訳ですが、ハムスターの硬膜を同じような苛性ソーダ処理をしまして、それをホモジネイトしてマウスに植えたら、処理をした方は発症しなかったということです。ただ、その方法が実験的に100 %それでよろしいかどうかということについては、明日の午前中に部会がございまして、そこで、実際に実験をなさっている北本先生とか、小野塚先生というのは獣医の方でございまして、実際にヒツジとかの実験をやっておられる先生なんですが、その先生の御意見をもとに、従来実験で安全と言われていることが果たして安全とそのとおりに受け取っていいかどうかということについては、薬事審議会としての確認の審議が予定されているそうです。

○大谷部会長

昔話になりますけれども、これも公開の議論じゃないんですが、二十何年前で、鈴木先生は覚えておられるかどうかしらないけれども、要するにオーストラリア抗原といった時に、陽性血を分画製剤に使わせないようにしようとした時に、業界が僕のところに、アメリカの刑務所で分画製剤でやったら、5例あって発症しなかったというデータを持ってきたんです。それを信じておれば絶対廃棄出来ない訳ですよ。私は断固そこの社長に、そのデータを信じるかどうかという問題だけれども、それは廃棄に決めちゃった。今、HB抗原を疑う人もないけれども、当時はハーフ・ハーフで疑う人もいた訳だから、苛性ソーダが・・先生方の実験を私は信じますけれども、それ以上素人が言ったって始まらないんだけれども、何かもうちょっと、2万例もやっていて、血液の医者が注射しておってデータを全然知らなかったというようなことになってしまっては非常に困りますから、うちの方の審議会としては、今日、記者発表で、そこの点については余り不安をあおってもいけないから、なるべくあれなんだけれども、その点は薬事審議会の方で厳重に、発症に時間が2年もかかるようなものを、やはりそれは慎重に考えてもらいたいという気が私はします。

○佐藤先生

このデータの解析と解釈につきましては、7月23日でございますが、臨時の班員の主だった先生と、当然ですが、柳川先生もお願いしてありますが、その席に脳外科の学会の会長と都内でかなり経験の豊富な先生方お2人と3名御出席いただきまして、この調査で判明したデータの数字と解釈と文献的な推移について御説明申し上げまして、それを受けて、実は昨夜、脳外科の医療機器担当委員のメンバーが集められた席上で今日、申し上げたことと同じことを御報告申し上げました。脳外科学会としては、1つは、学会独自に当時の硬膜の問題と現在の硬膜の安全性で、現在のものについては明日の薬事審議会の結果を受けて、その結果についてもし安全という答申がなされたら、それについては会員に報告をして、余り不安を与えないようにということの配慮と、もう一つは、84年当時のものについては、厚生省の今回の疫学班で第一次調査がなされていますが、学会独自に患者さんについて「有」、「無」を調べるかどうかということを御相談なさっていました。私の方は、経過とデータ説明でその後、学会としてどういう対応をされるかということについては、私が退席いたしましたので、その結果についての正式なお話は承っていないんですが、数日経ちましたら、医療機器分科委員の、札幌医大のハシ先生でございますが、その先生に問い合わせて、学会としてはどういう対応をそこで決められたか伺う予定にしております。そこで、私どもの研究班が協力出来ることは出来るだけ協力して、過去のものと現在の安全性とについて調べていく予定にはしております。
そこで1つ意見が出ましたのは、84年当時は、年間の脳外科の手術例が大体10万から12万例あるんだそうです。硬膜の使用例が2万例ありますが、逆に84年から87年としましても、30万人の人が非常にショックを受けて恐れないかという意見が脳外科の先生から出てまいりまして、発表の仕方をよほど慎重にして、例えば硬膜移植をされた人は1万の1人の発症率ですから、今回の調査でほぼ患者をつかんでいるとすると、残りの人については極めて可能性が少ないとするか、もうほとんど発症しないでしょうとコメントするか、それはもう少しデータを詰めてから、それから薬事審議会でのお話を伺ってからにしますが、その配慮は是非必要であるという意見が現場の脳外科の先生から非常に強く出ておりました。

