00/12/05 第20回厚生科学審議会研究企画部会議事録 第20回厚生科学審議会研究企画部会                 議事次第 ○日  時:平成12年12月5日 (金) 10:00〜12:00 ○場 所:東海大学 校友会館 阿蘇の間 ○出席委員:矢崎義雄部会長 (委員:五十音順:敬称略)         竹田美文 寺尾允男 寺田雅昭  (専門委員:五十音順:敬称略)         菊地眞 黒川清 高久史麿 東條毅 中村隆一 埜中征哉 眞崎知生         柳澤信夫 ○議  事:<審議事項>         平成13年度厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針(案)について       <報告事項>       1.省庁再編に伴う「厚生科学研究に係る評価の実施方針に関する指針」         の改正点について       2.ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針について       3.その他 ○配付資料: 1.平成13年度厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針 (諮問) について 2.平成13年度厚生省科学技術関係予算概算要求の概要 3.肝炎対策に関する有識者会議について 4.厚生科学研究費補助金における間接経費の取扱いについて 5.「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(原案)」の概要及びヒトゲノ ム・遺伝子解析研究の過程に沿った基本的な要点 ○参考資料 : 平成13年度厚生科学研究費補助金公募研究課題(案) ○事務局  それでは、第20回厚生科学審議会研究企画部会を始めさせていただきたいと思いま す。 本日は、大石委員、柴田委員、眞柄委員の3名が御欠席という御連絡でございます。 竹田委員が若干遅れられておるかと存じます。いずれにいたしましても、委員15名のう ち出席委員は過半数を超えておりますので、会議は成立いたしますことを御報告申し上 げます。  では、最初に本日の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。資料の欠落等 ございましたら御指摘いただきますようお願い申し上げます。 (資料の説明と確認)  資料がよろしければ、部会長、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、議事を始めさせていただきます。  審議事項の「平成13年度厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針(案)」につきま しては、お手元の資料1のとおり、12月4日に厚生大臣から厚生科学審議会に諮問され まして、同日付で当部会に付議されました。本日は、これにつきまして御検討いただけ ればと存じております。まず、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、お手元の資料1と参考資料でお配りしております「平成13年度厚生科学研 究費補助金公募研究課題(案)」をご覧いただきたいと存じます。  本日御審議いただきますのは、来年度に新規に公募をする研究課題についての公募の 採択の方針並びにどのような研究課題とするかということでございまして、資料2をご 覧いただきますと、平成13年度、来年度に対する概算要求ということで、本年の9月に 大蔵省に提出させていただいたものでございますけれども、この資料2の一般会計のと ころの上から2番目に厚生科学研究費というのが項目としてございます。12年度予算で 276億 6,000万円ある訳でございまして、これを平成13年度は 331億 7,500万円。対前年 度で申し上げますと、55億円の増で要求をしておるところでございますが、このうち1 の行政施策研究分野の※のところ並びに2の総合的プロジェクト研究分野の※のとこ ろ、この2点はいわゆる日本新生特別枠と申しまして、既定の予算枠ではない、総理特 別枠と通称されておりますけれども、その分野で要求させていただいておるところでご ざいます。また、すでに先生方、御承知のとおり、政策科学推進研究というのは従来か らあった訳でございますけれども、その額を拡充するということで特別枠に持っていっ た訳でございます。  一方、2番目の※の21世紀型医療開拓推進研究というのは、全く新規の研究分野を打 ち立てる。中心としておりますのは、より効果的な保健医療技術確立のための臨床研究 ということでございますけれども、新規の研究分野を打ち立てるということでございま して、本日御議論いただきますのは、この新規の21世紀型医療開拓推進研究を除く部分 でございます。これを除く研究分野について、資料1並びに参考資料で御議論を賜ると いうことでございます。  また、資料3をあらかじめ御説明したいんでございますけれども、すでに報道等で先 生方も御承知いただいていると存じますが、肝炎対策について、厚生省といたしまして は、従来からいろいろな施策に取り組んできた訳でございますけれども、先般の報道等 も踏まえまして、これまでやってきた施策を再点検をする。さらに、より効果的、より 総合的な対策のあり方について検討するということで、省内にプロジェクトチームをつ くったところでございます。また、そのプロジェクトチームの議論と並行いたしまし て、科学的、専門的な見地から御意見を賜るということで、資料3にございますとお り、国立がんセンター名誉総長の杉村先生を座長とする有識者会議を開催をするという ことにした訳でございまして、11月30日に第1回会合を開催したところでございます。  このプロジェクトチームでの議論、あるいは有識者会議での議論というのは、当然の ことながら、研究についての御提言も出てくるものというふうに考えておりまして、ス ケジュール的に申し上げますと、今年度末の3月末を目途にこの議論が進むということ から、肝炎に対する研究につきましては、この有識者会議での御提言も踏まえて、再 度、厚生科学審議会に御議論をお願いをしたいということを事務局として考えておりま して、そういう観点から、本日の資料1でございます来年度の公募方針、採択方針の中 には肝炎に対する研究費は掲げさせていないということを御承知おき願いたいと存じま す。  それでは、資料1と参考資料に沿って、特に今年度と違う点を中心に御説明をさせて いただきたいと存じます。  2枚めくっていただきますと、「厚生科学研究費補助金公募研究事業の方針につい て」という紙がございまして、その1番が政策科学推進研究でございます。参考資料を 横に見ていただきますとありがたいんですけれども、参考資料で申し上げますと、1 ページ目の平成12年度と平成13年度の案の対象ということで整理させていただいており ますが、平成13年度の右側の(7)社会保障分野における情報化及び地域政策推進に関する 事項の(ウ)個人情報の保護と利活用、情報化、地域住民並びに次のページの地域間比 較、PFI。さらに、(8)といたしまして政策評価、あるいは(9)、(10)の医療介護の経 済的評価。このあたりが今年度に比べて新しくなっている分野でございます。  資料1に移らせていただいて、資料1の2番目が統計情報高度利用総合研究でござい ますけれども、この統計情報につきましては、保健医療施策、福祉施策の支援をするた めの統計調査のあり方、あるいはオンラインに関する実施の促進というところが新しい 分野でございます。  資料1の3の社会保障国際協力推進研究並びにがん克服研究事業については、今年度 は公募をしない。すなわち従来の継続研究で予算要求をしている枠がいっぱいであると いうことでございます。  5番目の長寿科学でございますが、資料1の方を見ていただきますと、昨年とほぼ同 様に20〜30課題公募をするということで、具体的には、参考資料の4ページをご覧いた だきたいんですけれども、特に新しくなっておりますのは、5ページの中ほどにござい ます(3)のリハビリテーションの(オ)から(ケ)、すなわち要介護状態の評価の問題、 要介護状態に応じた介護サービスの提供の問題、介護計画の評価あるいは訪問看護・介 護、あるいは看護・介護管理に関する研究、このあたりが新しくなっていると同時に、 (4)の支援機器開発の分野におきましても、施設構造・建築の問題であるとか、あるいは 在宅生活支援システムの問題であるとか、あるいは高齢者の社会参加のための支援機器 の問題であるとか、このあたりが新しくなっております。また、6ページ、社会科学分 野の中で申し上げますと、(イ)から(カ)、すなわち高齢者の心理・満足感、家庭・ 家族関係、社会参加、終末期状態、あるいは国際比較というようなところが項目として 新しくなっていると存じます。  次に、資料1に移らせていただきまして、資料1の2ページの障害福祉の分野でござ いますけれども、資料1の右側、平成13年度採択方針の上から五、六行のところにござ いますように、生涯にわたる心の健康の維持というところが来年度新しくなっておりま す。具体的には参考資料の7ページをご覧いただきたいんですけれども、7ページに具 体的な公募研究課題が出ておりますが、(10)に心の健康づくりということで、自殺防止 対策、思春期の問題、PTSD、うつ傾向という形になっております。