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平成10年2月26日

予防接種後健康状況調査

集計報告書

(平成8年4月1日〜平成8年9月30日)




予防接種後副反応・健康状況調査検討会

厚生省保健医療局結核感染症課


I 総 論

 本報告書は、平成6年の予防接種法改正に伴って開始された事業の一つであり、当初「予防接種副反応モニタリング事業」として開始し、「予防接種後健康状況調査」として調査名を変更したものをまとめたものである。
 既に報告が開始されている「予防接種後副反応報告」が、副反応発生後に主治医をはじめ、副反応に気づいた人に報告していただく調査で、異常と思われる例のみ報告(後方視的調査)されるのに対し、本報告は定期接種のワクチンについて、あらかじめ都道府県単位で調査実施機関を決めておき、一定期間に接種した例をワクチン毎に一定数順次登録し、その中に何例の副反応が発生したのか調査(前方視的調査)したものである。
 今回は、平成8年度前期分をまとめたものを第1回分として報告する。今後は半年単位で集計し報告することを原則とする。

1.本調査の目的は「国民が正しい理解の下に予防接種を受けることが出来るよう、あらかじめ接種前に登録した者について、接種後一定期間(後述)にわたり健康状況調査を実施し、その情報を提供すると共に、予防接種副反応の発生要因等に関する研究の一助とし、有効かつより安全な予防接種の実施に資すること」である。

2.調査対象としたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷風三種混合ワクチン(Diphtheria,Pertussis,Tetanus:DPT) 、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン(Diphtheria,Tetanus:DT) 、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオ(急性灰白髄炎)、BCGである。

3.健康状況調査の実施期間および対象者数であるが、DPT(DT)、麻しん、風しん、日本脳炎については4月から各四半期毎に各都道府県、指定都市当たりそれぞれ40名を対象とし、接種後28日間を観察期間とした。
 ポリオについては、半年毎に第1期(4〜9月)、第2期(10〜3月)各100名を対象として35日間、BCGは接種数が年間一定でないことから第1期(4〜9月)は300名(内乳幼児100名、小学1・2年生100名、中学1・2年生100名)、第2期(10〜3月)は乳幼児のみ100名を対象とし、観察期間は5ヶ月間とした。

4.報告の手順は、各都道府県・指定都市でワクチン毎に報告定点を受諾した実施医療機関の医師が、各予防接種の接種当日に対象者の保護者に対して、事業の趣旨を十分説明の上、健康状況調査に協力する旨の同意を得た後、健康状況調査一覧表に記入すると共に、保護者に健康状況調査票(ハガキ)を渡し、記入要領等を説明する。

5.本調査は予防接種後の健康状況調査であるため、今まで通常の副反応(発熱、発赤、発疹、腫脹等)や、極めて稀に起こり得るとされている副反応(脳炎、脳症等)として知られているものに加えて、これまで予防接種の副反応として考えられていない接種後の症状についても調査できるよう項目が設定されている。

6.調査の趣旨により回収は登録者全数が行われることが望ましく、実施機関として調査を引き受けていただく先生方の御努力は大いに期待されている。回収された調査表は厚生省において集計し、予防接種後副反応・健康状況調査検討会において、医学的、疫学的見地から解析・評価を行い、予防接種後の健康異常の発生実態を把握する。また報告事例と予防接種との因果関係について検討することとしている。

7.集計・解析によって得られた予防接種後の健康状況情報は、都道府県・指定都市、日本医師会、関係各地域医師会及び調査実施機関に還元すると共に、広く国民に提供することとなっている。

8.まとめについては、各ワクチンの接種期別に年齢別、発現日別及び接種後の健康状況項目別(発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、嘔吐、下痢、せき鼻水、リンパ節腫脹、関節痛等)にまとめた。

9.各ワクチンについては製造に用いたウイルス株、含有成分比、添加物等が異なるため、健康状況にも当然微妙な差異を生じる可能性がある。従って、各ワクチンの製造会社別に検討を加えなければならないが、今回は調査対象数がまだ少ないため、全体をまとめて報告することにした。今後接種母数が増えてくるので、個別に検討をしていくことにしている。

10.健康異常発生率に極端な高低差(100%や発生無し等)が出ている箇所があるが、これは現時点での対象者数が少ないために高低差が出るものである。
 今後調査が進み、多数のデータを蓄積し、集計する段階になって、この報告書がワクチンの性質等を判断できる材料になるものと考えている。


