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第1回 医療用医薬品再評価の在り方検討会


議 事 録



日時:平成9年2月20日(木)
15:08〜17:04
場所:法曹会館「高砂の間」(2階)


植木課長  長らくお待たせいたしました。薬務局長が国会対応で遅れておりますが、始めさせていただきたいと思います。
 本日はご多忙のところご出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 只今から第1回医療用医薬品再評価の在り方検討会を開催いたします。
 私は、本検討会の座長が選出されますまで議事の進行を務めます、厚生省薬務局安全課長の植木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員の中で菅谷委員、山中委員がご欠席でございます。それから、黒川委員から少し遅れるという連絡をいただいております。
 続いて、本日ご出席の委員の方々のご紹介をさせていただきます。
 伊賀立二委員、上田慶二委員、梅田昭夫委員、大石幸子委員、鎌田薫委員、木村陽子委員、紺野昌俊委員、清水直容委員、高橋則行委員、寺尾允男委員、乳井昌史委員、本間光夫委員、前川正委員、森岡茂夫委員、山口規容子委員、山崎幹夫委員、吉田茂昭委員でございます。
 只今、丸山局長が到着いたしましたので、一言ご挨拶を申し上げます。
丸山局長  薬務局長の丸山でございます。国会の関係で少し遅れて申し訳ございませんでした。第1回の医療用医薬品再評価の在り方検討会の開催に当たりまして一言ご挨拶申し上げます。
 本日は委員の皆様方におかれましてはご多用のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 医療用医薬品の再評価につきましては、昭和46年「薬効問題懇談会」の答申を受けまして、同年から行政指導により実施をして参ったところでございます。その後、昭和54年の薬事法改正によりまして、現行の再評価制度が法制化されました。
 これまで、42年以前に承認されたものの再評価(一次再評価)及び、42年から法改正の54年までに承認されたものの再評価(二次再評価)は、一昨年及び昨年、その作業を終了したところであります。
 現在は、法律に基づく新再評価として、すべての医療用医薬品を対象として、必要のあるものから再評価指定をしてその見直しを行っているところでございます。
 また、昨年はソリブジンやエイズ問題の反省を踏まえて、新薬審査の迅速化・高度化、治験実施基準(GCP)、市販後調査実施基準(GPMSP)等の法制化、副作用や感染症報告の法律に基づく義務化等の薬事法改正を行い、治験、承認審査、市販後に至る総合的な医薬品の安全確保対策の充実強化を図っているところでございます。
 しかしながら、近年の医療の高度化、多様化が進みます中で、医薬品の果たす役割はますます大きくなっております。既承認の医薬品につきましても、最新の医学・薬学の学問水準に基づき継続的にその見直しを図り、薬物治療の質的向上に貢献していくことが重要であります。
 そのため、国際的な医薬品規制の動向も踏まえまして、我が国における再評価制度の新たな役割や更なる充実・強化を図るため、この制度のあり方について幅広くご審議をいただきたくご提言を賜ればと考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
植木課長  続きまして、本検討会の座長の選出をお願いしたいと思います。事務局の提案でございますが、前川委員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。    (拍手)
 ありがとうございます。それでは前川委員に座長をお願いすることといたします。座長の席にお着きいただきたいと思います。
前川座長から一言ご挨拶をお願いいたします。
前川座長  只今座長のご指名をいただきました前川でございます。医療用医薬品の開発から製造、販売、臨床適用、市販後調査といった一連の過程にはいくつかの関門が設定されておりますが、この会はその一つであります、再評価のあり方を検討することを使命としておりますので、大変重要な検討会であると認識しております。
 その座長を仰せつかった次第でございまして、重責ゆえに身の締まる思いをしております。
 先ほど植木課長からご紹介いただきました名簿にございますように、群馬大学名誉教授の称号をいただいております。1985年まで医学部に在職し、内科学の教育研究と診療に従事しておりました。医薬品の再評価につきましては、第1次から関係いたしまして、その後さらに新薬調査会にも所属しましたもので、承認審査とか再評価については若干の経験を持ち合わせております。1985年に学長になりました大学には医学部がございましたが、1992年からは国立学校財務センターという施設で不動産屋まがいの仕事をしておりますので、薬のほうは消費者の側に移ったという感じがないわけではございません。
 現在、上田委員はじめ本検討会の何人かの委員とともに日・米・欧三極の医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議の進行を学問的に支援することを目的とする厚生省の研究班に関係しておりますのが唯一の医薬品関係の公認の仕事でございますので、委員各位のご議論をリードするような資格も能力も持ち合わせておりません。皆様方の活発なご発言を期待し、コーディネーターとしてそれらをなんとかとりまとめることができればと存じておりますので、どうかよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。
 そういったことを踏まえまして、私は日頃大変尊敬申し上げており、かつ医薬品に関する造詣が深い帝京大学医学部の紺野名誉教授に副座長として会議をリードしていただければと存じております。いかがでございましょうか。 (拍手)
 それでは、紺野先生、よろしくお願い申し上げます。
 それでは座らせていただいて司会をさせていただきます。
 まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。よろしくお願いいたします。
植木課長  それでは本日の資料の確認をいたします。お手元にお配りしております、議事次第。座席表。委員名簿。「医療用医薬品再評価のあり方検討会について」という1枚紙でございます。それから、資料1。資料1はOHPの図や表と同じものでございます。資料2。これは資料1に関連して詳細な資料でございます。以上でございます。
前川座長  よろしゅうございますか、揃っておりますか。
 それでは、この会議について、まず発言させていただきます。この会議の公開についてでございますが、あらかじめ委員の方々のご意見をお伺いしましたところ、公開してもよいのではないか、ということでございました。したがいまして記者席など設けさせていただいております。ご異存がなければ次回からも公開で行いたいと思いますが、いかがでございましょうか。  (賛成の声)
 どうもありがとうございます。それでは、公開ということで進めさせていただきたいと思います。
 それでは本日の議題に入ります。まず、第1に、資料1と資料2に基づきまして、事務局から本検討会設置の背景や再評価の発足から今日までの経緯等につきまして、一括してご説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
植木課長  それではご説明いたします。資料1、資料2の説明に入ります前に、お手元にお配りしております「医療用医薬品再評価のあり方検討会について」という1枚紙をご覧いただきたいと思います。
 2の検討項目、これが今度のスケジュールでございます。本日は検討項目の1)の、市販後における医薬品の有効性、安全性の確保対策と再評価の役割、についてご議論をいただきたいと思います。
 次回は、2)の再評価制度の現状と問題点、についてご検討をいただきます。
 3回目は、3)医薬品規制並びに医薬品流通の国際的動向と我が国の再評価、ということでご議論いただきたいと思います。
 4回目は、4)再評価制度の今後のあり方についてご議論をいただきたい、このように考えております。
 OHPの用意をお願いします。
 お手元の資料1は、大きく3つのパートに分かれておりまして、全部で20枚のシートになっております。
 最初に、本検討会設置の背景等についてご説明をいたします。次に承認許可や再審査、再評価の相違点、あるいは類似点についてご説明をしたい。最後に、第1次再評価から今日までの経緯等についてご説明させていただきたいと思います。
 