また、予算だけ の点から申し上げますと、自殺対策につきましては、省庁統合に伴う留保枠というのが ございまして、先ほど御説明申し上げました日本新生特別枠という総理特別枠と、来年 の1月を期して省庁再編がなされる。その省庁再編の実を上げるための予算措置という のがございまして、そこで要求しておりますので、その結果にもよっていくんだろうと 思いますが、自殺防止対策というのがここに挙げられております。  また、上に戻って恐縮ですが、(8)の就労支援システム、あるいは(9)の情報バリアフ リー、こういう点が昨年に比べて新しくなっております。  次に、資料1の2ページの7番、子ども家庭総合研究事業でございますけれども、平 成12年11月に公表いたしました「健やか親子21」への対応というのを明らかにしており ますし、公募課題で申し上げますと、昨年の10課題に比べて、来年度は28課題程度公募 採択をしたいということでございます。具体的な研究課題につきましては、参考資料の 8ページをご覧いただきたいんですけれども、まず、8ページの右側の一番下にござい ますように、課題採択に当たって「健やか親子21」の報告書を踏まえた調査研究を優先 するという方針を出しておりまして、具体的には、昨年に比べますと再整理する形で(1) から(11)までの課題を掲げておる訳でございます。  次が、ヒトゲノム・再生医療等研究事業でございますが、資料1の2ページの中ほど からございますけれども、この研究事業というのは、先生方すでに御承知のとおり、ミ レニアム・プロジェクトの発足に伴ってできたものでございまして、そういう観点から 申し上げますと、今年度から新たにできておるところでございます。まず、ヒトゲノム の分野におきましては、今年度は12課題程度公募したい。また、遺伝子治療の分野につ きましては、昨年度は公募しなかった訳でございますが、今年度は5課題程度公募す る。再生医療の分野につきましても、3課題程度公募したいというふうに考えておりま す。3ページに入りまして、食品保健分野というのは公募を予定しておりませんが、新 たに生命倫理研究分野というのを設けまして、ヒトゲノム、あるいは遺伝子治療、再生 医療分野に関する倫理問題に関する研究というので4課題程度公募したいというふうに 考えております。  具体的な公募の課題につきましては、参考資料の9ページをご覧いただきたいんです けれども、ヒトゲノム分野につきましては、昨年とほぼ同様でございますが、(1)の (オ)にございます臨床データ解析方法の開発に関する研究というのが新しく加えられ ております。(2)の遺伝子治療につきましては、臨床研究、ベクターの開発、ベクターの 安全性・有効性ということで3つからなっております。(3)の再生医療につきましては、 ヒト幹細胞を用いた臓器修復ということで、「骨・軟骨・血管、神経、皮膚、角膜を除 く」と書いてありますが、これは今年度すでにそれぞれの研究分野で実施しております ので、重複がないよう、この分野を除くということを明記しておる訳でございます。(4) が先ほど申し上げました生命倫理でございます。「参考」のところに字句の間違いがご ざいまして、(4)の生命倫理研究分野の課題採択ではございませんで、これは(3)の再生 医療分野の課題でございます。すなわち、再生医療分野と申し上げますと、発生分化の 非常に基礎的なものから臨床応用のめどがつきそうなものまで幅広い訳でございます が、厚生省としては、臨床応用のめどが3年程度でつくようなものを拾っていくという ことで、その趣旨を参考の分野にあらわしたものでございます。  資料1に戻っていただいて恐縮でございますが、3ページの9番の脳科学研究事業を 御説明したいと思いますが、公募の課題数としては20課題が10課題に減っておりまし て、中身といたしましては、参考資料の10ページをご覧いただきたいんですけれども、 今年度に比べまして、(1)の例えば(イ)機能的MRI、脳磁図、PET/SPECT を用いた 精神疾患の状態解明。あるいは (ウ) として、そううつ病。(2)の神経疾患におきまし ては、パーキンソン、トリプレットリピート、HTLV−1関連のミエロパチー。(3)とい たしましては、ライソゾーム関連筋疾患。(4)といたしまして、遺伝性脳発達障害など に来年度は取り組みたいと考えているところでございます。  次が高度先端医療研究事業でございますけれども、この点につきましては、参考資料 の11ページをご覧いただきたいんですが、この高度先端医療研究事業というのは、人工 血液の分野と医療機器の分野の2つになっておりますけれども、(1)、(2)が人工血液分 野でございまして、人工血液分野におきましては、幹細胞を利用した分化誘導培養によ る人工血液の開発というのが新しく出てきております。また、医療機器分野におきまし ては、これは初めてのシステムであるかと思いますけれども、「参考」のところに書い ておりますとおり、経済産業省、これは来年の1月に今の通産省が基本的に変わってで きる省でございますが、経済産業省が補正予算、あるいは13年度予算で要求しておりま す「がん・心疾患等対応高度医療機器プログラム」というのがある訳でございますが、 このプログラムと連携をして厚生科学研究費を採択をしていこうと。すなわち、通産省 がいわゆる工学的研究に補助を出し、厚生省が医学畑にお金を出して、両者が一体とな って、ここに書いてありますような遺伝子情報に基づいた診断支援機器でございますと か、心疾患のシステム開発でございますとか、効率化のための医療機器でございますと か、こういうものを開発していこうという取り組みでございます。  次が、11番の新興・再興感染症研究事業でございまして、資料1の3ページ並びに参 考資料の12ページをご覧いただきたいんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、 ウイルス性肝炎の分野というのは有識者会議等の御議論をまつということで今回は書い ておりませんで、参考資料の12ページをご覧いただきますと、(1)として結核等の抗酸菌 症、(2)といたしまして寄生虫の関係、(3)といたしまして食品由来の感染症、(4)として 粘膜ワクチンの開発、(5)といたしまして麻疹というような課題を来年度は公募したいと いうふうに考えております。  次が、12番のエイズ対策でございまして、参考資料の14ページ並びに資料1の4ペー ジをご覧いただきたいと思うんですけれども、来年度は公募する課題数が少のうござい まして、大体1〜3ということで考えておりますが、参考資料の14ページをご覧いただ きますと、薬剤耐性のモニタリング、あるいはHIVの増殖機構、増殖制御、この2つ で公募したいというふうに考えております。  次が感覚器障害、免疫・アレルギー分野でございますが、参考資料の15ページをご覧 いただきたいんですけれども、感覚器障害につきましては、15ページの(1)から(3)がい わゆる感覚器障害の分野でございますけれども、基本的に昨年と同様のテーマになって おるかと思います。また、免疫・アレルギー分野が(4)から(9)まである訳でございます が、リウマチ・アレルギー疾患という形で幅広く括って、まず病態の治療法、さらにE BMに基づく治療方針の確立、早期診断、QOLの向上、研究成果の収集とその評価。 (9)だけ若干趣が違うんですけれども、皮膚アレルギー形成機序における表皮機能の解明 とアレルギー疾患の治療という形で公募をしたいというふうに考えております。  次は、特定疾患でございまして、16ページをご覧いただきたいんですけれども、16 ページの(ア)から(キ)までということでございまして、多臓器不全、自己培養皮膚 移植療法、骨髄異形成、難治性の腸疾患、クロイツフェルト・ヤコブ、多発性硬化症、 ライソゾーム病について公募をしたいというふうに考えております。  次が、17ページの生活安全総合研究事業でございまして、資料1では4ページの一番 下にある訳でございますが、この分野は来年度の公募課題が40課題程度と非常に多くな っております。参考資料の17ページに基づいて御説明申し上げますと、まず最初がダイ オキシンの関係でございまして、(ア)が汚染実態と健康影響等の解明、(イ)が体内 動態と健康影響の機序、(ウ)が総合的なリスク。(2)が内分泌かく乱物質の関係でござ いまして、(ア)が内分泌かく乱物質の健康影響ということで、それを確認する試験法 でありますとか、生殖機能への影響、あるいは総合的なリスク評価、リスク管理、リス ク情報提供というようなことからなっております。(イ)が室内環境の微量化学物質と いうことで、いわゆるシックハウスと言われているものに関連するものでございます が、室内汚染の実態調査、あるいは疫学調査、室内環境の評価法、健康影響の予測法、 動物への暴露実験からなっております。(ウ)その他といたしまして、小児毒性評価の マーカーの研究というのを挙げております。  18ページに入らせていただいて、(3)が食品の関係でございますが、食品の関係は (ア)から(エ)まで、まず微生物の安全性評価の関係、(イ)が化学物質の安全性評 価、(ウ)が食品用の器具、容器、包装の関係、(エ)が新開発食品の関係ということ で整理されております。(4)が水道の関係、(5)が生活環境。