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第3回血液行政の在り方に関する懇談会議事録



1.日時 平成9年2月5日(水)10時00分〜12時00分
2.場所 厚生省共用第6会議室
3.出席者
(委 員) 以下敬称略
井形昭弘 神尾友和 行天良雄 草刈 隆 坂巻 煕
清水鳩子 菅谷 忍 高久史麿 中谷瑾子 秀嶋 宏
藤田 仁 前田義章 三星 勲 湯浅晋治 渡辺俊介
(専門委員) 小室勝利 中井一士 布施 晃 宮島 剛
(厚生省) 薬務局長
企画課長 安全課長 監視指導課長
血液事業対策室長 医薬品副作用被害対策室長 他
4.議事内容 1 開 会
2 議 事
(1)今後の血液行政の在り方について
(2)その他
3 閉 会


血液室長
本日はご多忙のところご出席いただきましてありがとうございました定刻になりましたのでただいまから第3回血液行政の在り方に関する懇談会を開催いたします。私は厚生省薬務局企画課血液事業対策室長の外口でございます。
本日は曽野綾子委員、森嶌昭夫委員、宮村達男専門委員がご都合によりご欠席でございます。また秀嶋委員もやや遅れているようでございます。以上です。
高久座長
それでははじめさせていただきます。本日はお忙しいところ朝からお集まりいただきましてありがとうございました。
まず資料の確認ということでございます。
血液室長
それでは資料の確認をさせていただきます。お手許の資料1は、「今後の血液行政のあり方について」これからOHPを使って説明する図と同じものでございます。資料2は、資料1と関連の資料であり、資料2の目次の番号は関連項目で資料1の番号と同じ番号を使用しております。また別添の「血液製剤使用の適正化について」という紫色の小冊子がございますが、この資料は資料2−7−1の別添のものでございます。次に資料3は今後の血液事業について、血液センターの現場の所長さんのご意見を紹介したものであります。「現場における問題点と、今後の基本的な考え方について」京都府赤十字血液センターの横山所長さんのご意見。そして「小さな工夫、大きな進歩(21世紀の血液事業を考える)」という北海道赤十字血液センターの関口所長さんのご意見を紹介したものを用意させていただきました。この他昨年12月に開催した前回の会議の議事録を配布させていただいております。
以上でございます。
高久座長
皆さん方のところに資料全部そろっていると思いますが、もしそろっていなければ申し出下さい。本日の議題に早速入らせていただきますが、今説明のありました資料1、2の「血液行政の在り方」それから資料3の血液センター所長のご意見、ということについて事務局の方から一括して説明よろしくお願いいたします。
血液室長
はい。それではまず資料1の表の目次のところを参照していただきたいと思います。昨年10月の第1回の会議では「血液事業の現状と課題について」、昨年12月の第2回の会議では「諸外国の血液事業について」がテーマでありましたが、今回は「今後の血液行政の在り方についてがテーマであります」これから説明する資料1は5つの部分に分かれております。目次のところをみていただきますと、5つの部分のうち最初の部分が1番の「前回の指摘事項」、2番目の部分が2−1〜2−4までで「血液行政の在り方に関する論点」でございます。3番目の部分は3番〜8番までで「国内自給の推進について」、4番目が9番と10番のところで「供給についての考え方」、5番目のところが「血液事業の役割と責任」11番であります。
それでは、OHPの一枚目のシートをお願いします。
前回の会議の指摘事項でありますが、資料2の1ページ、「血液行政の推移」をご参照ください。前回の会議では次回は「今後の在り方について」議論した方が良いというご意見がありました。また「血液行政の推移を調べておくように」というご指摘がありました。この表は今までの日本の血液行政の推移を国の方針、取り組み、関連事項に分けてまとめたものでございます。この「血液行政の在り方に関する懇談会」は右下の関連事項の一番下のところに「医薬品による健康被害の再発防止対策について」という報告がございますが、この報告の内容については第1回の会議でも説明させていただいておりますが、この報告の中の血液行政について総合的な見直しを行うという指摘等を受けて設置しているものであります。新たな国の方針等につながるご提言を期待しております。
次に資料2の2ページをご参照願います。前回中井専門委員よりEC加盟国では「供血者が特定できない血液は原料として使ってはならない」という原則があるというご指摘がありました。ここに示した1989年の「EC閣僚理事会指令」の「第3条2項、加盟各国は血液及び血漿の供血者、採血センターが常に明確に識別できるよう必要な措置を講じなければならない」というところが該当するところであります。なお、前回坂巻委員からはアルブミンの資料用について千葉県のアルブミン使用量が平成3年の調査に比べて平成7年に大きく減少している理由についてのご指摘がありました。さらに調査いたしましたところ、使用量の特に多い病院での減少が多いことが分かりましたが、その病院では卒後研修で血液製剤使用の適正化について若手の先生方等に研修を熱心に行ったと聞いております。次のシートお願いいたします。
まず「血液行政の在り方に関する論点」でございますが、論点は大きく4つの部分に分かれます。「安全性確保の在り方」、「国内自給推進の在り方」、「安定的かつ効率的な供給の在り方」、「その他」すなわち上記3点を進めていくためのプロセスや体制の在り方等であります。資料2の3ページ、「わが国の血液行政の在り方に関する論点」をご参照願います。この資料2の3ページ〜5ページにかけては前回、前々回の委員のご意見の中から、その内容をこの論点に合わせて引用させていただいております。次のシートお願いいたします。
まず「安全性確保の在り方」でありますが、危険性に関する情報をいかに把握・評価し、また伝達するかであります。第1回の会議では清水委員からのご指摘として、「安全性に関する情報がタイミングを失しないよう分かりやすく公開されていく必要があります。情報の提供を受けることによって、患者自身も判断のトレーニングをなされていくことを期待されます」とのメッセージをいただいております。
次に「安全性を向上させるためにどのような方策をとるべきか」であります。「血液製剤は現在の科学技術の水準のもとではウイルス等の感染や免疫反応等による副作用を技術的に完全に排除することは困難である」この言葉は第1回の会議でも紹介いたしましたが、95年の血液問題検討会報告書の一節であります。前回は諸外国のさまざまな安全性向上策を紹介しましたが、各国の工夫も取り入れながら安全性の向上を図っていくシステムを確立する必要があります。
3番目は「献血者に対するHIV等に関する情報提供はいかにあるべきか」であります。現在献血者には献血にご協力いただいた方への感謝の気持ちとして血液検査の成績を通知しております。治療方法の確立されている梅毒の検査結果については献血時にさらに精密検査を要すると思われる結果が出た場合は「その通知を希望されますか」という記載項目を設けて、希望者には結果を通知しております。C型肝炎の抗体検査については検査の精度が上がり、治療法も確立されてきた平成4年から陽性者に通知をしております。HIVについては検査目的の献血によりウインドウ・ピリオドの血液が混入することを避ける目的で原則として検査結果を通知しないこととしております。またATLについても献血者への通知はされておりません。「献血者への情報提供はいかにあるべきか」は大きな検討課題であります。
次に「その他」の項目でありますが、最近報道のあったG型肝炎についてこの場をお借りしまして現在の考え方をご説明させていただきます。資料2の6ページと7ページをご参照願います。資料2、6ページ「輸血後G型肝炎の安全対策」でありますが、輸血後肝炎の原因ウイルスとしてB型肝炎、C型肝炎以外にG型肝炎ウイルスの存在することが1995年に確認されております。G型肝炎の臨床像は、まだ明らかになっておらず、また研究室レベルでの検査法が開発された段階であり、献血血液のスクリーニングに利用できる簡易な検査法は確立されておりません。献血血液に対する現在の安全対策としては、輸血後肝炎の原因ウイルスに対する対策として肝機能検査を実施しているほか、問診事項として、この問診事項は実際の問診用紙では各項目に分かれておりますけれども「今までに輸血を受けたことがあるか」、「今までに肝臓病にかかったことがあるか、また現在かかっているか」、「過去1年間に肝炎ウイルス保有者と性的接触等親密な接触があったか」、「B型やC型の肝炎ウイルス保有者と言われたことがあるか」について回答いただき、該当する方には献血をご遠慮いただいています。この「(1) 今までに輸血を受けたことがあるか」という項目ですが、この項目は以前は輸血後6カ月以内のみの場合に献血をご遠慮いただいておったものでありますが、未知の輸血感染症対策として一昨年よりこのようなより厳しい基準としております。輸血後G型肝炎対策としては平成7年度より厚生科学研究費において血液製剤の安全性を確保する観点から研究を行っているところであります。なお、血漿分画製剤に対する安全対策でありますが、このG型肝炎ウイルスは構造がC型肝炎ウイルスに類似しているところから、現在行われておりますC型肝炎ウイルスに対する製造時の不活化除去工程が有効であろうと考えられております。今後とも知見の収集に努めながら安全対策の向上に取り組んでまいりたいと考えております。次のシートお願いいたします。
