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第4回血液行政の在り方に関する懇談会議事録

1. 日 時 平成9年3月19日(水)14時00分〜16時00分
2. 場 所 厚生省共用第7・8会議室
3. 出席者 (委 員) 以下敬称略
行天良雄 草刈 隆 高久史麿 秀嶋 宏
前田義章 三星 勲 湯浅晋治

(専門委員)
小室勝利 中井一士 布施 晃 宮島 剛

(厚生省)
薬務局長
審議官(薬務担当)
企画課長 審査課長 安全課長 血液事業対策室長
医薬品適正使用推進室長 他
4. 議事内容 (1)開 会
(2)議 事
 (1) 今後の血液行政の在り方について(2)
 (2) その他
(3)閉 会

血液室長

本日はご多忙のところご出席いただきましてありがとうございます。ただいまから第4回血液行政の在り方に関する懇談会を開催いたします。私は厚生省薬務局企画課血液事業対策室長の外口でございます。本日は井形委員、神尾委員、坂巻委員、清水委員、菅谷委員、曽野委員、中谷委員、藤田委員、森嶌委員、渡辺委員、宮村専門委員がご都合によりご欠席でございます。

高久座長

それでは懇談会をはじめさせていただきます。まず最初に事務局の方から本日の資料の確認をよろしくお願いいたします。

血液室長

それでは資料の確認をさせていただきます。お手許の資料1は今後の血液行政の在り方についての(2)、これはこれからOHPを使って説明するものと同じものでございます。資料2は資料1と関連する資料であり、資料2の目次の番号は関連項目として資料1の番号と同じ番号を使用しております。この他2月に開催した前回の会議の議事録を配布させていただいております。以上でございます。

高久座長

どうもありがとうございました。いま皆様方のお手許に資料1と資料2と前回の懇談会の議事録があると思いますが、もしなければ申し出いただきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは早速本日の議題に入らせていただきます。資料1及び資料2を基にして今後の血液行政の在り方(2)について事務局の方からよろしく説明お願いします。