建築物でございますとか、 公衆浴場でございますとか、そういうものに起因する健康影響ということで、40課題程 度の公募を考えておるところでございます。  19ページが医薬安全総合研究事業でございまして、資料1の5ページの一番上をご覧 いただきますと、今年度の公募が9課題であったのに対して、来年度は35課題程度と来 年度は公募がかなり多くなっております。参考資料に基づいて御説明申し上げますと、 まず、(1)が医薬品、医療用用具の評価ということで、(ア)から(ウ)までに分かれて おりますが、(ア)が評価の基礎となる研究ということで、新しい動物実験系の利用、 あるいは国際的動向を踏まえた研究が挙げられております。(イ)が評価方法に関する 問題で、特に小児等特殊患者群に対する研究、あるいは生薬類の研究、あるいは医療用 具の評価手法の開発等が挙げられておるところでございます。(ウ)が品質確保の関係 でございます。  (2)が安全性の向上の分野でございまして、例えばプラスチック製医療用具の溶出物質 の暴露量評価でございますとか、医療用具の不具合報告、医薬品の副作用報告に当たる ものでございますが、医療用具の場合には副作用という概念はございませんので「不具 合」という言葉を使っておる訳でございますが、その用語の統一。あるいは(イ)とし て、市販後対策ということで、情報技術(IT)時代における適正使用のあり方等に関 する研究ということで挙げられております。  引き続きまして、20ページに入りますと、(ウ)といたしましてワクチンの問題、 (エ)といたしまして血液製剤に関する研究というのが挙げられております。  (3)が新しい分野でございまして、医療機関における安全対策。いわゆる医療に関する 安全対策といたしましては、医薬品、医療機器に関する分野がこの医薬安全総合研究事 業の中に入っておる訳でございます。まず、(ア)が医薬品、医療用具の使用に関連す る過誤(メディケーションエラー)の防止対策ということで、投薬間違いの事故事例を 踏まえた防止対策、あるいは重大事故の防止に資する医療用具の特性に応じた安全確保 機能。また、(イ)といたしまして院内感染、(ウ)として医療用放射線の安全確保と いうのが挙げられておるところでございます。  次が21ページで、乱用薬物対策というのが挙げられております。  次が、資料1で申し上げますと5ページの健康科学総合研究事業の分野でございまし て、資料1をごらんいただきますと、今年度の公募が10課題程度であったのに対して、 来年度は60課題程度と、この分野も来年度の公募が非常に多くなっております。内容 は、参考資料の22ページをご覧いただきたいんですけれども、大きく分けて地域保健 サービス、健康づくり、生活習慣病、腎不全からなっておりますが、まず地域保健サー ビスの分野におきましては、(オ)でございますが、地域の保健所、地方衛生研究所の 健康危機管理、あるいは(カ)の健康づくり・疾病予防に関する政策のあり方というの が新しくなっております。  (2)の健康づくりの分野でございますけれども、(イ)の成年の飲酒、喫煙習慣、 (オ)の未成年の喫煙・飲酒、あるいは(エ)の休養、(オ)の腰痛、肩こりの予防、 あるいは(カ)の家庭内における事故防止というのが新しくなっております。  (3)が虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病等の研究ということで、生活習慣病の予防、ある いは保健事業評価、指導の手法、情報提供のあり方、さらには「日本人の栄養所要量」 策定に関する研究というのが挙げられておりますし、23ページをご覧いただきますと、 生活習慣病の危険因子間の相互関連性に関する大規模コホート、また、糖尿病、肥満、 高血圧、高尿酸血症、高脂血症、脳卒中・心疾患に関する生活指導効果に関する介入研 究というのが挙げられております。  (4)といたしまして腎不全ということでございまして、長期の透析に伴う合併症、さら には腎障害の進行阻止、その組織の修復、腎不全の進行抑制というのが挙げられており ます。  最後が医療技術評価総合研究でございますけれども、資料1の5ページをご覧いただ きますと、一番最後に出てきておりますが、この分野も新規採択の予定というのが、昨 年度25であったのに対して60課題程度とかなり多くなっております。この分野を御説明 申し上げますと、従来、いわゆるEBMに対応するような医療情報の収集、あるいはそ の評価というのがこの分野で研究をやらせていただいておったのでございますが、これ を、先ほど申し上げました日本新生特別枠の21世紀医療開拓推進研究事業というところ に持っていっておりますので、その関係がなくなっております。  また、資料1の医療技術評価総合研究の上から4行目のところを見ていただきます と、事故防止対策というのが新たに加わっております。それが今回の新しい点ではない かと思いますが、参考資料の24ページをごらんいただきたいんですけれども、24ページ の右側の(6)医療の質と医療安全体制の確保に関する研究ということで、医療事故防止 に関する医療従事者の養成・研修に関する研究。あるいは(イ)といたしまして、防止 方策の立案に関する要因分析手法。(ウ)といたしまして、事故防止対策の効果的な実 施方法。(エ)として、医薬品の投与プロセスに関連した医療事故の防止方策。25ペー ジに入りまして、情報伝達の過誤に帰因する医療事故の防止方策。(カ)が医療事故の 防止に関する建築、構造設備に関する研究。(キ)が、横割りの問題でございますが、 ヒューマンファクターに帰因する医療事故を予防するための認知心理学、人間工学を利 用した学際的研究。(ク)として、組織管理手法の開発に関する研究というのを立てて おるところでございます。  以上、来年度の厚生科学研究の公募の中で今年度から引き続き行う分野に関します事 務局としての考え方を御説明申し上げたところでございまして、これらにつきまして御 審議をいただいて、この後、研究企画部会での御審議の後、厚生科学審議会の総会にも 諮らせていただいて、来年の1月中には告示ということで公募を開始したい。一方、先 ほど申し上げました新しい研究分野として特別枠で要求している分野、あるいは肝炎対 策につきましては、予算の仕上がりぐあい、あるいは有識者会議における議論のぐあい をみて、改めてまた厚生科学審議会の方へ御相談をしたいと考えておりますので、よろ しくお願い申し上げます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。今、事務局から資料2の予算の大きな枠組み、金額 の内容と、それから資料1の研究課題の採択方針、これは採択課題が大幅に増加した研 究事業と全く公募がない分野と大きくばらつきがあることをお気づきの点があったかと 思います。そして、参考資料において具体的な公募研究の課題について詳細に御説明い ただいたと思います。それでは、今の御提案に対して、先生方、何か御意見あるいは御 質問などありましたら承りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○眞崎委員  大幅に増えている部分がかなり多いように思うんですけれども、応募件数というのは 昨年度は多かったんですか。 ○事務局  はなはだ申し訳ございません。本日、厚生省の会議室でございますとすぐ誰かを取り に行かせるんでございますが、前回9月に開催いたしました総会と研究部会において報 告させていただいたのですが、間違っていれば恐縮ですけれども、覚えている限りで申 し上げますと、継続研究も含めて採択したのが 1,000件。一方、そのうち新規課題とい うのが大体3年計画でございますから大体3分の1程度あったというふうに考えますけ れども、応募されたのがその3倍程度あったんじゃないかと思います。もちろん、研究 分野によってかなり公募数が多い分野と少ない分野がありますけれども、総じて申し上 げますと、3倍から5倍ぐらいの率ではなかったかというふうに覚えております。恐縮 です。 ○眞崎委員  研究が進展するのは大変いいことだと思うんですけれども、質の低下を招くといけな いという危惧がちょっとあったものですからご質問いたしました。 ○矢崎部会長  そのほか、どなたか御質問ございませんでしょうか。 ○黒川委員  ちょっとわかりませんが、事務方としてのタイムスケールを見てみると、いつ頃に全 部審査が終わって予算が通ると、いつ頃に研究費の支給、それから2年目、3年目とい うのは行われる予定でしょうか。 ○事務局  研究費の支給が遅いというのは、この厚生科学審議会でも何回も言われておりまし て、われわれとしても、それを早めるべく、今、事務作業の簡素化も含めて検討してお るところでございますが、大ざっぱなスケジュールを申し上げますと、この新規課題で 申し上げますと、来年の1月に公募をする。公募期間が1か月程度。そういう意味で申 し上げますと、大体年度末ぐらいにそれが整理をされて、それを各研究事業ごとの事前 評価委員会にお諮りをする。それで、事前評価委員会での御審議の結果、いわゆる内定 というのが考えられてきて、それを事務的に調整をするということになる訳でございま すが、そういうことになりますと、夏前にはそこまでたどり着くんだろうというふうに 考えております。 ○黒川委員  普通は3年とすると、2年目、3年目ばどれぐらいになりますか。