|
植木課長
本日はご多忙のところご出席をいただきましてありがとうございます。只今から第3回医療用医薬品再評価の在り方検討会を開催いたします。
私は事務局を務めます安全課長の植木でございます。本日は梅田委員、本間委員、吉田委員がご都合によりご欠席でございます。鎌田委員は少し遅れられるということでございます。その他2、3名遅れておられる方がございます。
前川座長よろしくお願いいたします。
今日は黒川先生がご出席の予定ということで、お見えになりますとこの検討会に初めてのご出席なものですからご紹介申し上げようと思いましたが、まだご到着にならないようです。お見えになりましたら黒川先生今後ともよろしくお願いしたいと思います。
引き続きまして、事務局から本日の資料の確認をお願いしたいと存じます。
黒川先生お見えになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、第1回及び第2回の検討会での委員各位のご意見をとりまとめたのが「本検討会の具体的意見」でございます。その他、前回の議事録ですが、お手元に揃っておりますでしょうか。ないようでございましたら事務局までお申し出いただきたいと思います。
さて、具体的意見でございますが、これまで2回にわたって、幅広く大変貴重なご意見を頂戴いたしました上、一つのご発言の中に複数の意見が含まれているものもございまして、分類が必ずしも容易ではございません。しかし私なりに思い切って区分してみますと、まず、再評価体制全般についてが、第1回検討会の、これは以後(1)と申し上げますが、3、4、5、7、12、そして(2)の5、7、12あたりかと存じます。次に再評価指定基準に関するのが、(1)の1、6、10、(2)の7、8。安全性情報の取り扱いが(1)の11、(2)の9、11、15。PSUR関係が(2)の1、2、3。再評価の方法論が(1)の8、9、13、(2)の4、10、12、13、14。そして、その他が(1)の2あたりでございましょうか。
市販後にも再審査に続いて再評価が必要であることについては、ほぼ意見の一致をみたと思いますが、現行の再評価体制にはいろいろな問題点があるとのご指摘もいただいております。
再評価に定期と臨時があることは観念的、体系的には大変理解しやすく、しかも両者が必要であるとのご意見もいただきましたが、現実にはいずれの場合も再評価指定基準は共通しており、あえて区別する必要があるのかといった意味のご発言もございます。また、現行の定期再評価制度では網羅性、公平性、恒常性は担保し切れないといったご指摘もございました。その他、多々ございますが、これまでの検討会にあまりこだわっておりますと、本日の議事に差し障りが出ますので、これらについては次回にまわしまして、このへんで打ち切らせていただきたいと存じます。 さて、本日の議事でございますが、冒頭、前回の宿題事項について事務局からご説明をいただき、その後、引き続いて、資料1、2についてご解説をお願いしたいと思います。それでは事務局からよろしくお願いします。
「再評価の指定理由の内訳と考察」でございます。定期的な文献スクリーニングによる再評価指定の場合、それから臨時の再評価指定の場合で、有効性が理由になって指定されたもの、安全性が理由となって指定されたものをそれぞれあげてございます。定期的なほうは69%が有効性、安全性がもとになったのが31%、臨時の場合は、63%、37%ということで、有効性のほうが安全性よりも2倍程度多いという結果になっております。その考察では、指定の理由の割合に差が見られないのは、両者とも問題文献、有効性、安全性に問題があるものを指定しているわけですが、そこへのアプローチの仕方が異なるだけで、文献検索はいずれもやっております。そういう意味で、定期と臨時の差が出ていないということです。
引き続きまして、資料1、2のご説明をいたします。
資料1は、「医薬品規制並びに医薬品流通の国際的動向と我が国の再評価」で、25枚のシートで成っております。1番〜3番が医薬品流通の国際的動向、4番〜12番までが各国の医薬品の見直しの制度についての説明、13番〜19番までがEUの新薬事制度についての説明、20番〜25番が我が国でも導入いたしましたPSURの制度についての説明でございます。
1.は医薬品流通の国際化。
医薬品の輸出額が1845億円、輸入額が4716億円ということです。我が国の医薬品の市場規模は世界の市場規模の19%を占めるといわれております。現在医薬品の輸出入額はご覧のように大幅は入超でございます。しかしながら、技術導出入に関しても、新規契約で見ますと、近年従来の赤字基調からようやく拮抗してきているような状況にあり、将来的には日本の技術立国を支える省資源、知識集約型産業として黒字に転換することが期待されております。
