00/11/22 女性と年金検討会議事録 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」 (略称:女性と年金検討会) 議 事 録     厚生省年金局年金課(厚生労働省年金局年金課)   女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会議事次第  開催日時   平成12年11月22日(水) 10:00〜12:00  開催場所   都市センターホテル 5階  議事次第   1  開会         2  委員出席状況報告         3  議事         (1)遺族年金         (2)離婚時の取扱い         (3)パートタイム労働者         (4)その他         4  閉会   ○袖井座長  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから「女性のライフスタイル の変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。  それでは、事務局より、委員の出欠状況を報告していただきます。 ○企画官  本日の委員の出欠状況につきまして御報告申し上げます。  本日は、高島委員と藤野委員が所用のため欠席されております。また、中田委員は後 ほどお見えになると伺っております。 ○袖井座長  それでは、早速、議事に入りたいと思います。  まず、前回の検討会で各委員よりお求めのありました資料につきまして、事務局で用 意していただきましたので、これについて説明を受けたいと思います。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○年金課補佐  それでは、お手元の資料の御確認をお願いしたいと思います。  本日の資料につきましては、委員から要望があった資料として資料1と、「女性と年 金検討会第3回資料」が資料2、その二分冊になっております。傍聴の方には1冊にま とめております。  あと、委員の方々につきましては、前回の検討会以降、9月末に男女共同参画審議会 が答申をまとめられ、また、10月末に社会保障の在り方に関する有識者会議におきまし て報告がとりまとめられたところです。これらにつきましても大変関連がある部分です ので、今日は特に御説明ということではありませんけれども、参考にしていただければ と思い、席に配付しております。  それでは、資料1「委員から要望があった資料」につきまして、順次御説明申し上げ たいと思います。  資料1の1ページ、「夫の取得階級別 妻の就業状況取得階級の状況」ということ で、これは平成9年の総務庁の就業構造基本調査を基に集計したものです。上のグラフ は、夫の所得階級によりまして、妻が無業か有業か、あるいは、有業の場合はパートか どうかということです。下から見ていきますと、 300万円のところまでは無業割合が減 っていて、そこからまたちょっとだけ増えて、最後はまた減るということで、若干の差 はあるようですけれども、傾向と言うほど大きな差はないということかと思われます。 下のグラフは、有業の場合、妻の取得階級はどのような分布かということで、単位の 「万円」を抜いておりますけれども、 100万円未満、 100〜199 万円未満、200 〜299 万円という形で切っております。若干の違いはあるようですが、大きな差はないようで す。 2ページ目は、例のM字カーブの関係で、女子の労働力率につきまして年次推移はど うなっているかということ、及びコーホートで見るとどうかということです。上のグラ フは年次推移であり、昭和35年から平成11年までの実績及び労働省推計の平成22年、37 年を掲げてあります。25−29、30−34の辺りがはっきりしているわけですけれども、昭 和35年、40年、45年、そして昭和50年で一番下がりまして、その後、55年、60年、平成 2・7・11と上がってきているということであります。40代につきましても同様に動い ておりますけれども、40代につきましては、平成2・7・11の辺りは70%強で止まって きているような状況になっているところです。  下は、それを出生コーホート別に見たものです。一番下がっている昭和50年に25− 29、30−34に当たっていたような、言い換えれば昭和16年から20年生まれ、21年から25 年生まれの年代のところでM字の谷が一番下がりまして、その分、それがまた反転して 伸びていっているというようなことで大きく変動している世代がここら辺りであるとい うことかと思われます。  今、平成22年、37年の話を申しましたけれども、その労働力の見通しということで労 働省で推計されている数字が3ページです。  4ページ、5ページは同様のものですが、労働省での労働力需給の見通しということ で、2010年までの労働力人口、就業者数の見込みを、4ページは成長率の仮定を異なら せたものです。成長率の仮定を異ならせたもののうちの(イ)「1人当たり2%成長」 の労働力人口 6,736万人、男性 3,992万人、女性 2,744万人の部分につきまして、年代 別にその内訳をさらに細かく整理したものが5ページです。労働省の方では、こういっ た需給見通しを立てているということであります。現在の姿だけではなく、将来の労働 力がどうなるのかを含めて検討する必要があろうというお求めがあったことから、この 資料を用意しました。  次の6ページですけれども、年金の受給状況につきまして、前回、お求めに十分応え られなかったのが、一人一人で年金の受給状況はどうかということで、男女別、年代別 をお示ししたわけですけれども、世帯別ではどういう受給状況になっているのかという ことで、これは国民生活基礎調査を特別集計する形でつくったものです。ちょっと見に くいですけれども、この表の一番左側になりますが、1万世帯のうち公的年金を受給さ れているのが 3,955ということは、全世帯のうちの39.55 %の世帯で年金を受給してい ることになります。  その 3,955を 100としますと、その横の方を見ていきまして、その際に、男性が1人 でもらっている場合、女性が1人でもらっている場合、夫婦でもらっている場合と、大 きく3パターンあります。さらに、その場合でも、例えば男性1人でもらっているとい っても、その方が1人暮らしである場合と、お子さんなりと暮らしている場合がありま して、単独世帯とそれ以外とに分けています。細かくなっておりますけれども、そうい った分類をしております。  また、その際に、男1人のみ受給世帯の単独世帯が 142となっておりますけれども、 その 142の方が年金を幾らもらっているのかということを縦に見まして、パーセンテー ジで内訳をつけております。これを例えば、夫婦2人でもらっている場合で見ますと、 右側の「夫婦ともに受給世帯」ということで、夫婦2人暮らしの世帯で2人とももらっ ているという場合には、大体、真ん中より下くらい、91とか 100とか97とありますけれ ども、 250万円から 300万円、 300万円から 400万円、この辺りの受給が一番山になっ ている。 ただ、いろいろばらつきがありますけれども、そういった状況です。この辺につきまし ては、細かく見ますといろいろありますが、そのような集計結果が出たということす。 以上が年金の受給状況です。 次に、世帯というものがいろいろ変わってきているのではないかということがありま して、これは各世帯人員別に見た世帯数の構成割合の年次推移ということで、昭和28年 から平成10年までの推移です。6人以上世帯が大分減ってきたというのは当然ですけれ ども、最近の傾向として、1人世帯、2人世帯が増えてきております。4人世帯、5 人、6人以上が減ってきて、2人が大分増えてきて、3人も若干増えてきているという ようなことになっています。  8ページは、世帯構造別に見た世帯数です。グラフの下側から「単独世帯」、「夫婦 のみ世帯」、「夫婦と未婚の子のみの世帯」、「ひとり親と未婚の子のみの世帯」、そ のような形で積んであります。シェアとしてはそう大きくは変わっておりませんが、 徐々に変わってきているということであり、下の二つのグループの単独世帯、夫婦のみ 世帯が増えてきております。夫婦と未婚の子のみの世帯は、シェアとしてはそう大きく 変わっていないようであります。  ただ、夫婦と未婚の子のみの世帯の中でも、子供の数がどうかにつきましては、9 ページをごらんいただきますと、前回、夫婦と子2人という世帯が減ってきたのではな いかという御指摘があったのですけれども、夫婦と未婚の子のみの世帯の内訳を見ます と、昭和62年以降でしかそういう形での統計をとっていないのですが、一番上が子供が 2人という世帯、次が子供が1人ということで、子供が2人がちょっと減って、子供が 1人が増えているということで、その二つを足すと合計数としては同じくらいなのかも しれません。したがって、夫婦と未婚の子のみの世帯の中の内訳が変わってきている部 分が若干あるのかなということです。  10ページは単独世帯についてであります。10ページの上は単独世帯でありますけれど も、女性で言いますと、女性の単独世帯の4割は65歳以上であり、下を見ますと、そう いう場合の原因は死別によるものがほとんどです。  11ページは農家の状況です。「専兼業別農家数」ということで、上の表では、農家総 数 247万農家のうち専業が43万、兼業が 200万、そのうち第2種兼業農家が 168万で す。第2種兼業農家のうち、下のグラフを見ますと、一番大きなウエートの約6割が恒 常的に勤務をしているということで、こういう方々につきましては、いわゆる厚生年金 といいますか、2号被保険者になっている可能性もあるということです。  12ページは、今の農家総数 247万世帯の中に、15歳以上が、男性 454万人、女性 483 万人いらっしゃるわけですけれども、その方々が自営農業のみ従事なのか、その他にも 従事しているのか、あるいは、農業もやっているけれどもその他の仕事が主であるの か、あるいは、その他の仕事のみ従事しているのか。農家にいらっしゃる 930万人余り の15歳以上の方につきましても様々な業態になっているということです。 ここまでは農水省の調査ですけれども、13ページは年金の方から見た場合で、農林水 産業従事者が年金にどういう入り方をしているかということで、自営であればほとんど は1号ですし、雇用されていればほとんどが2号という形で、数については当然若干の 違いがあるところです。  下は、3号被保険者の中で就業している人の就業先は何かということで、サービス業 が一番多いのですが、農林水産業に従事している3号被保険者も若干はいるということ です。  次の14ページですが、前回、日本の年金制度で、女性に関係する制度はいろいろ変わ ってきました。女性だけではなくて男性もいろいろ変わってきておりますけれども、中 でも女性に関係する部分が変わってきているわけで、そこについて経過を整理してほし いというお求めがありました。主に、年金の適用の面、保険料率の面、支給開始年齢の 面、脱退手当金というものがあったとか、そういった形等々でいろいろ変わってきてお ります。  簡単に見ていきますと、昭和17年に労働者年金保険という厚生年金の前身ができたわ けですが、そのときは女性は適用除外でした。  昭和19年には、厚生年金保険と名前が変わりまして、女性にも適用拡大をし、このと きに「婚姻」を保険事故とする結婚手当金というものが、22年にはなくなりましたので わずかな期間ですが、あった時期もあります。