00/12/05 第6回精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会             公衆衛生審議会精神保健福祉部会       第6回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会                 議 事 録        厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課             公衆衛生審議会精神保健福祉部会      第6回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会議事次第                日 時 平成12年12月5日(火)10:00〜11:43                於  全社協第4・5会議室(新霞ケ関ビル5F) 1 開 会 2 議 事  1.精神病床の設備構造等の基準について 3 閉 会 【重藤補佐】  それでは時間となりましたので、ただいまから第6回精神病床の設備構造等の基準に 関する専門委員会を開催させていただきます。  本日の委員の先生方の出席状況でございますけれども、本日は池原委員、岡谷委員、 野中委員が御欠席との御連絡をいただいております。13名の委員のうち10名の委員の出 席をいただいております。ただし、竹島委員は少々おくれるということでございますけ れども、追って見えられると思います。  それでは、これより会議の進行を吉川委員長にお願いいたします。 【吉川委員長】  長い間いろいろと御苦労いただいておりますけれども、第6回の会議を開かせていた だきたいと思います。とりあえず事務局から本日の資料の御確認をお願いいたしたいと 思います。 【重藤補佐】  それでは事務局より資料の確認をさせていただきます。  最初に議事次第でございます。  資料1でございますけれども、「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会報 告書 (案) 」でございます。  資料2は、「報告書のたたき台からの変更点」という資料でございます。  資料3でございますけれども、「医療法等の一部を改正する法律の概要」でございま す。  参考資料にまいりますけれども、参考資料1として、前回の第5回専門委員会の報告 書のたたき台でございます。  参考資料2でございますけれども、本日御欠席の岡谷委員から資料をいただいており ますので、参考資料とさせていただきました。  資料として、綴じて配付はしておりませんけれども、本日、伊藤(哲)委員より資料 をいただいております。吉川委員長の指示によりまして配付させていただきました。  以上でございます。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  ただいま担当の方から御説明させていただきましたような資料、いかがでございまし ょうか。おそろいでございましょうか。  それでは、第6回の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会を開かせていた だきます。本日は、前回の専門委員会でお出しいたしました報告書のたたき台をもとに いたしまして、前々回、前回の議論をそれに加えまして本専門委員会の報告書の案を事 務局と一緒につくらせていただきました。それにつきまして、本日これから議論をして いただきたいと思っております。  さて、精神病床の設備構造につきましては、委員の先生方にはそれぞれ御意見がござ いました。もちろん理想的な御意見から現実的な御意見までさまざまな御意見を賜った わけでございます。しかし、医療法も先般11月30日に可決成立いたしました。後ほどま たこの内容につきましては事務当局から御説明させていただきますが、これが12月6日 に公布予定でございます。そろそろこの検討会の報告もしなければいけませんし、そし て公衆衛生審議会精神保健福祉部会の議論を経た上で、これについてさらに皆様方の御 意見を多く募りましていいものにしていきたいと思っております。  本日この委員会の中では、前回の委員会においても私の方からお願いをいたしました ように、診療に従事するスタッフの問題、特に患者さんの療養環境をどのようにしたら いいのかということにつきまして、理想と現実の双方からいろいろお話をしていただい たわけでございます。このお話の結果が少なくとも現状よりも一歩でも二歩でも進歩す ること、よくなることを私は願っております。  本日お出しいたしますこの案も、それに沿って書いたものでございます。いずれにい たしましても、後ほど皆様方に御意見を募りますけれども、とりあえずは事務局から改 正されました医療法につきまして簡単に御報告をいただいて、それから議論に入りたい と思っております。  それでは、事務局の方からお願いいたします。 【重藤補佐】  資料ナンバーが飛びますけれども、資料3でございます。  「医療法等の一部を改正する法律の概要」でございます。医療法につきましては、皆 様御承知とおり、11月30日に可決成立いたしました。その内容につきましては、当初こ の委員会をたち上げるときに改正医療法の要綱として御説明申し上げましたが、その内 容のとおり可決成立いたしました。  詳しい内容については既に御承知おきのことと存じますので詳しく説明は致しません けれども、1ページで患者の病態にふさわしい医療を提供する体制ということで病床区 分の見直し、必置規制の緩和、適正な入院医療の確保、2ページにいきますけれども、 医療における情報提供の推進、それから医療従事者の資質の向上ということで臨床研修 の必修化等が、医師法・歯科医師法関係ですけれども、可決成立を見ております。  それから3ページですけれども、今回の法律の大きな柱であります病床区分というこ とで、現在の「その他病床」を改正後「一般病床」と「療養病床」に改めるというとこ ろでございます。それに伴いまして、精神病床についても今回、施行規則で人員設備構 造等の基準を定めるということでございまして、この委員会で御審議をいただいている わけでございます。  4ページでございますけれども、改正医療法国会等審議結果でございます。  右の方でございますけれども、衆議院が趣旨説明が10月3日、本会議で可決が11月2 日、参議院の趣旨説明が11月6日、本会議の採決が11月30日でございます。  法律の公布予定は12月6日ということになっております。  以上でございます。 【吉川委員長】  どうもありがとうございました。  この委員会でございますが、先ほど申し上げましたように、この意見を取りまとめる ことを求められている時期でもございます。委員の先生方には重ねてその状況をよく勘 案しいただきまして、議論を進めていただきたいと思っております。  それでは、議題に入らせていただきます。  まず、事務局の方から本専門委員会としての報告書の案を御説明いただきたいと思い ます。 【重藤補佐】  資料1「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会報告書 (案) 」でございま す。これにつきましては、先ほど委員長の方よりお話がございましたとおり、前回お出 ししました報告のたたき台をもとにこれまでの議論をまとめまして、加筆訂正を行いま して、委員会の報告書 (案) としたものでございます。  ですので、報告書のたたき台と基本的なことは同じでございますけれども、多少変更 をしたところがございます。それが資料2として整理してございます。報告書のたたき 台からの変更点でございます。  資料2をもとに、変更点のみを簡単に説明させていただきます。資料2「報告書のた たき台からの変更点」でございます。  報告書 (案) の「1.基本的考え方の」の2つめの○でございますけれども、今回 「時代にふさわしい医療を提供できる」という文言を入れさせていただきました。これ は前回、伊藤(哲)委員より資料等をいただきまして、その文言を入れさせてもらいま した。  報告書 (案) の「3.人員構造の基準 (2)看護婦」の5つめの○のところでございま すけれども、そこに波線でアンダーラインを引いておりますところが今回挿入したとこ ろでございます。読ませていただきます。  「看護婦及び准看護婦の確保について、約4割の病院が患者4人に1人の水準を確保 していない現実を踏まえると、患者5人に1人を確保することが限度であるとの意見も あったが、主として精神病の患者を入院させる病院について、全ての病院に患者4人に 1人の看護婦を配置したと仮定すると、約7万6千人の看護婦が必要であるが、現在の 看護婦等が約7万4千人であることを踏まえると、患者4人に1人以上の水準を確保す べきである」というように加筆訂正をさせていただきました。 これは津久江委員、山崎委員からの御意見を挿入させていただきました。 同じく、看護婦の人員配置でございますが、7つめの○のところでございますけれど も、波線を引いたところだけ読ませていただきます。「看護学生に対する啓発と教育を 行うこと」「看護婦等が働きがいのある精神病院づくりを行うこと」という文言を挿入 させていただきました。 これにつきましては、伊藤委員よりの御意見を挿入させていただきました。  同じく3の人員配置の基準の中の薬剤師のところでございますが、4つめの○のとこ ろでございますけれども、「現在の2倍程度」の「程度」を挿入させていただきまし た。それから、「薬剤師配置基準は、平成13年12月を目途に見直すことになっており、 精神病床における配置基準についても、その際、改めて見直すことになるので、当面」 という文言を入れさせていただきました。 これは日病薬の方からの御意見を入れさせていただきました。 それから6つめの○のところでございますけれども、また波線のところでありますと おり、「また、向精神薬も相互作用等による重大な副作用を生じる危険性があり、薬剤 師が、薬剤使用の安全確保及び治療効果の向上に、寄与できるよう配慮する必要があ る」という文言も入れさせていただきました。 