資料2−1は、医薬品の輸出入金額と薬効分類ということで、輸出はアメリカが495億円でトップで、ドイツ、フランスが続いております。輸入はドイツが1023億円でトップで、アメリカ、イギリスが続いております。
2.は我が国において承認取得された国内導入医薬品成分数です。
日米欧の医薬品規制ハーモナイゼーション(ICH)の進展によって新薬の承認申請資料の相互活用が促進され、新薬の相互の市場への参入が容易になりつつあり、国際的規模での競争時代に入りつつあります。92〜96年までの5年間の集計では、アメリカが一番多くて33成分です。ちなみにこれは効能効果の新効能の追加も含めて新薬という形で計上してございます。アメリカの次にドイツが19成分、イギリスが7成分といったところです。
資料2−1は、海外から導入した新薬について成分名を掲げております。これは必ずしも新有効成分だけではなく、新効能も含めてございます。111成分、3ページにわたって掲げております。
3.は米英仏独において承認取得された日本開発医薬品成分数です。
我が国においては1970年代から新薬の研究開発が本格的に開始されました。1980年代に入って世界市場において売上げの上位を占める医薬品も開発されるようになって参りました。アメリカへの導出が14成分、イギリスへ15成分、ドイツへ12成分といったところです。これは多少ダブッておりますので、有効成分の数では26成分であります。
資料2の3−1は、海外へ導出した新薬、26成分の一覧です。
4.は米国における医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。
5.は米国における医薬品の随時の見直し(疑義が生じた医薬品について)です。
FDAによる見直しと企業による自主的な見直しがあり、FDAによる見直しは、製薬企業、消費者からの報告などが契機になって行われるものもあります。問題文献を企業に提示し、企業と検討して試験実施などの対応策を検討し、定期報告の中で試験等の進捗状況等も報告させることになっております。試験結果の提出期限は個々に決定をするということです。
日本、ヨーロッパに比べますと、アメリカではレスポンスブル・ケアの精神が生かされたような自主的な見直しが行われているようでございます。
6.は英国における医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。
医薬品再評価委員会(CRM: Committee on Review of Medicine )によって、1975年に開始され1990年に完了しております。1968年以前に市場にあった39000品目が対象となっており、規制区分、臨床分野別に見直しが行われました。この39000品目の中の多く(2万品目余)は、再評価の開始前に製造業者により自主的に市場から撤退をしております。
7.は英国における再評価の随時の見直しで、必要に応じ、臨時に実施する。再評価のために新たに試験を実施することはほとんどないということです。試験の報告書は出来次第当局に提出する。
また、定期的な見直しについては、5年毎の定期的な承認の更新が行われております。8.はフランスにおける医薬品の制度的な見直し(古い医薬品について)です。
1976年12月以前の医薬品を薬効群ごとに見直しをしており、1984年の12月に告示をしているということで、これは我が国の再評価の指定告示に当たると思います。また、品質、毒性、臨床データ、副作用報告書等々の資料の提出を求めております。
1990年末までに再登録を終了する予定でしたが、作業が遅れているということです。
9.はフランスにおける医薬品の随時の見直しは、承認条件で試験の実施を求めることが希にあり、試験の最終結果をPSURに記載をして報告させております。
また、定期的な見直しとしては、フランス公衆衛生法典規則第5137条に基づいて、5年毎に承認の更新制をとっております。
10.はドイツにおける医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。
1978年以前承認の医薬品について、製造業者は一定項目(おもに医薬品の化学的な性質等)について記載した報告書を1990年までに提出するということで、ドイツ政府により任命された評価委員会が臨床分野ごとに報告書を審査し、結果を公表。今世紀中に完了することを目標としているということです。
11.はドイツにおける医薬品の随時の見直しは、危険性がみつかった場合、危険性のレベルによって当局、専門家団体、製薬団体、関連企業が会合をもって進めていくということで、企業が当局に承認にかかる措置を提案して、必要に応じ企業が主体的に調査・試験を実施し、試験の最終結果をPSURに記載して報告する。
