00/12/14 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会議事録 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会 議事録 厚生省生活衛生局食品化学 食品衛生調査会毒性・添加物合同部会 議事次第    日 時:平成12年12月14日(金) 10:00〜11: 27    場 所:KKRホテル東京 11階朱鷺の間    議 題    (1)電解水の食品添加物としての指定の可否について    (2)ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正の可否について    (3)食品添加物一日摂取量総点検調査結果について   (4)既存添加物の安全性評価に関する調査研究結果について   (5)その他 ○事務局 それでは、定刻を過ぎましたので「食品衛生調査会毒性・添加物合同部会」を開催さ せていただきます。 本日は、毒性部会8名中4名、添加物部会9名中6名の先生方に御出席いただいてお りますので、本日の部会は成立いたしますことを最初に御報告いたします。 また、本日は食品衛生調査会の臨時委員であられる4名の先生方、石綿先生、戸部先 生、林先生、米谷先生にもお越しいただいております。 それでは、最初に食品化学課長よりごあいさつ申し上げます。 ○食品化学課長 おはようございます。食品化学課長でございます。 本日は御多忙のところ、年末でありまして、各先生方にはいろいろな調査会等、御多 忙であろうと思いますが、この合同部会に御出席いただきまして、誠にありがとうござ います。 私ども食品添加物の安全性確保という観点から、できるだけ科学的な根拠に 基づいて安全性の確保を図っていくということで行われておりますが、そういう点で各 先生方におかれまして、いろいろな点で御協力をいただいておりますことを感謝申し上 げたいと思います。 本日の合同部会は、2つの審議事項と、2つの報告事項がございます。その点、よろ しくお願いしたいと思いますが、来年早々省庁再編ということで、私ども厚生省が厚生 労働省となりまして、また、本食品衛生調査会も、薬の関係であります中央薬事審議会 と統合されまして、薬事・食品衛生審議会というふうに変わってまいります。その中 で、分科会ということで、薬事の関係の分科会と私どもの方の食品衛生分科会という形 で2つの分科会がその下にあるということになります。 その分科会の下で各種部会が設置されるということになりますが、そういうことにな りますと、現体制におきましては、最後の毒性・添加物の合同部会ということになるわ けであります。体制は変わりましても、引き続き私どもの食品添加物関係の安全確保対 策というのは変わりませんので、また、引き続きよろしくお願いしたいと思います。 本日はよろしくお願いいたします。 ○事務局 本日は議題1と2の2点につきまして、御審議いただきまして、その後食品添加物の 関係でとりまとめられました2件の報告書に関しまして、議題3及び4といたしまし て、本合同部会の方に御報告させていただきたいと考えております。 本合同部会の座長につきましては、毒性部会長であられます黒川先生にお願いしたい と思います。 黒川先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○黒川部会長 国立衛研の黒川でございます。今日、座長を務めさせていただきますので、よろしく お願いいたします。 それでは、まず配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 まず当日配付の資料といたしまして、議事次第と書いて左上ホチキスで止めまして、 議事次第、その次に委員名簿と座席表の資料を机の上に置かさせていただいておりま す。 それから、事前に先生方の方へ送付させていただきました資料は5点ございます。 資料1が「食品添加物の新規指定及び使用基準改正の可否に関する食品衛生調査会へ の諮問について」という1枚紙の資料でございます。 資料2が「電解水の食品添加物としての指定について」という、これも1枚紙の資料 でございます。 資料3は、ホチキス止めの資料でございます。「ステアロイル乳酸カルシウムの使用 基準改正について」という資料でございます。 資料4は、少し厚めの資料でございます。平成11年度第二次補正予算による「食品添 加物一日摂取量総点検調査の実施に関する報告書」でございます。 資料5は「既存添加物の安全性評価に関する調査研究報告書」でございます。 以上の資料につきまして、もし不備等ございましたら、事務局の方までお知らせてい ただきたいと思います。 ○黒川部会長 よろしいでしょうか。 それでは、早速議題1の方で「電解水の食品添加物としての指定の可否」ということ でございますが、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、議題1に関しまして、まず最初に資料1に基づきまして、食品添加物の指 定、それから使用基準改正の手続等につきまして、簡単に御説明させていただきます。 資料1でございますが、まず1番に書いてございますように、食品衛生法第6条によ りまして、食品添加物の製造、輸入、販売等につきましては、人の健康を損なうおそれ のない場合として、厚生大臣が食品衛生調査会の意見を聞いて定める場合を除き、原則 として禁止されているわけでございます。 また、食品衛生法第7条第1項によりまして、食品添加物の規格や基準が定められて おります。これらの規格や基準に適合しない食品添加物の製造、輸入、販売等は禁止さ れておるわけでございます。 規格とは食品添加物の純度や不純物の限度値を定めたものでございます。 使用基準とは、食品添加物を使用することができる対象食品や、食品添加物の最大使 用量等を定めたものでございます。 この食品添加物の新規の指定の要請とか、使用基準の改正の手続等につきましては、 食品衛生調査会の方からいただいた答申に基づきまして、平成8年3月に生活衛生局長 から通知の形で指定要請をする者が、有効性、安全性等に関する資料を添えて、厚生大 臣宛てに要請書を提供するということを定めて通知しているものがございます。 今回、ここの3.のところに2つ書いてございます下記の2つの事項につきまして、 要請がなされました。 事務局の方で予備的な審査が終了いたしましたので、平成12年11月30日付で食品衛生 法第6条等に基づきまして、食品添加物の指定、使用基準改正の可否につきまして、食 品衛生調査会の方に諮問させていただいたものでございます。 1点目が「電解水の食品添加物としての指定」ということ、本日の議題1でございま す。 2点目が「ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正」でございます。 