19年のときは保険料率は男女同率でした けれども、22年には男女の差を設けました。  脱退手当金という制度が当初からありまして、3年以上の被保険者期間を有する者が 死亡あるいは脱退で資格喪失した場合には、脱退手当金を設けたのですけれども、これ につきまして、基本的には、男女共通で5年以上20年未満、「20年未満」というのは、 20年あれば年金に結びつくので脱退手当金は必要ないわけですが、20年未満の人が50歳 を超えて資格喪失した場合には脱退手当金がありました。ただし、女性につきましては 年齢制限なしで、もっと早く辞めた場合でももらえるという形にしておりました。  その後、昭和29年に脱退手当金の支給要件を変えまして、男女の差をつけました。脱 退手当金というのは、その手当金をもらってしまうと年金には結びつきませんので余り 望ましい話ではないということですが、その当時は、ほかの制度との年金通算がなかっ た時代ですので、厚生年金20年加入ということが女性の働き方からするとなかなか結び つかなかったということで、こういった措置を設けたところです。なお、その際、次の ページになりますけれども、支給開始年齢が従来は55歳でしたけれども、男子だけは期 間をかけながら引き上げるということを開始しました。  昭和36年に国民年金制度ができました。国民年金では、基本的に男女を問わず被保険 者とするが、被用者年金の被保険者の被扶養配偶者につきましては任意加入という位置 づけになりました。このときに、各年金制度を通算する通算年金通則法ができ年金通算 が実現し、必ずしも厚生年金の期間が短かったからといって年金に結びつかないわけで はないので、脱退手当金が基本的には要らなくなるのではないかということになりまし た。したがって、その際には、要件ということで、厚生年金に5年以上入っていたけれ ども20年にはならず、60歳に達したという場合に限ったのが昭和36年の改正です。これ も男女を問いません。  しかし、昭和40年に、短期で辞める女子が実態としてあり、そういった人たちには従 来あったような脱退手当金が必要ではないかということで、国会で修正があり、40年か ら、当面は6年間ということでしたが、結局、2回の延長があり13年間の経過措置にな りまして、昭和53年5月まで女子の特例が存続し続けました。なお、53年6月以降につ きましては、36年のところに書いてありますように、男女を問わず5年以上加入60歳以 降脱退ということでの脱退手当金だけが残ったわけですが、これは、60年の改正でさら に、辞めたときに期間が20年足りなかった場合は、さらに加入して期間を増やすことが できることになりましたので、60年の改正をもって脱退手当金がすべて廃止になったと ころです。  次に、昭和55年のところですが、本日の後半のテーマでもある短時間労働者に関しま しては、厚生年金、健康保険をどう適用するかということで、常用使用関係にある者と いうのが、従来は地域によりばらばらだったという事情があり、全国一律の統一の基準 でやろうということになり、いわゆる4分の3要件ですが、通常の労働者の4分の3以 上の勤務日数、労働時間の方については、厚生年金、健康保険を適用するという基準を 示したというのが、この55年です。これは収入が幾らかではなくて、働き方が常用の方 と同様に見なされるかという基準です。  もう1点、55年には、従来は男女の保険料率に差があったのですが、女子の保険料率 の引き上げを段階的に進めて男女差を解消していこうという方向性を出しまして、段階 的にずっとやってきまして、平成6年1月から同率になりました。この保険料率の推移 につきましては、17ページに表がありますけれども、55年までは男女差があるという状 況でしたが、55年以降、男子は5年に1回の引き上げでしたが、女子については毎年少 しずつ引き上げていって徐々に追いつくということをやりまして、3度の改正を経て、 平成6年からは男女同率という形になっております。  16ページです。昭和60年の改正ですけれども、基礎年金を導入いたしまして、サラリ ーマンの被扶養配偶者も自分名義の年金権が保障される仕組みです。従来は、厚生年金 であれば、全体が夫の年金ということで妻名義はなかったのですけれども、その一部を 妻名義という形での整理をすることにしました。併せて第3号被保険者制度が発足し、 国民年金への任意加入という仕組みが廃止になりました。その際の第3号被保険者につ きましては、被扶養者の認定基準ということで、昭和60年改正、61年4月の施行段階で は、その時点での健康保険の被扶養認定の基準90万円と合わせる。この90万円というの は、健康保険の方は税の非課税額とそろえていたわけですが、その後、税の方はそれほ ど大きく上がっておらず、現在 103万円ですけれども、その後の賃金や物価の伸びに応 じて、被扶養者認定基準は上げてきております。ただ、最近は、賃金、物価の方もなか なか上がらないということで、平成5年以降は 130万円という形になっているところで す。 また、遺族年金につきましても見直しがありまして、まず国民年金の関係では、基礎 年金の導入に伴いまして、国民年金の母子年金というのは被保険者自身が拠出して母子 年金をもらうということであったわけですけれども、それではなくて、生計維持者が被 保険者であって、その方が亡くなった場合に残された遺族に遺族年金があるという仕組 みに変わったということが1点。  また、書いておりませんけれども、厚生年金の遺族年金の算定につきましても、従来 は老齢年金全体の2分の1でしたけれども、基礎近年の導入に伴いまして、その報酬比 例部分の4分の3という形での整理を行ったところです。  なお、厚生年金制度改正のところで、女子についても支給開始年齢を順次引き上げて いって60歳に上げていくこと、あと、先ほど申しました脱退手当金を完全に廃止したと いうことです。  平成6年の改正におきましては、遺族年金の選択で、遺族厚生年金と老齢厚生年金と を2分の1ずつ併給するという新しい選択肢が設けられました。また、第3号被保険者 につきまして、周知が十分でなかったということから特例措置を講じたということで す。また、支給開始年齢はさらに引き上げをしていくということで、平成6年と平成12 年に改正を行っています。平成6年には定額部分を、今回の12年の改正では報酬比例部 分の引き上げということですけれども、いずれも、女子はスケジュールを5年遅れでず らしているところです。  以上、大変簡略ですけれども、年金制度の女性に関係するところを中心に、どういっ た経過になっているかを早足で見てまいりました。  最後の2枚は、前回、3号被保険者制度を見直して3号の方から保険料を1万 3,300 円ずついただくとすると、厚生年金の保険料率が17.35 %から16%になるとか、あるい は、定額ではなくて定率にするとすると被扶養配偶者がいれば19.3%になるという試算 につきまして、どのような選定をしているのかという御質問があったところです。  3号制度のおさらいになりますけれども、現行の仕組みは、1号被保険者は国民年金 の保険料を払いまして、2号と3号につきましては、3号の部分を含めて制度全体で2 号被保険者に保険料がかかっているということであります。したがって、2号被保険者 と3号被保険者の合計額を厚生年金で賄うということですので、1号被保険者部分とは 切り離されるわけです。もし、仮に3号被保険者が定額保険料を負担するとした場合、 その1万 3,300円を3号被保険者の方が払うという部分については、2号被保険者の保 険料だけが安くなるということです。  したがって、どういう計算をしたかといいますと、一番下にある算式の下から2行 目、1万 3,300円を12ヵ月、3号被保険者 1,063万人が払いますと、それは従来の保険 料収入で割り戻しますと、1.35%分に当たるということです。こういった引き算をしま して、その1万 3,300円を12ヵ月、 1,063万人が払う分が、2号被保険者の人全体で1.3 5%分の保険料を払うことと金額的には同じになるという意味合いです。 なお、19ページは、これを定額ではなくて定率でやるようにした場合はどうなるかと いうことであります。これについては、妻が被扶養配偶者である2号被保険者は19.3 %、そうでない人は16%という計算になっています。この1万 3,300円を被扶養配偶者 がいる人がみんなで払うことになりますけれども、厚生年金の保険料にということにな りますと、要するに給料が高い人は多く、給料が低い人は少なくで、総額として1万 3,300円平均という形になります。この1万 3,300円というのが保険料率換算するとど うなるかということです。そうしますと、配偶者がいる人の標準報酬月額の平均は幾ら かというと、下から二つ目の*印の3行目にありますけれども、配偶者がいる人の標準 報酬月額の平均は40.2万円ですので、この1万 3,300円をそれで割り戻しますと 3.3% に相当するということであります。したがって、その1万 3,300円を 1,000万人が払う のと同価値になるのは、有配偶者が 3.3%の保険料率で保険料を納めるのと数字として は同じになるということで、19.3という数字を出したということです。 あと、前回は、このほかに、外国の年金制度はどういう変わり方をしているかとか、 特にスウェーデンはどうなっているかとか、そのような御質問がありました。現在、細 かいところは調査不足のところがありまして整理をしております。次回以降に、外国は どのような年金制度になっているかということについて、また御検討をいただく機会を 設けたいと思っております。以上です。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。 とても沢山あって、一遍には消化しきれないのではないかと思いますが、ただいまの 説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞ。 ○永瀬委員 詳しいものをありがとうございました。一番最初の「夫の所得階級別 妻の就業状況 及び所得階級の状況」ですが、夫の所得に依存して有業・無業の状態は変わらないよう だという御説明でしたが、保険料という点ではそうでもないのではないかと。  下のグラフで年収100万未満の層を、パートなどで働いているが保険料を免除されてい るか、あるいは無業層、つまり第3号被保険者と読むとします。また妻の収入 100万円 以上のところを第2号被保険者と見るとします。一方、家族従業者とあるは、第1号被 保険者と読み替えるとします。もちろん例外はあるでしょうが、だいたいは該当するで しょう。すると既婚の妻で第2号被保険者として年金保険料を負担している層が一番人 数として厚いのは、夫の年収階級が 300万円台から 400万円台の層です。それ以上夫の 年収が増えると保険料免除の有業者、もしくは無業者が増えている。また、それにより 夫の年収が減っても第2号は縮小するが、それは有業の第3号被保険者が増えるという より、第1号である家族従業者が増えているという見方が出来ると思います。グラフの 両側の夫の所得が非常に多い層と非常に少ない層は傾向がやや違いますが、人数的には かなり少ないのではないかと想像します。つまり夫の年収が 200万円以上から 1,000万 円未満の層が人数的に比較的厚いと想像され、ここで、第2号として妻が社会保険料を 負担している層は、夫の年収に無関係、というよりは、夫の年収がやや低い中間層、つ まり夫の年収が 300万円から 400万円台の層と言えるのではないでしょうか。