また、定期的な見直しとしては、1978年以降に承認された医薬品は許可2年後及び5年後、それ以降は5年毎の更新時に見直しをするということです。
以上、欧米各国の制度を申し上げましたが、12.は我が国とEU各国及び米国の市販後安全対策の比較です。
「重篤未知の副作用」は、15日報告で、日本、EU各国、米国同じです。
「重篤既知の副作用」は、日本は30日報告ですが、EU各国は15日報告、米国 は定期報告の中に重篤既知の副作用を入れて報告させております。
「新医薬品の定期的報告」は、日本は安全性定期報告の中でやっておりますが、E U各国はPSURで行っており、米国は定期報告で行っております。
先ほど縷々ご説明いたしましたことをまとめますと、古い医薬品の制度的な見直しについては、日本では42年以前の第一次再評価、42年から54年までの第二次再評価がこれに当たるのではないかと考えます。EU各国における再評価、制度的な見直しは独、英、仏、それぞれにございました。米国のDESI−I/IIの制度的な大がかりな見直しが古い医薬品の制度的な見直しに当たるのではないかと思います。
疑義が生じた医薬品の随時の見直しについては、日本は、随時(現行再評価制度)としておりますが、前回、定期的な文献スクリーニングに基づく再評価、あるいは臨時の再評価というご説明をいたしましたが、これはあくまで行政的な手続きの違いでそのように区分したもので、制度的に定期的、あるいは臨時というようなものがあるわけではございませんで、もう少し大きな目で見ると、これは随時の再評価であるといえると思います。EU各国は随時の見直しをやっております。米国においても随時の見直しを行っております。
定期的な全面的な見直しという形で見ますと、日本は、定期的には実施していない。EU各国は更新制をとって5年毎に見直しをしている。米国は実施せず、と書いてありますが、上のほうに定期報告というのがありますが、米国は更新制はとっていませんが、定期報告の中でいろいろと情報収集をし、評価をしているというように考えられます。
13.はEUの新薬事制度についてです。
欧州医薬品審査庁、EMEA(The European Agency for the Evaluation ofMedicinal Products)はロンドン東部の新開発地区ドップランドに位置するそうです。1995年1月1日からEU15ヶ国(EC12ヶ国、オーストリア、フィンランド、スウェーデン)による新制度がスタートしております。
それに伴ってEMEAは1995年の1月26日から業務を開始して、2月1日より申請資料を受け付けております。1995年度のEMEAの予算は2千万ドルで、EUの一般予算と申請手数料で半分ずつ賄われており、5年後の2000年には申請手数料だけで賄われる予定ということです。
管理委員会(マネージメントボード)のメンバーは、各国の厚生大臣等の代表者や医師の委員会、及び欧州議会の代表者で構成されており、運用上の決定を行っております。
EMEAの事務局は4つのユニットから構成されており、ヒト用の医薬品の評価は医薬品審議会、CPMP(Committee on Proprietary Medicinal Products)で行われるということです。
14.EUの新薬事制度と医薬品の見直し
1995年に欧州医薬品審査庁(EMEA)が設立され、中央審査方式がスタートしました。中央審査方式による手続きを経た品目については5年毎のEUの更新制に移行し、1998年には国別審査方式は廃止をするということです。
1995年以前の品目の取り扱いについては、各国においてそれぞれ再評価が実施され、更新制の適用が行われるということです。
15〜19はEUの承認更新制についてであります。
15.は(製造業者等の義務)「製造業者等は、品質、安全性及び有効性に関する技術的、科学的に新たな全ての要因を考慮して、製品の市販期間中を通して市販商品の更新が必要である」ということで、メーカーの更新の義務を明確に規定しています。
16.は(対象医薬品等)で、中央審査の手続きを経て承認された全ての医療用医薬品が対象とされ、1998年1月1日より完全実施とし、当該許可はEU15ヶ国において5年間有効である。ということです。
17.は(更新時の提出資料)で、更新申請書、過去5年間の一部変更承認申請の経時的なリスト、加盟各国の承認取得日、PSUR(定期的安全性最新報告)、当局が要請した試験の進捗報告、最新の製品概要書、となっています。