II 各 論

D P T

1.DPT1期初回1回目

 対象者数は1,196 人で、このうち 1,158人(96.8%) が生後3ヶ月から3歳未満であった。何らかの健康異常がみられたのは 546人、 838件であった。男女児間に差は認めなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上、38℃未満の発熱は合計 183人(15.3%) であったが、接種後7日迄の小計は38人(3.1%)であった。接種後1日目の11人(0.9%)が最大であった。3歳迄をみると 3〜11ヶ月に多くみられた。
 38.5℃以上の発熱は合計 115人(9.6%)であったが、接種後7日迄の小計では40人(3.3%)であった。接種後2日目が12人(1.0%)で最大であった。年齢には有意の差は認めなかった。局所反応は合計 285人(23.8%) であったが、接種後7日迄の小計では225人(18.8%)であった。接種後1日目の48人(4.0%)が最大であった。年齢に有意の差は認めなかった。
 けいれんは9日、11日、17日、24日目に1人ずつみられたが、全てが1歳以下でいずれも37.5℃以上の発熱を伴っていた。
 嘔吐は合計44人(3.6%)であったが、接種後7日目迄の小計では22人(1.8%)であった。接種後2日目の7人(0.5%)が最大であった。3歳代で4人(16.6%) と最大であったが、接種後7日目迄をみると3歳以上には認められなかった。
 下痢は合計 103人(8.6%)であったが、接種後7日目迄の小計では11人(3.9%)であった。接種後7日目の 11人(3.9%)が最大であった。3歳代に6人(25.0%)と最大であったが、接種後7日目迄をみると2歳以下に多く認められた。
 せき、鼻水は合計219人(18.3%) であったが、接種後7日目迄の小計では108人(9.0%)であった。接種後1日目と4日目の16人(1.3%)が最大であった。3歳代に7人(25.0%) と最大であったが、接種後7日目迄をみると3歳以降に下痢は認めなかった。

2.DPT1期初回2回目

 対象者は 1,096人で、このうち 1,068人(97.4%) が生後3ヶ月から4歳未満であった。何らかの健康異常がみられたのは 599人、 892件であった。男女児間に差は認めなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りであった。
 37.5℃以上38℃未満の発熱は合計67人(6.1%)であったが、接種後7日目迄の小計が42人(3.8%)であった。接種後1日目の16人(1.4%)が最大であった。3歳代に6人(11.5%) と最大頻度であり、接種後7日目迄をみると5歳代で2人(33.3%) が最大頻度であった。38.5℃以上の発熱は合計97人(8.8%)であったが、接種後7日目迄の小計は44人(4.0%)であった。年齢別に有意の差は無かった。
 局所反応は合計392人(35.7%) であったが、接種後7日目迄の小計は378人(34.4%) であった。接種後1日目の 192人(17.5%) が最大であった。年齢別に有意の差は無かった。
 けいれんは1例で生後3〜11ヶ月児に接種後7日目にみられた。37.5℃以上の発熱を伴っていた。
 嘔吐は合計32人(2.9%)であったが、接種後7日目迄の小計では19人(1.7%)であった。接種後2日目の6人(0.5%)が最大頻度であった。3歳以降には嘔吐例は認められなかった。
 下痢は合計89人(8.1%)であったが、接種後7日目迄の小計では47人(4.2%)であった。発生日には一定の傾向は認めなかった。最大発生頻度は5歳代で 16.6%であった。
 せき、鼻水は合計 214人(19.5%) であったが接種後7日目迄の小計では 104人(9.4%)であった。発生日、症状発現日に一定の傾向は認められなかった。