★1  資料1の1は、冒頭の局長のご挨拶の中でも申し述べましたが、ここ2、3年、医薬品をめぐる環境、状況の変化には著しいものがございました。
 第1次再評価、第2次再評価が終了しております。
 国際的な医薬品規制のハーモナイゼーション、これは市販後の安全対策も含めて、大きく進展がございました。
 昨年の6月には、昭和54年以来の大きな薬事法の一部改正があり、今年の4月から施行ということになっております。
 また、薬務局の組織改編ということで、薬務局を発展的に改組して医薬安全局を設置する。今年の7月に予定をしております。
 このような、医薬品や薬事行政をめぐる大きな環境の変化の中で、薬物治療の質的向上を図る観点から、既承認の医薬品の見直し、あるいは再検討のあり方が昨今問われているわけでございます。
★2  第一次再評価は昭和42年の9月30日以前に承認された製品を対象とした再評価で、約2万品目について平成7年9月7日で終了しております。
そして、42年から55年までに承認されました製品を対象として行った第二次再評価も約1,900品目について、平成8年3月7日に終了しております。
★3  国際的な医薬品規制のハーモナイゼーションの進展ということで、種々の活動が行われております。各種ガイドラインの策定が進んでおります。
 ここで資料2の1ページをご覧ください。
 日・米・EU医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(ICH)についてです。ICHの目的として、日米EU三極で新医薬品承認審査資料をハーモナイズし、データの国際的な相互受け入れを実現し、臨床試験や動物実験等の不必要な繰り返しを防ぎ、承認審査を迅速化するとともに、新医薬品の研究開発を促進し、優れた新医薬品をより早く患者の手元に届けることがICHの目的でございます。ICHの参加者は、規制当局、業界団体、そこにございますような構成になっております。
 開催状況は、過去3回実施しておりまして、3回目は一昨年横浜で開催いたしました。
 これまでの成果は、43のトピックスのうち、今年の1月現在、24のトピックスが最終合意に達しており、その内容がICHガイドラインとして公表され、各国はそれを国内規制に取る込んでいるところです。
 2、3ページが、ICHトピックの現況です。有効性、安全性、品質、規制情報等の各分野において種々のガイドラインのハーモナイゼーションが進捗しております。ここで(最終合意)としているのは、日米EUで合意に達したもので、10課題あります。(適用)というのは、合意に達した後、各国で当ガイドラインを実施に移しているというものが14課題あります。
★4  ICHは承認申請資料のハーモナイゼーションが中心ですが、一昨年のICH3からは、市販後の医薬品規制ハーモナイゼーションがトピックとして取り上げられました。
  副作用症例報告のガイドライン。医療現場で発見される副作用症例を規制当局に報告する場合の様式、報告項目の統一でございます。
  国際医薬品規制用語集、MEDDRAといっておりますが、副作用の用語、あるいは疾病の用語といったものを国際的に統一しようということをしております。
  安全性定期報告、PSURといっておりますが、これの合意をしております。
世界で初めて医薬品を開発したメーカーが当該開発医薬品にかかる世界各国からの安全性情報を収集して、それを取りまとめて安全性定期報告として作成して、これを世界の関連企業に提供する。それを受けた関連企業は各国の規制当局にこの安全性定期報告を報告する、というシステムです。このPSURの様式、システムの統一を目指しており、昨年11月、最終案の合意に達しております。
★5  昨年の6月に行われました薬事法の改正ですが、治験から承認審査、市販後に至るまで、総合的な安全性確保対策として各段階にわたって法改正が行われています。資料2の4ページをご覧いただきます。「薬事制度改正の全体像」として、治験の充実強化、承認審査の充実強化、市販後対策の充実強化ということで、種々の総合的な改正が行われました。
★6  市販後における医薬品の安全対策ということですが、まず、GPMSPの法制化、が行われました。従来、局長通知に基づいて行政指導で行って参りましたものその根拠を法律において実施するものであります。
  GPMSPに沿う再評価申請資料等の提出の法制化と資料の適合性の調査。
  副作用のみでなく、感染症報告も法制化されました。
  企業が回収に着手した場合の報告義務を課すことになりました。
  薬局、薬剤師は患者さんに対して適正使用のための情報を提供しなければならないことになりました。
  適正な医薬分業に資する薬局の運営ということで、薬局の管理薬剤師は開設者に対して必要な意見の具申をしなければならない。開設者はその意見を尊重しなければならない、という規定が法制化されています。
  資料2の5ページは、GPMSPについての説明です。Good Post-Marketing Surveillance Practice の頭文字をとってGPMSPと称しております。医薬品の市販後調査の実施に関する基準ですが、これは医薬品製造業者等が市販後調査を実施する場合の遵守事項を定めた基準です。
 目的は、市販後調査の適正な実施の確保と資料の信頼性の確保です。
 定義は、医薬品の安全性、有効性及び品質についての情報を医師等医薬関係者、あるいは文献、学会情報から収集し、評価・分析し、必要に応じてその結果を医師等に伝達すること、となっております。
 GPMSPの要点は、1.市販後調査管理部門の設置と十分な人員の確保2.市販後調査管理責任者の責任と権限を規定 3.市販後調査を適正かつ円滑に行うため、医薬品情報の収集等に関する手順書の作成 4.市販後調査に従事する者に対する教育・訓練 等を規定しております。
 次の6ページに、法改正とGPMSPということで、医薬品の情報の流れですが、医薬関係者、これは医療機関ですが、市販後の貴重な医薬品情報は医療施設、医療機関で発生します。その発生した情報を製薬企業が、再評価の情報、再審査の情報、あるいは副作用情報としてそれを収集して、社内で評価・分析をし、必要な対応をとる。そして厚生省に再評価申請、あるいは再審査申請、安全性定期報告、副作用・感染症報告ということで報告をいたします。そして、厚生省からの結果、あるいは指示によって必要な対応をとる。必要な場合には、ドクターレター、添付文書の改定等によって医薬関係者に伝達する。そういう流れでございます。
★7  医薬品の安全性情報収集の強化、ということで、今回の法改正によって、本年4月から医薬品の安全性情報の収集能力が強化されるわけです。情報の入手経路、情報の量も非常に多くなります。一つは、副作用のみでなく感染症報告が副作用とは明確に区別をして医薬品に起因すると思われる感染症についても報告を義務づけることとしております。また、モニター報告についても、現在は3千程度のモニター病院ですが、これをすべての病院から副作用モニター報告を入手しようということを計画しております。また、PSUR(安全性定期報告)を新薬について求めていこうとしております。また、製薬企業から文献情報を入手するだけではなくて、厚生省自らも文献検索を強化しようということです。
 薬事法の改正や医薬品の国際規制のハーモナイゼーションの進展によりまして、厚生省が入手し得る情報は質的にも量的にも強化されるということです。
 資料2の7ページは、PSURとは、ということで、昨年11月に最終案が合意されました。先ほどご説明いたしましたように、医薬品開発企業が、各国の関連会社を通じ世界中の安全性情報を収集、作成して系統的に提出する、ということです。我が国におけるPSURの提出頻度は、承認から2年間は半年毎、3年以降再審査期間中は年1回の提出ということで、法律で新薬についてPSURの提出を求めるというシステムにする予定でございます。この報告の起算日はインターナショナルバースデイ、国際誕生日、当該医薬品が世界のいずれかの国で最初に承認された日を起点として報告を求めることとしております。
★8  医薬品による健康被害の再発防止対策を進めるに当たりまして、審査、安全対策を担う厚生省の組織体系の強化が急務でありますことから、薬務局を発展的に改組して、医薬安全局の設置をはじめとする大幅な組織改編を行うこととしております。資料2の8ページも併せてご覧いただきたいと思います。
 画面の下のほう、医薬安全局の設置ということで、薬務局を廃止して、研究開発振興、生産・流通対策は健康政策局の所管といたします一方、医薬品等の試験・承認審査、市販後の安全対策や医療施設における院内感染防止対策等の安全対策全般を所掌する医薬安全局を設置することとしております。
