00/12/11 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録 厚生省精神保健福祉課 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事次第  日 時:平成12年12月11日(月) 午前10時00分〜午後12時42分  場 所:厚生省別館1階 特別第1会議室   1.開  会   2.議  事    (1)精神保健指定医の指定等について    (2)精神病床の設備構造等の基準について   3.閉  会 ○高橋部会長  皆さん、おはようございます。 それでは、定刻になりましたので、これから公衆衛生審議会の精神保健福祉部会を開催 させていただきます。 事務局の方から、本日の委員の出席状況について御報告願います。 ○重藤補佐  本日の委員の方々の出席状況を御報告いたします。 本日は、委員23名中19名の委員に出席をいただいております。御欠席の委員は、木下委 員、窪田委員、高杉委員、富永委員の4名でございます。なお、浅井委員におかれまし ては、御出席との御案内をいただいておりますので、ほどなく参られるものと考えてお ります。過半数の委員に御出席いただいておりますので、部会は成立いたしておりま す。それでは、これより会の進行を高橋部会長にお願いをいたします。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 本日の議題は2つございます。精神保健指定医の指定についてということと、精神病床 の設備構造等の基準に関するものと2題ございます。第1の議題でございますが、これ は非公開となっておりますので、会議傍聴に関しましては指定医の議題の終了後から許 可することといたしたいと思います。傍聴の方がおられましたら、御退席をお願いいた します。 (傍聴者退室) 非公開部分 (傍聴者入室) ○高橋部会長  それでは、議題の2「精神病床の設備構造等の基準について」に入らせていただきま す。  これは、委員の先生方御承知のように、先月末に改正医療法が成立いたしました。こ れに伴いまして、精神病床の設備構造等の基準の見直しを行って医療法の施行規則に盛 り込むことが必要となりました。この基準の検討につきましては、今年の6月でござい ますが、ここで開催されました部会におきまして、精神病床の設備構造等の基準に関す る専門委員会を設置して、委員長を吉川委員にお願いしたところでございます。専門委 員会としては大分御苦労されたというふうにお聞きしておりますけれども、その報告書 の取りまとめができましたので、まず、吉川委員から報告書についての御説明をお願い いたします。よろしくお願いいたします。 ○吉川委員  それでは、私の方から今回の専門委員会の報告につきまして幾つかお話を先にさせて いただきながら、その後、専門委員会の報告書につきましては、事務当局の方からお話 をしていただきます。そして、その後、議論になりました点につきまして、多少また補 足をさせていただきたいと思います。 それでは、最初に、今回の専門委員会につきましては、今、部会長の方からお話があり ましたように、本部会の中で御指名を受けまして、私の方がこの専門委員会の取りまと めをしてまいりました。6回の会議を開きました。それによりまして、とりあえず今 日、御報告いたしますような内容にまとめることができたことを御報告したいと思いま す。医療法の改正に伴います病床の種別ごとの設備構造等の基準に関しましては、専ら 医療審議会の方で検討してきましたが、精神病床の基準に関しましては、その専門性か ら見て公衆衛生審議会において検討するということが求められてきました。こうした経 過の中から、平成12年6月22日の本部会におきまして、精神病床の設備構造等の基準を 検討するための専門委員会の設置が決まりました。こうして私が専門委員会の委員長と して指名されたわけでございますけれども、この平成12年7月24日に第1回の委員会を 開催いたしました。以後6回にわたりまして議論を重ねてきたわけでございます。 全体的なことを申し上げますと、本委員会の議論といたしましては、精神病院の設備構 造等の基準に関しまして、より良質な医療、そして、療養の環境を提供するということ に関しましては皆様方の一致した考え方でございました。診療に従事するスタッフの充 実ということを取りましても、それらにつきましても十分にお互いに議論するまでもな く、そのことの認識は高かったと思っています。 また、設備構造等の問題につきましても同様でごさいまして、その点につきましても早 々と議論は終わったように思います。 ただ、幾つか議論がございましたのは、やはり具体化するまでの間の言わばスピードを どうするかということでごさいまして、その辺のところで多少の意見の違いがあったと いうことは確かでございましたし、今、部会長の方から苦労があったというお話がござ いましたけれども、それはむしろ皆様方の御努力がかなりその議論の中でも出てまいり まして、お陰で議論は活発にはなりましたし、その分だけ私は大変いい勉強をさせてい ただいたと思っているわけでございます。とりあえずは、その結果、精神病床の特性を 踏まえつつ精神病床の設備構造等の基準に関しまして、できるだけ一般の病床と同じよ うな水準を取るべきであるということは当然のことながら、専門委員の方々の合意が得 られました。それが本報告書の形になっております。先ほど申しましたように、確かに そこまでのスピードといいますか、実現するまでのスピードに関しまして、そして、道 筋に関しまして多少の意見の違いがあったのはやむを得ないことだと思いますし、これ らにつきまして、何とか皆様方の合意が得られたことを専門委員会を預かる者として感 謝しているような次第でございます。 それでは、事務局に報告書そのものを御朗読いただきたいと思っています。よろしくお 願いします。 ○重藤補佐  それでは、事務局から朗読をさせていただきます。資料5でございます。 (資料5「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会報告書」朗読) 以上が本文でございます。 それから、6ページには本文の中に出てくる数値につきましての資料、それから、7 ページが専門委員会の開催状況、8ページが専門委員会の委員名簿、それから、9ペー ジでございますけれども、ただいまの専門委員会報告書の概要というものでございま す。以上でございます。 ○吉川委員  ありがとうございました。 それでは、一気に今、報告書をお読みいただきましたので、ちょっと御理解しにくいと ころがあろうかと思いますので、少し簡単にこの報告書の構成について、まずお話をい たします。 まず、1「基本的考え方」と書いてございますけれども、基本的な考え方の大体○の3 つ目辺りのところまでは、この検討委員会を開催して、中で議論をしたことでございま す。そして、議論し尽くせなかった問題等につきましては、その後の4つ目辺りのとこ ろに今後の問題としてこういうことがあるということを指摘しているところでございま す。 そして、1「基本的考え方」の一番最後、○の5つ目のところは、私どもの検討会の中 でも度々出てまいりましたけれども、この検討そのものは例えば数値というものがかな り先行して話の中に出てきているわけでございますが、例えばそれは看護婦さんと患者 さんとの数の比率であるとか、医者と患者さんとの比率という数値が前提になって話が 飛び交うわけでございますが、その根底になければいけないのは精神障害者に対する私 たちの姿勢であろうということから、その都度、精神障害者にとってこの問題がどうで あるのかということを考えようということで議論が進みました。その点で行ったり来た りというところがあったわけで、その内容に関しまして、たった3行ではございますけ れどもここにもありますように、医療の提供側の問題だけで考えるのではなくて、受給 側の方からやはり問題を考えなければいけないということを、このところで最後に締め くくらせていただいたというわけでございます。これが第1の「基本的考え方」のとこ ろの構成であります。 第2以下は、医師と看護婦、薬剤師というふうにそれぞれ同じようにまず現状を明らか にした上で、その現状の中で何ができるのかということを議論し、そして、その議論を した後で大体各項目の一番最後の○がそれに当たりますけれども、まだこの中でこの項 に関して議論し尽くせていない問題、すなわち今後の問題として指摘したものがそれぞ れの項目のところの一番最後の○のところであります。 特に、今2のところを少し飛ばしてしまいましたけれども、2の「設備構造の基準」に 関しましても同様でごさいまして、同様な設備構造の基準の一番最後のところに「精神 病院の設備構造に関して」というふうに書いてございますように、ここのところにはこ れまでの中に危険防止のためという思想が盛られていた文章をやはり外さなければいけ ないということ、これは、それぞれこの検討委員会の中に来ていただきました当事者の 方々からの主張もありましたし、また、我々も当然それを外すことを必要としていると 考えましたので、このような形で精神障害者の人権を最大に尊重した形での規定をつく るべきであるというふうにまとめさせていただきました。 そして、先ほど申しました人員配置の問題は医師、看護婦、薬剤師とそれぞれにつきま して議論をしたわけでございますし、それぞれのところの最後の○の辺りが、ほぼ今後 の問題として残した問題について書いてございます。 それから、最後に、それらを総括した形で「おわりに」と書いたところに、かなり今後 の問題としてこういうような方向で議論していくべきであろうということ、すなわち今 回の検討委員会はどうしても特例の廃止ということを頭に置きながら、新しく医療法が 改正されるということを勿論大前提にし、そして、その中で特例の廃止ということを頭 に置きながら議論していますので、どうしても少し視野が狭くなってしまうというとこ ろから、今後の問題を考えるにはやはりそうした視野の狭いところだけではなくて、今 後の問題をもっと幅広くとらえなければいけないということで、4の「おわりに」とい うところには、今後の問題をまた総括した形で書かせていただきました。 以上が、全体の構成でございます。 その上で、議論にまだ残した問題について幾つか御指摘をしておきたいと思います。も う一度戻っていただきまして「基本的考え方」の3つ目の○の辺りのところを見ていた だきたいと思います。この3つ目の○の中で、大学病院、その他につきまして現在の状 況について考えていることを書いておきましたけれども、このなかでも今後の問題とし て、例えば新しい医療法の一般病床と同じように設備構造の基準を考えるべきである し、旧世紀の医療を提供するということがあるならば、なおさらそのことは考えなけれ ばいけないだろうという議論も中でありました。ただ、ここまでやりますと、かなり病 床の機能分化ということを前提に考えなくてはいけないものですから、この問題をこの 中に完全に盛り込むことはできませんでした。しかし、議論はその中でしたつもりでお ります。 さて、それから、4ページ目でございますが、この問題に関しては機能分化の問題もあ りますので、一番最後に「おわりに」というところに書きましたような、そちらの方に 少しバトンタッチをするということでまとめさせていただいたということでございま す。それから、3ページ目の○の3つ目の辺り、すなわち看護婦さんに関係していると ころでございますけれども、4人に1人というふうに基準には書かせていただきまし た。この4人に1人というところをまとめさせていただきましたが、この間には幾つか の議論もありました。そして、その議論の中にあったことをやはり御報告しておかなけ ればいけないと思いますが、これは、それぞれの主張がございましたけれども、その中 で多少ともこれではちょっといきなりでは難しいのではないかという議論があり、その 中に妥協的といいますか、議論として出てきましたのは、やはり入院患者5人に対して 1人ということぐらいが限度ではないだろうかという延長上で、この職員数の中に「看 護婦等」という「等」の中には、看護婦あるいは准看護婦だけではなくて、ほかのパラ メディカルの人たちを中に組み込んだ形で考えなければ無理ではないだろうかというよ うな議論もあったということをここで御報告することを私はお約束しておりますので、 議論の中にはこういうことがあった、しかし、最終的にはここの報告書に書かせていた だきましたように、4人に1人ということでまとめさせていただいたということでござ います。