00/12/22 第29回先端医療技術評価部会議事録 第29回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事次第 ○日 時:平成12年12月22日(金) 15:30〜17:30 ○場 所:東海大学校友会館 富士の間 (霞ヶ関ビル33階) ○出 席:高久史麿部会長      (委員:五十音順:敬称略)       木村利人 柴田鐵治 竹田美文 寺田雅昭       (専門委員:五十音順:敬称略)       雨宮浩 入村達郎 小澤えい二郎※ 加藤尚武 金城清子        廣井正彦 松田一郎 ※’えい’は偏が金・旁が英      (専門委員(生殖医療技術に関する専門委員会):五十音順:敬称略) 石井美智子 中谷瑾子(座長) 矢内原巧 吉村泰典 ○議 事:  <審議事項>  精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書(案)につい て  <報告事項> 1.「疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する    専門委員会」における検討状況について 2.「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(案)」に関する御意見の募集    について 3.「遺伝子治療臨床研究作業委員会」におけるこれまでの検討状況及び「遺伝子治療    臨床研究の在り方に関する委員会」の開催について 4. 平成13年度政府予算の内示状況(メディカル・フロンティア戦略)について 5. その他 ○配付資料 1. 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書(案) 2. 第27回(11月13日開催)及び第28回(11月24日開催)先端医療技術    評価部会において出された主な御意見に対する生殖補助医療技術に関する専門委 員会としての考え方 3. 疫学の研究等に関する倫理指針(仮称・案)たたき台(検討素案・未定稿001214    版)(平成12年12月14日開催第6回疫学専門委員会資料) 4. 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(案)」に関する御意見の募集    について 5. 遺伝子治療臨床研究実施計画のこれまでの検討状況 他 6. 平成13年度政府予算の内示状況(メディカル・フロンティア戦略)について ○事務局 それでは、ただいまから第29回厚生科学審議会先端医療技術評価部会を始めさせてい ただきます。 本日は軽部委員、曽野委員から御欠席との御連絡をいただいております。 更に、本日は「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告 書(案)」について御審議いただきます関係上、専門委員会から座長の中谷瑾子委員、 石井美智子委員、矢内原巧委員、吉村泰典委員の4名の委員の方々に参考人としてお越 しいただいております。 出席委員数が既に過半数を超えておりますので、会議が成立いたしますことを報告い たします。 それでは、最初に本日の会議資料の確認をさせていただきます。資料の欠落等がござ いましたら御指摘いただきますようお願い申し上げます。 <配付資料の確認>  以上でございます。御確認いただきますようお願い申し上げます。 よろしければ議事に入らせていただきますが、事務局の都合によりまして議事次第で 申し上げますと報告事項に当たりますものから最初にやらせていただいて、その後、審 議事項でございます生殖補助医療の在り方について御審議いただきたいと思います。よ ろしくお願い申し上げます。 ○高久部会長 それでは、議事を始めさせていただきます。今、事務局の方から説明がありましたよ うに、報告事項の方から始めたいと思いますので、よろしく御了承をお願いしたいと思 います。 最初に、報告事項の「疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方 に関する専門委員会」での検討状況について。もう一つのテーマが「ヒトゲノム・遺伝 子解析研究に関する倫理指針(案)」に関する御意見の募集ということであります。そ れで、3番目が「遺伝子治療臨床研究作業委員会」におけるこれまでの検討状況及び 「遺伝子治療臨床研究の在り方に関する委員会」の開催について、この3つの事項につ きまして事務局の方から順番に説明をよろしくお願いします。 ○事務局 それでは、資料に基づきまして御説明させていただきたいと存じます。 まず資料の3をごらんいただきたいと思いますが、この資料が12月14日に開催されま した第6回の専門委員会で配付された資料でございます。この疫学の専門委員会が疫学 の研究等に関する倫理指針について検討しておるということは、この部会でその目的、 範囲を決めていただいたわけでございますし、前回の部会にも報告させていただいたと ころでございますけれども、その内容を簡単に御説明申し上げますと、ちょっと字が薄 いのでございますが、4ページをごらんいただきますと「基本理念」「適用範囲」とい うのがございまして、1.2に「適用対象」というのがございます。すなわち、適用対 象は疫学の研究等に適用される。なお書きでございますけれども、匿名かつ連結不可能 な資料あるいは広く一般に入手できる資料、こういうものを用いる研究等には適用され ないということで整理されております。 また、疫学の研究等の範囲でございますが、2の「定義」のところの2.1を見てい ただきますと、疫学の研究等とは人を対象とする健康に関する研究で、(1)に挙げる 手法を用いるもの、及び(1)と同様の手法を用いる(2)に挙げる事業を言うという ことで、観察疫学あるいは介入疫学のうち臨床試験、臨床研究を除いたもの、あるいは 疾病登録、患者登録等の登録、統計、調査事業というところで議論が始まっておりま す。議論の内容はインフォームド・コンセント、あるいは倫理審査委員会における審査 などを中心とするものでございますが、専門委員会の中においてもこの適用の対象、あ るいは定義をより明確にした方がいいのではないかというような根本からの議論がまだ 交わされておりますので、この件につきましては厚生科学審議会は既に御報告したとお り改組されるわけでございますが、改組された後においても引き続いて御議論いただい たらよろしいのではないかと考えておる次第でございます。 次が、資料の4でございます。一昨日、12月20日付で公表したものでございまして、 この部会にも既に繰り返し御報告しておりますとおり「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に 関する倫理指針」を御検討いただいておるところでございますし、関係の文部省、厚生 省、通商産業省、科学技術庁共同でやっておるわけでございます。この先端医療技術評 価部会におきましても御議論いただきましたが、関係の省庁においても審議会等におい て御議論をいただきましてパブリックコメントすべしというような御意見を賜りました ので、20日付で案を公表し、それに対する御意見をいただくという手続に入らせていた だいたところでございます。昨日、12月21日でございますが、厚生省のホームページあ るいは関係省庁のホームページにも一部公開がされております。すなわち、関係4省庁 でそれぞれPRをして広く御意見を求める。厚生省に寄せられた意見というのは厚生省 だけで参考にするのではなくて、関係4省庁共同で参考にさせていただくという形の進 め方になっております。 なお、意見の募集は一番下から5、6行目の丸のところにご ざいますが、1月31日までということにさせていただいておりまして、この御意見を踏 まえて更なる検討というのを、これも新しく改組してできます厚生科学審議会あるいは 関係省庁の審議会において御議論願いたいと考えております。 次が資料の5でございますが、遺伝子治療臨床研究に関してこれまでの検討状況ある いは死亡例の報告をさせていただきたいと思います。 まず最初に1ページ目と2ページ目が総括的な御報告でございまして、1ページと2 ページを見ていただきますと、これまで遺伝子治療の臨床研究について14の申請がござ いました。1ページ目の一番下の7番は取下げ、また2ページ目にあります13番はいま だ審議中である。この2つを除きまして、残りの12件については審議を終了していただ いたところでございますし、被験者数のところにありますような治験が今、進行してお るところでございます。これが総括的な遺伝子治療研究に関するこれまでの審議あるい はその状況を御報告するものでございまして、詳細には3ページでございます。 9月26日、大阪大学の医学部附属病院から出されました慢性閉塞性静脈硬化症、ビ ルーガー病に対する審査ワーキンググループが開催されたところでございまして、説明 同意文書の内容について、あるいはその計画の詳細について再度意見を求めるというよ うな結論が出されたところでございまして、専門委員会での御議論が引き続いて行われ ているところでございます。 次に4ページでございますが、10月27日にがんのワーキンググループを同じく開催さ せていただきまして、名古屋大学医学部附属病院から報告されました悪性グリオーマ、 この件については先の部会でも報告させていただいておりますが、これについて御審議 いただいたほか、液剤から凍結乾燥製剤への切り換えるなどの変更についても御議論を いただいている。これについても、いまだ審議途中であるということでございます。 次が5ページでございますが、11月18日に岡山大学医学部の附属病院からの御報告で ございますが、11月18日に遺伝子治療研究、具体的に申し上げますと研究の目的の5行 目にございますように、p53遺伝子を発現するアデノウイルスベクターの局所投与とし てシスプラチンの全身投与という臨床研究でございますが、この研究を行った症例につ いて11月18日にお亡くなりになられたという報告でございます。「重大事態の内容及び その原因」のところを見ていただきますと、10の9乗PFUレベルのベクターとシスプ ラチンを投与する群の3例目である。試験全体では6例目である。4月25日から5月23 日まで2回投与をしたというようなことが掲げられておりますし、同じく5ページの下 から8行目の末尾でございますが、第3回目の治療及び右上腕への緩和目的で放射線照 射を予定していたが、右上腕疼痛が激しくなって地元の紹介での放射線治療を希望され たために中止をした。ただ、9月に腹腔内でのリンパ節転移によるイレウスのため再入 院となってモルヒネコントロールしてきたんだけれども、11月18日にお亡くなりになら れた。病理解剖は残念ながらやれなかったということでございます。ただ、全体の状況 から見ると治験薬投与との関係というのはないのではなかろうかというようなことにな っております。 