血液室長

それではまず資料1の1番最初にあります目次のところを参照していただきたいと思います。前回の会議では「今後の血液行政の在り方について」がテーマでありましたが、今回は引き続き「今後の血液行政の在り方について(2)」となります。これから説明する資料1は四つの部分に分かれております。目次のところを見ていただきますと四つの部分のうち最初の部分は「1.前回の指摘事項」「2.各社へのアンケート調査結果」「3.国内自給の見通し」「4.論点整理(案)」であります。
まず最初に「前回の指摘事項」でありますが、前回の議論の中で都道府県レベルでの適正使用の取り組みについてご質問がありました。資料2の1ページを参照願います。資料2の1ページは1986年から都道府県に委託して行っております血液製剤使用適正化普及事業の内容を示したものでございます。前回参考資料として配布させていただきました血液製剤使用適正化ガイドラインを用いた説明会や懇談会等を行っております。
資料2の2ページを参照願います。資料2の2ページはこの事業の成果の一例でありますが、前回の会議でも紹介いたしました千葉県の例ではアルブミン、グロブリンの使用の適正化が進んでおります。第2回の懇談会のときの資料では千葉県の1000病床当たりのアルブミン使用量は7年度では原料血漿換算で142.8Lとなっておりましたが、今回示したこの数字は千葉県が独自にまとめたものであり、100床以上の病院についての数字で、7年度は158.4Lとなっておりますが、いずれにいたしましても、さまざまな説明会、懇談会等を通じまして、このように血液製剤の使用の適正化が進んでいるところであります。
資料2の3ページをお開き願います。これは各都道府県の報告からこの事業に関しての改善すべき点を指摘していただいて抜き出したものでありますが、ここにありますように、
・ 血液製剤の適正使用については、使用者側の医師の自主的な改善による部分が 大きいため、この点の改善策。
・ 薬剤師における血液製剤に対する知識。
・ 医療機関による取り組みの格差。
・ 個別説明会で説明した内容の病院内での徹底。
・ 説明会での医師の出席率。
・ 血液製剤の性質に関する医師の意識。
等が今後改善すべき点と考えられております。
次に、2の各社へのアンケート調査結果でありますが、資料2の4ページを合わせてご参照願います。前回の懇談会の議論を受けまして、血液製剤を製造輸入している各メーカーが11社ありますが、そのメーカー各社に対しまして
(1)わが国の血液製剤市場における役割と責任。
(2)血液製剤の安全性確保のための措置。
(3)「無償献血による国内自給の推進」の方針についての考え方。
以上についてアンケート調査を行いました。
資料2の4ページに対象とした供給会社11社の名称が記載されております。資料2の5ページを参照願います。5ページと6ページは、各社にあてた文書であり、6ページの注2にありますように「公表を前提として匿名も可」といたしましたが、各社とも社名を入れて回答していただいております。
資料2の7ページから9ページまでが調査結果の概要であり、10ページから40ページが各社の回答をそのままコピーしたものであります。資料2の7ページの調査結果概要を参照願います。この調査結果概要に記載しておりますそれぞれの意見がどの会社のものかは後ほどご参照いただきたいと思います。
まず「1.わが国の血液製剤市場における役割と責任について」でありますが、各社からのご意見といたしましては、
・ 赤十字の理念と国際赤十字の決議等を踏まえ、国の方針のもと献血に基づく血 液事業の実施に際して、透明な事業運営と国民医療への貢献を目指し、献血者の 付託に応えるべく、その役割を果たしてまいりたい。
・ 医療現場が必要としている有用な血漿蛋白成分を適宜医薬品として創出。
・ 国内自給率を高めるという方針に沿うべく、当初はすべて外国由来の血漿であったものを積極的に献血由来の血漿に転換。
・ 経営方針として、「献血由来品主義」による国内血による自給自足策を推進。
・ 献血及び血液製剤の安全性を研究する一員としての役割を果たすとともに、国 内自給の政策を十分認識しつつ国内で不足している量の血液製剤を供給し、医療 に貢献する。
・ 日本国内では開発されていない、医療上有用な医薬品を開発し、日本の医療に貢献する。
・ 外資系企業の利点を生かし、製品の安全性確保、安定供給の実施のほか、海外における最先端の医療情報を的確・迅速に提供。
・ 遺伝子組み替え技術を含め、新技術を積極的に取り入れ、日本の医療に必要とされる血液製剤の安定供給への貢献と有用で安全な製剤の供給が役割と責任。
「2.血液製剤の安全性確保のための措置」についてでありますが、
・ 輪血用血液については、献血時の問診や自己申告、血液センターにおける各種 の抗体・抗原検査を実施.血漿分画製剤については、原料血漿をプールし、各種 抗体・抗原検査を実施するとともに、ウイルスの不活化・除去工程を導入している。念のため最終製品でのPCR検査を実施して陰性を確認。輪血副作用等については、医療機関との連携により、速やかな原因究明を行い、被害拡大防止に努めたい。
・ プール血漿、米国由来の中間原料について、各種抗体・抗原検査を実施しているほか製造工程中に複数のウイルス不活化・除去工程を導入。最終製品について、 抗体・抗原検査とPCR法による試験を実施。
・ ドナーの登録制度によるドナーごとの過去の供血歴管理により、万一CJD等 のハイリスクドナーの存在が確認された場合には、そのドナーの原料血漿から製 造された製剤を必要に応じ速やかに市場から回収できるよう管理体制を整備して いる。
・ 個々の血漿に対し、独自の方法でPCR法によるスクリーニングを実施しているとともに、1度目に採取した血漿をプールすることなく2ケ月間保有し、再度 同じ供血者が供血してきて、抗原・抗体検査、PCR検査ともに陰性であった血 漿のみ、プールして分画している。
・ 市販後調査において、当該製品の使用により特に感染症例のような重篤な症例 が報告された場合の評価については、社内の医師4名を含む副作用評価委員会に おいて最終的な評価を行っている。また、世界の企業グループとすべての副作用 情報に関するデータをオンラインで報告するシステムを構築しており、広く海外 のデータについても検索できる体制を整備している。
以上のようなご意見が寄せられております。
「3.無償献血による国内自給の推進の方針についての考え方」についてでありますが、
・ 「無償献血による国内自給の推進」を目指すことは世界的な趨勢となっている。 国民特に献血者の理解が得られる血液事業を推進することが大切。国内製薬企業 の技術等を活用していく場合でも、利潤追求のためでない血液製剤の製造・供給、 医療機関での献血者の血液であることも視点においた適切な使用など、国民に対 して透明な事業運営が行われるべきであり、国の主導のもとに実施される必要が ある。
・ この方針を達成するため、多種類の製剤の製造、収率の向上による献血血液の 有効活用、遺伝子組み替え製剤の開発によるアルブミン製剤の自給化等に努力し ている。
・ 国内自給の推進のため、献血由来の原料の供給が受けられれば、いつでもそれ らを用いて製造し、販売する用意がある。他方、自給で賄えない部分を供給する ことも民問企業に課せられた責務。
・ 国内自給の推進は賛成。しかし、製剤の製造技術等から外国に依存しなければ ならない製剤が存続しており、海外技術の導入が容易に行える制度、国内の献血 血液の外国委託製造の許可等が考えられる。他方、国際交流が盛んな現在、国内 献血のみが安全とは言い切れないという現状がある。
・ 国内自給の推進の方針は理解する。しかし、原料確保、製品の供給を国内献血 に一本化させることは、別の問題を引き起こす可能性がある。すなわち、製造ト ラブルによる供給の一時的停止など、万一の事態が発生した場合、安全性の確保、 安定供給が不可能となる。外資系企業は、日本において、より安全な製品を安定 的に供給するという目的を達成するための一助となりうる。
・ 自給自足政策について異論はない。しかし、外国で開発された新しい製品・技 術の導入を積極的に進めることが自給自足政策に伴う重要な課題。そのため、血 液に係る輪出規制を緩和し、外国の製造所をより効率的に利用することについて も考慮すべき。
・ 国内自給の推進は、民間企業としても尊重すべき。製剤によっては、短中期的 に100%自給することが困難という事実を踏まえ、足りない部分を民間企業に よって賄われていることを安全性の問題とあわせ、国民に広く正確に理解してい ただく必要がある。
・ 国内自給の推進については、十分認識し、支援していく。そこで、国内メーカ ーと提携し、献血血漿を原料として、外国企業の技術による血液製剤を製造・供 給している。
この国内自給推進の方針につきましては、各社からご覧のように幅広い意見が寄せられているところでありますが、血液製剤を輸入しているメーカー、原料血漿や中間原料を輸入しているメーカーも含めて今回の調査結果から基本的にはわが国の国内自給推進の方針については、特段の異論はないものと受け止めております。
次に「3.血液製剤の国内自給の見通し(中長期的推計)」についてでありますが、
「3−1.今後の血液需給量に影響を及ぼす要因」資料2の41ページを参照願います。前回示した図と同じ図であります。
需要増に影響する要因としては人口の高齢化、適応の拡大等、血液由来製剤の開発等が考えられます。
需要減の要因としては、血液製剤の使用適正化、医学医療の進歩、代替製剤の開発、疾病構造の変化等が考えられます。
供給増に影響する要因としては、献血の推進、保存管理・製造技術の進歩等が考えられます。
供給減に影響する要因としては、献血人口の減少、新たな輸血感染症の出現等が考えられます。
以上のように血液需給量に影響を及ぼす要因は数多くあるわけでありますが、この中から主たる要因、あるいはある程度予測が可能な要因として需要増の中から人口の高齢化、需要減の中から血液製剤の使用適正化、代替製剤の開発、供給増の中から献血の推進、供給減の中から献血人口の減少を選んで将来の需給について粗い推計を試みてみました。
「3−2.高齢化に伴う輸血用血液の使用量についての粗い推計」についてでありますが、併わせて資料2の42ページを参照願います。資料2の42ページの下の欄に前提条件が記載してありますが、この図で表しましたように棒グラフは将来推計人口、これを年齢構成別に表したものでありまして、ご存じのように65歳以上の人口の率というものは年々増加していくわけであります。折れ線グラフは使用量の推計を示したものでありますが、年齢別に一人あたりの輸血使用量は異なることから高齢化に伴う必要な輸血用血液の量は増加していくことが予測されます。
「3−3.高齢化等に伴うアルブミン製剤の使用量の粗い推計」についてでありますが、先ほどは輸血用血液についての使用量でありましたけれども、この図はアルブミン製剤の使用量についての粗い推計であります。資料2では43ページを参照していただきたいと思います。資料2の43ページのところに(注)として書いてありますが、この場合アルブミン製剤の年齢別使用量については、これは残念ながらデータがありませんでしたので、大変大胆な仮定ではありますが、輸血用血液の年齢別使用量の比率に準ずるものとして仮定の条件を置かせていただきました。またこの図でみますと2003年にかけて使用量が大変落ち込んでおりますが、これは使用の適正化についてさらに使用適正化策を進めることにより今後5年間で一人当たりの使用量が3割減少するという仮定を置きました。この仮定の根拠となる3割減という数字は現在のドイツやアメリカの一人当たり使用量に近づけるものとして仮定をいたしました。これらの仮定に立った場合に、このグラフで分かりますように2003年までに使用量が減少し、また高齢化の進展とともにアルブミン製剤の使用量が徐々に増えていくことが推測されます。
「3−4.アルブミン製剤の需給に関する粗い推計」についてでありますが、 資料2の44ページも併せて参照願います。まず最初に資料2の44ページの左側の(1)の図、資料1では現在OHPで示している図でありますが、これは原料血漿を100万L確保した場合の図であります。ちなみに現在の実績平成8年では70万Lの原料血漿を確保しております。なおリコンビナント製剤の供給可能性についての仮定でありますが、リコンビナントのアルブミン製剤の供給量については21世紀初頭に75万L供給されるものと仮定することとしました。これも全く仮定の数字であります。この場合には2003年の血液由来製剤の自給率は血液由来製剤の中では7割ということになりますが、なおアルブミン製剤の需要を満たしていくためには海外からの輸入が必要であり、それらは使用量の増加に伴い増加していくわけでございます。
次の図は原料血漿を150万L確保した場合ですが、2003年に100万L確保、ここまでは前の図と同様でありますが、その後2008年の段階で150万L確保すると仮定すれば、粗い推計ではありますが、ほぼ国内自給が達成されることが予測されます。
「3−5.原料血漿確保に要する献血者数の粗い推計(100万L確保)」についてでありますが、資料2の45ページを併せて参照願います。資料2の45ページにはここでの推計に用いた数字を記載してありますが、現在お示ししてありますOHPのシート、あるいは資料1に図で表したものを使って説明させていただきます。まず先ほどの原料血漿100万L確保の場合ですが、この場合、仮に200ml献血と400ml献血の構成比が現在と同様とした場合には、平成15年、すなわち2003年には770万人の献血者が必要であり、平成30年には860万人の献血者が原料血漿100万L確保のために必要であります。ちなみに現在の献血者数は約600万人であります。
「3−5.原料血漿確保に要する献血者数の粗い推計(150万L確保)」についてでありますが、この図は原料血漿150万L確保した場合、すなわちアルブミン製剤の国内自給達成のための粗い推計値を満たすための数字でございますが、もちろんアルブミン製剤の国内自給が達成されればグロブリン製剤は同様にすでに達成されているものと考えられます。この場合、全血での採血が多いと、献血血液量を増やした場合に赤血球の余剰が生じてしまいますので、成分献血、特に血漿の成分献血を伸ばしていくことが前提条件となりますが、約10年後の平成20年から平成30年の値で1千万人献血を達成する必要があると推計されます。なおこの図では200ml献血の構成比を現状に近いものと仮定しておりますので、この部分の多くが400ml献血に変わればもう少し人数は少なくても良いのかも知れませんが、しかしながらあくまでもこの推計は3割の使用の適正化、リコンビナント製剤の導入という仮定を置いたものでありますので、このような不確定要素を念頭にいれれば国内自給達成のためにはやはり1千万人献血が必要であるということが粗い推計ではありますが、言えるのではないかと考えております。
次に、「わが国の血液行政の在り方 論点整理(案)」についてでありますが、資料2の46ページを参照願います。
この資料は前回議論した論点を基に、いままでの議論や説明に関連した論点を加えたものであります。それぞれの論点の表現はまだこの懇談会の中でコンセンサスの得られていないものも多く含まれておりますので、断定的な表現をさけて問題提起型の表現としております。順に紹介させていただきます。