これは日病薬の方々の御意見をもとに入れさせていただきました。 4の「おわりに」のところで、新たに挿入いたしました。これは「おわりに」の3番 目の○になるのでございますが、その場所に入れさせていただきました。これは読ませ ていただきます。  「そのためには、 ・ 精神病床の機能分化のあり方 ・ 早期の社会復帰を目指した積極的な医療を提供する病床、措置入院患者を入院させ るなどの政策的に必要な役割を担う病床、児童思春期や精神作用物質による急性中毒又 はその依存症の患者のための専門的医療を提供する病床の整備のあり方 ・ 地域精神保健福祉対策の充実による、いわゆる社会的入院の解消に向けての具体 的な対策 ・ 精神障害者が受診しやすい環境の整備に向けての方策 など21世紀の精神医療がどうあるべきかについて明確な理念を掲げつつ、検討を行うべ きである」。 その次に続きます4つめの○として、「その上で、提言を踏まえた計画を策定し、そ れを国民の前に示しながら、必要に応じて精神病床の設備構造等の基準を見直して行く ことが必要である」というように変えさせていただきました。 以上が前回のたたき台からの変更点でございます。 この変更点を盛り込んだものが資料1「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委 員会報告書 (案) 」の中身でございます。 以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 ちょっとあわただしかったのでおわかりにくかったかもしれませんが、今とりあえず お手元で見ていただきますのは、参考資料1として出されました前回のたたき台、その たたき台のところにあります○と書いてあるそれぞれのところに○がついていますが、 その○の何番目のところをどのように変えたかということでございまして、今読み上げ ていただきました資料2「報告書のたたき台からの変更点」はそれに当たるわけでござ います。したがいまして、参考資料1を資料2で変更してありますので、その変更した ものが、本日お配りいたしました案として出ているということになります。 今、変更点につきまして御説明していただきました。とりあえず、そういうわけであ りまして、いずれまた一つ一つを、本日の案につきましては御説明しながら進めさせて いただきますが、とりあえず変更点だけを説明していただいたということになります。 それから、本日のこの会議までの間にも、私のところにも幾つか御意見をいただきま した。その御意見につきまして、今、簡単に説明させていただいてしまいましたけれど も、日本病院薬剤師会というところから私のところにも、それから厚生省側にもお話が ございまして、その御意見を私どもは勘案させていただいたということでございます。  これは、この会の中で薬剤師につきまして余り深い議論をしておりませんでしたの で、むしろ薬剤師会の方から御意見をいただいたことを私たちは受けとめまして、そし て薬剤師の部分につきまして変更させていただいたといういきさつがございます。  そのほかにも、日本精神病院協会の方からも改めて書類をいただきましたし、日本病 院地域精神医学会の理事長の方から文書もいただいております。その内容に関しまし て、特に病院地域精神医学会の理事長からの申し入れにつきましては、これまでこの中 でも公表させていただきましたほかの御意見とさして変わるところはなかったものです からそれは今までの議論に載せていただくということで、今回特別に組み込むというこ とはさせていただいていません。それが実情です。もちろん日本精神病院協会はここで もいろいろ御意見をいただいていますので、それを改めてたたき台からの変更というと ころに組み入れているわけではございません。  そしてもう一つ、先ほど伊藤(哲)先生のお話が出ましたけれども、今日、伊藤 (哲)先生の資料をお配りいたしましたのは、実際の議論をする中で前回提出されまし た資料と同じものを提出していただいているのですが、ここのところという指定がしや すいので改めて資料を配らせていただいたということでございますので、これは特別に 新しいものということではございません。後の議論のために提出させていただいている ということでございます。  以上、たたき台の問題につきましてはそこまでにいたしまして、本日御欠席の岡谷委 員の方から書面で御意見が出ておりますので、事務局の方から朗読させていただきたい と思います。  それでは、先にそれをお願いします。 【重藤補佐】  それでは、本日御欠席の岡谷委員の意見につきまして、事務局より朗読させていただ きます。参考資料2「岡谷委員からの提出資料」という資料でございます。その1枚目 でございます。  「精神病床の看護職員の配置基準について 本専門委員会は、医療法の改正を受け て、一般病床より低く設定されている精神病床の人員配置基準等について、精神科医療 を充実させるという観点から検討をすすめてきた。  特に看護職員の人員配置基準については、利用者の立場にたった参考人の方々や多く の委員からのご指摘もあったように、精神科医療の充実には欠かせないものであり、基 準を上げることについては異論がない。  私は、夜間の看護職員が最も少ない状況でも十分なケアを提供するためには 2.5:1 程度の看護職員の配置が必要であることを本専門委員会で示した。また厚生省がまとめ た資料によると現状では不十分な数しか看護職員を配置していない医療機関もあるが、 充足が可能な範囲であることも明らかになった。さらに充足を一刻も早めるために、 様々な手立てによる看護職員の確保対策を、国と協力しながら、看護職員団体としても 精力的に取り組むことを約束した。 従って、5年程度の経過措置を考慮すれば、看護職員配置基準を大きく引き上げるこ とは十分に可能なことであることは明らかであり、本専門委員会もそのような報告をま とめるものと考える。 このような考え方は、なにも特別なことではなく、すでに立法府や行政府において約 束がなされていることである。 11月30日に可決成立した医療法改正において、参議院国民福祉委員会で付帯決議がな された。政府は付帯決議の条項にある「精神病院の職員配置基準及び構造設備基準を可 能な限り一般病床並に引き上げるとともに、国際人権規約及び国連原則等の規定に従 い、当事者の意見を聴いて処遇を改善すること」との意見にそって、医療法の政省令の 策定にあたらなければならない。 また、衆議院の厚生委員会では、厚生政務次官が委員からの質問に対し「急性期の精 神科医療を推進するためには、人員配置も厚くしなければならないし、当然それに応じ た診療報酬上の評価もしていく必要がある。」と答弁している。 このように、人員配置基準を手厚くすることは、立法府、行政府の立場としても周知 の事実である。 本専門委員会では看護職員人員配置基準を5:1でよしとする意見がある。しかしこ の意見は、本専門委員会の目的にそった意見とは到底思えない。 例えば 100人の入院患者に対し、6:1では19人、5:1では20人、4:1では25人 の看護職員の配置が必要となる。もし6:1を5:1にするとしても、これでは 100人 の患者に対しわずか1人の看護職員の増加を求めているにすぎない。6:1の特例基準 ができて約半世紀を経た今日わずかこれだけの増加でよしとする意見は理解しがたい。 また、看護職員による2人夜勤体制を行うためには、60人と非常に多くの患者が入院 している病棟ですら、最低でも4:1の看護職員の配置が必要である。5:1では看護 職員の最低労働条件を守ることはできないし、まして60人の患者を1人でみなければな らない状況では、最低限の患者の安全ですら守ることは至極困難である。 もはや言うまでなく、5:1とはこれほど低い水準である。 最低限の患者の人権を守り最低限の医療の質を保証するということもままならない5 :1の基準は、専門家として断じて了承できるものではない。 本専門委員会では、医師の配置については今までとかわらず48:1のまま、看護職員 の配置については総合病院等では3:1、主として精神病の患者を入院させる病院にお いては4:1という数値が示され、これをもとに議論が進められてきた。 医療法が定める最低基準は精神科医療の質を保証するための基準である。この点を踏 まえて考えると、医師の配置、看護職員の配置ともに一般病床と同じ水準を本専門委員 会は示すべきである。また、もし医師の配置基準を高めることができないのであれば、 看護職員の配置基準をより高めるべきである。さらには精神科看護のスペシャリストを 積極的に活用できる方策を講じるべきである。 精神科医療における隔離拘束をなくすこと、社会復帰・社会参加を進めること、急性 期に効果的・重点的な治療を行うことなど、精神科医療の質向上に関する様々な変化の いずれをとってみても、マンパワーの充実なくしては達成できない。精神科医療の質を 充実させ、精神科医療を国民にとって満足のいくものとするために、最大限の努力をす ることが私たち医療専門家の義務である。この自覚を十分反映させた形で報告書がまと まることを切に願う。」  以上でございます。 【吉川委員長】  どうもありがとうございました。欠席されました岡谷委員の御発言でございました。  それでは、報告書の案につきまして議論を進めていきたいと思います。  会の進行といたしましては、最初に報告 (案) につきまして御説明をいただきまし て、その後自由に御討論いただきたいと思っております。とりあえずそれだけを先に進 めまして、その後、各項目ごとに作業を進めさせていただく。そのように考えておりま すが、いかがでございましょうか。御意見がございましたらば、先にいただきたいと思 います。もしよろしければそれで進めさせていただきます。  それでは、資料1をお出していただきたいと思います。資料1につきまして、前回、 そして前々回は骨子を出しましたし、前回はたたき台を出しました。