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安全性専門委員会議事録




1.日  時    平成8年12月25日(水)13時30分〜15時30分

2.場  所    厚生省共用第7会議室

3.出席者     (委    員)   以下敬称略
浅野 茂隆、飯野 四郎、小室 勝利、高久 史麿、立石  潤
宮村 達男、湯浅 晋治

(厚  生  省)
審議官、血液事業対策室長、医薬品適正使用推進室長、他

(日本赤十字社)
西 岡、前 田、草 刈、船 本



4.議事内容
      (1)開 会
      (2)議 事
     1) HIV−1抗原検査
  2) クロイツフェルト・ヤコブ病に関する問診票
  3) HCV安全対策
  4) GVHDに関する緊急安全性情報
  5) パルボウイルスに関する添付文書の改訂
  6) その他




血液室長 ただいまから安全性専門委員会を開催いたします。私は厚生省薬務局企画課血液事業対策室長の外口でございます。なお、本日は山本委員が都合によりご欠席でございます。
高久委員長 それでは浅野委員がまだお見えになっておりませんが、時間がきましたので、はじめさせていただきます。最初に事務局の方から本日の資料の確認をよろしくお願いいたします。
血液室長 まず資料確認の前に各委員にご報告いたします。本日の会議は非公開でありますが、議事録及び資料につきましては公開とさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 それでは配布資料につきましてでございますが、資料1「血液製剤の安全性について」という冊子がございます。それから資料2「免疫グロブリン製剤に関するHCV安全対策(各社提出資料)」という厚い冊子がございます。そして現在使用しています献血申込書、裏が問診票になっておりますが、これがございます。それからもう一つ「血漿分画製剤によるパルボウイルスB19感染リスクについて」という冊子がございます。以上4点でございます。
高久委員長 どうもありがとうございました。お手許にそろっていると思いますが、なければ事務局の方にお願いしたいと思います。
 さっそく本日の議題に入らせていただきますが、資料1と2について事務局の方から一括して説明よろしくお願いいたします。
血液室長 それでは資料1の方を参照願います。目次にHIV−1抗原検査、そしてクロイツフェルト・ヤコブ病に関する問診事項、HCV安全対策、そしてGVHDに関する緊急安全性情報、パルボウイルスに関する添付文書の改訂という5つの項目がありますが、順に説明させていただきます。
 まずHIV−1抗原検査についてですが、資料の方は1ページから19ページまでとなっております。それで最初の1ページが1995年の8月8日にFDAから出たHIV−1p24 抗原検査に関する通知でございますが、この内容は1995年8月にFDAが出した、HIVの抗原であるp24 の検査をドナースクリーニングで行うことのリコメンデーションであります。このページにして14ページまでありますが、そこに書いてあります主な内容を説明いたしますと、まず2ページの上の方に数字が書いてありますが、この資料にありますように1995年にラクリッツ等の報告した成績によるとHIVのウインドウ・ピリオドの感染リスクは44万分の1から60万分の1と推計されております。それからブッシュ等によりますと、最新のHIVの抗体検査法を使ったときにはHIVのウインドウ・ピリオドは22日〜25日程度ではないかと、そういったことも記載されております。またこの資料によりますと、22日〜25日のウインドウ・ピリオドがp24 抗原検査を導入したときには6日間短縮できるのではないかと。またPCR検査の場合には11日間短縮できるのではないかというようなことも記載されております。そしてp24 抗原検査を導入したときには5例から10例のHIVの感染を防げるのではないかというようなことも書いてあります。そしてFDAの通知が出て、ご存じのように今米国ではp24 抗原を使った検査が行われているわけでございますが、その結果といたしまして、ここからは資料はないのですが、私どもが調べましたところp24 抗原検査がドナースクリーニング用として承認されたのが1996年3月でありますので、それ以降の成績ということになりますが、今までに確認された、いわゆるHIV−1p24 抗原がポジティブでHIVの抗体がネガティブな例というのは検査からちょうど6カ月後になりますが、9月27日付けのCCBC(カウンシル・オブ・コミュニティー・ブラッド・センター)のニュースレターの記載によりますと1例確認されたという記載がございます。それからさらに11月に当方がFDAに問い合わせた数字ではFDAがCDCから聞いたものとして4例確認されているということを聞いております。ただこの4例という数字は米国では現在全例把握するシステムがないので、予備的なものだということも合わせて聞いております。いずれにいたしましても現在までにそういった4例は確認されているわけでございますが、これを例にとって考えてみますと、米国では年間当初の予定では5例から10例を把握できるのではないかということが書いてあったわけですので、4例というのも数字的にはそれほどおかしくない数字ではないかと思います。日本に当てはめてみますとHIV抗体の陽性率が日本は米国の10分の1であります。この根拠は米国の赤十字の献血の数字ではだいたい10万分の6ぐらい抗体の陽性のものがあるわけですが、日本ではだいたい年間600万ぐらいの単位の献血をしたときに、40例弱ですか、そのぐらいの抗体陽性のものがあるわけですので、それは計算するとだいたい10万分の0.6になります。そういうことでだいたい10分の1、それから人口が2分の1ですので、それらを掛け合わせますとラフな数字ですが、年間0.25〜0.5例、こういった検査で把握できるのではないかということも一つには推測できるわけでございます。
 この検査についていろいろな報告があるようでございますが、直近の例として1996年10月にAABB(アメリカン・アソシエーション・オブ・ブラッド・バンクス)のアニュアルミーティング(年次会議)があったときにブッシュ等が報告をしておりまして、その内容によりますと精度に関することですが、325万8270検体を調べましたところp24 抗原が初回陽性というか、1回目の検査で陽性になったのが0.12%、千分の1ぐらいでありますので、大変高い数字であります。現在米国では初回の陽性だけでは判断しておりませんので、再検査をしておりますが、再検査の陽性率では0.03%という数字になっているようでございます。その意味では大変フォールスポジティブ(偽陽性)が多いようでございますが、この0.12%の陽性が初回に示される。325万8270検体のうち、実はいわゆるセロコンバージョン(抗体陽性化)の一つ前の抗原ポジティブ、抗体ネガティブで確認された例というのはこの中の1例だけでありまして、その他は中和試験で陽性例になったものも41例あったそうですがその中の16例はすでに抗体をもっていた。それから残りの例でもフォローしていく段階で偽陽性であることが明らかになったといった成績が報告されていますので、その意味では精度の面ではかなり運用にはいろいろ工夫がいるようにも思えます。
 コストの面ですが、これはHIV−1p24 抗原検査を扱っておりますあるメーカーの見積もりによりますと、日本で使用した場合に1検体の試薬の代金が1600円であります。もちろんこれは数が多くなればこれ以下になることも考えられるでしょうが、見積もり段階ではそれぐらいです。これの関連の経費を入れますとだいたい年間115億円という試算になります。
 それから、もう一つ大切な要素としてこの検査を導入したときの検査の時間がありますが、これは血清を分離して、セットしてから結果がでるまでに3時間半ぐらいかかるようであります。この3時間半のところはいろいろな工夫をして短くすれば1時間ぐらい短くなって、2時間半ぐらいまでは短くできるかも知れないというようなこともありますが、少なくともそれだけはかかる。そういったことでございます。
