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医療保険福祉審議会 第57回制度企画部会議事要旨


1.日時及び場所

平成12年12月11日(月)15:00〜16:45
特別第一会議室

2.出席した委員等

糸氏、大宅、塩野谷、鴇田、堀田、本間、若杉の各委員
岡本専門委員、平井専門委員

3.議題

(1) 保険者の在り方について
(2) その他

4.審議の概要

1)はじめに、事務局より、平成12年11月30日に成立した健康保険法等の一部を改正する法律について説明がなされ、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(糸氏委員)

○ 抜本改革について、関係者の間に何を目標にどの程度のことをやるのかというコンセンサスが取れていない。国民も分かっていない。そこをはっきりさせる方が議論がしやすい。14年度までの抜本改革の目標は何かということを具体的に示した方が、われわれの議論もしやすいのではないか。厚生省としての考え方を伺いたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ さしあたり14年度に課題になるのは、高齢者医療についてどう負担を分かち合うか、あるいは伸びていく老人医療費をどうするか、ということである。その他に、薬価や診療報酬など、残された問題もあるが、糸氏委員のお話の通り、改革に向けての視点は、分かりやすい形で提示をしていきたい。
○ ただ、14年度に向けて何をやり、その先に何をやるかということについて、全部の絵が描き切れていないので、糸氏委員がおっしゃった形で具体的にできるかという部分はあるが、何を目指して改革をするのかということをもう少しはっきり示していかないと議論をしにくいとというのは事実。様々な場において分かりやすくお示ししていきたいと考えている。

(糸氏委員)

○ 診療報酬や薬価制度、医療提供体制の抜本改革などいろいろあり、どこまでできるか分からないが当分は高齢者医療制度にフォーカスを絞った改革を14年度までに進めるという理解でよいか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 診療報酬・薬価については、この制度企画部会のご意見やその後の中医協のご議論の整理である程度方向性が示されているが、高齢者医療については、負担の在り方や急増する医療費をどうするかという点に関し、当部会からご意見をいただいたがそれを具体化するに至っていないので、その意味で高齢者医療が中心的なテーマになると考えている。

(塩野谷委員)

○ 私も抜本改革のイメージを明確にして欲しいと考えている。利害関係者がすべて意見の一致をみていないにも関わらず、抜本改革をやれば何とかなるから早く抜本改革をやれと異口同音に言っている。今の負担は重いが、改革をやれば軽くなると思っているふしがある。そういうことはありえないのであって、抜本改革によって医療費の負担が下がるというイメージは払拭していただきたい。
○ かつては、医療保険料が2025年までに2倍、3倍にもなるというパンフレットを配っていたが、今は負担増を国民に示すことをやっていないのではないか。だから誰もが抜本改革をやれば負担が軽くなると考え、しかも自分に関係ある部分で負担が増えれば反対し、他に財源を求めればすべて解決するように考えている。全体の財源の在り方について、抜本改革によってすべての負担が軽くなることはありえないとはっきり示していただきたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 高齢化が進むと全体の負担が増えることは間違いない。
○ 抜本改革の議論が始まった経緯であるが、平成9年の改正の時に、保険の財政がかなり悪化していたことに対し、保険料及び患者負担を引き上げるという形で対応した。その際、今後必要な費用が増大するにしろ、患者負担や保険料を引き上げる前に医療の構造自体を無駄のない形にすべきだということから抜本改革の議論が始まった。全体的に負担が増える中で、できるだけ無駄のない効率的なシステムを作ることも抜本改革の中では求められていると考えている。
○ 先ほど申し上げた、幅広く議論をお願いするための資料を作る際にはこれらのことも考慮に入れて作っていきたい。

(金平部会長)

○ 医療保険制度の抜本改革については、必要性が言われて久しく、また様々な期待が込められているが、その内容については、必ずしも皆の了解がついていない。それらを明らかにしながら、来年に向けていろいろなご議論が進められることと期待している。