18.は(更新時提出が求められる市販後の調査・試験の成績)で、規制当局が企業に提出を要請して、企業がEUの規制上の要求に従って資料を作成し、更新時に提出をする。資料の信頼性の確保は、医療機関に対して製薬企業が行うモリタリングが中心(日米では、医薬品規制当局による医療機関の直接査察が主体になっています。)
19.は(5年毎の更新の手続き)で、(1)更新の3ヶ月以上前にメーカーからEMEAに対して更新申請の書類を提出。(2)EMEAから追加情報の要求がある場合はメーカーに要求をします。(3)回答を受けて、(4)申請書受理後60日以内に決定案を作成。(5)決定後30日以内に反対があった場合はCPMPに諮って審議をし、反対のなかった場合は更新をする。ということです。
20〜23はPSUR(定期的安全性最新報告)について、です。
20.は、定期的な報告のための書式(CIOMSII)の合意ということです。
資料2の6ページ、20−1は「CIOMS−IIとPSURについて」で、
CIOMSとは、医学に関する国際機関連絡協議会(Council for InternationalOrganizations of Medical Sciences)の略。WHOとユネスコをスポンサーとして創設された協議会で、医学分野の国際組織を会員として、医学関係の国際会議開催の支援、医学要項の標準化といった仕事をしております。
CIOMS−Iは個別症例報告様式の標準化、CIOMS−IIは安全性に関する定期報告様式、システムの標準化といった作業を行っております。
CIOMS−IIとICHのPSURの関係は、CIOMS−IIが基になって、現在のPSURが出来上がったという関係です。
PSURの採用については、我が国においては、今年、平成9年4月の改正薬事法施行規則の施行によって、年次報告制度を廃止し、PSURを取り入れた安全性定期報告制度を新たに導入しております。PSURについては、経過措置を設けて10月1日より適用となっております。
アメリカは最近CIOMS−IIの様式の採用を開始し、PSURの様式には10月から切り換えるということです。
各国が緊急報告を求めている重篤で既知の副作用の報告を定期的報告により行うことを求めておりますために、アメリカはこの定期的報告を年1回という各国より高い頻度で求めています。
EUについては、多くの国でCIOMS−IIの様式を採用しております。EUとしては本年6月にPSURを採用する予定ですが、EUがPSURを採用したあと、各国は国内制度で改めてICHのPSURを採用することになっております。
20.に戻って、PSURのガイドラインは昨年11月に日米EUが参加をし、ステップ4で合意しております。
PSURの適用の開始は、日本においては今年の3月に施行規則を公布してPSURを採用し、日本は4月1日から施行しております。アメリカ、EUについては、1997年中の開始を予定しております。
21.はPSURの内容についてです。この中に有効性情報も含まれています。
各国における市販承認状況として、・安全性の理由で規制当局/企業がとった措置 ・安全性参照情報の変更。これは禁忌、警告、副作用、相互作用、等々が変わった場合に、その変更個所を明示して提出する。・使用患者数 ・個別症例情報 ・調査研究
その他の情報として、・安全性総合評価 ・結論 ・企業中核データシート 等がPSURの中に含まれています。
22.はPSURの中の有効性情報です。
世界各国における市販承認状況 この中には、規制当局が不承認の場合の理由、有効性に関する企業の申請取り下げ情報が入って参ります。
その他の情報の中には、重篤又は生命を脅かす疾患を治療するための製品における医療上の有効性欠如の報告も入って参ります。
23.はPSURと我が国の安全性定期報告について
PSURでは、海外の安全性情報が大半です。国内安全性情報は非常にマイナーでほんの少し入って参ります。
我が国の安全性定期報告という観点から資料の中身を見ますと、海外安全性情報と国内安全性情報に、さらに国内安全性情報(使用成績調査等の国内情報等)の部分が新たに加わって安全性定期報告になるわけです。
資料2の7ページ、23−1は「安全性定期報告」で、これは前にもお出ししたかもしれませんが、従来は上のように、関連在日企業の当該医薬品の日本国内情報を年次報告で厚生省に報告をする。そして、関連の在外企業は当該医薬品のその国の情報を各国規制当局に定期報告していましたが、
新制度では、医薬品の開発会社が世界各地で当該医薬品を販売する関連会社からその国における当該医薬品の安全性情報を収集して、これを分析評価してPSURを作成するわけです。作成したPSURを各国の関連会社に提供する。そして、日本ですと、PSURを受け取って翻訳して厚生省に安全性定期報告として報告するというシステムになっています。