 資料の15ぺージから16ページを参照されたいのですが、これは先ほど申し上げました11月にフランス、ドイツ、英国を調査したときの各国のp24 抗原検査に対する考え方を聴取いたしましてまとめたものでございます。
 ここに書いてありますようにフランスではp24 抗原検査を導入しないという決定を行っておりまして、むしろそれよりは問診の強化の方を重視すべきである。そしてPCR検査によるスクリーニング法が確立された時点でPCR検査に移行する方針であるというようなことを言っております。ドイツの方は次の16ページに書いてありますがこれは連邦保健庁の血液作業部会の通知を訳したものですが、やはりp24 抗原検査に対しては義務的にこのテストを導入することは否定的であるとしておりまして、むしろウインドウ・ピリオドの短縮のためにはクアランティーン(保管)規定とか、そういったものの方が効果的ではないかというようなことを書いてあります。英国ではこれはやはりあまり積極的に賛成でないようでございまして、引き続き検討中であると、このようなことでございます。
 それから資料17ページから18ページでございますが、ここにHIVの  PCR検査の現在行っております機器開発研究の中身を2枚まとめてありますが、ご存じのように平成5年度から国で補助金を出しましてPCR法を用いたドナースクリーニング用の検査機器の開発をしております。それで平成7年度に第1次試作機ができまして平成8年度中に第2次試作機が出来上がる予定であります。今のところ順調にいけば平成9年度中には第3次試作機、これはかなり実用機器に近いものが完成する予定であります。18ページはその機器の簡単なレイアウトを示したものでございます。
 この状況でHIV−1p24 抗原検査について、わが国としてどのように対処すべきかということでございますが、19ページにHIV−1p24 抗原検査のモデル事業についてというペーパーがあります。これは日本赤十字社から提出していただきました資料でございますが、やはり日本の場合の問題点というのは先ほど申し上げましたような偽陽性が多いといった精度の問題やコストの問題にもまして血小板製剤の供給に対する影響というものが大きくあるわけでございます。ちなみに米国の場合は血小板製剤の有効期限が5日でございますが、日本は3日であります。その意味で血小板供給の当日の供給がこの3時間半以上かかる検査を導入したときには当然影響するわけでありまして、この点に対する供給面での検討というのが大変重要ではないかと思います。その意味で日本赤十字社ではHIVp24 抗原検査を導入した場合の問題点、特に医療機関への血小板製剤の供給時間の影響等についての問題点を把握するため、これはもちろんPCRによりマススクリーニングが実施可能になるまでの間という前提をつけてのことですが、1センターを選択してモデル事業を行って実施上の問題点として検討することを考えているわけであります。
 こういった現在の対応につきまして後ほどご意見をいただきたいと思います。次に2番目の項目のクロイツフェルト・ヤコブ病に関する問診事項でありますが20ページ、21ページ、それからお手許の献血の申込書と裏の問診票のところをご参照いただきたいと思います。
 まず献血の申込書、緑色の大きな紙があるかと思いますが、これが実際に血液センターで使われている紙であり、献血の申込書と裏が問診票になっております。それで現行では血液センターに献血を希望される方がまず行きますと受付で献血手帳の提示をするわけでございます。初回の方はまた別の登録をされるわけでございますが、献血手帳の提示をし、それから献血申込書に記入していただくわけでございます。これには氏名、生年月日、身長、体重、住所、勤務先等いろいろ書いていただくわけでございます。それからその次に裏の問診票、これは1番から15番まであります。ここを一つひとつ読んでいただきまして「はい」と「いいえ」で答えていただき、そして最後に署名をしていただくわけでございます。その次に献血前の血圧測定等の検査をいたしまして、さらに問診を行うわけでございます。といったような段階を踏むわけでございまして、実際に採血に至るまでにはこういった手順があるわけでございます。そしてクロイツフェルト・ヤコブ病に関する問診票の項目についてはこの問診票のところの11番は、メインなのでございますが、「今までにヒト由来成長ホルモンの注射や脳外科手術を受けたことがありますか」という項目があります。これを今回、より明らかな形にすることを目指しておりまして、お手許の資料の21ページ、これが改訂の案でございますが、項目を増やして分かりやすくしたいと考えております。現行は問診票の11番をメインといたしまして、9番のところに「今までに輸血や臓器の移植を受けたことがありますか」という移植の問題が入ってきております。角膜移植などはここでも読めるわけでありますし、それから3番のところに現在の献血者ご本人のことを聞いておりますけれども、そういったところでもいろいろなことが聞かれるわけでありますが、これらをもっと正確にしようということで21ページの質問事項のように1番のクロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患に該当するか、2番の血縁者にクロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患に該当する人がいるか、3番は前も聞いておりましたが、4番に角膜移植を受けたことがあるか、5番目のところも単に脳外科手術というだけではなくて、硬膜移植を伴う脳外科手術を受けたことがあるか。そういったようにより明確な形にしようとしております。これらについても後ほどご意見いただきたいと思います。
 それから次はHCVに対する安全対策であります。資料22ページから27ページと資料2の厚い冊子の両方をご参照いただきたいと思います。まず22ページから27ページ、これはFDAからの通知が3点添付してあります。1点目は1994年12月27日に出たものでありまして、簡単に内容を言いますと「一つ以上の検証されたウイルス不活化または除去過程のないすべての免疫グロブリン製剤のHCV RNA検査を開始する予定である。企業からCBER(FDAの中の1組織)に提出された各ロットが検査され、繰り返し陽性のロットは出荷できない」といった内容が書いてあります。
 2枚目は23ページでございますが、1995年3月3日に出た通知でありまして、23ページと24ページでありますが、この内容は簡単に申し上げますと「筋注用免疫グロブリンによるHCVの感染例はないが、ウイルス不活化のなされていない静注用免疫グロブリンの感染例があることから、HCV RNA陰性ロットに制限することが適切であると考える」こういったような内容が書かれております。
 25ページからの通知は、これは1995年3月13日に出たものでありますが、この内容としては、CDCによるウイルス肝炎スタディの結果やあるいはソマリア紛争時に免疫グロブリン投与を受けた兵士512人の中にHCV陽転を示した者はいないといった成績から、こういったことを引用しまして「筋注用の免疫グロブリンが適切に投与されれば疾病予防に有効なものであり、HCV伝播の証左がない以上医学的適応がある場合に使用をためらうべきものではない」こういった内容が記載されております。
 このような米国の動きもありまして、わが国ではHCVに対する免疫グロブリン製剤のより一層の安全性を確保する観点から、各社に対して製剤のウイルス不活化または除去のバリデーションデータを提出するよう求めてきたところであります。この結果につきましては前回の安全性専門委員会でもお示ししましたが、その内容について学術誌等にまとめられて評価できるようなものである必要があるというご指摘もあったわけであります。これを受けまして、各社に対し、あらためて各社のデータを学術誌等に報告されたもの、あるいは報告するような同様の様式であるもの、こういった内容のものをまとめまして、それの公表を前提といたしまして提出をお願いいたしました。本日配布されている資料2はそれらをまとめたものでございます。各社別に免疫グロブリン製剤についてのウイルス不活化除去のバリデーションデータがまとめられてあります。
