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第3回医療用医薬品再評価の在り方検討会議事録

日時:平成9年5月8日(木)
15:00〜16:58
場所:中央合同庁舎5号館
共用第6会議室(2階)

植木課長

 定刻が参りましたので始めさせていただきたいと思います。

 本日はご多忙のところご出席をいただきましてありがとうございます。只今から第3回医療用医薬品再評価の在り方検討会を開催いたします。

 私は事務局を務めます安全課長の植木でございます。本日は梅田委員、本間委員、吉田委員がご都合によりご欠席でございます。鎌田委員は少し遅れられるということでございます。その他2、3名遅れておられる方がございます。

 前川座長よろしくお願いいたします。

前川座長

 ご多用中ご出席くださいまして大変ありがとうございました。いま課長ご発言のとおり、定刻になりましたので、若干の方がお見えになっておりませんが、第3回の再評価在り方検討会を始めたいと存じます。

 今日は黒川先生がご出席の予定ということで、お見えになりますとこの検討会に初めてのご出席なものですからご紹介申し上げようと思いましたが、まだご到着にならないようです。お見えになりましたら黒川先生今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、事務局から本日の資料の確認をお願いしたいと存じます。

植木課長

 資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、「医薬品規制並びに医薬品流通の国際的動向と我が国の再評価」資料1及び資料2でございます。資料1はOHPと同じ内容でございます。資料2は資料1の参考資料でございます。それから、本検討会の具体的意見として第1回、第2回の委員の先生方の具体的なご意見をとりまとめてございます。そして、第2回の本検討会の議事録でございます。以上でございます。
前川座長

 どうもありがとうございました。本日の議事はご案内のとおり「医薬品規制並びに医薬品流通の国際的動向と我が国の再評価」についてでございます。それに関する資料が1、2でございます。

 黒川先生お見えになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、第1回及び第2回の検討会での委員各位のご意見をとりまとめたのが「本検討会の具体的意見」でございます。その他、前回の議事録ですが、お手元に揃っておりますでしょうか。ないようでございましたら事務局までお申し出いただきたいと思います。

 さて、具体的意見でございますが、これまで2回にわたって、幅広く大変貴重なご意見を頂戴いたしました上、一つのご発言の中に複数の意見が含まれているものもございまして、分類が必ずしも容易ではございません。しかし私なりに思い切って区分してみますと、まず、再評価体制全般についてが、第1回検討会の、これは以後(1)と申し上げますが、3、4、5、7、12、そして(2)の5、7、12あたりかと存じます。次に再評価指定基準に関するのが、(1)の1、6、10、(2)の7、8。安全性情報の取り扱いが(1)の11、(2)の9、11、15。PSUR関係が(2)の1、2、3。再評価の方法論が(1)の8、9、13、(2)の4、10、12、13、14。そして、その他が(1)の2あたりでございましょうか。

 市販後にも再審査に続いて再評価が必要であることについては、ほぼ意見の一致をみたと思いますが、現行の再評価体制にはいろいろな問題点があるとのご指摘もいただいております。

 再評価に定期と臨時があることは観念的、体系的には大変理解しやすく、しかも両者が必要であるとのご意見もいただきましたが、現実にはいずれの場合も再評価指定基準は共通しており、あえて区別する必要があるのかといった意味のご発言もございます。また、現行の定期再評価制度では網羅性、公平性、恒常性は担保し切れないといったご指摘もございました。その他、多々ございますが、これまでの検討会にあまりこだわっておりますと、本日の議事に差し障りが出ますので、これらについては次回にまわしまして、このへんで打ち切らせていただきたいと存じます。 さて、本日の議事でございますが、冒頭、前回の宿題事項について事務局からご説明をいただき、その後、引き続いて、資料1、2についてご解説をお願いしたいと思います。それでは事務局からよろしくお願いします。

植木課長

 それでは始めに、前回の宿題事項についてご説明をいたします。

「再評価の指定理由の内訳と考察」でございます。定期的な文献スクリーニングによる再評価指定の場合、それから臨時の再評価指定の場合で、有効性が理由になって指定されたもの、安全性が理由となって指定されたものをそれぞれあげてございます。定期的なほうは69%が有効性、安全性がもとになったのが31%、臨時の場合は、63%、37%ということで、有効性のほうが安全性よりも2倍程度多いという結果になっております。その考察では、指定の理由の割合に差が見られないのは、両者とも問題文献、有効性、安全性に問題があるものを指定しているわけですが、そこへのアプローチの仕方が異なるだけで、文献検索はいずれもやっております。そういう意味で、定期と臨時の差が出ていないということです。

 引き続きまして、資料1、2のご説明をいたします。

 資料1は、「医薬品規制並びに医薬品流通の国際的動向と我が国の再評価」で、25枚のシートで成っております。1番〜3番が医薬品流通の国際的動向、4番〜12番までが各国の医薬品の見直しの制度についての説明、13番〜19番までがEUの新薬事制度についての説明、20番〜25番が我が国でも導入いたしましたPSURの制度についての説明でございます。

1.は医薬品流通の国際化。

 医薬品の輸出額が1845億円、輸入額が4716億円ということです。我が国の医薬品の市場規模は世界の市場規模の19%を占めるといわれております。現在医薬品の輸出入額はご覧のように大幅は入超でございます。しかしながら、技術導出入に関しても、新規契約で見ますと、近年従来の赤字基調からようやく拮抗してきているような状況にあり、将来的には日本の技術立国を支える省資源、知識集約型産業として黒字に転換することが期待されております。

 資料2−1は、医薬品の輸出入金額と薬効分類ということで、輸出はアメリカが495億円でトップで、ドイツ、フランスが続いております。輸入はドイツが1023億円でトップで、アメリカ、イギリスが続いております。

2.は我が国において承認取得された国内導入医薬品成分数です。

 日米欧の医薬品規制ハーモナイゼーション(ICH)の進展によって新薬の承認申請資料の相互活用が促進され、新薬の相互の市場への参入が容易になりつつあり、国際的規模での競争時代に入りつつあります。92〜96年までの5年間の集計では、アメリカが一番多くて33成分です。ちなみにこれは効能効果の新効能の追加も含めて新薬という形で計上してございます。アメリカの次にドイツが19成分、イギリスが7成分といったところです。

 資料2−1は、海外から導入した新薬について成分名を掲げております。これは必ずしも新有効成分だけではなく、新効能も含めてございます。111成分、3ページにわたって掲げております。

3.は米英仏独において承認取得された日本開発医薬品成分数です。

 我が国においては1970年代から新薬の研究開発が本格的に開始されました。1980年代に入って世界市場において売上げの上位を占める医薬品も開発されるようになって参りました。アメリカへの導出が14成分、イギリスへ15成分、ドイツへ12成分といったところです。これは多少ダブッておりますので、有効成分の数では26成分であります。

 資料2の3−1は、海外へ導出した新薬、26成分の一覧です。

4.は米国における医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。

5.は米国における医薬品の随時の見直し(疑義が生じた医薬品について)です。

 FDAによる見直しと企業による自主的な見直しがあり、FDAによる見直しは、製薬企業、消費者からの報告などが契機になって行われるものもあります。問題文献を企業に提示し、企業と検討して試験実施などの対応策を検討し、定期報告の中で試験等の進捗状況等も報告させることになっております。試験結果の提出期限は個々に決定をするということです。

 日本、ヨーロッパに比べますと、アメリカではレスポンスブル・ケアの精神が生かされたような自主的な見直しが行われているようでございます。

6.は英国における医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。

 医薬品再評価委員会(CRM: Committee on Review of Medicine )によって、1975年に開始され1990年に完了しております。1968年以前に市場にあった39000品目が対象となっており、規制区分、臨床分野別に見直しが行われました。この39000品目の中の多く(2万品目余)は、再評価の開始前に製造業者により自主的に市場から撤退をしております。