3.DPT1期初回3回目

 対象者は 876人で、このうち 855人(97.6%) が生後3ヶ月から4歳未満であった。何らかの健康異常がみられたのは431人、643件であった。男女児間に差は認めなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38℃未満の発熱は合計69人(7.8%)であったが、接種後7日目迄の小計は44人(5.0%)であった。接種後1日目の8人(0.9%)が最大であった。4歳未満での年齢別有意の差は無かった。
 38.5℃以上の発熱は合計89人(10.1%) であった。接種後7日目迄の小計は37人(4.2%)であり、接種後2日、3日目の8人(0.9%)が最大であった。1歳代以下に頻度が高かった。局所反応は合計 255人(29.1%) であったが、接種後7日目迄の小計は 250人(28.5%)であった。接種後1日目の 130人(14.8%)が最大であった。年齢が増す毎に頻度が増加する傾向があった。
 けいれんは接種後1日目、16日目に1人ずつみられ2歳代であった。いずれも37.5℃以上の発熱を伴っていた。
 嘔吐は合計29人(3.3%)であったが接種後7日目迄の小計では10人(1.1%)であった。発生日に有意の差は無かった。3〜11ヶ月児に頻度が高くみられた。
 下痢は合計52人(5.9%)であったが接種後7日目迄の小計では19人(2.1%)であった。発症日に一定の傾向は認めなかった。多くが2歳迄に認められた。
  せき、鼻水は合計147人(16.7%) であったが接種後7日目迄の小計では67人(7.6%)であった。発症日に一定の傾向は認めなかった。

4.DPT1期追加

 対象者数は 967人で、このうち 904人(93.5%) が1歳から4歳代であった。何らかの健康異常がみられたのは 623人、 955件であった。男女児間に有意の差は認めなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次の通りである。
 37.5℃以上38℃未満の発現は合計64人(6.6%)であったが、接種後7日目迄の小計は40人(4.1%)であった。症状発現日に一定の傾向は認めなかった。3歳代に頻度が高くみられた。
 38.5℃以上の発熱は合計79人(8.1%)であったが、接種後7日目迄の小計は45人(4.6%)であった。発現日に一定の傾向はみられなかった。又、発症年齢も一定の傾向は認めなかった。
 局所反応は合計496人(51.2%) であったが接種7日目迄の小計では492人(50.8%)であった。接種1日目の305人(31.5%)が最大であった。年齢が増す毎に発症頻度が高まる傾向がみられた。
 けいれんは1例もみられなかった。
 嘔吐は合計38人(3.9%)であったが、接種7日目迄の小計では19人(1.9%)であった。1日目と5日目の5人(0.5%)が最大であった。1歳で15人(6.1%)が最大であった。
 下痢は合計82人(8.4%)であったが、接種後7日目迄の小計では51人(5.2%)であった。接種後1日目の12人(1.2%)が最大であった。2歳代に多く認められた。
 せき、鼻水は合計 196人(20.2%) であったが、接種後7日目の小計では 126人(130.0%)であった。接種後1日目の29人(2.9%)が最大であった。発症年齢には一定の傾向は認められなかった。

5.DT初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。

6.DT2期

 対象者は 1,293人であった。何らかの健康異常がみられたのは491人、548件であった。症状と発現の関係をみると次の通りであった。
 37.5℃以上38.5未満の発熱は、合計27人(2.0%)であったが、接種後7日目迄の小計は16人(1.2%)であった。接種後1日目の8人(0.6%)が最大であった。11歳が13人(2.0%)であったのに対し、12歳では3人(0.4%)であった。
 38.5℃以上の発熱は合計15人(1.1%)であったが、接種後7日目迄の小計は4人(0.3%)であった。いずれも12歳児であったが、症状発現日に一定の傾向は認めなかった。
 局所反応は合計389人(30.0%)であったが、接種7日目迄の小計は384人(29.6%)であった。接種後1日目の 223人(17.2%) が最大であった。11歳と12歳に有意の差は認められなかった。
 嘔吐は合計18人(1.3%)であったが、接種後7日目迄の小計は6人(0.4%)であった。接種後2日目の3人(0.2%)が最大であった。11歳と12歳での差は認めなかった。
 下痢は合計26人(2.0%)であったが、接種後7日目迄の小計は15人(1.1%)であった。接種後1日目の5人(0.3%)が最大であった。12歳に約2倍の頻度を認めた。
 せき、鼻水は合計73人(5.6%)であったが、接種後7日目迄の小計は37人(2.8%)であった。接種当日の8人(0.6%)が最大であった。年齢差は認められなかった。