 また、PCR検査につきましても各社からいつの段階で行っているかということを、これは資料の一番最後の方になりますが、静注用、筋注用分けて記載していただいております。資料2の一番最後の部分でございます。また、PCR未実施の企業におきましては、ウイルス不活化または除去の工程が製造工程に導入され、バリデーションデータが示されているということが注のところで記載してあります。この内容を見ますとこれは静注用グロブリン製剤の場合では、既にすべての製剤がウイルス不活化または除去工程が導入されております。筋注用免疫グロブリン製剤についても不活化または除去、あるいはPCRによるチェックが行われております。このようなPCR検査やバリデーションデータの評価につきましては、ご存じのように専門家の間でもいろいろと議論があるところでありますので、今後はこのような方法でデータを公表して多くの人による評価が可能なようにしていければと考えております。なお、この資料2も含めました今回の会議の資料につきましては厚生省の行政相談室で後ほど閲覧できるようにする予定であります。以上がHCVの安全対策であります。
 次にGVHDについてご報告申し上げます。28ページになります。緊急安全性情報という日本赤十字社から出されたぺーパーが載せてあります。GVHDにつきましては本年4月にすでに緊急安全性情報を配布して注意喚起を行っているところでありますが、その後さらに7例の輸血後GVHDの症例がございました。そこでさる12月20日に開催されました中央薬事審議会の副作用調査会において検討を行い、さらなる注意喚起が必要とされたわけでございます。それを受けまして国の対応としては日本赤十字社に対して緊急安全性情報を作成し、医療機関等に配布するよう指示をしたところであります。お手許の緊急安全性情報がそれでございます。また、同じく日本赤十字社に対して従来の血液製剤に加え放射線照射済の製剤の承認取得を早急に行うよう指導したところであります。また、厚生省の発行する医薬品副作用情報にGVHDに関する情報を掲載する予定であります。また、日本輸血学会の動きとしては今日は湯浅委員も御出席でございますが、新しいガイドライン、今あるガイドラインはIIバージョンでございますがIIIバージョンがまもなくできると聞いております。その新しいガイドラインの作成等を通じまして広く医療関係者に対して血液の安全で適正な使用のための知識や放射線照射等の方法について周知徹底を図ることと聞いております。それから日本赤十字社の動きといたしましてはこの緊急安全性情報を作成し、医療関係者に対して配布を行い、特に輸血の適応と使用血液の厳密な選択、それから輸血用血液の放射線照射によるGVHDの予防措置、それから日本赤十字社の血液センターでの放射線照射に対する協力、さらには予定された手術において自己血輸血の使用の実施の考慮等について注意を喚起することと聞いております。なお放射線照射済の製剤の承認取得の検討も引き続き行うと聞いております。以上がGVHDに関しての報告であります。
 最後にパルボウイルスについてであります。まずお手許の資料の32ページでございますが、ここに厚生省薬務局安全課長から日本製薬団体連合会安全性委員会委員長殿という宛て先の事務連絡が平成8年11月11日付けで出ておりますが、この内容につきましてはパルボウイルスに関しての添付文書の内容について記載しているわけであります。33ページに血液製剤の一覧が書いてありまして、34ページに添付文書の改訂する内容が書いてありますが、一般的注意の方に 「血漿分画製剤の製造工程でヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分観察すること」こういったことを追記することを求めております。また慎重投与の項には、「溶血性・失血性貧血の患者、免疫不全患者・免疫抑制状態の患者を」を追記することとしております。
 それから妊婦への投与の項につきましては新たに「本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害が起こる可能性を否定できないので」といったことを追加するようにしております。
 35ページはこれはヒスタミン加免疫グロブリンについてのことでございますが、これは内容的には同じでありますが、妊婦への投与のところはもともと妊婦へは投与しない製剤でございますので、そこのところが違っております。それから関連のものといたしまして、参考に添付いたしました血漿分画製剤によるパルボウイルスB19感染リスクについてという社団法人日本血液製剤協会加盟各社から出ている冊子がございます。これは医療機関向けのお知らせであります。
 こういったことを11月から行っておりまして、これによりまして、パルボウイルスに対する注意を新たに行っているところでございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。
高久委員長 どうもありがとうございました。今日お手許の資料にありますようにいくつかの問題がありますので、一つひとつについてご意見あるいはご質問伺いたいと思います。今から3時半まで約1時間半弱でありますが、一つのテーマについて15分か20分の間ぐらいご意見を伺って次のテーマに移って行きたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。最初にHIVの抗原検査ですね。p24 抗原検査について今の説明ですと、フォールスポジティブが多いのではないか。あるいはドイツ、フランスでは導入を見合わせるというような話でイギリスについても検討中であるという話でありますが、一方日本赤十字社さんの方では1年間モデル事業を実施することを検討中であるとありますが、同時にそれと並行して来年ぐらいにはPCRの試作機ができるのではないかという話だったと思います。そのことについてご質問、ご意見おありでしょうか。さっき検査がp24 だと1600円ぐらい。PCRでやるといくらぐらいかかるのですか。
血液室長 これはたいへん難しい質問ですが、アメリカでp24 のコストフェクティブネス(経済効率)の研究をしている人のデータの中にアメリカではp24 が1ユニットあたり5$ぐらいで、PCRをやったら8$ぐらいではないかという予測値が記載されていたと思います。それは一つの参考になるのではないかと思います。ただこれはあくまで類推というか、推測でございますが、やや高めにはなるのではないかと思います。
高久委員長 パテント料も払わなければならないですね。全部やるとp24 で115億円だと、もっと高くなる可能性があるわけですね。日赤さんでモデル事業をやる意味があるのですか。来年になったらPCR試作機ができる。問診を強化すればその方が良いかもしれない。p24 だとフォールスポジティブが出るということになると金と人手をかけてモデル事業をやる必要があるのかなという気がしないでもないのですがその点についてはいかがなものでしょうか。
小室委員 ここにもヨーロッパの状況が出ておりますが、10月、11月いろんな方と話してみて、大方がp24 抗原検査の導入の否定的な国が多い。導入しているのはアメリカとタイの一部がやっているのですが、まだタイでもデータがまとまっていないのですが、現状では思わしくないと。思わしくないという言い方をされましてデータ、後ほど送ってくれるという話なのですが、これに導入したことによってウインドを十分把握していないというような。
高久委員長 しかもタイとかアメリカならエイズが多いからやりやすいですが、日本はもともと少ないところにこれやっても空振りにならないですかね。
飯野委員 さきほどの話だと日本だと600万人でHIV陽性者が40人見つかっていて、しかもこれは感染していた人ですから、そのほかのごく初期の人といったらこれからみて年間いるかいないかわからないくらい少ないことを1年間やってもまったく私は金のムダだと思います。それから一人あったとしても、それからは頻度は言えないわけですよね。どれくらいの効率かということは。