 また、医薬品、医療機器審査部門を強化するために、国立衛生試験所を改組した国立医薬品食品衛生研究所の中に医薬品医療機器センターを新設することとしております。また、審査担当官の大幅な増員を図り、薬学、医学、統計学等の専門家によるチーム審査方式を導入することとしております。
 一番上の、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の新しい事業として、再評価の申請資料、あるいは承認の申請資料の適合性調査を実施しようということで、再評価申請資料と生データのチェック、照合といったことも新しい業務として取り入れていく方向でございます。
★9  市販後安全対策に関連する検討会。先ほど局長のご挨拶にもありましたが、薬効問題懇談会の答申が契機になって第一次再評価がスタートしました。
  21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会では、医薬品の適正使用の推進、後発品のあり方等が提言されました。
  適正使用推進方策検討委員会では、医薬品の適正使用推進方策の具体的方策に焦点をあてた議論がなされて、提言が行われました。
  市販後調査検討会では、医薬品の市販後安全対策全般の具体的な方策についてご提言がございました。
  医薬品安全性対策確保検討会では、開発から市販後に至る各段階について、安全確保対策の基本的考え方が提起されました。特にGCPについての提言、インフォームド・コンセントのあり方等の基本的方向を示し、併せて審査承認体制及び市販後対策の一層の充実強化のための提言がございました。
★10  承認と許可 我が国で医薬品を製造いたしますためには、薬事法に基づく承認と許可を得ることが必要です。まことに基本的なことで恐縮ですが、
 承認とは、医薬品としての品質、有効性、安全性が審査され、医療上の有用性が確認された場合、品目毎に製造業者等に与えられるもので、いわば医薬品のものとしての評価が承認ということでございます。
 許可とは、製造承認を受けた医薬品を適切な品質で製造する能力が当該製造所にあることが確認された場合、品目毎に製造業者等に与えられるもので、医薬品製造能力の評価にあたるものです。
★11  医療用医薬品とは、医師もしくは歯科医師によって使用され、またはこれらのものの処方箋もしくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品であります。現在、薬価基準収載品目数は13,568品目です。この薬価収載されている医療用医薬品は現に製造、輸入、販売がされている品目で、ここでご議論いただく再評価の対象となり得る品目でございます。再評価対象品目は約13,500品目という膨大な数にのぼっております。
★12 承認審査、再審査と再評価  承認審査、再審査は本日のテーマではございませんが、医薬品の審査の流れとしてご説明させていただきます。
 申請されたすべての医薬品について承認審査が行われます。承認後、通常6年後の新薬について再審査を行います。その後、厚生大臣が指定した医薬品について再評価が行われるという流れです。
 副作用報告については、承認後随時報告の義務を法制化しております。
★13 承認審査、再審査、再評価の相違点(定義)ですが、承認審査とは、提出された資料に基づき、申請された医薬品の有効性及び安全性を審査し、医療上の有用性の有無を審査する。
 再審査とは、承認後一定期間(通常6年間)市販後における医薬品の情報収集を製薬企業に義務づけ、期間終了後に当該収集データ等によりその有用性を再確認する。
 再評価とは、既に承認を受け市販されている医薬品について、現在の進歩した医学・薬学の水準からその有効性及び安全性の見直しをする。
 というものです。
★14 承認審査、再審査、再評価の提出資料の相違点
 承認審査の場合は、開発の経緯、規格、安定性、毒性、薬理、吸収排泄、臨床成績のうち、申請内容に応じ必要な資料。新薬か後発品かによって提出資料は当然異なります。
 再審査の場合は、使用成績に関する資料、市販後に得られた研究報告。
 再評価の場合は、厚生大臣が公示の際に指示した資料。再評価をする目的、理由によって求める資料も異なって参ります。
★15 承認審査、再審査、再評価の類似点
 次の承認拒否事由に該当しないことを確認して行うという点が類似点です。
  1)  申請に係る効能、効果に有すると認められないとき有効性に疑義があるという場合です。
  2)  申請に係る効能、効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品として使用価値がないと認められるとき有用性に乏しいという場合です。
  3)  性状又は品質が保健衛生上著しく不適当なとき
 このような場合に該当する場合には有用性が認められないということです。
★16 再評価の今日に至る経緯を簡単に申し述べますと、第一次再評価、42年の基本方針以前に承認された医薬品すべてについて再評価をいたしました。単味剤については計20回の再評価指定を行いました。配合剤については計8回再評価指定を行いました。結果通知を41回出して、約2万品目すべてについて再評価を終了いたしました。
★17 第二次再評価は昭和42年の基本方針以降に承認され、54年の再審査制度が始まるまでのもののうち、必要なものを指定いたしました。8回にわたって再評価の指定を行い、結果通知は計14回出しております。約1,900品目すべての再評価を終了いたしております。
★18 現行の再評価制度ということで、新再評価といっておりますが、すべての医療用医薬品から選択して再評価指定して実施しております。臨時の再評価と定期的な文献スクリーニングに基づく再評価があります。
 新再評価になってから計20回再評価指定をしており、結果通知は9回出ております。現在までに約2,000品目について再評価を終了しております。
★19 再評価と行政対応ということで、カテゴリー1、2、3と分けておりますが、カテゴリー1は、承認のとおり有用性が認められたもの。
カテゴリー2は、承認事項の一部を変更すれば有用性の認められるもので、効能・効果、用法・用量等の承認事項を変更するという措置がとられます。
カテゴリー3は、有用性が認められないもので、直ちに製造販売の中止、通常1ヵ月以内に回収措置をさせるという手続きを行政対応としております。
★20 再評価結果の概要、いままでの再評価結果の総括表で、第一次再評価、第二次再評価、新再評価となっております。
 第一次再評価は、再評価品目数19,849品目でした。承認どおり有用性ありとなったカテゴリー1のものが11,098品目、承認事項の一部変更で有用性ありのカテゴリー2が7,330品目、有用性なしのカテゴリーが1,116品目、申請後に承認を整理したものが305品目となっております。
 このような形で、第一次再評価、第二次再評価を終了しておりまして、現在は新再評価が進行中ということでございます。
 以上、本検討会設置の背景、承認審査と再評価の相違点、類似点。第一次再評価から今日の再評価までの経緯等についてご説明をいたしました。以上でございます。
前川座長  どうもありがとうございました。最終報告あるいは中間報告が出ておりますが、それをとりまとめて非常にわかりやすくご説明申いただきました。いまの説明に対して何かご質問ございましたら、お受けしたいと存じます。
本間委員  非常に上手に整理され、ご説明いただいてありがとうございました。ICH専門家会議で感じたことですが、日本のPMSは諸外国から見て、大変高く評価されており、非常に厳しいとされています。その一つの原因として、PMSでも有効性が再評価されるということが今日のご説明でもありましたが、その点が非常にユニークでないかと思っております。問題は有効性をどういう方法で評価していくのか。あるいは有用性とはどういうことなのかということで、これはあるいは次回からの検討に待つ必要があるのかもしれませんが、概括的に、あるいは概念として何かご説明をいただきたいと思います。
植木課長  只今、有用性ということはどういうことかというご質問でございましたが、医薬品は有効性と安全性の2つの評価をいたしまして、有効性と安全性と比較考量をいたしまして有用性があるかどうかという判断をしております。普通、有用性と申しますときは、医療上の価値とか使用上の価値という意味でございます。
 有効性の評価ということですが、再評価におきましても、安全性はもちろんですが、有効性の評価を引き続きいたします。通常は承認申請のときに出される有効性に関する資料が非常に詳細な試験成績が出て参りますので、それに優る試験を市販後調査としてやるのは非常に大変なことでございますが、有効性の評価をもし再評価でやるとなりますと、どうしても精密かつ客観的な臨床試験が要求されます。必要な時には、ダブルブラインドテスト(二重盲検比較試験)を要求する場合があります。
