00/12/08 第5回介助犬に関する検討会議事録        第5回 介助犬に関する検討会                   議事録         日時 平成12年12月8日(金)15時00分〜17時00分         場所 厚生省特別第1会議室                (開会・15時00分) 板山座長  定刻でありますので、第5回の介助犬に関する検討会、ただいまから開催をさせてい ただきたいと思います。  はじめに、事務局から出席の状況、並びにご連絡をしてもらいましょうか。 社会参加推進室長  それでははじめに出席者についてご連絡いたします。  本日、東日本旅客鉄道株式会社の前田委員の代理といたしまして、同じく東日本旅客 鉄道株式会社営業部サービスグループの岩樋様にご出席いただいております。委員の皆 様、ご了承をいただきたいと思います。  今回も前回に引き続きまして運輸省から運輸政策局消費者行政課、及び運輸政策局観 光部観光地域振興課の担当官にオブザーバーとして出席いただいております。  なお、議事に入ります前に、本日の議題についてでありますが、予めお断りさせてい ただきましたとおり、アメリカの介助犬使用者、スーザン・ダンカン女史をお招きし、 お話を伺うこととさせていただきました。ご了承をいただきたいと思います。  スーダン・ダンカン女史は、明日、財団法人日本リハビリテーション協会が開催いた します平成12年度の厚生科学研究研究成果発表会に参加のため来日されておられます。 以上でございます。 板山座長  それぞれ岩樋さんが代理として、同時に運輸省の方からも担当官のお2人が出席をし てくださっています。また、今、最後にご紹介がありましたダンカンさんが今日はあそ こに座って聞いておられますので、そのことをひとつお含みを願いたいと思います。ダ ンカンさん、ちょっとだけ立ってご挨拶を、ちょっと顔だけ出してください。 スーザン・ダンカン女史  顔だけでよろしいですか。 板山座長  どうぞよろしく。                  (一同拍手) 板山座長  それではこれから会議を始めますが、はじめに本日、配付をいたしました資料等につ いて説明をしてください。 事務局  それでは今、配付しております資料の確認をさせていただきます。会議次第が1枚も のでございまして、その次に資料1という1枚ものがございます。資料2が2枚もので ございます。資料3が8枚ものになってございます。最終頁が8頁になっておると思い ます。資料4が前回の検討会の議事録でございます。皆様、ございますでしょうか。よ ろしければ、若干、資料の説明をさせていただきたいと思います。  まず、資料1、討議事項でございますが、これは本日、議論していただく事項を整理 したものでございます。6番目に書いてございます介助犬の受け入れについて、これを 本日、中心に、その他、介助犬の役割、有効性、使用者の範囲等、時間の許す限り、引 き続いてご議論をいただきたいというふうに思っております。  資料2でございます。資料2はスーザン・ダンカン女史の略歴が書いてございます。 ざっとご説明申し上げますと、ダンカンさんは看護婦さんでいらっしゃいまして、その 後、ワシントン大学社会事業科講師、デルタ協会ナショナル・サービスドッグセンター 所長等を歴任されまして、昨年度からダンカンコンサルタントとして独立をしてござい ます。  ダンカンさんはナショナル・サービスドッグセンターでは介助犬使用者からの相談で ありますとか、啓発活動等を通じて介助犬使用者の社会参加状況の改善に努めてこられ ました。また、全米における介助犬の統一した基準づくりとトレーナーの養成カリキュ ラムの開発に着手してこられたというふうに伺っております。  1978年に多発性硬化症を発症後、1991年、9年前から介助犬とともに暮らしておられ ます。アメリカ、ワシントン州で夫と2人の娘様とともに暮らしておられます。現在、 利用しております介助犬のリンカーンは3頭目の介助犬ということでございます。  この資料の2枚目、これが今日、発表いただく内容でございます。大きく3つ、お願 いをしておりまして、ひとつは障害者の自立と社会参加における介助犬の有効性につい てということ、2つめがアメリカの介助犬の現状と課題、3つめがアメリカにおける介 助犬に対する行政的取り組みということでお願いをしているものでございます。これが 資料2でございます。  資料3でございますけれども、「介助犬の受け入れに関する要望・意見」でございま すが、これにつきましては前回の検討会の終わりに委員の皆様にお願いをしておりまし た介助犬を受け入れる立場から犬と使用者にどのような点を望むかということに関して 委員の皆様のご意見をまとめたものでございます。  本日はこの資料をもとに、実際に介助犬を受け入れられる側からのご意見をそれぞれ からお伺いしたいというふうに思っております。  資料4でございますが、これは前回、第4回の検討会の議事録でございます。前回の 検討会終了後に委員の皆様にお目通しをいただいたものでございます。  本日、ご用意しました資料は以上でございます。よろしくお願いいたします。 板山座長  はい。資料、それぞれお手元にございましょうか。それではこれから会議に入ります が、はじめ、本日は受け入れる立場からのご発言を中心にお話し合いをと、こう考えて おりましたが、今、お話のようにまさに私たちが伺いたいアメリカの状況についてダン カンさんからお話をいただける、こういうチャンスを与えられまして大変にありがたい と思っておりますが、これから30分程の時間、ダンカンさんからお話をいだたき、若干 のご協議をお願いしたいと、このように思っています。  それではダンカンさん、どうぞお願いいたします。 スーザン・ダンカン女史  皆様、ありがとうございます。私、今日、ここでお話をさせていただくこと、大変光 栄でございます。  15分、20分の時間でサービスドッグに関連したアメリカの諸事情すべて説明するとい うわけにはちょっといきませんので、基本的に何を知っておいた方がよいかということ を私の方で選択してお話をさせていただきたいと思います。  アメリカと日本のサービスドッグの事情はちょっと違います。米国には実はサービス ドッグというものは既に法律で取り上げられております。米国の連邦法の中で介助動物 というものは個々の障害者を手助けするために特別に訓練された犬、あるいは動物とい う定義が既に入っております。  この法律とはご存じのとおり、アメリカのADA法、障害を持つアメリカ人法とも訳 されておりますが、そのADA法の下では障害者とは日常生活活動のひとつ、もしくは それ以上を阻害する要因となる障害を持つ者という定義が入っております。  ADA法そのものが施行されましたのは1990年ですから、それ以前の障害者の権利と いうものは極めて不平等なものでありまして、視覚障害者が言わば障害者の中で最も社 会的権利を持っている方々であったと言えましょう。  1970年代の後半になりますと、視覚障害以外、その他の障害を持っている方々の声も だんだんと大きくなってまいります。これらの方々が自立した生活を営むためには、職 場に復帰をするということが必須になってまいりました。その中でそれでは法的にこの 方たちが職場に復帰できるためには、公共の場所のアクセスはどうか、その他、法的な 側面は整備されているかどうかということを連邦政府は考え始めたわけです。  ADA法というものは、ですからサービスアニマルそのものを扱っている法律という ことではありません。サービスアニマル自体がADA法のほんの一部であります。全面 的に障害者の権利、アクセスを支援するために職場、政府が出しております公共サービ ス、その他の公共の場所、レストラン等へのアクセス、そういった問題の法的な側面を 整備するために作られた法律と考えてください。  60年代のアメリカを振り返ってみますと、相当数の盲導犬が既に社会に出ておりまし たが、盲導犬しか社会に出ておりませんでした。その時点では連邦法はございませんで したので、盲導犬のアクセスを確保できるのは各州によって異なる州法の下にでした。 また、酷い州になりますと、その州の中でも各市町村において若干ルールが違うという ような現状があったわけです。そういたしますと、盲導犬のユーザーでも一人ひとり、 自分でここは入っていいのかいけないのかということを聞いてまわらなければいけない という状況に対応しなければなりませんでした。  60年代から80年代におきまして、盲導犬以外にも犬が各障害のサポートができる可能 性がだんだんと理解され広がってきました。ご存じのとおり、その時代に聴導犬の訓練 が始まりましたし、てんかん発作などを予知する発作予知犬というものが訓練されはじ めました。それ以外に私が使っております動作介助犬、これは動作介助というものは物 を拾ったり、あるいは扉を押したり等、いろいろな動作介助をしてくれる犬ですが、こ ういったものが出てきたわけです。  ところがこういった犬たちが増えてもアクセスは依然として悪いわけです。そこでこ の60年代から80年代の間におきましてこういった犬を使っている方々が連邦政府に対し て陳情しはじめました。我々はこの犬たちを我々の自助具として使っている。車椅子を 使ってアクセスができるところを何で自助具として犬を選んだばかりに、そこへのアク セスがないのだろうかという不平等さを訴える声が出てきたわけです。  そういった声を受けまして1990年のADA法が世に出たわけです。そこにおきまして は、サービスアニマルを使っている人たちが公共の場へのアクセスが連邦政府の法律の 下に保障されるようになりました。  90年に連邦法ができたときには既に州法はもう存在しておりました。その各州におき ましては、例えばアクセス権が盲導犬や聴導犬のみに与えられるというような極めて制 限的な範囲の狭い法律を持っている州も非常に多かったわけです。そこで連邦政府はA DA法の中に次のような条文を書き込みました。「州法と利害が対立した場合にはより 広い範囲に当てはめることができる方の法律を優先する」と。つまりADA法が州法を 上回る優先権があるということを主張したわけです。  ということは、私が例えばある州に行って、その州の法律の中では公共の場所へのア クセスは盲導犬のみという州法があったとしても、現在はADA法という連邦法を使っ て私は動作介助犬を使っていますけれども、この犬でのアクセスも保障してくださいと 主張することができるわけです。  私がナショナル・サービスドッグセンターの所長をしておりました頃、年間、やはり 問い合わせ件数は3万5千件以上でございました。その問い合わせの主たるものという ものはやはりアクセスの問題、これはユーザーのみならず行政機関や企業、店舗等から の電話もありました。