24.各国の現行の定期的報告の頻度について
日本は、再審査期間中の最初の2年間は半年毎に報告を受け、3年目以降再審査期間中は年1回の定期的な報告を受けるというシステムで、法制度上は再審査期間中だけですが、再審査期間が切れたあとも、行政指導でPSURを海外で提出している場合には厚生省にも提出するようにという通知を出しております。
EUの場合は、最初の2年間は、日本と同じ、半年毎に出させて、5年までは年1回、5年以降は5年に1回ずつ定期的に求めるというシステムです。
アメリカは、3年間は3ヶ月毎に、4年目からは年1回、永久に年1回の定期的報告を求めるというシステムです。
25.安全性定期報告が終了した新医薬品の取り扱い。
安全性定期報告が終了した新医薬品というのは、再審査期間が切れた医薬品ということですが、そのあと、どのように定期的な報告を求めていくかということです。安全性定期報告制度の導入以降、本制度に基づき報告を行った医薬品、新薬が対象になり、欧米の規制当局にPSURが提出される場合には、当該PSURを翻訳して厚生省への提出を、再審査期間が切れたあとも行政指導で求めるということです。調査単位期間は5年(5年毎の定期的報告)ということです。
以上でございます。
ご発言の時には皆様の席の前にありますマイクの右端のボタンを押してマイクのスイッチを入れていただきたいと存じます。そして、発言を終りましたら、もう一度押しますと切れますので、よろしくお願いを申し上げます。
いかがでございましょうか。この宿題についてご発言ございますか。
ないようでございますので、そのあとの資料1、2の説明に対するご質問をお受けしたいと存じます。
おそらくいろんな質問があると思うんですが、質問が終ったあとで討論をこの資料を中心にしてやりたいと思いますので、そこでお受けしてもよろしゅうございますが、とりあえずの質問を。
資料ですが、これは主に製薬企業がいろいろ集めた資料、それでさらに不足であれば市販後の臨床試験を追加してやらせる、というのがヨーロッパのやり方だと思います。
まず国際化についてですが、日本は若干入超ですが、最近のデータを見ますと、外国へ出ていく医薬品もかなりあって、国際化が進んでいるなという印象を、私としては受けましたが、これにつきましてご討論をお願いしたいと思います。
皆様、同じような実感を抱いておられるかなという感じではありますが。
それでは、その次の問題に移らせていただきます。
欧米の制度的見直しについて大変詳しくご説明をいただきましたが、それについてご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。日本の制度的見直しについては、第一次と第二次の再評価が該当するのではないかと思いますが、昭和54年というと、1979年ですね。第一次はそのだいぶ前にさかのぼって昭和50年前後のことですから、日本もかなりよくやっているなという気はしますが。どなたかご意見ございますでしょうか。
ただ、それだけではなくて、もうペイしないからやらないというものが少し混ざっておりました。これは困るので、そのへんのところを今後どういうふうにするかという作業は、どうしてもしていただかないといけないという気がします。私自身も、英国や米国における再評価での審査でノーが出た、あるいは審査にかからなかった品目の多さの相違には何が隠れているんだろうということは気になりますが、日本の実情から言って、いま座長がおっしゃいましたように、かなりの膨大な量が自主的に降りられたことは確かだったと思いますし、それと同じような事情があったのではないかという気がします。ただどうしても気になるのは、先ほど言いましたように、本当は降りてほしくないものまでが降りるというものが出てくると困るということです。
次に市販後安全対策の比較、これはシート12ですが、これについてのご意見を承りたいと存じます。いかがでしょうか。
これは、寺尾先生からご指摘がありましたように、せっかくハーモナイゼイションが進行しているのに、ずいぶん違うという面がないわけではないですが。
一方、臨床のほうはハーモナイズしているかというと、臨床評価法に関しては全くといっていいぐらいハーモナイズしておりません。彼らは日本の臨床データはほとんど利用しませんし、逆に日本のほうは向こうのデータは金科玉条に利用するという、おかしなところがありまして、私自身はどこかで、再審査、再評価ということとは別個に、臨床評価のあり方をハーモナイズすることを考えていかないと、こういう比較は難しくなってくるだろうと思います。
いま12番のことで座長からご指摘のありました問題点を言えば、日本における再審査が本当に1回でいいのか、ということだけは、どうしても考えなければいけないところではないか、という気はしております。
