00/12/08 第10回厚生科学審議会議事録 第10回厚生科学審議会議事次第 ○日 時:平成12年12月8日(金) 10:00〜12:00 ○場 所:東海大学 校友会館 阿蘇の間(霞ケ関ビル33階) ○出席者:豊島久真男会長      (委員:五十音順:敬称略)      内永ゆか子 大石道夫 大塚栄子 軽部征夫 木村利人 柴田鐵治      竹田美文 寺尾允男 寺田雅昭 三上芙美子 矢崎義雄 ○議 事 <審議事項>    平成13年度厚生省科学研究費補助金公募研究事業の方針(案)について <報告事項>   1.ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針について  2.厚生科学審議会各部会の開催状況について  3.その他 ○配付資料  1.平成13年度厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針(報告)について  2.平成13年度厚生省科学技術関係予算概算要求の概要  3.肝炎対策に関する有識者会議について  4.研究費補助金における間接経費の取扱いについて  5.ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(原案)の概要    及びヒトゲノム・遺伝子解析研究の過程に沿った基本的な要点  6.厚生科学審議会各部会の開催状況について ○事務局  定刻となりましたので、始めさせていただきたいと存じます。まず、傍聴の皆様にお 願い申し上げます。傍聴に当たりましては、既にお配りいたしております注意事項をお 守りいただきますよう、お願い申し上げます。  ただいまから、第10回厚生科学審議会総会を開催させていただきます。  本日は、石井委員、岸本委員、曽野委員、西野委員の4名がご欠席というご連絡が来 ております。また、大石委員はご出席という連絡が来ておりますけれども、ちょっと遅 れられているのかと存じます。いずれにいたしましても、委員16名のうち、出席委員が 過半数を超えておりますので、会議が成立いたしますことを報告いたします。 最初に、本日の会議資料の確認をお願い申し上げます。  資料の欠落、乱丁がございましたら、ご指摘いただきますよう申し上げます。 <配付資料の確認>  よろしければ、豊島会長、議事をよろしくお願いいたします。 ○豊島会長  おはようございます。お忙しいところ、ありがとうございます。  それでは、第10回の厚生科学審議会総会を始めさせていただきたいと思います。  早速、議事に入りらせていただきたいと存じます。  審議事項の「平成13年度厚生省科学研究費補助金公募研究事業の方針(案)につい て」、資料1のとおり、厚生大臣より厚生科学審議会に諮問されておりますので、これ につきましてご検討いただければと思います。  まず、矢崎部会長から、ご報告をお願いいたします。 ○矢崎委員  かしこまりました。本年12月4日に、厚生大臣から諮問され、研究企画部会に付議さ れました、お手元の資料1にあります「平成13年度厚生科研究費補助金公募研究事業の 方針について」の件でありますが、12月5日に開催いたしました研究企画部会において 審議の結果、部会として諮問どおり了承することといたしましたので、ご報告いたしま す。その詳細については、事務局から報告をお願いしたいと思います。ご審議のほど、 よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、事務局からご説明申し上げます。  資料1でございますけれども、1ページ目にございますのが、今、ご説明いただきま した研究企画部会長の矢崎先生から審議会会長の豊島先生に対するご報告でございまし て、2ページ目にございますのが、大臣から豊島先生に対する諮問書の写しでございま す。  具体的には3ページから各研究事業について出てきておるわけでございますけれども 今回対象にしております研究事業は、資料2をごらんいただきたいと存じますけれど も、資料2の中ほど、「一般会計」のところに「厚生科学研究費」というのがございま して、1番から4番まで具体的な例を挙げておるわけでございますが、総額で申し上げ ますと、平成12年度が 276億 6,000万円、平成13年度が 331億 7,500万円ということ で、本年9月に概算要求をいたしておりまして、現在、最終的に政府案の策定に向けて 検討が進められておるところでございます。  その中身につきましては、9月の総会においてご報告したところでございますが、特 徴といたしましては、※がございます「政策科学推進研究」、また2の(1)「21世紀型医 療開拓推進研究」の2つを総理の日本新生プランを促進するために特別に予算に設けら れました「日本新生特別枠」と呼んでおりますが、その中で要求させていただいており ます。  この政策科学推進研究というのは、従来からあったわけでありますが、21世紀型医療 開拓推進研究というのは、全く新しく新規に始めようとする研究事業でございまして、 従来の研究事業にこの21世紀型が付け加わるという形式で要求しておるところでござい ます。  したがいまして、来年度、公募するということになりますと、この21世紀型医療開拓 推進研究事業につきましては、最終的に政府案の中に認められるのか、又は国会で認め られるのかということがございますので、この21世紀型医療開拓推進研究というのは、 今回の審議の対象にはさせていただいておりません。  2番目に、資料3をごらんいただきたいのでございますが、資料3が肝炎の有識者会 議という資料でございございます。ウイルス性肝炎について、B型で 120万から 140万 人程度、またC型で 100万から 200万人程度の潜在的な持続感染者がいるというふうに 言われておりまして、このウイルス性肝炎についてこれまでの取組を総点検して、さら に効果的・総合的対策がないかどうか検討するということが大臣からもご指示がござい まして、省内に肝炎対策プロジェクトチームを設けて検討を始めたところでございま す。  この省内の検討とあわせまして、車の両輪の一つといたしまして、専門的・科学的な 見地からご意見を賜るということで、この資料3にございますように、杉村国立がんセ ンター名誉総長を座長とする有識者会議を設け、11月30日に第1回会合を開催したとこ ろでございます。  この有識者会議は今年度末、すなわち来年3月を目途に報告をまとめるということに なっておりまして、その検討課題の一つに研究の内容の見直し、研究のあり方というも のも含められているところでございます。  したがいまして、事務局といたしましては、肝炎の関係は従来から新興再興感染症研 究事業をはじめ幾つかの研究にウイルス性肝炎の研究があるわけでございますけれど も、ウイルス性肝炎の対策の一環としての研究につきましては、今回の公募には入れて いないわけでございます。  その2つを例外といたしまして資料1を諮問させていただき、研究企画部会でご議論 を賜ったところでございまして、資料1の内容を説明しておりますのが参考資料で配ら せていただいております『公募研究課題(案)』でございますので、資料1と参考資料 1をもとにご説明させていただきたいと存じます。  なお、本日、ご審議いただいております来年度の研究課題の公募につきましてのスケ ジュールから簡単にご説明したいと思います。  本日の総会でご議論を賜りまして、その結果を踏まえて、事務局といたしましては来 年1月にも官報に告示をし、厚生省のホームページにもその内容をつるし、できるだけ の周知を図った上で、1カ月程度の公募期間を設けてその期間に応募していただく。応 募されたものにつきましては、各研究事業に設けられております事前評価委員会で速や かな審議を行っていただきまして、その評価委員会の結論を踏まえて、内定・交付決定 という手続に入っていきたいと考えておりますし、前々からこの総会におきましても、 あるいは厚生科学審議会のほかの部会におきましても、「手続を速やかに行うべし」と いうご意見を賜っておりますので、事務局といたしましてはできる限りの努力をしたい と考えておるところでございます。  それでは、研究諮問の内容及び研究課題(案)につきまして、資料1並びに参考資料 に基づいて一つずつ、ちょっと長くなりますけれども、ご説明させていただきたいと思 います。  まず、資料1の3ページをごらんいただきたいのでございますが、1番目に「政策科 学推進事業」がございます。具体的な公募案といたしましては、参考資料1ページをご らんいただきたいと存じます。この参考資料の公募案で申し上げますと、13年度案の (7)の(ウ)から後が12年度に比べて新しく追加になっております。すなわち、個人情報 保護・利活用の問題、情報化の問題、地域住民の参加の問題、さらに2ページでござい ますが、社会保障政策とサービス水準の地域間比較あるいはPFIあるいは政策評価の 問題あるいは医療や介護の経済的評価の問題、これらの課題が12年度に比べて新しくな っております。  次に、2番の「統計情報高度利用総合研究事業」でございますけれども、参考資料を ごらんいただきますと、保健医療又は福祉施策を支援する統計調査のあり方の研究ある いはオンラインによる実施の促進、あるいは諸外国の統計調査制度の実態把握等々に関 する研究を挙げさせていただいております。  次に資料1の3ページに戻らせていただきまして、3番の「社会保障国際教育推進研 究事業」並びに4番の「がん克服戦略研究事業」と申しますのは、来年度継続課題で予 定されている金額がいっぱいになるということから、来年度の公募を停止させていただ いております。  