ちょうど3ページの一番下から2つ目の○の一番最後のところ「患者4人に1 人以上の水準を確保すべきである」というふうに最後に文章をくくらせていただきまし たのは、そのような経過があってのことだということを御承知いただきたいと思いま す。こうしたもののほかに、幾つかまだございます。例えば、一番最後の4の「おわり に」と書いておりますけれども、5ページの2つ目の○「そのためには」と書いてあり ます・の3つ目のところ「地域精神保健福祉対策の充実等による、長期入院患者の解消 に向けて」という表現でございますが、これに関しても、長期入院患者ということだけ ではなくて、むしろ積極的に社会的入院ということを表現した方がいいのではないかと いう議論もいただきました。一時は、そのような形で書こうかと思いましたけれども、 やはり社会的入院という言葉があいまいな面もありますし、また、それらは今後本当に このまま使っていっていいかどうかということに関しても多少疑問もありましたので、 現実的には長期入院の患者さんたちに対する問題として、これをとらえておいた方がい いだろうということで、ここには長期入院患者の解消に向けてという表現を使わせてい ただきました。 ただ、これに関しては、やはり社会的入院という言葉をきちんと使うべきだ、むしろそ の方が問題をクリアーにするのではないかという議論があったことも付け加えさせてい ただきます。 以上、幾つか議論があったことを私は付け加えるお約束をしておりますので、この席を 借りまして、今までこの議論の中に入っていただきました専門委員の先生方に対して感 謝を申し上げながら、私の御報告を終わりたいと思います。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 幾つかの問題点を残しながらも大変立派にまとめていただきまして、この機会に改めて 御礼申し上げます。それから、また、この場を借りまして、部会長としまして専門委員 会に加わってくださいました先生方に厚く御礼申し上げたいと思います。 この精神病床の設備構造の基準ということでございますけれども、この基準の中身をど うするかということにつきましては、医療審議会の方からこの公衆衛生審議会の意見を 求められております。それで、ただいま説明いただいた報告書を基に、公衆衛生審議会 としての意見書を作成して、できるだけ速やかに医療審議会に報告しなければならない わけでございます。この問題は、医療法上の精神病床の設備構造等の基準を約40年ぶり に見直すという大変大きな事案ですので、先生方もさまざまな御意見をお持ちかと思い ます。しかしながら、これから御質疑をいただきますけれども、余り議論が拡散するこ となく、やはり部会として意見が取りまとめられるという方向で議論をお願いしたいと 思います。と申しますのも、この報告書を本部会の委員も参加した専門委員会で6回に わたって大変苦労していただきながら、いろいろな議論を重ねてまとまったもの、大体 大筋で合意できたところでございます。そういうことであるということと、また、医療 法の改正が既に先月行われておりますので、病床の基準を含む厚生省令を策定するため に基本的な考え方というものをできるだけ早く医療審議会に報告する必要があるという ことがございますので、是非まとまる方向での議論をお願いしたいと思います。 それでは、ただいま御報告いただきました専門委員会の報告書に関しまして、御質問、 御意見等をいただきたいと思います。どの部分からでも結構でございますから、どうぞ 御発言ください。いかがでしょうか。 ○大熊委員  後ろの方からまいりますが、5ページ目の一番最後の○ですけれども「必要に応じて 精神病床の設備構造等の基準を見直して行くことが必要である」とございますが、必要 があることは先ほどの吉川先生のお話のとおり皆様の合意の上だと思いますので、この 「必要に応じて」というのは、むしろ「附帯決議に基づいて早急に」というような表現 にされた方がいいのではないかと思います。医療法が通りましたときの附帯決議の中に は「可能な限り一般病床並みに引き上げるとともに、国際人権規約及び国連原則等の指 定に従い」というようなことが書いてございます。 それから、このページの一番上の「したがって」の後でございますけれども、挿入して いただきたいのは「立ち遅れた地域保健福祉施策の充実を喫緊の課題として取り組むと 同時に」というような、地域のことを入れた方がよいのではないかなというふうに思い ます。 それから、3ページ目の下から2つ目の○なんですけれども、この一番下の「患者4人 に1人以上の水準」というものの主語の「看護婦等」ですが、これは前の続きから言い ますと「看護婦と准看護婦」というのを受けているように思いますが、そのような読み 方でよろしゅうございましょうか。 それから、もう一つは、このタイトルから言いますと「設備構造等の」というふうにな っていますので、当事者の方たちは保護室の設備構造についてかなり深刻に考えておら れます。例えば、現実に床はコンクリートで土管がただトイレ代わりに空いていて、そ こに御自分の排泄物があって、そこで御飯を食べなければいけないとか、それから、ド アの下から食事は差し入れるようになっているというところがかなり、水準の高いと言 われている精神病院にもあるわけで、今更これをここの中に足してくださいということ は申しませんけれども、そのような問題がちょっと積み残しになっているということを 入れていただいたらどうかなと、とりあえず今思い付いたことを申し上げました。 ○高橋部会長  ありがとうございました。 2番目におっしゃった地域というのは、もう一度言っていただけますか。 ○大熊委員  「立ち遅れた地域精神保健福祉施策の充実を喫緊の課題として取り組むと同時に」と いうような。 ○高橋部会長  そういうような言葉を入れるということですね。5ページの「そのためには」という ところで「地域精神保健福祉対策」と地域が入っていますけれども、これでは不十分 と。 ○大熊委員  更に、地域がちゃんとしていないと車の両輪かと。 ○高橋部会長  わかりました。  ほかにございますでしょうか。 ○吉澤委員  この委員会は、医療関係の方が多いので質問という趣旨も踏まえてお聞きしたいとい うのがあるんですが、まず、昭和33年の1対48という療養病棟と同じということです が、これ自体が私ども法律の感覚からいくと、憲法14条の法の下の平等という意味で、 精神病の患者さんだけ他の病気の患者さんに比べて極めて手厚いの反対の手薄い医療で よいと決まっていたこと自体が、法の下の平等に引っ掛かるのではないかと。とする と、その場合に、圧倒的な医師不足という現状認識がそこにあって、やむを得ずつくら れた規定であるということになると思うんですが、ただ、現状がそうであるということ が合理的な理由になるかというと、それはちょっとおかしいのではないかと。例えば、 厚生省は今度労働省と合体いたしますけれども、労働基準法の中の男女の賃金の平等で すとか雇用機会均等法にしても、現状としてはかなり立ち遅れていても、理念としては きちんと法律でうたうという形がほかの省庁では比較的取られている。また、国際的な 国連憲章、その他でも、やはりこれが最低ラインであるというものが出ていて、それに 合わせて現状があったとしても理念としてはきちんと筋の通ったものをつくるというの が本来の法律のつくり方と、それに基づく通達と行政の指針の出し方ではないかという 場合に、この昭和33年自体が私はかなり法的には疑問があったのではないかという気が するんですね。  今回の場合に、まだほかの医療と違って、例えば看護婦さんが1対4になっています けれども、それは、療養と一般とを分けずに全体を1対4とするという意味では別のと らえ方ができますので、法の上の平等で間違いはないということになるのかもしれませ んが、これは素朴な疑問として内科、外科、産婦人科、耳鼻科、眼科等の患者さんとい うのは、自分の意志を自分で伝えることができる人が大半であると。勿論、重篤な病状 の方はそれが無理でありますけれども。ただ、精神科の患者さんの場合には、もともと の病気、それから、そのための投薬治療などで自分の意志を自分で伝えられない人がか なり多いのではないかというところから、素朴な疑問としては、むしろ一般の病棟より も、そういった患者さんに対して絶えず目を配る必要があるので、看護婦さんの比率は 重く、例えばほかが1対3なら1対2.5というふうにしなければならないのではないか と。それは、もともと医療法の中に医療法の理念として治療のみならず予防ということ もうたっていますし、合併症がある場合だけ一般の病人と同じで、合併症がもない場合 はそれより看護婦さんの数が少なくていいということになると、自分で自分の病状なり 症状、具合が悪いことをはっきり言えない患者さんに対しての医療としては、むしろ、 先ほども言いましたように、普通の病棟より看護婦さんの数を増やさなければいけない というふうに素朴に思うのですが、それがそうなってこなかったと。これは、やはり人 数不足以外にも何か理由があるのか、その辺はちょっとわからないのですが、法律をし ている人間からいくと以上2点が非常に素朴な疑問としてまずあるんですね。それにつ いて、ほかの方の御意見があればお伺いしたいと思います。 ○津久江委員  昭和33年の特例の問題で、法に問題があるのではないかという御指摘でございます が、私も特例のできたいきさつを調べてみましたら、当時、日本医師会武見会長の時代 の昭和32年の常任理事会、計3回続けて常任理事会でこの精神科と結核の特例について 検討しております。実に化学的な根拠に基づいた議論が3回続けて行われております。 そして、最後には慶応の三浦ダイエイ精神科教授と当時の日本精神病院協会の金子会長 をお呼びになって、そうしたいきさつを踏まえて科学的な根拠に基づいて、これが一番 妥当だという線でこれは決まったと、そのように記録に残っております。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 かなり慎重な審議の下で決められたというコメントでごさいまして、そのほかの吉澤委 員から出された意見について、吉川委員長として何か委員会で一般科よりも、むしろ厚 い看護をすべきだというような意見というのは出ませんでしたでしょうか。 ○吉川委員  議論としてはおっしゃるとおりで、何回か行ったり来たりの議論の中では今のような お話も勿論ありました。精神科というのは、むしろ手厚くしなければいけないというの は議論としてはあったと思いますけれども、だからといって、それでは現実論として理 念的にそれが正しいと考えて何らかの法的な措置を決めたとしても、現実に全くそぐわ ないものであれば実際的な効果はないという現実論が、またその中で出てくるわけで す。こうした現実論と理想論といいますか、あるべき姿というものと、今回のこの専門 委員会の中では行ったり来たりしたことは確かでございますので、今、吉澤先生が言わ れたことも勿論議論をしなければいけないのですが、というよりも、議論の中には出て きましたけれども、最終的にそれを取らなかったというのは、やはり現実的にこのぐら いのところまでが今取り得る方策であろうということが議論として落ち着いたところだ ったというふうにお答えしておきます。 ○高橋部会長  よろしいでしょうか。 ○吉澤委員  その点で、関連してお伺いしますが、先ほど大熊委員の方からも出ましたけれども、 看護婦等の定義について、これは看護婦と准看護婦でよろしいのでしょうかと、これは それでよろしいわけなんですね。 ○高橋部会長  3ページの「看護婦等」ですね。この「等」は何を含むかという御質問ですね。 ○吉川委員  文脈を見ていただきますればわかりますように、少なくとも3ページの下から○2つ 目のところですね、「看護婦及び准看護婦の確保について」というところから文章が始 まっていますよね。ですから「看護婦等」というふうに書いたことは、ここでは明らか に4対1は看護婦及び准看護婦を意味します。ただ、先ほど私が付け加えましたよう に、この議論としてもいろいろな議論がありました。実際問題として、やはりそこまで 要求しても無理なのではないかということがありました。したがって、先ほど私が申し 上げたように、その間の議論の中には折衷案的な意味も含めてPSの方々の問題も出ま したし、その他、精神科の看護に関しては看護婦だけ、すなわち看護婦及び准看護婦だ けで看護できるものではないと。看護という表現を使うかどうかは別にして、少なくと もそこにかかわるスタッフというものは、もっとこうした看護婦ないしは准看護婦とい う看護のスタッフだけではない人たちも重要なのではないかという議論も何回も出まし た。それをどういうふうに数値の上で表すかということもありましたけれども、少なく ともここに関しては、今、言いましたような数値の中で処理をさせていただいたという ことです。 ○高橋部会長  よろしいでしょうか。大熊委員も先ほどの質問に関して、ただいまの御説明でよろし いですか。 ○大熊委員  何かすごく玉虫色の表現で理解が難しいんですけれども、PSWの方の会から、この 報道に「等」ということが入ったことの心配として、自分たちは看護の専門家ではない ので「等」の中には入れないでくださいというのが高橋先生あてに出ていると思います ので、その点も考慮すべきではないかと思います。 ○高橋部会長  報告書の中の「等」は、看護婦並びに准看護婦という内容でよろしいですね。 ほかにございませんでしょうか。 ○谷中委員  質問というよりは、私のここ2〜3年のこの審議会も含めた感想、意見なんですが、 やはり今思えば2〜3年前から精神病床の機能分化の在り方についてすごい議論をして きた、あの段階で一つの見解が出せなかったこと、それから、もう一つは、長期入院の 方々に対する施策ということが、今、委員会が途中であるということ、このことがやは り今回もかなり影響してきたのではなかろうかということで、少し反省はしているんで すが、やはり率直な意見としましては、この精神障害者自らが体験された精神病院の中 におけるさまざまなことを、ここでは反映されていないのではないだろうかということ も大変気になります。そこで、どちらが先かと言われても大変困るんですけれども、や はりこうなった以上は精神病床の機能分化の在り方と同時に、長期的に入院している方 々に対する施策ということを具体的にあるべき姿を示して、そして、そういう具体的な 計画の下に進めるべきだというふうに思います。そんな印象といいますか、感想を述べ させていただきます。 ○高橋部会長  機能分化という問題と長期入院患者の解消の問題について、できるだけ早く検討を進 めてほしいという御要望かと思います。よろしゅうございますね。どうもありがとうご ざいました。 ○池原委員  私は、家族会の代表という部分もありまして、特にこの精神医療の利用者、患者さん 本人とその家族の方の御意見を少し皆さんにお聞きいただきたいなと思いまして、家族 会から要望書をいただいていますので、これを御許可いただければ、皆さんにお配りい ただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○高橋部会長  よろしいですね。では、どうぞ配付をお願いいたします。 ○池原委員  今回の報告書にもコンシューマーといいますか、精神医療を利用する側の意見を十分 尊重するようにという表現を加えていただきまして、それについては大変私どもとして は感謝しているところであります。実は、この専門委員会の際にもでき得れば、やはり 利用者側の意見を十分に反映させるようにということで、専門委員の中に利用者を含め ていただきたいということもあったんですけれども、なかなか具体的にそこまではたど り着けなかった。しかし、いろいろなことで御配慮いただいて、利用者の人の意見を専 門委員会でお聞きするという機会を設けていただきまして、一定の成果を上げることが できたのではないかと思っております。これは、今後の例えばこういう審議会とか専門 委員会というようなものを開いていくときにも十分考えていただいて、できればこれか らは審議会や委員会、そういうものには利用者の代表がやはり相当数含まれるというよ うな御配慮もいただきたいなというふうに思っております。 実は、先ほどの吉澤委員からの御質問に対してのお答えで、昭和33年当時の特例の際に はかなり議論がされて、精神医療の場面では医師数、患者数が一定数少なくても合理性 があるという科学的な検討がなされたというお答えをいただいたんですけれども、でき れば、どんな科学的な検討だったのかというその中身も教えていただきたいんですが、 率直に申し上げて、その後の昭和33年以降の精神医療の状況というのを利用者の立場か ら見たときに、決して精神病院で十分なケアが受けられて満足がいけたという感想は余 り多くは聞こえてこない。やはりもう少し人手の手厚い医療を受けたいという希望は、 家族あるいは患者さんに非常に強くあるということを是非御認識いただきたいと思いま す。 それから、また、こういうことをあえて申し上げるのはかえって議論を混乱させること になるかとも思いますけれども、やはりその後の昭和33年以降の精神病院における幾つ かの人権侵害事件とか、あるいは医療過誤事件というものの根底には、人手不足といい ますか手厚い看護というものが十分に行き渡っていなかったのではないかということが 十分に推測される、あるいは実証される事実があるのではないかと思うんです。ですか ら、仮に昭和33年当時は将来を予測して、こういう人員配置に科学的根拠があるんだと いうことであったとしても、その後の精神医療の実情というのを見ると、どうもその科 学的な推定は間違いだったのではないかということが実証されてきたのではないかと思 います。ただ、私も専門委員として加わっていまして、やはり実際に理想を追求しよう としてもマンパワーが残念ながら伸びてきていないと。この現実は確かにある程度配慮 しなければいけない。ですから、今のこの人員配置基準というのは当面の暫定的なもの として受け入れざるを得ないのかもしれませんけれども、あくまでもやはりあるべき精 神医療の姿というのを追求しながら、可能な限りそれに近づけていく政策的な努力とい うことをしていかなければいけないというふうに思っております。 以上です。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 これから審議会であるとか専門委員会とかコンシューマーの代表の方の参画もという御 要望でございました。これは非常に重要な問題だと思いますので、検討されなければい けないと思います。 それから、昭和33年の特例ができたときの検討内容を知りたいということでございます けれども、今後も引き続きこの問題は検討されていくと思いますが、その過程において もう一度吟味して、現実とどのくらいの問題点があるかということを明らかにした上で 今後の対策をやっていかなければならないだろうと思います。そういうことでよろしい でしょうか。 ○伊藤委員  3点ちょっとお話ししたいと思います。1つは、吉澤委員がどういう過程で特例がで きたかという疑問に対して、今、池原委員もお話しになったように、やはりきちんとし た事実に基づいて決めたと私は思っておりません。というのは、その後、当時それを決 めたときの医師会の武見会長は、精神病院を牧畜業者だということを言っているわけで すから、今、池原委員がおっしゃったとおりだと私は思っております。 それから、具体的な報告書の中身についてですが、2ページ目の「精神病院の設備構造 に関して」という上から2つ目の○です。設備構造に関して「精神障害者の人権を最大 限に尊重した規定とすべきである」、これはこういうことで当然だということでよろし いんですが、具体的にどういう規定にするかということが大事だと思うんです。医療法 の施行規則10条の3号、つまり精神病室でないところに精神病者を収容しないこととい うのは削除できるかどうか随分専門委員会で議論があったんですが、これは残さざるを 得ないのではないかと。ただ、表現は少し変える必要があるのではないかということだ ったと思います。 それから、医療法施行規則16条の6号の方ですが「精神病室には外部に対して危害防止 のために、その他必要な方法を講ずること」、これについては、廃止できるのではない かと私は思っています。ですから、いずれにしても、この上から2つ目の○の規定をど ういうふうに決めるかお聞きしておきたいです。 ○高橋部会長  施行細則を決めるに当たってはどのように検討されていくのか、事務局の方からお願 いします。 ○重藤補佐  精神病床に関する部分につきましては、この専門委員会の意見書、それから、この部 会での意見をいただいたものを医療審議会に御報告申し上げて、医療審議会の方に、そ れを受けた改正施行規則の要綱というものを諮問答申するということでございます。先 ほど委員御指摘の第16条の第6号のところにつきましては、そのように私どもも受け取 っておりますので、そのような内容で報告ということでさせてもらって、後は医療審の 御判断ということになろうかと思います。 ○伊藤委員  ありがとうございました。 それから、もう一点ですが、3ページ目の上から3つ目の○で、精神科医師の不足があ るので養成が必要であるという項目ですね。現在、医療法の改正で医師の卒後研修の必 修化ということが問題になっておりますが、この卒後研修をする際に、精神医学を必修 科目の一つにするということは、医師確保という意味からも非常に重要なことだと思い ますので、この項目を実現するために公衆衛生審議会の保健福祉部会として、精神医学 を必修化にするということをこの委員会の中で統一した意見としてまとめていただくの がよろしいのではないか。その上で、関係部署に働き掛けていただくということでお願 いしたいと思います。 ○高橋部会長  今、医師の研修の必修化に伴って精神科を必修科目とするかどうかという点に関しま して、何か議論が進んでいますでしょうか。もし、事務局の方でおわかりでしたら。 ○松本課長  健康政策局の医事課の方で今回の医療法の改正が通りまして、必修過程は医師法、歯 科医師法に盛り込みましたけれども、具体的にどうするかということにつきましては、 今後、委員会を設けて検討していくということでございます。今の伊藤委員のお話ある いは高橋部会長からのお話もあるいは委員会全体としても、非常に精神科の必修といい ますか、そういう御要望が強かったということについては、事務レベルでも医事課の方 に伝えてはおります。ですから、年が明けて委員会が設けられて、それからという具合 に聞いております。 ○高橋部会長  できるだけそういう趣旨をこの報告書の中に盛り込めるような検討をしたいと思いま す。 ○大熊委員  事務局から口頭で伝えていただくだけでは心配なので、是非この文章の中に入れてい ただきたいと思います。医療審議会のメンバーでは精神科医はセンバ先生お一人が専門 委員として加わっておられるだけですので、委員としては私が言うしかないと、非常に 多勢に無勢でございますので、是非ともここの文書の中に入れていただきたいと思いま す。 ○高橋部会長  この報告書のまとめに関しましては、これをもし御了承いただければ、いただいた意 見を私に預からせていただきまして、それでこの報告書を多少加筆、訂正した上で医療 審議会の方に報告したいと思いますが、そういう手続を取りますので、その中に盛り込 める部分は盛り込みたいというふうに思います。 御意見、御要望、その他ほかにございますでしょうか。 ○大熊委員  度々で恐縮ですが、今、精神以外の例えば結核とか感染症の方についても同様な検討 が進んでいるわけですけれども、風の便りによりますと向こうは48対1などではなくて 16対1の医師となっているらしいので、この48対1というものについても、本当はよく ないんだけれどもやむを得ないんだということが読んだ人にわかるような表現ぶりにし ていただけたらなというふうに思います。 