7.は英国における再評価の随時の見直しで、必要に応じ、臨時に実施する。再評価のために新たに試験を実施することはほとんどないということです。試験の報告書は出来次第当局に提出する。

 また、定期的な見直しについては、5年毎の定期的な承認の更新が行われております。8.はフランスにおける医薬品の制度的な見直し(古い医薬品について)です。

 1976年12月以前の医薬品を薬効群ごとに見直しをしており、1984年の12月に告示をしているということで、これは我が国の再評価の指定告示に当たると思います。また、品質、毒性、臨床データ、副作用報告書等々の資料の提出を求めております。

 1990年末までに再登録を終了する予定でしたが、作業が遅れているということです。

9.はフランスにおける医薬品の随時の見直しは、承認条件で試験の実施を求めることが希にあり、試験の最終結果をPSURに記載をして報告させております。

 また、定期的な見直しとしては、フランス公衆衛生法典規則第5137条に基づいて、5年毎に承認の更新制をとっております。

10.はドイツにおける医薬品の制度的見直し(古い医薬品について)です。

 1978年以前承認の医薬品について、製造業者は一定項目(おもに医薬品の化学的な性質等)について記載した報告書を1990年までに提出するということで、ドイツ政府により任命された評価委員会が臨床分野ごとに報告書を審査し、結果を公表。今世紀中に完了することを目標としているということです。

11.はドイツにおける医薬品の随時の見直しは、危険性がみつかった場合、危険性のレベルによって当局、専門家団体、製薬団体、関連企業が会合をもって進めていくということで、企業が当局に承認にかかる措置を提案して、必要に応じ企業が主体的に調査・試験を実施し、試験の最終結果をPSURに記載して報告する。

 また、定期的な見直しとしては、1978年以降に承認された医薬品は許可2年後及び5年後、それ以降は5年毎の更新時に見直しをするということです。

 以上、欧米各国の制度を申し上げましたが、12.は我が国とEU各国及び米国の市販後安全対策の比較です。

「重篤未知の副作用」は、15日報告で、日本、EU各国、米国同じです。

「重篤既知の副作用」は、日本は30日報告ですが、EU各国は15日報告、米国 は定期報告の中に重篤既知の副作用を入れて報告させております。

「新医薬品の定期的報告」は、日本は安全性定期報告の中でやっておりますが、E U各国はPSURで行っており、米国は定期報告で行っております。

 先ほど縷々ご説明いたしましたことをまとめますと、古い医薬品の制度的な見直しについては、日本では42年以前の第一次再評価、42年から54年までの第二次再評価がこれに当たるのではないかと考えます。EU各国における再評価、制度的な見直しは独、英、仏、それぞれにございました。米国のDESI−I/IIの制度的な大がかりな見直しが古い医薬品の制度的な見直しに当たるのではないかと思います。

 疑義が生じた医薬品の随時の見直しについては、日本は、随時(現行再評価制度)としておりますが、前回、定期的な文献スクリーニングに基づく再評価、あるいは臨時の再評価というご説明をいたしましたが、これはあくまで行政的な手続きの違いでそのように区分したもので、制度的に定期的、あるいは臨時というようなものがあるわけではございませんで、もう少し大きな目で見ると、これは随時の再評価であるといえると思います。EU各国は随時の見直しをやっております。米国においても随時の見直しを行っております。

 定期的な全面的な見直しという形で見ますと、日本は、定期的には実施していない。EU各国は更新制をとって5年毎に見直しをしている。米国は実施せず、と書いてありますが、上のほうに定期報告というのがありますが、米国は更新制はとっていませんが、定期報告の中でいろいろと情報収集をし、評価をしているというように考えられます。

13.はEUの新薬事制度についてです。

 欧州医薬品審査庁、EMEA(The European Agency for the Evaluation ofMedicinal Products)はロンドン東部の新開発地区ドップランドに位置するそうです。1995年1月1日からEU15ヶ国(EC12ヶ国、オーストリア、フィンランド、スウェーデン)による新制度がスタートしております。

 それに伴ってEMEAは1995年の1月26日から業務を開始して、2月1日より申請資料を受け付けております。1995年度のEMEAの予算は2千万ドルで、EUの一般予算と申請手数料で半分ずつ賄われており、5年後の2000年には申請手数料だけで賄われる予定ということです。

 管理委員会(マネージメントボード)のメンバーは、各国の厚生大臣等の代表者や医師の委員会、及び欧州議会の代表者で構成されており、運用上の決定を行っております。

 EMEAの事務局は4つのユニットから構成されており、ヒト用の医薬品の評価は医薬品審議会、CPMP(Committee on Proprietary Medicinal Products)で行われるということです。

14.EUの新薬事制度と医薬品の見直し

 1995年に欧州医薬品審査庁(EMEA)が設立され、中央審査方式がスタートしました。中央審査方式による手続きを経た品目については5年毎のEUの更新制に移行し、1998年には国別審査方式は廃止をするということです。

 1995年以前の品目の取り扱いについては、各国においてそれぞれ再評価が実施され、更新制の適用が行われるということです。

15〜19はEUの承認更新制についてであります。

15.は(製造業者等の義務)「製造業者等は、品質、安全性及び有効性に関する技術的、科学的に新たな全ての要因を考慮して、製品の市販期間中を通して市販商品の更新が必要である」ということで、メーカーの更新の義務を明確に規定しています。

16.は(対象医薬品等)で、中央審査の手続きを経て承認された全ての医療用医薬品が対象とされ、1998年1月1日より完全実施とし、当該許可はEU15ヶ国において5年間有効である。ということです。

17.は(更新時の提出資料)で、更新申請書、過去5年間の一部変更承認申請の経時的なリスト、加盟各国の承認取得日、PSUR(定期的安全性最新報告)、当局が要請した試験の進捗報告、最新の製品概要書、となっています。

18.は(更新時提出が求められる市販後の調査・試験の成績)で、規制当局が企業に提出を要請して、企業がEUの規制上の要求に従って資料を作成し、更新時に提出をする。資料の信頼性の確保は、医療機関に対して製薬企業が行うモリタリングが中心(日米では、医薬品規制当局による医療機関の直接査察が主体になっています。)

19.は(5年毎の更新の手続き)で、(1)更新の3ヶ月以上前にメーカーからEMEAに対して更新申請の書類を提出。(2)EMEAから追加情報の要求がある場合はメーカーに要求をします。(3)回答を受けて、(4)申請書受理後60日以内に決定案を作成。(5)決定後30日以内に反対があった場合はCPMPに諮って審議をし、反対のなかった場合は更新をする。ということです。

20〜23はPSUR(定期的安全性最新報告)について、です。

20.は、定期的な報告のための書式(CIOMSII)の合意ということです。

 資料2の6ページ、20−1は「CIOMS−IIとPSURについて」で、

CIOMSとは、医学に関する国際機関連絡協議会(Council for InternationalOrganizations of Medical Sciences)の略。WHOとユネスコをスポンサーとして創設された協議会で、医学分野の国際組織を会員として、医学関係の国際会議開催の支援、医学要項の標準化といった仕事をしております。

 CIOMS−Iは個別症例報告様式の標準化、CIOMS−IIは安全性に関する定期報告様式、システムの標準化といった作業を行っております。

 CIOMS−IIとICHのPSURの関係は、CIOMS−IIが基になって、現在のPSURが出来上がったという関係です。

 PSURの採用については、我が国においては、今年、平成9年4月の改正薬事法施行規則の施行によって、年次報告制度を廃止し、PSURを取り入れた安全性定期報告制度を新たに導入しております。PSURについては、経過措置を設けて10月1日より適用となっております。