高久委員長 100万人やったってほとんど見つからないのですね。
宮村委員 16ページの方に書いてあるのですが、やってもどれだけ見つかるかということ以外にここではドイツの経験として目指す目標逆の方向に向かわせるようなことにもなりかねないと書いてあります。そのへんがちょっと良く分からないのですが、p24 抗原検査が早い検査結果を手にしたいリスクグループに属する供血者を積極的に供血へ誘導することが。
飯野委員 早く分かるから検査してもらえば自分が感染したかどうか早く知ることができる。普通の抗体検査では分からないが、これやってくれれば早く分かる。
宮村委員 それはたとえばアメリカあたりでは良いこととしてポジティブに働いているわけ、この検査の部分は。そんなことないですよね。
高久委員長 それはないので、アメリカの場合はウインドウピリオドの人をつかまえるためだけの目的でないですかね。これは日赤さんの方が検討中だが、あんまり意味がないのではないかというふうにここで結論すれば止めるのですか。
草刈(日赤) 今できるかぎりのことはやっておきたいということでございまして、サイエンスでは確かに先生方のおしっゃるとおりでしょう。HIV−IIに関しましては600万検体やって一つも陽性が出てないのだけどやっているということでございますから、国民をHIVから守るためにあらゆる努力を傾けているということはしなければならんという姿勢の中での方針でございます。
高久委員長 空振り覚悟でやられるというなら、良いでしょうね。分かりました。実際にはPCRの方法が確立されたら、PCRはやるわけですね。これはもちろん全血液についてやるわけですね。その体制を早急に整えた方が本当は良い。
血液室長 ちょっとPCRについて補足させていただきますが、いま国が補助金を出してやっているグループが一つあるのです。その見通しが私が先ほど申し上げましたような平成9年度中に実用機に近い第3次試作機を完成すると、そういった見通しでありますが、同じように研究しているグループが国外にもまだ数社ございまして、それらがデッドヒートといいますか、競争しておりますので、実現の可能性はその意味ではかなり高いのではないかと思います。
高久委員長 PCRがはじめ研究室レベルでやっているころはフォールスポジティブがあったのですが、今はそういう事はないのでしょうね。
西岡(日赤) フォールスポジティブは物凄くあります。ヨーロッパの9ヶ国でPCRの合う、合わないをやったところ正解率は16%で、あと84%は違っていました。
高久委員長 感度が高いだけにフォールスポジティブが出てくる可能性がありますね。
西岡(日赤) そこでPCRをあんまり万能視するのは良くないのですが、そのステップ、ステップでは段々よくなっていると思います。日赤の中でやった成績は60〜80%です。ヨーロッパの成績よりは大分良いと思っています。
高久委員長 PCRというのは感度を高くすればするほどフォールスポジティブが多くなる。技術の開発を待つ必要があります。
飯野委員 このPCRの試作をおやりになっているのはHIVだけをPCRでおやりになるのですか。
血液室長 今はHIVの方のプローブの完成を急いでおりますが、もちろん将来的には他のHCVとか、そういったものも精度・コストの面で折り合いがつけば積極的に対応していきたいと思います。
飯野委員 お聞きしたいのは1回のPCRをやることによって、プローブを上手に使えば2、3種類のものを同時に検出できると思うのです。たとえばC型肝炎でセロタイプ分類をやるときはいくつかのプライマーを使って4つぐらいに分けているわけですから。技術的にはそれぞれの難点がありますから難しいかも知れませんが、せっかくお金をお使いになるのだったら、そういうことを含めた開発をしないとPCRである項目だけだったらそれで使われる費用は同じですから一度に3項目、4項目やれるような研究であればですね。
高久委員長 そうですね。プライマーの問題でしょうからおそらくできるのではないですかね。それだけお金も高くなるでしょうが。後でまたいろいろご議論あると思いますが、次にクロイツフェルト・ヤコブ病のことに関して、21ページに従来の質問事項がダイレクトで聞いてないのですが、ここでははっきりと聞いていると、それでこの1番の「CJD及びその類縁疾患に該当する」というと聞かれた人は何か意味が良く分からない。「罹患をした」とか「〜をしている」とか、そういうふうにしないと。「該当する」という表現は分かりますかねちょっと何か工夫がいるのではないか。3、4、5はすぐ分かるのですが、該当する人はというと1、2ですね。日本語がちょっと分かりにくいような気がしますが、いかがなものでしょう。罹ったというのですか。罹っているのですか。
立石委員 「医者に言われたことがあるか」というような質問だと思ったのですが。あるいは問診する人に病気の知識があって、ある程度チェックできるということも含めている意味かなとも思ったのですが。
飯野委員 ここの質問事項というのはそっくりこの問診票の中にこれがすっぽり入ると理解してよろしいのでしょうか。
血液室長 11番が入れ換えになります。
飯野委員 普通の人はクロイツフェルト・ヤコブなんて言われても何のことやら。おまけに類縁なんて言われるとますます何のことやら分からないのでは。
立石委員 そうですね。質問の仕方としてはちょっと語句を考えた方がよろしいかと思いますが、おそらく趣旨は今言ったように「医療機関でそう言われたことがありますか」というようなことでよろしいですかね。
高久委員長 そうですね。だいたい今罹っている人はこないでしょうね。
立石委員 だからまず典型的な症状の人は来ることはないと思いまして、一番問題になるのは遺伝性のプリオン病なんかで、非常にまぎらわしい、あるいは症状が出にくいタイプの人をなんとかチェック、問診でチェックする方法はないかということになるかと思うのですが、その場合大きく言いますと、進行性の痴呆症状があるというようなことが大きな目安になると思いまして、それを何とかチェックできる方法はないかということを相談も受けまして、考えておったのですが、一つは献血申込書でかなり年齢とか、生年月日は書かせますから、そういうところの対照していくとか、あるいは住所、電話番号ですか。それで大きなところで痴呆のチェックをやらざるを得ないかと思っております。長谷川式の痴呆検査ということもありますが、こういうのをいちいちやることは不可能でしょうから、だからもしも注意深く見ていけば痴呆は一応除外できるというふうに考えて、まぁまぁこれなら良いのでないでしょうかと思っております。
高久委員長 飯野先生、おそらくほとんどの人は知らないですよ。病気を言われた人はないので、おそらく2なんかほとんどの人がすぐ「ない」というでしょうね。だけど聞いても悪くない。「なんですか」というときに「プリオン病という病気ですよ」と「そんなの聞いたことがない」といえばそれでネガティブになりますから。ただ確かに類縁疾患まで言う必要があるかどうかという問題がありますね。CJDだけでも知らないのに類縁疾患なんてますます分からなくなってくると。
立石委員 そうですね。あんまり詳しく言いすぎると分からんかも知れませんね。私が念頭に置いておいたのは遺伝性のゲルストマンストロイスラー症候群(GSS)という病気あたりがむしろ実際は症状が出にくい群ですから、そういう意味かなと思ってとったのですが。
高久委員長 むしろ「CJDに罹ったことがありますか」とか「〜と診断されたことがありますか」あるいは「血縁者にCJDに罹った人がいますか」「〜と診断された人がいる」というような表現で良いのではないですかね。その方がまだ分かりやすいような気がしますが。類縁疾患というとか、あるいは該当するっていうところがそういうことが。ですからむしろ「次のいずれかに該当することがありますか」ということはいらなくて、ここと同じように「CJDと診断されたことがある」「血縁者にCJDと診断された人がいる」「ヒト由来成長ホルモンの注射を受けたことがある」「角膜手術を受けたことがある」5)の「〜外科手術を受けたことがある」のイエス、ノーで良いのではないですか。その方が良いのではないかと思いますが。もしご異論なければそうしたい。
