Ｉ．総 論

予防接種の副反応調査は二つの方法で実施されている。則ち、「予防接種後・健康状況調査」と「予防接種後・副反応調査」である。本報告は前者で、定期接種のワクチン個々について、あらかじめ各県単位で報告医を決めておき、それぞれのワクチンについて接種後の健康状況を前方視的に調査したものである。ちなみに後者は、予防接種後の異常な副反応を後方視的調査に報告していただいたものをまとめたものである。
　今回は、平成１１年度分前期（平成１１年４月〜平成１１年９月）をまとめたものである。

１．本調査の目的は国民が予防接種を正しく理解出来るよう、接種前に個々のワクチンの接種予定数を報告医毎に決め、接種後一定期間それぞれのワクチン接種後の健康状況調査を実施し、その結果を報告し有効かつ安全な予防接種の実施に資することである。

２．調査対象としたワクチンは、定期接種として実施されたジフテリア、百日せき、破傷風三種混合ワクチン（ＤＰＴ）、ジフテリア、破傷風二種混合ワクチン（ＤＴ）、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオと結核予防法で実施されているＢＣＧである。

３．モニタリングの実施期間及び対象者数は、ＤＰＴ（ＤＴ）、麻しん、風しん、日本脳炎については、各四半期毎に都道府県、指定都市当たりそれぞれ４０名を対象とし、接種後２８日間を観察期間とした。
　ポリオについては、半年毎に第１期（４〜９月）、第２期（４〜９月）各１００名を対象として３５日間観察、ＢＣＧは接種数が年間一定でないことから第１期（４〜９月）は３００名（内乳幼児１００名、小学１・２年生１００名、中学１・２年生１００名）、第２期（１０〜３月）は乳幼児のみ１００名を対象とし、観察期間は４カ月間とした。

４．報告定点の医師は、各予防接種の接種当日に保護者に対して、事業の趣旨を十分説明の上健康状況調査に協力する旨の同意を得た後、台帳に登録するとともに保護者に健康状況調査表（ハガキ）を渡し、記入要領を説明し返送されたものを、カルテと照合しまとめたものである。

５．本調査は健康状況調査のため、何もなくても返送を依頼し、かつ通常の副反応（発熱、発赤、発疹、腫脹）や、稀におこる副反応（アナフィラキシー、脳炎、脳症等）に加えて、これまで予防接種の副反応として考えられていない接種後の症状についても報告できるように設定した。

６．登録者全数からの回答が必要のため、返送についての意味を本人又は保護者へよく説明し、同意を取っていただくよう先生方にもお願いしたい。

７．調査医師から回収された調査表は、厚生省結核感染症課で集計し、予防接種後副反応・健康状況調査検討会において、医学的、疫学的見地から解析・評価を行った。

８．まとめた予防接種後の健康状況の調査結果は、都道府県・指定都市、日本医師会、地域医師会及び報告医に還元するとともに、広く国民に公表する。

９．各ワクチンによって少し内容は変わるが、接種例数、年齢、発熱、局所反応、けいれん、じんましん、嘔吐、下痢、せき鼻水、リンパ節腫脹、関節痛等について集計した。

１０．同一種類のワクチンでも製造に用いたウイルス株、含有成分比、添加剤等が異なるため、副反応にも当然差異が生じることはあり得る。従って、各ワクチンの製造会社別に接種後の健康状況をまとめる必要がある。現在はまだ製造会社間に接種ワクチン総数の差があるため、個々にまとめず全体のまとめを報告する。今後接種母数が増えて来た時点で比較検討を正しくしてゆく必要がある。