1 安全性の確保
・血液製剤の安全性の確保に関しては、血液製剤の特性を踏まえた格別の対応が 求められるのではないか。
(1)危険性に関する情報の把握・評価及び伝達
・血液製剤による感染症の伝播等の危険性に関する情報を製薬企業や国等は可 能な限り速やかに把握し、また得られた情報について適切に評価する体制を確 保していく必要があるのではないか。
・危険の程度が不確実な段階にあるうちから多様な手段を用いて迅速に情報を 国民や医療機関等に対して提供していくべきではないか。
・患者に対しても、血液製剤の安全性に関する情報が適宜理解され易い言葉で 提供されていくことにより、患者自身の血液製剤に対する関心が深まり、また 治療内容の有効性や安全性等についての理解が高まることとなり、自らの選択 や自己決定に資するのではないか。
(2)安全性の確保対策
・献血者に関する全国的な記録の保管・管理体制が構築される必要があるので はないか。
・献血者に関する記録をはじめ製造や販売記録等の保管期間を、安全性確保の 観点から延長していくべきではないか。
・遡及調査(ルックバック)について、一定の手順を予め設けるとともに、医 療機関等の関係者に対して周知し、ルックバックが適切に行われるよう対応す べきではないか。
・新鮮凍結血漿を採血後一定期間保管することとし、その後再び献血者の HIV等のウイルス抗体が陰性であることを確認した上で供給すればウインド ウ・ピリオドの危険性の軽減が可能ではないか。
・献血された血液の一部を保管することは、製剤の投与に伴い健康被害が発生 した場合の原因の解明等に有用であると考えられ、将来的には献血者に関する 記録と同程度の間保管すべきではないか。
・輸血による感染症や副作用の発生を把握する体制の一層の充実が必要ではな いか。
・検査項目の見直しや検査方法の改良等が適宜行われていく必要があるのでは ないか。
・血漿分画製剤の安全性は、ウイルスの不活化や除去工程の導入等により、安 全性は著しく高まってきているが、供血の時点からの安全性の確保対策が重要 ではないか。したがって、国内献血による場合であっても、外国の血液による 場合であっても供血時点の安全性に関わるデータが早期に確認できるようにす べきではないか。
・緊急を要しない、予め輸血の予定が立てられる待機的な手術等の場合には自 己血輸血を一層推進すべきではないか。
・遺伝子組換え技術を応用した製剤や人工血液等安全な代替製剤の研究開発に 関して、民間も含めた広範な研究の一層の発展が望まれるのではないか。
(3)献血者に対するHIV等に関する情報提供
・献血者に対するHIV等の検査結果の通知は、感染者の早期治療や知る権利 の尊重、二次感染防止等の観点から、陽性者には通知することを原則とすべき ではないか。
・通知に際しては、献血者自身の通知の希望の有無の確認やプライバシーの保 護への手厚い配慮が必要ではないか。
2 国内自給の推進
・外国から輸入される血液製剤及び原料血漿に関して、現時点において、我が国 の献血血液に由来するものと比較して安全性に差違があると考えられるか。
・輸入される血液製剤及び原料血漿の多くが売血による血液に由来するものであ りその一方で国内では倫理的な観点から無償献血により血液を確保していること を考えれば現状を是認することには問題があり、国内自給率の向上に一層努める べきではないか。
・国内自給を推進するに当たり、技術開発の進歩に停滞が生じるなど、過度な規 制による弊害は招くことのないようにすべきではないか。
・国内自給の推進は、国際的な理解を得ながら進めていく必要があるのではない か。
(1)献血量の確保
・日本赤十字社のこれまでの取組みに対する国民の信頼は大きなものがあり、 また献血に関わる高い倫理性、公共性に鑑み、今後も国、地方公共団体、日本 赤十字社により献血量の確保が図られることが望ましいのではないか。
・国は、献血に関する安全性確保や予算、事業計画等を含め、事業の健全な運 営について全般的な監督責任を負うべきではないか。
・国及び地方公共団体は、献血量の確保を図る上で必要な措置を講じ、日本赤 十字社による献血に係る事業に対して積極的に参画すべきではないか。また、 日本赤十字社は事業遂行のための、日本赤十字社の行う具体的な事業実施計画 を策定すべきではないか。
・献血に係る事業に従事する者は、献血者に係る情報等業務を通じて知り得た 事実を、プライバシーの保護等に十分に配慮して取り扱う必要があるのではな いか。
・血液事業への信頼性の確保の観点から、献血時に発生する健康被害に対する 救済制度が整備されることが望ましいのではないか。
(2)中長期の需給計画の策定
・国は、高齢化の進展等を踏まえた、アルブミンや免疫グロブリン製剤等の製 剤毎の具体的な国内自給の見通しを示すべきではないか。将来の展望が明らか になることにより、国民の献血に対する機運が一層高まるのではないか。
・アルブミン製剤については、高齢化の進行等による増加要因がある一方、使 用の適正化や献血の確保、また近い将来リコンビナント製剤の利用が可能とな る見通しもあることから当面21世紀初頭を目途に自給の達成に努めるべきで はないか。
・免疫グロブリン製剤については、献血量の確保、原料血漿の有効活用を一層 促進し、21世紀初頭に概ね国内自給を達成することを目指すことが可能では ないか。
(3)輸入原料血漿や輸入血漿分画製剤の取扱い
・輸入製剤や輸入原料血漿と、我が国の無償献血の原則との関係をどのように 考えるべきか。
3 血液製剤の適正使用
・国は関係学会と連携しつつ、アルブミン製剤や新鮮凍結血漿について使用基準 の見直しや再評価等の具体策を講ずるべきではないか。
・血液製剤の適正使用について、卒前・卒後の教育の充実が必要ではないか。
・医療機関において、保管管理や適正使用を指導するための輸血部門等を整備す ることも、適正使用を推進する有効な方策の一つではないか。
・国・地方公共団体は、医療機関と協力して適正使用のためのガイドラインの普 及を図るべきではないか。
4 献血血液の有効利用
・献血血液は、国民の善意と連帯の精神から自発的な意志の下に提供される、国 民的な資産ともいうべきものであり、無駄なく有効に活用する必要があるのでは ないか。
・収率の向上や分画後のぺ一スト等の未利用の原料血漿の活用等一層の有効利用 に関係者が努める必要があるのではないか。
5 安定的かつ効率的な供給
・血液製剤を供給する事業者は、重大な社会的責任を果たしているという自覚に
立って、製剤を安定的かつ効率的に供給すべく業務の遂行に努める必要があるの ではないか。
(1)輸血用血液製剤
・輸血用血液製剤の製造については、従来日本赤十字社により安全性の高い輸 血用血液製剤が提供されており、今後も同様に日本赤十字社により行われてい くべきではないか。
(2)血漿分画製剤
・血漿分画製剤の製造・販売に関しては、不当廉売を防止し、不適正な使用が 助長されるような事態が生じることのないようにすべきではないか。
・これまで民間事業者の製造能力、販売力を利用し国内自給を進めてきた経緯 から現行のように複数の民間事業者による競争を通じて、効率的かつ適正な供 給を図るべきか。あるいは、血漿分画製剤の製造や販売の一元化を図るべきか。 この場合、技術開発力の維持向上や運営の効率性の問題をどのように考えるか。
・不当な行為が事業者にあった場合には、原料の提供を制限するなど適切な対 応がとられるべきではないか。
・民間製造業者に対する献血由来の原料血漿の売却に関しては、配分量や価格 の設定を公正かつ透明なルールの下に行っていくことが必要ではないか。
6 透明性の確保
・血液事業はその公共性から、情報が幅広く国民に公開され、透明性が確保され るべきではないか。
・情報の提供を受けることにより、国民の血液事業に対する関心が高まり、理解 が深まるとともに、事業への信頼が増すこととなり、また、協カにつながるので はないか。
7 法制度の整備
・これまでの血液事業の成果を承継しつつ、提言の個々の内容を具体化し、21 世紀に向けた事業の一段の飛躍を期すため、時代の要請に応えた新たな法制化が 必要ではないか。
8 その他
まだ議論されていない項目の中で追加すべき項目等ご指摘いただきたいと思いま す。以上でございます。

高久座長

どうもありがとうございました。資料1と2について説明をしていただいたわけでありますが、この資料2の方には各製薬会社、日本赤十字社からのアンケートの結果が載っております。これについては最初に血液事業対策室長さんの方から調査結果の概要として説明がありましたので、時間がおありの方はぜひ各社からのアンケート結果についてお読みになっていただければと思います。
まず資料1、2について委員の皆さん方のご質問あるいはご意見を伺わせていただいて、時間が余りましたら、資料2の46ページからはじまります今説明のありました「我が国の血液行政の在り方論点整理(案)」ということで、各項目について皆さん方のご意見を伺いたいのでよろしくお願いいたします。
まず最初に血液事業対策室長の方から説明がありました資料1、2について何かご質問あるいはご意見おありでしょうか。

