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第2回 医療用医薬品再評価の在り方検討会議事録


日 時:平成9年3月17日(月)
16:00〜18:00
場 所:国立教育会館 601号室

安全課長

本日はご多忙のところご出席をいただききまして、ありがとうございます。ただいまから第2回医療用医薬品再評価の在り方検討会を開催いたします。私は事務局をつとめます安全課長の植木でございます。本日は黒川委員、山口委員がご都合によりご欠席でございます。鎌田委員が少し遅れるという連絡が入っております。また本間委員はご都合によりまして1時間ぐらいで退席されます。
それでは前川座長よろしくお願いいたします。

前川座長

座ったままで、失礼いたします。本日はたいへんご多用中ご出席くださいましてありがとうございます。まだご出席でない委員も若干おられますが、定刻になりましたので第2回の検討会をはじめたいと思います。
まず前回ご欠席で今回ご出席の日本医師会常任理事の菅谷委員。それから横須賀共済病院長の山中委員をご紹介申し上げます。どうかよろしくお願いいたします。
本日の議事はご案内のとおり再評価の現状と問題点でございます。まず事務局から現行の再評価の仕組みにつきまして詳しくご報告をいただくとともに問題点をご指摘いただきます。それらと前回の事務局説明に対する質疑、あるいはフリートーキングの際に皆様方からご提起いただきました問題点を加えて討議をいたしたいと考えております。
活発なご意見をたまわりたいと存じております。6時には終了いたしたいと存じますので、よろしく御協力お願いいたします。
まず本日の資料の確認をお願いいたします。

安全課長

はい。それでは資料の確認をいたします。第1回の本検討会の議事録、これは氏名入りのものでございますが、配布しております。それから座席表、議事次第、資料1、資料2でございます。資料1は再評価の現状と問題点という内容でございまして、OHPと同じ内容でございます。資料2は資料1の参考資料です。以上でございます。

前川座長

いかがでございますか。今の資料全部そろっておりますでしょうか。もしないようでございましたから、どうかお申し出をいただきたいと思います。
それでは事務局から資料1、2によりまして現行の再評価の仕組みにつきましてご説明とその問題点のご指摘をお願いいたします。どうぞよろしく。