前川座長  よろしいですか、清水委員、どうぞ。
清水委員  只今の本間委員のご意見とちょっと重複しますが、資料1の13ページ、再評価とは、という定義のところには、承認審査と違って、医療上の有用性の有無は審査しないで、ただ、有効性、安全性の見直しをする、と書かれています。それで、いまのお答えですと、有用性ということも今度の評価のうちに入るのかと思いますし、19ページでいいますと、これは有用性云々でカテゴリーが分けられておりまして、13ページの定義と多少合致しないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
植木課長  いま清水先生ご指摘のように、13ページの再評価の定義は少し不十分であると思います。再評価におきましても、医療上の価値、いわゆる有用性を評価いたしますから、有効性、安全性の比較考量で最終的に医療上の価値、有用性を評価する、ということでございます。言葉が足りなくて申し訳ございませんでした。
木村委員  木村でございます。質問をさせていただきます。配っていただきました資料1の6ページ、市販後における医薬品の安全対策というところに関して2点のほど質問をいたします。
 まず、第1点ですが、製薬企業の市販後体制の整備でGPMSPの法制化ということがあります。そこで、資料の適合生の調査ということがあります。これはどういう体制で適合性を調査しようとしておられるのか、十分な適合性をチェックされるような機構、どういう体制を考えておられるのかということが一つです。
 2点目は、製造業者が仮に十分な対応をしなかった場合に、法的なペナルティがあるかどうかという点。この2点をお伺いしたいと思います。
植木課長  資料の適合性の調査はどういう体制でやるかということでございますが、先ほども少し説明いたしましたが、資料の適合性の調査の中には、提出されました再評価申請資料と、生データ、ケースカードを照合してきちっとケースカードが再評価申請資料となって転記されているかということを書面でチェックする場合と、現にその資料をつくった製薬企業に立ち入り検査をして、現地調査という形でやる場合があります。現在、医薬品機構でこういった業務をこの4月から施行していこうということで考えております。
 それから、ペナルティということですが、GPMSPが法制化されたということは、今後このGPMSPに準拠せずに行われた資料が提出された場合には、そういう資料は申請資料として受理しないだけでなく、薬事法上の必要な処分ができるということになっています。必要な場合には承認の取り消しも行えるということです。
前川座長  有用性という概念は、日本独特のもののようでございまして、国際的には若干問題点がないわけではございません。有効性と安全性の両方を踏まえてバランスをとって発言する時は非常に便利な言葉であると存じております。したがいまして、資料では、若干行数を節約するために有効性とか安全性が出てこないで有用性が出てきたのではないかと密かに座長として考えております。
清水委員  2つだけですが。この検討会の調査範囲ですが、これは承認されている効能・効果だけにかけるのか。実際には承認効能以外のものが市販後調査ではずいぶん問題になると思うんですが。その守備範囲のこと。
 もう一つは、国際的に通用する用語という意味では「副作用」という言葉はこの際改めたらどうか。「薬の有害作用」というのが正しいと思います。法律的に決まっているものを変えられるのかどうかわかりませんが、そのへんのところをお伺いしたいと思います。
植木課長  再評価の守備範囲ということですが、法律上承認をされた効能・効果、用法・用量をその当時の医学・薬学の学問のレベルでもう一度再点検をして見直しをするということですから、承認された効能、用法・用量について見直しをする。これはそういうことでございます。
 それから、副作用の定義ですが、清水先生、ご自分で言っていただいたようなものでございますが、法律に明記してございます。若干実態とは異なる言葉かもしれませんが、その点はご容赦願いたいと思います。
前川座長  副作用というのは、ご存じのように、日本的には悪い作用というふうに理解されがちなんですが、いい作用もないわけではないということで、有害事象、有害作用という表現のほうがいいということは当然言えるとは思います。
清水委員  実際に、おそらくICHでは、アドバース・ドラッグ・リアクションになってると思うんですね。それがアドバースという言葉が消えてしまって、副作用というのは、おそらく薬学の先生あたりからも、いろんなところで反対だというご意見をうかがっているもんですから、せっかくICHのそういう言葉があるので、サイドエフェクトなんていう、いまのあいまいな言葉ではなくて、はっきり有害作用と変えられたら変えたほうがすっきりすると思います。
前川座長  それは意見として確かにあろうかと思います。
鎌田委員  いまの副作用の件についてはいろんなところでそういうご意見伺いまして、法律があるから、と言われると、法律家としては、法律は融通のきかない悪いもんだと思われるといけないので、法律は皆さんでつくるものでございますので、それが世の中と合致しなければ是非法律のほうを改めていただいたらよろしいんじゃないか。それは不可能なことではないだろうと思います。
 質問のほうは、繰り返しになって恐縮ですが、再審査と再評価の違いというのは、わかったようでわからないところがございますので、お教えいただきたいんですが、両方とも、目的は有用性の再確認というふうに、ひっくるめていえばそういうことになるんじゃないかと思うので、どこが違うのか、私がざっとお伺いした範囲内での理解では、再審査はあらかじめ予定された期間が経過した時に必ず行われるものであり、提出資料が一定の限定されたものであるのに対して、再評価は、再評価するという公示によって個別的にアドホックに、ゼロから承認審査に準じた形で行うようなものをいう。そういうふうに理解してよろしいかどうかというのが質問でございます。
前川座長  必ずしもアドホックだけでなくて、定期的にやるのもあろうかと思います。どうぞ、事務局から。
植木課長  再審査と再評価の違いでございますが、鎌田委員ご指摘の点、ほとんどそのとおりでございます。再審査は通常承認の6年後にするということでその時期が決まっておりますということと、その再審査期間中に、通常は使用成績調査という一般の実地医療の場で医薬品を使用して、その調査結果に基づいて承認された項目、用法・用量等の承認事項の有用性を再確認するということでございます。
 再評価は、必要に応じて、有効性、安全性について見直しをする必要があります場合に、厚生大臣がそれを再評価に指定をして、その指定に際し、必要な資料もあわせて告示をして、それを出させて再評価するということでございます。
 再審査は1回だけですが、再評価は通常再審査後に2回、3回、4回と行う場合がございます。
鎌田委員  もう一つ、最後の20ページの表ですが、申請後に承認整理という一番右の欄の意味がよくわかりませんので、それを教えてください。
植木課長  これは再評価の申請をメーカーがしたあとで、承認を整理したいということで承認を取り下げてしまった。ですから、再評価する必要性がなくなってしまったということでございます。承認を取り下げたものです。
本間委員  資料1の6ページですが、副作用、感染症報告の法制化という項目がありますが、これはどういうことでしょうか。感染症報告の法制化というのは、薬が原因である感染症すべての報告をしなければならないということですか。
植木課長  副作用につきましては、以前から規則の62条の2に副作用報告の義務はございました。しかし、法律ではそれを求める根拠規定が明確ではなかったということで、今回の法改正では、法律によって副作用報告をすること。併せて医薬品に基づく感染症の報告も義務づけました。法律で義務づけたということでございます。
本間委員  実際に報告する側に立って考えてみますと、どういう副作用は報告しなければならないのかとか、あるいは感染症といいましても、感染症を誘発する薬が細胞毒とか、ステロイドホルモンとかがあると感染症が起こってきますが、そういうものも含むのか、報告する側にとまどいが起こることはないでしょうか。