 アメリカは最近CIOMS−IIの様式の採用を開始し、PSURの様式には10月から切り換えるということです。

 各国が緊急報告を求めている重篤で既知の副作用の報告を定期的報告により行うことを求めておりますために、アメリカはこの定期的報告を年1回という各国より高い頻度で求めています。

 EUについては、多くの国でCIOMS−IIの様式を採用しております。EUとしては本年6月にPSURを採用する予定ですが、EUがPSURを採用したあと、各国は国内制度で改めてICHのPSURを採用することになっております。

20.に戻って、PSURのガイドラインは昨年11月に日米EUが参加をし、ステップ4で合意しております。

 PSURの適用の開始は、日本においては今年の3月に施行規則を公布してPSURを採用し、日本は4月1日から施行しております。アメリカ、EUについては、1997年中の開始を予定しております。

21.はPSURの内容についてです。この中に有効性情報も含まれています。

 各国における市販承認状況として、・安全性の理由で規制当局/企業がとった措置 ・安全性参照情報の変更。これは禁忌、警告、副作用、相互作用、等々が変わった場合に、その変更個所を明示して提出する。・使用患者数 ・個別症例情報 ・調査研究

 その他の情報として、・安全性総合評価 ・結論 ・企業中核データシート 等がPSURの中に含まれています。

22.はPSURの中の有効性情報です。

 世界各国における市販承認状況 この中には、規制当局が不承認の場合の理由、有効性に関する企業の申請取り下げ情報が入って参ります。

 その他の情報の中には、重篤又は生命を脅かす疾患を治療するための製品における医療上の有効性欠如の報告も入って参ります。

23.はPSURと我が国の安全性定期報告について

 PSURでは、海外の安全性情報が大半です。国内安全性情報は非常にマイナーでほんの少し入って参ります。

 我が国の安全性定期報告という観点から資料の中身を見ますと、海外安全性情報と国内安全性情報に、さらに国内安全性情報(使用成績調査等の国内情報等)の部分が新たに加わって安全性定期報告になるわけです。

 資料2の7ページ、23−1は「安全性定期報告」で、これは前にもお出ししたかもしれませんが、従来は上のように、関連在日企業の当該医薬品の日本国内情報を年次報告で厚生省に報告をする。そして、関連の在外企業は当該医薬品のその国の情報を各国規制当局に定期報告していましたが、

 新制度では、医薬品の開発会社が世界各地で当該医薬品を販売する関連会社からその国における当該医薬品の安全性情報を収集して、これを分析評価してPSURを作成するわけです。作成したPSURを各国の関連会社に提供する。そして、日本ですと、PSURを受け取って翻訳して厚生省に安全性定期報告として報告するというシステムになっています。

24.各国の現行の定期的報告の頻度について

 日本は、再審査期間中の最初の2年間は半年毎に報告を受け、3年目以降再審査期間中は年1回の定期的な報告を受けるというシステムで、法制度上は再審査期間中だけですが、再審査期間が切れたあとも、行政指導でPSURを海外で提出している場合には厚生省にも提出するようにという通知を出しております。

 EUの場合は、最初の2年間は、日本と同じ、半年毎に出させて、5年までは年1回、5年以降は5年に1回ずつ定期的に求めるというシステムです。

 アメリカは、3年間は3ヶ月毎に、4年目からは年1回、永久に年1回の定期的報告を求めるというシステムです。

25.安全性定期報告が終了した新医薬品の取り扱い。

 安全性定期報告が終了した新医薬品というのは、再審査期間が切れた医薬品ということですが、そのあと、どのように定期的な報告を求めていくかということです。安全性定期報告制度の導入以降、本制度に基づき報告を行った医薬品、新薬が対象になり、欧米の規制当局にPSURが提出される場合には、当該PSURを翻訳して厚生省への提出を、再審査期間が切れたあとも行政指導で求めるということです。調査単位期間は5年(5年毎の定期的報告)ということです。

 以上でございます。

前川座長

 どうもありがとうございました。まず最初に宿題のご説明をいただいたわけですが、これについて、この宿題を提出された方は乳井委員でございましたか。これでよろしいかどうか。

 ご発言の時には皆様の席の前にありますマイクの右端のボタンを押してマイクのスイッチを入れていただきたいと存じます。そして、発言を終りましたら、もう一度押しますと切れますので、よろしくお願いを申し上げます。

 いかがでございましょうか。この宿題についてご発言ございますか。

 ないようでございますので、そのあとの資料1、2の説明に対するご質問をお受けしたいと存じます。

 おそらくいろんな質問があると思うんですが、質問が終ったあとで討論をこの資料を中心にしてやりたいと思いますので、そこでお受けしてもよろしゅうございますが、とりあえずの質問を。

木村委員

 6ページの、英国における医薬品の制度的見直し、というところの最後のほうに「再評価開始前に製造業者が自主的に市場から撤退した」とありますが、この理由は、例えば、ライセンス料が高くて売り上げがあまり見込まれないようなものは製造業者が、じゃあやめよう、というふうなことで撤退したのかどうか、その理由を教えていただきたいと思います。
植木課長

 理由はわからないのですが、先ほどご説明いたしましたように、39000品目中の22500品目が自主的に市場から回収をしたという情報でございます。
前川座長

 よろしゅうございますか。ほかに。
寺尾委員

 PSURに関してですが、日本とEUとアメリカに関してはいろいろ情報が集まると思うんですが、資料2の1−1を見ますと、アジアの国にも結構医薬品を輸出しているんですね。そうしますと、こういう国が開発した医薬品が入ってきたときに、こういう国もPSURと同じような制度を持っているのか、あるいは日本は輸入した業者がこれをつくるのか、そこらへんはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
植木課長

 中国とか台湾、香港等については、同じような制度はございません。ただ、こういった諸外国の輸入業者ができる限りPSURのようなものを作成して規制当局に提出をする。制度的にはないわけですが、そういうシステムをとる国もあるだろうということです。
森岡委員

 韓国と台湾は、このような制度ではございませんが、政府から要求されるということはございます。他の国はまだそういうふうなことにはなってないのではないかと思います。
乳井委員

 資料1の8のフランスにおける制度的見直しですが、再登録の終了予定が1990年末で、作業が遅れている、ということですが、これはだいぶ遅れているわけですが、どういう事情、人的な理由とか、そういうものなんでしょうか。
植木課長

 これは、フランスの厚生省で組織改編があったということと、制度そのものがかなり人手とか予算もかかるということでなかなか進まないという情報は得ております。
山中委員

 23番目のPSURと我が国の安全性定期報告についての図のご説明のときに、日本のほうは国内安全性情報がPSURより多いというふうにご説明いただいたんですが、これはPSURでEU各国のそれぞれの国の国内安全性情報だとすると、それは日本に来たときには、海外安全性情報の海外の分にならないんですか。そういう取り扱いではないと。そうすると、この上は日本独特の報告ということで特に強調するほどのものではなくて、当然のことじゃないかと思うんだけど、どうでしょう。
植木課長

 当然のことなんですが、PSURは世界で一つでございまして、したがいまして、左のPSURはそのまま来るわけです。その上に日本の国内情報がオンされる……。
山中委員

 そうすると、日本に来た場合の国内安全性情報の国内というのは、どこの国内なんですか。
植木課長

 国内は日本の国内でございます。
山中委員

 そうすると、PSURの国内安全性情報というのはどこ?
植木課長

 それも日本の国内の情報でございます。
山中委員

 そこは日本の国内という意味ですか。
植木課長

 日本の国内情報の一部がPSURのほうに入っていくのです。
山中委員

 よその国にも送りますよね。国内というのはそういう意味ですか。わかりました。
前川座長

 年次報告がこっちに移ってるもんですから、年次報告分が多いと、そういうことですね。ただ、問題は日本の場合は、再審査期間ということになっていますが、EUあたりは5年間、最初の2年間は年に2回、その後の3年間は年に1回ずつ。その後は5年毎ではありますが、PSURを出すというきまり。それから、アメリカはPSURではなくて、定期報告ですから永遠に、薬を売っている限り年に1回は出すということで、そのへんで6年間は非常に詳しいんだけど、あとはどうなるかという問題がないわけではないということはご認識いただいたほうがいいのではないかという感じがいたします。
森岡委員