その中では私が発見したことは、我々が介助犬と言っておりまし ても、今まで盲導犬に与えられてきたアクセスも我々がこれから勝ち取ろうと思ってい るものも現状はそう変わらないということなのですね。  我々が盲導犬を含めて介助動物の歴史を紐解いてみますと、こういった犬たちが障害 者の援助、自立生活に対してどれだけ役立つものかという、いわゆる研究、本当の意味 でのリサーチがあまりやられていないということが発覚するのです。  確かに個人的なレベルで社会への復帰、社会への再統合を円滑にする潤滑油的な効果 を果たすというようなことも言われておりますし、一人で外を歩くということができる 、自信を障害者がつけることができるといった極めて抽象的な言葉が発されております 。  例えば盲導犬に関しましても盲導犬を連れているときと連れていないときと、例えば 転ぶ回数とか、物にぶつかる回数はどれだけ違うのかというような、そんな確率を見た 人もいないわけです。ほとんどの人はただ、見て、ああ、これは有効に違いないという 言葉を発するだけに留まっているのですね。  盲導犬に関しましては、ただ、かなり昔から認められてきている、あまり疑問を持っ た人はいなかったのですけれども、最近、出てきました動作介助犬に関しましては盲導 犬に聞かれなかったような疑問を実は持たれるに至っているのです。  1996年にバッファロー大学のドクター・カレン アレンと共同研究者のブラスコビッ チが動作介助犬が実際に障害者に対してどのような有効性を持つものかということを科 学者として研究をしました。このアレンとブラスコビッチの研究を読んでみますと、動 作介助をする犬を連れたことによって、その犬のユーザーは社会生活、地域社会に貢献 するような生活をすることができる。学校や職場に対して欠勤することがなく、出席率 も高くなる。それに加えて自分の個人的な身の回りの世話を独立心を持ってやることが できるようになる。  結果として何が起こるかというと、実は人的介護が必要な時間が激減するというので す。それをドルに換算するとどれぐらいの人的介護費が浮くかというところまでアレン とブラスコビッチは見ました。米ドルで言いますと、サービスドッグによってもたらさ れる恩恵は人的介護費から年間6万ドルマイナスということになるわけです。  我々のアメリカの実は健康保険制度というものは日本のそれとだいぶ違います。ほと んどのアメリカの人々は自分で民間の業者にお金を直接払うというシステムを使ってい るわけです。  ところがいわゆる公的な機関が有しております保険制度、2つございます。ひとつは 収入を得ることができない障害者を対象としたメディケード、もうひとつが高齢者を対 象としたメディケアです。これは今まで60歳でしたが、最近は65歳を対象とするように なっています。このメディケードもメディケアももともとは連邦政府がお金を出すもの なのですが、連邦政府のお金は州政府に渡ります。州政府から各メディケード、メディ ケアの恩恵を受ける方々に分配されるようなシステムになっています。  さきほどお話しましたアレンとブラスコビッチの研究の結果があまりにも衝撃的なも のであった故に、それを受けて3つ程の州におきまして現在、この健康保険制度の中で 介助犬を購入、あるいは介助犬を訓練する費用を賄うシステムを考えております。私も コンサルタントとしてこの3つの州に介助犬に対する公的な援助をどのように出すべき かということのコンサルテーションを行いました。  こういった3つの州で、かつその州のこのような公的な保険制度の下で犬を得る資格 がある人々以外の方々、つまり大多数の方々は現在、介助犬を得ようと思えば自分で個 人的にお金を出して訓練をしてもらう。あるいは民間の福祉系の団体等で寄付金を集め て介助犬を訓練しているという育成団体に行かなければなりません。  現在、アメリカでは介助犬を手に入れる方法は3つあると思います。出所が3つとい うところですが、ひとつは育成団体。もうひとつは個人のトレーナーで訓練士で訓練し ている人もいます。もうひとつは独自に自分で障害者が犬を訓練するという道もオープ ンです。既に訓練された犬を団体から貰うのが一番いいと思っている方が多いのですが 、しかしながら、こういったシステムの中には現在、アメリカではたくさんの問題が内 存しています。  まず、基本的にアメリカの育成団体のもとのモデルとなったものは盲導犬の育成団体 です。なぜかと言えば盲導犬が非常に長い歴史を持っているので、その上に積み重ねて 介助犬の団体ができたのです。盲導犬の育成団体というものは基本的には盲導犬のハン ドラーには負担をかけない、いわゆるNPOで、かつ、受益者に対しての負担を軽減す るための寄付を集めて成り立つ機関として存在しています。ですから、地域社会からど れだけ寄付が集まるかによってどれだけの仕事ができるかというところは決まってしま います。  現在、こういった介助犬の育成団体が育ってきておりますけれども、もともとそうい った団体が育ちはじめたときに、盲導犬の団体はあまりそういった団体に情報を出しま せんでした。あまりコミュニケーションはなかったのです。結果として新しい介助犬の 育成団体は独学でどうやって寄付を集めたらいいか、どうやって犬を訓練をしたらいい かということを学ばなければなりませんでした。  盲導犬を含めて様々な介助犬が世の中に出てきているこの歴史、80年程を振り返って みますと、ほとんど横のコミュニケーションがないというのが現状でした。トレーナー 間の情報交換がない。団体運営の情報交換がない。出していく犬たちに対してクオリテ ィ・コントロール、品質管理をどうやっていくかというコミュニケーションも全くない のが現状です。  また、残念なことに訓練する団体や個々の訓練士間において地域社会の寄付を奪い取 る、お互いから奪い合いというような悲しい状況が存在しております。  また、社会の寄付というものはそれは移り変わりがあるものですから、年々の変動に 対してこちらの団体の方から出せる犬を約束できない場合もあるわけですね。ですから 、本当に需要はあるのですけれども、その需要に見合っただけのトレーナーがいるか、 またそのトレーナーたちが需要に見合っただけの犬を排出することができるかというと 、残念ながら現状はそうはいきません。  こういったシステムというものは障害を持つ人にとって決して理想的なシステムでは ありません。自分の生活を改善していくための自助具を手に入れるために、社会の寄付 に頼らなければならないというのは、これは本当に遺憾なことであると私は思います。 需要が高いためになかなか犬を与えてもらえない。育成団体によっては待ち時間が極め て長いところがあります。今、アメリカでの範囲というのは1年という団体から9年待 ちなさいという団体までいるのが現状です。  トレーナーや育成団体不足のために自分の地域社会にそういった的確なことをやって くれる人がいない場合には、自分の地域社会から遠くまで離れていったところでわざわ ざ訓練を受けてこなければならないというのが現状です。結果として、例えばこういっ たところに嵩む旅費等を含めましてサービスドッグというものはますます高額なものに なってしまいます。  トレーナーに関する、訓練士に関する品質管理ということに関して言えば、盲導犬の 世界もないし、また、アメリカにおきましては介助犬の世界にもそういったものは全く ありません。ということはそのトレーナーたちが排出する犬たちもやはり品質管理がど の程度、施されているかという保証がないということ。もうひとつはトレーナーが犬を 渡したハンドラーに対してどれだけアフターサービスができるかということにもかなり 差があるということなのです。  もうひとつは介助犬のトレーナーには現在、医学的知識は求められていません。それ 故に自分が対象とするハンドラーの障害がどんなものか全く理解せず犬を作ってしまう 訓練士もいます。  各育成団体はそれぞれ犬に対する申請方法、異なったものを持っております。その申 請書の中には多くの場合、障害者が自分の障害名、今までの病歴、経緯などを詳しく書 かなければならない部分があるのです。それは非常に個人的なデータであり、かつ、そ の個人的なデータを集めたところでその障害のレベル等に関して評価できる者が育成団 体にいないという悲しい現状もあるわけですね。  こういった訓練の状況に関するユーザー側のクレームはどういったものがあるという と、ひとつは自分たちが出した自分たちの病歴に関する個人的なデータがトレーナーの 口から外に洩れてしまったという問題がある。  もうひとつは、自分たちの病状に合わせて完璧に犬を仕上げてもらうことができなか ったというクレームも出てきます。  もうひとつは、トレーナー自身を教育するためのカリキュラムというものは一定のも のが要求されているわけでは決してありません。ですから、トレーナーが教育的な背景 によっては犬の訓練そのものに対しても極めて狭い見方しかできません。そうすると犬 の訓練の範囲がどれぐらい広いものかというのをトレーナー自身が理解していない。結 果として重複障害を持っている人はすべての障害に対して犬が適応できるような訓練を 受けることができないという現状がどうもあるように思えてなりません。  こういった重複した障害を持っている人たちからいろいろなクレームを、私、耳にし ますが、私自身がやはり同じ立場におります。私は病気の性質故に動作介助も必要です 。 時折、視力が低下いたしますので盲導犬と同じような役割を犬に要求しなければならな いときもあるし、発作を起こすこともありますので、発作予知を犬にしてもらう場合も あります。ということで、私を動作介助してくれるだけの十分な体力と筋力のある犬、 私が目が見えなくなったときに誘導してくれる能力のある犬、発作を起こしそうなとき に予知をしてくれるだけの犬。そういった訓練を施された犬を私は必要なわけです。  私が本当に最初に障害を持ってしまったときにサービスドッグを求めて30以上の機関 に電話をしました。その当時、私は新聞受けに新聞を取りに行っても転んでしまうと立 ち上がれないので、怖くて家から一歩も外に出られなかったのですが、そのときに様々 な団体からいろいろな答えが返ってきました。ある団体はあなたの障害のレベルでは軽 すぎるから犬は出せませんと言われました。別の団体はあなたは重複障害ですね。そん なたくさんのことを犬に訓練できませんから無理ですと言われました。別の団体はお金 をどれぐらい積んでくださるかによって犬は出せますということも言われました。  我々は消費者の間での話を聞いてみますと、そういった声が非常に多いのですね。お 金にまつわる話。非常にお金が高いという話とか、あるいは基本的な料金はいくらぐら いかと聞くと、3万ドルから5万ドルの範囲でというふうに曖昧な答えしか返ってこな い。この3万ドルから5万ドルというお金というのは一般の家庭で犬を得るために払え る範囲をはるかに超えているものであると私は思います。