II．各論

１．ＤＰＴ１期初回１回目

　対象者は１，１３２人で、この内１，１１２人（９８．２％）が生後３ヵ月から３歳代であった。何らかの症状を呈したのは４７０人、７３２件であった。男女間に差は認められなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。
　３７．５℃以上、３８．５℃未満の発熱は合計６８人（６．０％）であるが、接種後７日目までの小計は３４人（３．０％）である。接種後１日目の１１人（１．０％）が最大である。３歳までをみると３〜１１ヵ月に多く見られる。
　３８．５℃以上の発熱は合計１０６人（９．４％）であるが、接種後７日目までの小計では４３人（３．８％）である。接種後５日目が１３人（１．１％）で最大であった。年齢には有意の差は認められない。
　局所反応は合計２３０人（２０．３％）であるが、接種後７日目までの小計では１６８人（１４．８％）である。接種後１日目の４５人（４．０％）が最大である。年齢に有意の差は認められない。
　けいれんはみられなかった。
　嘔吐は合計３８人（３．４％）であるが、接種後７日目までの小計では１８人（１．６％）である。
　下痢は合計８３人（７．３％）であるが、接種後７日目までの小計では３９人（３．４％）である。
　せき、鼻水は合計２０７人（１８．３％）であるが、接種後７日目までの小計では９９人（８．７％）である。接種後２日目の１８人（１．６％）が最大であった。

２．ＤＰＴ１期初回２回目

　対象者は８７４人で、この内８６２人（９８．６％）が生後３ヵ月から４歳代であった。何らかの症状を呈したのは４１０人、６３８件である。男女間に差は認められなかった。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。
　３７．５℃以上３８．５℃未満の発熱は合計４１人（４．７％）であるが、接種後７日目までの小計は２４人（２．７％）である。接種後１日目の８人（０．９％）が最大である。３８．５℃以上の発熱は合計８０人（９．２％）であるが、接種後７日目までの小計は３０人（３．４％）である。年齢別に有意の差は認められない。
　局所反応は合計２７１人（３１．０％）であるが、接種後７日目までの小計は２６１人（２９．９％）である。接種後１日目の１６８人（１９．２％）が最大である。年齢別に有意の差は認められない。
　けいれんは接種後１日目、１０日目にみられた。いずれも発熱を伴っていた。
　嘔吐は合計３１人（３．５％）であるが、接種後７日目までの小計では１３人（１．５％）である。
　下痢は合計６１人（７．０％）であるが、接種後７日目までの小計では３４人（３．９％）である。発生日に一定の傾向は認められない。
　せき、鼻水は合計１５２人（１７．４％）であるが、接種後７日目までの小計では７０人（８．０％）である。発生日、症状発現日に一定の傾向は認められない。

３．ＤＰＴ１期初回３回目

　対象者は７４９人で、この内７４１人（９８．９％）が生後３ヵ月から４歳代であった。何らかの症状を呈したのは３１９人、５１０件であった。男女間に差は認められない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。
　３７．５℃以上３８．５℃未満の発熱は合計４４人（５．９％）であるが、接種後７日目までの小計は１８人（２．４％）である。接種後５日目の５人（０．７％）が最大である。３８．５℃以上の発熱は合計６６人（８．８％）であるが、接種後７日目までの小計は２６人（３．５％）である。接種後２日目の７人（０．９％）が最大である。
　局所反応は合計１７９人（２３．９％）であるが、接種後７日目までの小計は１７７人（２３．６％）である。接種後１日目の１０４人（１３．９％）が最大である。
　けいれんは接種後６日目に１人みられ、発熱を伴なっている。
　嘔吐は合計２４人（３．２％）であるが接種後７日目までの小計では１０人（１．３％）である。発生日に有意の差はない。
　下痢は合計６４人（８．５％）であるが、接種後７日目までの小計では３１人（４．１％）である。発生日に一定の傾向は認められない。
　せき、鼻水は合計１３２人（１７．６％）であるが、接種後７日目までの小計では６４人（８．５％）である。発生日に一定の傾向は認められない。

４．ＤＰＴ１期追加

　対象者は８６９人で、この内８３６人（９６．２％）が１歳から４歳代であった。何らかの症状を呈したのは４９３人、７４６件であった。男女間に有意の差は認められない。症状とその発現日、年齢の関係をみると次のとおりであった。
　３７．５℃以上３８． ５℃未満の発熱は合計３６人（４．１％）であるが、接種後７日目までの小計は１８人（２．１％）である。接種後１日目に７人（０．８％）と最大数がみられた。３８．５℃以上の発熱は合計８２人（９．４％）であるが、接種後７日目までの小計は４３人（４．９％）である。発現日は接種後１日目の１２人（１．４％）が最大である。
　局所反応は合計３８６人（４４．４％）であるが、接種後７日目までの小計では３７９人（４３．６％）である。接種後１日目の２５０人（２８．８％）が最大である。
　けいれんは接種後８日目に１例みられ、３７．５℃以上の発熱を伴っていた。
　嘔吐は合計２３人（２．６％）であるが、接種後７日目までの小計では１１人（１．３％）である。発生日に一定の傾向はない。
　下痢は合計５０人（５．８％）であるが、接種後７日目までの小計では２３人（２．６％）である。
　せき、鼻水は合計１６８人（１９．３％）であるが、接種後７日目までの小計では８５人（９．８％）である。接種後３日目の２１人（２．４％）が最大である。発症年齢には一定の傾向は認められない。

