00/12/22 第5回検証会議(3)家族の心情等の把握について    脳死下での臓器提供事例に係る検証会議第5回議事録  日時   平成12年12月22日(金)       14:00〜17:00  場所   弘済会館       4階「椿」  出席者: 宇都木 伸  川口 和子  嶋  多門  島崎 修次  竹内 一夫       アルフォンス・デーケン   貫井 英明  平山 正実  藤森 和美       ○藤原 研司  柳田 邦男       ○:座長 (略)  藤原座長  ドナー家族の心情等の把握について議論を始めることとします。前回の会議におきま しては、事務局案について広く委員の皆様方から意見をいただき、それをもとに改正案 を作成し会議で了承していただくこととしておりました。そのため、この会議の前にフ ァックスでのやり取りが行われました。かなりの程度、ご意見を集約することができた と思います。ありがとうございます。本日は公開の席でもありますので、まずは事務局 から、経緯と皆様のご意見を踏まえて私と事務局で作成した修正案についてご説明をい ただき、その上で全体討議を行いたいと思います。事務局からよろしくお願いします。  大澤室長  私からドナー家族の心情等の把握につきまして、これまでの経緯と修正案についてご 説明します。  この件につきましては7月の第3回検証会、9月の第4回検証会議の2回にわたりま してご議論を頂戴し、その後、本日の会議までの間におきましても、各委員には精力的 にご検討いただき、お手元に参考資料としてお配りしておりますとおりに種々のご意見 を頂戴いたしました。  それぞれのご意見につきましては、既にあらかじめ各委員にファックスでお送りして おりますので、その内容の詳細の説明はこの場では割愛させていただきまして、経緯の みまず簡単にご説明を申し上げます。  まず参考資料1でございます。前回の検証会議にご提出しましたドナー家族の心情等 の把握の手続きに関する資料につきまして、10月24日付けでデーケン委員、平山委員、 藤森委員、柳田委員、以上4委員の方からご意見を頂戴したものでございます。  続く参考資料2は、そのご意見に対して更に他の委員からお寄せいただきました幾つ かのご意見を束ねたものでございます。これらのご意見を踏まえまして、藤原座長と私 ども事務局で相談をし、修正案を作成の上、再度各委員のご意見をお寄せいただくよう にお願いをしたのが次の参考資料3でございます。  これに対しまして柳田委員より12月 4日付けでお手元の参考資料4でございますが、 検証会議の運営方法を含め、厳しいご指摘をお寄せいただいたわけでございます。また そのご指摘に対する藤原座長のご見解がその次の参考資料5でございます。  私ども事務局としましては、これまで円滑な議事運営を旨としてきたつもりでござい ますが、頂戴したご指摘を謙虚に受け止めまして、今後の議事運営にあたって十分に留 意をさせていただきたいと存じます。  最後の参考資料6でございます。これは柳田委員よりいただいたドナー家族の心情等 の把握についての最終的な修正案ということで、本日の会議でご提案をされたいとの趣 旨でいただいたものでございます。  以上申し上げました経緯を踏まえまして、再度、藤原座長と事務局で相談させていた だきましてドナー家族の心情等の把握について修正案として作成しましたのが、本編の 資料9でございます。「ドナー家族の心情等の把握について(案)」というのがそれの 修正案でございます。  これは先ほど申し上げました参考資料6の柳田委員の修正案をほぼすべて取り入れた ものでございます。以下、参考資料3の座長案からの修正点について主としてご説明申 し上げます。本編の資料9をご覧ください。  まず「1.趣旨」でございます。一つ目の○のネットワークの家族へのかかわり方を 検証する。従前は精神的支援とございましたが、これをかかわり方に修正をしてござい ます。これはネットワークは専門的な家族への精神的支援を業務とするものではない、 ということから精神的支援という言葉をかかわり方という言葉に改めてございます。  次の○、臓器提供後の家族の状況を把握する、でございます。これは新たに追加して おりますが、後の文書とのつながりの必要上追加をさせていただいております。  次の○、臓器移植に対する社会の理解を深める、とありますのは従前の啓発という言 葉でありましたが、このように改めております。  「2.把握する事項」のうちの二つ目の○を追加しております。ご覧のように、家族 が知る範囲でのドナー本人が臓器提供意思表示カードを持つに至った理由、を追加して おります。これは先ほどの1趣旨の3つ目の○、社会の理解を深める上で重要な要素で あることから追加をさせていただいております。  「4.家族の状況等の把握に当たっての基本的な考え方」のうちの(3) 家族の心情に 対する配慮、でございます。次のページです。2つ目の・です。面談、電話による聴取 又は文書による照会の時間や回数について、専門家のご判断を尊重するため、専門家が 喪失体験者との面接の体験を踏まえて、最小限度に止めるよう、慎重に配慮すること。 と修正をさせていただいております。  「5.家族の状況等の把握の具体的方法」の(1) 面談、電話による聴取又は文書によ る照会の承諾、のうちの一つ目の○の(3)を追加しております。家族の代表者を通じて、 文書によって照会する事項に、(3)として家族の複数の人が別々に回答することを希望す るかどうか、をお尋ねすることにしております。