00/12/21 第2回肝炎対策に関する有識者会議議事録    第2回肝炎対策に関する有識者会議              議  事  録           第2回肝炎対策に関する有識者会議議事次第 1 日  時 平成12年12月21日(木) 14:00〜17:01 2 場  所 霞が関東京會舘ゴールドスタールーム (霞が関ビル35階) 3 議  事 (1)参考人からの意見聴取   (1)患者の立場から       ○日本肝臓病患者団体協議会・肝臓友の会 事務局長 高畠 譲二       ○全国肝臓病患者連合会・東京肝炎の会 相談役 西河内 靖泰       ○東京HIV訴訟原告団           世話人 大平 勝美        大阪HIV訴訟原告団           代 表 花井 十伍       ○全国肝臓病協議会           会 長 油井 清治   (2)学会・研究者の立場から       ○日本輸血学会           幹事 稲葉 頌一(九州大学医学部附属病院輸血部副部長)       ○日本透析医会           会 長 平澤 由平       ○大阪大学微生物病研究所           教 授 松浦 善治   (3)行政機関の立場から       ○三重県健康福祉部 医療政策課 医療対策調整監 田畑 好基 (2)その他 ○健康危機管理官  傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております 注意事項をお守りくださいますよう、お願いいたします。  定刻になりましたので、第2回肝炎対策に関する有識者会議を開催いたします。  なお、本日は、委員のうち齋藤委員が御欠席でございます。また、曽野委員につきま しては、御出席の御予定でございましたが、先ほど御連絡がございまして、体調がすぐ れず急きょ欠席ということでございます。また、厚生省側の出席者でございますけれど も、堺審議官につきましては、昨日内示がございました来年度の政府予算案の関係で与 党の会議に出席しておりまして、若干遅れて到着することとなってございます。  それでは、カメラについてはここで御退席をお願いいたします。  それでは、杉村先生、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○杉村座長  それでは、第2回の肝炎対策に関する有識者会議の司会をさせていただきます。  まず第一に、お手元にかなり資料が参っておると思いますけれども、それの御確認を 願いたいと思いますので、御説明をいただけますか。 ○健康危機管理官  それでは、資料の確認をお願いいたします。  まず、有識者会議議事次第と書いてある1枚紙がございます。それから参考人発言要 旨というちょっと分厚い資料がございます。全部で47ページほどございます。それから 『東京肝臓のひろば』という日本肝臓病患者団体協議会から御提出いただきました資料 の2に相当しますが、別冊で薄い本が1冊でございます。それから肝炎対策に関する有 識者会議の名簿でございます。  それから、委員の皆様方のお手元には日程調整票を御用意させていただいておりま す。これは3回目以降の日程調整のためものでございます。会議終了時までに御記入の 上、机の上に残していただきますようお願い申し上げます。また、後ほどファックスで 送っていただいても結構でございます。  以上でございます。 ○杉村座長  日程調整票は配られていないんです。今日の会の最後までに配られればいいから、時 間が大切ですから始めさせていただきます。  本日は、前回お集まりいただいた方は御存じのとおり、肝炎問題に関係している皆様 方から直接御意見を承って勉強をしたいというふうに考える次第であります。  お集まりいただきました方々というのは、特に患者さんの立場として、日本肝臓病患 者団体協議会・肝臓友の会、全国肝臓病患者連合会・東京肝炎の会、それから第3番目 にHIV訴訟原告団、第4番目に全国腎臓病協議会、これらの4つの団体からの御推薦 の方々です。また、引き続き御意見を承ろうと思っておりますのは、学会及び研究者の 方々でありますが、第1に日本輸血学会、それから第2に日本透析学会、この両学会か らの御推薦の方々であります。それから3番目には、今日その御研究が新聞に出ていま したが、大阪大学微生物研究所の松浦先生の御研究について承るという予定でございま す。それからもう一つは、行政の立場から自治体独自にいろいろ肝炎対策というものを 取り扱っていらっしゃる三重県庁の方々、以上の方々から順次御意見を伺うようにいた したいと思います。  今、事務局から説明がありましたとおり、厚めの資料がございまして、この厚めの資 料に、その御発言の大要というようなものが記されておると思いますので、これを拝見 しながら御意見を拝聴するというふうにいたしたいと思います。  大変数多くの方々から貴重な御意見を伺うつもりでありますが、御意見を伺う件数が 多いものですから、大変恐縮でありますけれども、お一方10分程度の御意見をお述べい ただきまして、それから各委員の方々からの御質問の時間を5分間ぐらい設けたいとい うふうに思っております。いかがでしょうか。 それではそういうことで、早速、日本肝臓病患者団体協議会・肝臓友の会、高畠譲二 様からお話を承りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高畠事務局長 (日本肝臓病患者団体協議会・肝臓友の会) まず初めに、このような席で発言の機会を与えられたことに厚くお礼を申し上げま す。私も輸血によるC型肝炎の患者の1人でございまして、肝炎対策を総合的に推進す る立場から、お手元の資料にございます要望書と資料1から4に沿って述べさせていた だきたいと思います。 4点ありますが、最も優先して御検討いただきたいのは肝がんの予防対策の確立であ ります。肝がんの90%以上はB型、C型肝炎ウイルスの持続感染者から発症します。リ スクグループを特定して早期に対策を確立していただきたいと思います。そのために、 潜在する肝炎ウイルス持続感染者を特定する対策です。時間がありませんので、早口で 聞きづらい点は御容赦ください。 そのために要望書の(1)ですけれども、1992年以前に輸血・血液製剤、手術歴がある人 を対象にHCV抗体検査を受けるよう勧奨する公報をマスメディアの協力も得て実施し てください。2、老人保健法に基づく基本健康診査にHBs 抗原、HCV抗体検査を実 施してください。各保健所で希望者にHBs 抗原、HCV抗体検査を匿名で実施できる うにしてください。企業における検診や人間ドック等で40歳以上の希望者にHCV抗 体検査を実施するよう通知等で徹底してください。  次に、特定された持続感染者の健康管理と病診連携の構築でございます。この資料に 基づいた資料1という、私どもの会報のスクラップブックですけれども、新聞記事がご ざいます。それをごらんください。ある報告によれば、C型では自分がウイルスに感染 しているとは知らないで普通に生活している人が100 万とも120 万人とも推定されてお ります。対策としては、この点が非常に大事だと思います。  しかし、特定された持続感染者の健康管理と病診連携の構築ということでは、現状で は肝炎ウイルス持続感染者がすべて適切な指導や治療を受けられる医療体制にはなって いません。世界でもトップレベルの臨床の成果が、標準的な治療法としてどこで患者が 安心して治療が受けられる医療体制の整備が必要だと思います。そのために全国すべて の二次医療機関ごとに行政の協力も得て、一般臨床医と専門医療機関ときの連携システ ムを構築し、特定された持続感染者の健康管理と治療体制を整備することが大事だと思 います。この要望書の2ページに移ります。(2)としましては、一般臨床医に対するウイ ルス肝炎の正しい知識や治療法について各県医師会の協力を得て研修会等を実施する。 ここで大切なことは、肝がんを視野においた対応の重要性だというふうに私どもは考え ております。  ここで、別冊で『東京肝臓のひろば』103 号というのがございます。これをお示しし ます。本日も傍聴していますが、当協議会の天野秀雄が自覚症状がないまま、かかった お医者さんから、軽いとか大したことはないというような医師の言葉に、43歳で静脈瘤 破裂で発病した苦い経験から「働き盛りのあなたへ! 」と題した手記でございます。御 高覧いただければ幸いです。(3)肝臓学会認定医 (専門医) などの情報公開をしてくださ い。肝臓病専門医が患者や市民にわかるようにしていただけないだろうかということで す。(4)ウイルス肝炎持続感染者が療養や日常生活について相談できるキャリアクリニッ クをすべての公的病院に設けてください。マル5「肝がん予防・治療対策」のマニュア ルを厚生省として作成してください。 次に、既にウイルス肝炎を発症している患者への対策でございます。そのためには、 慢性肝疾患に対する治療戦略を確立して、治療及び肝硬変の進行を阻止することが必要 だと考えています。そのため、(1)ウイルス排除と肝機能正常化が6か月以上持続する完 全寛解率を上げるために、現在のインターフェロン6か月投与を最低1年間使用できよ うにしてください。(2)難治性のC型慢性肝炎に対する治療法として期待されているリバ ビリンとインターフェロンの併用療法を早期に認可してください。(3)肝機能正常化と線 維化抑制を治療目的としたインターフェロンの少量長期投与を認めてください。(4)対象 療法として効果が認められているグリチルリチン剤の投与制限を緩和してください。(5) 欧米諸国と比較して二、三倍は高いと言われているインターフェロンの薬価を引き下げ てください。この一例でございますけれども、4の査定が多いグリチルリチン剤ですけ れども、開業の先生方が余り注射をしたがらないという患者の声が多く寄せられていま す。適法ではありませんけれども、患者が1アンプルとか、2アンプル自費で負担をし た例もあります。(5)の一例としましては、韓国ではインターフェロン300 万単位が1瓶 1,200 円で購入することができます。日本ではたしか薬価が4,700 円ぐらいですから、 約4分の1の値段です。実際に買ってきて投与されている患者さんもおられます。 次に、肝硬変・肝がんの治療についてです。肝硬変に対する温存療法、栄養学からの 食事治療など肝がんへの進行阻止、合併症の治療研究を促進してください。(2)肝がんの 治療法は目覚ましく進歩していますが、施設によって治療法も技術レベルも異なってい ます。治療法の標準化などガイドラインを早期に作成してください。要望書の3ページ に移ります。肝がんの治療法として期待されているラジオ波焼灼療法を早期に健康保険 の適用してください。2番目の点としてウイルス肝炎の正しい知識の普及と啓蒙でござ います。前書きは時間の関係で省略させていただきます。その対策としては、ウイルス 肝炎の正しい知識の普及啓蒙を保健所、行政、専門医の協力を得て市民講座やパンフを 配布するなど具体化してください。採用選考時に差別につながるウイルスマーカー検査 の導入をしないよう、都道府県、指定都市、経済団体、産業医学界等に通知してくださ い。(3)高齢者介護施設や介護保険委託業者を対象にウイルス肝炎の正しい知識の研修会 等を開くなど普及啓発をしてください。(4)日本歯科医師会、日本医師会などを通して 「ウイルス肝炎感染対策ガイドライン」改訂ローマ3版の普及を徹底してください。 資料2はお示ししていませんけれども、このような立派なものができていますが、広 く開業の先生方には徹底していないということが大きな問題になっております。(5)「肝 臓週間」、今年10回目の記念すべき年でした。全国的に実効ある週間とするために、都 道府県や政令市、中核市ごとに地方公共団体、日本肝臓学会、医師会、歯科医師会、薬 剤師会、栄養士会等医療関係団体、社会福祉協議会、福祉サービス提供団体、教育委員 会、PTA、患者団体を含めた「肝炎対策シンポジウム」などを開催するなど、広く市 民を対象にしてウイルス肝炎の正しい知識の啓蒙・啓発活動を実施してくださいかま た、自治体ごとの「肝疾患検診」の制度化と治療体制充実のための準備を推進してくだ さい。  ここで資料3をお示しします。これは東京の警視庁の試験を合格した青年の採用選考 時における検査項目の内容です。4番目にHBS 抗原が陽性の場合、検査データの写し を添付してくださいということがありましたけれども、神奈川県警を受けた同じ検査 で、2人の青年が無症候性キャリアだという理由で就職の道を閉ざされてしまいまし た。ある県では町村の職員採用時にHBS 抗原検査があると報告があります。また、大 手の自動車メーカー、最近では介護保険に伴う高齢者福祉施設、ヘルパーさんにウイル スマーカーの検査が導入されているようです。東京では2人の青年が裁判が争っており ます。仮にキャリアであっても働く意思と能力によって、適切な職場が確保されること を切に望みたいと思います。  すみません、これでまた元に戻らせていただきます。今度は3番目の肝炎患者の救済 についてでございます。 ウイルス肝炎の感染経路は種々論じられていますが、戦後の社会的な背景や不適切な 医療行為など人為的な行為で感染が拡大したことは明らかであります。患者感染者は医 療という公共政策の中で生じた被害者と言っても過言ではありません。したがって、公 共政策の枠組みの中で救済を求めたいと考えています。最後の4ページ目です。そのた め(1)ウイルスに起因する肝臓病患者を特定疾患治療研究事業の対象疾患に加えていただ きたい。(2)療養が長期にわたり、高額な医療負担に苦しむ重い肝臓病、透析を要する腎 臓病や血友病、血液製剤投与に起因するエイズ感染者に適用されている各医療保険の高 額療養費制度の「特定疾病」の対象疾患としてください。 (3)肝機能障害を「身体障害 者福祉法」の内部障害として認定してください。※は割愛させていただきます。(4)肝炎 患者の生活保障として障害年金の制度がありますが、認定基準が厳し過ぎて不支給にな るケースも増えています。認定基準の制限を改善してください。(5)輸血血液製剤による 感染被害に無過失救済制度を確立していただきたい。 4つ目です。肝炎対策費の予算の増額。ウイルス肝炎の治療法は進歩したとはいえ、 まだ確立されていません。予算を増額して難治性肝炎に対する治療研究、治療薬の開発 を促進してください。(2)慢性肝炎・肝硬変・肝がんは一連の病気です。縦割りの予算で はなく、総括した予算で効率的な研究をしてください。(3)総合的な肝炎対策を推進する ために、時限立法化も検討していただきたい。  最後に、5番目の血友病以外の治療に非加熱血液製剤を投与されたHCV感染被害、 これは資料4でございます。これは今年の10月31日から11月10日まで8日間で552 件あ りました。これは後でごらんになっていただければいいんですけれども、これも不作為 による感染経路の一つとして適切な医療の提供と患者救済について御検討いただきたい と思います。 以上でございます。ありがとうございました。 ○杉村座長  大変要領よくはっきりと御開陳いただきまして、どうもありがとうございました。 それでは、各委員の方から、どなたか御意見あるいは御質問等々がありましたら、ど うぞ御自由に。 ○飯野委員 今ありました中の幾らかは、現在、肝臓学会あるいはウイルス肝炎研究財団などで対 応していることについてちょっと申し上げます。  