2)次に、事務局より、保険者の在り方について、参考資料に沿って説明があり、その後、発言及び質疑応答が行われたが、その概要は以下の通りである。

(堀田委員)

○ 私は相当先の将来像として、市町村が保険者になればいいという意見を持っている。今回のこの部会で意見を言う意味がよく分からないが、何らかの参考にということであれば、かねてから申しているとおり、まず遠い先の姿であるにしろ目指すべき姿を1つ示し、それに至る過程でこうすべきという意見が必要なのではないか。
○ そういう意味で、かなり先を見ると、介護保険と可能なら統合して、市区町村が保険者の責任を負うという体制が必要ではないか。そのためには合併も必要であり、また市区町村が大きな負担を負うのであるから、例えば消費税なども市区町村の権限にするといった、大きく地方分権を図るという将来像が必要。負担と給付のいずれも市区町村において住民が目に見える形で決めていく、そして住民が負担と給付の関係を医療についても理解して対応するという姿が、(医療保険制度の)適正化のために必要ではなかろうか。
○ このような議論をすると、(国保と被用者保険を)統合するのでクロヨン問題が出てくるが、クロヨン問題があるからできないというのは議論が逆転しているのであって、クロヨン問題を解決するために、所得や資産の完全な把握が可能な仕組みを作ることが必要ではないか。将来的にその方向に進める中で、当面段階的にどの案がいいかという形で議論すべき。その段階的な一時案としては、高齢者の特別な医療保険制度を作るということもありうる。非常事態のようなものであるから、ある程度公費負担は厚くなるのはやむをえないにしろ、今まで言われているような9割というのはもってのほか。やがては保険だけで運営できるようにし、可能な限り公費負担は少なくするという配慮が必要であろう。

(金平部会長)

○ 保険者論は先の姿を国民にも見える形でやるべき、とのご指摘は堀田委員のかねてのご意見。当面の課題として段階的に高齢者医療の改革をすべき、ということはご意見として頂戴させていただく。
○ 今回、議論することの意義は、これから様々な機会に保険者論はなされると思うが、われわれもここで話し合ってきており、(制度企画部会としての)今の段階での意見をここでまとめておきたいということ。

(若杉委員)

○ 資料のP27に「国保の広域化」という項がある。市町村の国保事業の広域化は非常に望ましい形である。これから例えば高齢者医療制度にしても保険者としては国保の広域運営化が望ましいとは考えているが、資料によれば昭和24年からまだ2つしか例がない。この(国保の広域化の)方向で厚生省も奨励しているものと思うが、勢いが小さいのは、広域運営のインセンティブがないからではないか。厚生省は、広域化が望ましいと考えているなら、どういう促進策を持っているか。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 広域運営については様々なメリットもある。このP27にあるとおり、介護保険における広域化の気運等に照らして、一定の立ち上がりの財政的支援をさせていただいている。立ち上がりの費用に関しては実績を踏まえ様々な議論があると思うが、例えば、広域化したところの保険料水準が、広域化していないところの保険料水準よりも必ず低いようにする等のための国庫負担が必要というのであれば、公平の観点からいかがかと思う。
○ 自治事務としての介護保険・国民健康保険の広域化については、あくまでも自治体の発意も重視せねばならない。こうすれば必ず広域化のインセンティブになり、広域化されるというような政策の手段を持っていないのはご指摘の通り。

(金平部会長)

○ 自治体の発意があれば財政的支援をしてきているということでよろしいか。

(事務局 渡邉保険局国民健康保険課長)

○ 本年度や翌年度ということであれば、まさしくその通りである。
○ 広域連合や一部事務組合を除いても、資料の中にあるとおり市町村合併ということ自体が様々な要因により起こっている。その過程で市町村国保ももちろん広域化され、平等・公平な国庫負担の配分という方向で動いている。
○ こうすれば広域化されるという、きれいな形でのインセンティブはなお模索中である。

(鴇田委員)