そういった料金の中にいった い何が含まれているかというと、純粋、犬の購入と犬の訓練にかかった費用以外にもス タッフの給料とか、建物とか、減価償却されるべき様々な機械類とか、そういったオー バーヘッドが皆、この中に含まれてしまっているのですね。  もうひとつ、育成団体の問題では、実際に所有権を譲渡しない団体がたくさんいるわ けです。そういった場合には犬は終生、団体の持ち物ということで、訓練所を使ってい るときに問題が生じてもユーザーは犬を取り上げられてしまうのではないかという恐怖 感のもとに多少のクレームはあまり育成団体に言ってこないというわけです。  結果として何が起こるかと言うと、これは悪循環なわけですね。犬の訓練が例えば低 下してしまった。問題が生じた。でもこれを言うと取り上げられてしまいそうだから言 わない。そうすると問題がどんどん大きくなってくる。犬を飼うことのストレスの方が 介助犬から得るヘルプより大きくなってしまう。もうこれは犬と暮らすこと自体、その ものが問題になってきてしまう。ところが最終的に非常に苦しい状況になっても、ユー ザー自身は自分がこの犬に対してとても愛情を抱いているし、もし、何か文句を言った らきっと連れていかれてしまうだろうから、それでも我慢して飼おうと考えてしまうの です。  私、3頭目と申し上げましたけれども、私、自分のサービスドッグを自分で訓練して おりますが、1頭目は実はもともと家庭にいた子をトレーニングをしましたが、不運な ことにその子が癌になってしまいまして、我々が予期せぬ時期に死期が来てしまいまし た。次の犬は8年程、私のもとで作業してくれまして、現在は引退して家におりますが 、今、ここに連れてきているのが3代目のリンカーン、今、テーブルの下におりますの で、皆さんにはご覧にはなれませんけれども。  この犬たちのお陰で私は家から踏み出すことができました。職場に復帰することがで きて、結果として収入を得て自活することができるようになったわけです。もちろん旅 行もすることができて、そのために皆さんに会いにここへ来れるわけですから、その他 にも私は家族の一員として家族のためになるような貢献もできる。また、社会の一員と して社会の様々な部分に人間的な貢献をしていると自負しております。  これからビデオをご覧にいれます。これは私の先代の犬です。ジョー、この子は実は ミックスブリード、混血犬で、雑種と言うとちょっと失礼なのですけれども、ミックス ブリードなのです。洋服を今、脱がせてくれていたり、さっきご覧のように例えば食器 洗い器から棚を出すなど、家事手伝いもしてくれます。1993年に実は全米のサービスド ッグ大賞をいただきました。  転ぶとこのように私に肩を貸してくれます。そして最後に頭をぼんとはねあげること で私の体を元に立て直す力を与えてくれるのですね。他の人に頼る必要がありません。 さきほどATMからお金を引き出していますけれども、私、指先の感覚が非常に乏しく なっておりますので、お金を持つとすぐ落とすのです。ですから、犬がATMからお金 を引き出して私に渡してくれます。  本当によく訓練された犬であれば、障害者にとって今、依存している生活から独立し た生活にいとも簡単に移行することができるわけですから、そういった質のいい犬を提 供するということは本当に大事なことだと私は思います。  私、日本に3度目の来日ですけれども、この3度目の来日において前回、前々回と比 べてアクセスが非常に良くなったのを感じております。例えば今年はタクシーに全然断 られた経験がありません。列車にも乗せていただきました。非常に楽になりましたけれ ども、もう少し改善の余地はあると私は思います。とにかく毎回、毎回、いいですか、 いいですかと聞かなければいけないのがどんなに大変かご理解ください。  飛行機、実はこれは国内線に乗り換えたときなのですけれども、飛行機はもうどうぞ 、どうぞ、介助犬でお乗りくださいと言ってくださいましたが、飛行機の乗り場という か、飛行場に行って、はっと気がついたのはタラップがあったのです。私、登れません 。  例えばタラップのことなんかはサービスドッグ関連の問題ではないのですね。これは 障害者に対するアクセス権の問題であって、そこを見ていただきたいのです。犬という 問題ではなくて、障害者の全般的な社会へのアクセスがどうなのかという視点から、ぜ ひ、お考えいただきたい。社会復帰をする、社会に貢献をするということは障害者にど うやってやったらいいものかということを考えていただきたい。  ホテルも一応、最初から同じホテルを使っていまして、そこはとてもご親切に受け入 れてくださるのですが、最初にそのホテルを使ったときには廊下でスタッフに会います と、大きな犬が出てきて皆、ギャッとびっくりなさるのですね。今は廊下で出会うスタ ッフでギャッと声を上げる人は一人もいません。また、いらしたのですかというお顔で 私の犬に話しかけてくれたりします。  店舗等も何も聞かずに黙って入っていっても何も言われたことも今回はございません 。 ところがひとつ問題ははとバスに乗ろうとしたら断られました。はとバスで東京観光は どうもサービスドッグを連れてはできないようです。  改善をされている状況は私も目の当たりにしておりますので、これは喜ばしいことだ と思いますけれども、やはり介助犬を連れた人がもっと自由に社会に出るためにはまだ まだ改善の余地が日本の社会にはあると言わざるを得ないでしょう。  今、日本の社会において介助犬を考えるときに、重要な決定を下す時期は今しかない と思ってください。もう情報に国境はございません。誰でも世界的な情報にアクセスす ることができますので、障害者の方や一般市民の方は介助犬という名前を非常に多く耳 にしますから、欲しい人はどんどん名乗りを上げてきます。また、多くの方々がサービ スドッグのトレーニングをするというご商売、あるいはそういった職業をお考えになり はじめておりますが、アメリカの問題を申し上げたように、訓練基準やトレーナーを育 てるためのカリキュラムがなければ、今の散り散りばらばらのアメリカの社会と同じよ うな状況が日本にも必ずできてしまいます。  サービスドッグを商売として考える方々は世界各国にたくさんおられます。そういう 方々が日本のマーケットを見て、ここにサービスドッグが売れるじゃないかという考え る日も近いと私は思います。ですから、日本のマーケットを搾取する、ひいては日本の 障害者を搾取するような方々が海外で動きだすということもおそらく遠い将来ではない と私は思っています。  もうひとつはこういった経済的な搾取のみならず、海外から訓練された犬を輸入して しまうと行動問題が起こったときにフォローアップをするトレーナーはいったいどこに いるのでしょうか。これはもう盲導犬であろうと、聴導犬であろうと、あるいは動作介 助をする介助犬であろうと、全くすべて同じだと思いますが、こういった犬たちを自信 を持って社会に出すことができる方法というものは唯一、何か問題が起きたときには必 ず専門家がプロとしてサポートに関わってくれるというシステムができているときだけ だと私は思います。  アメリカで今、トレーナーの世界で起こっている様々な問題を考えてみますと、今、 日本のこの若い段階においてトレーナーに対してのカリキュラムをきちんと作ること、 トレーナーを認可制、あるいは国家資格制、何らかのこういった規制をかけるようなシ ステムを作るということは非常に大切だと私は思います。責任、クオリティ・コントロ ールという意味におきましても、これは極めて重要なポイントです。  様々な種類の介助をする動物がいるというお話をいたしましたけれども、サービスド ッグというものをひとつの大きな定義を作って、そのもとにすべての様々な介助をする 動物が入るというシステムにすることができれば、その定義の下で様々な障害を持って いる方々が平等にサポートを受けることができるのであるというメッセージを受け取る ことができると思います。  障害を持つ方々に関するアクセス権ですが、これはひとつの市町村、あるいは県単位 ではなくて、全国でのアクセスを確保するためには何をしたらいいかという観点から、 ぜひ、お考えください。  こういった様々な障害に向かってのサービスドッグの有効性、サービスドッグの受け 入れ体制に対する教育、啓蒙活動をやるには、育成団体ではなくて第三者的な学術機関 を用いなければ絶対に駄目であると私は言い切ることができます。  これで何らかのお役に立てたかどうかは私はわかりませんけれども、短い時間にあま りにも多くの情報を提供してしまったかもしれません。どうもご静聴ありがとうござい ました。                  (一同拍手) 板山座長  スーザンさん、ありがとうございました。大変貴重な、そして新鮮な情報を提供して くださいました。ありがとうございました。  少し時間が迫っていますけれども、せっかくのチャンスですから、皆様方からご質問 等ありましたら1、2、お答えをいただきたいと思います。  なお、明快な日本語で通訳をされたあなたは何というお名前ですか。 山崎氏  介助犬アカデミーの常任理事をしております山崎と申します。 板山座長  山崎さん。大変素晴らしい日本語で。山崎さん、ありがとうございました。  どうぞ、何かご質問ございましたらどうぞ。 満野委員  日本ホテル協会の満野と申します。どうも今日はありがとうございました。 さきほ ど日本にいらっしゃったときにびっくりしたのはホテルの人間だったと、非常に大きな 犬がいたというお話があったのですが、米国でのホテルでの受け入れの状況というもの はどういう状況でございましょうか。モーテルがあり、インがあり、いろいろなカテゴ リーのホテルがあるわけですが、全般としてのお話でございます。 スーザン・ダンカン女史  基本的にアクセス権のみを扱ってお答えいたしますと、連邦法の下で断ることはでき ないのですね。ADA法の下で介助犬を。ですから、ほとんどのホテルはもう業界の中 で連邦法、よく知っておりますから全く文句は言いません。  ただ、ときにはこの犬は何ですかと言われることもあります。そういうときにはこう いう法律がございますので、もし、ご理解いただかなければ地元の警察署で法律のお話 をさせていただきますと申し上げますと、だいたい入れていただけます。  ご存じの方、いるかもしれませんが、アメリカではいわゆる車で旅行する方のための JAFというような、日本のJAFと同じようにトリプルAというシステムがございま して、そのトリプルAか旅行ガイドでホテルなどのランキングをしています。  そのホテルなどのトリプルAのランキングのために、私、調査班といたしまして、サ ービスドッグを連れて様々なところを訪れることがございます。