御確認し たいと思います。 ○年金課補佐 サンプル数といいますか、数としてはこの辺りが一番多いのは、そのとおりです。 2号かどうかというのは必ずしも明示できませんが、所得の低い層、高い層が少なく て、この辺りに人数としての厚みがあるというのは、実際の統計数値としてはそういう ことでございます。 ○永瀬委員  つまり、夫婦ともに第2号として、恐らく、負担しているであろうという層は、夫の 所得階級が 250万円以上から 700万円未満くらいのところがかなり厚いと見てよろしい わけですね。その上になると、第3号の有業者がだんだん増えていく。それからあと、 その下になっていくと第1号の家族従業者がだんだん増えていく。そういう見方と思っ てよろしいのでしょうか。 ○年金課補佐  100万円未満の所得であれば3号に該当するとか、そのように必ずしも明確に割り切れ る話でもないわけですけれども、先ほど申しましたのは、統計の数としては、真ん中辺 りが山といいますか、人数が多いことはそのとおりということです。一方、この階層が 年金で言うところの2号になっているのかどうかとかは、この統計では必ずしもなかな か出てこないところでございます。  ただ、 300万円くらいのラインですと、夫の所得 1,000万円から 200万円まで、ほと んど同じような80%くらいのラインに来ているので、どういう見方をするかということ は、さらに細かく見ないとなかなか難しいのかなと思っております。 ○堀委員 この表は二つの点でちょっとわかりにくいですね。 一つは、サラリーマンと自営業者がごっちゃになっているということ。自営業者でも 所得が相当上の人もいます。それから、自営業者として所得が上ということは、その配 偶者は家族従業者でない可能性があります。 2点目は、年齢階層が出ていません。日本の場合、年功序列賃金で夫の賃金がだんだ ん上がっていく。そうすると、若いときは共稼ぎでも、年をとるにしたがって共稼ぎで はなくなる。すべての国民がそういうパターンをたどると、共稼ぎと片稼ぎでどうのこ うのという議論でもなくなってくるのかなと思います。  その二つの点を感じます。 ○袖井座長  いかがでしょうか。これは自営も全部入っているわけですか。 ○年金課補佐  これは、まさに家族従業者の方がいることから明らかなとおり、自営も含めたもので ございます。就業構造基本調査はそういった形ですので、含まれたものでございます。 単純に言うと、家族従業者の一定シェアを書くということもあったのですが、それもま た乱暴なので、それぞれの統計に出ているものを単に整理したということであります。 また、おっしゃるとおり、年齢によって、これも年齢で切っておりませんので、本当 は、いま堀先生から御指摘がありましたとおり、若い世代であれば、夫の所得が低くて 妻も働いているだろう、40代、50代は若干違うのではないだろうかということがあるわ けですけれども、既存の統計をもとにこういった形で整理をしたということでございま す。 ○袖井座長  堀委員、追加資料とかありますか。よろしいですか。 ○堀委員  はい。 ○住田委員  その次の2ページの表で、私がお願いしたものを、今回、労働力率、年代別、年次別 でおつくりいただいたものをありがとうございました。想像していたように、私より少 し上のベビーブーマーが最もM字型の落ち込みが大きい。そういう意味では、この表の 一番下のところをずっと地をはうようなところがありまして、それから少しずつ上向い てきている。上の表を見ますと、平成22年、これから10年後、また平成37年というよう な労働省の推計を見て、今回は驚きました。やはりわが国は、10年後、15年後もこうい うM字型カーブを描くというようなことを労働省がお考えになっているというその根拠 はどういうものなのか、ぜひ知りたいと思っております。  この前も申し上げたかもしれませんけれども、このM字型カーブを描いていますの は、先進諸国では日本だけでして、世界的に見ましても韓国ぐらいしか見られません。 ここにわが国の女性の性別役割分担とかいろいろな形でのものが集約されているような 気がしております。もちろん、女性にとって働きにくい状況を反映しているものでもあ ると思っております。  そういうものを前提に、今後も15年もそのように推計しておられることについては、 ある意味ではショックでございまして、それがどういうようなお考えに基づいておられ るのかぜひ知りたいと思っております。  以上です。 ○袖井座長  これは労働省の方にお尋ねできますか。 ○企画官  本日は労働省の者は出席していないわけでございますが、労働省の推計につきまして は、もちろん、今後の制度の改変、特に仕事と家庭の両立支援に関する施策の充実な り、制度の見直し等によって変化し得るものであるということで、現在までの趨勢等に 鑑みて、現時点での推計はこうなっているという性格ものではないかと推測されるとこ ろでございます。 ○袖井座長  ほかにどうぞ。 ○駒村委員  19ページの 3.3%の出すところで、ここのところは、有配偶者の標準報酬月額が平均 で40.2万円ですが、厳密には、被扶養者が3号である人の標準報酬月額が本来はいいわ けですね。そのデータがないからこれを使っているということですか。 ○年金課補佐  ここは、この有配偶者というのが扶養配偶者という意味での数字なのか、そうではな くて、単に有配偶かどうかでとったか確認していないのですが、データとして存在する のであれば、被扶養配偶者がいる人のデータでとるのが本筋であるかと思います。 言葉は「有配偶者」と書いてありますけれども、その数字でとっているかどうかは今ち ょっと確認できません。 ○駒村委員  わかりました。また教えてください。 ○袖井座長  それはわかりますよね。 ○年金課補佐  はい。 ○永瀬委員  6ページの表を初めて再集計で見せていただきまして、誠にありがとうございまし た。これで伺いたいのですけれども、夫婦ともに受給している世帯の、夫と妻別の年金 受給状況等もわかり得るものなのでしょうか。それとも、それは年金総額ということで しかわからないのでしょうか。 ○年金課補佐  データの構成としては、特別集計すれば、この人たちが幾らと幾らかということは出 ます。 ○袖井座長  ほかに何かございますか。  ほかに何か新たに資料請求がありましたら、事務局の方に言ってください。  それでは、時間も押してしまいましたので、本日の議題に移りたいと思います。本日 の議題となっております論点について、意見交換をお願いしたいと思います。  前回の検討会では、女性と年金に関して指摘されております様々な論点のうち、個人 単位化と第3号被保険者制度について意見交換をいたしましたが、今回、それ以外、遺 族年金、離婚時の取り扱い、パートタイム労働者といった論点について意見交換したい と思います。  遺族年金と離婚時の取り扱いは関連する部分がございますので、まず遺族年金と離婚 時の取り扱いについて意見交換をお願いし、その後でパートタイム労働者について意見 をお願いしたいと思います。  まず、遺族年金と離婚時の取り扱いについて事務局から説明を受けたいと思います が、その前に、最近一部の新聞で報道されております第3号被保険者の届出漏れの問題 についてです。これは、いわゆる申請しなかったために空白期間が生じてしまったとい うことで、今、新聞にたびたび出ている問題でございますが、本日の議題ではありま せんけれども、第3号被保険者制度をめぐる問題の一つとして、委員の皆様も経過をご 理解していただいた方がいいかと思いますので、事務局が資料を用意しておりますの で、専業主婦の第3号被保険者の空白期間が生じてしまった問題について、事務局から 御説明をいただきたいと思います。 ○年金課補佐  それでは、お手元の資料2の31ページ、32ページ、「第3号被保険者の届出に関する 経過」ということで資料を用意しております。第3号被保険者制度につきましては重々 御承知のとおりでありますけれども、昭和61年4月に制度が発足されました3号被保険 者は個別の保険料負担を行う必要はないけれども、これに代わるものとして、その旨の 届出を行う必要があるとしたところです。  この届出を求めた理由ですけれども、3号被保険者につきましては、その配偶者が加 入している厚生年金、共済年金などの各年金制度が基礎年金の給付に必要な費用を負担 する仕組みになっておりますが、本人からの届出があって初めてその方が3号被保険者 であるということと、どの制度で年金の費用を負担すべきなのかということが確認でき るということでありまして、これは後から申し出があっても、随分前の時期に被扶養者 であった、特に収入要件を満たしているかどうかの確認を行うことがなかなか困難であ るということで、その時その時での届出をお願いしているところです。  この届出を遅れて行った場合につきましては、直近の2年までの期間について遡及し て保険料納付済期間といいますか、年金額の計算期間に入れるということで、これは国 民年金の1号被保険者について保険料納付を怠っていた場合、2年を超えては昔の分を 払えないことにしているということとの均衡を考慮したものです。  ただ、平成6年の改正のころに、61年にこの制度がスタートしたものの届出制度が十 分周知されていなかったということから、届出特例を設けまして、平成7年度と8年度 の2年間の間に届出をすれば、過去の期間の分についても年金の額の計算に入れるとい う特例を設けました。ただし、こういうことを何度も行うということだと信頼にもかか わりますのでこのとき1回限りということでこういった措置を実施したところです。  その後、平成9年から基礎年金番号を導入しまして、従来1人で幾つもの年金番号を 持っているケースもあったわけですけれども、1人1番号に統一しました。それで、複 数の番号を整理していく過程で、実は、3号被保険者であったと思っていたら、途中で 厚生年金に加入していた時期が同一人物についてあったことがわかってきました。  それは、新聞等で報道されているケース、典型的に申しますと、企業等に研修等で2 〜3ヵ月、厚生年金の適用を受けていた。それは、研修的な形で受けていたので、自分 が厚生年金の適用を受けていたとは本人は知らなかったという形で言われております。 短期間の研修を受けて、その間、厚生年金の適用を知らされず、また、それをやめたこ とを本人は知らずにいたということです。  年金制度上は、3号被保険者届出をした後、しばらく2号被保険者になり、また3号 保険者になっているわけですけれども、3号被保険者から2号被保険者に変わったこと については、企業から社会保険庁に届出が行われますので、2号被保険者でなくなった ことについては企業からの届出でわかりますが、その後、その方がどこかの会社に入っ たのか、あるいは国民年金の保険料を払う1号になったのか、あるいは、被扶養に戻っ たのか、それは会社からの連絡だけではわからないわけで、そこで届出があって3号で あるのかどうかを届け出てもらうということですが、報道されているケースは、厚生年 金に入ったこともやめたことも本人が知らなかったので届出をしようにもできなかった ということが言われております。  こういったケースにつきまして、実態がどういう状況になっているのか、また、それ に対してどういう対応が考えられるかを現在検討しているということです。  なお、32ページの上から二つ目の○にありますが、こういった基礎年金番号の導入も ありまして、平成10年4月以降は、企業から厚生年金をやめたという通知を社会保険庁 が受けてから2ヵ月たっても、さらにその後2ヵ月、計4ヵ月たっても何の届出も御本 人からない場合については、届出がないですけどどうされましたかという勧奨をする形 にしております。