草刈委員

資料2の方の42ページの「3−2高齢化に伴う輸血用血液の使用量の粗い推計」これは室長がおっしゃったようにいろいろな前提がございまして、その中での粗い推計だと思いますが、中間のところにあります一人当たりの輸血用血液量というのはいつの数字で、どのような資料ですか。

血液室長

これは42ページの3のところに記載してありますけれども、平成7年の東京都の輸血状況調査の数字をそのまま使わせていただきました。

高久座長

ずいぶん差がありますですね。年齢によって。

草刈委員

やむを得ないでしょうね。こういうデータしかないというのでは。

高久座長

これは血液量ではなくて血液使用量ということですか。

血液室長

一人当たりの使用量です。

高久座長

使用量ですね。ですから16歳から64歳は少なくて、0歳から15歳が比較的多い。65歳以上は非常に多い、そういうことですね。癌の手術の時の輸血とかそういうのが全部入っているわけですね。

秀嶋委員

東京都ということを限定いたしますと、何か地域特性が東京には大医療機関が多いとか、そういうこともございますので、もうちょっと広いのが必要なのではないかと私は考えます。

高久座長

そうでしょうね。ただ湯浅委員こういう傾向にあるということは言ってもよろしいのでしょうね。

湯浅委員

そう思います。ただ製剤別の使用割合から見ますと全血は圧倒的に減少し一方血小板が50%近くまで非常に増え、赤血球の方はやや減っている傾向にあるんじゃないでしょうか。

中井専門委員

質問です。Lで計算するということなんですが、全血は分かるんですけれども、血小板をLでというのはどの計算でですか。

血液室長

総量で計算するやり方と、単位で計算するやり方と両方あるものですから、ここではLの方で計算したわけでありますけれども、血小板の使用量が多い場合にはもちろん単位の方でやるやり方もあるかと思います。ただこれは最後の方にこの前提条件で最終的に粗い推計の目標としますものが献血量の方につながりますのでそこであえて単位の方ではなくてLの方を使わせていただきました。

中井専門委員

具体的にいいますとたとえば400mlを採血して血小板と赤血球と血漿にかりに分けたとした場合ですね。Lというのはどういう計算でしょう。

血液室長

それはもと採った量で計算して。

中井専門委員

もと採った量で。分かりました。

湯浅委員

43ページでございますけれども、アルブミン製剤の使用量の粗い推計ですが、昭和60年にはアルブミンの原料血漿が380万Lと最高となりアルブミンの適正使用のガイドラインができて61年にはそれが340万Lに減少しその後はだいたい280万ぐらいを推移していますね。もちろん適正使用をそれ以上に推進しなくてはいけないわけですけれども、あと数年でこのようにできるかどうか。

血液室長

このへんはもう限界ではないかという意見も確かにあるとは思うんですけれども、ただ諸外国のデータをみるともう少し適正化できる可能性はあるのではないかと思います。その意味で先ほど申し上げましたけれども、アメリカ並、あるいはドイツ並の使用量に近づけるということを前提とすれば必要な場合にはもちろん使う必要があるんですけれども3割の適正化の可能性というのはこれはあるんじゃないかと思っております。

前田委員

この前、示された県別のアルブミンの使用量を見ますと県により使用量にかなりの幅があります。東京都の使用量が全国平均でした。東京都より使用量が多い県も幾つかありましたが、これらの県での使用量が全国平均の東京都並になれば、どれくらい減るのかというような試算も必要ではないでしょうか。現在、使用されている原料血漿の280万Lを固定的に考えずに、全国平均以上に使用している部分が全国平均並になったらどれ位減るのかという計算も必要ではないでしょうか。県別にバラつきがひどいので、これを平均にもっていくような使用適正化を図ることで減少させることができると思います。

高久座長

資料1の2ページで千葉県の平成5年度から7年度の推移を見てみますとグロブリンが非常に減って半分近くになっていますね。アルブミンが減っているといってもせいぜい20%ぐらいしか減っていなくてグロブリンが半分ぐらいに減っているというのはこれは、さっきおっしゃった血液製剤適正使用のガイドラインの説明のような教育活動の結果ですか。

血液室長

グロブリン製剤の適正化につきましては、このガイドラインの中にはグロブリン入っておりませんで、だからこのガイドライン以外のファクターもあるのかと思っております。

高久座長

ご質問がなければ資料2の46ページの「我が国の血液行政の在り方論点整理(案)」について残る時間でいろいろご意見を伺いたいと思います。これは皆「〜ないか」というクエスチョンの形でわかれています。これはクエスチョンではなくて「〜である」というふうな形に将来なると思いますが、現在の段階ではクエスチョンの形でご議論をお願いしたいと思います。まず安全性の確保でございますが、血液製剤の安全性の確保に関しては「血液製剤の安全性の確保に関しては、血液製剤の特性を踏まえた対応が求められる」ということで「〜ないか」を外して良いのではないかと思います。ご異論はないと思いますが、それで「(1) 、危険性に関する情報の把握・評価及び伝達」でありますが、先ほども読んでいただきましたが、「血液製剤による感染症の伝播等の危険性に関する情報を製薬企業等は可能な限り速やかに把握し、また得られた情報について適切に評価する体制を確保していく必要がある」「危険な程度が不確実な段階にあるうちから多様な手段を用いて迅速に情報を国民や医療機関等に対して提供していくべきである」と、「患者に対しても血液製剤の安全性に関する情報が適宜理解され易いことばで提供されていくことにより、患者自身の血液製剤に対する関心が深まり、また治療内容の有効性や安全性等に関して、理解が高まることとなり、自らの選択や自己決定に資するのではないか」と。(1) について何かご意見ございませんでしょうか。

草刈委員

いま血液で伝播するかどうか分からないとされております狂牛病類縁疾患と言われているCJD患者に関する問診は高久座長の委員会のご指示で入れさせていただきましたが、米国のFDAの予防的勧告(プレコーショナリーリコメンド)ということでそういう患者さんの血漿が混入したアルブミン製剤を自主的に回収されて供給に世界的に影響が及んでおりますが、私どもの分画工場に技術導入した米国のメーカーからその影響があるのではないかということの情報が入りましたけれども、全然関係がなくてすんだわけですが、その際に得た情報の文書、米国政府の三機関、FDAとCDCとNIHの合議による迅速な決定に基づく指導があったということが分かりまして、大変感銘を受けておるわけですが、ここに(1) の一番上の点にございます適切に評価する体制というのがございますが、わが国でも安全かつ安定的供給のための国内自給を進める上では、このような行動のとれる行政の体制が不可欠と思っております。このような血液行政を実行できる体制の整備をぜひここでお願いしておきたいと思います。

高久座長

得られた情報について適切に評価する体制を確保していく必要があることはおっしゃるとおりだと思います。いままではどういう体制で評価をしていたのでしょうか。これは日本赤十字社さんの方でしていたのですか、それとも厚生省の方でしていたのでしょうか。

適正室長

これまでは私どもの方で収集された副作用情報を分析・評価しておりました。いわゆる感染症の取り扱いというのは通常の副作用の範囲ではなかったわけでございますけれども、血液製剤も医薬品の一つとしてこれまで副作用については企業からの報告、それから国内のモニター病院からの直接報告の二つの柱で情報収集をしておりました。収集されたものにつきましては基本的には中央薬事審議会の副作用調査会という調査会において議論をし、評価をし、その結果に基づき情報伝達等というものを迅速に行うようにしておりました。これは前々回にもいろいろご質問があったかと思いますけれども、血液製剤でいえばGVHDのようなものは日本赤十字社からの報告に基づいてプレス発表等行い注意喚起を行ったところです。それが通常の安全対策でございます。今後報告対象として感染症が入ってくることになります。これまでは、肝炎とか、そういった明らかに不可避な感染症というものは広い意味での副作用の中で取り上げられておりまして、そういうものがあれば当然副作用調査会あるいは関連の調査会たとえば血液製剤調査会、そういうような中央薬事審議会で取り上げて意見をいただきながら対策を講じておりました。ただしエイズのような未知のものというものに対しては、今後の課題として薬事法の中でいわゆる医薬品によると疑われる感染症に対してははっきりと今後情報収集を行うんだと、企業は報告を行うという義務を持つ。そういった形で今後はますます収集される情報が増えてくるだろうと考えています。それに対応する調査会として副作用調査会のみで良いのかあるいは専門の調査会というものを構築するのかはこれからの検討課題として私ども考えております。

高久座長

これからの検討課題ということでありますが、この報告書のデータに基づいて具体化していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