これは死別後の家族の状況は、構成員 によって多様であることが予想されますので、こういった照会事項を追加し、またその 次の○でございますが、最初の文書はネットワークのコーディネーターに手渡すように 依頼しますが、文書による回答の中で家族の複数の人が別々に回答することを希望され る場合には、その数だけ文書を郵送する、ということにさせていただいております。  次にそのページの一番下の○でございます。家族に検証会議からの照会に対して回答 する意向がない場合には、コーディネーターから家族の事情を聴取するわけですが、そ れとともに、家族に対し、時間がたちお話をしてくださる気持ちになりましたら、いつ でもご連絡をくださるようにお願いします、との旨の手紙を郵送させていただくことに してございます。これは家族のお気持ちが月日と共に変化すると思われるから、追加さ せていただいたものでございます。  3ページです。(3) 検証会議での検証作業等、でございます。一つ目の○です。専門 家の方に作っていただく報告書案の作成時期でございますが、実は柳田委員からは、お おむね3ケ月というご提案をいただいておりますが、本日前半でお願いしました医学的 検証、あるいはあっせんの検証の際の報告書案の作成スケジュールが大体1ケ月くらい でおやりいただいているので、事務局としては、面談なり文書による照会の結果がわか ってから、おおむね1ケ月をめどにお願いできないかということで、ここはこのように させていただいております。  次の○です。これはご家族の気持ちが月日と共に変化することを想定しまして、家族 がやや長い時間をおいてから回答することを希望する場合、及びいったん回答する意向 がないとした後、月日を経てから回答することを申し出た場合においても、通常の場合 と同じく家族の状況の把握を行う、と追加をさせていただいております。  なお本編の資料10と、資料11はそれぞれフローチャートとお手紙の案を付けておりま す。これらにつきましてはただ今ご説明をいたしました内容をチャートなり手紙にそれ ぞれ反映させたものでございますので、それぞれのご説明は省略をさせていただきます 。 以上でございます。  藤原座長  ありがとうございました。ただ今の修正案につきましてご意見をいただきたいと思い ます。あらかじめお手元にファックスしてございますし、今もご説明いただきましたの で全体をまとめてご意見をいただきたいと思います。  柳田委員  意見というより最初にお礼を述べさせてください。この1ケ月、非常に私としては精 力的にいろいろな意見を書かせていただきました、皆様の手元に深夜ファックスでお送 りしたりしてご迷惑をかけました。基本的に私の趣旨を理解してくださってこうした修 正の案を事務局と座長とで作ってくださったことに対して、大変にお礼を申し上げたい 気持ちでございます。そのことをまず一言申し上げさせてください。ありがとうござい ました。  また皆様、いろいろとご意見をファックスで、最終的には皆様の意見書を直接拝見す ることができましたので、非常に理解を深めることができました。それぞれの立場によ ってそれぞれの視点からの問題提起なので、大変に貴重であると思います。また感想と しましては、こういう修正をしても皆様のいろいろな提案・ご意見と齟齬するものでは ないと理解するものです。ありがとうございました。  藤原座長  他にどなたかご意見ございませんか。先ほど大澤室長からご説明いただきましたが、 この報告書の作成が柳田先生のご提案の中では3ケ月となっておりましたが、先ほどの ご説明の通りに1ケ月とさせていただきたいのですが、これに関しては何かご意見はご さいますか。  柳田委員  文言の問題です。まず手紙を照会するのが1ケ月たってからに、さらにプラス1ケ月 という意味ですね。  大澤室長  その通りでございます。  柳田委員  つまり連絡をして、実際に面会をしてそれからということですね。すると2ケ月プラ スαということですね。わかりました。  宇都木委員  2ページ目の柳田先生のと同じだろうと思うのですが、2ページ目の下の○です。 「回答する意向がない場合に、それとともに郵送する」となっているのですが、これは 具体的にはどういうことになるのでしょうね。別途、郵送するということでしょうか。  柳田委員  文言上でもっといい言葉があればそれはお任せしたいと思います。  大澤室長  事務局としても柳田委員と同じ理解でございます。回答する意向がないとお返事をい ただいた場合には、コーディネーターから家族の事情聴取することと合わせて、家族に 対して改めてこういう旨の手紙を郵送するという趣旨でございます。  宇都木委員  わかりました。  藤森委員  報告書の件についてです。1例ずつ報告をしていくということになると、かなり今で すとマスコミの方がいらっしゃる状況の中で報告をするような状況なのか、それともク ローズドで1例ずつ報告していって、または公開の報告書になる場合には個人のプライ バシーを押さえた形での報告になるのか、第何例目というと、かなりご家族の状況がわ かってしまうわけですよね。ですから何例か集めた中で、こういう意見がありましたと いうような報告の仕方がいいのか、1例ごと面接が終わった後1ケ月たつまでにその報 告書を仕上げていくという、情報開示の問題が私にはよくわからないのでお願いします 。  藤原座長  私の理解は、先生がおっしゃった、例えば3人に会うとした場合に、それぞれ別の日 に会いますね。それでいったんこれで作業が全部終了したとして、それから1ケ月とい う理解でいるので、今の先生のご質問は、ですから作業が全部終了してからという理解 でおります。  大澤室長  事例ごとに、例えば5例目のご家族に複数お会いいただくことに結果としてなった場 合は、藤原座長がおっしゃるように、複数名の方のご面談が終わった後に、1ケ月をめ どに報告書案を作成いただいてこの検証会議でご議論をいただくということに、多分な るのだろうと思います。  