石井室長  適正室長の石井でございます。いま先生がおっしゃられる、いわゆる二次的な感染症といいますか、免疫を抑えた結果として感染症が起こるようなものにつきましては、従来からのいわゆる副作用、免疫を抑制するということが副作用ですので、そこから起こってきた感染症は従来からも副作用の範囲として認識されておりました。今回、感染症というものを新たに報告の対象としましたのは、エイズの感染の問題の反省点に立って、最初の段階では不良品とかそういうことはわからない、ただ、感染が起こったということしかわからない場合でも、従来の副作用報告の対応にするんだということで、狭い意味での副作用ではありませんが、広い意味で副作用の中に入れるということで明らかに感染症も対象であるということを明記したものでございます。
本間委員  副作用の場合、ICHは重篤な副作用はある一定の日数以内に報告する、ということになっていると思いますが、PSURの場合、どんな副作用でもとなると、報告するほうも大変ですし、報告を受けるほうも大変でないかと思ってご質問申し上げたんですが。
植木課長  どういう副作用を報告するかということですが、PSURの場合は、既知で軽微な副作用については件数だけで、個別症例は報告していただかないことになっています。
木村委員  資料1の12ページ「承認審査、再審査と再評価」のところですが、そこで一番下のところに、副作用報告(随時)となっていますが、副作用報告はあるとそういう時に随時に再評価が行われるようなシステムに現状はなっているんでしょうか。あるいは、なっていないんですか。
植木課長  通常は特に副作用報告があった時に再評価をするというシステムにはなっておりません。ただ、それが契機となって再評価をする必要があります場合には、再評価品目に指定してやる場合もございますが、完全にリンケージしているわけではございません。
清水委員  いまのことに関係しますが、資料2の6ページでちょっと教えてください。法改正とGPMSPとなっていますが、そこの一番上の枠は医薬関係者ということですので、医師、薬剤師ということだと読みますと、・のついている2つの項目の一つは、調査・試験を実施、と書いてありまして、これは企業がやること。次の、副作用自発報告という、自発というところが、これは先ほどの医師、薬剤師の自発報告を意味しているんでしょうか、企業のほうを意味しているんでしょうか。それで、もしも、医師、薬剤師ということになりますと、GPMSPというのが、医師、薬剤師の報告に法的な規制をかけているものでしょうか。
植木課長  再審査、再評価申請資料作成のための調査・試験を実施するというのは、製薬企業が医療機関において実施するという意味でございます。また、副作用の自発報告については、ちょっと書き方がまずかったかもしれません、医療関係者から自発的に企業に対して副作用の報告をする。それを企業がとりまとめて厚生省に報告をするということでございます。 清水委員 知りたいのは、医師、薬剤師の報告ということに対して、法的な規制があるの かのどうかということなんです。
植木課長  GPMSPはあくまで製薬企業に対して課せられた規則、基準でございまして、医療関係者にはかかりません。法律上、そのようになっております。
寺尾委員  これまでに、第一次、第二次、新再評価ということで、三次にわたってやってきたというご説明でありましたが、これは評価基準はすべて同じ評価基準なのかということと、それから、再評価のやり方で新しい基準をつくる場合には、これまでやってきた、既に2万品目ぐらい終っているんですが、それも改めて対象品目になり得るか、ということなんですけど、そのへんはいかがでしょうか。
植木課長  第一次再評価、第二次再評価、新再評価というのは、再評価に指定した対象品目の指定時期によって分けているだけでございまして、その評価基準というのは、その時により、一次再評価の中でもそれぞれ違いますし、二次再評価の中でも違ってくるということでございます。
 それから、既に1回再評価を受けたものも改めて見直すのかということですが、これは医学・薬学の進歩があったかどうかということでございます。
前川座長  これまで対象としてきたものもさらに今後も対象としていくということです。それから、評価ガイドラインなんていうのが新しくできますと、それにしたがってまた評価をせざるを得ないということで、延々と再評価が続くわけでございます。評価基準は前の評価基準と、新しいガイドラインにしたがうということでご理解いただければ。
寺尾委員  私がいま言わんとしましたのは、たぶん、再評価をやってるあいだにいろいろなガイドラインができたと思うんですね。ですから、それを途中から、ガイドラインができたからということで乗り換えて、前のもう済んだものはそのままになっているのかどうかということを伺いたかったんです。
前川座長  それはアドホックに再評価にかかる大きな理由になっていると私は理解しています。
 この資料についてのご質問はまだあるかと思います。非常に要領よくまとめておられますが、その元の資料というのは、皆様のお手元には配られてないわけです。資料の元になる最終報告、中間報告がいくつか出ていますが、その策定にかかわって来られた方がこの中に何人もおられるわけですが、もしどうしてもそれが欲しいというご希望がございましたら、机の上に書き残しておいていただけば、あとで提供いただくことはできるでしょうか。たとえば、21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会報告、あるいは、医薬品安全性確保対策検討会、これは中間報告を2度出しておりまして、最終報告を1つ出しています。それから、医薬品適正使用推進方策検討委員会、市販後調査検討会、これらは中間報告だけです。GPMSPや市販後調査ガイドラインとか、いろいろございますので、もし、そういったものに目を通して勉強するため、元の資料を是非入手したいということでしたら、これらはもう公表しているものでございますので、机の上に書き残していかれれば、用意させていただきたいと思います。それをお読みになって、疑問が出てきたらお受けするということで、今日の資料説明の質疑はこのぐらいで打ち切らせていただきます。
 なお、最初に課長からご説明のありました、検討項目が4つございます。この検討会は大体5回で終わりにしたいと思っております。最後の5回目は答申なり報告なりをまとめることになりますから、4つある項目がそれぞれの回の検討課題ということです。大学教育の革新が叫ばれておりまして、大学教育の中にシラバスを導入しなさいということがいわれています。これは厚生省からいただきましたシラバスだというふうに受け止めていきたいと存じます。
 そうしますと、市販後における医薬品の有効性、安全性の確保対策と再評価の役割についてフリートーキングをやれというご指示が事務局から出ておりますので、これからフリートーキングにかからせていただきたいと思います。
 この会場は5時になりますと次の会が始まるそうでございます。どうしても5時までに終れということ、それからご出席の方は、必ず1回はご発言くださるように言われております。もしご発言のない方は座長が指名しろということでございますので、どうかそういうことについて活発なご意見を賜りたいと思います。フリートーキングでございますから、どこから入ってもよろしゅうございます。いままでの質疑がかなりフリートーキング的であったと存じますので、そういうものの流れを引き継いでご発言をお願いしたいと思います。
森岡委員  これからの再評価のあり方にも関連があろうかと思いますが、これだと、企業側といたしましては、2回も3回も、オーバーな表現をしますと、何回もやるというのはなかなか大変なことですので、これをなんとか1回ぐらいでおさまるようなそういうタイミングで厚生大臣から指示が出る。こういうふうなことであれば、大変有難いなと思うのでございますが。
前川座長  ご希望として承りました。1回で済むような薬をつくってくださいなんていうと皆さんに笑われますが、いかがでございましょうか、いまのご発言に対して委員各位からのご意見ございましたら、どうぞご遠慮なく。私が最初から妙な発言をいたしましたが、それに懲りずにどうぞ。紺野先生、いかがですか。
紺野委員  いままでのご意見をお伺いしてて、一番重要なことは、いままでの資料をもう一度皆さんによく読んでいただく必要があると思います。その上でないといままでの説明では十分に咀嚼できないという気がいたします。もう一つは、清水先生などからのご発言は、いままでの審議に参加して来られて、その中で乗り越えられなかった重要な点を指摘なさっておられるのだと思います。ですから、その問題は、皆さんによく資料を読んでいただいた上で、もう一度どのようにしたら乗り越えられるかということを考えていく必要があるという気がしております。その時に始めて熱心な討議ができるであろうと思っております。