血液室長 それでは2番の血縁者の方は「診断された人がいますか」ということでよろしいかと思うのですが、1番のところがあいまいな書き方になっている一つの要因といたしまして「診断されたことがあるか」というと正式な診断となると病理解剖になってしまうのですね。ややあいまいな書き方になっているわけですが、何か良い表現がありましたら教えていただきたいと思いますが。
小室委員 アメリカ赤十字の方では確か「遺伝的神経性疾患があるかないか」というようなことを聞いていたように記憶しているのです。それはどんな表現だったでしょうか。
高久委員長 病理解剖でなくては診断できないのですか。臨床例で診断していなかったですかね。
立石委員 典型例は臨床で明らかにできますが、そういうはっきりした人は来ないと思いますから、むしろあやふやな症状を呈する、遺伝性のタイプとか、そういうものでありますので、そういうものが。
高久委員長 病理解剖にならないと分からないのですね。
立石委員 最終的にはそうなるのですが、これはまた質問としてまったく困りますから「医者に言われたことがありますか」ぐらいでいかざるを得ないのではないですか。
血液室長 そのへんの表現は日赤とこちらの方で相談させていただきます。
高久委員長 考えていただければと思います。イエス・ノーがありますから、一番上の行はいらないのではないかな。他に何か。
湯浅委員 問診票全般に関してなのですが、問診票重視ということはプライバシーにかかわる質問になるわけでそういう場合オープンではなくて、個室で行うなど、配慮はあるのですか。
草刈(日赤) やっております。
高久委員長 そうでしょうね。とくにHIVに関連したことだと何か微妙なことを聞かなければならないですから、
草刈(日赤) 個室に入れるのもかえってプライバシーを守る上で障害になるということもございます。そのへんは考慮しながら効率よくやっています。
高久委員長 あんまり声が大きい人は困る。
湯浅委員 アメリカなんかは全部個室ですね。あまりそういうところに入れられるのも。
草刈(日赤) 「その質問ならこっちの部屋に〜」なんていうことですとかえっておかしくなりますからね。そこは上手に現場は努めております。
立石委員 それからこの問診票、自己申告の書類ですが、これで結局年齢と生年月日書く覧がありますので、これはやはり表でも手元にもっていらっしゃってちゃんとチェックしてください。そしてそのあたりは長谷川式にも質問項目にありますが痴呆の鑑別に使えますから、そういう意味でおかしい人には詳しい問診を後でやるということで。
草刈(日赤) 全国所長会議に立石先生に特別講演お願いしてそれをビデオにとって全センターに配ろうと思っております。
高久委員長 どうもありがとうございました。もしご意見がなければHCVの安全対策ということでこれに関しては資料2にありますようにPCRの精度や、フォールスポジティブが問題にはなりましたが、PCRをほとんどやっているということでありますが、飯野先生いかがですか。
飯野委員 実際的には日本では免疫グロブリンでHCV感染が起こったという事例はないわけですね。外国ではありますが。
高久委員長 そうですか。ちゃんと配慮しているわけですね。そういう意味では少なくとも免疫グロブリン製剤に関してはHCVの感染は日本では問題にならない、そう解釈して良いのですか。
飯野委員 と思います。
小室委員 ただ同じ製造方法でヨーロッパで起こった製剤が現実に日本に入っていることは事実なのですね。たまたま日本で起こらなかったということであって、一昨年度ヨーロッパで起こった製剤は同一製品、製造方法のものが入っているわけです。その点はやはり留意する必要があるのではないかと思います。
飯野委員 もし日本で問題視するならば、予研なりなんなりがある程度抜き打ち的にサンプリングしてチェックだけはしているという体制をとっているということを示すことは必要だと思います。
小室委員 はい。これは全ロットやっています。
高久委員長 全ロットやっておられるのですね。輸入、国産両方。
小室委員 はい。
飯野委員 おそらく日本のメーカーがそういうことをやっているということだけでもちゃんとやると思えますが。
高久委員長 自給率は40%ですか。ガンマグロブリンの。
血液室長 はい。40%です。
高久委員長 だから60%は輸入。それでもHCVに関してはちゃんとチェックしているのですね。原材料を考えるとHCVに関してむしろ輸入よりは日本産の方があぶないのですか。
飯野委員 それはないと思いますが日本の方は献血された血液ですから。
高久委員長 チェックしていますからね。どうも失礼しました。安全なはずですね。いろんなチェックがかかっているわけですね。マテリアルでチェックして会社の方でチェックして予研の方でチェックしている。三重のチェックになる。
小室委員 一つよろしいですか。私心配しておりますのは、日本の国として製造者側に一つも何も一つの通知も一切公的なものが出ていないのですね。FDAの場合さきほど紹介になったようなものが実際に製造者に出ているわけなのです。たとえばスクリーニング、バリデーションしっかりしなさい。そういう政策的なものが一切日本の場合にはないものですから、たとえばわれわれが対応する場合にもいろんなときにやはりムダが出てくるかなという印象はあります。それについてそういう問題があるものですから。
高久委員長 そうですね。資料の22ページからですか。これは全部FDAから出ていますね。だからもし日本が同じようにこういう指示を出すとすると薬務局から出るということになりますかね。
小室委員 ドイツなんかでも出ているわけなのですね。したがって、もしそういう状況の中でたまたま日本は幸運だったという状況でなければ良いのですが、起こった場合にどういう対応するかということもありますので、その点はやはりある程度していただいた方が良いのかなというふうに個人的な考えもっております。
高久委員長 どうですか。その点は。血液事業対策室がこんど課になるらしいですが、血液対策課の方でそういうことをしますか。
血液室長 局内でその点は良く検討させていただきます。
高久委員長 そうですね。検討していただければよろしいと思います。今日のテーマの中で、GVHDが非常に重要な、また難しい問題だと思うのですが、湯浅先生輸血学会の新しいガイドラインはどんなガイドラインなのですか。
湯浅委員 学会ではすでにガイドラインI、IIを昨年の5月に出したのですが、今年の4月に緊急安全情報が出ました。今までのはかけるべき疾患とか、考慮すべき疾患ということだけであまり詳しくなかったのですが、今回はもっとGVHDに対する認識と注意を喚起するということで、具体的に現時点での方策をまとめたわけです。今回のは主にGVHDの病態からその機序、そしてGVHDに対する基本的な考え方としては輸血の適応をしっかりすること、そしてまず自己血を使うこととしています。そしてGVHDのリスクファクターとして輸血用の製剤側からのリスクファクターも加えました。たとえば新鮮血は特に採血後3日以内の血液はすべて照射するとか、採血後13日間保存した血液でも発症している例があること。それから血縁者間の輸血は非常に危険だから回避またはかけるようにしました。一方、照射によりカリウム値の上昇があるため新生児、未熟児、あるいは腎不全患者では注意する。それからもう一つは将来的なことですが、ウイルスの活性化とか、あるいは15グレーから50グレーまでの範囲ですと、ほとんど細胞を殺してしまう方の効果が発癌を誘導する効果よりも大きいのでそういうことはないと思いますが、将来的な安全性は確認されておりません。ドクターに対して、GVHD予防で照射することは良いわけですが、そういった不確実なこともやはり念頭においてやるということも付け加えてあります。対象疾患では先天性免疫不全、胎児未熟児、造血幹細胞移植、心臓血管外科、それからがんの外科手術などです。今回はそれに加えていわゆる大量出血とか重篤な外傷を付け加えたり、発症例から見て高齢者が多いということで、高齢者も加えてあります。全体的に分かりやすくGVHDに対しての認識と注意を喚起し現時点での対応を示しています。
