00/11/17 第26回公衆衛生審議会臓器移植専門委員会 第26回 公衆衛生審議会疾病対策部会 臓器移植専門委員会 日時   平成12年11月17日(金)       10:00〜12:45  場所   KKRホテル東京       10階「平安の間」  出席者(○:委員長 敬称略)   井形 昭弘   大久保通方   大島 伸一   大塚 敏文   菊地 耕三   桐野 高明  ○黒川  清   小泉  明   谷川 久一   野本亀久雄   藤村 重文   町野  朔   眞鍋 禮三    1. 開 会 2. 議 題 (1) 臓器移植に係る諸問題について (2) その他  3.閉 会 〇事務局  おはようございます。出席を予定されている先生方の皆様にお集まりいただきました ので、ただいまより第26回公衆衛生審議会疾病対策部会臓器移植専門委員会を開催させ ていただきます。 委員の先生方で田中委員と矢崎委員が、本日はご都合によりご欠席になっております。 また、山谷委員におかれましては、先の衆議院選挙におかれまして当選され、委員を辞 職されましたことをご報告させていただきます。  次にお手元にお配りしております資料でございます。ご覧いただきたいと思います。  最初に本日の議事次第がございます。議題としまして(1) 臓器移植に関する諸問題に ついて、(2) その他。二つの議題を予定させていただいております。順次、資料一覧、 先生方の名簿と座席になっております。資料を簡単に紹介させていただきます。  資料の右肩に資料ナンバーを、それぞれ資料ごとにホッチキスで綴じてございます。  資料1 法施行後3年間の制度の実施状況及び政府の取り組み。  資料2 意思表示カードの配付状況  資料3 臓器移植の実施状況 資料4 臓器移植法に基づく過去10例の脳死下での臓器提供事例(平成12年11月10日    現在です)  資料5 最近報告された主な厚生科学研究報告です。(1)(2)(3)のそれぞれの研究報告    書の概要がございます。  資料6 お手元の資料名とは若干異なりますが、各種いろいろな団体からご要望いた    だいておりますので、それをそれぞれ綴じてございます。  資料7 「臓器移植に関する世論調査」の概要です。  資料8 第5例目の脳死下での臓器提供事例に関わる検証結果に関する報告書  資料につきましては以上でございます。お揃いでしょうか、不備等がございましたら    事務局にお申し出いただきたいと思います。  議事に入っていただく前に、麦谷エイズ疾病対策課長からご挨拶を申し上げます。 〇麦谷課長  お早うございます。先生方にはお忙しいところご参集いただきまして誠にありがとう ございます。篠崎局長がご挨拶の予定でございましたが、今日は衆議院厚生委員会が入 っておりまして、そちらの方に行っております。局長のために用意した挨拶文がござい まして、大事なことが入っておりますので、これを中心にご挨拶申し上げたいと思いま す。  先月16日は、臓器移植法が施行されましてから満3年を迎えたところでございます が、後ほどご報告させていただきます総理府世論調査等によれば、臓器移植制度や意思 表示カードについて、国民への周知が進むなど、この専門委員会の皆様のご指導や関係 者の方々のご尽力により、わが国において着実に臓器移植が定着しているところでござ います。  また既にご存じのように先週の11月5日には、脳死下での臓器提供も10例目を数え、 法施行後3年目間を振り返ってみれば、一定の評価はいただけているのではないかと思 っております。  しかし一方では、これまでの脳死下での臓器提供事例におきましては、例えば皆様方 にご議論いただいた移植医療の透明性の確保、ドナー家族のプライバシー保護の二つの 領域や、円滑な法的脳死判定の実施など、さまざまな課題も明らかになってまいりまし た。  それらにつきましては私どもとしましても、一定の対応をさせていただいておるとこ ろでございますが、今後ともわが国における臓器移植の一層の推進のため、現行制度で 改善するべき点は正していくなどの積極的な取り組みを進めなければならないものと思 っております。  移植法の付則におきまして、3年を目途として状況を勘案し、その全般について検討 が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとされております。  現在、各界においてさまざまな議論が行われていると聞いておりますが、法の運用の 役割を担う政府としましても、これまでの法の施行状況を吟味するべきものと考えてお ります。  このため、本日の専門委員会におきましては、まず私ども事務局より3年間の制度の 実施状況等をご説明させていただき、その後、先生方から忌たんのないご意見をいただ ければと考えております。  法律改正に関する事項につきましては、臓器移植法の立法に至るまでの経緯等に鑑 み、国会における臓器移植法の見直しの議論の状況を踏まえて、慎重に対応するべきも のと考えております。  従いまして、本日は制度の運用に関する事項を中心にご意見を賜ればと思っておりま す。  また来年1月の中央省庁再編に伴い、この臓器移植専門委員会が所属しております公 衆衛生審議会が、名前が変わりまして厚生科学審議会として再編成されることになって おります。その際には、引き続き厚生科学審議会に、この専門委員会の機能を担う委員 会を設ける方向でございますが、現在のメンバーでの委員会としては、きょうが最終回 ということになっておりす。先生方にはこれまでのご尽力に感謝申し上げますととも に、本日もそれぞれ活発なご意見を忌たんなくいただいて、どうか今日の会議が有意義 でありますことをお願いいたしましてご挨拶といたします。