そのたたき台から 変わっているところについて主として議論をしていただきたいと思いますので、そのと ころをもう一度お示しいたします。  3つ並べておいていただけませんでしょうか。資料1を出しておいていただいて、そ れから資料2「報告書のたたき台からの変更点」、もう一つは、先ほど参考資料1とし て出ましたもの、これが前回のたたき台でございますので、前回のたたき台があって、 そしてたたき台をどのように変更したかということ、そして案として出しておりますも のを並べておいていただけると議論が早いかと思います。  さて、今回の案の中で1の基本的な考え方で○がついてるわけでございますけれど も、この○につきましては、先ほど申しましたような、前回、たたき台のときに出しま した2つめの○、すなわち「精神病院の人員配置の基準については」と書き出してある ところを一番最後の文章のところだけ少し変更させていただいているというのが、たた き台からの変更点のところでございます。したがって、前回のときは基本的な考え方は とりあえず皆様方の御承認を得たと思いましたので、これにつきましてはさほどの変更 はしておりませんけれども、いろいろ考えて「時代に相応しい医療を確保できる人員配 置」という文言を入れさせていただいたというのが基本的な考え方の2つめの○の変更 点でございます。  これにつきましては特別に御意見ないでしょうか。いかがでございますか。  もし、これはお認めいただけるとすれば、これはそのまま過ごしたいと思っていま す。  その次の設備構造の基準に関しましては、特に今回変更はしておりません。したがい まして、たたき台からの変更点の中に2という項目がないのはそのためでございます。 特別に変更しないで、前回お認めいただいた内容で進めたいと考えております。  これにつきましてはいかがでございましょうか。 【伊藤(哲)委員】  私は前回、この設備構造の基準の○の3つめ、技術的ないろいろな問題があるという お話もありましたけれども、私の方の修正案の中で2ページ目でしょうか。 【吉川委員長】  ちょっと待ってください。それでは、伊藤(哲)先生が今日またお配りいただきまし た資料をお出しいただきたいと思います。それでどうぞ。 【伊藤(哲)委員】  2ページ目のところですが、設備構造基準の3つめの○に書いておりますけれども、 「医療法施行規則には云々」という言葉がある。このように「精神障害者が危険である との前提に立つ規定は精神障害者差別を助長するものであるので廃止し、特別な病室へ の入院の必要については例外規定としてこれを定めることを検討すべきである」という 表現で。 【吉川委員長】  いただきました。 【伊藤(哲)委員】  今回の報告書案では用語の変更という形で、考え方自体は従来の考え方、ですから、 もう少し私の主張を表現できるようなものに変えていただくことはできなかったかとい うことです。 【吉川委員長】  表現上、確かに今の3つめの○に書いてある一番最後の部分が「用語の使用について 十分配慮するべきである」と書いてあることについて今、伊藤(哲)先生が言われてい るわけですね。ですから、用語だけの問題ではないではないかと言われているので、い かがでございましょう。 もし何か伊藤(哲)先生の方から、ここのところで変更するとすると先生が提案され た全文を取り入れるということでしょうか、それとも私の方で提出いたしました案のど こかをどのように直せばいいかという御提案をいただいた方が早いと思いますけれど も。 【伊藤(哲)委員】  私は、ここを読んでいただければわかりますように、最後のところは「検討するべき である」という表現になっているわけですね。技術上の問題がいろいろ出てくるという お話がありましたから、今すぐに解決できない問題があるということは私もわかってい ますので、しかし放置するわけにはいかない。明らかに精神障害者差別を助長するとい うか、差別を前提にした規定であるということがあるわけですから、これを早急に検討 課題に挙げるべきだということを基本的な考え方の中に書き込むべきだというのが私の 主張です。 【吉川委員長】  ということは、「用語の使用について十分配慮する」をもっと踏み込んだ形で「検討 すべきである」ということを入れる。用語の変更を検討するという意味ではなくて内容 的な意味で「検討する」と書くべきであるということ。 【伊藤(哲)委員】  もう少し踏み込んだ表現です。 【吉川委員長】  御意見としてはいかがでございましょうか。 【金子委員】 今の伊藤(哲)先生の御意見に賛成です。原則的には、例えば非自発的 な入院であるとか、特定の場合は特定の病室にというのはやむを得ないとしても、原則 は患者さんの同意に基づく人権を制限しない入院だというのが現在の精神科医療の流れ だと思いますから、「用語の使用について十分配慮」ではなく、「施行規則を作成する に当たっては開放医療の前提を踏まえ、検討をすべきである」とか、そのように書き変 えた方がよろしいと思います。 【西島委員】  当然、今は開放ということが前提になりながら進められたわけでありまして、今の伊 藤(哲)委員がおっしゃったこれは、開放と閉鎖とどこがどう考えられるのか。つま り、精神病患者を精神病床以外の病室に収容しないということと、開放・閉鎖とどこが どうかかわるのですか。今おっしゃったのはちょっとおかしいような気がするのです が。 【伊藤(哲)委員】  私が答えなければいけないですか。 【西島委員】  いいえ、金子委員が言われたので、答えていただきたいと思います。 【金子委員】  「精神病室に収容しなければならない」という規定があるからと理解しています。そ のほかに規定があるのは感染症と結核という人に伝染しうる疾患という前提があると思 います。はたしてそれらを一緒に考えてよいのかどうか。それは間違いでしょうか。 【西島委員】  この施設外収容禁止ができたのは、何も危険だからできたわけではないですね。一番 最初に施設外収容禁止という条項が出たのは、例の座敷牢の問題から出てきたわけでし ょう。これは危険だということでできたわけではないですよ。ですから、先ほど金子委 員がおっしゃったのが、要するにこことどうリンクするのですかということを聞いただ けのことです。 【金子委員】  それは了解しました。できたら、精神保健福祉法でも法定施設外禁止条項がなくなっ たわけですから、それに合わせてとは思いますけれども、先生と私に意見の相違がある と思います。 【西島委員】  この話に関しては、施設外収容禁止は精神保健福祉法から外れた経過というのがちゃ んとあるわけで、つまりそれは社会復帰施設、グループホームなどに精神障害の患者さ んたちが入られるということで精神保健福祉法から離れたわけですね。ですけれども、 もしこの施設外収容禁止をとるのだということであれば、それでは精神病床というもの の根拠はどこになるのでしょうか。 【伊藤(哲)委員】  精神病床の根拠といいますけれども、例えば具体的に言えば、小児 科の患者さんのは何ベッドとか決まっていないわけですね、小児病床と例えば外科病床 と。 【西島委員】  ですから、この話は私は議論しないと言ったのですけれども、ここに出されていてこ れを入れろと言われるから、それなら精神病床というものの根拠は何になるのですかと 言っているわけで、小児科は一般病床ですから各科は全部一般病床ですね、ところが精 神病床というのはこういう形で特別にあるわけですよ。しかも、精神病床は今回残すと いう議論は既に公衆衛生審議会の精神保健福祉部会で決まったわけでしょう。ですか ら、先生があえてここにこういうことを出されるということは、ではその根拠はどこな のですかということを私は申し上げています。精神病床の根拠をどこに求めるのですか ということです。 【伊藤(哲)委員】  精神障害者が入院する病棟ということは、それはそれでよろしいのではないですか、 精神科の疾患を持つ患者さんが入院する病床ということで、あえてここにこのように精 神病床以外の病室に収容しないことというこれをわざわざ入れる理由は全然ないのでは ないでしょうか。 【西島委員】  現行、先生方の議論というのは、例えばこの前の患者さんたちの御意見をお聞きする と、要は合併症の云々とかいろいろな話がそこで出ましたね。ですから、それはそれと して現実的にどうなのかというと、精神病の患者さんたちは一般病床に入院していない のでしょうか。 【伊藤(哲)委員】  ですから、現実には入院しているわけですね。 【西島委員】  そうでしょう。ですから、どこで。 【伊藤(哲)委員】  現実に入院しているから法律がこういう誤解を招くような表現を残していいというこ ととは別問題なんです。 【西島委員】  もう一度申し上げます。では、精神病床の根拠というのは、何を根拠にして精神病床 というものをつくるわけですか。 【伊藤(哲)委員】  ですけれども、この精神病床以外の病室に収容しないことということがなくなったか らといって、精神病床の定義がなくなるわけではないのではないでしょうか。 【西島委員】  それはどうしてですか。例えば結核病床ができたというのは結核予防法でしょう、必 ずその根拠があるわけですよ。ですから、精神病床ができたということはそもそも精神 障害者という部分があって、この根拠があるわけでしょう。そのもう一つの根拠という のは精神保健福祉法ですよね。ですから、そういう意味でもし施設外収容禁止という条 項を外されるのであれば、医療法の中での精神病床の根拠は一体何なのでしょうかとい うことを言っているだけのことです。 【伊藤(哲)委員】  精神病床の定義が、施設外収容禁止があって精神病床の定義があると考えなければ、 定義できないという前提に立っているわけですか。そこは恐らく、私が先ほど言った技 術論的な問題があるだろうということですが、基本的な考え方だけはここできちんとし ておきたい、差別につながるような規定はまずはなくしておくというのが前提だと思い ます。 【西島委員】  そこは違うと思うんですけれども。 