そのほかの点は参考事項でございますが、食品衛生法第6条により指定されている品 目数は、平成12年6月30日に、食品添加物の削除、整理等が行われましたことから、こ れの実際の施行日というのがございますので、それで平成13年1月1日以降は338 品目 になるということでございます。 資料1につきましては、以上でございます。 続きまして、資料2に基づきまして、電解水の食品添加物の指定について概要を説明 させていただきます。 資料2は「電解水の食品添加物としての指定について」ということで、品名は電解水 ということで今回諮問させていただいております。 このものの用途は殺菌料でございます。 指定の要請者は、このものが強酸性の電解水と弱酸性の電解水の2種類につきまして 要請がございましたことから、ア)とイ)に書いてございます2社でございます。 諮問させていただいたのは、先ほど申し上げたように11月30日でございます。 外国でのこのものの使用状況につきまして、米国におきまして、野菜、肉等への使用 が認められております。このものの概要でございますが、電解水のうち、酸性電解水に つきましては、野菜、肉などに存在します枯草菌や大腸菌、黄色ブドウ球菌等を殺菌す る目的で使用されるものでございます。 酸性電解水により処理した食品において、最終製品で塩素はほとんど残留しないとい うことが示されてございます。 この要請は、酸性電解水を食品衛生法第6条の規定に基づいて、厚生大臣が定める添 加物として新たに指定することを求めるものでございます。 2つ品目に一応中で分かれておりますので、ア)とイ)について別々に内容を更に御 説明いたします。 強酸性電解水につきましては、塩化ナトリウムの水溶液を、有隔膜の電解層内で電気 分解いたしまして、陽極側から得られまれす次亜塩素酸を主な生成成分とする酸性の水 溶液であります。 このとき用いる塩化ナトリウムにつきましては、純度99%以上で、かつ添加物を含ま ないものであります。 使います電極は、チタン、白金等の不溶性の電極ということになっております。 有効塩素濃度としては20〜60mg/L、できますpHとしては2.2 〜2.7 ということで 要請が上がってきております。 イ)の弱酸性の電解生成水溶液につきましては、塩酸の水溶液を、こちらは無隔膜の 電解層内で電気分解して得られる次亜塩素酸を主生成成分とする酸性の水溶液でござい ます。 このとき用います塩酸は、添加物規格の適合品であります。 電極は、チタン、白金等の不溶性電極でございます。 有効塩素濃度につきましては、10〜30ppm 、pHは4.5 〜7ということで、要請が上 がっているものでございます。 電解水の指定に関する諮問の内容につきましては以上でございます。 どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。 ○黒川部会長 ありがとうございました。 それでは、これに関して何か御質問、御意見ありましたらどうぞ。 ○中澤委員 次亜塩素酸は、食品添加物にはなっていませんが、この資料に記述されている方法 は、塩化ナトリウムの水溶液、もしくはその塩酸を電気分解することによって出てくる 次亜塩素酸を利用するということで、その辺の問題はないと思います。気になるのは、 食品中にクロロホルムが微量に検出される場合があり、このクロロホルムの由来を考え たときに、我々が一番疑っているのは次亜塩素酸ではないかと考えています。その辺に 関して、厚生省の方で何か情報を持っていらっしゃいますか。 野菜、肉での使用がアメリカでは認められていると記載されていますが、どうも有機 化合物が存在するときに、次亜塩素酸が共存すると、クロロホルムが生成されるのかと いう情報がないんです。もしそのあたりの情報や実験データが、もしあれば御紹介いた だきたいと思います。 ○事務局 確認してみますが、そういう情報は今すぐ思いつきません。手持ちのものはもう一度 確認させていただきます。 ○黒川部会長 よろしいでしょうか。委員の方でこの情報で何かあれば。 では、そういうことで確認して御報告してください。ほかにございませんでしょう か。 この概要ですけれども、これは何と言いますか、化学的なことがちょっと書いてあるこ とで、有効性と安全性の資料というのは、膨大なものが来ておって、それを事務局とし ての予備審査は終了したという段階で、ですから、ここにはそういうことは全然出てい ないんですね。 ○事務局 ここはあくまで概要でございます。 ○黒川部会長 ホットな概要ですね。 ○戸部委員 この強酸性と弱酸性の2液が使われるようになりますね。この2液の使い方の現場で の使い分けはどういうふうなことになるんでしょうか。同じように野菜、肉にもし使う とした場合に、どうして2種類が必要なのかというような意味も含めてお教えいただき たんですが。 ○事務局 使い分けについては、特に今のところ、これはこちら、これはこちらということの明 確なイメージは持っておりません。2つについて、実際に開発されたので出てきたとい うところがまず第一でございます。ですから、こちらについても、諮問を1つで、電解 水という中で2つまとめて諮問させていただいておりますし、実際規格とか考えるとき に、その辺どういう整理をするかというのは、こちらの方としても課題としてあるとい うふうに認識しております。 ○高仲委員 先ほど中澤先生からもお話がございましたが、この電解水を作るに当たって塩化ナト リウムを溶かす水が問題であろうと思います。これに使う水についての規格はどのよう にお考えになっているでしょうか。 ○事務局 先ほど中澤先生の御指摘もありますが、クロロホルムとか、そういうもの、できたも のの分析値というのがこちらの方に出てきております。 あと、使う水については、特別に何か厳しい規格とかいうことは今の段階では想定し ておりません。 ○高仲委員 御存じのように、使用する水の中には有機物が存在する可能性があります。これにこ のような塩素を発生する処理を行いますと、いろんな有機ハロゲン化合物を生成する可 能性がでてまいります。それは水道水への塩素滅菌処理等で経験していることと思いま すので、この点に注意して使う水についても規格を設け、これをクリアーしたものを使 う必要があると考えます。この点についてお考えをお聞かせいただければと思います。 ○事務局 今のところは蒸留水とかの規格ではなくて、水道法などで言うところの飲める水、飲 料に適な水といった規格でこのものは出てきております。特に1回何か、相当精製を掛 けてこれをやるということでは今のところなっておりません。 ○山添委員 この電解水で処理をする時間については、何か制約とかいうのは決まっているんでし ょうか。 ○事務局 つける時間については、特に処理時間というのは、すぐに菌に対して効きますので、 特に規定をしないでよろしいのではないかというふうに今、思っておりますけれども、 そこも今後検討する課題というふうに思っています。0.5 分程度でもかなり菌に対して は効果が生じております。 ○山崎部会長 全体としてこれは諮問に応じるという形でよろしいかと思うんですが、ちょっと希望 を述べさせていただくと、この概要がもう少し踏み込んで書いていただかないと、この 委員会での委員の先生方の判断というのに、ちょっと足りないかなというふうに私は思 いますので、先ほどからの先生方の御質問を伺っていても、その程度のことはヒアリン グの段階で把握していただいているわけですから、もうちょっと書き込んでいただきた いなと思うんです。それだけ希望として申し上げます。 ○事務局 申し訳ございません。次回からそういたします。 ○黒川部会長 私もちょっとそういう感じがいたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○長尾委員 ちょっとよくわからないんですが、強酸性のものと弱酸性のものと比べると、濃度は 2分の1ですね。それでpHがこんなに違うというのは、よくわからないんです。 ○事務局 強酸性の方は有隔膜でございます。ですから、酸性側とアルカリ性をしっかり分けま す。片一方の方は、隔膜がない状態で生成させておるということの違いと理解しており ます。 ○長尾委員 そうしますと、塩素濃度というのが同じ次亜塩素酸だとすると、pHが説明できない んです。それは少し下の方はアルカリの成分が入っているんですか。 ○事務局 はい。 ○長尾委員 わかりました。 ○事務局 資料のできが悪くて申し訳ございません。次回から注意いたします。 ○黒川部会長 ほかにございませんでしょうか。 ○鈴木委員 これが実際に認可された場合に、野菜、肉等の殺菌ということになると思うんです が、これまでの例えば次亜塩素酸ナトリウムの実際の、例えば生野菜の洗浄・消毒にお いては、必ずしも殺菌効果が余りないといったようなことが起こっていますが、これは かなり有効であるという話も聞いたことがあるんですが、そういったようなものの中で の実用の適、実際にどういう場の中で適用し、これは普通の例えば食事などをつくる場 合のときの採算性といったようなものも含めて、引き合うようなことを目的にしてこの 開発をしていらっしゃるんでしょうか。 ○事務局 当然ビジネスですので、経済性については、我々は考えておりませんけれども、当然 そういう需要があるので、こういう要請が出されてきているものと理解しております。 ○石綿委員 1つ確認しておきたいんですが、これはあくまで添加物としての要請であって、こう いうふうにしてつくったものを食品に使うということであって、食品をその液の中につ けておいて、電気を通すというものではないですね。 ○事務局 そうです。 ○黒川部会長 やはり使用方法みたいなものをどこかに書いておいた方がいいですね。質問が出てき ますから。 ○事務局 はい。 ○黒川部会長 それでは、これは通例と言いますか、これまでもしておりますけれども、有効性、安 全性に関する資料たくさんございますので、更に詳細に検討するということが必要かと 思いますので、分科会の方へお預けして、そこで検討していただいて、その結果をもっ てまた本部会で審議すると、そういうプロセスにさせていただきたいと思いますが、い かがでしょうか。お認め願えればそういうふうにします。 (「はい」と声あり) ○黒川部会長 ありがとうございました。それでは、議題1の方はそういうことにさせていただきま す。 それでは、次の議題2「ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正の可否につい て」、説明をお願いします。 ○事務局 それでは、資料3に基づきまして、議題2の関係を説明させていただきます。 「ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正について」ということでございます。 こちらの方の品名はステアロイル乳酸カルシウムでございます。 用途は乳化剤でございます。 指定要請者、諮問の期日はごらんのとおりであります。 これまでの使用状況でございますが、我が国においては、スポンジケーキとかバター ケーキ等への使用が既に認められているものであります。米国、EU、スウェーデン等 でも広く乳化剤として用いられているものであります。 このものの今回の使用基準、改正の概要でございますが、このものは食品衛生法第6 条の規定に基づいて、指定を受けている添加物でありまして、食品のやわらかさの保持 とか、安定性の向上等の目的で使用されております。 FAO/WHOの合同食品添加物専門家会議、JECFAの方では、一日の摂取許容 量を、1日当たり20mg/Kg体重と定めているものであります。 今回の要請につきましては、このものを生菓子、油脂で処理した菓子等へも使用する ことができるよう、食品衛生法第7条第1項に基づいて、現行の使用基準の改正を求め る要請でございます。 現行の使用基準は、この1枚紙の下の方に書いてあるとおりでございます。 1枚めくっていただきますと、「要請されています改定案」がございます。この太字 下線部が改正箇所でございます。一番上のところの追加、それから3行目のところの修 正、4行目のところ、こちらも追加でございます。 下から2行目、今まで蒸しまんじゅうの使用基準があったわけですが、そこに追加す る形で「蒸しまんじゅうの製造に用いるミックスパウダー」という形で使用できる範囲 を少し拡大したいという要請でございます。 資料3につきましては、以上でございます。どうぞよろしく御審議のほどをお願いい たします。 ○黒川部会長 これも簡単なようですけれども、御質問、御意見ございましたらどうぞ。 ○山崎部会長 細かいことで恐縮なんですけれども、要請されている改正案「生菓子(米を原料とし たもの)」というところなんですが、前のところは「だんご」で、「米粉を原料とする ものに限る」というふうになっているわけですね。改正案の1行目のところは、「米を 原料としたものに限る」という、「限る」というのを、3行目のところは消えているん ですが、これは何か意味があってこの「限る」というところは消えているんですか。 ○事務局 これは同じ意味ですので、「限る」を入れるべきだと思います。 ○山崎部会長 全部「限る」が入るわけですね。 ○事務局 はい。 ○黒川部会長 それでは、これも前と同じように、分科会で詳細に審議をしていただきまして、その 結果をこの部会で更に審議するという形にいたしたいと思いますが、よろしいでしょう か。 (「はい」と声あり) ○黒川部会長 ありがとうございます。では、そういうふうにさせていただきます。 それでは、先へ進ませていただきまして、議題3「食品添加物の一日摂取量総点検調 査結果について」をお願いします。 ○事務局 それでは、資料4「食品添加物の一日摂取量総点検調査結果について」御報告させて いただきます。 食品添加物の一日摂取量につきましては、従来より厚生科学研究、あるいは厚生省の 事業として、その実態の調査等に取り組んできているところでございます。 昨年度、平成11年度には、第二次の補正予算におきまして、食品添加物の一日摂取量 総点検事業費が認められまして、これによってさまざまな食品添加物についての一日摂 取量を世代別に把握するという調査が行われたわけでございます。