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食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会

議事次第

日 時: 平成10年 3月13日(金)
17:00〜19:00
場 所: 中央合同庁舎共用第6会議室

1 開会

2 生活衛生局長挨拶

3 資料確認

4 審議

(1)ポリカーボネート
(2)ポリスチレン
(3)ポリ塩化ビニル
(4)その他

5 閉会


食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会委員等名簿


(1)毒性部会 (○:部会長、合計10名)

  江 崎 孝三郎 大阪府立大学教授
  江 角 浩 安 国立がんセンター研究所支所長
  黒 川 雄 二 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長
戸 部 満寿夫 (財)日本公定書協会理事
  長 尾 美奈子 国立がんセンター研究所発がん研究部長
  成 田 弘 子 日本大学短期大学部教授
  林 裕 造 北里大学薬学部客員教授
  福 島 昭 治 大阪市立大学医学部教授
  三 森 国 敏 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究セン
ター病理部第三室長
  村 上 正 孝 筑波大学医学専門学群社会医学系教授


(2)器具容器包装部会 (○:部会長、合計10名)

  池 上 幸 江 国立健康・栄養研究所食品科学部長
  江 崎 孝三郎 大阪府立大学教授
黒 川 雄 二 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究セン
ター長
  寺 尾 允 男 国立医薬品食品衛生研究所長
  戸 部 満寿夫 (財)日本公定書協会理事
  中 澤 裕 之 星薬科大学教授
  成 田 弘 子 日本大学短期大学部教授
  福 島 昭 治 大阪市立大学医学部教授
  丸 山 務 麻布大学環境保健学部教授
  村 上 正 孝 筑波大学医学専門学群社会医学系教授


(3)臨時委員 (合計5名)

井 口 泰 泉 横浜市立大学理学部教授
井 上 達 国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部長
河 村 葉 子 国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第三室長
鈴 木 勝 士 日本獣医畜産大学教授
山 田 隆 国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部長


 照会先 厚生省生活衛生局食品化学課
 担 当 中垣(内2483)


エンドクリン問題について


1.「エンドクリン問題」とは

 化学物質の中には、生体内にとりこまれて内分泌機能(ホルモン機能)を中心に広範な影響を及ぼすものがあり、これがヒトをはじめとする生態系に深刻な影響を与えている可能性があると報告されている。この一連の議論が「エンドクリン問題」と言われている。
 この問題は、これらの化学物質のヒトへの健康や生態系への影響について啓蒙的に著された「奪われし未来」の発刊により、多くの反響を呼んでいる。
 なお、これらの化学物質は、環境ホルモン様物質、内分泌攪乱化学物質等と総称されているが、その明確な定義は現時点では確立されていない。

(注)「奪われし未来」(Our Stolen Future)の概要

 内分泌機能等の影響が指摘されている化学物質について、ヒトの健康影響(女性の乳がん、男性の睾丸腫瘍の発生増加、精子数減少等)や野生生物への影響(ワニの生殖器奇形、鳥類の生殖行動異常等)の可能性を指摘。

2.内分泌攪乱化学物質と指摘されている化学物質

 内分泌攪乱化学物質とそのヒトに対する影響は、現時点では明らかになっていないが、内分泌攪乱化学物質に相当するとの可能性が指摘されている化学物質の例として、以下のものがある。

一部の農薬 DDT等
一部の工業化学物質 プラスチック可塑剤の一部、PCB等
その他 ダイオキシン等

3.世界における最近の主な取組

1996年11月   OECD(経済協力開発機構)において、エンドクリン問題を取り上げ、試験法の検討を開始
1996年12月 英国においてOECD主催により、エンドクリン問題のヒトへの健康及び野生生物への影響に関するワークショップが開催
1997年 1月 米国EPA等が世界各国から専門家を招き、エンドクリン問題に関するワークショップを開催
1997年 2月 IFCS(化学物質安全性政府間フォーラム)において、緊急的課題として、国際的に取り組んでいくことを議論
1997年 5月 G7環境大臣会合において「子供の環境保健」のテーマの中で、エンドクリン問題が取り上げられ、宣言書の中にも、これをふまえた記述あり。
1997年12月 OECDナショナル・コーディネーター会合において試験方法等を検討。専門のWGを設立し、議論していくことが決定。

4.我が国における主な取組

1996年 7月   通商産業省において、化学品業界への委託研究の形で、業所管の観点から本問題を検討。翌年3月に報告書をとりまとめ、公表。
1996年10月 厚生省において、平成8年度厚生科学研究班において、人体影響の観点から本問題を取り上げ、現状を把握。翌年3月に報告書をとりまとめ。
1997年 1月 環境庁、厚生省、通商産業省、農林水産省、労働省による情報連絡会を設けた。
1997年 3月 環境庁において研究班を発足させ、環境保全の観点から、本問題を検討。7月に中間報告書をとりまとめ、公表。
1997年10月 厚生省において、平成9年度厚生科学研究班を発足。8年度研究の結果、今後実施していく必要があるとされたメカニズム解明、男性精子数の測定等を進めていくこととされた。