○ 最初に部会長の方から、(当部会が)わずか2回しか残っていないというお話があった。最後に開かれたのは2月であり、それから半年以上の時間があった。最後の時にも、塩野谷委員と私が、この問題をきちんとやっていただきたい、まだ宿題が残っていると言った記憶がある。それを今日に至るまでやらなかった当事者の責任を問いたい。
○ P1、真ん中あたりに「保険者機能の発揮」とあり、下から2行目には「保険者機能の強化(給付・審査・支払等)」とあるが、事務局はこれらについて具体的にどう考えているか伺いたい。

(金平部会長)

○ お叱りいただくだろうと思っていた。2月に意見をお述べいただき、(今)あと2回だから、というのでは申し訳ない。これまで医療保険については、様々な分野で様々な議論がなされてきており、それらも睨みながらチャンスを窺っていたが、大変遅くなってしまった。
○ それでも、この後2回ではあるが、今後様々な場面で審議が行われるとするならば、積み残したことにある程度の意見をまとめられればと思い、この問題を今回投げかけることにした。

(事務局 岡田保険局企画官)

○ P1は議論の様々な論点を整理している。「保険者機能の強化(給付・審査・支払等)」の内容は、保険者がもっと審査できるようにすべきではないかという審査体制の在り方、給付について診療報酬を個別医療機関と締結できるようにする、あるいは保険者が医療機関を選択または推薦できるようにすべきではないかといったことである。一方、「保険者機能の発揮」は、保険者が被保険者に情報を提供する、または保健事業を展開するということも含めており、そのためにはスタッフが確保される必要があり、そにはある程度の規模が必要だという視点で書いている。

(鴇田委員)

○ 先ほど堀田委員の方から、「何のために意見を述べるかわからない」という意見が出ていた。半年以上あったのであるから、やろうと思えば保険者機能についての答申案を出す時間もあったはず。そうしていれば医療保険制度の抜本改革についてもっと実りある提言ができたはず。それをしなかった責任は問われなければならない。
○ 今のお話で、保険者機能の発揮ということについて、現状は非常にお粗末であって、この情報化の時代にも関わらずいまだレセプトが電子情報で書かれていない。ドイツやフランスの例でもそうだが、社会保険制度は保険者がしっかりとした機能を果たすというのが本来の在り方。日本の場合は、そういう制度は作ったが、いわゆる「仏作って魂入れず」という非常に歪んだ社会保険制度であると思う。その点につき、ドイツの例を出しているが、保険者の数や規模などに終始しており、実態的に保険者がどういう機能を果たしているかについて説明がない。やはり保険者は被保険者に対し医療機関についての十分な情報を与え、それだけではなく、いわゆる消費者主権、患者が十分な情報を持つだけではなく、医療機関と直接交渉する交渉力を持つ、さらには様々な形で予防医療に取り組んだり被保険者の健康管理をしたりすることが考えられる。例えばドイツの疾病金庫が行っているような本来の役割がどうして日本の保険者は果たせていないのか、どのような法的制約があるのかという点につき、資料請求をさせていただきたい。次回に私は意見を述べたい。

(事務局 岡田保険局企画官)

○ どこまで調べられるか分からないが、ご指摘の通り資料を集め、分析させていただきたい。
○ またP1の3つの項目の、一番下の「保険者運営のあり方」については、最初に述べたように次回資料を出してご議論いただきたいと考えている。

(塩野谷委員)

○ 中身ではなく手続的なことで2点。第一は、1999年2月に経済戦略会議が報告を出した。その中に保険者機能に関し、保険者機能の強化など競争原理の導入、日本版マネジドケアの導入、社会保険診療報酬支払基金による独占的なレセプト一次審査の廃止等の厚生省の施策、特に保険者機能に関しての提案があり、それに対し厚生省は反論を出した。大部分否定的だが、十分慎重にやるという前向きなものも含んでおり、この時点での厚生省の考え方を知ることは有益であると考えるので、それについての資料を出していただきたい。
○ 二点目は、この議論を部会でしたのは1999年3月頃。高木委員、磯村委員から意見書を出していただき、それは大変立派なものであった。次回、同じような資料を、私は可能なら出したいと考えているが、私だけではなく希望者がいればメモを提出するお許しをいただきたい。