【吉川委員長】  差別をなくすということに関してはどなたも合意をすると思いますので、それは構わ ないんですね、ここで改めて議論することではない。西島先生が言われている精神病床 とは何かという規定に関して、今のような言い方で、今の議論の流れの中だけで考えれ ば、私は精神病床というものは何かということを議論しなければいけなくなってしまう ような気がします。ですから、それはここでは議論すべきことではないのでここでスト ップさせていただきます。  その上で、精神病床とは何かではなくて、少なくともこの専門委員会の中で議論され たことで、そして特に当事者の方々に来ていただいて発言していただいたことは、危険 視するということに関しての問題だったと思うんですね。ですから、危険視するかどう かということが文言として残っていることに関しては、発言の中でかなり強調されてき たことなので、この内容に関して、すなわち危険視しているということに関してこれを 単に用語の問題としてではなくて、危険視しているという考え方をどう外すかというこ とに関しては私はここで議論していただいて結構だと思っています。 ですけれども、その文言として実際にどういう文言が適切であろうかというのが、先 ほど私が伊藤(哲)先生にどのように変更したらよろしいですかと投げた意味でござい ますので、できればこの場で伊藤(哲)先生に、少なくとも私たちがここで投げかけた 案文の中では確かに「用語」という言葉を使っていますので、これに反論されたとすれ ば、「用語」ではなくて内容的に見てこうしたことをどのようになくしていくのかとい うことを文章上表現していただければありがたいなと私は思います。 【津久江委員】  黙っておりますとこのままになりますので、設備構造の問題については私も山崎委員 も第1回で発言していると思うのですが、 6.4平米の問題、居室の問題は置いておきま して、 2.7の 1.8メーター、廊下幅の問題は、私は精神病院にはいろいろなファシリテ ィがある、それが治療効果が上がる、つながるということで、そちらに評価していただ きたいということで、一般科と同等にすべきではないということを主張したつもりなの ですが、そのことが抜けているのですが。 【吉川委員長】  ちょっと待ってください。それはもうこの前のときの議論の中で一応通過したことだ と考えていただきたいと思います。そこのところではなくて、今は3つめの○のところ で議論していただいていて、今は1つめの○に戻った形になっていまして、同等である というように書き切っていることに対しての恐らく御意見だろうと思いますので、これ はこの前のときに一応通過したと私は考えておりますので。 【西島委員】  もう一つようございますか。 【吉川委員長】  はい、どうぞ。 【西島委員】  これは個人的なことを言う場ではないと思うのですが、要するに精神病床の機能分化 は当然これからやっていかなければいけないということは、これはもう精神保健福祉部 会でもその話が出ていますね。そういう中で、例えば痴呆の治療病棟、療養病棟等をや っていきますと、面会にお孫さんまで来られるんですよ。それから、うつ病の患者さん たちを治療していきますと、この方々は安心して数回の入院という形になっているんで すよ。 つまり私は何が言いたいかというと、先ほどから「危険」という言葉が出ているの は、これは変えていかなければいけない。まさしく明るい精神医療はどうあるべきか、 精神病床はどうあるべきかということはそこから議論すべきであって、これを外すこと が、これそのものが危険というようにお考えになっているということは、分裂病の患者 さんを中心にした入院病棟をお考えになっているからそういう発想ではないかなと私は 思うんですね。ですから、将来的には当然機能分化をして、この報告書の最後にもそう いうことを書いてありますし、そういう中でそういう偏見がなくなっていくのではない かという気がするのですけれども。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  伊藤(哲)先生の方で何かできましたか。 【伊藤(哲)委員】  今、恐らくひっかかっているのは、「精神障害者差別を助長するものであるので廃止 し」、これが恐らく、西島先生がおっしゃったように、廃止は精神病床を区別した意味 もなくなってしまうという意味でおっしゃっているわけですね。 【吉川委員長】  ちょっと待ってください。私が今言っているのは、私が少なくとも案として提出して いるものをどう変えていただくかということですよ。ですから、先生が書かれたもので はなくて、これを全面的に採用しろということですかと先ほどお聞きしたときには特別 に御返事がなかったので、私たちが提出した案をどういうふうに訂正していただくかと いう次の案を先生に申し上げたので、したがってそこで訂正をしていただきたいと思っ ています。だから「用語」という言葉に私はこだわって、用語という言葉を外してどう いう文章の流れにしたらいいのかなと思って。 【伊藤(哲)委員】  私が提案したのは、ここに挙げたとおりに、2ページの設備構造の基準の3番目を入 れかえてほしいということで出したつもりだったのです。 【吉川委員長】  はい、わかりました。  それでは、それに関しては西島先生の方からもかなり御意見をいただきましたし、私 の方で預からせていただきます。それで私の方で、2の3つめの○に関しましては修正 したものをまた先生方のところにお回しするなり何なりしたいと思います。  それでは、2は一応これで終わらせていただきます。  3の人員配置の基準でございますけれども、医師に関しましては、この前私たちが出 しましたたたき台に関して特別に変更しないで出してございます。大きな議論はその前 のときの議論で済んでおりまして、前回は医師のところは特別にありませんでしたの で、前回出しましたたたき台をそのままとさせていただきました。 【伊藤(哲)委員】  よろしいでしょうか。今のところですけれども、私は医師の配置についても16対1の 部門を少し広げるような案にしていただきたいということは前回からお話ししているわ けですけれども、今回入っていませんね。 【吉川委員長】  はい。 【伊藤(哲)委員】  それで、その辺については異論があるということだけは一言申し上げさせていただき たいと思います。 【吉川委員長】  わかりました。それはこの前のときにも伊藤(哲)先生の方から案をいただいていま すし、したがいましてその御意見があることは当然のことながら記録されていますので わかっています。  それで、議論がありましたのは看護婦等のところでございますので、資料2のたたき 台からの変更点の「3.人員配置の基準 (2)看護婦 (5つめの○) 」についてでござい ます。5つめの○のところにございましたが、この書き方を、先ほど重藤補佐の方から お話がありましたように、日精協の方からも御意見をいただきましたし、ここで津久江 先生からも何回かにわたって御意見をいただきましたので、これらにつきましてこのよ うな形でここに書き込ませていただきました。この5つめの○のところはこれでよろし いかどうか、いかがでございましょうか。 【津久江委員】 先ほど岡谷委員の日看協の 2.5対1、あるいは3対1、伊藤(哲)先生、厚生省は4対 1にしたいようでございますが、我々はデータに基づいて5対1しかないということ で、決してこの委員会での統一的な見解は得られていると思います。座長は非常に御苦 労されたと思うのですけれど、私は、蒸し返すようですが、もっと時間をかけて丁寧な 意見をもっと積み重ねるべきではないかと。例えば新看護体系のときには恐らく年限に わたって17回のフィールドリサーチをして、その上で決まったと聞いておりますし、私 は伊藤先生にかみつくようですが、政策医療というのは自治体病院がやっているのだ、 国公立がやっているのだと常におっしゃるのですが、民間病院でもそれを超える医療を やっているところは多いですし、特に救急に関してはそうだと私は思っておりますし、 単にこの結論を見ますと、総看護婦数の数で7万 4,000人が7万 6,000人になれば4対 1ができるというような、余りにも雑駁なといいますか小学校の夏休みの宿題のような 数だけの議論に終始しているようで、実情を踏まえていないと私は思うのであります。 つまり、地域的な偏在、あるいは養成制度、西島先生がよくおっしゃるように、あるい は需給の将来の計画とか、そういうものは全く無視して数だけの議論に終始している。 そこでいきなり4対1であるべきであるというような結論は到底承服しがたい。我々は 5対1しかないということを重ねて主張しておきます。 以上です。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 先ほども御紹介いたしましたように、日本精神病院協会の方から改めて私のところに も御意見をいただいておりますし、津久江先生の方からも改めていただきました。本当 に苦しいところではございますけれども、私の方でこのような形でまとめさせていただ いておりますが、ほかに何か御意見ございますでしょうか。 【竹島委員】 その看護婦さんの数の問題なのですが、基本的に精神病院の中の在院患者が高齢化し つつあるという現状があります。高齢化しつつあるというのは、新たな患者さんの入院 期間が短くなってきているという現状がありまして、これを踏まえますと、将来的には だんだんと看護あるいは医療の体制の質が上がることがより強く求められてくるという ことだろうと思います。 ですから、大変難しい問題であると思いますけれども、そこには長期在院患者さんの 療養のあり方を今後どうするかということと、あるいは本当に高齢化して退院の目処が なかなかたちにくい方の処遇をどうするかということと一緒に平行して図られるべき問 題ではありますけれども、将来の医療のあり方としては4対1という方向を出されてい くことが必要ではないかと考えております。 