平成10年2月

厚生省における内分泌攪乱物質に関する研究について

1.平成8・9年度

(1)化学物質のクライシスマネジメントに関する研究

研究概要 内分泌攪乱物質のヒトや生態系に与える影響等に関して、既存知見を中心に検討。
主任研究者 帝京大学教授 瀬高 守夫
研究期間 平成8年度(本研究成果を踏まえ、(2)の研究に着手)
予 算 275万円

(2)内分泌攪乱化学物質に関する研究

研究概要 内分泌攪乱物質のヒトへの健康影響(作用メカニズム、健常男子子の精数測定等)に関する研究
主任研究者 国立医薬品食品衛生研究所毒性部長 井上 達
研究期間 平成9年度
予 算 925万円

(3)農薬、食品添加物等のエストロジェン様作用等の検出と評価に関する研究(食品規制国際ハーモナイゼーション促進研究費の一課題)

研究概要 エストロジェン様作用物質検出系の作製と評価方法の検討
主任研究者 国立医薬品食品衛生研究所毒性部長 井上 達
(平成8年度)
国立医薬品食品衛生研究所毒性部第二室長 金子 豊蔵
(平成9年度)
研究期間 平成8年度及び9年度
予 算 454万円(平成8年度)、694万円(平成9年度)

2.今後の研究課題

 平成10年度においては、厚生科学研究費補助金の生活安全総合研究費(14億9865万円)の一部として予算案が決定されたところであり、内分泌攪乱物質については、およそ平成14年度までを目途に、ヒトへの健康影響に係る調査研究(健康影響調査、作用メカニズム解明、試験方法や評価方法の検討等)を推進していく予定。



内分泌かく乱作用に関する報告書等について


○ 平成8年度厚生科学研究健康地球計画推進研究事業「化学物質のクライスマネジメントに関する研究」総括研究報告書 主任研究者 瀬高守夫(帝京大学薬学部教授)(資料3ー1)

 内分泌かく乱作用のうち、エストロゲン様作用を中心に、欧米における検討状況と知見の把握、環境エストロゲン様物質と指摘されている30数種の化学物質に関する文献調査等を行うとともに、今後の研究課題を整理している。

○ 外因性内分泌かく乱化学物質問題に関する研究班(環境庁)の中間報告(座長 鈴木継美 前国立環境研究所所長)(資 料3ー2)

 内分泌かく乱化学物質問題のこれまでの報告、内分泌かく乱を生じるメカニズム、国際的取組の状況、現時点における内分泌かく乱化学物質問題の考え方をとりまとめるとともに、これまでに得られている知見からは、一般生活において内分泌かく乱化学物質が人に影響しているか否かを判断することは困難であるという立場に立って、今後の課題について整理報告している。

○ 内分泌系に作用する化学物質に関する調査研究結果(通産省による(社)日本化学工業協会への委託調査)(資料3ー3)

 諸外国の取組状況等の情報収集、因果関係の解析等の技術的課題の検討、今後の対応案についての調査研究の委託に対する報告書である。専門的な検討は(社)日本化学物質安全・情報センターで実施され、11種類の化学物質について、体内における各種ホルモンレセプターへの作用、哺乳動物体内での代謝・分解、発がん性、生殖・発生毒性、野外生態系に及ぼす影響等につき、内外の公表文献が具体的にまとめられている。

○ 米国環境保護庁(EPA)の内分泌かく乱物質スクリーニングと検査の方法に関する諮問委員会(EDSTAC)の報告(案)(資料3ー4)

 EDSTACは、内分泌かく乱化学物質のスクリーニングと検査の計画についてEPAに助言するために、1996年、コルボーン博士ら39名の委員により設けられたものである。本委員会は、原則、優先順位付け、スクリーニングと検査、及びコミュニケーション等の4つのワークグループからなる。
 本報告書(案)は平成10年2月3日に公表された(インターネット http://www.epa.gov/opptintr/opptendo/whatsnew.htm により入手可能)。本案は、(1)紹介、(2)背景、(3)基本的考え方、(4)優先順位付け、(5)スクリーニングと検査の実施方法の提案、(6)コミュニケーション問題、(7)本計画実施のタイムテーブルに関係する主な事項の7章からなっている。
 なお、医薬品であるジエチルスチルベストロール(DES)等の例外はあるものの、内分泌かく乱作用を通じた特定の環境因子への暴露とヒトの健康への悪影響の関係は確立されていない旨記載している。