それから、看護婦さんやお医者さんの数が足りないということは、精神医療は大切です よ、是非ここへ来てくださいというPRだけではなくて、なぜそこからお医者さんや看 護婦さんが一旦は就職しながら離れていくのかというところまで考えてみないと、対策 にはならないように思います。私は最近、看護婦さんでは3人ほど精神病院を辞める人 の話を聞きましたけれども、それは、病院の中で今の国際的な流れとか吉川先生の御主 張のようなことで、病院から地域へというプロジェクトをつくって、それを実行しよう と一生懸命すると経営者の方から待ったが掛かってそれができないと、今、吉川先生は うなずいておられるので、そのようなことは私だけが思っていることではないと思うん ですけれども、ですから、幾らPRしても行った先のオーナーの考え方が非常に今それ を阻害しているということを申し上げておきたいと思います。 先日、テレビ朝日で朝倉病院というところの大変悲惨な状況が流れましたけれども、あ の中では院長で、かつ、精神保健指定医であるような方が、こんなことはやりたくない と思いながらオーナーから首にされるのが恐ろしくて、患者さんに害のあることをやり 続けたということの告白が出ていたりいたしますので、ここに書いてあること以外にも 非常に大事なことがあるように思います。 ○高橋部会長  どうも貴重な御意見をありがとうございました。 それでは、この辺で議論を終わらせていただきたいと思います。 ○西島委員  部会長、少しだけよろしいですか。今回のこの報告書をつくる議論の中で、やはり看 護婦の数をどうするかというときに、一つの偏見といいますか、精神病院に対する偏見 がなかなか解消できないという問題もございました。この中のいろいろな原因というの が考えられるのですが、今、大熊委員がおっしゃったような当然そういう時代錯誤的な 医療が行われているということも現実であろうというふうには思います。しかし、もう 一方、一番大きな問題がやはり何か事故が起きますと、事故というのは患者さんが起こ す事故ですね。患者さんが起こす事故が起きますと、必ず精神病院に入院歴があるとい うのがマスコミで報道されているわけですね。この精神病院入院歴があるということと 事件を起こしたということは全く別の問題でごさいまして、やはりこういうことを報道 機関がされるということ自体が、更に偏見を助長させることになるというふうに私ども 思っているわけでございます。そういう意味で、これは決して報道の自由を侵すもので もございませんので、是非こういう書き方は控えていただきたいという要望をこの公衆 衛生審議会が出すべきではないかと。でないと、いつまでもこの精神障害者に対する偏 見も含めて、なかなかなくならないのではないかというふうに思うんですね。幸いなこ とに大熊委員がマスコミの中におられますので、大熊委員を中心にしていただいて、要 望書という形にするかどうかわかりませんが、できれば厚生大臣の方からそういう要望 をマスコミ機関に出していただくという形の是正をするべきではないかというふうに思 いますので、一方検討していただければというふうに思います。 ○高橋部会長  非常に重要なポイントだと思いますけれども、貴重な御示唆をありがとうございまし た。  それでは、よろしゅうございましょうか、この辺で議論は打ち切らせていただきま す。 ○大熊委員  一言だけ。西島先生と今日はとても意見が合いまして、全く賛成でごさいまして、私 どもの朝日新聞では既にそのようにしておりますが、これを権威ある機関から要望して いただけるとよいと思います。 ○高橋部会長  それでは、先ほどお話ししましたように、本日この部会でいただいた意見を部会長預 かりとさせていただきまして、この専門委員会の報告書を加筆、訂正して公衆衛生審議 会の意見書といたしたいと思います。御異議ございませんでしょうか。 ○北川委員  ちょっとよろしゅうございますか。報告書に関してはこういうことで結構でございま すが、せっかくの機会ですので今までいろいろな御意見を伺っていまして、精神病院と いうものに対して非常にイリュージョンといいますか、いろいろなところで空中戦が行 われているような気がするんです。実際は、病院といっても非常にうまくいっていると ころもあるし、非常にまずくいっているところもあると思うんですけれども、よくいっ ているところをこれは事務局にお願いすることですが、もう少し目に見えるようにして いただいたら、イメージそのものも変わっていくのではないかなというように思うんで す。今、病院機能評価のためのいろいろな動きが行われていますけれども、ああいうと ころで精神病院がそういうことに手を挙げているのかどうか、私も最近の動きは知りま せんが、是非そういう場を使うなどして、非常に良心的にというか意欲的に対応してい る病院が幾つもあると思いますので、そういうものを少しでも見えるようにしていただ く。これは、今の西島委員、大熊委員のマスコミ議論にも通ずると思いますけれども、 どうもこの議論を伺っていまして非常に重苦しい議論だけになっているんですね。これ は、精神障害の医療に関して決していいことではないと思うので、いいところが見える ようにして、それに世の中全体が引かれていくような動きをつくるということも大事で はないかと思いましたので、一言申し上げます。 ○津久江委員  勇ましいのとあさましいのは同等ではないと思うんですが、私は日精協の代表という ことで出ておりますので、その要望書に基づいてあるいは見解書に基づいて主張せざる を得ないんですが、決して手抜きをして治療しようというのではなくて、できるだけ人 を集めてよい治療をすることにやぶさかではございません。ただ、現状のデータから見 れば、どうしても4対1であれば40%のドロップアウトをするではないかと、だから、 少し待ってほしいと。できるだけ一般科と肩をそろえたい。なるべく早い時期を達成す るように努力していきたいということで、吉川先生が最後に機能分化も書いておられま すように、そういうものを一日も早く進めていって、5年という経過期間をいただいて おりますけれども、でき得ればなるべく早い時期にそういう一般科と肩を並べたいとい う気持ちは十分持っておりますので追加しておきます。 ○高橋部会長  大変心強い発言でございますけれども、北川先生のできるだけこれからポジティブな 面を世の中に情報として伝えたいということは私も同感ですので、是非そういう方向に 心掛けたいと思います。この報告書に関しましては、先ほど申し上げましたように、部 会長預かりということで意見をまとめさせていただいて加筆、訂正した上で医療審議会 の方に意見書として提出いたします。 ○岡谷委員  済みません、一言よろしいでしょうか。 ○高橋部会長  では、簡潔にお願いします。 ○岡谷委員  私は、日本看護協会の代表として専門委員会に入っておりましたけれども、ケアを提 供しようとする側から言いますと、今回、本当に万やむを得ずというようなところでの 基準を決めたというふうに理解しています。それで、先ほど吉澤委員がおっしゃってお りましたが、本当に精神科の医療は検査だとか薬といったようなものよりは、人の手、 人の目というのが非常に大事になってきますので、そういう意味では今の診療報酬の体 系の在り方ですと、本当に人をたくさん雇ってもそれだけなかなか収入につながらない ということがございますので、そういう点からも少し改善をしていただいて、できるだ け済みやかに基準をクリアーしていけるような、そういう環境をつくっていくことも大 事ではないかというふうに思いますので、是非、厚生省の方にも御努力をお願いしたい と思います。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 それでは、先ほど申し上げましたような形で報告書をお認めいただきたく了解いたしま す。 次に、専門委員会からの報告書を受けて厚生省令のたたき台としまして、その案となる ものを厚生省として作成したようでございますので、それについて御議論をお願いした いと思います。では、事務局から御説明をお願いいたします。 ○重藤補佐  それでは、事務局から説明をさせていただきます。資料6でございます。「精神病床 の設備構造等に関する基準の概要(案)」でございます。これは、先ほどの専門委員会 の報告書を受けまして、新たにつくらなければならない厚生省令の中で、どのようにつ くっていくかというところの骨組みでございます。説明をさせていただきます。 (資料6「精神病床の設備構造等に関する基準の概要(案)」朗読) ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 それでは「精神病床の設備構造等に関する基準の概要(案)」でございますけれども、 これについて御質問、御意見をお願いいたします。 ○阿彦委員  2つ。1つは御検討いただきたいこと、1つは質問なんですけれども、この概要を見 て目立つのが標準という言葉でして、設備構造基準については「以上」ということで明 確になっているわけですけれども、人員配置については16人に1人を標準とするという ことですが、今までの特に精神病院の利用者側の意見をくまれた数々の御意見を伺え ば、標準ではなくて1人以上とするとか、他の分野の省令になったときの表現の問題が あるかもしれませんが、標準という言葉が省令上残すのは通常のことであれば、1人以 上を標準とするとか、標準をなくしていただいた方が専門委員会の意見をくんだ内容に なるのではないかというふうに思います。頭には基準ということがつくわけですので、 基準にまた標準というのはなくていいのではないかという意味です。 それから、もう一つは質問ですが、保健所の方で医療監視をしておりますけれども、経 過措置はありますが、これまでの従前の基準すら満たしていない病院があった場合に、 保健所の医療監視では文書指導事項ということで早急なる改善計画、人員の増員計画等 を文書で求めるわけですけれども、なかなか何年経っても改善されない病院があって、 よくやっている病院は非常に多くて、そういうよくやっている、頑張っている病院にと ってもそういったことは、先ほど北川先生がおっしゃっいましたようにマイナスだと思 いますので、例えば今でも特例許可なわけですから、特例の上に人員を満たしていない といった場合のペナルティーとか、従前の基準すら満たしていない病院に対するペナル ティーのようなものを今よりも強くしないと、我々保健所の医療監視で指摘した内容も なかなか効力がないように思いますので、そういった従前の基準すら満たしていない病 院があった場合のより改善しやすい手だてという点について質問したいと思います。 ○高橋部会長  標準という言葉の使い方ですが、これは標準を取った方がいいのではないかという御 意見。それから、基準を満たさない場合のペナルティーあるいは指導の在り方といった ことに関してどうなのか、どうぞお願いします。 ○重藤補佐  まず、1点目、標準という書き方でございますけれども、これは精神病床に関する部 分ではなくて一般病床、療養病床、結核病床すべて含めた表現として最低標準という言 葉を使い、それでこうした厚生省令の要綱には標準とすることという同じ表記の仕方を 取っておりますので、それに倣って作成をしたということでございます。ですので、こ の言葉につきましては、勿論意見はあったということはお伝えいたしますが、全体の表 現の仕方ということでございます。 それから、もう一点目の医療監視上のそうした標準を満たしていない病院への指導とい うことでございますけれども、本日、提出いたしました参考資料の中の「医療法等の一 部を改正する法律の概要」というものの1枚目の(3)「適正な入院医療の確保」というと ころで「人員配置基準に照らして著しく不十分である等の場合における医療機関に対す る増員命令等を制度化」ということでごさいまして、新たに医療法上制度化いたしまし て、命令に従わない場合には医療を差し止めるということも法律上規定をしておりま す。以上でございます。 ○阿彦委員  私もここは読んだつもりですが「著しく」というのが、医療監視では例えば〇・何人 とか1人足りないとか著しくではないんですけれども、特例の上に満たしていないとい うことは著しくではないかというふうに考えていいのかどうかということですね。 ○重藤補佐  その辺の判断でございますが、私どもは精神保健福祉課でこれは公衆衛生審議会でご さいまして、そこは医療監視という立場の医療監視要綱を定めてやっている中のことで ございますので、出た意見については担当セクションにはお伝えをして、きちんとそれ が十分実態になるようにという意見があったということをお伝えをいたします。 ○高橋部会長  そういうことでよろしいでしょうか。 ○阿彦委員  あと、先ほどの48人に1人以上を標準とするとか、そういったことは無理なんでしょ うか。 ○重藤補佐  そこは全体の、すべて医療法の施行規則は全体の医療法の施行規則でございますの で、要するに他の規定の仕方と同一になるということでございます。出た意見につきま しては、当然のこととしてこういう意見があったということにつきましては、医療法の 本体を所管している課にお伝えいたします。 ○高橋部会長  ほかにいかがですか。 ○吉澤委員  今の標準ということの解釈ですけれども、これは単に今おっしゃった方の解釈という ことで法的な根拠はないというふうに私は思います。と申しますのは、例えば、この同 じ基準の概要の一番上には100床以上というふうに数字の場合に「以上」という言葉を明 確に使っておりますし、それから、一番下の(3)の場合は「配置基準」という言葉を使っ ておりますので、単にあいまいにする意味しかないということと、それ以上に専門委員 会の方の趣旨が標準というふうに変えてしまうことによって生かされていないというふ うに理解されますので、ほかで使っているということではなく、きちんとこれは何人以 上とする、あるいは基準は幾つであるというふうに明瞭な言葉で標準という一般に考え るとその上も下もいいという解釈の成り立つ書き方は、この際やめなければいけないと 思います。 それから、次ですけれども、同じように専門委員の方の出された趣旨が余り生かされて いないのではないかということと、それから、私は先ほど48対1は憲法違反だという言 い方をいたしましたが、1以外の病院で48人に対し1人というのは、やはり16人に対し 1人にするべきだと思います。 もう一つ、その理由として、先ほど患者さんの側の意向、十分これを配慮しなければな らないというふうに言っている以上、先ほど家族会から出された意見、こういうものを やはりきちんと受け止めていく必要があるかと思いますし、それと、これは弁護士会で つい先週の金・土に障害者の日に障害者110番という一斉法律相談をしましたが、たまた まその中に入ってきた相談の中でも、家族が精神科の病院に入院しているけれども1人 のお医者さんが50人も受け持っているので、こちらが名前を言ってもわからないと。あ れでは、ちゃんとお医者さんがついているというふうにはとても感じられないというよ うな相談も現に来ているということで、やはり患者さんの気持ちを考えたらば48対1と いうものを残すのだけは避けた方がいいと思います。 それから、先ほど西島先生の患者さんに対する差別がいろいろな面で残るという御意見 も私も勿論賛成なんですけれども、数だけで見るとやはり精神科の患者さんは放ってお いていいというふうに見られかねないので、差別をなくすという側面からも、これはや はり16対1にするべきだと思います。 それから、(3) の中にいきなり「看護補助者」という用語が出てまいりましたが、こ れは専門委員会の方で看護婦と准看護婦というふうに明瞭に御説明をなさっているの に、こういうものを勝手に入れるということは誠におかしいと思いますし、これも削除 するべきだと思います。以上です。 ○高橋部会長  3番目の看護補助者というのは、(3)の(2)のところですね。この看護補助者は不適当 ではないかと。 ○吉澤委員  先ほどから看護補助者というものは全く出てまいりませんし、専門委員会の方でも看 護婦及び准看護婦と言っているので、なぜこれが案になったときにいきなりこのように 変更できるかというのは、むしろ奇怪という印象さえ持ちます。これは、おかしいと思 います。 ○重藤補佐  この部分につきましては、先ほど吉川委員長の方より口頭で御説明があったように、 4対1というところ、それから、5対1というところ、それぞれ意見が分かれていたと いうところで、なかなか収拾といいましょうか、いろいろな意見があった中で、とにか く気持ちとしては4対1をやらなければならない。ただ、それまでにたどり着く段階と してはいろいろな提案がなされたというところでありまして、その中の議論としても5 対1までは有資格者で、それ以上については看護補助者等の方を入れるというところで 専門委員会の中では議論がございました。 ○高橋部会長  よろしいでしょうか。 ○伊藤委員  ちょっとわからないんですけれども、(3)の(1)があるわけですから、(3)の(1)でいけ ば(3)の(2)が要らないような、(3)の(1)で特例そのままにしておけばこの問題は引っ掛 からないので、ちょっと私も理解できていないところがあるのですが、説明していただ けますか。 ○重藤補佐  5年間の間は当然現行のとおりでございます。それは、他の医療法上もそれぞれ経過 期間がございます。それで、5年間の間は現行のとおりで、5年後から4対1というと ころでスタートするわけでありますけれども、そこのところで現状を踏まえるとかなり 困難であるというような専門委員会の御意見がございましたので、5年からしばらくの 間は暫定的に入院患者5人に対し1人と。それから、5人に1人から4人に1人のとこ ろまでを看護補助者と当面の間するという激変緩和と申しましょうか、1つステップを 置くというところが2の1以外の病院(3)の(2)のところの表現でございます。 ○伊藤委員  当分の間というのは、経過措置期間が終わった後もという意味ですか。わかりまし た。 ○高橋部会長  吉川委員長のお話にもありましたけれども、本来のあるべきところまで到達するス ピードがそれぞれいろいろな立場によって考え方が違うということがありまして、それ も一つだと思いますけれども、ある期間、看護補助者を合わせて4対1に配置するとい う趣旨のことだと思います。 何かほかにございますか。この表現はよろしゅうございますか。 ○岡谷委員  これは、本当に私は苦肉の策、要するに経過措置のところでの苦肉の策だというふう に思うんですね。それで、最低基準といいますか、そこは看護職員4対1、看護婦等4 対1ということで報告書にも明確に書かれていると思いますけれども、それは夜勤の数 ということを考えていきますと、本当に夜勤でかなりの患者さんを持たなくてはならな いというようなことが4対1でもあるわけです。それが、なかなか4対1という基準が クリアーできなくて、5対1あるいは6対1のままでずっと経過をされますと、かなり ケアの質というものは落ちていく、夜勤のことを考えるだけでも非常に落ちていくとい うことで、こういう看護婦及び准看護婦、それから、看護補助者で合わせて4対1にき ちんと看護婦を配置するということだろうと思います。  ただ、このときに当分の間というのは余りにもあいまいな表現で、これだと無制限と いうかいつまでやればいいのか、もう少し努力目標としてはっきりここまでにきちんと しないといけないというような明確な期間の設定というものをしていただきたいという ふうに私は思います。ですから、医療法が5年間で見直しになるわけですけれども、そ のときに一定の方向を示すということが出ていますが、そのときと一緒に見直していく とか、あるいは3年なら3年というような明確な期限を切ってやっていただかないと、 当分の間ですとこれが基準になってしまうのではないかというふうに思います。 ○高橋部会長  見直しの時期をある程度明確に。 ○岡谷委員  ある程度というか、はっきりと明確にしていただきたいと思います。 ○高橋部会長  わかりました。  何かございますか、よろしいですか。 ○津久江委員  表現が確かに難しいのだろうと思うんですが、看護補助者という書き方しかこの際で きなかったのではないかと思います。あながち看護補助者と言えば無資格でという意味 では決してないと思うんです。ただ、吉川先生がおっしゃったように、最後のパラグラ フのそのためには、病棟の機能分化をやるんだということで、それに引っ掛かってくる わけで、今後の問題として大熊先生もおっしゃいましたが、他職種の方々を踏まえてと 解釈すれば、私は決して難しい苦肉の策とかそういう表現ではないというふうに思って おります。 ○松本課長  先ほど岡谷委員から当分の間のことでお話がございましたけれども、報告書の方にも ございますように、精神病床の機能分化がまだ十分でないというような状況で出された という報告書であると。それに基づいたことでおつくり申し上げましたので、これはで きるだけ早く今後の21世紀の精神医療の在り方の方向性を示す必要があるだろうと思い ますし、この報告書の中にも医療法施行後5年の間に一定の方向を示すべきということ でございます。また、医療法の本体の方も5年間の経過期間後の取扱いについて、対象 となる病院の推移あるいは看護職員の充足状況を見ながら見直しを行うということでご ざいますので、この精神病床についてもそういう観点で取り組んでいきたいと考えてお ります。 ○岡谷委員  津久江委員のおっしゃった、私は他職種を含むというふうには考えておりませんで、 やはり看護補助者は看護補助者ということで明確に考えておりまして、PSWの人は決 して看護補助者ではございませんので、看護補助者は看護補助者というふうに考えてお ります。 ○牧野田委員  今の岡谷委員の意見に賛成なんです。そして、精神保健福祉士協会も理事会を開きま して、この看護補助者の中にPSWを入れるということには反対しております。その理 由は、やはり看護補助者ではなくてPSWとしての本来の仕事をするために雇用してほ しいということです。それが1つです。 もう一つは、1以外の病院というところの(3)の(2)ですけれども、ここに入院患者5人 に対して1人以上とすることができるというふうに書いてしまうということには、私は 大変疑問を感じております。報告書には4人に1人というふうになっているので、むし ろこれは削除していただいて、当分の間というのはやはり期限を切って満たすことがで きない場合にというようなことで、あくまでも4人に1人というのは主張していただき たいと思います。 以上です。 ○高橋部会長  この(3)の(2)を外すということでございますか。 ○牧野田委員  はい。1行目の5人に1人というところを外していただいて、どうしても満たない場 合に当分の間、括弧でそれは約5年とかおおよそ5年とか書いて、看護補助者を入れて 4人に1人というふうに配置することができるというふうに書いていただければと思い ます。できれば、本当は削除したいんですけれども、岡谷委員のお話もありましたが、 やはり実際今すぐには配置が困難ということを考えまして、これは入れるという。 ○高橋部会長  内容的には実質的には同じだけれども、5人に1人というのは外した方が望ましいと いう御意見ですね。 ○西島委員  この議論は、もう十二分にするだけしてこういう結果が出てきたわけですね。ですか ら、是非、専門委員会でのそういう意味での意見の尊重をひとつお願いしたいと。私が 言う立場ではございません、吉川先生が言う立場なんでしょうけれども、ということが 1つございます。 それと、もう一つは、実は今、精神病床の利用率というのはどんどん落ちてきているん ですよ。ですから、将来的には今のマンパワーを確保しておけば精神病床の利用率は落 ちてきておりますので、しかも、新看護体系からいきますと、あれはたしか実態に合わ せた数字ということになっていますね。昔は、許可病床でやっていたのが、今は実人員 方式になっておりますので、十分にこういうことは将来的には可能になってくると思い ます。そういう意味では、一つのステップとして今まで6対1だったのを法則で4対1 に持ってきまして、しかも、段階的にこの5対1というのを入れたということが現実で ございますので、是非この辺りは御理解をいただきたいというふうに思います。 