麻 し ん

 対象者数は、1歳児 2,500人(男児 1,274人、女児 1,226人)2歳児 412人(男児 222人、女児 190人)3〜7歳半児 241人(男児 123人、女児 118人)の計 3,153人で、1歳児が79.3%を占めた。何らかの健康異常がみられた人は1,153人(1,510件)で男女間には差は認めなかった。
 発熱は、753人(23.8%)にみられ、そのうち38.5℃以上の発熱は 457人(14.4%)であった。
 接種後6日までの発熱は 284人(9.0%)で38.5℃以上の発熱は 162人(5.1%)であった。接種後7〜13日の発熱は 341人(10.8%)で38.5℃以上の発熱は212人(6.7%)であった。0〜13日に初発した発熱を合わせると 625人(19.8%)で38.5℃以上の発熱は374人(11.8%)であり、発熱のほとんどは0〜13日に初発した。
 発疹は 354人(11.4%)であった。そのうち6日以内に出現した者は、129人(4.0%)であった。麻疹ウイルス増殖に伴う発疹の出現する時期といわれている7〜13日に出現した者は、 195人(6.1%)であった。
 局所反応は 360人(11.4%)に認められた。そのうち、284人(9.0%)は3日以内の局所反応であった。
 熱性けいれんは5人、発症日はそれぞれ1日、6日、10日、18日、23日であったが、いずれもワクチン接種との因果関係は不明である。
 蕁麻疹は、36人(1.1%)に認められ、発症日は0日から18日までに及んだ。ワクチンに対する即時型アレルギー反応と考えられる1日以内の蕁麻疹を認めたものは14人(0.44%)であった。

風 し ん

 報告された総対象者数は3,062人(男1,463人、女1,583人)で、内訳は6〜11ヶ月13人(男3人、女10人)、1歳1,069人(男501人、女566人)、2歳768人(男403人、女360人)、3歳 374人(男188人、女185人)で3歳以下の対象者は2,211人(72.5%)であった。4〜7歳は646人(21.2%)、12〜15歳 192人(6.3%)であった。何らかの健康異常がみられた人は657人、790件で男女差はなかった。表に見る如く、年齢が低いほど健康異常発生者数が多い傾向がみられた。
 発熱は 361人(11.7%)にみられ、そのうち38.5℃以上の発熱は231人(7.5%)であった。接種後6日までの発熱は117人(32.4%)にみられ、38.5℃以上の発熱は74人(32.0%)、7〜13日迄は102人(28.3%)、38.5℃以上の発熱は60人(30.0%)、14〜28日は120人(33.2%)、38.5℃以上の発熱は 88人(38.1%)であった。発熱者の61%は13日以内のものであった。
 局所反応は196人(6.4%)にみられ、接種当日33人(1.0%)、1日目102人(3.3%)、2日目35人(1.1%)で0〜3日で177人(90.3%)に出現した。
 けいれんは接種22日目に無熱で1歳児に1例みられた。
  蕁麻疹は70人に認められ、3日以内21人(30.0%)であった。出現頻度は年齢差は認めなかった。
 発疹は105人に認められ、そのうち0日5人(26.7%)、1日14人(0.4%)2日9人(0.2%)、7〜13日27人(25.7%)、14〜28日25人(37.5%)であった。
 リンパ節腫脹は32人に認められ、0〜6日12人(50.0%)、7〜13日9人(38.2%)、14〜28日11人(34.3%)で年齢の差は明らかでなかった。
 関節痛については25人報告された。年齢は1歳から15歳にわたり、現状では年齢差は顕著ではない。

日 本 脳 炎

1.日本脳炎ワクチン1期初回1回目

 対象者数は 1,315人で、年齢的には0歳〜7歳児に接種された児童である。何らかの健康異常がみられた人(発生件数)は合計372人、418件で、男女比は24.5%:32.0%と女児にやや多かった。
 接種年齢をみると0歳から7歳に分布、表の如く3〜4歳児にピークがみられ、これらで 1,026人(78.0%) であった。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は1歳以降にみられ、発生者数は対象者の14.2%〜30.5%、平均 28.2%で、3〜5歳が平均よりやや高く、男女比では女児がやや高かった。
 発現症状をみると、いずれの年齢も接種局所反応が9.5%〜19.8%、平均17.4%と最も多く、3〜5歳は他の年齢に比しやや頻度が高かった。発熱は4.7%〜13.6%、平均 11.4%(38.5℃以上の発熱は6.6%)で年齢差はなく、蕁麻疹は 0.7%〜5.5%、平均0.6%にみられ、けいれんはいずれの年齢にもなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内、接種当日〜翌日がピークであった。発熱と蕁麻疹は28日の観察期間を通じて幅広く実施され、発熱は5日目以内にやや頻度が高い傾向があるが、全観察期間にわたって報告された。蕁麻疹もその分布は広く、接種後5日以内に頻度がやや高かった。 その他の発疹については頻度も低く一定の傾向はなかった。