この資料4はその調 査の結果をまとめた報告書でございます。 資料4をめくっていただきますと、3ページのところでございますか、そちらの方に 概要がございます。この調査は国立医薬品・食品衛生研究所の食品添加物の山田前部 長、石綿先生を中心として、各地方の衛生研究所とか厚生省の指定の検査機関等の協力 を得まして、年齢階層別、世代別に食品添加物の一日摂取量を算定している調査でござ います。 具体的には、国民栄養調査に基づきまして、246 の食品から成るリストを作成いたし まして、5つの年齢階層別、3ページの概要の上の方にございますように、5つの年齢 の階層別に食品別の平均喫食量というものを算出いたしまして、その算出した喫食量に したがって、全国9か所で購入いたしました食品を調味嗜好飲料とか穀類等7つの群に 分けた上で、それぞれをホモジネートしまして、それに含有されている食品添加物の量 を分析、定量、そして、その数値に食品の喫食量を乗ずることによって、一日当たりの 食品添加物の摂取量を求めたものでございます。 1枚めくっていただきますと「方法」等のところがございますが、4ページの下の方 から方法のところが書いてございますが、今回の調査では100 種類、この中には199 品 目の指定の添加物と42品目の既存添加物、合計241 品目の食品添加物が含まれておりま す。 それから、「1.調査対象食品添加物」というところの3行目のところに書いてござ いますように、例えばクエン酸カルシウムのように、クエン酸の測定とカルシウムの測 定が行われたものもございますことから、測定対象の食品添加物の延べ数ということで すと、281 品目について測定したわけでございます。 世代別調査の結果は、多くの場合は年齢層の増加とともに添加物の摂取量が増加する という傾向が見られております。一部の添加物、例えばキシリトールでは、成人よりも 若年層に摂取量が比較的多かったということが認められております。 逆にサッカリンナトリウムにつきましては、若年層に比べまして、成人層の摂取量が 高い結果というのを得ております。 全体的に見ましても、食品添加物の安全性について問題となるような知見というのは 認められておりません。摂取量と一日摂取許容量ADIとの比較も行っておりますが、 ほとんどの物質につきましては、その摂取量はADIを下回っておったわけでございま す。 ただし、例外として、硝酸塩につきまして、摂取量をADIと比較した場合には、 すべての世代におきまして、今回の調査において、その摂取量はADIを上回っており ました。データにつきましては、27ページを御覧いただきたいと存じます。 26ページからの続きの膨大な表でございます。26ページの方に「表6.ADIに対す る年齢別摂取量の比率(%)」という表の27ページの方、上から4つ目が硝酸塩でござ います。 この結果につきましては、この報告書の方でも、もともと野菜に含まれている天然の 硝酸塩に起因するものがほとんどであって、添加物に由来するものはごくわずかである と考えられ、食品としての野菜の有用性、これまでの食経験、JECFAの評価に見ら れるような国際的な認識から考えると、現時点では問題があるというふうに考えられな かったというコメントがなされております。 ちなみに、1995年のJECFAにおける硝酸塩の評価報告書におきましては、野菜由 来の硝酸塩の摂取について、野菜の有用性はよく知られており、硝酸塩の生物学的利用 能における野菜の影響についてはデータがなく、委員会としては野菜に起因する硝酸塩 の摂取量を直接ADIと比較することや、野菜中の硝酸塩について限度値を設定するこ とは適当でないと考える旨、記載されております。 今回の補正予算によりますこの硝酸塩の調査結果は、我が国におけるこれまでのマー ケットバスケット方式での調査、それで報告されていました硝酸塩の摂取量とほぼ同様 のものでございます。 29ページをごらんいただきたいと存じます。表7でございます。 29ページ真ん中辺よりちょっと下の辺に硝酸がございます。上の方の右から4つ目が 今回の調査でございます。その隣に「MB」と書いて「1995-1996 」と書いてあるの が、この年に行われたマーケットバスケットの調査でございます。 その隣に書いておりますのは、生産統計で出している実際添加物として出ている値で ございます。それから行政検査という別の手法、実際行政的に取ってきた加工食品等の 中であった硝酸の値について書いているものが、この1.43という数字でございます。 ここでごらんいただきますように、基本的にはこれまでの調査とほぼ同じというふう に考えております。 それから、実際に今回、食品を群に分けて測定しておりますので、測定されました硝 酸塩は野菜に由来するものがほとんどであって、添加物に由来するものはごくわずかで あると考えられる根拠もございます。 これにつきましては、例えば46ページをごらんいただければと存じます。 こちらの方も長い表でして、表題は45ページの方になりますが、表10−4ということ で、「年齢別食品群別摂取量、成人、20−64歳」について、ここにございますように、 1群から7群の食物の類によっての摂取量でございます。 ページが変わって申し訳ございませんが、次の46ページの上から3つ目のところに硝 酸がございます。一番右端が総摂取量でございまして、その隣から2番目が野菜・果 実・海草類でございます。これをごらんいただいておわかりいただけるように、ほとん どがこの7群のところから摂取されているわけでございまして、基本的に野菜から摂っ ているということが今回の調査からもわかるものでございます。 先ほど御説明いたしましたように、JECFAの考え方にありますように、この件に つきましては、現時点では特段の問題はないというふうに我々の方では考えております が、今後もそのような調査を継続して状況を把握していくということは考えておりま す。 資料4につきましては、以上でございます。 ○黒川部会長 ありがとうございました。膨大な資料でございますが、概要、3ページによくまとめ られていると思います。 まず、これに携わられた石綿先生、何か補足説明はよろしいですか。 ○石綿委員 特に補足説明というのはありません。今の説明で十分だろうと思います。この調査を 行った一番の目的は、結果的には硝酸塩という問題が見つかりましたけれども、最大の 目的は年齢によって添加物の摂取量がどう違うか。子ども、若者、大人、それの結果が 世界で初めてわかったということだろうと思います。 そして、全体としては、添加物の摂取量というのは、年齢層とともに多くなってい る。ただし、その中でも特にサッカリンは年齢層とともに10倍くらい、子どもに比べて 大人は多く取っている。しかし、キシリトールでは逆に子どもの摂取量が多くて、大人 になると少ないという年齢層別の摂取量調査ができたというのが非常に新しいオリジナ リティーに富む結果だろうと思います。その中の1つとして、硝酸塩の摂取量がADI を超えているということも出てきたと。