ただ藤森委員がご指摘された中で、開示する開示しない。公開か非公開かというお話 、あるいは順番にするのかしないのか、というお話があったと思うのですが、それにつ いては実はこれはお手紙をご家族にお渡ししてみないことには、どういうタイミングで ご回答いただけるのか、文書なのか面談なのか、その時期はいつなのかというのが決ま りません。したがって早くご回答いただける方であれば、例えば9例目であろうが10例 目であろうが、早く伝わるであろうし、5例目の方であってもしばらく時間をかけたい ということであれば時間をかけざるを得ないと思います。そこはあまり硬直的に順番に やるということには多分ならないと思います。ある程度、同時に面談とか文書の回答が 来たときには、これはまとめてご議論いただくということも一つのやり方であろうと思 います。とにかくご回答がどういう形で来るかによって決めざるを得ないと思います。  それから公開とか非公開というのは、改めてこの会議にお諮りしたいと思っています が、基本的には個人のプライバシーに係る分については、医学的検証とあっせんと同様 の扱いがいいのではないか。プライバシーに係わらないものであれば、公開でも構わな いと思います。これは改めて検証会議でご議論いただければと思っております。  藤森委員  少なくとも特に公開していいという、後の議論の中で出てきたものでありましたら、 ぜひ、厚生省も積極的にインターネットのホームページを立ち上げていらっしゃるよう なので、この会議の家族の心情把握等に関して、しかも公開していい部分は、ぜひここ でホームページを立ち上げている多くの方に、この検証会議はこういうことをやってい るのだということを見ていただいて、それがまた移植の推進というよい形のご理解をい ただけるのであれば、お手数ではありますが、そういう作業をしていただければたいへ んにいい議論が、社会的にも影響力があっていいのではないかと思います。委員の先生 いかがでしょうか。  藤原座長  いまの件について先生方いかがでしょうか。事務局の見解は何かございますでしょう か。  大澤室長  検討させていただきます。  藤原座長  私の意見としては、とにかくやってみて、その結果を見ながらよりよい形に考えてい きたいと思います。いまここで確約するということではなく、とにかくやってみてから というふうに理解しておりますがよろしいでしょうか。  柳田委員  質問です。メディカルの報告書は既に何件も出ているわけですが、それはホームペー ジで公開してますか、それとも記者発表しただけでしょうか。  大澤室長  事実関係から申し上げます。公開はしておりますが、ホームページに載せるところま ではいってません。  デーケン委員  時間のことです。柳田先生は3ケ月で今は1ケ月と書いてあります。私はそれに関し て少し柔軟性があったほうがいいかもしれません。そしてある程度で担当者にもそうい うような判断して、例えばどういうふうに相手が亡くなったのかによっても、ある人は 早いときには話をしたい。ある人は拒否してしばらくの間はそれについて一切触れたく ない、とかという柔軟性があってもいい。  藤原座長  いま議論しているのは、1ケ月・3ケ月の議論は報告書をまとめる期間のことであっ て、家族に接触して照会する時期のことではありません。  では先に進めさせていただきます。フローチャートとお手紙の件です。フローチャー トは問題ないと思いますが、こちらに関して何かご意見ございますか。  藤森委員  宇都木先生にご質問です。先生のご意見の中でも家族の概念が非常にあいまいである というのが常につきまとっています。ここで代表者というのは多分サインをされた方で あろうと思いますが、それ以後、いろいろな形で家族と称する方が出てきたりとか、そ の方に、例えば代表者に渡したから、必ずしも他の家族に渡らない可能性があるわけで す。その辺りでもし問題が起こるとしたらどういうことが起こるのでしょうか。  自分は家族だと思っていたのに、例えば代表者の家族の方と、あまりいい関係でない とかということで、そういう書類はもらってないとか見てないということが出てくる可 能性が出たときに、法律的に家族の概念の中で、ここでいう代表者です。  宇都木委員  この点については、少なくともガイドラインが一応の範囲をあげているんです。です からアプローチの仕方としては、あそこであげた範囲に焦点を絞りながらということで しかないと思います。それにしても今度のやり方は代表者に話をするわけですから、家 族関係が悪くって、ある人を除外するということはあり得るかもしれません。しかし法 律的に問題があるのかといわれると、ちょっとね。  藤森委員  例えばこの委員会が委員会として十分に配慮をしていなかったのではないかというよ うな指摘を、法律的に裁判まで起きるのかもわかりませんが「代表者に渡る=家族に十 分に渡る」ということを委員会として押さえてなかったのではないかという指摘がもし 起きたときに、どう対応すればよろしいのでしょうか。  宇都木委員  そうですね。話が別な話になってしまうかも知れないのですが、私がむしろ危惧した のは、ガイドラインでは誰かが代表して総意をとりまとめるという形を期待しているわ けです。こちらとしましてはね。その段階ですでにどうであったのかという事柄も含ま れてしまうわけです。おそらく、私たちとしては家族の中に立ち入っていくということ 、家族関係の中に立ち入っていくということはむしろ避けたほうがいいのではないかと いう気がいたします。  