小室専門委員

いまの点でよろしいでしょうか。体制の問題、評価の問題、皆大切と私考えております。私も厚生省の研究所におりまして特に感染症につきましては現場では非常に評価の問題についてはとまどっているのが現実です。と申しますのは血液に限っていいますと、この問題はどこの課が扱っているのかという問題がございます。あらかじめこういうタイピングしろという命令がくだる前に科学的に評価するとここまではいらないとか、あるいはもっと必要だとか、そういう問題についての検討がなされないで結果が出てくるわけです。ですからこの問題は十分検討して現場が困らないようにしていただきたいという要望は非常に強く持っております。

中井専門委員

関連で。私よく分からないんですけれども、安全性については薬事法の規定に基づいていろんな調査会があって、いろんな対応をするというのがおそらくいまの制度上だといまご説明いただいたことだろうと思うんですね。それとは他に任意の安全性委員会というのが設けられた。たとえばさっき草刈委員が説明されたことと、この関係はどのように理解すれば良いのか分かれば説明していただきたいと思いますが。

高久座長

事務局側からの説明では副作用調査会で一応一括してやるということになっていたと思うのですが、草刈委員がおっしゃった様に、CJDの場合に副作用調査会でやるのはかなり難しいと思います。どうでしょうか。事務局の方。どうぞ。

適正室長

そういうような特殊なものにつきましては、特別な部会というものを中央薬事審議会の中に設置することは可能です。狂牛病の件が昨年3月に問題になりまして、それについてはいわゆるウシ由来物質を原料とするような医薬品についての安全性の評価というものを別途伝染性の脳症の特別部会というものを設置をいたしましてそこでその分野に限った形での専門家に集まっていただき評価をしていただいております。その部会がございますので、そういったものが常設できるような形がとれればというふうに私どもは考えております。

草刈委員

現場のこのときの気持ちとしては地震予知判定会議みたいなもので、迅速に方針の決定がすぐできると良いなという気持ちをもっております。

高久座長

必要に応じて速やかに作ってもらいたいと。

三星委員

危機管理体制というのは大変重要なことと素人に考えられるわけでございますけれども、いまの厚生省の中でそういう国際的ないろんな問題になったときの担当といいますか、技術的な方というのは何人ぐらいでやっておられるんですか。

企画課長

最近の例で申し上げますと、イタリアにアメリカから輸出した血液製剤につきまして、抗体検査でアメリカの国内では抗体検査は受けたわけですけれども、イタリアで抗体検査をイギリスに委託をしまして、そこで抗体検査の問題が出てきて結果的には検査法が違ったということが分かったわけですけれども、私どものそのときの対応で申し上げますと直接アメリカのFDA、イギリスの規制当局等もファックスなり電話で連絡をとるという体制でやっておりました。端的に申し上げますといまの薬務局のそういう技術的なレベルあるいは語学的なレベルで申し上げますと特に国際的な部門の担当者を置かなくても、直接そこのセクションの人間で対応できるという状態になっております。先程ちょっと申し上げましたメーカーからの情報提供というのはもちろんメーカーとしては薬事法上の義務でありますし、医薬品の製造の場合の第一次責任はメーカーにあるというこれは最高裁の判決でも出ております基本的な原則でございますので、血液製剤の場合にも血液製剤のメーカーはまずそれをきちんとやっていただくということが大事なことでございますけれども、それは4月1日から直接薬事法に基づく義務として行ってもらうということが必要なわけですが、いまお話にありましたような緊急の場合にはだいたい血液製剤の場合に日本国内だけではありませんでアメリカあるいはヨーロッパとの関連でほぼ同様な状態が起きるというケースが多くなっておりますので、そういう意味で政府間でキチンと情報をとっていくというのがまず大事だろうと考えます。それから先程からお話ありますような中央薬事審議会なりあるいはいろいろな調査会のレベルで専門的な判断が必要だということであればそこにできるだけ迅速にお話を申し上げて行っていくということでもちろんアメリカにはアタッシュがおりますし、ロンドンにもおりますが、先程の経緯から申し上げますとアタッシュを通じて情報収集するよりも直接FDAの担当と連絡するということの方が良いのではないかと。それから来年度はそういう点もございまして、外国のそういう医薬品規制当局に薬務局の職員を常駐する形で配置をするという予算を計上いたしておりますので、今年の秋ぐらいからはその点も可能になってくるんではないかと思っております。

三星委員

どちらにいたしましてもエイズの問題から派生している血液問題でございますのでこういう危機管理についてだけは厳重な組織ができるようにお願いをいたしたいと思います。

高久座長

1の終わりの方に患者に対しても血液製剤の安全性に関する情報が適宜理解されやすいことばで提供されると、そのことによって血液製剤に対する患者さん自身の関心が深まり、また自らの選択や、インフォームドコンセントを求められたときに自己決定に役に立つのではないか。疑問の形になっていますが、役に立つことは間違いありません。患者さんに対する適切な情報の提供ということについてはご異存がないと思います。

湯浅委員

来月から輸血に関する説明と同意が義務づけられ各医療機関でこれが行われると思います。説明を行うこと自体が医師にとってもほんとうに適切な輸血かどうかということの反省になります。

高久委員

そうですね。説明をするときにですね。

秀嶋委員

いま湯浅委員が言われました輸血はそうでございますけれども、血液製剤のとこまで拡張した方が私は良いんじゃないかなというような気がしてますが。

湯浅委員

最近の緊急安全情報で、ヒトパルボウイルスB19が分画製剤の中に混入している可能性があると伝えられました。やはり血液製剤も秀嶋委員がおっしゃるようにそうすることが必要だと思います。そういう意味では血液製剤というのは輸血用であろうが、分画製剤であってもやはり血液製剤であるという考え方が大事だと思います。医薬品というより。

秀嶋委員

私保険にこだわるわけではないんですけれども、血液製剤という観点からインフォームドコンセントがキチッとやるということを私たち医療機関がやるべきだというふうに私は思っておりますので、保険で左右されるということではなしにそういうことをやっていただくというふうな。私も病院協会などではそういうふうに指導していこうかなというふうに考えております。

高久座長

湯浅委員がおっしゃった保険云々というのは、血液製剤と血液分画製剤の両方が入るんですか。血液製剤だけですか。

湯浅委員

これは輸血用製剤でしょうね。

高久座長

では分画製剤にはその保険云々というのは適用していないわけですね。分かりました。

湯浅委員

血液製剤ということで私たちはそういう態度をするわけでございます。

草刈委員

いま行政ご当局のいろいろご苦労は伺っているんですが、先程申し上げた米国の政府の文書の中で述べられている米政府の基本的考え方というのはいまの薬事法にどうも相容れないような気がいたします。法律の素人でございますが現薬事法で血液製剤の安全を図るのが妥当か否か、別の法体系で安全を図ることを私たちは良いと思っているんですがぜひ検討をお願いしたいと思います。

高久座長

分かりました。私は薬事法についてはあまり知らないものですから皆様のご意見を聞きながら検討します。

中井専門委員

ただアメリカは薬事法でしょう。

草刈委員

いやいや、さっきの米政府の見解と日本の薬事法のことを言っているのです。

高久座長

この点に関してはどなたかご意見おありでしょうか。

企画課長

私の方からいまのお話ご説明申し上げますとアメリカでエイズの問題が起きまして、エイズの問題につきまして米国政府が依頼をいたしまして検討といいますか、その中で、当時のアメリカの中でいま草刈委員がおっしゃいましたFDAとCDC、特にFDAとCDCの関係で必ずしも連絡が密ではなかったのではないかということがあるようでございます。これはいろいろな面でエイズの問題以外の面で、端的に申し上げましてCDCでいろいろな研究なり提言されたことが必ずしもエイズ以外の問題でFDAの目から見ましたときに結果的に必ずしも客観的な指摘ではなかったというケースなどもあったようでございます。そこでFDAとCDCとの信頼関係といいますか、そこが不十分だったのではないかということがあったようでございまして、それでアメリカでは現在のところそういうFDAの任務はもちろんFDAの任務で変わりませんし、CDCの任務はCDCの任務で変わりませんけれども、全体を調整するなり連絡を密にするという、そういうものが必要ではないかということで動きだしたような状態で、それはいま草刈委員がおっしゃいましたFDAとCDCやNIHとの迅速な対応関係という、アメリカの諸機関の間の調整なり協同関係といいますか、そういう問題であろうと。それはこのこと自体はたとえばFDAの長官も権限を変えるわけではない。ですから最終的な医薬品に対する責任はFDAの長官が持つわけですけれども、そういう緊急時の意思決定なり、そういう調整をいかに進めるかという問題で、これは日本においてももちろん検討しなくてはならない課題だろうと思います。