2ページ目の一番上の一般医に対する知識や治療法ということで、これは今年度から 肝臓学会として、各県単位で医療関係者の勉強会を日本医師会と共同してやっていこう ということになっております。  それからその次の3は、肝臓学会のホームページに載っていると聞いております。そ れからずっと下りまして、次のウイルス肝炎を発症している患者への対策ということの (2)ですけれども、リバビリンとインターフェロン併用は、予定では、年末にダブルブラ インドですからキーオープンのはずでしたけれども、ちょっと遅れまして年明け草々に は結果が出ます。それから整理をして申請がなされると思います。  その次の3ページの大きい2の中の(4)ウイルス肝炎、先ほど見本をお見せいたしまし たけれども、あれは吉澤先生と三、四年前に改訂しただけですから、更なる改訂が必要 というふうに考えております。普及させるにしても、その後にすべきだろうと思いま す。  以上です。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。今お手元にあった黄色い表紙のものですね。それは 1995年と書いてありますけれども、それを改訂されて。 ○飯野委員 御指摘いただいたので、これから早速、なかなか手が回りきれないもので。 ○杉村座長  お忙しいでしょうけれども、よろしくお願いします。  ほかには。 ○吉澤委員 2ページの(2)のところの『老人保健法に基づく「基本健康診査」に』云々と書いてあ ります。これにつきましては、幾つかの県ではテスト的に始めておりまして、希望者を 対象としますと、大体50%を超える受診率となっております。問題は、その見つかった 後どうシステマティックに健康管理に持っていくかというところですが、今厚生省の研 究班の仕事の一環として、検討している最中です。これから詰めていかなきゃいけない ことだと思います。ここのところで大事なのは、HBS 抗原、HCV抗体検査と書いて あります。HCVについては抗体検査をしてもだめでありまして、抗体検査は第一次スク リーニングの検査で、受診者が抗体が陽性と判定されたら、陽性者の中からウイルスが いる人といない人というところまで判別をきっちりした上で臨床医に託すというシステ ムにする必要があると思います。  ちなみに、検出感度の非常にいいと言われる抗体チェックシステムで検査しますと、 抗体陽性者の40%ぐらいにウイルスがいて、6割ぐらいは抗体はあるんだけれども、ウ イルスがいないという人が見つかってまいります。ですから、これからはウイルスがい る人を見つけだすための合理的な検査法を普及していく必要があると思います。 それから(4)の企業検診のところなんですが、厚生省と労働省が一緒になるということ でいい時だと思うんですが、企業検診の場合には、ウイルスを見つけることが後になる んです。まずGPTを見まして、肝機能異常があった人についてのみウイルスの有無を 検査するというシステムが定着してしまっております。ウイルスがいても肝機能異常が ない人がいっぱいいるわけですから、まずウイルスの検査をし、そしてウイルスがいた となったら、肝臓のコンディションをみていくという検査手順の入れかえをしなきゃい けない。この辺については、今からですが、やはり研究者側としではデータを出しつつ 詰めていかなきゃいけないことだと思っております。 ○杉村座長  今、先生がおっしゃったウイルスというのは、抗体の意味ですか、抗原の意味です か。 ○吉澤委員 C型肝炎ウイルスの場合は、抗体陽性の人の中にウイルスがいる人と感染既往つまり 治ってしまった人とが混ざっているわけです。ウイルスがいるというのは、そのウイル スを抗原と言っていいのでしょうか、ウイルスそのものなんです。B型肝炎の場合には HB抗原陽性にあたりますが。 ○杉村座長  抗原ですね。 ○吉澤委員  そうです。 ○杉村座長  どなたかほかに。 ○遠藤委員  3ページのインターフェロンの価格についての記述がありまして、韓国の事例をお出 しになられまして、4倍ぐらいの格差があるという御指摘があったわけですけれども、 文章には欧米諸国と比較しても2ないしは3倍の差があるということですので、欧米の 主要国のインターフェロンの価格と比較しても、我が国はこのぐらい差があるという、 そういう事実があるというふうに理解してよろしいわけでございますね。 ○高畠事務局長  それは私どもが調べたわけではありませんけれども、かつて大阪の保険医の団体が調 べた中にあった、そこがもとです。 ○遠藤委員  私自身は関心のある内容で、私自身も調べてみたいと思います。 ○杉村座長  遠藤先生よろしゅうございますか。 ○遠藤委員  はい、ありがとうございました。 ○杉村座長  どうぞほかに。  それでは、時間も経ちましたので、ここら辺で大変ありがとうございました。  次に、全国肝臓病患者連合会東京肝炎の会の相談役をしておられる西河内さん、お願 いします。 ○西河内相談役(全国肝臓病感謝連合会)  西河内でございます。私の話は手短に済ませまして、お手元にある資料に載っておら れます患者さんに直接発言をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしま す。  お手元に配りました資料の一部訂正がございます。「会の沿革」と書いてある、その 次の「1980年」と書いてある部分ですが、年数が「1981年」、括弧の中は「56年」にな ります。それからその下の「筋肉注射」と書いてあるところは「静脈注射」の間違いで すので、それぞれ御訂正をお願いします。 ○杉村座長  資料の11ページですね。 ○西河内相談役 はい、そうです。よろしくお願いします。 会の沿革等は資料を読んでいただくということで、こちらの方から説明はいたしませ んので。  私は10年ほど前まで事務局長をやっていました。それから東京の特別区の保健所の予 防課で仕事をしておりまして、1982年から1987年12月まで予防課というところで伝染病 予防や感染症対策や、そういう関係の仕事をやっていまして、エイズの問題が起きたと きもその担当していました。 私の後にお話をいただく方は、先ほど訂正をいただきました1981年非加熱血液製剤投 与によるC型肝炎になった中部地方の30代の男性の方です。この方に後でお話をいただ きますので、私どもとしましては、ここに挙げている緊急要望だけを読ませていただき ます。  1つが止血用としての輸入非加熱血液製剤の投与を受けた患者、1992年 (平成4年) 以前に輸血を受けた患者の実態を早急に調査し、B型・C型肝炎検査を広く呼びかける 体制の整備をしてほしい。基本的にここに出ている要望は、前の団体の方が言われたよ うな要望とほとんど同じになっています。 私は保健所の職員でそういうものを担当していましたので、B型肝炎の母子間感染が 始まったときにその事業も担当いたしました。そのときに、厚生省さんの取り組みとい うのが非常に心強く思いました。対策に当たって差別、偏見が起きないような形で様々 な工夫をなさって、そして協力をしていただいた。これからやっていただく対策の中 で、かつての経験があると思うので、十分そこも配慮はしていただけるものだと確信し ております。いろんな問題が起きて結局こういうふうになりましたけれども、かつての 母子間感染のときにやられた、その対策の基本精神を忘れなければ、絶対にいい方向に 行くというふうに私どもは思っております。 それでは、私の話はこのぐらいにいたしまして、直接患者さんのお話を聞いていただ きたいと思います。よろしくお願いします。 ○参考人  概略から申し上げます。1981年に左目にけがをいたしまして眼科を受診しました。そ の際、前眼房出血ということで安静という指示が出ております。その翌日、頭痛がした ため小児科の方へ受診をいたしまして、当日の外来担当のK医師という方が、今後出血 のようなことが起きてもいいようにということで、予防としてよい薬ができたから使用 しましょうということで、これは10回打てばいい、10本使えばいいということで話を受 けました。それで注射を受けております。その際、薬品名及び製品名、それは尋ねたん ですが、とても効果のある薬だからということで一切名前は教えていただけませんでし た。それに対しまして、私どもは医師を信用いたしまして使用したわけでございます。 使用後、薬の文献の方を手にしまして、そのときに初めて血漿の分画製剤ということが 判明いたしまして、注射を打った翌日から発疹、それから嘔気、嘔吐、下痢、高熱とい うことが順次症状になってあらわれまして、8月27日の時点で点滴を打ったんですが、 その後終了しても動くことも立ち上がることが全くできなくなりまして、その場で1日 だけ様子を見ようということで入院いたしました。その際に血液検査をとりあえずして おこうということで検査をしております。そのときの結果が出たときに、この数字がG OT、これが3,320 、GPTこれが2,340 、LDHこれが1,980 という相当異常な数字 が出まして、肝炎であるということがわかりました。出血予防のために使ったのです が、この際使用した薬がクリスマシンということが判明したんですが、この副作用であ ることは確かだということで、その後、今度はHIVの方の検査の方を、私どもに知ら れないままでやられまして、その際に、これは実費で払ってほしいと、特殊な検査だか ら払ってくれということで8,000 円支払っております。その際、HIVの検査というこ とは全くわかりませんで、その後に判明をしたんですが、私どもにわかる前、これまで に3年位の間に5回ほど同じ検査を受けております。その際、全くHIVの検査という ことが私どもに知らされておりません。その後、1994年なんてすが厚生省の中の薬害の 救済制度ということがわかりまして、そちらの方に申請をいたしました。同じ年の11月 になるんですが、約4か月後ですが、不支給ということで通知書が届いております。 ○杉村座長  通知書の前におっしゃった言葉、ちょっと聞き取れなかったんですが。 ○参考人 薬害救済の方の制度があるということで、そちらの方に7月の時点で申請をしており ます。救済申立てですね、それを行ったんですが、11月23日なんですけれども、不支給 決定通知書というのを受け取っております。11月21日付で送られております。その際 に、薬害救済のうちの薬害には入らないという回答が出ております。その後、12月に再 審請求ということで、これを起こしておりまして、1回目のときに申請をする際に、ク リスマシンの使用によるものという医師の記入はいただいておりますが、2回目再申請 を行ったときに、もう一度特別に医師の証明書をいただいております。それを添付して 再申請という形で送っております。  その後、97年の3月になりまして、やはりこれは承認できないという回答が届いてお ります。その際の理由なんですが、C型肝炎はウイルスによって発症しているというこ とで薬品とは関係がないという回答が送られてきています。薬品の文献の方には肝炎の 発症の可能性が高確率であるということが書かれております。その後、私が高校3年生 になりまして進路の問題が出てきましたが、その際に学校の方から、これは勉強とは全 く関係ないんですが、C型肝炎の方、これがウイルス性なので感染をするということ で、病気がうつるから退学しろと私の方に言われております。それで教室には全く入れ てもらえない。学校に通えば追い返されるということを繰り返しまして、結果的に進路 をふさがれております。その後就職等の問題が起きましても進路がふさがれております ので、治療費等にも困るような状況になっております。  その後に、職業安定所「ハローワーク」の方とも相談をしたんですが、その際に回答 として寄せられたのが、身体障害者手帳をもし持参すれば、何らかの方法があるんじゃ ないかということで職安の方からいただいております。あとは外見上の方は、私、この とおり五体満足なので、逆に社会的なものからは白眼視されるということが多くなりま して、あとは私をごらんいただければわかるんですけれども、髪の毛の方も短くしてい るのは、湿疹ができるために髪形を短くしております。これもやはり内服薬を長期にわ たって使用しておりますので、その副作用と思われます。 一番最初にクリスマシンを使った病院ですが、そちらの方から、私、体調を崩しまし て検査を行うということで、その際にC型肝炎をやっているからということで、病院の 方からも差別をされました、それに対して私も耐えきれないことがありました。そうい うことがいろいろありますので、各先生方のよき御判断をお願いしたいと思います。 あと厚生省側に対しまして、医機発600 号という書類、これは理事長名で正木 馨様 でしょうか、それから薬発第465 号これが厚生省薬務局長及び厚生省収薬第616 号、こ れには、当時、厚生大臣小泉純一郎発行の書面なんですが、この書面の内容を再検討し ていただきまして、もう一度考慮いただくようにお願いしたいと思います。 あと、私、10年を超えておりますけれども、やはりこういったトラブルに巻き込まれ ておりますので、こういう苦しみをわかっていただきまして、時間の都合で概略しか申 し上げませんでしたが、御考慮願いたいと思います。  なお、御質問があれば、私はまだ子どもでしたので、わかる範囲でお答えしたいと思 います。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。もう一方、御意見を御陳述になるわけですか。 ○参考人 すみません。こちらは母親になります。 ○杉村座長  どうも失礼しました。 ○参考人 (母親) 当人に言えていないこともありますので、もし御質問があったりして困ることもある かと思いまして同席させていただきました。 ○杉村座長  わかりました。それでは、今の西河内様からお話がありまして、それから患者さんの お名前はちょっと伏せさせていただいた方がよろしいですね。ここには中部地方30代の 男性の方というふうにここに書いてありますので、そういうふうにここでは使わさせて いただくということでよろしいですね。 ○参考人 はい、結構です。 ○杉村座長  では、そういうことで、委員の方、どなたか御質問ございませんでしょうか。特に臨 床にお詳しい方もあるでしょうし、これはこういう実例の提示を行っていただいて、そ して問題がどの辺にあるかということを私どもが理解するということと了解しておりま すので、総論的な御質問でも結構でございますし、あるいは今の事実の御説明に関し て、「不支給」という言葉は、支給せずということだったんです。私はそれを聞き逃し たようなことがございますから、そういう細かなことでも具体的なことでも、どうぞ御 発言ください。 ○矢野委員  聞き落としているかもしれませんけれども、最初に発病してGOT、GPTが高いと 言われたときは、非A・非B型肝炎と言われたんですか。 ○参考人  最初の診断はノンA・ノンBということで聞いております。 ○矢野委員  ここにC型肝炎発病と書いてありますけれども、C型肝炎という診断がついたのはい つごろになりますか。 ○参考人(母親)  C型肝炎は、多分平成4年ごろじゃなかったでしょうか、C型肝炎の検査ができると いうことになった時点です。 ○矢野委員  わかりました。 ○杉村座長  ほかにどなたか。 ○岸委員  先ほどHIV検査をされたというお話をしていましたね。これは順番だけ聞きたいの ですが、クリスマシンを投与されて翌日すぐ発症したんですか。 ○参考人  翌日ではございません。 ○岸委員  どの程度後に発症されたんですか。 ○参考人(母親)  翌日は体が少しかゆいという程度でした。それから日を追うごとに発疹が全身に出て きました。それから腹痛、嘔気、嘔吐、下痢というふうに、大体2週間ぐらいの間にお きまして、8月10日に第1回を打ったんですが、動けなくなってしまったのは8月27日 です。 ○岸委員 その後HIV検査を受けたとおっしゃいますけれども、それはどの時点での話です か。 ○参考人(母親)  そのHIVの検査というのは、約8か月から1年ぐらい経ってからだと思います。そ のときにHIVの検査ということを言われれば記録もできたんでしょうけれども、私、 細かく記録しているんですが、後になってから「検査の結果は陰性だった、よかった ね」という言葉をいただいたんです。同じ病院でやっただけじゃなくて、ちょっと不信 感を持ちましたので、肝炎会を通じて顧問の先生に特別に相談していただいて、そこで も検査をしたということで陰性でよかったということで、検査をやってから日数が経っ てからHIVの検査であったということがわかった次第です。 ○杉村座長  ほかには。  それでは、今の御開陳はよくわかりました。多分委員の方々はよく御了解になったこ とと思います。事実関係等々についても御異議がないかと思いますけれども、なお御質 問ございますか。  よろしいですか。あと一言足しておこうというようなことがあればどうぞ。 ○参考人(母親)  本人が先ほども少し申しましたが、ハローワークの方で身体障害者手帳を持ってきた らという言葉が出まして、なるほどそうなのかと思いまして、それから身体障害者の手 帳をいただけないかということにも奔走しました。これも受け入れていただけませんで した。それから、社会保険事務所と相談をいたしまして、何とか本人を助ける方法はな いだろうかということで、社会保険事務所にも相談をいたしました。そのときに障害年 金を請求したらどうだ、二十歳前からの病気だか。それに私はすぐに国民年金には入ら なきゃいけないというふうに自覚していたものですから、早々と強制になる前に入って いたものですから、そのことも社会保険事務所の方がおっしゃってくださって、そちら の方も申請させていただきました。やはり検査の基準が非常に厳しくて、とても承認す ることはできないと。これも再審までいきましたが、それも承認していただけなくて、 子どものときからですので、学資保険が切れた後、保険に入ることもできません、就職 もできませんということで本人はこれから先どうしてやっていけばいいのか。収入の道 はありませんし、先ほども出ていましたが、治療費も非常にかかります。そんなことで 本当に苦労していますし、青年時代もなし、少年時代もなし、青春もなし、そういう生 活をしてきておりますので、何とか助けていただきたい。薬害の方も、薬害救済資料の 中にきちんと血液製剤は対象外であるけれども、血漿分画製剤は除くとはっきりうたっ てありますし、クリスマシン文献の中にも、肝炎が発症するということも書いてありま すし、それを使った医師は、今開業しておりまして、その医師の診断書はないんです が、その医師の勤めていた大きな病院の院長が認めてくれています。その証明書もつけ ていますので、どうぞ薬害の方を何とかお認めいただきたい。先ほど申し上げました記 号どおりのコピーも持っておりますが、もう一度御検討いただいて、くどいようですけ れども、よろしくお願いいたします。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。いろいろな御意見もありまして参考になったと思い ます。ただ、ここの席がそういう審査をする席ではございませんので、その点は御了解 をいただきまして、御趣旨は十分に理解いたしましたので、どうも西河内様並びに中部 地方からの30代の方、お母様どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、東京HIV訴訟原告団世話人、大平勝美様どうぞ。 ○大平世話人(東京HIV訴訟原告団)  本日は、私、東京HIV訴訟の原告団を代表いたしまして出席させていただきまし た。発言の機会をいただきましてありがとうございます。  実は今日、同じく発言する予定でありました大阪の原告団の代表であります花井十伍 さんが急病で大阪の方から来られなくなってしまいまして、私の方で花井さんの方の発 言要旨につきまして代読させていただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。 ○杉村座長  よろしくお願いいたします。 ○大平世話人  それでは、先に花井さんの発言要旨につきまして代読させていただきます。        血液製剤によるHCV感染と感謝救済について               大阪HIV訴訟原告団               代表 花井十伍  今般、厚生省が総合的肝炎対策の検討に着手したことは評価します。しかし同時に、 余りに遅きに失した対応と患者代表を含まない有識者会議の人選は、患者の視点を欠い た時代遅れの対応であることも指摘せざるを得ません。  血漿分画製剤も含めた輸血療法により、ウイルス性肝炎に罹患するおそれがあったこ とは、1970年にB型肝炎ウイルスが発見されるまでもなく常識でした。これらの治療の 利益に隠れた不利益について、医療現場においては容認すべき不利益とされていまし た。例えば、私たち血友病の患者には「血清肝炎は血液製剤の使う限り我慢すべきも の」などの説明がなされていました。しかし、医療者側のこうした姿勢は、血液製剤業 者の安全対策推進の動機づけを損なう結果をもらたらしました。  現在、世界各国において血液製剤の製造に関し、原料血漿から不活化技術に至るま で、最大限の安全性を優先する流れとなっています。これはひとえに血液製剤を投与さ れた多くの患者がHIVに感染し、その生命をもって警鐘を鳴らした結果であることは 疑いもありません。1980年代初頭、我が国において血液製剤とAIDSとの関係を理論 的危険性として対策を行った結果は周知のとおりです。医療における最終消費者と言え る患者の視点を欠いた議論が取り返しのつかない過ちを生み出すことに疑いの余地はな いと考えます。 本来、血液製剤は、原料である人の血液を介した感染症等の発生の危険性を完全には 排除できないものであり、安全監視体制に万全を期しても、なお発生した被害は、公的 な救済制度によって救済されるべきだと考えますが、適用外の治療で使用された血漿分 画製剤によって、HCVに感染したケースは紛れもなく薬害と言い得ます。  厚生省はHIV対策の教訓を最大限生かして、患者の視点に立ったHCV対策を速や かに実行することを求めます。具体的には、感染実態を徹底調査し、速やかに患者が適 切な医療を受けられる体制を構築すべきです。また、ウインドピリオドなど今後感染す る患者も含めた公的救済制度の実現もあわせて要望いたします。  以上です。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。それでは、大平さんどうぞ。 ○大平世話人  それでは、私の方の患者としての発言をさせていただきます。私は東京のHIV訴訟 の原告団の世話人をしております。血友病患者でHIVに感染した薬害エイズの被害者 の1人です。現在は、はばたき福祉事業団という患者自らが救済に積極的に働きかけて いる組織の代表をしております。  発言趣旨としましては、血液製剤によるHIV感染被害を受けた患者として、また自 らその救済に取り組んでいる救済団体代表として、また同じく血液製剤によりB型、C 型肝炎をほとんどの仲間が感染を被っている血友病患者の立場から、以下の点について 具体的、実効的な対策を提示していただきたいために発言をさせていただきます。よろ しくお願いいたします。  一、肝炎対策有識者会議に、患者団体代表の参加を改めて要請いたします。  二、発症予防等に対する治療の機会保障のための全国調査をしていただきたいと思い ます。  三、国を挙げて肝炎に対する最善の治療提供を早急に取り入れていただきたいと思い ます。  この根本的な考えは、私たちHIV感染の問題で患者の治療の機会が迅速な提供を受 けられなかったことによって、多くの患者がHIVの悲劇に中で亡くなっている。そし てまた、500 人以上の仲間が亡くなっているという悲劇を二度と繰り返してはならない というところに、諸先生方の御理解をいただきたいと思っています。 結果的には、HCVの問題につきまして、肝がんの問題がありますけれども、基本的 には慢性感染症の対策としての感染症対策の問題がHIVの問題と同じようにきちんと とらえられるべきだと考えております。そういった観点から、具体的に少しお話をさせ ていただきます。  今回の有識者会議に患者団体の代表を改めて要請いたしますのは、会議に関し治療生 活の困難さ、社会生活上の支障を一番知り得ているのは患者本人であり、その意見や生 活実態を集約し、情報を持つのは患者団体であるわけであります。高い見地からの専門 家による判断に、患者としての専門性を生かせなかったことで最悪の薬害エイズ感染被 害事件を起こしていたことは、現在もその教訓・反省のもとに厚生省と原告団とが行っ ている医療協議など諸施策が行われているところであります。最も象徴的なものは、厚 生省庁舎の入口に建立された薬害根絶の「誓いの碑」であります。私たちはこの度の肝 炎対策の有識者会議に慢性感染症として長い経過と、そして治療生活上の困難さを最も 知り得ている患者代表の参加を強く求めておりましたが、その要望が聞き入れられなか ったことは、有識者会議開催方法として大きな誤りであり、患者参加の時代の要請を無 視する厚生省の事務方の対応に驚きを抱いております。患者が何を一番必要としている か、実体験を通して把握している患者代表を、改めてこの有識者会議に参加させていた だくことを強く要望したいと思っております。  このことにつきましては、人権保障、プライバシーの保護ですとか先ほど患者団体の 方たちからもお話がありましたけれども、具体的な情報を知り得ているのはやはり患者 であります。  二、発症予防等に対する治療の機会保障のための全国調査をぜひお願いしたいと思い ます。私たち血友病患者・薬害エイズ被害患者の90%以上が、血液製剤を介して特にC 型肝炎に感染している事実から、その命と健康保持のために以前から強く最善の肝炎対 策の実施を求めてきております。このたび、非加熱濃縮製剤の投与の血友病患者や血友 病患者以外の、いわゆる第四ルートの患者のC型肝炎問題がマスコミに大きく取り上げ られ、HIV感染被害の調査時に肝炎罹患の調査ができていないまま現在に至っている ことが、薬害エイズ事件で問題となった治療の機会を患者から奪うことにつながり、こ の情報提供と最善の医療の保障につながる機会を提示できなければ、薬害エイズの再来 となりかねないと考えております。  第1回の会議で事務局担当者の方から、第四ルートのHIV感染被害で費やした費 用・労力を例に、肝炎罹患調査について、その価値があるかどうかのような疑問視する ような発言がありました。厚生省は今や薬害エイズ事件の教訓を無としようとしている のか、最近の厚生省の感染症対策・医療には、被害患者として余りにも非情を感じざる を得なかったわけであります。患者一人の命を徹底して守る、この一人の命を守る、救 う、この原点に立てない厚生官僚は担当から潔く辞すべきあると考えます。  米国では議会を挙げて血液製剤から肝炎罹患者のフォロー調査を徹底し、治療の機会 を提示しております。ここに提示してあります細かい文言で、米国保健省の例が引用さ れております。ぜひ御参照くださいませ。  こういった観点から、ぜひに日本においても患者の治療の機会を保障するため、血液 製剤投与の患者の調査を手始めに、その全国調査をぜひ実施していただきたいと考えま す。 三、国挙げて肝炎に対する最善の治療提供を早急に取り入れていただきたいと思いま す。私たち血友病患者及び薬害エイズ感染被害患者は、血液製剤によるC型肝炎罹患に よる慢性肝炎の進行、ひいては肝硬変、肝がんの進行化が深刻な状況にあります。特 に、HIVとHCV重複感染をしている患者はその進行が顕著で、20代、30代、でも肝 硬変、肝がんに命を奪われている患者がここ数年増加をしております。  さきの有識者会議の中では、50代、60代で肝がんの移行ということがお話しされまし たけれども、私たちの問題としましては、HIVとの重複感染によりまして、若年層の 方たちに、肝硬変、慢性肝炎から肝硬変、それから肝がんへの移行というものが深刻な 形で現出しております。HIV感染を免れた血友病患者の中でも、C型肝炎の罹患は広 範で、かつ、その慢性・進行化が血友病医療の中でも急務なものとなっております。イ ンターフェロン治療によるHCV抑制効果や慢性肝炎進行の抑制化は、すでに世界的に も常識化しており、私たちはさらに進んでリバビリンとの併用や、PEG化インターフ ェロンの治療効果が米国を中心に優れた効果をあげていることから、早急にその普及を 厚生省に強く要望しているところであります。 私自身もインターフェロンとリバビリンの併用を9月から始めました。HIV感染症 で効果をあげている発症予防の考え方を肝炎治療にきちんと取り入れ、肝硬変、肝がん に移行する前に最善の治療を国挙げて取り組んでいただけるよう、また肝硬変や肝がん に進行した患者に対する生体肝移植等の最善の医療を行う有識者会議からも進言してい ただきたいと考えます。そのための医療費については、先ほど医療費の問題について患 者団体の方々から発言がありましたけれども、やはり患者への最善の治療を保障する医 療環境としての公費による実施が急務であると考えます。ぜひ、そのバックアップ体制 を、この有識者会議から進言していただきたいと考えます。  以上、薬害エイズ被害患者として、また血友病患者として広くHIV・HCV・血友 病医療の積極的推進・救済実現に携わっている立場から、有識者会議の諸先生方に切に 要望するものであります。 ○杉村座長  ありがとうございました。初めに大阪HIV訴訟原告団の代表の花井様の要旨をお読 みいただきました。それから今御自身の御開陳がございましたので、委員の方々忌憚の ない御意見を賜りたいと思います。  どなたかございませんか。大体御専門の方が多いことと思いますので、こういう経過 等々、それから何をするべきであるというようなことに関しましては、御理解がそんな に違っていないんだと思うんです。ただ、それをどういうふうに現実のものとしていく かということでは、これから議論をいろいろしてまいりますけれども、今日せっかく御 自身が患者さんであられて、ここに代表して出てこられておられるわけですので、どな たか御遠慮なく御質問があれば受けたいと思います。 ○島田委員 HIVに感染した血友病の方々は90%以上HCVにも感染している。そして、肝硬 変、肝がんの発症が普通の人よりも20年ぐらい早いということは前から言われておりま して、厚生省の科学研究費のエイズの関連の研究班の班長の報告会でも、その肝炎対策 の重要性は数年来指摘されておりました。ところが、なかなか班の編成などで思った効 果があがっていなかったのも事実ですが、今年度研究班を大幅に改組して、その点も臨 床の研究グループ、あるいは拠点病院の医療の研究班あたりで3年計画で検討すること になっていますので、HIVの肝炎対策、あるいは肝硬変対策は従来よりは前進すると 思います。 ○杉村座長  ほかに何かございますか。 ○大平世話人 私どもは、厚生省と医療協議を重ねている中で、HIVの恒久対策については、いろ いろな面で御理解をいただいているところは感謝申し上げているところであります。た だ、私たちの被害の体験を通しまして、HCVの問題につきまして、ぜひ国民的な問題 として、あきらめるというような問題ではなくて、きちんと早くに慢性肝炎の進行の中 で食いとめ、そして肝硬変、肝がんへの進行をぜひ食いとめていただきたいというの が、私たちの体験からの発言の趣旨であります。ぜひ厚生省に方におかれましても、肝 炎対策について、実効ある治療体制の取り組みをお願いしたいと思っております。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。先ほどリバビリンのことについて、委員の先生から 現状等々の御説明がありましたし、そういう時間の問題を含めて一生懸命やろうという 厚生省の姿勢であると理解しておりますけれども、先生も有識者会議のメンバーでしょ う。 ○堺審議官  私はメンバーじゃないです。 ○杉村座長  失礼しました。有識者会議といたしましては、堺審議官にも、よくご連絡をします し、また、これをこれからいろいろ議論しまして、御期待に沿うように、ただ、じん ぜん時を過ごして、無駄に時が流れるというようなことは肝に銘じてないようにお話を 承った次第であります。ありがとうございました。 ○大平世話人  よろしくお願いいたします。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。  それでは、次に全国腎臓病協議会の会長であられます油井清治様でいらっしゃいま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○油井会長(全国腎臓病協議会)  ただいま御紹介をいただきました油井でございます。今日は、有識者会議での発言の 場を与えていただきましたことを、私ども透析患者の団体の代表として心から厚く御礼 を申し上げます。  私の発言内容は、17ページの私の方の会の紹介に始まりまして20ページまでになって おります。うち、19ページと20ページは過去に起きた肝炎の感染事故のものを記したも のであります。それを御参考に見ていただきながら、これから私どもの発言内容を申し 上げたいと思います。 特に、私どもは御存じのとおり、日々透析を受けている、つまり血液透析を受けてい る患者でありまして、私も約21年ほど透析を受けている一人なのでありますが、最近の 感染事故というのが非常に多いために、日々の透析の中で戦々恐々としているというの が、私をはじめ、私ども患者全員の最近の心境だと思います。  特に今日私がここで発言を強く申し上げたい点は4点ほどあるんですが、1つは、い かに感染事故がこの世に多いかということについての原因といいますか、そういうもの が全く究明されない。そして調査委員会の報告を見ても、こういう言い方は失礼かもし れませんが、あいまいに近いような形でおさめられているというところがあると思いま す。  それともう一つは、私どもの患者の不安というのが最近特に増しているということ。 特にもう一つは、C型肝炎のキャリアと言われる、つまり、まだ発症していない患者の 数、これはプライバシーの問題がありますから、実質的に私どもの団体として何人がC 型肝炎のキャリアであるかということはなかなかつかみづらいんですが、やはり全国の 代表からのいろいろな発言を聞いている中では、かなりの人がキャリアであるというこ ともありまして、そうすると非常に罹患率が高くなる。そういうことも含めて、私ども としては最近の状況を見ると不安で仕方がないというのが現状であります。  3つ目は、問題はこういうふうに感染事故が続くということは、原因はどこにあるの かというと、第1には看護要員、つまり医療スタッフ、特に看護婦さんの不足といいま すか、これがあるように思われてなりません。いろいろな話は聞いていますが、実質的 にどこということは申し上げられませんが、ひどいところですと、朝の9時ぐらいから 晩の10時半ぐらいまでの長時間勤務が続くという病院もあるようで、そういう状態の中 では、起こるべくして起こる感染事故の要因があるというふうに私どもは考えていると ころであります。したがって、実際には理想的には患者4人に1人ぐらいの看護婦さん が常駐できるような状態を早くつくり上げていただきたいというふうに思うのですが、 これは病院の経営その他の問題もありますので、私ども患者側としては日々の中で余り 強く言えないところでありまして、やはりこれは指導していただく厚生省関連の方から していただくなり、先生方の団体の方で、その善後策を早急に講じていただきたいとい うのが私どもの願いであります。 それから最後の4つ目は、こういう感染事故が起きた場合に、情報が出てくるのが非 常に遅いというのがあります。別表を見ていただくとおわかりだろうと思いますが、早 いものでも2か月ぐらい経たないと出てこないんです。実際には、病院の中ではどこま で情報として固まっているのかわからないんですが、ある程度マスコミなり、それから 私どもの同じ病院に行っている患者からの報告が出てくるのは、そのくらい遅れて出て くる。もっとひどいのは2年ぐらい経たないと出てこないという実例もあったように思 っているんですが、そういう中で1つは、体制の問題があるんではないかと思います。 いかに早く情報を出していただいて、そして善後策を講じていただき、一番最初に申し 上げましたように、調査委員会なり調査をしていただく方々が、最終的には、非常に難 しいのかもしれませんが、ある一定の結論を出してもらわないと、我々患者としてはど うも納得できないというところがあるわけです。実際に、ここに列記させていただきま したけれども、1999年、一昨年の5月に起きた兵庫県加古川市の透析専門施設での事故 が一番死亡者が多かったわけです。そういう大きなものが出てきたときには、何と言い ますか、いろいろな取り組みというんですか、調査委員会をつくってこうやるんだと か、いろいろな手順についての詳しい内容があるんですけれども、最後の方で結果が出 てこないというのが我々としては非常に残念なところでありますし、それから何遍も言 うようですが、不安を抱いているところであります。  ここには書いていないんですが、特に兵庫県の場合のことで申し上げますと、その後 の調査委員会の報告の中で、重視すべきことは事故の直前に、患者123 人のうち98人が C型肝炎に感染していたという実態があるわけです。これはパーセンテージにすると1 つの病院の患者の80%の人がC型肝炎に既に感染をしていた。それが放置されていたと いうことです。直後にもう一度データをとってみたら、131 人のうち106 人、人数が移 動しているのは患者の移動があるからだと思いますが、ここでも81%という、抗体検査 の結果感染率がはっきりと打ち出されているわけであります。こういうものが放置され ていたということが加古川の場合の大きな一つの原因ではないかというふうに我々患者 側としては見ているところであります。  この感染事故で我々患者団体が一番最初に関心を持ったのは、1994年9月に東京の新 宿で起きた感染事故があったわけでして、このときには、東京都が専門家の調査班を設 置して詳細な原因究明の調査を行っていただいたわけですが、しかし、その結果が出る までにはかなり長い間かかったと思うんですが、時間をかけた割に、結局、原因究明は 明らかにすることがなかったわけであります。私どももこういうことを教訓として、透 析機関は血液感染再発防止に、とにかくそれを強化していただきたいということを、そ のときにも私どもは強く要請したところであります。  問題は、今申し上げましたように、本年10月までの1年間の間に、たった1年の間に あわせて8件の肝炎感染事故が別表にあるとおり連続して発生していまして、うち45人 がC型・B型肝炎に感染しており、7人が死亡したというのが今の実態であります。こ れらの一連の感染事故が起きても、結局、医療機関が法的な処分を受けたことは全くな いんです。もっぱら患者だけが苦しんでいるというのが実情でありまして、ここのとこ ろはぜひ重要視をしていただきたいというふうに思います。  少しつけ加えますと、1つには患者側の事情もありまして、今、患者は非常に高齢化 をしております。高齢化のために、あれだけ多くの死者が出た加古川の病院でも、送り 迎えをきっちりしていたわけです。そういうケアの面では非常にすばらしいことをして いた。そうすると、やはり患者の方は多少危険があっても、危険があってもという言い 方は言い過ぎかもしれませんが、ケアの面できっちりしてもらっているところに行きた い、だから、病院はなくしてくれるなと。実は、私どもの立場でいいますと、これだけ 多くの死者を出したんだったら、少なくとも刑事処分ぐらいは出てきても妥当だろう し、もう一つには、私どもとしては、明確に意識すると同時に、今後の新しい形づくり をしてほしいと思いましたけれども、結果的にはそれがなされなかった。一応表向きは できたように思いますけれども、先生方も御存じかと思いますから重ねて申し上げるこ とはいたしませんが、そういう面もあって、非常に私どもとしては少し苦しんでいると ころもあります。  既に、御存じだと思いますが、透析患者はもう20万人を超えて年間新たに3万人ぐら いの新規患者が出ているわけでして、最近では糖尿病性の腎症の患者が特に増えている わけですが、やはり何といっても、私どもの透析というのが、血液そのものに触るとい う、非常に危険性の一番高いところに触られるということがありまして、できるだけ感 染の可能性というものが高いということは、自分たち患者自体も各々が感じているとこ ろであります。したがって、私ども患者側としては、我々が病院に協力できるところは 大いにして、少しでも感染事故を起こさないような協力体制をしようということで、い ろいろな指導的な文書をつくったりして努力はしているんですが、病院そのものから出 てしまうということになると、これは我々患者側では防ぎようがないというところがあ りますので、この点をぜひともお考えいただきたいというふうに思います。 いろいろな先生方とお話をしている中で、もう一つ出てきていることは、やはり情報 を簡単に出してしまうと補償の問題やらそういうことがあって、その辺のところが簡単 に出せない理由だということをおっしゃる先生もいらっしゃいます。その辺のところが 起因しているのではないか。前にアメリカのある先生のお話を聞いたときに、アメリカ のシステムの中に、届け出の義務化というのをする代わりに、そういう感染事故なんか が起きたときに、補償金を政府の方の予算で見る。その代わり届け出は必ずしなさいと いう義務化を出すというふうな具体例が話されましたが、今の現状からいくと、1つは そういうことも必要なのかなというところも、私ども患者側としては考えるところの一 つであります。  私どもが5年に一度実態調査というのを全国の患者を対象に行って、5年ごとにあら ゆる角度からのいろいろな内容をまとめているものがあるんですけれども、ちょうど来 年がその5年目に当たりますので、その中でこの問題にも少し触れていきたいというふ うに感じているところであります。  重ねて申し上げますが、感染事故を何とか減らしてほしいということが一つあります が、今年の6月に福岡で日本透析学会の総会が開かれたときに、私どもとして医学界の 皆さんに我々の要望を聞いてほしいということで公式にお願いをしたところもありま す。その席でも多少そういうお話が出たんですが、今の現状では非常に難しいところが 多いというふうなお話もありました。そういう話が返ってくることが、我々としてはま た不安の一つのあれがありますので、ぜひともこの点を今後の感染事故対策について強 力に生かしていただけたらありがたい。そして、少しでも患者の不安を取り除くような 行政を行っていただくことをお願いをして終わりたいと思います。 以上です。 ○杉村座長  油井様、どうもありがとうございました。患者さんとして大変不安であるということ をるる訴えられまして、よく皆様もおわかりいただいたことと思います。油井さん、こ こに出てきて話すということを、大変ありがたいとか感謝するとかおっしゃらないでく ださい。私どもの方からお願いして、御意見を伺うために御都合をつけていただいて出 てきていただいたというふうに了解しておりますから、そういう立場で皆さんもおられ ると思いますから。どうぞ何か御意見ございませんでしょうか。 ○飯野委員 例として挙げられた一番最初の新宿のとき、調査した責任者として言わせていただき ますと、この施設はC型肝炎も一緒に調べたんですけれども、当時25%ということで感 染率としては普通で、その当時、日常的にC型肝炎が感染していたとは、いろいろ調べ ましたけれども判断されない。たまたまあるときにB型肝炎の集団感染を起こした。こ れも原因がはっきりしないからとおしかりを受けるわけですけれども、我々としてはあ らゆる病歴の、看護記録を一切含めて、それぞれの人の時間による動きと患者さんの関 係、そこら辺を全部調べたんですけれども、それでも決定的なものは出てこない。施設 も子細に調べましたけれども、現在の透析の決められたとおりの手順で、設備といいま すか、ほとんどが使い捨てになっておりますから、それをやっていけば感染は起こるは ずはないと思われるんです。しかし、未だに施設によっては起こる。どこの施設でも起 こっているわけではないわけで、盲点として考えられるのは、ヘパリンという血液の凝 固を抑える薬、あるいは局所麻酔の薬、そういう1つの薬の瓶から患者さんに何回もと って使うようなときに、ついうっかり、もうちょっと薬が足りないということで使った 同じ注射器をまた突っ込むという、それは最近レポートもありますけれども、前からそ のことは言っていたんですけれども、実際にはそういうことでもない限りは起こり得な いと私は判断しております。ですけれども、誰がどのときにどうしたということは幾ら 調べても特定できない。そういうことで、あくまでも推測ですから報告書には書けない ということであります。 ○杉村座長  今、飯野委員からお話がありましたように、透析そのものというよりも、そのときに 使う薬品の使用に関する注射器の使い方というようなこと。それはすべて何から何まで きちんと注意深く厳格にということであれば、そういうことも起こらないというべきで しょうし、そうだという証拠がないから報告書にはお書きにならなかったのかもしれな いけれども、そういう可能性というものを医学界の中で認識しているわけでしょう。 ○油井会長 加古川の事故のときに、私どもが直接行って、向こうの院長先生なんかとお会いした ときに、それから後の兵庫県の調査委員会の中に出てきた一つの驚くべき事実というの があったんですが、我々は病院に行くと大体ベッドが固定化されているんです。大体週 に3回なり2回のときに、多少動く場合もありますけれども、火曜日と金曜日とした ら、火曜日はこのベッド、金曜日はこのベッドといっても、曜日によってベッドが動か されても、長い間ベッドは動かないんです。