ポリカーボネートについて


1.ポリカーボネートの使用量、基準等

(1)ポリカーボネートとは

 ポリカーボネートは、一般に、ビスフェノールAと塩化カルボニル又はジフェニルカーボネートをモノマーとして形成されるポリマー(プラスチック)である。


(2)ポリカーボネート樹脂の食品用途への使用量

(1) ポリオレフィン等衛生協議会調べによると、食品用途への年間使用量等については次のとおり。

〔単位:千トン〕
(生産量) (輸出量) (国内販売量) (うち食品用途)
251 121 130

 なお、食品用途以外の主な用途は、コンパクトディスク、車のランプカバー、OA機器等である。

(2) 文部省調べによると、給食を実施する公立小・中学校のうち、ポリカーボネート製の食器を、5240校(16.8%)が使用。
 なお、学校給食に最も多く利用されているものは、ポリプロピレン製食器(41.5%)である。


(3)食品衛生法に基づく規格基準

(1) 平成6年1月、食品衛生法第10条に基づき、ビスフェノールAの溶出限度を含め、規格基準を設定。ビスフェノールAの溶出量の基準値を欧米と比較すると次のとおり。

日本:2.5ppm EU:3ppm 米国:規制なし

(2) なお、材質試験(材質中に含まれる量をはかるもの)におけるビスフェノールAの基準値は次のとおり。

日本:500ppm EU及び米国:規制なし


2.安全性に関する資料


○ 14CビスフェノールAを雄ラットに単回経口(800mg/kg)投与した試験において、投与後8日間で、尿中に投与した14Cの28%、糞中に56%が排泄された。また、投与8日後、体内への14Cの残留はみられなかった。
( Knaak JB et al;Toxicol Appl Pharmacol (1966)8 175-184 、資料4ー1)

○ F344ラットを用いた混餌(1000,2000ppm)投予による発がん性試験、B6C3F1マウスを用いた混餌(雄:1000,5000ppm、雌:5000,10000ppm)投与による発がん性試験において、発がん性を裏付けるような証拠はなかった。
( NTP News, March 1982、資料4ー2)

○ ラット子宮細胞質画分を用いた3Hーエストラジオール(E2)との結合拮抗を調べた試験によると、E2の結合親和性を100とした場合、ビスフェノールAは0.012と報告されている。
( Olea N et al;Environ Health Perspect(1996)104 298-305、資料4ー3)

○ 酵母培養中、予期しがたいところにエストロゲン作用がみられる。まず、バクトーペプトン(培地)に多量のエストロンが含まれている。次に、トウモロコシ、ビートの糖蜜にも十分な量のエストロンが含まれている。これらのエストロンが酵母によりエストラジオールに変化される。最後に、ポリカーボネート製のフラスコから溶出するビスフェノールAがエストロゲン作用を示す。ビスフェノールAのエストロゲンレセプターへの結合能はE2の2000分の1であった。
( Feldman D et al;Environ Healh Perspectives,(1995)103(Suppl7)129-133、資料4ー4)

○ MCF-7(ヒト乳がん細胞)を用いて、エストロゲン受容体との親和性を調べた結果、エストラジオール(E2)を100とするとビスフェノールAの親和性は、培地に血清を添加しない場合0.006、培地に成人男子血清を添加した場合0.01であった。また、妊娠マウスにビスフェノールAを2,20μg/kg/day投与した場合、生後6月の雄の前立腺重量が30%から35%増加した。
( SC Nagel et al; Environ Health Perspect 105:70-76(1997)、資料4ー13)

○ 米国EPAが種々の試験成績からビスフェノールAのRfD(注:ADIに相当)を評価したものであって、RfDは、ラットの長期の毒性試験における1000ppm(50mg/kg)をLOAEL(最小毒性量)とし、1000の不確実係数(注:安全係数に相当、通例の100に亜急性毒性から慢性毒性の外挿のため10を乗じたと記載)を用いて、0.05mg/kg/dayと設定。
 主な試験成績は次のとおり。

(1) ラットを用いた混餌(1000,2000ppm)投予による103週間の試験において、すべての投与群に体重減少がみられた。

(2) マウスを用いた混餌(雄:1000,5000ppm、雌:5000,10000ppm)投予による(1)と同じ試験において、5000ppm以上の投与群で体重減少がみられた。無毒性量は1000ppm(130mg/kg/day)である。

(3) 亜急性毒性試験はイヌ、ラット、マウスで実施されたが、イヌの最高用量(9000ppm)で肝重量増加がみられたのみである。ラット亜急性毒性試験成績から、長期の毒性試験における体重減少のNOAELは(1)の1000ppmではないが、これにほぼ近いものと考えられ、通常の100の不確実性係数に乗じた10の不確実係数は保守的なものと考察。

(4) その他、繁殖試験、催奇形性試験等について記載。
( EPA,“IRIS”,CIS online(1995)、資料4ー5)