安全課長

それではご説明をします。

「1、再評価の目的」でございます。
前回も同じ資料を出させていただきました。「既承認の医薬品について、現時点の医学薬学の学問水準に基づき、当該医薬品の有効性及び安全性等の見直しを行い医療上の有用性の有無を再確認すること」これが再評価の目的であります。有効性と安全性の評価を行いその比較考量の上に立って医薬品の有用性の判断確認をするということでございます。
「2、厚生大臣の再評価とは」
これも前回の再掲でございますが、厚生大臣の再評価の具体的な評価基準でございます。 「次の承認拒否事由のいずれにも該当しないことを確認して行う。(法第14条の5第2項)
 (1) 申請に係る効能、効果を有すると認められないとき。
 (2) 申請に係る効能、効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品として使用価値がないと認められるとき。
 (3) 性状又は品質が保健衛生上著しく不適当なとき」
以上が厚生大臣の再評価の基準でございます。ここで資料2の1をご覧ください。厚生大臣の再評価の根拠規定がこの薬事法第14条の5第2項でございます。読み上げますと「厚生大臣の再評価は、再評価を行う際に得られている知見に基づき、前項の指定に係る医薬品が第14条第2項各号のいずれにも該当しないことを確認することにより行う」。この14条第2項各号と申しますのが、このスライドに出ております(1)、(2)、(3)でございます。
「3、再評価のシステム」をご覧ください。同時にこの資料2の3−1をご覧ください。
再評価のシステムであります。ざっとご説明いたしますと、厚生大臣が中央薬事審議会に諮問をいたします。(1)です。次に(2)ですが、中央薬事審議会から厚生大臣に再評価指定の答申をいたします。厚生大臣はその答申を受けまして再評価指定の告示を企業に対していたします。(3)でございます。製薬企業は再評価の申請をいたします。(4)でございます。厚生省の薬務局は再評価の審議の依頼を中央薬事審議会にいたします。(5)です。このとき併せて再評価の諮問もいたします。中央薬事審議会で審議をいたしました結果、再評価結果の答申を厚生大臣にいただきまして、その結果に基づいて厚生大臣から、その結果通知を製薬企業にするというのが再評価のシステムの流れでございます。再評価の指定は製薬企業にとりまして不利益処分になりますので、再評価指定の官報告示(3)でございますが、(3)を行う前に厚生大臣は中央薬事審議会に再評価指定についての諮問をし、再評価指定の答申を受けてから官報告示をするという手続きになっております。再評価の諮問・答申のみならず、再評価指定におきましても諮問・答申を経て再評価指定しているというところが特徴でございます。
「4、現行の再評価指定の仕組み」
仕組みというほど大げさなものではございませんが、再評価指定を定期的な文献スクリーニングに基づくもの。それから臨時の国内外の文献報告から有効性、安全性の見直しが示唆される場合に再評価の要否の検討を行うもの。この二つに分けております。そのいずれのケースも中央薬事審議会の意見をききまして、諮問・答申という形をとって再評価に指定するということになっております。
資料2の4−1をご覧ください。「定期的再評価対象薬効群一覧」ということでございます。その3ページには第1グループ、第2グループの記載がございます。4ページには第3グループ、第4グループがございます。5ページに第5グループということですべての医薬品を5つのグループに分けまして、そのグループごとに5年に1回ずつ文献スクリーニングを行っているわけでございます。5年ごとに1回それぞれのグループごとに文献検索を行いまして、再評価の要否をまず事務局で検討いたしまして、事務局審査で再検討を行う必要があると思われる医薬品につきまして中央薬事審議会に諮りまして必要ありとされたものを再評価に指定する、そういうシステムでございます。
「5、各種検討会の提言(再評価関連)」
薬効問題懇談会。46年7月に答申をいただいておりますが、薬効懇では、有用性の再検討の比較的容易なもの、あるいは社会的要請の強いものから実施をすればどうか、それから製薬企業からの申請資料に基づいて評価を行うべきとのご提言。膨大な数の再検討ということになりますと、個々の品目につきまして個別に臨床試験を行うことは、実務上無理でございますので、このように製薬メーカーからの申請資料に基づき評価をすればどうかという提言をいただいております。
21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会。これは平成5年5月に報告書をいただいておりますが、定期的な再評価の義務づけなどにより、再評価制度の充実をはかるべき、また後発品の品質の確保をはかるべきとの提言をいただいております。
安全性確保対策検討会。これは平成8年11月に最終報告をいただいておりますが、最新の医学・薬学の学問水準に基づく見直しが必要に応じ繰り返し行われることは当然である。こういうご提言をいただいております。
市販後調査検討会。平成8年5月でございますが、一つは再評価開始検討基準の策定、より客観的で迅速な再評価を行いますためには、再評価指定をするかどうかという検討をする際の基準の策定を行うべきというご提言がございました。また資料提出期限の設定をすべしと、また品質確保のための再評価もその実施をはかるべしと、そういうご提言をいただいております。
「6、再評価検討開始のパターン(市販後調査検討会の提言)」
どのような場合に再評価指定の検討を開始するか、その再評価検討の開始のパターンの動機づけを示したわけでございます。その1点は諸外国で製造・輸入承認が取り消され、若しくは販売が停止された場合。これは安全性、有効性両面がございますが、そういう場合に再評価指定の検討を開始する。それから国内外の学会報告、文献報告あるいは安全性定期報告等の知見から改めて有効性・安全性の評価の必要性が示唆れた場合。このケースが一番多いわけでございますが、こういったケース。それから臨床評価ガイドラインが新たに設定または改定され、改めて有効性・安全性を評価する必要がある場合。緊急安全性情報(ドクターレター)が発出された場合。国内外の学会報告、文献報告等の知見から改めて品質の評価の必要性が示唆された場合。以上のようなパターンの場合に再評価指定するかどうかの検討を開始すべし、そういう市販後調査検討会のご提言をいただいております。
「7、新再評価の指定理由(医療用医薬品343成分/処方)」
前回再評価指定の場合に、有効性・安全性に分けて理由はどういったものが多いかというご質問がございましたので、現行の新再評価の指定理由を掲げてみましたこの新再評価は平成元年〜平成8年まで8年間今まで20回にわたって指定告示をしてまいりました。成分数で申し上げますと343成分あるいは処方について指定をしております。
臨時と定期に分けますと、だいたい2:1の割合でございます。指定理由でございますが、有効性が341、安全性が207、その他以上のようになっておりますが、重複ありということでございます。この有効性も341指定理由に上がっておりますが、同一成分で再評価指定の理由が異なるケースもございます。そういった場合には重複して計上をしてございます。この有効性の341成分でも効能・効果ごとに見直しをしているというものもありますので、その場合は重複をしているということでご理解をいただきたいと思います。
「8、再評価制度(システム)の課題」
私どもが今現行の再評価システムの制度の中で改善が必要であろうというように考える点でございます。その大部分につきましては今までに相当改善、あるいは対応策をとりつつあるわけでございますが、一部については、対応が不十分な課題も残っております。
厳格性。真のエンドポイントの検証。迅速性。網羅性・恒常性・公平性。品質確保。再評価提出資料の信頼性確保。
といった点がございます。
「9、厳格性への対応(平成3年2月再評価指定)」
資料2の9−1、6ページをご覧ください。
再評価は、より厳格な試験に基づいて厳しく行うべしと、そういう声もございます。そこに漢方エキス製剤の再評価について掲げております。
指定の経緯等でございますが、漢方エキス製剤については、漢方の専門医において長く使用され、成書等でも評価された処方の内から、長年の使用経験等を踏まえて中央薬事審議会の審議にもとづきまして、現在、147処方が医療用漢方製剤として承認されております。
しかしながら漢方エキス製剤に対しては、品質が一定していない、あるいは客観的な臨床評価による有効性の証明が行われていない、あるいは副作用が散見されること等の問題が指摘されまして、臨床使用経験のみならず、精密かつ客観的な比較臨床試験の実施とそれに基づく評価が必要であるとされたことから、平成3年2月に小柴胡湯等、代表的な8処方を再評価指定いたしました。
漢方の再評価のあり方でございますが、薬価基準に収載されているものだけで147処方(再評価当時)あり、これらを一度に再評価いたしますことは現実的には、不可能でございますので、順次実施していくこととされました。漢方処方は中心となる生薬によりまして一般に桂枝湯類麻黄湯類、葛根湯類、柴胡湯類などのいくつかのグループに分類されることから、この漢方エキス製剤の再評価を偏りなく進めていくためには各グループから同数ずつ指定していくのが適当であると、そういう方針が打ち出されました。各グループ内での順序は多くの処方におきまして新たな臨床試験の実施が必要と考えられますためにすでに評価に耐えうるような資料があるもの、有効性の評価が容易なものから実施していくこととするとされまして、そこの8処方が指定されたわけでございます。
漢方エキス製剤の再評価を行うにあたりまして、平成3年度当時プラセボの作成も可能となってきたというようなことから臨床評価を適切に行いますために、まず東洋医学的な漢方特有の効能、効果を西洋医学的なものに整理をいたしまして、処方毎に効能・効果別に臨床試験計画をとりまとめた後にそれぞれ処方毎、効能・効果毎に再評価するという、そういう方針が打ち出されまして、現在ではプラセボを対照とした二重盲検比較臨床試験を各企業が実施をしていると、そういうところでございます。
今までに平成7年3月に大黄甘草湯および小柴胡湯、平成8年3月に小青竜湯につきまして順次結果を公表しているところであります。
「10、真のエンドポイントの検証への対応(平成7年5月再評価指定)」
同時に資料2、10−1をご覧ください。
腫瘍縮小効果で承認をしております抗悪性腫瘍剤につきまして真の効能と申しますか、真の有用性、すなわち延命効果、あるいはQOLの改善に役立っているかどうかといったことを検証するための再評価でございます。
指定の経緯でございますが、定期的な文献スクリーニングによりまして、文献検索の中で相当多くの副作用が報告されました。
この代謝拮抗薬でございますが、医療上の有用性についても問題点が指摘されたということから平成7年5月に再評価指定したわけでございます。
現在は、製薬企業から既存の文献の整理をさせまして、それについて現在、ヒアリングを行っている最中でございます。
2、にありますような代謝拮抗薬、10成分について指定したわけでございます。新薬について抗悪性腫瘍剤の臨床評価方法に関するガイドラインが策定されております。平成4年10月でございます。このガイドラインでは新薬について腫瘍縮小効果を確認することによってまず承認をし、そして延命効果あるいはQOLの改善につきましては市販後調査において確認することができるというようにされているわけでございます。
試験を実施する場合の課題ということで対照薬の選択をどのように行うか、試験実施にかなりの長時間がかかりますので、評価が終わったときにはすでに医学、薬学の学問水準が進歩しているということも考えられます。膨大な数の市販後臨床試験を果たして実施するのか、またできるのかといった問題。市販後臨床試験に参加する患者さんにとってメリットがあるか、ないかというような問題点も検討をしているところでございます。
「11、市販後臨床試験実施の困難さ(厳格性への課題)」
厳格性への対応といたしましてダブルブラインドテスト等の市販後臨床試験が要求されるわけでございますが、試験に参加する患者にメリットが少ない。市販後臨床試験は、既に承認された薬について行いますので今の国民皆保険制度では試験にとくに参加しなくても患者さんがそれを使おうと思えば、いつでも保険医療でその薬が使えるわけでございます。そういう試験に参加する患者さんのメリットが少ないということでございます。また、研究的要素に乏しく医師・医療機関の関心が低い。治験と異なりまして製薬企業にインセンティブが働かないといったことがございます。
「12、迅速性への対応(平成8年4月再評価指定)」
資料2の12−1をご覧ください。
通常の再評価のやり方といたしまして、再評価いたしましてから、4カ月後に既存データを収集整理させまして、厚生省に提出をしていただくわけでございますが既存のデータで評価ができるケースは良いわけですけれども、評価できないということになりますと、さらに市販後の臨床試験を指示してやっていただくわけでございます。その場合に今までは提出期限というものを設定していなかったという状況にございます。この脳循環代謝改善薬の再評価につきましては、平成8年4月に再評価指定をした36成分を再評価するにあたり、そのすべてについて一度に再評価指定を行い臨床試験の実施を求めますと約4万人の被験者が必要になるということで実務上困難でございますので、これを2段階に分けることにいたしまして、第1段としてアバン等の5成分を再評価に指定をしたということでございます。
課題といたしましては、第1点は現在わが国では痴呆症に対しての効果的な薬物治療が存在をしないこと。第2点は脳梗塞後遺症における意欲低下、情緒障害の改善といった適応自体が海外では認められていない効能・効果であること。ちなみに欧米における適応はアルツハイマーということであります。有効率が非常に低い、また効果判定が難しいといった課題もございます。
「13、網羅性・恒常性・公平性への対応」
再評価指定に偏りがないだろうか。継続して見直しが行われているかどうか。また不公平はないかどうかといったことへの対応でございます。
今までとってまいりました措置といたしまして既承認薬を5群に分けまして定期的な文献スクリーニングを実施してまいりました。昭和63年5月からでございます。
臨床評価ガイドラインが作成・改定された薬効群ごとに見直しを行う。そういう方針を62年の中央薬事審議会の合意事項として取り決めていただいております。個々の医薬品ごとに個別に再評価指定の是非を検討するのみでなく、ガイドラインが策定されました場合にはその薬効群ごとに広く医薬品の見直しを行っていこうとするものでございます。
資料2、13−1をご覧ください。臨床評価ガイドラインについて書かれております。現在までに11の薬効群につきまして臨床評価ガイドラインを策定しておりまして、新薬の臨床試験に適用するのみならず再評価のために行う市販後臨床試験にも活用できるものは活用していくと、そういうことでございます。
「14、定期的な文献スクリーニング」
再度、定期的な文献スクリーニングで少し細部にわたって掲げてみました。定期的な文献スクリーニングのやり方でございますが、まず(1)薬効群を5群に分類をいたしまして、(2)その年の対象成分につきまして、過去5年間の文献の検索を行います。次に(3)要検討文献の選別と関係企業への通知を行い、(4)6週間以内に関係企業から意見の提出を求めます。このような経過を経て、(5)中央薬事審議会で関係企業の意見も含めて審議をしていただきまして、再評価指定の要否を検討すると、こういうことでやっております。
「15、定期的な文献スクリーニング(最近3年間の平均値)について」
この文献スクリーニングでございますが、過去3年間の平均値を掲げております。年間に約1万6000の文献を検討いたしまして、その中で要検討の文献数が158文献ございました。その内訳はご覧の通りでございます。
文献スクリーニングによる再評価指定成分数として年間に9成分・処方を再評価指定を行っております。
「16、定期的な文献スクリーニングの課題」
有効性についての問題文献がほとんど検索できない。
過去3年間の平均で約1万6000文献を検索し、約1%しか問題文献が選別できなかった。
規模の大きい市販後の比較臨床試験は主に企業が実施するわけでありますが、その結果を専門誌に投稿するケースが、非常に少なくなってきております。
以上が定期的な文献スクリーニングの課題でありますが、事務局としてはルーチン・ワークにたいへんな時間と労力を使うわけでありますが、こういう課題があります。
「17、品質の確保への対応(平成9年2月再評価指定)」
同時に資料2、17−1もご覧ください。
銘柄間の品質の同等性を確保するために平成9年2月にニフェジピン等12成分の経口剤につきまして再評価に指定をいたしました。
資料17−1でご覧いただけますように経口剤につきましては銘柄間、たとえば先発品と後発品の間で生物学的利用能の差を示唆する報告もあり、疑義のある品目については、生物学的同等性試験により同等性を確認するとともに、併せて溶出試験規格を整備し、品質の一層の確保を図る必要があるという観点からニフェジピン等12成分につきまして再評価指定したわけです。12品目となっておりますが、12成分に改めていただきたいと思います。
「18、再評価資料の信頼性確保への対応」
昨年の薬事法の改正によりまして、GPMSPの根拠規定を法律でつくりましてGPMSPにつきましては、本年3月10日に医薬品の市販後調査の基準に関する省令を公布しております。このGPMSPの法制化に基づきまして、再評価申請資料がGPMSP基準にしたがって収集され、あるいは作成されたものでなくてはならないということとなりました。
再評価適合性調査の実施につきまして書面調査と実地調査を行うということになっております。これによりまして今後、申請資料の信頼性の確保については可能となるというように考えております。以上でございます。