ところが、兵庫のときの話を聞いてみる と、結局、原因究明ができなかった一つの例としては、ベッドが全然固定されていなく て、いわば、その日に行って見なければ自分のベッドがわからないというふうな状態に あったために、記録の上にもそれが載っていなくて、結局、感染経路というものを調べ るときに全くそれがわからなかったという一つの実例があったわけです。私ども全国約 2,500強の施設の皆さんとの話し合いの中でも、そんなことは普通はないよとみんなが 口をそろえて言っている事実からも、そういうことが行われているというところに、こ の6人もの死亡事故が起きたという大きな要因があったんじゃないのかというふうなこ とも特に申し上げておきたいというふうに思います。一口に言えば、病院の管理体制が 悪いというんですか、病院の医療体制じゃなくて、管理体制でしょうね。結局でたらめ なやり方をしているから、後で原因を追求するにも追求ができないという一つの要因を つくってしまうということもあったんじゃないかというふうに思います。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。 それでは、時間が経過いたしましたので先に進みます。どうもありがとうございまし た。 次に日本輸血学会、それから日本透析学会の学会からのお話を承りますが、私もそう かもしれないけれども、傍聴の方々、そのほか技術的に専門的に必ずしも全部のテクニ カルタームに通じているわけじゃないと思いますので、できれば、わかりやすい用語を お使いいただきまして、学会・研究者の方からは、皆さんにわかるようにお話しいただ けたらありがたいと思います。 それでは、稲葉先生。 ○稲葉幹事 (日本輸血学会) 日本輸血学会の稲葉といいますが、こういう場で輸血の話をしろと言われると非常に つらいものがありますが、やっと我々は、学会としては輸血後肝炎という30年にわたる 課題から解放されたということをまず御報告したいと思います。  昨年の半ばぐらいから核酸検査というものが導入されまして、このレジュメの中には 書かせていただきましたけれども、C型肝炎ウイルスからようやく開放されつつありま す。今むしろ、輸血学会の問題としては、ABOの不適合輸血であるというようなこと を、事故防止ということを一生懸命対策を練っておるところです。若干過去にさかのぼ るというような形で少し説明をさせていただきたいと思います。  その前に、レジュメの中の2番に書きましたところの下から5行目なんですが、私、 書くときに抜かしていまして、「HIV、HBV、HCVという3つのウイルスに導入 され」という、「3つのウイルスに」という言葉を入れていただきたいと思います。  では、始めさせていただきますが、HIVの経験以来、輸血というのはすごい悪いも のだというふうに言われてきているんですが、必ずしもそうでないというよりも、現代 医療の中では必須なんだということを御理解いただきたいということで最初に出させて いただきました。今がんに対する大きな手術であるとか、それから白血病、悪性の血液 疾患に対する非常に強い化学療法、それから毎日起こっております交通外傷のような重 症外傷、そういったものには輸血療法なしでは治療が成り立たない、ということを、ま ず最初に申し上げます。  次のスライドをお願いいたします。 (スライド)  現在、日本赤十字血液センターからの血液提供ということで、輸血はほぼ全国一本化 されておるわけですけれども、その中で赤血球というものを使う輸血というのは、ここ 10年以上ほとんど横ばい、600 万単位ということになっております。この白い部分が血 液を分離しないまま使う全血というもので、黒い部分は赤血球だけを分けた濃厚液と言 われているもので、そこが少し状況的に変わってきたかなということですが、大体600万 単位を使う患者さん、1人6単位を使うとすれば100 万人の方が毎年輸血を受けるとい う大ざっぱな推定が成り立つわけです。 (スライド) そこで使われた血液によって患者さんはどのような予後を得ることができるかという ことなんですが、輸血を受ける患者さんというのは非常に厳しいものがあります。1年 後の生存率というのは約75%ということでございました。ところが、その1年を乗り切 りますと、かなり長期に皆さん元気に生きておられます。大体10年後で68%ぐらい、こ れは私どものデータですが、米国のデーターでも大体50%ぐらいということですから、 1年乗り切れば、大体10年後まで生きられる可能性は80%ぐらいあるというような治療 でございます。 (スライド) その中でいろいろな感染症、輸血というのはウイルスの固まりみたいなものでござい まして、いろいろな手を打ってきて今までに至っているわけす。その中で最も功績が大 きかったと私どもが思っておりますのは、今日、私が呼ばれたのもそのせいではないか と思うんですが、私の師匠であります九州大学名誉教授の大河内一雄という方がおられ まして、この方が63年にHBS のスクリーニングという輸血の場合の感染防止のストラ テジーをつくられました。献血血液をスクリーニングすることで、ある種のマーカーを 見つけて、そのマーカーを持っている血液を排除する。このストラテジーは未だにずっ と一貫して世界じゅうを導いたわけでございます。B型のスクリーニングが72年にでき るようになったんですが、それから後、私、今九州におりますが、HTLV−1という ウイルスであるとか、今日問題になっておりますC型肝炎ウイルスであるとかいうよう なものは長くスクリーニングすることができませんでした。HTLV−1のスクリーニ ング導入は八二、三年で、ほぼHIVと同時期です。HCVは88年にやっとスクリーニンク を開発してくれました。現実には血液センターは92年からだったと思いますが、第二世 代のC型肝炎のスクリーニングが始まって、これでほぼ安全ということまできました。 昨今、遺伝子操作技術が非常に進みまして、10年前に私がこういう献血血液は遺伝子で スクリーニングしてくれと言ったらみんながばかにしたものですが、それが現実のもの になりました。すべての血液が今遺伝子でスクリーニングできるという時代になりまし た。昨年までがどのぐらいの肝炎の発生率だったかということで、次のスライドをお願 いします。 (スライド) これはC型肝炎の輸血後感染率のヒストリーです。大体c-100 抗体スクリーニングが 導入されます直前までで12%、当時肝炎を発症する人のフォローアップというものは非 常に難しいものがありました。少なくとも前に何の問題もないという人を選ばないとい けないということだったので、非常に健康な外科の、それもわずかの輸血をする人だけ を選んで追跡した結果がこういうことでございました。12%ということです。これは九 州大学のデータです。その後第一世代、C-100 と言われるマーカーが見つかって、ほん のわずかの期間ですけれども、献血血液をスクリーニングするということで、これも世 界的に見ますと我が国が一番最初に導入したわけです。これによっては劇的に下がりま したけれども、それでもまだ2%ぐらいその当時ございました。その後、92年からは第 二世代ということで0.2 %、昨年から核酸検査が導入されて、ほぼゼロであろうという ふうに私どもは今考えております。 では、この20年ぐらいのC型肝炎スクリーニングができない間は、私たちは一体何を していたのかということで、私たちの努力を少し紹介させていただきます。もちろん厚 生省の方もいろんな指針、あるいはガイドラインといったもので医療機関にできるだけ 少ない輸血をするようにというような指導をしていただいたわけですが、今なお、これ だけのウイルスがわかっているだけでうつる可能性があるということでございます。サ イトメガロウイルス、パルボウイルスB19、ヘルペスウイルス8、ボルナ、G型肝炎ウ イルス、それからTTウイルス、パルボウイルスB19を除いては、未だ血液センターで はスクリーニングは行われておりません。重篤な病気を起こさないということで今のと ころ対策を打っていないということです。 (スライド) まず第一は、血液を高単位化する。要するに今まで200cc が1単位だったわけですけ れども、元気な人からは400cc とる、あるいはアフェレーシスという技術を使って10単 位の血小板、あるいは5単位の凍結血漿であるといったようなものを使うことで、まず 本数を減らそうという努力がされました。 (スライド) これは九州大学の使用本数の推移でございますが、81年ぐらいから激減しているのが おわかりいただけると思います。これは単位数が増えたために、実際に使っている量は ほとんど変わらないわけですけれども、患者さんに入る本数だけは約3分の1に減らす ことができたということでございます。 (スライド) これは自己血輸血といいまして、自分の血液を貯めて手術に臨むという方が非常に増 えてきた。これは私どもの大学だけの話ですが、昨年のデータですと、1年間に1,000 人の患者さんが手術のときに輸血を受けるわけですけれども、そのうちの40%が自分の 血液を準備して手術に臨む。これが過去10年の非常に大きな変化でございます。 (スライド) 最後になりますけれども、結局、HCVのスクリーニングができるまでの間に1億本 を超える輸血がなされておりまして、その方々は1,000 万人を超えるであろうというふ うに思われます。そのうち10%が本当に感染しているのであれば、100 万人がHCVの キャリア化しているわけですが、先ほど最初に御紹介しましたように、非常に患者さん のリスクが高いものですから、それともう一つ、輸血を受ける患者さんの80%が50歳以 上でございますので、現在どのぐらいの方が実際キャリア化しておられるのかという データがございません。今日、先ほどからお話をお聞きしていますと、やはり私どもと 同じように、患者さんの方もそういうところを明らかにしてほしいということをおっし ゃっておられるように思います。できれば私たちも、こういう方々がCにどのぐらい感 染しているのか実態を調べたいというふうには思っております。ただ、そのことなんで すけれども、アメリカでHCV Look backということを言うわけですが、原因と結果と いう、感染症に関してはその2つを明らかにするという必要がございます。まず最初に 患者さんがそのウイルスを持っていなかったこと、それから入った血液にウイルスがい たこと、その後感染が起きていること、その感染と入った血液、その2つのウイルスは 同じものであること、この4つぐらいを証明しないことには厳密な意味で科学的に感染 が起きているということの証明はできないわけですけれども、現実問題不可能でござい ますので、そのあたりはまた別の観点からの対策が必要であるというのが私の結論でご ざいます。  以上でございます。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。スライドはちょっと見にくいところがあったかもし れませんけれども、先生のお話で十分に了解されたことと思います。どなたか、どうぞ 御発言を。 ○飯野委員 今のお話と別に食い違うということではないんですけれども、今日は輸血後肝炎発生 率が60%と出ておりましたけれども、昭和30年代は黄疸が出たものでないと肝炎という 診断ができなかった。GOT、GPTが十分普及しなかった時代なんです。実際には、 C型肝炎を見ていますと、黄疸でない人はたくさんいますから、黄疸が出るのは、前回 配付されたアメリカの資料でも二、三十%の人しか黄疸が出ないと書いてありました。 我々の経験からもそういう感覚です。ですから、昭和30年代は、恐らく七、八十%の人 は輸血後肝炎はあったであろう。問題は、稲葉先生の話だと年をとった人に輸血したと いう話、一般的には今までの概念でそうですけれども、我々が実際患者さんを診ている のは、女性の場合はお産のときの出血、それから男性の場合は胃潰瘍、結核、そういう 人がC型肝炎を若いときに感染している。それから数えますと、 40年ぐらいの人が幾 らでもいるんですね。私が焦っていろいろなところで発言してきましたのは、その人た ちが40年経ちますと、幾らC型肝炎は進行が遅いとはいえ、慢性肝炎であれば非常に進 展した慢性肝炎、あるいは肝硬変になっている。また、肝細胞癌になって亡くなってい る人が幾らでもいるわけです。そういう状態の人が、特に日本の場合は非常に多いとい うことが問題だと思います。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。 飯野先生、結核の手術で肺を切除とかは昭和何年代ですか。 ○飯野委員 20年代からですね。 ○杉村座長  多かったですね。そのころの輸血というのは、HCのポジティブが今より低かったん ですか。輸血量も相当なものでしたね。 ○飯野委員 先ほど申し上げましたように、七、八十%は感染したと考えられる。結核の方は、 今、手術をなさった方は、若い人もいますけれども、大抵は70歳以上ぐらいで、余り進 んでいないか、かなり進んでしまっているかどちらかに分かれると思うんです。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。 ○稲葉幹事 今、飯野先生が言われたんですが、大体私どもが意識しております献血システムとい うのができ上がったのが昭和38年ということで、その当時が年間150 万本ぐらいなんで す。それから急速に増えましたので、先生がお話しされたのはその前の時代になりま す。恐らくファミリードナーというような形でぽつぽつとやられていたのではないか。 件数としては、逆にそれほど全国的には多くないんではないかというふうに理解してい たんですが、そうでもないでしょうか。 ○飯野委員 我々が慢性の肝臓病の患者さんということで見た場合、女性の場合には、もちろん原 因不明というのがありますけれども、わかっている人は出産時の輸血ですね。それは大 体30年代が一番多いですけれども、40年代まで入ってきていますから、いろんなところ で感染したのであろうというふうに思います。いろんなという意味は、いろんな種類の 輸血ですね。献血もあるだろうし売血もあるだろうし。 ○吉澤委員 記録によりますと、売血のピークは、1964年の東京オリンピックのときですね、その 直前のところで、売血によるものは大体90万本ぐらいと記録にあります。その当時の汚 染状況というのは、前回のときに感染の悪循環の話をいたしましたが、売血によって賄 われていたために、感染率の高い特定の集団に変わってしまっていた。そこからの血液 の供給を受けたためにリスクが極めて高くなったというわけです。64年の閣議決定で献 血推進ということが行われて、二、三年して献血に切りかわった段階で、不特定多数の 一般国民からの献血をいただくということになった。それだけで輸血の肝炎の発生率そ のものが、50%強から十数%にまで激減したというわけで、献血というのがそれほど有 効であったわけですが、それから先のスクリーニングは今、稲葉先生話されたとおりで す。ちょうど、そのころが結核の肺切除が行われたわけでして、その肺切除が行われた 既往のある患者さんに肝がんが多いということに臨床医が気がついたわけです。今、私 が申し上げたのは、気がついたことを逆さまに申し上げているわけです。現実は現象か ら入っていって、そういうことが説明できたというわけです。 ○杉村座長  どうもありがとうございます。どなたか。  それでは、稲葉先生どうもありがとうございました。 