(金平部会長)

○ 経済戦略会議については次回用意していただく。
○ 二点目の、意見書を提出することは当然問題ない。

(本間委員)

○ 潜在的には、堀田委員・鴇田委員・塩野谷委員のご発言に共通している部分があると思うが、私は他の財政関係の審議会にも入っているが、その切迫感と、当審議会の悠長さの差を感じている。他からいろいろニュースが入り、喫緊の課題であるということが、この年の押し迫った段階で2回やるというのは真摯さに欠けるのではないか。これまで社会保障に関する有識者会議のご議論もあり、政治でもいろいろな動きが出てきている。情報の伝達も含めて、この審議会がどのような機能を果たすのかもう一度教えていただきたいというのが率直な感想である。
○ また、この問題は保険のリスクをどんなグループの中で担保するか、これは保険理論からすれば大数の法則の中でこのようなセグメンテーションの(細分化された)制度は早晩障壁にぶち当たることはずっと前からわかっており、それを財政調整だけで解決しようとしたことで、21世紀に入ろうとする中でこのような時代遅れの制度が維持される結果になった。将来に対する制度設計の思想、将来に向けてのデザインをどう考えているのか。ここで場当たり的に意見を求められてもきちんとした議論ができないのではないか。
○ 高齢者医療の問題にも関わってくるが、部分部分でやっていることが国民から見るとわかりづらい。自分の生活を起点に、制度がどのような状況にあり、どのような方向に変わるのかがわからないゆえに、国民は過大な貯蓄をして将来に備えているという、マクロの景気対策に反するような行動が取られていることは、この審議会の反省材料なのではないか。きちんとした説明責任を果たしていないのではないか。非常にプリミティブな審議のありように大いなる不満を表明したい。

(金平部会長)

○ 先ほどの堀田委員のご発言に始まり、鴇田委員、塩野谷委員、そしてただ今の本間委員のご指摘に関し、私も部会長の座にありながら同感である点が多々あった。
○ 部会長としても、十分な説明をせず、2回という部会を召集させていただいたことにつき、忸怩たるものがある。
○ 私どもは最初、平成12年度の抜本改革についての医療保険制度の諮問を最初に受けた。その時に薬価を始め一応の役割を果たしたと考えている。制度企画部会としては、完全に一本にはならなかったが、高齢者医療についても考え方と今後の見通しを出せたものと考えている。しかし外からの変化というものもあり、制度変化の仕組みを考えるということがわれわれの部会に対する要望であり役割であったとするならば、それが十分に果たせなかったのは非常に遺憾。審議会の審議がどうあるべきかということとも関係すると思うし、部分部分でやっていて本当の意味で国民に何をどう責任を持ってやっているのかという点については、部会としても考えねばならない。今後、医療保険に限ったとしても、どう国民に説明しながら審議をするか、という審議会の問題、あるいは仕組みづくりの問題、についても私も反省しているが、政府の方にも考えていただきたい。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ 先ほどから、この時点まで何もしなかったということでお叱りを受けている。お叱りは甘受したい。
○ 行政を進める上でさしあたり最大の課題は提出した法案の処理であり、どうしてもそちらの方に精力を取られ、今日に至ってしまい、結果として皆様にいろいろとご迷惑をかけ、大変申し訳なく思っている。

(本間委員)

○ 医療保険に関し、今何がどこまで決まっており、今後この審議会およびその他の場でどのように議論を展開し政策あるいは制度改革に結びつけていくのか、青写真の形で構わないので、次回是非ご説明いただきたい。
○ 可能なら保険者の統合の観点から相対的に関係が強い分野における動きもご説明いただければとも思うが、それが局を超える問題であるならば医療保険に限定をさせていただいて構わない。