何といっても在院患者の高齢化と減少という問題が同時に進んでまいりますので、そ れを踏まえた医療体制ということになるのではないかと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 どうぞ、末安先生。 【末安委員】 今ほど津久江先生がおっしゃいましたように、私も前から申し上げているとおり、地 域によっては民間病院がその地域の医療を全面的に支えている病院も少なからずありま すし、その中で救急医療ももちろんそうですけれども、療養環境がなかなか、おうちに 帰れないということも含めまして、退院したいけれども退院することがなかなかできな い、安定した生活を得るには病院にいることが一番いいという患者さんも少なくないと いう現状があることは私たちも十分理解しています。しかし、この改正の今回の変更点 を見ますと、「4人に1人の水準を確保していない現実を踏まえると」ということがあ りまして、今日冒頭、座長の方からも理想と現実の違いが指摘されたわけですけれど も、私は前回も申し上げましたが、我々にとっての現実、医療提供側にとっての現実と 患者さんにとっての現実は必ずしも一致していないのではないかということを大変危惧 しております。 と申しますのも、昨日、全家連が主催している会で救急医療の分科会がありまして、 私そこで民間病院の先生と2人で司会をさせていただいたのですけれども、当事者の方 がこういうことをおっしゃいました。入院するのに非常に苦労して、その方は30年間に 5回ぐらいの入退院を繰り返しているのですけれども、非常に苦労してやっと病院に来 た。看護婦さんや先生にいろいろ相談したい、しかし先生方や看護婦さんは忙しそうに している。それで言葉をかけたいけれども、常に口をつぐんでしまったり、言葉をかけ ても「ちょっと待ってください、後で聞きます」ということを繰り返されていると、あ るいはほかの患者さんのそういう姿を見るとつい質問を控えてしまう。精神障害は生活 障害と言われている。しかし実際に医療を提供されているそういう場所で、我々はその 次に何と言われるかというと「自発性が欠如した」と言われる。 そういうことを言われた場合には私たちは、現実ということで言いますと返す言葉が ないわけですね。我々にとっての現実と、患者さんにとっての現実と、御家族にとって の現実は一緒ではないわけでして、我々がもし法のもとに平等ということをこの委員会 で医療の法律に基づいて検討していくのであれば、法のもとにある不平等をなくすのは どうしたらいいかということをできるだけ、一般科に入院する患者さんも精神科に入院 する患者さんも例外なく等しくサービスが受けられるようにしていきたいと、看護の方 としては考えております。 最低基準が満たせないのにはさまざまな理由がある、行政能力あるいは私たち看護者 の団体も力が足りなかった面はたくさんあると思います。しかし、この機を逃すと次に いつ、そういう意味での現実に近づけるのかというと現実に近づけないではないか、あ るいは精神病になった人だけが一般科に入院している方よりもサービスの提供が希薄に なっている。それは現実なのだろうか、我々が言っていること、考えていることと違っ ているのではないかと私は思います。 今朝も、ある県の病院のことが新聞に出ていましたけれども、一般科の病院よりも水 準が低い人員配置の、さらにそれが満たされていないという書かかれ方をしまうと、そ れを現実と簡単に切り捨ててしまっていいのかなと思います。経営側もすごく努力なさ っているわけですし、我々看護の方でも教育も含めまして、何とか精神病の患者さんの ことを理解を深めようとしているわけですけれども、理解を深めようという考え方だけ では変わらなくて、形から入っていかなければいけない面もたくさんあると思うんです ね。 ですから、そのためにもぜひ確保すべき水準というか考え方を強く国民の前にも示し ていただきたいと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 どうぞ、山崎先生。 【山崎委員】 5つめの○ですが、「主として精神病の患者を入院させる病院について」というとこ ろから数字を消してほしいと思うのですが、先ほども申し上げたように、この文章です と、 2,000人増えると4対1が実現可能だというように読まれてしまいますので、実際 この数で 2,000人増えてもすべての精神病院が4対1でするということは実質上できな いわけでありまして、したがって「7万4千」とか「6千」という数字を消して違う文 章にしていただきたいと思います。 【吉川委員長】  恐らく山崎先生がおっしゃるのは、地域事情があってそういうふうにはいかないのだ ということなのだろうと思いますけれども、どうでしょうか。現在はある種の数字を基 礎にした形で提案していかないとなかなか納得が得られないという時代にもなっていま すのでこうした数字入れさせていただいていまして、今までもこの数字については特別 に議論がなかったと思っていたのでこのまま残してきたのですけれども。 【山崎委員】 これは前回の委員会で私、発言いたしましたけれども、この数字が実態に合っていな いというのが、今回のこの委員会は30万床の民間病院と5万床の公立病床の看護の配置 すべて一緒くたに計算して「7万4千」という数字を出しているわけでして、公立病院 の看護婦の人員配置と民間病院の人員配置というのはかなり違っているわけでして、こ の人員配置と違う人員配置を平均化してしまって4対1という、論点の根拠自体がおか しいと思うんですね。 【吉川委員長】  ただ、それは日精協の議論の中でいけば、日精協の方は日本の精神障害者の8割どこ ろかもっとたくさんの人たちを面倒を見ている、そして公立病院はそう大きな役割を果 たしていないではないかという議論もこの中で出てきたと思いますので、今のような数 字を、今度そこで使われてもちょっと困ってしまうので、これはこれで全国的な情勢を あらわすというようにお考えいただけないでしょうかね。 【西島委員】 つまり、今までこの議論はきちんと議事録が残っているわけでございますから、そう いう認識を委員会報告の中で、吉川委員長が精神保健福祉部会で報告されるはずでござ いますから、そのあたりの議論の部分をつけ加えていただくという形で、私はこの数字 でいいのではないかと思いますが。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 それでは、西島先生の方からお話がありましたように、私がいずれ公衆衛生審議会精 神保健福祉部会で御報告をいたしますが、そのときにこういう議論がこの中であった、 数字に関してもこういう議論があったということで御報告はいたします。それで、実際 にそれでは精神保健福祉部会がどのような形でこの意見を採用されるかということ、ま た精神保健福祉部会の方の問題でございますので、この委員会としてはこの数字つきで 出させていただくことにさせていただきます。ありがとうございました。 それでは、5つめの○のところはよろしゅうございますでしょうか。 【伊藤(弘)委員】  今回、この委員会はこれまで医療法で精神科のことを議論されたのは初めてで、そう いう意味ではとても画期的な委員会だと思います。この特例は昭和33年のもので、少し 個人的なことですけれども、これは私が生まれる前のことでありまして、それ以降ずっ と変更がなかったのが、今回このような議論がされているというのは、座長また事務局 を初め委員の皆様のすばらしい会だなと私は考えております。 ただ、私はこの委員会で結論が出ないということを大変恐れていまして、最悪のシナ リオとしてはこの特例はもしかしたらそのまま残ってしまう危険性も実はないとは言え ないと思います。精神科医療をよりよくしていこうという意味では何らかの案を幾つか 提示しなければいけないのではないかなと考えております。 例えば老人の医療を考えますと、もう20年ぐらい前から老人保健法や医療法等があわ せて検討されてきて今回の医療法改正になっていますし、その他の医療法につきまして は特定機能病院の議論は90年代からもう10年近く議論されて、現在の医療法の改正案に こぎつけています。そういう意味では精神科医療は今回初めて、それもその他の医療と 同じところで議論しており、何らかの案は提示しなければいけないのではないかなと考 えております。 それで折衷案という意味ではないのですけれども、1つの案として御提示したいの は、看護基準は4対1にする、ただ当面そのうち1人は看護補助者でも認めるというも のはいかがなものでしょうか。例を提示した方がわかりやすいかと思いますので、60床 の病棟におきまして現在10人の職員となっていますが、それを4対1の15人にする。た だしそのうち3人は看護補助者でもよいというものであります。議論の1つとしてお考 えいただければ幸いであります。よろしくお願いします。 【吉川委員長】  わかりました。伊藤(弘)先生の御意見を承りましたけれども、ここの修正というこ とではなくて、それは御意見としてまた私の方で後ほど考えさせていただきたいと思っ ています。 【池上委員】  それに関連してよろしいでしょうか。精神科と一般医療との対等な位置づけというこ とは課題になっていると思うのですけれども、対等な位置づけと同じ人員配置とは違う 話ではないかと思いまして、先ほど伊藤(弘)委員がおっしゃったように、看護補助者 という言葉は適切でないのでほかにかわるべき言葉があればいいのですけれども、残念 ながら医療法上ないのですけれども、PSWやCP、その他、先ほど竹島委員は高齢化 ということをおっしゃいましたが、そうしたら介護職員を含めた人員配置ということ で、それを含めた4対1ということであれば、実態としては数の上での質の確保ができ ると思いますし、また対等ということと同質のケアが必要ということとは違うと思いま すので、そういう観点から、要するにトータルのヒューマンリソースが問題であって、 そして精神科に合致したトータルなリソースが法的に義務づけられるということに意義 があることであって、看護婦、准看護婦の資格ですべて該当させる必然性は必ずしもな いのではないかということで、精神科の特殊性と一般医療との対等な立場というところ をかんがみた1つの妥協を座長の方で御検討いただければ幸いでございます。