藤森委員  立ち入りたくはないのですが、外された人の中に自分も家族であるといって、そうい う書類を受け取ってないし、何もアプローチもなかったという人がいたらどうしましょ うかという話です。  デーケン委員  私は基本的に藤森先生と同じ疑問を感じています。といいますのはいろいろなデータ を見ますと、例えば子供が亡くなるとき、事故の場合には、例えばお父さんとお母さん の離婚率が爆発的に増えるということは、明らかにそういう危機のときは、前はまあ家 族として何となくやったのですが、これで対立が非常に強くなって、その時は例えば勝 手にお父さんは代表者であるといっても、やはり場合によってはお母さんに見せないと いうこと、あるいは隠すということはよくあり得るのです。  ですから私もその点でははっきりと書かないといけないのではないかと思います。そ うでないと後で大きな問題が起こることはあり得るのです。  藤原座長  例えば極端な例を上げますが、非常に家族関係が複雑であった、そして亡くなられた 方と非常に親しい方がほとんど全部を取り仕切っていたと仮定します。この方がこの範 囲だけでいいですよという話があった場合には、それではならないということを適切に 評価するということは、ほとんど不可能ではないかという気がするのです。つまり先生 がおっしゃるように、後で問題にならないかというのは、それは問題が起こるかもしれ ないが、しかしそれを厳格にここまで家族としてこの5人にはどうしてもやらないとい けないということには、なかなか、現実問題として非常に困難ではないかという気がし ます。  この点に関してどなたかご意見ございますか。  宇都木委員  困ってしまいますが、家族の範囲というのは必ずしも明定されてないわけです。だか らこちらとして、これこれの範囲の人に連絡がいかないといけないという規範が特にあ るわけではないと思います。その中で私に来ることを期待していたという人の期待が裏 切られるという問題ですね、先生がおっしゃったことはね。これはポリシーの問題だと 思いますね。  島崎委員  各論的な対応をしないとしょうがないではないでしょうかね。いろいろな場合があり ますからね。  大澤室長  事務局があまり発言するのを控えたいと思っていますが、臓器移植法の制度上、ご家 族の承諾というのは法律の要件でありまして、それがないとそもそも脳死判定臓器提供 はできないという構造になっています。その場合の家族はどうかということにつきまし ては、宇都木先生がおっしゃいますようにガイドラインで一応は定めさせていただきま して、一応は、祭祀主催者と成りうるべき方が、ご家族の同意を取り付けて、それで家 族の総意としてご回答いただくという制度の仕掛けになっております。  したがいましてこの検証会議も私どもの理解では、臓器移植法に基づく脳死判定臓器 提供の検証ということであれば、そのご家族の状況を把握していただくのが本来の姿で あると思います。そうしますと、流れは逆流しまして、そもそも承諾をいただいたご家 族の方の状況の把握をしていただくのがまず先決である。  ただこれまでご議論がありましたように、代表者だけでは十分ではないというお話が ありましたので、それはご家族のご意向をお聞きして、代表者だけではなく複数の方の ご意見をおっしゃりたいということあれば、お手紙も何通が差し上げますし、面談の機 会も複数申し上げるということを、一応、こちらとしてはオファーするわけですから、 これ以上、それ以外に家族がいらしたとして、自分のところに何かが来ないというふう におっしゃられても、それ以上は公的な組織としてはなかなか立ち入りにくい。また逆 にそういうご家族が、どこにどなたがおられるのかという情報は、残念ながら私どもは 持ち合わせておりませんので、お手紙を差し上げるにも差し上げられませんので、そこ はひとつの限界ではなかろうかと思います。  つまり前提としての家族の承諾をとりまとめていただいた祭祀主催者となりうるべき かに、一応家族の総意としてご回答いただくということにならざるを得ないのではない かというふうに事務局としは考えます。  藤原座長  ありがとうございました。私もそのように考えます。柳田先生何かご意見ございます か。  柳田委員  これは現実の中でとにかく取り組んでみて、生じた中でまたローリングしていくより 仕方がないという感じがします。私の周辺を見ますと、離婚率がすごく高くて、親権は 別れた夫が持っているが、実際に子供は母親といる。実質的な養育をしているとうい例 も多いです。現実に脳死判定に入って、しかしできなかった1件については離婚されて いて、署名は別れた夫がしてますが、実質的にはお母様が娘さんと一緒に同居していて 、しかしお母さんは震えてしまってとても署名できなくて、別れた夫が駆けつけて、再 婚もしていた夫ですが署名したという関係ですね。そういう場合にどうしても母親のほ うに最初のコンタクトがいくと思うのですが、署名上は父親が署名しているから父親に コンタクトするということもあり得るわけです。  その時に誰が回答するのかということも、それぞれの家族のお気持ちなり個人の個性 によって回答の仕方が違ってくると思うのです。その辺りを一時的にコーディネーター 報告の中で大体の家族関係はわかりますから、それを睨みながら、どうしましょうかと いう最初の接触ですね。複数の方が別々に回答することを希望するかどうかの辺り、そ の辺りを丁寧に、あまり家族関係に介入するような形でなく、しかし押さえるところは 押さえて、上手に現実の中で適応していくということを、これから重ねるより仕方ない のかなという印象を受けますがいかがでしょうか。  藤原座長  島崎先生がおっしゃっていただいたのと同じお考えですね。