これによりまして、知らぬ間に適用になって知らぬ間にやめたという ことを本人が全く知らないままずっと放置されているという事態は、こういった仕組み によりなくなっていますけれども、以前、こういった態勢がとれていない時期にはそう いったことが起きているということです。  14年4月から、現在は3号被保険者の届出は本人が市町村役場に届出を持っていく形 ですけれども、14年4月からは、典型的にはご主人になりますけれども、配偶者である 2号被保険者の会社の事業主を通じて届出をするということで、3号自身が市役所に持 っていかなくても、夫である2号が自分の会社を通じて3号の届出ができるという形 で、事務負担の軽減なり届出漏れの解消に対応するということは既に改正しているとこ ろです。こういった経過の中で、報道されているようなケースが生じているということ です。以上です。  引き続きまして、本題の遺族年金と離婚の関係につきまして御説明を申し上げたいと 思います。  資料の冒頭に戻りまして、資料2の1ページからが遺族年金と離婚の関係です。遺族 年金と離婚の関係につきましては、年金審議会ではどういった意見書をまとめられたか といいますと、遺族年金については、個人単位という観点からは縮小廃止すべきである ということ、または、そうは言っても、実態から見て別の考え方があるのではないだろ うか、様々な主張があるけれども、男女平等の視点や女性の就業状況等の進展も踏まえ ながら検討する必要がある。  また、離婚時につきましても一律の分割、個別での分割、あるいは、個別の分割を制 限している一身専属権についてどう考えるか。そういったことについて、どういった社 会的合意が可能な方策等があるかについて幅広く検討する必要があるだろうというの が、年金審で意見書としてまとめられたところです。  この遺族年金あるいは離婚をめぐりまして、現在どういった仕組みになっているかと いうことですけれども、2ページをごらんいただきますと、左の「婚姻継続時」につき ましては、老齢年金で言いますと、夫が基礎年金+2階の厚生年金。妻につきまして は、基礎年金しかない方であれば基礎年金だけですし、厚生年金の期間が何年間かあれ ばその上に厚生年金があるという形で、婚姻継続時でありますと、こういった形での夫 婦2人の生活になります。もし、このときに夫が亡くなったということになりますと、 残された奥様の遺族年金は、妻自身に厚生年金がないとしますと、妻自身の基礎年金+ 夫の厚生年金の4分の3という形になります。  一方、妻に厚生年金が若干ある場合、沢山ある場合と様々ありますが、三つの中から 選択します。自分自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらうという形。2番は、妻に 厚生年金がない場合ですが、妻の基礎年金+夫の厚生年金の4分の3の額に当たります 遺族厚生年金を受給する。3番は、それぞれを2分の1ずつという形で受給するという ことであります。この三つの選択肢の中からどれかを選ぶということです。それが亡く なった場合での受給です。  その右側は離婚時ということであります。もちろん、これは妻に厚生年金がなければ 妻は基礎年金だけであり、妻に厚生年金があれば、自分の基礎年金と老齢厚生年金を受 給する形になります。こういった現在の状況につきまして様々な議論があります。  3ページです。左側に問題点の指摘、真ん中に、その解決方策としてはどういった解 決方策があるか。さらに、それに対してどういう問題点があるか。これはまた別の紙 で、同様のことの繰り返しになりますけれども、1枚紙になっておりまして、これで簡 単にご説明しますと、左側は問題点でありまして、一番上が遺族年金の問題で、専業主 婦に対して遺族年金を給付する費用を、第2号、特に単身の人、男女を問わずですけれ ども、共同負担しているというのは不公平ではないかという考え方があります。公的年 金の中に、個人年金的、個人積立みたいな発想を強く持ち込みますと、そういった不公 平感が出てきます。そうしますと、遺族年金があること自体が不合理という発想にもな り、遺族年金を廃止するとか、必要な人だけ付加保険料を取って付加的に行うといった ようなことも、議論としてはあり得るということです。  それについては、右側にありますように、遺族年金という公的年金としての生計中心 者を失った場合の所得保障なりを考えた場合、現在の女性の働き方なりを考えると、老 後の保障としてどうだろうかという意見があります。  また、下半分につきましては、主に離婚時に年金をどうするかということであり、現 役時代の賃金、年金権を2分割してはどうかという意見もあるわけです。この論点につ きましては、国民意識といったもので、こういったことが社会実態として定着し得るの かどうかということがあるかと思います。  3ページの左の一番下に、遺族年金の受給権に男女差があるということであり、これ につきましては、女性の就労が一般的になりますと、その男女差を解消することもでき るのかということで書いてありますけれども、これにつきましては、後ほど別の資料で 御説明をしたいと思っております。  以降は詳細に入ります。  4ページです。遺族年金につきましては、現在の仕組みは、被用者年金に加入してい る被保険者が死亡した時点で、その人に生計を維持されていた遺族が所得保障を受ける ということです。これについては、例えば単身の世帯、共働きの世帯というのは発生し ない。 特に単身世帯につきましては遺族年金が発生しないため、男性も含めまして、それをみ んなで負担しているのは不公平ではないかという意見があります。それだったら、働か ないで専業主婦でいた方が生涯で考えると得だといって、就労が抑制されてしまう面も あるのではないかということで廃止論もあります。  ここが現行制度に対する意見、問題点ということで、一つ目の○はそういったことで あります。  二つ目の○に書いてあります問題点、現行制度に対する意見ということですけれど も、前回の3号被保険者に関する制度の説明の中で、現在の制度は、前回、50万円とゼ ロの家庭、30万円と20万円の稼ぎ方で、給付と負担金が公平になっているという話を申 しましたけれども、それは、老齢年金の部分ではそうなっているけれども、遺族年金の 部分でそこは公平になっていないのではないだろうか。そこは、同一保険料負担であっ ても、遺族年金の場合、専業主婦世帯が高くなってしまうような問題ではないかという ことがあります。  これに対して、現行制度を維持する考え方としては、要は、生計維持者の死亡とい う、保険事故として必要な給付をやるのでなければ、公的年金制度の役割を果たせない ということではないだろうかということであります。  現行制度の修正を求める意見として、a、b二つありますけれども、aはそもそも遺 族年金を廃止してはどうかということですが、これについては、公的年金の役割として どうなのだろうかという論点があります。  また、bは、世帯単位での給付と負担の不均衡。老齢ではいいかもしれないけど、遺 族では不公平になっているのではないだろうかということで、これは、これだけを見て もわかりにくくて、5ページに詳しく書いてあります。左上になりますが、仮に夫婦2 人暮らしで、夫の老齢基礎年金、妻の老齢基礎年金、夫が10万円の老齢厚生年金をもら っている家庭で御主人が亡くなった場合には、遺族厚生年金では7万 5,000円になっ て、右側に行きますが、黒塗りの部分がなくなって、妻の老齢基礎年金+7万 5,000円 の遺族厚生年金という形になります。ただ、これが共働きで、2人合わせて10万円の老 齢厚生年金があるという場合、お二人いらっしゃる間は上の世帯として同額の老齢年金 になるわけですけれども、お一人が亡くなられた場合、例えば夫が6万円、妻が4万円 の老齢厚生年金という形でもらっている場合ですと、その6万円の4分の3を選ぶの か、自分の4万円を選ぶのかという話になるわけで、それは6万円と4万円なのか、7 万円と3万円なのか、8万と2万なのかによってどの選択をするかというのは、妻の老 齢年金額によって3択の中のどれを選ぶかということになるわけです。いずれの選択を するにしても、2階部分が7万 5,000円より少なくなってしまうということでありま す。 これについて、夫婦の年金額を合計して4分の3にするとすれば、遺族年金のままで も公平になるのではないかという御意見があります。そこにつきましては、その場面で 公平が図られるということではありますけれども、遺族年金の給付が全体としては高ま るわけで、それが保険料負担等の反響も出てくるわけですし、そもそも年金水準として どうなのだろうかということで、その4分の3という水準でいいのかどうかということ も論点としては出て来る。4ページの一番下のbに書いてありますのは、不均衡じゃな いかということで、それを足して4分の3にするとしたら、不均衡は是正されますけれ ども、給付水準の4分の3についてどう考えるかということも併せてみるということが 出てくることになります。  6ページは、遺族年金の受給権に見られる男女差ということで、遺族年金の場合、残 された方に子供がいる場合といない場合もあるわけですけれども、どういった場面で男 女に差があるかといいますと、残ったのが母子状態の場合にしか遺族基礎年金はありま せんで、父子状態の場合につきましては、遺族基礎年金は受給できないという形になっ ております。  また、子供がいない配偶者の場合につきましては、子供がある場合でも、遺族厚生年 金については、女性が残った場合には年齢制限なく受給できますが、男性が残った場合 については、男性は60歳以上の場合にしか支給されないということで、男性には年齢制 限があるということです。  子供がいない配偶者の場合も同様で、女性は年齢制限がないけど、男性の方がありま す。 特に女性の場合、40から64歳の間は一定の加算もある形になっております。また国民年 金の寡婦年金は、名前のとおり寡婦にしか出ないという仕組みになっております。  こういった男女差を設けている理由につきましては、その下の方にありますけれど も、生計を維持されていた方が生計中心者の死亡後に自ら稼得を得られるようになる可 能性を考慮しまして、男性については55歳以上で受給権発生、60歳以降で支給。女性に ついては、母子家庭になっている場合と中高齢である場合を重点的に保障する。従来の 考え方としてはそういう形でやっております。  7ページ、8ページは、年金分割の関係です。要するに、基礎年金についてはすでに 分割した形になっておりますが、2階の報酬比例部分につきましても、妻の分を認め得 るのではないか。特に離婚をしたような場合、すべてが夫に行くということ、あるい は、離婚した後で前の配偶者が亡くなった場合、遺族年金は、もう別れており生計を維 持されていなかったということで支給されないということになりますので、そこは、2 階部分も一定の部分は妻の分ということに整理できないだろうかということでありま す。  現行制度の考え方は1番に書いてあります。現行制度の修正を求める意見として、a は離婚のときに分割するということ。bは離婚のとき云々ではなく、現役時代から賃金 の一部は配偶者の分だということで年金権を積んでいくような形にしていってはどうか ということです。同じようなことばかりaにもbにも書いてありますが、分割をすると いうことが国民意識の関係でどうなのか。あるいは、民法の財産制度との関係でどう考 えるかということ。  