00/12/05 生殖補助医療技術に関する専門委員会(第27回)議事録                                             厚 生 科 学 審 議 会 先 端 医 療 技 術 評 価 部 会     生 殖 補 助 医 療 技 術 に 関 す る 専 門 委 員 会                ( 第 27 回 )                 議   事   録         厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        生殖補助医療技術に関する専門委員会(第27回)議事次第 日 時 平成12年12月5日(火) 15:00〜21:16 場 所 商工会館(7階BC会議室)  1 開 会  2 議 事   (1)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方について   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕   中 谷 委員長   石井(ト)委員  石井(美)委員  高 橋 委 員 辰 巳 委 員   田 中 委 員  丸 山 委 員  矢内原 委 員  吉 村 委 員 ○小林主査  それでは定刻になりましたので、ただいまから「第27回厚生科学審議会先端医療技術 評価部会・生殖補助医療技術に関する専門委員会」を開催いたします。  本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。  本日は加藤委員が御欠席ということで、御連絡をいただいております。それでは議事 に入りたいと思います。中谷委員長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○中谷委員長  きょうは初めから長丁場が予定されておりまして、予定をさらに倍加するような雰囲 気でもありますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは本日の議事に入ります前に、事務局からきょうの資料の確認をお願いいたし ます。 ○小林主査  資料の確認の前に、前回お話しさせていただいていました12月22日の厚生科学審議会 の先端医療技術評価部会への本専門委員会の報告書の最終報告の際に、御出席いただく 委員の件なんですが、中谷委員長とも相談の結果、矢内原先生と吉村先生、石井(美) 先生の3委員に、中谷委員長とともに御出席いただくのがよろしいのではないかという お話になりまして、それで特段御意見がなければ、中谷委員長を含めて、ただいま申し 上げました4委員に本専門委員会を代表して、先端医療技術評価部会の方への御出席を お願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○中谷委員長  よろしゅうございましょうか。そのほかに加藤委員は、部会の委員でいらっしゃいま すので、加藤委員もお入りになることになるわけですから。 ○小林主査  そうですね。部会の委員ですので。そうしましたら、特段異議もないということです ので、12月22日の先端医療技術評価部会の方には、ただいま申し上げました4委員に御 出席いただくということでよろしくお願いいたします。  それでは、次に本日の資料の確認の方をさせていただきます。まず本日の資料です が、いつもどおり「議事次第」がございまして、次に資料ということで、前回の御議論 を踏まえて修正しました報告書案というのがございます。次に前回からの変更点を示し たいつもどおり見え消し版ということで、参考資料1ということで御用意させていただ います。  あと参考資料2と机上配付資料2ということで、「インターネット等で寄せられた御 意見」ということで配付させていただいております。  それから、机上配付資料1−2ということでして、前回、石井(美)委員から御提案 あったかと思いますが、各委員、意見持ち寄るということで、それに対して各委員・先 生方からいただいた御意見を配付させていただいております。  それで1つ、確認をさせていただきたいのですが、今の段階では委員の先生方の御意 見の取り扱いがちょっとわからなかったので、机上配付資料ということで配付させてい ただいております。もしマスコミ等、いただいた御意見、配付してもよろしいというこ とであれば、机上配付ということではなく公開してまいりたいと思っておるのですが、 公開してもよろしいでしょうか。 ○中谷委員長  一般的な方たちの関心も強いみたいなので、なるべく公開していただいた方がよろし いかと思います。また、委員の皆様方から、とてもいい御意見をいただきまして、本当 にありがとうございました。矢内原委員のはきょういただくわけです。 ○矢内原委員  今。 ○中谷委員長  石井(美)委員からも御意見があったし、吉村委員、辰巳委員、それぞれの個性がは っきりしたいい御意見をいただきましてありがとうございました。 ○小林主査  そうしましたら、特段御意見がなければ公開させていただきます。  あと前回からの変更点なんですが、簡単に御説明させていただこうと思います。見え 消し版、参考資料1の方で説明させていただきます。まず全体的にかかわる部分2点ほ どございますが、1つは「者」です。これは自然人の場合と医療機関等を想定している 場合があるだろうと。これは明確に書き分けた方がよかろうということがあったと思い ます。それで自然人に当たる場合にはドナーとかレシピエントの場合にはみんな「人」 という形で直しました。  医療機関等の場合には「医療提供施設」ということで書かせていただきまして、これ は医療法に定義がございまして、それを引かせていただきました。もし長いとかそうい うことであれば、「医療機関等」とか「医療機関」と訂正してもよろしいかと思いま す。  もう一つが、これも全体的に修正している部分ですが、従前、「精子・卵子・胚の提 供による生殖補助医療」と書いていた部分について、石井(美)先生から御意見あった と思うんですが、「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療」というふうに全体 を変更させていただいています。  中身の方に入りまして、まず11ページになりますが、 1「精子・卵子・胚を提供す る」、ここはちょっと直して「条件」にしているのですが、ここの一番最後のところに 「同一の人からの卵子の提供は3回までとする」ということで入れさせていただきまし た。たしか、これは前回の指示では25ページのところの」同一の人から提供された精 子・卵子・胚の使用数の制限」のところに入れるという御指示をいただいたかと思うの ですが、ここの部分は同じ人の遺伝的要素を引く人をある程度限りをつけるという趣旨 で書かれていると思うのですが、「卵子の提供は3回までとする」というのはちょっと 趣旨が違って、どちらかといえば、卵子提供のリスクを考えて、3回までに制限すると いうことだと思いますので、こちらの方に入れた方が整理がいいのかなと、これは事務 局の方で考えさせていただきまして、こちらの方に入れさせていただきました。それと 併せて、提供する者の条件ではなく、提供する条件ということになると思いますので、 ここも併せて修正しました。  次に参りまして、17ページですが、これも字句の訂正ですが、精子・卵子・胚の提供 を受ける医療機関等の書き方なんですが、ちょっと長過ぎて、わかりにくいというよう な御指摘があったと思いますので、ここのところは、今回修正しまして「提供された精 子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療提供施 設」と書かせていただきまして、あと長いので、略語をつけたらどうだという意見もあ ったかと思いますので、ここで略語として(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける 医療提供施設」という。)ということで修正させていただきました。  次ですが、22ページに行きまして、 8の「精子・卵子・胚を提供する人の個人情報の 保護」というところですが、ここも1つ目の見え消しでずっと消えている部分につきま して、ここも読めば言っていることはわかるんだけれども、若干書きぶりとしてわかり にくいということですので、引用を使って若干わかりやすいように整理させていただき ました。  次、24ページに行きまして、一番最後から2つ目の丸のところですが、ここで書いた のは提供者の個人情報を公的管理運営機関に提供する場合を書いているのですが、この ときに妊娠してないことを確認できないときについても、公的管理運営機関に提供者の 個人情報を提出するようにすべきだという御意見があったと思いますので、ここはそう いった形で修正させていただきました。  次へ行きまして、25ページの10の「同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数 の制限」のところなんですが、1つ目の丸のところで、使用数を制限すると、10人まで ということで書きまして、ただ、これを担保する措置が必要なのではないかと。具体的 には提供者の氏名や生殖補助医療を行った結果を公的管理運営機関の方に提出させると いうことが1つは規定として必要なのではないかという御意見があったと思いますの で、その御意見を踏まえまして、1項目立てさせていただきました。  あと、若干細かいところで修正したところもございますけれども、大きな修正点は以 上のとおりです。  委員長、よろしければ、議事の進行の方をお願いいたします。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。今の事務局の修正等について、何か御意見がおありになれば、御 自由に御発言いただきたいと思います。 ○小林主査  それで、事務局の方からの提案なんですけれども、本日、兄弟姉妹等の部分につい て、各委員から、ここだけではないと思うのですが、御意見いただいておりまして、こ の中には本日提出していただいた意見もあって、まだ各委員がすべてごらんになってな い段階だと思うんです。ここから始めてしまうと、まず各委員ごらんになっていただい てということになり時間もかかってしまうと思いますので、この後、中休み等あるかと 思いますので、そのときに各委員の御意見読んでいただいて、それからここの部分につ いては御議論いただくと。  その前に、まだ前回までに議論してなかった部分、具体的に言いますと、見え消し版 でいくと29ページで、見え消しでない方では28ページですが、IIIの2の(2)の 1の 「親子関係の確定」という部分があると思うのですが、ここからまだ一度も議論いただ いてなかったと思いますので、ここから御議論をまずいただくとよろしいかと。これは 事務局の方の提案なんですが。 ○中谷委員長  適切ではないでしょうか、今の御提案は、そのように図っていただきましょう。 ○石井(美)委員  きょうは見え消し版の方で議論するんですね。 ○母子保健課長  参考資料1の見え消し版の方で御議論いただければと思います。 ○石井(美)委員  よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○石井(美)委員  親子関係のところの黒丸の3番目、「その夫の同意は推定される」というのは、私の 提案でたたき台に入って、それ以来、ずっとここにあるんですけれども、私の趣旨とし ては、なるべく生まれた子どもに父がいるように、だから夫の方が積極的に自分が同意 してなかったということを証明することができない限り、父親とする方がいいのではな いかという、そういう考え方によっているのですけれども、どうもここでも、前にちょ っと触れたときも理解がなかなか難しいということと、ほかでもいろいろ話すとどうも 評判がよくないということもあるので、必ずしもこれがなくても、現在の 772条の嫡出 推定規定、それがそのまま機能すれば、推定ということにはなりますので、これを必ず しも置かなくてもいいのではないかとは思っております。 推定の及ばないという子という考え方をとらないということが、つまりAID・人工 授精によって生まれた場合についても嫡出推定の枠内で考えるということを確認できれ ば、必ずしもこの規定はなくても済むかなとは思っているところです。 ○中谷委員長 前に石井(美)委員の御提案のときは、夫の同意を得て、生殖補助医療を行った場合 は推定される。だから同意を得たのであれば、推定でないから、それはおかしいと思っ ていたんですけど、それがなくなりましたから、私はこれでいいと思います。 ○石井(美)委員 同意を得た場合は推定ではなくて、父にしてしまうんですけど。 ○中谷委員長 ですからそれが推定されるとあったから、これは形容矛盾だなと思っていましたけ ど、そうじゃなくなりましたから、私はこれはこれでいいと思いますけれども。不要と いえば不要かもしれませんけれども、条文の解釈によれば、でもこれはあった方が私は 明確になっていいと思います。 ほかの御意見いかがでしょう、丸山委員いかがですか。 ○丸山委員 いいというか、特に異を唱えるつもりはないのですが、要件はここで尽くされている んですか。石井(美)さんの当初の御意見の推定の前提となる要件は。 ○石井(美)委員  推定の要件は。 ○丸山委員 推定のもととなる事実要件は、「妻が精子・胚の提供による生殖補助医療により出産 した場合」、これでいいんですね。 ○石井(ト)委員 質問ですけど、いいでしょうか。 ○中谷委員長 どうぞ、石井(ト)委員。 ○石井(ト)委員  私は3は、むしろ複雑だなと思って前から気になっていたところですが、要するに必 ず夫の同意は大前提ですね。 ○石井(美)委員  はい。 ○石井(ト)委員  ですから、原則ではなくて、夫の同意があって、初めて成り立つという大原則があり ますので、それで初めて、子どもは夫の子になるわけなんであって、次の項は、私は意 味がわからなかったんですね。ですから、むしろ先生が提案なさったようにカットして いただいた方がすっきりすると思うんです。 ○石井(美)委員  多分ここではこの医療に伴って生まれてくる子の身分関係の基本をはっきりしていれ ばいいのではないかということもあるんですね。多分親子関係についての法律は、法務 省等でもう一度検討して立法されるので、そのときに細かい規定ということはいろんな 場合を想定して立法はしてくださると思いますので、ここでは基本的にここで認めた医 療の中で生まれてきた子どもの親子関係を明確にする、そこのところをはっきりさせて おけばいいのかなと、そういう意図でもあります。 ○中谷委員長  最初の黒丸の「生殖補助医療により子を出産した人は」、これはこれでよろしいので すか。妊娠・出産した者にするかどうかということなんですけれども。 ○石井(美)委員  最終的にまさしく妊娠して出産を考えるのですけれども、出産したという。 ○中谷委員長  だから出産だけを、有効ではあるけれども、そういうのはどうなのかと、代理母と か。 ○石井(美)委員  代理母の場合も母とするという考え方です。出産した人を、という考え方をここはと っているということだと思いますけれども。 ○中谷委員長  イギリスの場合だと、29条か28条か、本法において、母親とは何とかというのがあっ て、あれは妊娠なんです。妊娠、キャリーという言葉が使ってあったと思いますけれど も、結局「妊娠し出産した人」というふうな、イギリスの場合は、サロゲートマザー・ アレンジメント・アクトという代理母の法律がありますから、また別ですけれども。 ○吉村委員  死産届けというのは父と母の名前書きましたっけ? ○中谷委員長  死産届けは4カ月以上。 ○吉村委員  4カ月以上。 ○中谷委員長  妊娠4カ月以上ですよね。 ○吉村委員  そうすると、今、先生がおっしゃったように、「妊娠・出産した」の方がいいかもし れないですね。 ○石井(美)委員  死産は出産ではないですね。 ○中谷委員長  そういう意味では、ちょっと妊娠を入れた方が多少いいのではないかという気を持っ ていますけど、また御検討ください。 ○矢内原委員  死産は、生産ではないけど、出産ではある。 ○中谷委員長  出産ではありますよね。 ○矢内原委員  だから死産届け出すんだからね。 ○中谷委員長  死産届けですから。 ○矢内原委員  問題は12週以前の取り扱いをどうするかということ。 ○辰巳委員  22週未満のときにも届けが必要ですよね。 ○矢内原委員  12週以上、22週未満でしょう。 ○吉村委員  出産というのは死産も出産になるのかということ。 ○矢内原委員  なりますよね。22週以降は生産というんですか。 ○石井(ト)委員  健康で生まれれば生産で、人口妊娠中絶手術は22週未満ですから。 ○石井(美)委員  帝王切開も出産と言うんですか。 ○矢内原委員  出産です。 ○吉村委員  妊娠を入れると何かまずいことあるんですか。 ○石井(美)委員  いいえ、そんなことないです、入れても構わないと思います。「妊娠し出産した人 は」、「は」より「を」の方がいいと思いますけれども。「人は、その子の母とする」 よりは。 ○中谷委員長  「は」だったら、されるですよね。母とするのだったら「を」ですね。 ○吉村委員  「人を」ですね。「妊娠」入れてもいいですね。 ○矢内原委員  「妊娠・」にしたらどうですか。 ○中谷委員長  そうですね。 ○吉村委員  その次も「夫の子とする」というのも「妊娠・出産した子を」ですか。 ○石井(美)委員  ここは「子は」でいいですね。 ○吉村委員  「子は」でいいんですね、ここは。 ○石井(美)委員  丸ポチより、「妊娠し出産した」方がいいのではないですか。妊娠と出産が丸ポチだ とどっちかでいいという、そういう気がするんですけど、妊娠しないで出産するとい う。 ○矢内原委員  今、ばかみたいなことを考えたんだけれども、胚の提供受けますよね。妊娠9週で流 産したとしますね。これは私のものではないんだから、この費用は私が払いませんとい うことはあり得るでしょう。 ○吉村委員  あり得る。 ○矢内原委員  他人のものなんですから。 ○吉村委員  あってほしくないけど、あるかもしれない。 ○矢内原委員  理屈をこねれば、うまくいかなかったのだからということで。 ○吉村委員  それであっても、妊娠し出産したと。 ○矢内原委員  届けもしないよとか、同意もしないよとかね。だから妊娠も入りますし出産も入りま す。 ○石井(美)委員  妊娠と出産が別々になるというのは、途中で死んで子どもが生まれなかった場合だけ で。 ○吉村委員  妊娠し出産したというときには妊娠した人をも入るでしょう。 ○矢内原委員  妊娠しなければ出産しないのだから。 ○石井(ト)委員  今は死産した場合、届け出のときに両親の名前書かなければいけないから、そういう 絡みで。 ○石井(美)委員  妊娠・出産。 ○石井(ト)委員  というところで。 ○辰巳委員  ポチの方がいいんですね。 ○吉村委員  ポチ。私は初め、夫の同意は推定されるというのは初めわからなかったんですが、石 井先生のおっしゃることが、7月ぐらいからわかり出しまして、私はこれは入った方が いいと思います。 ○石井(美)委員  皆さんがわかってくだされば。 ○吉村委員  初めは全然わからなかったんですが。 ○中谷委員長  私はこれならいいと思います。前は、前の部分がおかしかったからだったんですけ ど、結構だと思います。 ○辰巳委員  わからないものとは、どういう場合を想定されておられるのか。 ○石井(美)委員  夫の同意がなくて生まれてしまった場合ありますよね。この間の事件のような。 ○辰巳委員  それはにせの同意をしたということですね。同意はするときには必ず必要なんです ね。 ○中谷委員長  同意がなかったんです。 ○辰巳委員  だからにせの同意だったということですね。 ○田中委員  同意というのは、同意書があれば、同意とみなすんですか。目の前にいて、本人がサ インをしないといけない。同意というのはどういう場合を同意というんですか。 ○石井(美)委員  ということでもめますよね。そういうもめたときに、同意はしてなかったというのは 夫の側で、ちゃんと言ってくださいということになる。 ○田中委員  本人のサインだったらどうなんですか。同意書が夫のサインだったら。 ○中谷委員長  同意書は一応考えなければいけませんけど。 ○丸山委員  本人の署名であれば有効な同意があったということになりますね。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○田中委員  ということは、妻が勝手に御主人の同意なしで、だれかに書かせたということです か。 ○中谷委員長  署名に限定すればいいわけですよね。記名捺印でもいいということになると、奥さん が自分で勝手につくって持っていくということもあり得なくはないと思うけれども。 ○石井(ト)委員  私は本来の同意というのは、御夫婦を目の前にしまして説明して、それぞれで氏名捺 印してもらうというのを同意というふうにとらえていますけど。 ○田中委員  私もそう思います。 ○石井(ト)委員  当然です。ですから勝手に書いて提出するということが起きるのであって、だから、 この場合はあくまでも本人を目の前にしてサインをしてもらう。 ○丸山委員  以前も話が出たと思うんですが、それが守られていれば、この規定はそんなに要らな いのですが、守られない場合がある。そういう場合にわからないときにどう判断するか というので、一応同意があったことにして扱いましょうという規定なんですね。 ○石井(ト)委員  その同意が推定されるということは逆に。 ○中谷委員長  推定だから、同意がなければなかったということを反証上げればいいわけですから。 ○石井(美)委員  そういうことです。 ○吉村委員  でもなかなか反証することが難しいような状況をつくっていくということです。具体 的に言えば、そういうことでしょう、先生。 ○丸山委員  実際の効果はそういうことになると思いますね。 ○吉村委員  だからなかなか自分が同意書を書かなかったよというようなことを証明することは非 常に難しいよと。 ○丸山委員  お父さんの利益よりも子どもの利益の方をどちらかというと優先しましょうと。 ○辰巳委員  お父さんがいた方が子どもの利益になるということですか。 ○吉村委員  はっきり言えば、そうかもしれない。 ○石井(美)委員  そういうことですね。愛情は期待できなくても、いないよりはいた方がいい。 ○石井(ト)委員  この間の事件は否認することができるというところで訴えになったわけですね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○石井(ト)委員  この場合はどうなんですか、その条文は生きるんですか。 ○吉村委員  だから夫の同意は推定されなかったんですよ。この場合はそういうことになります ね。 ○石井(ト)委員  1年以内に申告すれば。 ○石井(美)委員  いや、同意がなかったという認定ですから、同じことにはなると思います。 ○中谷委員長  なかったんですよ。 ○吉村委員  だから、同意がなかったということでしょう。 ○石井(美)委員  ただ、あの場合の同意推定が入るともうちょっと同意があったという可能性があった かというと、あの事実認定、同意がなかったという形の判決の中の事実認定だからとい ったら、裁判官の方に怒られそうですが、あの認定だとなかなか同意があったという形 にはしにくかったし、多分同意しなかったということ。署名がなかったから。 ○田中委員  署名がなかったんですか。 ○石井(美)委員  同意書がなかったんですよね。 ○法務省  すいません、よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○法務省  法務省の者ですが、発言をさせていただきますが、親子関係の確定の部分の、今話題 になっておりますのは非常に法制的な技術的な部分ですので、私どもの方で、また民事 法制、親子関係の法制の観点から検討をする機会を持たせていただきますので、できま したら、そちらの方にお任せいただけるのが一番よろしいかなと。  こちらではまさに2年間にわたって生殖補助医療全体についての考え方ということで お示しいただいておりますので、その中で、この親子関係はこうあるべきというふうに 示されたお考えは十分尊重しなければいけないというふうには認識しておりますので、 その線で検討させていただくことにはなると思いますけれども、非常に今議論していた だいているところはかなり細かい点だろうと思っておりますので、このあたりはお任せ いただいてもいいのかなという感じはしております。 ○中谷委員長  いろんな関連法権、どこのどういう法律の中に親子関係でどういう規定があるかなん ていうのは私どもよくわかりませんので、それはまさに法務省の方へお願いしなければ いけないことだと思っております。 ○田中委員  具体的にもしこういう治療をやる段になって問題になるのは、例えば奇形児が生まれ たり染色体異常が生まれたとか、そういうのが妊娠の途中にわかった場合ですよね。そ ういう場合の、例えば胚をもらった場合には、その両親と血縁全然つながってないわけ ですから、中にはいろいろ言って来る可能性があると思うんですね。そういう場合をし っかりとそういうことを言えないように書いておいてほしいと思いますね。 ○吉村委員  それは先生、関係ないんじゃないか。本当にそれは私も思います。 ○田中委員  現場で困るのはこういうことなんですよ。 ○吉村委員  すごい困る。困るけど、法律に関係ないのではないか。 ○田中委員  法律でそういうのをですね……。 ○石井(美)委員  でも親ではないとは言えないということになれば。 ○田中委員  はっきり言えないといっても、それは法的に全く意味がないこととわかるようにして おいて、それは私たちも治療を始める前によく言っておかないと、可能性はゼロではな いと思うんですね。 ○吉村委員  それは絶対多い。例えばダウンだったら、必ずやるでしょうし、そういうようなこと もあって、大きな問題もどんどん出てきます、こういうのをやると。 ○中谷委員長  ダウンの子は割合に多いですよね。出産 800例に1例というんですからね。 ○矢内原委員  それは法規に書くほどのことではない。 ○吉村委員  それはそうです。 ○矢内原委員  実際に成立した段階でその子になるわけだから。 ○中谷委員長  でもこのごろ、ゲノムの研究が進んでますでしょう、そういう関係で、ドネーション をやったという場合もまた問題になってきますよね。ドナーにそういうものがあったら どうするかとか難しいですよね。 ○田中委員  そうですね。特に提供者が不妊症の患者さんの場合にはそういうリスクが高いですか ら、そうかもしれないですね。 ○中谷委員長  イギリスなんかで言えば、イクシーなんかについても、障害のある子どもの生まれる 率が高いなんて言っていますでしょう。 ○田中委員  そういう方向ありますよね。 ○中谷委員長  ええ。だから、そういうことも考えるとなかなか難しいですね。やっぱりカウンセリ ングがとっても大事なんですよね。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  カウンセラーの育成というのは、3年間でできるのか、とても難しいですね。そんな ことやっていたら、今度コーディネーターがすごいことやった……。 ○石井(美)委員  でも関係ないんですね、全然。 ○中谷委員長  だからカウンセラーをどうやって育成するかというのがとても難しいですね。 ○矢内原委員  具体的にこれを施行していく段階で明らかにしなければだめですね。はっきりしない と、これができたときにはプログラムをつくっておかなければいけない。 ○中谷委員長  そうなんです。 ○石井(美)委員  ちょっとよろしいですか。細かい点については法務省でぜひ考えていただいて、私た ちとしては早急に親子関係が確定するような法律をつくってほしいというのが希望であ るということもよくわかっていただきたいと思うのですが、そのときの、基本的には産 んだ人を母とし、同意した夫を父とするという考え方と、なるべく子どもには、父と母 がいるということが望ましいという考え方をとっていると、そこがここの基本的なメッ セージだというふうにとらえていただきたい、そういうことです。 ○中谷委員長  もうちょっとつけ加えれば、常に希望したカップルもですけれども、それ以上に、 「子の福祉」というものを一番優先的に考えているということをお含みおきいただきた いと思いますけれども。 ○法務省  ここでの御議論というのは、今後の検討の場でも生かせるようにしたいと考えており ます。重ねて申し上げますけれども、この親子関係の問題は、親子関係、民事法制の根 幹にかかわる部分でございますので、私どもの方で、民事法制の観点から十分な検討を もう一度やらせていただくということで、ここは御承知おきいただきたいということで ございます。 ○矢内原委員  それに関連しますけれども、29ページの一番下の丸から次のページで、それをふっと 否定するような説明になっている。「〜限らない」と、私にはわかりにくい。 ○小林主査  そうですね。この説明の構成なんですが、前段では今の構成ですね……。 ○矢内原委員  今だったら、こういうこともあり得ると。一番最後のところに「当然にその子の母と されるとは限らない」、それほど強める必要がありますか。何か読んでいて、懐胎し出 産した人が母ですよと言っているのに、その説明の中に、できたらもうちょっとわかり やすく、「現在の法律の中では」とか、何か否定否定と、その前のものも「その子はそ の夫とは法律上の親子関係を有しないこととされる可能性がある」。もうちょっとわか りやすく書き直していただければと思います。 ○小林主査  「現行においては」とか。 ○矢内原委員  「我が国においては」というところに、また「現行のままでは」とか。 ○小林主査  そうしますと、例えば29ページのところの、一番最後のところなんですけれども、 「法的関係の確定に関する明示の規定は存在しないことから、現行においては、卵子・ 胚の提供による」とつなげていって、それでよろしいですか。 ○矢内原委員  その方がわかりやすいですね。 ○丸山委員  29ページの囲みの後の解説の2つ目の丸なんですが、「これらの規定により、妻が精 子・胚の提供による生殖補助医療により出産したその夫の遺伝的要素を受け継いでいな い子であっても」、ですからARTを使った場合の子どものことを言っているんです ね。その場合でも、その夫がその子の出生を知ったときから1年を経過すれば、妻がそ の子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上離婚して夫婦の実態が失われ、又は遠隔地 に居住して夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであることなどの特段 の事情があれば、嫡出否認はできるのだけれども、そういう事情がなければできないと 書いてあるんですが、この3行目、4行目のこの2つの事情がある場合を例外扱いにす るというのは通常の場合ですよね。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○丸山委員  特に2つの場合のうちの、後段の夫婦間の性的関係の可能性がなかったというのは、 ARTの場合、直接関係ないというか、ARTの場合は性的関係がなくても妊娠・出産 があり得るので、通常の場合の適用除外の要件をARTの場合にそのまま組み合わせる のは何かそぐわない感じがするんですね。 ○法務省  オブザーバーが余り差し出口を差し挟むのはあれなんですけれども、ここはもっと正 確に細かく言うと、こういう事情があったときには嫡出否認の訴えではなくて、いわゆ る親子関係不存在確認の訴えという、別の類型の訴えでもって、1年を過ぎてしまって も、親子関係を否定できる場合がありますよということを示した、そういう判例の表現 を使われているのだろうと思いますけれども、今、丸山先生がおっしゃられた通常の場 合と後の場合、違うのではないかという点ですが、それを違えて考えてしまったら、嫡 出推定がそもそもこういうARTを使った場合には及ぶのか及ばないのかということを もう一度考えなければいけなくなるのですが、現在示されている下級審の裁判例という のは、恐らく今までどおり、通常の嫡出推定の判断基準に従って、生殖補助医療を使っ ている場合でもあっても嫡出推定が及ぶということを前提に判断をされているのだろう と思いますので、この表現はこのままで全く問題ないのだろうと、私どもの目から見る とそう思うのですが、いかがでしょうか。 ○丸山委員  嫡出推定について、これまでの判例理論で扱っていくというのはいいのですけれど、 さっきも言ったことの繰り返しになるんですけれども、性的関係を持つ可能性がなかっ たということを、親子関係不存在確認の訴えを認める前提として考慮するのは、ART の場合はそぐわないのではないでしょうか。通常の場合であれば、性的関係がなけれ ば、親子関係があり得ないということを前提にしているわけですね。 ○法務省  ただ、生殖補助医療を受けなければ子どもができないような夫婦だということは自明 なものではありませんので、いわゆる外観説に立ってみれば、生殖補助医療を受けなけ れば妊娠・出産があり得ないような夫婦であったということはわからないわけですね。 それが訴訟の場で明らかになるのはこういう要件を判断する、訴訟要件の判断の段階で 初めて出てくるものですから。 ○丸山委員  逆に言いますと……。 ○法務省  すいません、余り細かく申し上げると……。 ○丸山委員  夫婦間に性的関係がなくても、親子関係を認定していい場合もあり得るんじゃないで すか。 ○石井(美)委員  推定が及ばないという言い方ができないのではないかと。ARTによって生まれてい れば、外観説的には夫婦関係がない場合だって、嫡出推定が及ぶ場合だってあるのでは ないかということを丸山さんは言いたいようです。 ○法務省  そうすると私の方が誤解していたのかもしれませんけれども、生殖補助医療を使わな ければ妊娠・出産できないような、主として男性側ですけれども、そういう方だという ことは、いわば外観からは全くわからないわけですよね。とすると、今の判例の立場で いきますと、要するに鑑定などを行って、その男性は子どもをつくれるのかどうかとい うことを初めて訴訟の上で明らかにする、そういう事情があって、初めて子どもが持て なかったのだということがわかるのであれば、これは嫡出推定が及んでいるというふう に言うべきであろうと思いますので、丸山先生が今そういう趣旨でおっしゃったのであ れば、これは生殖補助医療を使うような男性であっても、嫡出推定が及ぶことになるの はそうだろうと思います。  ただ、問題は、その間であっても、全く同居してないとか性的関係を持つような可能 性すらなかったと。例えば父親になるべき男性の方がずっと外国に行っていて、およそ 日本には帰ってきていないということが明らかなような場合に嫡出推定が及ぶのかとい ったら、恐らく及ばないのではないでしょうか。恐らくその場合は、生殖補助医療技術 を行うに当たっての同意すらとれていないということで、何の問題も起きないという か、そもそも同意の有無が問題にならないので、子どもができるということ自体もない かもしれないですけれどもね。 ○丸山委員  遠隔地に住んでいても同意はあり得る……。 ○石井(美)委員  先ほど、一緒に行ってやらなくてはいけない、これがここの手続だという。 ○小林主査  今の議論聞いていて、確かにそういうことがあるのかと思うんですが、ここの部分は 結論ではなくて説明の部分であって、さらにこれは2つ「又は」で具体的な例をつない でいるんですけれども、最後に「など」と言っているんですね。つまり、こういう場合 の例なんですね。それなんで、もし差し支えなければ、「など」が入っていますので。 「又は」以降は、ここではあえて触れないというふうにして。 ○石井(美)委員  全体にこんなに細かく現行法を説明する必要があるのかという気がしたんですが、民 法の規定のあれを簡単に説明すればいいので、それで今の現行法では解決できないとい うことを言って、それで私たちはこういう考え方で立法してほしいということを書けば 足りるのではないか。これは法律を説明するためのものではないので、と思います。 ○丸山委員  先ほど矢内原先生がおっしゃったんですが、最初の6つのパラグラフですか、それが まくら言葉になっているんですね。それを踏まえて、こう、という書き方なんですが、 途中からようやくそれがわかってきて、ちょっとわかりにくいかと思いますね。ですか らもう少し率直にというか直接的に書かれた方がいい。 ○小林主査  今、矢内原先生の御指摘受けて、「現行においては」と入れましたが、そういうとこ ろでやっていけばいいということであれば、ほかのところも適宜事務局で修正案をつく ろうと思います。一応構成としてはやはりこういう問題があるということを先に言って おかないと、なぜ必要なのかという必要性が見えてこないというのもあると思いますの で、これは前の方もあった方がいいと思いますので。 ○矢内原委員  法律用語は説明の仕方が特殊ですね。 ○丸山委員  以下のような問題があるとして、以下の描写の性格・内容を明らかにして、それを簡 潔にして、それからここで定めることを解説するというのがよろしいのではないでしょ うか。 ○小林主査  そこのところはまた検討させていただきますので、最初にこれから問題点を述べるの だということをわかるようにということですね。ずっと読んで、真ん中ぐらいまで行か ないと、問題点を述べていることがわからない構成だと余りよくないので、最初に現行 制度における問題点をこれから述べるのだということをわかるような形の言葉を入れれ ばよろしいということですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○小林主査  そうしましたら、事務局でまたその辺の書きぶりを検討させていただきます。 ○吉村委員  「夫婦の実態が失われるなどの特段の事情がある場合を除き」にすればいいのではな いですか。「又は〜明らかである」まで除く。それでいいと思いますけど、わかります から。 ○小林主査  それでよろしければ。 ○丸山委員  箱の中の最後の中黒から始まるやつ。 ○矢内原委員  今度、「人」が「者」になったり、「者」が「人」になったり、全部「人」に統一し ているんですけれども、「提供者」というのはだめなんですか。 ○石井(美)委員  「胚の提供者」。 ○矢内原委員  胚提供者、卵子提供者。 ○石井(美)委員  最初に説明されたように、ここは全部「人」と「施設」に分けた。 ○矢内原委員  この前、「者」が気になったんだけど、今度は「人」が気になって、「提供者」にし てしまったらどうかななんて思った。 ○高橋委員  文章というのは、人それぞれの個性が出ているし形があると思うんですね。ですか ら、「提供者」と決めたら「提供者」といってもいいし、提供する人も提供者も同じ意 味でしょう。ですから、そうして整えていただければ、この問題は解決するのではない かと思うんです。 ○矢内原委員  提供する者というのが問題になったので、「人」になったんですけれども。 ○高橋委員  そうですね。ですから「人」は「人」で、あとは法律家が直してくださるでしょう し、そこにお任せしてよろしいのではないかと思うんですね。  ただ、法律の文章というのはこういうものかなと思って見ているんですけれども、ピ リオドがないんですよね。ずっときて、ただ点でやって、またずっと来るでしょう。で すから、それで理解しにくいのではないかと思うんですが、これも人のくせだから、私 は何とも言わないです。 ○中谷委員長  法律家の文章で長いのは 600字もある、ワンセンテンスが。びっくりされます。 ○高橋委員 私は専門外だと思って、これは絶対言うまいと思って黙っていました。 ○吉村委員 大分直りましたよ。 ○高橋委員 そうです。 ○吉村委員 本当に長いですね。びっくりしますね。 ○矢内原委員 私はあきらめた。こういう言い方なんだろうと。 ○高橋委員 私たちはもっと短い文章で、したがってとか……。 ○吉村委員 よく上の先生から、長い文章書くと、短くしろと怒られますね。 ○矢内原委員 怒られた。 ○高橋委員 ですから、法律家にお任せしますので、それは言いません。 ○石井(美)委員 それよりは、私は「提供の事実をもって」というのはない方がいいのではないかと思 うんですが。 ○吉村委員 この文章は、私も「当該精子・卵子・胚の提供の事実をもって」、これはなくても文 章通じますよ。 ○小林主査 なぜ、これを入れたかというと、たたき台を議論しているときに、たしか、例えば基 本的には産んだ人が母親になって、その同意をした夫が父親になるのだということなん だけれども、提供者が養子でもらう場合とかもあるだろうと。その場合、この人は提供 した人なので、その人の父親なり、母親には絶対なれないと。それはまずいのではない かという御議論があったと思うんですよ。それであえて一文ここに加えたのですけれど も。 ○矢内原委員  代理母だね。 ○石井(美)委員  されないと書いてあっても、養子縁組をすれば、それはそれでできるだろうとは思う んですけれども、私があえて、なぜ「事実をもって」というのをやめた方がいいと言っ たのは、提供の事実という問題よりは遺伝的につながっているから、父であるとかそう いう争いになるのだと思うんですね。提供したからというよりは。だから、遺伝的なつ ながりを持ってという方がまだいいのではないかとは思うんですが、提供の事実という よりは。ということです。  私は「事実をもって」を入れなくても、養子縁組をすれば、それは別問題であるとい うことは、それは当然のことだと思うんです。 ○小林主査  ちょっと御議論があったもので入れた方がいいと思っただけで、ここは削った方がい いということであれば、削るということでよろしいかと思いますが。 ○石井(ト)委員  私はあった方がいいように思うんですね。提供したという事実をもって、まさにそう なんです。ここは事実があって、それで父母とされないということですから、これが キーワードだと。これをなくしたらちょっとあいまいだと思うんです。 ○丸山委員  私も石井(ト)委員と同じなんですが。 ○吉村委員  でも、先生、ここには「提供した人は」と書いてあるんですよ。主語は「提供した人 は」ですよ。 ○石井(ト)委員  提供した人を事実をもってという。 ○丸山委員  提供者は提供した事実ゆえに父母とされることはないということですね。 ○吉村委員  そうですか。 ○丸山委員  くどいですけど、その方がわかりやすいのではないかと思ったんですけれどもね。 ○矢内原委員  今の養子のことがすごく気になったんですけれども、結局自分の卵子を提供します ね。ある人が産みますね。それをまた戻して養子ということですか。 ○丸山委員  ないわけではない。 ○小林主査  ないわけではない。 ○矢内原委員  それを防止してしまう。 ○丸山委員  だけど、匿名性の点から防止できるのではないですかね。 ○矢内原委員  そういう手段で、子宮がない人が自分の遺伝子を持ったものを養子にすることができ るということはできますでしょう。つまり、ある人が子宮があって卵巣がない人がいま すね。そうするとまた排卵しない人が、その人は卵子の提供を受ける側としての資格が ありますね。だけど、子どもは私は欲しくないのだと。だけど、産んであげてもいい と。こっちには子どもが欲しいけれども、子宮がなくて卵巣がある人がいますね。そう すると、その人がドナーになって、こっちに産んでもらって、今度逆に戻せなくなって しまう。逆代理母ですね。 ○田中委員  借り腹と言わないけど、実態は借り腹ですね。 ○矢内原委員  実態は借り腹ですね。私はだからいつも提供はひっくる返したと言っているんです。 ○田中委員  そういう手が残されている。 ○矢内原委員  それは完全に防止してしまうのはわかっているけれども。 ○吉村委員  それは余り考えなかった。 ○小林主査  ここの趣旨はどういうのを禁止するかというのでなくて、親子関係のことですので、 そういうのを認めるとかそういうことで書いたのではなくて。 ○吉村委員  そういうことをやりかねない。 ○矢内原委員  やりかねない。 ○吉村委員  十分あり得るかもしれないね。兄弟でなくてもあり得る。それは十分考えられる。私 は余りそういうこと気がつかなかったけど。 ○矢内原委員  提供というのは、一番最初の議事録読んでいただくとわかるように、提供というのは 逆借り腹と同じなんですよ。代理母をあれだけ禁止しているのに、提供したら、幾らで もそういう手で自分の遺伝子を持った人が子宮がない人でも子どもを持つことができる んですよ。 ○石井(美)委員  養子縁組ですね。 ○矢内原委員  養子縁組でも、でも実際には、実際こういう手を使ったのだからって、子どもに、あ んたは私の子よ、遺伝的には私の子よと。養子にしてはよく似てますねということにな りますね。 ○丸山委員  代理母の場合はあらかじめそれを約束しておくというのがあったんですが、今の場合 はあらかじめというのは考えていないですけど。 ○矢内原委員  その事実をもっているのを、親子関係はないものとすると言ってしまったら、今度次 に養子にして戻すというときには全くいけないということになってしまうわけでしょ う。そういう意図がなくてもあり得る。 ○吉村委員  あり得る。 ○田中委員  法律的には問題ないですものね。養子縁組すればいいんでしょう。 ○石井(美)委員  それはここではできないですね。もらえる人は制限されているわけだから。そういう ことはほとんど確率的にはわからないから。 ○吉村委員  でもそれはわからない。 ○矢内原委員  一般論になりますけど、私は卵子の提供ということと、つまり卵巣働かない人と若い うちに子宮の機能を失った人というのは、どっちが多いかということがわからないと思 うんですね。 ○吉村委員  それは卵巣の機能を失った人の方が圧倒的に多いですよ。 ○矢内原委員  何対何か知らないけれども。 ○吉村委員  それは同じぐらいです。 ○矢内原委員  子宮を失った人もすごく多いわけでしょう。 ○吉村委員  そういう手があるか。 ○丸山委員  さっきも言いかけましたが、匿名性が通常の場合保たれているので、戻すのも確実に 自分の配偶子の子どもを戻せるわけではないですね。 ○矢内原委員  匿名性が最後まで保持できればね。 ○丸山委員  今の段階での案でできるとすると、兄弟姉妹からの提供を認めた場合が匿名性がなく なるので、それが起こり得るんですね。 ○田中委員  いずれ、この審議会に申告するようになれば、それは防げるんじゃないですか。この 人がまたすぐ養子縁組して、だれかにやるというのは普通考えないですね。 ○矢内原委員  審議会のときにはそこのつくるまでですもの。生まれてしまって、今度出生届出て、 親子関係が確立されたときに養子縁組というのは何年かたって行っても、今度は生殖の 治療の登録委員会には報告は行かないですよ。 ○石井(美)委員  でも、そういうことがはっきりすれば、その施設等々については認可がおりないと か、そういうことにはなる。 ○田中委員  わかるでしょうね。 ○石井(美)委員  養子縁組自体は生まれてしまった子の福祉の観点から、それは養子縁組は認められる 場合だってあり得ると思いますね。生まれてしまえば。 ○法務省  恐らく生まれてすぐ養子に出そうという場合であれば、2通りのやり方が今ありまし て、通常の普通養子、ただ、これは未成年者ということですから、家庭裁判所の許可が 必ず要りますし、特別養子ということで、産みの親というか法律上の親との法律関係を 切り離して新しい養子の方の子どもにするという場合でも、家庭裁判所の許可が要るわ けですね。ですから、その段階で今、石井(美)先生が言われたように、子どもの福祉 ということが最大限考えられる。  それから、仮に子どもが成人した後、少なくとも15歳に達すれば、自分で養子縁組に ついて同意できますから、15歳に達した段階ですべての事実を知った上で、私はそちら の子どもになりますと言ったら、これがだれかに阻止できるかというとこれはできない かもしれないですね。その辺まで含めた上で、そういう問題もあり得るのだということ も含めた上で、こういう生殖補助医療が行われざるを得ないのだということはお考えい ただかないといけないということですね。 ○矢内原委員  子どもの福祉ということを考えたときに、本当に提供を受けて産んだんだけれども、 いろんな事情で子どもが育てられないと。今働かなければならないとかという理由で。 その子どもは育てるよりかも、別のところの方がいいという養子縁組を探すということ もあり得るでしょう。 ○石井(美)委員  普通はあり得るでしょうね。依頼者が途中で死んじゃうということだって十分あり得 るわけてすから、それは実の子で起こる問題は同じように起こって、それは同じように 解決すべき問題なんじゃないですか。 ○吉村委員  具体的に言うと、「事実をもって」というのはどうなるんでしょうか。これは先生方 に考えていただいて。 ○法務省  それからもう一つ、言い忘れたのですけれども、囲みの4つ目の丸の部分というの は、いわば仮に条文を書いたら、法律を書いたことによる効果の部分に当たるので、こ ういうことだけを切り出して法律に書くのかどうかということも含めて、これは多分私 どもの方で考えなければいけないんですね。そういう意味で、ここは以下のような内容 について明記される必要があるというお考えだと承っておりますので、ここに書かれて いるような結果がちゃんと得られるような、そういう法制にするということで御理解い ただければと思います。ここに書いてあるとおりの条文になるかというと、これは恐ら くならないのではないかと思います。 ○高橋委員  ちょっとお尋ねしますけれども、そういう条文をつくるときは、どういう方々でつく るんですか。お答えできないならいいんですけれども。 ○矢内原委員  法律についてわかる方々。 ○法務省  そういうことでご理解いただきたいと思います。今までの通常の法務省の立法であれ ば、厚生省さんも同じだと思いますけれども、こういう形で審議会というのを開いて、 そこで有識者の方の御意見をいただいた上で、事務局の方で条文の素案みたいなものを つくらせていただいて、また審議会の場でそれについて御議論いただくと。それを経て 条文化していく。その間に政府の……。 ○高橋委員  具体的にいうと、そのときに厚生省のこういう方々が一緒に入って、そういう意見を 聞きながら、そういう条文をつくるのか、法務省は法務省だけで、これをもとにしてた だ法文化していくのかということを聞きたかったんです。 ○法務省  これはいろんな方の御意見を伺うことになります。少なくとも、前も例に挙げました けれども、いわゆる成年後見制度の改正のときには、法制審議会に、厚生省の御担当の 方にも入って、議論に加わっていただいておりますので、また、同じようなことを考え ないといけないことになるのかなというふうには考えてはおりますけれども、具体的に まだどうなるか全然見えておりません。 ○高橋委員  疑うわけではないですけれども、この真意が法文の方にきちんとした形で伝わってい ってほしいということだけです。 ○吉村委員  そんなふうにならないとか、なるとか、決定的なことを言わなくていいんですけど、 例えばこの囲みに4つポチがありますね。例えば、そういうときというのはどういうの が法文になるんですか。その子の母親とするというのは、そういうような内容が入りま すね。その子の父親とする。これも入りますね。夫の同意は推定される。これも入るん でしょう。3番目は入らない。4番目。 ○法務省  全くの私見ということで言わせていただければ。 ○吉村委員  私見ですね。 ○法務省  上の2つ書いてありますから、もう4つ目は要らないですね。 ○吉村委員  そういうことですね。はい、わかりました。 ○石井(美)委員  でも、それだけではない。 ○法務省  そこを皆さんで考えてほしい。 ○石井(美)委員  この場合の趣旨は、上で父親がいなかったとしても、提供者は父とならないという趣 旨でいいですねということの合意をとらないといけないんですね。ここの趣旨はそうい うことになるんですよね。夫が父とならなくても、提供者は父とならない。 ○吉村委員  これは父はなしです。 ○石井(美)委員  父はなし、これはそういうことを意味しているということですね。 ○法務省  ですから、本当にくどいようで申しわけないんですけど、そこの技術的な点も含め て、また考えないといけないだろうと思うんですね。これをそのまま法律に書こうと思 うと、多分いろいろと問題があると思いますので、書き方はいろいろあると思います。 ○吉村委員  だから、我々のその真意がわかっていただければいいと。 ○法務省  それはまさにこの報告書を書いていただければということになると思います。 ○石井(美)委員  それは皆さん、委員の先生方はそれでよろしいわけですね。父親がいない子になる と。 ○矢内原委員  最後のまとめだから、もしあれだったら、できた段階で一度、この委員会の法律専門 家に見ていただいたらどうですか。 ○法務省  そういう目でいくと、1点だけちょっとお聞きしておいたら、後で有益かなと思った んですが、先ほどもちょっと議論に出ていました夫の同意、この同意の中身、形式、こ ういったことについて、この場である程度の御注文というようなものがあるのかという ことは明示的におっしゃっていただければ、後で参考になるかなと。例えば先ほどはき ちんと医師と対面した上で同意をとらなければいけないとか、いろんな形式面について もお話ありましたけれども、どれくらい厳格なものでなければいけないよというような ことをお考えなのかどうかというあたりはいかがなんでしょうか。 ○田中委員  私の経験で言いますと、こういう不妊症というのは普通の病気を治す治療の同意書と ちょっと違う部分あるんですね。よほど気をつけておかないと、夫婦という証明ができ ないんですよ。戸籍持ってきても、一番いいのは自動車の免許証なんですね。免許証の 写真と戸籍の名前が一致した場合。自分の夫だと言って、違う男を連れてくる場合があ るんですね。そういうことがある。大体雰囲気でわかるんですね。挙動が少しおかしい ので、そういう場合は免許証を私は見せてもらいます。だから、一応そこはしておかな いと、後でひどい目に遭いますね。 ○吉村委員  今まで免許証見たことないですね。 ○石井(美)委員  実施のときの要件はかなり厳格に同意がとられているという同意は厳格にするけれど も、その手続はちょっとでも欠けたから、この場合、同意がないというふうにされるの は私は困るように思うんです。 ○高橋委員  そうですね。 ○法務省  要するにその手続的な同意とここで言う同意というのは、どうも皆さん今のところ一 致させてお考えのようにも見えるんですが、もしかすると趣旨が違うのかもしれない し、多分その辺はまた細かく考えていかなければいけないと思うんですけれども、今の ところどのぐらいのことをお考えかなと。 ○中谷委員長  私なんかは刑事をやっていますから、真実の発見というようなことを非常に重大に思 いますけれども、民事事件はそうではないらしくて、本当にすごい判決がありますね。 ○法務省  そうですか。 ○中谷委員長  夫との生殖補助医療の結果、生まれた子だと言っていたけれども、そうではなかった んですよね。それが明らかになったんですよね。そうしましたら、今度は、慶應で最初 に生殖補助医療を受けたときに、もし、余りAIDがうまくいかなければ、ドネーショ ンも考えなければいけませんねと一言言ったらしいんですよね。それで、それを理由に しまして、本来は浮気で子どもができた人なんですけれども、ドナーがあらわれまし て、妻の方の家族もみんながそれに同意しまして、それでドネーションで生まれた子に したんですね。それで判決は得られたわけですよ。 ○吉村委員  得られたって、どっちが得られたんですか。 ○中谷委員長  妻の方がね。その前に離婚していますけれどもね。だから夫としては、本当に自分と の間の子どもでなければ、損害賠償、慰謝料を請求していたけど、一文も払わないで済 んだわけですよ。裁判所としては、本当にドネーションやったかどうかなんていうこと を確認できませんでしょう。 ○法務省  今度これが手続的にきちんとしたものになれば、それはわかるようになるのでしょう ね。 ○中谷委員長  どうでしょうね。 ○法務省  それをつくっていただかないと。 ○中谷委員長  だから、事実は本当にいろんなのがありますので、難しいですね。 ○石井(ト)委員  ちょっとよろしいでしょうか。先ほど石井(美)委員がおっしゃったように、夫がい ない子どもが生まれる可能性は避けたいと思っているんです。そうしますと、私は生殖 補助医療技術を用いたときには1年以内に嫡出否認の項がありますけれども、それが適 用できないというような感じで条文がつくれないのかなと思うんです。 ○中谷委員長  嫡出否認はできないわけね。 ○石井(ト)委員  嫡出否認の訴えはできない。 ○中谷委員長  夫は。 ○石井(ト)委員  夫は。 ○中谷委員長  出産した者の夫は。 ○石井(ト)委員  ええ。そういうことはできないんですか。 ○矢内原委員  同意書があっても。 ○石井(ト)委員  同意は原則なんです。 ○矢内原委員  夫の同意はとりますね。 ○石井(ト)委員  同意はとっていますけど、何らかのいろんな事情が生じるときのために。 ○矢内原委員  同意があったとしたら否認はできませんよということですか。 ○石井(ト)委員  否認はできませんよというふうにしておきたいんです。 ○矢内原委員  条文にしたい。 ○石井(ト)委員  ええ。 ○石井(美)委員  この2番目は、同意があれば嫡出否認できないという趣旨です。今の推定ではなく て、そういう意味では。 ○丸山委員  父親のない子ができるというのは同意がないわけですね。 ○石井(美)委員  ええ。 ○丸山委員  同意がないことの反証も十分できたというときに……。 ○石井(美)委員  父がない子になってしまう。提供者はならない。 ○石井(ト)委員  今の条文を、生殖補助医療技術に関しては、それは適用できないとか、というように できませんか。 ○法務省  今の趣旨でいきますと、自分はそういう子どもを持つつもりはなかった夫は、それで もその子どもの父親にならないといけない、そういう結論。 ○石井(美)委員  大変ですね。 ○石井(ト)委員  そのぐらい覚悟が必要だということです。 ○丸山委員  そういう覚悟というのは、そういうお子さんを持ったことによる覚悟ですね。 ○石井(美)委員  それは結婚するときには覚悟をしなさい。 ○高橋委員  そのくらいの覚悟しろという。 ○石井(ト)委員  そういうこともカウンセラーで事前にしっかりとしていただいておくということで。 子どもをつくることは責任持っていただくということです。 ○吉村委員  同意がないでしょう。 ○石井(ト)委員  原則は同意ですけど。 ○吉村委員  同意がなかったら。 ○中谷委員長  同意がなければ、医療そのものが行われない。 ○吉村委員  受けられないから。 ○丸山委員  それはそういう場合もあり得るというのを念頭に置いて考えないといけないんです ね。 ○吉村委員  そうかもしれないですけど。 ○矢内原委員  手術のときの同意書と同じですね。 ○法務省  多分今のご意見は、親子関係の法制の、特に父親の決定についてはかなめの部分にか かると思いますので、ご意見はご意見として、持ち帰りますけれども、この点はもう一 度別の観点から検討するとしか、今の段階では申し上げられないです。 ○石井(美)委員  同意というのは、医療に対する同意であると同時に、自分がその子の父となる、母と なるという同意であるということですね。 ○吉村委員  そういうことですね。 ○石井(美)委員  それを明記した同意書をちゃんとするということですね。カウンセリングでも、きち んとそこが説明されなければならない。 ○中谷委員長  この法律のほかに、いずれにせよ、同意書の内容みたいなものも考えなければいけな いでしょうね。 ○吉村委員  そうですね。大変ですよ。 ○矢内原委員  実行部隊に考えてもらいましょう。 ○中谷委員長  様式の1とか2とかというので。 ○吉村委員  大変ですよ。 ○田中委員  精子・卵子・胚をもらう治療は本来あるべき姿ではないですね。本来の夫婦関係、親 子関係と異質のものですね。それをあえて受けようとする患者さんですから、治療を受 けるということは、何があっても父親となる、母親となる、これは同義語じゃないです か。別の問題ですか。その治療を受けるという同意と、何があっても父親となる、母親 になるということは、今、別のようにおっしゃいましたね。それは同じものではないで すか。 ○吉村委員  我々はそういつも考えているんです。法律家の先生方というのは、そうじゃない場合 も考えて見えるんです。 ○丸山委員  さっきおっしゃいました、別の男を連れてきて、その男の署名を得ても意味ないんで すから、いざとなって問題になるのは、戸籍上の亭主の方の同意ですから、そのあたり を確実にする。 ○吉村委員  そうなんですよ。 ○中谷委員長  田中先生はそういう場合は、戸籍抄本やなんかではなくて免許証とおっしゃっていま したね。 ○田中委員  経験があるんですよ。何となく挙動がおかしかったんです。年齢がちょっと合わなか った人がいたので、調べてみたら、そういうことが後でわかったんですけれども、そう いうことは1回しかないんですけれども、自分のところの従業員を奥さんが連れてきた らしいんですね。精子が悪かった人なんですけれども。だから、そういうことがあって 以来、特に精子の条件の悪い人の場合にはすごく気を使います。  ただ、私が経験した限り、自分たちのもので子どもができないような夫婦というのは 2通りあるんですね。簡単に結論が出て離婚してしまうか、やっぱり何とか2人でつく ろうと思って頑張る夫婦があるんですよ。この頑張ってくる夫婦が、最終的に第三者を 選ぶ夫婦というのは意外と仲がいい夫婦が多いような気がするんですよ。意外と愛情が 深い。何とかしようという。何とかしたいということで、結構踏ん張ってくる。そうい うのが何となくわかるような気がするんですね。  職業上の勘もしれませんけれども、それを何回も夫婦で話していけば、私はわかると 思います。だから、さっきも申しましたように、治療を受けようといって同意した場合 には、いろいろ話しますよ。奇形児が生まれたらどうしますか、染色体異常が生まれた ときは、あなたの原因にならないんですよ、それでも育てますかと。何度も2人で話し 合って、最終的にしたいと言った夫婦は私はうまくいくと思うんですね。だから、さっ き言ったように、分ける必要は余り感じていません。 ○吉村委員  大半、私もそうだと思います。だけど、そうじゃない人がいる可能性もありますか ら、子どものことを考えるとそうだと思います。AIDをやっている人は、本当に仲の いい夫婦が多いですよ。見習いたいぐらいですね。 ○石井(美)委員  でも現に離婚した例もあるし。 ○吉村委員  それは1万 5,000ぐらいすれば、それはあるでしょう。 ○小林主査  1点だけ確認させていただきます。今、「提供の事実をもって」というところがあっ たと思うんですが、これはそうしましたらどういたしましょうか。 ○吉村委員  石井先生の御意見もあったし……。 ○丸山委員  石井(ト)先生のは私と同じ意見で。 ○吉村委員  私はあってもいいと思います。ただ、私はわかりにくいかなという意味だけだったで すから、そういう深い意味があるならば、私は入れておいてもいいと思います。出自を 知る権利に行くんですよね。 ○小林主査  はい。 ○吉村委員  ちょっとその前に1つだけ、出自を知る権利に関係することなんですけど、依頼者夫 婦というのは、黙っていたいということをずっと思っていると。しかし子どもが欲しい と。そういう状況というのは許されない。 ○中谷委員長  子どもが欲しいというのはどういうこと。 ○吉村委員  精子もらったり、卵子もらったりして、この医療をやりますね。私は絶対に子どもに も知らせたくないし、もし、そういうことがあった場合には、出自を知る権利と何らか の状況で子どもは知るということはあり得るかもしれないし、そうすると対立しますよ ね。その本人の知らないでいる権利は認めないという前提ですか。 クライアントが知 られたくないなと。AIDなんかの方は絶対皆さん99%ぐらいの人がそう思われている ので、当然初めから知られることがありますよということを言っていきますと、やられ ないという方は当然多くなると思います。それはそれでいいというならばいいんですけ ど、そういったクライアントの権利というか、クライアントの希望というか、こういう ものは一切認められないという考え方で石井先生いいんですか。 ○石井(美)委員  いや、私は親が言わなければならないという義務を考える必要はないと思っています が、だから、子どもが自分が……。 ○吉村委員  自分が言う必要はないんですけれども、知られたときに、それは知られたくないとい うことは、一切こういうときに出自を知る権利は前提として考えなくていいんですか。 ○石井(美)委員  親の方の希望よりは、子どもの方の希望を優先しましょうという考えです。 ○丸山委員  今の確認というか、子ども自身が成人すれば、自分がARTによって生まれたかどう かも確認することができるという制度をお考えなんですね。 ○石井(美)委員  はい。 ○丸山委員  そのことは書いてないんですね。出自は書いてあって、具体的なことは知ることがで きますけれども、ARTによって生まれたかどうかについても、ここで……。 ○石井(美)委員  とすれば、きょう私配っていただいた方のものを見ていただいた方がいいかと思いま す。 ○田中委員  質問がありますけど、出自を知る権利ということがよく出ますけれども、親が子ども に出自を知らせるということはまずないと思うんですね。こういう方法でできた場合。 とすると、子どもが、出自を自分がどうやって生まれたか知るチャンスというのは偶発 しかないと思うんですよ、偶然に知ったと。親はまず一生言わないと思いますから。親 の意に反して子どもが自分の出自を知るということは非常に少ない頻度だと思うんです ね。ですから、そのような特殊な非常に稀有な場合に対して、AIDで生まれた子ども にはそういう権利があるんですよということを、何かずれているような気がするんです けれども、まずあり得ないことだと思うんですけど、どうでしょう、先生。 ○丸山委員  それを石井(美)先生はここでもお書きですけれども、まず自分がARTで生まれた かどうかも確認することを制度的に保障しようということですね。 ○田中委員  その子がARTで生まれたことはどうやって自分がわかるんですか。 ○丸山委員  審議機関か管理機関へ問い合わせたら答えてもらえるという制度。 ○田中委員  でも普通の子どもはそうやって生まれたと思わないでしょう。 ○石井(美)委員  多分親と似てないという事実を意識するときが出てきますでしょう。 ○田中委員  それは違う。 ○石井(美)委員  いや、わかりませんけれども。 ○中谷委員長  遺伝子診断かなんかで違うということがわかる。 ○石井(美)委員  いろんな形でわかる可能性はあると思うんですね。疑問を持っている。 ○丸山委員  疑念を持ったら聞きに行けるというのをお考えなんですね、そういう制度。 ○石井(美)委員  疑念を持ったら。 ○田中委員  それは物すごい混乱生じませんか。似てない親子幾らでもいますね。 ○石井(美)委員  そうですよ。 ○田中委員  恐らくみんな、うちなんかに全然似てないとよく言われますね。 ○吉村委員  石井先生の御意見を伺いましょう。 ○石井(美)委員  そんなにすべての場合に疑問を持ったら聞きに行くという前提を考えているわけでは ないんですけれども、まずは自分がそういう技術によって生まれたか否かということを 確認できる。それも簡単に聞けるわけではなくて、最後はすごい宣告をされる可能性が あるわけですから、カウンセリングを受けて、そういうことが本当に知りたいのかどう かということを確かめた上で、なおかつ知りたいということであれば、その中央機関に 自分がそういう技術で生まれたか否かということをまず知ることができるという。その 上で、さらに提供者について知りたいといったときに、あらかじめ認められた情報につ いて知ることができる。  私は最終的には子どもは提供者について個人特定の情報まで知りたいということにな るのではないかということを思うのですが、現段階でそこまでということを、私が幾ら 主張しても無理かなという気もするのですが、そこでそこは妥協案で、公的審議機関が 定めることであり、一定期間、この技術というものが定着した中で、再度個人の特定の 情報を認めるかどうかということまでも含めた検討ということ、2段階的な形を考え る。そういうことが1つであり、もう一つは、婚姻に当たって、私はそんなに近親婚は 気にしないんですけれども、そんなに重要問題だとは思ってはいないんですが、かなり ここの問題だと一番議論になることであり、我が国の法制においては近親婚というのは かなり禁じられた行為としてあるわけですから、近親婚になるかどうかということは確 かめられる必要性があるのだから、婚姻に当たっての両者、これはこの間指摘をされた 考え、私も考えたんですが、1人だけではなくて、両当事者の問題ですから、両当事者 についてカウンセリングをして、それぞれについて、どっちが問題かはわからないわけ ですから、婚姻が近親婚に当たるかどうかということを確かめられる。その2つの情報 を得る方法というのが考えられるのではないかということであります。 ○矢内原委員  なぜ知りたいかという理由から、あなたはそうだよということを教える前にカウンセ リングするんですか。 ○石井(美)委員  それはそうだと思いますね。 ○矢内原委員  そうすると、いわゆる今ART自身のドネーションというのが実際に行われてないと いうふうにしますけれども、ARTそのものはすごくたくさん行われていますよね。ド ネーションということが一般化というか可能になったときにARTを行ってできたんだ という、つまり夫婦間でできたのだということすら、今みんな隠して公にしませんね。 ところが今平成10年度で 108人に1人、子どもがARTで生まれているわけですね。多 い国になると、最終的には日本も2%ぐらいになると思うんです、50人に1人というぐ らいになると思います。  そうすると自分がARTで生まれたということが何となくわかる子どもはたくさん出 て来るけれども、もしかしたら、ほかに兄弟もいないし、ドナーのものかもわからない というように思うかもわからないですね。そうするとそういう子どもたちがどんと、つ まり年間2万 5,000人ぐらい、2万 5,000人の子どものコンサルテーションをするだけ のキャパシティがセンターに持てますかね。私は実務面をいつもすごく考えてしまうん だけれども、非常に難しくなる。 ○石井(美)委員 多分両親ともに似ていて、あれであれば、親に言った場合、多分それだけたくさんに なったときには、生殖補助医療によって生まれたということ自体は親が説明できるよう になるのではないか。社会的にももっとごく普通の子として受け入れられるようにな る。 ○矢内原委員 あなたは私たちの子よと。 ○石井(美)委員 そこで多くの者は納得するのではないでしょうか。 ○中谷委員長 いろいろですよね。 ○丸山委員 この「生殖補助医療によって出生されたか否か」は、一番下のアステリスクの最初の 行、本文。これはドネーションを伴う、伴わない、両方の場合についてですか。 ○石井(美)委員 伴う場合だけです。ここでやっているのはそれだけですから。 ○田中委員  石井(美)先生の一番最初の、「精子・卵子・胚の提供は匿名とする」とあります ね。 ○石井(美)委員  ここまでやっちゃうんですか。 ○田中委員  匿名と出自の権利、これは盾と矛だと思っているので、匿名というのは、生まれてく る子どもにとっても匿名という定義でしたよね。 ○石井(美)委員  いいえ、ここに書いたことがこの間確認された、私は定義だと思っていたんですが。 ○田中委員  この前、決めた匿名の定義は生まれてきた子どももすべて匿名とするという定義だっ たんですよ。 ○石井(美)委員  そうではなかったと思います。 ○田中委員  課長さんが言われたときはそう決めたんですね。匿名というのは、すべてのものに対 して匿名と。 ○母子保健課長  すべてという意味は、精子を提供したときに、提供した人、された人はお互いにわか らないという意味での匿名だということですね。 ○田中委員  子どもに対しては匿名でなくてもいいということ。 ○母子保健課長  子どもに対して、基本的にはそういうことであれば、匿名は担保されるわけですが、 ただ、結果的に今のようなケースを認めるとして、あるいはだれかから知らされちゃっ て、自分が知りたいと思ったときにアクセスすることを別に妨げるということではない と。 ○田中委員  わかりました。 ○丸山委員  カウンセリングというのが出てきているのは、いろいろ自分の意思決定に際して考慮 すべき要因とか、意思決定によって受ける影響などについて説明を与えてくれて、最終 的には自分の意思決定を助けるものがなければいけないということなんですね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○丸山委員  この場合は、説明あるいは援助を受けても、結局知りたいという人が多いのではない ですか。知りたくないというふうに考えを変えるという人もかなりあるという見通しな んですか。最初の「カウンセリングを受けた後、自己が生殖補助医療によって出生」 云々というところなんですが。 ○石井(美)委員  いや、変えるかどうかわかりませんけれども、その影響力は大きいから、いきなりそ れだけで事実を簡単に知らせるということは問題があるかなと思っているんです。 ○吉村委員  出自を知る権利が認められれば、それは知りたいという人がすべてですよ。 ○丸山委員  ですから、そのあたりを。 ○吉村委員  そうでしょう、先生。出自を知る権利というものがある程度保障されれば、知りたい という人が 100%です。自分は知りたくないという人いませんよね。 ○丸山委員 いや、そうとも限らない。 ○吉村委員 私はいないと思うけど。自分がそうだったら、やっぱり知りたいと思いますよ。 ○丸山委員 そうですか。 ○石井(美)委員 そうでもない人もいるだろうと思いますね。 ○吉村委員 それはマイナーでしょう。 ○丸山委員 じゃあ、私はマイナーでしょう。 ○田中委員 やっぱり出自を知る権利を認めると、子どもとしては、もし知ることができるのなら 知りたいというのが普通だと思いますよね。そうすると、例えば私たちが精子提供にだ れかを頼むとしますね。精子の提供お願いしますと。そのときに将来、出自を知る権利 を認められたとしますと、親子関係はないとしても、将来、あなたがお父さんですよと 知らない子どもが会いに来る機会が来るかも知れませんと本人に言うとすると、まず提 供してくれないですね。 ○吉村委員 本当にこれからそうなると思いますね。 ○田中委員 さっき言った盾と矛というのはそこなんですよ。 ○矢内原委員 子どもに知らせる範囲というものを限定してありますから、個人が特定できないとい う。 ○田中委員 それならばね。 ○吉村委員 それでも減りますよ。ドナーが減るのはしようがない。 ○田中委員 そうですね。 ○中谷委員長 開示できる部分を限定するという案でしたでしょう。あの案ならば、かなりいいよう な気がしますけれどもね。 ○吉村委員 現行のAIDの、私は3分の1ぐらいになっちゃうと思いますね。ドナーがなくな る。それは事実で、これはやむを得ないと思っていますね。 ○田中委員  国がそういうのをずっと登録するとならば、本当は減るでしょうね。嫌がるでしょう ね。 ○石井(美)委員  登録されるので、知らされるかどうかは別として。 ○田中委員  このように知られたくないというのは物すごい強いものがあると思うんですね。 ○中谷委員長  AIDがずっと今まで問題なくやってこられたのは、慶應大学の医学部の学生だとい うことを、提供を受けた人たちはみんな知っているわけでしょう。 ○吉村委員  何となく知っているんでしょう。言いませんけれども。 ○矢内原委員  何となくでしょうね。 ○吉村委員  大体知ってますね。先生のおっしゃるとおりです。 ○田中委員  だからAIDが今日まで続いているのは提供者がいるからです。提供者が減ればAI Dは支えられませんよね。患者の数は減らないと思うのでね。 ○吉村委員  現行までAIDができてきたという理由は、矢内原先生もそう書いておられたけれど も、匿名であって、出自を知らされなかったということです。 ○田中委員  そうですね。 ○吉村委員  これがやっぱり円滑に問題なく、要するに先生は問題あると言うけど、1万例やって 1例か2例の問題しか起こってないんですから、これはこの2つですよ。 ○中谷委員長  私もそう思います。 ○吉村委員  でも、今の状況では、出自を知る権利があるとおっしゃれば、それも認めざるを得な いなと、それは思いますけれども。 ○丸山委員  石井(美)委員のペーパーでも、一番最後にちょっとおふれなんですが、その前に、 加藤先生が私に意見を述べよというふうに書いておられますので、それをちょっと一言 だけ言っておきたいんですが、私はこの31ページのといいますか、案の出自を知る権利 の規定の仕方でいいと思うんですが、これなら異論はないものなんですが、こういう内 容で果たして出自を知る権利を主張される理念と合致するのかどうか。  別な言い方をしますと、石井(美)委員の最後にお書きのところ、本当は個人特定情 報を求める権利も認めたいのだけれどもと書かれていますが、出自を知る権利の理念と 一貫するのですけれども、そういう形になってないところで、その理念と果たして一致 するのかというのが疑問に思います。具体的な案としてはこれでよろしいと思うんです が、この案でいくと、精子なり卵子を提供するけれども、一切開示は認めないというこ とも、提供者に許すことになるのではないんですか。ですから提供者側は出自を知る権 利を実質的に否定できることになるのではないか。  言い換えますと、先ほど田中先生が懸念されているようなことも、提供者側が何も知 らせてくれるなというふうに主張して、かつ具体的な本人の情報を提示しなければ、現 状と変わらないのではないかと思うんですけれども、そういうふうに読んでよろしいん ですね。あるいはそういうふうに読むべきでないということであれば、また、それで議 論していただいたらいいと思うんですけれども、そのあたりがいま一つよくわからない のですが。 ○石井(美)委員  そのまま読めば、丸山先生がおっしゃったように解せるのではないかと思うんです ね。だから、私は最低限の開示される情報は一定定める必要があるのではないか。本人 が拒否できない情報、これとこれは開示されますよと。それを承知で提供してください という形にすべきだろうと思いますけれども、それが情報として、中身が何かと言われ ると。 ○丸山委員  そこを聞きたい。 ○石井(美)委員  少なくとも年齢と何とかとかという。 ○中谷委員長  少なくとも方向としてはそういうことにするという。 ○田中委員  それはこの前、決まったんじゃないですか。特定できないような内容を、あれではだ めなんですか。 ○丸山委員  具体的に何をお考えなのか。 ○田中委員  近親婚ではないですか。 ○丸山委員  それとは違う問題ですね。 ○田中委員  あとは個人を特定できないようなことだけでしたよね。 ○中谷委員長  本人がこれはどうしても知られたくないという点を認めるかどうかということでした よね。 ○丸山委員  最低限本人が提供を拒み得ない情報というのは何なのか。提供の際の年齢というのが 今挙げられましたけど。 ○矢内原委員  国籍、年齢、職業、血液型。 ○丸山委員  職業。 ○矢内原委員  職業はどうでもいいですけれども。 ○丸山委員  センシティブですね。 ○石井(美)委員  でも職業を調べたからって、個人の特定にはいかないですね。一般的な。大体どんな 人かという、自分なりのイメージをふくらませられるような最低限の情報というのがあ った方が。 ○吉村委員  血液型を合わせるんですか。 ○石井(美)委員  基本は合わせるのではないですか。 ○高橋委員  合わせるのではないですか。 ○中谷委員長  一応合わせるのではないですか。 ○吉村委員  そしたら、先生、大変ですよ。 ○丸山委員  血液型を合わせるということは当然国籍も合わせるのでしょう。 ○吉村委員  精子は合いますけど、卵子まで合わせるんですか。 ○丸山委員  精子の問題で、もうちょっと、国籍を考えるんですか。 ○吉村委員  国籍は私は知りません。 ○丸山委員  人種。 ○石井(美)委員  人種は、国籍である必要はない。人種ではないですか。 ○高橋委員  カラー。 ○丸山委員  結構微妙な問題をはらみますよ、人種というと。 ○石井(美)委員  人種というのは、私はどうやって分類する……。 ○丸山委員  これは難しいですよ。だけど、依頼人は自分たちと同じのを……。 ○矢内原委員  国籍で人種はある種同定できないものね。 ○吉村委員  でも人種もちょっと抵抗、具体的な問題は……。 ○丸山委員  例えば人種までいかなくても、依頼人の人が東北の人は嫌だ、関西の人が……。 ○石井(美)委員  それはだめですね。そこまでの選別は許さないのではないですか。一見して、生まれ たときに、ほかのひとが見て、提供であるということがわからないようなということは 確保されるという、そういうことではないですか。 ○丸山委員  ぐらいですかね。 ○石井(美)委員  依頼者の希望として許されるのは。 ○吉村委員  年齢と血液型と。 ○丸山委員  人種でもよく知らないですけど、蒙古のあたりと我々とは似ていると言いますね。そ れは外観が似ていれば構わない。 ○石井(美)委員  蒙古斑がある。 ○丸山委員  いやいや、ちょっと人種も本当にわからないですね、どう考えたらいいか。 ○吉村委員  結構、何を知らせる、特定できない情報というのは結構難しいですよ、おっしゃるけ ど、文章に書くと簡単だけど。 ○丸山委員  抽象的に書くと簡単ですね。 ○吉村委員  文章に書くと簡単ですよ。特定できない情報。 ○石井(美)委員  そこはだからさっきと同じでもう少し細かい議論はしていただきたいと思うんです。 逃げてはいけない。 ○吉村委員  血液型合わせるつもりでやるんですか。卵子は大変ですよ。ただでさえ、数少ないの に、精子は合いますよね。 ○石井(美)委員  優先的には合う人を優先するという形をとってもいいのではないですか。 ○高橋委員  多分そういう考えではないですか。血液型が合う人を優先して、どうしてもないとき は、胚からとるか、血液型を同じ人をとるか、それはする医療側の人が相談の上で選ぶ ことになるのではないでしょうか。 ○中谷委員長  外国だと皮膚の色とか目の色とか、そういうものを気にしますよね。 ○高橋委員  私はこの文章で基本的にはいいのではないかと思うんですね。実際聞きたいというと きは、自分が親の愛情がなくて、どうも虐待されているとか、ひとりっ子とか、顔も似 てないとか、うわさとか、大体こういうふうなときだと思うんですよ。しかしながら、 自分の過去を見て、親に怒られると、おれは本当に親の子どもかななんて思ったりする ときが私はありましたね。本当かなとかね。でも、それが育つ過程で、そういうのがい つか消えちゃって、少なくとも中学以降はそんなこと思ったことないです。  さっき田中先生がおっしゃったように、こういうことを聞くということは非常に限ら れた、ほんの少ない例だと思うんです。また、聞いた人が、私は出自を知る権利が認め られているから聞きたいといって、恐らくそういう公的機関であれ、どこであれ聞きに 行って、開示できる情報はこれこれといったら、さらにもっと聞きたくなるのではない かと思うんですね。これまでは教えるけど、あとは教えませんと。ですから出自を知る 権利は、私は基本的には、子どもには親を選ぶ権利はない方がいいと思うけれども、皆 さんの意見がこういうふうになっているんですから、ここでこれの条文にして、あとは ケース・パイ・ケースで公的機関なりのところで審議していくなり協議していくなりし た方がよろしいのではないかと思います。 ○中谷委員長  宿題は後送りですか。 ○母子保健課長  1点よろしいですか。基本的にこの点については、一度合意に近い形になったわけで すが、当然何度も先生方に議論していただいてひっくり返るのも構わないと思います し、大いに議論していただければよろしいと思います。この点について、先日石井先生 からファックスをいただいて、加藤先生からもファックスをいただいて、それを先生方 にお配りして、きょうもまた配布しております。ここの中でお2人が言われていたの は、現時点では提供者を知ることができないとしても、将来の変更の可能性を残すよう な形でのものにした方がいいと考えるということなんです、基本的に。例えばそういう ご意見をもし尊重するとすれば、この説明の文言の中に、例えば、これは現時点での話 でそういうことですけれども、将来に向けて変更の可能性も考えながら、今後さらに検 討されていくというものであるという趣旨の文言を入れるということで、先生方全体と して、ある程度コンセンサスを得られるのかなという気もするんですが、そのあたりは いかがなのかなと。  どうもご議論をうかがっているとそういうような形でもよろしいのかなと思います し、そうでなければ、ご議論を続けていただければ…。 ○石井(ト)委員  私、こんなことを考えているんですけど、石井(美)先生の出していただいた、「成 年に達した」というところは、要するに自己決定権を尊重しようというところで、2番 目は「婚姻しようとする」、近親婚というところを避けるというところですよね。出自 を知る権利ということを尊重して見たとき2つの要素があると。  そこで、先ほどいろいろ混乱するということなんですけど、これは1番目の、先ほど 例がありましたように、子どもというのは必ず幼児期だとか学童期は、自分の親は本当 の親なんだろうかって、これは 100%みんなが思うんです、成長発達段階では。 それから、2番目の問題は近親婚は十分にあり得る。どうしてかと申しますと、相手 を選ぶときは自分に似た人を選ぶんです。似ている人を選ぶんです。こういう説は心理 学分野からある。だから父親とかお兄さんに似ている人を選ぶんです。ですから近親婚 の可能性はすごく多いんですね。  そう考えたときに、私は親が、成人に達したとき、あるいは婚姻しようとしたとき に、子どもが自分の親を知りたいと言ったときに、親は知らせる、そういう考え方もあ るのではないかと思うんです。 ○中谷委員長  半分は納得いくんだけれども。 ○田中委員  委員長いいですか。 ○中谷委員長  はい、どうぞ。 ○田中委員  子どもが確かに自分の両親が本当に自分の親かどうか聞いたときに、お前はうちの子 でないと親は絶対言いませんよね。「何、ばか言っているんだよ」と。子どもは安心し ますよね。本当はドネーションとしたとして、「実は、もらったんだ」とまず言わない と思うんですよ。徹底的に隠すと思うんですよ。それを子どもが決定的に知るのは、例 えば不慮の事故で、血液型を調べたら違ったとか、そういう医学的な客観的なもの以 外、親も子どもも自分が違ったということを確認することはないような気がするんです よ。だから、そういう意味において、出自を知る権利という問題は大事だと思うんです けれども、この治療を育てていく上で、やはり提供者のプライバシーを守るということ を考えていただければ、先ほど言われた特定できない部分での開示というふうにして、 将来変わるかもしれないという部分は削除していただかないと、将来はわからないよと 言われると、ドナーの確保は厳しくなると思うんですよ。  だから、一応これはこういう時代ですから、国に登録します。ただし、法的にも親子 関係はありませんし、あなたがこの子の父親だと同定するものはわかりませんと言って あげないと、この治療は根づかないと思うんですね。 ○辰巳委員  将来というのはさかのぼってということではないんですね。 ○石井(美)委員  そういうことはないです。変わった時点から、提供した人はということで、前に提供 した人が同意してないことを開示されてはたまりませんから、それは絶対あり得ないと 思います。 ○田中委員  ドナーの確保するという立場でいくと、子どもに知られる部分はわからないようにな るべくしていただきたいと思うんですね。 ○石井(美)委員  私も本当のところ、よくわからないんです。ただ、私はここでは否定論が強いもので すから、子の福祉を言う立場としては、明確にこういうものを言っておく必要性がある と思っているから主張していることも1つあるのですが、やっぱりこういうものが最近 特に強く言われるようになってきたということは確かなので、従来とは違って、ここの ところはきちんと確認しておく必要があるという点ももう1つなんです。ただ、わから ないというのは、養子と違って、これは法的に産んだ人を母としその夫を父とするとい うだけではなくて、本当に生まれたときから、その子どもにとっては、その人以外に親 はないという状態で生まれてくる。それは養子と違って、一たん親というものがあっ た。それを新しい親とするというのでは違って、その子にとっては、それ以外、親はな いんだ、そういう考え方を基本としてとろうというのがここの立場だと考えると、本当 の意味で出自を知る権利というものを、養子やなんかと同じに考える必要はないのでは ないかという気がするものですから、私もどうしてこれを認めなくてはいけないという ことを最後まで主張しきれないところがあるんです。  ただ、子どもにとって、私もたくさん知らないけれども、テレビやなんかでAIDで 生まれたということがわかった子どもは、どんなにしても親を探しているというような テレビ番組とかいろいろやっているものですから、そういう点を考えますと、私たちが ここで認めて、あえて、そういう子どもが生まれるようにするわけですから、その生ま れる子どもにとっての福祉を最大限保障するようにしましょうというのがここの合意で すから、その子どもが出自を知る権利、ほかの子どもが持っている権利ですよね。それ を全く否定するということはできないのではないか。最大限保障するようにしよう。た だ、それを保障したら、その子どもは提供者がいなければ生まれてこないことになるわ けですから、生まれることと両立しなければいけない。その点で妥協的な、今のところ は一定制限的なものになるということはやむを得ないのかなと。そういうところでこう いうあいまいな形にはなっているんですけれども、子どもの権利条約等々で出自を知る 権利ということが言われて、養子の場合にでも出自を知る権利ということを保障しまし ょうというのはだんだんに広がってきて、諸外国の例でいけばなっているわけですし、 我が国の場合は、私のあれにも書きましたように、特別養子の場合でも知ることができ るように、そこは確保されているわけですから、この形で生まれた子どもだけがそれが ないということにはできない。  基本的にはあるんだけれども、ほかのことを考慮して、この点で制限されると、そう いう形はやむを得ないのかなと、そう考えてほしいということです。 ○吉村委員  石井先生の言うことはよくわかります。私はこれで大体いいのではないかと思うので すが、この場合、1点抜けているような感じするのは、クライアントがこの権利がある ということを自覚しなくちゃいけないということはどこかに一言入れておいた方がいい と思うんですね。 ○丸山委員  それと先ほど吉村先生がおっしゃったことに関係するのですけれども、血液型を合わ せてくれるのかくれないのか、これもクライアントの意思決定の前提になりますね。 ○中谷委員長  いかがですか。現実の治療で血液を合わせてほしいという御希望はないですか。 ○吉村委員  Dは血液型を合わせますということが前提になっちゃっていますから、合わせてます から、今までは。 ○中谷委員長  そうですよね。 ○丸山委員  先生の先ほどの御発言を聞いていますと、今後は合わせないこともあり得る……。 ○吉村委員  Dは絶対合わせますけど、今まで従来どおり、卵子に関してはそれだけたくさん集ま るのかなと。 ○丸山委員  だけど依頼人としては合わせないのだったら、あきらめますという人が多いのではな いですか。 ○吉村委員  それはそうかもしれないですね。だから、そういうこともあるけれども、出自を知る 権利がこういうふうに書かれますと、これをちゃんと説明しますと、クライアントも拒 否をされるというか、「もういいです」と言われる方も多いだろうと思いますね。も し、それで数が減れば、別に悪いことではないので、いいかなと思ったりもしますけれ ども。だから、出自を知る権利のときにいつも入ってないんですが、私はいつもクライ アントのことを考えると、クライアントも出自を知る権利というのは、子どもに認めら れますよということをクライアントが認識すべきであると。 ○中谷委員長  それはそうですよね。 ○吉村委員  言外にはそういうことあるんですけれども、こういうところでちゃんと書いておいて あげないといけないのではないか。 ○小林主査  それに関してなんですが、見え消しになっている方の19ページ、 6の「十分な説明の 実施」の(ア)ところに「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦 に対する十分な説明の実施」というところなんですが、この説明の終わりから2つ目の 丸のところに「希望する夫婦に説明すべき具体的な事項としては」という中に書いてい るんですね。「当該生殖補助医療により生まれてくる子の出自を知る権利などが考えら れるところである」。 ○丸山委員  血液型の適合性あたりも説明してもらった方がいいのではないですか。 ○小林主査  血液型は1項だけ、必ずそれを合わせなくてはいけないかどうかというのは書いてな いんですが、提供する情報のところに若干書いています。24ページの説明の2つ目の丸 のところに、「当該生殖補助医療の実施に当たっては、当該生殖補助医療により生まれ てくる子とその親となる人との間の血液型を合わせる必要などから」と。 ○丸山委員  ここは合わせることを前提にしているわけですね。 ○小林主査  必ず合わせなくてはいけないということではないんですけれども、合わせるというこ ともあるだろうから、そういう一定の部分については、その中にもしかしたら人種とか も入るのかもしれないですし、そういうものがあるかなということで書いているんです けれども。 ○辰巳委員  匿名でなければ、合わない可能性は非常に高いですよね。卵子の場合は特に合わな い。 ○田中委員  何ですか。 ○辰巳委員  匿名でなければ、だから、兄弟とか友達とか、そういった場合は、あの人にというこ とになりますから、血液型は合わせないというのが原則になるんでしょう。 ○田中委員  原則……。 ○辰巳委員  原則というか、合わないことが非常に起こりやすい。 ○石井(美)委員  兄弟は、血液型は同じ可能性も高い。 ○辰巳委員  もちろんありますけれども。 ○吉村委員  ない可能性もありますよ、兄弟の場合は。 ○丸山委員  いずれにしても説明事項に。 ○田中委員  違っても、個人がいいと言えば。 ○辰巳委員  合わせなくてはいけないと。 ○丸山委員  どちらもあり得るということでいいと思うんですが、どちらをその場合に、その医療 施設はとるかということを説明しないといけない。 ○中谷委員長  どうですか、クライアントの方で血液型について、特に希望を出されることが多いで すか。 ○吉村委員  AIDなんかの場合は当然のごとく合わせるというふうに思っていますから、初めに 御主人と奥様の血液型両方とも採りますし、だから当然合わせてくれるんだなというこ とは思ってみえます。こういった医療をするときには合わないといったことも説明はち ゃんとしなくちゃいけないんでしょうね。 ○石井(美)委員  もちろんそうだと思います。 ○矢内原委員  最初は血液型が一番多いと思います。 ○中谷委員長  そうですね。 ○吉村委員  子どものとき、O型とかいって小学校のとき書かれますからね。 ○矢内原委員  戦争中の話だけれども。 ○石井(美)委員  いや、今でも。 ○吉村委員  今でもそうですよ。けがしたときなんかありますから。 ○矢内原委員  占いとか子どものよく遊びの中に入ってきますからね。私は血液型はなるたけ合わ す。合わないときは合わないということを言う。皆さんおっしゃるように、だれも親の 方から、あんたはこういう子なのよということは言わないですよ。なるたけ子どもが何 かの調子のときに知り得たというチャンスはできるなら避けたい。 ○丸山委員  石井先生の最後のアステリスクの最初の文というのは、31ページの出自を知る権利の 冒頭で、ドネーションを伴うARTによって生まれたかどうかについても知る権利を保 障せよということですね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○丸山委員  だから新たな文言を入れよという御提言ですね。 ○石井(美)委員  そこから始まるのではないか、逆に。 ○丸山委員  だから、そこから始める方がいいのかどうか、始めない方がいいという意見も多いの ではないかと思うんですね。だから親が言わない限り、あるいは子どもが何らかの形で 知らない限りは、子どもには知る端緒を与えないという意見もあると思うんですが。 ○田中委員  石井先生がいつもおっしゃっている子どもの福祉ということは非常によくわかるんで すけれども、もともとこの治療を今推進ないしはやろうとしていること自体が、子ども の福祉に反するようなこと、本来は生まれてこないわけですね、その夫婦には。提供じ ゃなければできない夫婦にとってはですね。最初から無理なことをしているわけです よ。その夫婦には生まれないはずの子ですからね。 ○石井(美)委員  でも望まれて生まれるのだから、子どもにとって福祉に反するとは私は考えてないん ですよ。こういう形で生まれること自体は。 ○田中委員  そうですか。 ○中谷委員長  それはそうですよ。望まれて生まれてくるわけですから。 ○石井(美)委員  治療は認める理由はないと思います。 ○田中委員  だから難しいかなと思ったんですね。私は先生と話していて思うんですよ。こういう ことをやっていて、目の前の夫婦は非常にハッピーで、できて喜んでいますけれども、 抱っこをしている子どもが将来本当に喜ぶかなと思うときがあるんですね。それはド ネーションでなくて非常に精子の悪いような、気をつけなければいけないというような イクシーだとかあるんですけれども、これは神のみぞ知るわけで、何十年後かわからな いで、思うときもないことはないんですけれどもね。難しいですね、これは本当に。 ○中谷委員長  いかがでしょう。始めてからちょうど2時間ぐらいなので、ちょっと休憩をとってい ただいて、そして、きょうお出しくださった、矢内原委員の御意見などを十分拝見しま しょう。 ○矢内原委員  私のは感情論なことが随分ありますけれども、今、ディスカッションになった子ども の福祉は自分はこう考える。子どもの福祉とはこう考えるということを触れております し、この中にお役に立つかどうかわかりませんけれども、私見としてあれしておいてく ださい。  うちのプリンターが壊れていたので、読み直すことができなくて、ほかでプリントし てもらったので、誤字やちょっと足らないところがありますので、これをこのまま公表 することは待ってください。 ○中谷委員長  あと星野さんからの意見が来てましたね。 ○小林主査  それもお配りして……。 ○中谷委員長  いただいたものをまだ読んでませんから。 ○小林主査  休憩時間……。 ○中谷委員長  今、10分ぐらい休憩して、その間にお読みいただいたらどうかという提案をしようと しているわけですが、よろしいでしょうか。                   休 憩                   再 開 ○母子保健課長  今、出自を知る権利を、大分御議論いただきましたので、そのあたり、どういう形に するか、ある程度方向性が確認していただければありがたいと思うのですが。○中谷委 員長 この間、出ていた方向性で大体よかったような気がしていたんですけれども。 ○石井(美)委員  生まれた子はという形で書いていきますよね。丸山先生は、私がこれを入れることは 反対であると言われたのですが、自分が生まれたということを言う必要があるわけです よね。 ○丸山委員  自分が生まれたというのは。 ○石井(美)委員  生殖補助医療により生まれた子はできると書いてありますから。 ○丸山委員  これだけだと、石井先生の最初の文章のご趣旨は保障されてないですね。 ○石井(美)委員  生まれたということ自体を、自分がまず認識すれば、自分が生まれているというふう に言えばいいわけですね。生まれているかもしれないしかわからないですね。まず、生 まれたということをどこかで。 ○丸山委員  把握することが、この前提になっているわけですね。言うまでもないですが。 ○石井(美)委員  どこでどう確認するか。 ○丸山委員  それは確認する方法を制度化するかどうかですね。 ○小林主査  ちょっとよろしいですか。その辺なんですけれども、一応書かせていただいた趣旨と しては、恐らくもしかしたら自分はそうじゃないのかと、また何らかの形で知るといっ た場合に公的管理機関に申請すると。そのときに確かに生殖補助医療で生まれた子であ れば、今度は、あなたはそうですから、この範囲で知ることができるというふうになる という趣旨でここでは書かせていただいているわけですけれども。 ○石井(美)委員  実質的には私のと同じ過程を経るということですね。 ○小林主査  そういうことです。 ○辰巳委員  生まれた子って、だれが決めるんですか。 ○石井(美)委員  ですよね。 ○小林主査  公的管理機関は、本人がそういう子なのかどうかというのがわかりますから、その子 であれば、こういう範囲も出てくるということです。 ○丸山委員  今、小林さんは言葉で説明なさったから、それはわかるんですけれども、文章にあら われていなければ、これを読むだけの人はわからないわけでしょう。だから、書かれて いるかどうかというのを知りたいんですね。 ○小林主査  もし書いた方がわかりやすいということであれば。 ○丸山委員  まず、そういう原則を織り込むべきかどうかで、意見集約する必要があると思うんで すね。 ○石井(美)委員  丸山先生はないとおっしゃるんですか。普通はどうするわけですか。疑問を持った子 どもから請求が来たとき。 ○丸山委員  わからないんですよ。さっきもないということまでは断言しなかった、できなかった ですね。そういう制度を設けるのがいいか悪いか。だけど、少なくともこれまでそんな に議論してこなかったから、議論した方がいいと思いますね。 ○中谷委員長  これは成人後でなければだめなんですね。 ○石井(美)委員  私はその方がいいと思ったのは。 ○中谷委員長  例えば15歳というのがよく問題になるけれども。 ○石井(美)委員  15歳ぐらいというのは一番自分が疑問を持って、いろんなことについて思うときの不 安定な状況で、そのような事実を知ることがいいのかと私は思って、逆にそういう時期 にはっきりわかった方がいいという考え方の方もあるかもしれない。 ○中谷委員長  例えばスウェーデンはそれが問題になったときに、初めは18歳と決めていたんです ね。成人年齢が18だから。それをやめて、物心がついたときというようにしていますけ れどもね。 ○石井(ト)委員  英国では、もう子どものころから、あなたはこういう形で生まれてきているのよとい う形で言っていますよね。ですけど、日本の実態には合わないということで、さっき提 案したのは、成人になったときとか、結婚したときに、子どもが改めて求めたときに は、その時点で親は真実を伝える、そういう仕組みにした方が複雑にならないと思うん ですよ。公的機関に一直線に飛び込んで行くよりかは。 ○中谷委員長  この生殖補助医療の記録というのは80年でしたっけ。 ○丸山委員  この中に80年と書いてあった。 ○中谷委員長  要するに永久保存という意味ですかね。 ○丸山委員  子どもが生きている限りは残そうという。 ○中谷委員長  スウェーデンはどういうわけか70年になっているんですよね。 ○丸山委員  寿命が延びたんじゃないですか。 ○中谷委員長  でも何で80年なのか、80年も何かね。 ○矢内原委員  中途半端ですね。 ○中谷委員長  中途半端ですね。むしろ永久保存としておいた方がいいのではないですか。  こういう出自を知る権利については、法のほかにガイドラインで何かいろいろ書くん ですか。 ○矢内原委員  私ですか。 ○中谷委員長  どなたでも。ガイドラインで。 ○石井(美)委員  具体的な手続の細かい点はそうなんじゃないですか。 ○矢内原委員  恐らく今決められないでしょう、ここまでは。ただ、個人を特定できない範囲ではイ ンフォメーションは記録し伝えると。 ○辰巳委員  本人が自分の特定できるものを開示してもいいと言った場合にも、この場合は開示で きないことになっているんですね。 ○母子保健課長  この案はそういうことです。 ○辰巳委員  それはしてもいいのではないかと思うんですけど、子どもも知りたいと思って、本人 も開示していいと思っているのをとめることはないのではないか。 ○中谷委員長  ここに書いてある「承認した範囲内」、本人が承認すればいいのではないですか。 ○高橋委員  そうですね。 ○辰巳委員  できないものしかだめですね、この文章では。 ○中谷委員長  「特定することができないものについて」。 ○辰巳委員  本人が承認したら、どちらも知りたければ、教えてあげてもいいのではないかと思う んですが、いかがでしょうか。 ○田中委員  今までAIDが波風なくここまで来たのは、1つは出自がわからなかったということ と、知りようにも知る方法がなかったということと、全くそういうことはできないとい うふうに思ってやってきたからだと思うんですね。ですから、これから先もしそういう ことが可能になってくると、いろんな問題出てくると思うんですよ。それはいいことか 悪いかわかりませんけれども、少なくともいろんなトラブル出てくると思うんです。で すから辰巳先生言われるみたいに、私はいいですよと言った場合にもいろんなトラブル 起こると思うんですよ。それが引き金になって、ある人は開示しない、ある人は開示し てということも問題になってくる可能性がでてくると思うんですね。  だから、この治療は微妙なところがありますから、どうなんですか、先生が言ってい るのはいいように聞こえるし、しない方がいいような気もするんですけれども、ある人 は開示して、ある人はしないと、何かその人を開示しないといけないみたいな、そうい うふうにもとられるかもしれないですね。どうなんですか、わかりませんけれど。 ○中谷委員長  この問題こそちゃんとしたカウンセリングを前提としないとなかなか難しいような気 がしますね。 ○高橋委員  私は田中先生の意見に賛成ですね。開示してもいい、教えてもいいというのは、一体 何がいいことあって教えてもいいというのかがわからないんですね。教えてもいいとい うことが、どういう目的を持って教えていいのか、意味がないのではないかと思うんで す。生まれてくる子どもにとって……。 ○田中委員  その提供者が、家庭持って子どもがいて、違う自分の提供精子で名乗りをあげていい よといった場合、子どもが知った場合、異母兄弟が何人も、20人ですか、20までいいと なると。 ○中谷委員長  10人。 ○田中委員  10人ですか、それはもっと問題のような気もするんですけれども、兄弟仲良く。とに かく微妙な部分が物すごくたくさん含まれている治療内容ですから、難しいところある かもしれないですね。 ○石井(ト)委員  ここでは特定できないということはちゃんと言っているんですよ。だから、この文章 の中では、特定できない……。 ○田中委員  辰巳先生の意見は、自分が開示してもいいよという人までもそうするんですかと。自 分が開示したい人には開示させてくださいという意見なんですね。 ○辰巳委員  そこまでは言ってはおりませんけれども。石井先生、これ、どちらでもいいというこ とであれば、これは認めるということはいかがなんでしょう。 ○石井(美)委員  それは、あくまでできるですけれどもね。  私はもう一つ、ここは確かに承認、高橋先生がおっしゃったように、子どもによって アクセスして得られる情報が余りにばらばらだということがいいのだろうかということ についても疑問、これだけは見せるけど、これ以上は知られないと、そういうふうにし ておかないと、カウンセリングする段階でも、何が知りうるのかというのがわからない わけですね。 ○辰巳委員  これを決めてしまったらどうですか。そんなにたくさんの項目あるわけではないです し。 ○石井(美)委員  ここはだから、私の案の必要性というとあれですけど、ガイドラインでそのとき定め たその項目という形にした方がいいのではないでしょうか。 ○高橋委員  それならいいです。先ほどの辰巳先生のおっしゃるような、自分が認めていいという 1つの条件つきでその範囲以内で教えるとか、そうではなしに、ここまで先ほども議論 になりました年齢とかカラー、国籍、人種とか、そういう基本的なもの、そこをみんな で議論して、ここまでは教えてもいいというふうに決めているのならいいんですけれど も、ある人は教えたくない、ある人は教えてもいいと言ったら、ばらばらになっちゃっ て、これは意味をなさない議論になると思うんですね。  それから、教えるという人は、一体どういう意思が働いて、何の目的でそれを教えて もいいのか。私は生まれてくる子どもの、いざとなったら保障、そういうふうな親とし て出て行ってもいいですよとか、責任とりますよということになるのか、ただ単にヒ ューマニズム的な考え方からそういう要望、そういった方もあり、ばらばらになってし まうので、そういう1つの限定つけて、ここまでは教えていいという決め方した方がよ ろしいのではないか。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。丸山委員いかがですか。 ○丸山委員  私の方からは、具体的に何があり得るのか。先ほどおっしゃった提供の際の年齢とか というので、果たしてアイデンティティを確立するための役に立つのだろうかというの が疑問ですね。何回も言いますけど、31ページの「出自を知る権利」の囲みの中で述べ られている3つの原則、これはいいんですけれど、繰り返しになりますが、これだと出 自を知る権利が提供者の意思次第では骨抜きになってしまう。  今、石井(美)先生のおっしゃったのは、具体的に最低限、辰巳先生もそうですけ ど、定めた方がいい。そこまで踏み込んでしまうと、逆に32ページの下から2つ目の丸 と言ったらいいのでしょうか、提供者が減少する。あるいは先ほどの辰巳先生の、提供 者の方が同意しておれば、個人識別情報を出してもいいとなると、上2つの丸で懸念さ れていることが実際に起こるかもしれない。起こるかどうかわからないとお書きだと思 うんですね。  ですからこの四角の中は、そういう点で多くの人が賛同できる、多くの人を取り込む ことができる形にしているんですけれども、これ以上、動きうるものかとなると、動け ないような気がするんですけれども、ですから、もう少し議論を進めるということであ れば、提供時の年齢以外に何があり得るのか、議論した方がいいと思いますね。 ○石井(美)委員  さっき言った職業、出身地。 ○中谷委員長  アメリカの生命バンクの表によりますと、国籍でしょう、皮膚の色、目の色、大学の 何年生、大体学生が多いんですね。それから、例えばスポーツマンだったらテニスだと かサッカー、芸術的な、ピアノをよくするとか、バイオリンをよく弾くとか、そういう ことがみんな書いてあるんですね。その中から選んで注文する。 ○丸山委員  それは依頼する側がどれを。 ○中谷委員長  選択するという。 ○丸山委員  日本でも以前あった精子バンクでそういうのが選べびましたね。 ○矢内原委員  無償でもそうですか。 ○吉村委員  無償ではないです。 ○中谷委員長  有償です。それによって値段が違うんです。 ○矢内原委員  ですから意味が違うと思うんです、有償と無償ではね。 ○中谷委員長  そうですね。 ○丸山委員  出自を知る権利として保障される項目として、何があり得るかですね。 ○石井(美)委員  そういうことでもいいのではないかと思いますけれども、子どもにとってはそれで。 ○辰巳委員  それをいちいち全部登録するんですか。 ○石井(ト)委員  今、そういう意味で言ったわけではなくて。 ○石井(美)委員  最低限必要な情報かどうかわかりませんが。 ○中谷委員長  スウェーデンの場合は個人名ですよ。出自を知る権利で保障される。 ○矢内原委員  そこまで全く特定できるわけですね。 ○石井(美)委員  わかりません。 ○辰巳委員  吉村先生がやっておられて、現実的に集められる情報は本当に限られていますでしょ う。 ○吉村委員  そうですね。精液所見ですね。それから年齢、血液型、遺伝病はないか、感染症はな いか。情報としては住所も持っていますし。 ○辰巳委員  もちろん個人の氏名でしょう。 ○吉村委員  氏名、そんなものですね。 ○辰巳委員  それだけですね。 ○吉村委員  そうそう。 ○辰巳委員  それ以外に増やしていくということになるのでしょうか。それは現実的に難しいです ね。 ○吉村委員  出自をそうやって考えていくと、石井先生が何を目的に出自を知る権利を言われるの か、この知りたいということはわかるんですよ。出自を知る権利というのは特定しかな いでしょう。会いに行く、それ以外に出自を知る権利をとうとうと述べてみても、それ 以外にないんじゃないですか。だから、ちゃんとそうやるならば、そうやって特定され ることもあり得ますよ。でもドナーになりますか。母親にも特定されますよ。あなた以 外の母親がいるんですよということが子どもにわかりますよということを言ってやるし かないですよ。それ以外の出自を知る権利というのは骨抜きでしょう。髪の毛の色を知 って、日本人の場合いいかもしれないけれども、ハンサムな男だったとか、そんなこと というのは子どもにとっていいことなんですか。 ○石井(美)委員  わかりません、そこは。本当のこと言って、私もわかりません。 ○高橋委員  基本的な考え方を「出自を知る権利」という1つの文言ですね。これが至上の根底に あって、とにかく権利は認める、これは福祉につながるだろう。子どもの将来あるいは 自分の父親がこういう大学出のこういう子だと知ったら、1つの子どもの少なくとも自 信につながり、自分のこれからのいろんな過程にプラスになることだと思うんですね。 ですから、それはある面では何となくわかります。しかしながら、私は先ほど言いまし たけれども、そこまで知ると、父親に会いたいとか、子どもに不満足な1つの情報提供 にもなりかねないというのが私の考えなんです。 ○中谷委員長  スウェーデンとドイツが出自を知る権利というものが言い出された最初の国ですよ ね。1983年の3月にスウェーデン、4月にドイツ、そのころは西ドイツ。それは結局A IDで生まれた生殖補助医療を受けることについて夫は同意していたんだけれども、生 まれてみると、違うと、似ていないと、やっぱりこれはおれの子ではないと言い出し て、夫の訴えが最高裁判所で認められたんですね。それがきっかけでしたね。スウェー デンでは、要するにだれが提供者かということは知ることができるように、85年の人工 授精法で決めたんですね。  いつか、はあといん乃木坂でなさったとき、私、入院中でしたけれども、日弁連の方 が来られて、ドイツでは養育義務まであるということをおっしゃったんですね。これは 間違いで、ドイツは法律はつくりませんでしたから、最高裁の判例が私が知っている限 り4つありますけれども、これは一般の多数はその判例に賛成ですね。でもある人は出 自を知る権利なんて、先へ先へとナチスドイツのユダヤ人狩りのもとに返るものだと反 対している人もいるくらいなんですけど、そういう形で1つは、子どもの権利という形 で出されていますし、先ほど石井(美)委員が言われたように、子どもの権利条約の中 には、真正な親の養育を受けることも保障されているんですよね。ですから真正な親に 養育を受けるということを言えば、AIDで生まれた子はどうなるんでしょうね。いつ か最高裁の千草判事に話を聞いたら、そんなこと考えたことありませんと言われました けど。 ○矢内原委員  シンセイなシンというのはどの字を書くんですか。 ○中谷委員長  真実の真に正しい。 ○矢内原委員  ということでジェンダー、遺伝的なということですか。 ○中谷委員長  そういうことです。 ○石井(美)委員  先ほども言いましたように、ここでは親はまさしく生まれたときにそこにいる両親を 親とするという、そこを前提にしてますから、そこの前提に立ったら、それ以外の親は いないのだと、そういう論も立つとは思うんです。ただ、言っていますように、まだわ からないんですね。ここの医療をこういう形でまだ踏み出してないわけで、踏み出した 後でどうなるかわからない。子の福祉の観点から最大限保障できる道は残しておきたい という、それだけのことですから。ということなんです。 ○母子保健課長  先ほどもちょっと御紹介申し上げたんですが、きょうの机上配付資料の1−2という ので、石井(ト)先生のペーパーが載っているものの一番最後のページになるのです が、今、私ども事務局の立場で御議論いろいろ伺っておるわけですが、この一番最後か ら2枚目、3枚目が石井先生が前回の12日の委員会の後に、先生方に配付され、それを 受けて、加藤先生が一番最後のページで、コメントというふうに言っておられて、ここ のところで、(2)で「出自を知る権利」というのがございまして、それの最初の段落 の下から3行目か4行目ぐらいのあたりからこういうふうにおっしゃっているのです が、「今直ちに、生物学的親を特定できるようにすべきとまで言えないかもしれない。 けれども、子に出自を知る権利はないとするのではなくて、権利はあるかもしれない が、他の点を考慮して、現時点では、提供者を知ることはできないものとし、将来の変 更可能性を残す方がよい考える。」と、こういういわば、石井先生がこの前、理念とし て出されたことに対して賛同した形で比較的具体的な、こういう形ではどうだろうかと いうのをお出しいただいているんですね。  事務局としては、例えばこういう形での説明部分を説明、四角の枠ではなくて入れる ことによって、これで決めてしまったという話ではなくて、石井先生が言われるよう な、現時点では認めないということでいいのかもしれないけれども、将来に向けての変 更の可能性はあり得ると。これはいろんな議論がこれから先あるのだろうと思うんです が、そういう形ならば、比較的少数意見というと変ですけれども、この前、合意された 四角の試案以外の形のこういう御意見もあったと。しかも可能性も残すべきだというこ とでの形で入ることでかなりこの委員会としての意向を踏まえる形にならないかなとい うのが私などの印象です。あまり事務局が出しゃばる気はありませんので、先生方のご 判断でよろしいのですけれども。いかがでしょうか。 ○中谷委員長  石井(美)委員、いかがですか。 ○石井(美)委員  私の理由もそう書いてあるので、それはそれで結構ですが。 ○辰巳委員  本人が自分の名前を知られてもいいよという提供者も、やはり現時点では子どもに知 らせない方がいいと。将来変更ということになって、提供者の名前を知らせなくちゃい けなくなるということになった場合には、今私が言ったような、提供者が自分の名前を 知らせてもいいよという人だけが提供者として残ってくるということになりますね。 ○石井(美)委員  現時点で知り得る。 ○辰巳委員  また、今でもそういう人が出てきた場合にも、それは知らせない方がいいのでしょう か。 ○石井(美)委員  知らせない方がいいとまで言えないんですけど、知った場合の影響ということもまだ わからないということもあるので、その点は一律にだめという形にしておいてもいいか もしれないとは思います。 ○中谷委員長  そういうふうに認めたら、提供者はうんと減るのではないですか。 ○辰巳委員  名前を知らせてもよいという人はそうしたらいい、したくない人はしなくていいとい う形で残しておけば、そんなに減らないと思うんですけれどもね。だけど、そういう人 は割合と特殊というと言い方が変ですけれども、どういう理由でそうおっしゃるのかよ くわからないところがありますので、ちょっと危険なものがあるかと思います。私も別 にそうした方がよいと言っているわけではないんだけれども、疑問として、皆さんどう お考えになっているのかなと思って、あえて言っているだけで、その辺、確認させてい ただきたいと思います。 ○丸山委員  先ほどの藤崎課長の御提言なんですが、ここは将来の変更可能性について触れるだけ であれば、この報告書自体の末尾ですべてについて、細目について、将来の検討に委ね ていますね。ですからその1つとして、書いても書いてなくても可能性はある。どちら にも偏りがないというふうに受け取ることができるのですが、その2行目に「けれど も、子に出自を知る権利はないとするのではなく」というのが、その前に置かれている ので、それを踏まえると、こちらは将来の変更可能性というのは、子に出自を知る権利 を認める方向での変更可能性というふうに読めますね。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○丸山委員  だから出自を知る権利を認める方向のものと読めるので、そこまで今から、可能性だ から、ないかもしれないんだよということになるかもしれないのですが、示唆する必要 はないのではないかと思うんですが…。この線で合意が得られるなら、それでもちろん 結構ですけれども、先ほどまでの議論を私なりに受け取っても、余り合意はできていな いと思うんですね。石井先生の方も強力にここにお書きのことを主張されるわけでもな いように、理念の方は訴えられるんですけれども、制度論としてあるべき姿を訴えられ るわけでもないような認識で私はいるのですが、そうだとすれば、先ほどの原案といい ますか、ここに案として示されたところを、この専門委員会の合意できたところとし て、この形で示して、もし石井(美)委員がおっしゃるような意見が今後の展望だとす ると、32ページの、先ほど指摘しました上から3つ目、4つ目、5つ目の丸当たりを違 った視点から書くことになるのではないかと思うんですね。  そこまで踏み込むのであれば、このあたりについても目配りをした上で、もう少し考 える必要があるし、文言を追加する必要あるいはこういうことは書かない必要もあるの ではないかと思います。 ○中谷委員長  32ページの今御指摘の3つ目の丸ですけれども、医系の先生方は意味をよく御理解な さいますか。 ○吉村委員  丸3つ目はわかります。 ○矢内原委員  括弧の中のですか。 ○中谷委員長  そうではなくて、32ページの。 ○吉村委員  「さらに」というところでしょう。 ○石井(美)委員  よくわからないんですけど、丸2つ目、3つ目も変える必要性があるということの。 ○中谷委員長  私もよくわからないですけど。 ○丸山委員  3つ目、5つ目、個人識別情報を添えて出自を知る権利を認めるとこういうことも懸 念されますよというのを書いていますね。ですから、前のページの四角で囲んだところ にとどまらざるを得ない、とどまることの根拠となるものが、ほかにもあるんですが、 3つ目、4つ目、5つ目の丸あたりに一番はっきり出ているんですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○丸山委員  それを先ほど藤崎さんがおっしゃられたような、将来出自を認める方向で変更する可 能性をうたうのであれば、このあたりについても解消できる見通しがないといかんので はないかと思うんですが。 ○母子保健課長  加藤先生が言われたのと、今、丸山先生がおっしゃったのは必ずしも矛盾しないかな とは考えているのですが、結局子の出自を知る権利はないとするのではなく、権利はあ るかもしれないが、他の点を考慮してというのがこの3つなんですね。この辺の丸のい ろいろあるので、これを考慮して、現時点では提供者は知ることができないものとし と。そして、将来の変更の可能性ですね。全部ついちゃうんじゃなくて、というのがこ の加藤先生の御意見かなというふうには思っておるんですけれども。 ○丸山委員  将来の変更の可能性というのは、これはすべてのことについて言えるので……。 ○母子保健課長  そうですが、ここの意見が一致してないというところで……。 ○丸山委員  いや、意見は31ページの四角で囲まれているところについては一致できていると思う んですが、そうでもないですか。 ○母子保健課長  そうであればよろしいのですが、そうであれば、私の方は何も申し上げることはない んですが。 ○中谷委員長  多分31ページの囲みの中は大方御意見が一致しているのではないですか。 ○丸山委員  私はそう思っているんですね。 ○高橋委員  私もそう思います。 ○中谷委員長  そう思いますけど。 ○石井(美)委員  つけるというのは、この四角の中でなくて、こっちの下につけるという趣旨ですね。 課長さんがおっしゃったのは。 ○母子保健課長  そういうことです。 ○丸山委員  だから、この四角の中の意見の一致だけで十分ではないか。 ○石井(美)委員  私はつけてほしいと思う。 ○丸山委員  わかります。 ○母子保健課長  前回そういうことにしたのですが、こういう御意見があったので、もし石井先生、加 藤先生、あるいは田中先生が強くおっしゃるのであればいかがかなということで申し上 げているだけですので、この案には挙げてないという委員会の御意見であれば、また、 原案どおりとしていただいて結構です。事務局としてはどちらでも結構です。 ○田中委員  やっぱり10対0ということはないと思うんですね。それぞれの立場を考えると皆さん 違うので。そうすると1の人の意見も反映できるようなことにした方がいいのではない でしょうか。となると、今、課長さん言われたような部分で、石井(美)先生がそれで いいとおっしゃるなら、一番丸くおさまって、すぐ終わっていいんじゃないですか。 ○中谷委員長  とにかく生殖補助医療というのは今非常に発展過程にありまして、非常に流動的です よね。いずれにせよ、こういう答申をしても、やっぱり見直しの時期というのは考えな ければいけないのだろうと思います。 ○田中委員  それはあると思いますね。 ○中谷委員長  臓器移植法ではないけれども、見直しの可能性というものを残しておかないと。 ○小林主査  そういう意味では、先ほど丸山先生がちょっとおっしゃられたことで、一番最後の 「終わりに」のところで、全体について、制度の運営の状況を勘案しつつ、制度全体と して、見直しの必要性について入れるというのもあると思うんですね。その中に出自も 入ってきますしと、あるいは兄弟姉妹等というのも入ってくるかもしれないんですけ ど。 ○石井(美)委員  全般について入ることも当然だろうとは思うんですけれども。 ○田中委員  とりあえずこの問題に関して。 ○石井(美)委員  ということだと思います。 ○丸山委員  そこに恐らく兄弟姉妹が、見え消しの35ページに入っていますけど、出自を知る権利 についても同じようにうたうということになると思うんですね。大きな論点がそのあた りに。 ○田中委員  そうですね。 ○石井(美)委員  明示的にそれを書くというのであれば、ここに書かなくて後ろでもいいかもしれな い。 ○丸山委員  その方がいい整理だと私は思います。 ○石井(美)委員  そういう趣旨ならいいんです。一般的なあれがついているから、それでいいではない かという趣旨かと思っていたものですから、そうでなくて、ここにまとめて書くとい う、そういう趣旨であるならば、それはそれでもいいかもしれません。  ただ、兄弟姉妹もどうなるかはまだわからないから。 ○矢内原委員  33ページの、一番最後の結論的なところですけれども、ここで言いたいのは、要する に提供する人がここまでの情報なら開示してもよろしいという範囲では決めますと。と ころがそれによって生まれた子が今度ここまで知りたいというところの間にジスクレパ ンシーが生じたときにはカウンセリングでその間を取り戻すのか、「なお、上述したよ うに」、いろいろなことを言ってきて、最終的なことですね。括弧内は私はいいと思い ますけれども。「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・ 胚を提供する人が自己の個人情報を開示することを承認する範囲を決定し」、ドナーを 決定するわけですね。ここまで話してもいいと。  そうすると今度「生まれた子がその子に係る精子・卵子・胚を提供した人の個人情報 を知ることを希望する範囲を決定する〜」、子どもがここまで知りたいんですよという ことを言っていますね。その先なんですが、その処置の仕方。 ○石井(美)委員  言ってきたとしても、その情報を開示していいと、提供者が言っていなければ、子ど もは知ることはできない。 ○矢内原委員  できない。そういうふうにはっきり書けばいいと思うんです。「当該個人情報を開示 すること又は知ることに伴い」。 ○小林主査  ここを書いた趣旨は、囲みの中の結論ではなくて、そのプラスでいろいろと開示する 範囲を決める場合に影響というのを勘案しないといけないだろうと。それはドナー側も そうですし、生まれた子どもが最初ここまで開示してほしいんだと、いろんな影響を勘 案しなければいけないので、そういう予想される影響について、十分な説明とかカウン セリングを行われることが必要だと。 ○矢内原委員  それはどっち方にですか、カウンセリングは。 ○小林主査  両方です。 ○矢内原委員  両方に。 ○吉村委員  だから、先生のようなことについては、ここでは言及してないと思いますけれども、 困りますけど、実際にカウンセラーとしては。 ○矢内原委員  どうやってカウンセリングするのかなと思うんですよ。 ○吉村委員  でも、それは今の趣旨を説明するしかないんじゃないですか。現時点ではこうなって いると。提供者が、それをカウンセリングで説明していくしかないんじゃないですか。 ○石井(美)委員  あとの遺伝的な親というものは、これだけの情報しか提供しようとしなかった人であ ると。 ○吉村委員  カウンセリングって、とんでもなく難しいね。とってもじゃないけど、日本でできる と思わない。 ○石井(美)委員  でも、そういうことができないと、生まれた子どもにとっては大変なことになるんで すよ。 ○吉村委員  だけど、現実面としては非常に難しいでしょうということを言っているわけです。 ○矢内原委員  それはお役所的に、ここまでしかこの人の情報は開示することはできませんというこ とで、カウンセリングもなくてもいいのではないですか。 ○吉村委員  それは違うでしょう。 ○丸山委員  アフターケアもカウンセリングなんでしょうね。 ○吉村委員  出自を知る権利に関しては、何十年にかかわるカウンセリングが必要になってきます よ。 ○田中委員  そういうことですね。 ○吉村委員  ドナーさんに関しても、カウンセリングというのはめちゃ大変ですよ。もらった方は いいですよ。ハッピーであれば、これは30年、40年というカウンセリング必要ですよ。 ○石井(美)委員  それはあると思います。 ○丸山委員  提供者がいなくなっちゃうんじゃないですか。 ○吉村委員  私はいなくなると思いますね。 ○丸山委員  最初に戻して悪いんですけど、石井先生の最初の自分がドネーションのARTによっ て生まれたかどうか知ることができることを制度的に保障するかどうか、意見集約して おきません。 ○吉村委員  そうですね。 ○石井(美)委員  知ることができないとどうなるのかが、私はわからないんですけれども、自分がまず 疑問を持ちますね。その人が情報を持っているところに、自分は生まれたのではない か。自分の提供というときに、自分はいついつどこで生まれたということを言って、イ メージとすればいくわけですね。それについていきなり相手方は情報をくださいと言っ てくる。自分は多分生まれたと思う。だから提供者について情報をくださいという申請 しかないということになる。そのときに相手方は何と答えますか、もし違ったら。 ○丸山委員  相手というのは国の管理機関ですね。 ○石井(美)委員  そう。あなたは該当しません。結局だから同じことなんじゃないですか、結論的に。 ○辰巳委員  生まれた子とするか。生まれた子というのは言葉がよくわからないので、生まれたと 考える人が、成人後自分が受けたかどうか及びその情報を知る。 ○丸山委員  ということは、石井先生の主張というか、この提言どおり、実質上、この制度でも自 分がARTによって生まれたかどうか知ることができるんだから、この制度的にART によって生まれたかどうかを知ることを保障しようということになるということなんで すね。 ○吉村委員  それがなければ、出自を知る権利もくそもないんじゃないですか。 ○丸山委員  いや、それはもちろんそうなんです。そうなんですけど……。 ○石井(美)委員  制度的に保障しないとどうなるのかがよくわからないんです。丸山先生の抱いている のは、私が今言ったイメージからいくと、丸山先生の場合はどういうイメージになるん ですか。 ○丸山委員  判断くだしかねているんですが、保障しなければ、だから出自を知る権利が、この囲 みで書かれている弱い内容のものでもかなり骨抜きにされてしまうということですね。 ○石井(美)委員  要するに自分が生まれたということをまずどこかで確認してきて……。 ○丸山委員  自分が確認できれば、保障がされるけど。 ○石井(美)委員  というところまで行くと。 ○丸山委員  どっちがいいんだろう。 ○石井(美)委員  自分で確認するということは。 ○丸山委員  その点は余り固執しないで、辰巳先生が今おっしゃったように、現実的には保障する ことでもいいかなと思うんですが、ドネーションのARTによって生まれた子とか、生 まれたか生まれてないかは……。 ○吉村委員  それは先生、出自を知る権利の一番の入り口じゃないですか。 ○丸山委員  入り口です。 ○吉村委員  幼稚園みたいなものじゃないですか。小学校に入るというのに、そういう感じだとす ると、やっぱりそれを保障するということが大前提にないと、今話していることが全く 意味のないという感じがするんですけれども、どうなんでしょうか。 ○丸山委員  異論がなければいいんです。私も異論は特にはない。 ○吉村委員  それは出自を知る権利を認めないという先生もおられるから。 ○矢内原委員  そういう国もあるしね。 ○吉村委員  そういう国もちゃんとあるし、別にそれが決して悪いことじゃないと思うし。 ○丸山委員  フランスは認めないんですね。 ○吉村委員  認めないです。 ○丸山委員  ということは、ARTで生まれたかどうかも知らせないんでしょうね。 ○吉村委員  知っても知らせないんじゃないですか。 ○丸山委員  知らせないんでしょうね。 ○矢内原委員  知りうる可能性というのは。 ○石井(美)委員  そこも別に手続的に保障はされてないでしょうね。お医者さんのところに行って、そ こだけは聞けるかどうか。 ○吉村委員  例えば、私は経験ないんですけど、ほかの先生方は経験あるというけど、私はAID で生まれたんだけど、教えてという人がいたとかといううわさは聞きますね。でもうち は教えられません。 ○石井(美)委員  生まれたかどうかも教えない。 ○吉村委員  生まれたかどうかも教えません。 ○矢内原委員  ああ、そう。 ○吉村委員  そういう人がいると聞きましたよ。 ○石井(美)委員  近親婚かどうかのあれを確認したという話も聞きますよね。 ○吉村委員  それはない。 ○石井(美)委員  さる先生はそうおっしゃっている。 ○吉村委員  私はそれは知らないですけど、私はそういう経験がないのでわかりませんけど、それ は教えません。全く教えません。AIDをされたかどうかも知りません。 ○矢内原委員  私が聞いた話では、自分たちはそれぞれ結婚する前にAIDで生まれた。それについ て、2人そろって慶應病院に来て、どうですかと。それに対して、どういうふうに言っ たかということは、大丈夫ですよと言ったのかどうか、兄弟がいますよと言ったのか… …。 ○吉村委員  調べないで言ったのかもしれないですね。 ○矢内原委員  調べないで言ったのかもしれないしね。だけど、そういう疑問を持って行ったという 話は聞いている。 ○石井(美)委員  私はそれをきちんと中央機関だけ確かめられるようにした方がいいと思うんですよ。 そうしないとお医者さんのところに行って、お医者さんはその事実を言っていいのかど うかということの判断を求められる。本当はそれは秘密漏洩になるかもしれないわけで すね。それを言ってはいけないということにもなるかもしれませんね。そこのところを はっきりさせておかなくちゃいけないんじゃないですか。 ○丸山委員  今、皆さんの御意見が、ドネーションを伴うARTで生まれたかどうかを、本人、子 どもが確認することを制度的に認めるということであれば、さっきの18ページ、19ペー ジのクライアントに対する説明事項の中でそれも説明するということですね。 ○吉村委員  それはそうなりますね。それは入ってません? ○丸山委員  出自を知る権利などが考えられると書いてあって、ドネーションに伴うARTによっ て生まれたかどうかの確認は書いてないですね。 ○小林主査  出自を知る権利の中に。 ○石井(美)委員  そこも含まれる。だって、そこしか書いてないんですもの、出自を知る権利として保 障されているのはこれしかない。 ○丸山委員  やっぱりちゃんと説明しておいてほしいですね。クライアントとしては、20歳になっ たら、あるいは一定年齢になったら、できた子どもがドネーションを伴うARTで自分 はつくられたかどうか。子ども本人がわかる、知ることになるんだということを。本人 が希望すればですけど。  先ほどどなたか、おっしゃった、知らせたくないという親も多いということを。 ○吉村委員  多いでしょうね。 ○高橋委員  ほとんどでしょうね。 ○丸山委員  そういう親はクライアントとしては、じゃあ、やめようかということになりますね。 ○吉村委員  そうですね。そういうことはしっかり言わなくてはいけないですね、クライアントに 対して。だから、ここで書いてあるとおっしゃったんだけれども、私はさっきのところ にも入れておいた方がいいのではないかと言ったのはそういう意味です。説明項目にこ ういう項目が入っているということをおっしゃった。私も確かに納得したんですよ。 ○丸山委員  もし、それで意見がまとまるのであれば、クライアントにそういうことを説明する必 要がありますね。 ○吉村委員  だから、括弧内に1項ぐらい、その項目を入れた方がいいぐらいじゃないか、出自を 知る権利の中にね。これはわざわざここに書いてあるとおっしゃったので、私はそれで もいいのかなと。 ○丸山委員  ですから解説のところに、そういうことも求めに応じて知らせるのだというのを書い た方がいいですね。 ○吉村委員  と私は思うんですけれども。 ○田中委員  ドナーにも同じこと言えますね。クライアントと両方に。 ○高橋委員  今のを確認しますけれども、クライアントが成人後、生まれた子どもに、あなたはこ うして生まれたんですよと教える義務はないけれども、求められたら教えること、それ を1項入れるということですか。 ○吉村委員  そうではないです。 ○丸山委員  国の機関が教えることになる。 ○吉村委員  クライアントに対して、例えば子どもが公的審議機関に質問したら、教えられてしま いますよということを親が認識すべきだということです。 ○高橋委員  そういうことですか。 ○田中委員  決定的な証拠がそろってないですよ、親子でないというのがわかった場合に、子ども が聞きに行ったら、そういうことですね、先生。 ○吉村委員  そうですね。 ○田中委員  親が言い含めているうちはいいんですよ。 ○高橋委員  実際はそういうことが起こる可能性はほとんどないと思うから、それでいいと思いま すね。子どもというのは、ある場合は、私の経験では離婚した人ですね。 ○吉村委員  そうです。 ○高橋委員  AIDやって離婚した人が、公的機関ないですから、こちら側に、この親はどういう あれですかと聞きにきたのが1例ありましたけれどもね。 ○吉村委員  今後はそういうケース増える可能性はありますよね。だからクライアントに対して、 私たちが初めに、出自を知る権利というのは認められているんだからということをもっ と明確に知らせないと。 ○中谷委員長  それが第一です。 ○吉村委員  出自を知る権利に、日本人は物すごくなれてないんですよ。出自を知る権利という と、いかにも子どもの権利条約でよく見えるんだけれども、今まで何で問題なかったか というのはこれがなかったからなんですよ。だから非常に大きな問題になるんですよ、 これは。だから実務者としては、こういうものは、本当ならばない方が絶対問題が少な く今後も行けるんですよ。ところがそういう権利というものもある程度認めなくてはい けないという時代背景になってきたということを考えると、この程度のことぐらいでい いのではないですか。  ただ、最後にはクライアントに対して、受ける側も受けたいと、子ども欲しいと、卵 もらっても欲しい、その気持ちだけでみえますから、この辺を、出自を知る権利も子ど もに与えられているんですよ。あなたはそれでもいいんですね。子どもは知りますよと いうことをちゃんとクライアントに対して言うことが、私はドナーよりも大きな問題だ と思うんですね。だからちゃんとしておくことが大事だと思います。 ○矢内原委員  今までAIDでは一切そういうことの問題はなかったんですね。 ○吉村委員  私は言われたことありませんし、子どもが聞きに来たこともありませんし、父親が聞 きに来たこともありませんし。 ○矢内原委員  50年の歴史の中で。 ○吉村委員  でもそういうことはあると言いますよ。 ○矢内原委員  実際にAIDを行うときに、患者さんに、もし知ったときのようなことがあった場合 に……。 ○吉村委員  言いません。決して教えませんとしか言いません。 ○矢内原委員  あったもなかったも教えない。 ○吉村委員  決して、そのドナーからあっても、私たちはドナーを、あなた方が言われてもだれが 言われても、子どもが言われても言いませんとしか言いません。 ○矢内原委員  それは言うのね。 ○吉村委員  それは言います。 ○矢内原委員  言いませんということを言う。 ○吉村委員  言いませんということを言います。 ○矢内原委員  あなたはAIDでしたとも、一切そういう問い合わせに関しては子どもから受けな い。 ○吉村委員  私は受けたことはありません。 ○矢内原委員  いや、受けないというふうにも。 ○吉村委員  そうです。だからAIDをしたことも言いません。した事実も言いません。 ○矢内原委員  そのことに関しては一切、お話ししません。だれにも話しない。 ○吉村委員  そうです。だから、今問題起こっているとかおっしゃるけれども、これがあったか ら、今まで何もなく来れたんです。だけど、今後はいろんな状況ありますから、これか ら先のことはわからないですから、こういった括弧内ぐらいであれば、こういった権利 も認めてあげることは大切なのではないかと思います。 ○丸山委員  すんなりいきそうですか、慶應のAIDは。 ○吉村委員  これができたら4分の1減ぐらいするでしょう。まずドナーがいないですよ。患者さ んも来ないかもしれない。子どもをあきらめるかもしれない。 ○中谷委員長  患者さんはどうかわからないけれども、ドナーは減りますね。 ○吉村委員  ドナーは減ります。恐らく患者さんも減りますね。一時的でしょうけれども、それは わかりません。ただ、これがなくても、AIDと体外受精というのは受ける側の感覚が 違うんですね。AIDというのは比較的だれにもわからずに治療できますよね。体外受 精というのは、その病院に何日か行かなくてはいけないし、いろんなことで、自分がわ かるという可能性がある。どうせなら隠しておきたいわけです。そうするとDというの は1日来ればできるわけですから、違う病院で診ていただいていて。そうするとぱっと 来て、さっと普通の患者さんと同じように帰って、それで妊娠していれば来ないという 人ももちろんいたりするんですけれども、だから、その辺の感覚は違うからAIDは減 るだろうと思いますね。 ○辰巳委員  ドナーはどうして減るんですか。 ○吉村委員  ドナーは出自を知る権利を知らせたら減ると思います。 ○中谷委員長  減るのではないですか、それは。 ○高橋委員  減りますね。 ○辰巳委員  自分の特定する情報は言わないんでしょう。これからさかのぼってということはない わけでしょう。 ○吉村委員  ないですけど、減ると思いますね。 ○田中委員  登録されるというのが。 ○高橋委員  何となく嫌なんですね。 ○吉村委員  国に登録されているというのは嫌ですよ。 ○田中委員  精子ネットというネットあるんですね。たかが精子出すだけで登録されるというの は。 ○吉村委員  これはこれ以上話しても無駄かなという感じしますけれどもね。 ○石井(美)委員  でも本質的問題ですよね。 ○吉村委員  本質的問題ですけれども、加藤先生の理論もそうなんですけど、やはりこれを現代の 状況下の中で出自を知る権利を認めないということは時代にそぐわないという加藤先生 の考え方ですよね。まさにこれは時代にそぐわない。だけど、時代にそぐわないことを やってきたから、今までうまくいったということもあるんですよ。 だけど、今後はわ からないから、やっぱりこういったいろんな問題点が起きてくる可能性はあるから、こ ういった権利はここまでぐらいだったら、認めてあげるというのが。 ○石井(美)委員  私たちは余りにも情報がないんですよね。子どもにとっても遺伝的な親というものの 意味がどういう意味を持つかということを確かめた上で、その親を知ることは子どもに とってどういう意味を持つのかということ、それですよね、まさしくここの出自を知る 権利というのは。そこについて全く情報がなくて、時代の傾向だと、私は強く主張しな がら、こういうことはおかしいかもしれませんけれども、なぜ必要なのかということに ついてはっきり言い切れないところがある。 ○吉村委員  だから、育ての親より遺伝的な親というものを、出自を知る権利の人たちは、私は強 引に言っていると思いますよ。 ○石井(美)委員  いや、私は育ての親であることを前提にしているんですよ。 ○吉村委員  もちろん、先生言われていることわかります。育ての親が親になるわけですから。 ○石井(美)委員  そうです。 ○丸山委員  それであっても、さらに遺伝的な親を知ることに価値があるかないかわからない。 ○石井(美)委員  わからない。 ○丸山委員  あるというので立論されていますね。 ○石井(美)委員  はい。 ○吉村委員  そうです。私は出自を知る権利というのはそういうものだと思います。 ○中谷委員長  医系の委員の方々以外で、生殖補助医療によって出産されたお子さんを御存じの方っ ていらっしゃるんですか。 ○矢内原委員  AIDを含めてですか。 ○中谷委員長  ええ、AIDを含めて。 ○吉村委員  もちろん知ってますよ。 ○矢内原委員  知ってますよ。 ○中谷委員長  いやいや、医系の先生方はもちろん御存じだから、そうではない、以外の。 ○丸山委員  直接はわからないです。ですから雑誌の紹介記事でのエピソードで、知ったことによ るトラウマ、わからないことによるトラウマ、両方とも大きく書かれるんですね。どち らなんだろうというので、よくわからないですね。 ○吉村委員  今までの歴史的なことを言うと、AIDの夫婦しかこの感覚はわからないわけです よ。 ○丸山委員  それも個々のエピソードでしょう。 ○吉村委員  だから、私たちがとった統計によってもそうなんですけど、個々のエピソードが、マ スコミが写真とか週刊誌とかテレビで言っているだけであって、私たちがデータでは、 知られたくないと思っているんです。 ○石井(美)委員  親は知られたくないと思っているということは間違いない。 ○中谷委員長  子ども。 ○吉村委員  子どもに関してはまだとってませんから。 ○石井(美)委員  とれないんですよね。 ○吉村委員  とれないです。 ○石井(美)委員  子どもは知らないわけですね。 ○吉村委員  知らないということが前提ですからとれないです。 ○中谷委員長  両親がこれだけ大きくなりました。おかげさまでしたと、あいさつに見えないんです か。 ○吉村委員  それはいっぱいありますよ。年賀状が一番多いのはAIDですよ。 ○中谷委員長  現に。 ○吉村委員  写真を写して、本当にうれしそうな顔のが来ますよ。 ○中谷委員長  いやいや、そうでなくて、御本人がお子さんを連れて。 ○吉村委員  そういうこともありますよ、先生。それはAIDだということは全然意識ないですか ら、だから普通の子どもとして連れてきますから、それはありますよ。 ○矢内原委員  要するに自分の血のつながりのない場合に、ネガティブな話はきっとそちらに言って ないんだろうからですけれども、親がすごく悩んでいるという親は知っていますね。こ れは隠していくのがつらいと、いつ言おうか。 ○吉村委員  それはないということはないと思いますよ。 ○中谷委員長  でも、そんなにつらい思いをして、それこそ期待をして産んだお子さんだからという ふうな話はしないんですか。 ○矢内原委員  よく相談を受けるときには、あなたはそれを決めたんだから、だから、別にだれがそ れを知らせるわけでもないし、このまま黙って胸に秘めておきなさいと。 ○吉村委員  そうですよね。 ○矢内原委員  今、幸せなんだから、子どももそれを信じているのだから、疑いは持つことないでし ょう。子どもは知っているかもしれませんね、とその人は言いましたね。でも、その話 題にならなければ言わなければいいじゃないですか。 ○田中委員  私はAIDを希望した場合、肉親の精子を欲しいという方には肯定的に考えています けど、その際には、夫婦とご両親を別々にお会いしてお話しします。そうすると最終的 にやめる人もたくさんいますし、最後までやりたい。私の経験では、父親の精子を使っ た人というのは、やはりいろんな方いますけれども、例えばお寺さんという人もいます し、代々続いた医者という人もいますし、意外なことですが夫が望むよりも妻が望む方 が多いんです。夫の血、DNAを自分の中に入れたいと、そういう方はさんざん悩まれ ますから、最終的に選択したときの決意というのは非常に強いものがあると思います。  ですから、自分がそこまで決意して妊娠して産んだ子どもに対する愛情は、何も悩ま ないで、普通に不妊症でなくて普通に懐胎した人よりもかえって強いかも知れない。私 はいろんなことを想定して情報を話します。もし子どもが出生の秘密を知った場合に、 それでもいいですか、これからはDNA鑑定が簡単になりますから、父親が違うという こともすぐわかるということもあり得ます。それでもいいですかということを話して、 それでもやりたいという決断をしてきた方は、それなりの決意をされていますし、愛情 も深いと思いますから、私は子どもにとって、将来的に子どもが不幸になるようなこと はないと思いますね。  ですから、私はここでこういうことを書かなくても、AIDをする、そういう第三者 のものを使う前にはこれからカウンセリングないし、そういう審議機関が出てくるので あれば、そこてよく話していけば、中途半端な人は消えると思うんですよね。どうして もという人だけが最終的に残ってくれば、子どもの幸せを願わない親はいないと思うん ですけれどもね。だから、あえて書かない方がいいのではないかという気もするんです けれども、どうでしょうか。 ○矢内原委員  あえて書かないというのは出自を知る権利を認めないということですね。 ○田中委員  はい。認めるということを書かないでということです。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。そういう御提案については、石井(美)委員いかがですか。 ○石井(美)委員  ここまでは合意したという話がひっくり返ってしまうということですね。 ○矢内原委員  先ほどから出ているように、今の時代でこれを否定することはできないですよ。子ど もの権利を。 ○吉村委員  それは難しいですよ。 ○中谷委員長  私も思うんですよね。 ○矢内原委員  権利はないんだよと。 ○吉村委員  言い切るのは本当に難しい。 ○矢内原委員  我々だって、生まれるときに、別に生まれたいと思って生まれたんじゃないんだなん て開き直ること幾らでもできますけれども、だけど、僕はどうやって生まれたのという ことを知りたいという権利も当然保持してほしいと思いますね。 ○中谷委員長  大体1回か2回は、オギャーと生まれたから、しようがなくて生きているんだと思う ことだってありますからね。 ○石井(美)委員  1回や2回なら。 ○吉村委員  1つお願いがあるのは、この出自を知る権利のときに、下の丸ポチでもいいですか ら、クライアントに対して、出自を知る権利というものが、子どもに認められているん だから、合意をする前には必ずそういうことは納得すべきであるということを項目とし て、私は入れておいていただきたいと個人的には思います。 ○小林主査  それは19ページの「十分な説明の実施」のところに入れるということでもよいかと思 います。 ○吉村委員  19ページのところには、下の丸ポチの2つにはそれが書いてあるんですね。あなたが おっしゃったように。 ○小林主査  子の出自を知る権利はありますけれども、これとは別にあえて1つ、例えば子が自分 が生殖補助医療で生まれたことを知れることとか、1項あえて入れるとか、それでもよ ろしければ、そういうことも。 ○吉村委員  それでよければ。 ○丸山委員  これはクライアント側ですからドネーション側の方にも、ドナー側の方ですね。 ○吉村委員  書いていただいた方が。 ○小林主査  はい、わかりました。 ○母子保健課長  ちょっと確認ですけれども、35ページの「終わりに」という大きいIVがあって、ここ の中に丸を1項起こして、そういうことについてあったということでよろしいですか。 つまり先ほど丸山先生がおっしゃった4つ目の丸はもともとの部分で、決まらなかった という議論が一たんしてあるんですね。それをここで再掲して、今後の立法過程で検討 してほしいということを言ってあるのですが、今の部分というのは、本論の方は、先ほ どのような形で一応決着がついている部分ですが、一応ここの丸で新たに加えて、な お、この点についてはああいうふうな結論だが、将来の変更の可能性も含めて云々とい う形で1つ丸をつけるということでよろしいのでしょうか。 ○小林主査  多分2つあると思うんですけれども、「終わりに」に書くのだとすれば、全体のこの 報告書の中身について、制度の定着後一定期間に、制度の運営状況とか勘案して、必要 な見直しを行うということを「終わりに」は全体に係る部分なので書いて、その中で、 特に出自を知る権利とか兄弟姉妹とこれから御議論いただくところかと思いますが、こ れについては議論があったので、目だしで何とかなどとか、その2つを目だしで書いて いくとか。 ○吉村委員  そういう方法でもいいですし、33ページの最後の丸にそれを増やしてもいいのではな いでしょう。 ○石井(美)委員  皆さんが賛成してくださるなら。 ○吉村委員  出自を知る権利のところでそう書いてもいいのではないか。最後で余り何とか何とか と書くよりは、かえって33ページの 3上にそういうようなことを書いていただいてもい いのではないかと思います。 ○石井(美)委員  丸山先生は「終わりに」ですか。 ○丸山委員  ただでさえ、注目されている出自を知る権利について、やっぱり思惑を 3の上に置く と、マスコミがいろんな解釈をしてくると思うんですね。だから、そういうのを避ける ためには、先ほど小林さんがおっしゃった全体の見直しがあり得る、必要性の高いもの として出自を知る権利なり、兄弟姉妹からの提供の問題を大きな例として掲げる方がい いのではないかと思うんですが。 ○石井(美)委員  マスコミはという点ならば、否定するものではないという考え方があったということ がわかるようにここに書いておいた方がいいのではないか。 ○丸山委員  そう思うでしょう。 ○石井(美)委員  はい。 ○丸山委員  この前の読売新聞のは、ないと書いてあったのですが、今度はあるというふうに書く でしょう。だけど、どちらにしてもまた議論する際の合意というのは難しいと思うんで すね。 ○吉村委員  これはちょっとわからないんですけど、文章形態として最も大切なのは「終わりに」 なんですか。 ○丸山委員  そんなことはないと思います。 ○吉村委員  例えば、そういうことを言い出すと、「終わりに」も随分私は意見を言いたいところ あるんですよ。 ○石井(美)委員  「終わりに」も大事ですから。皆さん、多分ここは確実に読みます。 ○吉村委員  遅くとも制度を3年以内に確立すると。それまでやってはいけないと言ったこととい うのはすごい大事なことだと思うんですね。だから、私だったら大事なことは前に言っ た方がいいと思うしね。この「終わりに」がそういう大切なものであるということがわ かるならば別にいいんですけど。 ○石井(美)委員  大変大事なことを言っているんですね。 ○吉村委員  大変大事なことを言っている。 ○中谷委員長  「終わりに」は総括ですからね。 ○吉村委員  総括という考えでいいんですか。 ○丸山委員  この1については、これまでのマスコミ報道はちゃんと目配りして、最後に書いてあ っても、ちゃんとここを押さえてあったと思うんですけど、だからどこに書いてあって も。 ○吉村委員  先生が読まれるマスコミの新聞と、皆さんが一般的に読む新聞とは違うんですよ。 我々は非常に混乱しているんです、今。先生はそう読まれたんですよ。先生は委員会に も出ておられるし、一般の人の新聞の読み方は全然違うんですよ。最後まで読まない。 ○中谷委員長  見出し。 ○吉村委員  見出しだけです。だから、そういうことというのは、現実面として医者だってそうな んです。医療側もそういう態度でありますから、その辺をはっきりと、いつも課長さん もそう言って見えるんです、記者レクのときには、でも、そういうふうには伝わってな いんです。 ○丸山委員  その点については、こちらが最初に書こうが最後に書こうが同じで、マスコミとした ら、ニュースになることを見出しにぼんと出したいので。 ○吉村委員  それだったら結構ですけれども。 ○石井(美)委員  初めに書くということはあり得ますね。以下の結論で法制度が何とかということをぼ んとうたっておいて、という形もあり得るとは思いますけど、みんなが確実によく最初 から。 ○吉村委員  もし、そういうことであるならば、先生、出自を知る権利については「終わりに」の 方がいいかもしれないですね。 ○丸山委員  と私は思いますね。余り今の段階で方向性を打ち出すものととらえられるような置き 方は避けた方がいいのではないか。 ○吉村委員  それはそれで結構です。 ○母子保健課長  「終わりに」のところに、今の部分を、将来の変更の可能性もあり得るというか、こ とも含めて、まだいろいろ意見があったということで、「終わりに」のところに入れる ということでよろしいですね。 ○石井(美)委員  1項起こして。 ○小林主査  一定期間、制度の運用を反映しつつ、再度検討を行うみたいな。 ○母子保健課長  再度検討を行うぐらいまで入れてしまう。 ○石井(美)委員  出自を知る権利について。 ○吉村委員  出自を知る権利に関しては、項目を1項入れる。 ○丸山委員  起こすんですか。 ○吉村委員  起こす。それは先生、今おっしゃったように、非常に出自を知る権利については注目 されているから。 ○石井(美)委員  それぐらいなら、こっちの33の「終わりに」でいいとおっしゃる、多分丸山先生は。 ○丸山委員  じゃあ、そうしましょう、「終わりに」。 ○小林主査  「終わりに」でいいのであれば、まず一般論として、今、制度の定着一定期間後に運 営状況を勘案しつつ検討すると書いて、特に何とかについては、本委員会でさまざまな 議論があったことから何とかということを書くという。 ○丸山委員  特に、シブリングからの提供ですね。 ○吉村委員  それはどちらでもいいです。けど、私たちの論文書くときのスタイルから言うと、初 めにそういうことを書きますね。 ○丸山委員  序文にでもいいんですけど……。 ○吉村委員  以下の項目については、意見の集約においては、今後見直す必要があるのでというこ とを初めに書きますよね。でも、違うんでしょう。後ろに書くんでしょう。 ○矢内原委員  それは後ろに書いてもいいんじゃないの。 ○母子保健課長  それは先生方の御希望で、前の方にちゃんとその条件とかをつけろということであれ ば、そういうふうにします。 ○吉村委員  それはどちらでもいいです。 ○高橋委員  私はそう思いますね。同意書とかいろんなこういうふうな法律とか規約は、私たちよ りも。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  事務局の方が。 ○母子保健課長  先生方の御希望によりますから、最初の方に書いて、ちゃんと条件とあれを前提にし て展開しろということであればそういうふうにしますし、最後のこういう形でよければ そういたします。御希望に沿った形でよろしいと思います。 ○吉村委員  お任せします。 ○母子保健課長  いずれにしても、今の部分の書き方はそういうことで、ここの 3の上ではなくて、 「終わりに」になるか最初になるかわかりませんが、そういう総括的な部分に一般論の 後に、特にという形で出自を知る権利についてはという形で入れるということで 、具 体的な案はまた次回示させていただきます。  ちょうど食事が来ましたから、一区切りいかがでしょうか。                   食事休憩                   再 開 ○母子保健課長  もしよろしければ始めたいと思います。  33ページの3番と5番、医療提供施設の指定と実施体制、公的審議機関と、終わりに ですね。ここまでまず議論していただいて、その上で、難問の兄弟姉妹の方に行ってい ただけるとありがたいと思います。  