次に「国内自給推進の考え方」であります。「必要な献血量をどのように確保すべきか」、「中長期の需給計画の策定について」、「どのように適正使用を推進すべきか」、「献血血液の一層の有効利用について、どのような方途が考えられるか」、「輸入原料血漿や輸入血漿分画製剤の取り扱いをどのように考えるか」、「その他」が論点であります。この国内自給推進の在り方につきましては三星委員から「献血推進は国地方公共団体並びに日本赤十字社の役割を明確にして国民が参加しやすい体制整備が必要である。献血者にご理解をいただいて、これだけ足りないんだから、献血の量を増やすんだというような細かい説明をして協力を求めるべきである」というご指摘をいただいており、湯浅委員からは「医療機関における血液製剤を取り扱う体制の確立が重要」とのご指摘をいただいております。この国内自給推進の在り方については、後ほど資料1の3番〜8番のところであらためて説明させていただきます。次のシートお願いいたします。
次に「安定的かつ効率的な供給の在り方」であります。「血漿分画製剤の製造について日本赤十字社と民間事業者との役割をどのように考えるか」、「血漿分画製剤の供給の仕組みをどのように考えるか」、「その他」が論点であるかと思います。この安定的かつ効率的な供給の在り方については後ほど資料1の9番〜10番のところで説明させていただきます。次のシートお願いいたします。
この図は血漿分画製剤の自給率の推移を示したものです。血液凝固第VIII因子製剤については血液由来の製剤については94年から自給を達成しておりますが、アルブミン製剤やグロブリン製剤については年々自給率は伸びているものの、アルブミン製剤の自給率は24%、グロブリン製剤の自給率は40%であります。
次に資料2の8ページ、「3−1国内献血由来の血漿分画製剤量(原料血漿換算)」この棒グラフをご参照願います。この資料2の8ページの図はアルブミン製剤グロブリン製剤、血液凝固第VIII因子製剤(血液由来)これらの国内献血由来の製造量を原料血漿換算で示したものであります。第VIII因子製剤についてはリコンビナント製剤の導入の影響もあり、93年がピークとなっております。アルブミン製剤、グロブリン製剤については年々製造量が伸びております。
次に資料2の9ページをご参照ください。「3−2今後の血液需給量に影響を及ぼす要因」としていろいろな要因を上げさせていただきました。まず左上の需要増、すなわち必要量の増でありますが、これらに影響を及ぼす要因といたしましては人口の高齢化や適応の拡大等、また血液由来製剤の開発が考えられるわけであります。たとえば人口の高齢化につきましては、輸血用血液を例にとりますと年齢別の一人当たりの使用量が65歳以上の方は、65歳未満の方の約5倍となっておりますので、高齢化のピークの際には現在と使用量が同じ場合には必要量は約1.3倍に増加することが予想されます。適応の拡大等では、たとえばグロブリン製剤の適応や用量が拡大されることがあるとすれば、それは使用量の増につながるわけであります。また血漿タンパクは100種類以上あるわけでありますので、新たな血液由来製剤の開発が進めば製造方法によっては血液の需要の増加に結びつくわけであります。一方右上の需要減でありますが、血液製剤の使用適正化、たとえばアルブミンや新鮮凍結血漿等の使用ガイドラインを見直すことにより、またそのガイドラインの考え方を普及することにより需要減の可能性があります。医学医療の進歩としては自己血輸血の推進により同種血の輸血量を減少することが可能です。造血因子といたしましては、すでに赤血球造血因子が実用化されており、血小板造血因子も開発が進んでおります。無輸血治療としては手術手技や術中の管理技術等の進歩により、輸血量の減少が可能と考えられます。幹細胞移植としては長期に輸血を必要とする場合のある疾患の中には、この幹細胞移植により血液をつくる基となる細胞を移植することにより、治療することが可能な場合があります。次に代替製剤の開発ですが、リコンビナント製剤として現在アルブミン製剤と第IX因子製剤についての開発が進んでおります。また人工血液の開発ですが、期限切れの赤血球のヘモグロビンを使用した人工赤血球やリコンビナントのヘモグロビンや合成酸素運搬体の開発が進んでおります。また人工血小板の研究も行われております。次に疾病構造の変化ですが、肝炎ウイルスのスクリーニングが可能となっておりますので、将来的には肝硬変等の減少も予想され、それにより使用するアルブミン製剤の減少も予想されるわけであります。
次に左下の供給増のところですが、供給増の要因としては献血の推進があります。特に成分献血、400ml献血の推進についてのご理解をいただき進めることができればこれは大きな影響因子となるわけであります。次に保存管理製造技術の進歩ですが、期限切れを少なくするシステムや原料血漿の効率的活用により、未使用血液の減少等が考えられるわけであります。
次に右下の供給減ですが、献血人口の減少、これは少子化の影響等が考えられますまた新たな輸血感染症の出現、これはできるだけ出現しないことを願ってはおりますが、もし新たな輸血感染症が出現すれば、その感染症に対応して問診の強化、スクリーニング検査法の開発導入、不活化除去工程の導入、そして必要な回収措置等を行うことにより供給減の要因となります。次のシートお願いいたします。
この図は「アルブミン・グロブリン製剤に関する輸入状況(平成7年)」を原料血漿換算で推計したものでございます。一番下の注のところに「アルブミン製剤とグロブリン製剤またはグロブリン製剤用のペーストは、同一の原料から製造されるため、総原料血漿量はこれらの総和とはならない」と書いてあります。また原料輸入時期と製造時期の違いから同一年の製品の総量とは異なることをあらかじめお断りしておきます。この図で分かりますように輸入の大部分は米国からであります。アルブミン製剤については現在国内自給率24%、逆にいえば76%が輸入でありますが、そのアルブミン製剤はその多くが米国からの製品の輸入の形をとっております。一方グロブリン製剤につきましては製品だけではなくて、かなりの量が原料、これはグロブリン製剤用のペーストの形で輸入され、国内で製造されております。米国以外の国、その他の国でありますが、この中には米国の原料血漿を輸入して加工または中間加工している場合も含まれております。これに対して国内献血由来の原料血漿ですが、これらは左側の輸入の部分と比べてまだまだ大変少ないわけであります。日本の血漿分画製剤の原料はこの図で示しましたように米国やヨーロッパの血液に大きく依存しているわけであります。次のシートお願いいたします。
この図は「献血者数及び献血量の推移」を示したものであります。折れ線グラフは献血者数、棒グラフが献血量であります。最近献血者数が減少しておりますが、これは200ml献血を400ml献血に転換することを図っておりまして、400ml献血になりますと採血間隔が伸びますので、そういった影響が入って献血者数が減少しているわけであります。また近年の問診の強化により、実際に血液センター等にお出でになっても献血できなかった例も増えておりますこともこの献血者数の減には影響しております。この400ml献血や成分献血、この内容については一番下の黒い色のが成分献血のところで、その上の真ん中の部分が400ml献血で、これは大変伸びております。この400ml献血、成分献血を伸ばす努力によりまして一人当たりの供給単位数は増加しておりますし、これによる安全対策というものは大変大きなものがあります。