○ 英国保健省の食品・消費者製品・環境中化学物質の毒性に関する委員会が、Nagelらによる97年のビスフェノールAの内分泌かく乱作用に関する報告(資料4ー13)について、ビスフェノールAのヒトへの暴露に関する結論を導くほどのものではない旨評価したとの報告。
 Nagelらの報告は、(1)ビスフェノールAは、特別な条件下で、MCF-7(ヒト乳がん細胞)の増殖を促す、(2)妊娠マウスにビスフェノールAを2,20μg/kg投与すると、生後6月の雄の前立腺重量が30%から35%増加したというもの。
 これに対し、同委員会は、(1)英国農業漁業食品省の調査によると、乳幼児用ボトル洗浄からのビスフェノールAの溶出は0.03mg/kg未満であること、(2)ビスフェノールAのエストロゲン様作用の強さはエストラジオール(E2)の1000から10000分の1であること、(2)前立腺重量は通常の評価項目でなく、その重量増加の機序も不明であること、雄の生殖に関する他の指標が示されれば評価に役立つこと、米国プラスチック学会の報告では大変高い用量でのみ生殖に影響がみられており、その量はNagelらの報告の25000倍であることなどを記載している。
( 英国保健省公表文書、August 1997、資料4ー7)

○ (社)日本化学工業協会、(社)日本化学物質安全・情報センターの内分泌系に作用する化学物質に関する調査研究(通産省委託)のビスフェノールA関係部分(抜粋)(資料4ー6)


3.暴露等に関する資料

○ ビスフェノールAの材質中濃度が379-599ppmの食器4品目について溶出試験を行ったところ、n-ヘプタン25℃60分が最も高く(28.8-39.1ppb)、水95℃30分及び4%酢酸95℃30分、20%エタノール60℃30分の順であった。また、溶出量は、繰り返し溶出によって、大きく減少し、電子レンジ加熱でも2回目には大きく減少した。
 一方、未洗浄の試料では高い溶出(60ppb)がみれたものがあるが、煮沸後の試料では1ppb以下となった。市販製品10品目の材質中のビスフェノールAの量は5-80ppmであり、そのうち、3品目で5ppb以下の溶出がみられたが、その他は検出限界(0.5ppb)未満であった。
(河村ら;食品衛生学雑誌(投稿中)、資料4ー8)

○ リターナブル・プラスチックボトルモデル事業研究会等(環境庁委託)の報告書において、

(1) ポリカーボネートボトルを、オランダの研究機構の条件にそって、15回洗浄するとわずかに、50回目では完全に白化していること、

(2) ビスフェノールAの溶出は、n-ヘプタン25℃60分、20%エタノール60℃30分、水95℃30分、4%酢酸95℃30分で試験を行い、未使用品の水95℃30分で1検体が6ppb、15回洗浄品の4%酢酸95℃30分で1検体が7ppbであったが、15回までの洗浄品では、他は検出限界(5ppb)以下であったこと、

(3) 白化がみられる50回の洗浄では最大64ppb、100回の洗浄では180ppbの溶出がみられたことなどが記載されている。
(環境庁企画調整局環境保全活動推進室,平成9年10月、資料4ー9)

○ 東京都立衛生研究所においては、平成9年度、食器、ほ乳瓶等67検体につき検査を実施し、溶出がみられたものは、器具、茶碗それぞれ1検体(0.18ppm,0.12ppm:検出限界は0.1ppm)であった。
(都立衛生研究所、資料4ー10)

○ 缶のコーティングに用いられるエポキシ樹脂から溶出するビスフェノールAを定量するため、30分125℃でオートクレーブ処理した食品缶中の濃度を測定した。その結果、豆の缶が22.9μg/缶、アーチチョークの缶が18.6μg/缶、その他、グリーンビーン、ミックスベジタブル、コーン、マッシュルームの缶からも検出された。
( Jose Antonio Brotons et al;Environ Healh Perspectives,103:608-612(1995)、資料4ー11)

○ 赤ちゃん用ほ乳瓶からのビスフェノールA溶出量を測定したところ、26℃では不検出(検出限界:0.2ppb)であったが、95℃の熱湯では3.1-5.5ppbであった。
(食品と暮らしの安全、1997年12月、104号、資料4ー12)



ポリスチレンについて


1.ポリスチレンの使用量、基準等

(1)ポリスチレンとは

 ポリスチレンは、一般に、エチレンモノマーとベンゼンからエチルベン ゼンを介して得られたスチレンモノマーを重合させたポリマー(プラスチック)である。

(2)ポリスチレンの食品用途への使用量

(1) ポリオレフィン等衛生協議会調べによると、食品用途への年間使用量等につ いては次のとおり。

〔単位:千トン〕
(生産量) (輸出量) (国内販売量) (うち食品用途)
1,504 403 1,101 40

 なお、食品用途以外の主な用途は、家電製品、建材(断熱材)等である。

(3)食品衛生法に基づく規格基準

 昭和54年6月、食品衛生法第10条に基づき、規格基準を設定。その基準値を欧米と比較すると次のとおり。

(1) 材質中の揮発性物質

日本 一般の食品容器 5000ppm*1
EU 規制なし
米国 10000ppm*2

*1 但し、発泡ポリスチレン(熱湯を用いる物に限る)はスチレン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n-プロピルベンゼンの濃度の合計が2000ppm以下、かつ、スチレン及びエチルベンゼンの濃度がそれぞれ1000ppm以下
*2 但し、油性食品用については5000ppm以下