 日本は再審査と再評価がございます。EUあるいは米国では再審査、再評価という日本と同じようなシステムでしょうか。あるいは、ここでいう再評価だけでしょうか。そのへんはいかがでございましょうか。
前川座長

 いかがですか。12ですが、全面的な見直しは、実施せず、と書いてありますが、再審査というのは全面的な見直しであるので、この項はそういう意味では訂正が必要ではないかというようなご指摘であるかと私は受け止めた次第でございます。しかし、それが終りますと、今度は内々の話では定期的再評価というのはあるんですが、それは表に出ておりませんので、再審査が終りますと、全面的な見直しということは制度的にはないというふうに私は理解しております。それではだめですか、課長は。
植木課長

 再審査は一体どういうことになるのかということですが、12の「我が国とEU及び米国との市販後安全対策の比較」でいっております「定期的な全面的な見直し」というのは、定期的、継続的、恒常的に見直しをしていくというシステムでございまして、日本の再審査は6年後に1回再審査をやればそれで終りです。その後は再評価ということになるわけですが、そういう意味で日本の再審査制度は独特のものでございます。
山口委員

 医薬品再評価委員会の構成について伺いたいんですが、日本の薬事審議会と比較して、各国の再評価委員会というのは専門に再評価をする委員で構成されているのでしょうか。
植木課長

 各国はどのような組織、定員で再評価をやっているかはまだ調べがついておりませんが、ちなみに先ほどEMEAの組織の中でCPMP(医薬品審議会)というのがありますが、そのサブコミッティが下にありまして、そこではヒト用の医薬品については1200人の専門家のリストがあって、その中から適宜専門家が集まってやるというようなシステムになっています。それはEUの新薬事制度です。各国についてはまだ調べがついておりません。
前川座長

 アメリカはいかがですか。アメリカはFDAが非常に多数のスタッフを擁していますが、主として再評価に従事するのはそのスタッフでしょうか。よくわからない。

山崎委員

 EUの更新制、18ページで、日米では査察が規制当局によって直接行われるわけですが、EUの場合は企業が行うモニタリングが中心になる、というように書かれていて、これは大変大きな違いのように思うんですが、この企業によるモニタリングというのはもう少し具体的に何かわかりますでしょうか。
植木課長

 具体的にいいまして、通常、製薬企業が医療機関に行ってカルテ等とケースカードとの照合をするということがモニタリングの中身であろうというように考えております。
前川座長

 そうしますと、米国ではCRAというのが企業におられまして、そのCRAが治験先にまわってきまして、生データチェックのようなことをするとか、いろんな仕組みがあるということを承っておりますので、米国もモニタリングをやっている、というふうに理解したほうがよろしいのではないでしょうか。余計なことですが。いまの山崎委員に対する課長のご返答を若干補足するような発言をしますと、そんなことかなという気がしますが。他にいかがでしょうか。
森岡委員

 日本は再評価の場合には、成分毎ですけれども、この資料から拝見しますと、どうも外国ではブランド毎のような感じを受けるのですが、そのへんはいかがでしょうか。
植木課長

 外国も、基本的にはPSURというのは成分毎です。剤型とか投与経路とかが違うものがありましたら、なるべく共通事項はまとめて記載し、一つのPSURの中にきちんと分けて記載をする。ただ、最終的な評価は、日本もそうですが、外国も銘柄毎だというように考えております。
前川座長

 よろしいですか。それは更新制も品目毎ですか、成分毎ですか。
植木課長

 品目毎、銘柄毎です。

伊賀委員

 2点あるんですが、1点は、外国の場合も見直しの場合はやはり有効性と安全性が等分なんでしょうか、それともやはり有効性のほうを主としてポイントと置いているのか、あるいは安全性か、どちらがこの各国においてはポイントになっているのかということ。もう1点は、見直しのための資料、これは公表されている文献等を中心とされているのか、あるいは企業が自主的に集められた臨床使用実績なのか、こういった点について、一部ドイツのように報告書に要求するというようになっていますが、そういう中身についてもう少し具体的にご説明いただけますか。
植木課長

 アメリカの場合は、有効性と安全性でどちらかといいますと、見直しは有効性というものに力点を置いてやられているようです。

 資料ですが、これは主に製薬企業がいろいろ集めた資料、それでさらに不足であれば市販後の臨床試験を追加してやらせる、というのがヨーロッパのやり方だと思います。

前川座長

 他にいかがでしょうか。差し上げました資料についての質疑は以上で打ち切らせていただきまして、あと若干の時間がありますので、本日の主題をいくつかに分けて討論をしてみたいと存じます。非常に膨大な資料がいつものように出てきましたが、まず最初に国際化の問題、その次に欧米の制度的見直し、3番目が市販後安全対策の比較、EUの更新制、最後にPSURかな、という感じがします。

 まず国際化についてですが、日本は若干入超ですが、最近のデータを見ますと、外国へ出ていく医薬品もかなりあって、国際化が進んでいるなという印象を、私としては受けましたが、これにつきましてご討論をお願いしたいと思います。

 皆様、同じような実感を抱いておられるかなという感じではありますが。

 それでは、その次の問題に移らせていただきます。

 欧米の制度的見直しについて大変詳しくご説明をいただきましたが、それについてご意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。日本の制度的見直しについては、第一次と第二次の再評価が該当するのではないかと思いますが、昭和54年というと、1979年ですね。第一次はそのだいぶ前にさかのぼって昭和50年前後のことですから、日本もかなりよくやっているなという気はしますが。どなたかご意見ございますでしょうか。

山崎委員

 先ほどもご質問がありましたが、イギリスで、再評価の開始前に製造業者が自主的に市場から撤退したということで、かなりの品目が撤退されているわけですが、この理由はわからないということでしたけれども、実際に理想的には、やはり企業のほうから撤退するという形があり得ると思うんですね。これだけじゃなくて、そのひとつとして。したがいまして、この理由がもう少し明確にならないかな、という気がするんですけれども。
植木課長

 調査させていただきたいと思います。
前川座長

 現実の問題として、日本の制度的見直しがあった段階でも、自主的な撤退があったというご説明は、最初の回の時に出ていたと思います。数はそんなに多くはないようですが。ただ、第1次の再評価が始まりました時に、承認を受けた医薬品が10万余あって、そして対象になったのが3万弱であった。ということは、7万点ぐらいは自主的に撤退をされていた。そして実際に発売されていた3万点のうちでさらに自主的に撤退したというか、再評価資料を提出しなかった医薬品があった、ということでして、当時私もこの再評価にかかわりましたが、十分な資料がないというのが主な理由であったような記憶がありますが、いかがでしょうか。
紺野委員

 いまの点は、先ほど木村委員からもご意見がありましたが、大変重要なところだと思います。私自身も再評価にはじめから関係しておりますが、その多くは有効性を裏付ける適切な資料がない、ということが多かったと思います。

 ただ、それだけではなくて、もうペイしないからやらないというものが少し混ざっておりました。これは困るので、そのへんのところを今後どういうふうにするかという作業は、どうしてもしていただかないといけないという気がします。私自身も、英国や米国における再評価での審査でノーが出た、あるいは審査にかからなかった品目の多さの相違には何が隠れているんだろうということは気になりますが、日本の実情から言って、いま座長がおっしゃいましたように、かなりの膨大な量が自主的に降りられたことは確かだったと思いますし、それと同じような事情があったのではないかという気がします。ただどうしても気になるのは、先ほど言いましたように、本当は降りてほしくないものまでが降りるというものが出てくると困るということです。

