HIV診療支援ネットワークシステム部会
(第8回)議事概要
1.日時: |
平成12年12月11日(月)15:06〜17:30 |
|
2.場所: |
物産ビル別館第1会議室(1階) |
|
3.出席者: |
(厚生省) | 小田政策医療課長、野田政策医療課高度・専門医療指導官、 加藤運営企画課補佐、冨澤政策医療課補佐
井口エイズ疾病対策課補佐、
三森医薬安全局医薬品副作用被害対策室補佐
|
(国立国際医療センター) |
木村ACCセンター長、岡臨床研究開発部長、秋山情報システム部長
|
(国立大阪病院) | 白阪臨床研究部ウィルス研究室長 |
(原告団・弁護団) | 東京:大平、寺町他1名、大阪:花井
|
*安岡委員欠席 |
|
4.議題: |
(1)国立大阪病院の検査データ自動取り込みについて |
(2)耐性遺伝子画面のブロック拠点病院及び拠点病院への拡大について |
(3)ケア情報画面のブロック拠点病院及び拠点病院への拡大について |
(4)HIV診療支援ネットワークシステム疫学的研究等申請取扱細則の改正について |
(5)A−net説明会の実施方法について |
(6)その他 |
5.議事要旨
(1)国立大阪病院の検査データ自動取り込みについて
- ○ 国立大阪病院において、ゲートウェイサーバーを介してオーダリングとA−netとの接続が可能となったことから、検査データがA−netに自動的に取り込まれることになったことについて説明
→ 原案について了承。ただし、次にどこの施設に導入するのか、A−netを利用するに際しての問題点等を報告する。
原告団:
- オーダリングと接続が可能となったので検査データの自動取り込みを行うということだが、オーダリングと接続されることによって、A−netからオーダリングの方に情報が流れることはないのか。そこのセキュリティは確保されているのか。
厚生省:
- A−netのサーバーと国立大阪病院とで電子的に認証される仕組みであり、今以上プライバシーが侵害されることがないことを確認した上で取り込みを行うこととしたので問題ない。国立大阪病院以外にも展開できるようにシステムを開発したので、オーダリングの予算の都合がつけば、新規導入時か更新時を見計らって拡大していきたい。
原告団:
- A−netへの一方通行の道が技術的に確立されていれば何の問題もないと思う。
厚生省:
- 同意されてA−netに参加している人のデータしか送られないようにしてある。
原告団:
- 国立名古屋病院や国立病院九州医療センターなど、次にどの施設に検査データの自動取り込みシステムを導入するのか想定しているのか。
厚生省:
- そこまではまだ検討していない。
原告団:
- 次回までに、A−netを利用するに際してどういう点で問題があるのか、A−netを設計した時にどういうところまでを想定してあるべき仕組みをつくったのか報告してもらいたい。
(2)耐性遺伝子画面のブロック拠点病院及び拠点病院への拡大について
- ○ 耐性遺伝子の検査データについて、データ入力並びに照会をブロック拠点病院及び拠点病院でも行うことができるようにすることについて説明
→ 特段の意見なく、原案について了承
原告団:
- 研究室スタッフはA−netの全てのデータが見られるのか。
厚生省:
- 検査で使える部分だけであり、他のデータは見られない。
(3)ケア情報画面のブロック拠点病院及び拠点病院への拡大について
- ○ 患者へのケア記録について、データ入力並びに照会をブロック拠点病院及び拠点病院でも行うことができるようにすることについて説明
→ ブロック拠点病院及び拠点病院へ拡大することについては了承。ただし、ブロック拠点病院と拠点病院については、施設における看護の質がHIV患者の看護により適したものとなるよう厚生省は努力する。さらに、入力項目については、ACCにおいて研究し、スタンダードなものを決める。
原告団:
- ケア記録の入力について、今までの診療のようにチェックリストでなく、文字入力が多くなるということだが、ACCのようにコーディネーターナースがいるところと、HIV専門の看護婦がいないところでは記載する内容が違ってくるのではないか。どんな事を記載されるのか不安な面がある。システムとしては賛成だが、フリーの文字入力だとだんだん利用されなくなったりするし、患者のために本当に必要な入力項目は何かについては、ACCで研究し、スタンダードなものを決めて欲しい。