次に資料2の10ページをご参照願います。「平成8年都道府県別献血区分別献血状況」を示したものであります。左から成分献血、400ml献血、200ml献血、構成比と人数を都道府県別に並べていますが、この図でお分かりのようにまだ各県によって、献血のそれぞれの割合が大変違っております。そしてそれらの合計を献血率として右側に示しております。もちろん私どもといたしましては、400ml献血と成分献血の構成比が多くて献血率の高いところが大変ありがたいというか、感謝しているわけであります。献血率でみますと埼玉、千葉、神奈川といった東京周辺の率が少ないわけでございますが、これは東京都の数字に昼間東京都内で献血される方をかなり含んでおりますので、その点は考慮すべきではないかと思います。次のシートお願いいたします。
次に「献血の推進」についてでございます。資料2の11ページと12ページをご参照願います。資料2の11ページ、最近発表されました「都民要望に関する世論調査」東京都政策報道室というのがありますが、まずこの調査についてでありますが、この調査は20歳以上の男女、3千人を対象として個別訪問面接方式で行われたものであります。献血以外のいろいろな項目についてもこの調査は行っておりますが献血の部分についてのみ紹介させていただきます。なお有効回収率は71.8%であります。平成8年7月に行われた世論調査の結果でありますが「献血しない理由」としては一番多いのが「健康に自信がない」、2番目が「近くに献血する場所や集団献血などの機会がなかったから」、3番目が「高齢のためできない」、4番目が「時間帯が合わなかったから」であります。これらを見ますとまだまだ私どもの工夫によりまして献血していただく方のご理解を深めていくことが可能かと考えております。次のページ12ページをご参照願います。「献血についての行政への要望」であります。一番多いのは「献血についての正しい知識、必要性を啓発する」、2番目は「献血された血液の使われ方をPRする」、3番目は「職場、学校、地域などでの献血の機会を増やす」、4番目は「献血できる場所、日時などについて十分PRする」。このように行政への要望につきましては、特に情報提供が大変重要であるということをあらためて感じる次第であります。
次に資料2の13ページをご参照願います。ここには現在行っております「献血推進関係広報等概要」を記載してあります。テレビ、ラジオ、新聞等、ポスター、副読本、広告等々で広報活動を行っておりますが、この他、各都道府県におきましてもそれぞれの都道府県が工夫をこらした各種の献血推進事業を行っております。次のシートお願いいたします。
次に「適正化の影響(アルブミン製剤及び新鮮凍結血漿の製造量の推移)」この図は1983年から95年までのアルブミン製剤と新鮮凍結血漿の製造量の推移を示したものであります。アルブミン製剤も新鮮凍結血漿も85年の製造量がピークとなっております。85年8月には血液事業検討委員会の中間報告が出され「血液製剤使用適正化の推進」という方針が盛り込まれました。そして86年には「血液製剤使用基準」が作成され、その効果がこの図に表れていると考えております。
次に資料2の14ページ「7−1血液製剤使用の適正化について(別添)」でございますが、これについては紫色の小冊子「血液製剤使用の適正化について(11版)というのをご参照願います。この血液製剤の適正使用につきましては、昭和61年度から毎年この「血液製剤使用適正化ガイドライン」の冊子を作成し、その普及を図っているところであります。この中には「新鮮凍結血漿」、「アルブミン製剤」、「赤血球濃厚液」、「血小板製剤」の使用基準の要約や使用基準ガイドライン、あるいは「血液製剤保管管理マニュアル」、「自己血輸血:採血及び保管管理マニュアル」等が記載されております。この11版には「輸血用血液製剤とGVHDについて」を新たな項目として加えております。次に資料2の15ページ「7−2米国NIHのガイドライン」をご参照願います。米国NIHで作成しておりますガイドラインであります。これは93年のものであります。また17ページの「7−3ドイツの医学協会ガイドライン(概要)」これは95年に作成されたものであります。このNIHのガイドライン、そしてドイツの医学協会のガイドラインを日本の使用基準と比べてみますと、もちろん作成時期の違いもありますが、アルブミン製剤や新鮮凍結血漿の使用基準について少し考え方が異なる部分があるように思います。たとえば新鮮凍結血漿につきましては日本の小冊子の方の2ページのところ「目的2循環血漿量減少の改善と維持 晶質液または膠質液の使用で十分な効果が得られず緊急を要する場合」というように目的の中に循環血漿量減少の改善と維持が入っております。一方NIHガイドラインの方は16ページの一番下のところですが、「新鮮凍結血漿の使用目的は凝固因子欠乏が判っている患者にのみ、凝固因子を増加させる目的で行われる」と記載されている通り、循環血漿量増加は栄養補給などと並んで禁忌、すなわち輸液やアルブミン製剤を使うべきだという考え方が書いてあります。ドイツ医学協会の方でありますが、これは19ページの一番上、FFP というのは新鮮凍結血漿ですが、「1不適切な目的、・循環血液量の増加」という項目があります。また20ページの一番下のところ、慢性低アルブミン血症のところ、これはアルブミン製剤の使用方法についてですが、これが「通常は適応にはならない」と、こういう記載があるわけであります。もちろん日本の使用基準と欧米の基準がまったく相反するものというものではありませんけれども、このへんの考え方については今後基準を見直す際の参考にして議論していくべき課題ではないかと考えております。次のシートお願いいたします。
「輸入製剤、輸入原料に対する考え方」であります。資料2の21ページの「8諸外国の輸入製剤等に対する考え方」をご参照願います。この資料2の21ページに記載された内容ですが、これはさる11月に各国の調査をいたしましたときに各国の担当者から考え方を聴取したものをまとめたものでございます。まずアメリカですが「国には、国内自給の方針や供給計画はないが、自給は既に達成されている」となっております。ドイツでは「米国からの輸入を制度的に制限することは困難。政府から製薬企業に対してヨーロッパ及び米国の血漿の何れから製剤されたものであるのかを分別して供給し、患者及び医師が選択できるようにすることができないか、検討するよう求めている」。フランスでは「血漿分画製剤は、EU統合に向けてEU域内で自由に供給されており、政府はLFB(分画生物工学研究所)によって製造された製剤を使用するようにという指示をしていない。しかし輸入血液製剤に対しても、国内の製剤に求められる三原則(血液の提供が自発的及び、無報酬であること、並びに血液を提供した者が、だれに血液が提供されたものかを知らされないこと)が適用される」となっております。イギリスでは「ナショナルヘルスサービスの一組織であるBPLの製剤に対する臨床医の需要に見合った供給量が確保されることに主眼が置かれている」という考え方を聞いております。各国いろいろな考え方があるようですが、わが国におきましても国内自給を進めていくにあたっては、国際的な理解を踏まえながら進めていく必要があると考えております。次のシートお願いいたします。
次に「9供給についての考え方」であります。「血液製剤は血液という生体の一部から得られ、国民の善意によりなされる献血に由来」しております。そこで「供給は国民の理解の得られる形で効率的かつ適正に行われることが必要」であります。したがいまして、「薬価基準を大幅に下回った販売を防止し、不適正な使用が助長されるような事態を防ぐ」こと。そして「効率的な事業運営を確保する」ことが必要であります。
資料2の22ページ「9血液製剤品目表」は現行の血液製剤、すなわち輸血用血液製剤と血漿分画製剤等についての品目表を示したものであります。特に23ページからの血漿分画製剤の品目表につきましてはご覧のように数多くの種類の製剤があり、より安全で効果のある新しい血液製剤の開発も各社で進んでおります。次のシートお願いいたします。
「10新血液事業推進検討委員会(平成元年)における供給の将来像の考え方」でありますが、資料2の29ページ「10−1新血液事業推進検討委員会(平成元年)における供給の将来像の考え(抄)」をご参照願います。ここでは「第五、供給体系の将来像」について述べておりますが、「近い将来において、献血によりすべての血液製剤の国内自給を達成した後の血液事業の実施体制については、採血、製剤化及び供給の三段階に分け、無用な競合は避ける一方、完全な独占による非効率や停滞のないものにしなければならない。全血製剤及び血液成分製剤については、現在でも全量各血液センターで作られており、また技術開発の面においても今後とも血液センターでおおむね対処できる。血漿分画製剤については国内自給が達成された後も日本赤十字社が製造する製剤の他に国内の民間製薬企業の製造能力を活用して製造する製剤及び国内で製造できない製剤で例外的に輸入により確保する製剤が存在することとなる。これらの製剤の供給にあたっては、全国を数カ所の広域ブロック単位に分け、供給についての専門的能力を持つ公益法人を設置して、これに担当させる体系が適切であると考える。供給主体の専門化、公益化を図ることにより、薬価差の排除や適正使用の徹底が可能になるとともに、医療機関の需要に応じた計画的な採血、製剤化及び供給が可能になる。なお、公益法人による供給体系への移行の具体的方策については、今後献血由来製剤の比率が増加する過程で改めて検討する必要がある」としております。