５．ＤＴ初回接種、追加接種は対象者が少ないので省略する。

６．ＤＴ２期

　対象者は１，４０９人であった。何らかの症状を呈したのは４１０人、４６５件であった。症状と発現の関係をみると次のとおりであった。
　３７．５℃以上３８．５℃未満の発熱は、合計１９人（１．３％）であるが、接種後７日目までの小計は１２人（０．９％）である。３８．５℃以上の発熱は合計９人（０．６％）であるが、接種後７日目までの小計は４人（０．３％）であった。
　局所反応は合計３４４人（２４．４％）である。全例が接種後７日目までにみられた。接種後１日目の２０４人（１４．５％）が最大である。１１歳と１２歳に有意の差は認められない。
　嘔吐は合計１０人（０．７％）であるが、接種後７日目までの小計は５人（０．４％）である。１１歳と１２歳での差は認められない。
　下痢は合計２３人（１．６％）であるが、接種後７日目までの小計は１４人（１．０％）である。
　せき、鼻水は合計５８人（４．１％）であるが、接種後７日目までの小計は３４人（２．４％）である。

　対象者は、１歳児 ２８１４人（男児 １３９４人、女児 １４１８人、不明２人）２歳児３１１人（男児１４９人、女児１６１人）３−７歳半児２３０人（男児１２５人、女児１０４人、不明１人）の計３３５５人であった。
　観察期間中（０日―２８日）に初発した発熱は、８２４人２４．６％にみられ、そのうち最高体温が３８．５℃以上であったものは、４９３人１４．７％であった。そのうちで、接種後６日までの発熱者は２３４人６．９％（３８．５℃以上は１３８人４．１％）であった。接種後７−１３日の発熱者は４３６人１２．９％（３８．５℃以上２５４人７．５％）であった。０−１３日に初発した発熱を合わせると６７０人１９．９％（３８．５℃以上は３９２人１１．６％）であり、発熱のほとんどは０−１３日に初発した。
　観察期間中に発疹が出現した者は２６３人７．８％であった。そのうち６日以内に出現した者は、７８人２．３％、従来から麻疹ウイルス増殖に伴う発疹の出現する時期といわれている７−１３日に出現した者は、１４２人４．２％であった。
　局所反応は１０８人３．２％に認められた。そのうち、４１人１．２％は３日以内の局所反応であった。
　けいれんが出た者は１０人０．３％、発症日は０−６日が２人、７−１３日が３人、１４−２０日が３人、２１−２８日が２人であった。すべて熱性けいれんであった。いずれもワクチン接種との因果関係は不明である。
　じんましんは、１０５人３．１％に認められ、発症日が０日から１８日までが９４人と全体の８９．５％を占めた。ワクチンに対する即時型アレルギー反応と考えられる１日以内のじんましんを認めたものは８人０．２％であった。