あと、離婚に特化した部分につきましては、すべてのケースでやるのか、一方の配偶 者だけが原因になる離婚についてどう考えるかということがありまして、そこは個別対 応にならざるを得ないのではないかということ。また、賃金分割につきましては、税の 問題のほか、一部が配偶者の分であるとすると、働いていない人と事業主負担の関係は どうなのかという論点も出うるということが書いてあります。  8ページには、現行の夫婦財産制との関係をどう考えるかということを申しました が、現行はどうなっているかということです。夫婦財産制につきましては、契約財産制 と法定財産制がありますが、日本の民法では、契約財産制が優先であり、それを選択し なかった場合は法定財産制であるという建前ですが、契約の方でいくことはなくて、基 本的にはほとんど法定財産制になっております。  基本的には夫婦別産制ですが、判例で申しますと、内助の功を得て財産形成した場合 でも、夫に当該財産は帰属して、妻分は、財産分与請求権等の行使によって評価される ということで、一律に分割をどうするという形には民法上はなっていないという整理に なっているところです。  以上で、資料を御説明いたしました。 ○袖井座長  ありがとうございました。大変沢山になってこれまた大変ですが、ただいまの事務局 からの説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞ。 ○下村委員  3ページの「専業主婦に対して遺族年金を給付する費用を第2号被保険者が共同負担 していることは不公平」というのはよく言われていることで、これは金額的には 7,000 円か 8,000円と聞いていますが、この数字には妥当性がありますか。私たちの負担感で すが。 ○袖井座長 何かそういう数字がありますか。 ○数理課長  調べまして、後ほど御返事させていただきたいと思います。 ○下村委員  こういう女性の年金が現行システムの中で不公平に扱われていることは、これを見れ ば一目瞭然ですけれども、やはりこういうことは自分自身の年金を捨てざるを得なかっ た女性たちの声から出てきた考えかと思います。やはりどうしても働いている女性は自 分の年金権を放棄するという感じになりますよね。専業主婦の受給額が、共働きと同じ であるとすると、専業主婦はそれが4分の3ですから、それにかなう高額の受給は得ら れないというところに非常に負担感がある。それから、年金は現役世代の、「支える」 という考えからすれば、もちろんそれはある程度はわかりますけれども、さて自分が年 金を受け取ることになりますと、やはりそういうところには、専業で4分の3受ける方 よりも、働いている女性が不利になる。しかも、それで3号の問題も含めまして共同で 負担しているところが、数字としてはまだつかめていないのが、ぜひ聞きたいところで す。 ○袖井座長  よろしくお願いします。 ○翁委員  2ページの、妻の厚生年金がある場合の1、2または3の選択というのは、どのくら いの割合になっていますか。 ○年金課補佐  この三つの選択につきまして2のパターンが一番多くて8割くらいです。 1と3が1割くらいでございます。こちらは前回の資料の中で、これまで3年くらいの 統計をつけているところでございます。 ○翁委員  ざっとのイメージですが、そのような割合といたしますと、単身者とか共働きの世帯 の厚生年金が、所得移転の形で専業主婦に向かっていると考えますと、どのくらいの所 得移転が行われているのか、イメージとして教えていただければと思います。 ○袖井座長  何かわかりますか。先ほどの下村委員の質問ともちょっと似ているようなところもあ りますけど。 ○数理課長  今おっしゃいました所得移転といいますのは、どのグループからどのグループへの所 得移転というイメージになるのでしょうか。 ○翁委員  一番狭義に考えれば、共働きの女性から専業主婦への所得移転です。共働きの女性が 断念した厚生年金の部分がどのくらいあるかということです。もちろん厳密には共稼ぎ で、いままで厚生年金の保険料を払ってきたグループの所得がそのまま専業主婦のグ ループに移転するわけではないので、必ずしもそういう見方は適切ではないと思います が、どのくらいの分が財源として、共稼ぎの方が払ってきた保険料が給付としてほかの 方々に使われているのか。それを「所得移転」という言葉であらわしました。そのよう なイメージで捉えると、どのくらいの所得移転が行われているのかというイメージがつ かめないかということです。 ○年金課長  移転については相当デリケートな計算が要ると思うので、今はお答えできないと思い ますが、今の厚生年金という制度は、基本的に、定額部分として全員共通に一律で一階 部分を支給する方法を採ることによって、所得の再分配が行われています。そうする と、共働きの奥さんとか、シングルで働いている方でも、恐らく、平均所得以下あたり の方は、掛けた保険よりも受給の方が多いわけです。保険料の一部は確かに共同拠出し ているので専業主婦に行ったかのような錯覚もありますけれども、終生で見たら、掛け た保険よりも受給額が多い場合であれば、専業主婦が遺族になった人のところに移転し ていないということも起きます。ですから、その辺は、この人の生き方がこうなってい て、その拠出がどう流れたというのを明らかにするのは恐らく難しいと思います。概観 して言うと、平均所得以下の方は、専業主婦に決して移転していないのではないかとい うことも考えられますので、その辺りは誤解がないように説明しておきたいと思いま す。詳細な計算ができるかどうかは、ちょっとわかりません。 ○堀委員  その関連ですが、今、課長もおっしゃったように、基礎年金部分についても、被用者 の保険料は応能負担であるため、計算が難しい。それだけではなくて、単身の女性、共 働きの女性が専業主婦の年金の費用を共同負担しているという書き方に問題があるので はないか。例えばある夫婦の夫は70歳までしか生きられなかったとします。その夫は70 歳までしか老齢年金は貰えないわけです。ところが、別の夫婦の夫は80歳まで生きた。 その場合、その夫は80歳まで老齢年金をもらい、妻には年金はいかない。 70歳で死んだ夫の老齢年金の4分の3が遺族年金として妻にいく。だから、遺族年金が 妻にいったから得だとは必ずしも言えない。  要するに、夫が長生きすれば夫に老齢年金がずっといくし、早死にすればその4分の 3が遺族年金として妻にいくという形になっているわけですから、必ずしも誰から誰に 所得移転がなされるとか、そういうことでもない。専業主婦の年金を単身、共稼ぎの女 性が共同負担するというこの書き方が若干誤解を招くと思います。 ○永瀬委員  関連してですけれども、放棄した方々の、放棄した分の平均の年金額、その方が得た 遺族年金額、これと比較し第3号に当たる方々の平均遺族年金額及びそれらの分布を知 りたいと思います。確かに就業者に限れば、ご説明のとおり所得の低い人に移転が生じ る構造になってはいると思いますけれども、現実に厚生年金に加入し保険料を払ってい る妻の世帯所得が低く、非加入の妻の世帯所得が高いという可能性もあります。 実際のところ、どういう層の人が結果的に放棄しているのかということを明らかにする 必要があると思いますので、よろしくお願いします。 ○袖井座長  そういう数字はわかりますか。 ○年金課補佐  そこら辺は、データがどういう形になっているかによって、可能であれば調べたいと 思います。 ○下村委員  いつも世帯単位で論じられているのではないかということを、私は問題だと思いま す。ですから、夫が専業の妻を抱えて働くケースと、共働きのケース、必ず夫の方が収 入が高い人が専業の妻を抱えていて、共働きの場合のモデルケースは必ず、同じ 100で も、60、40に分かれて、要するに、世帯単位でしか語られていないから、受給と負担が 非常に公平な感じが数字的にはいつも示される。しかし、実態によく分け入ってみる と、夫の受給を 100とすると妻は75。女性は三つの選択肢がありますけれども、そのい ずれをとっても75に及ばない不利というのは、そういう夫婦単位、世帯単位のモデルで 示されると、いつもいつもそういう数字になってあらわれるので、ここは、共働きの場 合は特にですが、個人単位にした場合は、どのような数字になるのか聞きたいところで す。いつも夫婦単位のものでしか考えていませんし、それを前提にしか論議していない ような感じがするので、もし個人単位になった場合ということは、どうでしょうか。 ○袖井座長 前回も、個人単位か世帯単位かという議論をいたしまして、今の制度が世帯単位でで きているので、どうしてもこういうものばかりできてくるということで、私自身も別に これで納得できるわけではないのですが、今のシステムでいくとこういう図が出てきて しまうということだろうと思います。ですから、仮に個人単位化したらどうなるかとい う試算はできないわけではないと思いますが、いかがでございますか。 ○年金課補佐 今の話で、もうひとつイメージがわかりにくいところがあるのですが、個人単位化し た場合というのは、どういったイメージでしょうか。 ○下村委員 さっきのM字型カーブを見ればよくわかりますが、やはりどうしても、現状ではM字 の底がまだ低いですから、そういう現実がある以上は、やはり介護あるいは育児に携わ っている女性たちに特別な手当が必要だと思いますし、あるいは、収入の低い世帯がい きなり個人単位化するということも考えなければいけないと思います。ですから、一挙 にはいかないと思いますけれども、やはり相対として働く女性と、専業主婦にしてみれ ば、権利と義務をきちんと担うという意味で保険料を取って、それから受給もするとい う、特別な手当がいる世帯も、あるいは世代の人もいることを全体にして、個人単位化 ということです。 ○年金課補佐  今は遺族年金の話をされていたと思ったものですから、遺族年金の関係で個人単位化 した試算ということを先ほどおっしゃったかと思いますが。 ○下村委員  はい。当然、女性の収入は少ないですから、女性のみの収入を例えば 100なら 100と しても、受け取る額としては女性の方が自分だけの年金受給額で生計は成り立たないだ ろうと思うのですが、夫と妻とを合算しない計算でいくとどうなるのかということで す。 ○袖井座長 いかがでしょうか。 ○山口委員 私も、この基礎年金を導入して女性の年金を確立するという60年改正のとき、たまた ま担当の課長をしていたわけですけれども、そのときの基本的な考え方として、女性の 年金を自分の名前で、権利として確立するところに目的があって、そのために全部年金 を個人単位化するかについては、ご承知のように、基礎年金という、厚生年金のうちの 定額部分だけを二つに分けて、国民年金とバランスをとる形で、その部分について婦人 の年金権を実現したということで、報酬比例部分については、御承知のように、世帯単 位を前提にして、世帯単位の水準で今の制度ができているわけです。したがって、今の 制度は、そこの部分が分化されていない。個人単位化というのが、現実問題として半分 だけしか実現していないところで遺族年金の水準とか、個人と世帯とのバランスをどう 考えるかということですから、御指摘のところは、その前提のところを整理した上でな いと比較がなかなか難しいのではないかという感じがします。 ○袖井座長 85年改正のころと今とは、女性の置かれた状況がかなり変わってきていると思いま す。あの改正の前に、確かに女性の間で、女性の年金が欲しいという声があったことは 確かです。つまり、離婚してしまうと無年金になってしまうので、欲しいという意見も ありましたし、前は遺族年金が2分の1だったわけです。