ときにはまったくサー ビスドッグを以前、受け入れたことがないというところに調査にまいることがあります けれども、そういったときには犬ですかとちょっと渋い顔をされるのですけれども、実 際に調査をしなければいけないので、そちちらは渋々受け入れてくれます。ただ、調査 が終わって帰るときには、いや、お子さん連れよりも犬連れの方がこれはいいですなと 言ってもらえます。 満野委員  ありがとうございました。 板山座長  その他、どうぞ。ちょっと質問をしていいですか。今、アメリカにはこの介助犬、何 頭ぐらい、何人ぐらいの方が使っていらっしゃる。 スーザン・ダンカン女史  アメリカでは誰でもサービスドッグを作ることができますので、いわゆる登録制等で はございませんから、いったいどこで、誰が、何頭、作っているのかというのは本当の 意味では把握できないのです。  ただ、我々が会議などを開いて情報交換をしたりするという人数を考えて、実際に目 に見えているところでは約2万頭ぐらいだと思います。おそらく目に見えていないとこ ろではまだたくさんいると思いますけれども。  ただ、サービスアニマルという法律の下では盲導犬もそこに含まれていますので、こ の2万頭の中には盲導犬も入っています。  一言、最後に申し上げれば、私は実は看護婦の資格を持っています。医療従事者です 。 ですから、自分の病気もよく知っています。自分の病気にどんなオプションがあるかと いうことも知って、本当にいろいろな自助具を実験的に試してみました。私、犬以外で もっといい自助具があれば犬を連れて歩くよりもその自助具を使います。ただ、何を使 っても犬ほど、柔軟性があり、携帯性のいい自助具というものはないのですね。私にと っては。ですから、犬と一緒に今、いろいろな仕事をすることになっています。 板山座長  ありがとうございました。何かその他、ご質問ございますか。  なお、明日は何時から場所はどこで厚生科学研究の発表会をなされますか。これは高 柳さんから。 高柳(哲)委員  私の方から言います。先生のところ、日本障害者リハビリテーション協会の主催で、 介助犬の基礎的調査研究班が3年目になりまして、その研究成果発表会ということで、 タイトルは「介助犬とともに生きる。なぜ人ではなく介助犬なのか」という大きなタイ トルで、スーザン・ダンカンさんにもお話をいただくのですけれども、他に介助犬使用 者に集まっていただいていろいろなお話をぶっちゃけてしていただくことにしておりま す。あと、質疑応答をすることにしていまして、場所は灘尾ホールです。 板山座長  全社協ですね。新霞が関ビル。 高柳(哲)委員  霞が関ビルの隣です。 板山座長  時間は。 高柳(哲)委員  午後1時からでございます。 板山座長  はい。ありがとうございました。どうぞ。 谷口委員  介助犬が、もし、トレーニングしているからそんなことはないのかもしれませんが、 例えば何らかのトラブルを起こしてしまったときに、責任の所在というものはどういう ところにあるのでしょうか。 スーザン・ダンカン女史  これは社会で実働中の場合にはサービスドッグの最終的な責任を負う者は常にハンド ラーです。ですからユーザー自身ですね。トレーナーの責任とはなりません。トレーナ ーが出してユーザーに渡して、ユーザーがその犬と社会に出たらすべての犬の管理責任 はユーザーにある。  例えば犬が誰かを噛んでしまったと。不運なことに誰を噛んでしまったら、そこから 今度はこれは動物管理行政の問題になってくるわけですね。その犬がサービスアニマル としてどうこうというよりも、動物管理行政としてその噛んだ犬にどうやって対応する かという、そういった方面で対応しなければいけなくなってきます。  ADA法というものは障害者にすべてを許しているわけではないのですね。サービス ドッグを連れて入る権利を与えているけれども、ADA法の中でサービスドッグが公衆 の安全に危険を及ぼすような行動をした場合、あるいは様々な損害を相手に与えるよう な行動をした場合には、その企業主はサービスドッグをその場からどけてもらうよう要 請する権利があります。そこで出た被害に関してはユーザーがすべて払わなければなり ません。 板山座長  谷口さん、よろしゅうございますか。 谷口委員  はい。 板山座長  スーザンさん、ありがとうございました。また、もし、これ以上に、ぜひ、聞きたい という方は、明日午後1時から新霞が関ビルの1階に灘尾ホール、全社協、全国社会福 祉協議会の多目的ホールがありますので、そこへ、ぜひ、ご出席をしてください。大変 短い時間、スーザンさん、ありがとうございました。 スーザン・ダンカン女史  ありがとうございました。 板山座長  皆さん、拍手でもってお送りしましょう。                  (一同拍手) 板山座長  山崎さん、また、明快な通訳をありがとうございました。 山崎氏  ありがとうございました。 板山座長  高柳さん。お一人で見えたの。 高柳(友)委員  旦那様とご一緒です。前回はお一人で。 板山座長  はい。どうも。それではこの検討委員会を続けたいと思いますが、今日は主なテーマ は介助犬を受け入れる立場から様々なご発言、問題提起をしていただこうと、こういう ことであります。  残された時間、1時間ぐらいでありますが、まず、飛行機、航空機という立場で日本 エアシステムの秋山さんからひとつお話を、まず、はじめにいただきたいと思いますが 、資料はこれ頂戴していますね。秋山さんからご発言をいただきます。どうぞ。 秋山委員  日本エアシステムの秋山でございます。時間も押していますので、資料に基づきまし て簡潔にご説明をさせていただきたいと思います。  今回のテーマ、非常に重要なことで、ひとつには介助犬にスポットを当てますと介助 に関するスキルというのでしょうか、今のダンカンさんのお話をお聞きしましても個人 のご症状等によって非常に盲導犬とは違う難しさがあるのだなという感じがしておりま す。  ただし、いわゆる輸送機関の方の受け入れとしましては、これは前提と言いますか、 お話しておいた方がいいと思うのですけれども、介助に関するスキル云々よりも公衆の 安全とか、そういうことがきちんとできていれば基本的に受け入れる道が開かれている ということが一番大切なポイントでないかと思っております。  航空機の安全運行、及び乗客、乗務員、機内設備等での不具合がないことが大原則と いうことですので、それらの不具合の発生防止につながるためには、どのようなことを これからやっていけばいいのか。並びに後支えとして法制化を、ぜひ、お願いしたいと いうことでございます。  1番目に書いておりますのは、まさしく今回のテーマの主要なところでもあります介 助犬の使用者の基準と責任の整理、それの充実と、決まった後の確実な実施、またそれ を実施の管理をどうしてやっていくか、システムですね。そういうことが社会的にも安 心というふうな側面には働いてくると思いますので、ぜひ、この辺をお願いしたいと思 っております。  元となるのはやはり日本介助犬アカデミーさんのだいたい今までにほぼまとめられて おられます介助犬の定義と基準ですね。それとすべての面で盲導犬関連のいろいろな仕 組みを知っているわけではないのですけれども、基本的にはおそらく順調に推移してき ている盲導犬を一番基本的なところとしていただけたら輸送機関としては非常に安心だ なという面を考えております。  2点目は、これは航空会社の課題でして、適切な注意義務、今もアカデミー様が作ら れたものをもとにしたチェックリストとか、いろいろなものがあるのですけれども、今 後、この検討委員会の最終にも向けまして航空会社としての適切な注意義務を何をすべ きかというものも、これもエララインがまとめるのですけれども、何かご助言があれば いただきたいというような趣旨で書いております。  3点目には、今も責任の面と出ておりましたけれども、やはり不具合が万一発生時の 使用者の責任の明確化。例えば保険に入っているとか、また、その場合、盲導犬の場合 はどうなのだろうと。ただ、航空会社としましては、綺麗事で言うのではないのですけ れども、近頃、人間のご乗客の方でも酒酔い、喫煙で飛行機をどこかに持っていっちゃ う、非常にご迷惑な方もいます。今、お話にありましたようにある意味ではお子さんと いうものも非常にうるさい存在であったりしてあるわけでして、犬だからどうこうとい うのではなくて、万一あった場合のとき、法律は詳しくありませんけれども、例えば大 きな犬か何かあったときには、頻度の程度ではなくてダメージの程度は酷くなる恐れが あるかもわからないという見方から含めまして、この辺のことをいろいろと整理検討し ていただけたらというふうに思っております。  今、ダンカンさんのお話でもありましたけれども、所有者と使用者の方が異なる場合 の責任等もどうなのだろうか。アメリカでは今、使用者の方というふうなことがありま したけれども、盲導犬の例を含めましてまたどういうふうになっているのでしょうかと 。  4点目には社会認知促進のための施策の推進ということで、ビジュアル物の統一と書 いておりますけれども、ハーネスですとか、ステッカーですとか、呼称は介助犬という ことなのでしょうけれども、いろいろな目に、特に目に映るもので早く社会全体の認知 度を高める工夫をいろいろやっていただきたいなというふうに考えております。  参考としまして1番に書いていますことは、最初に申し上げましたことで、航空機の 場合には地上、機内とも係員がおりますので介助犬の介助自身のことではなくて、落ち ついていられるとか、公衆安全がちゃんとしているかということが重要なことかと思っ ております。  2点目にも申し上げたことですけれども、実績のある盲導犬制度を基本にしまして、 ただ、この際、盲導犬のいろいろな制度が過不足等、どうなのだろうかということも私 どもも知らないことも多いですので教えていただくとともに、検討していただいたらど うかというふうに考えております。  その他のところで参考程度に書いておりますけれども、今は乗っていただくときには 航空各社でそれぞれ覚書を交わさせていただきまして、アカデミーさん等がもとにいた しましたチェックリストをもとにして乗っていただくことになっております。  交通機関の中では比較的緩やかな方かなと考えておりますけれども、これが法制化後 はいわゆる盲導犬と同様にいろいろな各覚書とか、チェックとかなしでお乗りいただく というふうにできるのが一番理想的でないかというふうに考えております。手短ですけ れども、以上でございます。 板山座長  ご質問もあるかと思いますが、4人の方にご発言をいただいた後で一括して質疑をし たいと思いますのでよろしくお願いします。  それでは前田さん、岩樋さん、やってくださいますか。よろしくお願いします。 岩樋氏(前田委員代理)  JR東日本の岩樋でございます。