前川座長

どうもありがとうございました。再評価の仕組みと問題点についてたいへん詳細にご説明いただきました。この問題点は網羅されたような感じがいたしまして、これで討議はしないで今日は終わりといえば済んでしまうような感じがしないわけではございませんが、6時まで用意がございますので、一応今の説明についての質問をお受けしたいと考えております。しかし、質問をお受けしてその答えをいたしますとそれが今日のフリートーキングと申しますか、今日の討議内容にもなってしまいますので、今日の事務局のご説明は問題点の大きな指摘であったということで、それをいくつかに区切りまして若干の討議をしてみたいと存じます。
ご記憶あるかと存じますが、前回も医療用医薬品の承認審査、再審査、再評価の流れにつきましてたいへん多くの資料を要領よく取りまとめてご説明をいただいておりまして、それに対して質疑とその後、主として再評価のあり方についてフリートーキングをしていただきました。そういう中で医療用医薬品につきましては、製造または輸入申請時の審査だけでなくて、市販後も有効性・安全性等について収集されました情報を再審査、あるいは再評価する必要があることは委員の皆様ご理解いただけたかと考えております。
しかし市販後に行われます再評価に関しましては、いくつかの問題点があることも指摘いただきました。
これらを大別いたしますとまず第1番目は市販後の医薬品の再審査・再評価体制に関するものであると存じます。
第2は、再評価指定に関連した問題点でございました。
第3は、再評価申請用の資料に関連したものでございました。
最後の第4は再評価の進行に関するものでありました。
これに本日事務局からご指摘いただきました厳格性、迅速性、網羅性、恒常性、継続性、あるいは真のエンドポイントの検証、品質への対応、さらに再評価提出資料の信頼性をいかに確保するか等の問題点をからめまして、討議をしてみたいと考えております。
なお時間がもし余りましたら、前回ご指摘いただきました副作用とか有用性という問題のある用語についてのご意見を承ろうかと考えておりますので、よろしくご協力をお願い申し上げます。
いまの座長の方針に対して反対の方がおられましたら、ご意見をおうかがいしたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
そうしますとまず第1番目として市販後の医薬品再審査、再評価体制に関連する問題点を取り上げてみたいと思います。いずれも医療用医薬品の安全性、有効性あるいは品質を確保する上でたいへん重要であることはご認識していただいたものと考えております。これはさきほど申し述べたとおりでございます。ともに市販後に行われますが、再審査は新医薬品のすべてが対象となりますが、再評価は一定の手順を経た上で厚生大臣が再評価に指定することから始まります。そこで網羅性、恒常性、あるいは継続性といったことが問題になってくるわけでございますが、ご説明にありましたように定期再評価と臨時再評価がございます。網羅性、恒常性と関連いたしますのは、定期再評価でございます。定期再評価では5年ごとに一定薬効群について厚生省がスクリーニングを行います。これは広義には再評価の一端と見なして良いかと思いますが、薬事法上の再評価には該当いたしません。
臨時の再評価は、ただいまご説明いただきましたような手順で行いますので、網羅性とか恒常性というわけにはまいりません。すでに昭和46年7月の薬効問題懇談会の答申の中に「学問のレベルの向上に対応して医薬品の再検討が常時実施できるような体制を早急に整えるのは当然の措置である」という記載がみられます。また本日ご紹介いただきました平成5年2月の21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会の中間報告に「承認済の医薬品について学問の進歩等に伴って見直しを行う再評価制度については定期的な再評価の義務づけなどによりその充実を図ること」と書いてございます。網羅性、恒常性、継続性が必要になると思いますが、これを踏まえて、まず討議をしたいと存じます。
まずお願い申し上げたいのは定期再評価についてのご意見をうかがいたいということでございます。定期再評価については、現行すでに行われておりまして、現在のままで良いという考えもあろうかと存じます。現在の定期再評価についての課題は資料1の16ですでにご指摘をいただいております。一方現在のようではなくて、全医薬品につき定期的再評価を行うべきであるというご意見もすでに出ておりますが、これについてのお考えも承りたいと思います。それから再評価には、二つあると申しましたが、臨時を主とすべきであって定期の必要はないという意見もあろうかと存じますが、どなたからでも結構でございますが、ご意見をいただければと存じます。

森岡委員

定期の再評価に関連いたしまして、GPMSPの法制化になりまして、4月からそれでやると。そうしますとGPMSPと定期の再評価との関係というのはそれとまったく関係なしにでございましょうか。従来は法制化されていなかったために現在の再評価の中身というのがそれなりに意義があったように思うんでございますが、法制化されますと再評価の中身と関係があるんではなかろうかと思うんでございますが、その点はいかがでございましょうか。

前川座長

私からお答えして、あとは事務局の方から追加をお願いしたいと存じます。
再評価についての資料の要求があるかと思いますが、その中で調査とか、場合によっては治験が必要になってくる場合がないわけではないと思います。調査とか、治験についてはGPMSPに準拠するということが書いてございます。したがいまして両者には、密接な関係があると私は考えておりますがよろしゅうございますか。
安全課長
いま座長のご説明の通りてございますが、シートの一番最後の18でございます。「再評価申請資料の信頼性の確保への対応」というところで若干ご説明をしましたけれども、GPMSPが法制化されまして、製薬企業が遵守しなければならない基準として、これが定められるわけでございます。したがいまして、再評価申請資料として提出される資料はGPMSP基準に準拠してこれが収集され、作成されなければならないという規定になりました。また申請資料に対しまして、書面調査実地調査を行うということでございます。これは定期、臨時にかかわらず現行の再評価に適応されるわけであります。以上でございます。

森岡委員

内容はですね。たとえば安全性に関連するものは新しくPSURを含めまして緊急安全性対策情報という、PSURというそれらの安全性情報については迅速な情報の収集と提供というのが行われるわけです。中身の安全性ということについてはほとんどこのことによって担保されるのではないかというふうに思えるのでございますが、その点でいかがでございましょうか。これからは海外の安全情報、国内の安全性情報もそれぞれ的確に集められるのではないかというふうに思えるので従来よりは安全になると

安全課長

いま森岡委員がご発言されておりますことはおそらく副作用についての安全対策だろうと思います。今日この会議は再評価の在り方に関する検討会ということでございますが、副作用については、製薬企業から厚生省への報告義務もございますし、私ども独自にモニター報告で副作用を収集しております。そういった収集した副作用につきまして私どもは、安全性の観点からそれを評価をし、安全対策として薬事法で必要な対応をとっております。それは安全性という観点のみから必要な措置をとっているということでございます。ほとんどが副作用の収集とそれに対する対応ということで概ねいろんな措置がとられているのです。それでもなおかつそれだけではまだ不十分であるとして、当該医薬品の有効性と安全性の比較考量においてその有用性を評価し、その有用性の観点から、更に必要な措置をとる必要があるというものが再評価にまわってくるわけであります。安全性の観点からのみの安全対策というのはこれは非常に緊急を要します。したがって、速やかにそれはそれで一応の措置がとられます。有効性と安全性の比較考量で再度検討する必要があるものが再評価になるわけでございます。

前川座長

PSURが昨年11月のロンドンのスティアリングコミッティでICHのステップ4になったというふうに聞いておりますが、そこのセイフティということばがわれわれがイメージする副作用とだけ結びついているのではなくて、かなり有効性の部分も含んでいるようでございます。ステップ4の文章読んでみますと事例と申しますか、報告の様式的なものがあるのでございますが、その中に有効性についての項目も出ているようでございますね。そうしますとPSURというのはいわゆる副作用だけではなくて、有効性まで入っているんだということになりますと、PSURをいまやっております定期再評価の文献検索の対象の一つにすれば、私は文献検索が非常に内容が豊富になりまして、文献を集めたのが15000でございましたか、何かそういう報告も含み、再評価指定が定期のものも含めて、うまく行くんではないかというようなことをひそかに考えております。あんまり大きい声で言えないものですから小さい声で申し上げたわけでございます。それは間違っておりますか課長さん。