この公益法人による供給体系の考え方の背景の一つとして、当時は薬価差の問題を重視していたようであります。
次のページ資料2の30ページ「10−2薬価との乖離」を参照願います。30ページの薬価との乖離の図に示すように現在では薬価算定方式も加重平均を基本とした方式にあらためられ、アルブミン製剤、グロブリン製剤の薬価と実勢価格との乖離は、他の医薬品同様に縮小してきております。現在は29ページに示した供給の将来像とは異なり、民間事業者による供給も多く行われておりますが、いずれにいたしましても平成元年当時の供給のための公益法人を全国に作っていくという将来像については公益法人のあり方が問われている現在、慎重に考えるべきでありましょうし、むしろその目的である薬価差を少なくしていくことや、適正使用を進める方策や現場のニーズに合わせた供給を第一に考えていくべきであると考えております。次のシートお願いいたします。
「11血液事業の役割と責任」であります。この図は第1回の会議でも示したものでございます。厚生省、地方公共団体、日本赤十字社、民間事業者、そして医療機関がそれぞれの立場で血液事業の役割と責任を担っております。この体制の根拠となるものが資料2の31ページから記載しております3点であります。まず31ページ「11−1採血及び供血あっせん業取締法(昭和31年施行)の概要」をご参照願います。この法律の目的は人の血液の適正な利用、採血によって生じる保健衛生上の危害の防止、被採血者の保護であり、法の概要としては採血等の制限、採血業の許可採血業者に対する指示、供血あっせん業の許可、厚生大臣又は都道府県知事による立入検査等、採血者の義務等が盛り込まれております。
資料2の32ページ「11−2薬事法の概要」でありますが、この薬事法の目的は「医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う。そして医療上必要性の高い医薬品等の研究開発を促進する」であります。また概要としては製造業の許可、医薬品等の製造の承認、医薬品等の再評価、医薬品等の製造の管理、生物学的製剤基準の策定、検定、添付文書等の記載事項、販売製造等の禁止、立入検査、緊急命令、廃棄、回収等の措置、承認・許可の取り消し、情報の提供等が盛り込まれております。
33ページ「11−3閣議決定(昭和39年8月21日)、献血の推進について」という項目で、「政府は、血液事業の現状にかんがみ、可及的速やかに保存血液を献血により確保する体制を確立するため、国及び地方公共団体による献血思想の普及と献血の組織化を図るとともに、日本赤十字社または地方公共団体による献血受入れ体制の整備を推進するものとする」と記載しております。
これらの3点がこの11の図の役割と責任を担う体制の根拠となるものでございます。資料1の2のところで示しました安全性の確保、国内自給の推進、そして安定的かつ効率的な供給、その他、今後の血液行政について、そしてこれらの点を将来にわたって確保していくためにはこの現状の体制をいかに今後位置づけていくべきか、そしてその根拠をどこに求めていくべきか、そしてその根拠はいかにあるべきか。これらの課題についてはこの懇談会の中でぜひご検討を進めていただきたいと考えております。
資料3につきましては、今後の血液センター等も含めた議論の中でのご参考としていただきたいと思います。以上です。
高久座長
詳しい説明が事務局の方からありましたが、資料についてご質問あるいはご意見がおありでしたら、どうぞご遠慮なくご質問お願いいたします。
血液行政の在り方に関する論点として、安全性確保の在り方、安定的効率的な供給の在り方、更に血液製剤の適切な使用ということが、あると思います。特に供給の点と使用の点の両方が今後の血液行政の在り方に関連して重要なことだと思います。
どの問題に関してでも結構ですから、どなたかご意見、ご質問おありでしょうか。
渡辺委員
質問じゃなくて良いですか。意見なんですが、これずっと今まで拝見していてですが、一つは安全性確保、あるいは国内自給の問題でも重要な役割を果たすのはメーカーだと思います。メーカーが大きな役割を果たすことは間違いないんでそのメーカーが安全性とか、倫理性に対してどういった考え方をもっているのか、自らの役割等、責任をどう認識しているか、といったようなことを私自身も知りたいしそこで一つの提案というか、意見なんですが、この懇談会の形でも良いし、何かそういうアンケート調査といいましょうかね。メーカーの意見を聞いて、それを参考にしたい。特に国内自給推進という立場を今後進めていかなきゃいけないんですが、現実的には外資系のメーカーも多く日本市場に入っていらっしゃる。そういったことで外資系も含めてメーカーのアンケート調査を当懇談会で実施したらどうかと思いますので提案したいと思います。
高久座長
どうもありがとうございました。アンケート調査あるいはヒアリングでも良いと思いますが、ヒアリングだと会社がたくさんあるからどの会社を対象にしてするかという問題になりますね。
血液室長
ただいま座長からご指摘ありましたようにヒアリングになりますと、各社かなり多うございますので、最初にアンケート調査をいたしまして、必要に応じてまたヒアリングするということも可能だと思います。いずれにしてもアンケート調査につきましては、渡辺委員ご指摘のありました安全性と国内自給と安定供給とに関するそれぞれのメーカーの考え方ということでございましょうか。それらにつきまして事務局で工夫いたしましてできれば次回の会議までに何らかの資料をまとめて提示させていただきたいと思います。
高久座長
全血製剤と血液成分製剤については余り問題がない。問題は血漿分画製剤ですね。血漿分画製剤が一番問題になる。その中で安全性ということが大きな問題になると思います。国内自給の推進という事についてもありますが、一番の問題点は安全性の確保だと考えています。他にどなたか。
神尾委員
質問というわけではないんですが、第1回、第2回、それと今日も前半までは大変アカデミックと申しましょうか、非常に冷静な判断に基づいたお話だったんですが、資料1の12ページに突然「9供給についての考え方」で下の段の図に「薬価基準を大幅に下回った販売防止」というような大変現実的な話が突然出てまいりまして、これが今日の問題点である安全性確保の在り方ということとあまりにどうも話がそぐわないような感じがしたんです。少なくとも製造に関する安全性と販売の安全性とは違うと思うんですね。いわゆる販売ということに関しては、自由市場経済という概念からすればこれは当然販売の理念というものは成り立つわけでして、それと製造に関する安全性確保ということと、ぼくは多少違った視点からもう少し考えるべきだと。あまりにも話だけが大変この場にはふさわしくないというのは良く判りませんが、その点を確認しておきたいと思います。
高久座長
さきほどの血液行政の在り方の論点の中で適正な使用はこの委員会で検討する必要がある。全体の項目が供給という事になっていますが、そのためには、余分な使用がされないようにすることが必要だと理解しております。
秀嶋委員
ここに「血液製剤の使用適正化について」というこの本でございますが、これはどのへんまで配布されているかお伺いしたいと思います。
血液室長
これは年間の配布部数は約3万部強でございます。実はこれ各都道府県でかなりばらつきがあるかと思いますが、私どもとしてはより一層の普及をお願いしているわけでございます。
秀嶋委員
それにつきまして、非常にアルブミンの使用量だとか、キチッとしたものが出ておりますし、これは有効な手段だと思うんです。それでこれにこういうものをもうちょっと卒後教育というか、現場の医療機関が分布徹底させるというような方策を取られることと、それからもう一つ加えていただきたいと思いますのは、これは高久先生の大学でやっていらっしゃいますMSBOS、そういうようなものも予定手術の中でだいたい血液の確保をする、あるいはスクリーニングをする。タイプだけを調べるというようなことをちゃんと仕分けしたものも加えていただいたら良いのかなと考えておりますが。
湯浅委員