2.日本脳炎ワクチン1期初回2回目

 対象者数は0〜7歳児 1,000人で3〜5歳児は846人(87.6%)で最も多く、接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常がみられた人は 239人(264件) で、男女比は23.3%:24.5% と差はなかった。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、11.1%〜26.8%、平均 23.9%であるが、3〜6歳で高かった。
 発現症状をみると、いずれの年齢も接種局所反応が 10.0%〜18.6%、平均15.1%と最も多く、6歳にピークがあるが、他の年齢群との差はあまりない。
 ついで発熱は 4.0%〜14.2%、平均8.6%(38.5℃以上の発熱は2.6%)で4歳以下の年少児ほど頻度は高かった。蕁麻疹は0.8%〜5.0%、平均1.8%で、7歳児、3歳児がやや多かった。その他の発疹は3歳、4歳児で多少みられたが、けいれんはなかった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内、遅くとも7日以内に生じ、0〜1日目がピークであった。発熱は全観察期間にわたってみられ、38.5℃以上の発熱でわずかに接種後0〜1日目でやや多い傾向があった。蕁麻疹は発熱同様、全観察期間にみられ、わずかに接種後0〜3日で多い傾向があった。その他の発疹も全観察期間にみられたが特記すべき傾向はなかった。
 けいれんはみられなかった。

3.日本脳炎ワクチン1期追加

 対象者数は0〜7歳児 705人で4〜6歳児は 600人(85.1%) と最も多く、接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常がみられた人は153人(166件)で、男女比は19.0%:24.4%と女児がやや多かった。
 接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、13.8%〜25.6%、平均 21.7%であるが、男女、年齢で一定の傾向はみられなかった。
 発現症状では、いずれの年齢も接種部位の局所反応が多く、3歳以後に現れ、10.0%〜20.3%、平均 16.5%であった。4歳、6歳児に多いが、一定の傾向はない。ついで発熱は 1.7%〜20.0%、平均4.8%(38.5℃以上の発熱は1.9%)であった。2歳、7歳で突出して高いが、母数が少なく、一定の傾向はない。蕁麻疹は0.8%〜5.0%、平均1.8%で、7歳児、3歳児がやや多かった。その他の発疹は3歳、4歳児で多少みられた。けいれんは1件のみみられた。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内、遅くとも7日以内に生じ、0〜1日目がピークであった。発熱は全観察期間にわたってみられ、38.5℃以上の発熱ではわずかに接種後0〜7日目でやや多い傾向があった。蕁麻疹は発熱同様、全観察期間にみられ、わずかに接種当日で多い傾向がある。 その他の発疹も全観察期間にみられたが特記すべき傾向はなかった。報告された1件のけいれんは接種後25日目に生じたがその詳細は不明である。

4.日本脳炎ワクチン2期、3期

 2期、3期の結果は同じ傾向を示すのでまとめて報告する。
 対象者は2期は9〜12歳児 264人、3期は14〜15歳児 105人であった。接種後28日の観察期間中、何らかの健康異常がみられた人はそれぞれ62人、65件、17人、18件であった。
 健康異常発生者の割合をみると、それぞれ23.4%、16.1%であった。男女別ではそれぞれ23.3%:23.6%、13.0%:18.6%と2期で男女差はなく、3期でわずかに女児が多かった。
 発現症状では、いずれも接種局所反応が多く、21.6%、10.4%あり、発熱、蕁麻疹、その他の発疹はごくわずかであった。
 症状の発現日を観察期間28日でみると局所反応は接種後3日以内に生じたが、発熱はごくわずかで全観察期間にわたってみられた。蕁麻疹はそれぞれ3件、1件、その他の発疹は2件、1件のみで発熱同様、特記すべき傾向はなかった。
 けいれんはみられなかった。