前川座長

 それは、自然淘汰に任せるわけにはいかないのだ、という記載が、当時ありまして、それはいま紺野先生がおっしゃったことにも通ずる可能性があります。

山崎委員

 全くその通りで、この理由が問題なんだと思うんですね。明確な理由のもとに撤退するということが理想的なのであって、やたらに、ペイできないからというような理由で有用な医薬品がなくなっていくというのは危惧すべき問題だということです。ですから理由をもう少しはっきりさせたいわけです。
前川座長

 そうですね。オーファンドラッグなど簡単に撤退されると非常に困ることがないわけではないと考えております。
寺尾委員

 日本とEUとアメリカで、制度が違うということはよくわかったんですが、これは違うと、医薬品の流通に何か不都合が生ずるというようなことがあるんですか。それとも、これはこれで、違っても別に問題はないということなんでしょうか。つまりハーモナイズしないとまずいということであれば、何か考えなければいけないんだろうけれども、そういうことがないということであれば、日本は独自で考えればいいということになると思うんですけれども。
前川座長

 それは制度的見直しに関してですか。
寺尾委員

 これから考えていく上で、全般的に。
植木課長

 この検討会は、再評価のあり方についてどうか、という検討会ですが、2回目の時にいろいろご説明をした中で、恒常的、網羅的、そして公平に見直しをする、というようなところで、日本のいまの再評価システムは、少し問題があるのではないかと。ですからシステムが違うから何が問題かと言われますと困るんですけれども、そういうことで、そういった点が不十分であるという認識と、もうひとつはやはり、毒にも薬にもならないような薬がいつまでも残っている。それでいいのか、というような観点から、いまの再評価制度のあり方をもう一度考えていただきたいというのが、この検討会の趣旨です。
上田委員

 EUの5年ごとの定期的な更新について、お伺いしたんですが……。
前川座長

 その問題は後で。変な分け方をしてご迷惑かとも存じますが。それでは、欧米の制度的見直しという項は、このあたりで終わらせていただきまして、またあと問題が出てきましたら討議に取り上げるつもりです。

 次に市販後安全対策の比較、これはシート12ですが、これについてのご意見を承りたいと存じます。いかがでしょうか。

 これは、寺尾先生からご指摘がありましたように、せっかくハーモナイゼイションが進行しているのに、ずいぶん違うという面がないわけではないですが。

寺尾委員

 私が申し上げたのは、日本の医薬品の流通というか、日本の企業が外国に輸出する時、こういうシステムが違っていて何か不利になるようなことがあるかどうかということを伺いたかったんですけれども。
紺野委員

 いまの寺尾先生のご意見についてですが、国際的な関連の議題のところで話したほうがよろしかったのかもしれませんが、私の印象を申し上げますと基礎的な検討に関しては、ほとんどスムーズに行っているような印象を、新薬の審査をしている中では受けております。ただ、いつも新薬の審査の中で一番引っかかるところは、規格のところで、そのへんは日本のほうがはるかに厳しくて、基礎的な検討で論議されることの多くはそこに集中しております、ことに輸入品の場合には、アメリカの本社からは何で日本はややこしいことを言うんだ。やらなくたっていいのではないかという感じのところが多いのも事実です。

 一方、臨床のほうはハーモナイズしているかというと、臨床評価法に関しては全くといっていいぐらいハーモナイズしておりません。彼らは日本の臨床データはほとんど利用しませんし、逆に日本のほうは向こうのデータは金科玉条に利用するという、おかしなところがありまして、私自身はどこかで、再審査、再評価ということとは別個に、臨床評価のあり方をハーモナイズすることを考えていかないと、こういう比較は難しくなってくるだろうと思います。

 いま12番のことで座長からご指摘のありました問題点を言えば、日本における再審査が本当に1回でいいのか、ということだけは、どうしても考えなければいけないところではないか、という気はしております。

前川座長

 他にいかがですか。ないようでしたら先に進ませていただきます。

 次は、非常に詳しくご説明をいただきましたのがEUの更新制についてでした。これを取り上げて討論をしてみたいと思います。ご意見はいかがでしょうか。

上田委員

 ちょっとご質問をしたいんですが、これは比較的新しい制度だと思うんですが、いつから始まったかということを教えていただきたい。それから更新が認められない医薬品の割合というのがわかっていたら、教えていただきたいと思います。
植木課長

 先ほどもご説明しましたが、このEUの新薬事制度は1995年からスタートしております。それからこの更新制でどれくらいのものがアウトになったかということですが、それはいまわかりません。調査させていただきたいと思います。
前川座長

 1995年からスタートすると、最初の更新が2000年ですから、まだそこまで行ってないということですね。ただ原型のようなものはあったんですか、たとえばドイツ、フランス、イギリスあたりで。
植木課長

 それまでにもその原型のようなことがありますので、バイオ製品についてどの程度が承認が却下されているかということを調べてみたいと思います。
上田委員

 もうひとつ関連して伺いたいんですが、こういう制度は、メンバーステートは数多いんですが、どこが一番熱心であるかとか、そういう原型があったかというのがもしわかればあとで教えていただきたいと思います。
前川座長

 EU12カ国と、その他3つの国が関与しているということでしたが。
植木課長

 先ほどご説明いたしました、イギリスとドイツとフランス、こういったところが非常に熱心に活動しています。

木村委員

 先ほどの意見の補足をさせていただきます。山崎委員がおっしゃったように、私も企業が自ら再評価を引っこめるという方法が一番効率的ではないのかなというふうに考えています。そういう意味ではEUにありますようなライセンス制というのはひとつの方法ではないかと思います。それで、紺野先生がおっしゃったように、ライセンス料とか市場の動向とかを見込んで、重要であるのに更新を引っこめてしまうというのは問題で、その点は考えなければいけないと思いますが、一方で自然淘汰が行われるというのも、私はこのライセンス制のひとつのメリットではないかなと考えています。

 それで、ひとつ伺たいんですが、このEMEAの組織は、ライセンス料等で賄われているというお話ですが、そのライセンス料は1件についてどれくらいの金額が払われるんでしょうか。教えていただきたいと思います。

植木課長

 更新料は約100万円です。
前川座長

 現在は半分EUのほうから補助が出て、半分がライセンス料。それが5年たつと全面的にライセンス料になるということでしたね、先ほどの説明は。そうしますと、5年たつと200万円になる、ということですね。
植木課長

 更新料が増えるわけではなくて、更新する品目がどんどん増えていくので、それを充てるということです。
前川座長

 ああ、増えるから大丈夫だと。
紺野委員

 更新する時の申請費用が高くて、それで降りるということではないと思います。

やはり市販されてペイするかしないかということのほうが大きい要素だと思います。そのへんのところは、これから先も、別に心配しなくてもいいのではないかと思います。ただ問題は、この前も森岡委員からのお話がありましたが、本来は企業が自主的にチェックしてやることが一番いい姿勢だと思うんですが、果たしてそれができるかどうかというところに、大きな問題があるという気はしています。

前川座長

 他にいかがですか。

黒川委員

 2回欠席したのでサマリーをずっと読んでいたんですが、なかなか大事な問題を含んでいるのではないかと思います。たしかに木村委員がおっしゃるように、企業の主体性に任せておけば、大して売り上げに響いてないものは別にやらなくていいやと引っこめるという、2万品の中に入ると思うんですけれど、しかし一方で、売り上げが少ないけど大事な薬というのはありますよね。例えばアスピリンなんかそうではないかという気がします。そうすると、そういうのはどうしたら保護できるかという話になりますね。もちろん、主体性をもって、そういうのは必要だから続けて下さいと言っても、やはり企業はある程度利益を追求しますから、そのへんのインセンティブにも取り組まなくてはいけない。