立てかえしなくて はならないという技術的なことがあるから、大体知っていた方がいいんじゃないかと思 うので。 ○事務局  2年目、3年目、いわゆる継続研究につきましては、中間事後評価委員会という委員 会を開催するということで、例年ですと2月から3月にかけて中間評価を行っていく、 そこで大きな問題があれば別でございますけれども、そのまま継続をしていく、このま ま研究をお願いをする、昨年で申し上げますと、凡そ700課題ぐらい中間評価をやってい ただいて、10課題弱だったと思いますが、これは研究をやめていただこう、もう継続す る必要はないというような御判断がされたものもございますし、研究の方向性を変え て、研究費の額も変えたらいいというような御意見を賜ったのもある訳でございます が、そのような調整をしながら継続の調整に入っていく。月で申し上げますと、これも 夏前には決定をするという形になるだろうと思っております。 ○黒川委員 実際にくるのはいつ頃ですか。1月とか2月じゃ困るんですが。 ○事務局  先ほど申し上げましたのは18研究事業でございますけれども、各研究事業ごとに所管 課が評価委員会での御議論を踏まえて手続きをしていく訳でございまして、一番多いの は大体夏過ぎ、9月ぐらいに交付をしているのが多い。もちろん、先生おっしゃいます ように、いかんながら、年を越えて研究費を出しておるという研究事業があることも厚 生科学課として承知しておりまして、各課に督促をしておるという状態でございます。 ○矢崎部会長  研究費が給付されるタイミングというのは非常に重要だと思うんですけれども、私も 今まで厚生科学研究費のあり方その他、あるいはプロセスを見てみますと、文部省の科 研費の場合には、例えば一般研究とか基盤研究や何とかということで公募して、そこで 審査をしますから非常にタイムスケジュールがきっちりとれるんですけど、今お話のよ うに、厚生科学の研究費はこのような予算額が決まって、研究課題の採択方針を議論 し、それからまた公募課題の実際の具体的なものを詰めていかないといけないというこ とでやはりどうしてもタイムスケジュールが遅れがちなので、できるだけ早くにいくよ うに、今、中垣企画官が言われましたけれども、そういうことがないように、私どもの 方もそういうことを重点的に議論してきましたけれども、いろいろ難しい問題があっ て、現在遅れている部分もあるということで、科研費とはプロセスが全然違うので大変 だなというのが正直な私の感じです。 ○黒川委員  確かに、矢崎先生や環境の先生方、事務方にも御努力願いたいんですが、3年とかと 言っていると、人を雇ったり業者にいろいろ借金をして、みんな自分のポケットで代わ りに払っているとなると非常につらいものがあるし、その辺の会計が不明朗と後で言わ れても非常に困る訳だから、どこかから3分の1ぐらい支給してくれるといいんですけ ど、その辺が非常に難しいなと思っていますので、事情はわかりますけど、ぜひよろし くお願いしたいと思います。 ○矢崎部会長  少なくとも継続の場合は、なるべく早く支給していただくような仕組みをもう少し促 進する。ただ、再評価が結構厳しくて、減額とか中止という場合もありますので、その 辺も兼ね合いますか。 ○事務局  正直申し上げまして、研究費の交付が遅いというのは我々も重々承知をしておりまし て、少しずつ改善をしてきておるところでございます。どういうことをやってきたかと 申し上げますと、従来、鉛筆1本の費用まで申請書に書いていただいた訳でございます が、そこまでは必要ないんじゃないだろうか。1本10円を 100本買いますとか、フロッ ピィ1枚20円を5枚買いますということで、まずそれを改善したというのが今年度から 改善をした。もっと抜本的な改善はないんだろうかということを考えておりまして、先 ほど部会長が例に挙げられました文部省の科研費で申し上げると、我々が聞いておりま すのは、科研費というのは大学の会計課が経理事務をやっている。それに対しまして、 厚生科学研究費というのは研究者個人が経理をやっていただいておる。世の中の信頼性 と申しますか、あるいはカチッとした経理処理をしていただくということで考えます と、やはりそれは組織でやっていただいた方がよろしいのではなかろうか。組織でやっ ていただくことによって、そういった書類を少し簡素化できるのではなかろうかと考え ておりまして、できますれば、来年度からでも組織で経理をするという方向を取り入れ ることによって申請書類の一層の簡素化を図る。申請書類の簡素化を図ると何が一番助 かるかと申し上げますと、先生方、研究者個人とともに、厚生省の事務局が助かる訳で ございまして、チェックする項目が減っていくということで、それをもとに迅速化を図 れないだろうか。正直申し上げて、厚生省事務局における審査が、 1,000件にも上る審 査の書類、事務書類、鉛筆1本までの積算が合っているか違っているかというのを計算 するだけでも大変な手間を実は各課やっておる訳でございまして、そういった事務の合 理化と、一方では透明化を図ることによって迅速化を図っていきたい。少しずつ改善を していきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。 ○柳澤委員 今の問題ですけれども、恐らく各施設で責任をもって会計をしてもらうということ は、研究者にとっても非常にありがたいことだと思うんです。ただ、問題は、そういっ た事務量の増加に見合った形でそれぞれの組織が会計担当の事務官なり、あるいは臨時 職員なりをどうやって手当てをするかということが非常に問題でして、それについて は、やはり各施設に任せるのではなくて、ある程度、研究費を出す場合に、研究費の何 %ぐらいは事務処理の経費として充当するというふうなことを認めるようにして、そし て各施設でその施設の状況に合った形で人を手当てするということを推進していかない と、そして、厚生省としてそれを進めていかないと、現在のような状態で各施設に直接 任せると、どうしても個人の研究者のところへ結局は会計処理がいってしまってなかな か大変な思いをするということがあります。  厚生省の側としても、ただいまの御説明のような点もある訳ですし、施設にとって も、きちんと会計を担当するスタッフがいるということは、これからどうしても必要に なってくるので、それはぜひ考えていただきたいと思います。やはり研究費の内部が、 借金とか、そういう形で一応人当てもできることはできるんですけれども、どうしても それが余りおもて立った形で会計処理をきちんとする体制をつくるというところにはま だまだ問題があるということがありますので、その点はぜひ御検討いただきたいという ふうに思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。 ○事務局  柳澤委員の御発言がございましたので、後で御報告しようと思っておった訳でござい ますが、この場を借りて御報告をさせていただきますけれども、資料4をご覧いただき たいと存じます。  資料4が「厚生科学研究費補助金における間接経費の取扱いについて」というタイト ルになっておりますけれども、現在、科学技術会議を中心に、競争的資金、すなわち公 募型の研究費、厚生科学研究費もまさしくこの競争的資金に入るんだろうと思いますけ れども、間接経費の導入を図る方向で国全体として検討が進められております。  具体的に申し上げますと、本年6月29日に科学技術会議の政策委員会から出されまし た来年度の科学技術振興に関する重点指針の中で「競争的資金の拡充」という項目がご ざいまして、競争的資金の拡充と間接経費(オーバーヘッド)の導入を図るということ がうたわれております。また、現在、パブリックコメント中でございますけれども、13 年度からの5か年計画でございます次期の科学技術基本計画の案、この案は本年の11月3 0日に科学技術会議の総合計画部会で議論の結果まとめられたものでございまして、先ほ ど申し上げましたように、現在、パブリックコメント中でございますが、この中に「間 接経費」という項目がございまして、競争的資金の効果的・効率的な活用という観点か ら、研究機関の管理等に必要な経費を手当てする必要がある。そのために、競争的資金 を獲得した研究者の属する研究機関に対して、一定比率の間接経費を配分する。その比 率については30%程度にしたらよろしいのではなかろうか。また、その比率は今後、必 要に応じて見直しをしていく。こういった間接経費というのは、研究開発環境の改善、 あるいは研究機関全体の機能の向上に活用。また、複数の競争的資金を獲得した研究機 関というのは、それをまとめて効果的柔軟に使用する。もちろん、その使用した結果と いうのは、透明性が保たれるよう使用結果を配分した機関に報告をするというような考 え方が示されておるところでございまして、厚生科学研究費補助金につきましても、こ ういう方向を少なくとも13年度、一部だけでも取り入れていきたい。全面的に取り入れ ていきますと、30%でございますから、先ほど資料2でご覧いただきましたとおり、二 百数十億円の研究費のうち30%をこれに回すということになりますと、必要な研究がで きないという事態も十分考えられる訳でございますので、例えば一定金額以上の大型の プロジェクトについてはこういうものを取り入れるとか、これは予算との仕上がりぶり でございますから、まだまだ予断を許さないところではございますが、こういった方向 で考え方を整理していきたいというふうに考えておるところでございます。  