(2) 抽出液の蒸発残留物

日本 30ppm
EU 60ppm
米国 規制なし


2.安全性に関する資料

○ WHOの国際がん研究機関(IARC)は、1994年、労働者の暴露データ、ヒトの発がん性に関する疫学データ、動物を用いた発がん性試験データ等を評価し、その結果として、

(1) ヒトにおいては発がん性について不適切な証拠( inadequate evidence )と評価されること

(2) 実験動物においては発がん性について不十分な証拠( limited evidence )と評価されること

(3) スチレンは、総合的に、ヒトに対し発がん性の可能性がある( possibly carcinogenic、グループ2B)と評価した。
( IARC Monographs 60, WHO、資料5ー1)

○ ラットを用いた吸入(50, 200, 500, 1000ppm)投与による2年間の慢性毒性/発がん性試験において、発がん性はみられない。
(Huntingdan Life Sciences, unpublished、資料5ー2)

○ ラットを用いた吸入(5,50mg/立方m)投与による3から4ケ月の試験において、発情周期の延長がみられた。
(Gig Sanit 37,29-30,1972、ロシア語の文献につき翻訳のみ、資料5ー3)

○ ポリスチレン製造の副産物( Dimers:0.94%,Trimers:69.5% )を用いて、22日令の雌ラットに単回腹腔内(100,300,1000mg/kg)投与した試験において、1000mg/kgで膣開口の早期化がみめられた。
( Dow Chemical, 1978, unpublished、資料5ー4)

○ スチレンの4量体を主成分とするという低分子ポリスチレンを用いて、雌ラットに4日間混餌( 10,20,40,80,160ppm )投与した試験において、160 ppm(27.9mg/kg)で子宮重量の増加が認められている。なお、陽性対照としたジエチルスチルベストロール(DES)と比較すると、その強さは20000分の1と考えられる。
( Hercules Incorporated, 1996, unpublished、資料5ー5)

○ MCF-7(ヒト乳がん)細胞を用い、その増殖能を指標に、エストロゲン性を調べた試験において、スチレンモノマーはエストロゲン性はないと評価された。
(A Soto et al;Environmental Health Perspectives,113-122,103,7,1995、資料5ー6)

○ コルボーンらが、3つの報告を引用し、スチレンズが生殖機能への影響及び内分泌かく乱作用を有する旨報告したもの。
 (注:「スチレンズ」には、モノマー、ダイマー等が含まれるものと考えられる。また、3つの報告のうち、2報は資料5ー8及び5ー9であるが、他の1報にはスチレンズが言及されていないため省略。)
( Colborn et al;Environmental Health Perspectives,378-384,101,5,1993、資料5ー7)

○ グラスファイバー強化ボート等の女性工場労働者30名(平均28.6才、6.2年間、130ppm暴露(米国政府労働衛生協会勧告:50ppm))において、血清中プロラクチン濃度が対照の2倍高く、また、スチレン代謝物の尿への排泄と相関がみられた。また、成長ホルモン濃度も高かった。
( Antonio Mutti et al;Scand J Work Environ Health、10(1984)225-228、資料5ー8)

○ スチレンを暴露している女性労働者16名(平均24.4才、5年間)に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)200μgを注射した後、10,20,30,45,60,90分後の血清中プロラクチン(PRL)濃度を調べたところ、10,20,30,45分後の濃度が参照値の上限に比べ高かった。
( Giuseppe Arfini,Antonio Mutti et al,Journal of Occupational Medicine 8 26-830,29,10,1987、資料5ー9)

○ ポリスチレンの溶出物について、インビトロ、インビボの試験を実施した結果、いずれもエストロゲン性はみられない旨の米国のプラスチック工業会スチレンワークグループの広報文書。
(Styrene Steering Committee、資料5ー10)


3.暴露等に関する資料

○ ポリスチレンの一般的な材質中に、製法により異なるが、スチレンモノマーが400〜 1000ppm、ダイマーが400〜1000ppm、トリマーが2500〜8000ppm程度存在する。
(John Viley & Sons, Encyclopedia of chemical technology,1983、資料5ー11)

○ 食品用ポリスチレン製品に頻出する未知物質群について、GC/MS及び NMRを用いて、13物質(スチレンダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー等)につき、構造を確定又は推定した。
(河村ら:食品衛生学雑誌投稿中、資料5ー12)