ケースバイケースでとに かくやってみて考えましょうということで、藤森先生よろしいでしょうか。他にござい ますか。  平山委員  非常に初歩的なことですが教えていただきたいのです。「1.趣旨」です。日本臓器 移植ネットワークによる家族へのかかわり方を検証する。その家族へのかかわり方とい うのは、どこまでですか。例えばこのネットワークの方がずっと後までかかわられるの か、移植が終わった直後で消えるのですか。ずっと後まで続くのでしょうか。確認とい うか教えていただきたいと思います。  藤原座長  例えは先ほどの場合も、ある一定の時間がたってから訪れたということすべて含めて 、この考え方によると1ケ月以上たった時点ということですから、その間は当然ネット ワークがかかわり合いがありますね。お焼香にいったりということも含めてですね。も ちろん脳死判定を受けるということから説明は当然してますから、そういう一連のもの をすべて含めてという理解でおります。  平山委員  そうしますと、これでいうと専門家が後でかかわるということもあり得るわけですね 。 ネットワーク以外にね。この4番以降ですと専門家がですね。そうしますと、そこら辺 のコミュニケーションとかの問題は考えなくてもよろしいのでしょうか。  大澤室長  この趣旨で書きましたのは、あくまでもこの心情等の把握を何のためにするのかとい うことでございまして、ネットワークのコーディネーターを中心として臓器提供後しば らくの間かかわっていただいている事柄につきまして検証していただく、そして別だて に書いてごさいますように、合わせて臓器提供後の家族の状況を把握し、もって社会の 理解を深める、この3つを趣旨としているわけですからこの範囲でやっていただくとい うことです。  おっしゃっていただいているネットワークとの連携というかかかわり方というのは、 また別の次元でやり方の問題として、当然のことながら、ご配慮していただけるもので あれば、そのようにしていただければいいと思います。ここで書かれているのは何のた めにするのかということですので、ちょっと十分な答えになっているかどうかわかりま せんが、そういう趣旨で一応書かせていただいたつもりです。  かかわり方というときに、確かに検証会議の専門家の方が、その後に面談されればそ れはひとつの係わり方ですが、そこのかかわり方まで検証するということには多分なら ないわけです。何のために面談するのか、何のために文書によってご意見を聞くのかと いうのは、何のためにするのかということをここでは書いているというふうにご理解い ただければよろしいかと思います。  デーケン委員  私はこの文書をもう少し書き直したほうがいいと思います。といいますのは、私は二 つの立場からです。一つの立場からは家族のニーズ、もう一つはネットワークの方々は 自分の自己理解です。自分の役割は何であるかとか、今はちょっとあいまいです。例え ばアメリカのホスピス運動で非常にはっきりいっています。ホスピスで患者が亡くなっ てから1年以上は遺族へのケアを提供しなければならない。それは義務です。やらない とホスピスという名前を使ってはいけいないという厳しさがあるのです。ですからここ では明らかにこれからたくさんのケースがあるでしょう。例えばしばらくの間は、家族 はあまりネットワークの人と会いたくないとか、しかしもしかして半年たってから、あ るいは場合によっては9ケ月たってからまたです。ですから両方からはっきりしたほう がいいと思います。  やはりネットワークの方々の自己理解、自分にはどういう責任があるか。ただ一回接 触したそれで仕事は終わったとか、あるいは場合によっては少なくとも1年間以内は、 パートナーとしてあるいは話相手として自分は家族に対して責任があるということは、 そういう時間のことは考えたほうがいいと思います。  柳田委員  私がこの案を作ったときの考え方は、この検証会議の検証項目が3項目です。つまり 脳死判定、臓器提供、ネットワークの業務、この3つについては明確に基準やマニュア ルがあって、それをちゃんとやったかどうかでこの検証作業があるわけです。  それプラスその他として家族の心情等の把握というのが加わったわけです。ネット ワークの業務に関する検証は、いまいいましたようにきちんと3項目の1つに入ってい るわけですが、家族の心情等の把握をするときには、どうしてもネットワークがどうか かわったのかということが、避けて通れない問題になっているわけです。重複するので すが、ここに1項目書いておいたほうがいいという理解の仕方です。  業務に関する検証は、手続き的な極めてマニュアル通りにやったとか、やり過ぎはな かったのか、ということになるわけです。それで解決できない、あるいは済まないもう 少しのいろいろな会話のやりとりとか、その後のフォローアップとか、その辺りのとこ ろは、別に移植ネットワークの義務ではないが、かかわらざるを得ない業務としてやっ ている。そこから見えてくるものが、家族の状況把握についてはある。そういう理解で こっちに改めて第1項目にそれを書いたということです。おそらく行政側の考えかたも そうだと思います。  藤原座長  私もそう考えております。  柳田委員  ですからかかわり方というのは、概念はマニュアル的にはっきりしたものではなくて 、現実にあるもの、こういう形で行われているということを取り敢えずは把握するとい うことではないかと思います。そこで間違ってはいけないのは、原案にあった精神的支 援という言葉を使うと、きわめてこれは臓器ネットワークとしては移植ネットワークと してはそういう業務は我々にはできないと言うものは元々ありましたし、またそうすべ きではない中立性の問題がありますから、これは使ってはいけない言葉であると思いま す。 