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  いずれにいたしましても、実際に施行するに当たりましていろいろなことがその辺で 出てくると思います。ただ、ここでは1つの方向ということでございますので、こうい う形で出させていただきました。これで一応議論を終わらせていただきたいと思いま す。 【伊藤(哲)委員】  今の精神科の特殊性ということで補助者も加えていいのではないかというお話があり ましたけれども、私はそれは、座長はここには触れないということをおっしゃったので それでよろしいのですが、やはりはっきりしておかなければ、特性ということであれば むしろ看護婦さんの方は一般科よりも重要だという特性があるという前提に私は立って いますので、ここの中に看護補助者も含めて人員配置をするべきだというニュアンスが 入るようなことは絶対していただくべきではないというのが、ちょっと異論があるとい うことだけ述べさせていただきます。 【吉川委員長】  わかりました、ありがとうございました。  それではこれで一度切らせていただきます。また後でお伺いいたします。  それでは、7つめの○に進ませていただきますが、7つめの○のところは人員配置基 準を満たすために看護婦の確保の問題でございまして、この看護婦の確保をどのように していくかということで、これにつきましては西島先生の方から何回かにわたってお話 もいただきましたし、日看協の岡谷先生の方からもその趣旨は今日も述べられておりま すので、これはいかがでございましょうか。これはこれでよろしゅうございますでしょ うか。  もしよろしければ、ここを通過させていただきます。  それでは、 (3)の薬剤師のところでございますが、薬剤師のところは先ほど少々御説 明いたしましたように、日本病院薬剤師会の方から私たちの方へ御意見がきておりまし て、皆様方にお回しすればよかったのでございますけれども、前回もそうでございまし たが、薬剤師のところは余り議論がありませんでしたので、私たちの認識も少し甘かっ たのかなと思って、私は積極的にこのたたき台を変更する形で提示させていただきまし た。提示させていただきました内容というのが、実は薬剤師会の方から提案があったと ころでござい ますので、こういう形に変えさせていただきますけれども、いかがでございましょう か。 もしよろしければ、4つめの○のところでございますけれども、改めて読ませていた だきます。 「精神病床における薬剤師の配置の基準として、一般病床と同等の基準とした場合、 推計によれば、現在の2倍程度の数の薬剤師が必要となるが」、「程度」という言葉を 入れさせていただいております。「薬剤師配置基準は、平成13年12月を目途に見直すこ とになっており、精神病床における配置基準についても、その際、改めて見直すことに なるので、当面、療養病床における基準と同等とすることが適切と考えられる」という ことで、中に文言を少し入れさせていただいたということでございます。ここは少し説 明をしたということになるかもしれません。 それから6つめの○のところは、「将来的には、精神病院に入院する患者の高齢化に よる合併症への対応など、精神病院における薬剤の種類や処方の件数が増加することが 予想される」、ここまでは前のとおりです。「また、向精神薬も相互作用等による重大 な副作用を生じる危険性があり、薬剤師が、薬剤処方の安全確保及び治療効果の向上 に、寄与できるよう配慮する必要がある」、これは御意見としていただいたものを採用 しています。こういう文言を入れさせていただきまして、「その一方で外来患者に対す る処方において医薬分業が推進されることにより、病院で調剤する必要性が減少するこ とも予想されることから、今後、精神医療における調剤の状況について把握し、薬剤師 の配置基準を見直すことが必要である」、これが御意見の中に入っておりますので、入 れさせていただきます。 以上、薬剤師に関して特別に問題なければ、ここを通過させていただきます。 あとは、4の「おわりに」というところでございますけれども、新たに挿入させてい ただきましたのは、前回の議論の中でもいわば今後の問題として考えていかなければい けないということを幾つか御指摘いただきました。そして、今日ももちろんその意見が ございましたけれども、いずれにいたしましても、こうした「今後の問題として」とい うことは、この専門委員会ですべて解決するというつもりでもありませんし、少なくと も今後、これに関しましても5年後見直しということを頭に置きながら考えてきたわけ でございますので、今後の方向として、まず、ただ5年いたずらに時間を経過するとい うことではなくて、積極的にこの次の見直しのときに十分に考え方が反映できるような ものとして今後の方向を何とか立てておきたい、こう思って一番最後の「おわりに」と いうところにいろいろな文言を書かせていただきました。 すなわち今回、私どものこの検討会が報告書を出しますと、その報告書が当然のこと ながら残っていくわけでございますし、それがある意味で今後の精神科の医療のあり 方、病床だけではなくて医療のあり方を方向づけていくものと考えて、そこに私たちの この専門委員会としての意見をできるだけ盛り込んでおこうという考え方でございま す。すなわち、直前にあります人員配置の問題はここで議論させていただきましたけれ ども、それだけではこの委員会の目的を果たしたことにならないのではないかという考 え方があって、この最後のところにいろいろなものを盛り込んだということでございま す。 そして、あとは御説明になります。この○のところ、まず、「この報告書は」と書い てあります1つめの○に関しましては、「精神病床の機能分化が未だ成熟していない状 況や長期入院患者の療養のあり方が未だ具体的に提言されていない状況の中で、精神病 床の設備構造等の基準のあり方をとりまとめたものである」ということで、ある種の条 件づき、限定づきの報告書であることをまず最初に書いておいて、「したがって」とい うところへ続きます。 「したがって、より良質な精神科医療を提供するために、精神病床の機能分化や長期 入院患者の療養のあり方を含め、21世紀の精神医療の方向性について、別途、検討を開 始し、人員配置に関する経過措置の期間とされている医療法施行後5年の間に一定の方 向を示すべきである」、このようにこの前のときには一応書いておいたわけでございま す。 そして、「 (新たに挿入) 」と書いてありますように、「そのためには」というとこ ろからが今回なおもう少し強調させていただいたところでございます。 「・精神病床の機能分化のあり方」。 「・早期の社会復帰を目指した積極的な医療を提供する病床、措置入院患者を入院さ せるなどの政策的に必要な役割を担う病床、児童思春期や精神作用物質による急性中毒 又はその依存症の患者のための専門的医療を提供する病床の整備のあり方」、これが・ の2つめになります。 3つめの・が、「地域精神保健福祉対策の充実による、いわゆる社会的入院の解消に 向けての具体な対策」。 4つめの・が 「精神障害者が受診しやすい環境の整備に向けての方策など」。 これらの4つの・「など21世紀の精神医療がどうあるべきかについて明確な理念を掲 げつつ、検討を行うべきである」。 具体的なことをこういう形で書かせていただきました。 「その上で、提言を踏まえた計画を策定し、それを国民の前に示しながら、必要に応 じて精神病床の設備構造等の基準を見直していくことが必要である」というように、 「したがって」以下を少し変えさせていただきながら、全体を締めくくらせていただい たということでございます。 いかがでございましょうか。 【金子委員】 先回の委員会のときにも5団体からの要望書ということで御説明させていただきまし たが、理想的には精神科特例というのは全廃すべきだと思いますけれども、現実的な妥 協点としては機能分化であるべきだという提案であったのですけれども、これを5年後 までの検討マターと明確に位置づけて、それがきちんと計画されるのであれば、今回4 対1という一本化もある意味ではやむを得ないかとは考えております。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 【竹島委員】 3つあるのですが、1つめは、全体のまとめの中の2番目の「したがって」の「医療 法施行後5年の間に」の部分です。精神保健福祉法の改正でも5年というのが1つの目 安に挙げられていますが、今後、精神保健福祉法の改正等との連動性が出てくるのかど うか。もしそうであるとしたら、それと連携しながら見直していくというような文言が 入っていた方がいいのかどうか。でも、そうすると5年というくくりがずれてしまうの で適切ではないかもしれませんが、そのあたりの文言が必要なのかどうかということが 1点。 その次は、「おわりに」に新たにつけ加えられた分ですが、「地域精神保健福祉対策 の充実による、いわゆる社会的入院の解消に向けての具体的な対策」というところで す。「いわゆる社会的入院」というのは、言葉が多義的でいろいろなものを含んでおり ます。そういう意味から考えますと、「地域精神保健福祉対策の充実等による長期在院 の解消に向けて」という形でもう少し明確化する。その上で重症でやむを得ず長期入院 になる人については、それは専門医療の中で解決すべきことではないかとも考えられま す。「社会的入院」という言葉を使わないで、前に「等」を入れることが必要なのでは ないかと考えました。 もう一つは、「精神障害者が受診しやすい環境の整備に向けての方策」ですけれど も、患者調査で精神障害者数が 217万という数が出ており、精神障害はいわば国民病と いう状況になっておりますので、精神障害者が受診しやすいというよりも、「国民が利 用しやすい精神科医療の整備の方策」という形で、もう少し幅を広げた文言にしてはど うかと思います。 