また、東北大の医学部附属病院から第一報として送られてきたのが6ページでござい ますけれども、9日の日に受け取ったものでございまして、これもやられていますのは p53遺伝子をアデノウイルスベクターで投与するという同じ手法でございますが、この 症例につきましては6月13日と7月12日に投与をされておりまして、第3回目は腫瘍が 増大して状態が悪化したということから中止されておりましたけれども、12月8日に肺 がんの進行による上大静脈症候群と考えられる状態でお亡くなりになられたという報告 でございます。病理解剖は行われておりまして、その結果についてはまた追って報告と いうことでございますので、その結果を待ってまた新しい審議会の方へ報告させていた だきますけれども、取り急ぎ6月と7月に投与された症例がお亡くなりになられたとい う御報告をさせていただきます。 次が7ページでございますが、これもこの部会で御決議いただきました遺伝子治療臨 床研究の今後の在り方について検討するようにということで小委員会を設けて検討をし ておるということの御報告でございます。12月12日に第1回の会合を開催させていただ きました。この会合は、作業委員会と同じように文部省との合同の委員会という形で進 めさせていただいておるところでございます。この12日の第1回の会合というのは現状 あるいはアメリカの制度等の御報告とフリーディスカッションという形で終始しており まして、まだ一定の方向性は出ておりませんので、この件につきましても引き続き御検 討いただきたいというふうに事務局として考えている次第でございます。以上でござい ます。 ○高久部会長 いろいろ御議論、御質問があるかと思いますけれども、後で重要なテーマが控えてお りますのでこれは報告ということにさせていただければと思います。 次にもう一つ報告がありまして、平成13年度政府予算の内示状況、メディカルフロン ティア戦略について、これも簡単に説明していただけますか。 ○事務局 資料の6をごらんいただきたいと存じます。資料の6のまず2ページ目から御説明し たいんですけれども、厚生省といたしましては13年度から、ここに書いてありますメデ ィカルフロンティア戦略というものを構築してこれを推進をするということで予算要求 と必要な手続をしてきたところでございまして、このメディカルフロンティア戦略とい うのは2ページの一番上に書いてありますとおり、がん、心筋梗塞、脳卒中、痴呆、骨 折、この5つの疾患について総合的な戦略を構築をするというものでございまして、い わゆるミレニアム・プロジェクトというのが基礎研究であったのに対して医療体制の整 備まで含めた総合的な対策を打つというのがその特徴となっているわけでございますが 20日に内示されました大蔵原案によりますと、総額として303 億円、うち今年11月の補 正予算に計上した分が前倒しとして34億円ございますので、20日に内示されたのが268 億円という形になっております。AからDまで、それぞれこういう費用が計上されたとい うことでございまして、厚生省といたしましては2ページの一番下、目標と書いてあり ますとおり、がんの治癒率の20%の改善であるとか、心筋梗塞、脳卒中の死亡率の25% の低減であるとか、こういう目標に向かって今後とも推進をしていきたいと考えており ますし、御意見等をいただければと思っております。 1ページに戻らせていただきますが、このメディカルフロンティア戦略も含めて科学 技術関係の予算総額1,185 億円、この厳しい財政状況の中、対前年比5.4 %の増で内示 がされたところでございます。総理の特別枠としては78.3億円いただいております。そ の中身は前回も御報告させていただいたかと思いますが、より効果的な保健医療確立の ための臨床研究等の推進が53億円、蛋白質科学、医療工学研究等の推進ということで22 億円、研究推進のための基盤整備ということで、いわゆる厚生科学基盤技術開発研究所 として要求していたもの、あるいはがん予防研究センターの整備として要求していたも のを2億5,000 万円いただいておりますし、特別枠のほかで10億円いただいたところで ございます。 また、3ページでございますが、今年度から進めておりますミレニアムのゲノムのプ ロジェクト、12年度予算が100 億円でございましたけれども、13年度は111 億円と11億 円ほど増額になっております。その内容といたしましては、1番目にあります遺伝子解 析のところでございますが、ここの医薬品副作用被害救済研究振興調査機構経費、これ が11億円ほど増額になっておるということでございます。以上でございます。 ○高久部会長 それでは、報告事項の最後に「その他について」ということで、ES細胞のことを簡 単にお願いします。 ○事務局 それでは、参考資料となっておりますけれども、表題が「ヒトES細胞の樹立及び使 用に関する指針(検討素案)」というものをごらんいただきたいと存じます。この資料 は科学技術会議、ヒト胚小委員会で12月19日に配付されたものでございまして、この部 会にも1、2度御報告させていただきましたとおり、科学技術会議の中でES細胞の指 針について検討が進められておる。前回御報告させていただきましたのは、たしか3月 にヒト胚小委でまとめられました報告書という形でございましたが、その報告書をいわ ゆる指針という形で書き下ろしたものが12月19日に提出されましたので、参考までに御 報告するものでございます。 中身といたしましては、第1条の目的のところを見ていただきますとヒトES細胞の 樹立と使用、この両面について生命倫理の観点から遵守すべき基本条件を定めるという ことでございます。 次に2ページでございますが、第3条の対象を見ていただきますと、いわゆる基礎研 究に特化をするということで第3条の2項、臨床研究は別途基準が定められるほかはこ れを行わないという形で書かれております。 次に第2章がヒトES細胞の樹立ということでございまして、第4条としてヒト胚へ の取扱は誠実かつ慎重に行う。第5条といたしまして、原則として医師により、または 医師の指導下に行う。また、ちょっと飛びまして第7条でございますが、ヒト胚の要件 といたしましてES細胞樹立のために作成されたものではなくて生殖補助医療の目的で 作成されたヒト受精胚である。あるいは2号でございますが、将来のために生殖補助医 療のために使用せず廃棄されるもので3号で凍結保存されているもの、4号で受精後14 日以内というようなことが掲げられておりますし、第8条は原則として無償ということ が書かれております。 また、3ページの前から3行目のところ、インフォームドコンセントの手続が書かれ ておりますし、飛び飛びで恐縮でございますが6ページをごらんいただきますと6ペー ジの2行目、樹立機関の審査委員会ということで、審査委員会の業務の範囲あるいは構 成について規定がされております。また、15条には提供医療機関の要件というのが定め られておりますし、16条でその樹立機関内の手続というのが定められているところでご ざいます。7ページの3行目、「文部科学大臣の意見」ということで17条でございます が、樹立機関が独自のIRBで審査をしてOKという返事が出た後に、今度は文部科学 大臣の意見を求める。文部科学大臣は専門委員会、科学技術学術審議会に置かれる専門 委員会の意見を聴取をするというような手続が定められております。また、19条をごら んいただきますと報告の手続が定められております。 すみません。8ページの22条をごらんいただきますと、個人情報の保護あるいは23条 に樹立過程等の公開の規定が定められております。これが大体ヒトES細胞の樹立の段 階で8ページの中ほどからヒトES細胞の今度は使用、すなわち基礎研究を行うときの 手続が定められておりますけれども、ほぼ同様の手続でございますので省略をさせてい ただきます。 厚生省に関与する部分といたしましては最後のページ、12ページでございますが、第4 0条で関係行政機関との連携ということで、この指針の運用に際して文部科学大臣は厚生 大臣と密接な連携を図るという趣旨の文章がございます。ただ、この指針の検討素案で ございますが、まだヒト胚小委員会の中にも大きな議論があって、一定の方向性が出て いるというようなものではございませんので、その旨御了解した上でこういう議論が進 められておるということだけ御報告させていただきたいと思います。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。これにつきましては、27日にもう一回議論をして、 その後パブリックのコメントを求めるかどうか。多分求めることになると思いますけれ ども、その後するのか、もう一回ぐらい議論してからかよくわかりませんけれども、ま だまだ検討中であるということを御報告したいと思います。 それでは、本日の審議事項であります「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療 のあり方についての報告書(案)」について御審議いただきたいと思います。先ほど事 務局から御紹介がありましたように、生殖補助医療技術に関する専門委員会から中谷、 石井、矢内原、吉村の4人の委員の方々が御出席になっておられます。それで、この専 門委員会の座長を務められました中谷瑾子委員から、まずこの案についてよろしく御説 明をお願いいたします。 ○中谷委員長 生殖補助医療技術に関する専門委員会の委員長の中谷瑾子でございます。本日は、こ ういう機会をお与えいただきましたことに対して御礼申し上げます。それでは、私の方 から生殖補助医療に関する専門委員会における検討経緯、それから本日御検討いただく 資料1、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書 (案)」の内容について、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。 まず、検討の経緯について御説明申し上げます。生殖補助医療の予測を超える展開に おきまして、生殖補助医療が不妊に悩む方々の間で急速に普及してきていることは御案 内のとおりでありますが、これまで我が国においては生殖補助医療について特段の法規 制が行われることもなく、学会を中心とした医師の自主規制によって人工受精や夫婦間 の配偶子に限った体外受精が限定的に実施されてきているところでございます。 ところが、近年になりましてこの自主規制に反するものが出てきたこと、精子の売買 や代理懐胎のあっせんなど、商業主義的な動きが見られるようになってきたことなど、 生殖補助医療をめぐるさまざまな問題が社会的にも大きく取り上げられるようになって まいりました。