資料1の14ページ「血液事業の役割と責任」という表がございますけれども、これをちょっと見ていただきたいと思います。この中に血液事業の役割と責任があります。血液の安全性、有効利用、適正使用は、国と、赤十字社だけの問題だけではなくそれらを実際に使う医療機関の役割が大であります。この医療機関の体制なり位置づけをはっきりと今回認識していただく必要があると思います。医療機関の中にこの前も申し上げましたけれども、ベッド数700以上の中でも輸血部門があるところは非常に少ない。お手持ちの厚生省の適正化のガイドラインでも医療機関では血液を扱う輸血部、これは必ずしも輸血部とは限りませんが輸血業務を一括して扱う部門を作り、病院内に輸血療法委員会を作って適正な使用を進めなさいと書いてあります。安全性の確保は血液センターでのスクリーニングだけでなく、医療機関における厳重な輸血検査、血液の保管管理、そしてその適正使用も大きな役を果たしています。ですから医療機関における体制の確立を今こそ、明確にし位置づけることが大事かと思います。情報をいかに伝達するか適正使用を如何に推進するかが大きなテーマですが都道府県あるいは文部省からの通達だけでは、病院長のところにポッと行くだけで現場に廻らないわけです。輸血委員会があればそこが受け皿となり診療委員会で各科に通知を徹底させ、輸血の適正使用もチェックできる非常に有効な手段となります。適正使用をやればむだな血液の使用を防げるだけではなくて、返品だとか廃棄血の減少にもつながるわけです。ぜひ医療機関に輸血部門やこの委員会の設置を勧告していただければ施設長にも認識していただけると思います。それからさきほど千葉県のアルブミンの適正使用が非常に良いということはやはり現場医師に対する教育だと思います。輸血学教育、そしてもう一つは国家試験ですね。医師の国家試験では輸血の問題はほとんどないわけです。あるていどは輸血の問題も出していただいて、教育上も、輸血の認識をしていただく。輸血は献血に支えられていること、またリスクもあると教えれば大切に使います。国内自給ということにも理解が深まると思います。
高久座長
今の秀嶋委員のおっしゃったことは、湯浅委員がおっしゃった輸血委員会の中で検討して推進してもらうということでしょうね。
前田委員
輸血の教育については、全国国立大学輸血部会議というものがありまして、そこでは国立大学の輸血部の先生方で話し合いがもたれています。医学部での輸血教育の中身は各大学実にバラバラであり、輸血部が担当する教育時間数も違うし、概して言えば輸血部に割り振られた時間は非常に少ない。たとえば、法医学では赤血球の血液型について、外科では外科に関する輸血、内科は内科の輸血、といった具合で講義がなされ、体系的な輸血教育はやられていないのが現状のようです。輸血教育の時間数が大学により違うのは、カリキュラム編成はその大学のやり方、考え方に任されているためであり、文部省の範囲になると考えられます。
その医学部での教育のあとに、ポストグラジュエイトの教育、卒後研修となるのですが、実際は繰り返しの教育が望まれているのに、輸血については殆どなかったと言えます。このような事が血液あるいは血漿分画製剤の使用についての医師の無関心さを助長した大きな要因ではないかと思います。
高久座長
その問題に関して湯浅先生、輸血学会として文部省にリコメンデーションされたことはあるのですか。
湯浅委員
まだありません。国家試験の問題に関しても輸血学会で要望して行きたいと思います。
高久座長
まず国家試験に出してから学生に教育するというのも一つの方法ですが、基本的にはカリキュラムの中に輸血の事を組み込んでそのあとに国家試験に出すという事になると思います。各医科大学に輸血の講座は必ずしもないと思うのですが、輸血部はありますね。専門家がいらっしゃると考えてよろしいですね。
湯浅委員
国立大学の方は昨年全部輸血部が設置されましたけれども、人員や設備ではかならずしもしっかりした輸血部があるわけではないので整備の充実をお願いします。
高久座長
そうですね。もっともなご意見だと思います。
藤田委員
この輸血学会というのは5、600人の輸血学会がこのことを取り仕切っておられる。使用の方の意見とおっしゃいますが、結局これは各臨床の医者が各学会に所属していますので、学会でこの意見を協力してもらうのが一番早いと思うんです。いかがでしょうか。
高久座長
学会で意見を統一。
藤田委員
この使用の問題であるとか、このパンフレットだけではほとんど知らない形だろうと思うんです。
高久座長
確かに外科学会、内科では肝臓病学会や、腎臓病学会の人が血漿分画製剤を使っているわけです。たしかに輸血ということについては輸血学会との関係がもっとも深いと思います。しかしアルブミンやガンマグロブリンの使用ということになると、輸血学会で適正な使用について全部リコメンドできるのかというといろいろ問題がありますね。
秀嶋委員
これは現場の話でございますけれども、非常に状態が悪くなってくる外科サイドでございますけれども、そうすると新鮮凍結血漿すぐやるというような画一的な頭の古い卒業して何十年かたったという先生たちがこれはそれにとびついてしまうというような現象で私はしばしば見ておりますので、それには必要量というものをキチッとわきまえて補給する。そしてその後循環系のものとか、そういうものに対しては医学の概念がございますので、そういうもので補給するというようなことに、PRしていただくといいますか、私は今大学の時点の教育の問題が出ましたけれども、もっとそれよりも卒業して何十年かたった部長クラスになった、あるいは私のような老医になったものがとかくそういうものにとびつきたがるというようなことがございますと思います。たとえば出血があったときにはグロブリンというようなことになってしまうというようなことがございますので、そのへんあたりの卒後の教育、これはまた日本医師会も菅谷先生にもお願いしないといけないと思いますけれども、日本医師会でも卒後教育の中に生涯教育の中に入れていただいたらどうかなというふうに考えております。
高久座長
そうですね。
湯浅委員
一つお断りしておきたいのですが、配布されている小冊子の血液製剤の適正使用や輸血療法の適正化のガイドラインは輸血学会が作成したのでなく、厚生省のガイドライン作成委員会が作成したもので、この中には日本医師会、病院協会、外科学会、内科学会、肝臓学会、輸血学会など広く臨床の先生がメンバーです。最近は血液センターでも各地区で供給する管内の医療機関を集めて輸血の適正使用、あるいは最近の輸血後GVHDに対するPRや警告をしています。そこに医師会も入り、輸血学会も入り、あらゆる機会を捉えて、輸血の情報を伝えていくことが必要と思います。
高久座長
そうですね。卒前、卒後の臨床研修と生涯教育、すべての所で血液製剤の適正な使用について徹底した教育をするということが非常に重要なことだと思います。特に学生のときに教育しておく必要があるのでしょうが、現実には充実していないような気がします。湯浅先生どうなんですか。この「血液製剤の使用適正化」の本は都道府県に配っている様ですが、大学に配っているのですか。
湯浅委員
きています。ただ情報をいかに伝達するかということが問題です。受け皿がしっかりしていないと病院長止りで終わってしまいます。
高久座長
ほかにどなたか。
清水委員
さきほどちょっとご議論の前に出ておりましたが、資料1の12ページの供給についての考え方のところの左下の囲みのところについて、意見というか印象、感想と申しますか、それとご説明を伺いたいと思います。資料1の12ページの供給についての考え方の左下の文言ですけれども、この表現はこういう意味なんでしょうか。薬価基準を大幅に下回って販売されるとそれが不適正使用を助長するというふうに点の後と前がつながってしまうのでしょうか。薬価基準を下げるということが関心が高くなっております。適正な薬価基準を算定するということは非常に必要なことで、適正ということは下げるという意味も多分に含まれているのではないかと思うんですね。この表現は何かある意味では薬価基準の固定化を是認するような印象を私のような素人は受け取ります。それから資料2の11ページと12ページに東京都の政策報道室の世論調査が出ておりますが、12ページの上から2番目の「献血された血液の使われ方をPRする」という国民の期待の43.5%の中には量の適正な使用ということと、安全性の上での適正使用ということともに薬価の問題も書いているかどうかは別としましても潜在的に都民の期待みたいなものがあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。そういうことで結論は資料1の12ページの左の下の文章が果たして適正なのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
高久座長