○ 食品用ポリスチレン製品(カップ、弁当用パック、カップラーメン容器等)中のスチレンダイマー及びトリマーをシクロヘキサンー2ープロパノール混液で抽出し、定量した。
 その結果、25検体のすべてからダイマーが90〜1030μg/g(平均380μg/g)、トリマーが720〜20770μg/g(平均9210μg/g)が検出された。
 また、水(60度30分)、20%及び50%エタノール(60度30分)、n-ヘプタン(25度30分)で溶出したところ、溶媒の脂溶性が高いほど溶出量が大きく、水ではダイマー、トリマーとも不検出(検出限界0.01μg/平方cm)、エタノールではダイマーは不検出、トリマーは0.01〜0.14μg/平方cm、n-ヘプタンではダイマーが不検出〜0.86μg/平方cm、トリマーが0.38〜43.9μg/平方cmであった。
(河村ら:食品衛生学雑誌投稿中、資料5ー13)

○ 食品用ポリスチレン製品(即席めん容器、トレー等)132品に関する材質中の総揮発性分、また、即席めん容器29品について水(室温30分)、n -ヘプタン(室温又は40度1時間)で溶出した際のスチレンモノマーを定量した。その結果、総揮発成分はほとんが2000ppm以下、モノマーは水を溶媒とした場合不検出(検出限界0.01ppm)〜0.12ppm、n-ヘプタンを溶媒とした場合不検出(検出限界0.20ppm)〜4.60ppmであった。
(渡辺ら:東京都立衛生研究所研究年報,28-1,175-179,1977、資料5ー14)

○ 食品用ポリスチレン製品(使用済み又は未使用のトレー、弁当箱等)214品について、未知の揮発性成分の同定、材質中の揮発性分の残留量、熱湯(30分放置)の移行量等を測定した。スチレンモノマーの熱湯への移行量は最高0.044mg/l、Fero n-12の移行量は最高0.517mg/lであった。
(馬場ら:大阪市立環境科学研究所報告 80-86,49(1987)、資料5ー15)

○ ポリスチレン製品(GP成型品)1検体について、水、4%酢酸、20%及び50%エタノール水溶液を用いてそれぞれ90度30分間に溶出するダイマー類、トリマー類を測定した。その結果、水、4%酢酸、20%エタノール水溶液では、いずれも、ダイマー類、トリマー類とも、0.01mg/l(ppm)未満であった。また、50%エタノール水溶液ではダイマー類が0.4mg/l、トリマー類が2.5mg/lであった。
(新日本環境エンジニアリング,1998,未公表、資料5ー16)

○ 小麦、ピーナッツ等12種の食品中のスチレン含量を測定した。その結果、8種の食品からスチレンが検出され、最高はシナモンの39200ng/g(ppb)であったが、シナモンを除くと、数ng/g程度であった。
( David H.Steele et al; 15-21,The SIRC Review Novemver 1994、資料5ー17)

○ カップラーメン用容器12品目について、沸騰水200mlを加え、アルミはくでふたをし、5分後検査したところ、水中のスチレン濃度は1〜33ppbであった。
(食品と暮らしの安全,106,1998、資料5ー18)



ポリ塩化ビニルについて


1.ポリ塩化ビニルの使用量、基準値

(1)ポリ塩化ビニルとは

 ポリ塩化ビニルとは、一般に、エチレンモノマーより二塩化エチレンを介して得られた塩化ビニルモノマーを重合させたポリマー(プラスチック)である。

(2)ポリ塩化ビニルの食品用途への使用量

(1) 塩ビ衛生協議会調べによると、食品用途への年間使用量等については次のとおり。

〔単位:千トン〕
(生産量) (国内販売量) (うち食品用途) (食品用途中のフタル酸ジエチルヘキシルを使用した樹脂量)*1
2,510 2,510 110 40

*1 食品用途の塩化ビニルの可塑剤として用いられるフタル酸エステルのほとんどがフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)である。

 なお、食品用途以外の主な用途は、ビニールシート、農業用ビニールシート、建材等である。また、(社)日本玩具協会によると、おもちゃのうち、歯固め、おしゃぶりには、1社を除き、ポリ塩化ビニルは用いられていない。

(3)食品衛生法に基づく規格基準

 昭和48年7月、食品衛生法第10条に基づき、規格基準を設定。日米欧において、試験方法等が異なるため、基準値について一慨に比較することは困難であるが、その
溶出に関する基準値(基本となるもの)は次のとおり。

蒸発残留物(総溶出物)30ppm以下(0.06mg/cm2)
クロロホルム可溶溶出物 6.25cm2当たり0.5mg(0.08mg/cm2)
EU 総移行量 100cm2当たり10mg(0.1mg/cm2)

 なお、米国には物質毎の使用量の限度が設けられたものがあり、また、EUは、1994年に、フタル酸エステル等個別物質毎の移行量の限度値(案)を提示したが、フタル酸エステルについては未だ最終決定されていないとのことである。