そういうふう理解です。  宇都木委員  それとの関係です。後ですべきことかは思いますが、手紙のほうにかかわり方につい てのことが何も入ってないのですね。それも入れていただいたほうがいいのではないか な。  平山委員  それに関してです。状況的に見ると移植ネットワークの方々もずっと続いてご遺族の 方にかかわる。場合によっては必要に応じて専門家がかかわるという構図であると把握 してもよろしいでしょうか。イメージとしてはね。そうしますとそれの関係性というも のが、非常に客観的なものならば割合ときちんと出ますが、そこのところをうまくしな いといろいろな面で問題はないでしょうか。  宇都木委員  私の理解と違うのかもしれませんが、少なくとも(1)はネットワークのかかわり方とい うことで、それをこの班が検証するということであると思います。先生が専門家がかか わるとおっしゃいましたことは、把握するという形でかかわるのでと私は理解している のです。  藤原座長  ちょっと戻って、手紙の中にコーディネーターのかかわり方が全くないということで したが。  宇都木委員  はい。手紙の1ページの真ん中の今回というところで、すぐ心情を伺わせていただき たいとあるのですが、ネットワークのあり方についてのご意見も伺わせていただいたほ うがいいのではないかという意味です。  藤原座長  先ほど柳田先生がちょっとご説明されたように、ネットワークの一般業務的なことは 別なところで検証しますね。その人達がいろいろなことを通して説明する。その中で微 妙な心情面のことも当然触れているはずですね。そこをここで改めて検証するというこ とになってますね。そういう中で、ここのセンテンスだけでは表現できないだろうとい うことですね。ネットワークについてもここで敢えて文書として取り入れないとまずい のかなということですね。  私はここのところは個別にどこの何がどうだということは、敢えて書かなくても、か なりフワーとした形で、極端にいえば例えば報道関係とのかかわりはどうですかという ことも含まれる。いろいろな諸々のことがあり得るのかなという気もしまして、私はこ の文書でもよろしいかと思いました。柳田先生いかがでしょうか。  柳田委員  よろしいかと思います。  藤原座長  よろしいですか。ですからこの中にもあらゆるものを含んでいるということの理解で すね。他に何かございますか。手紙、フローチャートですね。  柳田委員  用語の厳密的な意味では承諾なさったご心情というところが、ネットワークの意味を かなり盛り込むとすれば、承諾なさった経過とご心情ということでしょうね。  心情というのは結果として起こっている内面の問題ですから、ネットワークが絡んだ 部分というのは経過でしょうね。無理して入れなくてもいいのですが、敢えて入れると すればその程度の表現です。  藤原座長  では元のものでも大きな問題はでませんですね。ではそのようにさせていただきます 。 他にございますか。  藤森委員  島崎先生がご意見の中でPTSDということで、非常に突出したPTSDの診断のク ライテリアを全部満たす人がいるかどうかは別にしても、そういうようないろいろな症 状を持たれる方が、1年を経過した、もしくは長期的な経過をしたあとに発症する場合 があるというようなことに対しての情報提供であったりとか、サイクエドケーション的 なアプローチが必要ではないかというご指摘があったのですが、今の段階では何もない んですね。例えばディジェクションされてしまった場合には、ただただひたすらお待ち するという状況で、何か先生のほうでこのようにしたほうがいいのではないかというよ うなご意見があればお聞かせ願いたいのです。  島崎委員  かなり時間がたってからの慢性化した状態でのご家族の心情なりPTSDの症状か出 たときはどうするのかということで、この検証委員会自身が、ずっと極端な話では5年 前にそういうことがあったということで、この検証委員会が引きずるべきであるのかど うかは、僕はそれにはあまり賛成はしませんが、そういう窓口は絶対に必要だと思うの です。  僕は2ページ目のコーディネーターが何らかの形で恐らくかかわってこられるシステ ムが、例えば2ページ目の一番下のような形で、別途家族に対して時間がたってから話 があるようなことがあるかということで、連絡先なり等を含めてご家族にお話になって おられれば、いつの日には何かあった場合に行けるかなということで、これで担保でき るのかなという気はしたのです。  その時に専門診療はネットワークなり、あるいはネットワークから直接この検証会議 にでも、こういうことがあるのでどなたか専門家ということであれば、その段階で我々 が直接かかわるということではなく専門家を紹介するとか、そういうことを具体的に頭 の中で考えていたのです。これでいけるのではないかという気はするのですが、いかが でしょうか。  藤森委員  先生がおっしゃるこの会議の範囲というのはあると思いますが、多くのそういう症状 なり、ウツであったりのいろいろな症状を抱えた方が、ご自分はいまおかしいとか辛い ということを自己判断できない場合があったり、これは当たり前のことであると思って しまったりした場合には、コーディネーターにも相談するきっかけを失ってしまうとい うことがあるので、こういうことが起こるかもしれないというような、ある程度の事前 教育というか、情報提供というのが、少しなされたほうがいいのかもしれませんね。  島崎委員  コーディネーター自身への家族への取り組みの教育そのものの中に、そういうものは 必要でしょうね。PTSDに関するいろいろなことを教育していくというのは絶対に必 要だと思います。  