森岡委員

そういうもので代替できないものかというふうなことでございますね。

紺野副座長

いま森岡委員の言われたことは極めて重要なことであると思っております。
GPMSPの検討を今までにしてきた立場から申し上げますと、この前も申し上げましたようにGPMSPではそういう副作用については報告する義務をもっているということです。一方、いろいろな文献の検索などから、あるいは学会の報告などから予測することのできない有害事象が発生したときには、緊急安全性情報が副作用調査委員会からドクターレターというような型で発せられて、ある程度の規制はできますけれども、その他のことはそれほど多くのことを期待するわけには行かないということです。例えば、発売禁止だとか自主的に発売を止めるというような規制項目は何もないというわけです。ですからほんとうは製薬企業の自浄作用があってしかるべきだということですけれども、実際にはそこまで行くのに企業の中での決断は、なかなかうまくはいかないであろうし、実際に市販されている実情から考えてもなかなかそうしにくい場合もあるように理解します。そうすると行政としては、それに対してどこかでもう一度再評価をする必要があるという指定をしなければならない場合も生じてくるということです。はじめは市販後の一定期間内で1回行うことは必要ですが、その後は随時やらざるを得ないことになるのだろうということです。ですからその際の、再評価の資料を作ることはいままでの資料の作り方よりかは楽になるであろうと思います。たださきほど言いました臨床上の有用性とか、そういうことに対しての疑義となりますと、なかなかうまく行かないところも出てくると思います。座長が先ほど言われました、文献での検索となりますと有効性に関して書かれている論文はたった1%しかないというようなところにまだまだ隘路があると感じております。ただ今後はこの制度が進めば、少なくとも企業の負担は副作用の調査に関しては楽になるだろうというべきか、自動的にできるようになるだろう思いますが、いかがでしょうか。

前川座長

GPMSPの一つの項目として市販後調査管理部門というのを社内に独立して作れというのがございますよね。この責任者も決めなさいと、これはたとえばPSURを報告するときの体制としても非常にしっかりしたデータが出てくる可能性があるというふうにお考えいただければ両者は密接に関係しますし、これがうまく機能すれば信頼性のあるデータが出てまいりますし、そのデータに基づいてスクリーニングが行われれば、製薬企業側も納得できるような再評価指定がくるんではないかということは、私はひそかに考えております。他に何か。はい。

山崎委員

いまのことと関連するんですけれども、前回も申し上げましたが、GPMSPの法制化とか、PSURがスムーズに行きますと、資料1−6に開始のパターンというのがございますが、この項目に該当する事項が出てきて、それで臨時の再評価指定の機会が増えるだろうということを申し上げたんですが、ちなみに資料1−7に再評価の指定理由というところに臨時と定期ということを考える場合に臨時が67%、定期が33%とございますね。この中身についてもう少しご説明がいただけますでしょうか。たとえばこの中の有効性、安全性というものが臨時の場合にはどのくらいで、定期の場合にはどのくらいというようなそういう資料があったら、おうかがいしたいと思うんですが。

前川座長

はい。どうぞ。

安全課長

臨時と定期に分けまして、それぞれ指定理由をというお話でございますが残念ながらそこまでカウントしておりません。次回までに作成していきたいと思います。

山崎委員

おそらく私がいまうかがった理由は臨時の再評価に取り上げる機会というのが非常に多くなってくるだろうと。一方で定期的な文献スクリーニングの場合には先ほどのお話では16000文献を調べて1%とか該当文献がないというような問題点が指摘されましたですね。そうすると定期的なスクリーニングの難しさの一方でそういう臨時の再評価へ持ち込む形というのが取りやすくなって自然に臨時の方の割合が増えてくる、そういう結果になりはしないかということの考えの上でうかがってみたんです。

前川座長

山崎委員にお尋ねしたいんですが、網羅性というのが臨時の場合にはなくなるわけです。臨時にしておくと網羅性とか、継続性とか、そのへんはどういうふうにお考えでしょうか。

山崎委員

私が申し上げているのは、臨時から定期への移行ということを考えていましてたとえばGPMSPにしてもPSURにしても中身がもしも安全性に偏っていた場合、再評価というのは安全性だけの問題ではございませんですね。先ほどから先生方のご説明がありますように、安全性に関しては安全性緊急情報のようなことで、ドクターレター等でお知らせが行くわけですが、有用性とのバランスで再評価の結果が出てくるだろうと、ですから再評価の開始のパターンがあっても、これを定期のところに組み入れてきて、再評価システムの中に入るという形が可能になってくるのではないかということを申し上げたわけです。

前川座長

網羅性を担保するにはやはり定期というのは残しておかないと。

山崎委員

そちらへの移行がこちら側から行くのではないかということを申し上げたかったわけで少しことばが足りなかったと思います。

前川座長

本間先生もうそろそろご退席の時間になりますので、

本間委員

私はさきほどの森岡委員のご発言がたいへん重要な点を指摘をなさっていると思います。私には良く分からない点があるものですから質問したいと思います。PSURは、ICHでは安全性の範疇に含まれてる報告で、有効性に関してはなかったかと思いますが、PSURの内容を教えていただきたいと思います。内容によっては再審査の年次報告、再評価の定期報告とPSURは重複しませんでしょうか。長期に薬物を使うリウマチ性疾患の場合、統計学的に有意に有効であった薬を使って2年ぐらいは有効性がみられても3年以上経ちますとすべてが同じように劣悪な転帰を示すという報告が8年前ございます。わが国ではまだそういう論文は見つかっていません。それを契機にいろんな点で薬効評価法に見直しが起こってきました。その論文を見て考えているのは、市販後調査でも有効性をやはり検討することが大事です。ところが、有効性の検討は二重盲検試験で評価しなければならないとなっています。非常に厳密なダブルブラインドで承認をした薬が3年以上過ぎると劣悪な転帰を示すという事実が見つかってきました。その意味で先ほどの1%しか有効性に関する論文がなかったという報告と併せて有効性の評価は非常に難しい問題だと思います。その解決策として公的な機関で市販後調査の一部として薬効評価を臨床疫学的に行うことをサポートするようなシステムをお考えいただけたら、どこにも迷惑がかからず立派な、あるいは真の薬効が市販後調査でできるのではないかと思います。PSURの内容と有効性の評価に公的な機関による支持の二つを質問しました。

前川座長

PSURの目次というのがその文章の中にございまして、私は別に会に出ているわけではございませんので、詳しいことは分かりませんが、その中に調査、研究とか、新しく評価された企業依頼調査研究とか、それからもう一つはその他の方法の中に有効性に関係する情報とか、そういう項目がございますので、PSURが純粋に安全性だけというわけではないということを、先ほどチラッと申し上げたのですが問題は日本のPSURは、先生も御関係あるかと存じますが、再審査期間というような感じで受け止めております。これに対してアメリカとか、ヨーロッパはもっと長期にわたるPSURをやっているようでございますが、そうなりますと再評価の対象にPSURを含めるということは日本の場合は困難になるわけです。そのへんでもっとPSURを長くしたらどうかということはお考えでございましょうか。

本間委員

PSURは安全性にどうしても偏った報告にならないのかということです。副作用がなく有効性があったという報告はどのくらい提出されているのでしょうか。したがって有効性の%は偏った数値になると危惧します。そういう点でどういうシステムで、どういう内容がどのていど報告されるか、いかがでしょうか。私は、市販後というのは再審査を過ぎたあとずっと続くものと考えていくべきだと思います。その点は先生と同じで長期にみるということでございます。

前川座長

網羅性、恒常性を担保するためには定期再評価のシステムを残す、あるいは充実する必要があると。それは臨時にウエイトがかかっていこうがいくまいが、そうであるというふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。もし定期をやるとしたら、先ほど申し上げましたが、スクリーニングを事務局でやるんだと、それがまだ薬事法上の指定にならないわけですね。そこから上がってきたものを厚生大臣が中央薬事審議会に諮問してそこでやりなさいと言ったらはじめて指定されて再評価が始まると。そういう理解で

安全課長

そのとおりでございます。

前川座長

そうしますと、せっかく定期という仕組みがあるのにもかかわらず法律上は網羅性というのが消えてしまうわけでございますかね。スクリーニングをやるときからスクリーニングの対象は現在文献調査が主体でございますが、将来PSURが入るということでそのへんから再評価が始まるんだというふうに考え方を変えたらどうかなという気はするんです。私は役人の一端でございますが、大学育ちなものですから比較的物事を自由に考えるくせがついておりまして、そんなことを申し上げておるんでございますが、いかがでございましょうか。はい。どうぞ。

木村委員

いままで先生方がおっしゃったようにいまの定期的な再評価システムでスクリーニングを主体としたものだとかなり限界があるということは良く分かります。それで2点ほど教えていただきたいんですが、PSURができた場合にその限界がどのように改善されるのかですね。行政ができる範囲というのはかなり限られているのではないかなという印象を持っております。2番目の点なんですが、GPMSP法制化に伴って(うまく理解しているかどうか分かりませんが)企業からたとえば調査提出された場合に、それが定期的な評価を考えるときにどのていど資するものなのか。そしてまたそういった企業側にかなり資料の提出というのを依存しなくては再評価というのはうまくこれからいかないという気もするんですが、そういった企業側の調査をどういった仕組みでチェックする機構が将来的には考えられているのかというのを教えていただきたいと思います。