こうした生殖補助医療をめぐる諸問題について、当初先端医療技術評価 部会において議論が行われてきたのでありますが、改めてこの問題についてより掘り下 げた検討を行うため、一昨年、つまり1998年の10月に先端医療技術評価部会の下に本専 門委員会が設けられまして精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方等の問 題について検討を行うよう御指示をいただいたのでございます。 本専門委員会においては、この問題についてこれまで2年2か月にわたって計28回に も及ぶ慎重な検討を行ってまいりました。この度、この問題が国民生活にも大きな影響 を与えるものであり、広く国民の意見を聞くことが求められることから、インターネッ ト等において国民からの御意見も広く募集し、それを専門委員会において配付するとと もに、宗教関係者、患者、法律関係者、医療関係者等の有識者から5回にわたるヒアリ ングも開催いたしました。また、一般国民を対象として昨年の2月から3月に行われた 生殖医療技術についての意識調査の結果をも踏まえて、この問題について慎重な検討を 行ってまいりました。更に生殖補助医療をめぐる諸外国の状況を把握するために、昨年 3月にはイギリス、ドイツとヨーロッパにおける生殖補助医療にかかる有識者からの事 情聴取、本年9月にはイギリスにおいて生殖補助医療に係る認可、情報管理等を管轄す るHFEAの責任者との意見交換も行いました。こうした長期にわたる慎重な検討の結 果、今般本専門委員会において「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方 についての報告書(案)」を取りまとめましたので、この問題について本専門委員会に 検討するよう御指示をいただいた先端医療技術評価部会にこの報告書(案)を御報告さ せていただく次第でございます。 なお、今回御報告申し上げるものは報告書の案とな っております。その理由ですが、今回御報告させていただく報告書(案)の内容につい ては専門委員会としての合意が得られているわけでございますが、12月26日にもう一度 本専門委員会を開催して報告書の細かい字句修正等を行うこととしておりますために、 報告書ではなくて報告書(案)とさせていただきました。この点も御了解いただきます ようお願い申し上げます。 それでは、報告書(案)の内容について御報告させていただきます。まず時計数字の 2の「意見集約に当たっての基本的考え方」において、この問題を検討するに当たって の専門委員会としての基本的な考え方が記載されております。具体的には、A生まれてく る子の福祉を優先する。これは最も大事なことと私どもは考えました。B人を専ら生殖の 手段として扱ってはならない。C安全性に十分配慮する。D優性思想を排除する。E商業主 義を排除する。F人の尊厳を守る。こういう6つの基本的考え方が記載されております。 次に時計数字の3の「本論」に関してですが、この本論においてはこの問題に関する 本専門委員会としての検討結果が記載されております。本専門委員会では不妊症のため に子を持つことができない夫婦に、子を持つ可能性を提供する生殖補助医療の役割を認 識しながら、その利用が社会通念や生命倫理の観点から許容範囲を超えることなく行わ れることの重要性にかんがみまして、更に先ほど御説明申し上げました6つの基本的考 え方に沿って精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療の是非等について慎重な検 討を行い、この本論に記載されている結論に達したのでございます。 この本論は更に精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける人の条件や、各 生殖補助医療の是非、提供者の条件などについて記載した。 「1.精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について」と、1の結論を実施 するに当たって必要な規制や管理機関などの制度整備を記載した「2.規制方法及び条 件整備について」という2つの部分に分かれております。 まず1の「精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について」は更に3つの部 分に分かれております。「(1)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける 条件について」においては、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けること ができる人を広報しながら、不妊症のために子を持つことができない法律上の夫婦に限 ることなどが記載されております。 「(2)各生殖補助医療の是非について」においては、人を専ら生殖の手段として扱 い、また第三者にリスクを負わせ、生まれてくる子の福祉の観点からも望ましいとは言 えない代理懐胎についてはこれを禁止し、その他の精子・卵子・胚の提供等による生殖 補助医療については一定の条件の下で容認する旨を記載しております。 (3)の「精子・卵子・胚を提供する条件等について」においては、A卵子の提供をで きる人は既に子のいる成人に限り、満35歳未満とするなどの精子・卵子・胚を提供する 人の条件。B実費相当分を除き精子・卵子・胚の提供に掛かる一切の金銭等の対価の授受 を禁止すること。C精子・卵子・胚を提供する場合には、提供者は匿名とすること。Dほ かに提供者が存在しない場合であって十分な説明、カウンセリングが行われ、この福祉 や提供者に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと。金銭等の対価の供与が行わ れないことを公的管理運営機関が事前審査により認めたときに限り、そういう厳格な条 件を設けまして、そのときに限り兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を提供者の匿 名性の保持の例外として限定的に認めること。E提供された精子・卵子・胚による生殖補 助医療の実施及びそれに用いる精子・卵子・胚の提供に際しては、当事者夫婦に対して 十分な説明を行い、カウンセリングの機会を保障しなければならないこと。また、当事 者夫婦の書面による同意を得なければならないことなどが記載されております。 なお、このうち兄弟姉妹からの精子・卵子・胚の提供については、11月の中間報告の 時点では提供者の匿名性の保持の原則に対する特例を認める兄弟姉妹等の具体的な範囲 について専門委員会として統一的な結論を得るには至らなかったとしておりましたが、 兄弟姉妹からの提供は公的管理運営機関による厳格な事前審査の下に置かれることから 特にその範囲を限定しないということで専門委員会としての結論を得ました。この点 が、中間報告の時点からの大きな変更の1つになります。 次に2の「規制方法及び条件整備」においては、まず「(1)規制方法」においては 営利目的での精子・卵子・胚の授受のあっせん、代理懐胎のための施術・施術のあっせ ん、正当な理由を有しない職務上知り得た秘密の漏洩については罰則を伴う法律によっ て規制することなどが記載されております。 「(2)条件整備」においてはA提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療によ り、子を妊娠、出産した人をその子の母とし、妻が当該生殖補助医療により子を妊娠、 出産することに同意した夫をその子の父とすることなどを法律に明記すること。 B提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は成人後、その子に 係る精子・卵子・胚の提供者の個人情報のうち、提供者を特定できず、かつ提供者がそ の子に開示することを承認した者を知ることができること。また、結婚した場合に近親 結婚とならないことの確認ができること。C公的審議機関の意見を聞いて国が定める基準 により国が指定した医療施設でなければ提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療 を行うことができないこと。D各生殖補助医療の利用に関して必要な提言を行う公的審議 機関及び提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関する管理運営を行う 公的管理運営機関を設けることなどが記載されております。 また、時計数字4の「終わりに」においては、A本報告書の結論を実施するために必要 な制度の整備が遅くとも3年以内に行われることを求めること。Bこの制度の整備がなさ れるまではAID以外の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は実施されるべ きでないこと。C本報告書において容認することとされた生殖補助医療の実施開始から一 定期間経過後に、その実施状況やその時点における国民世論等を勘案して、その在り方 について必要な見直しを行うべきであること。特に兄弟姉妹からの精子・卵子・胚の提 供及び血筋を知る権利についてはこの見直しの際に再度その在り方を検討し、必要な見 直しが行われることを希望することなどが記載されております。 なお、最後に申し上げました一定期間経過後の見直し、特に本専門委員会でもさまざ まな意見が出され、長時間にわたる議論がなされた兄弟姉妹等からの提供及び血筋を知 る権利についての見直しの記述を設けたことが、11月の中間報告の時点からの2つ目の 大きな変更点となります。 以上、生殖補助医療技術に関する専門委員会における検討経緯、精子・卵子・胚の提 供等による生殖補助医療の在り方についての報告書案の概要であります。 なお、資料2として11月の中間報告において部会からいただいた御意見に対する専門 委員会としての回答をまとめたものを配付しておりますので、こちらの方も参考に御議 論いただければ幸いと存じます。 以上、説明させていただきました「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあ り方についての報告(案)」について御討議いただき、先端医療技術評価部会として御 了承いただけるようお願い申し上げます。 なお、詳細について御疑問の節は、ここに本日、中間報告のたたき台を作成するに当 たってワーキンググループをつくりましたが、そのワーキンググループに所属している 委員が出席しておりますので御質問いただければ幸いだと思います。どうも御静聴あり がとうございました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。専門委員会の皆様方には非常に長期間にわたって、 しかも頻回に御議論をいただきまして、この案をおまとめいただきましたことを心から 感謝いたしたいと思います。 では、今の中谷瑾子委員長からの御説明に対して、この部会の皆さん方の御質問、御 意見をお伺いしたいと思います。どなたか御質問がおありでしょうか。どうぞ、木村委 員。 ○木村委員 専門委員会で中谷委員長を始め、先生方の御労苦に対しまして心から感謝申し上げた いと思います。全般的なことで1つだけ確認しておきたいのでございますけれども、先 般の私どもの先端医療技術評価部会、第28回のときに藤崎課長からも発言をいただい て、ある意味ではパブリックコメントというものもそれぞれの専門委員会 の場ではいろいろヒアリングを含めてやったと。今の先生のお話にもそれがあったわけ ですが、この案がある程度素案でまとまった自体では、それ全体に対してのパブリック コメントというのは専門委員会で何かなさったんでしょうか。そのことの確認をちょっ としていただきいと思います。 ○中谷委員長 これまでの段階ではございませんでした。ただし、私どもはやはりパブリックコメン トを得るための何かをしたいというふうに考え、藤崎課長の方からもしあれでしたらお 話いただきたいと思いますが、確定はしていませんけれども、どうしてもそれは必要だ と考えております。 ○藤崎課長 これまでのこの専門委員会における審議におけるパブリックコメントにつきましては 前回の経過報告で御説明いたしたとおりでございまして、厚生省のホームページに対す るいろいろな御意見につきまして逐次毎回専門委員会に配付をさせていただいたという ことでございます。それで、この報告書をもしこの部会として御了承いただきました ら、これからは行政としてどのようにそれをいただいて対応していくかという段階にな ってまいりますが、今、中谷委員長からお話がございましたように、この成案となった 報告書につきましてパブリックコメントに準ずるといいましょうか、パブリックコメン トのような形での広い御意見をいただいて、今後どのように私ども行政として対応作業 を進めていくかということの参考にいたしたいと考えております。 ○廣井委員 これはバイオエシックスの方向から言っても、あるいは日本の閣議決定による審議の 公開性の原則から言っても、厚生省が大変に力を入れて公開のパブリックコメントとい うことをいろいろな形でやろうと。特に先ほど一番最初に中垣企画官からお話があった ように、ヒトゲノムについても積極的にこういう形で各省庁のガイドラインをまとめら れてそれをやるということでやったので、是非これは、のような形ではなくて、実際に パブリックコメントという形でやるように私どもの審議会で決めるような方向にいけば いいのではないかと思うんです。 つきましては、そのことに関連するのでございますけれども、今、委員長の方から大 変心強いお話をいただいたわけですが、一番最後の方ですね。4の「終わりに」のとこ ろで全体に関わるのでちょっとそのことをお伺いしたいのでございますけれども、委員 長からお話いただいてABというふうに言われたBのところでございます。この配付された 資料はABというふうにはなっていないのでございますが、AID以外は制度の整備がな されるまでは実施されるべきではないという非常にきちんとした文章をお書きいただい て、これも大変前向きでいいと思うんですが、されるべきではないんですが、やってし まった場合はどうなるかということはどうなんでしょうか。例えば、差し控えるように 当事者に対して強く勧告するというようなもう少し強い、されるべきではないというよ りも強い文章にして、罰則というのは無理かもしれませんけれども、極めてこれは問題 があるということをもう少し強い表現で言った方がいいかなということを思ったもので すから、全体的にその終わりのところが3年間のうちにこの整備が行われる。その間、 実施されるべきではないと言っても実施する人が現在もいるわけですので、そこら辺の ところを専門委員会として何か御議論があったのかどうかということについてちょっと お伺いしたいんですが、いかがでございましょうか。 ○中谷委員長 そこまではなかったと思います。ただし、パブリックオピニオンと言うんですか、そ れをちゃんとしろということはある団体といいますか、ある団体に所属する個人といい ますか、非常なクレームが私のところに来ております。ですから、それは何とかしたい というふうに私は考えております。 ○高久部会長 そうですね。また後で御紹介があると思いますけれども、26日にもう一回細かい言葉 の表現について御検討いただくことになっていますので、そのときに今の木村委員の御 意見などを参考にしていただければと思います。ほかにどなたか、どうぞ。 ○藤崎課長 1点補足でございますが、木村先生の方からパブリックコメントのようなものでは困 るという御指摘でございます。私ども別にそれをあいまいなものにするという意味では ございませんで、従来パブリックコメントとして通常規定されているものが、いわゆる 告示ですとか、規則ですとか、そういうものを作成する段階で手続論的に必ず定められ るようにという閣議決定に基づいた事項について、必ずしもこの段階で当てはまらない 段階でも広く意見を伺いたいという趣旨で、定義上そういうものになるか否かという意 味で申し上げただけでございますので、広く先生がおっしゃるような趣旨を体現いたし まして意見を求めてまいりたいというふうに考えております。 ○高久部会長 ほかにどなたか。では、どうぞ廣井委員。 ○廣井委員 専門部会で大変長い御審議、本当にありがとうございました。ちょっと細かいことで 2、3御質問したいと思います。4ページにございます(1)のところの初めの方に法 律上の夫婦であるということを明記しているわけですけれども、御存じのとおり京都大 学では内縁の関係も認めているわけです。これはかなり厳しくやったのかということで す。 それから、2番目の加齢により妊娠できない夫婦と言うんですけれども、加齢という ことがある面では非常にあいまいで、例えば50と言うのか、40でも生理が上がってしま うという人もいるわけですので、どの程度までこれが可能であるかということです。 それから、自己の精子・卵子を得ることができる場合は提供は受けられないんだと言 っているんですけれども、例えば遺伝性疾患を持っているような場合にはそういうもの はもらえないのかというような問題、ちょっと細かいことで大変恐縮ですけれども。 それから、随所に公的管理運営機関ということをかなり出しておるんですけれども、 具体的にはどんなことを考えられているのかということも教えていただきたいと思いま す。 それから、カウンセラーの養成ということもうたっておりますけれども、このカ ウンセラーの養成というものは国でやるつもりでおられるのか、あるいは学会に委任し ていくのか。 それから最後になりますけれども、私ども学会でそれぞれの規制をやってきているわ けですね。それを破る人もいたということは事実でございますが、しかし余り細かいこ とをこの専門委員会で決めなくてもよろしいのではないか。もう少し学会で決める、あ るいは医師会でもいろいろなことを出しておりますけれども、そういうことで遵守する とかというような項目を入れることによって余り、例えば同意書はどうだとか、説明の 義務があるとか、何とか胚の移植の数は何個にしなければいけないとか、そんな細かい ことは常に学会で決めているものですから、こういう文の中に入れなくていいんじゃな いかなというのを私は個人的に思います。 それから、今後こういうような学会で倫理委員会、あるいは倫理指針委員会などがあ りますけれども、こういうものよりも更に国で生殖医療のこういう技術というものに対 してこれから新しいいろいろな技術が出てくると思うんですけれども、それぞれにこう いうのは国の方で対応していくのかどうかということも含めてお聞きいたしたいと思い ます。 ○高久部会長 たくさんあって申し訳ないですけれども、随時お答えをお願いいたします。 ○中谷委員長 私で全部はお答えできませんので、こちらに詳しい方もいらっしゃいますので補足し ていただきたいと思います。 いろいろな生殖補助医療について違反があったときにどうかということについては一 応プライバシーの侵害や何かになりますと、これは刑法の134 に規定がありますからそ れでよろしいわけですけれども、一般の人がそれをやった場合にはこれはこれからでき ます生殖補助医療に関する法律の中に規定しなければならないだろうというふうなこと を考えております。 それから、公的機関について私どもが考えておりますのは、イギリスにおけるヒュー マン・ファーチライゼーション・アンド・オーソリティというのがありますが、そうい う許認可機関というものを設けた方がいいんじゃないか。それで、具体的なこういうふ うな条件でというようなことはそこで考えられるガイドラインといいますか、コード・ オブ・プラクティス、これはいろいろな種類のものがありますが、そういうもので決め ていったらいいのではないかと今のところは考えております。ですから、ガイドライン みたいなものも学会ではなくて、そういう公的機関で審議された上でのコード・オブ・ プラクティスの中で決めていったらいいんじゃないかと考えております。それで、この 公的機関というのは許認可機関というのは毎年年次報告書を出します。その中に一体ど ういうことをやったか、その結果がどうであったか、それによって生まれた子どもが例 えば身体的な障害の発生率がどのくらいであったとか、その精神的な発達率はどうか と。これは長期規模で検査をしております。そういうことなども踏まえまして、参考に しながら考えていきたいというふうに考えております。 それからカウンセラーの方は単独の医療機関内のカウンセラーではなくて、独立のカ ウンセラーというものの資格、養成、ちょうど臓器移植についてコーディネーターの養 成を考えたように、そういうものが考えられたらいいんじゃないかと思いますが、かな り時間はかかることで、それで3年間というような期限を考えているわけでございま す。ほかに補充を石井美智子委員からお願いします。 ○石井(美)委員 まず1点目の法律上の夫婦に限るという点でございますが、これについては現行の法 制度を前提としますと非嫡出子と嫡出子の差別とあえて言わせていただきますがござい ますので、私たちとしては生まれてくる子の福祉を優先するという考え方に立ちますの で、生まれる子どもが嫡出子と法律上なるという、そのために法律上の夫婦に限る。議 論の過程で申しましたこととしては、現行で確かに別姓問題、いろいろあることはある んですけれども、この福祉の観点からもし不妊治療を受けたいのであれば婚姻届けを出 していただくということを求めてもいいのではないか。我が国の場合、非嫡出子の出生 率がごく少なく、またまだ事実婚というものも増えてきているとは申しましても、諸外 国のように過半数になるというような状況とはかなり違いますので、そこまで広げて認 める必要性はないんじゃないかという結論でございました。 ○中谷委員長 私も、前は京都大学などは別に登録されたあれでなくてもいいということで始めてお られましたのでそれでいいんじゃないかと思っておりましたし、外国でもみんなそうな んですけれども、スウェーデンは大体フィフティー・フィフティーなんですね。