それでは生活できないからと いうことで、女性の間でそういう声があったことは事実として認めざるを得ないのです が、それ以降、特に80年代以降、国際婦人年とかいろいろな動きがありまして、女性の 社会進出とかいろいろ出てきて、かなり状況は変わってきています。ですから、どこの スタンスに立ってお話しになっているかということでずれてしまうと思いますので、そ の辺の歴史的な背景の違いも言わないとね。85年改正そのものは、今から振り返るとお かしいですけど、あの時点では仕方がなかったのかなと思います。それで、次の段階で はないでしょうか、報酬比例部分についての分割を考えていくということは。  男女共同参画審議会辺りでも、分割みたいなことも出ておりますので、私などが見て いると、厚生省は、過去の時点に立っていて、女性の方は現在の時点に立って話してい る。 ちょっとその辺がずれるので、やはり歩み寄っていかなければいけないし、私として は、女性の方にぐぐっと接近して行きたいなと思っております。こういうことを言って はいけないのかもしれませんが。  ほかにどうぞ。 ○住田委員  私が最初に申し上げたのは、今おっしゃったように、今の社会的実態を踏まえること と、これからどうあるべきかということを常に分けて考えていただきたい。この議論を 一緒にしてしまいますと、いつまでも女性は経済的な弱者で、女性の年金権とか、権利 の前にまず実態として所得保障しましょうというような意見がどうしても強くなってし まうのですけれども、それが、今の状況を固定化することを恐れているという意見が女 性の中から挙がってきていることを重視していただきたいと思います。  それは前置きとしまして、3ページですけれども、「配偶者の死亡時・夫婦の離婚時 の年金の給付と負担を巡る議論」で、厚生省がおつくりいただくこういう表は、いつも 常に一目瞭然でわかりやすいと思いつつ、問題の所在は明らかにしておられますけれど も、その結論に関してはかなりバイアスが入った意見を取り上げておられて、それに対 する反論がないのは、いつもさみしい思いをしております。  例えば、左の意見として、「共同負担していることは不公平」というのは、これはま さに不公平だと言われていることで、これは数字的に言えることであろうかと思いま す。ですから、今の移転の話も、そこら辺を数字的に明らかにしていただきたいという 一つの御要望だと思いますし、私もそれはぜひ明らかにしていただかないと、どのくら い不公平かわからないということをおっしゃっているんだと思います。  その後に「不合理」が三つ続いているのですけれども、これが本当に不合理なのでし ょうか。これに対する反論はそれぞれお持ちではないでしょうか。やむを得ないとか、 今後は自己責任とか、そういうライフスタイルを選択した以上はやむを得ないとか、そ ういう意見が今は強くなってきていると思います。それに対する反論があり得ると思い ます。  それから、右側の意見として、「現状においては低くなる」ということですけれど も、いつまでもこの現状があるわけではないので、将来的にどのように変わるからこう あるべきだというような、もう一つの将来像としての意見は今後は出てくるべきだし、 また、今回の検討会はこういう将来的なところを言わなければいけないのではないかと 思います。  その次の問題としても、例えば「生活保障に欠ける」も、現在の状況を問題にしてお られるわけでして、将来的にもそうだろうか。特に、事業主は専業主婦の夫の雇用回避 につながるなんていうのは本当だろうかと実は思っているわけです。それは、お金がか かっても専業主婦の方がいい、そういう夫を採用するんだという企業もあると思いま す。そこら辺はちょっと決めつけが強いのではないかと思います。  その次に、「国民意識になじむか」ということで、国民意識に逃げられると、じゃ、 逆に、世論調査を見せてください、世論調査の前提として、きちんとした事実を示した 上での世論調査をやっていただきたいと思います。特に、「民法は夫婦別産制である」 ということですけれども、夫婦別産制ではありますが、離婚時、死亡時には必ず、内助 の功、無償労働について評価するという調整を、離婚の場合は財産分与、死亡の場合は 相続ということで、ほぼ半分という平等分配が法律上決まっているわけですから、年金 にこの考え方を入れるのは、民法からいくと、「採用していない」と言い切ることに対 しては若干疑問を持っております。これはいずれ、私、法律家としてお話しする機会を いただければお話しさせていただきたいと存じます。 ○袖井座長  どうもありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。ぜひ御協力く ださい。 ○大島委員  今のこととも少し関連するかと思いますが、将来的には個人単位化がいいということ と、所得分割、賃金分割といいますか、そういうものがいいというのが、将来の像とし て今いろいろ言われています。所得分割をする場合、妻へ分割するときは、今もちょっ とおっしゃったように、妻の内助の功といいますか、家事労働に対する評価として分割 をするのだろうか。もしそうだとしますと、個人単位化をする場合、女性が経済的自立 をしていくことが前提にあるわけですよね。そうしますと、経済的自立を女性がするた めには、家事・育児に男性が参加していくべきだなということが一つあります。 所得分割の方で家事労働を評価するのと、個人単位化の方で経済的自立をするために、 男性も家事労働に入っていくということで、その辺は、今後その二つをどのように整合 性を持っていくといいのかなということが、私として疑問点ですので、その辺は御説明 をいただけるとありがたいと思います。 ○袖井座長  分割というのは、必ずしも夫から妻へではなくて、妻の方が所得が多い人もあります から。 ○宮武委員  先約の所用があって、30分ほど早く退席させてもらうことになっていますので、一つ だけ、こういう計算例ができないかなと思うことがあります。  遺族年金は現在3通りありますが、専業主婦世帯は得をしていて、共働きは損をして いるとすると、改善するときに、今の率を両方とも2分の1にすれば、厚生省は年金財 源としては楽になる。専業主婦世帯はがくんと落ちるということですね。4分の3にす れば、共働き世帯は大変助かるということになりますか、不公平感が消えることになる かと思いますが、物事は交渉ごとですから、その間の5分3をとって6割給付というこ ともあるわけです。  そういう形にした場合、2分の1にした場合、4分の3にした場合、真ん中をとって 5分の3にした場合、それは給付財源としてどれくらいになるかという荒っぽい計算が できるものでしょうか。もしできるなら見せてほしいというのが私の興味でございま す。 ○袖井座長  どうですか。 ○数理課長  ちょっと検討させてください。 ○佐藤委員  方針の話が多いようですけれども、私は制度屋ですから、7ページの「現行制度の修 正を求める意見」のa、bで、この違いを明らかにしておこうと思います。aは年金受 給を開始してから離婚した場合に限るという御趣旨ですか。そして、それとの対比で、 それ以前であっても賃金分割はできるという御趣旨で書いていらっしゃるのかどうか、 まずお伺いしたいと思います。 ○年金課補佐  aについては、離婚をするときに分けるということであって、これについては、実は 老齢年金の受給権が発生してからなのか、あるいは、50代のときに分けておくのか、バ リエーションはあろうかと思いますけれども、aについては、離婚の場面で分割をどう 考えるかということです。bは賃金分割ということで、離婚の場面だけに限らず、もと もと分割をしているということにしていればaまでカバーされてしまうことになろうか ということかなという整理でございます。そこは若干のずれがあろうかと思いますけれ ども、aは厳密に受給権が発生してからだけという意識ではありません。 ○佐藤委員  では、aでもbでも結構ですが、1人の人間が2回、3回と離婚、結婚を繰り返すと いう状況がこれからは起こると思います。そういう場合に仕組み上対応可能だとお考え ですか。 ○年金課補佐  仕組み方ではありますけれども、婚姻期間に応じて年金権を割り振っていく形にする と、やり方はあり得るかと思います。 ○永瀬委員  今、個人単位か世帯単価かという話が出ていますけれども、国によって制度はずいぶ ん違うと思います。ただ、個人単位に寄った国は、結局のところ、子供のケアを私的な ものばかりとせず社会的に支援する社会保障制度が望まれていると思います。日本の厚 生年金にしても、賦課方式の色彩がかなり出ているわけで、ということは、次世代を育 てることは年金会計上重要なことになっております。ところが、次世代育成の負担につ いてはほとんど議論から抜け落ちて、共働き、単身、専業主婦の3つが話の中心になる きらいがある。しかし子供が支えている制度ですから、子供を育てた世帯は、保険料の 拠出とは別に、子供を育てる時間やお金を通じて年金制度に拠出しているという見方も 可能だという点に注意を提起したいと思います。  それをどのように評価するのか、あるいは、どのように損得論に持っていくのか、そ ういうことは非常に難しくて、また、損得論にできるかどうか話は別ですが。次回、諸 外国の年金制度の比較を出してくださるということでしたので、単に保険料に対して老 齢期にどのように貰えるかということだけではなくて、子育てという時期をどう評価し ているか、年金制度上も、あるいは、社会保障上、どういう給付を行っているかという ことと対だろうと思います。それを、対でなく語ることはできないだろうと思います。 ○袖井座長  そういうのがありますよね。子育て期間中は保険料を払ったと見なすとかね。 ○年金課補佐  いずれ外国の年金制度の整理をいたしますときに、その関係についても併せてやりた いと思います。前回の資料の中で、子育て期間の対応ということで、一部の国ではあり ますけれども、紹介しているところでございます。 ○駒村委員  2点、年金分割について質問をさせていただきたいと思います。私は経済学者であり まして、どう理解していいのかわからないのですけれども、7ページ目、8ページ目の ところで、年金分割については民法の整合性ということがよく言われるのですけれど も、社会保険の受給権は、民法との整合性が求められるようなものなのか、それとも公 共政策としてやってもいい、民法との整合性が必要なのかどうなのか。実際に家庭裁判 所ではやっているのが一、二回あるようですけど、逆に言うと、与えられた権利を分け ていいのかという議論もあります。その辺をどう考えるかということ。  もう一つは、2ページにある離婚時の選択肢1、2、3ですが、1、2は当然、前か らあったものであたりまえの話で、3が94年に出てきたものです。これは、「夫の厚生 年金+妻の厚生年金」と括弧でくくって2分1とするので、これを見ると、若干、年金 分割的な発想が入ってきているのではないかという気もします。94年のときにどういう 議論があって、こういう2分の1という形が入ってきたのか、ちょっと教えてもらいた い。 ○年金課補佐  まず2点目ですけれども、60年の改正で1人1年金ということにしたわけです。その 際に、自身の老齢年金か亡くなった方の老齢年金をベースに計算する遺族年金との選択 ということだったわけですけれども、2択ですと、それだけでは不十分ではないかとい うことで、まさに1人1年金選択の例外という形で、全額ではないけれども、部分的に 受給する道を開いたということでございます。