00/12/11 年金審議会全員懇談会議事録              年金審議会全員懇談会議事録 日時 平成12年12月11日(月) 17:00〜17:58 場所 東海大学校友会館 阿蘇の間  1 開会の辞  2 委員出席状況報告  3 議事   ・平成12年中に諮問答申・報告を行った案件について 1 平成12年年金制度改正法、及び平成12年度における国民年金法による年金の 額等の改定の特例に関する法律の国会審議経過について 2 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王 国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律の国会審 議経過について 3 確定拠出年金法案の現在の状況について   ・年金制度に係る現在の検討状況について    1 公的年金制度の一元化に関する検討状況について    2 女性と年金に関する検討状況について 3 公的年金積立金の自主運用基本方針の検討状況について   ・年金審議会の廃止について 4  閉会の辞 〔出席委員〕 京極会長 岡崎委員  木原委員  国広委員 久保田委員 神代委員  坂巻委員 都村委員  富田委員  目黒委員 森委員  山田委員  山根委員 吉原委員  渡邊委員  船後委員 ○会長 本日は、全員懇談会ではありますが、記者クラブの方から、冒頭にカメラ撮りをした いという申し出がございましたので、議事に入るまでの間、これを許可したいと思いま す。よろしゅうございますか。 (カメラ撮り) (報道関係者退場) ○ 会長  本日は、御多忙中のところお集まりいただきありがとうございます。  ただいまより年金審議会全員懇談会を開催いたします。 まず、ことしの7月7日付で、砂子田隆委員の後任として、地方公務員共済組合連合会 理事長の森繁一さんが新たに委員に任命されましたので御紹介申し上げます。 ○ 会長 次に委員の出席状況について、事務局から御報告をお願いします。 ○ 事務局  本日は高山委員、福岡委員、桝本委員、宗岡委員、貝塚委員が御欠席で、その他の委 員は御出席でございます。なお、吉原委員につきましては、少しおくれて御出席とのこ とで承っております。  なお、事務局側では、年金局長が少しおくれて出席ということでございます。 以上でございます。 ○ 会長 議事に入ります前に、前回の年金審議会以降に、厚生省幹部の人事異動がございました ので、御紹介をお願いいたします。 ○ 事務局  前回、年金審議会以降、厚生省、社会保険庁に幹部の異動がございましたので、順に 御紹介をいたしたいと思います。  薄井社会保険庁運営部企画課長でございます。  石井年金局運用指導課長でございます。  大越社会保険庁運営部年金保険課国民年金事業室長でございます。  上村社会保険庁運営部年金保険課年金調整室長でございます。  中原大臣官房企画官(年金局担当)でございます。  池永年金局企画課国際年金企画室長でございます。  河野社会保険業務センター情報管理部長でございます。 以上でございます。 ○ 会長  それでは、議事に入りたいと存じます。  本日は、まず、平成12年中に本審議会において、諮問を受け答申を行った案件、及び 報告を受けた案件などにつきまして、その後の経過について事務局から報告を受け、議 論を行いたいと存じます。 それでは、事務局から、報告をお願いします。 ○ 事務局  それでは、私の方から、平成12年中に諮問・答申あるいは報告を行った案件につきま して御説明させていただきまして、続けて担当課長の方から、現在年金制度にかかわり ます諸々の検討が行われておりますので、これにつきまして御説明をさせていただきた いと思います。  まず、平成12年年金制度改正法及び、平成12年度における国民年金法による年金の額 等の改定の特例に関する法律の関係でございますが、国会審議の経過等について、御報 告を申し上げたいと思います。  平成12年年金制度改正法につきましては、本年1月28日にその時点までの間の状況を 御報告をさせていただいているところでございます。資料1の1ページをご覧をいただ きたいと思います。  前回、御報告申し上げたとおりでございますけれども、当初この法案につきましては、 平成11年7月27日でございますが、第145回通常国会に提出をされたわけでございます。 8月13日に通常国会の閉会に伴いまして継続審査になりました。  同年、平成11年の秋の第146回の臨時国会におきまして、まず衆議院で審議が行われま して、12月7日に衆議院の本会議で可決をされ、参議院に送付されました。  