引き続き、日本透析医会会長の平澤先生にお願いいたします。 ○平澤会長 (社団法人日本透析医会)  日本透析医会の平澤と申します。先ほど全腎協の会長さんから透析施設が非常に危険 な治療の実行状態にあるというようなおしかりと、また注意・要望も受けたわけであり ますが、御承知のとおり、透析患者の中では肝炎ビールスのキャリアが非常に高率に現 在存在いたします。これは歴史的な背景があるんですが、そして体外循環をやるという のが繰り返して行われるというようなことで、非常に内部感染を甚だしく起こしやすい 状態にあるわけであります。今日はそういうことを少しお話申し上げてみたいと思いま す。 透析療法と肝炎の関係について、プリントしてきましたものをもとにお話し申し上げ ますので、ごらんいただきたいと思います。 まず歴史的なことをちょっと申し上げます。透析患者さんは腎性貧血と言われる強い 貧血状態を合併いたします。エイスロポエチンが登場してきてからは、そういう面が非 常によくなってきたんですが、その前は非常に頻回に輸血を要する状態でありました し、また血液透析が繰り返して行われる体外循環であることからウイルス肝炎の合併率 は非常に高いという状態が長く続いていたわけでありまして、透析療法に伴う最大の問 題の一つでありました。  我が国の透析療法は1965年前後から開始されておりますが、初期のころは技術的な問 題、あるいは医療材料の問題などが未熟であったために貧血の克服というのは本当に容 易でありませんで、頻回かつ多量の輸血が施行されました。平均して月に1患者当たり 数百mlの輸血が行われているのが当時は普通でありました。その結果、肝炎の合併は常 に20〜30%という高率に見られました。しばしばこれは死因にもなりましたし、スタッ フへの感染も決して少なくなかったという状態でありました。昭和40年代が大体こうい う状態で推移いたしました。  その後、透析療法の進歩に伴って1975年ごろからは必要な輸血量もかなり減少してき ました。加えて1972年から輸血液のHBS 抗原のスクリーニングが開始されまして、新 規のB型肝炎は急激に減少をみるようになりました。HBS 抗原キャリアも特定される ようになりましたものですから、肝炎予防対策も講じやすくなってまいりました。HBS 抗原陽性率はピーク時は、透析患者の約10%でありましたが、それが1990年ごろには2.5 %に減少いたしました。これは私どもの病院での経験であります。1989年にHCV抗体 の輸血血液スクリーニングが開始されまして、輸血液の安全性は一層向上いたしまし た。さらに1990年にエイスロポエチンの利用が始まって、透析患者の貧血は大変よく改 善し、ごく一部の患者を除いて輸血は不必要となって新規感染者は非常に減少してきま した。そういう今までの経緯がございます。 しかしながら、過去の遺産として透析患者の肝炎ウイルスの保有率、キャリア率とい いましょうか、これはなお非常に高い現状にあります。透析学会及び透析医会の大規模 な統計によりますと、透析患者のHBS 抗原陽性率は1994年の3.7 %から1999年2.1 % に減少してきております。これは一般人の約1%の陽性率に比べ、なお高い状態にあり ます。またHCV抗体の陽性率は1994年23.8%、1999年では17.7%とやや減少してきて おりますが、一般献血者の1.5%に比べると、なお著しく高い値であります。輸血がほ とんど施行されなくなって、新規感染の発生は、院内あるいは透析室内感染の実態を示 すことになると思われますので、この実態は非常に重要視されなければならないことで あります。  これまでにHCV抗体陰性患者を5年から7年間追跡した報告が2つございます。1 つは、新規のHCV抗体陽転者が平均して1年に2.6 %と高率であったという報告であ ります。もう一つは、HCV抗体陽性者の多い病院・施設で、平均して1年間に新規に 2.2 %が新しくHCV抗体が陽性になったと報告しております。この中には、HCV抗 体陽性率の低い施設では、この陽転者の率が低いということもあわせて報告されており ます。この実態が全国的に普遍的であるということはできないとも思いますが、内部感 染が予想外に多いという現実を直視しなければならないと受けとめております。そし て、HCV抗体陽転者の約60%がHCV- RNAが持続陽性となりまして、つまりキャ リアになりまして、その大部分に肝炎の検査所見が短期ないし長期にみられた。つまり 肝炎を発症しているということでありますが、そして、こういう患者さんは、その後の 新しい感染源にもなり得るし、それからさらに長い期間には肝硬変や肝がんへの進行も 懸念されるわけであります。  最近の透析施設における肝炎の集団発生の問題が数件提起されてまいりました。1994 年東京都の透析施設でB型肝炎が5名相次いで発生し、うち4名が劇症化して死亡して おります。1999年に兵庫県の透析施設で7名のB型肝炎の集団発生が起こって、6名が 劇症肝炎の経過をとり死亡しております。専門家による調査会がつくられまして、感染 経路などが詳しく調べられましたが、明確に経路が明らかにされなかったというのが実 態でありました。しかし、エリスロポエチン注射液とか、あるいは返血用生食液の汚染 が可能性として示唆されておりました。HBVが変異株であったことが肝炎の重症化を もたらしたものと考えられました。あわせて兵庫県の施設ではHCV抗体陽性率が80 %、これはさっき油井さんの話にも出てまいりましたが、80%と非常に高く、内部感染 が繰り返して起こっていたことも推測されたわけであります。  今年に入りまして、千葉県、静岡県、福岡県などの透析施設でC型肝炎の集団発生が 報道されました。感染経路は、福岡県のケースでは専門委員会の調査によって、ヘパリ ン加生食水の汚染を介して感染の集団発生につながったという見解が大体明らかにされ たようであります。他のケースでは感染経路は明らかにされてはおりませんが、やはり 透析時の使用薬液の汚染が可能性として示唆されております。集団発生の場合は、何人 かの患者が共有した薬液の汚染が感染経路になっていることが大部分だろうと推察され ます。 透析室における予防対策ですが、「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予 防に関するマニュアル」、これは昨年、厚生省の厚生科学特別研究事業としてつくられ たものでありますが、これに詳しく、しかも具体的に予防の作業について記載されてお りまして、この実施が予防対策としては最も有効な方法ではないかと考えております。  特にその中でも重要な事項を挙げてみますと、透析施設が適切なスペースを持ってい ることが非常に重要だと思われます。透析操作あるいは患者の移送あるいはスタッフが 手洗いのために移動する、そういうことが容易に行えるスペースがないと感染事故は起 こりやすいというふうに思います。それにはベッド当たり9平米以上がほしいというよ うに考えております。  それから透析時に投与される薬剤を調合できる透析室から区画された場所の確保。薬 液の汚染が最も大きな役割を演じていると思いますので、こういう場所がないと汚染の 確率が高くなるというように思います。 それから廃棄物及び血液汚染物の処理場所、あるいは医療器具の洗浄消毒の場所、こ ういうものがしっかりと確保されていないと問題が大きくなるというふうに思います。 それから、十分な手洗いの場所が室内に設置されているということが絶対必要な条件 ではないかと思います。 それからもう一つは、先ほども油井さんの方からお話が出たんですが、適正数のスタ ッフがいないと事故が大きくなるということで、患者数に見合った適正数のスタッフの 確保というのが非常に重要なものだと思います。特に汚染を避ける、あるいは事故を避 けるということで、機械を運転する係のスタッフと、それから直接患者の治療に関係す るスタッフとは別々に透析を進めるということが間違いを起こさないことだというよう にこのマニュアルでは指摘されておりますが、そうすると、スタッフの余裕がないとそ れがなかなか難しいというのが現状であります。 さらに工学技士、これは機械の方の汚染あるいは事故を防ぐということで、どうして も有資格者の臨床工学技士の配置が必要であるということ。 また、遵守しなければならないものとして手袋交換、1回の治療当たり、患者ごとに 毎回手袋を交換する。それから、できるものはすべてディスポーサブルなものにする。  それから、ウイルスの状態あるいは肝炎状態などを定期的に観察して、そして本人に その状態を告知すること及びスタッフへそれを周知するということが非常に重要なこと であるというように認識しております。 さらにまた、院内感染予防委員会を定期的に、そして必要があれば頻回に開催すると いうことが重要なことではないかと思っております。 最後にまとめとして、透析室内感染は1人も発生させないことが原則と考えておりま す。散発性感染は実に多様な経路が想定されるものですから完全な防止はなかなか容易 でないと思われます。血液で汚染された可能性のあるすべてのものが全部感染につなが ってまいりますので、考えると山ほどいろんな場合が想定されます。しかし、そういう ものに対して、それぞれ十分なる対応を施設で工夫していかないと、これほどキャリア の多い環境の中での治療になりますから危険は常にあるわけでございます。1999年4月 (昨年4月)に感染症新法が施行されまして、新規のウイルス肝炎の届け出が義務づけ られました。これによって透析室の衛生状態や感染予防の管理機能がテストされる時代 に入ったと私どもは考えざるを得ないと思っております。あらゆる可能性を想定した対 策が、マニュアルに準拠してきめ細かく実行されることが透析施設に求められている現 状ではないかと認識しております。 以上でございます。 ○杉村座長  平澤先生ありがとうございました。先ほど患者の油井様からお話があった点を裏付け ているようなお話ですよね。人数が足りないとか、そういう点もあるんだろうと認識い たしますけれども、委員の方、御発言ございませんでしょうか。 ○吉澤委員 23ページのところで、おっしゃった献血者の陽性率ですが、これは実態とは違いま す。この数字は献血された本数中の陽性の本数をあらわしていますので陽性者に対して は、病院受診と、以後の献血辞退の勧告が行われていますが陰性者は繰り返し献血にき ますから分母が多くなっています。ですからこの陽性率は実態よりもうんと低く出てい ます。実態はBもCも感染率はもう少し高いです。それから透析の方々は年齢がもう少 し高いですから、年齢を考慮しますともう少し高い。後ほど、なるべく近い数字を出し てみたいと思います。 それから、もう一つつけ加えさせていただきます。実は加古川の調査には、私、ウイ ルス側から関与させていただきました。それから広島の調査については私が責任者で調 査をさせていただきました。今、平澤先生がおっしゃいましたように、加古川のときの 事例がもとになって透析医会がマニュアルをつくられたわけです。広島の場合には、そ のマニュアルに準拠しまして、現地調査に入って、業務に差し障りのない範囲でという 制限をつけた上で、可能性のあるルートすべて遮断するという対策を先行させました。 その結果、遮断したときを起点としまして、その後6か月間新たな感染がないというこ とがつい先だって確認されました。ということから現在最終の報告書のまとめに入って います。 それからもう一つつけ加えますと、加古川の方ですが、80%ものC型肝炎ウイルスの キャリア率ということがわかっていたことから、一応調査委員会は最終報告書をまとめ た段階で閉じたんですが、調査委員会の委員長からの要望がありまして、その後のフォ ローが義務づけられました。つまりその後6か月以上の間残りの20%の方々で新たな感 染が起こるかどうかを3回にわたってフォローいたしまして、感染がストップしたこと が確認されたと、つい四、五日前に報告をいただきました。したがって、先生方が医会 としてつくられたマニュアルが、役立てられております。それから先生がおっしゃいま したスペースの問題と透析スタッフに対する周知、それからトレーニングということが 行われるようになりますと、感染源としてのHCVキャリアがいっぱいいる中での観血的処 置ですから感染リスクは高いんですが、ある程度以上のところまでは抑え込めるのでは ないかというふうなところまできているかと思います。 ○杉村座長  大変具体的なお話でどうもありがとうございました。  島田先生何か。 ○島田委員 吉澤先生の御発言の中に私の聞きたいことも入っておりました。 ○杉村座長  それでは矢野先生どうぞ。 ○矢野委員  23ページのところで、1994年23.8%、1999年17.7%の抗体陽性率とありますけれど も、もしも学会として、キャリア高率、RNAでどういうふうになったかというデータ をお持ちでしたら教えていただきたいんですが。 ○平澤会長  現在、それは調査されていないのでデータはございません。 ○杉村座長  矢野先生の御質問に後ほどでもおわかりになったら、また矢野先生と交流していただ いて。  ほかに。 ○遠藤委員  教えていただきたいんですけれども、現在透析をしている患者さんが肝炎ウイルスを 持っているか持っていないかというのは透析施設がすべて把握しているものなんです か。 ○平澤会長  それはBについてもCについても定期的に調べております。 ○遠藤委員  それは保険の適用にはなるわけですか。 ○平澤会長  マルメの検査点数の中に入ってしまいますけれども。 ○遠藤委員  ということはやらない施設もあり得ると。 ○平澤会長  でも、最近これほど喧伝されておりますので、そういうことはございません。熱心に やるところは毎月やっておりますし、ほとんどのところは3か月に1回はやっていると 思います。 ○遠藤委員  わかりました。ありがとうございました。 ○杉村座長  ほかに。 ○吉澤委員 先ほどベッド固定の話がありましたが、調査委員会に加わったことがある者としての 立場で話をさせていただきますと問題点が幾つかありまして、ベッドの固定、それはそ の方がいいんですが、感染者と非感染者を分けてベッドを固定した場合には、プライバ シーの問題とかいろいろな問題があるようですね。これについてはプライバシーの保護 の方をちゃんとすればいいんでしょうが、感染論の立場からいきますと、この方々(ウ イルスのキャリア)は感染源となり得る、この方は感染源となり得ないという区別があ る程度スタッフにも、それから周辺の人にはいいんですが、御本人にもわかる状況をつ くれると、もう少し感染予防のシフトがひきやすいように思うんです。B型肝炎につい ては、HBe抗原陽性の状態とHBe抗原陰性の場合で感染力が違いますので、その区別もし ていたわけです。C型肝炎ウイルスに関しては、今ようやくウイルスの量を簡便に測定 することができるようになりました。ウただしC型肝炎の場合はウイルスの量は変動する わけです。ですから、一定期間ごとに測定をし、ある程度以上ウイルスの量が多いとき には、ちょうどB型のときに、HBe抗原陽性の患者に扱ったように、それが少ないときに は、HBe抗原陰性の患者に対してしたようなシフトのひき方をすれば有効な予防のシフト をひきながら、かつ労力の軽減という合理的な合目的な対策がとれるのではないか、そ ういうふうに思っております。 ○平澤会長  ありがとうございました。先生、RNAは、どれぐらいの間隔でやっていったら適当 でしょうか。 ○吉澤委員 これは細かければ細かいほどいいんですが、費用の問題とか負担の問題がありますの で、せいぜい二、三か月に1回検査すれば十分だと思います。 HCVRNAの量で調べま すとお金もかかりますし大変なんですが、つい最近、C型肝炎ウイルスのコアのたんぱ く量で、より簡便に安くウイルス量が定量できるような方法ができ上がりつつあります ので、できたところで、それを現場に上手に応用されると合理的だと思います。 ○平澤会長  教えていただいて、会員に徹底するようにしていきたいと思います。ありがとうござ いました。 ○杉村座長  平澤先生、どうもありがとうございました。まだ御議論もあるかと思いますけれど も、時間が今日は4時半までということになっているのです。ただ、大変御熱心な充実 した議論がありますものですから延ばさせていただいているのだけれども、あと松浦教 授と三重県の田畑様からお話を承りたいと思います。  国会で昨日予算が議論されたということで、堺先生がここにいるとC型肝炎対策の予 算がとれなくなっちゃうとかそういうことはないですか、大丈夫ですか。  大丈夫だそうですから聞いていてください。それで、先ほど間違って、堺審議官は 我々と同じ有識者会議のメンバーじゃないのかなんて言ってしまったけれども、失礼し ました。この有識者会議はインディペンデントでありますけれども、堺審議官は、私は 前からよく存じ上げて、それから大変本問題に熱心なものだから、つい会議のメンバー のお1人かと思ってしまって、リアゾンみたいに出席して下さっている。失礼なことを 申し上げました。  ちょっと余計なことを言いますけれども、大河内先生というのは、西岡さんがよく御 存じだろうと思うけれども、偉い人なんです。日本には偉い人がたくさんいて、この方 面は割合進んでいたんですよ。谷口君にしてもそうだし織田先生とか、そういうわけで 対策会議が遅れたとか、劣ったとかいうことのないようにしたいものだと、実は、我々 思っておりますので、どうぞそのように御理解ください。  それでは、松浦教授お願いいたします。 ○松浦教授(大阪大学微生物病研究所)  阪大の松浦です。4月から阪大に移りましたが、それまで国立感染症研究所の肝炎ウ イルス室室長をしておりまして、来年の3月までは感染研も併任せていただくことなっ ております。  今日は、C型肝炎ウイルスのワクチン開発の現状を紹介し、それから我々が現在行っ ていますウイルスの感染の進入機構を抑えるヒト型抗体の開発のお話をさせていただき ます。  皆さん御存じのように、C型肝炎ウイルスの研究の一番大きな問題は、このウイルス を試験管の中で増やすことができないことです。感受性のある培養細胞がないというこ とです。そして、チンパンジー以外に感受性を示す実験動物がいないということです。 だから、いいワクチン候補が出てきても、それを評価するアッセイ系がないということ です。そこでまず我々、現状では培養細胞の実験動物がいないという現状ですので、C 型肝炎ウイルスの感染メカニズムを解析するシステムの開発を試みました。今までお話 がありましたように、インターフェロン治療もいろいろ努力をされておられるようです が、やはり満足のいく効果はまだ得られていません。また、日赤の努力で輸血によるHCV 感染は日本ではほぼ制圧されたと考えられます。しかしながら、既に感染された方が日 本だけでも200 万人、世界中では2億人も存在するという現実があります。そこで、ワ クチンのターゲットとしては、こういうキャリアの方の発症を阻止するという治療用の ワクチンを開発しなければいけない、それからまた、もっと有効な治療薬を開発しなけ ればいけないわけです。そういうことが考えられます。 (スライド) お話を簡単にしろと言われて、要旨を後さんに送ったら、分からんと言われたので、 どこまでできるかわかりませんが、なるべくやさしくお話しさせていただくつもりで す。C型肝炎ウイルスは遺伝子として1本のRNAを持っています。このRNAから1 本の大きな蛋白がつくられるわけです。そして、ウイルスの粒子をつくる蛋白というの は3つあります。それが大きな蛋白の、この辺に全部集まっています。それが細胞の中 にあるプロテアーゼという蛋白を切る酵素で切れて、これがウイルスのRNAと結合し て、ウイルスのスパイクをつくる2つのエンベロープ、E1、E2蛋白です。そして、 一番ワクチンの候補として考えやすいのが、ウイルスの表面に突き出しているエンベ ロープ蛋白であります。 (スライド)  現在、世界じゅうでHCVワクチンを開発しようという努力はされております。一番大き な仕事といいますと、数年前になりますが、アメリカのカイロンというベンチャーの会 社がありますが、そのグループは先ほど言いましたエンベロープ蛋白、2つあります が、これを遺伝子組み換え技術で大量につくりました。そして、これをアジバントとい う免疫機能を賦活化する物質とともにチンパージーへ非常にしつこく免疫し、そこへウ イルスを攻撃しました。そうしますと、ワクチンをした7頭中5匹に感染防御が認めら れました。しかし、これは一応活性があったと言われるんですが、しかし、ウイルスを 10コピーぐらいしか接種していないんです。普通、針刺し事故でも30コピーとか100 コ ピーぐらい入るんですね。だから、非常に少ないものしか防御できなかった。それから また、遺伝子型が同じでも、ちょっと違うウイルスだと防御がいかないという問題があ りました。  そしてもう一つ、これはスタンフォード大学のグループが何も免疫していないチンパ ンジーにウイルスを打っても自然治癒するものがいますが、それをよく調べてみると、 抗体よりも細胞性免疫の方が感染した後、慢性化しなくて治ってしまうのには、重要で あるというような報告をしております。また、アメリカでNIHのグループはC型肝炎 ウイルスの粒子に似た形のウイルス、C型肝炎ウイルスみたいな偽物のウイルスを昆虫 ウイルスとかでつくって、コードしたり、あるいは現在、この業界ではよく使われるん ですが、プラスミド、いわゆるC型肝炎ウイルスのRNAをコードするDNAを、その まま動物に注射する。これをプラスミドワクチンといいます。つまり、この遺伝子を直 接動物の細胞に入れてやって、動物の細胞の中で蛋白をつくらせて免疫を誘導するもの です。  それからもう一つは、いわゆる抗体療法です。これはC型肝炎陽性の患者血清をいっ ぱい集めてきて、そこからC型肝炎の抗体を大量に精製し、その効果をアメリカのCDCの グループがチンパンジーで実験しました。そうしますと、それほど完全な感染防御はC 型肝炎の免疫グロブリンでは見えなかったんですけれども、肝炎が少し遅れるとか、慢 性化の具合が普通の抗体を投与したときよりもよかった。こういったいろんな試みがさ れています。 (スライド)  C型肝炎ウイルスの研究で最近一番のヒットだったというか、みんなが注目したの は、これはイタリアのカイロンのグループの発見でした。C型肝炎ウイルスのエンベ ロープは2つあるといいました。その1つ、E2の一部を遺伝子組換えで大量に発現 し、精製したE2蛋白がヒトのCD81という分子に特異的に結合するということを見つ けました。CD81というのはいろんなヒトの細胞が持っています。膜を4回貫通する分 子ですが、この精製したE2がCD81に結合するのをブロックする抗体、これを結合阻 止抗体、カイロンのグループはこれをNOB抗体と呼んでいます。これが感染防御、い わゆる中和抗体ではないかということを提唱しました。というのは、先ほど言いました カイロンがやったチンパンジーの感染実験では7頭中5頭に感染防御活性が見られたん ですが、その5頭全てがNOB抗体を持っていたということが挙げられます。 (スライド) 我々も、これは片山先生の協力を得まして、非常に貴重な血清を手に入れました。こ の方は、ここで輸血を受けました。それを約500 週間、すなわち約10年間フォローした 非常に貴重な片山先生のサンプルです。このピークがALT、いわゆる典型的な輸血後 肝炎を起こしました。ところが、この人は100 週後、ウイルスが完全に消えてしまいま した。この人をよく見ますと、先ほど言いましたE2蛋白がCD81に結合するのをブロ ックする抗体、いわゆるNOB抗体が非常にきれいにあらわれました。先ほどチンパン ジーでは600 ぐらいあれば感染防御があったと評価したんですが、それに比べると4,000 倍という非常に高いNOB抗体を持っていました。 (スライド)  お手元の表にありますが、我々は日本で7例、慢性C型肝炎から自然治癒した人を集 めてきました。そうしますと7例中6例がNOB抗体が持っていました。NOB抗体と いうのは、ワクチン効果が認められたチンパンジーで検出される。それから、慢性肝炎 の自然治癒例で高率に7例中6例見つかっている。ということは、こういう抗体は中和 抗体になるんじゃないかと考えました。そしてNOB抗体活性を持ったヒト型抗体をつ くれば、それは治療用抗体になるのではないかと考えたわけです。 (スライド)  しかしながら、NOBというのは精製したE2蛋白がCD81に結合するのをブロック する抗体です。しかし、我々ウイルスからしますとウイルスが感染する場合には、まず 細胞表面のリセプターというある分子を認識します。そしてウイルスがリセプターにと りついて、それから細胞の中に侵入するんですが、その侵入の仕方が大きく分けて2つ あります。1つは細胞の表面から直接ウイルスの膜と細胞の膜が融合してウイルスの核 酸を中に入れてしまうという方法があります。こういう入り方をするのが、ここに書い てありますエイズウイルス、あるいは麻疹ウイルスなどは、こういう入り方をします。 またもう一つの入り方というのは、一旦リセプターに結合して、お手元にもエンドサイ トーシスという聞き慣れない言葉を書いていますが、一旦細胞の中に取り込まれます。 取り込まれた部分、ここをエンドゾームという環境なんですが、ここは非常にpHが低い んです。そうすると、低いpHの環境下で、エンベロープの構造が変わって初めて細胞融 合活性を獲得するわけです。こういう入り方をするのが、インフルエンザウイルスと か、日本脳炎ウイルスなんです。ところが、C型肝炎は一体どっちの入り方をするのか 皆目検討がつかないわけです。 (スライド)  これが我々がつくったアッセイ系です。先ほど言いましたNOBアッセイというの は、ウイルスの一部の蛋白を精製してきて、それが結合する分子CD81であり、その結 合をブロックするのがNOB抗体です。しかし、感染のそれ以降のステップ、すなわち リセプターに結合して、細胞へ侵入する過程をアッセイできる系をつくりました。ま ず、これはハムスターの細胞の表面にC型肝炎ウイルスのエンベープ蛋白を発現する、 そういう細胞をつくりました。それと、C型肝炎が感染するであろうと思われる、いろ いろ探したんですが、こういう細胞を見つけてきました。そして、この2つの細胞を一 緒に培養してやりますと、C型肝炎のエンベロープ蛋白によって細胞融合が起こるわけ です。こういうアッセイ系はエイズウイルスの第二のリセプター、ケモカインリセプ ターなどをとってくるときに使われたシステムです。 それともう一つは、C型肝炎ウイルスと違うウイルスを借りて、その表面をC型肝炎 ウイルスのエンベロープに置き換える偽ウイルス法です。今回使いましたのは、狂犬病 ウイルスに非常に近縁な水疱性口内炎ウイルス(VSV)というウイルスですが、その ウイルスの表面にC型肝炎ウイルスのエンベロープを被せてやりました。そして、この ウイルスが細胞のリセプターを介して結合して侵入すれば、このウイルスには緑色の蛍 光色素、クラゲの蛍光色素を発色するようにしてありますので、感染すれば青く光るわ けです。細胞融合では、細胞融合が起こればホタルのルシフェラーゼが光る。そういう システムをつくりまして、非常に高感度、かつ定量的にウイルスの侵入機構を解析する 系をつくりました。 (スライド)  こういった試験法でわかったことなんですが、C型肝炎ウイルスがどうやって細胞内 に侵入していくのか。先ほど言いましたように、リセプターに結合した後、細胞表面で 直接融合するのか、あるいは一旦エンドゾームという細胞内腔へ取り込まれて、ここで 融合するのか、結果からいいますと、リセプターに結合した後、こういうエンドゾーム という細胞の内腔へ入って、その内腔は非常にpHが低い環境なので、このエンベロープ 蛋白が構造変換を来して、細胞融合能を獲得して、ウイルス核酸を細胞の中に注入する ということがわかりました。感染には、E1とE2両方の蛋白が必要でした。先ほどC D81というのはC型肝炎ウイルスのリセプターではないかと言いました。しかし、この 細胞融合アッセイと偽ウイルスアッセイで評価しますと、CD81を単独で発現させても 細胞融合も偽ウイルスの感染も起きないことが分かりました。それプラス、何か補助因 子が必要になる、あるいはCD81以外の蛋白リセプターがあるのではないかと現在考え ております。こういったアッセイ系ができましたら、次、スライドお願いします。 (スライド) ここで我々が、こういったアッセイ系をつくりましたので、こういう活性を阻害する ヒト抗体をつくろうと考えました。抗体をつくるというのは、大きく分けると2つの方 法が考えられます。1つは、C型肝炎ウイルスに感染されて、非常に稀ですけれども、 自然治癒する方がおられると言いました。そういった方には何らかの中和抗体があるだ ろうと考えられます。そこで、そういう患者さんの抗体遺伝子をほとんどカバーするよ うなライブラリーをつくって、そこから、HCVに対する抗体をとってくるという方法、あ るいはもう一つは、ゼノマウスを使う方法です。これはマウスの抗体をつくる遺伝子を 除いて、その代わりにヒトの抗体をつくる遺伝子を組み込んだマウスです。だから、こ のマウスに抗原を入れると出てくる抗体というは、マウスの抗体ではなくてヒト型抗体 ができてくるというマウスです。 (スライド)  まず、ファージディスプレー法という、これまたややこしいのかもしれませんが、ま ず、これがC型肝炎から自然治癒したヒトの血液、そこからリンパ球をとります。そこ から抗体をつくる遺伝子をとってきます。そして抗体というのはYの字型をして、重 鎖、軽鎖とこういうふうな構造をしています。結合に一番重要なのが、非常に変異が激 しいバリアブルリージョン、この鎖軽と重鎖のバリアブルリージョンだけをとった、こ ういうのを単鎖抗体といいますが、こういうヒトの抗体を10の何乗という、ほとんどそ の人の抗体をカバーできるような、そういう抗体遺伝子をいっぱいつくりました。それ をファージというウイルスがいます。これは大腸菌に感染するウイルスです。大腸菌に 感染するウイルスで、ウイルスの先にこういう突起があります。これは大腸菌の繊毛と いう毛を認識して、そこから感染するときに使うしっぽなんですが、そこの突端にヒト の抗体の結合に一番重要な単鎖抗体を発現させることができます。そうしてC型肝炎か ら治ったヒトからいろんな抗体遺伝子を持ったファージというウイルスをつくったわけ です。これがファージディスプレー法です。 (スライド) それともう一つはゼノマウス、先ほど言いましたようにマウス自身の抗体遺伝子をつ ぶした、いわゆるノックアウトマウスいいますが、こういうマウスとヒトの抗体遺伝子 を入れたトランスジェニックマウス、この2つをかけあわせてできた子どもが、こうい うゼノマウスというマウスができます。