なお、このときの最大の問題というのは実は国立研究機関でございまして、独立行政 法人ですと自由な会計がある程度認めれておりますので、国から一定の交付金が出た後 は、競争的資金を持ってきて自分たちで基本的に使えるという形になりますので問題な いのですが、国立研究機関ですと、会計制度上、お金は入ったけれども歳出の項目が組 まれていないと使えないというような問題も出てまいりますので、国立研究機関につい てどのような対応がとれるのかも含めて、現在検討しておるところでございますが、そ ういった国立研究機関の問題は別といたしまして、大方針といたしましては、厚生科学 研究費補助金についても、先ほど柳澤委員が御指摘の経理を含む間接経費を手当てする 方向で調整をしていきたいというふうに考えておるところでございます。 ○矢崎部会長  今の御質問で報告事項の中の間接経費の取扱いについて報告をしていただいた訳です けれども、これは報告事項ですから、ここで議論しても、30%を10%にするなどという 議論にはならないと思います。ただ、柳澤先生が言われたように、やはり経理をしっか りするということは重要で、その場合には、今まで大学ですと2%とか、大きくても5 %ぐらいで経費をお願いしている訳なので、何かそういう方法が厚生科学でもとれれ ば、先ほどの交付も早くなるし、使途も明らかになるということで大変よいことではな いかと思われます。 ○黒川委員  今、間接経費というのは科学技術基本法の方でもはやりの言葉になって、インデレク ト・コストといって、これはアメリカのグラントの制度を真似しているだけなんですけ れども、基本的な認識がものすごく間違っているというのをちょっと申し上げておきま す。  間接経費というのは、アメリカはNIHみたいな国立の場合は建物から何から税金が いっている訳ですから、そんなものはない訳です。研究者が研究費を取ってくればそれ だけです。それから、例えば公立のカリフォルニア大学とか、そういうところは州の税 金とか、いろいろなものが入っていますから間接経費の割合は低いんです。20〜30%。 それから、私立大学のハーバードとか、そういうところは政府と三、四年に1回交渉す るんだけど、大体80〜 100%。だから、研究大学の優れているところは私立大学で、そ こでは優秀な研究者を採る。なぜかというと、採ると間接経費のレートが高いですか ら、それを図書館の充実とか、いろいろなことに使える訳ですよね。 だけど、日本の場合は、もともと国公立なのに間接経費をせっせと入れるというのは 税金の二重使いみたいなものだから、基本的に真似はしているんだけど、根本的な違い を理解していないというところがすごくまずい訳で、そういう違いがすごくあるんだと いうことを理解しないとまずいかなと思って、それはかなり知っているんですけど、最 近、大蔵省がこう言っていますから、例えばそちらでも、今言ったように、30%研究費 を取られてはたまらないと言っているのは当然の話だと思いますけれども、ちょっとコ メントです。 ○高久委員 この文章の「米国における例等を参考とし」というのは余りいい言葉じゃないと思う んです。余りにも違い過ぎるから、これは外した方がいいと思うんです。 ○黒川委員  そうですね。 ○矢崎部会長  それは、パブリックコメントの1つとして・・・。 ○竹田委員  関連して、「オーバーヘッド」という言葉は誤解を生じないかなということを申し上 げたいと思います。オーバーヘッドといいますのは、例えば私が今年度、 2,000万円な ら 2,000万円の研究費をいただいたら、その中から何%かを事務経費に使うという意味 ですが、これを読みますと、厚生省の方が約30%上乗せで予算をいただけるという感じ に私には見えるのですが、そうなってくると、「オーバーヘッド」という言葉はちょっ と適当でないと思います。 ○黒川委員 これは、間接経費と書いてあるように、本当はインデレクト・コストというものであ りまして、さっき言ったように、国と大学がそれぞれ契約して、MITとか、ああいう ところは80〜 100%で、4年か5年ごとに見直しますけど、国公立はそうじゃないんだ けど、竹田先生がおっしゃったように、オーバーヘッドというのは、もらった自分のグ ラントの中で、フェローとか、いろいろな人を雇いますね。自分自身も雇うんだけど、 その中に当然、年金の分とか健康保険の分とか、大学なり何なりで自分の給料以外に必 要な経費が要るじゃないですか。それをオーバーヘッドというんです。だから、これも またよくわからないのに簡単な片仮名を入れるというところでみんな間違いを起こして 「米国における」というふうになってしまうんです。これは日本の典型的な例だなと思 うけれども。 ○竹田委員  ちょっとしつこいんですが、これを見ますと、オーバーヘッドというと、ガス・水 道・電気も使えるという意味になってしまうんですが、そうでないと思うんです。例え ば、感染症研究所が1億円もらって、30%をガス・水道・電気代に使えるはずがないん です。したがって、オーバーヘッドというのは、言葉としてはガス・水道・電気代にも 使えるという意味になりますので。 ○黒川委員  それは、ただコメントです。 ○矢崎部会長  この文面から見ますと、先ほど企画官から言われましたけれども、国立研究所とか、 そういうときにどういう経費の使い方をするかという問題があるかと思いますが、これ は恐らく研究機関が自由に使える、中央費として使える資金をプールするという意味じ ゃないかというふうに私は理解したんですけれども、いかがでしょうか。そうすると、 国立でも、税金で補てんする部分と研究活動として使える中央費というのは国からきま せんので、それは競争的に取って、その中からその機関の中央研究設備をそのプロジェ クトに合ったようなものを整えていくとか、共用の施設を整えていくというふうな使わ れ方ではないかというふうに感じましたけれども。 ○黒川委員  パブリックコメントで済みません。だから、先生方に知っておいてほしいというだけ の話で、間接経費(インデレクト・コスト)は、例えばカリフォルニア大学の場合は、 多分、私がいた頃は30%ぐらいで、グラントに入りますよね。州立大学は州に入ったん です。州は何に使うかというと、それはハイウエイの修理に使おうが何しようが、それ は州の自由だから、そのときに各キャンパスにその一部を返せという運動があった時期 もあって、国からオーバーヘッドを取って国立のところでそうやっているというのは、 もともとすごく矛盾があるんですよ。だから、そういう意味で言っている訳で、国立は 概算要求や何かを常にしている訳だから、そのプロセスで税金を払うということにして いるのが筋ではあるので、独法化になったときにはこういうふうになってくるんじゃな いかと思うので、その辺が違うかなと。だから、私立の場合は、それで一生懸命いい人 を集めて、いろいろなことに使っていこうとしている。基本的な米国における例という のはそういうふうになっているというのがちょっと違うかなと思います。 ○矢崎部会長  でも、30%が例えば高速道路の建築代とか建設代にいかない。これを見ますと、それ は研究機関が自由に使えるお金ですから、米国の場合は、ナショナル・インスティテ ュートの場合には税金でいってしまうけれども、プライベートでは自分のところですか ら、この意味は税金の二重ということではなくて、その機関で自由に使えるお金という ふうに理解していますけれども、どうでしょうか。 ○事務局  政府内で今議論されておりますのは、先ほど部会長がおっしゃいましたように、完全 に自由にはならなくて、一定の項目が決められるとは思いますけれども、研究機関に交 付されて、研究機関が一定の項目、例えば施設の改修から、経理のための人件費的なも の、あるいは管理的なもの、あるいは共通の施設の整備、図書の購入、そういうものは 認めていいのではないかというような議論が交わされております。そういう点から言う と、先ほど高久委員がおっしゃったように、「米国における例等を参考とし」というの がちょっと誤解を呼んでいるところがあるのかもしれません。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。もう1つの問題は、30%引かれた場合に、研究が遂行できない ということで、ある程度対象になる研究テーマが限られていて、全部から一律30%とい うのはちょっと無理なので、そこも十分考えておられるのではないかと思いますけれど も、この文面ではそういうところがなかなか読み取れないので誤解を招くところがある ので、これについてはもう少し詳しい情報が入ってから、また議論していただければと 思います。  そのほか、いかがでしょうか。 ○寺田委員  今のところは、私も含めまして、パブリックコメントでぜひみんなで事務局へ文句を 言うようにしたいと思いますけれども、これに関係しまして、1つは、今、パブリック コメントに出かかっているところですけれども、やはり科学技術基本法は個別研究とい うことをものすごく強調しているんです。そこのところを読まれて、臨床研究とか厚生 省の研究は、多くの場合、班研究も大事なところがずいぶんありますので、そこの重要 性ということをぜひパブリックコメントで、先生方それぞれの御意見で、私は言おうと 思ってあちこちで言っているんですけど、物理屋さんとか、そういう方が多いものです から、個別研究がずいぶんおもてへ出ているということが1つ。  