○大谷部会長

今日の発表は、この調査では余り結論的なことは言えなかった。二次調査で少し研究しなければいないというような姿勢でやってもらいたいね。余り安心するようなことを言ってしまっては、万一ということもあるから。それと、厚生省の方で継続的なサーベイランス体制は是非確立してもらいたいから、はっきり課長の方からサーベイランス体制は責任もってやりますと。要するに今のところでは大丈夫と思うけれども、要するにサーベイランス体制については厚生省が責任持ってやります、やれというのが部会の強い意見である。絶対やらなければいかぬということは記者発表の時は気をつけてくださいね。
それと、硬膜手術は、ここの説明ではいままで外国で文献的にそういうようなことがはっきりしている。そこのところは言っておいた方がいいよ。隠しているようにとられるから、僕なんか苛性ソーダ等の不活性化の話は、非加熱と加熱の違いみたいなもので初めて知ったんだけれども、だから、そこのところは関連があるといっているのはそういうようなことであって、絶えず注意しなければいけない。ほかに先生方、何かございませんか。
○杉村委員
先ほど旧式というか、前の滅菌の時には、多くの人からとったものを何枚も一緒にしたというお話がございましたね。ちょうど血液をプールしたみたいな感じになりますね。今の改善したものは、何枚も重ねているんですか。

○佐藤先生

現在は1人が1つのケースに入れて全部滅菌処理するんだそうでして、それから必ずそこにドナーの方のナンバーをつけまして、万が一の時にはさかのぼってドナーまで調べられるようにすべてナンバーをうってあるんだそうです。

○杉村委員

そういう化学的な意味でも物理的な意味でも改善されたわけですね。

○佐藤先生

それから、もう1社の方は、カルテにもラベルを張れるようにシールにしまして、そのロットナンバーをはがしてカルテに直接張るようになっております。それは非常にいいことだと伺っております。

○大谷部会長

はい、どうぞ。

○太田委員

角膜移植の話ですけれども、移植でうつるということが言われると大変困るんですけれども、ドナーがはっきり持っていたということはない訳ですね。いかにも角膜移植の一例ということになりますと、すぐ直観的にドナーがそうだったからうつったという印象を持たれてしまうので、その辺の表現を明確にしていただきたいと思うんです。ドナーがそうだったという確率はかなり低い確率だと思うんです。ですから、それを考えていただきたいと思います。

○佐藤先生

動物実験では、スクレーピーになったハムスターの角膜を別なマウスに植えたら、恐らく視神経を通じて、神経が入るところから病変が始まってきたという確かめた実験はございますけれども、角膜ぐらいでも感染の可能性があることは動物では確かめております。

○太田委員

可能性はあると思います。

○大谷部会長

しかし、当然のことなんですけれども、ヤコブだけじゃなし、臓器というものは非常に神秘的に医学に寄与するというふうに思っていたのですけれども、考えてみるとちょっと大変ですね。

○太田委員

ある病気でこのままだったら死んでしまうという場合に、何かの方法でもって助かるということを考えますと、例えば肝臓でいいますと肝不全で亡くなっちゃう。肝臓をいただいて植えるというふうな場合に、ほかのこういったものがうつるという可能性はかなり低い率ですし、移植しなかったら死ぬという確率が極めて高い訳です。死ぬ方が99. 何%ぐらいで、ほかの病気になるという方は万分の1ぐらいになると思います。
いろんな疾患にある程度の危険は伴う訳で、そういう中の1つとして考えざるを得ないのではないかというふうに思います。

○大谷部会長

インフォームドコンセントを十分やっていくと。

○太田委員

ということだと思います。それは今でも十分やっておりますし、現在でも肝炎の問題とか、エイズの問題とか、エイズでも検査で引っかからないラテントの時期がありますから、ある程度の頻度で数千の移植に1例ぐらいは出る可能性があるというふうなことを言われておりますので、そういうことを覚悟の上で選択するということになると思います。