しかしながら、12月15日、この臨時国会の閉会に伴いまして、再び継続審査になった わけでございます。  翌平成12年、今年に入ってからでございますけれども、第147 回通常国会におきまし ては、参議院において審議がなされたわけでございますけれども、3月22日に本会議に おいて、若干の技術的な修正のうえで可決の後、再び衆議院に回付をされまして、3月28 日に本会議で可決をされ、成立をいたしたわけでございます。  いろいろな項目があるわけでございますけれども、実施期日等につきましては、2ペー ジに掲げてあるとおりでございます。  次に、平成12年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律、 いわゆる物価スライド特例法でございますけれども、本件につきましては、当審議会か ら、本年の1月28日に御答申を頂戴をいたしておるところでございます。この法律の審 議経過につきましては、資料の3ページでございますけれども、本年の2月10日に国会 に提出され、衆議院におきましては、3月24日に、厚生委員会及び本会議で可決をされ、 参議院におきましては、3月31日でございますが、国民福祉委員会及び本会議において 可決をされ、成立をしたところでございまして、翌、本年の4月1日から施行・実施を されているところでございます。  さて、こういうことで、平成12年度につきましては、本来のルールで申し上げれば、 物価がマイナスになったということで、年金額が引き下がるということであったわけで すが、特例法案を出して、額を引き下げないという措置をとったところでございますが、 実は私ども、来年度どうするかということで、現在検討をいたしておるところでござい ます。  と申しますのは、本年の1月から10月の消費者物価指数でございますけれども、対前 年比で0.7 %のマイナスになっておるという状況でございます。申し上げましたように、 対応を私どもとしては検討をいたしておるところでございます。最後の審議会で、かつ 資料もなく大変恐縮な話でございますけれども、後ほどこの関係の説明をさせていただ いた後、御意見をいただく場もございますので、もし差し支えなければ、この場で御意 見を賜ればということで考えておるところでございます。  次に、社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国 との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律、いわゆる日英社会 保障協定実施特例法の関係でございます。  この件につきましては、本年3月3日に御答申を頂戴をいたしているところでござい ます。この関係につきましては、資料の4ページをご覧をいただきたいという具合に思 っております。   1、 2と分けてございますが、 1の方は協定、条約本体についての、国会における審 議の経過でございます。 2の実施特例法でございますけれども、3月21日に国会に提出 をされておりますけれども、これは参議院先議ということで審議がなされまして、4月21 日に、参議院本会議で可決をされました。その後、衆議院で審議が行われ、5月16日に 可決をされまして、法律として成立をいたしております。  施行・実施につきましては、法律の附則で、社会保障協定の発効日という具合になっ ておるところでございますが、いま少し具体的に申し上げますと、来年、平成13年2月 1日を施行日・実施日とするという方向で準備を進めているところでございます。  私の説明の最後でございますが、確定拠出年金法案の現在の状況等につきまして、御 報告を申し上げたいと思います。本件につきましては、本年2月15日に、私ども事務局 の方では御報告をさせていただき、また御意見も頂戴をいたしておるところでございま す。経過につきましては、資料の5ページでございますけれども、本年3月10日に国会 に提出をされたわけでございますけれども、審議が行われないまま、6月2日に衆議院 が解散ということになりまして、これに伴いまして、ほかの法案もそうでございますが、 廃案になったわけでございます。  その後、11月14日、第150 臨時国会に再提出をいたしました。11月28日に衆議院本会 議におきまして、趣旨説明、質疑、厚生委員会への付託がなされたところでございます。  12月1日にこの臨時国会が閉会になったわけでございますが、継続審議という具合に なったところでございます。次期通常国会での成立を期したいという具合に考えている ところでございます。 私の方からは、以上でございます。 ○ 会長  どうもありがとうございました。 次に、「年金制度に係る現在の検討状況について」ということで、公的年金制度の一元 化に関する検討状況について、また、女性と年金に関する検討状況について、第3に、 公的年金積立金の自主運用基本方針の検討状況について、この3点につきまして、事務 局から説明をお願いいたします。 ○ 事務局  御説明をさせていただきます。  まず、お手元の資料2でございますが、このうち、私からは、「公的年金制度の一元 化に関する検討状況について」及び、6ページからの「女性と年金に関する検討状況に ついて」、この2つの資料につきまして、御説明をさせていただきます。  まず「公的年金制度の一元化に関する検討状況について」でございますが、御承知の ように、我が国の公的年金制度は、2階建ての構造となっており、この2階部分につい て厚生年金等の被用者年金制度、1階部分については、共通の基礎年金というふうにな っております。  この被用者年金制度につきましては、5つの制度に分立をしております。厚生年金を はじめといたしまして、国家公務員を対象とする国家公務員共済組合、地方公務員を対 象とする地方公務員共済組合、私立学校の教職員等を対象とする私立学校教職員共済、 農協、漁協、森林組合、農林中金等の職員を対象とする農林漁業団体職員共済組合、こ の5つでございます。  そこで、被用者年金制度の再編成に向けたこれまでの動きでございますけれども、平 成6年に「公的年金制度に関する関係閣僚会議」が設けられまして、その下で「公的年 金制度の一元化に関する懇談会」が設置をされたところであり、同懇談会におきまして は、平成7年7月に意見書が提出されているところでございます。  これを受けた平成8年3月の閣議決定「公的年金制度の再編成の推進について」にお きましては、「被用者年金制度の再編成については、財政単位の拡大及び共通部分につ いての費用の平準化を図ることを基本として行う。被用者年金制度が、今後21世紀にか けて成熟化する段階において、漸進的な対応を進め、統一的な枠組みの形成を目指す」 とされたところでございます。  そして、再編成の第1段階といたしまして、平成9年4月に、既に民営化・株式会社 化されておりました旧公共企業体共済(JR、JT、NTT)につきまして、厚生年金 への統合が実現したところでございます。  また、平成8年の閣議決定におきましては、各共済組合についても、財政再計算時ご とに、将来の財政見通し等について分析し、検討を行うものとされたところでございま す。  次のページでございますが、公的年金制度の一元化の懇談会でございますが、今般、 財政再計算が行われましたこと、それから、農林共済年金が、厚生年金への統合を希望 していることなどから、本年の5月26日に「公的年金制度に関する関係閣僚会議」を開 催の上、学識経験者、各制度の関係者からなる「公的年金制度の一元化に関する懇談会」 を6月21日に再開をしたところでございます。  構成員の名簿につきましては、5ページに掲げているところでございます。後程ご覧 いただければと存じます。  この一元化懇談会における課題についてでございますが、農林共済年金の統合につき ましては、懇談会において、厚生年金、他の共済組合の関係者間の合意形成を図る必要 があるということがあります。それから、農林共済の統合だけでなく、私学共済の位置 付けや、国共済、地共済の2つの公務員共済制度の在り方など、被用者年金制度全体の 在り方についての方向付けが必要であり、関係者の意見の集約を図る必要があるものと されたところでございます。  そこでこの懇談会の検討状況でございますが、6月21日の再開以降、検討を重ねてま いりまして、12月6日の第7回の会合までの状況といたしまして、1つには、国共済、 地共済、私学共済の3共済については、今後、財政調整等も含め、将来の一元化に向け て検討する方向で合意がなされたところでございます。  すなわち、被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために、1、2階部分につ いて財政調整等も含めて、さらなる財政単位の拡大と被用者負担の平準化のための方策 について検討をする方向で大筋合意が得られているところでございます。なお、この検 討の時期など、細部につきましては、最終的に意見書が取りまとめられる段階で整理を 図っていくということにされているところでございます。  