もう1つ、今度はそれと離れまして、厚生科学研究費をずっと見ていますと、リスク ということが全体を通じましてずいぶん大事だと思うんです。これは事務局側もいろい ろなことを考えられてやっているんだろうと思うんですけれども、その場合に、何か研 究班で、これはどうも疑わしいというようなことが出てきたときに、報告書をどこかで 出されるということを書いておられると思うのですが、余り強く出ていませんので、今 度の公募のときには厚生科学研究費で何か国民に対してリスクの可能性があるといった ときには、どこどこへ報告することとか、そういうことをやられたらいいんじゃないか という感じがしていますが、これは意見です。 ○矢崎部会長  それはどうでしょうか。 ○事務局 リスクと申しますか、いわゆる危機管理の観点から、研究費を交付された研究者の方々 が、これは何か対応をとった方がいい、こんな情報があるというようなことをお気づき になられたときには、研究所管課、あるいは研究所管課がわからない場合には厚生科学 課に御一報くださいということを、たしか平成9年か10年に導入したところでございま す。また、今年度からは研究報告を書いていただくときに、そういう健康危険情報があ ったのかどうかということを明示的に報告書の中に欄を設けて書いていただくというこ とを始めたところでございますが、寺田委員から御指摘がありますように、それが周知 徹底されているかという点からいうと反省すべきところがあるだろう。なお一層目につ くように先生方にお願いをしたい、研究者の方々にお願いをしたいというふうに考えて いるところでございますが、実例から申し上げますと、たしか今週の初めにも一報きて おりましたので、全くない訳ではないんですが、確かにもう一度周知徹底をしたいとい うふうに考えます。ありがとうございました。 ○矢崎部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○寺尾委員  これを見ていますと、国内だけでやる研究のような気がするんですけれども、最近、 国際的にいろいろ共同研究をやるということが非常に重要になっているし、将来、ます ますそうなると思うんですけれども、そういう国際的な共同研究を組むということは可 能なんですか。それとも、今の国の法律上、そういうことはできないのか。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○事務局  国際共同研究について、私自身よく存じ上げなかったものですから、今、事務局の方 から話を聞いていたところでございますが、今聞いた段階で申し上げますと、長寿科学 でございますとか、一部の研究分野については推進事業費の中で国際共同研究を取り上 げているところがあるということでございまして、恐らくそれは各研究事業の中で国際 共同みたいなものをもっとやっていくということでございますれば、推進事業費を拡大 していくという形で対応できるだろうというふうに考えております。 ○矢崎部会長  テーマによると思うんですけれども、例えば国際医療センターで行われている国際医 療協力推進研究費というのは原則的に国際的な疫学を含んだ調査研究になっていますの で、領域によって違うんじゃないかと思います。それをなるべく広げるようにするとい う寺尾先生の趣旨ではないかと思いますけれども。 ○寺尾委員  これを見ている限り、そういうことは一つも出てこないものですから、根本的にとい うか、基本的な姿勢として、将来そういう国際共同研究とか、あるいは外国の専門家と 一緒になってやるというような進め方も非常に重要なのではないかと思いましてちょっ と申し上げました。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。 ○埜中委員  精神とか神経の領域から見ると、今回は大分社会的な問題なども取り上げられて、い い提案だと思うんですけれども、例えば7ぺージの10番にありますような「社会適応に 係る心の健康づくり」とか、やはりこういう研究も個別研究でやっていくということで ございましょうか。班研究とか、そういうものでなくて、個別研究で押し通していくと いうことでしょうか。こういう研究というのはかなりいろいろな方が加わってやらない とできないことだろうと思うんですけれども。 ○事務局  全体について申し上げますけれども、必ずしも個別研究に限るというような方針を出 しておりませんので、何も心の健康づくりだけではございませんが、全体にわたって班 研究であれば班研究で応募していただいて結構でございますし、個人の研究であれば個 人の研究で応募していただいて結構だと。要するに、一定の目的を達するために最適の システムを応募する方が構築していただいて、それを評価委員会で評価をするというこ とで考えておるところでございます。 ○埜中委員  脳科学の場合は、なるべく個別研究であるようにという指示がきていたので、私は全 般的にそうなのかなと考えた訳です。 ○矢崎部会長  原則的にはケース・バイ・ケースということではないかと思います。  それでは、予定した時間がまいりましたので、もし公募の具体的な研究課題につきま して御意見がありますれば、事務局の方にご連絡いただいて、12月8日、今週の金曜日 に厚生科学審議会で最終的な承認を得るということになるかと思います。私の方から厚 生科学会議の総会に報告申し上げるということになっておりますので、まず本日、この 原案を御承認いただいたということで、もし何か御追加の御意見がありましたら早急に 事務局の方にお申し出いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。  それでは、続いて報告事項に移らせていただきますけれども、1番目「省庁再編に伴 う『厚生科学研究に係る評価の実施方針に関する指針』」の改正点について」、事務局 からよろしくお願いいたします。 ○事務局  厚生科学研究に関します評価につきましては、この厚生科学審議会で御議論いただき まして、平成10年1月に規則を定めさせていただいたところでございますが、実は事務 局といたしましては、この評価の実施方法について、平成10年から実際にこの指針に基 づいて運用し始めまして、2年間、その経験がすでにございますので、その経験も踏ま えて、改めて厚生科学審議会で御議論願おうというふうに考えておった訳でございます けれども、先ほど御紹介いたしました次期の科学技術基本計画の中で、お決めいただき ました評価の指針の政府全体の基本となっております内閣総理大臣決定に基づく評価に 対する大綱的指針を見直すという方針が科学技術会議の方から出されたところでござい ます。  見直しの方向性というのは、評価の公正さ、あるいは透明性をより一層確保する。あ るいは評価に必要な資源、人的資源も含めて、資源を確保するという2つが重点という ふうに示されておりますけれども、この2つを基本に、政府全体といたしまして評価の 基本となっている大綱的指針を見直すということでございますので、厚生科学審議会に おきます議論を先行させるよりは、政府全体での議論を踏まえつつ、厚生科学審議会に 改めてお願いをするということにさせていただきたいというふうに考えている次第でご ざいます。  一方、この評価の指針というのは、厚生大臣が評価をするというシステムになってお りますので、すでに先生方、御承知のとおり、来年の1月に省庁再編がございまして、 厚生省は労働省と一体となるということで厚生労働大臣ということになりますので、そ ういう形式的な修正・改正だけ、今回、来年の1月に評価の指針についてやらせていた だく。この厚生科学審議会で御議論いただいた評価の指針について、その1点、形式的 な改正をやらせていただくということを御報告させていただいて、改めて政府内部にお きます大綱的指針の改正の議論を見つつ、厚生省におきます評価指針の改定については 別途御相談をさせていただきたいと存じ上げるところでございます。よろしくお願い申 し上げます。 ○矢崎部会長  今の方針をお認めいただけますでしょうか。なかなか展望が見えないので、そのとき にまた改めて議論いただくということでございますけれども。どうもありがとうござい ました。  それでは、次の報告事項で、先ほど間接経費については御議論いただいたので、ヒト ゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針について」、よろしくお願いします。 ○事務局  資料5をご覧いただきたいと存じます。「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理 指針(原案)の概要」というタイトルのペーパーでございますけれども、このヒトゲノ ム・遺伝子解析研究に関する倫理指針と申し上げますのは、厚生科学審議会の先端医療 技術評価部会におきまして、まず、昨年から今年の初めにかけて御議論を賜った。それ をもとにまた議論を進めていただいている段階でございます。  