これは部分的に年金分割ではないだろう かということでありますけれども、そこは、自身の老齢年金と、夫の老齢年金の額を ベースにした遺族年金との半分ずつの併給ということなので、もちろん年金分割という こととはちょっと違うのかなと思います。先生のような見方が絶対にできないのかとい うと、そこは考え方かと思います。  1点目につきましては、厳密にすべて一緒でないといけないのかということがありま すけれども、動向を参考にしながら考えなければいけないのではないだろうかというこ とで、民法の関係を研究しているところでございます。 ○堀委員  2点あります。  遺族年金あるいは離婚時の年金分割の問題について、将来の姿は明らかだと思いま す。要するに、女性のほとんどが働いて男性並みの賃金を得ることになれば、遺族年金 は必要ないし、年金分割も必要ない。しかし、現在女性の就労環境がそうなっていない から様々な問題が生じているわけです。だから、現在そういう問題があることを認識し て、それをどうやって解決するかということが大事だと思います。  それから、個人単位の問題について言いますと、受給権はみんな個人単位ですね。負 担について世帯単位で考えるかどうかということと、それから給付の水準を世帯単位で 考えるかどうか。これらを分けて考える必要がある。それから、個人単位にしたらどう かということですが、よくわからないのは、遺族年金については個人単位にするという ことは、結局、遺族年金をなくすということを前提にするということでしょうか。その 辺がよくわかりませんでした。  もう一つ、駒村委員の意見で、例えば夫婦が離婚状態にあるときに年金分割をできる かということですが、現在の法制ではできません。譲渡禁止という規定がありますので 基本的にできない。ただし、事実上、年金を分割するということは幾らでもできます。 ○山口委員  先ほどの私の発言で、60年改正のときの考え方でいいんだと私が主張しているように 受け取られたかと思いますが、たまたまさっきは、2階の部分の給付が世帯単位ででき ていると認識した上で議論した方がいいということだけを申し上げたので、今の関連で 申し上げると、60年改正のときに、女性が年金を自分の名前で、自分の権利で受給でき るようにしようという意味では、皆年金体制を名実ともに皆年金にしていく方向へこの 問題も考えるべきだという考え方だったと思います。  現実には、いま堀委員もおっしゃいましたように、世帯単位で生計がなされていて、 それで無収入の専業主婦もおられて、任意加入も実際にしていない。他の関連諸制度 も、税金も、民法も、あるいは社会保険関係も、そういうことを前提にした制度になっ ているということで、女性の年金権の確立を実現するためにも、現実問題としては一定 の割り切りなり妥協なりをせざるを得ないということで、3号被保険者ができたり、あ るいは、先ほど申し上げましたように、厚生年金の定額部分を分けて基礎年金にすると いうような、ある意味では、擬制も含めて割り切りをしたわけです。  そのときの議論としても、今ここで議論になっているようなことが大変あって、相当 の議論があったわけですけれども、今振り返ってみますと、全く同じ議論がされている わけです。そのときは、そういう割り切り方をするけれども、現実がこれからどんどん 変わっていくだろう、関連の諸制度も必ず変わっていく。そういうことを踏まえた上で さらに一歩前進ができるかということが今後の課題であるという認識があったと思いま す。  残念ながら、現実とか制度が、その当時とそう変わっていない面が相当多いなという 気がします。それが現実だという部分がある。ただ、年金で一番大事な公平・公正とい う面から見ると、この問題も含めて年金を取り巻く状況の中で何が公平・公正かという ことは、時代によって大分変わってきているような気がしますし、この問題を考えるに 当たって、そういう観点から見たときに、もう一歩何が前進できるかということは、私 自身も大きな課題だと思っております。  そんな印象です。誤解があるといけないので申し上げました。 ○袖井座長  これからまだ議論を深めたり、ヒアリングなどをしていろいろ御意見をお伺いしたい と思います。今お聞きしていると、その辺の方とこの辺の方では現状認識が違うのかな という感じもいたしますが。  時間もだんだんなくなりましたので、今日の重要なテーマでありますパートタイム労 働について、事務局から御説明をお願いいたします。 ○年金課補佐  時間もありませんのでかいつまんで申します。  資料の9ページが、年金審意見書の抜粋で、このような意見でした。  10ページは、念のためですが、パート労働者といいましても、所定労働時間が通常の 方より短い方全てが対象ですので、年金上は2号になる場合もあれば1号になる場合も あり、3号になる場合もあるということです。まず、働き方がどうかということで、4 分の3以上か、以下かということで、ここは収入とは関係ありません。4分の3以上で あれば厚生年金、2号ということで、4分の3未満であれば、2号ではないけれども、 その場合、もちろん配偶者でなければ3号という話は出ませんけれども、その上で、配 偶者である場合、被扶養配偶者に当たるかどうかというところで 130万円という基準が あるということです。  11ページから27ページまでは、前回と同じような関連資料をつけております。ちょっ と時間がありませんので省略いたしますけれども、パートがどういった現状になってい るかをベースにした議論が必要かと思っております。  28ページですけれども、「パートタイム労働者の年金問題」ということで、現行、 様々な問題点の指摘があります。そこには、パートというのが女性の年金の重要な切り 口になるわけですけれども、現行制度に対しまして、パートタイム労働者の地位の向 上、福祉の向上。特に女子については、女子雇用者の4割がパートタイム労働者であり まして、そういった就業形態は経済社会の中でなくてはならないものとなっているわけ です。その多様な就労形態を勘案しつつ、能力発揮への基盤整備、人的資源の有効活用 といった観点を持って、また、一方、できるだけ厚生年金の適用、被保険者とするとい うことで考えていく必要があるのではないかということ。また、保険料負担の関係で は、できるだけ支え手を増やす形が必要なのではないか。負担の関係で言いますと、厚 生年金を適用しないような働かせ方をしている企業においては保険料負担が軽減してい るという企業間の不公平、また、労働者側での調整によって、労働力の供給が抑制され る結果、パートタイムの地位向上がなかなかされていかないという面もあります。  一方、そういった調整が行われることで年金の保険料負担を免れ得ることについての 何らかの対策が必要なのではないだろうかという問題意識があります。これに対して は、4分の3基準をどう考えるかということでありますが、そこにつきましては、厚生 年金の適用拡大に伴いますいろいろな問題点、次のページに1、2、3、4、5、6と 書いておりますように、給付設計の面、その線引きの面、保険料負担の公平が保てるか どうかといったことが検討課題としてあろうかということであります。  下の方にありますのは、縦軸、横軸、「給付と負担の変化のイメージ」がありますけ れども、現在、時間で4分の3というラインを左側にずらしますと、1号、3号が減っ て2号が増えてく。あとは、 130万円というラインをどう見るかというところで、ここ は1号と3号の区分が変わってくる。現在の制度全体とするとそういう形です。  なお、就労調整の関係につきましては、最後のページにありますけれども、労働者が 年収を 130万円未満になるように調整するということで、労働力供給の抑制であると か、パートタイム労働者の地位向上を阻害するという面。あと、こうした調整によって 国民年金の保険料負担を免れ得ることについての対応をという指摘があります。これに 対しては、税制にしろ、健康保険にしろ、企業等の配偶者手当にせよ、一定の配慮を必 要とすることについてのラインはどうしても必要になるのではないだろうかということ があります。  ただ、就労調整が起きないようにするということについては、2番にありますけれど も、bとcというのは、 130万円基準を上げる、下げるの話で、これについてはそれぞ れのラインで調整が起き得るのではないだろうかということなりがあります。aにつき ましては、いわゆる逆転現象が起きないように階段にしてはどうかという提案がありま す。これについては、国民年金というのは、自営業者等の所得捕捉がなかなか難しいと いうことで所得段階別保険料を断念しているのですけれども、そこを、ほかの方々につ いて段階保険料ができるのかどうかといったそもそも論みたいなところがあろうかとい う問題点の指摘があるところです。  以上、資料を説明させていただきました。 ○袖井座長  ただいまの説明につきまして、御質問とか御発言がありますか。 ○堀委員  2点あります。一つは、 130万円のところで就労調整をするとよく言われます。 観念的にはそのとおりです。だけど、私、実際にいろいろな資料を当たってみるとなか なか証拠が出ないんです。前回出していただいたものは、100万円のところと180万円の ところに山があって、 130万円のところにはないんですね。だから、それについて具体 的な統計があるなら出していただきたいというのが1点です。  2点目は、ちょっと聞きかじりですが、ドイツでは、例えばパートについては賃金が 一定額以下だと会社が保険料を負担しなくて済む。そういう会社が増えてきているとい うことで、そういう会社に対して、事業主負担分だけの保険料を徴収する法律改正をし たということを聞いておりますが、それも含めて、外国のパートの問題、これも国際比 較という意味で提出をお願いしたいと思います。 ○年金課補佐  2点目のことにつきましては、外国のものを整理する場面で、そこについても注意を もって調べたいと思います。 ○袖井座長 130万円の壁についてはどうですか。 ○企画官 資料としては26ページに、パート実態調査の資料を前回と同様つけてございます。26 ページの下の段で、「所得税以外の理由による就労調整の対応別パートタイム労働者割 合」というものがパートタイム実態調査の中で調査されております。その中で、「調整 する」の3番目に「社会保険の被扶養配偶者からはずれ、自分で加入しなければならな いから」というものについて、男女計で41%ということで回答があるというのが1点で ございます。  それから、前回も御議論があったところでございますが、21ページで、180-192万円の ところにパートが集中していることにつきましては、前回も申し上げましたように、い わゆる 130万円の壁を超えた場合、それによる減収を復元し、さらに実質的に実のある 形にしようとすると、 170万円から 180万円の水準まで就労することによって、いわば 元が取れる水準になると通念されているものと承知しております。 ○年金課補佐  補足いたします。  堀先生の御指摘は、 130万円でこういう段差が出ているデータがあるのかということ かと思います。実は、26ページにもありましたように、配偶者手当は税を参考にして10 3万円というラインを使っていることでまず最初のラインがあって、その後でまた130万 円のところで社会保険のラインがあります。社会保険のラインが意識されていないとい うことではないけれども、 103万円のラインのところで、手当が月に1万円だったら12 万円、2万円だったら24万円とか、それなりの影響があるので、そこでやる方が 130万 円でやるよりも有利ということもありますので、 130万円でスパッとラインがあるデー タがあるかどうかはなかなか難しいかと思いますけれども、 130万円が寄与していない ということもなかなかないのかなと思います。 ○堀委員 26ページの表については、前回も言ったのですけれども、42.4%というのは多いよう に見えますが、実際は39.7%×42.4%というのが全体の割合なんです。16〜17%という のが正しい水準ですね。 ○袖井座長 そうですね。 ほかに何かありますか。 ○永瀬 年金だけを考えますと確かにそうで、課税とか、配偶者手当、年金保険料すべてが複 合してこの 100万円から 130万円のところに集中していて、その結果、実際問題とし て、就労調整が明らかに起こっていると私自身は理解しております。  このパートの問題は、主婦だけの狭い問題ではなく、近年、若い世代で増えているア ルバイト、パート、派遣、契約労働やフリーターなどの問題でもあります。そういう人 たちは年収 200万円未満の低年収の者が多く、月1万 3,300円の保険料は払いたくな い、払えない、払わないという人たちが増えており低年金、無年金につながっていま す。パートの年金問題は、非正規社員の年金問題をどう考えるかにかかわり、主婦の パートに限られた狭い話ではなく、非常に大きい問題です。今の現状を踏まえれば、是 非本格的に、幅広い視点で検討すべき問題と考えます。 ○袖井座長  御意見としてお伺いしておきます。  ほかにどなたかございませんか。  どこかの資料にパート労働者の労働時間はありましたか。この資料にありますか。 ○年金課補佐  22、23ページにあります。 ○袖井座長  6〜7というのが多いんですね。  最近は働き方も多様化してきていますので、4分の3ということでいいのかなという 感じもありますね。在宅勤務とか派遣とかいろいろ出てきているので、この4分の3規 定自体も問題かなという気もします。  時間がなくて十分説明していただけなかった点もありますが、ほかに何かあります か。 ○年金課長  また補足で恐縮ですが、29ページの資料をもう一度ごらんいただきますと、 さっき永瀬委員がおっしゃいましたように、パートの問題は、女性の年金固有の問題で はもちろんなくて、厚生年金の被用者本人をどう見るか、被扶養者はどう見るかという 基本論でありますので、そういう見方ももちろんございます。  もう一方で、第3号被保険者問題とパートの問題というのは実は密接なかかわりがあ りまして、そういう指摘を年金審議会でされた方もあったわけですが、そこをちょっと 紹介しておきます。29ページに絵をかいておりますけれども、今の第3号被保険者の位 置づけは、まず労働時間で見て4分の3ほど働いている人よりも少ない人がまず左側に くる。そして、その人の中で収入が少ない方、現在の仕切りでは 130万円という線引き ですが、そういう方が3号ですから、時間が短くて収入が一定額以下の方、このように 整理しております。そうすると、3号はそれなりに意味があるというお立場の方から は、ある程度の収入があれば払うべきだということで、この 130万円の線を下げるべき という考え方とか、この4分の3を左にずらせばもっと少なくなる、いわば、3号をも っと必要最小限に絞り込めという意見などもあります。併せて御紹介しておきたいと思 います。 ○永瀬委員  どういうメリットがパート労働者にあるのか、年金財政上はどういうことなのかとい うことをもう少し具体的にご説明下さい。単に免除される年収を下げるのみではパート の人にとってメリットがありません。保険加入するメリットがあるということが必要で しょう。年金財政上の試算を含めて考えていただきませんと。 ○年金課長  29ページをもう一度ごらんいただきますと、その下の四角に書いてありますものがそ こを説明しております。この四角を見ますと、1号が2号に移った場合はどうなるか。 負担は、今は国民年金の保険料だけの人は厚生年金保険料になるということですから、 17.35%かかるのでこれは増えるだろう。しかし、その人の将来の給付は、今は基礎年金 だけなのにプラス厚生年金ということで、例えば2階部分がついてくる。2号の場合は ちょっと置いておいて、3号が1号、2号になったらどうなるかということで、区分が 移り変わると負担がどう増え、そのかわり将来の給付はどうなるということを書いてい ますので、裏返すと財政から見ると逆ということになりますが、ちょっとこんなものも 図解してみたわけであります。一応参考までに。 ○袖井座長  2号についてはどうとも言えないということですよね。うんと稼げばよくなる。  ほかに御質問、御意見がありますか。 ○堀委員  余計なことですが、パートの問題は、健康保険と非常に密接な問題がある。第3号被 保険者の範囲を縮小すると、それに連動して、国保に入らなければならないということ で、それが国保財政に極めて大きな影響を与えると思います。年金財政よりももっと大 きい。だからそちらのことも考えないといけない。被扶養配偶者について年金と医療を 切り離すということも一つの選択でしょうけれども、実務は一体的にやっていますの で、その辺も併せて考える必要があると思います。 ○袖井座長  その辺の資料はつくれますか。 ○年金課補佐  関連する制度がどういう形になってくるということでの整理は、もちろん可能かと思 います。 ○永瀬委員  財政上ということになりますと、例えば医療保険の場合は、扶養者が何人いても保険 料は同じですよね。それが、そのうちの何人かが働く人になって保険料を負担すると、 いままで被扶養だった人の保険料が下がって、代わりにそっちが上がる結果として収支 がとんとんになるとか、そういう調整があれば話が違うと思いますが、それが今現在で はないですよね。 ○堀委員  例えば 130万円という基準を90万円まで下げると、その間の90万円から 130万円のよ うになる人がいままでの健保の被扶養配偶者として保険料を払わなかったものが、国保 に入って保険料を払うようになる。国保に入ってもその人たちの保険料は非常に低く て、国保財政は困る。それから健保は助かるとかね。こういう影響が大きい。 ○下村委員 前回、パートタイムの方も拠出金を払うとすると、少ない負担料で多い受給を得ると いうことで金額的にも問題があると伺っていますし、それはそうだと思います。 あと、パート労働から厚生年金の保険料を取ると、雇用をする側が雇用を差し控える傾 向があるのではないかということで、じゃ、その 103万円なり 130万円なりの金額をも っと下げたらどうかといったら、下げたら下げた時点でまた問題が起こるということで 非常に悩ましい問題でしょうけれども、その金額を思い切って50万円とか30万円とかま で下げたら、そこまでは負担しなくていいというような、ちょっと乱暴ですが、そこま で考えないと、パート労働をしている人の内訳も、払えないこともないという人もいる し、また、離婚してパート労働に頼っている人の中には、入りたいという人もいっぱい います。ですから、そういう人のことも考えたりすると、パート労働の中で、一律にや るのではなくて、それこそ実情に合った方法も一つ考えなければいけないのではないか と思います。 ○袖井座長  そのとおりだと思います。 ○年金課長  今、パートの方には入りたいというニーズもあるというお話があったのですが、それ は恐らく厚生年金の話であろうかと思います。時間がなくて説明を十分にできなかった ので申し訳ないと思っていますが、 130万円を上げるとか下げるという話については、 厚生年金に加入する要件は就労時間の4分の3でございますので、130万円を上げても下 げても給付面では変わりがない。ただ、負担の関係が変わってくるだけであるというこ とをもう一度申し上げます。 ○袖井座長  よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。  そろそろ時間も来ましたので、今日のところは十分そしゃくしていない面もあるかと 存じますので、また次回、あるいは事務局にでもお問い合わせいただきたいと思いま す。  時間もございませんので、今後の進め方について御相談させていただきたいと思いま す。 今回までで論点についてのおさらいというか、お勉強会をいたしまして、次回からいよ いよ本格的に議論を深めていきたいと考えております。委員の皆様もいろいろ御意見を お持ちだと思いますが、7月の第1回検討会の際に、事務局から、女性と年金に関し て、委員のほかにも様々な意見をお持ちの方々がおられますので、そういった方々にこ の検討会で御発言をいただく機会を設けてはどうかという意向があったかと存じます。 そのようなヒアリングを実施して、さらに議論を深めていくことが大事かと思います。  それから、できましたら、委員の中からレポートしていただくことも可能かと思いま すが、次回以降の日程の中で、そういったヒアリングを実施することにしたいと思いま すが、いかがでございましょうか。  よろしいでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○袖井座長  その際、どのような方に御発言をいただくかについてですが、皆様方からご希望の方 を出していただいて、どういった論点についての御意見かという発言要旨も含めて御推 薦いただきたいと思います。その上で、最終的には、時間の関係もございますので、5 名から10名程度に絞りまして、どういう方をお呼びするかは、私と宮武委員とでご相談 させていただいて、論点が偏ったり、意見が重複しないように選ばせていただきたいと 思っております。よろしいでしょうか。  それでは、皆様に適当な方の御推薦をお願いしますが、あまり集中してもいけません ので、委員1人で原則として一、二名程度ということで、発言要旨がA4判1枚程度に まとめてたいただくようにお願いいたします。  その期限は、事務局からの御要望によりますと、12月15日金曜日ということを言われ ております。そのほか、委員の方々のレポートとか、例えば自分でお話ししたいという 方も出てくるのではないかと思いますが、そういう方も考慮に入れてもいいのかなと思 っております。  この検討会の議事録などもインターネットに載りますので、それを見て発言したいと いう方も出てきた場合は考慮に入れてもいいかなと思っておりますが、よろしいです か。  それでは、次回の開催について事務局から御説明をお願いします。 ○企画官  次回の開催は年明けを予定しておりますが、前回と同様に、先ほどお配りしました日 程調整票をお帰りの際に回収させていただきまして、皆様の御予定をこれから調整させ ていただきたいと思います。  また、本日は予定がはっきりされない方につきましては、後ほどで結構ですので、予 定を確認いただいてファックスでご送信いただきたいと存じます。  先ほど座長から、今後の進め方をどうするかについてのお話があったところでござい ますので、第4回検討会の議題及び議事につきましては、後日御連絡をさせていただく ことになろうかと思いますが、よろしくお願いをいたします。 ○袖井座長  先ほどのヒアリングの希望者は、事務局にファックスか何かでよろしいですか。 ○年金課補佐  委員の方からの推薦につきましては、ファックスでも文書でも何でも結構でございま す。 ○袖井座長  それでは、皆様、15日までですので、よろしくお願いします。  本日の検討会はこれで終了いたします。本日はお忙しいところをどうもありがとうご ざいました。 照会先:厚生労働省年金局年金課企画法令第3係      電 話:03-5253-1111(内3335)      担 当:度山(内線3338) 三浦(内線3335)