湯浅委員

その一つ前に医療機関にいかに情報を提供するかということがございますけれども、医療機関側からいいますとどんな情報が来てもそれをいかに医療機関が受け入れて、それをいかに迅速に現場のドクターまで伝達するかというそのシステムが大事なのです。規模が大きくなればなるほど伝達が院長どまりで書類が上の方を廻るだけで現場にはこない。大きな規模のところでは輸血部門だとか、輸血療法委員会を作ってそこでしっかりと受け止めてそれをさらに説明を加えて現場のドクターに伝えるという受け入れ体制側の整備が大事だということを申し上げておきたいと思います。

行天委員

これ全体の問題になるんでございますけれどもね。いずれ文言のときに考慮していただけると思うんですけれども、基本的に患者ではなくて国民全体は血液というものの安全性は非常に疑問を持っていなくて、血液というものは身体の中にあって自分のものでもあるし、他人のものであっても人間の中にあるものだから、何ら問題がないと、そういう意識を非常に強く持っていると思うんです。今度の問題でもそれが底辺どころか本流にあるものですから、私はやっぱり血液というのは非常にリスクを持っているものだと。それを前提に国民全体にまず理解してもらって。となるとその伝達の方法、対応の方法としてはそうとうキチッとしたことが必要になってくると思うんですけれども、対策としてはある意味ではエマージェンシーに近いようなことがらの対応ですから、他のものとはちょっと違うんで緊急対応的なものの組織さえキチッと作っていただければそこまでが限界じゃないかなという気もするんですけれども、特にさっきお話が出ましたFDAとCDCのなかなかうまくいかない点なんかというのは日本の場合は一本化できればかえってやりやすい面もあるんではないかとちょっと楽観しているんですけれども、要はあまりにも安全だという安全神話みたいなものが出来過ぎているんで、それがベースになっているから今度のようなことも起こるし問題が起こってきたんだろうと私は思います。もっと高い学問というとおかしいんですけれども、非常に危険なものをこれから持っているというのはどうでございましょうかね。

高久座長

国民だけではなくて、ドクターの中にも安全だと思っている人がいて、これはまた後で出てくると思いますが、医学教育の中で徹底して教える必要がある。そうすると血液の使用量ももっと減るのではないかというふうに思います。

中井専門委員

いまのに関係して。アメリカとか、ヨーロッパの報告書を見てみますとむしろ今は輸血というのはかつてから比べれば極めて安全になったんだということが最初に出てくるんですね。特にHIVが起こって血液の安全性に対する信頼性が非常に揺らいだ。それが国民感情の中で、必要な輸血も行われないような事態が少なからずあるというような趣旨のことを書いているんですね。だから確かにリスクを強調することと安全性を強調することとは本来相いれない話で非常に難しいのかも知れませんが、あまりリスクを強調するかえって輸血の支障が起こるというのでは困るような感じもしないでもないんですけれども、これは私はドクターじゃないんで良く分かりませんけれども。

高久座長

私も元ドクターですからドクターの立場からいうと輸血はやらなくてすむならやらない方が良いというのが基本的な立場です。分画製剤となるとまた少し意見が変わりますが、少なくとも血液製剤に関してはやらなくてもすむならやらない方が良い。しかしやらざるを得ないから使っているというのが、現状だと思います。
次に安全性の確保対策で献血者に対する全国的な記録の保管管理体制が構築される必要性があるのということですが、献血者に関しての全国的な記録の保管管理はどうなっているのですか。

草刈委員

全国的な記録の保管管理をやっております。センターごとの記録のシステムを。そして献血者の方々の献血行動が非常に広範囲になってしまいましたので大変な問題ですが、今数年来にわたって全国システム化をやっております。

高久座長

日本では日本赤十字社の方でやっていただくということになるのでしょうね。

草刈委員

今我々は、売血は絶対やりませんから、献血者といわれると日本赤十字社だけになります。

高久座長

それから献血者に関する記録をはじめ製造や販売記録等の保管期間を安全性確保の観点から延長すべきではないかという意見があります。献血者に対する記録はどれぐらいの期間とっているのですか。日本の場合ですが、

草刈委員

採血といえども医療行為でございまして、医療記録の保管が我々5年間ですので同じようにやっておりますが、ここに言われているようにこれでは適切かなと思っております。

高久座長

無限にとっておくわけにはいかないでしょうから。普通どれぐらいが良いと考えるべきなのでしょうかね。難しい問題ですね。

草刈委員

事故が起こったものは、いつまでもと思っておりますが、年間200万例の輸血が日本で行われていると思っていますので、そのため今つめております。

高久座長

200万というと年間200万。

草刈委員

年間200万の輸血医療が行われているとの推計をしております。

前田委員

病院の方の記録と照合できる体制ができればもっとも良いんだと思いますけれども。

高久座長

病院の方の記録は一応5年間ですね。少なくとも輸血を受けた人に関する記録ですね。

中井専門委員

ちょっとお聞きしたいんですけれども、カルテなんかには血液製剤のロットを特定するような記載は今行われているんでしょうか。

秀嶋委員

あります。全部貼ってございますので。

中井委員

そうすると血液センターの記録と照合はできるわけですね。

秀嶋委員

できます。

高久座長

次に遡及調査、いわゆるルックバックについて一定の手順をあらかじめ設けるとともに医療機関等の関係者に対し周知し、ルックバックが適切に行われるように配慮すべきではないか。これは現実にはどういうふうになっているのでしょうか。

草刈委員

やっています。日本赤十字社が先生方のご協力を得ながらやっております。

高久座長

医療機関等に対してですね。新鮮凍結血漿を採血後一定期間保持することとし、その後再び献血者のHIV等のウイルス抗体が陰性であることを確認した上で供給すればウインドウピリオドの危険性の軽減が可能ではないか。これは外国では一部行っているという御説明がありましたが、日本ではまだ行われていないわけですか。

草刈委員

輸血用のものとしてはございません。原料血漿としては分画センターで2カ月保存しておりますが、それでは足りないだろうということと、それまでの間に献血血漿の安定供給のためのプールを増やしておかないという二つの課題を抱えながらいま実施しようと思っております。これはHIVだけではございません。

高久座長

そうですね。ただそれをやりますと1回だけ献血をして、二度と来ない人の場合にその血液は無駄になるということですね。

草刈委員

それは確認できれば良いんですけれどもね。だから血小板なんかは72時間が有効期限ですからそんなことはできません。その後の新鮮凍結血漿がどうなるかということでございますので、いまそれこそ曽野委員が冒頭におっしゃった高久座長の委員会の結論の文章と同様に我々あらゆることをやってあとはほんとうに祈っているという感じですね。その間に有効期限が1年間ありますからできるだけ手元に保管しておきたいだけのプールはやっておかなければなりませんが、これは採血量との関係がございます。

高久座長

そうですね。ここで問題になっているのは新鮮凍結血漿FFPですね。日本赤十字社ではこれを最長1年間おいておられるわけですか。

草刈委員

有効期限は1年です。

高久座長

もっと伸ばすことはできないのですか。理論的に考えてみて湯浅委員いかがですかね。凍結血漿は。

血液室長

参考になるかどうか分かりませんけれど、凍結血漿から凝固因子製剤をつくるときに長くすると凝固因子の収率が少し落ちることもあるわけですので、凝固因子活性という面からすればあまり長くはできないかも知れないと思うんですけれども。

高久座長

基本的には凍結ではタンパクはずっと良いはずですね。

前田委員

不安定因子といわれるものは凍結でも多少の変化はあるかも判りませんが、フィブリノゲンはかなり頑丈ですし、第VIII、第IX因子も安定しています。新鮮凍結血漿の使用で第VIII、第IX因子を補充することを期待して使われることはないと思います。

高久座長

そうですか。ウインドウ・ピリオドの危険性を考えたときに2回献血をして2回目に陰性のときに1回目のを使うことは確かに一番安全ですね。凍結血漿のときですね。

草刈委員

献血なさる方に売血のようなことは要求できませんので、また必ずくるようにというようなことですね。献血という基盤の中での工夫、しかも飛行機が飛びながら修復していくという落とさないように高度を落とさないようにやっていくということの二つの中でわれわれの努力が現状のままでは必要だと思います。

中井専門委員

たしかにその通りだと思うんですよね。フランスとか、ドイツとかやっているクアランティーンというのはこれは献血も含めてやっているんですね。だからそれをどう考えるかということだと思うんですけれども。