ただし、その結果は、従来世界的に言われてい る結果と同様であるということであります。 ○黒川部会長 ありがとうございました。 それでは、御意見、御質問ありますか。 ○三森委員 素朴な質問で恐縮なんですが、今、石綿先生もおっしゃったように、サッカリンナト リウムとキシリトールの摂取量が年齢別によって違うということですが、事務局に聞い た方がいいのかもしれませんけれども、原因として何をお考えなんでしょうか。サッカ リンは非常に成人層の方が多くて、逆にキシリトールの方は若年層が非常に多いとい う、意図的な、親が子どもに対してそういうふうにさせているのか。何かその辺の理由 みたいなものはあるんでしょうか。 ○事務局 キシリトールはガムとかお菓子類と言いますか、子どもというか、若い層が好む食品 に使われていまして、サッカリンはたしかおつけ物とか、そちらの方で使われていまし て、これはどう考えましても、お年寄りの方が若い人よりも好む食品ですので、食品の 世代間の嗜好がそのままある程度ここに出てきたのではないかというふうには考えてお ります。 ○黒川部会長 ほかにどうぞ。 ○鈴木委員 年齢層によっての摂取量の違いというのが、いわゆる一般的な推定でいきますと、い わゆる青年層というものが添加物の摂取量が高いのではないか。ということは、非常に 加工食品と言いますか、外食が多いとか、惣菜品を多く使っているとかということが考 えられますが、そういう傾向というのは、20歳前後というのは何か出てきているんでご ざいましょうか。 ○石綿委員 去年1年掛けてまとめて、膨大な資料なもので、個々のそういうあれについて、今、 即思い出せませんが、ほぼ食品の喫食量に応じて添加物の摂取量が多くなっているよう な傾向にあったと記憶しています。その中で例外的にサッカリンとかキシリトール辺り が必ずしも全体の食品の喫食量に対応してなかったというふうに記憶しています。個々 の問題は今ちょっと。 ○鈴木委員 ごめんなさい。実は今回の調査研究分析の問題ではないのかもしれませんが、いわゆ る国民栄養調査の中を基にして、幾つかの分類にして、国民栄養調査の中では、いわゆ る加工食品といったようなもの、逆に分解して計上している部分が非常に多いんです ね。そういった意味でサンプリングの仕方といったようなものが、実は加工食品ではな くて、素材でもって使ってしまっているといったようなことが結果として出てくる恐れ があるんじゃないかという、これは栄養調査の方の問題なのかもしれませんけれども、 それで伺ったわけです。 ○石綿委員 実際に購入しました二百何品目は、資料の16ページから3、4ページにわたって246 種類の食品が書いてございます。年齢別にサンプリングしたウェイトが右の方に書いて ございます。 ○鈴木委員 この20ページのところの加工食品の欄のところなどが、いわゆる狭い意味での加工食 品で、現在の惣菜などの加工食品と言ったようなものは、結局、こういう形の中に見え てきていない部分なんだろうと思っていますが、その辺りでいわゆるでき合いの惣菜類 を買っていると言ったようなタイプ、あるいは菓子類などの添加物で出てきましたいろ んなパウダーのものを基にした中食産業のようなものを食べている層が一体どうなって いるのかなという素朴な疑問でございました。ありがとうございました。 ○石綿委員 これも1つの方法ですけれども、我々も別の方法でも調査をやっていまして、逆に言 うと食品の喫食量というのがなかなかつかめなくて、特に惣菜と一口に言われるけれど も、中身は肉であり野菜でありほかのものでありと、食品の摂取量というのは、特に加 工食品になっていると非常につかみにくいので、もしその辺の資料がありましたら、ま た参考にさせていただきたい思います。どうもありがとうございました。 ○米谷委員 摂食量調査全般についてのコメントと質問なんですけれども、現在、日本で食品添加 物摂取量調査は、先ほど事務局からのお話だと、29ページの上のところの欄にあります ように、マーケットバスケットと生産流通量調査、それから行政検査結果を利用するも の、その3つの方法でやられています。生産流通量のものと、行政検査のものは、私ど も厚生科学研究の方でずっとやらせていただいております。マーケットバスケットは別 の厚生科学研究でやられています。 マーケットバスケット方式ですと、実際に食品を購入してきて分析しますので、非常 に確かな値が得られるんですけれども、とにかく労力、あるいは時間が掛かるというこ とで、従来は少品目しかできなかったんです。今回、昨年度の第二次補正予算というこ とで、高額の予算が付きまして、これだけ膨大なデータが集まったんですけれども、今 後、化学課の方でこういう調査を、ある時期を見つけて補正予算等で要求されるのかど うか。その辺のお考えを、こちらの方にもいろいろ関わってきますものですから、お伺 いしておきたいと思っています。 ○食品化学課長 こういった大きな調査というのは、本当にお金と人手があれば毎年やった方がいいと いうふうには思っておりますけれども、ただ、人間の食生活が1年で変わってくるとい うふうには私ども思っておりません。徐々に変わってくるものだろうと思っておりま す。 したがって、ある一定の周期を置いてやっても決しておかしくないだろうと思ってお ります。 そういう観点で、今後、日本の経済がどうなっていくのかということと、予算がどう いうふうに組まれていくのかといういろいろな要素がありますので、私どもの今考えて おるのは、一定の周期ごとにやるべきだろうと。その周期をいつ、例えば5年ごとにや るとか、そういうことは今考えておりませんで、いろいろな世の中の変化に伴って、タ イミングを見ながらできる時にやるということでやるしかないなと思っております。 今回もたまたまと言いますか、昨年の補正予算ということで、要求をして認められた ということでやっておりますが、本来はもっと定期的にやるべきものだろうと。それも 例えば5年、あるいは10年という形でやるべきだろうと思っておりますが、なかなかそ ういうようにもいきませんものですから、すぐにやるというのではなくて、一定の周期 を置きなから、タイミングを見ながらやっていきたいというのが正直なところでありま す。 ○中澤委員 大変すばらしい報告書だと思います。何人かの先生からご発言ありましたように、初 めて年齢別の調査をされた、大変膨大な研究です。分析を担当された石綿先生方の精力 的な作業に感激して拝見しています。これは是非厚生省としても、いろいろなところで 公表して戴けたら、非常に参考になるデータではないかと思います。 パラベン類を分析していますが、これは御存じのように、幾つかのものに内分泌かく 乱作用があるということが言われていますので、実際、どのくらい我々が摂取している かということは非常に関心あるところです。特にパラオキシ安息香酸のエチル、あるい はブチルについては食品から摂取は本当に少ないということが改めて認識できたという こともありまして、このデータというのは、そういう意味でも広範囲に活用していただ ければと思います。 