○尾前委員

クロイツフェルト・ヤコブというのは大変な病気ですので、1例でも、そこに当たった人はえらいことですものね。だから、関連があるんじゃないかと考えられるというような、こういうことを言われると、これまた心配ですね。だから、この辺はきちんとして、学会のそういう意見も聞いて、皆さんに不安を与えないように、この辺をつつかれたら、なかなかきついんじゃないかと心配しますので。

○大谷部会長

だから、ここの発表は、データではこの程度であるけれども、先ほど御説明の外国ではそういう例はあるので、文献的には明らかにそれは危険であるというコメントは記者発表されるときに必要だね。どうしてもこれを読むと、僕もこんなに関連があると無理に言わなければといけないのかなというふうなデータなんだよね。だから、それは注目しているから、恐らく今日、記者会見の時は聞かれると思いますから、時期が時期で、エイズ問題で厚生省に対する国民の不信、医師に対する不信というものがある時点において、それに対する反省がない態度というのはよくないから、その点は十分考えて発表してもらいたい。ほかに先生方、どうですか。だんだん遅くなってしまってすみませんでした。

○杉村委員

「何らかの関係があるものと考えられる」というのは、普通は「何らか」のというのをとっても、関係があると解釈してしまいませんか。「何らか」というのは何を意味しているのは分からない。関連があるものというふうに受け取るのではないですか。

○大谷部会長

新聞はそう書きますね。だから、このデータだけでは言えないんですね。
○杉村委員
このデータでは、はっきり何も言えない。だけれども、これは現在できる出来るぎりぎりの最高の調査をいままでやった中間報告である。現在では何とも言えない。しかし、安心しているのではない。文献的にはそういう報告もある。この3項目の方がすっきりするんじゃないですか。

○尾前委員

やはりプロスペックにやらないと本当のことは言いにくいんじゃないかと私は思いますけれども。

○大谷部会長

その文章を考えて発表していただいて、まだ時間があるでしょう。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

9時半に発表する予定です。

○大谷部会長

今、先生が言われたように注目を浴びているから、このデータで危険はないと言ってしまったというふうになるとちょっと困るから、どっちに記者がとるかだけれども。

○杉村委員

どっちにしても困る訳でしょう。だけれども、本質的に一番困ることは、このデータでは何が言えるのかということは、柳川先生の御分析によれば何も言えないということなんでしょう。

○柳川先生

言えないというか、頻度が、分母がはっきりしないんですが、今回、硬膜移植を受けている人がこれだけいた訳で、外国の症例からあわせると、いずれそう言わなければいけないと思うんですけれども、そこのところは難しいんですが。

○杉村委員

100 倍だから、100 倍あるというなまのデータの方がいっそいいんじゃないですか。心配してもらわなければ困る訳でしょう。

○大谷部会長

本人にすれば大変ですよ。恐らく記者さんは余り知らないと思うよ。2万例硬膜の手術を受けているということでまずびっくりする。28例という数字も僕は最初びっくりした。やっぱりそれからうつったのかと思った訳だけれども、よくよく考えてみると1万分の1とか言うから、なるほどそれじゃ余り関係ないのかなと思ったけれども、さっき小林局長の話を聞いて、外国でそういうような不活化というか、それの関係で、製品のスクリーニングやっている訳ですから、そうすると、やはりそれは国民の皆さんに審議会が、また安部さんの時みたいに、こちらは善意で、要らぬことに国民の皆さんに不安を与えてはいかぬと思うから、余り関係ないかなと思ったんだけれども、そういう文献的経路というものについて記者さんは素人ですから、そこのところはきちんと分かりやすく、28例出たことについては、因果関係についてはこれだけでは何とも言えないが、しかし、これは厚生省としては継続的に監視していくと、そういうことですね。○佐藤先生 今、遠藤課長の方から、最初の方は、95年と94年に少し増えている傾向については注目しているということは、客観的なデータからは本当に増えているかどうかとか、その背景に共通のものがあるかどうかは二次調査で調べたいと思っていますが、それと同じ言葉で、1ページの一番最後の硬膜のところですが、硬膜移植手術すると、CJDの発症等について今後注目してさらに継続調査をする、こういう文章でよろしゅうございますか。