33ページの 3の医療提供施設の指定というところと、その後の体制整備、いわゆる提 供施設あるいは管理運営部門、審議機関について、割合簡略に説明の記述が書いてあり ますが、この程度でどうなのか。あるいはもう少し具体的にこの委員会として、もっと 詳しく規定するのだとかそういうことであれば、つけ加えていただければよろしいかと 思います。そのあたりを含めて御議論いただければと思います。  1点補足しておきますが、医療提供施設としてありますのが、この前、医療法上、病 院、診療所、助産所等が医療施設ということで申し上げたのですが、少し前に医療法が 改正されまして、「医療提供施設」というふうに変わっておりまして、医療提供施設は 現在の医療法上の定義になりますので、正確であるということと、表現上も医療提供施 設ですと、提供という雰囲気もあって、より言葉の響きもいいかなという感じでこのよ うにさせていただいております。 ○石井(ト)委員  医療提供施設の中に在宅も入ったのでしょうか。今ふと思ったんでけど。 ○母子保健課長  老人保健施設は入っておりますが。 ○石井(ト)委員  老人保健施設だけですね。 ○母子保健課長  在宅は特に医療提供施設ということでは。 ○石井(ト)委員  入ってませんね。在宅は医療の提供の場となっているというような、たしか条文ちょ っと見ましたが、あれは老人保健法に限定していたのでしょうかね。それだったらいい んですけど。 ○小林主査  定義は、医療提供施設、医療法の第1条の2の第2項のところにあるのですが、病 院、診療所、介護老人保健施設その他の医療を提供する施設。 ○石井(美)委員  その他も入っているんですね。 ○小林主査  医療を提供する施設一般ということですね。 ○母子保健課長  助産所を含むということ。 ○小林主査  ええ。 ○石井(美)委員  その他まで入っているのだとすると、余りこの言葉を使う意味があるのかという気 が。 ○小林主査  この言葉を引く必要ないかもしれないですね。医療機関とか、平たく言った方がいい のかもしれないですし。 ○丸山委員  提供、提供と出てくると、また提供というのが、私は気になりましたね。 ○石井(美)委員  課長さんは、提供は提供だからよろしいとおっしゃったけれども、提供というと、提 供する施設なのかなと思っちゃう。 ○母子保健課長  医療機関でも、もしあえて公的な規定が必要なければ、医療機関、健康保険法などで いきますと社会保険の指定医療機関ということになりますから、そういう形で医療機関 と呼ばれることもありますし、機関概念はもうちょっと施設よりも幅広い雰囲気はあり ますけれども、そこは……。 ○石井(美)委員  提供をとって医療施設でも構わないと思いますね。 ○丸山委員  五百幾つか施設はほぼ病院と診療所じゃないんですか。それをくるめて医療機関なり 医療施設と言っていいような気がするんですけど。 ○母子保健課長  それは厳密な意味でなくて、それで一般的にあらわすということでもいいだろうと思 います。 ○石井(美)委員  基準ではっきりどういうものということは定められるということになると思うんです ね。 ○矢内原委員  一番最後の丸の2行目に、公的審議機関の意見を聴いて定める指定の基準に基づいた 施設だけが行うことができるということなんでしょうけれども、もう少し具体的には書 けないんですか。 ○小林主査  指定の基準でしょうか。 ○矢内原委員  そうです。括弧内はいいと思うんですけど、オープンサークルの一番最後、だれが定 める。 ○母子保健課長  恐らくは厚生労働大臣が定めるという形になると思いますが、審議機関の。 ○石井(美)委員  審議機関そのものはそれを制定できるわけではなくてということですね。あくまで審 議だから。 ○母子保健課長  そうすると「医療提供施設」ではなくて「医療施設」がよろしいということでした か、「医療機関」。 ○矢内原委員  施設でいいんじゃないですか。 ○母子保健課長  医療施設でいいですか。提供をとって、医療施設ということで統一させていただきま す。 ○石井(美)委員  指定するのは、そうするとだれが指定するか。 ○石井(ト)委員  公的審議機関、この位置づけですと。 ○矢内原委員  国家の施設。 ○母子保健課長  厚生労働大臣が指定するという形になります。そこまで明確に書いてもいいと思いま す。ある程度、行政的には自明というか、その中でやっていけば、当然そのルールに従 ってということなので特には書いてないんですが。 ○石井(美)委員  でも母性保護指定医はあれですよね。あれは例外と言うべきでしょうか。 ○母子保健課長  そういうふうにした方がよろしければ。 ○石井(美)委員  いいえ、それはそうじゃないんですけど、そう書いてあって自明と言えるのかなと。 ○母子保健課長  そういう意味ですか。確かにそういったこともあるかもしれませんね。厚生労働大臣 を入れておきましょうか。 ○矢内原委員  国家で私はいいのではないかと思うんですけど。 ○吉村委員  国が。 ○母子保健課長  国が指定するですか。公的審議機関の意見を聴いて、医療施設として国に指定された ですか。 ○小林主査  聴いて、国が定める指定の基準とした方が。 ○矢内原委員  公的審議機関が基準を見たり、定めたり、調整したりするのかもしれないけれども、 指定した医療機関が、国が指定したということに。 ○母子保健課長  そうなるだろうと思います。都道府県知事にとかいろいろな形は理論的にはあり得る んですが、恐らく都道府県知事ということにはなりませんので。 ○中谷委員長  医療法というのは法律ですか。 ○母子保健課長  法律です。 ○中谷委員長  法律ですね。 ○石井(美)委員  この四角の囲みの中に書かなくてもいいかもしれませんが、そこがはっきりするよう に説明がなされている方がいいのではないですか。 ○母子保健課長  国というのが明確になった方がいいということですね。 ○小林主査  それは指定の基準を定めるのも書いた方がいいのか、両方書いた方がいいということ でしょうか。指定権者と基準の制定権者ですね。両方とも国が定める指定の基準と、下 は国に指定されたとか、国が指定する旨を囲みの中に書く……。 ○石井(ト)委員  基準というのは、産婦人科学会である程度基準を既に出ていますね。 ○矢内原委員  いわゆる体外受精をやるのはガイドライン的にこれだけは望ましいと書いてあるだけ です。 ○石井(美)委員  指定の問題と管理運営のところとの関係ですけれども、要するに審査したりなんかす るのはどこがするかですね。報告を受けてきちんとやられているかどうかというインス ペクションやなんかの制度もきちんとしないと指定する意味がないわけですね。そこの ところをどう担保するのかということがはっきりしないといけない。 ○吉村委員  例えば指定するのは国ではなくて、この公的審議機関が指定してはいけないんです。 そういうことはあり得ない。 ○母子保健課長  審議機関ですので、普通はないですね。 ○丸山委員  その意見のもとに、厚生大臣が医師免許の停止を命じるという…。 ○母子保健課長  形式上はあります。審議機関に諮問して、そこで意見を聞いてから決めるということ はあり得るでしょうね。ただ、実務上ガイドラインをつくって、要件が決められていれ ば、それに沿った形でやる方が実務的にはスムーズです。つまり個々の個別審査をする 実益があるかどうかということなんですが、それがあるのであればいいと思いますし、 なければ。 ○石井(美)委員  個別審査は必要なんじゃないですか。 ○母子保健課長  審議会対応ですか。 ○石井(美)委員  そのときもそうですけれども、それまで、例えば夫婦間のでも、どういうふうにやっ てきているかということがわかった上で、それの機関が第三者から提供されている生殖 補助医療も行える機関かどうか。単純なる基準を満たすという、それだけでいいのかと いうことは必要なんじゃないでしょうか。 ○母子保健課長  そこはいろいろあります。今おっしゃったようないわばフローみたいな部分ですね。 そこも含めて実態審査をかなりやった上で指定しろということであれば、それはそうい う指定の仕方の、指定要件ですから、公的審議機関でガイドラインをつくっていただい て、今おっしゃったような具体的な要件を定めていただいて、あとはどこがどういう形 でやるかということだろうと思います。それをその審議機関でいちいち全部やるのか、 あるいは管理運営機関のようなところが出て行って、実際にインタビューをしたりして 指定するのかという話だろうと思います。そこのところはどういうふうにやるか、テク ニカルな話ですのでお任せいただければと思いますが、要件として、どの程度の基準を 満たした上での指定の仕方をするかということが、この委員会としてある程度注文して おきたいということであれば、おっしゃっていただければと思います。  実務的にどこまでできるかという問題はかなりあるかとは思います。個々の施設にイ ンタビューまでするのはなかなか大変かと思うのですが、日本の状況ですと。ただ、そ こまでやれとおっしゃるのであれば、なるべくそういうふうに行政としては努力するこ とになると思います。通常は医療機関の指定なども、医療法上の医療施設の指定です ね、基本的には書類審査でやっていますので、必要なときにはもちろん立入り権とかい ろいろあります。監査、監督を含めてですね。 ○矢内原委員  そういう意味では、(3)と(4)を入れ替えた順番の方がいいのではないですか。機構を 先に説明して。 ○高橋委員  私も管理運営機関が先にあって、その中に審議機関というのが附属してあるのではな いかと今まで思っていたんですけれどもね。 ○母子保健課長  入れ替えても結構です。 ○矢内原委員  こういうことには審議機関があって、こういうことには管理運営機関を設けることが (4)に出てますでしょう。だから、(4)を先に話して、大枠を見せて、それでそれぞれの 役割を説明したらいいと思うんです。 ○母子保健課長  それでは順番を入れ替えるということでよろしいでしょうか。 ○吉村委員  公的審議機関がガイドラインをつくると、こういった指針に従ってやってくださいと いうガイドラインをつくると。これは私はいいと思うんですけど、この運営機関が、例 えば記録の保存であるとか、そういう事後処理だけをするということは非常に大きな問 題があるのではないかと思うんですね。書類審査と今おっしゃったけれども、これは書 類審査で済むような問題ではないと。やっぱりその辺はちゃんと、もちろんインスペク ションも入り、そして認定するときにもちゃんと認定をする。公的管理運営機関がやる かどうかわからないですけれども、そういうようなことはやっぱり必要に、書類審査だ けだと、たくさんの医療が 200施設、 300施設という施設ができてくると。そうすると そのガイドラインが守られているか守られてないかもわからないという今の実態のよう な実態になってしまうのではないかというおそれがあります。 ○矢内原委員 管理運営機関がその中に調査機関を当然設けてくるのではないか。 ○中谷委員長 そういうことですね。 ○矢内原委員 大きな機関としては審議して、大まかなガイドラインをつくる。それを実行部隊とし て行う管理運営機関があって、そこにインスペクションだとか認定だとか、管理……。 ○吉村委員 これは一言も認定とは書いてないですね。 ○石井(美)委員 運営機関を設けたらやっぱり認定制度にしないと。 ○中谷委員長 公的管理運営機関だから。 ○吉村委員 内容的なものを見ましても、管理運営というのは、要するに認定された後の管理運営 を行うというような感じですよね。 ○母子保健課長 この前の事前審査みたいなものも当然入ります。ここにあえて、余り監査とかそうい うものを書いてないのは、今想定しているのが、あくまでも想定ですが、成育医療セン ターのような出先機関になりますので、そこにどこまでの権限を持たせられるかという テクニカルなことも含めて、実務的な部分でそこまで踏み込んでおりません。いずれに しても、公的管理運営機関がやるかあるいは本庁そのものがやるか、つまり厚生労働省 の内部部局からじかに出て行くような形をとるということももちろん理論的には考えら れるわけです。この委員会として何をどこまでチェックしろと、事前、事後、指導監 査、指定時のインスペクションも含めて、最初に現場に行ってインタビューも含めてや れとか明確にしていただければ、それを受けてどういう組織体制でやるかが、おのずと 決まってくるだろうと思います。実際におっしゃられたことが全部できるかどうかは、 人員配置上の問題もありますので、 100%お応えできるかわかりませんが、基本的には それに沿うようにやっていきます。 ○吉村委員  もちろん課長さんのおっしゃることは非常によくわかるのですが、こうなると指定を どういう形で指定していくかということが非常に難しくなるんですね。書類審査だけだ と、またAという病院がどうしてよくて、Bという病院がどうしてだめかと。例えば100 施設が応募してきたとしましょう。この運用が本当にうまくいくかどうかということは そこにかかってくるのではないかと思ったりするんですね。ですから初めは非常に厳密 な審査をやるべきなんではないかなと。だから、これは審査の過程がないわけです。 要するに指定された機関がどういうような管理運営をしていくかということに対して は書かれているのですけれども、エントリーを皆さんしなさいと。エントリーはされた けれども、エントリーした後のフォローはちゃんとやっていきますよということはわか るんです。エントリーの過程が非常にここでは出てないのではないかと私は思います。 ○丸山委員 これから決める、公的審議機関で。 ○吉村委員 余りそういうことに対して、多分介入をされたくないという意思も働いているのだろ うと、私はそれも非常によくわかるのですけど。 ○母子保健課長  そういうことではないのですが、かなり実務的な話になりますので具体的に御指摘い ただくのは非常にいいと思いますし、それを受けて我々はやってまいりますが、どこま で担保できるかということが必ずしも明言できないということです。 それから、どこがやるのかという部分は、例えば公的審議機関がガイドラインをつく れば、そのガイドラインに従って必ず何かをやるわけですね。ここでは公的管理運営機 関の方でやる業務を、最後の丸のところで、35ページ書いてありますが、公的管理運営 機関だと実務的にはこんな感じかなということで書いてあるわけですが、いずれにして も指定そのものについてはガイドラインをつくってやることになるので、指定の仕方と して、これだけの要件を最低限満たすべきだという形で書き込んでおくのであれば、こ れは2つ目の丸か真ん中かわかりませんが、書けるだろうと思います。それを実際にど の組織でどうやるかという辺は多少幅を持たせて置いていただいた方がいいのかなとい うことです。 ○矢内原委員  今の段階では幅を持たせて置いておいた方が、今後細目ができたときに、それを当て はめていけばいいので、今決めてしまうと、余り細かいことを決めないで、こういう権 限があるのだよということを言っておけばいいと思います。 ○母子保健課長  今おっしゃった、特に気にされている指定の段階でどうやって指定するのかが大事だ というお話ですが、それはもっともだろうと思いますし、肝心なことだろうと思いま す。ただ、その部分であれば、医療施設の指定の部分で、指定要件としてどういうこと があるかという形で言っていただいてもいいのかなということです。ここでは現在の案 ですと33ページから34ページにかけて、一定の水準だというように極めて漠としか書い てないわけですね。細かなことまで書いていない。34ページの1つ目と2つ目の丸の部 分では、いわばソフト的な側面のことなども含めて書いている。  いずれ後に審議されますので詳しくは書いておりませんが、この委員会で先生方のお っしゃる、最低限これとこれだけを押さえろというものがあれば、ここの中に書き込ん でおいて、今後審議会等で議論していただくときに、その中身が盛り込まれるように、 この報告書は構成できるのではないかと思います。 ○矢内原委員  審議会が定める要件を満たしという程度でいいのではないかと思うんですよ。その内 容はここに盛られていることがこれから定まっていくことによって変わってくる可能性 がありますから、余り細かく今決めない方がいいと思うんですね。 ○丸山委員  精神病院については、国から実地監査来ますね。このようなことは、精神病院は特殊 に人権にかかわるから行われるということで、通常の医療では余りなされていないとい うふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○母子保健課長  精神保健福祉法での規定ですので、精神障害者を扱うということでの特別な規定にな っています。 ○丸山委員  ですけど、形式で言うと、この点についても、さっきの親、子の地位などは民法の中 にも入るのでしょうけれども、この体制については、私自身イメージわかないのです が、法律をつくるのですか、基本的なところ、あらましについては。 ○母子保健課長  法でいろいろ禁止規定をつくる、あるいは体制についても、どこまで言及するかです が、一定程度枠組みをつくることになると思います。 ○丸山委員  それなら同じように、精神医療とは異なる面ではありますけれども、新たに生まれる 生命の保護という点で、それにかかわる医療を行う医療機関に実地監査を行うという定 めを置いてもいいわけですね。 ○母子保健課長  それは結構です。それがこの医療提供施設の指定基準の策定を、この公的審議機関に やってもらおうという構成になっているわけですが、要はその中身をどこまで、この専 門委員会の報告書の中に書き込むかです。つまり実地の監査を行うとか、事前の施設の 指定に際して実地に行けとか……。 ○丸山委員  私のイメージしているのは、指定は指定でまた2年おきなり5年おきなりにすればい いわけですね。その後、毎年都道府県で1施設なり2施設なり抜き打ちに選んで見に行 くといった体制もある。モニタリングの必要もあるのではないかということ。 ○母子保健課長  先生方がそういうことが必要だということであれば入れていいのではないかと思いま す。要するに実態上、どこまで必要かという御意見を出していただいて、ここの中に書 き込むことがあれば。 ○石井(ト)委員  例えば34ページ、3行目、医療施設は、「必要な一定水準以上の人材、施設・設 備」、そういう項目ですけど、人材といいますと、だれとだれがいるべきだとか、そう いう形でとれるのですけど、質といいますと医者の質ですよね。「一定水準」というこ の意味なんですけど、例えば学会では、顕微授精するときには、体外受精の出産例がな ければできないという条件があったような気がするんですけど、そういうような形で、 医師の技術の質を何らかの形で決めるとか、それから、あと人材というところに、例え ばカウンセラーの役割を担う人がいるとか、そういう形の条件づけをして、指定機関を 定めるというところのレベルでよろしいわけですね、指定というのは。 ○母子保健課長  今おっしゃったような、人材の種類といいましょうか、どういうマンパワーについて 規定するかという話も含めて、公的審議機関なり、審議機関は制度が動き出してからを イメージしていますので、法律をつくる過程で、また専門家に集まっていただいて、指 定基準についても議論していただくことになるだろうと思います。 ○石井(ト)委員  ここでは別に、この委員会では別に問題はないわけですか。 ○母子保健課長  委員会として、これとこれだけは必ず入れておくという具体的なものがあって、この 報告書の中に書き込んでおかないとまずいということであれば、それを言っていただい て書き込むということになりますが、なかなかそこが難しいかなと思うので、こういう ふうに漠然と書いています。 ○矢内原委員  案目を挙げるのはそんなに難しくないと思うんです。例えばカウンセラーがいると か、エンブリオロジーが要るとか医学水準が一定であればいいとか、幾つかあります ね。それは挙げてもいいんですが、私はもっと深いものになるのではないかと思うんで す。そのくらい挙げるのだったら、どこでもあると思うんです。カウンセラーの資格の 問題は別として、?アンジェーソンだけでいいのかということになってしまうので審議 会で決める、このドネーションに関してはもっと厳しいものになるのではないかと思う ので、それは次のステップに委ねていいのではないかと思います。  これだけあればできるのかというような形でいますから、一体どのくらい施設がいる かという、先ほど質問があったんですけれども、これは今厚生科学研究の方で、ドネー ションがもし行われるとしたら、どのくらい患者さんがいますかという調査項目をつく ったんですね。その回答が来年早々に出てくると思うので、そうすると大体必要とする 患者の数がわかってくるのではないかと思いますから、余りここで今細かく決めてほし くないような感じします。 ○石井(ト)委員  だけど保障するために、専門的な立場でこれだけは入れてほしいというのを求めてい るわけですから、それでも出ないですか。 ○矢内原委員  それは入れた方がいいですか。カウンセラーがいなければいないとか、エンブリオ、 そういう細かいことまで書いたら、今挙げるようなことはどこの施設でも、大きな施設 だったら持っているところがほとんどだと思うんですね。 ○母子保健課長  事務局としても多少詳しく書こうかなと思ったのですが、結局よくわからない部分が あったのです。今、矢内原先生がおっしゃったように、一体どういう基準を満たしてい ればいいのか。意外とこの施設はそんなに高度な多くの設備を有するものでもない、通 常の高度医療に比べて。技術が大事であと一定の設備があればいいわけですので、余り ここに事細かに書く話でもないという感じがしたわけです。  あと、人材に関して、カウンセラーの問題とか実体的には必要なものがあると思いま すが、それもあえて書かなかったわけですが、書いた方がいいということであれば、書 くのに全く問題ありません。バランスの問題だけですので。 ○矢内原委員  今、カウンセラーでも、どういうものをカウンセラーにしたらいいかというような決 めがありませんから、どこが認定するとも決まっていませんから。自称カウンセラーは たくさんいるわけです。 ○吉村委員  そういうのは無理ですよね。 ○母子保健課長  そこはなかなか具体的に書くのは難しいので、比較的ここは包括的に書かせていただ いたというのが実情なのですけれども。 ○石井(美)委員  カウンセラーの点はかなり、前のところよりあいまいになってしまっていると思うん ですね。この医療の中ではカウンセラーの位置づけはかなり重要で、現実にどこまで得 られるかわかりませんけれども、なるべく3年間で有能なるカウンセラーを養成してい ただくということ重要だと思うので、そういうものを養成する必要がある。それには自 称ではなくて公的なものが認めるようなカウンセラーというものが設けられるというこ とをはっきりして、そういう人が用意されている。そういうことが必要なのではないか と思うのと、今、課長さんがおっしゃったように、ある意味でどこでもできてしまうか らこそ、厳密なる審査をして認定する必要があるのではないか。 ○矢内原委員  今書いてしまうと、それをクリアーすればいいと思われると困るんですね。もっと高 いところにハードルを置くためには、今提示しない方がいいのではないかというのが私 の意見です。 ○石井(美)委員  私は、だから厳密なる審査の上で指定するということをはっきりさせた方がいいので はないか。基準を簡単にクリアーすればいいですよということではなくて。 ○吉村委員  私もどういう項目を書けなんていうものは不可能なんですね。公的審議機関でちゃん としたガイドラインをつくっていただければいい。だから、公的審議機関のガイドライ ンをクリアーすればいいんだと、それは書類だけでいいのだということではなくて、要 するにこういったガイドラインをクリアーし、なおかつそれをだれが認定するのだとい うことがわかればいいということを言っているだけです。  だから内容については言うこと何もないので、このままで結構です。 ○石井(美)委員  丸山先生がおっしゃったように、後でもちゃんと審査というか、調査が行われるとい うこともはっきりさせていただいた方がいいのではないかと思います。 ○矢内原委員  報告の徴収や徴収した報告の確認。 ○丸山委員  それでは係官が行かないと。行くことが制度化されておれば、さっき吉村先生がおっ しゃった 100も 200も指定を受けるようなことはないと思うんですね。来られてはちょ っということで、セーブされるというか、自制がかかるのではないかと思うんです。 ○母子保健課長 例えば33ページの 3で、実際には 4になるのですが、これをもしあれでしたら、「医 療施設の指定及び監督」などにするのですか。今言われた趣旨を表現するならば。 ○丸山委員 6月6日のたたき台の表現には入っていましたね。 ○母子保健課長  「指定及び監督」というところに、ここを変えさせていただいて。 ○矢内原委員  「調査」という言葉も入れたらどうですか。指定を満たしているかという調査。実地 の調査、つまり立入り調査をする権限まで持っていますよという。 ○丸山委員  それが監督。 ○矢内原委員  監督の方で。 ○丸山委員  ええ。 ○矢内原委員  審議の方ですか、今話しているのは。 ○母子保健課長  もしそういうことであれば、ここの指定・監督ということで、施設に対してどういっ た基準というか、要件なりあるいは監督をするかということをここで書けばいいわけで すので、先ほどの1つ目のところはこういうことですけれども、人材の中に、最低限公 的カウンセラーを有することという必要であればその文言をここに入れればいいと思い ます。 ○吉村委員  それはカウンセラーももちろん物すごい大切ですけれども、公的審議機関のガイドラ インをつくるときに完全な必要なことですので、それを書き出すといろんなことを書か なくてはいけないです。 ○矢内原委員  公的カウンセラーが、今、存在しますかと言われたらしないんです。 ○吉村委員  しないんですから、それは書かないで、今の「指定・監督」とかと書けば、私はよろ しいのではないかと思うんです。 ○矢内原委員  もしそこの中に、前の34ページの上の方に書いてあるんですが、厳しい条件を課した 上で、AIDだとか提供のことだけ、えらい厳しいなんて書いてありますけれども、そ ういう形容詞を1つつくればどうですか。「一定又は十分な基準を満たした施設を認定 し」ということを。 ○母子保健課長  抽象的な意味では、1つ目の丸にそれなりには「副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の 損傷の危険性等の身体的リスクを与えるものであるため、生殖補助医療を行う医療提供 施設は、生殖補助医療を的確に行うために必要な一定水準以上」と書いてあるのです が、これにもしあれでしたら、そういう精神的な問題があるとか、しかし、それを、上 が技術で3つ目の丸で書いてあるのですか。 ○小林主査  もしかしたら矢内原先生のおっしゃっていることと違うのかもしれませんが、説明の 一番最後の丸のところで、2行目に「公的審議機関の意見を聴いて定める指定の基準」 となっているのですけれども、「定める」の後に、「定める医療施設における人材、施 設・設備に関する指定の基準」とか入れるとか。 ○吉村委員  それよりは課長さんの意見の方がいい。例えば、身体的リスク〜一定の基準を持って いると、医療面のことを言っているわけですね。それから、精神的なケアな面をそこで 入れる。 ○母子保健課長  カウンセラーが必要ならそこで入れる。そういうふうにした方が、実は3つ目の丸と いいますか、「その際」以下が、そっちの方の配慮が実は書いてあるんですね。書きぶ りが上と違うのですが、「その際、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受 ける人又は当該生殖のために精子・卵子・胚を提供する人が具体的にそうした条件に合 致する人であるかの判断は〜」ということになって、ここでいろいろそういう判断も含 めてやっていかなくてはいけないということが書いてあって、いわば、こちらがそうい う第三者の配偶子を扱うというのにふさわしい施設である条件をこちらで書いているん ですね。上の方は医療なんですね。  ただ、吉村先生がおっしゃっていただいたように、そういう心のケアの問題も含めて 行うというのを、この医療の方に書いて、それにふさわしい一定水準以上の人材、施 設・設備とやることも可能だろうとは思いますので、それでよろしければ、その部分は つけ加えさせていただきます。医療内容として、そういう部分が当然含まれるべきだと いうことをまず言った上で、あとは秘密の保持とかいろいろ第三者のというところに着 目した形の、次の次の丸のところで記述しているということでもよろしいかと思います けれども。  石井先生が言われたような、カウンセリングは当然必要なんだというニュアンスが出 るような記述ということで。 ○石井(美)委員  そうです。そこまでは無理かもしれませんが、カウンセリングというのは、十分に理 解するだけではなくて、先ほど田中先生がおっしゃったように、ずっとやりとりしてい る中で、最終的には子どもの幸福にかなうような人だけが残っていくと言われたのです けれども、だれも子の幸福について判断しない。つまり医療施設が行うところで、その 子どもの福祉が担保されるわけなので、そこのところが確保できるような施設であると いうことが必要なのだと。 ○石井(ト)委員  カウンセリング体制の視点から作成した私の資料で説明させていただきます。一応カ ウンセリングというところで指定医療施設、これを審査機関が基準を決め、物的・人的 なものでということで、中央管理機関がいろんなデータの中央管理、それもどういうふ うに管理されているかという形で、どういう機関がわかりませんが、審査機関が審査に 必ず入る。  かつて話題になりましたけど、個別的な状況の審査する運営委員会としての委員会が 結成されて、なおかつそれも審査する。そういう組織図が必要かなと思ったのです。そ れで、カウンセリングも当然その間にこういう形に来まして、カウンセラーする人には 必ずスーパーバイザーが来てその質を保障するという形をちょっと書いてみました。  次に2ページに、「英国に習い次の内容の『カウンセリング』としての機能を持つよ うにする」ということで、「意義的カウンセリング」というのは、まさに先ほど石井 (美)先生がおっしゃったような形で、選択、最初の治療を受けるかどうかというところ を併せて、これは利害関係が伴いますので指定の医療施設とは独立させる。  「治療的カウンセリング」というのは、具体的な検査やいろんな治療方法、そういう ところを医者も当然するのですけど、補足することがたくさんありますので、これは指 定医療機関でも構わないと思うんです。  「支援的・情緒的カウンセリング」といいますのは、これも併設でも可能だと思いま すが、これもまた別個で必要かもわからない。というのは、途中で失敗したりとか奇形 のお子さんが生まれたとか夫婦のトラブル、そういうところで、これは30年、40年継続 したケアが必要だということを言います。そういうことの内容を含めた形のことも必要 かと思うんです。  これは全然新しいことなんですが、「遺伝的カウンセリング」ということで、これは 生殖技術に抵触した感じで、もしかしたら、そういう内容の知識も必要になってくると いうところです。  このようにまとめさせてもらったのですけど、これがカウンセリングの位置づけをき っちりとどこかで入れていただくと私は大変ありがたいと思っているわけです。 ○小林主査  (7)の「カウンセリングの機会の保障」のところで、そういう形で、カウンセリングの 種類は分けてないですけれども、カウンセリングを行うべき、行う者として、生殖補助 医療を行う者とか、提供者の場合には提供を受ける医療機関以外の専門団体等により認 定等を受けた専門知識を持つ者が行うというふうに言ってはいるのですが。 ○矢内原委員  「カウンセリング」という言葉は、定義とか資格はともかくとしてどこかに入れた方 がいいですね。カウンセリングのシステムを導入しなければいけないという言葉を、こ の機構の中に。「カウンセリング」という言葉はどこにもないので。 ○中谷委員長  非常に重要な問題で、委員会ではたびたび問題にしましたよね。 ○矢内原委員  「カウンセリング」という言葉をこの機構の実行の中に施設でもいいですし、そこに 行く過程でもいいですし、第三者、今、石井(ト)先生言われた第三者のしれでもいい けれども、とにかく患者側からの要望を聞き、患者側に説明をするというカウンセリン グの体制という言葉がどこかにあった方がいいですね。