以上でございます。 ○黒川部会長 今、中澤先生の話にもありましたけれども、この膨大なデータの公表というのは、論 文か何かでするんですか。報告書だけだとなかなか手に入りにくいということがありま すけれども、今後どうするんですか。 ○食品化学課長 私どもの方からは、まさに今日公表という形でまとめたものをプレスも含めて欲しい 方にはすべて差し上げるという面で公表をしたものだと理解しております。 また石綿 先生の方で補足していただきたいと思いますが、別な形で携わった方々は、例えば学会 なり論文なり、そういった形でこれをよりわかりやすい形で論評を加えなからお出しい ただくことに対して私ども否定もしませんし、むしろできるだけ世の中に示していただ きたいと考えております。 もう一つ付け加えさせていただければ、今、中澤先生の御指摘にあったように、こう いったような情報というものができるだけ表に出ていくことが、食品添加物と言うと、 化学合成品は危ないというような論調で常に言われているところで、実際にはADIに 比べても食べている量というのは本当に少ないんだということとか、そういったような 点で現実をできるだけ知らせるのにいい結果をもらったなというふうに事務局でも思っ ておりますので、こちらの方もできるだけいろいろな機会をとらえて、世の中に知らせ るような努力をいたしたいと思っております。 ○黒川部会長 ありがとうございます。 ○石綿委員 我々の方は純然たる学術的な意味で、もしチャンスがあれば、どこかの学術雑誌に投 稿したいと思います。 ただ、こういう調査というのはなかなか学術雑誌は受け付けてくれませんので、アク セプトされるかどうか、これは別な問題ですが、希望としては。 ○黒川部会長 食品衛生学会で、資料ということならば、これ全部ということではないですけれど も、情報ということで活用していただきたい。 ○石綿委員 希望としては、なるべくジャーナルに投稿するような方向で考えております。 ○廣瀬委員 硝酸塩の摂取量がADIを上回っているという結果になっているわけですけれども、 硝酸塩自体には、特に発がんにつながるような毒性はないと思うんですが、硝酸塩は御 存じのように、これが体内に入ると亜硝酸になって、いろいろなアミンと反応して体内 でニトロソアミンが形成されるということは、発がんにとって大きな問題なんですけれ ども、硝酸塩の摂取が増加していた場合に、体内の亜硝酸、あるいはニトロソアミンの 量が増加してくるというような結果があるかどうかということについて伺いたいんで す。 ○事務局 事務局の方でそこら辺までのデータは今持ち合わせておりません。そもそもこういう 大きい調査が先ほどの表にございましたように、マーケットバスケット調査としてやら れたのは前回のたしか95年から96年のデータで、その次のデータということでございま すし、その前のデータもあったかとは思うんですが、そこまでの分析というのは、今の ところ出ておりません。亜硝酸に関しましては、こちらの方で関わっておりますので、 そちらの方も特に大きい変動はなかったかと思いますが。 ○廣瀬委員 体内の、実際に摂取している硝酸あるいは亜硝酸と、体内の亜硝酸というのはかなり 違うと思うんですけれども、その辺のデータがあれば。 ○林委員 ただいま廣瀬委員の御質問、これはJECFAでかなり議論されておりまして、ま ず、亜硝酸の摂取と、それからニトロ化され得るアミンとがかなり高い量の場合には、 発がんに通ずるようになるということは実験的にはわかっているんです。 人ではどうかということで、人ではミカソプロリンを、あれは発がん性がございませ ん。これをマーカーにして、亜硝酸の摂取量、通常の摂取の量の亜硝酸の摂取量と、ミ カソプロリンの生成量とを比較した相関を見る試験が行われて、それでは影響は通常の 亜硝酸の摂取レベルではそういうことは起こらないということがわかっているんです。 もう一つ、硝酸の場合ですけれども、硝酸から亜硝酸に転化するというのは通常で は、摂取した量の5%なんです。非常に還元が起こりやすいような特別な集団の方につ いてはもう少し高くなるかもしれないということなんですけれども、実は硝酸のADI というのは、非常に硝酸が亜硝酸に還元されやすいという人のポピュレーションを想定 してつくられた値なんです。これは実際問題として、長期の毒性試験からつくられた 3.7 ですが、これは人での調査では、通常の人ではもっと高い値を摂取しても大丈夫な んです。その50分の1を取ると、それが3.2 になる。 ですから、WHOで、あるいは厚生省で決めた硝酸の量というのは、硝酸が亜硝酸に 転化されやすいポピュレーションを測定してつくられたということなので、先ほどの亜 硝酸のニトロソアミンの問題と、それから今の硝酸から亜硝酸の転化の率、非常に転化 されやすい人の集団での問題。その3つを入れまして、現在の得られたデータでは一応 大丈夫だということにはなっておるという結論には、JECFAではなっております。 ○黒川部会長 どうもありがとうございます。林先生はずっとJECFAの方でこういう食品添加物 の評価、あれは毎年あるわけですね。ありがとうございました。 ○戸部委員 硝酸塩の相対的な安全性については、私個人的にはJECFAの見解と同じように問 題になるものではないと思っております。 ただ、こういう調査が今回初めて行われて、一般に示されるということを考えます と、今の硝酸塩のADIをかなり超えているということは、それなりの説明をさせてい ただいた方がいいんじゃないかと思うんです。非常に貴重な成果ですので、是非発表し ていただきたいわけですが、2つだけ注文させていただきたい。 1つは、野菜類に非常に多いということで、これは世界的に見てもそういうデータが あるようですから、何も日本の食品に限ったことではないわけですけれども、ただ、野 菜と果実と言ってもいろんなものがあるわけでして、こういうことが問題になれば、野 菜、果実の中のどういう種類のものに比較的多いのかとう調査を付け加えた方がいいの ではないかなと思うんです。 先ほど予算のことが出ましたけれども、是非、事務当局の方にもその点を協力いただ いて、国立衛研の方で更に、野菜のどういう種類のもの、根の方に多いのか、葉っぱ類 に多いのか、果実としてすればどういう果実に多いのかという辺りも少し調査した方が いいのではないかというふうに思うわけです。 もう一点、このADIを超える場合に、残留農薬の場合には、実際に我々が口の中に 入れるときにどういう量になっているかということを検討するということが、新しい評 価方法として、これは林先生が座長をお務めになってまとめられた報告書がございます けれども、更に細かい実際の摂取量を計算するという手立てがあるわけですが、添加物 についてはそういうことが行われておりません。 