 それから先ほど事務当局からお話があったように、薬にも毒にもならない薬はどうするかという話ですが、そういうのを使うか使わないかというのは、誰が使うかというと、医者が処方するわけですから、そうすると何故そんなものを処方するのかというのは、もちろん医療経済のストラクチャーの問題であって、アメリカ、イギリスでは医薬分業がかなり進んでますから、薬にも毒にもならないのであれば医者はたぶんやらないわけです。それでも飲みたい患者は自分が払って買うわけだから、それは結構なことではないか、ということになっちゃうわけですよね。

 ところがアメリカのほうではいまHMOになってきて、マネージドケアになってくると、効く薬は使う、効かない薬は使わない。同じような効く薬なら安くて出ていれば、企業の利益というか、HMO側としてもいいものを使うということになるわけですから、医療経済の仕組みと薬価のつけ方と、それから医者がなぜある薬を、例えば、尿路感染症で大腸菌に対してペニシリンを使わないで、なんで最初から第三世代のセフェム系を使うのか、そんな変なことをしますけど、それは明らかに他のインセンティブで動いているわけですから、そういう違った背景があるところに、同じようにやれと言っても、なかなか難しいのではないかと思うんですね。

 そうすると、再評価の指定理由の内訳と考察というのは、文献からいっても、いろんなことからいっても、有効性に疑義がありというのが70%、それから安全性に疑義がありというのが30%だということになると、有効性に疑義がありということをわざわざ言うからには、有効性に疑義があるくせに売り上げがかなり伸びてるぞということでピックアップされているのか。安全性に疑義がありということであれば、ぜひ何とかしろというのは、もちろん行政からいってもメーカーからいっても医者側からいっても当然のことですけれども、有効性に疑義ありということになると、医療経済にあまりインパクトを与えてないものであれば、こんなことでピックアップされないのではないかという気もするんですが、どうなんでしょうか。

植木課長

 再評価の指定理由としましては、売り上げがどうこうという経済的な要素は一切含めておりません。
前川座長

 有効性に疑義がある、ということですけれど、効能効果というのは必ずしもひとつだけではないものですから。例えば5つ効能効果を取ったけれども、そのうちの1つの有効性に疑義があるというのが、再評価の指定にならないわけではないと思いますが、いかがでしょうか。そういうことで、その薬が全く姿を消すという場合と、薬は残るんだけど、効能の中のひとつがなくなる可能性はある、という再評価があり得るので。

黒川委員

 経済的な要素がないというようなことで、日本の医療経済の仕組みと、薬を処方するメカニズムと、全く関係なく行われるなんていうことがあるのかなと思ったんですけどね。
紺野委員

 私が先程来言っている、ペイしない薬が降りると困るというのはまさにそのへんことなんです。ですから、ここでは、いま安全課長が言われたように、経済的な問題は抜きにして審議しておりますけれども、内在的にはそういう問題はいつも考えておかないと、ここから先の再評価という問題は一歩も進まないところが出てくると思うんです。そうでないと、大きな矛盾を含んで、どこかにボロが出てくる可能性があります。

 私は、具体的な問題は言わないでおこうと思って、抽象的に申し上げたいわけですが、例えばアスピリンで結構ですが、ペイしないほど値下げされてきているというところに問題があるわけです。ですから、少なくとも必要だという薬については、基準薬といってよいかどうかわかりませんが、そういう医薬品については、ある程度以下には下げないということを考えていかないと、ここから先のこういう問題は、なかなか進まないと思います。進んでも矛盾が出てくるという気がします。

 ただ、これはここで論議すべきことかどうかは私もわかりませんし、少なくとも薬務局としては、なかなかタッチしにくいところだろうと思います。しかし、どこかで最後にはそのことも頭に入れて論議しないと解決はついていかないという気はしています。ただ、今日そこまで論議するのがいいかどうか、座長の先生のお考えになることですから、私はそれ以上申し上げません。ただ、我々はそういう気持ちを持ってないと論議はできない、ということです。

黒川委員

 そういうのは、実際事実としてはあるわけですから、そうするとそれを語らないでやるわけにもいかないんだけども、それはまた別のところだと紺野委員がおっしゃるのも正しいと思うんですね。そうすると、日本の医薬品というのは医療政策全体の一部なわけですから、その全体のビジョンがいま、自民党の試案にしてもそうだけど、よく見えて来ないところでいろいろやってても、そのへんが非常に無理が出てくる。制度を整備するのはもちろん大事なことですが、そのへんはやっぱりある程度、5年ぐらいしたらこうなってくるんだというのが見えないと非常に難しいところがみんなちょっと欲求不満になっているのではないかと思います。
前川座長

 そうですね、相対的な問題と絶対的な問題がないわけではないと思います。しかし、すべてが相対的というわけではなくて、効かない薬は効かない薬であるし、効く薬は効く薬であるとか、非常に安全性に問題がある薬は、どういう制度の中でも問題があるわけですから、当然排除するべき薬を再評価で排除できるようなシステムを構築する必要が、医療体制の如何にかかわらず、あると考えています。そういう信念をもってこの委員会を運営していきたいなという感じがないわけではございません。
高橋委員

 日本の場合にはすべて申請主義でやってるために、この再評価の場合でも、降りるという例の中には、データ集めのためのコストなんかも当然考えるメーカーが出てくると思います。いま紺野先生がおっしゃったように、アスピリンなんかの適用拡大というのは、現実にはメーカーはなかなかできないわけですね。いまちょっと問題になってる適用外使用が後を絶たないというのも、やはり申請主義で薬効承認している欠陥が、ある部分で現れていると思うので、これはやはり、スタンダードドラッグを市場から排除するというひとつの理由にもなり得ると思うんですね。そういう意味で、規制の全体像を考えていく上では、やはり何か保護する逆の規制というものも考えていかないと、制度全体がうまく機能しないのではないかなという気がします。
紺野委員

 いま高橋先生が言われたことは大変重要なことで、私自身も前から申し上げていることですが、結局、いまの再評価では、追加効能ということはできないんです。追加効能があると、審査課でもう1回審査をしなければならないということです。そうするとそれだけの経費も時間もかかります。それを見込んでなおかつやるのかというと、よほどペイするものでなければやらないということがあると思うんです。市販後調査の中では効能の適用外だけれども頻度が高く使われている薬は、かなりあると思います。それはそれで必要で使われているはずですから、そういう意味では市販後の調査は、もっと厳密にやる必要があると思いますし、市販後の調査そのものの中から、薬理効果として全く別なものについてはもう一度始めから審査をしなければいけないんでしょうけれども、同じ薬理効果の系列で考えられるものは、どこかで効能効果の追加を認めていくということをしていかないと、これから先ますます不揃いになりますし、適用外の使われ方がますます多くなってくることはあると思います。そのこともどこかで論議をしなければいけないと思っています。
山中委員

 いま紺野先生が言われたことは、実際の保険診療の立場からは非常に大事なことで、現実の問題としては、同じ成分の薬でも、申請の時にある効能しか出さないと、Aという薬はいくつかの効能がある、Bという薬は2つぐらいしかない、だけど薬の効力は同じであるということがあるんですね。だから銘柄で出しちゃうと、健康保険の査定で適用外ということで削られるんですね。ですから、それは前から申し上げてたんですけれども、そういう点も、直接このあり方に関係するかどうかわかりませんが、横並びという点で、整理をしていただくということも、ひとつの目的としてあるのではないかと思います。
前川座長

 それはいかがですか。事務局としては、何かご意見はありますか。山中先生がおっしゃるようなことというのは、現実にいくつもあり得ると思います。それに対する対応というのは、やっぱり新効能ということで……。
植木課長