それから、私もPSWというのを看護補助者というものに入れるということは問題があ るであろうというふうに思います。やはり明確な役割をするべきだろうというふうに思 いますし、もう一つは、精神保健福祉士の中には医師の指示に従うではなくて、医師の 指示を尊重するということになっているんですね。そうしますと、チーム医療の中では もう一つの問題もあろうかなというふうに思いますので、そういうことをちょっと付記 しておきたいと思います。 ○高橋部会長  経過措置の期間が5年間あるわけですから、その間に実態がどんどん変わって、5対 1というこの問題も実質には余り問題にならないのではないかという御意見でございま すね。 それから、先ほど吉澤委員から48対1の医師の問題が出されましたけれども、すべて16 対1にしないといけないのではないかということですが、報告書の中では、もし、そう いうことを行うとなると700名以上の医師が必要だというような理由がありましたし、そ れから、一般科でも療養方の病床は48対1という数もありますので、いかがでしょう か、その48対1が当面残るということは、決して法の下の平等には反しないと思います が。 ○吉澤委員  もし妥協するとすれば、ほかの部分で明瞭に16対1を基準とする、あるいは16対1以 上にすると書いて、ここで16対1を標準とするというふうに用語を使い分けるというぐ らいでいかがでしょうか。現実には16対1に到達している病院もかなりあるわけで、先 ほども労働法の例を出しましたように、法律というのは事実を追認だけするということ ではございませんし、標準ということであれば罰則規定も少し適用しにくくなるという 実情があるかと思いますので、それであれば、ここだけを標準とするという記載がよい のではないかと思います。 ○西島委員  今回、精神病床を、一番最初の議論というのは急性期病床と慢性期病床に分けるとい う議論からスタートしているわけですね。そして、今回は精神病床を一つにして検討し てきたわけでございますが、その内容というのはどういうことかといいますと、これか ら機能分化を起こしていかなければならない。そうすると、機能分化の中で例えばそう いう病床の場合にはどれだけのマンパワーが必要なのかということが数値として出てく ると。ですから、今回は一つとしていますので、この5年間の間に機能分化を含めた検 討をしていくと。そういう中で、こういう数というのは当然変わってくるだろうという ふうに思いますので、今回に関しては是非こういう形で御理解をいただいて、この5年 間の間の見直しの検討の中でそれも含めた検討をしていくべきであろうというふうに思 います。 ○町野委員  今の件ですけれども「等分の間」というのをここにむしろ入れるべきではないかとい う具合に私は思います。むしろ入るのはこちらであって、後ろに入っているのがおかし いと思います。今、皆さんの御意見の一致しているところは、48人に1人というのは実 質的に悪いということはみんなわかっているわけですから、そして、そのことを先ほど の吉澤委員も法の下の平等に反すると言われていることですから、私はこのように今度 省令でこれはきちんと書くわけですから固定化してしまうということはやはりよくない ので、むしろここに当分の間というのを入れるべきであるという具合に思います。 ○高橋部会長  よろしゅうございますか。ほかに御意見ございますか。 ○重藤補佐  今のところで、専門員会での報告書の中身ですが、検討の内容につきまして若干情報 提供だけさせていただきたいと思いますけれども、要するに、一般科においては病床を 一般病床と療養病床に分けたと。それで一般病床は医師の数は16対1だと、療養病床は 48対1だと。その中で、1月のこの部会の報告の中ででも精神病床につきましては、当 面1つでいくという、機能分化がそれほどまだ議論が尽くされていないということで1 つでいくというところであります。ただ、16対1という世界も合併症等のためにつくら なければならないというところで、1番の大学病院、それから、総合病院のところで16 対1ということを明確に規定をし、それで、その他のところについては48人に1人とし たということであります。今後、機能分化がどういうふうになるかということはまた別 として、今回1つでいく。ただ、将来的にやはり精神病床の中でも療養病床にふさわし い部分もあるでしょうし、一般病床にふさわしい部分もあるでしょうし、そうした中で 今後、機能分化を図る。ただ、現在、専門委員会の報告書の中では、大学病院と総合病 院というところは16対1の世界で置いて、それは合併症治療として頑張っていくという ことを明確に規定して、その他以外のところで今後の機能分化を検討しつつ、今のとこ ろこういった基準を置くというところが専門委員会の報告書ということで事務局として は理解をしております。 ○町野委員  済みません、私が読んだ限りではそのような理解はできませんで、最低がとにかく16 対1というのが本当にあるべき姿で、機能分化すれば更にもっと考えることもあろうと いうことだろうと思いますから、機能分化論の帰趨を見極めた上でこれを決定するとい う考え方であるとしたら、やはりこれは不当だと私は思います。 ○大熊委員  今までの町野先生方のに全く賛成で、当分の間というのをここに入れることによるマ イナスは考えられないと思います。2の(1)の(1)(2)(3)の前に「当分の間」というふう に入れれば、報告書との釣り合いも取れるし、これが精神科の患者さんのことをこの審 議会が差別しているわけではないという身の証も若干立つだろうと思います。 もう一つは、新聞のようなところに携わっている者から見ますと「を標準とする」とい うのは平均このぐらいでいいよ、これ以下でもいいよという日本語でありますので、こ こに出てくる標準はすべて「以上」というふうにするのが普通の日本語の解釈と思いま す。 ○阿彦委員  医療というところは先ほど私が申し上げたとおりですけれども、先ほどの事務局の答 弁の中で、ほかのところがそうだからということがありましたが、次のページにありま す適切な医療の確保についての増員命令等を制度化したということに合わせて、制度化 した命令が効力を発揮できるようにという意味でも、今回の省令からは標準という言葉 を取っていただいた方が、今、話がありますように、標準があるお陰で少しぐらい少な くてもいいというふうに取られ、いろいろな命令等も効力が発揮できないのではないか というふうに思いますので、ほかと合わせるではなくて、きちんと標準を取っていただ くような配慮をこの部会としては求めていった方がいいと思います。 ○町野委員  それは、恐らく事務局の方からきちんとした返事があるだろうと思うんですけれど も、法律的に見ますと、この「標準」と「以上」との使い分けというのは今のような意 味ではないだろうと思います。ごらんになればおかわりいただけると思いますが、患者 1人につき4.4平米以上、そして、入院患者16人に対して1人を標準という使い分けで すから、これは基準の意味であることは明らかだろうと思うんです。ただ、やはり法律 がこういう言葉で今まで使ってきているので、一応にそれに従わざるを得ないというの が先ほどの事務局側の意見でごさいまして、そのような了解であるならば私はこれは変 えなくてもいいのではないかという具合に思いますが。 ○高橋部会長  これは、一応、最低の基準という意味での標準という内容でございますね。 ○松本課長  基本的にはそういう考え方です。 ○高橋部会長  ということだったら、いかがでしょうか。 ○吉澤委員  刑法改正とか今の法律の用語は、普通の人が読んでわかるように書くという流れです ので、これは、やはり今まで厚生省が使っていたということではなく、だれが読んでも わかるようにするべきだと思います。というのは、医療現場の方々は皆さん厚生省の人 間ではございませんので、今の町野委員のような厳密な解釈は、やはり学者の方でない とできないと存じます。 ○高橋部会長  わかりました。これは、ちょっと結論が出ないと思いますので。 ○池原委員  基本的には私も吉澤委員の意見に賛成ですけれども、例えばこの標準という言葉を変 えないのであれば、タイトルの方を最低基準というふうには変えられないのでしょう か。「構造等に関する基準の概要」となっていますけれども「構造等に関する最低基準 」とすれば、ここに出ている数値とか広さというのは最低の基準なんだということがタ イトルから明確になるのではないかと思うんですけれども。 ○重藤補佐  今、出ている法律上の用語の話、それについては基本的に最終的な判断は医療法を所 管している課でありますし、それから医療審議会でございますので、今日出た意見につ きましては、私ども持ち帰って担当セクションの方に公衆衛生審議会として基準を決め るに当たってこのような意見が出たということで申し伝えをいたします。医療審議会か ら当方について意見を付託されている部分は、精神病院の設備構造と人員配置の基準を どうするのか、その数値のところを決めて持ってきてくれというのが付託事項でごさい まして、法律の用語ですとかそのようなことにつきましては、専ら所管しております医 療法、それから、医療法を所管している課において判断をいただくべきものと考えてお りますので、議論としてはこのような意見があったということを私ども受け止めまし て、担当する課に申し伝えいたします。 ○今田部長  若干補足申し上げますけれども、医療法本体の議論の中でも、補足分のあれですので 厳密かどうかわかりませんが、最低基準にしたらどうかという議論はあったんですね。 ところが、最低ということにしてしまうと、例えば妊娠をされて産休に入られた方だと か、そういったことを一々法律的に抵触することが日々起こってしまうということな ど、それから、書く方そのものに対して努力をしたけれども、例えば僻地という表現が いいかどうかわかりませんけれども、そういったところからどうしてもある日突然違法 状態になるというようなことでもって、逆に行政が乱用という表現がいいかどうかわか りませんが、そういうような問題に混乱を来すということがあるから、これは標準にし ようと。しかし、それだとずるずるになってしまうということから、では、恒常的にそ ういう状態になっているものについてはペナルティーを掛けましょうということをつけ ることによって、標準にしたというふうに私どもは理解しております。  では、問題は「著しく」の著しいとは一体何なのかと。確かに、今おっしゃるように 1日ではないかもしれないけれども1月かもしれないし、そこをどう運用していくかと いうことは、まさに著しいという解釈を今から指導開始の中で厳しく対応するというこ とをもって、それをどこがいいのかというのはまさに現実、地域によって差はあるもの ですから、そこはまず今から御指摘を踏まえてきちんと決めなければいけないのだろう と思いますけれども、標準を使ってきた経緯というのは、理由はどうかは別として、経 緯というのはそういう実態をある程度配慮できる形で、なおかつ、その裏として安易に それを継続していた場合にペナルティーを加えるという新しい仕組みによって医療法の 本体がそうなってきた。したがって、同じ医療監視をされます保健所で見れば、別に精 神病床も一般病床も同じでありますので、私たちとしても一応同じ言葉を使わざるを得 ない、その理念が精神で特別変わるわけでもありませんので、そこは同じような考え方 で整理をしようと。したがって、こちらでの議論も確かにお伝えしないといかぬのだけ れども、事の整理という意味では、そういう形で医療法本体の方の決着が見られたとい うことを御紹介させていただいて、あとは運用上、今の著しいとは何だ、この問題を今 からきちんとフォローし、見据えていかなければならないということは確かに言えるの だろうと思います。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 ○吉澤委員  先ほど申し上げました看護補助者のことですが、これは医療法の第1条の4の医師と か看護婦等の責務を定めている条文の医療の担い手の中には含まれないということにな るわけですね。というのは、無資格者ですから、医療行為はできない。