次は、非常に詳しくご説明をいただきましたのがEUの更新制についてでした。これを取り上げて討論をしてみたいと思います。ご意見はいかがでしょうか。
それで、ひとつ伺たいんですが、このEMEAの組織は、ライセンス料等で賄われているというお話ですが、そのライセンス料は1件についてどれくらいの金額が払われるんでしょうか。教えていただきたいと思います。
やはり市販されてペイするかしないかということのほうが大きい要素だと思います。そのへんのところは、これから先も、別に心配しなくてもいいのではないかと思います。ただ問題は、この前も森岡委員からのお話がありましたが、本来は企業が自主的にチェックしてやることが一番いい姿勢だと思うんですが、果たしてそれができるかどうかというところに、大きな問題があるという気はしています。
それから先ほど事務当局からお話があったように、薬にも毒にもならない薬はどうするかという話ですが、そういうのを使うか使わないかというのは、誰が使うかというと、医者が処方するわけですから、そうすると何故そんなものを処方するのかというのは、もちろん医療経済のストラクチャーの問題であって、アメリカ、イギリスでは医薬分業がかなり進んでますから、薬にも毒にもならないのであれば医者はたぶんやらないわけです。それでも飲みたい患者は自分が払って買うわけだから、それは結構なことではないか、ということになっちゃうわけですよね。
ところがアメリカのほうではいまHMOになってきて、マネージドケアになってくると、効く薬は使う、効かない薬は使わない。同じような効く薬なら安くて出ていれば、企業の利益というか、HMO側としてもいいものを使うということになるわけですから、医療経済の仕組みと薬価のつけ方と、それから医者がなぜある薬を、例えば、尿路感染症で大腸菌に対してペニシリンを使わないで、なんで最初から第三世代のセフェム系を使うのか、そんな変なことをしますけど、それは明らかに他のインセンティブで動いているわけですから、そういう違った背景があるところに、同じようにやれと言っても、なかなか難しいのではないかと思うんですね。
そうすると、再評価の指定理由の内訳と考察というのは、文献からいっても、いろんなことからいっても、有効性に疑義がありというのが70%、それから安全性に疑義がありというのが30%だということになると、有効性に疑義がありということをわざわざ言うからには、有効性に疑義があるくせに売り上げがかなり伸びてるぞということでピックアップされているのか。安全性に疑義がありということであれば、ぜひ何とかしろというのは、もちろん行政からいってもメーカーからいっても医者側からいっても当然のことですけれども、有効性に疑義ありということになると、医療経済にあまりインパクトを与えてないものであれば、こんなことでピックアップされないのではないかという気もするんですが、どうなんでしょうか。
私は、具体的な問題は言わないでおこうと思って、抽象的に申し上げたいわけですが、例えばアスピリンで結構ですが、ペイしないほど値下げされてきているというところに問題があるわけです。ですから、少なくとも必要だという薬については、基準薬といってよいかどうかわかりませんが、そういう医薬品については、ある程度以下には下げないということを考えていかないと、ここから先のこういう問題は、なかなか進まないと思います。進んでも矛盾が出てくるという気がします。
ただ、これはここで論議すべきことかどうかは私もわかりませんし、少なくとも薬務局としては、なかなかタッチしにくいところだろうと思います。しかし、どこかで最後にはそのことも頭に入れて論議しないと解決はついていかないという気はしています。ただ、今日そこまで論議するのがいいかどうか、座長の先生のお考えになることですから、私はそれ以上申し上げません。ただ、我々はそういう気持ちを持ってないと論議はできない、ということです。
それではその次に、PSURが最後の話題になっておりましたが、これに関してご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
かなり詳しく説明をいただいて、日本もこれに準じて、この程の薬事法改正で、定期的安全性最新報告という格好で本年の10月から実施されるということになったようです。ただ問題は、PSURのステップ4の文章を見ますと、どれだけの期間やる、ということは書いていないようですが、PSURそのものでないとして、米国は医薬品を発売している限り毎年1回報告するというシステムですし、EU諸国では、最初の5年まではかなり頻度が高く、それから後も5年ごとに報告をするようになっております。ところが我が国は6年まではEUに匹敵する頻度での報告を要求されるわけですが、それから後はこういった定期的な報告はないようです。 ただ最初にお示ししましたように、海外の製品をかなり輸入しています。それにつきましては、最初にその成分を開発した会社からPSURが、その国には出るわけですから、それを我々は利用することは可能です。
