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第2回「これからの墓地等の在り方を考える懇談会」議事要旨

1.会議の日時及び場所

(1)平成9年3月21日(金)14時〜16時
(2)通商産業省別館8階833号室

2.出席した委員の氏名(五十音順・敬称略)

出席委員 欠席委員
石井幸一
金光克巳
浦川道太
大澤秀行
甲斐麗子
木村潔
塩見戎三
藤井正雄
長江曜子
森謙二
磯部力
橋本泰子
10名 2名

3.議事となった事項

(1)東京都における墓地等の現状報告(石井委員)
(2)千葉市における墓地等の現状報告(木村委員)
(3)アメリカにおける墓地・葬送等の現状報告(長江委員)
(1)東京都における墓地等の現状報告

・都立霊園の規模、特色等
利用者の1/4〜1/3は都民以外である。
規模が大きく、古くからのものが多い
30年かけて空墓地を1割程度確保したが、区部の霊園については再貸付をしていない。
・都内の墓地の需給
1985年〜2004年の都内の墓地需要は推定36万基。
そのうち、公営墓地で21万6千基を供給予定。
現在は供給不足。現に遺骨を保有している者しか公募の対象としていないが、平成3年度は15倍であった。確率的には15年に1回しか当たらないことになる。
平成4年度までは公募倍率が10倍以上であるのに対し、平成5年度 以降は4〜5倍程度となっている。これは壁型墓地やみたま堂の設置 によるものである。
・墓地整備
新形式墓地 壁墓地や芝生プレート墓地等
新霊園構想 霊園を含む総合公園構想
・使用料、管理料の算定方式 適正な料金の在り方
民間に比べ相当安い。
料金算定の3原則(原価主義、受益者負担主義、比較衡量の原則)
現在は一律料金だが、立地条件等を考慮した額とすべきである。
受益者負担が原則だが、緑地や道路部分は公共負担とすべきである。
都立霊園は古いものが多く、取得価格では評価できないので、固定 資産税評価額を基準とする。
・無縁墳墓の改葬事務
無縁の判断基準→管理料5年以上滞納者が対象
在籍調査は難しい。
これについての質疑は以下のとおりであった。

○ 墓地需要、公営墓地の供給量の算出方法は。

墓地需要の試算方法はいくつもあるが、この調査では、都民としての定 着率、傍系世帯の発生率等から算出している。公営墓地の供給量について はアンケート調査を基にしている。
結果的には、新たに墓を必要とする人は死亡者の3割程度となっている。

○ 無縁墳墓の改葬について、縁故者が存在しても、承継を拒否すれば無縁 とみなされるのか。

現状では、やむを得ない。行政としても縁故者を説得する。その結果、 承継を承諾する者や、遺骨だけを引き取る者もいる。承継を拒否する縁故 者には念書を書いてもらい、無縁として取り扱うことになる。

(2)千葉市における墓地等の現状報告

・市内の公営墓地等の現状
市内に公営墓地は2カ所。
 桜木霊園 13.4ha 9300区画 火葬場、納骨堂を併設。火葬場は老 朽化が進んでいる。郊外に新設したいが、用地取得が困 難。
 平和公園 100ha 37000区画 現在も1年に7〜800区画を供給中。
使用料のみで、管理料は徴収していない。
・墓地の経営許可の手続・審査基準等
経営主体 用地確保や財政上の問題から、公営だけでは供給できない。 必要性・非営利性・永続性の判断基準
 必要性 檀家信徒の増加見込み、署名簿等から判断。
 非営利性 土地造成者等が関わっていないこと、経営管理を第3者 に移譲しないことなど。
 永続性 用地の自己所有、抵当権が未設定であることなど。
近隣住民等の同意書 経営者には大きな負担となっている。

これについての質疑は以下のとおりであった。

○ 東京都では、管理料5年滞納を無縁の判断基準としているが、管理料を 徴収していない墓地の場合、いかに判断するのか。

管理上問題のある墓地について、墓地管理者の管理権限として、縁故者 に適正な維持管理を行うよう催告できる。
管理料を徴収していない例は他にもある。管理料の徴収費用がかかるためである。

○ 火葬奨励金という制度を設けているところがあると聞くが、どう思うか。

火葬率が97%を超えている現在、違和感を覚える。
伝染病予防法の制定当時に設けられた制度が未だに残存しているものと 思われる。

○ 外国人などで宗教上の理由から火葬を拒否する者がいるが、土葬の要望 にはどう対応しているのか。
都立霊園にも土葬区域がある。埋葬許可さえあれば、受け入れている。
地方へ行くと、数字から受ける印象よりも、土葬が多いように感じる。
近くに火葬場がないことが原因である場合もある。
墓埋法は火葬と埋葬を並立させている。火葬を中心にした法律に組み直 すなどの整理が必要である。

(3)アメリカにおける墓地、葬法等の現状報告

・土葬率、散骨について
土葬率は全米平均で約80%(日本は火葬率97.5%)
葬法は、州により著しい違いがある。アメリカ西海岸、フロリダ州が 火葬率が高い。
散骨は珍しい葬法と言える。火葬率の比較的高い州(フロリダ、カリ フォルニア、ワシントン州等)で一部行われているに過ぎない。従っ て、散骨に関する規定を持つ州も少ない。
散骨についての法規制のうち代表的なものは以下のとおりである。
 陸地から3マイル以上離れること(EPA(合衆国環境保護局))
 1/8インチ以下等に粉砕すること(カリフォルニア州等)
 散骨場所を海、霊園の一定区域等に限定するもの(カリフォルニア州、ネバダ州等)
散骨についての法規制には、撒く権利と撒かれる権利の双方の保証が 必要である
・火葬、土葬の仕方 霊園の形態について
・墓地経営の在り方
アメリカの霊園の経営は民営が主である。
墓地の永代使用を前提とし、永代使用料の10%〜25%(積立率は 土葬、モーソリウム、納骨堂等により違う。)を管理基金として積み 立てている。
1930年代に管理基金の思想がカリフォルニア周辺で出現。1954年以降 管理基金が各州で法制化。1960年代から実際面を踏まえ、土葬、モー ソリウム、納骨堂等により積立率を変える法律が出現。
その後、州によっては供託金1万〜5万ドルを積み立てるよう義務付 ける所も出てきた。現在、全米で管理基金に関する規定のない州はア ラバマ州のみである。
管理基金は、アーカンサス州(10%)、コロラド州(15%)のよ うに一律に規定している州と、カリフォルニア州のように細かく規定 している州がある。
墓埋法には、墓地等の維持管理の財政的裏付けに関する規定が欠けて いる。
・生前契約保険
葬儀費用がかかること、香典がないことなどが制度普及の背景。
全米平均の加入率は20%である。全米平均の葬儀料は3000〜5000ド ル。生前契約には、保険と信託委託制度の2種類がある。

(4)今後の検討スケジュール案等について、

・資料1により検討を進めることで、出席委員の了解が得られた。
・次回開催は、5月9日(金)とされた。


 問い合わせ先 厚生省生活衛生局企画課
    担 当 乗越(内2417)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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