2.安全性に関する資料

○ 国際化学物質安全性計画(IPCS:WHO等国際機関の共同事業)において、1992年、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)に関し、物性、ヒト・環境の暴露、体内動態、実験動物を用いた試験結果、ヒトへの影響等について、総合的な評価が報告された。主な内容は次のとおり。

(1) 環境中に広く存在し、空気、水、沈積物、生物相といったサンプリング対象のほとんどに見いだされるが、300ng/m3にも及ぶ濃度のDEHPが大気中で測定されており、一方、飲料水・食品による暴露量は少ないこと、

(2) 混餌(10-20g/kg)投与した複数の試験では、精巣萎縮が試験開始2、3日以内にみられたこと、この萎縮は可逆性であること、

(3) 混餌(0.5-2g/kg)投与でマウスに奇形がみられること、

(4) 変異原性はほとんどの試験で陰性であること、混餌(ラット:6及び12g/kg、マウス:3及び6g/kg)投与で、ペルオキシゾーム増殖に関連すると考えられる癌原性を示したこと、ペルオキシゾーム増殖については動物間に著しい差が存在し、ヒトに対して重大な発がん物質であることを証明する証拠は得られていないこと。
(WHO 環境保健クライテリア131 1992年、資料6ー1)

○ DEHP等8種のフタル酸エステルについて、LD50、ヘキソバルビタールによる麻酔への影響、呼吸、血圧への影響等が報告されている。
( Calley D;J Pharm Sci,(1966)55(2) 158-162、資料6ー8)

○ ジオクチルフタレートとスチレンの混合物(13:1)を4週間経口(0.02,0.03,0.05XLD50)投与した試験において、脾臓のリンパ細胞数、単核細胞数の減少等免疫系への影響が認められた。
( Dogra R K S et al;Immunopharmac Immunotoxicol,(1993)15(4) 491-514、資料6ー2)

○ DEHPをラットに単回経口(5000mg/kg)投与、又は14日間経口(1500mg/kg)投与した試験においては、いずれも神経毒性はみられなかった。
( Moser VC et al; J Toxicol Environ Health,(1995)45(2)173-210、資料 6ー3)

○ 成熟ラットにDEHPを混餌(2g/kg)投与した12日間の試験において、性周期の延長、排卵阻害、血清中エストラジオールの低下等がみられた。
( Davis B J et al;Toxicol Appl Pharmacol,(1994)128 216-223、資料6ー12)

○ 4週令と15週令の雄ラットにDEHPを経口(2800mg/kg)投与した10日間の試験において、4週令では精細管萎縮、前立腺重量減少等がみられたが、15週令ではみられなかった。
( Gray T J B et al; Environ Health Perspect,(1986)65 229-235、資料6ー13)

○ 雌雄マウスにDEHPを皮下(1-100ml/kg、1,5,10日目)投与した試験において、10ml/kg以上の投与群で妊娠率の低下、15-20ml/kg投与群で精巣重量の低下がみられたが、子宮重量に変化はみられなかった。
( Deepak K Agarwal et al; J of Toxicology and Environmental Health 26:39-59,1989、資料6ー14)

○ DEHPの精巣毒性を検討したもので、次の3つからなる。
 第1次試験は、単回経口(2800mg/kg)投与により、精母細胞の変性、セルトリ細胞のジャンクションに存在する活面小胞体の拡張等の影響がみられた。
 2次試験は、単回経口(700,1000,1400,2000,2800mg/kg)投与を行った。その結果、700,1000mg/kgにおいても軽度ではあるが上記と同様の活面小胞体の拡張がみられた。
 第3次試験は、3HラベルしたDEHP等を単回経口投与し、精巣、肝臓等への分布を試験した。また、単回経口投与後の精巣の染色を行った。その結果、精巣のセルトリ細胞のβーアクチンの局在に影響していることなどが明らかとなった。
 ((財)食品薬品安全センター、1995年、1996年、1997年、未公表、資料6ー4)

○ DEHPを用いてマーモセット(霊長類)の経口(100,500,2500mg/kg)投与による13週間の試験において、2500mg/kg投与群に体重増加抑制、雄の500,2500mg/kg投与群に肝臓ミクロゾーム蛋白量増加、単位重量当たりのp-450量の増加傾向が認められた。一方、精巣の萎縮等は認められていない。
(三菱化学安全科学研究所、1995年、未公表、資料6ー5)

○ DEHPを中心に、暴露、体内動態、安全性試験成績等を文献収集し、解析評価した総説。ラットの発がん性のNOELが50-100mg/kg、ペルオキシゾーム増殖に対するNOEL を25mg/kgと評価し、一般人の暴露と比較すると、少なくと830倍の開きがあることなどについてとりまとめている。
( Huber W W et al;Crit Rev Toxicol,(1996)26(4)365-481、資料6ー6)