 全く同じ薬で効能効果が違うということは、当然銘柄別に承認しておりますから、そういうことが生じてくるわけですけれども、極力、そういうものはメーカーに対して、効能の追加申請をするように指導しております。
山中委員

 口で言うのは非常に簡単なんですが、追加申請するにというのは、これはまた大変なことではないかと思うんですけどもね。これは制度上の問題ですから。
上田委員

 例えばβブロッカーで、高血圧と狭心症と不整脈というのがセットになってますね、多くは。だけどある薬は、狭心症がない、というものもあるわけです。それは、いろんな理由があって、狭心症の治験が非常に難しいから、最初から躊躇するというのもあるかもしれませんが、実際には効かないのもあるわけですね。だからひとつのカテゴリーで、データもなしにこれもβブロッカーだから効くのではないかといってしまうわけにはいかないと思うんですよね。ですからやっぱり、申請主義というか、エビデンス・ベイストといいますか、エビデンスがないと難しいと思うんですね。
山中委員

 別に書類だけで横並びにしろ、というのではないんですよ。上田委員さんのおっしゃる通りで、多少効能的に違って、作用が違うというのもあると思いますが、だけど全く同じ成分であって、銘柄が違って、いま言ったように申請主義ですから、効能効果が違うものが当然出てくるはずなんですね。だからその時に、医者のほうが知っていればいいんですよ、実際現場で、日本医薬品集などの本をよく読んでいればわかるんですが、だいたいそこまで知りませんね。ですから成分が同じだというと使っちゃうわけです。それが問題なんです。ですからこの点は……。
紺野委員

 そのことでちょっとよろしいですか。βブロッカーでも不整脈に効かないものがあることは明らかであります。それは抜きにして、当然効くはずなのに治験段階で検討された症例が少ないからということで認められないとか、そういったものについては、再審査の時までにはちゃんと揃えなさい、ということを、今後は承認条件のような形でちゃんと与えないと、どうしても不揃いが出てくると思うんです。ですからそのへんのことを、審査の段階でお考えになっていただければ、いま山中先生の言われたようなことは、かなりの部分は解決すると思います。ただ、再審査の期間は6年ですからね。6年間効能のバランスの悪いままで歩いていくのがいいのかどうか、という問題が残るわけで、そういう意味では再審査も、もう少し早くしていただいたほうがいいのではないかと私は思っています。
前川座長

 EUの免許更新制に戻りたいと思いますが、これをサポートしてくださったのは木村委員だけですが。米国については、12の表を見ますと、実施せずとか出ていますが、年に1度定期報告をして、それで見直しをしているのではないかと思うんですが、そのへんはいかがですか。
植木課長

 アメリカは、定期報告を、periodic reportと称して実施しております。この12の表の米国のいちばん下に、定期的な全面的見直しは「実施せず」と書いてしまったのですが、これは先ほどもちょっとご説明しましたが、更新制という形はとってはおりませんが、見方を変えますと毎年見直しているともみうけられます。
前川座長

 別にその時にライセンスを更新するわけではないですね。
植木課長

 そういうわけではありません。
大石委員

 質問ですが、いまの定期的報告というのは、どのくらいの期間でやっているんでしょうか。
前川座長

 米国の場合、これは年に1度、売っている間はずっとということですので。
紺野委員

 EU諸国では、日本の再審査制度というものについて、どのように評価しているんでしょうか。非常にユニークな制度だという言い方は、聞いたことはありますけれども。ユニークだけども、日本の再審査制度はまねる必要はない、ということなんでしょうか、更新制を利用しているというのは。
前川座長

 最初の回に、たしか、再審査、再評価制度は、大変優れた制度であるというようなご発言がどなたかからあったような気がしますが。

 それではその次に、PSURが最後の話題になっておりましたが、これに関してご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 かなり詳しく説明をいただいて、日本もこれに準じて、この程の薬事法改正で、定期的安全性最新報告という格好で本年の10月から実施されるということになったようです。ただ問題は、PSURのステップ4の文章を見ますと、どれだけの期間やる、ということは書いていないようですが、PSURそのものでないとして、米国は医薬品を発売している限り毎年1回報告するというシステムですし、EU諸国では、最初の5年まではかなり頻度が高く、それから後も5年ごとに報告をするようになっております。ところが我が国は6年まではEUに匹敵する頻度での報告を要求されるわけですが、それから後はこういった定期的な報告はないようです。 ただ最初にお示ししましたように、海外の製品をかなり輸入しています。それにつきましては、最初にその成分を開発した会社からPSURが、その国には出るわけですから、それを我々は利用することは可能です。

 そういうことを踏まえますと、PSURの報告をもう少し延長して求める必要があるのではないかという感じがします。その件については、すでに市販後調査検討会等でも指摘されていますが、いかがでしょうか。

高橋委員

 やはり、医薬品を生産し発売したからには、それが市場にある限り、どこかでデータが切れちゃうというのはやっぱりおかしいと思うんですね。だから、これは更新制という形がとれれば、市場にある限り更新されるわけですから、更新制をとってそれまでにデータを蓄積するか、あるいはいま座長がおっしゃったように、再審査期間が済んでも、1年なり2年なりのインターバルでPSURを出すというようなことを義務付けるなど、情報を切らさない何らかの方法を考えないと、安全性確保はできないのではないかと思います。

土井審議官

いまの高橋先生のご意見にも関連すると思いますが、前に議論すべきところだったのかもしれないんですが、EU各国の定期的な登録制度と、日本の再評価の大きな違いは、日本の再評価というのは、あくまでも行政側がアクションを起こしてはじめてスタートするという位置付けですし、ヨーロッパでは5年たてばそこで必ずチェックがあるわけですから、むしろ行政がスイッチを押すのではなくて、企業のほうが申請をしなければ通らないという形になっていますから、そういうような受け身でやるかどうかという違いはひとつあると思います。

 もうひとつは、日本の再評価制度というのは、ある意味で企業にしてみれば、いつ指定されるかわからないという不安があるのかもしれません。ですから、指定されてから結論が出るまでに時間がかかる。ところが、EUのような制度ですと、必ず5年後に一定のチェックがあることがわかっているので常にそれに備える。この違いがあると思います。ですから、どっちの制度にもいろいろ利点があると思いますが、違いとしてはそういう違いなのかなと思います。

前川座長

 日本の再評価システムというものが、いま審議官がおっしゃったように、行政の側から発想するわけでして、製薬メーカーとしては一種のペナルティ的な受け止め方がないわけではない。伝聞するところによりますと、これに指定されると株価が下がるというようなことがあるんだそうですが。そういうマイナス的なものではなくて、高橋委員がおっしゃったように、少なくとも市場に出ている限りは企業は責任を持つんだという体制のひとつの表現であったほうがいいような感じを、私は個人的には持っております。そういうことになりますと、PSURは、お上が6年やればいいから、というのでやめてしまうという体制には、若干問題がある。

 PSURを出すとすれば、せっかく出すなら、免許の更新につながっていったらどうかな、という考えもないわけではありませんが、そこまで本日踏み込むつもりはありませんが、PSURを6年でやめてしまっていいのか、あるいは6年を超えて出すなら、今度は頻度は毎年なのか。あるいは日本で決めた定期的安全性最新報告というのは、ご提示いただきました図によりますと、ICHでPSURとして一応の合意を得たものよりは、さらに詳しいデータが入ってくるわけです。こういったものが出てくれば、今後の対応を考える上では、国内的には非常に有意義だと思いますが、そういうことを要求するか。問題点は多々あると思いますので、どうかご意見を賜りたいと思います。

森岡委員

 いま高橋先生や座長がおっしゃいました通り、医薬品をつくってそれを販売しているという企業の立場からしますと、その当該医薬品が市場にある限りは、当然その企業が責任を持つべきだということでして、その通りでございます。