私ども受け入れ側の立場としてお話をさせていただ きますと、ポイントは2つだと思っております。ひとつは、列車の運行に関して支障を 与えないという点。もうひとつは他のお客様のご迷惑にならないという点だというふう に考えております。  列車の運行に支障を与えないという点は今回、割愛させていただきますけれども、私 どもの要望としましては他のお客様に恐怖感、不安感、危害を与えない、迷惑にならな いという観点から、次の今回出させていただきましたけれども、次の性質を備えている 必要があるというふうに考えております。  簡単に申し上げますと、(1)吠えない、噛まない、飛びかからない、威嚇しない。(2) 臭わない、不潔でない。(3)その他としていますけれども、要は列車の中で食事を取った りとか、水を飲んだりとか、あるいは排泄したりとか、こういう行為自体を他のお客様 に若干、違和感を与えますので、そういう行為をしないといったような、他のお客様の 観点から立った条件を備えていただく必要があるかと思っております。  今のは介助犬の性質でございますが、次に使用者、ユーザーに対する要望としまして、 犬ですからどうしてもいろいろな状況の中でいろいろな行動をする可能性があるという 視点に立ちますと、使用者が十分にコントロールしていただけると、そういう能力を備 えていただけるということが必要かなと思っております。  3番目としまして介助犬育成団体に対する要望として掲げさせていただきましたけれ ども、要は責任の明確化ということだと思っています。これは全体の枠組みの中で誰が どういうふうに責任を取っていくかということを明らかにすべきであると考えておりま す。  前回のこの検討会の中でポイントかなと思いましたのは、これまでは私どもとしまし ても介助犬をどのようにして受け入れるかという視点で、また、最初の出発点のところ でいろいろ検討してまいったわけですけれども、何年か介助犬を使われるということで あれば、どうやってフォローアップしていくかと、アフターケアしていくかという点が 非常に今後はポイントになってくるかなというふうに思っております。  最後にここにはちょっと掲げてはおりませんけれども、私ども、これまで何件か実際 、受け入れた実例がございますが、その度にニュース等で、新聞等で報道されたときに 、いいことだという形で報道される一方で、お客様の中にはどうして受け入れるのだと 、自分は犬がいると怖いというような声も上がってきたり、実際、上がってきておりま す。 そういう方に対して、いや、これは大丈夫なのだと、役割犬であるので他のお客様に迷 惑を与えないのだということをPRしていくことも同時に進めていかなければいけない かというふうに思っております。  あともう1点だけ最後に申し上げますと、現在、数頭しか私どもの方では実例がござ いませんので、駅員とか、他のお客様もだいたい介助犬という証明書を犬の胴体に掲げ ておりますので識別はできるかなというふうに思っております。これから数が増えてき ますと、盲導犬のハーネスのような駅の社員であれ、他のお客様であれ、これは普通の ペットとは違う犬であるということを容易に識別できるような手段というものを講じて いただく必要があるかと、このように思っております。以上でございます。 板山座長  ありがとうございました。受け入れる立場からの大変大切なご指摘をお二方からいた だきましたが、続けてダイエーの立場からひとつ、高嶋さん、よろしくひとつお願いし ます。 高嶋委員  ダイエーの高嶋でございます。流通業、小売業を含めまして百貨店、我々のスーパー マーケット含めまして実は介助犬の受け入れを表明しているのは手前どものグループと 阪急百貨店さんだけでございます。  私見も含めて入るのかもしれませんけれども、その最大の理由は流通業はもともと盲 導犬はかなり早い段階から店内にお入れすることを認めてきまして、その後、聴導犬に つきましても各社、多少は温度差はあるのですけれども、基本的には受け入れると。た だ、介助犬になりますと非常に各社ばらついていると。  最大の理由は介助犬は商品を噛むという、動作介助する中で商品を噛んでユーザーの 方に渡すという作業がついてまわりますので、どうしてもここの段階で、我々、小売り 側の立場からなかなか踏み込めないというひとつの大きな理由がございます。  そんな中で当社も今年から介助犬、受け入れているのですけれども、実のところ、さ きほど前田さんからもお話がございましたように、我々、ローソン含めますと全国でグ ループで8,000 店舗以上、店舗展開しているのですが、実際のところ、介助犬を受け入 れた店舗というものはその中でも数店舗、しかも地区も非常に限られているということ で、今後の課題として逆にマスコミさん等々でいろいろな形で介助犬がアピールされま すから、今、協会そのものが各協会ばらばらに動いていまして、これから個人のユーザ ーの方が自分で介助犬だというふうに育てたとして、そういうような形の方がどんどん 仮に我々の店舗に入ってきたときに統制の取れた受け付け対応ができるのかどうかとい うのが非常にこれからの課題として残ってくるのではないかなというふうに考えていま す。  そういった意味で今はダイエーの方は介助犬アカデミーさんとご協力させていただい て、入店基準というものを決めて、お手元の方に手前どもの資料で3冊、小さな冊子が ございますけれども、これは盲導犬と視覚言語障害の方、視覚障害の方、聴覚障害の方 、最後にマンガで書かれているものが実はこれは介助犬を受け入れるときにもっとわか りやすいようにしようということで作った新しい冊子ですけれども、これはあくまでも 介助犬アカデミーさんとの話し合いの中で我々が基準を決めて、当社の受け入れ基準と いうことで書かれて従業員に対して配付したものなのです。  これが全体としてさきほどもありましたように、全体のルールが統一されてこないと 介助犬アカデミーさんが認定した介助犬はいいのですけれども、それ以外の介助犬とい うことになってきますと逆に問題があるということで、我々の立場からすれば早くその 辺の統一をしていただきたいなと。トレーナーさんの資格含めて。そういう公の場で認 定されたものを我々としてはお客様にどんどん入ってきていただきたいと思いますので 、そういうところを指摘させていただきたいなというふうに思っております。おそらく その辺が統一されてくると、各流通各社の方ももう少し踏み込んだ形で受け入れ体制が 取れるのではないかなというふうに考えます。  ちょっと記載されている内容が我々の盲導犬から始まったいろいろな歴史を含めてず らずらと書かれておりますので、中身につきましてはもうお時間が許すのであればお読 みいただいて、概略としてはそういうことだということでお話しさせていただきます。 ありがとうございます。 板山座長  ありがとうございました。大変資料も作っていただいておりますし、かつ、盲導犬か ら始まった受け入れの推移もよく整理してくださっていますので、これからの議論の中 でまた読みながら、これを使わせていただきたいと思っておりますが、最後にホテル協 会の満野さんの方からひとつよろしくどうぞ。 満野委員  日本ホテル協会、満野でございます。実はこのペーパーをお出しした時点で私どもと してはやはり介助犬を一度、受け入れた方のお話を伺いたいという前提で書きましたの で、今日のお話とちょっとずれているかと思いますが、私どもとしましてはやはりさき ほどダイエーさんでもそうですけれども、ほとんど実績がない。したがいまして、私ど もの協会のホテル、現在、400 ございますが、調査しても実際わからないのですね。  私どもはたまたま日本ホテル協会ということでこちらに出させていただいていますが 、実際に宿泊施設側の代表というような立場になりますと、ホテルが日本で厚生省の調 べでだいたい8,000 軒ぐらい。旅館に至っては70,000軒少しあると。そういった施設に おきましてもちろん盲導犬ももちろんですが、いろいろな方を受け入れしているわけで すが、そこにおいてのひとつの問題点ということで、乃至はこれからやはり社会的な趨 勢としていろいろな方が見えますと、今、スーザンさん、おっしゃったように犬ほど便 利なものはないというお話でございますので、これはあくまでも日本のお話として伺っ ていただきたいわけなのですけれども、私どもとしての考えと言いますか、このペーパ ーとはちょっと別の面も含めてちょっとお話をさせていただきたいのですが、よろしゅ うございますか。 板山座長  どうぞ。 満野委員  介助犬の取り扱い、及び受け入れということでございますが、現在、テレビで私ども 、シンシア、見たわけですが、存在が紹介されているわけですが、実態としてはテレビ を見ていない方、ほとんどご存じないわけです。したがいまして、一般的には私ども、 この研究会に出ておりますので介助犬というものをかなり詳しく存じあげることになっ たわけですが、実際にはほとんどの方がよくわからないというのが今の実際であろうか 思います。  したがいまして私どもホテル業界、今日、いらっしゃっていますスーパーさん、交通 機関等におきましてもとにかく介助犬に関する社会全体の認知、認識の度合いが上がり ませんと、なかなか企業として受け入れたくてもまわりがなかなか許さないという現状 がございます。  さきほどもそういったご意見がございましたが、私どももまさにそのとおりでござい まして、特にホテルの場合は移動空間と生活空間が同居している空間でございます。こ う言っては失礼ですけれども、交通機関ですとそれに乗って移動することが目的でござ いますが、ホテルはその中で生活をすると。ある意味で衣食住を提供する場でございま すので、その方個人の生活空間の延長上にあるということで、非常に口幅ったいのです けれども、他の動きと少し違うのかなということでお話をさせていただきます。  したがいまして、私どもとしては介助犬の認知度をアップ、受け入れについてはやは り盲導犬の場合と同様にその役割の存在、特性の役割についてよく理解していただく。 広く社会一般に受け入れ、関係者も含めて啓蒙活動がやはり必要であろうと考えます。  なぜならば、やはり宿泊産業とか、飲食産業、レストラン含めまして一般的にサービ ス産業と言われていまして、不特定多数の方々を対象に営業をしているわけでございま して、私どもだけが介助犬とか、ペットも含めて受け入れがどうこうということだけで はなかなか許していただけない。つまり、介助犬の利用者の方と施設側の関係に加えま して、実際には他のお客様という第三者との関係が自然に生じてくるわけでございます 。 したがいまして、やはり三者相互間の理解、及び暗黙のうちの意思の確認ができないと なかなかその空間、乃至施設が快適な空間とならないのではないかということでござい ます。  