○大谷部会長

そういうことですね。そういう説明をしていただいて、遠藤課長の方から、厚生省としては、サーベイランス体制をすぐにもやれということだから予算措置してがんばりますと、これは絶対御不安のないように監視を続けますということを言っていただきたいですね。

○佐藤先生

その調査の内容でございますが、北本班員が東北大学の神経病院の教授で、九州から移った先生なんですが、7例硬膜移植を受けた症例について剖検例がございまして、その剖検の材料を、パラフィン材料をすべて入手を依頼されておりまして、一応私の方から依頼状をつけて各施設にパラフィン材料を北本先生の方に送ってもらうようにします。そこで考えておりますことは、硬膜の中に残っているプリオンの遺伝子と脳の中に増えたプリオンの遺伝子と、脾臓はその人本来のプリオン遺伝子が残っているかもしれないので、その遺伝子比較をした上で、もし違うものが見つかれば、因果関係についてもう少しはっきりとしたことが言えるかもしれないと考えております。今、申し上げました継続調査の中は、疫学調査だけでなくて、ある程度この班として調べられることは協力してやっていこうという姿勢でございます。

○大谷部会長

じゃ、そういうことで一応時間が遅くなりましたので、これで終わりにしまして、事務局から今のことに関連して何かありますか。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

先ほどからも申し上げておりますけれども、明日、中央薬事審議会の方で原発性海面状脳症の部会が開催をされるということでございますので、また薬務局の方とも十分相談をいたします。

○大谷部会長

それもきちんと言っておいて。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

ただいまいただきました御意見等につきましては、その旨記者発表の中で触れたいと思っております。
○大谷部会長
薬事審議会の模様を先生方に文章で報告出来る程度、どういう審議が行われたかということをサマライズでいいからしておいてくれませんか。

○遠藤保健医療局疾病対策課長

分かりました。

○小林保健医療局長

先ほどの厚生科学会議で杉村先生から上手に誘導されましてしゃべりましたんですが、ほかの先生、相当の方は知っていらっしゃるんですか、今日、厚生省関係の会議に出ていらっしゃらない方もいらっしゃいますので、御報告申し上げたいんですが、実は、今日午前中の公衆衛生審議会の伝染病予防部会で、O-157以外にもありますけれども、出血性大腸炎を法定伝染病として厚生大臣が指定するか否かということについて、審議会のいろいろな先生方に御議論いただきまして、最終的には人権に十分配慮して、そして指定をすることは適当であるという御判断をいただきまして、それを大臣に私、持って帰りまして、すぐ大臣と話をして、大臣も分かったと、じゃ指定しようということになりました。
そういうことで、今日、新聞にどう書かれたか、実は今日、朝日新聞の朝刊に進めるということが新聞に出ましたので、朝日新聞は御機嫌いいんですが、朝日新聞以外は抜かれたものだから、大分頭へきているんじゃないかと。私も朝から電話でうらみ節を聞かされておりますので、新聞論調をどう書いているか分かりませんが、どちらにしても厚生省としては、隔離をしないだとか、家庭の消毒にも大執行でやらないとか、いろいろ人権に配慮いたしまして事を進めていきたい。こんな思いで指定をすることにいたしましたので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

○大谷部会長

ポイントは分かったの。O-157の一番の問題は一体何だよ。厚生省の発表を読んだってさっぱり分からない。
○小林保健医療局長
O-157を御存知のない先生には分かりにくい話だったと思いますが、O-157で一番大事なことは食事の前に手洗いをすることだそうでございまして、また先生、ゆっくり話をいたします。

○杉村委員

資料の2の今度の新しいアンケートの最後のところの「家庭内の動物」というのがありますね。家庭というのは物理的な面積とかじゃなくて、姻戚関係みたいなものでしょう。これは家屋内ということですか。