前川座長

私がお答えするのは適当かどうか判りませんが、はい。どうぞ。

安全課長

PSURというのは前回もご説明いたしましたが、世界で初めてその医薬品を開発した企業が、当該医薬品が市販されている国で収集されます様々な安全情報を集約いたしまして一冊のPSURというものを作ってそれを関係各国の企業に送り、これらの企業は規制当局にそれを提出する。こういうシステムでございます。その中には各国の規制状況(回収、販売停止)とか、いろんな(有効性、安全性を含めて)総合的な薬についての評価といいますか、そういう概要書でございます。したがいまして、私どもはそれが企業からそういうものを提出しなければならないということでございますので、非常に有力な再評価のツールになるというように考えております。
GPMSPの基準にしたがって企業がキッチリと収集し、作成しているかどうかということを医薬品機構でそういった生データのチェックとかあるいは製薬企業に対する立ち入りとか、社内体制の整備は十分かどうかといったようなチェックも機構が行うことになっております。

前川座長

再審査期間を越えてPSURの方を、企業が出すような仕組みになれば再評価のスクリーニングの資料が非常に豊かになると考えております。こういうことになりますと、現行に比べて再評価の仕組みが非常に改善されるだろうと私は考えております。他に、はい。どうぞ。

寺尾委員

4枚目の現行の再評価の仕組みというところでもって一番下のところに再評価を行う必要があると思われる医薬品については中央薬事審議会の意見を聞いて再評価に指定するということで、先ほどのご説明ですと、これは事務局がいろいろ資料を整理して、それで中央薬事審議会に意見を聞いて指定するというかっこうになると思うんですけれども、そうしますと大事なことはここの相談するときの能力というのが非常に問題になると思うんですね。かなりいろいろな分野の専門家の意見を聞いて整理をしないとなかなか整理が難しいんではないかなという気がするんですけれども、さきほど座長が言われましたことに、私非常に賛成なんですけれども、すでにここらへんから非常に大事な作業が始まっていると私思うんですけれども、現状はどういうふうになっているんでしょうか。つまり非常にたくさんある膨大に出てきます資料につきまして、それを洗いざらい中央薬事審議会、あるいは専門の人に聞いているのか、あるいは一部重要と思われるものを事務局が判断して聞いているのかそれはいかがでしょう。

安全課長

まさに寺尾委員言われましたように16000の文献を私どもはスクリーニングをいたしますが、事務局でその中から必要な要検討の文献をふるい分けるわけであります。ふるい分けたものをその品目につきまして、中央薬事審議会にご相談をしております。中央薬事審議会でそれを再評価する必要があると決定になった場合には再評価指定をすると、そういう手筈でございます。15000報〜16000報から何報か、要検討の文献を選別するわけでございますが、そのスクリーニングがたいへんな時間と労力を必要とするというのが現状でございます。

前川座長

そのへんの能力がどうかというのが寺尾委員のご質問でございます。その能力の現状はどうか良く判りませんが、前回ご説明いただきました厚生省の機構改革というのがございまして、あそこでは専門家のチームを作るんだというような話が出ていたと存じます。医学、薬学、確か獣医学なんかも入っていたんではないかと思います。それが集まって専門家のチームを作って、そして薬の審査体制を強化しますということが出ておりましたので、私は将来はそこにお任せして良いんじゃないかというような印象は持っておりましたがいかがでございましょうか。

安全課長

そういった充実に向けていま努力をしております。

前川座長

はい。どうぞ。

乳井委員

4ページの現行の再評価システムなんですが、当局の説明とか、先生方のご意見を聞いて、感想なんですけれども、定期的な文献スクリーニングと随時の再評価というのはそれぞれ役割があって、これを消化していくということには私も異存はないんですが、これから内外の情報が常時どんどん出てくるような時代になりますと、とくに臨時の再評価というのがもっとウエイトを占めてくるんじゃないかという感じがするわけです。もちろん網羅的にどう担保していくかということで定期的なものの中に臨時のシステムを取り入れていくことも一つの考え方だとは思うんですけれども、その場合でも臨時の対応の仕方というものを迅速に対応できるような強化をはからなければいけないんじゃないかという気がするんです。その意味でその傾向をはっきりつかむために先ほど山崎委員がご質問なさった定期と臨時の割合の中身というのはぜひ知りたいと重ねてお願いしておきたいと思います。

安全課長

はい。承知しました。次回までに

前川座長

臨時の再評価に移りたいと思いますが、臨時と定期と両方あった方が良いんだというのはだいたいご了承いただいたと思います。それで臨時の場合にはいろんな場合の説明をいただきましたですね。それについて出ておりますのは、市販後調査検討会の中間報告でございまして、そこを見てみますと、そういう臨時の再評価の指定をするきっかけと申しますか、そういうものに対して、何か基準を作るべきだというようなことばが入っていたと存じます。いかがでございましょうか、いま資料の6に再評価開始検討基準の策定というようなものが載っておりましたですね。そのへんたとえば再評価というのは諸外国で製造輸入の取消とか、販売停止、それから臨床評価ガイドラインの新設定、あるいは緊急安全性情報が出た場合、あるいは文献調査がで有効性、安全性につき再評価の必要性が示唆された場合とか、あるいは品質でそういう再評価の示唆があったような場合と書いてございます。たとえば緊急安全情報が出た場合なんていうのは非常に分かりやすいんですが、これが出れば即再評価と考えるかというとそうではないようでございます。そういうのが出た場合、使用上の注意を改めるとか、そういった対応がまず行われるようでございまして、そのへんで何か基準があった方が良いかなという感じもするんですが、いかがでございましょうか。事務局の方から中間報告も出ておりますので、

安全課長

この再評価検討開始のパターンでございますが、市販後調査検討会でここに掲げておりますのは提言をいただいたものでございますが、緊急安全性情報を発出いたします場合はただいま座長からご説明ございましたように通常は添付文書の中で警告の欄を設けたり、禁忌に指定したり、その他重要な使用上の注意の改定を行ったりいろいろあるわけでございますが、それでもなお適正使用というものが守られず副作用が続出をするというようなことかございましたら、また再度ドクターレターを出すこともございますが、それでも効かないときには再評価に指定をし、再度の有用性の有無の検討をするというようなこともあるというようなことでございました。これ以上のこういう場合には、どのような対応をするという、非常に細部にわたったものを作るということまでは考えていないわけでありまして、ドクターレターが発出された場合には再評価の検討を開始する、そういう手続き、動機づけにしたらどうかというのが市販後調査検討会のご提言でございました。

紺野副座長

提言を作った側の立場上から申し上げます。「6、再評価検討開始のパターン」のところをご覧になっていただきたいと思いますが、一つひとつにそれなりの理由はあります。
「諸外国で製造・輸入承認が取り消され、若しくは販売が停止された場合」これは外国で承認が取り消されたり、販売停止された場合、国内でもすぐにそうした方が良いという意見もありました。ところがたとえばこの前、アメリカで問題になりました抗アレルギー剤がありました。それを使うと不整脈が出てくるということです。従来の抗アレルギー剤は副作用として眠気が出てきますが、それは眠気が生じないために良い薬だということで売られていました。このような場合、アメリカでの取り消しに関する事情をみますと、同じように眠気を催さない薬で少なくとも不整脈が出るという副作用がなくなった薬が開発されたか否かがKeyを握っているようです。日本でも仮にこの薬を取り消そうとすると、まだ眠気の出ない不整脈の副作用のない薬はないわけですからすぐに取り消すときには実際に使っておられる方の中には困る場合もでてくるというたいへん難しい問題が出てくるということになります。ですから基準を作れといっても、そういう臨床上における有用性に関する基準を考えていかないと、杓子定規に、短絡的に決めてしまうわけにはいかないのではないかということです。そのような理由でその後の一つひとつの項目についてもいくつもあるということです。それを全部申し上げると時間が足りなくなるので申し上げませんが、いづれにしても短絡的にやるわけにはいかないし、慎重に考える必要があるということです。ただ問題はそういう情報をどれだけ、ドクターや患者さんに伝える良い方法があるかということがたいへん重要な問題だと思っております。

前川座長

はい。どうぞ。

木村委員

その件についてですが、代わりの薬がないからどうのこうのというのはいままでいろいろ薬害が起こった原因の一つでもあったと考えますので、これは疑わしきは再評価するという姿勢の方が良いのではないのかなという気がいたします。

前川座長

そういう点で、一応の基準と申しますか、臨時の再評価に入るいろいろな項目をご説明いただきました。そのご説明いただいたものを慎重に専門家が審議してそして再評価指定に持っていくということに対して、もう1ランク詳細な基準があった方が皆さんのご理解ができやすいのではないかということを申し上げたんですが、それはなかなか際限のないことでございまして、紺野先生のお答えはそれは非常に決めるのは難しいので、むしろ討議の内容を公開と申しますか、そういう情報を公開するような方向に持っていった方が良いのではないかというお考えでございました。木村委員はそれに対してどういうふうに