5番目が「長寿科学研究事業」でございますけれども、参考資料の4ページ〜5ペー ジにかけてあるわけでございますが、特に目新しくなっておりますのは5ページ目の(3) のオ〜ケ、すなわち介護の問題で、要介護状態の評価の問題、あるいは要介護状態に応 じた介護サービスの提供、介護に係る計画の評価、訪問看護、介護に関する研究、ある いは(4)支援機器開発・居住環境分野といたしまして、居住環境を新しく付け加えたのが ございますし、その具体的な内容としては住宅改修の問題でございますとか、在宅支 援、生活支援の問題でございますとか、そういう研究に乗り出すというのが一つ新しゅ うございます。  また、6ページでございますけれども、社会科学分野といたしまして、従来から社会 科学分野というのはあったわけでございますが、これを再整理し、また拡充を図るとい うことで、高齢者の心理・満足感あるいは家庭・家族関係、社会参加・社会貢献、終末 期状態、あるいは加齢疾患に係る国際比較というのが新しくなっているかと存じます。  次に、資料1の4ページに入らせていただきますが、「障害保健福祉総合事業」でご ざいますけれども、右側の上から5、6行目に「生涯にわたって心の健康を維持してい くための予防対策や疾病のケア」ということで、「心の健康づくり」と言っております が、これが新しくなっております。  具体的には参考資料の7ページの(10)「社会適応に係る心の健康づくりに関する研 究」ということで、ア〜エまで、自殺防止対策、思春期の問題、PTSD、うつ傾向が 新しく公募する予定でございますし、また(8)就労支援システムの問題あるいは情報バリ アフリーの問題、こういう研究も推進していきたいというふうに考えておりますし、新 しいということで申し上げますと、(2)でございますが、発症から社会適応までの連続し たサービスの提供に関する研究でございますとか(3)の社会的理解の促進及び自己決定、 自己選択の支援など権利擁護に関する研究ということで、権利擁護に関する研究という のは従来からあったわけでございますが、内容を充実したものとして入ってくるという ふうに考えておるわけでございます。  次に資料1の4ページに戻らせていただきたいと思っておりますけれども、7番目が 「子ども家庭総合事業」でございまして、本年11月に公表されました「健やか親子21」 という検討会の報告書、これも踏まえて従来からございます「新エンゼルプラン」と2 つをもとに公募するということにさせていただいております。新規採択課題が来年度は 枠の余裕がありまして、昨年の10課題に対して28課題と、3倍弱の課題数を採用したい ということになっております。  具体的な内容といたしましては、参考資料の8ページでございますけれども、母子保 健政策といたしましては、生涯を通じた女性の保健サービス、あるいは乳児・幼児の障 害の予防などが挙げられておりますし、(2)といたしましては、思春期の保健対策、(3) 妊娠・出産、(4)小児保健医療水準を維持・向上するための環境整備、あるいは(5)とい たしまして、子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安というような研究が挙げられ ていると考えております。  次が資料1の4ページのヒトゲノム・再生医療等研究事業ということでございますが この研究事業は今年度から設けられましたいわゆるミレニアムプロジェクトの一角をな すものでございまして、ヒトゲノム分野、遺伝子治療分野、再生医療分野、食品保健分 野、この4つから従来なっておったわけでございますが、ここに生命倫理研究分野とい うのをふやすというのが新しく考えておるところでございます。  その内容につきましては、参考資料の9ページをごらんいただきたいと存じますが、 まず、ヒトゲノム分野で申し上げますと、(1)の(オ)臨床データの解析方法に関する研 究というのが新しく付け加えられております。また、遺伝子治療の分野は、本年12年度 公募がなかったわけでございますが、今年度新たに公募する。また、再生医療の分野に つきましては、骨、軟骨、血管、神経、皮膚、角膜、造血については12年度から研究に 取り組んでおるわけでございますが、それ以外の分野ということで、再生医療にも取り 組んでいる。 また、生命倫理研究分野といたしましては、遺伝子解析あるいは再生医療、こういっ た倫理に関する研究を取り上げていくということを考えております。  なお、再生医療分野の課題採択に当たっては、再生医療分野と一口に申し上げても、 人あるいは動物の発生から分化から、まさしく医療に応用できるようなものまで幅広う ございますから、各省庁、例えば科学技術庁でございますとか、文部省で基礎的な分野 というのをやられますので、厚生省としては実用化に近いところを研究を進めるという ことで、このような参考書きがなされているわけでございます。  次が5ページの脳科学研究分野でございますけれども、参考資料10ページをごらんい ただきたいと存じますが、内容的に申し上げますと、(イ)の機能的MRI、脳磁図、 PET/SPECTあるいは(ウ)そううつ、(2)パーキンソン病、トリプレットリピー ト病、HAMあるいは(3)ライソゾーム、(4)遺伝性脳発達障害などが新しくなっている と思います。  次が「高度先端医療研究事業分野」でございますが、この分野は人工血液の分野と医 療機器開発の分野の2つからなっておりますが、人工血液分野で申し上げますと、参考 資料11ページの(2)幹細胞を利用した人工血液の開発が新しくなっておりますし、また機 器分野におきましては、参考のところに書いてありますとおり、経済産業省、現在の通 産省が来年1月から経済産業省という名前になるわけでございますが、経済産業省がい わゆる工学的な分野の支援をする、それと同時に厚生省が医学分野に支援するというこ とで、両省一緒になって、この医療機器開発に取り組もうということから、連携プログ ラムと言っておりますけれども、経済産業省のプロジェクトへの応募をしているものを 優先していく、すなわち実用化に向けて、手が打ってあるものを優先して採択していく という方針を出そうとしております。これは厚生科学研究としては恐らく初めのことだ ろうというふうに考えております。  次に、資料1の5ページの11番、「新興・再興感染症研究事業」でございますが、こ れは先ほど申し上げましたとおり、ウイルス性肝炎が除かれておりますけれども、また 1点、誤字脱字でございまして、訂正をお願いしたいのでございますが、13年度の新規 採択予定課題数が10課題程度となっておりますけれども、これは6課題程度の誤りでご ざいますので、ご訂正方、お願いしたいと思います。  内容といたしましては、結核等の抗酸菌症あるいは野生げっ歯、ダニ類に寄生する感 染症あるいは食品の感染症などを新たに公募していきたいというふうに考えておりま す。  次に、6番「エイズ対策研究事業」でございますが、これは予算の関係上、継続の課 題との関係上、来年度の公募課題はごく限られたものになっておりまして、薬剤耐性の モニタリングあるいはHIVウイルス等の増殖機構あるいは増殖の制御に関する研究に 絞って公募したいというふうに考えております。  次は、「感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業」でございますが、参考資料の1 5ページをごらんいただきたいと存じますけれども、感覚器障害分野が(1)〜(3)まで、免 疫アレルギーが(4)〜(9)までとなっておりまして、免疫アレルギーで申し上げますと、 リウマチ・アレルギー疾患という形で一括りにした上で、難治性病態の新規の治療法で ございますとか、EBMに基づく治療方針の確立でございますとか、早期診断あるいは QOL、そういう新しい分野について研究を進めていきたいと思っております。  次が14番「特定疾患対策研究事業」でございますが、参考資料で申し上げますと、16 ページの右側でございますが、多臓器不全あるいは難治性疾患に対する自己培養皮膚移 植療法、骨髄異形成、難治性腸疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病、多発性硬化症、ラ イソゾームというのが新しくなっております。  次が資料1の6ページの末尾にございます15番「生活安全総合研究事業」でございま すが、この研究事業はダイオキシンから内分泌かく乱化学物質あるいは室内環境の関係 あるいは食品、飲料水と生活環境に関するかなり幅広い分野を扱っておるわけでござい ますが、来年の公募課題が今年度の25から40というふうにふえております。  中身につきましては、参考資料17ページをごらんいただきたいと思います。まず、ダ イオキシンで申し上げますと、汚染実態、特に地域特異性でございますとか、その動 態、生殖機能への影響などが新しくなっておりますし、体内動態、健康影響あるいは総 合的なリスク評価というのが取り上げられております。  また、(2)の内分泌かく乱化学物質で申し上げますと、内分泌かく乱性を確認する試験 方法あるいはヒト生殖機能への影響、総合リスク評価、あるいは(イ)の室内環境で申 し上げますと、汚染実態調査、環境影響評価法、動物への暴露実験等が取り上げられて おりますし、(5)のその他で申し上げますと、小児毒性の評価が取り上げられており ます。  18ページに入りまして、食品分野は大きく4つに分けられておりますが、(ア)各微 生物の安全性評価、(イ)化学物質等の安全性評価、(ウ)食品用の器具、容器、包 装、(エ)新開発の分野というふうに分けられております。  また、(4)水道の関係でございまして、水道水中の微生物、有害化学物質の安全性の研 究、 (5)の生活環境に起因する影響評価といたしまして、建築物、公衆浴場、美容技 術、その他というふうに分けられております。  次に、資料1の7ページ、「医薬安全総合研究事業」でございますけれども、この研 究事業も12年度に比べて13年度は公募課題が多く、9課題から35課題というふうに変え られています。