ポ リ オ

1 ポリオ1回目

 接種対象児数は2,575人(男1,293、女1,278人)で内訳は3〜5ヶ月 687人(男356人、女330人)、6〜8ヶ月896人(男448人、女448人)、9〜11ヶ月545人(男268人、女277人)、1歳 386人(男193人、女190人)、2歳以上61人(男28人、女33人)であった。
 何らかの健康異常がみられた人は 587人(22.7%)780件で、年齢別では3〜5ヶ月112人(16.3%)、6〜8ヶ月216人(24.1%)、9〜11ヶ月149人(27.3%)、1歳97人(25.1%)で、接種数の比較的多い1歳以下では9〜11ヶ月児が最多であった。
 発熱は 325人(12.6%)で、そのうち発熱率の高いのは9〜11ヶ月90人(16.5%)、1歳386人(16.0%)であった。接種後の日数別発熱率は1〜4日が高く、0.8〜1.2%であった。38.5℃以上の発熱は200人(7.7%)で、接種2日目が0.7%で最高であった。また年齢別では6〜8ヶ月8.1%、9〜11ヶ月11.0%で最高値であった。
 けいれんは37.5℃未満で3日目発症が1例のみであった。
 嘔吐は 111人(4.3%)にみられ、0〜2日目までが最大0.5%で高率であった。
 下痢は 343人(13.3%)に認められ、9〜11ヶ月児が89人(16.3%)で最高値で、7日目までは0.5〜2%の出現率であった。

2 ポリオ2回目

 接種対象者数は1.745人(男856人、女888人)で、内訳は3〜5ヶ月35人(男17人、女18人)、6〜8ヶ月108人(男46人、女62人)、9〜11ヶ月580人(男282人、女297人)、1歳 914人(男457人、女457人)、2歳77人(男37人、女40人)、3歳以上31人(男17人、女14人)であった。
 何らかの健康異常がみられた人は460人(26.3%)で、年齢別発生割合は3〜5ヶ月11人(31.4%)と最多で、次いで9〜11カ月 162人(27.9%)、1歳251人(27.4%)の順であった。
 発熱は291人(16.6%)にみられ、日数別では1〜3日に多く64人で、1.0〜1.2%であった。38.5℃以上の発熱は182人(10.4%)で、接種2日目が14人(0.8%)で最高であった。年齢別では1歳92人(10.0%)、9〜11ヶ月78人(13.4%)であった。
 けいれんの報告はなかった。
 嘔吐は116例(6.6%)であった。投与3〜4日に0.5〜0.6%の頻度で見られた。
 下痢は261例(14.9%)で低年齢に多く認められる傾向であった。また出現日は0〜2日に多く認められた。

B C G

 総数10,507人について接種後観察が行われた。接種対象別に見ると、0〜3歳児 3,493人(33.2%)、小学校1年生 3,066人(29.2%)、中学1年生 3,153人(30.0%)、小学2年生 458人(4.4%)、中学校2年生337人(3.2%) であった。0〜3歳児の中では0歳児が82.0%を占め、次いで1歳児、2歳児の順に多かった。
 これらの中の393人、3.7%に何らかの異常がみられた(延べ件数は 398件、被接種者対3.8%)。健康異常発生者の割合は接種対象年齢別にみると小学校1年生(5.0%)、中学校2年生(4.1%)が多く、0〜3歳児は 2.7%で最も少なかった。性別にみると男3.7%、女3.6%で明らかな差は見られなかった。対象年齢別に見ても明らかな性差は見られなかった。
 異常の種別にみると、「局所の湿潤」が 262人(被接種者の2.4%)、「リンパ節腫脹」が 136人(1.2%)であった。
 局所の湿潤は接種対象年齢別にみると小学校1年生で 3.8%で最も多く、また中学校1年生では 2.4%であったが、0〜3歳では1.5%と最も少ない。小学校2年生は2.8%、中学校2年生は1.1%と比較的少ない。その発生の時期は接種後0日〜5ヶ月にわたるが、接種後1ヶ月以内に19.5%、3ヶ月以内に63.0%が発生し、残り37.0%は3ヶ月以後に発生していた。
 リンパ節腫脹は接種対象別にみると、0〜3歳で1.3%、小学校1年生で1.3%、中学校1年生で 1.2%と、接種対象年齢別にみて大差はなく、小学校2年生、中学校2年生は観察数が小さいがそれぞれ0.8%、2.9%であった。その発生の時期は接種後0日から6ヶ月にわたるが、51.1%が1ヶ月以内に、86.0%が3ヶ月以内に発生し、残りの 14.0%は3ヶ月以後に発生していた。



 照会先 厚生省保健医療局結核感染症課予防接種係
 TEL 03(3595)2263
 FAX 03(3581)6251


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