主に血漿分画製剤のことですね。全血のことではないと思います。この問題は必ずしも血漿分画製剤だけのことではなくて、薬全体について今まで言われてきたことだと理解していました。たとえばアルブミンは使えば使うほど医療機関に差額の収入が入るために余計に使うのではないかということですね。
坂巻委員
ちょっと関連で質問なんですが、よろしいですか。資料1の5ページに「安定的かつ効率的な供給の在り方」に「1 血漿分画製剤の製造について、日赤と民間が事業者との役割をどのように考えるか。」とあるんですが、ちょっと伺いたいのは日赤は献血という形で原料は全然国民のコストなく採っているわけですね。もちろん作る場合のコストはいろいろあるけれども原料そのものはかかっていないわけですね。ところが業者は外国から輸入するときに同じものを同じ薬価基準で販売するというその点はどうなんでしょうか。原料をお金で買っているわけですけれども。
高久座長
草刈委員、日赤のお答えを。
草刈委員
日赤の献血には費用がかかっていないというのは誤解でございます。どんな僻地でも献血バスを動かしてそれが営業利益のものならできないような献血者に対する採血をやっています。コストは度外視して日本赤十字社だから、献血者がおられるからやらなきゃならん仕事がございます。国や都道府県とともに国民の方々に語りかけ、献血をお願いするのに女優さんにポスターで微笑んでいただいたりしておりますが、それも決してただではございません。ですからコストがかかっていないというのは間違いだと思います。それから問診で献血者の方々のご協力をいただきまして、献血をお断りする場合があります。それもコストです。それから厳重な検査をしてちょっとでもあやしければ供給から落とします。その結果ものすごいコストがかかるということになります。ただではないかというご認識はぜひ改めていただきたい。献血者には何もお支払いしていないのは事実でございます。それからもう一つはさきほどの清水委員のご質問ですが、今日のご視察いただくための資料の中に中開きを開けていただきますと「がんばっています血液センター」からの供給先が1万6千ございます。毎日われわれの供給が4、447件が1日平均です。ですから5千やら6千になる時もございます。このように輸血用血液でございますが、使われております。日本の治安の責任者である方が重傷を負われたときも200人から300人の方の血液をお届けいたしました。そういう献血者のお蔭でその方は今元気に社会復帰をなさって日本の治安の中心を果たしておられます。これは日本医大の救急医療が立派だったという以外に献血者のご協力があったということをぜひご認識いただきたいと思います。さらに先ほどから秀嶋委員その他の委員からございました日本医師会のご協力を得まして赤十字血液シンポジウムを数年間全国各地でやらせていただいておりますし、またその他各血液センター主催でもやっておりますので、先ほどのように生涯教育の中に入れていただきたいというのはわれわれも同じような気持ちでおります。
高久座長
そうですね。
湯浅委員
資料1の6ページ。「血漿分画製剤の自給率の推移」というのがございますけれども、今アルブミンはまだ国内自給が24%、それからグロブリンの方は40%ということですけれども、原料血漿の有効利用、それから一番良い収率で作れば、今のままで免疫グロブリンの自給率は90%から95%ぐらいまでいくというデータがあります。今70万か72万リットルですが、民間の活用とかペーストの有効利用をはかれば、グロブリンの自給率は現在でもかなり伸びる可能性があります。献血していただいた血漿を、民間の方に委託するのは献血者に対してうしろめいた気持ちがあるかも知れませんが、分画製剤を国内で確保しなければならないという国民全体の意識からいえば能力のあるところに委託して最大の収率で製造することが必要ではないかと思います。
高久座長
重要なご意見ですが、そうすると70万Lが十分に有効に利用されていないから、ガンマグロブリンやアルブミンの自給率が低い、そういうふうにお考えですか。
湯浅委員
アルブミンは製造過程で原料血漿から第VIII因子、グロブリンその他の成分がとれて最後にアルブミンがとれるわけですから、アルブミンがこれだけとれるということはその間に各分画成分もとれるわけですね。ですからそれが全部有効に利用されれば使用量から見てグロブリンの自給率40%はもっと上がるんじゃないかということです。
高久座長
そうですか。事務局の方どうですか。
血液室長
ご指摘のように原料血漿をたとえば一番収率の良い組み合わせで組み合わせれば、グロブリンはたしかにもう少し上がるかと思います。アルブミンはかなり限界までいっていますので難しいかなとも思いますけれども、いずれにしても収率を上げる努力、あるいは有効利用こういったものの努力は進んでおりますし、40%まで上がってきた中にはそういった努力も含まれておりますので、これをさらに進めていきたいと思っております。
小室専門委員
今のグロブリンの件について流れの中に水を差すようで申し訳ないんですが、一つ技術的な面で申し上げますと、残念ながら日本の血液はきれいすぎて最近ウイルスに対する抗体が極端に低いと、そうしますとこれは有効的な観点から考えますと、この姿勢は良いのかという点もあります。したがってそれはきめ細かな自給体制を作るということもやはり考えておく必要があるんではないでしょうか。
高久座長
きめ細かな何体制ですか。
小室専門委員
自給体制。
高久座長
自給体制ですね。判りました。私個人の考えとしてはそのことが一番問題ではないかと思います。アルブミンは使用についてもっと教育すれば自給率がもっと上がると思います。更にリコンビナントでアルブミンができれば、今後グロブリンがもっとも問題になるのではないかなと思います。グロブリンの方で製造法などを工夫する事によって自給率が上がれば、血漿製剤の安定した供給ということについてもかなりの希望がもてるのではないかと思います。
菅谷委員
自給率の問題、やはり適正使用が一番簡便な要件ではないかと思いますね。先ほどからいろんな教育の話もありましたけれども、早急にやっぱり医療の現場での適正使用ということの理解をしていただく方策を、いろんな面から追求して図っていかないとなかなか対応するまでにはこれから相当時間かかってしまうという気がしますので、そういう意味で何らかの形で医療現場での実際に対応しておる先生方にこういう状況というものを理解していただく方策をいろいろ講じるということが大事だと思いますね。そうすれば自給率も少しずつこれから上がってくることにつながってくると思います。
高久座長
おっしゃるとおりだと思います。
他にどなたかご意見。
湯浅委員
資料1の4ページに「国内自給推進の在り方」ということがあって、その中では5のところに「輸入原料血漿輸入分画製剤の取り扱いをどのように考えるか」とありますが、日本の血液事業のあり方というのは倫理的な面そして安全性の面から国内自給を目標としてきました。今までは分画製剤主にアルブミンやグロブリンは、圧倒的に外国に依存してきたわけですけれども、ある程度国内で自給が確保できるようになったときのあり方です。そうなったときにもちろん外国での安全性が確立したものが入って来た場合、国内自給を進めるために医療機関においては国内の製剤を使いなさいとなりますか。それは結果的には外国輸入を抑制するようになるのか。そうしますと国際的な経済市場開放策から外国輸入抑制はできないでしょうし、その場合血液は倫理的なものだということで外国が献血でやっているんなら良いけれども、買血なら禁止するなどフランスみたいな条件をつければ別でしょうけれども。それまではどうしても国内確保は倫理的なもので対応しなきゃいけないのではないか。
高久座長
安全性の問題もあります。それからこういうこと言ってはなんですが、自分たちの血液製剤は自分たちの努力で自給をしていく、そういう精神が必要なのではないかと思います。ただ湯浅委員がおっしゃったようにその点をあまり明確に前面に出しますと貿易摩擦、あるいは自由化の反対になりますが、しかし基本的にはそういう考えで医療機関の方に国内の製品を推薦するということについて私個人は賛成です。けれども、これは輸入血漿で作られたもの、それは国内の血漿で作られたものということが分画製剤ではっきり判るのですか。
血液室長
献血由来のものはたとえば献血アルブミンとか、そういった名前がついていますので、国内と国外のものは区別できます。値段はそれぞれの薬価が実勢価格に応じて動いておりますので、銘柄別であります。
高久座長
銘柄別なわけですね。
特に国内献血由来のものが高いということはないのですか。
血液室長
現在結果的にそうなっております。
高久座長
その点が少し問題ですね。
湯浅委員