したがって、マーケットバスケット方式というのは原材料の調査であろうと思います ので、実際にそれを調理加工したときに、どのくらい減少するかという調査も、このA DIを超えるもの、あるいはADIに近いようなものは、そういうことも研究されてお かれた方が現実味があるのではないかと思いますので、この2点、許されれば是非追加 をしてお調べいただけたら、一層確実な安全評価ができるのではないかと思うわけです けれども、どうでしょうか。 ○黒川部会長 残留農薬の暴露の精密化ということですね。WHOの方でも始まって、日本でも去年 ぐらいに。林先生、一言ございますか。 ○林委員 農薬のことは先生おっしゃったとおりなんですけれども、実は1999年ごろのWHO で、実際の摂取量がADIを超えたときの考え方を、少しまとめておく必要があるだろ うということが学会でかなり論議されています。これはやはりADIというのは、設定 している側から見ると、非常にこれは安全性を重視して、少し超えても大丈夫だという ことを一応考えているわけでしょうけれども、ただし、ADIというのは、アクセクタ ブル・デイリー・イン・テイクということですから、これを超えると何か危ないんじゃ ないかという懸念を持たれるのは当然だと思うんです。 そういうことで農薬の場合もそうですけれども、今、先生がおっしゃったように、A DIを超えたという場合に、しかし、大丈夫なんだということ、あるいはだめなんだと いうことをしっかり考えるような、あるいはそういう考え方をつくることが必要だと思 うんです。 その一つとして、これは先ほど戸部委員がおっしゃったように、実際の摂取の量はも っと低いんだというようなことで確かめるということもありますし、それから、従来、 非常に安全性を重視し過ぎたような方法で決めているのを、もう少し新しい科学的な手 段で決めて、直してみるということ、そういうことを学会では議論されているようなん ですけれども、それは一つの特集として、99年のある雑誌に出ていますので、そういう ことも一応考慮に入れておかれて、それで食品調査会の方で少し検討されてみるのも重 要なことではないかと思いまして、戸部委員のお話にちょっと追加させていただきまし た。 ○黒川部会長 ありがとうございました。 ○戸部委員 申し忘れましたが、今、林先生がおっしゃったんで追加させていただきますが、天然 にかなり含量の多いもの、例えば甲殻類や海藻類の砒素、あるいはマグロの水銀という ようなものがあります。しかも砒素や水銀は有害作用がかなり強いということで、天然 由来の影響と人工的な上乗せの関係が問題になると思うんです。現実にそのような観点 で評価を進めているところはありませんが、今後おそらく議論されることになると思い ます。その意味でこれは一つのモデルケースになるのではないかと思います。この硝酸 塩の問題は今後も是非調査研究を続けていだだきたいとお願いします。 ○食品化学課長 今、戸部先生及び林先生の方から非常に大事な点の指摘をいただいたと思っておりま す。私ども硝酸塩の問題は、これまでもトータルとして、年齢層とは関係なく、平均的 な摂取量調査をかなりの年数やっております。 今回私ども、本件についてそれほど問題視していないのは、実際に平均的な摂取量の 値は変わっておりません。ずっと同じ程度の摂取量になってきているということから、 天然由来のものも含めて我々も調査をしております。添加物だけの調査ではなくて、天 然からのものも含めた数値をずっと把握してきており、その数値が著しく変化をすると いうようなことがあれば、真剣に考えなければいけない点だと思っておりますが、た だ、変わっていないからと言って、それを問題視しないというわけではなく、これから も食品の天然と、それから加えるものの区別をしながら、できるだけ継続して実態の推 移を見ていくという点でフォローアップをしていきたいと思っております。 今言われたように、天然物の安全性評価という点についても、今後どのように検討す ればいいのかということで、検討課題としてとらえていきたいと思っております。 ○山崎部会長 大変貴重な御意見をいろいろいただきました。中澤先生おっしゃったように、この調 査は大変貴重な結果が得られた調査だというふうに私も考えております。大変感謝して おります。 それだけに、ここで1つ注目されるエポックのような形でこの調査結果が受け入れら れるというようなことを期待しているわけですが、その中で、問題なのは、硝酸塩がA DIを超えているということで、今、課長のお話で、これはずっと今までも把握してき たデータだとおっしゃいましたけれども、この貴重なデータの中でこういうふうな結果 が出ているということは、やはりこの調査結果を大いに利用していただくという点につ いても、この点は特に注意を喚起するというか、必要じゃないか。 硝酸塩については、さっき廣瀬委員がおっしゃった、体内でアミンと結び付いてニト ロソアミンの形になって、発がん性を発揮するという点が一番重要な注意事項だと思う んですが、それについて林委員がおっしゃったようなJECFAの見解というのがござ います。それから、事実もございます。それから、実際に戸部委員もおっしゃいました ように、口の中に入ってくる硝酸の量というのは、水洗いによって減るということも含 めて、減少するという事実もあるかと思うんです。 それから、試験管内では確かに亜硝酸塩とジメチルアミンを酸性条件下で置くと、か なり効率よく有機化学的にはニトロソアミンに変化する。 それから、体内の胃の酸性条件下でも、比較的容易にニトロソアミンを形成するとい うデータがございますけれども、同時に我々が摂取する、例えばビタミンCとかEとい うものが介在すると、この反応が阻害されるというような事実もあるわけです。 したがいまして、このような硝酸については、天然の野菜の中からほとんどのものが 摂取されて、ADIを超えているということが、今回のこの調査でも非常に明確にされ ましたけれども、このデータだけが一人歩きすると、国民感情としては、野菜を食べな くなるとか、かえってそういうリスクを招いてしまうという方向に行きかねないわけで すので、特に今回の調査を機に、この硝酸塩の問題というのは、別に扱って、今、先生 方から御意見をいただいたようなデータを含めて、国民の皆様の理解を得るという形が よろしいのではないか。 この会議でもそういう形でこの調査の結果を受け止めていただくのがよろしいのでは ないかと思いまして、本当は座長がこういうことをおまとめになると思ったんですが、 先走って、私も責任の一端を担っておりますので、そういうようなことを発言させてい ただいた次第です。 ○黒川部会長 ありがとうございます。山崎先生も添加物部会長で半分ずつの責任がございますの で、お話願ったわけですけれども、私も確かにこの問題、ADIを超えているというと ころだけがふわっと世間に出て、それでは野菜が危ないとかいう短絡的なことがなきに しもあらずなので、今リスク・コミュニケーションとか言いまして、いろいろ情報公開 に伴う誤解を避けることも重要なことですので、慎重に対処していくべきだと思ってお ります。 ○林委員 一つだけですけれども、この資料というのは見れば見るほど非常によくまとめられて おりますし、これを決して国内だけの問題じゃなくて、国際的にも非常にこれは重要な 資料だと思います。