内容的に申し上げますと、特徴的なのは医療機関における安全対策に関 する研究、乱用薬物対策に関する研究を拡充したところでございます。  内容につきまして、参考資料の19ページをごらんいただきたいと存じます。課題数が 多くなったこともございまして、公募の仕方を再整理されております。(1)医薬品、医療 用具等の評価、(2)安全性の向上、20ページに入りまして、(3)医療機関における安全対 策、21ページが(4)乱用薬物対策ということで、大きく4つに括られております。特に、 20ページの医療機関における安全対策をご説明申し上げますと、医薬品、医療用具等の 使用に関連する過誤(メディケーションエラー)の防止対策というのが一つの柱でござ います。(イ)院内感染の防止、(ウ)医療用放射線の安全確保というふうに安全対策 分野というものが新しくなっておりますし、21ページの(4)乱用薬物対策といたしまして は、分析方法あるいは疫学調査、あるいは依存性、神経毒性の発現メカニズムのモリキ ュラバイオロジー等が新しくなっております。  次が資料1の7ページの17番、「健康科学総合研究事業」でございますが、これも12 年度の公募課題10課題に対して13年度は60課題というように非常に多く予算上公募され ております。  内容といたしましては、参考資料の22ページをごらんいただきたいと存じますけれど も、(1)地域保健サービス、(2)健康づくり、(3)虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病に関する 予防、 (4)腎不全という4つに大きく分けられておりますが、まず22ページの (1)地域 保健サービスで申し上げますと、(オ)保健所あるいは中央衛生研究所の健康危機管理 の問題、(カ)健康づくり疾病予防に関する政策のあり方というのが新しくなっており ますし、(2)の健康づくりで申し上げますと、飲酒、喫煙習慣の問題、休養の問題、日常 生活における腰痛、肩凝りの問題、家庭内の事故の防止の問題が新しく取り上げられて います。  また、(3)の虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病に関する問題といたしましては、生活習慣 の予防の経済的・社会的評価というのが新しくなっておりますし、地域、職域の保健事 業評価のための生活習慣改善を測定する、あるいはそれを診断する方法に関する研究あ るいは生活習慣改善のための指導手法に関する研究などが新しくなっておると存じま す。また、23ページの (4)の腎不全で申し上げますと、長期透析の問題、腎障害の進行 阻止、腎組織の修復、腎不全の進行抑制ということが新しくなってきております。  次に、資料1の7ページ、一番最後でございますが、18番の「医療技術評価総合研究 事業」でございますけれども、この研究事業は先ほどご説明申し上げました医薬安全総 合研究事業と同様に、医療事故防止方策に関係する研究というのが新しく充実されてお ります。この区分けというのは、医薬品、医療機器、そのものに関係する分野というの は、医薬安全総合研究事業の中で、またいわゆるソフトあるいはヒトに関する問題とい うのは医療技術評価研究事業の中で研究を進めていくということにしておりますし、さ らに12年度との違いで申し上げますと、EBMに関する研究が13年度公募課題に入って おりませんけれども、これは先ほど申し上げました特別枠で要求いたしております「21 世紀型医療開拓推進研究事業」の方へ移っておりますので、予算の成立を待って改めて 公募課題を検討し、新しくなる厚生科学審議会のご意見を聞きたいというふうに考えて おります。  この医療技術評価総合研究事業の中身につきましては、参考資料の24ページでござい ますけれども、内容的に申し上げますと、(2)の診療機能の評価の(イ)医療機関の連携 の推進方策が新しくなっておりますし、先ほどご説明申し上げました医療安全体制の問 題は (6)でございますが、「医療の質と医療安全体制の確保に関する研究」ということ で、(ア)医療従事者の養成、研修方策、(イ)要因分析手法の開発、(ウ)その効果 的な実施方法、25ページに入りまして、(エ)医薬品の投与プロセスに関連した医療事 故の防止方策、(オ)情報伝達の過誤に帰因する医療事故の防止方策、(カ)建築、構 造設備の問題、(キ)がヒューマンファクターに帰因する医療事故を予防するという観 点から、認知心理学あるいは人間工学等を利用した学際的な研究、(ク)が同様に組織 管理手法の開発に関する研究ということで、これを拡充するということで臨んでおると ころでございます。  これが今回諮問させていただいております来年度の公募研究事業の方針並びにその公 募課題の案でございますけれども、来年度の厚生科学研究費の取扱いということで関連 するかと思いますので、一点、ご説明させていただきたいのですか、資料4をごらんい ただきたいと存じます。  『研究費補助金における間接経費の取扱い』というタイトルになっておりますが、現 在、予算の最後の政府案づくりと並行しまして、科学技術会議を中心に競争的資金につ いて間接経費の導入を図るという方向で検討が進められているところでございます。  具体的には、本年6月29日に出されました科学技術会議の政策委員会の来年度の科学 技術振興に関する重点指針の中で、より競争的な研究環境をめざし、競争的資金を拡充 し、間接経費の導入を図るというふうに掲げられております。  また、現在、パブリックコメント中の科学技術会議総合計画部会でつくられました平 成13年度から5カ年の計画でございます次期の科学技術基本計画(案)におきましても、 間接経費という項目が設けられておりまして、研究の実施に伴う研究機関の管理等に必 要な経費を手当てする必要がある。このため、競争的資金を獲得した研究者の属する研 究機関に対して、研究費に対する一定比率の間接経費を配分する。間接経費の比率につ いては、目安として当面30%とする。その間接経費というのは、競争的資金を獲得した 研究者の研究開発環境の改善、あるいは研究機関全体の機能の向上に活用するというこ とが掲げられておるわけであります。  したがいまして、事務局といたしましては、予算の政府案づくりの中で厚生科学研究 費の中にもこのような間接経費を、当面は例えば1件当たりの金額が一定額以上のもの を対象にして導入するとかいうような方策を現在検討しておるところでございます。  以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまのご説明につきまして、何かご質問ありますか。どうぞ。 ○木村委員  事務当局の方から懇切なご説明をいただきましてありがとうございました。いろいろ 質問があるのですが、一番最初の質問は、肝炎対策に関する有識者会議というのを資料 3でいただいたわけですが、厚生省全体のポリシーメーキングに関連する審議会にこう いう報告が出てきて、大変良かったと思うのですけれども、この感染対策ということで 臨機応変にこういうことをするということは全面的に私は賛成でありまして、大変いい 企画だったと思います。  これを読んでみますと、「肝炎対策プロジェクトチーム」というのができて、それに 合わせて、科学的・専門的な見地からご意見をいただく有識者会議というのをつくった ということになっているわけですが、「ご意見をいただく」というのですが、このご意 見というのは肝炎対策プロジェクトチームに対するご意見なのか、それとも厚生科学審 議会あるいは厚生省全体に対するご意見なのか、法的拘束力といいますか……。  一応、審議会があって、部会があって、専門家の会議があって、そして班会議、いろ いろな会議がありまして、私、きょう初めてお伺いして、有識者会議というのは一体ど ういう位置づけで、このほかにも何か有識者会議という形で、現在、進行中の会議が厚 生省の中にあるのかどうかということも含めまして、省内の恐らくは制度的な位置づけ というのはおありだと思いますので、その点についてお伺いしたいと思います。 ○岩尾課長  肝炎の会議の経緯についてご説明させていただきますが、私ども平成9年から健康危 機に関する会議をエイズ、食中毒、サリン、和歌山の砒素の問題、いろいろあって、健 康に危機的状況を及ぼすようなものがあるならば、全省挙げて会議を開こうということ で私どもの課が窓口となって健康機危機理会議をやっております。実は、今までその会 議をやっておりまして、きょう遅れたのですが、そのときどきの新聞報道で多くなった ものについて、やはり厚生省でどう考えるかというものを考えなければいけない。  この肝炎の話は、たまたまその前の週でしたか、非加熱製剤を昔投与された方からC 型肝炎の発生が見られたというのが新聞報道でありましたので、医薬品に関することで もありますので、厚生省としてどう考えるかということで、この危機管理会議を開い て、それで肝炎問題、特にC型肝炎に対する対策をどうするか考えたわけです。話とし ては、むしろ危機管理的なものよりも、日本に 100万とも 200万とも言われる肝炎の患 者の存在ということももちろんベースにあるわけで、肝炎対策全体として考えるべきで はないか。  つまり、危機管理という考え方で起こすには、1つにはそれが新しいものでヒトから ヒトへ移って爆発的な大流行があるか、それからパニック的な状態で、バイオテロとか 何かで重大な健康被害を多くにもたらすか、そういうような観点で我々検討しているわ けです。 そういう中で、新聞報道があり、それをそこで吟味した結果、むしろ過去に起きた ケースであって、ヒトからヒトへと爆発的に感染が広がるような状況ではないと。しか しながら、そのような感染者といいますか、キャリアと言われる人たちが日本全国にむ しろかなり古くから、昔から存在している。