安全性が一番でしょうけれども、外国でももっと厳しい安全性を確保して日本でもそれをチェックするということで安全性が確保されていればそういうことはないと思います。それからまた一時のフランスのように国内確保ばかりに固執した結果、外国で加熱製剤をもっていても国内優先だということで国内製剤を使ったということがあります。
中井専門委員
今の問題に関連するんですが、自給化という国の方針を抱えている多くの国は今の問題は同時に持っていると思うんですね。したがってそれぞれの国で今の問題をどういうふうに理解していくか、これはぜひ日本なんか知りたい問題ではないかというように思います。EUについてはここで紹介されているとおりですしそれからカナダもやはり自給化ということを言っているわけですから、やり方によっては確かにご指摘そのもののぶつかり方もあるかも知れないと思いますが、そこはやり方の問題ではないかというふうに私は思いますけれども。いずれにしてもはっきり判らんところありますので、判る範囲でいろいろ教えていただければ議論か良くはずむのではないかというふうに思います。
それからもう一つ。適正使用のキーポイントというのはやはり使う医療現場がどう考えられるかという、これはだれも争いようのないことであります。また法制とか行政でそれを強制するというのは本来なじまないというのは皆同じ意見だと思うんですね。
それからこれも次回に整理していただければありがたいんですが、医療機関との関係で行政が今までいろいろ工夫されていっぱいやられておること、とくに都道府県レベルであると思うんですね。おそらくこのパンフレットがその試行だと思うんですがちょっと単に配っているということだけではなくて、具体的な例を場合にうまくいっているところもあるのかも知れませんし、そういうところを紹介していただくと、何かこの議論が非常に生きてくるのではないかなというような感じを私はちょっと察したんですけれども。
高久座長
これが有効に利用された例をご存じですか。
菅谷委員
良いですか。これは昔ぼくが大阪にいたころ病院団体とこういう問題について協議をやりまして、各病院にこれを配らせたことがあります。配ってそれぞれ手術に携わる先生方にちゃんと少なくとも目を通してもらうようにという手配はしたことはあります。それをやった結果どうなったかといいますと、血液の返品というんですか、ムダが大分少なくなったという結果は出ております。使用量そのものまでは詳しくは調査しておりませんけれども、血液を取り寄せて結局使わずに捨ててしまったというようふうなことは非常に少なくなったということはあります。
高久座長
どうもありがとうございました。
前田委員
国内自給の考え方についてですが、日本は第二次大戦後に血液事業は進展してきました。外国の血液事業の歴史を見ますと、表に出るか出ないかは別にして、かなり国防的な部分も含めてスタートした、今はどうか判りませんが、つまりナショナル・デフェンスの一部とも考えられたのではないかと思われます。ですから、今の言葉で言えば危機管理体制として捉えてどうやるかということでしょうか、そういう意味で国民の安全を守るのに必要なものである。例えばスイスですと在郷軍人は召集があると必ず献血するし、自分の故郷へ帰るとそこで献血を推進し、献血者募集者の役割も果たしている。このように在郷軍人もナショナルに献血についての役割を当たり前と考えているようです。日本も自衛隊の方々は大変にご協力頂いていますが、何か風土的というか一寸違うという感じを受けます。このようなことから、国が血液事業を進める上で、ナショナル・デフェンスというものに単に国防という考えから、危機管理の一環として捉えることも国内自給の考え方の中にある程度必要ではないでしょうか。現状は外国から輸入することを前提に組立られている部分があって、エイズ問題につながったのではないでしょうか。
高久座長
ありがとうございました。皆さん方にご意見をお伺いしたいのですが、資料2の21ページについての確認ですが、フランスの様に、三原則が適用されるとアメリカからの血漿はまったく入らない、そういうふうに考えて良いのですか。フランスの場合そうですね。
中井専門委員
ちょっと伝聞程度で書類を見せろと言われますとないですけれども、聞いているところでは一滴も輸入を許さないということではなかろうと思っています。というのは特殊な免疫グロブリンなんかはずいぶん米国から入っているんですけれども、ただフランス人の哲学の中には自分たちが売血を禁止しているのに外国の売血を認めるというのはこれは自分たちの哲学に反するというところははっきりしているんだろうと思いますね。そこで医療上どうしても必要だというのはそこはその論理を超えたようなかっこうで入ってきているというふうに私は聞いておりますけれども以上です。
神尾委員
資料2の10ページの献血者の集計が出ているところがありまして、今供給量のことが大変問題になっておりますけれども、アルブミン製剤にしろ、グロブリン製剤にしろすべて国内血でまかなうんだったらこの合計資料2の10 ページではすべての中には600万人ぐらいここに出ていますけれども、どのぐらいの数になったらすべての数がこれが倍の1200万人になれば全部国内でまかなえる。それちょっと基本的なことなんですが、お聞きしておきたい。
高久座長
いろいろご意見があるようですが、先程の湯浅委員のご意見ではうまく血漿を利用すればグロブリン製剤は90%とおっしゃったのですか、90%近くは自給出来る様になる。そこまではいかなくてもかなりのところまではいくのではないかというのが湯浅委員のご意見でありました。日赤さんが常日頃ずいぶん努力をされているということは重々承知なのですが、この資料で見ますとトータルの採血量としてはここ数年あまり変わっていないのですね。
草刈委員
変わっておりませんが、輸血用血液に関してはご承知のとおり100%、キチンと。
高久座長
そうですね。ですから血漿の方が。
草刈委員
血漿の方が今70万Lですが、前の新血液事業推進検討委員会あたりでは200万Lないとアルブミンは自給できないというような意見もときにあったようでございます。もしそれがほんとうだとすると、今の3倍ということになりますね。
高久座長
そうすると血球自体は余るということになりますね。
草刈委員
そうです非常にアンバランスになります。それが血液事業の難しいところですね。
高久座長
おそらくトータルの血液量を増やすことも難しいし、血液全体で考えると分画製剤を除くと増やす必要もそれほどないのですね。ですから、自給ということに関しては今後どうするかが一番の問題点ですね。その方法として適正な使用ということと、それから得られた血漿を効率良く分画をする方法の開発、更に可能なものについてはリコンビナント製品に移っていくという、その三つの方法ですね。草刈委員。
草刈委員
三星委員から前回ご意見があったと思いますが、国民に分かりやすく説明してくれ、凝固因子はよく分かった。グロブリンはどうなんでしょう。またアルブミンは同じなんでしょうか。一方でこのような会議で使われすぎというようなことばが出てきているときは献血者の方々、あるいは献血を推進している方々というのはちょっと力が出なくなります。そのへんをきちんと仕分けして国民に訴えてほしいという要望があったと思いますが、私たちも献血者といっしょにやってきた歴史からみるとほんとうにそれは大切だと思います。
高久座長
そうですね。それと同時に自給の必要性、重要さということをPRする必要があるのではないかと思います。その事が献血者の方々に対する励ましになると思いますが、三星委員いかがでしょうか。
三星委員
今日の議論はたいへん専門的で難しくて、われわれ素人はちょっとあれでございますけれども、先程前田先生からもお話があったようにナショナル的に日本の国ということをもっとしっかり踏まえた意味でわれわれ年配という意味で軍隊の経験もあるからそういうわけでもないんですが、最近の世情から考えてももっと毅然たる覚悟で基本的に国ということを考えた意味での血液行政をキッチリやっていただきたいなということが非常に感じたわけであります。その他専門的な意見はわれわれ判りませんが。どっちにしても真剣なご討議をいただいて大変ありがたく思っております。
高久座長
事務局にお伺いしたいのですが、資料2の21ページのドイツの対応ですね。「米国からの輸入を制度的に制限することは困難」ということも良く判りますが、ヨーロッパと米国の血漿のどちらで製剤されたものであるかを分別して供給して患者や医師が選択できるようにするということを検討するという事ですが、現在、その方法を検討をしているのですか。
血液専門官
企業に対しまして行政の方から検討を求めているということでございます。
高久座長
日本でもやろうと思えば不可能ではないわけですね。
血液専門官