草刈委員

売血の方なら何週間後に来てくださいと多分言えるでしょう。それで確認して今日いただいたのを患者さんに供しますとは。ぼくは売血したことがないから。献血者の方には同じことを言えませんよということを言っているんです。献血になじまないとは言ってない。やりますと言っているんです。絶対それは日本赤十字社に対する誤解はお断りします。一生懸命やってます。

中井専門委員

そうするともう1回確認したいんですが、ルックバックをやっているというのはその通りだと思うんですが、これはドナーとか患者さんには通知されているんでしょうか。
ルックバックというのはそういう逆上って追跡をして、連絡がとれるかぎりにおいてはできるだけ早く。

草刈委員

やっております。ただしプライバシーは徹底的に守っておりますからだれだということは決していいません。

高久座長

くどいみたいですが、2年でも3年でも凍結したら同じような気がするのですが、どこかで一回検討する必要があるのではないでしょうか。学問的にですね。献血された血液の一部を保管することが健康被害が発生したときの原因の解明に有用であることは当然ですから、将来的には献血者に関する記録と同程度の間保管すべきではないかと考えております。これは現在は保管を少しはしているのですか、まったくしていないでしょうか。

草刈委員

現在は1年と思って始めておりますが、始めてからそろそろ1年がたちますので、延長する方向に進めております。

高久座長

1年はやっておられる。それは全血ですか。

前田委員

血清分離剤入試験管に全血を採取し、遠心後、そのまま凍結保管しています。

高久座長

血漿ですね。血漿で良いわけですね。何ccぐらいとっておられるのですか。

前田委員

全血として6ccです。

高久座長

年間200何万といったらそうとうになりますね。

草刈委員

年間ですと500万本以上になります。献血者の方は500万から600万人いますから。

高久座長

そうすると記録と同程度といったら大変なことになりますね。

草刈委員

大変ではございます。

高久座長

輸血による感染症や副作用の発生を把握する体制の一層の充実が必要ではないか。これは先程の情報の伝達と同時に発生したときに先程の議論はむしろどのように医療機関に伝えるかということですが、その前に発生したこと自体を把握する体制の一層の充実となっています。これも現場からの報告ということで。

湯浅委員

これ医療機関、現場における体制をしっかりとしておくことが大事かと思います。

高久座長

そういうことは湯浅委員のご主張のように委員会ができたところで一元化して、速やかに日本の場合ですと血液センター、厚生省の方に伝えるという体制になりますね。血液センターから日本赤十字社の本社の方にいったんは入っている。

草刈委員

いえ、中央血液センターの医薬情報部に。

高久座長

そこから厚生省の方に行くわけですね。

秀嶋委員

質問でございますが、今後は医薬品適正使用推進室で情報を医薬品に関しては各医療機関から全部報告してくれということが一昨日話がございました。これが全部血液まで含めてということになりますと、相当にダイレクトに集まってくるんじゃないかと。

適正室長

今秀嶋委員からお話あったのは、私ども大きく二つの柱で情報収集しております。今湯浅委員及び草刈委員の方からお話があったのは企業(日本赤十字社も薬事法上製造業者となる。)からの報告というものであります。もう一つは医療機関から直接に厚生省の方に報告をしてもらうというモニター制度というのがございます。このモニター制度は約3千のモニター病院を指定しましてそこから情報が上がってくるというシステムにしておりましたけれども、非常に報告数も少ないということがございました。各国との比較もいたしまして、来年度からすべての医療機関から報告をもらうというような制度に変更し、協力願えるようPR活動をしていこうと考えています。そういう中で集まってくる報告も対象範囲の拡大もあり多くなるのではないかと考えています。ただし私どもやはり先程の行天委員からお話がありましたが、やはり一般医薬品と血液というのは多少違うように思っております。したがって院内の取り組みもやはり湯浅委員がおっしゃるように輸血はある意味で輸血委員会というか、血液委員会みたいなものがあって、そこが中心になって私どもの方に直接報告が上がってくればより効率が良いんではないかというふうに考えております。

高久座長

そうすると医療の現場では厚生省と血液センターの両方に報告するということになるわけですね。

適正室長

医療関係者からの報告はあくまで自発報告であります。企業報告と日本赤十字社報告というのはこれは日本赤十字社が知った場合には重篤なものは必ず報告しなければならないという義務であります。

高久座長

医療機関側からすれば両方に伝達しなければならないということになりますね。

血液室長

ただいまの感染症等の報告について日本赤十字社を通じた報告とそれから医療機関からの自発的な報告といま二つの報告についてお話がでたわけでありますけれども、今回の資料の最初のときに説明した血液製剤使用適正化普及事業の中でも、96年から感染症の把握という項目も一つ入れさせていただきました。補完的なものとしてこういったシステム等の普及、そういったことにご理解を深めるための一助として役立てていただきたいと考えております。
草刈委員
両方の情報がチャンと活用されなければだめですね。バラバラになっちゃうと何もならないですね。

高久座長

確かに両方報告するのは医療機関としては面倒です。本当は一ヶ所に報告させてそれがうまくつながる方が良いのではないかと思います。いまのお話ですと、たとえばA病院で輸血の事故が起きたときに輸血部の方からは血液センターの方に報告すると同時に厚生省の方にも報告をしなければならないということになるわけですね。そういうことですね。モニター病院でなくて全ての病院が。

前田委員

血液センターの医薬情報への情報というのは輸血感染症がどうか判らないという段階で、調べるために報告されるので、それが副作用であるというためには、検体の確保から検査実施まで大変な手間と費用が掛かります。例えば、肝機能が動いたが、それが感染症のためにそうなったのかどうか確定して報告するのには難しい仕事で、臨床側との間で混乱が起こり易いと思います。

高久座長

当然感染症かどうかということは分からない、ようするにすべてを報告するのではないのですか。

秀嶋委員

これは一応私たち自主的な報告でございますけれども、そういうことはやはり将来のことを考えたら、細大漏らさず報告した方が良いだろうと私はそう思っております。

高久座長

感染症かどうかは別にしてですね。変化が起きたときには全部報告、ということになっているのですね。

湯浅委員

これはあくまでも血液製剤の安全性ということで感染症とか、合併症ということであって、いわゆる輸血過誤による重篤な事故というのはこれは別でございますね。
適正室長
それは対象にはしておりません。ただそれはあくまでも明らかな過誤の場合でございます。しかしこういう情報というのはできるだけ広く集めようとしておりますので、たとえば適正な使い方だったのかどうなのか分からない多少疑問だというのはやはり出していただくようにしております。ただし、このものについては出所は一切外には出しませんので、そういう面では広く集めていくということを考えております。

高久座長

当然GVHDも入ってくるわけですね。

適正室長

当然でございます。

湯浅委員

そういうのが集まればたとえ医療過誤であってもそれは分析されて何が原因だったかということが分かる。それをフィードバックしていただくと現場でもより一層の安全対策の参考になるわけです。それらの報告は受け付けることになっているわけですか。

適正室長

報告はすべて受け付けます。それはすべて評価をすることにいたします。

湯浅委員

その代わりプライバシーといいますか、病院の名などは。

適正室長

そういう出所であるとか、プライバシーの部分については一切公表いたしません。ただ私どもからどういう報告をいただきたいという範囲としては医療過誤とか、はっきりしたものまでも報告してくれとは言っていないということです。そういうものは結果として報告されることはありません。

湯浅委員

航空機事故ではありませんけれども、そういったものも免責的に過誤であっても、何でも輸血に関する重篤な事故というのは報告されるようなシステムができれば良いかなと思っています。

前田委員

直接、確かめたのではありませんが、アメリカではABO式の型違い輸血で何か起こっても報告すれば免責されるようになっています。そのような報告に基づき輸血ではこれ位の頻度で間違いや副作用があるというデータが集められ、情報として利用できる。同様なことが日本で成立するかというのは難しい問題と思います。

湯浅委員

あっても表に出てこない。ときどき新聞なんかで報道されるだけで現実にはもっとあるのかも知れないと思います。

草刈委員

一番は分析するスタッフは何人ぐらいいるのかなというのが大変な手数だろうと思うんで、ちょっと心配ですね。

高久座長

そうですね。ほんとうは全部報告した方が良いですね。ミスも含めてですね。
次に検査項目の見直しや検査方法の改良等が適宜行われる必要がある。これは私も関係していますが、日本赤十字社の方では常に検査項目の見直しや、検査方法の改良等について、委員会を開いて検討していますね。前田委員も関係しておられますね。