(金平部会長)

○ 他の委員からも希望があろうと思うし、現時点で可能な範囲でまとめていただきたいと思うがいかがか。

(事務局 柴田保険局企画課長)

○ できる限り用意させていただく。

(金平部会長)

○ 本日は保険集団の建て方あるいは規模という点に関し議論したいと考えていたが、われわれの立っている場所が問題になったので、議論が次回に先送りされた感じがする。
○ 鴇田委員がおっしゃったとおり、歴史の部分を見ても、長い間保険者あるいは医療保険制度そのもの、保険者論が変遷をしてきたが、まだ皆の同意を得られる制度になっていない。それがなぜできないかの資料請求になった。
○ なお、保険者運営の在り方についてもご意見を聞いておきたい。この点については資料も出ておらず、次回と整理したのであるが、(P1に)視点・論点と挙げられている部分に関し、可能であればご意見や資料要求をあわせてお願いしたい。

(本間委員)

○ 先ほど鴇田委員ご指摘の保険者機能の強化に関連して、運営も含め相対的な医療保険システムの効率化に向けてIT技術が非常に重要なポイント。来年度予算あるいは補正予算の中でも、IT関連についてはいろいろ考えられているが、政府をいわば電子政府化していくあるいは情報公開を万全を保つ方法の準備として、IT技術の保険制度との関わり方をどうお考えなのか、事務局の情報をお持ちの方に伺いたい。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 厚生省全体としてITの問題を見たときに、まず医療機関がITをどのように達成していくかという点がある。例えば電子カルテであり、ある意味で医療の効率化の契機となるのではないかと言われている。
○ もう一つは、保険者ということを考えたときに、保険者の事務で大変な事務に資格確認がある。保険者間での人の移動が激しく、必ずしもそこが機械化できておらず、手作業でどこまで追いつけるかという状況である。このようなことも、保険者事務のIT化によって、システマティックな資格確認も可能になるのではないか。
○ 大きく、この2つの側面が厚生省では議論されており、こうした流れの中で、被保険者や患者のID化が、医療のIT化とどうかかわってくるかが今後の課題だろうと思っている。

(鴇田委員)

○ 今のお話に関連して、ようやく来年の4月から被保険者証が個人ごとにカード化される。その場合、やろうと思えば今の技術なら過去の病歴あるいは過去の受診したカルテなど、相当な情報を盛り込むことが可能。その点、どのくらいの情報量を厚生省としてはお考えなのか、教えていただきたい。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 先週(12/6)の中医協で、4月から準備の整った保険者から順次カード化をしていくというご答申をいただいた。私どもとして中医協にお諮りしたのは、まず何よりも現在被保険者証は世帯単位であって不便であるので、利便性を考え1人1枚化に向かおうということで、そのご答申をいただいたわけである。
○ 鴇田委員ご指摘の通り、今後の活用まで視野に入れると、今後例えばIC化をし、その中に情報収録をするということもありうると考えている。現在では、まだ、医療機関あるいは保険者のIT化がそれほど進んでいる状況ではないので、保険証だけ先にIC化するのは難しい。今後の検討課題とさせていただいている。
○ 今後の方向であるが、委員が今ご指摘なさったように、保険証の中にデータを蓄積する方がいいのか、それともむしろ情報は医療機関等に蓄積しておき、それへのアクセスという形で考えた方がいいのか、これからの活用ということで議論せねばならないと考えている。

(鴇田委員)

○ 今のお話だが、現にそういうことにすぐ対応できる先進的な病院もある。また保険者の側にも、すぐ対応できるものもある。全部足並みを揃えずに、ある保険者の団体だけが特別な情報を搭載したカードを持ちうるということは現行法では認められないのか。

(事務局 間杉保険局保険課長)