高久委員長 ガイドラインで一番問題になるのは放射線照射をするかしないかということになると思いますね。年齢とか、輸血の量とか、対象疾患とか、そういうことである程度は指導、つまりこういう患者の場合には放射線をかける、それ以外のはかけなくて良いというふうになっていないと現場で困るでしょうね。
湯浅委員 そうかといってこういう疾患にはかけなさいとなるとそれ以外は照射しなくても良いかということになると困ります。ですから基本的にはリンパ球のバイアブルな血液製剤、つまり全血製剤、濃厚赤血球、血小板に対しては照射すべきであって、とくに採血後3日以内は危険。それから2週間以内のリンパ球には活性が残されている可能性があるため、血液製剤側のリスクを考慮して照射する。そしてリンパ球をリジェクションできないような病態の患者には照射する。これはあくまでもいろんな症例でこれなら照射しなくても良いという疾患はあるわけではないので、リスクファクターを示し、あとは主治医の判断ということになるわけです。基本的には全製剤に照射することが念頭にあるわけですが、現時点ですべての血液製剤にどこの病院でもかけるということは無理な点があろうかと思います。
高久委員長 そうですね。この30ページを見ますと患者は先天性重症免疫不全症を除けば全部65歳以上ですね。一人63歳というのがいますが、そういう年齢のファクターを。
湯浅委員 高齢者といっても60とか65以上ということもあり、あまりそれを具体的に書くと「では65以下だから良いか」ということに解釈されると困ります。一般的には高齢者といった場合には65かも知れませんが。
高久委員長 データがあって、これ以上のものは極めて稀でないと、GVHDが起こったときに全部裁判になってくる可能性はないのですか。
湯浅委員 いわゆる法的にここに書いてあればやる、書いてないから良いというのではなくて、少なくとも現時点での発症例などから、そういうものを考慮してということなので、ガイドラインだからといって絶対のものではないわけです。基本的にはすべての疾患に照射したものを輸血すべきでありますが免疫が抑制されているような疾患や病態に対して、また血液製剤側からの要因だったならば採血後2週間以内の血液に対してとか近親者間の輸血は危険ということを示したもので、今後新しい知見をふまえて改訂して行くべきものです。
浅野委員 この一覧表の中で全部確定診断がついたGVHDなのでしょうか。裁判の問題もありますので、聞いておきたいのですが、確定診断がついたものかどうか。
湯浅委員 これはセンターの方でマイクロサテライト法で確認されている症例だと思いますが、副作用調査会の方で検討されて一応GVHDだという症例だと思います。
草刈(日赤) これは医療機関からの報告が主体です。それでおっしゃるように患者さんの検体が手に入りましてそれでマイクロサテライトで出たというだけでございます。だから臨床症状その他のあるいは病歴所見による確認ではございません。
適正室長 付け加えますと今、先生の方から安全課の方でという話がでましたが、副作用情報に関してはすべて副作用調査会という中央薬事審議会で一例一例評価するのです。その場合には私どもの方は確定診断ということではなくて、むしろ関連性が否定できるものは除き、否定できないものはできるだけ拾い上げるようにしていきます。日赤からは事実関係だけが報告され、GVHDと輸血との関係があるか否かの評価を中薬審で行っています。
浅野委員 それからもう一点ですが、15〜50グレーというとかなり幅をもって現場では困ってしまうのですね。これはどういうふうな論拠で15〜50となるのでしょうか。分からないというのは分かっているのですが、この幅があるとね。どういうケースでそういうふうな判断ができるのかという現場の疑問が出てくるのですね
高久委員長 これはデータがあるはずですね。ないのですか。
湯浅委員 一応そういったデータが出ていますが、ほとんど15グレーで活性化がなくなる。15グレーと言う場合、血液バックの一番弱い所の照射量を基準にしているので強い所では25グレーになることもある。また周辺部を30グレーにすると中心部は50グレーになることもあり、それらの巾をとって15グレーから50グレー以内としています。外国では25グレーとしている所もありますが、周辺部では15グレーになることもある。機種の特性でそれぞれ決めることです。また疾患によっても。
船本(日赤) 血液センターでは原則として15グレーです。
浅野委員 15〜30ぐらいかける人が多いのですが。
湯浅委員 そういうことは、機種の特性と疾病・病態によって決めることと思います。
浅野委員 ただGVHD確定診断が難しいですからね。このぐらい幅をもたしたら、逆に何かが起こったときに足りなかったのではないかとか、15では足りなかったのではないかとか、そういう可能性はありますよね。
前田(日赤) 一応血液センターでの照射は外科はだいたい15グレーぐらいで良いのではないかとしています。それ以外の骨髄移植その他の血液疾患で25グレーでも起こったようなレポートがあったので、血液疾患などでは50グレーまでの幅があって、主治医の方から「うちの患者はこういう患者だから15では足りないから照射量を上げてくれ」という具合に幅を持たせたと理解していました。
高久委員長 全血、赤血球、濃厚血小板輸血全件で現実には何%ぐらいの輸血が放射線照射を受けてやられているのですか。そういうデータはないでしょうか。
草刈(日赤) だいたい輸血が年間200万件行われているというふうに推定いたしますと、その中のということになります。
高久委員長 その中のいくらぐらい。
船本(日赤) 病院でかけているデータが全然分かりませんので、全体の数値としては出て来ないと思います。
飯野委員 日赤としては何%ぐらい。
草刈(日赤) 5.5%。
湯浅委員 5.5%というのは医療機関から依頼があった場合なのですよね。今回の第2回目の緊急安全情報が出てまた学会の新しいガイドラインが示されれば、今後はずいぶん医療機関において一層の注意が喚起され依頼が多くなると思います。
草刈(日赤) 非常に困りますのは国立・県立病院あるいは大学病院からの土曜日曜の依頼が大変多いということでございます。それでは医療機関で施設を持てないところに私たちは協力をさせていただくということのバランスが崩れてしまいます。もう一つは湯浅先生たちが非常にご努力いただいて大変私たちも協力させていただきますし、またしておりますが、日本の輸血をする医療機関がだいたい1万〜1万5千ございます。輸血学会の会員は600人です。全体に対する影響というか、浸透というものが今後どういうふうに図られていくかということかということ。ぜひほんとうに輸血をなさっている大多数の輸血学会以外の先生方がこの趣旨を十分に理解していただいて主体的にやっていただかないと輸血学会の勧告がムダになるのではないかという気がしております。そのへんもまた湯浅先生と相談させていただいて輸血医療の安全を守っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
高久委員長 自分で照射ができる施設はどのくらいあるのですか。もちろん規模によるでしょうが。たとえば大学病院だと全部自分のところでやっているのでしょうね。
草刈(日赤) 国立大学輸血部長会議ですと、持っているところはほとんど持っていますが、全例照射というのが確か9大学ぐらいしかなかったと思います。
高久委員長 全例照射しているの。
草刈(日赤) はい。全部やっていると書いています。レポートでは。
高久委員長 だけどそれは大学に人手があって、特殊な場合でしょうね。普通の病院でそれはできないですよ。まして自分のところで持っていない病院は。なかなか全部は難しいな。照射をしたための副作用の正式の報告はまだないわけですね。ウイルスの活性化とかマリグナントリンフォーマーが増えたとかなんていうことはないのでしょうね。
湯浅委員 15グレー以上で照射した血液を輸血した場合、ウイルスの突然変異とかマリグナントリンフォーマーが増したという報告はないようです。直接的にはカリウム値が上がりますので、照射後日数が経った血液の大量急速輸血というのは特に注意しなければなりません。