登録さ れた御夫婦と、それからアンリッジスタートマリッジというのがですね。ヨーロッパは 平均して三十数%なんですね。ところが、日本は1.4 %ぐらいなんです。これは加藤委 員から教えていただきまして、そうなるとやはり非婚の母から生まれた子の法的な身分 といいますか、社会的な評価というものはかなり差別を受けることになるだろうという ことであえて法律上、婚姻夫婦というふうに限定させていただきました。 ○高久部会長 あとは加齢の問題はなかなか難しいと思いますが。 ○矢内原委員 医学的なことを私と吉村委員がそれぞれ答えさせていただきます。 まず高齢の問題なんですけれども、実際に考えて頭の中にいるのは女性の生殖年齢の 期限ということで、約50歳程度を考えております。ただ、これまでの統計によりますと 出生年齢の中に50歳を超えた例が年間数名おられます。そういうことを勘案いたします と、今ここでぴしっと年齢を決めることより、何かガイドラインみたいなもので規制を していければと思っております。 それから、自己のものを使える場合には提供を受けるべきではないんだということに 関しましては、先般11月23日及び24日の評価部会におきまして御質問をいただいたこと の4番目に当たると思います。それで、これは夫の精子があるのに卵子の提供を受ける ことができない場合に胚の提供を受けてもいいのではないかということと矛盾しないか ということになるのではないかと思います。これにつきましては、本日お配りいたしま した資料の中に回答がございますが、卵子の提供を受けることは極めて困難なこと、そ れから卵子そのものの提供が第三者に対するリスクがあるということを考え合わせます と、余剰胚の移植というものをこの場合に認めてもいいのではないかというようなこと が結論であったと思います。 ○吉村委員 廣井先生の御質問ですが、例えば自己の精子・卵子を得ることができないという場 合、遺伝的に何らか父親、母親に問題があったときにどうかということに関してであり ますが、私たちの委員会ではそういったことは議論をしておりません。それで、基本的 に私の理解ではそういったものはこういった医療を今のところは受けられないのではな いかなと考えております。 それからカウンセラーのことでありますが、これがやはり一番の問題点でありまし て、日本はカウンセラーの制度が全くでき上がっていないということでありまして、 今、厚生科学研究を中心といたしまして生殖、こういった医療に関するカウンセリング 制度というものを2年をめどに矢内原先生のところで検討をしているという状況であり ます。 それで、加齢に関しましては私も矢内原先生と同じでありまして、やはり現在の通常 の妊娠におきまして40歳以上の妊婦死亡率というのは実に802 人に1人の状態でありま して、これは非常に高い状態で、やはり45歳の方がこういった方法で妊娠されるとなる と、こういった妊婦死亡とかお産のときの例えば出血、あるいは妊娠中毒症、こういっ たことが増えると思いますので、加齢を何歳までという決まりをすればよかったんです が、非常に難しいということで、これは実際に行う公的審議機関でガイドラインをつく るときに決めていけたらと思っております。以上であります。 ○高久部会長 金城委員、どうぞ。 ○金城委員 大変難しい問題について明確なお答えを出していただいて大変な御苦労だったと思い ます。いろいろありがとうございました。 ただ、1点だけ私は意見を申し上げさせていただきたいんです。それは、出自を知る 権利の保障についてでございます。基本的理念といたしまして、生まれてくる子の福祉 を優先するということでございますので、やはり子どもが成長してどうしても出自を知 りたいというときには知らせるということが私は必要だと思うんです。これから医学が 発達してまいりますと、やはり親がだれかということを知ることはその人の健康にとっ ても大変重要なことになるのではないかと思いますので、この点については見直しをし てほしいということにも入っておりますので、是非そのときにまた検討が必要なのでは ないかと思っております。これはあくまでも意見ですので、お答えは結構です。 ちょっと質問を3つばかりさせていただきます。まず第1番目が14ページですね。兄 弟姉妹からの提供を認めるということの中に、精子も入っているんですね。しかし、今 まで慶應義塾大学でずっとなさっていて、提供がないから医療をやめてしまったという ことはないわけで、卵だとか胚の提供というのは大変難しいのではないかと思いますけ れども、特に卵については難しいと思いますが、精子の提供者が見つからないというの は想像しにくいわけですね。にもかかわらず、兄弟から認めるということはどうも今A IDと言っていますけれども、昔はAIBということで、やはり提供を受ける人は父親 が不妊であってもできるだけ遺伝的に近い子どもが欲しいということで、ブラザーとか 親とかから受けたようなことがあったようなんですが、どうもそれに通じることになる のではないか。その点については公的機関が審査をするということで十分チェックをす るということでございますけれども、若干その点について私は疑問を持ちます。その点 についてどうなんでしょうかということを伺いたいと思います。 次は16ページです。これは親子関係の確定について、法律がここに出ておりまして条 文の内容も出ております。この法律、条文はどこに入れるんでしょうか。民法の中に入 れるんでしょうか。それとも、新しくつくる生殖医療に関する法律の中に入れる予定な んでしょうかということです。 次が33ページでございます。提供された精子・卵子・胚による接触医療を行う医療施 設というのは国が指定した医療施設でなくてはならないということでございます。この 指定について、公的管理機関の承認を得るとか、実際にその公的管理機関がこの指定に 当たっては意見を述べるとか、そういうことを前提としているんでしょうか。それと も、国がほとんどやっているところはそのまま指定するというようなことになるんでし ょうか。その点についてどうお考えか、伺いたいと思います。以上でございます。 ○高久部会長 それでは、3つの御質問をよろしくお願いします。 ○吉村委員 金城先生の御指摘はまさにそのとおりでありまして、兄弟姉妹のときにもそれが非常 に問題となりました。精子に関しましてはやはり第三者に危害を加える、リスクを与え るということもございませんで、比較的卵子に比較いたしますとドナーが得られやすい という状況がありますので、基本的にこの考え方から言いますとこの項目に当てはまる のは卵子のみになっていくのではないか、あるいは胚と卵子になっていくのではないか と考えておりますが、委員の中では根強い、例えば日本の家族社会を重んじるとか、そ ういったことを強調される方もおられましたので、あえてここにおいては兄弟姉妹等か らの精子・卵子・胚というふうに書かれたわけであります。 ○石井(美)委員 今の兄弟姉妹の点では精子も入れたということにはなっておりますけれども、提供者 がいない場合に限られていますので、当然に兄弟とか親から得られるというものではな いということでありますし、あえて入れたのは金銭の授受を禁止する。今よりもその点 は厳しくなる可能性が高いのではないかという点で提供者、また出自を知る権利は十分 ではないですけれども、今よりは情報提供が提供者に求められる等々のことで提供者が 減る可能性もあるやもしれないということも一つ入っていますし、規定の仕方としては 男女の平等から考えれば精子と卵子をここだけで卵子だけに限る必要性もない。実際に は精子は余り考えていないというのが委員会の実態ではあったと思います。 ○高久部会長 あとは、法律の民法については。 ○石井(美)委員 そのことについては、ここでは私たちはどのような法律をつくるかということについ てまでは議論をしておりませんので、この報告書に基づいて法務省なり、適当なる機関 で法の定め方については検討していただいて適切なという形になるだろうと思っており ます。 ○高久部会長 3番目の公的機関云々というのは。 ○中谷委員長 公的機関というのは国立の機関ということではなくて、国立ではない公的な…。 ○高久部会長 さっきおっしゃったようなことですね。 ○中谷委員長 はい。ああいうものを考えております。 それで、私は是非この委員会の先生方にお考えいただきたいと思っていることは、匿 名性の原則の例外として兄弟姉妹というものが考えられていますね。そうしますと、特 にどうしても卵の提供を得なければ妊娠できない場合は卵の提供を受けるということも できますね。それに対して、私は卵巣も卵子もあるけれども、子宮を摘出して妊娠でき ない人がいますね。そういう人の場合は特例として、もちろん厳重な審査をするわけで すけれども、代理母と言っても借り腹ですよね。借り腹というものを認められないのか というふうに考えるんです。それよりほかに方法がないわけですから、それをあなたは 子宮がないからだめよと冷たく断ってしまうのかということを先生方にお考えいただけ れば幸いだと思っております。 ○高久部会長 その前に私はちょっとだけ、14ページに兄弟姉妹等という表現と、兄弟姉妹等の近親 者という表現と2つあるんですけれども、要するに「等」というのと「等の近親者」と いうのはどちらが本当は正しい表現なんでしょうか。 ○中谷委員長 「等近親者」なんですね。 ○高久部会長 等の近親者ですか。近親者というのは血族関係があるということですね。ですから、 この場合には親しい友達というのはもちろん入らないわけですね。 ○加藤委員 入るんです。ですから、「等」というのは近親者等、近親者及び、いわゆる血縁のあ る人と血縁がなくても親しい人と両方含むという趣旨だったと思います。 ○高久部会長 そうすると、このページの半ばの兄弟姉妹等の近親者というのは、この近親者は入れ ない方がいいわけですね。わかりました。 それでは、柴田委員どうぞ。 ○柴田委員 前回出した意見に対して、大変丁重な回答をいただいてありがとうございました。な おかつ、これでもちょっと理解できないところは、やはり余剰肺のところなんですけれ ども、この回答にもありますように余剰肺自身、これ自身互いに本文の中の矛盾点が残 っているということをお認めになっているわけですけれども、ある1つの規定が生まれ て、それが相互に矛盾することを含んでいるというのは必ずしもいいことではないし、 せっかく全体が厳しくできている中でそういう部分が非常にあいまいさを増やしていく と思うんです。 そういうことが1点と、それから今の余剰胚の問題はやはり卵子が得にくいというこ とから認めているという御回答なんですけれども、そうであればあるほどやはり卵子が 得にくいという状況で安易な余剰胚の活用というんでしょうか、そういうことが行われ るおそれというのは非常にあるんじゃないか。具体的に言えば多胚性などの治療をした ときに産婦人科のお医者さん自身が余剰胚を取っておこうというような考え方が必ず起 こってくる。