となると、医療 法でその責任も定められていませんし、この看護補助者をどういう形で縛る法律も他に ないので、秘密の保持の問題、それから、例えば事故が起こった場合の責任の問題、そ ういった場合に法律上極めて患者さんの人権を守りにくい存在ということになってしま います。ですから、私は、その面からも看護補助者というのを医療法に基づく厚生省令 の中に明記すべきではないというふうに考えます。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。その点について何かございますか。 ○重藤補佐  事実関係でございますけれども、療養病床におきましては看護婦が入院患者6人に対 して1人、看護補助者が入院患者6人に対して1人というふうになっておりまして、そ のようなものとして療養病床は運営されるということになっております。したがいまし て、看護補助者ということにつきましては医療法上、施行規則上できちんと人数の定め 等が既にございます。 ○吉澤委員  私の方は、やはり仕事の責任というのは法律なり何なりの資格なり、明文の規定があ って初めて担保されるというふうに理解しているので、今の説明では法律上の責任は出 てこないということと、医療法上は1対6ということで看護婦のことを明記しています から、それと同じ形にするならばここはまた変わってくるだろうと。1対4にして更に どうするという話でしないと合わないと思います。 ○重藤補佐  先ほど申しましたように、医療法の施行規則上、現に療養型病床群としてでも看護補 助者というものの規定を置いて人員の配置基準をつくっております。したがいまして、 看護補助者というものの法的な性格等につきましても、やはりこれは医療法本体のとこ ろの問題であろうかと思います。要するに、医療審議会から公衆衛生審議会に付託され たという事項は、設備構造と人員配置の数値をどうするのかというところでございます ので、そこの基本的な定義ですとか、職種の定義というものにつきましては、そのよう なことが医療審議会から意見としていただいたということで担当課には伝えたいという ふうに思います。 ○高橋部会長  審議会の附帯意見というものを私の方でまとめる予定でおりますが、その中に盛り込 むということで伝えたいと思います。それでよろしゅうございますか。ここで決定でき る事項ではございませんので。そのように御了承いただきたいと思います。  それでは、そろそろ時間ですので。 ○重藤補佐  それともう一点でございます。先ほど2番の1以外の病院の(1)の(1)のところの「入 院患者48人に対し1人を標準とすること」というふうに書きましたのは、精神病床の設 備構造の専門委員会の報告書の2ページの下から4つ目に書いてございます「さらに、 精神病床以外の一般の病床と同等の患者16人に1人の基準を達成するためには、推計に よれば、少なくとも約1万5千人の医師を新たに確保することが必要であり、精神科医 師の年間の増加人数を踏まえると、短期間に患者16人に1人の基準を達成することは難 しいものと考えられる」というところからでございます。年間に医師数が200人増える と。それを16人に1人とするためには1万5,000人が必要ということで割り算しますと約 75年掛かるということで、75年が当分の間に当たるかということはちょっと無理でござ いますので、ここのところで当分の間というのは無理だということで、本則のところで この専門委員会の報告書を受けて私ども書かせていただいたところでございます。 ○町野委員  75年の間と書くわけにはいかないから当分の間と書いたと。 ○重藤補佐  当分の間と書けないだろうと。 ○町野委員  だから、やはりそれが問題だろうと思うんです。75年待たなければいけないと。やは りもうちょっと早めるという意識を持つべきなので、その趣旨を出すためには、やはり これは書くべきだろうと私は思いますけれども。 ○今田部長  町野先生の御指摘もそれなりに一理あると思いますが、2つあります。1つは、一般 の病床でもいわゆる一般病床と療養病床とあって、これから精神病床の類型化を考える 上で、すべてが16対1であるべきかどうかという議論が実は定かでないというのが1 点。要するに、すべてが16対1でいいというコンセンサスが実はないという議論だった と私たちは理解をして16を使っていない。しかし、ずっとすべてが48でいいというわけ でもないというのは今おっしゃったように、皆さんもそう思っていらっしゃる。そこ で、今後の施設類型の在り方についてもう少し議論を進めれば、あるものはもしかした ら16対1以上かもしれないし、あるものは32対1かもしれない、そういうことの議論が 何もなされない形で、先に16ありきという形で書くのもいささか議論の積上げがないと いう意味で今回は避けさせていただいたというふうに私は理解しています。 ○北川委員  実態というものは必ずしも理想とは一致をしていないということがあると。医療とい うのは、まさにその一番最たるものではないかと思います。そうすると、数字が先にあ るのではなくて、やはり現実が先にあって、その中で非常に進んだところと遅れたとこ ろとあって、言葉はよくないかもしれませんけれども護送船団みたいな格好で、ある標 準の日本の医療というものが進んでいくのではないか。こう考えると、法律なり制度な りというのは、さっき標準か最低かという話がありましたけれども、現実と理想との間 の中間くらいのところをとらえながら進んでいくんだろうなと思うんです。そのどちら に偏っていっても実際には大きなフリクションが生じていくわけでありますから、制度 というものはそんなにきれいな格好ではいかない点があるのではないかというように思 うわけであります。これだけ大勢の方がおりまして、恐らくいろいろな御意見、いろい ろなイメージを持っておられると思うんですけれども、その辺の集約をされた形で吉川 委員会が答えを出しておられるのだろうと思いますので、そういう点から考えていく と、昭和30年代の数字がかなりここまで上がっているということを考え、これは、こん なことかという考え方と、ここまでいったかというきっと御意見が2つあると思うんで すけれども、次の21世紀がいよいよ始まる段階で一歩前進というとらえ方もあるのかな というように思います。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。  簡潔にお願いします。 ○大熊委員  度々済みません。ほかの課が、ほかのところが標準というのを使っているとしても、 精神医療というのは非常にほかと違う面があると思うんです。今日ここに配られており ます朝倉病院の例を見ますと、部屋にいる全部のお年寄りを縛っている。御飯を口から どんどん食べられる方にIVHという感染に対して非常に危険なものをすると。それ が、5年も放置されているというのは、普通の一般病院ではあり得ないことだと思うん です。内科の病院で全員を縛っているという、それだけやはり我々の審議会というのは ほかがどうだからというふうに合わせるのではなくて、患者さんのことを思った基準と いうのをつくる必要があって、そのためにはやはり標準というあいまいなやり方ではな く、ただ、もし標準だとしても、ほかだったら患者さんが逃げ出すので、それでフィー ドバックがききますけれども、朝倉病院の例のように、逃げ出すことができずに死んで いった方がおられるわけですので「以上」という言葉を使い、先ほど吉澤先生は16対1 にすべきというふうにおっしゃったのを妥協して48という数字を使うとすれば「当分の 間」という言葉を是非とも入れるべきだというふうに思います。併せて、今回の精神保 健福祉の部会はこれで最後で解散してしまうわけですので、最近起こりました朝倉病院 のことについて事務局がどのような調査をなさり、また、ここにいらっしゃる法律関係 の委員の方々がどういう御見解を持っていらっしゃるかを伺いたいというふうに思いま す。 ○高橋部会長  よろしいですか。では、簡単にお願いします。 ○松本課長  朝倉病院のことで簡単に御報告申し上げます。この病院につきましては、今年の4月 に病院関係者から埼玉県の方に架空請求が行われているという報告がありまして、埼玉 県あるいは市県の社会保険事務局長が8月末に個別指導を行っていると。そのときに、 患者に対する身体拘束等の証言が見られましたので、県の傷害保険福祉課の方が精神保 健福祉に基づく指導監査を11月24日に行うということで通知をしておったわけです。 11月1日に県の医療整備課の方が医療監視の方に入りまして、そのときまだ若干、身体 拘束等が見られたということもごさいまして、そういう報告を聞いたものですから、ま だかつ、常勤の精神保健指定医が不在だったということにもかからわず、身体拘束を行 っている疑いがありましたために、厚生省といたしましては埼玉県の方に立入り検査を 行うようにということで依頼したわけです。 11月10日に県が通告なしで立入り検査を行い、精神保健指定医の指示のない身体拘束等 やあるいは部屋に錠が掛かるというようなことが認められましたために、11月22日付け で改善命令を発しております。12月1日までということで報告を求めておりまして、そ の報告につきましては改善命令に従ったことで改善いたしますということで報告が来て おります。 12月7日に埼玉県の方で事後指導ということで入っておりますけれども、一応、改善命 令等に従ったことが行われておるということですが、まだ細かいことにつきましてはこ の病院についてはよく見ていくようにということで、埼玉県も考えているようでござい ますし、厚生省としてもそのように取り扱っていきたいと思っております。 ○重藤補佐  それと、先ほど大熊先生のことで、要するに当面の間というところとこの表記の表現 ぶりでございますけれども、やはり事務局といたしましては75年というものを予測され ることで当面の間というところの表記というのはなかなか難しいのではないかと。それ は、今後いろいろ機能分化をする中で5年後のところでどうするのかと、5年後までの 間にいろいろ報告書にありますように今後の提言を踏まえて検討されるべき事項ですの で、単純に今のままを延長していったところしかない今の段階で75年を当面というのは 事務局としては難しかろうということ。 それから、文言につきましては、やはり私どもの公衆衛生審議会で結論を出すという問 題ではございませんので、そこは担当課の方にお伝え申し上げたいというふうに考えて おります。 ○高橋部会長  今の事務局からの発言もありましたように、医療審議会の方からはある程度数の具体 的なものを求められておりますので、やはりそこが一番のポイントかと思いますが、そ れに関しては、ほぼ大筋の合意が得られたのではないかと私は思います。 まだまだ御意見はおありかとは思いますけれども、もう残された時間が少のうございま すので、この辺でまとめさせていただきたいと思いますが。 ○伊藤委員  一言だけ。今、朝倉病院の問題が出ましたけれども、今度の法改正で改善命令ばかり ではなく、これは精神保健福祉法の38条の7でしょうか、その中で医療の提供の全部あ るいは一部を制限することができるという法律が新たに入ったわけですね。私は、この 朝倉病院の実態を放映したテレビ朝日を見ましたけれども、改善命令などという問題を 超えた悲惨な状況なわけですね。これは、よほど悪いことをしていれば、やはり不正請 求の方で、お金の方であるいは廃院になるかもしれませんが、人権の問題から医療の提 供の一部を停止させるとか、あるいは全部を停止させるということが精神保健福祉法の 方でこういう病院を廃止ができなければ、情けないといいましょうか、何のための精神 保健福祉法改正だったのかなと感じられるぐらい悲惨な状況でした。テレビですから、 ちょっと生々し過ぎるぐらいに私に印象を与えたのかもしれませんけれども、どれを取 ってもとても改善命令のレベルの病院ではないと私は思いました。確か抜き打ちの検査 ということで行ったけれども、そのときは拘束が1人しかいないということだったんで しょうが、あのテレビを見ますと同じ部屋の中で、10人以上だったと思いますけれど も、ずらっと並べて拘束しているわけですね。