藤森委員  今回もしお渡しする場合に、直接お会いすればそういうお話も私どもが提供できるの ですが、いやちょっと今は無理だとか、もっと先に伸ばしたいという方の場合には、コ ーディネーターの方から何らかの将来的に何か起きるかもしれないときには、ぜひ精神 的にはこういう状態かあるかもしれないという予備情報を、コーディネーターが方がお 持ちになってないと説明もできないということが起こりうるという可能性があるので、 それを危惧しているのです。  島崎委員  それはぜひ教育の中に、おそらくそのPTSDに関してだけということではないので すが、ご家族に対するいろいろな心情等を含めた家族へのコミュニケーションの取り方 等を含めて、教育は絶対に必要だと思います。  藤森委員  ある種、お願いをしにいったときに、いますぐ会えない、文書でも回答できないとい う方、文書だけの方もそうですが、私どもがお会いする中で提供できる情報が、そこで コーディネーターの方に代行してもらわないと、ご自分が大変だということに気づかな いで非常に苦しまれているということが起こりうる可能性があるし、この委員会へのア クセスもとらない。コーディネーターともとらないということが起きてしまう可能性が あるので、お手紙をお渡しするときの文書の中に、コーディネーターの方のマニュアル のような中に、そういうことを少し入れておいたほうがいいのかなと、今感じていると ころです。  藤原座長  つまりそういう場合に、検証会議としてはもう一歩エデュケーションも含めて立ち入 るというお考えでしょうか。それともコーディネーターにそれを依頼するということで しょうか。  藤森委員  現状ではコーディネーターしか直接に最初の第一歩はお会いできないわけですよね。 ですからそういうところでこういう大変な体験をされた後には、こういうことが起きる かも知れないということを、もちろん起きない人もたくさんいらっしゃいますが、ご本 人とか周囲のご家族がそれがわかって、ちょっとおかしいと思ったときに、コーディネ ーターが例えば専門家を紹介するのでもいいのですが、相談をしてほしい、窓口がある のだということをプレゼンテーションしておく必要性があるという意味です。  藤原座長  わかりました。ちょっと外れているかれしれませんが、先ほどコーディネーターの方 々と話をしてまして、本当に何ケ月もたってからでも、向こうからも電話がくるのだそ うです。いろいろな相談があるのだそうです。そのときに具体的にどうなさっているの か、私は確認はしませんでしたが、それに相当する場合に何かあったほうがいい。それ は専門家の目で見て、こういうサゼッションもいいのではないかということをコーディ ネーターにも与えてはというご理解がよろしいでしょうか。  藤森委員  現実的に、いま先生がコーディネーターの方から直接お伺いになった状況では、もう 自然発生的にそういうことが起きているということだと思います。コーディネーターに は、終わったらあまり連絡してはいけないのだと思い込んでしまうご家族も、もしかし たらいらっしゃるかもしれないので、いつでもオープンドアでコーディネーターは大丈 夫、受け付けますということを一言添えておくと、少し違うのかなということです。  藤原座長  現実にはずっと続いているのだそうですよ。特別にいなわなくてもね。  柳田委員  今のことに関連です。この文書をコーディネーターにお願いして渡していただくとき の会話がとても大事だと思います。それがいま藤森委員がおっしゃったような意味で、 今後の問題を含めて、こういう検証会議というところに十分に窓口としてありますとい う表現の仕方ですが、そこをぜひコーディネーターの方に工夫していただきたいと思い ます。ただポンとこういう機関があってアンケートが来てますから対応してくださいと 素っ気なくいうのか、それとももう少し丁寧にそういう家族のその後の問題を含めた、 藤森委員がいったような絡みでお渡しするのか、その辺りを十分に検討していただきた いと思います。  デーケン委員  いまおっしゃったように、私はちょっと心配するのはコーディネーターはまず技術的 にあるいは法律的に全部きちんとやるというのはまず問題意識は強いと思います。それ はもちろんいいですね。大切です。  でもどうしてもその仕事とその後、遺族との接触のかかわり方は随分違うレベルです ね。ですから遺族とのかかわり方はどうしても悲嘆のプロセスについてとか、あるいは 言葉の使い方でそういう教育は望ましいと思います。  藤原座長  それは具体的に立ち上げる段階で個別の言い回しというのを専門の委員の先生からご 意見をいただいて、コーディネーターたちとも話をするということに実際はなりますか ね。他に何かございますか。  そうしますと今度のこの案で大体お認めいただいたと理解してよろしいでしょうか。 では今回、提示された案で今後作業を進めることとさせていただきます。よろしいでし ょうか。さらにちょっと確認しておきたいことがございます。何かご意見がありました らいただきたいと思います。  第1回の会議におきまして、昨年の9月に鼓膜損傷のために脳死判定を中止した事例 についても検証を行うことを確認しておりました。次回検証を行う予定となっておりま す第8例目の臓器提供施設が、この時の脳死判定を中止した事例の提供施設と同じ施設 ですので、第8例目の事例と合わせて脳死判定を中止した事例についても検証させてい ただきたいと思います。この点についてよろしいでしょうか。そのようにさせていただ きます。  次にドナー家族の心情等の把握についてです。その手順については本日結論を得られ ましたので今後の取扱いを確認させていただきます。  