高久委員長 これは難しい問題ですね。
湯浅委員 先ずGVHDがあるという認識と注意を喚起することが大事です。5%きり依頼がなかったということは医療機関の末端まで情報が伝わっていたのか。あるいは知っていても依頼しなかったのか、あるいは、また一方で照射すると血液センターに返品できないとかそのようなことがあるのかも知れません。
飯野委員 話が難しくなるのは照射した後の血液製剤は今引き取らないですね。そういうことの有効期限とか、あるいは照射にかかわりなく現在の赤血球製剤の有効期限とか、本当はそこらへんも含めて総合的にもう一回血液の有効期間を考え直しても良いのではないなと思ったのですが。ようするに早いうちが危険なわけでしょう。そうすると有効期間が21日までで、14日ぐらいまでは  GVHDのほうでちょっと危険がある。その間はたった後1週間ですよね。1週間でカタをつけなければならないというとどうしてもムダが多いですし、赤血球製剤全体としてあまっているというが、不思議なことに時期によっては欠乏していて、ある時、私の所では神奈川県でなくて東京都から供給してもらわないとないということが血液型によってはあるのです。ということもあるので、もう一度、総合的に考えておく必要があるのではないかと思うのですが、GVHDを強く言うのであればですね。
高久委員長 そうですね。確かにGVHDの診断そのものが問題になるのでしょうが、しかしこれだけケースがあるとリスクファクターは必ずわかるので、それをはっきりして、こういうリスクファクターの人はしなさいということを出した方が良い。リスクファクターのない人でも起こることはあると思うのですが、それは例外的なことで予知できなかったということです。そこらへんをはっきりしておかないと。輸血学会などの権威のあるところでもう少し具体的なガイドラインを出した方が現場は助かるのではないですかね。どうですか。
飯野委員 今は結局、全部照射せざるをえないというような状況になってきて。
高久委員長 実際にはリスクファクターのない人にも起こる可能性はあるわけですし、診断の問題があるわけですね。問題になるとして全部の血液にやるとこれまた大変なことですね。ですから少なくとも権威のあるところでこういう症例にはすると、きめておけばそれに入らない人にはおこらないですか。起こったらそれは非常に例外的なことであって予知できなかったと思うのですね。そういうリスクファクターがないのだから、しなかったということに対する責任を問われないということはないのかな。そうしないと輸血ができなくなってしまいますね。
湯浅委員 照射するか、しないかよりももっと重要なことはその輸血は本当に適応があるのかを厳重チェックし救命的に使用することです。外科の患者さんならば、可能な限り自己血でする。安易ということはないのでしょうが、こういういろいろなリスクがあるということを考えて安易な、不適切な輸血をしないというこの考えで輸血をしていただくことがまず基本的なことと思います。
高久委員長 まずそうですね。だけど全例かけることが現実的に不可能だとすればやっぱり何か具体的な現場の人がすぐ役に立つようなガイドラインをぜひ輸血学会で作っていただかないと現場が困るのではないですか。それは例外は何でもあります。患者の年齢とか、血液の種類とか、採血の時期とか、患者さんの状態であるとか、かなりはっきりしていただいた方が。
湯浅委員 今回ガイドライン3はその点も含めて今まで以上に分かりやすく血液側から見た因子、対象者側からの因子に分けて示したものになっております。
高久委員長 そうですね。では5番目のパルボウイルスに関する添付文書の改訂は、使用上の注意にこういうことを書き加えたということですね。慎重投与、妊婦への投与、一般的注意、こういうものにヒトパルボウイルスB19等のウイルスについての項目を書き加える。そういうことですね。こんなもので良いですかね。浅野先生。パルボウイルス。溶血性貧血なのですね。これはね。
浅野委員 溶血性貧血がベースにあることは間違いありませんが、そうでない場合も報告ありますが。
高久委員長 ありますね。
 これで一通りざっとみたのですが、まだ時間ありますから15について何かお気づきの点ありましたらご自由に。
血液室長 2点ありますが、1点目のp24 の検査の件でありますが、日赤のモデル事業につきましては先程のご意見も踏まえまして、日赤内で米国の状況等もかなりよく検討した上で実施の時期とか、内容等も決めるという方向でいかがなものでございましょうか。
高久委員長 よろしいですか。それで良いですね。
血液室長 もう1点クロイツフェルト・ヤコブ病の問診票でございますが、質問事項の21ページのところでございますが「次のいずれかに該当することがありますか」という表現はその他の項目でも8番とか、14番とかで同じような「該当することがありますか」というような聞き方をしておりますので、これをちょっと残させていただきまして、1番の方が「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患と医師に言われたことがある」と、ご指摘のようにさせていただきたいと思います。2番目は「血縁者にCJD及び類縁疾患と診断された人がいる」と、これでよろしいでしょうか。
高久委員長 そうですね。それで良いのではないでしょうか。あとは3、4、5はこのままですね。
血液室長 ありがとうございました。
高久委員長 他に何でも結構ですが、ご意見おありでしょうか。
飯野委員 パルボの話ですが、日本ではこういう製剤から感染が起きたというそういうはっきりした事例はあるのですか。外国ではあるようですが。
草刈(日赤) 私どものパップ(PUP)スタディでやっておりますとプレビアスリー・アントリーテッド・ペイシェント(PREVIOUSLY UNTREATED PATIENT)、いわゆるバージンケースでやらしていただいておりますが、真っ黒というのはありません。むしろ非常に活発な子どもさんが多いので、水平感染の疑いの方が濃いというのがほとんどの場合です。つまり抗体陰性だという人が陽性になったことはあることはあります。
高久委員長 血液製剤で起こることはあまりないということですね。
草刈(日赤) このスタディでは真っ黒なのは1例もございません。
小室委員 ただ外国の報告を含めてたとえば日本の血友病の10歳以下が100%抗体を持っているという事実、この時代の一般の子どもの平均率は10%以下ということを考えると、それから現状の製造方法、PCRつかまってきますしね。製造方法の不活化工程を考えると、果たしてそうかなという私疑問を持ってはいます。
高久委員長 あるいは起こっても不顕性感染が多いのでしょうね。
前田(日赤) 血小板で1例感染した例があるのですが、臨床症状は何もなかった。
高久委員長 そうでしょうね。臨床症状がないのがけっこう多いと思います。溶血性貧血だったらのぼってくる場合がある。
前田(日赤) 逆に訳の分からない貧血の患者さんの検査頼まれますとパルボがかんでいる場合がかなりあります。
高久委員長 そうでしょうね。
飯野委員 それからもう1点お聞きしたいのですが、血液製剤についてこういう表示を出してしまうと今後献血されて日赤でお作りになっているもの全部こういう文書が入っているわけですね。
草刈(日赤) 警告表示というのは今厳しく求められておりますので、お医者さんたちに対しては情報は連絡させていただいております。
高久委員長 ほかにどなたか。ご意見。
飯野委員 全然違うことで良いですか。一つ前回から今回の間に気になっているのはG型肝炎ウイルスと言わさせていただきますが、それが実際はどういうことをしているのか全然分かっていない状態で現に今輸血でけっこう感染起こっているわけですね。それに関して日赤では将来含めてどういうお考えなものか、それを伺いたいと思います。