しかも、指定医が1人そのときはまだい たのかもしれません。これは、法律をせっかく変えたのですからきちんとやっていただ かないと、精神病院がこんな病院で許されるというふうに思われると本当に困るんです ね。あのテレビが全国に放映されて、しかも、それがまた医療が続くと。そうします と、私どもも精神病院というのはあれだけのことをやっても、まだ普通に経営できるん だねとか、運営して許されるんだねというふうには思われますと耐えられない。そうい うことで、この件についてはもう少しきちんと調査をしていただいて、同じ医療をする 立場から言いますと、不正にお金を稼いだからという問題ではなく、別な対応もすべき ではないかというふうに感じました。テレビですから、実態をきちんと反映しているか どうかという問題はまた別ですけれども、是非そういうことでよろしくお願いします。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。 ○松本課長  放映されたときの画像が10月の中旬ぐらいと聞いております。医療監視に入ったのが 11月1日で、その後11月10日に精神保健福祉法に基づく抜き打ち的な監視で入っており ます。その後の改善命令を受けて、12月7日の部分も手薄というわけではありませんけ れども、夕方抜き打ちで入っております。一応、改善命令をきちんと掛けて、それをち ゃんと遵守しているかどうかということについてはきちんと経過を見ていきたいと思い ます。それで、守られないようであれば、伊藤委員の御発言にあるように厳しく対処し たいと考えております。 ○田中補佐  補足させていただきます。改善命令等につきましては、改善命令や廃院命令等があっ て、それが遵守されなくて初めて入院医療の提供の全部または一部の制限命令というの を掛けることができるというふうになっておりますので、あくまでも改善命令等が前置 の形になっております。ですから、いきなり制限命令というふうには現在の法律ではな っておりません。でございますので、今、課長の方からも申し上げましたように、埼玉 県が行った改善命令に対して遵守がなされないということがあれば、埼玉県の方でしか るべく判断をして、次の段階に移っていくのではなかろうかと、このように思っていま す。 ○津久江委員  済みません、大変精神病院の風上にも置けないような病院でごさいまして、幸い会員 病院ではございませんけれども、日精協の会長名で何らかの可及的早い時期に声明文を 出すということで対応しております。 ○高橋部会長  予定の時間も過ぎておりますので。 ○大熊委員  今、北川先生が議論を切ってしまって、切ってしまってというふうに高橋部会長に言 っておられるのですけれども、これで最後でございますので池原さんが手を挙げていら っしゃるのをお聞きください。 ○高橋部会長  わかりました。どうぞ。 ○池原委員  3つだけ申し上げたいんですけれども、まず、1つは、先ほど来出ています48対1の 部分で当面という用語をどうするかという議論ですが、先ほど部長の方から16人に1人 ということについては必ずしもまだコンセンサスができていなくて、それを標準として 示していくということは現状ではちょっと無理であるというお話で、私もそれ自体は否 定しないわけです。専門委員会の議論の中で十分なコンセンサスは確かにできていなか ったかもしれません。ただ、町野先生の方から御提案があったのは、当分の間48対1を 標準にするという表現であって、16対1という言葉がそこに出てくるわけではないの で、逆に言うと、また48対1というのもコンセンサスを得ている数字ではありませんか ら、当分の間48対1とするという表現の方が、むしろ専門委員会の方針には合っている のではないかというのが1点です。 それから、朝倉病院の問題については、2つほどちょっと疑問に思っていることがあり まして、1つは、聞くところによると入院形態が任意入院であったというふうに、そう いう方が非常に多くて、それを身体拘束をされていたと。それから、その身体拘束につ いては当然、厚生省の通達でカルテ等にその理由を記載する、あるいは本人にもその理 由を可能な限り速やかに告知するというようなことが定められているはずで、かつ、そ れは指定医が決定をしなければいけないということになっているんですが、そういうこ とが一切どうも守られていなかったようであるので、その辺のことについて今後も十分 にカルテ等をお調べになって調査をしていただきたいと思います。 それから、最後の点は、実はこの件、つまり常にこういうものが後追いになって被害が 発生してからどうしようかということになってくると。確かに、精神保健福祉法上は通 常患者さんの側からの退院請求とか処遇改善請求ができることになっていて、これが十 分に機能していれば、ある意味では事前にあるいはここまで深刻な事態になる前に状況 が改善されたのでしょうけれども、どうもこういう拘束をされているとか、あるいは患 者さんの判断能力が非常に低下しているような、むしろ強制入院の前提はそういう状態 でしょうから、そういうときに精神保健福祉法のシステムがこういう事態を事前に予防 するという形では、どうもうまく機能していないなということがこの事件からわかるよ うに思うんです。ですから、今後の精神保健福祉法の改善の際には、事後的な処置のこ ういう取り消しとか観察ということも勿論必要なんですけれども、事前にこういうこと が起こりそうなときに適切に防げるようなシステムというのを今後考えていく必要があ るのではないかということです。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。精神医療にかかわる全般的な大きな問題を提示され ましたけれども、この問題に関しては、本当にこれから真剣に取り組んでいかなければ ならない問題だと思います。 それでは、まだまだ御議論がおありかと思いますけれども、大幅に時間も過ぎてしまい ましたので、この辺でまとめさせていただきたいと思います。日程的に非常に差し迫っ ているという事情がございます。1月6日に行政改革によって厚生省は厚生労働省にな りますが、それに伴いまして、この公衆衛生審議会、医療審議会ともに廃止になるわけ でございます。ということもありまして、具体的には本日この厚生省令のたたき台につ きまして、部会としての大筋の合意をいただきたいということであります。もし、それ ができませんと、現在の特例の水準がそのままに残ってしまって、何の前進もないとい うことになってしまいます。それだけは何とか避けたいということでございます。ここ で一歩でも二歩でも前進して水準を高めていきたいという意味で、皆さんに御了解いた だきたいと思いますけれども、ここで改めて部会長として委員の先生方に次の2点を提 案させていただきます。1つは、ここに示されました厚生省が作成した厚生省令のたた き台については、部会としておおむね基本的には御了承いただくことが1点。 それから、もう一点は、その上で本日各委員の方々からいただきました御意見を部会長 として預からせていただいて、部会としてのたたき台を了承するに当たって附帯意見を つくりまして、いろいろな問題が出てまいりましたけれども、そういった問題について 意見を取りまとめて厚生省に提出するということで御了解いただければありがたいと思 いますけれども、いかがでございましょうか。 (「異議なし」との声あり) ○高橋部会長  それでは、御了解いただいたということで、この文案につきましても部会長に御一任 いただきたいと思います。どうもありがとうございました。 今後の予定でございますけれども、作成した公衆衛生審議会の報告書と厚生省が作成し た厚生省令のたたき台を12月13日の開催予定であります医療審議会に報告したいと思い ます。 先ほど申し上げましたが、1月になりますとこの部会も廃止になりますので、今回が最 後の部会でございます。そこで、一言この場をお借りして、部会長から御礼を申し上げ たいと思います。委員の先生方には本当に積極的な御意見を賜り、この会の運営に御協 力をいただいたことを感謝いたします。本部会では、最近は精神保健福祉法の改正であ るとかあるいは不適切な医療への対応であるとか、また、今回のような医療法改正に関 係した多くの重要な課題、ちょっと荷の重い課題でもありましたけれども、そういう課 題に積極的に御発言いただいて、その御意見が今後の日本の精神医療、保健福祉を進め る上で非常に有意義な御意見であることを確信しております。私も微力でしたが、一応 ひとまず役目を終えさせていただきました。これも委員の先生方の御助力の賜物と感謝 申し上げます。本当にありがとうございました。 それでは、事務局の方から何かございますか。 ○今田部長  今、部会長からごあいさつをいただきましたけれども、まず1つは、本日御審議いた だきました内容につきまして、これからの多くの課題を御指摘いただきながら言わば第 一歩ということで御議論をまとめていただきましたが、私どもといたしましては本当に これを第一歩ということで、21世紀これを一つのスタート台ということで、今日いろい ろと御指摘をいただきました点を一つ一つ吟味しながら前向きに努力をさせていただき たいということを思います。本当に私ども聞いていて胸を刺されるような御指摘も多々 ございましたし、時には勇気を出すようにという御指摘もございました。本当に私たち の行政に対して深い理解をいただいてこれまで御審議をいただいたことを重ねて感謝を 申し上げたいと思います。 それから、今ございましたように、来年の1月6日から新しく厚生労働省ということに なりまして、基本的にはすべての審議会が廃止になります。ただ、社会保障審議会とい うものを改めて今度厚生労働省に設けることになります。また、その内容について詳細 は定まっておりません。特に、法律で審議会の意見を聞かなければならないという事項 については基本的に残されるわけでありますが、従来の精神保健福祉法の中での部分と いうのは非常に小さくなっております。したがって、結果においてこれからの施策をど う進めるかというときの意見を聞く場がなくなるのではないかという御指摘が必ずある だろうというふうに私ども思いますし、我々も我々だけでできるとも思っておりませ ん。したがって、この社会保障審議会の中でどういった審議の場を設けることができる のか、更には、それはそれとして皆さん方あるいは精神保健に掛かるさまざまな意見を くみ取る仕組みというものを今後考えておく必要があるだろうというふうに私ども思っ ております。特に、この障害保険福祉部ができて5年目になるわけですけれども、知的 障害、身体障害、精神障害全般に掛かるさまざまな問題をこれから解決していかなけれ ばならないという観点から、何らかの審議できる場所の確保はしていきたいし、まして や、これからいろいろ指摘いただいた施策を実現するためにも、皆さん方の意見を引き 続いてお聞きしなければならないという気持ちでございます。今日で終わりということ でもありますが、また21世紀に向けては改めて皆さん方の御意見を是非聞かせていただ いて、これからの精神保健福祉行政の発展のためにお知恵をいただければということを 併せてお願いを申し上げたいと思います。 昭和53年に精神衛生審議会から精神保健福祉部会へと衣がえをいたしまして、何か手元 に事務局が言っておりますのは32件の答申をいただいたということのようであります。 本当にこれまでの当部会に掛けられます皆さん方の御努力に対して重ねてお礼を申し上 げますとともに、先ほど申し上げましたように、これからが実は大変正念場という部分 もございますので、引き続き皆さん方の御支援をいただきますようお願いを申し上げま して、簡単ではございますけれども、お礼の言葉に代えさせていただきます。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○高橋部会長  どうもありがとうございました。  それでは、これで公衆衛生審議会の精神保健福祉部会を閉めさせていただきます。ど うもありがとうございました。 −了− 照会先  社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課 泉 内線3056