その数が無視できないというようなこと で、きちんと対策を立てるべきだろうということで、まず省内に行政として何ができる かというプロジェクトチームを立てたという経緯がございます。  省内の人間からなるプロジェクトチームの中で検討していくに当たって、過去の経緯 ですとか、我々、肝炎については昭和46年ごろから内部の研究班その他がずっとござい ますので、そのようなものの経緯をきちんと聞いてみる必要もある。そんなこともござ いまして、有識者に過去の対策それから今後どのようなことをやっていくかというご意 見を聞こうということでやったわけです。主体としては、行政施策をつくっていくわけ ですから、我々としては行政が主体的にやればいい話ですけれども、専門的な問題も多 いということでご意見を聞こうと。  プロジェクトチームとこの肝炎の有識者会議というのは、私どもは行政施策を行って いく上での車の両輪のようなものという理解をしております。事の起こりがそういう経 緯で出てきましたので、厚生省の科学技術政策全体を会議していただくこの厚生科学審 議会とはちょっと設置の経緯が異なるもので、今回ご報告しておりますのは、結果とし て多分この会議の結論として、やはり研究開発ですとか、新しい治療薬の開発ですと か、あるいは調査研究をどのようにしていくかとかいうような話が出てくるということ で、このような会議で肝炎のことをやっているということを今回ここでお知らせしてい るということでございます。  これ以外にどのような会議が、いわゆる国の審議会の外で行っているかというと、結 構ございまして、それぞれが最終的には公衆衛生審議会に報告するとか、中央薬事審議 会に報告するとかいうような形になるかと思いますが、それぞれやっているものについ て最終的にどこかの審議会に報告するかどうかというのは、案件によるだろうとは思い ますけれども、それぞれの課で必要で、専門家のご意見を聞きたいというものについて は、常時といいますか、必要に応じて設置しているというふうに理解しております。 ○豊島会長  よろしゅうございますでしょうか。 ○木村委員  全体的な枠組みはわかったわけですが、厚生省の中のこういうことについてここにご 報告いただいた経緯がはっきりしましたが、できれば今後のこともあるかと思いますの で、これは我々がそれについて何か言うことはできないような行政上の省内のプロジェ クトチームのことだろうとは思うのですが、あまりにも女性委員が少ない。例えば、マ スコミ関係の方とか作家とかこの中に入っておりますが、15人中たった1人で、我々、 厚生省内部の委員会に名前がしばしば登場して、しかも個人的な事情、社会的な事情が あって極めて出席が困難な方がこういうところにまた再び出てくるような委員の人選で いいのかということをちょっと感じましたものですから、できれば、今後、マスコミに しても女性の立場から発言なさっている肝炎問題についても詳しい方もいらっしゃるわ けですので、そういうことも含めて人選につきましてもう少し……。  恐らく、これは効果的・総合的な対策についてご意見をいただくということで、肝炎 の専門家かなと思ったらそうではないようですので、この点のご配慮をいただけるよう な傾向を今後有機者委員会などをつくるときには基本的なご検討いただく。これは、恐 らく閣議決定その他で、省内のいろいろな関連する委員会については、女性の数をふや していくという方向が出ていたわけですので、その点、今後ご配慮いただければという ふうに思いました。これは意見です。 ○豊島会長  どうもありがとうございます。ご意見として承っておきたいと思います。 ほかに何かご質問あるいはご意見ございますでしょうか。 ○軽部委員  いろいろな研究費が10%増しで出るというお話で大変結構だと思うのですが、厚生省 のこういう厚生科学に関わる研究費というものの知的資産の管理はどうなっているので しょうか。 ○事務局  この厚生科学研究費というのは補助金でございますので、いわゆる知的財産権につき ましては、応募して交付決定された研究者個人に属するという取扱いになっておりま す。  したがいまして、応募された方が厚生科学研究費の中、補助金の中で何か新しい特許 になるものをお見つけになられたということになりますと、その権利はすべて研究者に 属するということです。 ○軽部委員  今の方向としてはそれでいいと思うのですが、ご存じのように、科学技術基本法のフ ォローアップの方では、機関所属に持っているような方向に動いているわけですね。補 助金がその対象になるかどうか私もわからないのですが、私も今まで知的財産と技術移 転に関わってきまして、やはり個人所属にするということはいろいろな意味で難しい問 題が生じてくるわけです。特許維持の問題とか−−特許維持などはお金だけの問題なの ですが、実は特許というのは通すためにいわゆる裁判ざたになるわけでありまして、そ ういうときは個人的なレベルでは対応できないということで、今、大学はTLOをつく ってそれに対応しているところなのですが、そのTLOをつくっていろいろ活動してい ましても、個人所属というのがいろいろな意味でやりにくい問題が非常に起こっており ます。機関所属にするというような形に国のお金を使った研究は大分なってくるのでは ないか、また我々もそのようにしてほしいということをTLOから国にお願いしている わけですが、そのときにこの補助金がどういうふうになっていくのかということがちょ っとわからなかったものですから、今ご質問したようなわけです。 ○事務局  機関所属の問題と申しますのは、確かに先生ご指摘のとおり、特許の出願からあるい は維持から機関として管理する方がよろしいのではないか、またそこで得た収入の一部 を発明した方に還元するようなシステムをつくればいいではないかというようなご議論 がされているというのは承知しております。  しかしながら、この厚生科学研究費で申し上げますと、これは個人あての補助金でご ざいますから、知的財産権等は研究者個人にあって、その権利を機関に譲り渡すと。そ のときの条件として、一部を還流させるようなシステムと。  すなわち、厚生省が補助金を流し、厚生省としてはその個人にすべて知識財産権があ ると言った後の、大学なら大学内部での取扱いの問題だろうというふうに認識しており ます。また、当然のことながら、厚生省の中でも研究委託費みたいなもの、あるいは共 同研究、例えば医薬品機構との共同研究というようなものもありますし、これは医薬品 機構と機関が共同研究するわけでありますから、その知的財産権は機関に最初から所属 しておるというようなことで、研究のスキームによって若干違うわけでありますが、先 ほどお話が申し上げました、また厚生省の研究費の中で一番重要な部分を占めます、あ るいは技術的に一番大きな部分を占めます厚生科学研究費補助金につきましては、先ほ どご説明したとおりでございます。 ○豊島会長  よろしゅうございますか。 ○軽部委員  はい。 ○豊島会長  多分、これはオーバーヘッドの新しい問題と絡んでくると思います。  ほかに何か。 ○木村委員  これは、資料1と参考資料は整合性といいますか、それは同じように考えていいわけ ですね? ○事務局  正式に諮問させていただいていますのが資料1でございまして、それを具体的な公募 をしていく際には、資料1だけではわかりませんので、参考資料にございますこの公募 研究課題というのも外に周知していく。逆に申し上げますと、資料1と参考資料の間 に、先生おっしゃいました整合性があるかということでございますが、整合性がなけれ ばならないというふうに考えております。 ○木村委員  わかりました。  厚生省のこの研究の枠組みは、純粋に科学的な医療、健康、予防その他をめぐる問題 だけではなくて、生命倫理の問題やあるいは重複障害者の社会参加とかあるいは安全情 報の効果的な提供方法、活用方法というふうに広がりが見えてきたということは大変い いことだと思うのです。今まで、どちらかというと純粋科学研究ということに、インフ ォームド・コンセント研究などはがん研究の中に含まれていたようですが、そういう点 では私は大変評価したいと思うのです。  今後もぜひこういう社会的な広がりを持った研究が厚生省の研究の補助金、公募研究 の中に入るような方向をぜひ広げていただきたいというふうに、私は今回の平成13年度 案の中にきっちりと項目を立てて入ったことに対しまして、当局側のご努力に大変敬意 を表しているわけですが、参考資料9ページをごらんいただきますと、「ヒトゲノム・ 再生医療等研究事業」の中にきちんと生命倫理の分野を入れていただいたわけで、これ は良かったことなのですが、資料1の5ページを見ますと、今、中垣企画官からのご説 明によりますと、整合性がなくてはいけないと。あるのは当然だということで、内容を 見てみれば整合性はあるのですが、参考資料の方は「遺伝子解析研究、再生医療等の先 端医療分野〜」と書いてあるのですね。こちらの資料1の方は、はっきりと「ヒトゲノ ム分野、遺伝子治療分野及び再生医療分野研究に関連する」というふうにきちんと3つ 書いてあるわけです。初めの方は、遺伝子治療という言葉が入っていないので、恐らく それを意味してここに“等”というのが入っているのかなと今思ったのですが、この点 はいかがですか。 ○事務局  申しわけございません。整合性がないところを先生にご指摘いただいたのだと思って おります。  考え方から申し上げますと、参考資料9ページにございます「再生医療等の先端医療 分野」という表現がこの研究事業の枠を超えるのではないか。すなわち、この研究事業 というのは「ヒトゲノム再生医療等」となっておりますが、この“等”で読んでありま すのは食品分野でございますので、それ以外の分野におきまして既に倫理の問題あるい は社会科学的な問題を、広く倫理を含めて社会科学的な問題を扱っているところもござ います。