原告団:
- ACCやブロック拠点病院と拠点病院の看護婦の体制は違う。厚生省は、ブロック拠点病院と拠点病院にもHIV専門看護婦の配置に努めて欲しい。
(4)HIV診療支援ネットワークシステム疫学的研究等申請取扱細則の改正について
- ○ A−netの診療情報を研究目的で利用することができるのは、A−netの利用者に限られていたのを、当該利用者との間で委託契約を結ぶことによって利用者でない統計の専門家等にデータ解析をできるようにすることについて説明
→ 統計の専門家等がデータ解析できるようにすることについては賛成だが、委託契約の内容や研究結果の著作権の問題、データ解析を委託すること自体が適正かどうか等を審査する体制を作ることが必要。総論は賛成だが、どんな形で研究させるのが良いのか不明であり、結論は次回への継続審議とする。
原告団:
- 専門的技術を持った人にデータ解析を委託することは良いことだと思うが、どういう相手に委託するのか、委託契約の内容はどういうものにするのか、研究結果の著作権をどちらに帰属させるのか等をチェックできる体制が必要だ。
厚生省:
- 現状においても、総括管理者が人権を損なうおそれがあると認めるときは、A−net部会に諮ることになっている。
原告団:
- 委託する相手にもA−netの管理要綱や運用管理細則の義務を負わせれば良いのではないか。
原告団:
- 患者の治療に役立てるために研究させるのは良いが、そのために患者のプライバシー等が侵害され、どちらを優先させるのか、そこのせめぎ合いだと思っている。ディスカッションの場が必要。
原告団:
- データ解析を委託する案件はすべてA−net部会で審査して、許可を得てから委託を行うようにしてはどうか。
(5)A−net説明会の実施方法について
- ○ 従来、国立国際医療センターで行ってきた説明会を、平成13年度からブロック拠点病院で行うようにすること、それに併せて、A−netの総括管理者を政策医療課長からエイズ疾病対策課長に移行するという考え方について説明
→ 原案について考え方は概ね了承。ただし、説明会の実施について、全国8ブロックで開催されなくても近隣のブロックで、2ブロック分を行う等弾力的に対応する。ブロック拠点病院の意向も尊重すること。
原告団:
-
説明会をブロック拠点病院で行うのはかまわないが、きちんと対応出来るか否かは厚生省の指導しだい。
原告団:
- A−netの所管をエイズ疾病対策課に移すということだが、今回、ケア情報や耐性遺伝子の画面を追加することもあり、厚生省の意見がきちんと伝わるという点で、国立病院部の方が良いのでは。
厚生省:
- エイズ医療全般を担っているエイズ疾病対策課で本来行うべきこと。所管を移したからといって、国立病院部が何もしなくなるわけではなく、国立のブロック拠点病院や拠点病院への指示、連絡等国立病院部としてやるべき事は今まで通り実施する。
(6)その他
- ○ A−netの12月1日現在の利用状況、第3回A−net説明会の開催、A−netの診療情報を印刷可能とすることについて説明
→ 診療情報の印刷については、ほかの方法がないか(電子媒体で渡す等)検討することとして行わない。
厚生省:
- セキュリティの低下が懸念されるものはすべて禁止としたことで、A−netは厳しいという評判が定着した。2年間運用してきて特段問題も起きていない。利用者にもセキュリティの確保という意識が浸透したので、A−netの利便性を図るため、診療情報の印刷ができるよう提案した。
原告団:
- 自分のデータが欲しいという数人のために、A−netに登録している全ての患者のセキュリティが落ちることになる。
原告団:
- MO等でもらえるなら別だが、印刷するだけだったらカルテの写しをもらうのと同じことであり、特段メリットも感じられない。
以上
問い合わせ先
厚生労働省
健康局国立病院部政策医療課企画第一係
電話 03−3595−2274
FAX 03−3595−1939