木村委員

私は公開は非常に大事だと思います。疑わしきは罰するという考え方と別に矛盾はしないと思います。

前川座長

疑わしきは罰せずというのが紺野委員のお考えであり、木村委員の方は疑わしきは罰した方が良いという

木村委員

罰するというか、再評価ですよね。結局。

前川座長

疑わしきというところまでの情報を公開する。それは疑わしい場合はどうするという基準を作るよりはずっと良いということで、そういう理解でよろしいわけですね。

木村委員

情報公開は必要だと思います。疑わしい場合は再評価すれば良いと思います。

紺野副座長

誤解されているようですが、再評価するとか、しないとか言っているわけではないんです。そういう場合には勿論再評価はするでしょうが、再評価の結果が販売停止に直結するかというとそうではなくいろいろな論議が出てくるのではないかということを言っているのです。ですからそういう意味での基準もきちんとあった方が良いのではないかという意味です。ただそれにしても、その基準そのものもひっくるめてそういう情報を公開しておかないかぎり皆さんの判断はできないだろうからと申し上げているのです。

前川座長

はい。どうぞ。

審議官

いろいろ先生方からご指摘ございましたので、少し包括的に現状その他お答えさせていただきます。とくに安全性の問題での対応としては通常は中央薬事審議会の中に副作用調査会というのがございまして、そこで一元的に判断をしていただいて、そして通常緊急を要するものについてはドクターレターで対応する。その他の対応として、実際に再評価に指定してその結果を待つというのはかなり時間が必要ですので、ほんとうに安全性で緊急なものについてはむしろ行政指導のような形で、たとえば承認を整理してもらうとか、そういうような形で対応しているのが実際でございます。ですから先ほど安全課長から説明がありましたように安全性で問題になった場合に全部再評価まで待っているわけではなくて、むしろ安全性といった場合には有効性とのバランスで、その薬が医療の場でほんとうに存在価値があるのかどうかという観点からむしろ再評価は、いままでもやっていただいておりますし、これからもお願いすることになると思います。ですから実際にはそういう形で問題があるものだったら承認の取り消しだとか、承認整理だとか、もちろん製品の回収とか、そういうようなきわめて緊急的な対応を一方でとります。それは今日の検討会の主たる問題ではないものですから説明が落ちています。それからもう一つは6ページの再評価の開始のパターンでございますが、これはたしかにもう少しブレイクダウンしたような基準があった方が良いというご指摘でございましたが、それはやはり私どもとしてもできるだけ明確化していきたい。なぜかといいますと、再評価というのは自主的にメーカーが申請してくるような承認申請とは違いまして、メーカーはあくまでも受け身なわけございまして、そのへんが承認とは非常にちがいます。ですから国としては自ら情報を集めて(もちろんその情報をメーカーから出させることはできますが)国がアクションを起こしてはじめてメーカーの方が申請するという手続に入ります。一番大事なことはこういった開始のパターンをむしろメーカーにも分かりやすく示すことによって国がアクションを起こす前にむしろメーカー側としてもこういうところにあてはまる場合には準備をしてもらう。その後、国の方として指定という手続に入れば時間を待たずにデータが出てきますので、再評価指定から結果までの時間というのはかなり短縮できて、より迅速な対応ができるのではないかというのが私どもの一つの対応であり、可能性だと思います。それからもう一つはガイドラインも常に見直しその他がされていますので、場合によっては、定期的な文献スクリーニングに基づく再評価にもこういうのを常に載せるような形でやるというような方法もあるんだと思いまして、ですからこの6ページのは、臨時の再評価と同時に定期的な再評価にも使えるパターンだというふうにご理解いただいて結構です。

前川座長

判りました。はい。どうぞ。

森岡委員

いま審議官のおっしゃられましたことについて賛成でございます。企業が自主的に判断して、そういう準備あるいは資料の作成ということができるような、実施基準と申しましょうか、そういったものもこれは国の基準と再評価基準とが即企業の自主的基準になるようなふうにもっていただいてはどうかとわれわれもそんな気持ちでおります。

前川座長

そうですね。つねに市販後調査を行っていつでもデータを出せるように準備しなさいというのは、いままでも指摘されておりますので、いま森岡委員おっしゃったことをぜひ遵守していただければと存ずる次第でございます。
そのへんで次の再評価資料の信頼性について若干ご意見をたまわりたいと存じます。これは先ほどGPMSPが出てどうだというようなことで若干のご意見も出ましたが、市販後にたとえば二重盲検試験をやるのはたいへん難しいんだというようなご説明が事務局からございました。そのへんで、どなたかご意見ございましたらはい、どうぞ。

伊賀委員

資料の信頼性と申しますか、この点で一番問題になるのはこれまでの話も基本的には企業側の方からそういった方への義務づけとか、GPMSPの法制化もそうでありますが、医療現場サイドからいえば、医療機関がそれに対する十分な対応もまだあんまり明確ではないというと変なんですが、再評価委員会を作れとか薬効と安全性の評価委員会を組織しなさいというご意見はあるんですが、現実論としてはさきほど本間先生もおっしゃったんですが、これはあまりにも非生産的なことなんですね。したがって経済的な裏付けという話もあったんですが、やはりそういったものに対して調査研究であればまた別なんですが、一般に市販後調査は、非常に低い対価といっては変なんですが、そういうものに十分医療機関側の方の同意と申しますか、そういった協力が非常に難しいのが現状かと思います。特にドクターサイドではそういうことになってくると思います。企業の方がいくらがんばられても、情報の収集のロスと申しますか、そういったものが現体制では非常に困難だと思うんですね。そのあたりを義務づけられたらこれも困るところもありますけれども、どのような形にすれば良いかというのもたぶんこの委員会の重要なポイントになるかと思いますが、文献調査であまり引っかからないというのはこれは確かにもっともで、たとえば論文として投稿するようなレベルというのは、ある程度限られておりますしね。一般に国内外となっておりますが、どの程度の比率が国内でということはちょっと判りませんが、大学病院クラスであれば症例報告というのはある意味では熱心に出すことはあると思いますが、一般に使われるのはそれ以外の中小の、そういったところから文献レベルまで出すような症例報告がなされるかというと、現実論としてはほとんどないと思うんですね。したがってそういった意味で文献的な調査の限界もございますでしょうし、もう一つは医療機関側に対して何らかのプラス効果のあるような方法で、情報収集がもっと定期的にキチンとなされるようになるというのは、かならずそういった議論は意見として出てくると思うんですが、現実にはまだまだ法制化されてその対応が非常に難しいんじゃないかということでそのあたりについてどのようにお考えになっているのかなということを一つご説明もいただければと思いますが、とくに企業サイドからそういった要望が強いと思うんですよね。
森岡委員
再評価の臨床試験でございますね、新薬の臨床よりは医療機関のご協力というのは難しい状態でございます。研究的なことではございませんからそのこと自体が難しい。それから今回の脳循環代謝薬、これもほぼ同じ医療機関でだいたい臨床試験をお願いする医療機関はそういう意味では限られているわけです。ですからこれがとくにプラセボを対照薬として臨床試験をやるということは非常に難しいんでございますね。これは現実の問題としてプラセボ使って臨床試験するということは先生方の、あるいは患者さんのそれに対する抵抗と申しますか、こういったものがこの分野の薬剤といったものの臨床治験のきわめて大きな推進力の障害になっているということでございます。市販後の臨床試験についてはなかなか先生方のご協力が難しいのが現状です。それをなんとかしていくというふうにならないかと思案しております。

前川座長

そうですね。難しいことは良く理解できるんですが、難しいからやらないというのは有効性の証明に疑義をもたれたわけでそれに対する回答ができないということになりますですね。ですから何とか信頼性のあるデータを出していただく、それにはGPMSPを遵守してやる。このときの試験もGCPに準拠するということが書いてございますので、そのGCPに準拠して臨床試験を実施していただきたい。難しいということに対して何か被験者にメリットを与えられないかとか、いろんなことがいままで討議されておりますので、そういったことを具体化するのはなかなか難しいかと存じますが、何とかしていきたいと思います。

森岡委員

誤解なさらないように、私は難しいからやらないということではございません。事実やっていまして、なんとか良い方法がないかというようなことでございます。

前川座長

そうですね。医療保険の制度なんかもこれから変わる可能性がございますが、そのへんで日本医師会から来ておられる菅谷委員、何かご意見ございますでしょうか。この市販後調査の難しさ、とくに再審査はまだやりやすいと思いますが、再評価になりますともっと難しいかと存じますが、

菅谷委員

この問題の第一義的責任はメーカーの方にあるということになっていますけれども、しかし基本的には情報をどうやって正確に収集するかと、メーカー側がどうやって収集するかということになりますと、そのシステムがまだ十分できておらない。したがってそこのところをしっかりさせてやらないと企業に適正な情報を出せといってもある意味では非常に困難な問題だろうと思います。したがって企業がしっかり対応できるようなもの、あるいは逆に第三者的にそういうものをしっかり収集できるようなもの、というふうなものをこれから確立していかないと根本的な解決にはなかなかつながっていかないんじゃないかなというふうに考えられます。もう一つはとくに医薬品の問題はいま医療保険財政の問題の中で一番重要な位置を占めているわけで、その中で今後医薬品を医療保険の中でどう扱っていくかということも大きな問題になっている中で、やはりしっかりした信頼性を獲得していくというためには、そういう基本的な正確な資料を収集するというところにもっと何かのシステムを確立していくということが大事じゃないかと思っています。