特に宿泊施設の空間というものは一定の時間の間、完全な個人の生活の空間になりま すので、なおかつ、その空間は別の時間帯には全く別の方がお泊まりになるという、い わゆる非常に特殊な空間の特性があります。ですから、ひとつの施設の中にロビーとか 、そういった公共的な生活の部分と、個人のいわゆるインデベラル・ライフスペースと 言いますか個人的な生活空間が併存しています。そういうことを理解をしていただくこ とが、これは介助犬ユーザーの方も一般の方も含めましてやはり飲食施設や宿泊施設を 快適に利用していただくための前提ではないかと。  公共的な施設の性格の強い施設への介助犬の受け入れですが、これはホテルの場合、 特にロビーとか、レストランやラウンジなどがあるわけですけれども、日本の場合、特 に欧米と異なりましていわゆる生活上の道具とか、手段としての犬の存在というものは あまりなかったのではないかと思いますね。これがやはり狩猟民族からの歴史と農耕民 族の違いではないかと思うのですが、そういうことで非常に私見でございますが、飼い 主全般の方でその飼い主と犬の関係は非常に良好だと思うのですけれども、一般的に見 ますとホテルも困っているのですが、飼い主の方全般に躾けが不徹底であると。  したがって、それが安全面とか、衛生面に影響していまして、犬に対していろいろな 不安感を抱く方がかなりいらっしゃる。少なくないと。今、さきほど言われた隣に来る と怖いという方もそうだと思うのですね。犬の存在に対してなかなか理解をしていただ いていない。その反面には躾けがよくできていない。可愛がるだけでは困るというのが そういう問題だと思うのです。  そういうことで私ども、介助犬については盲導犬同様、第三者にどのような存在であ るのか。正しく認識していただくような社会的な啓蒙活動が必要だというようなことで す。  さきほど申しましたように、個人空間としての客室という部分ではやはり宿泊施設で 客室、一定空間を一定の期間でお貸しするわけですので、別の期間にはまた別の方が使 うわけですから、そういったさきほどダイエーさんで物を噛むというお話がございまし たけれども、ホテルの中で実際、どういうビヘイビアパターンがあるのか。どういう行 動があるのか。それによって例えばドアに紐をつけなければいけないのか。テレビのス イッチにカバーをした方がいいのか。つまり衛生管理の上でとかという問題もやはり必 要でありますので、私どもがやはり第三者の方に納得していただけるようにご説明でき るようにどういうものが要求されているのか。そういった情報をやはり予約の時点とか 、そういった時点でいただけるような形のご利用をしていただくような雰囲気はほしい ということでございます。  特に介助犬につきましてはさきほど皆さん、おっしゃったとおり、基準がはっきりし ませんので、その基準がきちんとトレーニング等ではっきりしていただければ、認定の 基準なり、トレーナーにしても、そうしますとひとつの基準をクリアしていただければ すべての施設はそれを受け入れることができると思いますし、そういったこともひとつ お願いしたいと思います。  さきほど躾けの問題ということで私ども、実は介助犬の実績がないのですが、ある世 界的なチェーンホテルのケースですが、日本にあるホテルですが、ペットを受け入れて います。拒否はしておりません。このホテルは。その場合にどういう問題があったかと いうのはちょうどたまたま出てきましたのでご紹介しますと、介助犬ということではな く別に一般的なお話として聞いてほしいのですけれども、ペットの場合、臭いが残ると いうことです。毛が除去しづらい。空きますとホテルではバキュームでクリーナーかけ ます。これが非常に大変であると。さきほど申しましたが、躾けをしていないペットの 汚損が激しい。 例えば猫が家具を掻いたとか、糞をしてしまったとか、それに従って チェックアウト後の清掃が大変である。費用が非常にかかってしまうというような問題 が、ホテルでやはり受け入れはしていますけれども、実際、出ていますので、やはりこ の辺につきまして躾けの問題とかといったもの等でクリアしないといけない問題がある のではないかというようなご意見が出ております。  私どもとしましてもやはり列車と航空機とか移動空間とはまた別の生活空間という特 殊な空間ということをやはりご理解いただくようなことも介助犬利用者の方にお願いし たいですし、皆さんとお話をした上でその辺のレギュレーションなり、ひとつの基準と いうものをある程度、受け入れをするということを前提でお話を進めていきたいという ふうに考えております。以上でございます。 板山座長  ありがとうございました。今、受け入れ側という立場で4人の方からお話がございま した。問題提起がありました。これは今、資料を拝見しますと、資料3にはその後に都 の土本さんからもメモが出ておりますし、松尾さんからも出ていますし、高柳さん、お 2人からも出ておりますが、土本さん、今、これに関連しでお話をしていただいた方が いいでしょうか。 土本委員  いえ、座長の。 板山座長  あとでいいですか。それではこれ以後の7頁以後の方のご発言は後ほどにすることと させていただきまして、ただいまの受け入れ側の立場に立つ4人の方のご発言、問題提 起等について質問も含めてご意見を頂戴をいたしましょうか。どうぞ。 河西委員  河西ですが、実は今のホテル関係の受け入れについて盲導犬も受け入れていただいて いますし、感謝もしております。ある面では反対にまだ全国的には断られる例もあった りするのですね。  我々が今、注意していることはなるべく毛を落とさないように、絨毯など、なかなか 取りづらいということがありまして、もう20年以上、研修旅行というものをしていまし て、その中で毛が落ちるということで改善した点は、今、実際に共同訓練をしていても 、その人たちに奨励をしているのは、部屋に入ったときに毛が落ちないようにガウンと いうか、コートを着るということですね。そのことを勧めています。そうすれば毛がた くさん落ちるというのはなくなります。  もうひとつが、部屋に入ったときに敷物、そういったものを皆さん、持参しています 。 そういったものでやはり絨毯に毛がつくという、絨毯以外であれば結構、掃けば取れる のですが、絨毯ですと毛が入りますね。  視覚障害者の方がやはり極力、努力しているのは、粘着性のよく掃除が簡単にできる コロコロというか、またはガムテープを持ってきまして、やはり極力、犬が伏せていた ところとか、寝たところは重点的に取って綺麗にするというようなことはユーザー側と しても努力はしております。反対にそういったことでまた受け入れの促進にもつながっ ていると思います。ホテルに関しては今、以上です。 板山座長  その他、どうぞ。 高柳(友)委員  日本介助犬アカデミーの高柳です。2つあります。ひとつはまず、ホテル、満野さん にご質問というか、コメントのようなことになると思うのですが、さきほとのペットの 件ですけれども、これも結局のところは例えばちゃんと基準を設けてペットに関しても ちゃんとした健康管理、あるいは躾け、管理の基準が設けてあって、それに則ったもの だけ受け入れていれば、このような破損はまずないであろうというふうな、もちろん基 準がどういったところにあるかということになりますけれども、動物ということで関連 すれば、受け入れる側での、ある意味での規制があれば安全に受け入れることはできる というふうに思います。  さきほどの毛とか、臭いに関してはこれはなかなかいちいちチェックすることは難し いと思うのですね。さきほども河西先生からお話があったように、これは基準という意 味の中にも入りますけれども、それ以上に大事なのはやはり使用者教育だと思うのです ね。河西先生のところでユーザーの方にちゃんと毛について注意しましょうねというよ うなことを教育されている。それが本当はトレーナーの基準の中にカリキュラムなり、 養成の中に入ってくるべきことであって、そういったことでこういったマナーというも のはちゃんと守られていくのだろうというふうに思います。  実際にはホテルでは私どもも聞く限り、結構、いろいろな介助犬使用者の方が利用さ れているようなのですけれども、協会の方では把握をされていらっしゃらないというこ となので、それは大変残念だなというふうに感じております。協会の中で情報交換があ れば、より良い対応なり、情報交換というものができていくと思うので、できる限り、 そういったことをもう少ししていただけるとありがたいなというふうに感じます。 板山座長  ちょっといいですか。今の協会の中というのは、その協会というのは。 高柳(友)委員  ホテル協会。 板山座長  ホテル協会の中でね。 高柳(友)委員  はい。次に秋山さんへの質問なのですけれども、先日、さきほどもお話があったよう に国内線をダンカンさんが使われたのですけれども、その前にも、私、何回か使用者に 同行したことがありまして、口輪を要求されるのですね。口輪の携帯を。これは航空法 か何かの中にあるのでしょうか。それとも各航空会社として、ただ、共通して言われる のですね。どこの会社でも。それは何か法律の下にされていらっしゃることなのかどう かと教えていただければと思いますが。 秋山委員  航空会社の運用だと思います。盲導犬の場合にも一応、今、それはお願いしていると いうことで、実際にはめていただくことはないのですけれども、携行、万一、ない場合 には航空会社の方で用意してというふうな運用は行っております。 板山座長  満野さん、今の何かご発言は。 満野委員  今、ホテル協会でつかんでいないというお話があったのですが、実は日本にさきほど 申しました約8,000 軒ぐらい洋式の部屋を持ったホテルと称するものがあるわけですね 。 その中で私ども、約400 でございまして、0.5 %なのですね。かつ、介助犬というお話 が出たのも私ども知る限り、そう昔でもございませんので、あまりそういう区別をなさ っていないと思うのですね。  原則として保健所等のご指導もありまして、原則はお断りしているわけです。ただし、 盲導犬はこれはもう犬ではないという、犬ですけれども、要するに人のもうひとつの手 足ですという発想でやっていますので、盲導犬の受け入れはかなりあると思いますけれ ども、介助犬というものに対してはあまり表に出てこなかったのが実際ですね。  また、調べてみれば、また、あるかもしれませんが、厚生省の方にお願いした限りで はよくわからないというようなご返事でもあったようでございますので、今後、そうい うことが必要でしたら私どもももちろん調査いたしますし、やはりこれからそういう時 代になりますので、気持ち良く皆さんがご利用いただける空間にしたいということはご 理解いただきたいと思います。 板山座長  これは保健所というのは大変、今のお話の中でポイントになる。