 資料の25では、今年の4月以降は、定期の報告としては、安全性の定期報告が終った新薬品については5年ごとの定期報告というのが、一応決まっているように思うんですね。そういう理解でよろしいわけですか。

植木課長

 今回、この安全性定期報告制度を導入するにあたりまして、今までの再審査期間中の毎年の年次報告をこの安全性定期報告に変えたわけですが、それは新薬についてだけの制度です。したがいまして薬事法上は、これは新薬についての制度になりますので、再審査期間が切れたあとは、行政指導ということで出していただくということでお願いをしているわけです。
森岡委員

 そうすると、新薬は定期報告が終われば、5年毎ということですね、定期の報告は。そうすると、ジェネリックがそのうちに出てきますね。そのジェネリックも今のところ同様でしょうか。
植木課長

 今のところは求めておりません。
森岡委員

 これが5年でいいかどうか、という問題もありますね。
前川座長

 これが行政指導でいいかどうかということも、ひとつないわけではないと思い

ます。例えば、再審査期間までは薬事法上に書いてあります。それから後は行政指導でやる。行政指導でも、ないよりはずっといいんだということがあります。それからもうひとつは、新薬だけに限るということになりますと、今後どんどん新薬が増えていけば、新薬で申請を取ったものについては、こういうふうになっていきますが、ジェネリックの場合はどうなるんですか。再審査はないわけですね。

土井審議官

PSURというのは新薬を開発したメーカーでないと入手できませんから、ジェネリックというのはPSURの情報なしで販売している形になります。
前川座長

 森岡委員への答えになっているかと思いますが、よろしいですか。
森岡委員

 成分毎かあるいは、新薬の場合はPSURということで国際的に共通した報告

ですね。ですからそれはそれでよろしいんですが、ジェネリックの場合、今のままの制度でいいかどうかという点、これは問題があるんじゃないですかね。

前川座長

 たしかPSURが成分毎ですね。ですが、いまのEUの更新制は、先ほどのご説明では品目毎であると承りましたが、そういう理解でよろしいですか。そうすると、仮に品目ごとの更新制のようなものが導入されたあかつきには、ジェネリックも一応更新制の対象にはなる。
森岡委員

 これはEUの場合には、更新制の場合の中身は、品質も含めた、内容となっていますね。ですから、これは結局はブランド毎になるのではないかなという感じがするんですけれども。
植木課長

 EUの更新は品目毎、銘柄毎に見直し、検討されていると考えております。
高橋委員

 いまの座長のご提言を聞いていて、ジェネリックが全く情報なしになったらおかしいと思うんですね。そういう意味ではちょっと飛躍しすぎかもしれないですが、やはり更新制みたいなもので、少なくとも5年なら5年で何らかのデータを出すというようなことにしないと、本当に品質間の格差というものが全く埋没してしまう。座長ご指摘のように、これを指導でやっているということは、いまのむやみやたらの行政改革だと、また上乗せ規制だとか言ってこれが撤廃されたりしたら、全くなくなってしまう。むしろ何らの制度的なものに乗せないと永続性がないのではないかと思うんですが。これは行政当局のひとつの考え方だと思いますが。
前川座長

 どうもありがとうございました。だいぶ時間が迫ってきましたので、このへんで個別の討議は終わらせていただきまして、全般的な問題に入ろうかと存じますが、本日ご発言がないのは菅谷委員ですが、何かご意見がありましたら承りたいと思います。
菅谷委員

 再評価の問題は、これはやはり基本的に、新薬とジェネリックをどうするかというところをはっきりしないと駄目だと思うんですね。議論に出ていましたジェネリックの問題に関しては、何の情報がなくてもいいという状況にしておきますと、薬価基準制度の問題にも絡んできて大変な問題であるということになりますので、ジェネリックであってもやはり再評価というものに対しての情報提供ということが必要であろうというふうに考えております。
鎌田委員

 素人なりにお話を伺っていて感じたことですが、PSURとか安全性定期報告という制度と更新制というのは、制度の考え方が全く別のものだと思うんですね。PSURというのは全くの新製品についてのいわば初期不良の発見手続きみたいなものであって、それとここで市販後対策として何が求めらているかというと、ひとつは安全性ですが、もうひとつは有効性の問題も入っているわけで、医薬品としてこの世の中に置いておいていいかどうかということを再評価するというものと、基本的に違う制度ですから、新薬についてPSUR、行政指導で5年毎という制度が仮に導入されたとしても、それは更新制的なものが果たす役割の代替物には多分ならないんだと思いますので、そういう意味ではPSURとは別に、更新制的な制度を導入することを考えたほうがよろしいのではないかという印象です。
前川座長

 どうもありがとうございました。
鶴田課長

 先ほどの山中先生御指摘の効能のアンバランスなんですが、ジェネリックについては先発品と規格等の同一性調査を行っており、効能効果もあわせることとしております。それから、多分山中先生がおっしゃったのは、類似成分間でアンバランスがあるのではないかということですが、実際の新薬の承認におきましては、例えば類似成分から類推される効能については、申請の段階でチェックをして、どうしてこの成分についての申請効能がないのか。先ほど上田委員からお話がありましたように、同じようなβブロッカーであるけれども、副作用の関係とか、あるいは効き目が弱くて狭心症の効能が取れない。このようにもっともな理由があるものについては、それを認めて審査を行っており、アンバランスな結果になっているものもあります。
前川座長

 ありがとうございました。まだ議論は尽きないと存じますが、予定しておりました5時に近づきましたので、本日はこの程度で議論は切らせていただきます。 次回は再評価制度の今後のあり方について、検討をいただく予定ですが、私から事務局に対してお願いがございます。

 第1点は、本日お配りした第1回および第2回の具体的なご意見に加えて、本日いろいろとご提言をいただいたことも含め、先生方の今までの議論を取りまとめて、それを論点ごとに整理していただきたいということです。

 第2点としては、本日の議論の中で、EUの更新制および米国の定期報告制が出てきましたが、特に網羅性、恒常性、公平性を確保しながら医薬品の見直しを行っていく場合に、現行の再評価とEUの更新制および米国の定期報告制についてのメリット、デメリット等についての整理したものを、資料としてご提出いただきたいということです。

 論点の整理、あるいは制度のメリット、デメリットを整理して、論議をしたほうが、頭も整理されて都合がよろしいと思いますので、この点について、冒頭に私が申し上げました私なりの意見は無視していただいて結構ですので、取りまとめを事務局にお願いしたいと思います。

 次の第4回の開催日ですが、私の都合を申し上げて大変恐縮ですが、6月2日月曜日の午後3時から午後5時ではいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それからこの検討会は、最初に申し上げましたように、都合5回で終了したいと考えておりまして、5回目は、少し早めですが、6月23日の月曜日を考えておりますが、いかがでしょうか。

鎌田委員

 私、月曜日は都合が悪いのです。
前川座長

 両方ともだめですか。あらかじめ資料がお送りできれば、ご意見を伺うということで対応したいと考えています。他にご都合が悪いというお申し出はないようですので、それでは次回は6月2日(月)午後3時から5時まで。次々回は6月23日月曜日に決めさせていただきます。場所、その他の詳細につきましては、できるだけ早く取り決めましてご連絡申し上げます。

 次回は、かなり討論が活発になると思いますので、先ほどお願いしました2つの点につきましては、会議開催前に委員のところにお送りできれば非常に有難い。そうなれば、ご欠席の鎌田委員のご意見を求めることにも十分対応できるような気がしますので、そのような努力をしてみたいと思っています。事務局から何かありますか。それでは最後に丸山局長からご挨拶いただきます。よろしゅうございますか。 それでは長時間にわたりましてありがとうございました。また次回、6月2日にお目にかかります。どうぞよろしく。

(了)

問い合わせ先厚生省薬務局安全課
担 当田中(内2751)
電 話(代)[現在ご利用いただけません]

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