2点目でございますが、農林共済年金の統合問題につきましては、旧公企体3共済の 厚生年金への統合時についての枠組みなどについて検討を重ねました上で、前回、11月 28日の懇談会で審議入りをいたしまして、統合条件、例えば移換積立金、世代間扶養部 分、統合後の保険料の取扱いなどについて議論が行われているところでございます。  引き続き取りまとめに向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。  以上が、一元化関係の御説明でございますが、次に、「女性と年金に関する検討状況」 につきまして、資料の6ページ以下により御説明をさせていただきます。  これまでの経緯でございますが、女性と年金の問題につきましては、女性の社会進出 や人生設計の多様化、家族や就業形態の変化を踏まえて、制度全体にわたる検討が必要 な状況となっております。具体的には、第3号被保険者制度、遺族年金や離婚の場合の 取扱い、年金制度の個人単位化などが指摘されているところでございます。  この問題につきましては、年金審議会におかれましてさまざまな議論が交わされてき たところでございますが、単に年金制度の分野だけにとどまらず、関連する諸制度も含 めて幅広く検討する必要がありましたことから、年金審議会の意見書におきまして、 「専門家からなる検討の場を設け、早急に検討に着手すべき」とされたところでござい ます。  これを受けまして、本年7月、厚生大臣のもとに、民事法制、税制、社会保障、年金 数理など各分野の専門家からなる検討会「女性のライフスタイルの変化等に対応した年 金の在り方に関する検討会」を設置をしたところでございます。  委員の名簿は7ページに掲げているところでございますので、後程ご覧いただければ と思います。  この検討会の検討項目でございますが、主な検討項目といたしまして、総論(ライフ スタイルの多様化、個人単位化の必要性など)、主婦の年金の在り方について、パート タイム労働者の年金問題、離婚時の取扱いや遺族年金問題、その他の問題があり、これ らについて御検討をお願いしたいということでございます。  この検討会のスケジュールでございますが、本年7月19日に第1回会合を開催いたし ましてから、現在までに3回にわたり開催をしているところでございますが、今後、さ らに1〜2カ月ごとに1回程度開催をして、平成13年末を目途に取りまとめを行ってい ただく予定としているところでございます。 私の方からの説明は、以上でございます。 ○ 事務局  私からは、「年金積立金の運用の基本方針に関する検討会」について御説明させてい ただきます。8ページをご覧ください。  現在、年金積立金 144兆円ありますけれども、資金運用部に預託されております。 年金制度改革と財投改革によりまして平成13年4月から自主運用が始まることになって おるわけでございます。そして、この自主運用に当たりまして、厚生労働大臣は、あら かじめ基本ポートフォリオを含みます「運用の基本方針」を策定することとされておる わけでございます。  この基本方針につきましては、法律上、厚生労働大臣が審議会の意見を聞いて定める とされているわけでございますけれども、その審議会は、来年省庁再編に伴いまして発 足するというふうにされておりますところで、基本方針に定めることとされている事項 の方でございますけれども、2.の「主な検討事項」にもございますが、項目数も細か く考えますと多いと。また、内容もなかなか複雑で専門的な検討が必要なものも少なく ない。時間がかかるというふうに考えられましたことから、厚生大臣の主催する検討会 というものを開催しまして、あらかじめ検討を進めるということにさせていただいたわ けでございます。  なお、省庁再編に伴いまして、来年1月に社会保障審議会が発足して、そこに「年金 資金運用分科会」というものが設置されることになっております。運用の基本方針につ きましては、この検討会の結論が、今月22日に取りまとめられる予定でございますけれ ども、これを受けまして、事務局の方で案を作成し、年が明けて、今度新たに立ち上が る審議会の分科会の方に諮問を申し上げまして、その後、策定方針を決めるというふう な運びで進めたいというふうに考えておるわけでございます。  検討会における検討の中身でございますが、あらましを御説明申し上げますと、まず 1点目は、運用の基本的な考え方、運用の目的などといった積立金の運用の基本的方向、 基本的観点からの資産構成を定める基本ポートフォリオの策定など、年金資金運用基金 が年金資産の管理、運用上遵守すべき事項、あるいは評価に関する事項などを検討して きております。