と申しますのも、先端部会で昨年の秋から今年の春にかけて御議論いただきましたの は、ミレニアム・プロジェクトにおきます倫理的な配慮をどうしたらいいんだろうかと いうような観点から、その指針をつくっていただいた訳でございますけれども、ミレニ アム・プロジェクト以外の遺伝子解析研究、例えば厚生科学研究補助金でなされている ものもございましょうし、あるいは大学、研究所で独自にやられているものもあるだろ うと思いますけれども、これらを含めまして、すべてのゲノム研究、あるいは遺伝子解 析研究に共通する倫理指針をつくるべきだということを先端医療技術評価部会からも御 意見を賜りましたところでございます。  また、同じような議論というのは、科学技術会議の中でも同じような議論がございま して、これに関連いたします厚生省、通産省、文部省、科学技術庁、4省庁が事務局と なって検討会をつくって御議論を賜ってきたところでございます。検討会は、座長を国 立がんセンターの中央病院長でございます垣添先生にお願いをし、二十数名の委員から 成る検討会をつくり、さらに、その検討会での御議論を有意義なものとするために、三 十数名から成る作業委員会をつくり御議論を賜ってきたところでございまして、その原 案が検討会から示されたところでございます。  現在、この示された原案を厚生科学審議会ですと先端医療技術評価部会で御議論を賜 り、また、科学技術会議でございますとヒトゲノム小委員会で御議論を賜り、通産省で ございますと科学技術審議会で御議論賜り、文部省でございますと学術審議会で御議論 を賜るというように、4省庁の審議会で御議論を賜っておりまして、この原案を基本と して、各審議会の御了承が得られるのであれば、来年の1月ぐらいに案を示し、いわゆ るパブリックコメントの手続きをし、できますれば、今年度いっぱいに最終的な指針に こぎつけたいというふうに考えているものでございます。  現在示されております原案について簡単に御説明申し上げますと、まず、その目的で ございますけれども、研究現場で遵守される、また、社会の理解と協力を得て、人の尊 厳及び人権を尊重するという立場に立って、こういった研究が適正に推進されることを 目的といたしております。  適用の範囲は、先ほど申し上げましたように、すべてのヒトゲノム・遺伝子解析研究 を対象とするということにしておりますが、より詳細に申し上げますと、生殖細胞系列 の遺伝子解析研究を対象とし、体細胞系列、体細胞のソマティック・ミューテーション でございますとか、あるいは発現解析でありますとか、こういうものは生殖細胞系列の 遺伝子変異がわかるような研究以外は対象としないという整理になっております。ま た、この指針の行政としての取扱いから申し上げますと、厚生科学研究費でございます とか、そういう公的な研究費を補助する場合においては、この指針を遵守していただく ことを義務づける。あるいは、国立の研究機関等においては指針の遵守を義務づける。 一般の民間等におきます研究においては、これをガイドラインとして運用するというこ とを考えておるところでございます。  その中身につきましては、主な内容の項目でございますが、当然のことながらインフ ォームド・コンセントを基本とする。次の○でございますが、個人情報の保護を徹底す る。さらに、倫理審査委員会が適切に構成され運営されるということを掲げておりま す。特に検討会の中で議論になりましたのは倫理審査委員会の構成の問題でございまし て、ミレニアムの指針と呼んでおります、今年の春につくられましたミレニアム・プロ ジェクト用の指針の中では、非常に大規模な研究機関、例えばナショナルセンターであ りますとか、そういう大規模な研究機関を念頭においておるということと、ミレニアム ・プロジェクトという非常に大きなプロジェクトを動かすということなどから、外部委 員の数を半数以上にということで構成を定義した訳でございますけれども、すべての遺 伝子解析研究に適応する。地方においてやられるものも、あるいは非常に小さな機関で やられるものも対象にするというようなことを考えますと、半数が望ましいというのは 間違いないという観点に立っておりますが、少なくとも複数、望むらくは半数以上の外 部委員から構成されるということで規定がなされております。その次が研究の適正性の 確保ということで、倫理委員会における事前審査でございますとか、研究機関の長の研 究の許可が掲げられております。また、研究の透明性の確保、あるいは遺伝性疾患に対 する遺伝カウンセリング、あるいは本人の利益保護のための配慮というのが掲げられて いるところでございます。  次の2ページがそれをフローチャートにしたものでございまして、まず、研究をしよ うという研究者は、社会的有益性があるのか、かつ個人の人権の保障が優先されている のかというのを判断していただく。あるいは、この指針に定める研究に該当するかどう かを判断していただくところから始めて、その次に研究計画書の作成、倫理審査委員会 における審査、研究実施機関の長による決定、さらには研究の実施、研究結果の公表と いう一連の流れをお示ししたものでございます。  以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」 でございますけれども、これは、まず厚生省でガイドラインをつくられましたし、今度 は合同的な組織でこういうものをオールジャパンで進めていくというお話ではないかと 思いますけれども、何かこれに関する御意見ございませんでしょうか。 ○高久委員  主な適用範囲が「すべての」となっていますけれども、今の企画官の説明にもありま したが、評価部会では生殖細胞を主にするとすると、「すべての」という表現とは少し 違うような気がするんですけれども、ここのところをはっきりしておかないと、本当に 体細胞も全部やるとなると少し問題になるんじゃないかと思うのですが。「すべての」 という表現はそうなりますよね。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○事務局  「すべての」という意味は、高久委員から今御指摘のあった、あるいは私が御説明し たとおり、受精卵由来の遺伝子解析研究をまず対象とする。さらに、後天的な病変に極 在する遺伝子解析研究等については、一部の例外を除き対象としないということでござ いますから、その旨が明確に伝わるよう工夫したいと思います。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。先ほどの間接経費に関するパブリックコメントというの は、そこにコメントとして言えるホームページとか、何かそういうシステムがあるんで しょうか。 ○事務局  間接経費のところで御報告申し上げました13年度から科学技術基本計画の次期の5か 年計画の案でございますが、これは現在、科学技術庁のホームページに仕組まれており まして、全体がたしか40〜50ページからなるものだったと思いますけれども、間接経費 だけではなくて、今後、5か年の重点項目の1つにライフサイエンス分野が挙げられて いて、いわゆるバイオというか、ゲノムの研究であるとか、たんぱくの研究であると か、あるいは脳の研究であるとか、臨床医学、新しい医療技術の研究、そういうものが いわゆる重点項目として取り上げたライフサイエンスの中でも特に重点を置く項目とい う形で述べられておるというふうに考えておりますが、それ以外、ナノテクノロジーの 問題であるとか、ITの問題であるとか、今後5年間の科学技術全般にわたる計画案が 示されておるところでございます。科学技術庁のホームページにコメントができるよう に仕組まれておると聞いております。 ○矢崎部会長  そうしますと、今の意見について、なるべく早い機会にホームページにいろいろ意見 を述べれば、議論の際に参考意見として生かされる可能性があるというふうに考えてよ ろしい訳ですね。 ○事務局  それは、もちろんそうだというふうに考えております。 ○黒川委員  いつからいつまでですか。 ○事務局  全体のスケジュールで申し上げますと、先ほど申し上げましたが、科学技術会議も来 年1月の省庁再編の前に科学技術基本計画についていわゆる決着をつけたい、正式なも のとしたいというスケジュールだと聞いておりますから、そういう意味で申し上げます と、12月末までに成案を得るということで考えますと、常識的には今月半ば、例えば10 日とか20日過ぎ、中旬ぐらいまでのパブリックコメントかなと推測しております。済み ません、見ておりません。 ○矢崎部会長  なるべく早くということだと思いますので、先生方、ぜひ今日の御議論を、また、厚 生科学課から今日の意見を少し述べていただければ大変ありがたいと思いますけれど も、ただいまの報告について、先生方、何か御意見ありませんでしょうか。よろしいで しょうか。  事務局からさらに追加の説明その他ございますでしょうか。特にございませんか。  それでは、本日の議論はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがと うございました。  先ほどからお話がございますように、来年1月、厚生省のいろいろな審議会が再編さ れるということで、厚生科学審議会も同様に改組になるということで、研究企画部会は 本日が最後となると思います。この部会は、私が部会長になって、厚生科学のあり方と か厚生科学研究の評価のあり方などの報告書を作成し、提出し、また、ミレニアム・プ ロジェクト、あるいはこれからのメディカル・フロンティアというプロジェクト研究 に、この研究企画部会については先生方に大変貴重な御意見をいただきまして、本当に ありがとうございました。