以前、確か第5例目につきまして、あっせん業務の検証の観点からは家族の心情等の 把握までは必要ないと判断させていただきました。ドナー家族からの心情等の把握する 趣旨として臓器移植に対する社会の理解を深める、このことも含むこととさせていただ きましたので、これに鑑みまして、第5例も含めて適宜、各事例についてこの心情等の 把握の手続きを行いたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。ではそのようにさ せていただきます。  その他特に事務局から何かございますか。  大澤室長  ありがとうございました、ドナー家族の心情等の把握についてご結論を得ていただき ましたので、今後、コーディネーターがそれぞれの家族に接触する機会というのが、タ イミングとかやり方とか、いろいろとまちまちなので、きょう柳田委員と藤森委員など からご指摘のありました接触の仕方も含めて、慎重にコーディネーターから私どもの意 図が正しく伝わるように事務局から十分にご説明をさせていただき、どういうやり方を するかについてはネットワークのコーディネーターともよく相談して、本日の会議の趣 旨に沿った形で対応できるように準備をさせていただきたいと思いますので、どうぞよ ろしくお願いいたします。  藤原座長  ありがとうございました。  川口委員  1点だけ発言させてください。いつも議事次第のところで、今回のことはドナー家族 の心情の把握についてはこうやっていただいているのですが、資料の回収される場合が ありますね。プライバシーということですね。私はそのままこの委員会の役員が全部を 見れないということではなく、それぞれの専門分野の先生方がせっかくおられるのです から、何か後で検証できるというか見られるようなシステムというのは、事務局のほう がお考えいただけないでしょうか。  もう一つは、ドナーの検証会議であるというのはよく存じあげております。でもやは りレシピエントは、いただいてよかった、よかった、元気になりました。それで終わっ てはいないのですね。ですからぜひこれを踏まえてレシピエント側の精神面、コーディ ネーターのこともどこかで考えていただけたらと思っております。  大澤室長  本日のようにお配りした資料についてはその都度回収させていただきますが、医学的 な検証、あっせんの検証も含めて報告書でまとめた段階で、家族のご承諾を得た上で公 表をするというふうにご案内のとおりにさせていただいております。  またそれぞれの医療機関については、記録を残しておくようにという、これは法律上 の義務がかかっておりますのでそれぞれ残されているということです。ただ検証会議と いうか、全く当該個人なり、個人の方とは全く別の方が、それぞれの病院にいってご家 族の承諾もなく見るということはおそらく難しいだろうと思いますし、それはそれでま た別の仕掛けを考える必要かあると思いますが、記録そのものは廃棄されることではな く、一定の期限付きですがそれぞれの病院にございます。ご家族の承諾があれば、いつ でもみられる状況にはなっております。  川口委員  私のいったこととはちょっと違うかもしれません。先ほどいただいた資料があります ね。それの報告というのではなくそのままのものを、例えばこちらの専門の先生方とか がもう一度見たい、あの時にこう書いてあったがどうであったということに関しての見 せるというか、公開ということです。例えば臓器対策室に伺ったら、きょうの回収され た資料を見て検証するとかということはできないのでしょうか。そういうことも難しい でしょうか。  大澤室長  基本的には難しいと思います。というのはこの検証会議で検証することを前提として 、実はこれは個々にご家族の承諾をとっておりますので、もし改めて、また別の形でそ れを検証しようと思えば、それはその都度またご家族の承諾を得て、また原資料から集 めて編綴するなりしないと、元々ご承諾を得た趣旨とやや離れる危険性がありますので 、それはその都度ご承諾を得る必要があると思います。  したがいまして、役所としてもそういう情報はこれは個人情報にかかる部分でござい ますので、なかなか検討会議の資料としても、ご家族の承諾があれば別ですが、そうで なければ一般的にお見せするのはなかなか難しいと思います。  先ほどご質問のありました2点目のレシピエント等のご指摘につきましては、そうい うご意見があったことを、これは多分制度問題というか、新しい仕掛けに係る問題であ ると思いますので、来年以降、審議会の構成がどうなるのかまだ未定でございますが、 関係する審議会のところで、そういうご指摘があったことについては、それを踏まえて ご検討いただくなりしかるべき対応をさせていただきたいと思います。  川口委員  わかりました。ありがとうございます。  藤原座長  今の問題は、例えば肝臓の生体肝移植を受けた患者さんがいっぱいおりますね。その 方々が提供をうけた後にどういう状況なのかということを、我々肝臓をやっている者の 中の専門家の中で研究会等で審議はしているのです。するとかなり心情面でいろいろな 意味での苦しみもあるということも聞いております。これは国としてはどうかわかりま せんが、私どもの学会レベルではやってございます。  他にはございませんか。では本日の会議を終了させていただきます。ありがとうござ いました。                                   −終了−          問い合わせ先:厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室                 電 話: 03−5253−1111          担 当: 小森(2362)、衣笠(2366)