だから、さっきスー ザンさんがおっしゃった全体としてのサポートアニマルという、その中の盲導犬、聴導 犬、介助犬というふうなカテゴリーで整理ができれば、盲導犬は良くて介助犬は駄目だ というふうにはならない。いずれそういう時代が来るのかもしれない。  今、個別に議論をしているから、介助犬に対する理解がまだまだ一般的に行き渡って いない。そのために保健所さえ、そういうふうなことになるわけです。だから、この辺 は保健所の問題については厚生省の中の問題でもありますから、ぜひ、これはまた社会 参加推進室の方でも考えてほしいと思いますが。その他、どうぞ。 谷口委員  JR東日本の方にお伺いしたいのですが、例えば飛行機とかの場合でなくて、列車と いうのは非常に長時間乗る場合があると思うのですね。例えば北海道に行くとかという 場合において、ここに書いてあるのが乗車中に食事や水を必要としないというようなこ とが書いてあるのですが、現在、長距離にもペットは乗っていると思うのですが、現在 はどのような対応されているのかというのをお聞かせ願えますか。 岩樋氏  現在、どのような対応というのはちょっと事実を私も把握していないので、確たるこ とは申し上げられないのですが、もし、必要になった場合は他のお客さまの見えないと ころで処理していただくということになろうかと思います。 谷口委員  そうした場合に例えば介助犬が乗った場合、もし、今のような見えないところでとい うようなことも考えられますか。 岩樋氏  私どもが提出したものについては、ある程度、新幹線とか、近郊の短い距離の電車を イメージをしたものですから、その場合は本当に30分毎に何か物を食べたりとか、ある いは排泄をしたりとか、そういうような普通の犬の行動パターンではなくて、ちゃんと 躾けられたものでお願いしますという意味で書きました。  例えば寝台列車のように確かに長い、東京から、上野から北海道の札幌まで行くよう な寝台列車もございますので、そういう場合は今の話とはまた別に他のお客様にご迷惑 にならないという観点で見えないところで何か物を食べたりとか、あるいは排泄をする と、こういう意味ではホテルさんに極めて近くなってくると思うのですが、そういうよ うな取り扱いになろうかと思います。 板山座長  これは高柳さんに質問だけれども、ご存じかどうか知りませんが、介助犬が食事、あ るいは水を飲む、あるいは排泄をする。訓練の結果、どのくらいの時間なら耐えられる 。 一般的にですよ。特別な場合は別にして、そういうようなものの基準というものはある のですか。 高柳(友)委員  私も獣医師ではありませんので何時間だったら耐えられるという生理的なことはわか りませんけれども、一般的なことで申し上げれば、おそらく河西先生の方がよくご存じ だと思いますが、1日1回でも別にずっとでなければ食事と排泄が大丈夫ですので、例 えばスーザンさん、今回、来られるのに10時間、飛行機に乗っていますね。その間、も ちろん排泄はできません。そのために前に排泄を済ませ、かつ、食事は減らしめにして おいて、10時間は粗相、全くなくできるように管理ができる使用者でなければできない ということ、それが一番大事だと思います。  基本的には例えば3時間から4時間以上経ったら必ず排泄をしなければならないとい うことではないですので、それは例えば12時間かけて乗らなければならないところに行 くということになったら、やはりちゃんと教育を受けた介助犬使用者であれば、6時間 から7時間経ったところで一旦、降りて、排泄をさせる。あるいは食事をあげる。そし てちゃんとマナーが整えられたところでもう一度、乗り換えて行けるというようなプラ ンを立てる必要は出てくると思いますので、そこが大事なところだと思います。 板山座長  河西さん、盲導犬の場合はどんなあれですかね。 河西委員  盲導犬でも海外は何度か一緒にアメリカとか、中国とかも行っていますが、韓国も行 っていますが、アメリカの場合にもっと昔ですから、12時間とか、もっとかかったです ね。  そういったときにはやはりまずひとつは健康な犬でなければいけませんね。例えばち ょっと調子が悪いとか、お腹の調子が悪いとかという部分ではやはりそれはいけません から、十分に健康管理をした中で出発するとき、やはり十分に排泄をさせるということ と、少し水の量とか、餌の量を減らすということですね。水の量や餌の量を一時期減ら しても、その後の体調には支障がありません。ですから、飛行機の中でどんどんたくさ ん水をあげるとか、そういうことはしません。  そういった中で降りたら早く、例えば飛行場ですぐに排泄するところを確保していた だいて、飛行機でも今の日本でも障害者の方やお子さんとか、そういったものを優先的 に乗せるということがありますが、反対に降ろすというものもそういうことですが、や はりアメリカに行ったときもそういった面では非常に優先的に対処していただきました ので、例えば滑走路の一番端の方で排泄を済ませるとか、また、改めて今度は列車に乗 るとかしましたので、そういった管理だけできれば長時間、我慢すること、また、それ を管理することは可能です。 板山座長  受け入れサイドからの多くの問題提起、あるいは今後、この検討委員会でガイドライ ン、あるいは標準化を考えなければならないような問題についてご指摘がありましたが 、前回までのご議論も踏まえてここに土本さんからと松尾さんから、さらに高柳さんお 2人からメモを頂戴しております。今まで議論し残した問題も含めてちょうどメモを出 してくださっていますので、これ、ちょっとポイントだけ土本さん、ご説明いただきま しょうか。 土本委員  私の方でメモをちょっと出しましたが、東京都という立場で考えますと、やはり介助 犬を使用される障害者の方々が安心して使用できる、それがやはり一番関心が深いと言 いますか、それがあってほしいし、また、その上でいろいろな町の中でいろいろな企業 の方等が受け入れてくれるようにということを行政として推奨するには、やはりここに 書きましたように育成、アフターケア、あるいは使用者の責任についての教育等々がや はりきちんとされているということがあって初めて行政としても社会的なそういう受け 入れをPR等をしていけるのではないかなという気がしております。  介助犬ということで現在、検討されているわけですが、やはり東京都として考えれば 、聴導犬を始め、いろいろなサービスドッグについていろいろな情報がもたらされてき ているということはありますので、こういった機会にやはり積極的にそういったものが 進むように全国的なシステムと言いますか、そういった視点から考えることもやはり重 要ではないのかなという気がします。  いろいろな育成団体等の実情、今までちょっとご報告いただいたのを見るとやはりお 金の問題にしても、その後のケアの問題にしても、要するに障害者にとってちょっと不 安ある状況がやはり全国的にあるのかと。そういうのを思いますと、盲導犬関係団体や 介助犬アカデミー等の、それなりに実績や学術的な信用できる内容を持っている団体の 方が連携されて、内容の信頼できるこういう受け入れシステムをどんどん推進していた だけたら行政としても積極的にさらに取り組めるようになるのか、また、障害者に活用 してもらえるようにいろいろな役割を果たせるのかという気がしています。進めるため にも、ぜひ、質の確保というようなあたりがやはりあると一番いいのかなという思いで ちょっとメモを書いた次第です。 板山座長  松尾さん、ここにメモを出していただきましたが、ちょっと説明をしてください。 松尾委員  今、土本先生のお話と似たようなところですけれども、やはりこの前の調査で育成団 体の調査が上がってきていないですよね。12団体のうち、4団体ぐらいで。ちょっと 心細い感じがするものですから、やはり必要性を強調しないと身体障害者でも、ぜひ、 必要だということがどうも今一歩のところがある。こういう育成団体がピシッとしてい るから大丈夫なのだというところがほしいという意味でここに書いたわけなのです。  もうひとつ、必要性というのはこの前の障害者の、私も、もし、名前が上がれば1人 か2人は直接、電話してでも聞いてみたいと。そういう思いがしておったのですけれど も、その名前のあれは全然なかったし、本当に障害者が必要だというのはだいたいはわ かりますけれども、真に迫ってくるものがないと。やはり障害者団体として、ぜひ、ほ しいということを言うためには、育成団体もこれだけやっていると、安心だと。障害者 もこれだけ必要だということで、ぜひとお願いをしなければいけない立場ですので、そ ういう意味でここに書いたわけです。  国会議員の先生はこれを必要と思ってこういうふうにされたと思いますけれども、そ こら辺をちょっと確かめたいということです。必要なことは十分わかるので、当事者団 体として、ぜひ、それをお願いしたいという立場からこういう言葉を出しておりますの で、よろしくお願いしたいと思います。 板山座長  今、厚生省の方のお話もちょっと聞きたい点もありますし、アカデミーの方の調査の ことについて今、若干の問題提起がありましたが、後ほど、また、お答えください。  その次の高柳さんのこのメモの中で特にご指摘、強調しておきたい点がありましたら 。 高柳(哲)委員  今日は受け入れ団体が航空会社とJRとホテルとショッピングセンターですけれども 、その他にもたくさん受け入れ団体がありますので、実は先日、宝塚でシンポジウムが あったのですけれども、そのときに、同業者組合連合会の理事長さんがおられて、その 方は15団体、私は束ねているのですというようなことを言っておられて、床屋さんとか も、いろいろなところの名前が上がったのですけれども、その他の受け入れ側も問題な ものですから、これをどうするかという問題が残っていると思います。  やはり法制化する場合にこれをアメリカのようなADA法で縛るということはいきな り大変だろうと思いますけれども、最終的にはそういうことも考えないといけないので はないかということを感じております。 板山座長  ありがとうございました。もう1人、高柳さん、ここにメモされました点、特に。 高柳(友)委員  基本的には質の確保、それが一番重要であって、もちろん今、規制緩和の時代とは言 われておりますけれども、前回、今回、土本委員の方からお話があったように、規制と いう意味ではなくて誘導という意味での質の確保によって、これから介助犬の発展がで きるかどうかということが大きく関わってくると思いますので、そういった意味で松尾 委員からもあった育成団体、これだけしっかりしているということを言うためには育成 団体はこれだけしっかりしなければならないということを先に示すこと、そのことの方 が今、求められているのではないかというふうに思っております。 板山座長  さっきスーザンさんはいろいろな自助具を使ったけれども、最後に一番頼りになるの は介助犬だと、こう言われた。あの言葉は大変印象に残っているのですね。