前川座長

GPMSPというのは再審査、再評価の両方に適応されますが、市販後調査ガイドラインといわれるものがございます。これは正確に申し上げますと、新薬品等の再審査の申請のために行う使用の成績等に関する調査の実施方法に関するガイドラインということでございまして、再評価ということばが入っておりません。おそらく再評価にも準用されるものであろうと考えておりますが、この問題点をここで指摘しておきます。それからもう一つ真のエンドポイントを求める試験というのは抗ガン剤でやられておりますが、これは真のエンドポイントを再審査期間が終わってからやるものでしょうか、それとも再審査期間中にやられるのが主体でございましょうか、そのへんで何か吉田先生ご意見ございましたらお願いします。

吉田委員

抗ガン剤のところのフィールドでは要するに最初の申請から審査にいたる過程のルールがどんどん変わっているんです。最初はたとえば大昔ですと、消化器という適応だけで通ってしまう。それがだんだんいまは、肺ガンだけではなくて、小細胞までと肺ガンは効き方が違うので、適応症が肺ガンの中でも小細胞ガンとか、非小細胞ガンと、こういうふうに細かく分かれてくるようになってきたんですね。そうすると昔許可した薬が果たしてほんとうにどれぐらいのパワーがあって、どのターゲットに対して効くかということは、非常に漠として分からなくなってきているということもありまして、再審査もそうですが、それと同時に再評価もやっていかなくてはならないということで、この真のエンドポイント検証への対応というところではすでに昔のGCPの設定前に認可された薬を再審査ではなくて、再評価をしてこれをこういったスタディをすることによって、それをモデルに使うことによって今後いままで審査の対象、あるいは昔のルールで対応されている薬、再審査も済んでしまったという薬に対してもアプローチしていったら良いのではないかという一つのモデルを作っていこうということではじめたわけです。

前川座長

私が医者をやっておりました頃は5年生存率とか、3年生存率というのが出て、そこにQOLを加味してというようなことがございました。そうしますとたとえば再審査期間6年、抗ガン剤なんかですともう少し長いのがあろうかと存じますが、再評価になってから、真のエンドポイントということを目指して試験をするというのはわりあい少ないんじゃないかという気がするんですが、他にどなたかご意見ございますでしょうか。清水先生。

清水委員

先ほどから森岡委員の言われたことで実際に再評価に指定されて、それではキチンとしたデータを出そうとするとどうするかといいますと、これは無理な要求をしている点が多いと思います。これは私は医薬品というのは企業だけのものではなくて、国民のものでありますので、何らかの意味で国がコミットしなければキチンとした結論が出ないことはいくつも事例をいま挙げるまでもありません。実際に成功したものはないわけです。とくに10年とか、そういう真のエンドポイントと言われても、出るはずがないわけです。そういう方法をキチンと考えて国がキチンと関与してという方法を考えてあげるのがこの検討会の一つの目的ではないかと思います。思いつくままですけれども、たとえば何も試験しけんと言わなくても前にも言いましたが、薬剤疫学的なキチンとしたデータベースができるようなものを育てるとか、あるいは外国では新しいコホートといいますとたいていプローベスタディというのでやっております。略でございますけれども、プロスペクティブ・ランダマイズドのオープンのエンドポイントがブラインドになっているというようするに、背景因子をそろえて、実際に使われている薬をわりあてて、最終のエンドポイントだけをブラインドにして判定すると。そういうものでいくつもの良い成績が出てきているわけですから、ぜひそういう方法論までこの検討会で提言できればと思います。

山崎委員

私いま清水委員のご意見をうかがいたいと思っていたところに先生からちょっとそういうお話があって。たとえば私が申し上げたかったのは、ファーマコエピデミオロジーを使うことによってデータを蓄積すべきではないかということを申し上げたかった。といいますのは9番の厳格性への対応ということで、先ほど、漢方エキス製剤の評価の問題が出ましたが、再評価で漢方エキスの薬効を西洋医学的なものに整理してダブルブラインドで評価するというのがありましたが、先生方もご存じのように漢方医学での評価のシステムというのは西洋医学とはずれたところにございますね、私も若干、漢方薬の方に関与しておりまして、そこでの話で漢方薬を理解するときには、じっさいにお使いになった先生方の評価を蓄積したファーマコエピデミオロジックからデータベースを利用するという以外にないんじゃないかという話があったことがあるんですね。そういう意味でそういうデータの利用について清水先生のご意見をうかがいたいというふうに思っておりまして、順番が逆になりまして先生の方からご発言いただいて私の発言することもなかったんですが、とくに漢方についてはそういう危惧があるということで申し上げたわけです。

前川座長

どうもありがとうございました。だんだん時間が迫ってまいりました。

吉田委員

ファーマコエピデミオロジーというのは良い考え方だと思うんですが、私どもガンという特殊性で申し上げるわけではないんですけれども、ガンの場合ですとやはり患者さんの数は限られてまして、ファーマコエピデミオロジックなスタディはなかなか作りにくいので、やはり先ほど挙げましたような試験という形で比較試験みたいな形でしか評価できないだろうというふうに考えております。それで菅谷委員とか、いま言われた方法論、たとえば薬によってこういった方法論があるんではないかとか、菅谷委員の言われた第三者機関を設立して、ようするに製造者責任で企業に全部押しつけて病院は知らんと、医者は知らんと、そういった形ではとてもできないと思うんですね。ですからやはり厚生省、あるいは機構などが関与した形で第三者機関的な組織がこういった再評価(あるいは再審査も含めてだろうと思うんですけれども)そういったムーブメントを起こしていくという形でないとうまくいかないというふうに思います。

清水委員

いまの吉田委員の発言ですね。もちろん先生のおっしゃるとおりですけれどもたとえば喫煙がガンの原因であるというのは何も実験で分かったわけではないわけでして、これは疫学で分かっているわけであります。そういう意味での疫学というのは大切だと思います。

前川座長

医師が市販後調査に協力するとか、患者さんの協力をお願いしないと良くないわけでありますが・・・。どうぞ大石委員。

大石委員

いまの疫学で調査するという点では非常に良いことだと思いますけれども、これには経済学がからんでおりますことをご承知の上でおやりになっていただければと思います。

前川座長

どうぞ。

高橋委員

今日の問題点の掘り起こしだけなんですが、今日の厚生省の資料を見まして1万6000文献を検索して結局その中で有効性に関するものを利用されたのは3つだけなんですね。これはいかにも効率が悪いんで、さきほどから座長もご発言になっていますようにこれからいわゆる臨時的な情報は非常に集まりやすくなる。そういうことから定期再評価の方へ利用できる情報源というものをPMSも含めて広く求めていけば必ずしも臨時の再評価だけの考え方だけではなくて、定期的な再評価も効率化が図られるんじゃないかと思います。1日6、70報いまの安全課のスタッフが読まなくてはいけないというのはたいへん非効率だと思いますね。安全課はもっと他に取り組むべき重要な課題が山積しているんで、何か情報の効率的な利用を考えるべきじゃないかと思っています。この次あたりの会で提言したいと思います。

前川座長

医薬品機構は利用できるんですか。

安全課長

いまのところは生データのチェック、あるいは書面調査、実地調査とか、そういったことを機構に頼むことにしていまして、スクリーニングまではまだ考えておりません。

前川座長

あと一つ問題が残っておりますのは、迅速性への対応でございます。再評価の指定のところに資料の提出期限を定めて指定を行うように書いてございますが、そのところで非常に時間がかかるというご説明がさきほど課長からあったような気がしますが、それはどういうことでございましょうか。

安全課長

さきほどもご説明をいたしましたが、通常のいままでの再評価は再評価に指定いたしましてから、4カ月後にメーカーに既存の資料を収積して、取りまとめ申請をするように指示をしておりました。その後もし臨床試験が必要だということになりましたら、再度その指示をするわけでありますが、その際には提出期限を設定しておりませんでした。したがいまして、いつまでも臨床試験をやっておるというようなケースもたまにあったわけでございます。それを脳循環代謝改善薬のときから、はじめから臨床試験に必要な期限を設定しまして、いついつまでということを最初のときに設定をしたということでございます。今後は、その方向でやっていきたいということでございます。

前川座長

条文をみますと再評価指定をしたときにある文献についてやるんだという記載になっているんですね。ですから厚生大臣の再評価は再評価を行う際に得られている知見に基づいて行うと、さきほど森岡委員が言われましたように常に備えているということであれば、この試験の期間は非常に短く出来るという可能性もあるわけですね。しかしほんとうに迅速性が必要なのは最初のデータが出てから中央薬事審議会の手に移ってそこでいろんな疑問が出て、その疑問に対するお答えを企業からいただくときに時間がかかるんだというふうに理解してよろしゅうございますか。

安全課長

試験がスムーズに実施されていない場合もありますし、再度、臨床試験を要求したときに、いついつまでにということを期限をきっていなかったものですから、企業によっては、かなり時間がかかるところもあればキチッと出してくるところもあってまちまちでありました。時間がかかる理由もいろいろケースバイケースでございます。