また、その他積立金の運用に関する重要事項といたしまして、資金運用 部に預託しております、先ほど申し上げた積立金、これは来年度から7年かけて年平均 およそ20兆円前後償還されてくるわけでございますが、この期間のポートフォリオの在 り方でありますとか、やはりこの間でありますけれども、財投改革への協力ということ で、資金繰り面への協力として行います財投債の引受け、あるいはそうやって引き受け たものについての運用評価の在り方、そういうような重要な検討事項ということで検討 しているわけでございます。  検討会のメンバーは、次のページにございますような、11名の方々でございまして、 若杉教授に座長を引き受けていただいているわけでございます。  最後に、検討状況でございますけれども、11ページをご覧いただきたいわけでござい ますが、9月5日に、第1回の検討会が立ち上がって以来、検討会自体といたしまして は、これまで4回開催しております。  それから、専門的・技術的な検討も必要であるということで、下部組織として専門部 会というのが設けられておりますが、こちらの方も7回、これまで開催されております。  そういうことで、精力的に検討が進んできておりまして、あとは今月22日の第5回の 検討会におきまして、これまでの検討の取りまとめを行うという予定を残すところまで きているわけでございます。 私の方からは、以上でございます。 ○ 会長  どうもありがとうございました。 ただいま、承りました御説明につきまして、御意見、御質問などございましたら、どな たからでも御自由にお願いいたします。どなたかございませんですか。 ○ A委員  最後にありました、積立金の運用ですが、基本ポートフォリオについての議論という のは、概略どんなことになっておるのでしょうか。 ○ 事務局  基本ポートフォリオに関する検討というのは、大きく2つに分かれます。1つは、基 本ポートフォリオそのものをどのような手順でつくるかという部分でございます。これ につきましては、平成10年でございますけれども、やはり若杉教授が座長となった「年 金積立金の運用の基本方針に関する研究会」というのがございまして、そこで策定の手 順というものを半年間かけて固めています。そこで固められました方法論、これを再度 確認するというのが1つございます。  それから、もう一つ、そういう策定の方法を用いて、今度は具体的な基本ポートフォ リオの案づくりをする部分がございます。こちらもいろいろ意見が、プロセスにおいて は出ているわけでございますが、基本的には、公的年金の積立金という、いわば運用を 市場で行う場合に、想定されます上下動の変動、このうち下方変動部分というものを極 力抑える形で、ポートフォリオづくりを行うことが必要なのではないかということを中 心とした議論がなされております。  回数的には、専門部会7回開かれておりますが、そのうちの5回は基本ポートフォリ オに関する議論が行われております。そこでの結果というのが検討会本体の方に上げら れておりまして、こちらの方で2回検討していると、こんなような状況になっているわ けでございます。 基本ポートフォリオについては、そのようなことでございます。 ○ B委員  女性と年金に関する検討状況についての御報告に関してお伺いしますが、こちらにご ざいます検討項目の中の1つは、主婦の年金の在り方、もう一つ、パートタイマー労働 者の年金問題、この「主婦」という言葉と、パートタイム労働者の定義、どういうふう な定義で話し合いがされているかということをお伺いしたいと思います。 もう一つは、これまで3回開催されたとのことですが、これまでの検討の経過、そして、 今どういうところに話がいっているかというふうなことをお伺いできれば幸いです。 ○ 事務局  お答えをいたします。主婦あるいはパートタイム労働者について、厳密な定義を設け て議論しているということでは必ずしもございません。いずれ議論を深めていく中で、 そういった作業も必要になってくるかと思います。特にパートタイム労働者につきまし ては、法律上、あるいは統計調査上、多様な定義があるわけでございますが、特に、例 えば通常の労働者より勤務時間が短いとか、あるいは名称としてパートタイム労働者と して呼ばれているとかということに限定した議論ではなく、まずはいわゆるパートタイ ム労働者について幅広く議論していただいた上で、問題意識に沿って、主婦なりパート タイム労働者について、必要に応じ厳密な定義付けといった作業をしていくことになろ うかと思います。  