日本では先ほど申し上げましたように国内の献血由来とそうでないものは献血という名前が製剤についているかどうかで区別ができるようになっております。
高久座長
ですからどちらかを選ぶかは医療機関にまかされているわけですね。判りました。
渡辺委員
さっきの神尾先生からはじまった点重要だと思うんで、要するに600万人の献血者が足りないんだというふうに今いっているわけで、これを増やす必要があるということが議論になっているんですが、この際に非常に難しい問題があるというご指摘もあったり、たとえば前回も議論になったようにリコンビナントの将来性みたいなもの、これによって変わってくることもあると思うんですけれども、さっきおっしゃった分かりやすくどの程度必要だよというときにそういった見通しも示されないと結局全然判らないことになっちゃうわけですね。だから有効利用を先程湯浅先生のおっしゃったこともあり、そうなればどうなるんだと、いうような見通しが示されないとただ献血を増やせ増やせと言っても、さっき座長おっしゃったように分画製剤除くと増やす必要ないという言い方もある。そのへんをもうちょっと整理されて、一般にも分かりやすいような何かを示していただくことはできるんでしょうかね。
血液室長
かなりの前提条件の組み合わせがありますので、次回までに整理します。
渡辺委員
一つでも良いから作ってみてください。それに基づいてまた。
血液室長
次回提出したいと思います。
高久座長
そうですね。たとえばアルブミンだとだいたいいつ頃、リコンビナントのものができるようになるかという事についてある程度の見通しが立っているのだと思います。ですからその資料を次回に出していただくとアルブミンに関しては議論がかなり進むと思います。
坂巻委員
あまり学問的な話じゃないんで恐縮なんですが、13ページの献血関係の広報資料を拝見しますとね、20歳の献血というのは非常にポイントを置かれているんですね。そうしますと献血というのは若者がやることなんだというようなイメージで非常に逆に広がっちゃっていて、先程65歳以上か何か血液5倍使っていると聞きますとね、やはり中高年や高齢者に対する献血を使用と、お前たち使うんだからみたいな形で若者、20歳というところにあてすぎているんじゃないかという感じがするんでございますけれども。
高久座長
草刈委員いかがですか。
草刈委員
20歳は非常にターゲットとして分かりやすいんでやったんですが、坂巻先生や清水先生にも今後献血していただくようなPRを考えたいと思います。
菅谷委員
献血者については最近かなり減ってきているトータルすると。献血量についてはそう変わっていない。400ccの分が増えてきているという結果だろうと思うんですけれども、なぜ献血者が減っているかということの分析も必要であろうと思うんですね。私が過去に見た結果によると、初回の献血者これが減っていますね。新しい献血をしようという層が減ってきている。そこの対策をもっとやる必要があるんじゃないかと。それから2回、3回と献血しておる人の回数も減ってきておるという。そのへんの以前は献血したらどうだというひとつのメリットみたいなものがあった。それも全部やめちゃったと。その後から大分そういうものが減ってきておるということも数字からいえば出ていますので、そういう意味でもう少し検討していく課題はあるんではないかなというふうに思っております。
中谷委員
先程から自給率を高めるためには国家意識の高揚みたいな話が出ておりますけれども、私は女のせいですか、そういう発想にはついていけないんですね。私はそうではなくて、献血といいますか、輸血の重要性とか、そういう基本的な教育といいますかね、PRに頼るべきではないだろうか。何か国家意識の高揚の方に向けられるのは私はちょっと賛成いたしかねますので、その点だけ明らかにしたいと思います。
高久座長
国家意識の問題では安全性の問題が一番大きいと思います。特に国名をあげては失礼ですが売血がひろく行われている国の血漿は非常に不安です。HIVについての議論でもありましたが、まだまだ判らないウイルスがあると思いますので、やはり自給をしなければならないという事の一番大きな論点は私は安全性というふうに理解をしているのです。
中谷委員
安全性と同時にいかに血液に取り組む必要か、輸血が必要かということについての国民的な認識を正確な認識を持ってもらうように子どものときから教育する必要があるんじゃないかなというふうに思います。
高久座長
おっしゃるとおりだと思います。
三星委員
この資料2の13ページの先程の広報の問題ですけれども、20歳の献血ばかり出てきて、実際われわれは誕生日に献血をということを全国的に訴えておりますので、ですからやはり年配の方当然でございまして、20歳というと一遍だけですが、誕生日というのは毎年ありますので、誕生日に献血をということをもうこの二十何年来全国的にわれわれとしては訴えております。
それからもう一つ実は献血をやってくださる方の数の問題、これは安全性ということがかなりきつく出てきましたので、そういう関係でちょっと献血をしていただける皆さん方の方にとまどいがありますね。ですからこれがあまり増えていないと、横ばいだということと、実際問題さきほどお話あったように足りないものは足りないし、余るときには余っちゃう問題がありますからね。日赤さんの方でも若干あれでしょうかね、計画的にも無茶な数字を出さなかったということもあると思いますね。ですから必要ならばわれわれとしてはもっとこれは何回も申し上げていることですけれども国民の皆さんは善意の方が非常に多いですから、チャンとこういうことで献血してくれということならまだまだ増えてくる可能性は十分あると思います。
高久座長
血液の安全性と供給は逆相関の関係にあります。ですから安全性を問診を含めていろいろな形で強化すればするほど供血量が減ってくる可能性があるという点があると思います。しかし両方をやらざるを得ないと思いますので、三星委員などのご尽力をお願いしたいと思います。
今日はいろいろなご議論をいただきましてありがとうございました。皆様の御議論をまとめますと、安全な血液の供給の確保はもちろん重要であるが、同時に血漿分画製剤に関しては適正な使用に対する卒前、卒後の教育をぜひ強化する必要がある。そして分画製剤の安全性を考えると、自給率をどうしても上げる必要がある。しかし採血量を急速に上げるといろいろな問題点も逆に起こってくる可能性がありますので、それ以外の方法、一つはこの次に資料をだしていただきますが、リコンビナントアルブミンがいつごろマーケットに出てくるかという問題。それからもう一つガンマグロブリンに関しまして、湯浅委員のご提案がございましたが、効率良く作ることが出来たときに今の自給率がどこまで上がるかというデータも出しておく必要があると考えております。それから渡辺委員の方から現在血漿分画製剤を作っている会社が安全性の点、更に将来の血液製剤の取り扱いをどういうふうに考えているのかということについてアンケートをとってもらうということになりましたので、事務局の方でアンケートの案のようなものを作って次回に提示をしたいと思います。次回の開催については皆さん方のお手許にいっていると思いますが、3月19日水曜日の午後2時〜4時ということにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。場所につきましては事務局の方からご連絡がいくと思います。
血液室長
それではただいまご指摘をいただきました点については次回資料で用意させていただきます。アンケートの方も、案であると次の回になりますので、一旦こちらが工夫してアンケート調査をさせていただきまして、また引き続き追加したりヒアリングしたりする必要がある場合にその次の回にしたいと思います。それから事務局からの連絡ですけれども、本日の午後から日本赤十字社の協力を得まして血液センター等の見学を行う予定となっております。見学される方は12時50分に厚生省の正面の玄関前にバスが来ておりますので、厚生省を13時に出発いたしますので、乗り遅れのないようお願いいたします。なお、バスに乗られる方々の座席表及び血液センター等の見学コース等につきましては別封の資料によりご確認いただきたいと思います。その他何かお問い合わせがありましたらどうぞ事務局の方にお願いいたします。以上でございます。
高久座長
本日はどうもありがとうございました。

        問い合わせ先 厚生省薬務局企画課血液事業対策室
              担 当  猪 俣 (内2903)
                     電 話 (代) [現在ご利用いただけません]

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