草刈委員

国の方に指示を仰いで高久座長の委員会でやっております。

前田委員

国の安全性委員会で感染症はどうやるかを決めて頂いています。その場合、検査の導入や試薬についての検討も必要ではないでしょうか。

高久座長

検査法も検討しているのではなかったのですか。

草刈委員

はい。しております。

高久座長

次に血漿分画製剤の安全性は、ウイルスの不活化や除去工程の導入等によって、高まってきていますが、供血の時点からの安全性の確保対策が重要ではないか。したがって国内献血による場合であっても外国の血液による場合であっても、供血時点の安全性に関わるデータが早期に確認できるようにすべきではないか。この場合問題なのは外国の血液による場合で、供血時点の安全性に関わるデータがどの程度確認できるかという問題があるのではないかと思うのですが、各メーカーさんのアンケートの中にはいろいろ書かれていましたですね。

血液室長

実際にはたとえば中間原料で輸入するときに一番最初に作ったところで原料血漿をこういう抗体抗原検査をして陰性ですよと。そういうサーティフィケートつけている場合がありますし、それから実際に製造の原料血漿のロットまでは追いかけられるようになっていて、追いかけていけば確かに特定の供血者までは分けられる仕組みになっているんですけれども、やはり問題なのはそれが何かあったときにどのぐらいのスピードでできるかということが検討課題だと思っております。

中井専門委員

いつからGMPが施行されるか分かりませんが、生物製剤の上乗せGMPが施行されれば、原料には少なくとも外国からくるものは分画で使うものでしかないわけですから、必ずサインまでフォローできるようにという文面が入っておりますからね。それは重視しなければならない項目になっておりますから、その問題は解決するんではないでしょうか。GMPが施行されれば。

高久座長

そうですか。GMPが施行されるのですね。当然日本にもあてはまるわけですか。
次の47ページの上の方ですが緊急を要しない、あらかじめ輸血の予定が立てられる待機的な手術等の場合には自己血輸血を一層推進すべきである。湯浅委員そうですか。

湯浅委員

今回、輸血に関するインフォームドコンセントが行われますと輸血の種類つまり輸血の選択肢の中に必ず自己血輸血の説明が入りますから、一層の推進に役立つと思います。

高久座長

それから遺伝子組み換え技術を応用した製剤や人工血液等、安全な代替製剤の研究開発に関して民間も含めた広範な研究に一層の進展が望まれる。これは現実にアルブミンが現実化しておりますし、人工血液についてはまだまだ代替というまではいかないと思いますが湯浅委員ご存じでしょうか。

湯浅委員

外国では臨床治験をやっているようですけれども、まだ日本では実験の段階です。

高久座長

それから献血者に対するHIV等に関する情報提供ということで、献血者に対するHIVの検査結果の通知は、感染者の早期治療や知る権利の尊重、二次感染防止等の観点から、陽性者には通知することを原則とすべきではないか。通知に際しては、献血者自身の通知の希望の有無の確認やプライバシーの保護への手厚い配慮が必要ではないか。現実にはなかなか難しい問題があると思うのですが、日本赤十字社としては、陽性者には原則通知しているのでしたかね。

草刈委員

いいえ、厚生省の安全性専門委員会のご提言をいただきまして危険な方の献血をお断りして、いらしていただいても結果は通知しませんというのを表に貼りだして。

高久座長

そうでしたね。献血の現場では陽性者に結果は通知をしないという条件で献血をしていただいている。HIVは全部調べているのですね。日本赤十字社でもずいぶん議論がありましたですね。

血液室長

ただいまご説明ありましたように日本ではHIVの検査の結果は現段階では検査目的の献血によるリスクを考慮して原則的には通知しないことと、そのようになっているわけでありまして、実態としては必要に応じて現場での判断での対応というのが行われているわけでありますけれども、やはり最近のいろいろなものの考え方の変化と申しますか、そういったものもございますので、私どもとしてはやはりいつまでもそれで良いのかとそういうふうに考えております。
高久座長
献血者のHIV陽性率は高いのですか。

血液室長

献血者のHIVの陽性率はだいたい600万人の献血者に対して40人ぐらいですか、だから10万分の0.6ぐらい。それは米国赤十字の成績から比べると10分の1ぐらい、徐々に増えてはきつつあるんですが、だいたいそのぐらいの人数であります。

草刈委員

そのときにぜひ誤解していただきたくないのは40人の血液が輸血に使われたんじゃないんです。これ良く言われるんですが、その感染の危険を止めたということです。

高久座長

今のところHIVの検査を保健所とか、あるいは病院でやるのがいやで献血をするというような傾向はないのですね。

前田委員

それは判りません。献血者における陽性率にはかなり地域格差があるのは事実です。多いところでは外国並の陽性率に近ずきつつあるところもあります。一般的に全国平均でいうと、非常に薄められて多くないように見える。献血者に対してどうするかが、国の安全性委員会で検討されましたが、その時は、現在のところ(ハイリスクとされる人々が検査目的で献血しないように)献血者に通知しない方が、輸血による感染を防止する効果があるという判断がなされました。しかし情勢の変化があれば再考するということが文言として入れられたと思います。ですから、この懇談会でやるのかどうか判りませんが、通知した方がいい時期になったかどうかを検討する必要があるのではないでしょうか。つまり、通知しないことによって被害を受ける人が増えるようであれば考えなおすということです。それをどのようなタイミングでやるかは非常に難しい決定になるでしょう。一度きめられたから献血者にはパーマネントに絶対知らせないことになったとは思っていません。

高久座長
繰り返すようですけれど、献血の現場ではお知らせしませんと書いてありますか。
草刈委員

書いてあります。

高久座長

それでも知らせてくれという方はいらっしゃらないのですか。

前田委員

そのことを口にしてこられる方はまずないです。

高久座長

ないでしょうね。

行天委員

これはいま前田委員がおっしゃったようにものすごく難しい判断だと思うんですけれども、逆にいいますとこの後の献血行動の問題とにらみ合わせますともう言っても良いんじゃないかと。つまり問題というかリスクを抱えている人たちというのはある集団でその人たちは相当情報がキチッとしていますから、キチッとしているというのはおかしいですけれども、情報が十分に行っているので、利用しようと思う人たちはとっくの昔に利用していて、その面における危惧というのはきわめてある線で止まっているというふうに思うんですけれども、今度は逆に言わないとか、いろんな問題というのはまったく新しく献血行動に移ろうとする人たちにいやな印象を与えている面があるんじゃないかと。ですから後のことを引っ張るからもうこのあたりで良いんじゃないかという気がしているんでございますけれども、現実に訴えられているというのが事実だろうと思いますので、なしくずしというとおかしいんですけれども、もうボツボツ良いんじゃないかと。

高久座長

この問題は日本赤十字社の委員会に私がでたときにも非常に長い議論をして結局結論が出なかったのですが、二次感染が起きたときに感染者からなぜ献血で分かっているのに本人に知らせなかったのか。その結果自分に感染したのではないかという問題が起こってきたときには重要な問題になりますので、ここで決めるかどうかは分かりませんが、日本赤十字社の方でもう一回早急に検討されませんか。

草刈委員

いろんなご意見を伺いたいと思いますが、知りたい権利と知りたくない権利があるんだそうでございます。そのへんをどうやっていくかと。

前田委員

この問題とリンクするのですが、HTLV-1が同じ状況にあります。
HIVについてやるのであれば、片手落ちがないようにしなくてはならないと考えます。知らせる方向ならば、問診の形式も今とは変わったものになるでしょう。

高久座長

そろそろ時間になりました。今日ははじめに事務局の方から資料についての説明がありまして、そのあとの時間を費やして「我が国の血液行政の在り方の論点整理(案)」について約3分の1ぐらいの点についてご議論いただきましたが、次回にこの議論を続けていきたいと思います。事務局の方からの連絡事項ありますか。

草刈委員

次回この残りはやるんですか。

高久座長

やりたいと思っております。議論した方が良いと思うのですが。

血液室長

それでは事務局からの連絡でございますけれども、次回の第5回開催日ですけれども、4月の23日水曜日の14時から16時とさせていただきたいと思います。各委員の皆様には後日会議場所等についてご案内をさせていただきます。また第6回以降の開催日につきましては、すでに各委員にはご連絡してありますが、第6回の開催日は5月27日の10時から12時、第7回の開催日は6月25日の10時から12時を予定しております。以上でございます。

高久座長

という予定になっておりますので、委員の皆さん方これらの日に予定をお組み願います。時間になりましたのでこれをもちまして本日の会議を終了させていただきます。本日はいろいろご意見をいただきましてありがとうございました。

        問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
              担 当  猪 俣 (内2903)
                     電 話 (代) [現在ご利用いただけません]

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