西岡(日赤) 現在の時点でやっとセロロジカル・マーカーが出て来たのですが、このセロロジカル・マーカーはなにせ防御抗体ということで感染マーカーの抗体ではないものですから、血清学的反応でスクリーニングすることができない。現在の段階ではPCR法でやらざるを得ない状態で、アメリカではG型肝炎は臨床症状が重篤でないからたいしたことないという意見がかなりあるのですが、日本での研究では決してそうではないという可能性もあり、また劇症肝炎との関連の問題もとりあげられているので、PCRでスクリーニングするという方法が一般化されるか、あるいは感染マーカーの抗体スクリーニングすることが可能になればスクリーニングとして入れるべきではないかと思うのです。この間NIHでの会議でスクリーニングするかしないかで挙手を求められましたので個人的な意見としては日本の現状からみてスクリーニングが可能なら取り入れるべきではないかと発言してきました。基礎の研究の方でここの感染マーカーを何とか明らかにして欲しい。構造の上でコアのところがあんまりはっきりしないものだから、それに対して抗体がはっきり出てこないのですね。感染マーカーの抗体がつかまらないというのが現状だと思います。
血液室長 ちょっとよろしいですか。補足させていただきますが、G型肝炎についてもちろん直接的なドナースクリーニングの方法はまだないわけで、これから開発していく必要はあるわけでございますが、現状を申し上げますとからんでいるものとしては献血血液についてALTの検査をしていることと、それから問診の項目で今までに輸血を受けたことがあるかということを聞いております。それから今まで肝臓病にかかったことがあるか、今現在かかっているか、これも聞いております。過去1年間に肝炎ウイルスキャリアと性的接触等親密な接触があったかと、これも聞いておりますし、それからB型やC型の肝炎ウイルスキャリアと言われたことがあるかと、こういったところで今対応しているのが現状でございます。
高久委員長 分かりました。他に何か。
浅野委員 28ページの文章の問題なのですが、2の「輸血用血液の放射線照射による防止を」のところの真ん中の「特に〜」以下ですが、高齢者の場合、ここで高齢者に限って、これでよろしいのかということと、もう一つは「ただし〜」以下の文章ですね。ちょっと気になるのですが。
適正室長 「特に」を入れました理由についてですが、4月に同じ注意喚起をしているのです、緊急安全性情報ということで。そのときには高齢者については基本的にはこういう緊急安全性情報という形で医師に直接訴える形では高齢者ということは一切触れておりません。その後、輸血学会の方で、いろんなご検討、それから今回もさらにその後の4月以降の発症例の中身を見ていきますと従来のハイリスクグループといわれたこの一番最後のページにもガイドラインにもあるのですが、そういうところには入っていない患者さんがおられました。先ほど高久先生の方から具体的に示した方が良いという話もありましたが、31ページの上の実は現在のガイドラインでそこでは1の「照射を必要とする患者」これは可能なかぎり照射しなさいというグループを具体的に示しておりまして、2の「照射を考慮すべき患者」というのは病態によって考えてほしいということで基本的に1も2も28ページの2では可能なかぎり照射をしてくださいということでできるだけやるべきではないかというようにGVHD対策を考え直すということであります。その1ページ前の30ページにあるわけなのですが、今回も7例ほどありますが、クモ膜下出血というのはこれは出血理由は多分手術だと思いますが第2のガイドラインの中ではハイリスクグループに入っていない。しかし今までも指摘されていたのですが、65歳以上の高齢者であるということから高齢者もハイリスクグループに入れるべきであろうという輸血学会のご意見を考慮させていただきました。したがって、前回の注意を新たな観点から注意を喚起するという意味で高齢者を入れさせていただいたということでございます。それから、ただし書きについては、ではなんでも放射をしなければ輸血はできないのかという点につきましても輸血学会の方で緊急の命にかかわるような場合にはそれは致し方がないのだということもありましたので、ただ単に照射をしなさいということを強調するだけではまずいのではなかいということでただし書きを入れたということでございます。
浅野委員 趣旨は分かるのですが、「輸血療法が求められています」というとちょっと強いのでどちらかというと求められる場合もあると、止むを得ない場合もあり得るということになるのでしょうか。
高久委員長 ことばの表現の問題ですね。これは正しくは当然のことが書かれているわけですが、「優先した輸血療法」これはなんですかね。「行ってください」とか、良く分からないですね。日本語は。
浅野委員 ちょっと別のこと。直接的に関係ないのですがCJDに罹患した人の献血歴に関しての調査はなさっているのでしょうか。
立石委員 あります。文献がイギリスから出ておりまして、ある一人のCJD患者が発症前に50回ほど供血をしたと。その供血を受けた人のフォローアップをして発症した人はいないと、いうレポートがございます。
浅野委員 わが国ではそういう調査はない。
立石委員 日本でも結局その手の血液及び血液製剤から感染したというはっきりしたケースレポートはありません。
浅野委員 フォローアップという形で。
立石委員 フォローアップは日本ではおそらくまだやられていないと思いますが。
湯浅委員 近々に3のガイドラインが公表になりますが、放射線照射の適応になる患者についてはその後の発症例の頻度などから、心臓血管手術、がんの外科手術が多いということで順位を変えたり適応も少し拡大してあります。輸血学会のガイドラインの委員も輸血学会のメンバーだけではなくて、放射線医学の先生、免疫学、血液、輸血などの専門的な先生方にお集まりいただきまして、現時点での考えと対応策をまとめて頂きました。
高久委員長 その場合に、年齢のことを入れてもらうと良いと思うのですが、もう一つ量のことはあんまり問題にならないのですかね。心臓血管外科とか、担がん症例の外科手術というのはどうしても輸血量が多くなりますよね。だからそういう量の。30ページ見ますと必ずしも量が2単位ぐらいで起こったりしていますね。1単位とか。量はあんまり関係ないのですか。
飯野委員 この表はどこでお作りになったのですか。もし可能でしたら採血してからどれくらい経過していたかは調べれば分かるので使用まで幅を入れていただくとありがたいですね。
高久委員長 そうですね。こんな少ない量でも起こるのかな。他に何か。
湯浅委員 採血してから輸血するまでの期間ですが、文献でも2週間以上たったものでは見られません。しかし、だからと言って完全に安心とは言えないでしょうが。
高久委員長 GVHDの治療法は最近ずいぶんいろんな免疫剤の良いのができてきたが、だめなのですね。治ればまだ救いがあるのですが。
浅野委員 まずほとんどのケースが致死的なって書いてあるとおりなのです。
高久委員長 ほとんど死亡すると書いてあるんですが、これもほとんど死亡しているんでしょうね。
浅野委員 ちょっとクライトエリアがね、1単位で起こったり、肝臓で起こったり、どうして2単位で起こるのかとか、たった3単位で腎臓手術で起こるのか、普通では考えられないですね。先天性の重症の免疫不全だとかね、それだけは少し分かるんですがね。
高久委員長 それは子どもだし、1000ccとか1200ccなんていうのは分かるが、わずかの量で。やはり正確な早期の診断法と治療法を開発するとそっちの方が全部照射するよりはかえってやりやすいのではないですか。コストエフェクティブから考えても。サイクロスポリンとか効くのではないのかな。他に何かもしなければちょっと早いですけれども、これで終わらせていただきます。本日は色々教えていただきましてありがとうございました。ご指摘あった点を十分考慮しながらつめていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。



  問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
     担 当 猪俣(内2903)
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