 それから、もう一つ、手続き上の技術的な問題と思いますが、森岡委員から出されましたご意見はメーカーにとってみれば深刻な問題だろうと思います。そういう意味では、先ほどどなたかからご指摘ありましたように、ある医薬品のついて重大な有害事象があった際には、今、厚生省では副作用調査委員会等ですぐに検討なさっているわけですが、その結果は公表すると同時に、すぐに再評価する必要があるかどうかをPSURと併せて考えていくことが今後は必要と考えております。どの薬についても再評価を何回もしていくことではなく、もう少し能率的にやっていくことが大切です。
 なるべく多くの人手をかけずに、合理的にやる方法を考えていかないと、立派な論議はできても、実際には人手がなくてできなくなるということも出て来ると思います。実務的なことはこれからも是非ご論議いただければ有難いと私は思っております。感想みたいになりましたが。
前川座長  現在の再評価の仕組みというのは、私は離れてしまったので、よく理解できないんですが、おそらく文献のスクリーニングから始まると思います。もし、間違っていましたら、あとから事務局からご訂正をお願いいたします。文献のスクリーニングから始まって、スクリーニングでひっかからなかったら再評価の指定はない。ですから、森岡委員おっしゃったように、再審査は必ず受けるわけですから、6年で再審査を卒業すると、あとはスクリーニングにひっかからなければ黙って有害事象が起こっても報告しないで済ませれば、というような感じがないわけではございませんでした。それが今度はかつての指導とか通知という段階から、法律の中に入ってきましたので、黙っていると薬事法違反で摘発されるというような事態になってきた。もし黙っていて済むのなら、頭を出したモグラが叩かれるということなのでしょうか。そういった再評価の仕組みそのものがよくわかってないと議論はなかなか出て来ないんじゃないかという感じはいたしますね。
鎌田委員  医学や薬学の専門ではないので、実態をお教えいただきたいなということなんですが、薬の数で、現在、薬価基準収載品目は13,568ということですが、第一次再評価の時点では19,849あったわけで、その後ずいぶん新薬も登場したんだろうけれども、消えていったものもずいぶんある。これはどうして消えていくのか。一つは、メーカーさんのほうで、自主的に製造をやめるということで消えるものがたぶん大部分なんだろうと思います。というのは、カテゴリー3ということで販売中止や回収が命ぜられたものがあまり多くはないわけで、薬品を見直すということについては、一つはメーカーさん自身がやっているということがあって、それ以外で、再評価制度を使ってやめさせなきゃいけない薬というのもたぶんあるのか。そのへんのところの振り分けが、いまのお話でいくと、従来の総合的に全部やるのを除くと、再評価しなければいけないのは文献スクリーニングでということなると、話題になったものは再評価になる。そうすると、我々素人が推測すると、要は、毒にも薬にもならないのは話題にならないから、いつまでも残り続けていくという可能性だってあり得るんだろうと思うんですね。そういう意味では、再評価がどういう役割を果たすべきかということの一つは、従来、カテゴリー2とか3だったものは、副作用があるからというのではこんな数は出てこないんだと思うんですね。どういう理由でカテゴリー2とかカテゴリー3になっていくのかということをお教えいただければと思います。
紺野委員  いまの鎌田委員のご発言は私も指摘したかったことですが13,568という品目が多いのか少ないのかということになると、臨床の場で使われている実情を考えると、やはり多すぎると思います。実際は使われてないけれども収載されている品目はかなりあると思います。使われていないのは、理論的にはそれよりも有用性の高い薬が出てきたとか、有効性の高い薬が出た、というようなことで、使われなくなってきているといえると思います。そういう品目に対しての自浄作用は再評価によるスクリーニングの方法だけでは、鎌田委員がおっしゃったようには出て来ないのです。ですから、どういうふうにしてやるのかとなりますと、そこには難しい問題がいっぱいあるということです。本来は、メーカーが自浄作用として自らが、その承認を取り下げていくべきものだと思ってはいますが、行政としてそれに対してどれだけタッチできるかというと、なかなか難しいところがあると思っております。実際に、表の最後のカラムにある申請後に承認整理という305品目、134品目、93品目という数字は、少なすぎると思います。もっと多くてしかるべきという気がします。そのへんのところが自浄作用といいましたけれども、実際に自浄作用が可能なのどうか、これから論議をしていかなければならないところかと思います。しかし、そうすると今度は、市販後のシェアを調べないといけないというような問題もでてまいります。ところが、シェアというのは、いまの健康保険の中では薬価の高いものだけが出ていくというようなこともあって、実際の有用性とは必ずしも合致しないところもあります。そういう問題を考えると、かなり深刻な論議をしていかないと合意点は、なかなか見い出せないという気がしております。
 ご指摘は非常に的確なことを言っておられると理解しております。
木村委員  私も関連したことで申し上げます。先ほど副作用の報告があったら再評価をしておられるかという点については、現在のシステムではそのようになっていないということですが、それは早めに関連づけてほしいと思っています。
 あと一つは、副作用のところには入らないんですけれども、有用性の問題で、私も薬については素人ですが、新聞を読んでいますと、それについてはほとんど効果がないと考えられているのに、かなりの規模、何千億円ぐらいの規模で売られている薬がある、というようなことが指摘されています。消費者の目からみると、それはあまり有難いことではないという気がいたします。ですから、有用性についても、そういうふうな指摘が各方面から出てきた時に、それを吸い上げてチェックして落としていくというふうな仕組みをつくっていく必要があると思います。先ほど、先生は製薬会社の自浄作用に望みを託したいとおっしゃいましたが、私はその自浄作用にはあまり期待しないほうがいいのではないかという気がいたしております。それより、制度的にそういうものを外していくような仕組みをきちんとつくるほうがいいのではないかと思います。現在、有用性が認められないというような審査をする場合に、平均すると一つの薬についてどのぐらいの時間がかかっているものなんでしょうか。それを教えてください。
植木課長  副作用報告と再評価ということのリンケージでございますが、安全性に関する情報、研究報告のスクリーニング等が契機になって再評価をした例も多々ございます。ただ、副作用報告があったから必ず再評価をするという法律的な決めはないということです。
前川座長  木村委員に、代ってお答えしますが、ご説明の資料の中にありました第一次再評価が始まったのが昭和46年ですが、終ったのが平成7年と書いてあったような気がするんですね。そして、第二次再評価、昭和42年から54年までの薬についてですが、これが終ったのが平成8年だということですから、相当長い期間が必要であった薬もあったというご理解いただけるんじゃないかなと。この僕の理解が間違っていたら事務局等でご訂正いただきたいと思います。私自身、再評価にかかわっていたと申しましたが、延々とクレームがついたり、調査を何度もやり直したケースもあったような記憶が残っておりますので。
木村委員  先生のおっしゃられることはすごくよくわかるんですが、私たち薬を使う側からみると、結果として検査の期間が長くなったということはわかります。だけど、それがどういった理由で長くなったのかということはもう一つわからない面があります。
前川座長  ただ、一般的に風評で効かないという声が上がって再評価するということですが、効かないということを科学的に証明するということはそんなに容易なことでないということもご理解いただかないと。
木村委員  それはわかります。
植木課長  座長からいろいろご説明いただきましたが、再評価が長びく原因として、一番はじめに再評価申請があって、その資料に基づいて調査会でご審議いただいて、これはこういう試験が必要だというようなことになるケースも多々あるわけでございます。そういった場合、その試験をさらに追加的に実施するということで、その試験に1年から2年かかる、というような場合に、座長が、おっしゃったように何年もかかるというものもなかにはございます。平均的には2年から4年ぐらいで結果が出ております。