○佐藤先生

家屋内ということです。

○杉村委員

だから、ペットと一緒に寝たりなんかしている人がいますよね。そういうものでしょう。

○佐藤先生

はい。

○杉村委員

もう一つ、「食事・嗜好」で摂取量ですが、何gとか、答えられる人はいつもとても少ない。

○佐藤先生

それは少し具体的にいたします。

○杉村委員

これは頻度の方がいいんじゃないです。週1回とか、週2回とか、週3回とかそういう方がいいと思います。
それから、たしか前にも申し上げたと思います。一寸心配なことがあります。メラトニンという薬をアメリカを旅行した人たちがみんな買ってくるんです。時差がとれるので非常に体調がいいという。あれはアセチルセルトニンにメトキシ基がついた化合物ですから、別に合成可能な簡単な化合物だと思うんです。僕もしょちゅう旅行するものだから時差に悩まされるから、これはいいと思って、2種類あって値段は同じぐらいなんだけれども、ハワイのアラモアナのショッピングセンターで買ってきたんです。いざ飲もうとして見た。1つは1錠に何mgのメラトニンが入っていると書いてある。もう一つの方には、このメラトニンは凍結乾燥したピネラルグランドからの抽出物だと書いてあるんです。あれはFDAのどこかの機関の監督に入っているんでしょうか。凍結乾燥した松果体というのが、何の松果体だか、ウサギやネズミじゃないと思うんです。やはり大動物だろうと思う。そうすると牛である可能性もあるんじゃないかと僕は思うんですよ。メラニトンという本があって、これは不老長寿の薬みたいで、経済界の方々なんかにお話をしたら飲んだという方が多い。外国で買ってくる。首筋に塗るとスースーする、頭の痛い時いい、タイガーバームみたいに買ってくるんですよ。日本の国内では、別に厚生省が許可している訳じゃないんだから関係ないでしょうが、どうすればよいのでしょう。牛の凍結乾燥だとしたら、苛性ソーダ処理も熱処理もない訳だから心配だ。飲む人は3錠ずつ毎日飲むんですよ。不老長寿になるんだから毎日飲むのではないかな。

○大谷部会長

経団連のお偉い方がみな倒れたら、日本の財界はどうなるのか。

○石川委員

先生、それは食品の扱いですか。

○杉村委員

いわゆるアメリカにおけるドラッグストアの棚で自由に買えるものです。アメリカでは何の扱いかは分からないんですよ。でも、睡眠剤タイラノールとか、解熱剤アスピリンとかと一緒に売っているんですよ。

○小林保健医療局長

日本に輸入している訳じゃないです。個人がおみやげで買ってくる訳だから、それは規制の範囲外なんです。これを業として誰かが杉村先生が年にアメリカに10回行かれる。その10回の度にたくさん買ってきてがんセンターだか、どこかで売っていれば問題は起きるかもしれないけれども、そういうのは業になるんですが、反復継続でなければ業にはならない。業として持ってくると、これは……。

○杉村委員

後から知っていたなら、そのぐらいのことをここで言うべきであったと言われるといけないから、今日、議事録に残るようにちゃんと言っておきます。

○大谷部会長

先生は飲んでいるんですか。

○杉村委員

飲まない。見て、1錠飲もうと思って手のひらにのっけてやめたんです。

○太田委員

それは不老長寿みたいなことを暗示して表示しているんですか。

○杉村委員

そんなことはしていない。睡眠剤ですね。

○大谷部会長

製品については薬務局に聞いておく必要があるね。今言われているように凍結乾燥では消毒力がないということですか。

○杉村委員

菌を生かして保存するのにいい方法なんです。

○小林保健医療局長

薬務局に言わせると、本人が向こうで買ってくるのは知りませんと。

○大谷部会長

それはそうだけれども、日本でも作っているかもしれないから、ないかな。

○鈴木委員

ある会社が今、開発しようとしているんですね。

○小林保健医療局長

これから開発しようという人は出てくると思います。

○尾前委員

アメリカはスーパーマーケットで脳みそ売っていますよ。僕は食べさせられたことがある。分からなかったら脳みそだというんです。行ったらちゃんと売っているんです。

○小林保健医療局長

脳みそは中国料理とフランス料理に出てくるんですね。

○尾前委員

アメリカのスーパーに売っていましたよ。

○鈴木委員

よく眠れると言っている。

○杉村委員

よく見た方がいい。

○尾前委員

時差にはものすごくいい。僕も聞いたことがありますよ。

○鈴木委員

夜寝るのにはよくきく。

○大谷部会長

太田先生、生体移植、腎臓を含めていろんな移植がありますね。今、言うような移植に伴う予期せざる、そういうものについてのサーベイランスみたいなものは行われている訳でしょうか。例えば輸血の場合ですと、手術後肝炎が出るかどうか昔やっていましたね。そういう式のものはやっているんでしょうか。