それをここの後ろに入れる。 ○小林主査  よろしければ、先ほど課長が言ったかと思うんですが、34ページの一番上のところ に、十分な説明やカウンセリングを行うことが必要であるからという理由を1つ加える と。 ○矢内原委員  どこかに入ればいいんです。 ○吉村委員  一番上のところに加えるか、丸の結局は3番目になるのか、「その際」の中に加える かどちらかですよね。 ○小林主査  「その際」のところは、これは大枠で示しているので、それが目だしでは出てこない のですが、つまりそういう条件、カウンセリングもちゃんと行わなくてはいけないとい うものを適切にやれる機関でないとだめだということを言っているんですね。 ○吉村委員  だから、一番上がいいのではないかと思うんですね。 ○小林主査  それでよろしければ、そういう形で1つ書き加えます。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢内原委員  この間の根津先生の手紙を読んでいて、ああ、なるほど、根津先生側から見れば、そ ういう訴えもあるなと思って、いわゆる患者さん側の立場に立って、ちっとも言ってな いのではないかという指摘が彼なりに書いてあるんですね。ですから、ここでチャンス というか、そういうものもカウンセリングの中に入っていますよと。医療施設側がエデ ュケーションするだけではなくて、説得するだけでなくて、患者側からの訴えも聞くと いう、相互の会話がある場所がカウンセリングだというニュアンスを入れていただけれ ばと思います。 ○母子保健課長  丸山先生がおっしゃった、実地の施設に定期的に監査するとかそういうお話ですが、 もし必要でしたら、ここの5つ目の丸に、例えば医療の実施状況について、定期的な現 地調査を行う等の審査が必要であるというような感じのことを入れるということで。 ○丸山委員  それはそうかもしれないけれども、やっぱり時の流れというのがあって、最初に指定 やって、あと実績があって、それを審査する、モニタリング。 ○小林主査  今ちょっと言っていたのは、ここのところで「指定及び監督」として、今、囲みの中 に1個しか丸がないのですが、もう一個、国は指定された医療提供者について定期的な 監督を行うということを入れると。説明も適正に行う必要があるからと指定したものと ……。 ○吉村委員  余り「国は」と言わない方がいいのじゃない、その四角の中に。 ○中谷委員長  何かそんな感じですね。 ○吉村委員  「国は」というと、それだけで、新聞の見出し見え見え。だからやめておいた方がい いと思うけれども、せっかくだから。だから丸ポチで、時に監督も行うとか、後日監督 を行うとかと書いておいた方がいいと思いますよ。 ○小林主査  指定した医療提供施設については監督を行うとか。 ○吉村委員  適宜監督を行う。 ○小林主査  適正な運営……。 ○吉村委員  行われているかどうか。 ○矢内原委員  適正な運営が行われているかどうかの監督。 ○吉村委員  国がまた何かするのだというので、また書かれますよ。 ○小林主査  囲みの丸、ここのところで「国が指定の基準を定める」とか「国が指定した」という ふうに入れるとおっしゃったんですが、これも同じ。 ○吉村委員  このままの方がいいんじゃないの。 ○小林主査  そうですか。入れない方が。 ○吉村委員  私はそう思いますけど、指定されたと、どうですか。 ○中谷委員長  主体がない。 ○矢内原委員  罰則を伴うからね。 ○吉村委員  そうですか。まあ、いいですけど。 ○中谷委員長  主体がなければ困るのではないですか。 ○吉村委員  わかりました。 ○丸山委員  先ほどおっしゃった5つ目というのは、解説の方の5つ目ですね。 ○母子保健課長  そういうことです。 ○丸山委員  それで、小林さんのおっしゃった方は囲みの中の2つ目ということで、両方を……。 ○母子保健課長  要は書き方の問題で、実体上は指定医療機関がやるのだということなんですね。指定 医療機関がやるということを、まず囲みの中で語って、その内容を担保するために指 導・監督なり何なりがあるわけですので、説明のところに書けばいいのかなというのが 私の印象なんですけれども、実体的に指定しただけで、あと、どうやるのかわからな い。確かに問題なんでしょうが、指定した以上は、説明のところでそういう定期的な検 査も行うということを書いておけば足りるのではないか。 ○中谷委員長  許認可機関みたいなものが欲しいわけですけど、許認可機関が行政機関なのか何なの かその辺のところも。 ○母子保健課長  許認可機関は行政ですね。実行上、成育医療センターから人が出ていくのか、厚生本 省から行くのかわかりませんが、何らかの形で指定をするのだろうと思います。 ○中谷委員長  イギリスなどのオーソリティというのはちょっと違いまして、国の行政官ではないん ですよね。 ○母子保健課長  第三者機関として全く独立して大きな組織をつくれば別ですけれども、なかなか日本 はそこまでちょっと……。 ○矢内原委員  HFEAみたいのはできませんでしょう。 ○母子保健課長  難しいと思いますね。 ○矢内原委員  英国のHFEAみたいのはできないでしょうと、今それを伺ったんですけれども。 ○中谷委員長  できないですかね。あれはお医者さんが何人かといろんな……。 ○矢内原委員  審議会がそういう形でできるのではないですか。審議会ができて、実際に運営する、 この間、マッカーシーさんは国家公務員だそうですからね。HFEAの運営の方をやっ ていますよね。 ○中谷委員長  行政官。 ○矢内原委員  行政官ですね。 ○母子保健課長  さっきの33ページの(3)が(4)にかわって、指定のところはとりあえず指定のままにさ せていただいて、5つ目に丸を1個加えて、医療施設の実施状況について定期的に施設 における調査を行うなどして、その状況について監督するという趣旨のことを5つ目に 入れておくということでよければ、ちょっとすっきりはするかなと思うんですけれど も。 ○石井(美)委員  指定に当たっても実質的な審査をするということ。 ○母子保健課長  指定に当たっての実質的な審査、これはどこかに、そしたら……。 ○吉村委員  (5)の中に一緒に入れておいたらどうですか。 ○母子保健課長  指定に当たっては、これこれの調査……。 ○吉村委員  厳正な審査を行い、その後、定期的な監督をするという旨を書いておけばいいのでは ないですか。 ○母子保健課長  5つ目に丸書いて、事前の調査を行う。 ○矢内原委員  調査と指定と運用の監督。 ○母子保健課長  念のため申し上げますが、いずれにしても法律を出すことになれば、当然関係団体の 意見も聞きますから、例えば医療側からの反対も出るかもしれません。また、国会へ議 案を提出する過程で与党の審議を経て国会に提出して、野党の審議も当然あります。そ の過程でそこまで制限していいのかとか、いろいろなご意見が出ますので、いろいろと 先生方がここで言っていただいている事項については、精一杯我々は入れるようにしま すけれども、そのとおりにならないという可能性があります。それだけはご理解いただ きたい。 ○吉村委員  もちろん。 ○母子保健課長  制約的な規制をすることになりますので、今の規制緩和の流れとか、そういうものと の関連の議論も当然になされます。委員会としての御趣旨は報告書に入れて体現します が、そのことだけは御承知置きいただきたい。 ○丸山委員  先ほど石井(美)委員がおっしゃったのは、子どもの幸福、あるいは子どもの保護の 観点からの文言が弱いということなんでしょうか、私もその点気になって、今丸が5つ になったのですが、案で4つ丸があるうちの2つ目、34ページの5行目以降、見え消し の方、そこでこれだけ限定しているということが子どもの保護につながるというふうに はとれますか。もしとれるのであれば、この中に「子どもの保護」とか「子どもの幸 福」を何とか、何するためというのをうたったらいいかと思うんですけれども、そうで もない、ちょっと違うのですか、性格は。 ○石井(美)委員  いや、いいと思います。 ○矢内原委員  そういう子どものフォローアップは要らないんですか。福祉の監督だけでいいんです か。 ○石井(美)委員  それはなかなか難しいのではないですかね。 ○矢内原委員  かえって難しいですね。匿名ということを考えたら。 ○吉村委員  難しいですよ。 ○石井(美)委員  できればいいとは思いますけど。 ○矢内原委員  こういうしっかりした組織が結果として子どもの福祉のためになっているのだという 一文が入っていればいいということでしょう。そうですね。 ○石井(美)委員  それがまた逆に規制緩和に反するのになぜするかということの説明になるのだと思う んですけれどもね。 ○母子保健課長  何かいい文章があれば。 ○丸山委員  文章はともかく、2つ目の丸の中に子の保護、基本的な考え方に理念のありました ね。子の幸福を一番に考えるという、それを入れれば…。 ○小林主査  そうすると、「また」以降の文章で、「認められるべきでないことから」と、ここま で理由が書いてあって、前段の方の理由のところに、もう一個「子の福祉」というよう なことを入れる。 ○丸山委員  生まれてくる子の福祉を優先する観点からすると、不用意に利用されるべき技術では ないから、こういうのに限定されて使われるべきであると、最初の導入あたりに置いた らどうなんですか。 ○矢内原委員  おしまいに、こういうことをしなければ、子の福祉につながらない、とするとかどっ ちかですね、前か後ろ。 ○丸山委員  そんなに多言は必要じゃないと思う。「便宜的な利用ではない」という。 ○吉村委員  「便宜的な利用」の前でいいのではないですか。「〜範囲で行われべきであり、かつ 子の福祉を最優先するという観点から、その便宜的な利用は認められるべきではないか ら」になっちゃうのでおかしいね。 ○丸山委員  最初に、「また、子の福祉を最優先するという観点から、提供による生殖補助医療は 〜範囲で行われるべきであり」と、おかしいですか。 ○吉村委員  それでもいいですよ。 ○石井(美)委員  「〜認めるべきでなく、子の福祉の観点から〜」。 ○丸山委員  「子の福祉の観点から、その便宜的な利用は〜」。 ○吉村委員  「認めるべきでない」、切れちゃうんですね。これは長いから、そのぐらいで切って もいい。 ○石井(美)委員  そうするとここで切ると終わるんですね。 ○高橋委員  今のような趣旨を、後でよく考えて、文章に入れてもらった方がいいのではないです か。ここで、あっちこっち言っても。 ○吉村委員  そうですね。一番上の(2)はカウンセラーのことを入れるということですね。これでい いですか。 ○矢内原委員  できたら「終わりに」までやりましょう。 ○母子保健課長  もしよろければ、そちらの方も。 ○矢内原委員  「終わりに」は、一番最後にできてからやりませんか。今やっちゃいますか。 ○母子保健課長  どちらでも結構ですが。 ○石井(ト)委員  一番難問をやらないと、「終わりに」が違ってくるから。 ○矢内原委員  私もそう思うんです。 ○母子保健課長  そうであれば、難問の方に行っていただいて、まだ1時間ありますから。 ○石井(美)委員  ただ、1つだけさっき出てきたカウンセリングの体制を整備するということを1項起 こして書いていただいた方がいいのではないですか。 ○矢内原委員  書いてごらんいただけるようにしちゃいましょう。 ○母子保健課長  カウンセリングは34ページの一番上のところに、体の問題だけでなくて、精神的な。 ○石井(美)委員  「終わりに」の中に1つ起こして。 ○吉村委員  「終わりに」にも入れるということですか。 ○母子保健課長  「終わりに」に1つ丸を起こして、カウンセラーのことを。 ○小林主査  一応21ページの2つ目の丸のところに書いてあるのですが、「認定制度が創設され〜 育成が推進されることが望まれるところであるが」と。 ○丸山委員  それは書いてありますが。 ○母子保健課長  再度強調しておくようにということですね、「終わりに」。 ○石井(美)委員  望まれるだけでない。ちゃんとやってもらわないと困るというのがあるんですね。 ○矢内原委員  「終わりに」は、この次の最後でいいですか。付記のところで、1つ気になったこと があったので。 ○中谷委員長  何ページですか。 ○矢内原委員  41ページ、一番最後になりますか。「減数に当たって障害の有無や男女等により選別 を行うことは、論理的な観点から、行われるべきではない」と、そこに遺伝子診断とい うことを入れていただきたいんですけど、男女鑑別だけでなくて「遺伝子診断によっ て、減数児の選別を行うべきではない」、それが1つ。41ページの上に丸があります ね。 ○小林主査  場所はわかるんですけど。 ○矢内原委員  「施行前に遺伝子診断によって、減数児の選別を行うべきではない」とか「行っては ならない」。 ○石井(美)委員  それはできるんですか。 ○矢内原委員  できると思います、すぐ。 ○吉村委員  できますよ。やろうと思えばですが、カウンセリングがでしょう。医学的にはという ことですか。先生ができるんですかというのは。 ○矢内原委員  遺伝子学的にでしょう。 ○石井(美)委員  遺伝子診断はできると思うんですけど。どの胎児からとったということがちゃんと。 ○矢内原委員  わかりますよ。一番最初のときお話しました。 ○小林主査  「減数に当たって障害の有無や男女等により選別を行うことは」というところに遺伝 子診断というのを入れる。 ○矢内原委員  あえて障害の有無ということは、超音波によってもある程度わかる場合もあります し、それからもう少し遺伝子診断を加えると非常に細かいこともわかっちゃうので、減 数に当たって、または「遺伝子診断によって」でもいいですよ。「障害の有無」という ことは案外書かない方がいいのではないかと思っているんです。刺激を与えるのではな いかと思って。要するに遺伝子診断によって、減数児の選別を行ってはいけない。どれ を減数するかしないかという選別を行ってはいけない。 ○母子保健課長  丸を1つ追加しますか。 ○矢内原委員  追加していただければ、もっといいんですけれども。 ○母子保健課長  減数児の選別を遺伝子診断によって行ってはならない……。 ○矢内原委員  「遺伝子診断によって」、「遺伝子等によって」でもいいです。 ○高橋委員  将来の問題としてつけておいた方がいいということですね。 ○矢内原委員  「障害の有無」という言葉を外して、「施行前に当たって、遺伝子診断等により、減 数児の選別を行ってはならない」。 ○石井(ト)委員  「障害」をなくしていいんですか、先生。 ○矢内原委員  「障害」という言葉はかえって。 ○石井(ト)委員  だからもっと違った言葉で載せておかないと、必ずしも遺伝子診断だけでなくても… …。 ○矢内原委員  「遺伝子診断等」。 ○石井(ト)委員  「等」の中に入れるんですか。 ○矢内原委員  「等」の中に。遺伝子診断は当然障害とかそういうことですもの。 ○石井(ト)委員  そうですけれども。 ○矢内原委員  それから男女別。 ○小林主査  ちょっと違うのかもしれませんけれども、文にしていくと、「減数に当たって遺伝子 診断や男女等により選別を行うことは」。 ○丸山委員  「遺伝子診断等により」。 ○小林主査  「男女」はいいんですか。 ○矢内原委員  「遺伝子診断等により男女……」。 ○小林主査  「遺伝子診断・男女等により」ですか。 ○高橋委員  「遺伝子診断等」になるとおかしくなるのではないでしょうか。 ○吉村委員  「遺伝子診断や性別診断」だね。 ○高橋委員  それの方が。 ○矢内原委員  それによって、「減数児の選別を行ってはならない」。 ○丸山委員  性別は診断なんですか。 ○矢内原委員  診断ですね。 ○丸山委員  判定ではなくて。 ○吉村委員  性別判定でも同じですよ。 ○矢内原委員  もう一つ、これは希望なんですけれども、御議論いただきたいんですが、7.に「行 政、関係学会が行うべきこと」というのがありますね。丸1に「行政又は学会におい て、これをルール化することが必要である」、この中には多胎を起こした原因を明記し た報告書を提出させる。または、丸2の下のところに「報告させるなど」というところ に、ただ、やりましたという報告ではなくて、どうして多胎なり、どういう理由で減数 を行ったかという理由を明記し報告をさせるということを入れてほしいんです。原因及 び減数の理由。 ○小林主査  「多胎の原因などについて報告させる」。 ○母子保健課長  「多胎の原因」より、「減数の原因について」でよろしいですか。 ○矢内原委員  そうです。 ○母子保健課長  「制限し」の後に「多胎の原因及び減数の実施について報告させるなど、これらの ルールが適切に守られる体制を構築する必要がある」。それを加えて、1つ目の丸の方 は、何とおっしゃいましたか。 ○矢内原委員  それは1つ目の丸か2つ目の丸に加えてくださいということです。 ○母子保健課長  報告のところで、今言ったように、「多胎の原因及び減数の理由について報告させる など」。 ○吉村委員  次は「減数手術」の方がいいのではないか。理由だから。 ○石井(ト)委員  この減数に用語は統一したんですか、減胎とか。 ○矢内原委員  減胎でも減数でも。 ○石井(ト)委員  どうなんですか。統一したんですか。 ○吉村委員  どちらでもいいです。 ○矢内原委員  どちらでもいいです。 ○石井(ト)委員  イメージが随分違いますね。数を減らすと胎といったら胎児の胎ですから、より人間 に近い表現。 ○吉村委員  だから、多分減数になっているのだろうと思いますよ。 ○矢内原委員  生々し過ぎるから、正式には減胎なんだろうね。 ○石井(ト)委員  本当は減胎ですね。 ○吉村委員  英語で訳すと減胎です。 ○矢内原委員  減数手術の方、ずっと今まで言われつけていますね、何となくね。根津さんの本には 「減胎」と書いてあった。減胎手術の何とか。 ○高橋委員  今の矢内原委員の意見、これは希望とおっしゃいましたけど、やはり希望で私はいい と思います。医師会とか日母とか学会とか、そこまで限定して、必ず報告するというふ うに義務化させるといろいろと反対意見が出てくる可能性が強いのではないかと思いま すね。どういう原因でなったか、それをどういうふうにしたか、それをすべて報告せよ というと、どの程度まで、それが正しい報告になるか、はっきりしないし、またそこま で施設を制限するというといろんな議論出ると思います。 ○矢内原委員  施設の制限ね。 ○高橋委員  ですから、それはあくまで要望とか希望のような形式で文章に盛ってよろしいのでは ないかと思います。 ○石井(美)委員  ただ、原則形態は堕胎罪に当てはまる行為、それを……。 ○矢内原委員  ですから、今のあれはね。 ○中谷委員長  障害やなんかもあるんですか。 ○石井(美)委員  許されるとすれば、それなりの明確なあれが必要なのではないかと思いますけれど も。 ○高橋委員  でも、今の考え方は堕胎罪に該当するという考えもあるし、母体保護法の下で、これ は可能だという考えもあるわけで、それはいちがいに言えないです。弁護士会は堕胎罪 に該当すると言いますけれども。 ○矢内原委員  今のままではね。 ○高橋委員  そうです。1つの考え方の違いであって。 ○矢内原委員  母体保護法を今度改定の要望出していますよね。 ○高橋委員  改定しますからね。 ○矢内原委員  そうすると、それの中には入っています。 ○高橋委員  先生のおっしゃったようなことが盛られてきますから。 ○丸山委員  よしあしよりも、それもあるでしょうけど、多胎の原因を把握して、今後に役立てる というのもあった方がいいような気がするのですが、いかがでしょうか。 ○高橋委員  私はそれをだめと言っているのではなくて、それをすべてのところにこれを義務づけ るような形で、これは必要であるとか必ずすることと言っても、果たしてどれだけ正し い報告が送られるかわからないし、それから、いろんな議論の中で、今まで医師会、日 母、学会でもそうだと思いますけれども、そこまで報告させるのかという意見がかなり 出ると思います。 ○矢内原委員  「望ましい」と。 ○高橋委員  「望ましい」という形にして、必要であるとか……。 ○矢内原委員  それは書けるんですか。「望ましい」。 ○小林主査  言葉は。 ○矢内原委員  「望ましい」と。とにかくそれに触れていただきたいということですね。 ○高橋委員  そうですね。 ○石井(美)委員  「必要がある」だからいいんじゃないですか。現実にそうなるかどうかはわからない わけですけれども。 ○矢内原委員  「必要がある」ね。 ○中谷委員長  同じ減数でもアメリカとイギリスでは違って、イギリスの法律では「減胎」と「減 数」と区別するんですよね。フィチサイドというのは胎児に理由があってやる場合とた だ数だけ、やりやすいのを減数するというのと、アメリカは両方別に区別しない。 ○吉村委員  ファースト・トライメースターでやる場合はそういうことはできないです。セカン ド・トライメースターまでそういうことは可能かもしれないですけれども。 ○石井(美)委員  減数手術と言っているのは全然定義してないですが、いつまでにするとか、そういう ことは。 ○中谷委員長  いいんですかね。 ○丸山委員  議事録の中に書いてましたね。十何週か。 ○矢内原委員  12週。 ○吉村委員  ファースト・トライメースターだと減数としか言えない。 ○矢内原委員  すいません。付記だったもので、最後にネグられると困ると思って。 あと45分、頑 張りましょう。 ○吉村委員  これはどうやったらいいんですか。皆さんの意見を聞いた方がいいですね。 ○中谷委員長  減数手術に関しては、母体保護法との関係も何か言うんですか。 ○母子保健課長  一応、既に御議論いただいていて、こういう報告書案になっているんですが、まだこ れから必要があれば議論はするということで終わっています。どうするかご判断いただ ければ…。 ○矢内原委員  審議会の要望の中で、付記でいいのかというような質問がありましたね。 ○小林主査  別添にするのか、中に入れるか。 ○矢内原委員  中に入れるか、付記になっているけど、それでいいのかというのが質問にあったと思 いますね。 ○母子保健課長  一応あの時点では、第三者の配偶子の提供についてということを中心に議論している ので、これについては別添という形で、事務局としては一応案をつくりましたというこ とは申し上げておりますが、一応委員会の方に御報告しますと申し上げましたので、委 員会として御判断いただければと思います。 ○吉村委員  別添で、何となく違った感じしますものね。 ○母子保健課長  体裁としてはですね。 ○吉村委員  別添でいいのではないですか。 ○矢内原委員  私もそう思う。 ○吉村委員  それで構わないんでしょう。 ○母子保健課長  こちらは特に。このようなものでいかがかなということだけですので。 ○吉村委員  では行きますか。皆さんの1人ひとりのスピーチ合戦を言っていただけますか、2〜 3分で。その方が早いんじゃないですか、意見を。 ○母子保健課長  言っていただいて、それでもし可能であれば、今のところ、14ページの枠がございま すね。一応こういうことを前の段階では確認したわけですけど、当然変更があって結構 なんですが、これを例えばどうしたらいいとかという具体的な形での御提言も含めてい ただけると話が進みやすいかなという感じはするのですが。 ○吉村委員  辰巳先生から。 ○辰巳委員  机上配付資料の私の考えを述べさせていただきます。III−1−(4)になっているん ですけど、III−1−(3)から変えてしまおうと。  III−1−(3) 3精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持。  ○精子、胚を提供する場合には匿名とする。  ○卵子を提供する場合にも匿名が望ましいが、提供者が極めて少なくなることが予想 されるため、非匿名の場合も認めるものとする。ただし、非匿名の場合には、実施内 容、実施理由等を公的運営機関に申請し、事前の審査を受けなけれはならない。 このように変えまして、 4は全く削除してしまいます。  非匿名ということで、兄弟姉妹、そのほか、親戚、友人を一括して論じてしまいま す。これが私の案でございます。 以上です。 ○中谷委員長  ありがとうございました。 ○高橋委員  私は 3の提供する場合、原則匿名。匿名と限定しちゃうと、その次のことからのいろ いろな例外を設けなくてはなりませんので。   4は、私は今までこれだけ議論して、こういうふうにまとめたので、私はこれでいい と思うんですが、ただ、ここに※印で「統一的な結論を得るには至らなかった」という ことが書かれています。やはりこれを上部の団体に上げると、じゃあ、統一的な見解を 何とかしてつくって出してくれというふうな要望が出るのは当たり前で、柴田委員でし ょうか、部会長などからもそういうのが出てきたようですけれども、これはここの委員 会で多数決であれ、何であれ、とにかくある程度の1つのまとめた意見は出した方が、 私はこの委員会として責任があるのではないかと思うんです。こういうふうにすると、 向こうの部会で、勝手に決めてくれというふうな意見にもとられますし、こちらの意見 が全然反映されないで、さじをすべて向こうに任せるというのは委員会としては非常に 無責任な答申ではないか、私はそう思います。  以上です。 ○石井(美)委員  私はきょうの1枚、後から配っていただいた方に書いてあるとおり、基本的には 4が そんなに変わってはいないんですけれども、書き方がちょっと違っているというところ と、審査の中身としては、そういう判断が必要であるということと、兄弟姉妹に限るべ きではないかと思ったのは、親というのは同じ世代に限定した方が私はやっぱりいいの ではないかということと、友人まで広げるのはどうか。生体肝移植などでも、まずは家 族内という、そこのところがあるので、そこのところに限定するという方を考えまし た。 ○吉村委員  これはどうなんですか。「提供卵子による体外受精の実施が認められて、一定期間は 匿名の提供者確保のため、兄弟姉妹による提供は認めない」。 ○石井(美)委員  すぐにというと、まず実施されて、すぐ提供者が出て来るわけではないわけですか ら、そうするとすぐに兄弟姉妹いないからという形になってしまうのでは、いないから ということの意味がないのではないか。 ○吉村委員  わかりました。 ○矢内原委員  そうするとスタート反対ということですか。 ○石井(美)委員  なるべくならば、匿名の提供者の方がいいのではないか。 ○石井(ト)委員  提供卵子のことだけで、9月12日のときに、これについてディスカッションしたと思 うんですが、私はいなかったんです。それでお叱りを受けるような感じがするんですけ ど、私は精子、胚に関してはオーケイするんですけど、卵子につきましては禁じたいと いう気持ちがあります。兄弟姉妹を廃止してということが言われておりますけれども、 むしろ私は第三者による提供の方が危険であると。私の資料の2枚目に書いてあります が、なぜならば、商業主義になる危険性があると思っています。臓器移植とちょっと異 なりまして、「生体」及び「若年」という言葉は、高年、老年以外は、私は若年ととら えて書いているんですけど、多大な侵襲を加えることは倫理に抵触するということで す。卵子には限りがあり、無限ではないと。そういうところの問題もありますし、侵襲 的にいろいろな副作用の問題があるということで第三者は反対です。どうしても、他者 に危害を与えないという道義的な考えに由来しているということが根底です。  したがって、提供卵子が必要であるならば身内以外にないと考えています。 ○中谷委員長  何以外に? ○石井(ト)委員  身内。ここに書きました、母、伯母、姉妹に限定しという形で、私は運営倫理審議会 というのがつくられれば、そこに委ねたいという思いがあったんですけど、日本の今の 現状だと無理だろうということがありますので、ここである程度限定するならば、母と 伯母はちょっと厳しい。だから、私はこれは反対なんですね。だから、どうしてもとい うことであるならば姉妹だけです。姉妹だけということは前回も申し上げました。それ 以上は拡大したくありません。 ○石井(美)委員  提供卵そのものを否定する。 ○石井(ト)委員  否定しますけど、いたし方がないということであるならば、条件つきとして姉妹だけ ということです。  以上。 ○中谷委員長  私は単純明快、匿名性の原則を言う限りは兄弟姉妹からの提供は認めないと。 ○吉村委員  私は委員長と大体同じです。兄弟姉妹からの卵子の提供を是とすれば、法的な親子関 係が確定しえたとしても、近親者に遺伝的な親がいる。家族関係に第三者が介入した り、親子関係が複雑になり、その結果現在では予測できないようなさまざまな社会問題 が生じる可能性がある。  この医療というのは、新しく始める医療であるし、初めは匿名性でやる。そしてド ナーがなくなった場合に兄弟姉妹を考える。  特にまた私は初めから気になっているのですが、ドナーのカウンセリングが極めて大 切である。ドナーは、あの子は自分の子どもではないかと、必ず何十年たっても思って います。このカウンセリングが今の日本の状態においては全くできてない。こういった ものをやっていくというのは私は机上の空論だと思う。ですから初めは全くドナーの匿 名性、匿名のドナーによって卵子を提供受け、それがなかった場合には、将来的に段階 的に姉妹も考慮するということで、私は実施する際には、ある程度の実費と申します か、お金のやりとりはある程度しようがない。それでも初めは兄弟姉妹はやめた方がい いと思います。  という意見です。 ○矢内原委員  私は 4の兄弟姉妹からの提供は反対です。その理由は、きょうお配りした、少し誤字 がありますけれども、お読み取りいただけると思います。匿名性が保持されないという ことで。卵の提供も本当は反対なんですけれども、理論的には不可能、程度によってど こに線を引いていいのかということが引けませんから、加藤理論を崩すことはできませ んでした。したがって、卵のドネーションがあろうがなかろうが、希望者があろうがな かろうが、これを禁止するほどではないだろうということで、卵のドネーションまでは 認めます。胚もオーケイです。したがって 3はいいとします。  ただ、 4だけは基本概念の根底を崩すものとして反対をいたします。したがって、 4 の修正箇所はありません。 ○丸山委員  まず書面を用意してきませんでした。宿題を忘れたことのおわびを申し上げないとい けません。口頭で報告することをお許しいただきたいんですが、これまでも申してきた ことですが、私は第三者からの提供が原則だとは思いますが、兄弟姉妹からの提供も限 定的に夫婦の希望があれば、特に女性側の真意からの希望があれば認めてよいと思いま す。  それから、子の福祉に反しないということを事前に確保するというのは難しいでしょ うけれども、それが確保できる場合には認めてよいと思います。  匿名性との関係ですが、匿名性が不可欠というのは、第三者からの提供の場合で、兄 弟姉妹からの提供の場合は必ずしもそのことが妥当しないのではないかと思います。  条文の点では、この 3については、先ほどの高橋先生の御意見に近いのですが、「精 子・卵子・胚を提供する場合には」の後に、高橋先生の御意見は「原則として」だった と思うんですが、私の方は同じことなんですが、「次項の場合を除いて匿名性とする」 として、 4の方に参りますと、 4の2つの丸、内容的にはこれでよいと思います。  兄弟姉妹からの提供を例外的に認めると先ほど申しましたけれども、前回も出たと思 いますが、この 4の1つ目の丸の要件を適用していくと、精子については実質認められ ないということになりますから、結局卵子について近親者からの提供を認めると。その 範囲については、私は姉妹に限定すべきだと思います。ですから、 4の丸2つがそのま まの形で維持されればよいと考えております。  個人的な意見としてはそこまでで、説明を加えるとすると、※印以下を添えるという ことが望ましいかと思うんですが、これを添えることによって、我々の専門委員会の判 断が集約できていないということではなくて、 4の2つの丸の点までは、反対の先生も おられましたけれども、一応意見は集約できたと。しかし、それ以外の、そこに含まれ ない点としては、まだ意見がまとまらなかったことがあるという意味で、この※印がつ いていると。