　対象者数は３，００９人（男１，５０２人、女１，４９９人、不明８人）で、内訳は６〜１１カ月３人（男３人）、１歳１，３８９人（男６９８人、女６８５人、不明６人）、２歳７０４人（男３８３人、女３２０人、不明１人）、３歳２４０人（男１２６人、女１１４人）、４歳７９人（男３７人、女４２人）５歳６９人（男３４人、女３５人）、６歳１３５人（男６４人、女７０人、不明１人）、７歳８５人（男４０人、女４５人）１２〜１５歳３０５人（男１１７人、女１８８人）で少しずつではあるが６歳以上も増加している。このうち健康異常のなかった人は２，５０５人（８１．２％）であった。何らかの健康異常がみられた人は５０４人、５９７件で、男性は２５７人で男性対象者の１７．１％、女性では２４５人で女性対象者の１６．３％で健康異常発生に性差はなく、従来の傾向とも同一であった。表にみる如く健康異常発生割合が平均値より多いのは５歳代（２０．３％）、１歳代（１９．７％）、２歳代（１８．６％）の順であった。３８．５℃以上の発熱は１歳代が一番多く、けいれんは１歳代で３名、３７．５℃以上の有熱者にみられた。また、じんま疹は１歳代３３例（２．４％）、発疹等も１歳代６２例（４．５％）に多くみられた。
　観察期間（０〜２８日）の間の発熱者総数は３５８人（１１．９％）、３８．５℃以上の発熱は２０７人（６．９％）であった。接種後６日までの発熱は１４７人（４．９％）で、３８．５℃以上の発熱は８８人（２．９％）であった。発熱のピークは４〜５日に見られた。７〜１３日の発熱者は１０５人（３．５％）、３８．５℃以上の発熱者は５７人（１．９％）であった。０〜１３日の発熱合計は２５２人（８．４％）、３８．５℃以上は１４５人（４．４％）であった。発熱のほとんどは０〜１３日に初発した。
　局所反応は４６人（１．５％）にみられ、接種当日２人（０．１％）、１日目２０人（０．７％）２日目９人（０．３％）で０〜３日では３４人（１．１％）であった。
　けいれんは６名で５日目、８日目、１４日目、１９日目、２３日目、２６日目にみられた。発熱は３７．５℃以上であった。
　じんま疹は５６人にみられ、３日以内１４人であった。
　発疹は８５人にみられ、そのうち１日目６人、２日目８人、３日目８人であった。
　リンパ節腫脹は３６人（１．２％）にみられた。
　関節痛については１０人（０．３％）報告された。

１．日本脳炎ワクチン１期初回１回目

　報告された対象人数は１，４３４人で、年齢的には０歳〜７歳児に接種された児童である。発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した人数（発生件数）は合計２８９人（３３３件）で対象者の２０．２％を占め、男女に占める割合は２０．０％：２０．３％で男女ほぼ同数であった。
　接種年齢をみると０歳から７歳に分布、３歳児が特に多く、３〜５歳で全体の９３％を占めた。
　接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、健康異常は１歳以降各年齢群にみられ、発生者数は対象者の１４．３％〜２５．０％、平均２０．２％であった。
　発現症状をみると、何れの年齢も接種局所反応が最も多く、８．７％〜１２．８％、平均１１．３％であった。発熱は４．８％〜２５．０％、平均９．１％（３８．５℃以上は６．１％）にみられ、０〜３歳群を除けば年齢差なく、蕁麻疹は３歳群１１件（１．２％）、４歳群４件（１．３％）１、５、７歳群それぞれ１件の合計１８件みられた。その他の発疹は３歳群で１７件、４歳群で３件、１歳群で１件みられ、けいれんは４歳群で１件３７．５℃以上の発熱とともにみられた。
　症状の発現日を観察期間２８日でみると局所反応は接種後２日以内に多く、接種翌日にピークがあり、以後は観察期間２８日まで０〜５件程度の報告があった。発熱は２８日の観察期間を通じて幅広く報告され、３日以内がやや頻度が高い傾向にあった。蕁麻疹やその他の発疹については頻度は低いが、観察期間を通じてときどき報告され、特定の傾向はみられなかった。

２．日本脳炎ワクチン１期初回２回目

　対象者数は０〜７歳児８７７人で３歳児が最も多く、接種後２８日の観察期間中発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者は２１５人（２４７件）で対象者の２４．５％を占めた。、男女別では２４．３％：２４．７％と男女差はなかった。
　接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、１２．５％〜２５．９％、平均２４．５％で３〜４歳群でやや多い傾向がみられた。
　発現症状をみると、何れの年齢も接種局所反応が多く、５．０％〜１６．３％、平均１５．４％で、７歳群でやや少なかった。ついで発熱は６．３％〜１３．３％、平均１０．５％（３８．５℃以上は６．５％）であったが、その割合は局所反応と同様の傾向を示した。蕁麻疹は４歳群に３件、２、３、５歳児群にそれぞれ１件、合計６件みられ、その他の発疹は３歳群に７件、４歳群に４件、５、６歳群にそれぞれ１件合計１３件が報告された。けいれんは３歳群に１件あり、３７．５℃以上の発熱を伴っていた。
　症状の発現日を観察期間２８日でみると局所反応は接種後３日以内に生じ、１日目にピークがあり１０日目の１件を除き６日以降は見られなかった。発熱は全観察期間にわたってみられ、接種後５日以内にやや多かったがそれ以外一定の傾向はなかった。蕁麻疹は接種後１日、６日、８日、１２日、１８日目にみられ、その他の発疹は観察期間１０日以内に少数ながら見られた。