前川座長

そのへんは迅速性のためには期限を切って提出を求める必要があるということだけでよろしゅうございますか。森岡委員あたり。

森岡委員

とくにこれはダブルブラインドで早く結果を出すというのは実際難しいですね意識して遅くするというのではなくて。

安全課長

いま森岡委員がご発言の件は脳循環代謝改善薬のことでしょうか。平成8年4月に再評価に指定させていただきましたが、これについては平成10年4月までに資料を提出するようにということでございまして、ちょうど2年の期間が設けてございまして、キチッとスタートしたものは十分この2年間の期間内にやっていけるということで、その期間につきましても中央薬事審議会のご了解を得て設定したものであります。

前川座長

定められた期限までに必要な資料の全部もしくは一部を提出せずまた、虚偽の記載をした資料を提出したときは74条の2の3項にしたがって承認が取り消されますということが薬事法に書いてございます。そのへんを十分に勘案しながら期限を設定しておられるようでございますので、それによって迅速性は担保されるであろうと。あと5分しかございません。したがいまして再評価全般についてご意見ございましたらおうかがいしたいと思います。

伊賀委員

迅速性にからむんですが、再評価するポイントがもう少し絞られていないとおそらく迅速性と言われても非常に困ると思うんです。全般的にそうだと思うんです本当の再評価というのは私十分理解しているわけではないんですが、かなりゼネラルに全般的なことを文献調査して見直せとかいうことになると、これは多分非常に対応が取りにくいと思うんです。だからどういう方法で、どのポイントを再評価したいということをむしろかなりクリアーに、その代わり期限を切るというような方法を確立しないと労多くしてほとんど益がないというとちょっと語弊があると思うんですが、非常に難しいと思うんですね。そのあたりはいかがなものですかね。

前川座長

事務局から。

安全課長

さきほどの脳循環代謝改善薬でございますが、この場合には提出資料といたしまして臨床評価ガイドラインに準拠して実施した臨床試験成績というところまで限定して指示をしております。今後もこういう方向でやっていきたいと思います。

伊賀委員

その場合、かなり広範にもう一遍やらなくてはいけないことになりますね。かなり対応としてはたいへんじゃないですか。

前川座長

いままでご発言のない上田委員。あるいは

梅田委員

私は高橋委員と関連をするんですけれども、だいたい16000件の文献につきましてほとんど外国文献じゃないかと思うんですが、第1回のときに聞き漏らしましたので、その比率がどのくらいになっているかということと、それからもう1点は海外からの輸入の医薬品につきましての再評価はどのような形で行われているのか、いわゆる日本のメーカーが作られるものと同じような再評価の基準であるのか、それを2点だけお願いしたいと思います。

安全課長

輸入のものにつきましても、製造と何ら差を設けておりません。同じ基準で同様にやっております。文献でございますが、国内外の文献に基づいてということでございまして、国外と国内の比率は判りませんが、両方幅広く文献を検索してやっているところでございます。

梅田委員

そうしますと日本のと外国のとではどのくらいの平均でございますか。

安全課長

判りません。

梅田委員

ほとんど外国文献ではないのですか。日本の文献が多いんでございますか。ということでね、私はたいへんな作業だなと高橋委員と同じようにお尋ねしたわけなんですけれども、日本の文献でしたら

安全課長

日本の文献もけっこう多うございます。

梅田委員

ありがとうございました。

前川座長

上田委員。

上田委員

さきほど再評価のシステムについて企業だけでなくて、第三者機関あるいは国レベルの関与というご意見が出ましたけれども、私もやはりいまのシステムは全部企業の責任でやることになっていますけれども、一つのパターンとして国が、国っていいますか、どの機関、機構でも良いんですけれども、何かアメリカのNIHのような機構が関与するような形の再評価のパターンもあっても良いんじゃないかとそういうふうに思っております。

前川座長

山中委員は。

山中委員

再評価の基準になるものが文献、資料ですが、その資料のもとを作るのは、それを使う医師、医療機関なんですね。16000の文献からほんとうに有効な内容のものというのはわずか1%であるということは、結局医師の方からの報告がなければこういうことは出てこないわけですから実際に使う立場にある医師がもう少し関心を持って、理解といいますか協力できるようにしないといけない。副作用に関しては安全性情報だとかで非常に良く報告も出ているんですが、有効性に関してはいまお話のように何を基準にしてやって良いか分からない。とくに脳の疾患の場合なんかは、患者さんのお話をうかがわなきゃならない客観性の問題もある。そういう判断的なものを含めて資料のもとになるところをもう少し教育するなり理解しうるような形の何かうまい方法がないかと。私は実際現場にいるのですが、そういう点で薬がたくさん使われておりますけれども効いているかいないかはっきり分かるものはよろしいのですけれども、なかなか判定が難しい場合がありますね。そういう点ではっきり有効性の判定をだすというのができない。ですから基準になる資料をつくるところにもう少し皆さんの関心なり何かの方法を考えていただけるか、日常の仕事がほんとうに忙しいものですから、研究と違いまして、そういうものをまとめて発表するということの難しさがあるので、そういった点を根本的に考えていただければと思います。

前川座長

それでは最後に紺野副座長からご発言をお願いいたします。

紺野副座長

時間がなくなりましたので簡単に申し上げます。GPMSPについては単なる副作用の調査をするということだけではなしに、市販された段階からどのような調査をしていくかということが重要だということであります。いままでのように承認されたから売れば良いということだけではなしに、販売するときに調査書も一緒にもっていって、ユーザーにはそれに書いてもらうという姿勢をメーカーの方にも、問屋さんのような配達を担当する人にももっていただかないと迅速性をも含めて市販後の安全性に関する調査資料は集まらないだろうということです。市販後の安全性の情報を得る試験の中にはダブルブラインドで行わなければならない試験も含まれますが、数多いわけではありませんのでその医薬品を使用していただけるすべての医療機関からの情報を確実に得る方法を考えていかなければならないだろうということです。ただ問題は国の医療機関がダブルブラインドに限らずこのような市販後の調査に必要な試験をやることについて、報酬だとか、いろいろな問題について規約がはっきりしていないという問題があります。そのためにこのような調査ができにくいというところが多々出てきております。この辺りのことは国の段階で早急に解決して頂く必要があるということです。それからさきほど菅谷先生がおっしゃられたことですが、この制度が出来たことは確かですが今後どのようにして資料を集められるのかということは製薬企業も含めてその具体策を真剣に考えなければいけない事態に立ち至っていると思います。前にも申し上げたことですが、ほんとうは病棟薬剤師の方が各病院におられて看護婦さんが勤務交代するときに患者さんの状態を申し継いで行くはずですから、そのときに病棟薬剤師の方に同席していただいてそこから副作用に関する情報をつかまえ、それを主治医に聞いていくというような形にしていかないとなかなか情報は集まらないであろうし、それを薬剤部(DI室)で管理するということをしないかぎり迅速性も正確性もなかなか達成できないと思います。とにかく制度はできましたから、これからはそれをいかにして実行していくかということが問われているんだろうと思います。ひと言でいうならGPMSPは外枠は完璧にできあがりました。しかし、一番真ん中のところにブラックボックスがあるということです。それを今後どういうふうにして穴埋めしていくかということが一番重要なことではないかと思っております。以上であります。

前川座長

最後に局長からひと言。

薬務局長

遅れてまいりまして申し訳ありませんでした。再評価の位置づけ、役割も含めまた、これまでの改正薬事法の施行を踏まえてどういう光があてられるのかということでいろいろ広範なご議論をいただいております。次回も外国の事情はどうなっているかということを含めて、またご論議いただけることを期待いたしております。ありがとうございます。

前川座長

まだご発言が多々残っていると存じますが、いちおう予定した時間を5分過ぎましたので、このへんで閉じさせていただきたいと思います。次回は医薬品規制ならびに医薬品流通の国際的動向とわが国の再評価についてご検討をいただく予定でございます。したがって次回は海外の医薬品の再評価の制度を勉強し、ひるがえってわが国の再評価の在り方についてご審議をいただく予定であります。現在、製薬業会において海外の再評価制度の仕組みについて情報の収集にご尽力をいただいておりますし、かつ、また厚生省も英仏2カ国を訪問いたしまして海外のPSURのシステム等について調査してこられたようでございます。これらを整理し、次回の資料を作成するのに、相当な時間を要すると考えられますので、次回は少し余裕をもって開催することといたしまして、5月の連休明けを考えました。私の都合を申し上げてたいへん恐縮でございますが、5月8日の木曜日は、いかがかと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。開催時間については、今日はご出席の委員のご都合で遅くなりましたけれども、できましたら3時から5時ぐらいを考えております。場所につきましてはなるべく便利なところを早急に取り決めまして、ご連絡を申し上げたいと思いますので、次回もぜひ、まげてご出席をお願いしたいと存じます。どうも本日はあまりうまい司会もできませんで、御協力いただきましてありがとうございました。それではまた5月8日に。

(了)

 問い合わせ先 厚生省薬務局安全課
    担 当 石井(内2751)
    電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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