○ DEHPのラット肝における腫瘍性変化を調べるため、中期肝発がん性試験法及びそのプロモーション期間を延長した実験が、混餌(30,300,3000,12000ppm)投与により実施された。その結果、48週で3000,12000ppm投与群に過形成結節の発生、52週で12000ppm投与群に過形成結節が全例、肝細胞癌が9/12例に認められた。
(白井、名古屋市立大学医学部第1病理学教室、未公表、資料6ー7)

○ MCF-7(ヒト乳がん細胞)を用いてエストロゲンレセプターを介した転写活性化能をエストロジオール(E2)の最大活性(10ー8ー10ー9M)に比較したところ、ブチルベンジルフタレート(BBP)が10ー6ー10ー4M、Di-n-ブチルフタレート(DBP)が10ー5ー10ー4Mで活性上昇がみられたが、DEHPには10ー4Mで作用がみられなかったと報告。
( Jobling S et al;Environmental Health Perspect(1995) 103 582-587、資料6ー9)

○ MCF-7(ヒト乳がん細胞)を用い、その増殖能を指標に、エストロゲン性を調べた試験において、ジブチルフタレート、ジアミルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルテレフタレート及びジノニルフタレートはエストロゲン性はないと評価された。また、ベンジルブチルフタレートはE2を100 とした場合、その影響は0.0003であると報告された。
(A Soto et al;Environmental Health Perspectives,113-122,103,7,1995、 資料 5ー6)

○ マウスペルオキシゾーム増殖活性レセプター(PPAR)等を用いて試験したところ、DEHPの代謝物であるモノエチルヘキシルフタレートの10ー5ー10ー4Mで活性上昇がみられたが、DEHPには10ー5Mで作用がみられなかったと報告。
(Issemann I et al;Nature(1990)347 645-650、資料6ー10)

○ ラット子宮のエストロゲンレセプターへの結合について、3Hのエストラジオールを用いて、5種類のフタル酸ジエステル等について試験した。その結果、陽性対照のエストラジオールの50%抑制濃度が10ー9Mであるのに対し、DBP(ジブチルフタレート)、DOP(ジイソオクチルフタレート)は10ー3Mでそれぞれ9%、15%の抑制がみられた。DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)、DnOP(ジオクチルフタレート)では影響がみられなかった。
 卵巣摘出ラットに上記物質を皮下(1000mg/kg、3日間)投与した試験において、いずれの物質においても子宮重量、プロゲステロン受容体の量に影響はみられなかった。
(三菱化学安全科学研究所、1997年、未公表、資料6ー11)

○ (社)日本化学工業協会、(社)日本化学物質安全・情報センターの内分泌系に作用する化学物質に関する調査研究(通産省委託)のフタル酸エステル関係部分(抜粋)
(資料6ー15)


3.暴露等に関する資料

○ カナダの各都市において得られたプラスチック容器入り食品(260検体)とトータルダイエットスタディ用サンプル98検体を分析した。その結果、DEHPが、飲料で平均0.065μg/g、食品で平均0.29μg/g検出された。また、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジエチルフタレートが、アルミホイルラミネートから溶出物としてバター、マーガリンから検出された。さらに、パイから平均1.8μg/gのジエチルフタレートが検出された。
( B Denis Page et al; Food Additive and Contaminants, 1995,12 1,129-151、資料6ー18)

○ ノルウエー原乳中の総フタル酸量は、採取、輸送、包装の各段階で大きな差はなく、0.12-0.28mg/kgである。小売り製品中のDEHPは0.01mg/kg未満から0.55mg/kgであり、最高はクリーム中の総フタル酸として3.0mg/kgである。イギリスのプールされた乳中には、DEHPが0.01mg/kg未満から0.09mg/kg、総フタル酸が0.06-0.32mg/kg検出された。チーズ中には、最高DEHPが17mg/kg、総フタル酸が114mg/kg検出されたが、多くはDEHPが0.6-3.0mg/kg、総フタル酸が4-20mg/kg検出された.
( M Sharman et al; Food Additive and Contaminants, 1994,11 3,375-385、資料6ー19)

○ 10種類の塩化ビニル製おもちゃ中のフタル酸エステルの含有量を測定したところ、各おもちゃより、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル又はフタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニルが0.2%から24%検出された。
(食品と暮らしの安全、1997年12月、104号、資料6ー16)

○ 世界17ヶ国の71種類の玩具を購入し、液体窒素で凍らせた後、すりつぶして微粉状とし、ヘキサンと振とうし、30分間超音波処理を行う。一部の溶剤を他の容器に移し、新しい溶剤を加え、同じ処理を繰り返し、先の溶剤とあわせ、定量した。その結果、塩化ビニル製であることが確認されたおもちゃからはほとんどフタル酸エステルが検出され、その重量比は10%から40%であることが多かった。
(グリーンピースリサーチ研究所 テクニカルノート 06/97 資料6ー17)


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