それから、開催状況、これまで3回ということでございますが、必ずしも年金制度そ のものの専門家の方ばかりで構成されているわけではございませんで、例えば税制とか 民事法制の専門家、あるいは主婦を代表する方、いろいろ多様な方に参加していただい ているということがございますので、まずは、これら各検討項目につきまして、先般、 年金審議会において御議論いただいた際の資料、あるいは最新の統計資料等を御用意い たしまして、まず、状況の御説明なり検討を行っていただいているというふうなことで ございます。  本格的な議論につきましては、今後になろうかと思っておりますが、当面、次回以降、 この問題について、専門家、有識者の方からのヒアリング等についても行ってまいりた いと考えており、議論を重ねた上で、13年中に意見書を取りまとめてまいりたいと考え ているところでございます。 以上でございます。 ○ 会長 よろしゅうございますか。 ○ C委員 先ほどの年金積立金の運用のことについて伺いたいと思うんですが、うまく運用できれ ばいいんですが、赤字を出したり、積立金に食い込み、欠損が出たような場合が、考え てはいけないんだけれども、考えられる場合もあると思うんですね。そういった場合に、 責任のとり方というのはどういうふうになっているのでございましょうか。積立金が減 っちゃったなんていう場合、だれがどういうふうに責任をとるのか。 ○ 事務局  まず、年金資産の運用の結果、まさにそのような事態になったときに、責任論という ものが大変問題になるわけでございますが、資産運用につきまして、いわば長い歴史、 それなりの歴史を持っている米国、ヨーロッパ、特にイギリスなどにおける、考え方と いいますのは、結果責任ということはございません。マーケットそのものはやはり変動 するものであると。そこに資産を運用ということで投入すると。マーケットの変動に伴 って資産価値も変動する。これはそれ自体やむを得ないことである。結果として、例え ば予定を下回るような結果になった場合に、直ちにそのことをもって、具体的な形で誰 か責任をとらなければいけないということにはなってございません。  ただし、問題はその過程でございまして、よく言われますのは「受託者責任」でござ います。中身的には主として2つの義務で構成されているというふうに言われておりま す。1つが「忠実義務」というものでございまして、年金積立金でいえば、あくまでも 専ら年金被保険者の利益のためにのみ考えて、それにかかわる運用関係者は努力をする べきであるということと、もう一つは、注意義務でございますが、これはプルーデント マン・エキスパート・ルールとも言われておりますけれども、そうした、専門的な知識 を備えて、携わるべき立場の人間として必要な専門知識というものを備えて、そして全 力投球をするべきである。そういういわば注意義務というものが求められているわけで ございます。これは「善管注意義務」という形で申し上げることができると思います。 いずれにしても、結果責任ということでの、要するに責任論はございませんで、問題は 運用の一連の流れの中で、今、申し上げた2つの義務というものがきちんと果たされて いるかどうかということを専ら問題にすると、こういうようなことになっております。  それで、今度は、来年から始まります積立金の自主運用における責任論でございます けれども、そのような考え方に基づきまして、御案内のように、制度化されております ことに加えて、運用に携わる国の職員、厚生労働大臣からの寄託を受けて、実際運用を 担当する年金資金運用基金、こちらの運用関係職員でございますが、こちらの方にはそ れらの義務に加えて、一段厳しい、例えば秘密漏洩に関する禁止の義務というのがかか っております。仮にそういうふうな義務に触れた場合には、最も厳しい処置といたしま しては、懲戒免職というようなことも、これは規定されているわけでございます。 以上でございます。 ○ 会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんでしたら、先へ参りたいんですが、よ ろしゅうございましょうか。 次に、「年金審議会の廃止について」ということでございまして、この審議会が廃止さ れるに至った経緯、及びこの審議会のこれまでの活動経緯につきまして、年金局審議官 の方から御説明をお願いしたいと存じます。 ○ 審議官  本来でございますれば、年金局長から、本日最終の審議会でもございますので、御挨 拶申し上げ、御説明申し上げる段取りにいたしておりましたけれども、予算編成業務で 急に仕事が出てまいりまして、どうしても出席できませんので、私がかわりまして御説 明申し上げたいと思います。