この「先端医療分野」という表現が、そことの重複が出てしまうと。そこで資 料1にございます「ヒトゲノム分野、遺伝子治療分野及び再生医療分野」という形で書 けば、その重複の問題点はなくなるということで、最終的にこちらにしたわけでござい ます。  その事務作業の過程で、夜遅くやっておりましたので(笑)、参考資料の方を訂正す るのを失念したところでございまして、参考資料の方を訂正させていただきたいと存じ ます。恐縮です。 ○木村委員  わかりました。  続いて関連ですけれども、本当に大変な作業で、すり合わせをするのは大変だと思う のですが、資料1の方ですけれども、関連する「倫理問題に関する研究」となっている のですね。こっちの参考資料の方は、極めてはっきりと「生命倫理に関する研究」と。 これも整合性をもって統一しなければ、生命倫理の研究と倫理問題の研究はちょっと違 う内容がありまして、むしろ、私は資料1の方にお書きいただいたような方向で、今の 企画官のお話を聞いていますと「社会的な問題も含める」ということですので、これは 生命倫理の分野ではバイオエジィカル・リーガル・ソーシャル・イシューズという言葉 が定着しているので、生命倫理的法的社会的問題に関する研究というふうにやった方 が、エルシィ・リーガル・ソーシャル・インプリケーションということがNIHその他 ではこれはEUでもそうですけれども、定着している言葉としてあるので、倫理問題と いうよりも社会的な広がりということの意味合いがもしございますようでしたら、そこ ら辺入れていただいたらいいかなという気がします。  私は専門が生命倫理ですので、バックグラウンドは法律ですけれども、生命倫理とい うことでも結構ですけれども、そこら辺、ご勘案いただいて、整合性をきちんとしてい ただきたいというのが私の意見です。 ○豊島会長  今の関連なのですけれども、私としては資料1の方にも「関連する」とありますか ら、そこを少し広く読んでいただいて、このあたりだと少し広くとらざるを得ないとい うこともあるし、できることながら、これをきっかけにして少し広いめにやっていただ いた方がうれしいような気がします。  あまり、ガチガチに整合性を保つよりは、少しゆとりを持たせていただいた方があり がたいなという気がしているのですが、できましたらそういうあたりもご勘案いただい てと思います。  どうぞ。 ○柴田委員  説明の最後にあった医療過誤の問題で、情報伝達の過誤とかヒューマンファクターと か、今、一番関心の高いテーマだと思うのですが、社会の関心の高い医療過誤の問題に ついて、こういう研究がテーマに上がってきたことは大変結構だと思うのですが、実際 にどういう人が応募するのか、もちろん今の段階で無理だとは思うのですが、どういう 研究なり、どういう研究機関に期待しているのかということがもしちょっとご説明いた だけたら、イメージが湧いてくるような気がするものですから。  無理だったら結構でございます。 ○堺審議官  これから公募でございますので、あらかじめ想定するとか、それはないのではないか という原則だと思います。 ○豊島会長  よろしゅうございますか。  今の医療過誤なのですが、私、今は現場におりますので、そういうところから見ます と、例えば薬の命名法など、かなり違った薬を紛らわしい名前で命名されている部分が あるので、あれがかなり実際の過誤につながっているところがあるのだろうと思うので す。  だから、今までは基本なところの議論であって、名前のところの議論まではあまり出 ていないと思うのですけれども、できましたら、その辺も含めて検討していただけるよ うな状態になって欲しいなという気がこのごろしております。 ○柴田委員  それで結構ですけれども、誘導というと言葉が変になるかもしれませんけれども、具 体的にこういう研究がたくさん応募されるようなという誘導はいいのではないかと思う のです。ですから、そういう研究がこの際非常に幅広く出てくることを期待したいとい うことを意見として申し上げます。 ○豊島会長  はい、どうぞ。 ○三上委員  意見と要望みたいなことになるんですけれども、13年度に関しまして事務局からご説 明いただきましたかなり膨大な広範囲にわたる研究課題につきましては、特に例えば政 策科学推進のところで、個人情報の問題ですとか、今、社会のニーズになっているよう なところが入っているところもありますし、それから心の健康、これは生涯保健福祉総 合研究事業というところでしょうか、心の健康づくりというような新しい項目が入った ということで、ちょっとホッとする、結構なことだと思いました。  全体的な方向づけに関係するのですけれども、厚生科学の研究をこれから21世紀にど ういうふうに持っていくかという、ちょっと大きなことに関連しますが、今、医療過誤 のお話が出ましたが、市民の意識というものが、例えば医療不信に陥っているという部 分は随分ありますし、先端科学ということで進められていることと市民が知りたい、そ してもっと深く分析してもらいたいといいますか、そういうところとちょっとずれがあ るように、私は常日ごろ感じています。  もちろん、素人がわからないことも随分ありますから、いわゆる先端医療の研究を無 視してはいけないと思いますけれども、全体的にどういうところを重視していくかとい う方向づけのところを見ますと、まだまだ市民の意識と乖離しているというところがあ るのですね。  つまり、医療不審ということがあるということで、どういうことを求めているか。今 の状況は、もっと自然の方に回帰していくという方向にあるのです。健康回復の方法で も、伝統的な医療、それから東洋医療というふうに目が向けられてきているわけです。 よく、病院には行かないとか、薬づけになってしまうとか、かえって自分で治した方が いいんだというような、別のところの伝統的な医療を見直したりという、そういうとこ ろが非常に広がっているのですが、それと研究の重点がちょっと違っているように思う のです。  科学というのは、私は市民の意識とかけ離れたところで進めていくものではなくて、 市民の科学であるべきだと思うのです。先ほど亡くなられました高木仁三郎さんの言葉 にもありましたけれども、市民の科学者として研究を進めていくというところがこれか らは重要になっていくのではないかと思うのです。  厚生科学も範囲が広いのですが、どの分野におきましても、いわゆる先端−−何を基 準に先端と言うのかということも私はちょっと疑問に思っているのですが、むしろもう 少しオールタナティブな、これも高木さんがおっしゃっていますけれども、オールタナ ティブサイエンスというところにもう少し光を向けていく必要があるように思っている のです。長期的には、やはり私たちは健康で、快適な生活ができる社会を目指して、そ のためにサイエンスが貢献していくということが住宅なわけですから、例えば医療でし たら東洋医学ですとか、伝統的なところにもうちょっと光を当てていくという……。  きょうの資料の中で、参考資料の6ページの長寿科学のところに(6)漢方、東洋医学分 野というのが出てきているのですけれども、(6)で、しかも社会科学分野の一番最後にく っついているという感じでして、私はこれからの研究費のあり方についての要望ですけ れども、(6)ではなくて(6)というくらいに、一つ立てるくらいにオータナティブサイ エンスとして、もっと重視していっていいのてはないかというふうに思うわけなので す。  それから、もう一つ、ちょっと気がついたことは、医療不信にもかかわるのですけれ ども、医療従事者の研修に関する研究というのが課題の中に含まれておりましたけれど も、医師になる前の段階の医学教育に関する調査研究というのもとても重要ではないか と思うのです。  医学部では、西洋医学だけで東洋医学がほとんど教えられていないという実情だそう ですし、また看護の学部はまた別として、福祉の方までカバーするとか、いろいろな課 題があるように聞いておりますが、医学教育に関する調査研究もぜひ入れていただきた いというふうに思います。  内容に関してのこれからの要望みたいなものです。  もう一つ、付け加えさせていただきたいことは、研究成果についてなのですけれど も、研究が終わって、その後、報告書はいろいろな論文ですとか、学会発表などで行わ れると思うのですけれども、政策担当者との連結−−政策にどういうふうに生かせるか といったような接点がどうなっているか、もう少し連携があってもいいのではないかと いう感じと、それから、市民に対してまた一般の研究者、分野外の方々も含めて、どの くらい公開されているか。例えば、シンポジウムですとか、発表会みたいな、そういう ものがもう少しあってもいいのかなという感じがしております。費用がかかるわけです けれども、先ほど間接費用というお話があったのですけれども、それを活用できるので したら、そういったことも考えていただければと思います。以上です。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。  今のは一応ご要望ということでよろしいですか。 ○堺審議官  医学教育につきましては、省庁の壁というものもございますので、そちらはどちらか というと文部省の方の研究というふうになろうかと思います。 ○豊島会長  どうぞ。 ○大塚委員  今のご意見で、東洋医学とか、そういうもののご意見はいいのですが、一般市民に対 するもっと理解を高めるというか……。  今、日本の市民の意見と、世界的に今医療とか、研究に対する意識と日本の意識をも う少し高めるという方にもこの委員会が目を向けないと、市民の理解を高めないと、 今、経済戦略で例えば日本と世界的な意味でのそれにだんだん危機感をみんな持ってい ると思うのです。