○太田委員

個々の施設の発表はありますけれども、いわゆる全国調査とか、そういうのはみないですね。

○大谷部会長

中心になって、厚生省から研究費をあれされて、こういう危険があるんだから少しそういうのをやっていただいたらどうなんでしょうね。

○太田委員

今、厚生省から私の関係しているところで研究費をいただいているので、それを使ってやってもよろしいと思いますね。

○杉村委員

メラトニンは、スイスとフランスでは薬局に聞いたら売っていなかったね。それぞれ5軒ぐらい聞いたんですけれどもね。

○石川委員

高価なものですか。

○杉村委員

安いんです。15ドルぐらいです。50錠ぐらい入っているのかな。

○尾前委員

それは随分安いですね。

○太田委員

牛の可能性ありますね。

○鈴木委員

添加物も怖いですね。

○杉村委員

とにかく、片っ方のびんのラベルには凍結地乾燥した松果体と書いてあるんです。

○太田委員

値段の高い方が書いてあるんですか。

○杉村委員

どっちがどっちだか今憶えていません。むしろ僕は自然食品とか、あの流れをくんでいて、自然のものからとったという方が売れるんじゃないかなと思いました。

○太田委員

いま何でもそうですよ。合成は悪い、自然はいいというのがありますから。

○大谷部会長

O-157というのは生物を食べるというのが一番いけないんでしょうね。

○鈴木委員

今日、一番議論になったのは牛だというんです。

○杉村委員

牛の腸にいるんです。牛が排便して、そばにリンゴの果樹園があって、りんごがコロコロと転がっていって汚染した。そのリンゴからアップルサイダーを作ったんです。そのアップルサイダーを飲んだらO−157のoutbreakになったんです。

○鈴木委員

小林局長、実際に輸入牛肉でO-157で調べているということはあるんですか。

○小林保健医療局長

アメリカの牛肉はO-157の菌がついている可能性は3%ぐらいあるんじゃないですか。

○杉村委員

本日のCDCのデータでは、肉は200 献体のうち0と言ってました。○小林保健医療局長 プリオンですか、O-157ですか。アメリカの肉では2、3%あると思いますよ。肉の塊があるでしょう。スパッと切った中の方は全然で、ついているのは表面だけですから。ハンバーガーが危ないので、ステーキは大丈夫なんです。だから、どうぞ皆さん方ステーキを食べていただいた方が日本の貿易問題としては大変ありがたいんですが。

○尾前委員

あれは学校給食とか、養老院とか、ああいうところで出ているのは、やはり大量に作るから洗い方が足りないのではないですか。普通のところはそんなに出ていないでしょう。

○小林保健医療局長

O-157は牛から出てくることまでは分かっているけれども、それがなぜ人間の口に入るかという経路が残念ながら分からぬのですよ。原因の牛は分かっていくんです。牛からどこかへ出てくる訳です。それがなぜサラダの中に入っているのかというところが分からない。この前言っていたのはオカカサラダですが、なぜオカカサラダについていたのかというのが分からぬですよ。

○尾前委員

大腸菌は水道水でしっかり洗ったら大丈夫です。

○小林保健医療局長

だけれども、先生、このビルで飲む水は多分水道水ではもうないですよ。というのは、今の水道水というのは、建物でいくと3階までしか上がりませんから、3階建て以上の建物に入る時は必ず水道水を一遍受けて、それをモーターポンプで上へ上げてやっていますから、そこには必ず空間があるんです。理論的にはここで飲む水は、逆に言うと塩素も切れているかもしれない。誰かが間違って、それこそ下痢をしている人が中の水を手で触ったといえば、O-157は入るんです。今度の大阪の事例だって、食材料を洗った時の水がもともと置き水を使ったとすれば、全体の食事に広がるんですね。人間が手で塗ったぐらいでは、とてもあんなに量の患者さんは出ない。
水道水と言われた時に、水道局に言わせれば、うちの管理の責任は、このビルの入口まで入れているのが水道水であって、そこから先はビルのオーナーさんの責任ですよと、こうなる訳です。