特にWTOの問題がありますし、これは非常に重要な資料だと思う んです。 先ほどこれは雑誌にはなかなかアクセプトされにくいということがございましたけれ ども、そうしますと、これが一部が載っても余り意味がないんで、できればこれを全部 を英文に翻訳して、広く国際的に使っていただくということを国でお考えいただくとい うことが私は重要じゃないかと思うんです。これはJECFAとすればこれは非常に必 要とするデータだと思いますので、これの国際的な意味での公表を是非お願いしたいと 思います。 ○食品化学課長 しますというふうにはっきりは今お約束はできないわけですが、先生のおっしゃるこ とよくわかります。先ほど座長も言われましたように、リスク・コミュニケーション、 いろんな情報の共有化というのは非常に重要なことだと思っております。そういう面で も海外の方々にも知ってもらうことが大事だと思いますので、できるだけの努力をさせ ていただきたいと思っております。 ○石綿委員 一つ、報告した側からのお願いなんですが、資料4というのは、我々研究班が厚生省 に対して出した報告書で、今日はそれを基に今調査会が開かれて、調査会として結論が 出るんだろうと思いますが、どういう形であるかちょっとわかりませんけれども、これ を一般に公表するときには、これをそのままコピーして出されると、我々の厚生省に対 する報告書がそのまま一般公開ということになりますので、公開するときには調査会と しての名前、あるいはそれを受けた厚生省なり、そういう形にしていただけたらと思い ますが、これは単なる一方的な希望だけですけれども。 ○黒川部会長 それはあとで部内で検討していただくということで。 それでは、時間の関係もございますので、この議題3は終わることにいたしまして、 最後の議題、既存添加物安全性評価に関する調査研究について事務局から御説明願いま す。 ○事務局 それでは、資料5に基づきまして「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」につ いて御報告をさせていただきます。 まず表紙をめくっていただきまして、1ページ目に「研究要旨」がございます。 厚生省といたしましては、既存添加物につきまして、安全性評価を進めてございま す。既存添加物名簿がまとりました平成8年度に、本日御出席の林先生を中心としまし て、既存添加物の安全性評価に関する調査研究が厚生科学研究として実施され、平成10 年度に報告をいただいております。 この林先生の班の報告書では、試験成績、あるいは国内外の評価資料等から、安全性 評価を行い、既存添加物、全部で489 品目ございますが、そのうち139 品目について、 資料が未収集であり、今後更に安全性試験の実施も含めて、その安全性について検討す ることが必要であると、そういった御報告をいただいております。 厚生省におきましては、この林先生の御報告に基づきまして、139 品目について優先 的に資料の収集、あるいは毒性試験といったことを進めておる次第でございます。 平成10年度以降は、これら139 物質を中心にしまして、毒性部会長でございます黒川 委員を中心として、個別の評価が行われまして、平成11年度までに28日以上の反復投与 試験、及び変異原性試験の両方の情報を入手したものについて、このたびこの報告書と して、資料5という形でまとめてございます。 この報告書の概要でございますけれども、1ページから3ページ目が要旨、それから 4ページから17ページ、これが個別評価という形になってございます。18ページ以降、 各国の状況でありますとか、検討の状況、あるいは留置の状況、そういったものがまと めてございます。 この報告書といたしましては、まず14品目について新たな評価をしておりまして、そ の結果といたしましては、現時点で、直ちに人への健康影響を示唆するような試験結果 は認められず、この14品目については、新たな安全性試験を早急に実施する必要はな い、こういった形での御報告となっております。 また、報告書の中には、そのうちの51品目については、現時点では言及がないといっ た内容についても御確認をさせていただいておるという形になっております。 この報告書では、林先生の御報告書の中で、更に評価をすることが必要とされた139 品目から14品目を除いた残りの125 品目について、今後安全性試験の実施を更に情報収 集を含めてやっていくようにということで御報告をいただいております。事務局といた しましては、この報告書に基づきまして、今後も更に試験の実施、あるいは情報の収集 等を行うように考えてございます。 以上でございます。 ○黒川部会長 ありがとうございました。たまたま私、表紙にありすように主任研究者ということで やってまいりましたけれども、内容的にここにありますように、毒性面からは変異遺伝 の専門家とか、いわゆる一般毒性の専門家、それから食品添加物の専門家ということ で、5名で文献を収集していただいて、徹底的に検討した結果が、この14品目について 簡単にまとめてあるということでございます。 何か御質問ございますか。米谷先生、御協力願いましたがよろしいですか。 ○米谷委員 38ページから表3がございますけれども、一番右側に流通状況ということで、流通し ていないということが確認されたものが印しが付いておりますけれども、これは例えば 日本食品添加物協会に聞かれての調査によるとか、そういうふうなことなんでしょう か。 ○事務局 その点追加させていただきます。この流通状況につきましては、今、先生からありま した添加物協会の方に確認を取らせていただいて、平成11年度の時点での流通状況とい う形になってございます。 ○米谷委員 日本食品添加物協会が、食品添加物を製造しているメーカー全部を網羅しているわけ では多分ないと思うんです。ですから、小さな企業等があるかとも思いますけれども、 その点はどういうふうに考えておられるんですか。 ○事務局 先ほど139 品目のうち14品目について審議いただいて、今後残りの125 品目について も、この流通状況については、あくまでも参考情報というふうに判断をしておりまし て、引き続き調査を進めさせていただくというふうに考えております。 ○米谷委員 どうもありがとうございました。 ○黒川部会長 よろしいでしょうか。今の御報告にもありましたように、まだ、125 も残っていて、 これを今後もどんどん情報収集をして評価していくということを続けるわけでございま す。一応議題としてはこれで全部終了したことになりますが、事務局として何かありま すか。 それでは、年末のお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。 これで終了させていただきます。 −了− <照会先>厚生労働省医薬局食品保健部基準課       坂本(内線2483)       江原(内線2483)       TEL:03(5253)1111(代表)