吉田委員  先ほど鎌田委員から、効くか効かないかわからない薬が問題だという話でございましたが、私どものところはがんをやっておりまして、有害事象がしょっちゅう出てくる抗がん剤が主として使われています。こういった薬ですと、いわゆる再審査を待っているというわけにはなかなか行かなくて、ほんとうに有効であるのか、副作用はどのくらいの頻度で出るのかというのは販売中にしっかり情報を入れていかないといけない。そういう意味では、どうしても再評価というシステムは必要であって、しかも、再評価に関しては、先ほどの薬務局の説明では、薬剤メーカーに第一義的に責任をもたせて彼らにやらせるという話ですが、いわゆる病院を含めて協力がなければ絶対にできない。その時に、これは国の行政の一環であるということで、ある程度プライオリティを持った仕事にしないと進まないんですね。私たちはそういう意味で、むしろ再評価を積極的に展開していただきたいし、そのためには国の仕事としてのプライオリティ、あるいはある程度オブリゲーションがあってもいいから、あるいはスポンサーをしっかりしてもいいから、なにしろそういった形でいまのアップデートの成績を常に出せるようなシステムを僕らとしては望んでいるということであります。
 それと、先ほど木村先生から出ました有用性という言葉はたしかに曖昧性があって主観的な部分が非常に多い。総合的に有用と思うか思わないかというふうな判断にもなってきますので、私どものところでは、特に抗がん剤のグループでは、有用性という言葉は使わない。たとえば、腫瘍縮小率が何%とか、生存率が何%とか、副作用のグレード率が何%とかいう形で、有用性はその中で判断するということで、有用である、有用でないという判断はできるだけ避けようという方向に動いています。ただ、有害事象がすごく少ない場合にはそのネガティブな部分が評価できませんので、有用という言葉で表現しないとできない部分もたしかにあるとは思いますが、実際に薬を評価する、あるいは治験に携わっているグループなどでは、そういった曖昧な評価はできるだけ避けて、正確な、科学的に意味の通じる言葉でやろうという方向にありますので、先ほどのご指摘は将来的には解消していくものだろうと思っています。
前川座長  吉田先生、私の理解が間違っているかもしれませんが、承認が出て、その次6年が再審査期間、それが終ると再評価が始まる。いまの吉田先生のご意見を承っておりますと、再審査期間の中であっても再評価をやるべきだというふうに……。
吉田委員  いや、違います。再審査までには、いろいろで、違うところもあるかもしれませんが、抗がん剤のところでは、再審査を受ける時に生存に対する寄与を出さなければなりません。その間にいろんな成績が出ますので、それをクリアして再審査に持っていけば、それはそれでいいんですが、そのあとが、いままであった薬と、新しい薬とどっちが有用であろうかとか、もうこの薬は要らないんじゃないかとかいった評価をするのにどうしても必要だということで申し上げたんです。
紺野委員  論議はだんだん深まってきましたが、深まってくるとどうしても疾患によって使う薬の意味が違うということをどこかで峻別しておかないと、論議が噛み合わなくなってまいります。たとえば、抗がん剤のように、ある意味でライフセービング的な意味をもっている薬剤と、生命とは直接関係のないような薬では、評価の方法はかなり異なります。たとえば、抗がん剤については、有用性というような言葉では表現できないとか、副作用の出現頻度を考えると、再審査の前にストップしたほうがいいと考えられるものも出てくる場合もありますし、アレルギーの薬では、薬理作用の上からは要らないと思われても、患者の状態によっては有用であると思われるものもきっとあると思います。そういう点はもう少し、どういうために使う薬なのかというグレードをある程度分けて論議をしていく必要があるという気はがいたしております。
 もう一つ、私は目下、再審査、再評価の部会長を仰せつかっておりますが、新薬の審査のほうに何回もお願いしていることは、これから先の新薬は、承認をする際に必ず承認条件をつけていただきたいということです。承認の時点では、たかだか何千例ぐらいの症例で判断をしているわけですから、そこで副作用が全部拾えるとは限らないということです。しかし、薬理作用の上からは考えられる副作用については、市販後の中で調べるようにあらかじめ指示しておいていただきたいということです。また、そのことを注意書に反映させることも大切です。そういうことをしていただきたいと、かねがね申し上げていることですが、最近新薬の審査のほうでそれは実行に移していただいていると思っております。
 ですから、これから先に承認される薬については、再審査、再評価の作業はもっとスムーズになっていくと思っておりますが、今後とも、審査課と安全課の緊密な連携が重要であります。
前川座長  時間がなくなってきたので、これからはご発言のなかった方に。
梅田委員  今日は20のシートを出していただきまして、私も立場上、再評価についてはご説明を直に受けておりましたが、今日のこの20のシートの植木課長のわかりやすい説明があったんですが、2つだけ教えていただきたいと思います。
 それはいま座長が話かけられたことなんですが、再審査は6年後に必ずやるということですが、その間にも何か問題があった場合には再評価ができるものなのかどうかということ。
 それから、これは今日の議題ではないと思うんですが、フリートーキングということでございましたので。承認とか許可ということはここに詳しく書いていただいたんですが、認可というのはどういうことかを教えていただきたいと思います。許認可という言葉がよく出て参りますので、それをお願いしたいと存じます。
植木課長  再審査期間中に再評価を行うことは法律上は可能でございます。いままでにあったかどうかは記憶にないんですが、法制上は可能であります。
 それから、許認可というのは、一般には禁止している製造とか販売の行為を特定の者に解除する意味をもつ製造業者の許可とか品目の許可といった行政行為を許認可と申します。
森岡委員  再評価は成分を対象ではなしに、品目対象でございます。ずっと品目で出ておりますね。ですから品目対象で再評価というのはされるわけです。成分と品目では違いますね。
植木課長  再評価のやり方としては、薬効群ごとに見直しをしたり、有効成分で見直しをしたり、あるいは品目毎に見直しをする、いろんなケースがございます。しかしながら最終的には、再評価というのは個々の銘柄ごとに行われ、結果を公表致します。
森岡委員  それで、この13,568というのは品目でございますから、たとえば、同じ成分でも5ミリとか10ミリとか、あるいは注射薬とか、シロップとか、こういったものも品目でございますね。
植木課長  そうです。
森岡委員  わかりました。品目は13,568ということですが、この成分というのはどのくらいでしょうか。
植木課長  成分として約2,000程度であろうと考えています。
伊賀委員  再審査、再評価という流れの中で、通常、重篤な副作用等が出たため製造承認が取り消されたケースがあると思うんですが、再評価の役割ということを考えると、安全性ではなくて、有効性の見直しという印象が強いように私は思っております。今日示された資料のカテゴリーの3で、最終的に自主的な分も含めて取り消されたというのが第一次評価で1,400品目ほどありますが、これは基本的には有効性が臨床的に認められなかったということがほとんどだと思うんですね。基本的にいうと、通常6年までは、その間に市販直後はさっき紺野さんおっしゃったように、少ない例数で評価されており、併用例の確認データはありませんので、ソリブジンに限らずああいったことが起こりますね。そうすると、再評価に至るまでには既に淘汰されているということで、役割のところを理解するためには今後とも有効性のほうに重点がおかれていると思うのですが、この数字はどうなっていますか。
植木課長  この再評価の結果は、有効性でアウトになったか、安全性かということでございますが、詳細なデータを持ち合わせておりませんので、次回にでもできましたらお答えしたいと思います。
前川座長  私の記憶では、配合理由がみつからないという配合剤も多かったと思います。
上田委員  再評価についてもう少し勉強してから質問させていただきたいと思いますが、安全性の情報の収集のところで、7ページにモニター報告というのがありまして、このモニター報告というのは、病院側からみると、いまは十分モニターが稼働してないと思いますが、現状と、何か改善を図るような対策をお考えでしたらお教えいただきたい。
石井室長  現在のモニター制度につきましては、指定制度ということで、モニター病院の指定をしております。協力してもよいという病院に対して、私どもがモニター施設として指定します、ということになっていまして、現在約3,000ございます。 ただ、各国と比較してみて、日本のモニター制度の非常に違う点は、そういったモニター制度の中で自発的に医療関係者から厚生省に送ってくる報告数が少ないというところが特徴です。3,000の医療施設から現在年間1,800ぐらいの報告で、1施設1報告にもならないということです。こういう点について、来年度から、全医療機関及び薬局をモニター施設と、こちらが勝手に思ってしまう。すべての医療機関が報告をしていただくということで拡大を考えております。そのためにパンフレット等での啓蒙、モニター報告書がいつでも手元にあるようなこと、報告書の記載用紙の簡略化などを来年度から予定しております。