３．日本脳炎ワクチン１期追加

　対象者数は０〜７歳児７８４人で４歳児が最も多い。接種後２８日の観察期間中発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者は１８９人（２１０件）で対象者の２４．１％を占め、男女の占める割合は２５．８％：２２．４７％と男児がやや多かった。
　接種年齢別の健康異常発生者の割合をみると、２０．０％〜２６．６％、平均２４．１％であった。
　発現症状では、何れの年齢も接種部位の局所反応が目立って多く、１４．３％〜２０．０％、、平均１６．６％にみられた。ついで発熱は３．３％〜１０．４％、平均８．４％（３８．５℃以上は４．０％）にみられ、５歳児群にやや多くみられた。蕁麻疹は４、５歳児群にそれぞれ５件、１件ずつみられた。その他の発疹は４，５歳児群にそれぞれ４件ずつ合計８件みられが、けいれんの報告はなかった。
　症状の発現日を観察期間２８日でみると局所反応は接種後３日以内に集中し、１日目がピークであった。発熱は接種後６日目までがやや多いが、全観察期間にわたってみられた。蕁麻疹、その他の発疹は散発的に見られ一定の傾向はなかった。

４．日本脳炎ワクチン２期、３期

　２期、３期の結果は同じ傾向を示すのでまとめて報告する。
　対象者数は２期は９〜１２歳児４０３人、３期は１４〜１５歳児１２６人であった。接種後２８日の観察期間中発熱、局所反応、けいれん、蕁麻疹、その他の発疹など何らかの健康異常を来した者はそれぞれ、６９人（７５件）、１７人（１７件）であった。
　健康異常発生者の割合をみると、それぞれ１７．１％、１３．５％であった。男女別ではそれぞれ２０．１％：１４．３％、６．７％：１９．７％であった。
　発現症状では、何れも接種局所反応が多く、１５．１％、１１．１％あった。その他２期では発熱１０件、蕁麻疹３件、その他の発疹１件が報告されたが、３期では局所反応１４件、蕁麻疹２件、その他の発疹１件が報告された。
　症状の発現日を観察期間２８日でみると局所反応は接種後３日以内に限局して生じ、２期群では接種当日４件、１日目４３件、２日目１３件、３日目に１件みられ、３期では当日２件、１日目７件、２日目４件、４日目１件みられた。発熱は２期群では７日以内にやや多くみられたが３期目では報告がなかった。２期では蕁麻疹３件、その他の発疹が１件報告されたが、３期では蕁麻疹２件、その他の発疹が１件報告された。

１．ポリオ１回目

接種対象児数は２，１７６人（男１，１１３人、女１，０６２人）で、内訳は３〜５カ月７００人（男３８４人、女３１５人、不明１人）、６〜８カ月９０４人（男４３８人、女４６６人）、９〜１１カ月３４６人（男１７８人、女１６８人）、１歳１９９人（男９６人、女１０３人）、２歳以上２７人（男１７人、女１０人）であった。このうち健康異常の発生のなかった人は１，６３１（６６．６％）であった。何らかの健康異常がみられた人は５４５人（２５．０％）７２７件で、年齢別では３〜５カ月１５１人（２０６件）、６〜８カ月２３５人（３０６件）、９〜１１カ月９４人（１２５件）、１歳５６人（８０件）であった。接種数の比較的多い１歳以下では６〜８ヶ月児の割合が最多であった。
　発熱は３３０人（１５．２％）にみられ、そのうち１歳以下で発熱率の高いのは６〜８ヶ月児１４１人（６．５％）であった。３８．５℃以上の発熱は１８４人（８．４％）で、接種３日目が２９例で最高であった。
　けいれんを来した症例は、３例に認められそのうち３７．５℃以上の有熱者は１例であった。
　嘔吐は１０４人（４．８％）に認められ、０日目、１日目が１９例ずつで１８．２％ずつであった。
　下痢は２９０人（１３．３％）に認められ、６〜８カ月児が１２４人（５．７％）であった。