【吉川委員長】  わかりました。ほかに、どうぞ。 【西島委員】 これは精神保健福祉法と連動していかないといけない問題なんです。特に精神障害者の 定義という部分が、今の状況の中で実際にここの病床を見てみますと、まさしく精神障 害者の定義に近いところの病床だけできているわけで、精神科に求められる医療は大き く変わってきているということがございます。  そういうことで、「そのためには」の2つの・の最後の部分でございますが、「専門 的医療を提供する病床の」となりますと、ここに書かれているものだけで済んでしまい ますので、「病床等の整備のあり方」ということでいろいろな機能分化をここで考える 余地を残しておきたいと思います。 【吉川委員長】  わかりました、ありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞお願いいたします。 【山崎委員】  前回の委員会でも申し上げたのですが、公民の格差の是正というのを挙げさせていた だいたと思うのですが、実質的には、我々民間病院の給与の倍ぐらいの給与を使って公 的病院が運営されているわけですから、その辺の格差の是正をしませんと、看護婦対策 にいたしましても、民間病院の方に看護婦さんが就職してくるというようなことはとて も考えられないと思います。 【吉川委員長】  ただし、先生、今の給与の問題などを例にとっては、こういうところではなかなか書き にくいですよね。どういうような……。 【山崎委員】  給与だけではなくて。 【吉川委員長】  もちろんそうでしょうけれども。 【山崎委員】  漠然と、ですから公民の格差の是正を含めたというような文言をぜひとも入れてほし いと思います。 【吉川委員長】  はい。 【伊藤(哲)委員】 1つは「社会的入院」という言葉が問題あるというお話で、私は一般医療でも、医療法 の本体の方でも「社会的入院の解消」という言葉で議論されていますので、精神病床に ついてもこの言葉を残すこと自体には問題ないのではないかということです。  今の公民の問題についても、既に基本的な考え方の中に「公私の役割分担なども幅広 く検討することが必要である」と入っているわけですから、改めてさらにつけ加える必 要はないのではないかと思ったのですけれども。 【吉川委員長】  それはちょっと待ってください。それは私の方でまた後で整理させていただきたいと 思います。 【山崎委員】  「公民格差」という言葉をどうしても入れていただきたいと思います。 【吉川委員長】  わかりました。 【竹島委員】  私は、「社会的入院」という言葉が今まで起こしてきたいろいろな誤解を考えた場合 に、今回の専門委員会の議論をまとめる中で「いわゆる社会的入院」という言葉の使い 方は余り適当ではないのではないかと考えるわけです。  ですから、「長期在院」という形で明確にし、その中で、長期でしかも重症の人たち には専門的な医療を当てはめて考えていくべきであろうと考えます。また「地域精神保 健対策」という言葉についても、どういう範囲を地域精神保健対策と考えるかというこ とによってまた議論が生まれてまいりますので、「いわゆる」をつけて「社会的入院」 と言うのであれば、「地域精神保健対策の充実等による長期在院の解消」という形で表 現した方が論点がはっきりするのではないかと考えます。  「地域精神保健対策」をどのように理解するか、あるいは「精神病院」というものを 地域の機能のひとつとしてとらえていく観点がなければ、地域精神保健対策は非常に狭 い範囲になってしまう。そうすると結果的になかなか課題解決されていかないと思いま す。 【吉川委員長】  どうぞ、津久江先生。 【津久江委員】  西島先生の「等」と同じような問題がここに、私は言いたいと思うのですが、病棟の 機能分化の切り口というのは、あるいは療養病棟の機能分化の切り口はたくさんあると 思うんです。これはそれがちょっとごちゃまぜになって文章になっているんですね。例 えば、疾患別でいくのか、あるいは患者重症度でいくのか、あるいは看護婦さんが今日 はお話しされないですけれども、看護重症度もあると思うんですね。今の入院機能分化 も全くそのとおりで、看護婦さんの数をまずベースに置いて看護重症度をオプションで つけ加えたという入院機能の特徴だったと思うのですけれども、あるいはもう一つ、厚 生省が一番喜びそうなのは入院期間、平均在院日数で新旧に分ける。いろいろな分け方 があると思うんですね。そこらを列挙しておかないと、西島先生のまさしく「等」にな ってしまって、これは非常にファジーな表現になるのではないかと思います。 【西島委員】  恐らくこれは今後のあり方ということでございますから、しかもこういう形で議論す ることによって、ではそれをどこで担保するのかという話になると思うんですね。です から、医療法の中でそれをやってしまうのか、健康保険法の中でやるのかということで ございますから、これは今後検討という形で、私はこれで構わないのではないかな と思うんですね。その中でどの法でこれを担保するのかという部分だろうと私は思いま す。  それから、「社会的入院」について私もまさしくそうでございまして、今までデータ としてもお示ししております。ですから、そういう意味では竹島委員の言われたことを サポートいたします。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  津久江先生がおっしゃったのは、恐らく2つめの・の問題よりは、1つめの・の「精 神病床の機能分化のあり方」をどう議論するかということだろうと思うんですね。その うちの1つが、2つめの・に例として出ているだけであって、「精神病床の機能分化の あり方」に今のような在院期間によって分けるのかとか、あるいは重症度によって分け るのかという、そこのところは総じて「精神病床の機能分化のあり方」というところで 議論するということだろうと思うので、私はそこは余り細かくは分けなかったんです。 ただ、精神科の特性としても、そしてまた今でもすぐにやらなければいけないことは2 つめの・のところであって、ここはどうしても今避けて通れないだろうというつもり で、例として挙げたという気持ちでありますので、御理解いただければと思います。 【末安委員】  「精神障害者が受診しやすい環境の整備に向けての方策」というところですけれども 先ほど来も言わせていただいていますけれども、「医療提供側が」とか「行政の責任 で」ということも大事だと思うのですけれども、当事者や御家族がどういうものを望ん でいるかということはどうしても先に考えていかないと、法の上での不平等になるので はないかと私は思うわけです。  ここで、私たちは看護者の団体ですけれども、力が足りないながらも今、「こころの 看護の日」というのを全国で一応やらせていただいていまして、小の方では自殺の問題 があって「命の日」とか仮称で今検討されているようですけれども、サービスの内容だ けをここで議論するのではなくて、長期的にも短期的にも精神病院がどういう姿をして いるかということ、それから精神病がどういうものかということを、そして必ず回復す るということをもっと知らしめるようなことを、それは「精神病の日」という名前がい いかどうかわかりませんけれども、「精神保健月間」があるというふうにお答えがある かもしれませんけれども、ここで改めてそういうことを考えていく必要があるのではな いかと思います。もっと身近にする努力が私たちの側に足りな過ぎるのではないかと思 います。  それから、もう時間がないかもしれませんから、先ほど補助者のことでお話がありま したけれども、ここが専門家の集団によって成り立っているのでもわかるとおり、いか に大変な苦労を個々の病院や個々の医師、看護者、パラメディカルスタッフがしている かということを改めて確認する場でもあったと思うので、やはり私は、先ほど特殊性と いうお話がありましたけれども、特殊ではないのだということがあるからこそ今、この 最後のまとめのお話があると思うので、看護者の中に看護補助者、看護補助者がいけな いということを単純に言うつもりはありませんけれども、看護婦、准看護婦というとこ ろをあえてまた補助者を加えるということで特例を廃止すると言っていながら、また新 たな特例をつくっているというふうにとられかねないようなことは、ここが進んでする べきことではないのではないかと、そのことが環境の整備、患者さんに身近な医療をつ くっていくということの最先端の道ではないかと私は思っております。 【吉川委員長】  ありがとうございました。  本当に患者さんの問題に関して当事者と言われている人たちの視点から考えていかな ければいけない新しい医療のあり方、精神科の医療のあり方ということをどういう表現 で入れていったらいいのかということだと思いますけれども、それに関しましてまた私 の方で考えさせていただきたいと思います。 【池上委員】  この「病床」ということに余り重きを置くのは今後適切かどうかということは、先ほ ど西島先生が「病床等」という言い方をなさったのですけれども、むしろ「精神医療の 機能分化」あるいは「専門的医療の整備」といった方が、「病床」というと病院のベッ ドということであって、今後整備するべき課題は病院のベッドだけの問題ではなく、そ れ以外のまさに保健福祉、特に福祉の方の整備ということが問題で、福祉のベッドを 「病床」と呼ぶかどうかというのは議論があると思うのですが、「病床」というと一般 には病院のベッドに限られると思いますので、私の個人的な考えでは「病床」という文 字を削除して「医療」ということで、この例示として挙げられている「措置入院」はベ ッドが必要でしょうけれども、児童思春期等については病院における入院医療の占める 割合よりも、それ以外の充実ということが大きな課題であると思いますので、ベッドに 中心を置いて21世紀を考えるということが果たして適当かどうか。  