次のためにというような形でそういうものを取っておこうという考え方 は、多分それ自身この全体のトーンを崩すものだと思いますし、それだけではなくやが てはこの金銭的な対価の問題にもつながってくるおそれもあると思うんです。ですか ら、この余剰胚の問題は全体のことから言っても明らかにおかしくなってくるのではな いかと思います。 それから、ここには冷凍受精卵の問題はまだ今、現実的に無理ということで片付けて おられますけれども、将来の技術としては当然考えられることでもありますので、余剰 胚の利用というんですか、それについて今後緩やかになっている部分について、再度意 見としてはちょっと違うのではないかというふうに申し上げたいと思います。 それで今、中谷委員長のおっしゃられた代理懐胎の問題で当然そういう意見は出てく ると思うんです。だから、遺伝的な子どもを代理懐胎によって得られるということはだ めだということをかなり厳しく言っていて、私はそれでいいと思うんですけれども、そ れとこの余剰胚の問題は私は矛盾してくると思うんです。そういうことで、再度意見を 申し上げます。 ○高久部会長 中谷先生のおっしゃった代理懐胎は、卵巣があって精子もちゃんと夫婦であって子宮 がない母親の場合に認めてもいいのではないか。そういう例外的な場合という御意見だ と思いますが、異常という遺伝的な問題ではないと理解していましたけれども。 ○柴田委員 それと違うことはわかりました。 ○中谷委員長 余剰胚の件については、私はそれでいいというカップルがいらっしゃれば別に改めて 卵の提供者にリスクを負わせるわけではないからいいと思いますけれども、ただしこの 場合は精子も卵子もカップルとは全く無縁ですよね。それでもいいのか。AIDは少な くとも妻の卵は提供されているわけですから、そういう意味でどちらも関係がなくても いいですかと。それならばむしろちゃんと素性の知れた養子さんを得た方がいいんじゃ ないかということが言えると思いますけれども、それでも自分のおなかに入れて、そし て三十何週間やりますから、それでもいいということであればいいわけですから、その 場合こそコンサルテーションが大変だというふうに私は考えております。 ○柴田委員 いいと言えばいいんだということは、不妊治療の範囲に限るという大原則とちょっと 矛盾しませんか。そうは思われませんか。 ○中谷委員長 でも、いずれにせよ治療を受ける人の同意は常に1例ごとに必要ですから、その同意 が得られればいいということになるんじゃないでしょうか。 ○加藤委員 柴田さんが矛盾だとおっしゃるのは、自分の精子がある場合であっても卵子の提供が 受けられない場合には胚の提供を受けられるという規定になっている。だから、自分の 精子があるのに他人の精子を受けられないという規定と、その場合であっても胚の提供 を受けられるというのは内容上矛盾しているという御指摘だと思うんですけれども、こ れは実情の問題として未受精卵の提供を得るという可能性があればそういう場合も救っ てあげられるわけですが、未受精卵の提供ということはほとんど不可能であるという状 況の中で、そして他人の出産のためにあえて未受精卵を採取するというリスクを負わせ ることを回避するためには、いわば余剰卵を使うのが第2次的な便法になるという趣旨 で、文面から言えば矛盾になりますけれども、いわば緊急避難的な性格のものだという ふうに理解しています。 ○木村委員 今日の資料の2のところですけれども、その2つ目の四角の囲みがございまして、差 別の問題やさまざまな人々が受ける心理的プレッシャー等を考えて報告書の用語を精査 してはどうか。それで、この間こういうふうに提言しまして、私の発言ですけれども、 具体的には「片親」というような表現は「両親の一方」にしたらよいというようなこと でやっていただいたわけですが、今も討議の中で出てきました言葉で、ここにございま す言葉などは精査していただければ当然消えるかと思うんですが、5ページの一番下の ところですけれども、今、話の中に出てきている借り腹という表現ですね。これは極め て封建的な思想が反映された言葉ですので、こういうことを精査しますと、これはこの 中にはここだけしか出てこないんですね。これは全部代理懐胎になっているわけですの で、そういう言葉があちこちにあるのではないかというふうに思いました。 これは指摘だけですが、あとは専門委員会の先生方にお伺いしたいのは、非常にこれ は当然のことながら「精子、卵子、胚の提供等による生殖補助医療のあり方」というこ とで極めて技術的な問題の御討議、具体的な解決方法を求めての大変な御討議をなさっ たと思うんですが、その背景の中でやはり日本の中にある夫婦関係あるいは婚姻の在り 方、あるいは子どもを持つことの意味とか、先ほどからお話がございましたように、中 谷委員長が代理懐胎も含めるような将来的展望というようなお話でしたが、それはこの 本報告書と全く違う考え方になると思うんですけれども、そういうことを含めて何かそ ういう文化的な背景についての、例えば子どもをあえて持たない夫婦がいる状況とか、 あるいは子どもが医学的に産めない場合であっても養子を積極的に取っているというこ とが諸外国では極めて、例えばアメリカやヨーロッパなどで多いケースがあるんです ね。代理母に産んでもらうというような形ではなくて、代理懐胎ではなくて、何かそう いうことについての文化的な背景については一切討論はこれを見ている限りではほとん どないようでございますけれども、何かそういうことについても活発な御議論があった のかどうかということについて一言お伺いしたいのですが、いかがでございましょう か。 ○矢内原委員 大変根本的な御質問であったと思います。議事録をお読みいただきますと最初のうち は一つひとつの技術論について一歩一歩議論したのではございませんで、必ずその背景 に人の生殖、特に日本における生殖医療、または子どもを持つことはどういう意味であ るかということを頭に入れながら議論を進めていこうというふうに約束をいたしまし た。したがいまして、参考のお話を伺った中には実際に受けられた患者さんがおられま すし、それから宗教学者やかつ倫理学者、法曹界の方々の御意見も十分伺ってきたつも りでございます。 ○高久部会長 先ほど中谷先生から提案というか、御議論いただきたいという子宮がない母親の場合 の代理懐胎、一応この案では代理懐胎は禁止していますね。だけど、そういう例外的な 場合にいいのかどうかということについて何か御意見がおありでしたらどうぞ。木村委 員、何か御意見はありますか。 ○木村委員 委員長が専門委員会で一応まとめた御意見があって、それでまた全然違う御意見を出 されるといろいろ問題が将来起きてくる可能性があるので、一応この報告に基づいてお 話をしていただくのが一番いいんじゃないかと思うんですが、しかし委員長としてでは なくて中谷先生個人のお考えということであればあれですが、しかし今日は委員長とい うことでお出になっているんですよね。 しかし、私はいろいろな可能性がそれこそ欧米諸国では選択肢の1つとしてあり得る というお考えの方も多いかと思いますけれども、ここに書いてありますように6つの原 則となって、人を専ら生殖の手段として扱わないとか、あるいは安全性に配慮すると か、商業主義につながることがはっきりと目に見える形でいろいろな形で出ている現段 階において、やはりこれは諸外国で私どもの友人でも養子の方はそれこそ違う人種のと ころからいただいて本当にすばらしい子どもたちとなっているという、そういう選択肢 がどうも日本の文化の中では広くなされていないという点を随分私は問題に感ずるんで す。ですから、先生のように余り直結して、子宮がなければ、はいそれではだれかに生 んでもらってというふうになるのは、ちょっと私としては現段階では納得できない。個 人の先生の御意見であるということはわかりますけれども。 ○高久部会長 確かに今、木村委員がおっしゃったように、今日は最終的にはできればこの専門委員 会の報告書を部会として認めていただくかどうか。もちろんその後にパブリックコメン トを当然得ることになると思いますし、それからこの部会以外の委員会での事柄になる と思いますけれども、現在の先端医療技術評価部会でこの専門委員会の案をお認めいた だけるかどうかということでありますが、ほかに何かどうぞ。 ○雨宮委員 この案自身をということとちょっと離れるかもしれないんですが、36ページをごらん いただきたいと思います。今回の専門委員会の中で胚の実験利用については特に議論さ れなかったとなっておりますね。ただ、これから将来のことを考えますと、非常にこれ は臨床研究に近い問題も当然出てくるだろうと思いますし、それからその隣りのページ に減数手術などということも書いてありまして、こういったことが起こらないでも済む ような方法というのを研究しないといかぬというようなことがありまして、もちろん中 谷先生の専門委員会でということではないんですが、これはやはりこういう診療という ことに携わっています、例えば今は厚生省と申しますが、そういうところでこれはどう したらいいかいうことをやはり御議論いただいておきたいなというふうに私は実は思い まして、この案自身がどうのこうのではなくてこれから先の話の1つなんですけれど も、是非余剰胚の話も出ておりましたが、野放図に実験利用するというようなことは決 して好ましいことでもありませんし、しかるべきルールに従ってどういう場合だったら やったらいいかというようなことも含めまして、是非将来的にこれを御議論していただ きたいと思いまして、これは提案と申しましょうか、是非お願いしたいことであると実 は思って発言させていただきました。 ○高久部会長 わかりました。その問題については恐らく今、科技庁で行われていますES細胞の樹 立のところでかなり議論が今も行われていますし、この部分でもかなり取り扱うことに なると思います。今度科学文部省になりますけれども、そこのところの委員会でも非常 に議論をされることになると思います。実験的利用に関しましてはですね。ほかにどな たか。それでは、寺田委員と松田委員どうぞ。 ○寺田委員 今の問題で、科学技術会議の小委員会でヒトESのことを書いていますね。そこで先 ほどちょっと説明がありましたけれども、ここでは臨床研究は別途基準がと書いてある んですね。だから、ここであるかもわかりませんけれども、やはり人が出てきて今、言 われた福祉の問題、ESLの個体発生の問題が出てくるから、そこでやることはやるに しても、これは大学とか科学の問題ではなくて全体にもう少し医療的な問題があります から、厚生省はそちら辺も絡んでやらないといけないんじゃないかなと思います。 ○高久部会長 私は必要だと思います。そこら付近はまた今後の検討課題になると思います。どう ぞ、松田委員。 ○松田委員 まず34ページのところで矢内原先生にお聞きしたいんですけれども、丸が付いている 下から3つ目のところですが、大変大事な重要なことがここに書かれていると思うんで すね。