そういう意味では、もっと日本人がボランティアの精神を持つとか、 先端医療に対する理解を高めるという、そっちの方も大事だと思いますので、この委員 会が何かそういうことにも貢献できたらいいと思います。 ○豊島会長  どうもありがとうございます。  時間がかなり超過しておりますので、手短に。 ○内永委員  手短に。  「子ども家庭総合研究事業」というところなのですが、平成12年と平成13年のところ をずっと見させていただきますと、先ほど女性云々というお話が出ていたのですが、女 性の社会進出というのはこれから非常に期待されますし、どんどんそれを推し進めてい きたいというのがいろいろな世の中の状況だと思うのです。  そういう中で、平成12年のときに、2番目に「生涯を通じた女性の健康に関する研究 のうち云々」というサブタイトルがあるのですか、13年の方にはそれが消えていまし て、1番の中の(イ)というところに入っています。これはプライオリティの問題かと は思うのですが、大体、「子ども家庭」というだけに女性が入っているというのは、ち ょっと私は解せないところがありまして、そうであるならば、「女子ども」と言葉はあ まり好きではないのですが、「女性と子ども」というふうにタイトルにもぜひ入れてい ただいて、女性の健康というのは、例えば出産のことはよく言われるですが、私どもの 年になりますと更年期障害ですとか、かなりこれは大きな問題に女性にとってはなって きていると思うのです。そういったことが研究アイテムとしてなるかどうかということ は、まだ検討する余地はあるかと思うのですけれども、女性の健康ということについて のもう少し大きなハイライトが欲しいのかなというふうに思いました。  ただ、8番に「女性の保護に関する研究」というのがあるので、全体の中で女性の健 康に対してどういうふうに研究テーマとしてあげているのかというのが不明確だったも のですから、私としてはぜひこれをもう少しわかりやすい形ないしはプライオリティを 上げた形にしていただけたらというふうにお願いしたいと思います。 ○豊島会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○木村委員  18番をちょっとお伺いしたいのですが、資料1の18番のところだけが、「医療技術評 価総合研究」となっていて、ほかのところは全部「研究事業」となっているのですが、 恐らく「事業」となるのかなと思うのですが、ここのところを見ますと、平成13年のと ころですが、医療事故について防止対策その他を積極的に推進しようということで、去 年は25課題でことしは60課題ですね。バイオエシックスの方はたった4課題ですので、 これは極めて多い、新しい方向性を打ち出していると思うので、今の内永委員の発言に も関係してきますが、ネーミングで「医療技術評価総合」という、何をやっているかわ からないので、例えば「医療事故再発防止」とか、そういうふうにしますと、先ほどの 三上委員の言われた趣旨にも沿って、こういうことにも取り組んでいるということが国 民の側から見てはっきり目に見えると思うのです。「医療技術総合評価」というのでは わからない。しかし、読んでみると、医療事故再発防止ということがはっきり書いてあ って、しかも課題が60もあって、一つ 3,000万円ですね。  そういうことも含めて、少しネーミングのことが国民にわかりやすくする必要がある のではないか。  それから、先ほどの三上委員の発言にも関係しまして、審議官からもご説明がござい ましたが、確かに医学教育についてはいろいろな問題があることは間違いなのですが、 私、医師国家試験の委員もやっているのですが、95回の国家試験から、基本的に医師の あり方について本質的な問いかけをするというような方向性が今までのテクニカルな問 題だけではなくて、生命倫理的な内容も含めた、非常に大きい医師国家試験の見直しの 具体的な問題が出るようなことで、これは私は非常に不思議に思ったのですが、医学教 育の方とは関係ないのだけれども、医師国家試験の方とは厚生省がその管轄内で基本的 にやるということは前文に書いてあるので、これをやれば医学教育は必然的に変わるの ではないですかと言ったのですけれども、一応、建前としてそれは前文に書けないとい うことでしたが、国家試験がそういうふうに変わってくる方向に出ている。ということ は、医学教育も将来的には大きい目で見れば、変わる方向にあるのではないかというこ とを個人的に感じたものですから、一言説明させていただきました。 ○豊島会長  今の一つだけ。 3,000万円ではなくて、 300万円です。 ○事務局  まず、木村委員のご指摘にお答え申し上げますが、研究事業が抜けているのは、これ は誤字脱字でございます。ありがとうございます。申しわけございません。  さらに、ネーミングの問題でございますが、医療事故防止対策だけではなくて、右側 に書いておりますように、いわゆるメディカル・テクノロジー・アセスメント全体を対 象にしておりますので、その中の一部に医療事故対策があるということでございます。 確かに、ネーミングが重要だというのはご指摘のとおりでございますから、もう少し考 えさせていただきますけれども、全体をあらわす言葉としてはこういう言葉しかないの かなというのは、またご理解を賜りたいというふうに思います。  なお、一部、担当課の方から、先ほどの内永先生のご質問等に対してお答えしたいと いうことでございますから、ちょっとお時間をいただきたいと思います。 ○医薬安全局担当  豊島会長及び柴田先生から、医療事故の関係で、医薬品のネーミングについてのご指 摘がございましたけれども、既に医薬安全局におきまして、これにつきましては間違い やすい名称あるいは包装について、それを変えるということについて指導いたしており ます。これにつきましては、平成13年度の医薬安全総合研究の中でもさらにその公募の 研究において、いろいろな事例を集め、それに対する解析というような格好で引き続い て研究をやっていただいて、それを行政施策に反映させていただきたいというように考 えておるところです。 ○豊島会長  よろしゅうございますか。  どうぞ。 ○寺尾委員  先ほどの三上先生の「成果を一般になるだけ公開する」といいましょうか、やってい けというやつは、私がやっている研究の16番の「医薬安全総合研究事業」、この中には そのための経費が別枠でありまして、実際にやっているんですね。  ですから、多分、そういうようなスタイルで、ほかの事業についてはよくわかりませ んけれども、少なくとも16番ではそういう経費がありまして、一般に公開していこうと いうことは現実にやっております。 ○豊島会長  ありがとうございます。  一般公開の問題については、それぞれのところで幾つかあるのですけれども、一般の 市民の方にわかるように、くだいた話というのが研究者には難しくて、今までうまく機 能していないところが結構があるので、今度の「総合科学技術政策」ですか、ああいう ところでもそこにこれからかなり力を注ぐべきであるというふうな、全体としてのコメ ントも来ておりますので、これからだんだんと改善されていくものというふうに期待し たいと思います。  では、手短にお願いいたします。 ○−−(省内関係課)  「子ども家庭総合研究」でございますけれども、先ほどの内永先生のご指摘でござい ますが、生涯を通じた女性の健康に関する研究でございますけれども、これまで思春期 保健と子宮内膜症の研究しか想定していなかったものを、生涯を通じた女性の保健サー ビス全般の研究ができるというふうに拡大してございます。  それから、女性の保護に関する研究につきましては、最近、課題となっているドメス ティックバイオレンスに対応するようなことを研究するということで、前年度に比較し ましてかなり拡大したつもりでございますので、この辺ご理解いただければと思ってお ります。 ○内永委員  その拡大したという、それはどうやったらわかるのでしょうか。これを見る限りはよ くわからなかったので、拡大したというのはどういうふうにすればわかるのかなという ことなんですが。 ○−−(省内関係課)  平成12年度の (2)でございますが、生涯を通じた女性の健康に関する研究のうち、次 に掲げるものということで、2つしか書いてございませんが、13年度はそれが外れた形 で、「生涯を通じた女性の保健サービスのあり方」というふうに拡大してございます。 ○内永委員  今、横でおっしゃっていただいたのでありがとうございます。  趣旨がそうであれば、大変すばらしいことだと思いますので、それがわかるような形 にしておいていただければというふうに思います。 ○豊島会長  それでは、かなり時間がきておりますので、まとめに入らせていただきたいと思いま すが、答申そのものにつきましては、ほんの少し字句の訂正が入るという程度で、ご了 承いただけますでしょうか。その字句の訂正は、さっきご指摘いただいたところを含め て、事務当局と私の方にお任せいただく。  それから、参考資料につきましては、これはあくまでも参考資料でございますので、 おっしゃったことを踏まえて、できるだけ前向きに取り組んでいただくようにというこ とで、終わらせていただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。               〔「はい」という声あり〕 ○豊島会長  ありがとうございます。 <報告事項> 1.ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針について ○豊島会長  それでは、続きまして、報告事項のヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に ついて、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○事務局  資料5に基づいてご説明申し上げたいと思います。  