○鈴木委員

洗っても、完全になくさなければ置いておく間にまた増えちゃう可能性があるんですね。夏に多い理由がそこにある。

○小林保健医療局長

もともとばい菌が100 だと言っていますから、1つでも、2つでも入ってしまえば、それが増えていって、時間が経てば100 個ぐらいにはなるんです。

○杉村委員

冬でもある。

○尾前委員

だけれども、冬は増えないから。

○杉村委員

ドイツは事実冬でもあった。

○太田委員

埼玉の水道水で起きたのはいつごろでしたか。

○小林保健医療局長

あれは今日も話があったけれども、浄化槽のところにひびが入って割れていて、それが井戸水につながっているんです。平成2年です。

○大谷部会長

移植学会でも少し医者同士の間で注意するというものもやっていただいたらどうなんでしょうね。

○太田委員

硬膜については、脳神経外科学会とか、私たちは移植といっても生きている臓器を植えていますので、処理をしたものは植えていない。ですから、例えばそういう硬膜をどうする、こうするというと、むしろ脳神経科外科、ないしはそういうようなものに加工されたもの、むしろ人工臓器的になりますので、人工臓器学会とか、そっちの方でもって……。
○小林保健医療局長
人間の組織を使ったもの、異常プリオンが問題なんだけれども、それが正常の人間でもあるかないかという調べが実際はないんです。というのは逆に言うと異常プリオンを見つける検査方法なんてまだないんですよ。異常プリオンだとは言われてはいるけれども、それを簡単に見つけ出す方法は今のところはまだないんですね。そこが大変な問題なんですね。

○大谷部会長

いずれにしても、具体的な話は分からないにしても、やはり遠藤課長のところが所管だから、そういう関係の学会の方とも連絡を取って、役所としてやるべきことと、学会としても、何かこれを機会にそういうことをやっていただければ、それを支援するというようなことで両立でいった方がいいと思うよ。これは予期せざることも起こるということを考えて、ただ、一般を威かしすぎてはいけないから、要らざることになるから、移植がだめになっては困るから。

○小林保健医療局長

硬膜移植は、硬膜移植手術ではなくて普通の頭の手術で使うんですね。

○太田委員

プラスチックと同じ感覚でやっている訳ですから、心臓の弁なんかでも人工弁とか、ブタの弁を使ったりしますし、そういうふうな固定した生体材料を使うというのは移植学会では余り対象としていないんです。担当する領域が違っているということです。

○小林保健医療局長

角膜移植もそうだけれども、そうじゃなくて、文献によると心臓の手術とか、大きなものは、特に頭に近ければ近いほど、あるというレポートもあるんです。それもあるということは事実なんです。

○太田委員

ですから、それぞれの分担している学会で、そういったものに対応していると思うんです。

○小林保健医療局長

要は人間の手に異常プリオンがついていたら、手術すれば必ずつく訳です。結論を言うと、消毒で落ちませんから、手を焼けばいいんですが、手を焼いたら手術が出来ないから。

○杉村委員

RNaseみたいですね。洗っても洗ってもどうしたって皮膚から出て来る。

○小林保健医療局長

基本は消毒では落ちませんから、これも分からない話で、それでみるとO-157の方ははるかにかわいいです。

○大谷部会長

訳が分からない時代になってきましたね。

○杉村委員

ますます厚生省が大切な時代になってきた。

○小林保健医療局長

ありがとうございます。

○大谷部会長

けなされてばかりいないで、たまには厚生省もほめられたらいいよ。何が起こるか分からないこういう激しい経済の時代だから、そのしわ寄せが医療にきていると思うね。是非がんばっていただきたいと思います。
遅くなってすみませんでした。どうもありがとうございました。

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