ぜひ、また 、明日あたり、午後の発表会、ちょっと私は残念ながら別なあれがあって出席できない のですけれども、もし、時間が許す方がおられましたら、お聞き取りをいただきたいと 思うのですね。  なお、さきほど来、受け入れの立場から様々な問題提起がありました。これについて はこれからこの検討会で議論を重ねてそれに応え得る道が作り得るかどうか、道を開く ことができるかどうか、それをご一緒に議論をしていきたいと思いますが、ご発言のな い方でこの際、金田さん、いかがですか。 金田委員  さきほど私、保健所の方から出てきておりますので、保健所でいろいろ規制があると いうようなお話がありまして、一般的な獣医衛生行政みたいなところを保健所で行って おりまして、やはり今、一番問題になっていますのは、介助犬とちょっと質は違います けれども、一般的な犬の苦情がかなり来ております。保健所としても犬の躾け方教室と いうものも行ったりしておりまして、一般的な普通のペットの犬のレベルがやはり日本 は低いというところにもひとつ大きな問題があるのだろうなと思っておりまして、その 辺は保健所だけではないのですが、やはり保健所でやれることは限りがありますので、 やはり動物愛護団体などと協力してやっていく必要があるのかなと思っております。  もうひひとつは、やはりそういう観点でもう少しきちんとした形で介助犬というもの がこの検討会で結果が出ましたら、やはりPRをしていく立場には一番あるのかなと思 っておりますので、積極的にPRしていければなと思っております。 板山座長  高嶋さん、さきほどのあれでよろしいですか。何かどうぞ。 高嶋委員  だいたい共通なのですけれども、要は我々の小売りという立場で言いますと、例えば 全国で何千万人の方が1日に我々の業界でお買い物をされるのですけれども、その中で 本当の数人の方が介助犬を必要とされている。現在ですね。ということは、逆に言うと 数千万人の大多数の方がいかに介助犬をご理解していただけるかということにかかって いるかと思いますので、そこら辺の声を作ってかなければいけない。  さっきホテルの方からもありましたけれども、やはり一般の方がどう理解していただ けるかという土壌を作っていかないと、ハードだけ作ってもソフト面での運用がうまく いかないというのが、我々、特に流通の介助犬に対しての課題だと思いますので、その 辺を議論できればなというふうに思っております。 板山座長  実は盲導犬も、私、これはこの前、申し上げたかもしれませんが、20年前に社会参加 推進事業のメニューに行政的に強引に採用したのですね。そのとき、当時、同じ目の不 自由な方たちの中でも盲導犬なんていうのは金持ちのペットだと、反対という、それよ りもガイドヘルパーを置けと。ガイドヘルパーを増やせと。人の肩に手を置くことが一 番いいとおっしゃった人もいる。いろいろな意味で選択の幅を広げる、メニューを増や すということで行政的に取り組んだ20年前、昔でしたが、あれから20年経ってやっと法 律改正で盲導犬育成事業というものが今度、身体障害者福祉法にも社会福祉法にも入っ た。  その辺のことは実はここにおられる初山先生が大変よくご存じなのですが、初山先生 、さきほどスーザンさんは看護婦さん、医療的な面、ご本人の健康についても、あるい は介助犬の健康、病気等についても理解を持っていらっしゃる。利用者の障害種別につ いて特質をよく理解をすることができる。こういう若干、ニュアンスのお話もありまし た。 先生、どうですか。今までのお話をお聞きいただきまして。 初山委員  ありがとうございました。さきほどから伺って前からお話してありますけれども、や はり使う側の障害者の状態をどうやって規定していくかというのは非常に重要だと思い ました。  ひとつだけ発言許していただいたのでちょっと質問してよろしいでしょうか。ダンカ ンさんがやっておいでになるデルタ協会ナショナル・サービスドッグセンターというも のは介助犬に対しては何をされているのでしょうか。全く訓練がないということでした が。 スーザン・ダンカン女史  今、現在はナショナル・サービスドッグセンターの所長を退任いたしまして、個人の コンサルタントなのですけれども、私がおりました時代、現在におきましてもナショナ ル・サービスドッグセンター、その実際の上の組織でありますデルタ協会はメインの仕 事といたしまして情報普及だけではなくて、サービスドッグのトレーナーを、さきほど お話したような重要な点を盛り込んでどういったカリキュラムで育てるかというカリキ ュラム開発をしておりますが、このカリキュラム開発が終わるのが2001年末です。 初山委員  はい。ありがとうございました。 板山座長  ついでにいいですか。このデルタという、デルタ協会というのはどういう協会でしょ うか。 スーザン・ダンカン女史  デルタ協会というのは人の健康に対して動物がどのように寄与しているかということ の情報を収集しております情報機関でございます。 板山座長  これはナショナルセンターですか。公的なバックグラウンドがあって作られたもので すか。 スーザン・ダンカン女史  民間の団体でございますからどなたでも会員になって会員ベースで情報を配付してお ります。 板山座長  会員制の民間団体ね。はい。ありがとうございました。動物が人間の健康にどのよう に寄与できるかなんていうのは日本にはちょっとないですね。動物愛護協会はあるけれ どもね。ちょっとないかもしれませんね。  さて、時間がぼつぼつ迫ってまいりましたが、その他、せっかくの機会でありますか らご発言がありましたらお出しいただきたいと思います。どうぞ。 高柳(哲)委員  使用者の疾患とか、あるいは障害度とかという問題がさきほど座長さんからあったも のですからちょっと補足させていただきたいのですけれども、私は日本介助犬アカデ ミーの理事長をしております。また、介助犬の研究班の班長をもしています。私は長年 、神経内科医をしておりますので多くの神経疾患の障害者を診てまいりました。そうい った障害者の中には非常に重症な方もありますし、あるところまでは重症でも良くなっ て、全く良くなって動けるようになる人もありますし、非常に疾患は多彩ですし、障害 の程度も多様です。  ですから、そういう方たちが介助犬を持たれる場合には、その疾患の診断が正しくな ければいけませんし、その障害度の判定がきちんとされなければいけないし、また、障 害の程度も上肢から下肢までいろいろ運動障害があったり、視覚障害があったり、運動 失調があったり、言語障害があったり、いろいろ多彩なわけです。あるいはその中には 脳性麻痺のような方もおられまして、知的障害のある方とない方がありまして、その鑑 別が必要となります。  ですからそういうことを細かく判定をしませんと、トレーナーがきちんと犬をトレー ニングするのにどういうふうなトレーニングをしたらいいかというような方針が立たな いということがありますので、私が班長を仰せつかったというふうに私は考えてこれま で活動してまいりました。  私ども日本介助犬アカデミーでも患者さんの実際の実態、病状というものをきちんと 把握して、これをリハビリテーション医学、あるいは介護療法に役立てるというのが基 本方針になりますから、その点が盲導犬と多少、違うところですけれども、盲導犬の場 合も実際は視覚障害の場合にもその背景は非常に多彩だと思います。一部、聞くところ によりますとやはり盲導犬使用者の中にもそういったことを解析してもらわなかったと いうことに多少問題を感じておられる方も盲導犬使用者の中にはありますから、特に介 助犬の場合には神経医学的な解析というものが必須であるというふうに私は感じていろ いろ仕事をしております。 板山座長  高柳先生が班長をされている厚生科学研究におけるこのプロジェクト、その発表が明 日、行われますので、ぜひ、ご参加をいただきたいと思いますが、この頃、私は今、高 齢者の痴呆の問題を中心にする痴呆高齢者のケアについての研究研修センターというも のを日本で初めて完成する、来年の春、オープンのために今、私どもの法人が厚生省か らお引き受けをしてやっているのです。全国の仙台と愛知県の大府というところと東京 に作られる。その痴呆高齢者のケアにおいて、まさに動物、ペットというふうなものま で広げて、それが大変効果的ではないかという意見も今、あるのですね。  そういう意味で様々な形でサポートアニマルと言いましょうか、あるいはアニマルセ ラピーという言葉がいいかどうか、幅広い意味のリハビリテーションの分野において動 物が、あるいは犬がどのような役割を果たすかということについての興味あるテーマも 出始めております。  今、初山先生や高柳先生がお話のように医学的な、あるいは精神的、神経的な領域か らこれにアプローチするようなこともこれからは少し考えなければいけないのかなとい う感じもいたしておりますが、大変にこの検討委員会の検討の成果は幅広い分野に、単 なる介助犬ということだけではなくて、さっきスーザンさんがおっしゃった本当にサポ ートアニマルという中に盲導犬があったり、聴導犬があったり、この介助犬があったり するような幅広い分野にこれから広がっていく可能性を持った議論がなされる必要があ ろうと、こんなふうに思っていますが、今日、時間がまいりましたので、今日はアメリ カの実情のお話を伺い、また、受け入れサイドからのご発言を頂戴し、さらに残された 若干のテーマについてのメモも頂戴をしたのをご議論させていただきました。  今日は時間がまいりましたので、この辺で終わりたいと思いますが、事務局からこれ からの予定について少し説明をしてください。 事務局  それでは以前、各委員の先生からいただいた次回の日程を集計いたしましたところ、 来年1月17日水曜日の午後3時からが最も都合が良いという、全員の委員の先生ではご ざいませんけれども、一番多数の委員の先生がお出でいただけるということになってお ります。1月17日の午後3時でございます。 板山座長  水曜日ですね。よろしゅうございましょうか。もし、ご都合が悪いような方もありま したら、もし、メモでも頂戴できれば、また、ありがたいと思っておりますが、それで は今日はこれをもちまして閉会をさせていただいてよろしゅうございましょうか。 ど うもありがとうございました。これをもちまして閉会をさせていただきます。どうも。 新しい年は良い年をお迎えください。 社会参加推進室長  どうもありがとうございました。                (閉会・17時00分) 照会先 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 社会参加推進室 社会参加係               新 城 TEL 03-5253-1111(内線3075) 直通 03-3595-2097 FAX 03-3503-1237