ヒトゲノム・遺伝子解析研究につきまして、本年度からミレニアムプロジェクトとい うことで、厚生科学研究の中でも、あるいは医薬品器具を通じた研究費の中でも厚生省 として政府の一環の中で取組を始めたわけでございまして、ミレニアムプロジェクトを 発足するに当たり、先端医療技術評価部会におきまして、その遺伝子解析研究を進める に当たっての倫理指針というのをまず本年4月、5月にご検討いただいたところでござ います。  また、科学技術会議におきましては、ヒトゲノム研究全般にわたります「原則」と呼 ばれておりますが、基本的な考え方がことしの6月に示されたところでございますけれ ども、最初に申し上げました先端医療技術評価部会で議論していただきましたのは、ミ レニアムプロジェクトを推進するに当たって留意すべき指針という位置づけでございま したので、ミレニアムプロジェクト以外のヒトゲノム研究あるいは遺伝子解析研究には 適用されないというところがございまして、すべての遺伝子解析研究、ヒトゲノム解析 研究に関する指針が必要ではないかというような追加のご意見も先端医療技術評価部会 でいただいたところでございます。  同様のご議論は、科学技術会議あるいは通産省、文部省の審議会でもございまして、 この遺伝子解析研究、ヒトゲノム解析研究が各省庁にまたがる−−科学技術庁でござい ますとか、通産省でございますとか、文部省でございますとか、各省庁にまたがるとい うこともございますので、事務局といたしましては4省庁合同で倫理指針の作成に当た ろうということでまず合意をし、そのために国立がんセンター中央病院長の垣添先生を 中心とする検討会をおつくりいただいて、その中でまずすべてのヒトゲノム・遺伝子解 析研究に適用する指針(案)をおつくりいただいたところでございます。  本年11月にその案がまとまりまして、この案について先端医療技術評価部会でのご議 論を賜ったところでございまして、同様の手続を科学技術庁、通産省、文部省でも現在 行っているところでございます。  各省庁の審議会で一応の案についてのご了承が得られた段階、すなわちできますれぱ 来年1月というふうに考えておりますが、来年1月にパブリックコメントに入り、パブ リックコメントでいただいたご意見も参考に、各省庁の審議会で再度ご議論を願って、 できれば今年度末を目途にすべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針とし て、4省庁−−来年1月になりますと、文部省と科学技術庁が一緒になりますので、そ ういう意味で申し上げますと3省でございますが、3省の共通の指針として策定したい というふうに考えているところでございます。  中身を簡単に申し上げますと、適用範囲はすべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究とな っておりますが、ヒトゲノム・遺伝解析研究を今回の指針では定義しなければならない ということで、その定義についてこの検討会あるいは先端医療部会の中でも随分ご議論 いただいたわけでございます。最終的に申し上げますと、ジャーム・ラインのミューテ ィションを対象とする研究を原則として対象としようと。いわゆる後天的病変部に局在 する後天的な遺伝子変異、サマティック・ミューティションと言われているやつでござ いますけれども、これは生殖細胞系列の遺伝子変異がわかるような研究を除いて対象と する必要はないのではないかというような形で定義が提案されているところでございま す。  一定の範囲の研究をやる場合には、民間であろうと、国の機関であろうと、すべての 機関で行われる研究を対象にこの指針を適用していこうと。特に、厚生科学研究補助金 でございますとか、そういった公的な補助金あるいは国の機関におきましてはその遵守 を義務づけたいというふうに考えておるところでございます。  主な項目で申し上げますと、インフォームド・コンセントの問題あるいは個人情報保 護の問題、倫理審査委員会の適切な構成並びに運営の問題、さらに研究の適正性の確 保、透明性の確保、遺伝子疾患の場合のカウンセリング、あるいは利益保護のための配 慮というような項目からなっておるものでございます。以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。  ご質問ございますでしょうか。 ○大石委員  今回の指針をつくるに当たりまして、いろいろ外国の、特にアメリカなどの例を参考 にされたと思うのですけれども、具体的にどういう点が違いがあるのか、その辺をちょ っとご説明いただけますでしょうか。 ○事務局  承知している範囲内でお答え申し上げますと、まずアメリカの指針との関係では、ア メリカの指針はアノニマスと呼んでおりますけれども、いわゆる連結不可能匿名化され た場合におきましては、遺伝子解析研究をやろうとも、倫理審査委員会にかける必要は ないというふうに書かれておりますけれども、今回の指針では連結不可能匿名化あるい は連結可能匿名化あるいは匿名化しない場合、いずれの場合においても倫理審査委員会 にかけるというようなことが基本方針になっております。  また、倫理審査委員会の構成という観点から申し上げますと、アメリカの指針におき ましては所属機関と利害関係のない者が一人以上、また自然科学以外の者が一人以上と いう規定になっていたかと思いますけれども、間違っていたら申しわけございません。 今回の指針におきましては、外部の有識者として「複数」というのを最低ラインとし、 「半数以上が望ましい」という規定になっておるところでございまして、たしかアメリ カの指針におきまして指針自体には記載されておりませんが、アメリカの指針を改正す る方向に向けてエヌバックという組織が構成されて、検討委員会みたいなものだと思い ますけれども、そこでの議論も踏まえた形で、総体的にはアメリカの指針とほぼ同様、 今申し上げたような幾つかの点で、日本の指針が若干きついかなというような仕上がり ぶりになっているかと思います。 2.各部会の開催状況について ○豊島会長  よろしゅうございますか。  それでは、次に移らせていただきます。  「各部会の開催状況につきまして」、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○事務局  資料6に基づいてご説明申し上げたいと思います。  9月22日に開催させていただきました第9回総会以降の状況でございます。  まず、研究企画部会でございますが、先ほど矢崎部会長からご報告いただきましたよ うに、12月5日に来年度の公募研究事業の方針についてご議論を賜っております。  先端医療技術評価部会でございますが、タイトルに9月22日以降となっておりますの で25回は省略させていただきますが、26回、9月22日に遺伝子治療計画の今後の審議に ついてご議論を賜ったところでございます。  3ページをごらんいただきたいと思いますけれども、遺伝子治療臨床研究実施計画に つきまして、現在の先端医療技術評価部会では1件ごとに審議、検討をいただいている わけでございますが、まず昨年5月にいただきました「21世紀に向けた今後の厚生科学 研究の在り方について」というこの厚生科学審議会の答申におきまして、ある程度、普 及した遺伝子治療臨床研究については審査準則の制定と自主審査体制の充実を検討する べきであるという方向性を提言いただいたところでございます。  また、政府の規制緩和推進3カ年計画の中でも、遺伝子治療等の新技術を十分な情報 のもと、自己責任で本人がその治療方法として選択する場合、それを制限する合理的な 理由が見当たらないことを踏まえ、新しい技術での治療を実質的に制限している状況を 改善するよう検討するというような指摘をされたところでございます。  さらに、アメリカにおきましては、NIH(国立健康研究所)におきます諮問委員会 と医薬品の承認審査等を行っておりますFDA(食品医薬品庁)におきます審査の2つ があるわけでございまして、我が国とほぼ同様の形になっておるわけでございます。N IHは95年にすべての遺伝子治療の臨床研究を審査するという方針から、新規性の高い 計画に限った審査に切り換えたところでございます。  そういうような事情も勘案いたしまして、今後の遺伝子治療の臨床研究の審査のあり 方について、専門委員会をつくって検討するということを事務局からご提案し、先端医 療部会の中でもこの方向に沿って検討してみようということでご決議をいただき、今月 にも第1回目の会合を開くということにしております。  1ページに戻らせていただきますけれども、26回の審議事項の2番は、先ほどご説明 申し上げましたヒトゲノム解析研究の指針でございまして、3番目の「異種移植の取扱 いについて」ということでございますが、4ページをごらんいただきたいと存じます。  4ページに、厚生科学課長及び健康政策局の研究開発振興課長から、都道府県の衛生 主管部(局)長に出した通知の写しが張っておりますが、5ページをごらんいただきま すと、9月22日に出されました先端医療技術評価部会としての見解、すなわち、ヒト以 外の動物に由来する生きた細胞、組織、臓器を人に移植移入あるいは体内灌流に用い て、技術−−これを異種移植と呼んでいるわけでございますけれども、これにつきまし ては、ブタ外財政のレトロウイルスのような未知の感染症等の発現が懸念される。さら に、こういったウイルスの検出・同定方法がまだまだ確立されていないということか ら、例えばアメリカの指針の、これも案でございますけれども、などを踏まえて、倫理 審査委員会で慎重に検討してくださいというようなことを見解として発表していただい て、それを先ほど申し上げましたとおり、各都道府県を通じて、大学あるいはこういっ た研究を行う高度医療機関に徹底していただくための通知を発したところでございま す。  