事務局、特に2代にわたる企画官が大変優秀な方でありまし て、そういう報告の取りまとめ、その他を手際よくやっていただきまして、私としても 大変感謝申し上げております。  厚生科学研究費の交付の問題は、先ほど御指摘ありましたように、少し遅れがちだと いうことは、1つは経理の問題があると思います。それと、例えば科研費ですと10月の 下旬から11月の上旬に申請が締切なんですよね。厚生科学の場合は1月から2月に交付 になるのでどうしても遅れがちなので、その点を改善できないかというふうに考えてお りましたけれども、先ほど私ちょっと申し上げましたように、厚生科学というのは、予 算の枠組みができて、その中で採択方針から研究課題まで決めていくプロセスが科研費 とは比べものにならないぐらい作業が大変だというところがあって、本当に事務局の負 担が大きいということで、これが将来どういうふうに改善されるか、どういう方針がい いか、さらに今後検討していただければというふうに思っております。  それでは、本日の企画部会が最後の会でありますので、堺審議官より御挨拶をよろし くお願いいたします。 ○堺審議官  最後の御挨拶という程度の話ではないんですが、まず、本日はありがとうございまし た。研究費が遅れがちという点につきましては、私、食品保健課長をやりながら、何と かならないのかという陳情も申し上げ、また、審議官、厚生科学課長からお叱りを受け つつやってきたところでございます。また、立場は代わりましてこういう立場になりま しても、できるだけそういうことがないようにということでやりつつある訳ですが、こ れからもがんばっていきたい。余り言うと言い訳ばかりになりますので、これぐらいに させていただきます。  それからもう1つは、いわゆる最近の科学技術会議の方で出てくる議論は、個人に大 きな研究費をつけて科学を推進していくというのが中心に、これは寺田委員の方からも 御発言ございましたが、そういうふうになりがちでございます。ところが、やはり臨床 研究でございますとか、いろいろな種類の研究がございます。それには班研究というこ とも非常に大切な分野でございますので、私どももいろいろな機会を通じて言っている 訳でございますが、とかく役人の言うことになってまいりますので、ぜひ研究者のお立 場、いろいろなお立場から、いろいろな機会を通じて御発言いただければありがたいと いうふうにも思っております。  また、間接経費、あるいはオーバーヘッドということで今日の資料で出させていただ いて、いろいろ御意見といいますか、コメントもいただきましたが、それも重々承知は しております。余り言うとよその省庁の話になってしまいますが、もともとアメリカと 日本の大きな違いというのは、例えば国立大学の比率がどれぐらいなのかという歴史が 成り立ちがまず違うということ、それから、研究に対しての位置づけもまた違うという ようなこともございます。例えば科学は経済のエンジンであるというような発想でアメ リカはやっているというのを読んだこともございますし、いろいろなことでこういうこ とになっているのではないかということで、中途半端なところで「米国並みに」とか、 そういうのを引いたばかりに、よけい混乱したのではないかという気もしております が、これは何ぼ言ってもよその省庁のことでございますので、そこら辺もいろいろな機 会を通じて言っていただけたら幸いでございます。  さて、先ほど部会長の方から御発言もございましたが、来年1月から省庁再編の一環 として審議会の再編も行われます。発足以来、20回を数えるこの研究企画部会も本日を もって実質最終を迎えることになった訳でございます。ここで改めまして、簡単に本部 会の歩みを振り返りまして、委員の皆様のこれまでの御尽力に感謝申し上げたいと思い ます。  まず、審議会本体につきましては、大臣の主催する懇談会であった厚生科学会議を発 展的に改組して、平成9年4月に厚生科学審議会が設置されました。厚生科学会議は、 これまで厚生科学全般にわたる基本戦略の策定でございますとか、重点研究課題の設定 等に御尽力いただいた訳でございます。しかしながら、それにとどまらず、日本の国の 大きな方向である科学技術創造立国を目指す観点から、1つには、科学技術基本計画の 閣議決定を受けて厚生省としてどのように重点的に科学技術の振興に取り組むべきか。 2つ目としましては、遺伝子治療などの先端医療技術の進展が著しい中で、諸外国と切 磋琢磨しながら、技術的な側面だけではなくて、倫理面も含めまして、いかに適正に研 究を推進していくべきか。3つ目といたしまして、厚生行政における健康危機管理の基 本的な枠組みをいかに確保していくか等々の問題につきまして、大局的な見地から幅広 く御議論をいただくために、厚生省の所管行政に関する科学技術に関する調査審議を任 務とする厚生科学審議会が新たに設置されることとなったものでございます。  平成9月5月に開催されました第1回の審議会におきまして、常設の部会として研究 企画部会及び先端医療技術評価部会が設置されることになりました。本部会の審議事項 は、厚生科学研究の企画評価に関する事項とされまして、具体的には重点研究分野の推 進体制のあり方、重点研究分野における公募研究課題、また、研究評価のあり方などに ついて御議論いただいてまいりました。平成9年6月に第1回の部会が矢崎部会長ほか 3名の委員、10名の専門委員によって開催されて以来、冒頭申し上げましたが、本日で2 0回を迎える訳ですが、現在では、部会長他5名の委員、それから9名の専門委員によっ て構成されている訳でございます。平均すると2か月に1回の審議でございまして、御 多用の中、大変精力的に御審議していただいてきた訳でございます。  まず、平成9年8月には、総理大臣の決定としまして、国の研究開発全般に関する研 究の実施方法のあり方が示されたことを踏まえまして、厚生省として適切な研究評価に ついて指針を策定すべく、そのあり方について審議会に諮問させていただきました。こ れを受けまして、本部会は平成9年12月には報告をおまとめいただき、その後の総会の 審議を経て12月の答申に至った訳でございます。翌平成10年1月には、それを踏まえて 厚生省告示が行われまして、今日ますます極めて重要な意義となっている研究評価の礎 が築かれることとなりました。また、研究評価についての審議が終了した次の部会であ る平成10年3月からは、早速、厚生科学研究のあり方という、極めて重要かつ広範な テーマの検討に着手していただきまして、1年余りの検討を経まして、平成11年4月に は厚生大臣から正式な諮問をさせていただくことになった訳でございます。それを受け まして、この部会が4月末には報告を取りまとめいただき、平成11年5月には審議会か ら21世紀に向けた今後の厚生科学研究のあり方についてを答申していただきました。現 在、その答申を踏まえた重点研究領域の設定、推進、研究体制の整備など具体化に取り 組んでいる最中でございますが、まさに今後の厚生科学推進のためのよりどころとなる 基本文書、いわば教典といいますか、バイブルといいますか、それをおまとめていただ いたというものでございます。  以上のほか、毎年毎年、具体的な研究課題の設定に当たりましても、基本的な方向に ついてお導きいただいてきた訳でございます。本部会の御貢献につきましてはこの短時 間においてとても語り尽くせませんが、おかげさまで国民の健康・福祉の向上に向けた 望ましい厚生科学の推進につきましても歩みを進めることができました。  来年1月には新たな厚生科学審議会が発足いたしまして、新たな部会も設置されると いうことが見込まれる訳でございますが、事務局といたしましては、本部会で御担当い ただいた事項というものは、いずれ重要事項として新たな審議会においても、高い見識 と英知によりまして引き続き御検討いただくということになろうと考えております。さ まざまな条件もございまして、委員につきましても異動される訳でございますが、いず れにいたしましても、これまでの御尽力に対しまして改めて感謝申し上げますととも に、引き続き厚生行政への叱咤激励をよろしくお願いしたいと思います。  以上、意を尽くせませんが、本部会の最後の感謝の御挨拶ということにさせていただ きたいと思います。長期間、どうもありがとうございました。 ○矢崎部会長  堺審議官、どうもありがとうございました。  本日は最後ということで、私も本研究企画部会の部会長を務めさせていただきまし て、先生方には、本当に御多用のところを毎回お集まりいただき、貴重な御意見をいた だきましてありがとうございました。私個人ではまとめ切れなかった問題も多々ありま したけれども、先ほど申し上げましたように、企画官をはじめ、事務局の方に多大なご 支援を受けて責務を果したのではないかと思いまして、委員の先生方及び事務局に本当 に厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。  それでは、これで研究企画部会を終了させていただきたいと思います。どうもありが とうございました。 (了) 問い合わせ先 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担 当 新木(内線3806) 電 話 (代表)03-5253-1111 (直通)03-3595-2171