お手元に資料3を用意させていただいていますが、まず、 後から御説明申し上げますが、これまで当審議会あるいは当審議会の前身でありました 国民年金審議会、あるいは社会保険審議会の厚生年金部会におきまして、特に財政再計 算の際には非常に密度の高い御審議をいただきまして、厚生年金あるいは国民年金制度 の安定、改革のために委員の方々、大変御尽力をいただきましたことにつきまして、改 めて御礼を申し上げたいと思います。  資料の1ページにございますように、これまでの年金制度につきましての審議会の歴 史といいますか、ご覧をいただきますと、一番下のところでございますが、昭和13年に 当時内務省から厚生省が設立されまして、13年の11月7日に、当時の保険院保険制度調 査会という審議会が設置をされております。この調査会におきましては、労働者年金保 険制度の要綱についての答申等がなされております。この調査会は16年5月31日に廃止 をされておりますが、その後、上のところをご覧いただきますと、厚生年金保険制度の 審議につきましては、昭和22年から24年までは厚生年金保険委員会、さらに昭和25年3 月までは、厚生年金保険審議会におきまして、さらに25年4月以降は、健康保険等につ きましての御審議といわば統合して審議をしていただくという形で社会保険審議会にお いて御審議をいただいております。現実には社会保険審議会の中に厚生年金保険部会を 設けていただきまして、この部会を中心に御審議をいただいているわけでございます。  それから、年金審議会の直接の前身は、国民年金審議会でございまして、国民皆年金 体制、皆保険体制の整備に伴いまして、34年6月1日に国民年金審議会が設置をされて ございます。60年の7月31日に、いわば発展的に年金審議会という形で廃止の形になっ ておりますが、この間、先ほど申し上げました社会保険審議会の厚生年金保険部会と平 行して、国民年金制度の改正につきまして、国民年金審議会で御議論いただいていると ころでございます。  それから、当年金審議会につきましては、今申し上げましたとおり、昭和60年7月31 日に創設をされまして、それ以来、大きな改正で申し上げますと、平成元年、平成6年、 平成12年という3回の財政再計算に伴う公的年金制度の改正につきまして御審議をいた だき、御意見をいただき、諮問を申し上げて御答申をいただいたところでございます。  平成元年の年金制度改正の際には、厚生年金の支給開始年齢の65歳への引上げについ て御議論をいただいたところでございますが、現実の法案の中では実現はいたしており ません。そのほか、それまで物価の変動率が5%上下をいたしますと、年金額を自動的 に改定するという、そういうスライドを講じておりましたのを、完全自動物価スライド 制度を導入する、あるいは国民年金基金制度の創設が行われております。  それから、平成元年改正の際の、当審議会におきます御議論につきましては、62年9 月7日に開始をいただき、元年の2月27日に答申をいただいております。  それから、平成6年の年金制度改正の際には、老齢厚生年金の定額部分につきまして、 65歳への引上げ、厚生年金につきまして、可処分所得スライドの導入等々を御審議をい ただいております。この際には、平成4年6月22日から、御審議を開始していただき、 6年の3月1日に答申をいただいております。  それから、平成12年の年金制度改正につきましては、先ほども御説明申しましたとお りの改正内容でございます。さらに年金積立金の自主運用のための制度改正につきまし てもなされておりますが、本審議会の御検討は、平成9年の5月27日に開始をしていた だき、10年10月9日に、国民年金・厚生年金保険制度改正に関する御意見をいただき、 また、平成11年3月15日には御答申をいただいたところでございます。  以上のような歴史といいますか、前身の審議会から申し上げますと、非常に長い歴史 と御審議をいただいた審議会でございますが、このたびの中央省庁改革に伴います、審 議会の整理合理化の一環といたしまして、当年金審議会は1月6日に廃止されることに なったわけでございます。  資料の2ページをご覧をいただきたいと思いますが、今回の中央省庁再編の一番基本 となっております中央省庁等改革基本法でございますが、ここにございますように、30 条で審議会についての規定がなされております。このうちの第二号をご覧をいただきま すと、「政策の企画立案又は政策の実施の基準の作成に関する事項の審議を行う審議会 等については、次に掲げるところによること」でございまして、「原則として廃止する ものとし、設置を必要とする場合にあっては必要最小限のものに限り、かつ、総合的な ものとする」、こういう基本的な方針で、今回の審議会の再編が行われているわけでご ざいます。  