すべて丸投げで先端医療技術評価部会に判断を委ねているのではないとい うのを念を押しておいていただきたいというふうなところが私の意見です。  以上です。 ○田中委員  私も書式にしておりません、申しわけありません。  ほとんど丸山先生と同じ意見です。原則匿名、ただし、近親、血縁者からの場合は匿 名とならない。兄弟姉妹、 4ですけど、結果的には私はこれでいいと思いますが、少し 言わせてもらうならば、私は提供がある、なしにかかわらず、もし血縁者からの提供を 本人たちが十分なカウンセリングを受けた後、なおかつそれを希望した場合には、その カップルの意思を尊重したいと思います。ですから提供のソースがないからいいとか、 あるからだめとかということではなくて、そのカップルがドネーションを受けたい。ド ネーションが認められるのであれば、肉親、血縁、精子の場合は、私は父親のことをお 願いしたいんですけれども、そういう意思があった場合には尊重してあげたいと思いま す。  ただ、そう書くと問題があるということで、「兄弟姉妹等」という「等」の中にこの 気持ちを含んでいただければ、私はこの 4はそのままで結構です。  以上です。 ○中谷委員長  皆さんの御意見を承りましたが、2点ほど確認させていただきたいのですが、兄弟姉 妹からの精子、卵子・胚の提供を認めようという方たちの中で、「兄弟姉妹等」と考え ておられる方と、「兄弟姉妹」に限ると考えておられる方といらっしゃると思います が、田中委員は「兄弟姉妹等」とおっしゃいました。近親者を含むということなんです が、いかがでしょうか、ほかの方たち。 ○辰巳委員  友人も含みます。 ○中谷委員長  友人も含む、友人だけ。 ○辰巳委員  親族も含む。「等」です。 ○中谷委員長  「等」ですね。高橋先生もそうですか。 ○高橋委員  「等」です。 ○石井(美)委員  私は姉妹に限ります。 ○石井(ト)委員  私も姉妹です。 ○中谷委員長  姉妹に限ると。 ○丸山委員  個人的意見としては、先ほど言いましたように姉妹に限るのですが、まとめる案とし ては、これがいいと思います。 ○中谷委員長  「等」でよろしい。 ○丸山委員  現在の案がいいと思います。 ○中谷委員長  「兄弟姉妹等」からの提供は認めないという方たちも、卵のドネーションについては 別に反対ではないですね。卵の提供もだめですか。 ○矢内原委員  提供も反対なんですけど。 ○辰巳委員  私も反対です。それは反対なんですが。 ○吉村委員  丸山先生にお伺いしたいんですけれども、先生の御理論でいくと、精子に関しては、 これは兄弟からはやってはいけないんですか。 ○丸山委員  以前も出ましたけど、調達がほかの方法で不可能であればやって良い。 ○吉村委員  結論を聞いているんです。 ○丸山委員  実質、だからできない。 ○吉村委員  できないということですね。要するに精子はありますから、父親、兄弟からはやって はいけないということですか。先生は兄弟姉妹とおっしゃっているけれども、姉妹の卵 子と友人の卵子ということですね。 ○丸山委員  姉妹の卵子だけです。 ○石井(美)委員  あえて、これは全員一致のものとすれば、ここが最低限だから、これでいいとおっし ゃるわけですか。ただ、私はこれを見たときはかなり広く認めるという印象を全体に与 えますから、私はそれならば、下の方の丸で姉妹に限らず、こういう意見もあったとい うふうに書いた方が望ましいと思うんですね。ここの合意事項が最低限ラインだからと いう形で、一番広い範囲で書いてしまうということは適切ではないように思うんです が。 ○丸山委員  私も、今おっしゃる御理解だと「等」を外してもいいのですが、「等」というのは 何々何々で、兄弟姉妹と同じような性格の血縁者というふうに限定されるかなと思った んですね。解釈原理でそんなのなかったですかね。  ごめんなさい、ちょっと余計なことを。ですから「等」を入れることによって、親も いとこも広がるということであれば、取ることに異存はないんですが。 ○中谷委員長  取ることに異存はないということは。 ○丸山委員  取っても構わない。取る案でも、私は賛成します。 ○中谷委員長  「兄弟姉妹に限る」という表現でもいいと。 ○丸山委員  「兄弟姉妹以外に存在しない〜」でも私は賛同します。 ○高橋委員  私は「等」をつけて、「等」の方はできれば、余り勧めたくないんですけれども、そ れがなければ、別な、さらに近親者の別なところの人から受け取ることも禁止すべきじ ゃないと思うんです。それで「等」はつけた方がいいと思って、なおかつ枠外に、具体 的に記すべきだということは、私は記す必要はないと思うんです。なぜならば、お勧め できないものであるし、それを書くことによって、なるほど、こういうのはあるから と、こういうふうになりますので、ぼかしておいた方がいいんです。  それで問題が出てきたときには、いつも申し上げますけれども、公的な審議機関なり のところで、そこに登録することにより規制してもらってもいいと思うんです。  こういうふうな新しい、これからの医療は、どういう発展をするかわからないし、ま た、例えば友人とかで子宮筋腫でとられるけれども、そこから出る卵を提供するとか、 そういう場合もあり得るかもしれないし、いろんなことが将来考えられると思うんで す。それを規制するとすべてがそれができなくなる。  一方、外国ではどんどん規制の法的な問題はさておいて、技術面でそういうところか らのを培養して体外受精に使うものも出てくる。あるいはさらに別な新しい考えの下で 研究が進むというときに、こういうものが足かせになって、その研究がストップされる ことも私あり得ると思うので、ですからできれば規制というのは、規制でなく幅広い考 えの下で運用したい、私はそう思います。 ○矢内原委員  高橋先生に質問なんですけれども、厳しい審査を経てという場合に、ノーという、だ めですよということがありますか。 ○高橋委員  厳しい審査の場合は……。 ○矢内原委員  姉妹ですね。先生、卵ありませんと、ドナーを探してもいませんと。自分の担当の先 生に聞いてもだれもいませんと。それでは、姉妹がいますから、姉妹がくれると言って いますから、本人もいいと言っています。よろしいですか。ノーと言ってくることとい うのは、特別な商業主義が明らかなこととか、そうじゃないもの以外ないわけでしょ う。だから特例というのが、それは条例になってしまいませんか。それしかなくなって しまう。 ○高橋委員  ノーもあるのではないでしょうか。 ○矢内原委員  田中先生にもお伺いしたいけど、ノーというのはどういうときがノーになりますか。 ○田中委員  矢内原先生のおっしゃるのはよくわかります。私も一番最初言ったと思うんですけ ど、決してこういう治療というのは望ましい治療だとは思っていません。本来あるべき 夫婦の形態ではありませんし、親子関係の形態でもない。ただ、先ほど言いましたよう に、夫婦同士のものでないものを使うことを容認したという立場の上に立った時点で、 既にある程度の歪みというのはこの治療には最初から含まれているということは認めざ るを得ないと思います。  私は思うんですね。先ほど出自を知る権利ということにまた関連してくるんですけれ ども、子どもが自分のルーツを知ることがあったり、また、そういうことが起きる可能 性があるという治療の内容の中で、一番気になるのは、自分が一体だれの子か、ルーツ がわからないということと、また逆にルーツがわかるということと2通り、いい面もあ れば悪い面もあると思うんですね。  1つは、先生が懸念されているすべてがイエスとなるかどうかということですけど、 先ほど言いましたように、最終的に公的管理運営機関に申請して、事前の審査を受ける ということは十分な家族間ないしはカウンセラーですか、そういう第三者の下で話し合 いが持たれると思うんです。私の経験では、第三者なりいろんな人と話があって、そう いういろんなネガティブな情報を聞くと大半の人はしり込みすると思うんです。それで も身内がいいという人、そういう意味で、私はソースがあるからないからという理由に しなかった理由は、それでも身内がいいのだという人は審査に行くと思うんです。  そうではなく、ただ安直にほかがいないから身内からもらうという人は、いろんな将 来の出自のことだとか、そういうことがわかりますよとか、そういうことを言われる と、大抵、相方、夫が多分嫌がると思うんです。卵の場合は姉妹の夫ですね。  そういうことで、すべてが審査をしていく中で、絞り込まれていくと思うので、私は 最終的に一番上の決議機関に行くまでにはかなりのものが減ると。安易に兄弟姉妹から もらうということは私は増えないような気がします。 ○吉村委員  私は課長さんたちに非常に申しわけないとは思うんですが、日本の今の状況を見ます と3年後にカウンセリング制度ができるとは私は決して思いません。日本は時間、10 年、15年ときっとかかると思います。今、医療というものは、医療が進んだわけではな くて、バイパスをしているだけであって、これはないものをもらう医療で医学の進歩で も何でもないんです。  そういう場合に、ここで間違いをすると、私たちは20年後に本当に大変な目に遭うの ではないかと思います。卵子提供に関しても今の段階では認めざるを得ないと思いま す。だったら初めはドネーションでやって、それで集まらなかったらカウンセリング制 度ができるのを待って、姉妹という卵子を受け取っても、そういう段階的なものをやっ てもいいのではないか。私は卵子の提供は現実面においては兄弟姉妹でしかできないと 思っています。日本の状況ではドネーションはまずないでしょう。それはお金がからま ない限り、私はこれは初めから言っているんですけど、精子に関してはできるかもしれ ません。そしたらまず精子でやってみて、それから卵子に行ってもいいですし、そんな 一時に、今までやったことない医療、日本人が最もなれていない医療、隠しておこう、 隠しておこうという、生殖医療を受ける人間も、そういう状況にある状況の中で、すべ てを全部初めから認めてしまというのは非常に危険だと思う。  ですから、このままのとおりで行って、この※印だけはとって、この匿名性をまず守 るのだということだけ言ってくれれば、何も直さなくても、私はいいのではないかと思 います。  今、私たちが考えることは、これが正しいか正しくないかということではなくて、こ の医療が本当にできていくか、できていかないかということだと思います。それも我々 医療サイドもなれていない、患者さんもなれていない、第三者のカウンセラーもできて いない。この状況下の中で、兄弟姉妹を認めるということは本当に危険だと思います。 ですから私は兄弟姉妹を永遠にだめだと言っているのではなくて、そういう土壌ができ たところで兄弟姉妹を考えておくと。兄弟姉妹をやる場合にはこういう条件でいいでは ないかというガイドラインでいいと、私はそういう案でいいと思います。という意見で す。 ○中谷委員長  この間、星野一正京大名誉教授にお目にかかりましたら、事実婚を排除するというこ とにも反対、兄弟姉妹からの卵の提供を認めるということについては、これほどみんな が安心して親類中が歓迎する子どもはないと。何でそれを反対するのかと言って、大変 怒られたんです。私はどちらについても賛成しかねましたけれども、やはり何十年かた った後の法律関係その他を考えますと非常に困難なことになるのではないかと考えてい ますので、星野先生は大変尊敬する先生ではあるのですけれども、ちょっと御意見には 従いかねたという次第でございました。 ○石井(ト)委員  吉村先生が、今、カウンセラーは絶対あり得ないという、かなり悲観的なことをおっ しゃっていますが。 ○矢内原委員  3年では。 ○石井(ト)委員  私は、やる気があればできるのであって、やる気の問題だと思うんですね。ですか ら、そのような形で強行に進めれば、カリキュラムをつくればいいのであって、そんな 1年もかからない、多分6カ月ぐらいで養成できるのではないかと思うんです。 ○中谷委員長  カウンセラーは、そんなに簡単にできるんですか。 ○石井(ト)委員  仮にです。だから1年もかければ十分できると思う。素地のある人です。だから素人 さんをやるわけではございませんで、ある程度基礎的な知識を持っている人を、一応資 格者として、入学の資格という形できっちりとした体制的な確保をします。 ○吉村委員  私は法的なことも一切この会へ来るまで知らなかったし、法律のことを知るのに2年 以上かかりましたよね。そして、やってきたときにカウンセラーがそんな簡単にできる ものではない。それから、まず身分保障をしなくてはいけないでしょう。どうやってコ ストをもらって、そして、それは保険制度で認められるかとか、いろんなことを考えて いくととても3年でできるとは思えないですよ。教育するのだって1年以上かかります よ。私たちは1カ月、1回か2回来ているわけですよね。  私たちは生殖補助医療に関しては、ある程度知識もあるわけですよ。それがこうやっ て法律のことを考え、みんなのこと思うと、2年かかっているわけですよ。早くできる かもしれないけれども、それを第三者の、要するに自分のところでやる機関でないとこ ろからカウンセラーが来てというシステムをつくるには、まず組織づくりをするのに2 〜3年かかりますよ。そして養成するのにやっぱり3年ぐらい、6年かかります。少な くとも10年は必要ですよ。 ○石井(ト)委員  私はそう思いませんね。例えば、さっき3つの要素、遺伝も含めると4つになるんで すけど、ですから、それをすべて網羅するわけでなくて、1つひとつ専門のをつくれば いいと思うんですね。 ○吉村委員  それはそうですね。 ○石井(ト)委員  そうしましたら、6カ月でもできる可能性は読めますね。 ○中谷委員長  そうやった場合に身分保障はどうなるんですか。 ○石井(ト)委員  だから同時に考えればよろしいじゃないですか。 ○中谷委員長  そんなことできるんですか。 ○石井(ト)委員  できると私は思います。気持ちの問題だと思うんです。 ○吉村委員  例えば先生はできるかもしれないけど、私はとても出自を知る権利をどうやってしゃ べろうか、法的なことをどうやって勉強しようか、そういうことすべてがわかってない と、やっぱりこういったカウンセリングってできないですよ。 ○石井(ト)委員  もちろん。 ○吉村委員  6カ月なんてとんでもないですよ。その意見には私は賛成できませんね。 ○丸山委員  カウンセリング体制を制度として立ち上げるといいますか、整備するのは時間がかか るかもしれないんですが、今、議論しているのは兄弟姉妹からの配偶子と胚のドネーシ ョンなんですね。 ○石井(ト)委員  不可能だというから、それとも……。 ○丸山委員  よろしいですか。 ○石井(ト)委員  どうぞ。 ○丸山委員  この場合に、カウンセリングあるいは十分な説明が確保されればいいので、そうなる と公的管理運営機関で審査する際に、少なくとも当初はそこでカウンセリングをおこな う。本当に両当事者が真意から希望しているのか、それからドナーが不当な圧力を受け ていないか、当初のやり方としては、中央審査機関で、いくら現状が不十分だといって も、数名のカウンセラーは確保できると思いますので……。 ○中谷委員長  500 施設に対して数名のカウンセラーですか。 ○矢内原委員  ドネーションですから、うんと少なくなると思います。 ○丸山委員  10名、20名、30名ぐらいの申請しか年間出ないと思いますから。 ○矢内原委員  この2年間で根津先生のところで21例やっているんですよ。 ○高橋委員  2年間ですか。 ○矢内原委員  2年間。 ○丸山委員  続けます。そうすると実体的な要件が、充足されているかどうかの確認は、 100%と は言いませんけれども、おおむね保障できるのではないかと思うんです。圧力がかかっ ているような事例については、臓器移植の場合などと同じように、だんだん医学的な知 識が普及していますので、うまくいくかどうかわかりませんけれども、医学的な理由を 挙げて、認められないというふうな判断も十分あり得ると思います。 繰り返しになりますけれども、実施施設すべてにカウンセリング体制を完備するとい うのは難しいでしょうけれども、兄弟姉妹からのドネーションの場合にのみということ であれば……。 ○吉村委員 先生のおっしゃっているのは、私もよくわかるんですが、これは施行時のカウンセリ ングだけではだめなんですよ、先生、兄弟姉妹であれば。 ○丸山委員 施行時。 ○吉村委員 要するにやったときのカウンセリングだけではだめなんです。匿名性のもし第三者が いたとするならば、それは施行時のカウンセリングでいいかもしれないんですよ。 ○丸山委員 実施時ですね。 ○吉村委員 要するに親がそばにいるわけですから、遺伝的な親が、そうなれば、例えばあげた人 もそばにいるわけですよ。 私は根津先生のことで、一番朝日新聞で気になったのは、妹さんが言っていることな んですよ。あげた人が言っていることなんですよ。自分の息子、あるいは娘がそこにい るかもしれない。そうなると、そのカウンセリングというのは永続的なカウンセリング でなくちゃいけないんですよ。だから、それがちゃんと保障されないと、そういった医 療というのはなかなか難しいのではないかということを言っているわけです。 ○丸山委員 難しいでしょうけれども……。 ○吉村委員 だから、初めは兄弟姉妹ということを考えなくたっていいじゃないですか。段階的に やっておいても何も悪いことないじゃないですか。 ○丸山委員 確保できないことが確認されれば、兄弟姉妹を認めるわけですね。 ○吉村委員 それは確保されないということであればですね。 ○矢内原委員 確保できるかできないかは、やってみなければわからないことで、基本原則に戻って 考えたら、この1つを破ることによって、すべてが私はひっくる返ってしまうように思 うんですね。 ○丸山委員 すべてというか、やはり……。 ○矢内原委員 すべてに近いですね。 ○丸山委員 第三者からの提供と血縁者からの提供は問題が違うという認識を私はとります。それ は中谷先生とも違うと思いますが、中谷先生の御見解だと匿名性はすべてに適用される べき原則ということになるのですが、それとドナーの側のカウンセリングが必要だとい うことがあるからといって、禁止する理屈にはならないと思うんですね。カウンセリン グが必要でない場合もあると思いますので、加藤先生はいらっしゃらないんですけれど も、禁止の理由とはならないと思いますね。 ○矢内原委員 援軍おらず。 ○田中委員 今、吉村先生言われたのはわかったんですけれども、カウンセリングというのは前も ってやるものですよね。違うんですか。 ○吉村委員 兄弟姉妹からもらうと相手がわかっちゃうわけですよ。そうするとこうした医療をや っていく場合に、生まれた子どもに対してのカウンセリングもずっと必要ですし、それ から、あげた方もやっぱり悩むわけですよ。自分の子どもがそばにいるわけですから。 だから、そういった場合に、その人をどうやって精神的なカウンセリングをしていくこ とができるかということが大切な大きな問題だということ。兄弟姉妹に関しては、それ が大きな問題となるということを言っているわけです。 ○田中委員 普通の匿名の場合でも前もってカウンセリングするわけでしょう。 ○吉村委員 そうです。 ○田中委員 同じですよね。前もってですよね。施行時のカウンセリングでなくて。 ○吉村委員 だから姉妹から卵子をもらう場合に限ると、施行時と言ったらいけないので、実施時 のカウンセリングだけでは不十分ですよということを言っているわけです。それは永続 的にその子どもが死ぬまで、ドナーさんが生きているまで。そういう可能性は出てきま すから、そういうこともちゃんと準備態勢が整わないと、こういった姉妹からの卵子提 供というのは難しいのではないかと。 ○矢内原委員 兄弟姉妹がいない人はどうするんですか。卵になって、親とか伯母さんとかいとこ。 ○田中委員 私が先ほど言いましたように、ソースを得やすいからという理由では、肉親、兄弟姉 妹は言ってないんですよ。私はこの治療を認めるのであれば、極端に言いますと、匿名 性をそんなに目くじら立てて言う必要ないと思うんですよ。私はそう思います。 ○吉村委員 匿名性を目くじら立てて言う必要はないということは、同じように姉妹を目くじら立 てて言う必要もない。 ○田中委員 ないと思います。そう思います。だから提供者が同じとは言いません。家族の親子関 係が乱れるというのは認めますね。ただ、先ほど丸山先生もちょっと言いかけましたけ ど、禁止ということがどうしても私には理解できないんですよ。 ○吉村委員 だから禁止するのではなくて、初めは原則論をまずやってみましょうと。やってみ て、軌道に乗るか乗らないかわからないでしょう。多分私はそれは乗らないと思いま す。 ○石井(美)委員 そこを言わない方がいいんじゃないですか。 ○吉村委員 それは私は実際にやるいる人間だからわかりますよ。言わない方がいいとおっしゃる かもしれないけれども。 ○田中委員 先生、2年間かけてここまでやって、これで余り進歩がないのは、何年後かにもう一 回検討してどうなるか、もっと時間がかかると思うんです。 ○吉村委員  それは現実面としてなかったらしようがないでしょう。 ○中谷委員長  次回もあることですから、また考えてみることにして、カウンセリングの関係で。 ○田中委員  もうそろそろ決めましょうよ。 ○中谷委員長  カウンセリングの関係で、ソーシャルワーカーは国家資格がありましたよね。医療の ソーシャルワーカー。 ○吉村委員  ありますよ。医療ソーシャルワーカー。 ○中谷委員長  医療ソーシャルワーカーってありますね。そういう人だったらどうですか、カウンセ リングは。 ○石井(ト)委員  すぐはできないです。基盤が違うから。 ○田中委員  やっぱり結論を出した方がいいんじゃないですか。きょうぐらいに、高橋先生の意見 大体聞かれていますし。 ○中谷委員長  きょうは皆さん割合に本音をおっしゃったから、この次、最終ですから。 ○吉村委員  また、先生、私はこの意見で多数派を占めてますから、私たちは少数派ですから、こ れはやむを得ないと思うんですけど、ポチだけはやめてほしい。 ○中谷委員長  ポチのって、どれですか。 ○吉村委員  ポチじゃなくて、あれだけはやめてほしい。 ○母子保健課長  ※印ですか。 ○吉村委員  ※印。 ○母子保健課長  この※印を、例えばとると、いいですか。 ○吉村委員  私は全部は、こういうふうじゃなくて、これだけ反対の人がいるわけだから、反対の 人の意見を言わないで、友人は私が初めに言い出したことなんですね。 ○中谷委員長  そうそう。 ○吉村委員  これは私は姉妹を認めて友人を認めないということはおかしいと言ったわけですよ。 そういう意味で言ったのであって、私はもともと姉妹は反対ですから、そういう意見を 言うのだったら、姉妹に対して反対する人もあったということであるならばいいと思い ますけど、この※印以下は要らないのではないかと思うんですけれどもね。 ○母子保健課長  さきほどからの書き方の問題も、これはポジティブな感じではないしという意見もあ りますから、別に取るのは結構だと思いますし、説明の中でこの結論に対して強い反対 もあったということを書くのも可能だろうと思うんですが、そういうことで足りるので しょうか。それとも両論併記みたいな形になるのかということなのですけれども、あと 次回、もう一回ですので、最後、部会に上げる前に、両論併記なのか、少数意見なの か、あるいはこの結論にして、いろいろ説明の中に書き込むのか、恐らくどれかになる のかなという感じがしております。もし今の※印について、事務局は固執しませんの で、取れということであれば取りますし、その部分についていろいろ意見があったこと をもっと詳しく、強い反対の意見もあったということも含めて説明の中に書き入れて、 それから、最後のところ「終わりに」のところに、この点については、またさらに将来 実施状況を見て云々、というようなことをもし入れるということであれば入れることも 可能だと思います。そういう形で、きょうこの案に原則反対とおっしゃった先生方が納 得されるのかどうかということだろうと思いますし、別に納得されなくてもよろしいの ですが、その場合には両論併記なのか少数意見なのか、何らかの形で書くことになるの かどうかをお決めいただきたいと思います。 ○中谷委員長  恐らく反対派は少数ですよね。 ○吉村委員  少数ですよ。 ○矢内原委員  少数ではないと思います。 ○中谷委員長  少数でないですか。 ○矢内原委員  だって、先生、反対、私、反対、吉村先生、反対、あと先生はどうなんですか。 ○石井(ト)委員  私は兄弟姉妹はいいんです。 ○矢内原委員  石井(美)先生は。 ○石井(美)委員  私はそういう意味では「等」は取ってほしいという趣旨で。 ○矢内原委員  兄弟姉妹は賛成ですか。 ○石井(美)委員  賛成とは言いません。吉村先生ほど先に延ばすつもりはないんですけれども、すぐに 認めないという点は吉村先生と共通している。 ○矢内原委員  現時点では反対ですね。 ○石井(美)委員  現時点ではというか……。 ○吉村委員  それは誘導尋問ですよ。 ○石井(美)委員  現時点では反対までは言わないつもりです。得られないという限定の趣旨を明確にす るということです。 ○吉村委員  少数意見ですよ、3人ですよ。 ○矢内原委員  辰巳先生は。先生は卵子からは反対なんだ。 ○辰巳委員  卵子は反対ですけど、認めるという方向が出た以上は実効性のあるものでないといか んのじゃないかなと思って。 ○矢内原委員  3人だけですか。 ○吉村委員  私の意見としては、別にこれ以上は私言いませんから、決まった以上は。だから、す っきりとした形で出すのであれば、私は※印だけは取っていただきたいと思うんですけ れども。 ○石井(美)委員  ※印は丸の中に入れて、反対の者もあったということも入れて、※印の部分を説明の 方に落として、できれば、さっき言ったように「等」も外して、その「等」の中身とし て、※印の説明の範囲で入ってくださればいいなと思いますけど。 ○矢内原委員  最後によろしいですか。田中先生、これが通らなければ進歩がなかったじゃないかと おっしゃったけど、私、大変化だと思うんですね。この委員会のIVFにおけるドネー ションの問題は、精子・卵子・胚まで全部認められたということは。兄弟姉妹に関して はあくまでこの文章の中で特例になっていますけれども、同じ 1、 2、 3、 4の 4なん ですね。特例を同列に並べるのはおかしいと思うんです。  ですから特例だったら、ここからラインを変えるなり、行間を全く変えてしまって、 そして特例としてということが頭にないと、この全体の文章を特例とは世の中見ないと 思いますし、実際にこの特例が条例になって、これしか行われないのが日本の実情だと 思うんですね。  そしたら、兄弟姉妹のない人は兄弟姉妹以外のところから、そのソースを求めてくる だろうし、血縁主義なんか大嫌いだとおっしゃった加藤先生でも、日本人として考える とき、日本の全体のこの委員会全体の話としては、どうしても血縁ということから逃れ られない社会情勢と我々の意見、意識があると思うんですね。文章の中に書かせていた だきましたけれども、他民族の子どもを日本の子どもの養子と同等に我々が育てること ができるかという土壌はまだアメリカみたいにないと思うんです。  それから、もう一つは、外国で行われいるからだということと、ドネーションの数が 少ないからということは理由にならないと思います。せっかくあれだけ苦労して、暑い 最中、原則を決めたんですから、原則の保持というものは貫いていただきたいと私は思 います。  したがって、あえて百歩譲って、兄弟姉妹からの提供は特例として認めるということ で、同列に書かない。また、特例として 4と 3の間に大きなラインを引いていただい て、そして、兄弟姉妹からの精子の提供は括弧の中の文章を外に出して、いない場合に とか、特別な理由の場合に特例として認める場合もあるですね。審査がありますから、 そういうふうに出していただければというのが、私の最後の意見です。 ○田中委員  矢内原先生に私も言っておきますけど、決してこの会はむだだと言ったわけではなく て、また同じようなことが話題になっているというふうに言ったので、決してそんな軽 んじるような気持ちはない。特に私は2年間本当にお世話になって、私はずっと同じこ とを言ってきて、ずっと言いっぱなしですけど、矢内原先生はじめ、一番最初に先生が おっしゃった、夫婦間の治療の中にほかのDNAを入れるのは絶対反対とおっしゃっ た、先生が、今ここまで意見が変えてこられたという、そのことを非常に私は……。 ○矢内原委員  先生も変わりましたよ。 ○田中委員  敬意を表します。ですから、私は先生が今最後言われたことは、前に一回決まったこ とですよね。特例ということもあり得るというのが前のあれでしたよね。それが少し変 わっているように思う。前はそういうふうに決まったと思うんですけど、兄弟姉妹から もらう場合も、中央審議機関に上申すれば認められる場合があり得ると。確かに前に決 まったと思うんです。私はそれでいいと思います。この文章ちょっと違うんです。 ○母子保健課長  そろそろ会場の時間もありますのできょうのところはこれまでということにしていた だいて、私ども事務局として最後の力を振り絞ってきょうの御意見を入れた形でもう一 回これを修正して、また事前に送らせていただきます。それをごらんいただいて、12日 にもう一回ということですので、今度の12日にそれを御議論いただいて、結論が出るの かどうか。何らかの形で出していただきたいとは思うわけですけれども、先生方の御意 向によりますので、そこで再度御議論をというふうにお願いをいたしたいと思います。  そして石井先生がおっしゃられたように、最終的な文言の修正などがあるようでした ら、26日に予備日がありますので、部会には結論の部分をきちんと報告した上で、あと 文言は若干リファインしますということで御了承いただいて、26日もう一回、再度リフ ァインはするという形で今後の日程を考えさせていただければというふうに思います。  きょう最後に言い足りない方は、ファックスでも何でも結構ですからそれを言ってい ただいて、こういうふうにしたいという具体的な提案をお願いしたい。 ○辰巳委員  友人がだめだという、納得できる理由をちょっと考えてほしいんですけれども、 次回。 ○吉村委員  兄弟姉妹は認められるのだったら、友人はオーケイです。 ○辰巳委員  友人がだめという理由が私わからないので、それを皆さん教えてください、次回に。 ○矢内原委員  兄弟姉妹がオーケイならば、友人でも親戚でもだれでもオーケイ。 ○石井(ト)委員  私は反対。 ○中谷委員長  近親者でもね。 ○田中委員  これはこの前あったでしょう。幅を決めるって、姉妹、いとことか幅。 ○小林主査  今の辰巳先生と似た意見なんですけれども、仮に兄弟姉妹だけにするとか、姉妹だけ にするということであれば、なぜ、ほかのを許可しないのかというのも理由として入れ ていただかないと、ここもぜひ。 ○中谷委員長  丸山委員は「等」はだめなんですか。 ○丸山委員  私はどちらでも構わない。「等」というのは、先ほど矢内原先生がおっしゃったこと に関してですが、個人的な意見であるんですけれども、姉妹がいない者はどうするかと なると、姉妹と同視できるような近いに関係にいるいとこなんかがあり得るかなと、そ ういう絞られた……。 ○吉村委員  先生は友人もいいんでしょう。友人はいけないの。 ○石井(ト)委員  「等」ときっちり定義づける必要がある。 ○丸山委員  「等」の趣旨からは姉妹と同一視できるような友人はあり得るのかなと。 ○吉村委員  先生、理由のことまで……。 ○石井(美)委員  理由はやっぱり矢内原先生がおっしゃった原則だめなんですよ。例外なんだから、例 外1つ認めたら全部に行くという、それはないはずです。 ○吉村委員  今はもう全部認められていると同じですよ。 ○石井(ト)委員  全部は認められないですよ。 ○吉村委員  それは同じですよ。 ○辰巳委員  範囲として、区別するのは。 ○吉村委員  区別するのは、何の意味もないじゃないですか。兄弟姉妹の方が絶対大きいですよ。 ○石井(美)委員  兄弟姉妹は限定されている。 ○丸山委員  拡大なんですね。 ○母子保健課長  ぜひ、また御意見があれば。 ○吉村委員  その理由を教えてください。 ○母子保健課長  次回、厚生省の別館7階の共用第11会議室になります。また、御連絡させていただき ます。  長時間ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 椎葉(内線:7933) 小林(内線:7940)