○ 今回の措置は保険証カードとして最低限の様式を満たしていただければ、それを高機能化するかどうかは保険者のご判断だという整理にさせていただいている。委員がおっしゃったように、すべての保険者が一番弱いところに合わせて横一線でなければならないということではない。
○ 今後、保険者の間でもどうしていくかという議論が出てくると思う。そのような議論に積極的に参加して、どういう形での使い方があるか考えていきたい。

(本間委員)

○ 国民が将来に不安を持っている一つの大きな要因というのは、社会保障全体の情報が伝わっていないことにあり、それが過大貯蓄となり景気対策にも悪影響を及ぼしているという考えを私は持っている。今の電子政府との関係で言えば、(病歴等の情報管理の話を)医療保険に限定する必要はまったくなく、大量の情報をきちんと引き出せる状況になっていく。介護の状況や年金の状況、それらすべての保険機能が一つの情報の中に個人データとして、ディスクロージャーなどの問題には当然配慮しなければならないが、基本的には個人がアクセスすれば自分の状況につき自分で把握できるようにならねばならない。それぞれの制度が分立し、その制度が非常に細かくなり本人も分かっていないという状況を解消する大きな手だてになる。そして重複している厚生行政も排除することが可能となる。さらには、社会的弱者についても、トータルな収入や、医療の支出などをすべてトータルして、それが人間が生存権を行使できるレベル以下になる場合については福祉的な対応をきちんととるということが可能になる。このようなことを今から考えておくことがこれからの厚生行政に不可欠の視点なのではないか。
○ しかし、今の議論は個別のところへ細かく細かく持っていくということで、結果として悲観論と情報のベールという形でわれわれが社会全体の保険機構に対する信頼を失っているという問題がある。高齢者が所得水準以下の人が社会的弱者であるというのは違うと言うことだけを言い立てて、それを理由に保険機能を維持するというロジックよりも、むしろ個々人の情報のプールの中で、大数の保険機能の所得分配的な部分をどのように明示的に議論していくことすらやっていかざるをえない。問題意識がそれぞれの局あるいは課の中で専門的になりすぎており、基本に立ち返って個人のレベルに結びつけるという努力が必要になってくるのではないか。そういう意味における、電子政府の可能性について想像力が欠如しすぎているのではないか。あらゆることが可能な状況になってくるので、情報革命がもたらす厚生行政全般に対する整理のされようを、次回では大変であろうから、機会があれば教えていただきたい。

(金平部会長)

○ 次回は少々無理であるので、そういう観点で厚生省にも考えていただく。
○ 確かにこの頃、年金あるいは医療保険と、個別の問題毎にいわゆる縦割りの対応もあったが、これから国民が不安もなく過ごしていくためには、今ご指摘のことも考えていかねばならない。

(糸氏委員)

○ 次回保険者機能について結論を出すということは伺っていたが、それでこの審議会も解散ということでよいか。

(金平部会長)

○ そう聞いている。先ほども申したように、これまで諮問を受けたことについては審議をしてきたが、保険者機能については重要性を指摘されながら先送りしてきた。審議会が終了するという段階において、この積み残しについて、次の様々な審議の場において活用されることを願い、可能な限り意見を集約して残しておきたい。

(本間委員)

○ 次回であるが、保険料の地域間格差と未徴収の相関関係について、データがあれば是非教えていただきたい。
○ また、広域あるいは都道府県単位と、保険者のグルーピングを大きくしていったときに、マクロ・ミクロ双方の全体としての効果を、定性的でも構わないのでイメージがわくような情報を教えていただきたい。

(金平部会長)

○ もう1回という時間をわれわれがどう使うか、残された時間が少ないだけに大きな責任があるように思う。厚生省にも宿題がいろいろ出ているが、可能な限りお願いしたい。
○ 次回の日程は12月22日(金)午後2時からであり、後に事務局から案内を差し上げる。それでは本日はこれにて閉会とする。

(了)

照会先:保険局総務課 内山(3227)

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