具体的に申し上げますと、8ページをご覧をいただきたいと思いますが、ここにござ いますのが、新年から厚生労働省という形で新しく発足をいたしますが、そのうちの厚 生省関係の審議会でございます。右にございますように、社会保障審議会、厚生科学審 議会、こういう2つの審議会につきまして、大きく統合・再編をされるという形になっ てございます。このうちの社会保障審議会につきましては、左にございますような、人 口問題審議会から福祉の関係の審議会、あるいは医療保険福祉審議会、年金審議会全体 を統合するような形になってございまして、社会保障制度の全般的な基本的な事項、あ るいは社会保障各制度の在り方につきまして、この審議会で御審議をいただくという形 になっております。  それから、下にございます厚生科学審議会、この審議会におきまして、公衆衛生、科 学技術につきまして、総合的な審議会の機能を果たしていただくという形になっていま す。 それから、その下にございます、これとは別途、いろんな基準といいますか、あ るいは中央社会保険医療協議会のように、診療報酬、あるいは薬事をめぐりまして、具 体的な審議を行っていくといいますか、そういう審議会につきましては、こういう大括 りな審議会とは別途、個別の審議会を設置をするという形になってございます。  同時に、これまで総理府で御審議をいただいておりました社会保障制度審議会につき ましても、全体の社会保障全般に関する御審議、あるいは御意見いただくものにつきま しては、基本的には社会保障審議会で引き続き審議をしていただくという形になってご ざいます。この審議会につきましては、委員30名の方々で構成をしていただくという予 定でございまして、そのほかにももちろん臨時委員あるいは専門委員の方々の御参画を いただくという形でございます。  また、新しくこの審議会が発足をいたしましたら、今、申しましたような、相当広範 な審議事項でございますけれども、審議会で御論議をいただき、今後の審議の在り方に ついて御検討いただくという形になってございます。 以上が、今までの経緯でございますけれども、最初に申しましたけれども、本日御出席 の委員の方々はもとより、これまで当審議会に御参画をいただきました委員の方々に改 めて御礼を申し上げまして、御挨拶とさせていただきたいと思います。 ○ 会長 どうもありがとうございました。年金審議会の廃止、あるいはこれからの年金の在り方 などにつきまして、御要望、御意見、御感想がございましたら、皆様方からお伺いした いと存じます。どなたからでも。どうぞ。 ○ C委員  活動の実績が乏しい審議会ということで廃止になるのかと思いましたら、そうではな いようなのでほっといたしましたが、労働省関係も当然統廃合される審議会があるわけ ですね。それは触れてませんけれども、かなり労働省関係の審議会も短くなるのでしょ うか。 ○ 審議官 手元に資料を用意いたしておりませんが、労働省関係につきましても、大括りの審議会 に再編をされるということでございます。最低賃金審議会のように、最低賃金そのもの をお決めいただくような議論につきましては、先ほど申しました、私どもで申しますと、 中央薬事審議会と同様に、個別に審議会として御審議をいただく。全体の政策的な面に つきましては、大括りで御審議をいただくという形でございまして、一応そういう形で、 厚生労働省ではございますが、一応政策面については、社会保障面、雇用保険、労働行 政の面での大きな審議会、それから、先ほど申しました厚生科学審議会、こういう3つ の大きな審議会が設置をされるという予定になっております。 ○ C委員 ここに書いてある整理統合は、厚生省関係は8審議会ですね。 ○ 審議官 さようでございます。 ○ 会長  ほかにどなたか御意見、御要望などございませんでしょうか。  それでは、閉会ということにいたしたいと存じますが、先ほど年金局審議官の方から、 御説明がありましたように、本日をもちまして、年金審議会は最後の会合となります。 委員の皆様におかれましては、これまで御尽力くださいまして、ありがたく感謝申し上 げます。本日予定されております議事は以上でございます。なお、本日の資料はいつも のとおり、すべて公開することとしたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。 (「異議なし」の声あり) ○ 会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 照会先 年金局総務課 榎本(内線 3316)