大石委員  私は薬学の教員をしておりますものですから、薬品をつくる側になる人と、使うほうの薬剤師になる人を育てているわけでして、この会には非常に関係が深いかと思いますが、特にお聞きしたいのが、薬剤師として病院に勤めている方たちと、薬局に勤めている方が、市販後の調査に関して負うべき義務についてご説明いただきたいと思います。
石井室長  負うべき義務ということでは、実は法律上はなっておりませんで、メーカーが副作用報告をするために情報収集をするわけですが、その情報収集に対して協力するよう務めなければならない、という形で間接的な協力義務がございます。ただ、そこには、当然ながら罰則とか処分というようなものはございませんで、あくまでも要請でございます。ただ、先ほど、モニター施設からの報告のご質問がございましたが、もう一点、各国との違いを申し上げますと、特にアメリカとの違いは、アメリカの報告というのは、何万件とあるわけですが、半数以上が薬剤師からの報告であります。そのことだけ申し上げておきたいと思います。
前川座長  私はよくわかりませんが、処方点検であるとか、立派な調剤をやれとか、薬歴をつくれとか、いろんなことが検討会の報告書に書いてありますので、資料を読んでいただければと思います。高橋委員、何か。
高橋委員  この2、3年の厚生省の各種協議会、検討会で常に問題になるのが「副作用」という用語で、あるべき将来像を示す検討会でも、国際的にかんばしくない評判の「有用性」という用語を使ってこれからの再評価というもののあり方を決めるのか、こういうことを考えますと、どこかで踏み切っていかないといけないんじゃないか。今日はたまたまお忙しい中、薬務局長もお出になっておられますので、「副作用」という用語を国際的な整合性の中である時期見直しをする必要があるんじゃないか。一つ大きな問題は、教科書が全部これを使ってしまうことなんです。医師にしても薬剤師にしても、いま私は薬理学書しか読んでませんけど、医系薬理も薬系薬理も全部、副作用という用語を使っている。だから、新しい医師、薬剤師もそういう用語を覚えてしまう。国際的に有害反応というような用語が用いられているということをほとんど教わらないで出てきてしまう。そういう教育上の弊害もあるので、報告書の中でそういうものを両立させて、のちに新しいものに移行するというようなこともお考えいただきたい。これはお願いでございます。
丸山局長  市販後調査検討会等でも同じようなご論議が出ておりますし、いろんなところで話題になっておりますので、こういう問題について、どういうふうに検討するかということから始めないといけないものですから、そういったことをしながら対応していく必要があるだろうと思っております。
前川座長  乳井委員、どうぞ。
乳井委員  私は副作用、感染症報告の法制化、あるいはモニター報告とか、情報の収集面で強化することをここでうたっているわけですが、これを実現するのは、たとえば、3,000病院から全病院に拡大するというのは実際問題としてはいろんな課題があると思うんですけど、その方向自体は非常に結構なことだと思います。その、せっかく収集した情報を生かす、医療現場に反映させる仕組みについてもうちょっと触れていく必要があるんじゃないかという印象を強く持ちます。
 それから、有用性が低いというか、先ほど、毒にも薬にもならない薬、という表現がありましたが、こういう薬について、薬学の専門知識がない、一般常識で言うわけですが、20ページの申請後の承認整理、取り下げなんかを見ると、たしかに少ないと思いますので、有用性の低い、役目の終った薬というか、そう言い切ったら語弊があるのかもしれませんが、そういう薬が依然として出ているというのは、それが使われるということにつながって、いま薬漬けの実態を解消していかなければいけない事態にある時に、先ほど木村さんから自浄作用だけでいいのか、という提言がありましたが、私も仕組みまでいかないまでも、何かインセンティブが働くようなことをして、今回の報告のことをいうのはまだ早いかもしれませんが、何かそういうことを提言する必要があるんじゃないかと思います。
山口委員  私は再審査、再評価の委員をさせていただいておりますが、その時に時々感じるんですが、先ほど紺野委員も触れられましたが、薬剤を一律に、同じような方法で処理していっていいのかどうか。吉田委員からライフセービング的な薬もあるし、慢性疾患に使う薬、急性疾患に使う薬、あるいは体質改善の薬とか、いろんな性質をもった薬がありますし、それから最近いろんな新しい病気が出てきて、それに対して早く手を打たなければ、というようなこともあって、いろんな性質の薬が出てきていると思います。具体的にはいま申し上げられませんが、グループに分けて再評価を考えるというようなことはできないのかなと思っております。
山崎委員  私が最後でもう時間が迫ってきておりますが、本当に基本的なことで申し訳ないんですが、改めて再評価の検討会ということで我々がなぜ集められたかということなんですね。いままで、再審査、再評価っていうのが行われてきているわけで、これが順調に行われているんだったら、わざわざそのあり方を検討する必要があるのかということです。これは次回、現状と問題点を勉強することになっておりますのでそのことについてお聞きしないでおりましたが、おそらくGPMSPが法制化され、PSURが合意されているというような状況から、情報がいままで以上に入ってくるだろう。そうしますと再評価の動機が増えていくわけですね。そうしますと再評価のチャンスがどんどん増えていって、結果的に有害作用のある医薬品が排除されて、あるいはもう要らなくなった医薬品が排除される、という結果になればよろしいんだろう。そのためにできるだけ効果的な再評価のシステムを再構築していくのが我々の役割なんだろうと思うわけです。そのために第1回ですから、植木課長から大変懇切なご説明があって、再審査、再評価の法的な背景とか、相互関係ということは理解できたんですが、この検討会を機能的に動かしていくためには、あと数分しかございませんけれども、次回を待たずに、なぜ我々があり方を検討しなければいけないか、その問題点を、本当のさわりの部分だけでも話していただくと我々の覚悟が決まるんじゃないかと思うんです。時間がありませんので、無理な要求かもしれませんが、できれば、是非お願いします。
前川座長  時間がきておりますので、さわりは次回冒頭でということでお願いします。新薬の審査が始まって、再審査あたりまではきめ細かくなっているけれども、再評価にいくとパタッとテンポが緩くなっているような気がしますのがこういう検討会がもたれた趣旨ではないかと私なりには思っております。おそらく違っているだろうと思いますので、次回の楽しみにしたいと思います。
 今日はつたない司会で時間が来てしまいましたが、事務局からご連絡がございますか。
植木課長  医療用医薬品再評価の在り方検討会の今後のスケジュールでございますが、1ヵ月から1ヵ月半の間に1回開催いたしまして、今年の夏頃にはある程度のとりまとめをしていただきたい、このように考えております。よろしくお願いを申し上げます。
 次回は、再評価制度の現状と問題点についてご審議をお願いしたいと存じますが、次回の開催日を決めていただきたいと思います。事務局の希望でございますが、できましたら、3月中旬を考えておりまして、事前に座長のご都合やら、今日ご欠席の委員のご都合等もお聞かせいただいて、お許しいただけましたら、3月17日の月曜日の4時から6時という時間ですが、いかがでございましょうか。
前川座長  そういうご提案でございまして、曲げてご承諾いただければ大変幸せであると存じます。次回は非常に重大な、再評価制度の現状と問題点について討議をしたいと思いますので、万障お繰り合わせの上ご出席いただければと存ずる次第でございます。先ほど申し上げました資料のご希望がありましたら、机の上にメモを残していただいて、あとからお送りいただくという形にさせていただきます。
 それでは長時間にわたってどうもありがとうございました。
  (了)
  問い合わせ先 厚生省薬務局安全課
     担 当 木内(内2749)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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