このマウスはマウスの抗体遺伝子をつくること ができなくて、このマウスを抗原で免疫すると出てくる抗体は全てヒト型抗体でありま す。こういったシステムを使います。 (スライド)  これはゼノマウスをどうやって免疫したかということですが、先ほど言いましたよう にハムスターの細胞の表面にC型肝炎ウイルスのエンベロープ蛋白を発現した細胞をつ くりました。その膜の部分だけをとってきてゼノマウスを免疫しました。そうしますと 当然いろんなモノクローナル抗体がとれてきます。その中でC型肝炎ウイルスのE2あ るいはE1に反応する抗体が7個と3個、計10個とれてきました。 (スライド) そのうち、細胞融合阻止活性、先ほど言いましたウイルスが細胞の中に進入していく ステップを抑える抗体が全部で6個とれました。そのうち2個はE2に対する抗体で す。そのうち4個はE1に対する抗体でありました。先ほど言いましたファージディス プレーではNOB活性をもって、さらに細胞融合阻止活性を持った抗体が1つとれまし た。計7個の細胞融合を阻害できるヒト型の抗体ができました。 (スライド) こういった活性を持った抗体というのは、これはあくまでも試験管の中の話でありま す。こういった試験管の中で感染を中和できるような活性を持ったヒト型抗体がとれま した。この抗体が本当に生体内のウイルスを排除できるかどうかを実験動物の中での評 価をしなくてはいけません。もしも、そういう動物の中でもウイルスの増殖を抑えるよ うな活性があれば、そういった抗体は確かに中和抗体になります。だから、こういう中 和抗体が認識できるようなまた、このような中和抗体ができれば、反応できる抗原をデ ザインすることができます。そうすると、こういう抗原というのは中和抗体を誘導でき る、いわゆる治療用ワクチンになる可能性がありますし、こういう抗体は、すなわち治 療用抗体になるかもしれません。しかし、最初に言いましたように、現在、信頼できる 培養系、感受性のある細胞、あるいは実験動物はチンパンジー以外に感受性を示す動物 がいないわけです。現在、我々がつくりました細胞融合、あるいは偽ウイルスアッセイ で活性のある中和抗体がとれてきましたもしもこういうのが実験動物で活性を証明でき れば、キャリアの発症阻止に役立つ治療用抗体になり得るというふうに考えておりま す。 以上であります。 ○杉村座長  松浦先生、大変ありがとうございました。恐らくこういう基礎的な研究というものが 一番強い武器になるんだろうと思うんですけれども、何か御発言ござませんでしょう か。  非常にテクニカルなことで、いろいろお聞きになりたい方もあると思いますので、あ るいは後から伺っていただくことにいたしてもよろしいかと思いますけれども、松浦教 授それでよろしいですか。  また、個人的にありましたら詳しいことを教えていただくと、あるいは御発表の論文 等々もあることと思いますので、どうもありがとうございました。 あと、三重県で現実的に処理をいろいろやっておられる方で、これは健康福祉部の医 療政策課の医療対策調整監の田畑様からお話を承りたいと思います。  今の松浦先生のお話は非常に重要であって、こういう研究が、今度できる総合科学技 術会議とか、ああいうところでもちゃんと議論されるべきなんですね。厚生労働大臣 は、総合科学技術会議の正式なメンバーじゃないとかというのは、国家としてよいので うかね。これは余計な発言ですけれども、それでは田畑先生、よろしくお願いいたしま す。 ○田畑医療対策調整監 (三重県健康福祉医療政策課) 三重県から参りました田畑と申します。三重県のような中小規模の県の事例が参考に なるかどうかわかりませんけれども、ある意味では標準規模の自治体でないかと思いま すので、そのようなところがどのような経緯で、現状はどうなのかというのを聞いてい ただいて御参考になればと思います。  三重県は平成8年度からこの事業を実施しておりまして、今年度で5年目になるわけ ですけれども、平成8年度当時は私は片田舎の保健所長をしておりまして、この事業を 実施するに当たっての詳細な経緯とかはちょっとわからないのですけれども、当時の記 憶とか、当時かかわっていた人間に話を聞きまして、ここでお話をさせていただきたい と思います。  三重県の場合は、直接背景となっておりますのが、昭和40年ごろにある地区で、当時 はなぞの肝炎様疾患というふうに新聞に書かれているんですが、肝炎の流行がありまし て、これで98人が発症、11人が死亡、同時に行った健康診断で156 人に肝障害が認めら れたというような事件がありましたのを背景に、ずっとそれを引きずりながら、県内の 地域によって肝がんとか、肝炎及び肝疾患の受療率に差があるのではないかということ が、正確な統計ではなく、保健婦とかそういう現場で当たっている者の感触としてあっ たようです。直接的なHCV抗体が測定できるようになったことによりまして、医療関 係者の注目が当然そういうところに集まりましたので、地元の病院の先生方とかが研究 の一環として、当時の登録された患者さんとかをもう一度再調査してみたところ、37名 中29名がHCV抗体が陽性であったという結果がありまして、直接的にはその町、その 自治体を中心に、県に対してもうちょっと大規模に事業とか調査を実施したいという働 きかけがありまして、この事業が開始されております。  当然そのときの議論というのがありまして、財政当局とかの議論では、行政としてか かわる必要が本当にあるのか、患者と医療機関あるいは患者と医師の問題ではないのか とか、福祉的な意味合いでかかわるのかとか、そんなような議論もありました。それと は別に、我々保健担当部局の中でも議論は当然ありまして、発見できたのはいいけれど も、その後のフォローはどうするんだとか、結果はプライバシーにかかわってくるの で、結果が把握できるのか、あるいは高濃度、高まん延地域というのが浮かび上がって きたときに、地域の差別化のようなものが起こって、昭和40年当時もあの地域から嫁 さんがもらえないとか、田舎の場合そういうことにつながっていくおそれもあので慎重 にやるべきだというような様々な議論があったのですけれども、最終的には県としても 相当数のキャリアの方がいらっしゃることは間違いないのだから、健康上の問題なので 取り組んだらどうかということで実施されております。  実施されている事業の内容は下の2つで、抗体検査事業と医療費の自己負担分を公費 で持つという2本立てでして、どのように実施するかについては、各市町村により住民 の意識とかフォロー体制なりいろいろ条件が違うので、市町村事業としてやっていただ こうということで、県が半分お金を出して、市町村が半分お金を出してやりますという ことです。  抗体検査は基本的には老人保健事業の基本健康診査に合わせて、そこで採血するのだ から一緒にやってもらえば便利じゃないかというようなことでやっておりますが、これ に合わせなくても特に制約は認めず、市町村に実施方法は任せているような現状です。 ただし、1人1回限りですよ、毎年受けてもらうような検査ではありませんのでという ふうにしております。医療費の方の事業も同じように市町村事業としていただきまし て、手がけた市町村だけ実施するということで県と市町村が半分ずつ持つということで す。これは財政上の問題ですけれども、一応1人1クール限りというふうに限定してい ます。  問題なのは、結果をどのように活用するかというところで、非常に難しいのですけれ ども、これもなかなか県なり保健所としても指導が非常に難しくて、市町村の自主性な り、手法としては任せているような形になっております。当初、安易というか、我が町 にC型肝炎のキャリアが多いようなので、疫学的にちょっと見てみたいというふうに始 めた市町村もあるようですが、疫学的なデータまでは行き着かないようです。もちろん 全数とか強制とかランダムに抽出するというような手法がとれませんので、疫学的に活 用するのは難しいだろうということはわかってきております。町によって、もともと住 民にキャリアが、陽性率が高いと自覚があるような町では、そういう結果の説明とか肝 臓病講演会を実施するとか、あるいは家庭訪問までできるような、かなり介入ができる 地域もありますけれども、それ以外のところでは、この方は感染している、この方はキ ャリアですというのは、先ほどもありましたけれども、労働の差別とか、そういうのに つながるおそれがあるので、健康教室でみんなが集まったところでやったとしても、一 般的な肝炎のお話しかできない。結局は最後は、本人とかかりつけ医なり、どこか主治 医を見つけて、できたらかかってくださいと、そこまでしかできない。それ以上のフォ ローができないというのが現状のようです。  そのようなことを踏まえて、現時点、平成12年度で実施経験がある市町村が19しかな いのですけれども、三重県は全部で69市町村があるんですが、実施しない市町村とかの 意向を今年度調査をしているのですけれども、当然予測されたような答えが返ってきて おりまして、やはりフォローとか指導の体制が整っていない。これは保健婦には荷が重 いし、開業医さんなり、かかりつけ医としても、肝炎に対してどのように指導していい のか判断に迷っている先生とかがかなり多いようなので、なかなか実施に踏み切れな い。あるいはプライバシーに非常にかかわってくるので、ちょっと間違えたことによっ て、個人情報が漏れたりして偏見なり差別につながるおそれがあるのではないか。それ から十分啓発なり説明がなされていないと、安易に健康診断で測定してもらえる項目が 増えた、やってくださいと受けてもらっても、もし陽性であったときに、その説明を聞 いて、それを本当に受け入れられるだけの住民の方の知識なり心構えがあるかどうかが 非常に問題ではないか。啓発というものを同時に実施していかないと混乱なり不安を強 くしてしまうことに終わるのではないかというような市町村からの意向が返ってきてお ります。  それとは別に、当初から予測されていた効果をどのように判断するのか。近年、行政 の費用対効果というのは、これを証明するようにという傾向が強いものですから、これ がなかなかできない。陽性であった方のフォローもできないし、受診しなかった方との 比較もなかなかできないというようなことがあって難しい。 参考資料にありますように、11年度以降の集計がまだ出ておりませんので、10年度ま でしかないのですけれども、これまで実施している市町村では陽性率がかなり高い。高 いところでは20%を超えているような市町村もありまして、たくさんのキャリアの方が 見つかるじゃないですかというような説明、そこまではできるんですけれども、その方 たちが発見されてどうなったのかとか、そこまでのデータがありませんので、効果の証 明は非常に難しいという現実があります。  そのような中で、現在何とかそういう事業を実施しているのですけれども、市町村の 意向としては、特に生活習慣病でありますとか、非常に業務が多忙になってきている、 人員も増えないという別な意味の制約もあって、なかなか肝炎対策が実施できないとい うような返事もいただいております。現状はどうかと言いますと、そういうのを総合的 にとらえますと、行政が関与する必然性を必ず証明しなきゃいけないんですけれども、 それがなかなかできていないのがありまして、それから効果を証明するということも非 常に難しい。財政状況もありまして、この事業を継続していくのには県としては厳しい 状況にあることは確かです。これから続けていくとなると、最初はかなりハイリスクな り、まん延率の高い市町村が当然手を挙げてきているわけですので、だんだんそうでな い市町村とか対象者になってくるわけですから、陽性率とかそういうのも当然だんだん 下がってくることが予測されますので、なお、この事業を県として取り組む必要がある というのを説明していくことは、なかなか困難な状況にあることは確かだと思います。  ですので、県としても5年やったところは、ある程度感染した方の掘り起こしの目的 は達成できたのではないかというような議論もあるわけなので、そういう意味で非常に 厳しい議論を毎年毎年繰り返していかなければいけないという状況でありまして、今後 はそういう中で、この有識者会議の結果なり報告を参考にさせていただいて、県として の取り組みを考えていこうと思っております。以上です。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。現実的にその衝に合ってとり行われていることにつ いていろいろと御見解をお述べになったんですけれども、どなたか御発言ございません でしょうか。 ○遠藤委員  この2つの事業につきまして、どのぐらいの費用がかかっているのかという のがおわかりになっていると思いますので、教えていただければと思うんですけれど も。 ○田畑医療対策調整監 費用は抗体検査事業で、当時決めたのは、特に基準額とかは決めておらずに、医師会 とかと契約して、その単価の2分の1を県が持つということでやっておりまして、事業 実施から2年目ぐらいの、平成9年度が一番受診していただたい方が多かったんですけ れども、その年で1万3,000 人少しです。1抗体の検査が大体3,000 円前後でされてい るところが多かったので、全体として事業費としては4,000 万円ぐらい、その半分を県 がみますので、大体県としては多い年で2,000 万円ぐらいです。医療費の方は患者さん の数によって全然違うので、平成11年度とかでは1人とか2人とか、周知の度合いも悪 いのかもしわかりませんけれども、何十万円というオーダーです。9年度あたりはもっ と多かったと思います。何百万かと思いますが、はっきり記憶していないので申しわけ ないのですけれども。 ○杉村座長  遠藤先生よろしいですか。もう少し詳しいことが必要だったら後からお聞きいただい て。  ほかにどなたか。 いろいろ御議論もあると思うんですけれども、大変つたない司会をいたしまして、ち ょうど今5時になりましたので、本日の第2回の有識者会議は終了させていただこうか と思うんですけれども、何か事務局の方からございませんか。この次のことについて は、紙があるとか言ったけれども、なかったから、個々に聞いて、また日にちを調整し ていただくということでよろしいですか。 ○健康危機管理官 それでは第3回の会議につきましては、1月中旬から下旬を目途に開催したいという ふうに考えてございます。開催日につきましては、事務局で調整をいたしまして、後日 御案内いたしたいと思います。大変失礼いたしましたが、日程調整票は後刻先生方に送 らせていただきたいというふうに思います。 また、次の会につきましては、これまで2回の有識者会議での御意見等を踏まえまし て、事務局から論点を整理の上、会に提示をさせていただきたいというふうに考えてお ります。  以上でございます。 ○杉村座長  どうもありがとうございました。堺審議官あるいは岩尾課長、ございませんか。特 段、委員の方からございませんか。  それでは、いろいろ不手際がございましたけれどもお許しいただきまして、今日はい ろいろな意味で勉強になったことと思います。暮れのお忙しいところをお集まりいただ きましてありがとうございました。厚く御礼申し上げます。                                     (了) 照会先 大臣官房厚生科学課  磯貝 石田 電話(代表)03−5253−1111   (内線)3807(磯貝)3815(石田)