２．ポリオ２回目

　接種対象児数は１，９９３人（男１，０３８人、女９５０人、不明５人）で、内訳は３〜５カ月２１人（男１２人、女９人）、６〜８カ月１４７人（男７６人、女７１人）、９〜１１カ月５２５人（男２５０人、女２７４人、不明１人）、１歳１，１６７人（男６２４人、女５３９人、不明４人）、２歳９６人（男５６人、女４０人）、３歳以上３７人（男２０人、女１７人）であった。このうち健康異常の発生のなかった人は１，４７１（６２．１％）であった。何らかの健康異常がみられた児は５２２人（２６．２％）７５５件であった。年齢別発生割合は３〜５か月３人（４件）、６〜８カ月４３人（５９件）、９〜１１カ月１２９人（１８１件）、１歳３１１人（４６７件）であった。
　発熱は３６７人（１８．４％）にみられた。３８．５℃以上の発熱は２５７人（１２．９％）で、発熱者の年齢別では１歳１５６人（６０．７％）、９〜１１カ月７２人（２８．０％）であった。
　けいれんの報告は４例ですべて３７．５℃以上の有熱者であった。嘔吐は１０１例（５．０％）であった。
　下痢は２８３人（１４．２％）で、下痢は投与０〜３日目に多く認められた。

　総数１１，１４１人について接種後観察が行われた。接種対象別に見ると、０〜３歳児３，８０２人（３４．１％）、小学１年生３，３７９人（３０．３％）、中学１年生３，１５１人（２８．３％）、小学２年生４５３人（４．１％）、中学２年生３５６（３．２％）であった。０〜３歳児の中では０歳児が７７．５％を占め、次いで１歳児、２歳児の順に多かった。
　これらの中の２２４人、２．０％に何らかの異常が見られた（延べ件数は２３０件、被接種者対２．１％）。健康異常発生割合（延べ数）は接種対象年齢別にみると２歳児および小学校１年生（ともに３．４％）が多く、中学校１年生は１．２％が最も少なく、０歳児１．３％、１歳児１．４％がこれに次いで少なかった。性別にみると男２．０％、女２．１％で著差はなかった。これをさらに対象年齢別に見ると、０〜３歳で男１．７％、女１．３％、小学校１年生でそれぞれ３．０％、３．７％で差はなく、中学校１年生でも１．１％、１．２％と性差は見られない。
　異常の種別にみると、「局所の湿潤」が１６７人（被接種者の１．５％）、「リンパ節腫脹」が６２人（０．６％）であった。
　局所の湿潤の頻度は接種対象年齢別に見ると、小学校１年生で２．９％で高く、０〜３歳で０．８％と低い。その発生の時期は接種後０日〜６ヶ月にわたるが、接種後１ヶ月以内に２２．８％、３ヶ月以内に６３．５％が発生し、残り３６．５％は３ヶ月以後に発生していた。
　リンパ節腫脹の発生率はは対象年齢別にみると、０〜３歳児で０．６％、小学校１年生で０．５％、中学校１年生で０．５％であった。小学校２年生、中学校２年生は観察数が小さいが中学校２年生で１．１％とやや高かった。その発生の時期は接種後１日から５ヶ月にわたるが、４６．８％が１ヶ月以内に、７１．０％が２ヶ月以内に発生し、残りの２９．０％は３ヶ月以後に発生していた。
　接種局所の針痕に関する観察は１０，０３９人（被接種者総数の９０．１％）について行われた。全体では１５〜１８個（記載上１９個以上とされている者を含む）の者が多く（３９．３％）、４個以下の者は１５．３％と少なかった。平均個数を対象年齢別に見ると、０〜３歳児で１１．４個、小１、２年生で１０．６個、中１、２年生で９．０個となっている。何らかの健康以上の有無別に見ると、全対象では「異常あり」で１４．１個、「異常なし」で９．８個であり、「異常あり」で多かった。これは年齢別に見ても０〜３歳で１４．４個対１１．４個、小学生で１４．５個対１０．５個、中学生で１２．７個対９．０個と同様の差がみられた。

照会先
厚生労働省健康局結核感染症課予防接種係
ＴＥＬ ０３（３５９５）２２５７
ＦＡＸ ０３（３５８１）６２５１