1ページに戻らせていただきまして、一番最後の行が東北大学の遺伝子治療、肺がん の問題でございます。  2ページが第27回、11月13日に開催されております。このときはヒトゲノム解析研究 の倫理指針が議論されておりますし、生殖補助医療技術の専門委員会の検討状況につい ての報告等々があったわけでございます。  また、第28回、これは年月日が抜けておりますが、11月24日に開催されておりまし て、このときもヒトゲノムの倫理指針あるいは生殖補助維持、疫学の問題等々が報告さ れておるわけでございますが、生殖補助医療技術についてご報告申し上げますと、6 ページでございます。生殖補助医療技術、第三者の配偶子提供や代理母等にかかります 安全、倫理、法制面の問題について論点を整理するということで、2年を目途に委員会 としての意見を取りまとめるべく、ここにありますような精力的な検討を賜ってきたと ころでございます。  今、専門委員会としては、最終的な取りまとめに入っていただいておるという段階で ございます。そのために、先端医療技術評価部会にもそれぞれ検討状況をご報告し、部 会でもご議論をいただき、部会でのご議論をまた専門委員会にも報告していただくとい うような形で進めてきておるわけでございまして、できますれば、ここに書いてありま すように年内にも報告書を取りまとめ、再度、先端医療技術評価部会でご検討いただき たい。日程的に申し上げますと、22日にできれば先端医療評価部会を再度開催したいと いうふうに考えているわけでございます。以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。  この件に関しまして、ご意見あるいはご質問ございますでしょうか。  特にございませんようでしたら、これで本日の議題はすべて終了となります。  前回、9月の研究企画部会との合同会議におきまして、事務局から報告・説明があり ましたとおり、厚生科学審議会は来年1月全面改組となりますので、今回でこの厚生科 学審議会総会は最後ということになります。  つきましては、事務局の堺審議官よりごあいさつがありますので、よろしくお願いい たします。 あいさつ ○堺審議官  本日はいろいろご意見を賜りましてありがとうございました。相変わらず、役所の表 現下手、宣伝下手というのをまたまたご指摘を受けたかなという気もいたしておりま す。また、「這えば立て、立てば歩めの親心」のご意見というふうに受け止めさせてい ただきますが、どうか、委員の先生方におかれましては、まだまだ足りないということ もともかくでございますが、社交辞令が多少混じっているよと言われるかもしれません が、「審議会でいろいろ意見を言った結果、研究もテーマもここら辺まで取り上げるよ うになったよ」ということを、どうか社会に向けての情報発信もしていただけましたら 幸いでございます。これは私のひとり言でございます(笑)。  それでは、改めましてごあいさつさせていただきます。  来年1月からの省庁再編の一環としまして、厚生科学審議会につきましても、再編が 行われるという結果、発足以来、ちょうど10回という数を数えるこの総会も本日をもっ て実質最終を迎えることになりました。ここで改めて簡単に本総会の歩みを振り返りま して、委員の皆様のこれまでのご尽力に感謝申し上げたいというふうに思います。  厚生科学審議会の設置自体はそれほど古くはございません。今から4年ほど前の平成 9年4月にこれまでの厚生大臣が主催する懇談会であった厚生科学会議というものを発 展的に改組いたしまして、この審議会が設置されたものでございます。  この厚生科学会議は、これまで厚生科学全般にわたる基本戦略の策定あるいは重点研 究課題の設定等にご尽力いただいたわけでございますが、しかし、それにとどまらず、 日本の国の大きな方向である科学技術創造立国を目指す観点から、平成8年7月の科学 技術基本計画の閣議決定を受けまして、厚生省としてどのように重点的に科学技術の振 興に取り組むべきか、遺伝子治療等の先端医療技術の進展が著しい中で、諸外国と切磋 琢磨しながら技術的な側面だけではなくて、倫理面も含め、いかに適正に研究を推進し ていくべきか。また、厚生行政における健康危機管理の基本的な枠組みをいかに確保し ていくか等々の問題につきまして、大局的な見地から幅広くご議論いただくために厚生 省の所管行政の科学技術に関する重要事項を調査・審議することを任務とする厚生科学 審議会が新たに設置されることになったものでございます。  具体的には、大きく3つの柱、先ほどとも重複することもございますが、厚生科学分 野の研究政策に関する基本事項、これは重点研究分野でございますとか、国立試験研究 機関のあり方等々でございます。2つ目には、先端的医療技術等の評価に関する事項、 3つ目には健康危機管理に関する基本的事項、その3つの柱で審議・検討が行われるこ ととされたわけでございます。  審議会の委員は、大きく自然科学、あるいは社会科学、そのほか有識者という16名で 構成されまして、平成9年5月に開催された第1回の審議会において、豊島会長が選出 されるとともに、常設の部会として研究企画部会、先端医療技術評価部会が設置される こととになったわけでございます。  この総会は、各部会に付議し、取りまとめていただいた報告について、さらに大所高 所の立場からご意見をいただき、審議会として答申をおまとめいただいてきたところで ございます。  まず、総理大臣の決定として、国の研究開発全般に関する評価の実施方法のあり方が 示されたということを踏まえまして、厚生省として適切な研究評価について指針を設定 すべく、平成9年8月にはそのあり方について審議会に諮問させていただきました。  その後の研究企画部会報告を受けまして、平成9年12月に答申をおまとめいただきま した。翌年1月には、それを踏まえて厚生省告示が行われ、今日、ますます極めて重要 な医療となっております研究評価の礎が築かれることとなったわけでございます。  また、厚生科学研究のあり方という、極めて重要かつ広範なテーマにつきましても、 早速ご検討に着手いただきまして、研究企画部会及び総会における1年余りの検討を経 まして、平成11年4月には厚生大臣から正式な諮問をさせていただくこととなったわけ でございまして、研究企画部会の報告を受け、平成11年5月には審議会から『21世紀に 向けた今後の厚生科学研究のあり方』についてご答申をいただいたわけでございます。  今後の厚生科学推進のためのよりどころとなる基本文章、いわゆるバイブルをおまと めいただいたものというふうに受け止めております。現在、答申を踏まえた重点研究領 域の設定、推進、研究体制の整備などの具体化に取り組んでいる最中でございますが、 そのフォローアップにつきましても的確にお導きいただいているところでございます。  さらに、毎年の厚生科学研究費報告の公募研究事業の方針につきましても、基本的な 方向性についてご指導いただいてきたところでございます。先端医療技術分野に関しま しては、手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発のあり方について、平成9年12 月に諮問させていただきました。組織を研究に使用するということは的確な薬理作用の 把握、あるいは臨床試験、動物実験を不必要とできるような大きな利点がある反面、提 供者の人権あるいは倫理面での配慮が不可欠であるため、その是非等について諸外国に おける取組も踏まえ、緊急に検討する必要があるという重要な課題でございまして、先 端医療技術評価部会に付議されました1年にわたる検討の上、まとめられた報告を踏ま えまして、平成10年12月には答申をいただいたわけでございます。  そのほか、生殖補助医療のあたり方について精力的に貢献等いただいてまいりました が、ヒト、肺、研究のあり方を含め、これまでのご検討を踏まえ、引き続きご検討いた だくべき課題が残されているわけでございます。  この審議会のご貢献につきましては、この短時間においてとても語り尽くすことはで きせんが、おかげさまで事務局なりに、国民の健康福祉の向上に向けた望ましい厚生科 学の推進につきまして、歩みを進めてくることができたというふうに考えております。  来年1月には、新たな厚生科学審議会というものが発足いたしまして、新たな部会も 設置されるということが見込まれるわけでございますけれども、事務局といたしまし て、本審議会でご担当いただいた事項について、いずれも重要かつ緊急な事項として、 新たな厚生科学審議会におきましても、高い見識と英知により、引き続きご検討いただ くというふうになるものと考えております。  ただ、さまざまな条件もございまして、委員につきましても異動がなされるわけでご ざいますが、いずれにしましても、皆様方のこれまでのご尽力に対しまして、改めて感 謝申し上げるとともに、どうぞ引き続き、厚生行政への叱咤だけではなくて、激励も含 めてよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  以上、意を尽くせませんが、最後の感謝のごあいつさを申し上げる次第でございま す。本当にありがとうございました。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。                                    <了> 問い合わせ先 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担 当 野口(内線3804) 電 話 (代表)03-5253-1111 (直通)03-3595-2171