先ほど竹島委員がおっしゃった「精神障害者が受診しやすい環境の整備」ではなく 「国民が受診しやすい精神医療環境の整備」というふうに文言を改めた方が、精神医療 といった場合にはプライマリーケアを含めた受療のしやすさということが今後の課題で ありますので、こう言っては恐縮ですけれども、これは余りにも精神病院というものの 延長線上に考えた「そのためには」ではないかという気がいたしました。 【吉川委員長】  御指摘そのとおりだと思います。私自身は、「精神病床の設備構造等の基準につい て」というところの最後のしめくくりなものですから、やはり「精神病床」という言葉 を使ってしまったのでございますけれども、その意図としては池上先生がおっしゃられ たことはそのとおりだと思いますので、そこも含めて事務当局と考えさせていただきま す。専門委員会としての報告書がそこまで広げて、考え方としては広げていくのは当然 なのですけれども、こうした報告書がそのような報告書でいいのかどうかは私もここで は少し判断できないものですから、少し事務当局とも話し合いをさせていただきたいと 思います。  それでは、少し時間がありませんので、このあたりで終わらせていただきます。  とりあえず、皆様方から御意見をいただきまして、頭から順番にここまでやってまい りました。最終的にここだけはどうしてもということがございましたら、御意見をいた だいた上でとりあえず座長預かりということにさせていただきたいと思いますが、それ では最終的に何か御意見がございましたら。 【伊藤(哲)委員】  既に5団体からの要望書、それから私の個人的な意見の中にも入っているわけですけ れども、今回この報告書であると、医師については総合病院と大学病院だけが16対1の 基準ができる、そして5年間はせいぜい診療報酬制度の中で誘導するという格好の書き 込み、そういう実体だろうと思うのです。16対1の世界は単科精神病院にはなくなると いうことは、私としてはもう少し何とかならないかという気持ちでずっと主張し続けた ので、今回できたら、私の書きました中の「医師の人員配置基準」の中の3ページの下 から2つめの○の二重下線を引いているところですが、総合病院や大学病院の精神病棟 に準じた病床と位置づけるものがあっていいのではないかということを書いているわけ ですけれども、こういうことも今回の報告書に何とか、そういう意見が強くあったとい うことだけをどこかでぜひ残していただきたい。単科だけが16対1の世界がずっとなく て5年間待つということはどうも腑に落ちないという、医療法上5年間はいいというこ とになるわけですから、これだけは何とかどこかに付記していただきたいと思います。 【吉川委員長】  わかりました。先ほどから幾つかの点につきまして、精神保健福祉部会で私が報告す るに当たって、こういう議論があったということ、こういうところに主張があったとい うことについてはお話をするつもりでおります。今のことに関しましても、少なくとも 今後5年間、16対1の世界が単科病院になくていいと言っているわけではないことはも ちろんでございますし、その辺はきちんと強調したいと思いますし、今の伊藤(哲) 先生の言われました、医師のところに書かれましたことに関しましてはこういう御主張 があったことは間違いなく述べるつもりでおりますので、それでよろしゅうございます でしょうか。 【津久江委員】  もう一度、設備構造の基準のところでこだわらせていただきたいのですが、「一般科 と同等とすべきである」と書いてあるのですが、私は精神科の専門性を追求して他のア メニティとかファシリティの評価をしていただきたいということを一言どこかへ書いて いただきたいと思います。 【吉川委員長】  それでは、ちょっとノートをとっておいてください。  それではどうぞ。 【竹島委員】  また御検討いただくときに、例えばこういう文言ではということで考えていただきた いのですが、施行規則のところですが、「施行規則を作成するに当たっては、合併症例 の治療法において人権上の問題が生じないよう改めるべきである」という形で整理して いただいたらどうかということでございます。「用語」の問題より踏み込んでおり、具 体的に合併症の治療等においてマイナスは生じないようにという意味が込められるので はないかと思います。 【吉川委員長】  なるほど。先ほどのところですね、わかりました。それは後で、その文章に関しまし ては重藤補佐に出しておいてください。そうすれば、またその修正はできると思いま す。  それでは、本当に長い間いろいろと議論いただきました。そして私もたくさん宿題を いただきましたし、先生方の御意見をそのまま受けとめることができなかったことはも うおわびするしかございませんが、この検討会自体は私はかなり本音でお互いにぶつけ 合ったと思っています。その分だけ現実とあるべき姿との間が離れていることも随分わ かってきたと思うんですね。あいまいにしてきた現実の問題も、そしてあるべき姿を語 れないような状況ということもこれで随分解消したような気がします。それはそれなり にその両方が乖離していることが明らかになったということでもあると同時に、それを どのように具体的に埋めていかなければいけないのかということも、この中で私はかな り議論できたような気がいたします。ですから、報告書の形をとる限りはそう皆様方の 御満足がいくような報告書ができないことも私は十分承知しておりますし、そして皆様 方におわびをしなければいけないとは思っておりますけれども、でもとりあえず皆様方 のそれぞれの御努力によりまして、一応形を整えることができたことを私はうれしく思 っております。  この報告書は、先ほど申しましたように、最終的に私の方で預からせていただきまし て、修正したものを皆様方のところにまたお諮りをしていたきいと思います。当然のこ とながら、本日の議論を踏まえて加筆訂正させていただきます。その報告書をまた見て いただいて、そしてお認めいただければと思っております。  それでは、今後の日程につきましていかがでございましょう、何か予定はございます か。 【重藤補佐】  それでは今後の取り扱いについて事務局より御報告申し上げます。  本日、座長預かりということでございますので、それにつきましては座長の指示に従 いまして私ども報告書を書き直しまして、早急に先生方に送らせていただきます。ファ クスにするかメールにするかは別としまして、早急にお送りいたしまして、それでまた 御意見をいただいて、それで最終案を作成させていただきたいと存じます。  ただし私ども、法律の施行まで期限があって、それを逆算しますと、来週12月11日に 公衆衛生審議会精神保健福祉部会を予定しておりますので、そこに最終案を作成したも のを吉川委員長より報告していただくということにさせていただきたいと存じます。  以上が事務局で考えている予定でございます。 【吉川委員長】  それでは、これで本日の第6回というだけではなくて、精神病床の設備構造等の基準 に関する専門委員会を終了させていただきます。ただし今、重藤補佐から話がありまし たように、成案をするに当たりましてはもう一度、先生方のところに修文したものを差 し上げますし、御意見をいただいた上で最終の報告書をつくり、そして12月11日の精神 保健福祉部会へ私から報告させていただくという順序にさせていただきたいと思いま す。  本当に長い間ありがとうございました。最後に、今田部長から一言ごあいさつがござ います。 【今田部長】  第6回ということで6回終わりまして、厳しい、あるいはこれからの精神医療の未来 を含めた形での御議論を賜りましてまことにありがとうございました。  御承知のように、先般の臨時国会におきまして医療法が国会を通過しておりますの で、そういう意味ではいよいよ検討されました結果をどのように反映させるかというこ とが私どもの責務として今位置づけられたばかりであります。  国会の審議でも医療法の審議のかなりの部分を精神医療のあり方についてということ で、大変多くの質問が出されました。その中で大臣等も述べておりますけれども、基本 的には精神特例というものが70年にわたりましてこれまで続いてきたその実態を少しで もよくしていこうという気持ちで対応してまいったわけであります。  現実とあるべき方向の間にはまだ幾つかの橋を渡さなければならない面は多々あろう かと思いますし、また、この委員会で御指摘されたこと、それから国会で御指摘された ことは、まさにこの問題に限らずこれからの精神医療の充実に私たちがいろいろ突きつ けられる内容がたくさんあるのだと思います。とりわけ病床のありようの問題でありま すとか、あるいは人員の配置の今後のあり方、精神医療にふさわしいあり方はどうなの だろうかという点についても、まだまだこれからも鋭意検討していただかなければなら ない課題を私どもに御提示いただいたのではないかというつもりで、これからも精神保 健行政の中で、今指摘された多くの問題に早急に取り組みつつ、一層充実した制度にし ていきたいということを申し述べまして、これまでの御努力に感謝申し上げて、終わり に当たりましての私のごあいさつにかえさせていただきます。  来年から厚生労働省ということで、また新たに仕切り直しをすることになりますが、 昨日もある精神科関係の会でも申し上げましたけれども、実はこれからこういう精神医 療の問題もさることながら福祉の問題、それから労働省と一緒になるという意味では就 労の問題、大変大きな課題として私たちにものしかかっているということもあわせて、 私たちの肩に大きくのしかかっていることを十分に踏まえて、これからの行政を進めて いきたいということでございます。ぜひ新省庁になりましても引き続いて皆様方の御支 援をいただくことをあわせてお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただき ます。どうもありがとうございました。 【吉川委員長】  どうもありがとうございました。                                  −了− 照会先  社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課 泉 内線3056