公的医療機関の意見を聞いて国が定める指定の基準に基づき、更に国が指定した 機関でなければならないと非常にはっきりと限定していらっしゃるわけですけれども、 このことにつきましてもう少し具体的に、例えば指定の基準の内容というのはこれから 3年の間に決められるのかとか、そういう具体的なそのプロシーディアを御説明いただ きたいと思います。 ○矢内原委員 私が任に当たっているかどうかわかりませんけれども、御指名ですので私が答えさせ ていただきます。 このことにつきましては、実際にこういうものという具体案としての組み立てはまだ できておりません。ただ、こういうものが必要であろう、どうしても置かなければいけ ないだろうと。その中には公的な審議機関が1つと、それから実際に実務に携わる運営 機関が2つは必要だろう。それで、こういうものができ上がったときにつくっておい て、それから個々の細かい実際の業務その他を決めていこうではないか、また備えを決 めていこうではないかということでああ。 ただ、これは御説明にございませんでしたけれども、恐らく御心配いただいているこ とはカウンセリングの問題ではないかと思います。それで、この本小委員会の討議の中 で非常に重要で、かつある意味でぼやけて実際存在していないのはカウンセリングシス テムでございます。それで、これに関しましては本当に3年間でこういうシステムがつ くれるかどうか。それは公的な機関がどのような形でそれに関与していくのかというこ とに関しましては討議はございましたけれども、ほかの厚生科学研究等で私どももやら せていただいておりますので、そういうところの意見を聞きながら早急にまとめること ができればというふうに考えております。 ○高久部会長 ほかにどなたか御質問をどうぞ。 ○藤崎課長 1点補足させていただきますが、公的審議機関と、それから公的管理運営機関という ことで、この間いろいろ御審議いただいてきたわけでございますが、詳細は具体的実務 的にどうなるのかということにつきましては、今後どういう法律をつくるかということ の中での書き方の問題もあろうかと思いますし、実際に具体的に施設の指導あるいは監 督等々に当たる人間がどういう形で、例えば厚生本省から行くのか、あるいは一定の施 設の出先のようなところからいくのか。いろいろな形態が考えられておりまして、その ことについては今後この報告書をいただいてから立法過程も含めて検討していくという ことになろうかと思います。 ただ、この審議の中で私ども事務局として申し上げさせていただきましたのは、公的 審議機関につきましては例えばこういう審議会の専門委員会のような形で常設する。あ るいは、その下の委員会として常設するとか、そういうような何らかの国の検討委員会 のような形のものを想定できるのではないかということと、それから管理運営機関につ きましては、これはまだあくまでもイメージということで例として申し上げさせていた だきましたが、今度ナショナルセンターとして設置が予定されております成育医療セン ターというのがございますが、そこら辺りがそういう管理運営機関として考えたときに 比較的適切なのではないかというようなイメージとして申し上げておりますけれども、 そういうものを今のところ事務局としては想定しているということでこれまでは申し上 げてまいりました。 ただ、具体的にどうなるかにつきましてはやはり法律がどういう 形で通って、どういうふうに医療施設を例えば許可とか認定について規制をしていくか とか、そういうこと自体が法案審議の対象になってまいりますので、いろいろとまだ先 に残された課題かなというふうに考えております。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。では、廣井委員、入村委員とどうぞ。 ○廣井委員 矢内原先生、吉村先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、私ども日本産科婦人 科学会とか、日本婦人学会ではかなり厳しくやってきているわけですが、今回のもので はその規定に応じて、会則に応じて会員を除名しているということもあったんですけれ ども、今回はかなり緩やかになってきているので、これから学会でどういう対応をして いくのかということをこの2年か3年の間にその辺のお考えがあったら教えていただき たいと思います。 ○矢内原委員 先ほどの最初のところの御質問にも、各学会での懇話会取決めというようなお話があ りまして、私もこの辺についてお答えしようと思っていたところでございますので先に お話をさせていただきます。 これに関連するものとしては産婦人科学会と、御存じのように不妊学会と2つござい ます。かつその婦人科学会の中にも倫理委員会がございますし、審議委員会がございま す。実際に実地にこういう医療を行うのは産婦人科医でありますので、産婦人科学会と してはかなり厳しい規制を設けております。それで、現在この提供の配偶子または胚に 関することは審議委員会の方で倫理委員長の方から諮問が出されておりまして、もうす ぐ回答が出てくるころと思います。 問題は、不妊学会には戒告の制度、または規制の制度はございませんので、婦人学会 の中でも議論は行われると思いますが、主に多分研究面における議論が主になって出て くるものと考えております。産婦人科学会の中の規制に関しまして、実際に本委員会か ら出たものと、それから仮に産婦人科学会からの意見が出たところの調整ということに なろうかと思いますが、これは先ほど一番最初に木村委員の方から御質問がございまし た、是非パブリックの意見を遵守するということと、三者合わせて本委員会の答申と、 それから一般の意見と、かつそれぞれ実地に実務に携わる学会の意見というものとのす り合わせが今後是非必要だろうと思っております。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、入村委員どうぞ。 ○入村委員 私は全くの専門外の基礎研究者なものですから、御苦労してつくっていただいた報告 書に何かコメントする立場にないんですけれども、こういう最近進歩した技術というの は非常に変化が激しい技術だと思うんです。それで、ここでつくられている報告書とい うのは現在使われている技術というものに、これを基盤にして考えられたことかと思う んです。こういう技術が今後どんどん変化していく可能性がある。例えば、これは私は 全くわかりませんが、いろいろな御議論が卵子を取るということは大変難しいことであ るということが前提にあって、これが技術が変わって非常に簡単にできるようになった らどうなるかというような問題があるかと思うんです。そういうことがどの程度今は考 えられているかということを、もしコメントいただけたらお願いしたいと思います。 ○高久部会長 これは先生、見直しが行われるべきであるということが前提になっております。で は、どうぞ。 ○石井(美)委員 公的審議機関を設けたというのは、そこで進歩を踏まえて新たな規制というものも考 えられるように、そういう柔軟性を持たせるという意味も私たちとしては込めたつもり なんですけれども。 ○高久部会長 では、木村委員どうぞ。 ○木村委員 先ほどの意見にもちょっと報告書中の用語、特に不妊症という用語の使用法その他に ついて簡単にお考えいただきたいんですが、報告書の1ページですけれども、3行目に 「不妊症」と書いてありまして、括弧をしてありますが、これは本当にこの定義でいい のかどうか専門家の方にお伺いしたいんです。これでよろしいんでしょうか。「生殖年 齢の男女が妊娠を希望しているにもかかわらず」と。 ○吉村委員 不妊症という定義は日本産婦人科学会の用語に一応あるものを使いまして、それでは 少し不十分だと思いましたのでその先を加えたのですが、欧米では一般的にこういうよ うに言われております。 ○木村委員 男女が妊娠を希望しているにもかかわらず妊娠の成立を見ないというのは、主語は女 性ですよね。ですから、男女が妊娠の成立を見ないというふうに読めちゃう可能性があ るので、文章を気をつけて書きませんと、法律的に問題になるんじゃないでしょうか。 言葉として付け加えたところに問題が出てきているんじゃないか。「妊娠の成立を見な い状態であって」となっていますよね。このまま英語に訳すとおかしな言葉になると思 います。 それから7ページでございますが、私は大体不妊症とか病院とかという精子提供によ る体外受精のところでございますけれども、「女性に体外女性を受ける病因」がありと 書いてありますね。これは医学上恐らくこういうふうに言うんだろうと思うんですが、 女性に体外受精を受ける医学上の自由がありとか、みんな不妊症という病気で、しかも その病気の原因ありというふうにしてやっていくことについて、私自身は極めて問題が あるように思うものですから、医者の方の専門家の立場からすれば病因という言葉は極 めて普通かと思いますが、この点もちょっと御論議いただければと思います。 それからもう一つ、27ページでございますけれども、ここのところも原則的にわから ないところがありますのでお教えいただきたいと思います。27ページの一番下の丸のと ころでございます。「最も重い思い規制の態様である」というところから始まります が、一番最後のところに、「以下のものについては、罰則を伴う法律によって規制する ことが適当であるとの結論に達した」。つまり、罰則を伴う法律で規制するのが適当と いうことで、営利目的での精子・卵子・肺の授受のあっせんということですね。それか ら括弧があります。本文に入れた方が私はいいんじゃないかと思いますが、ともかく括 弧がある。その次は「代理懐胎ののための」と、恐らく「の」は要らないと思うんです が、施術・施術のあっせんですね。これも著しく倫理に反するというのは、これは括弧 も外して1つの文章に入れた方がいいんじゃないか。ですから、代理懐胎は全く罰則を つけてこれは提案しようということでございますね。 その次のページにまいりますと、「上記により罰則を伴う法律によって規制するもの を除き」という文章をここに1つ入れて、それで今、石井委員が言われたように、一番 最後のところの3行が「罰則を伴う法律によって規制することは適当ではなく、法律に 基づく指針等規制の実効性を担保できる他の態様によって規制することが適当であると の結論に達した」。これは恐らく、上を除きこういうふうになったというんだろうと思 うんですけれども、これは付け加えなくても罰則がある法律をつくったということでい いんじゃないんですか。どこか論理的首尾一貫性がないんじゃないでしょうか。どうで すか、法律の専門家として石井委員にお伺いしたいんですが。 ○石井(美)委員 法律の規制だけではなくて指針等によって規制をするんだという、そこを言いたかっ たんだと思うんです。どちらかと言えばほかのは罰しないよという趣旨ではなくて、ほ かの規制で規制を考えるという趣旨であると思います。 ○木村委員 ということは、この報告書自体がガイドライン的な要素を持っていると思ったわけで すが、これに基づいて罰則を含めた法律をつくるだけではなくて、そのほかのガイドラ インをまたつくることを想定した委員会の報告なのでございましょうか。その点、委員 会の方はガイドラインが将来できるということを想定してこの報告書を書いているんで すか。それとも、これがガイドラインになるんですか。 ○石井(美)委員 委員会全体でそこを議論してはいないと思うんですが、私の認識では法律がつくられ た上で、その法律の下につくられると考えておりますが。 ○木村委員 もしそれでしたらここに入れないで、一番最後の「終わりに」のところに、例えば別 途更なる詳細な検討が行われることを希望するというところの項でも結構でございます けれども、本報告書はあくまでも罰則を含む法律をつくるための提案を含む内容の報告 書であって、しかもそれを踏まえてガイドラインがつくられることを想定しているとい うことを御論議の上、もし入れていただければと思います。そうしないと、これが一種 のガイドライン、先ほどから例えば学会のガイドラインがあるというお話をいただいた りして、しかも廣井委員の御発言ではこれが非常に容易になるような方向にいくような ことで、学会との調整を図らなければいけないということを言っていましたが、私の読 み方はむしろこれは容易じゃなくて事実上のモラトリアムだと思うんです。必要な制度 の準備をなさるまでは実施されるべきではないとはっきり言っているんです。したがっ て、これは何かリラックスして容易にしようという意図は一切なくて、極めて熱心に、 しかも真剣な討議を踏まえて3年以内にきちんとやってくれ。それまではやめてくださ いよというふうに私は取ったんです。ですから、廣井委員の御発言とちょっと、これは ですから今マスコミで言われている新聞記事並びにテレビの解説その他によると、こう いうことが一応こういう基準でできるようになったというふうな報道で誤解されている ように思うんですが、そこら辺は全く違うと思うのでよろしくお願いしたいと思いま す。 ○高久部会長 わかりました。今日いろいろ御指摘のありました細かい字句に関しましては、26日の 専門委員会でもう一回御討論願ってリファインされたものにしていただけるという条件 で、この報告書をこの部会でお認め願えるでしょうか。 ○金城委員 1件だけ、何かこれを見ますと大変詳細にできているにもかかわらず、では具体的に どんな法律に書くおつもりですかということも明確ではないというようなことで、しか もそれは3年以内にということも報告書には書いてあるんですが、もし民法改正という ことになりますと非常に時間が掛かるというのが現状なんですね。そうしますと、3年 以内にというにもかかわらず、もしもできなかったら、その間はモラトリアムですから 事実上ずっとやらなければ全部禁止ということになってしまうわけですね。ですから、 3年以内にということについて是非きちんとやるようにしていただきたいと思います。 それからカウンセリング体制の整備だとか、公的審議機関だとか公的管理機関だとか、 そういうことについてまだ具体的なところは見えないわけですね。非常に詳細になさっ ていらっしゃいますので、この報告書を十分踏まえて、そしてきちんとした体制を厚生 労働省になると思うんですけれども整えていただくことを心からお願いしたいと思いま す。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。今の金城委員の御提案を受けて、是非具体的に進め ていただければと思います。そういうことで、この部会で報告書をお認めいただきたい と思います。 専門委員会の皆さん方には本当に長時間にわたって御議論くださり、これも非常に難 しい問題について報告書をおまとめいただきまして本当にありがとうございました。特 に中谷先生には御苦労が非常にあったと思いますけれども、今までの御苦労に対してこ の部会として心から感謝を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。 これで本日の議事は終了いたしますけれども、9月に開催いたしました第26回のとき に御報告いたしましたように、厚生科学審議会は来年の1月に全面的に改組になりま す。したがいまして、今日でもって先端医療技術評価部会は最後となります。それで、 私は非常にハッピーな気持ちでおりますけれども、つきましては最後に堺審議官からご あいさつがあるということですので、堺審議官よろしくお願いいたします。 ○堺審議官 堺でございます。ごあいさつの前に2、3お話といいますか、特に議論の過程で出ま した臨床応用等がいろいろな分野で先端技術について出てくるので、それについてしっ かりとやるようにという励ましのお言葉と同時に、次にできます厚生科学審議会という ところでもまた御議論いただかなくてはいけないというふうにも思っておりますが、私 どもとしてもしっかりとそのお言葉を受け止めましてこれからもやっていきたいと思っ ております。 それからもう一つ、今日の生殖補助医療に関する報告をしていただいたわけでござい ますが、是非厚生省に3年以内に頑張れという励ましのお言葉、しかと受け止めました が、ただ、各分野の各立場の先生方からもいろいろなところに働きかけていただかない と、ただでさえ専門家の方が民法はそういうものじゃないのよと言うと、最初からでき ないのはわかっているのにと言われぬばかりでございますので、是非そこら辺は冷たく 突き放さずに暖かく御支援をいただきましたら幸いでございます。それはお願いしてお きたいと思います。 さて、来年1月からの省庁再編の一環として審議会の再編が行われる結果といたしま して、発足以来29回を数える本先端医療技術評価部会も本日をもって実質最終を迎える ことになりました。ここで改めて簡単に本部会の歩みを振り返りまして、委員の皆様方 のこれまでの御尽力に感謝申し上げたいと存じます。 平成9年5月に開催されました第1回の厚生科学審議会におきまして、常設の部会と して先端医療技術評価部会が設置されました。審議事項は遺伝子治療臨床研究評価な ど、先端医療技術の評価に関する事項とされました。これを受けまして平成9年7月に 第1回の部会が開催されて以来、御多用中の中、毎月のように精力的に御審議をお願い してきたわけでございます。内容面でも、これまで経験したことのない時代の最先端を いくような大変困難な課題に挑戦していただいてまいりました。まず、遺伝子治療につ きましては部会の下に個別の実施計画ごとに設置された作業委員会の論点整理を踏ま え、適正な研究実施に向けて個別的具体的に御検討いただくとともに、遺伝子治療臨床 研究の在り方についても御検討をいただいてきております。 次に、それ以外の先端医療技術の最初の課題として、平成9年10月から生殖医療技術 を御検討いただくことになりました。関係団体からのヒアリングを含めまして精力的に 御審議をいただき、更に議論を深めるため、生殖補助医療技術に関する専門委員会及び 出生前診断に関する専門委員会を設置することとなり、それぞれ平成10年10月より検討 が始められました。このうち、出生前診断につきましては平成11年6月に母体結成マー カーに関する見解をおまとめいただきました。更に、生殖補助医療に関しましては2年 余りにわたる御検討の到達点として本日のこととなっている状況でございまして、まさ に画期的な業績となるものと考えております。 また、平成9年12月には「手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方に ついて」に諮問させていただきましたが、部会の下に設置された専門委員会において議 論を整理の上、平成10年8月に部会として取りまとめられた報告を踏まえまして、12月 には答申をいただくことになったわけであります。 更に遺伝子解析研究につきましては、まずミレニアム・プロジェクトを念頭におきま した遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針、いわゆるミレニアム 指針でございますが、本年4月に部会としておまとめいただきました。更に現在はそれ を踏まえて関係省庁共同でヒトゲノム遺伝子解析研究一般に適用される指針を策定中で ございまして、去る12月20日にはパブリックコメントをさせていただくに至った。今日 報告したとおりでございます。 本部会のお陰をもちまして、この分野につきましても厚生省としても主導的な役割を 果たすことができたものと考えております。このほか、個人情報保護基本法制定の流れ を踏まえまして個人情報保護など、人権保障を図りながら適正に疫学研究が実施される ための指針を検討を行うべく専門委員会を設置し、本年3月から検討が続けられてきて おります。 このように、本部会は非常に困難な課題に正面から取り組んでいただいて まいりました。もちろん、今後残された課題もあるわけでございますが、これまでの御 貢献につきましてはとても最後のごあいさつというような短い時間で語り尽くすことは できないわけでございますが、お陰様で事務局なりに国民の健康福祉の向上に向けた望 ましい厚生科学の推進について歩みを進めることができたと思っております。 来年1月には新たな厚生科学審議会が発足いたします。新たな部会も設置されるとい うことが見込まれるわけでございますが、事務局といたしましては本部会で担当してい ただいた事項はいずれも重要事項として、新たな審議会におきまして高い見識と英知に よりまして引き続き御検討いただくことになるものと考えております。さまざまな条件 もございました。委員についても異動がなされるわけでございますが、いずれにせよ皆 様のこれまでの御尽力に対し、改めて感謝申し上げるとともに、是非皆様方におきまし ては終わった終わったとほっとせずに引き続き厚生行政への叱咤激励をよろしくお願い いたしたいと思います。 以上、誠に意を尽くせないわけでございますが、最後に当たって感謝のごあいさつを 申し上げた次第でございます。どうもありがとうございました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 私も本当に御礼を申し上げたいと思います。3年半、皆様方にいろいろ御意見をいた だきまして、私自身もお陰様で非常に勉強することができました。本当にありがとうご ざいました。部会の委員の皆様方に心から御礼を申し上げてこの最後の会を終わらせて いただきます。 本当にありがとうございました。                                    <了> 問い合わせ先 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担 当 野口(内線3804) 電 話 (代表)03-5253-1111 (直通)03-3595-2171