そういうことを踏まえますと、PSURの報告をもう少し延長して求める必要があるのではないかという感じがします。その件については、すでに市販後調査検討会等でも指摘されていますが、いかがでしょうか。
もうひとつは、日本の再評価制度というのは、ある意味で企業にしてみれば、いつ指定されるかわからないという不安があるのかもしれません。ですから、指定されてから結論が出るまでに時間がかかる。ところが、EUのような制度ですと、必ず5年後に一定のチェックがあることがわかっているので常にそれに備える。この違いがあると思います。ですから、どっちの制度にもいろいろ利点があると思いますが、違いとしてはそういう違いなのかなと思います。
PSURを出すとすれば、せっかく出すなら、免許の更新につながっていったらどうかな、という考えもないわけではありませんが、そこまで本日踏み込むつもりはありませんが、PSURを6年でやめてしまっていいのか、あるいは6年を超えて出すなら、今度は頻度は毎年なのか。あるいは日本で決めた定期的安全性最新報告というのは、ご提示いただきました図によりますと、ICHでPSURとして一応の合意を得たものよりは、さらに詳しいデータが入ってくるわけです。こういったものが出てくれば、今後の対応を考える上では、国内的には非常に有意義だと思いますが、そういうことを要求するか。問題点は多々あると思いますので、どうかご意見を賜りたいと思います。
資料の25では、今年の4月以降は、定期の報告としては、安全性の定期報告が終った新薬品については5年ごとの定期報告というのが、一応決まっているように思うんですね。そういう理解でよろしいわけですか。
ます。例えば、再審査期間までは薬事法上に書いてあります。それから後は行政指導でやる。行政指導でも、ないよりはずっといいんだということがあります。それからもうひとつは、新薬だけに限るということになりますと、今後どんどん新薬が増えていけば、新薬で申請を取ったものについては、こういうふうになっていきますが、ジェネリックの場合はどうなるんですか。再審査はないわけですね。
ですね。ですからそれはそれでよろしいんですが、ジェネリックの場合、今のままの制度でいいかどうかという点、これは問題があるんじゃないですかね。
第1点は、本日お配りした第1回および第2回の具体的なご意見に加えて、本日いろいろとご提言をいただいたことも含め、先生方の今までの議論を取りまとめて、それを論点ごとに整理していただきたいということです。
第2点としては、本日の議論の中で、EUの更新制および米国の定期報告制が出てきましたが、特に網羅性、恒常性、公平性を確保しながら医薬品の見直しを行っていく場合に、現行の再評価とEUの更新制および米国の定期報告制についてのメリット、デメリット等についての整理したものを、資料としてご提出いただきたいということです。
論点の整理、あるいは制度のメリット、デメリットを整理して、論議をしたほうが、頭も整理されて都合がよろしいと思いますので、この点について、冒頭に私が申し上げました私なりの意見は無視していただいて結構ですので、取りまとめを事務局にお願いしたいと思います。
次の第4回の開催日ですが、私の都合を申し上げて大変恐縮ですが、6月2日月曜日の午後3時から午後5時ではいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それからこの検討会は、最初に申し上げましたように、都合5回で終了したいと考えておりまして、5回目は、少し早めですが、6月23日の月曜日を考えておりますが、いかがでしょうか。
次回は、かなり討論が活発になると思いますので、先ほどお願いしました2つの点につきましては、会議開催前に委員のところにお送りできれば非常に有難い。そうなれば、ご欠席の鎌田委員のご意見を求めることにも十分対応できるような気がしますので、そのような努力をしてみたいと思っています。事務局から何かありますか。それでは最後に丸山局長からご挨拶いただきます。よろしゅうございますか。 それでは長時間にわたりましてありがとうございました。また次回、6月2日にお目にかかります。どうぞよろしく。
(了)
問い合わせ先 | 厚生省薬務局安全課 | |
担 当 | 田中(内2751) | |
電 話 | (代)[現在ご利用いただけません] |