よろしくお願いいたしま す。 〇黒川委員長  今のような麦谷課長からのお話がありました。この公衆衛生審議会は1月から省庁の 再編がありますので、この委員会はいままでの委員会としては、今回が最後であるとい うことであります。その先についてはまた省庁を再編した新たな機構ができるわけです ので、また新たに立ち上げられるのか、どういう位置づけをされるのかわかりません が、そういうことでございます。  そこで本日は、麦谷課長がおっしゃられましたように、臓器移植法施行3年間の制度 の実施状況及び政府の取り組みの報告をさせていただくことです。その間にいろいろな レビューとか、先生方と議論していただいたことをまとめた資料ができておりますの で、そのようなことをいろいろとやっていきたいと思います。  8月下旬に総理府から臓器移植に関する世論調査というのが行われまして、一部ご覧 になっていると思いますが、これについても報告をしていただいて先生方のご意見を伺 います。なかなか興味深い結果が出ております。  脳死下での臓器移植の事例は、脳死については10例出ているということであります が、検証会議というのは、最初の4例はここでやらせていただいたわけですが、別にな って厚生大臣の直轄でできている。その組織をどうするのかということについての議論 もあったわけですが、それが行われております。5例目6例目の提供事例につきまして は、検証が行われておりますので、それについても事務局から報告いただくということ にしたいと思います。  この議論の途中でいろいろなご意見が出ると思いますし、そうでないと困るわけで す。今日はご案内のように時間は12時までと書いてあります。ご案内されていると思い ますが、議論の時間が必要であれば、13時まで延ばさせていただこうかなと思っており ます。というのはここで一度、3年の締め括りをさせていただいて、次への引き継ぎな り、いろいろな問題点の整理をした結果というのをまとめたいと思います。  今日の資料がございますので、資料についての説明を事務局からしていただこうと思 います。よろしくお願いいたします。 〇大澤室長  臓器移植対策室長の大澤と申します。よろしくお願いいたします。ではお手元の資料 に沿いまして、私からご説明をさせていただきます。  まず資料の1です。法施行後3年間の制度の実施状況及び政府の取り組みについてで ございます。  主なものを掻い摘んでご紹介させていただきたいと思います。平成9年6月でござい ましたが、それまでの長い経過を経まして、臓器の移植に関する法律が6月17日に成立 し、同年10月16日に施行されております。従いまして、今年の10月16日で丸3年を迎え たわけでございます。  同日、従来の社団法人日本腎臓移植ネットワークを、現在の日本臓器移植ネットワー クという形で再出発をしていただき、合わせまして同法人と共に私どもとしましても、 臓器提供意思表示カードの配付を開始させていただいたわけでございます。  平成11年1月には従来の意思表示カードに加えまして、運転免許証なり医療保険の被 保険者証に張ることのできるシールの配付を合わせて開始をさせていただいておりま す。  平成9年10月に施行されたわけですが、脳死下での臓器提供事例、初めての事例があ りましたのが平成11年2月28日に至ってようやくあったわけでございます。その後、2 例目3例目と続いてきているところでございます。  2ページをお開きください。平成11年6月29日にこの臓器移植専門委員会の先生方か ら「臓器移植法に基づく脳死下での臓器移植事例に関わる検証に関する中間報告書」の 取りまとめをいただいております。  その後、9月でございますが9月5日、実は東海北陸地方の医療機関におきまして、 鼓膜損傷によって法的脳死判定を中止した事例が発生をしました。その枠組みにござい ますように、法的脳死判定の手続きに入ったわけですが、鼓膜損傷によって片側しか前 庭反射検査が実施できなかったということで、当初想定していなかったわけですが、法 的脳死判定を中止せざるを得ない事例が発生したわけでございます。  その後、9月20日ですが、臓器の移植に関する法律の運用に関する指針、ガイドライ ンを一部改定しまして、法的脳死判定の具体的方法として「法的脳死判定マニュアル」 に準拠するように変更させていただいております。  この背景には、枠組みの中にもございますように、脳死下での臓器提供事例における 第1例目、或いは第3例目、或いはいま申し上げました鼓膜損傷の事例におきまして、 法的脳死判定の検査方法についての現場での混乱が指摘されましたことから、厚生科学 研究事業の一貫としまして、検査方法など簡潔にまとめた「法的脳死判定マニュアル」 をまとめ、ガイドラインの一部改正によりましてこのマニュアルに準拠していただくと いうことで、決定を図らせていただいたわけでございます。  また10月にはこのマニュアル、またそれに加えまして臓器提供施設マニュアルという ものを合わせて取りまとめていただき、関係する提供施設などの方々にお集まりいただ きまして、このマニュアルを配付した上で説明を行うというような作業も実施をさせて いただいております。  その後、10月27日にはこの専門委員会より、検証に関する最終報告の取りまとめをい ただいております。3ページにその要点をまとめております。  第一に臓器提供事例におきまして、先ほど課長からも申し上げましたが、臓器移植の 透明性の確保と、ドナー等のプライバシー保護の両立を図ることは重要な課題であると いうことで、臓器提供なりそれに伴う移植が行われたとの事実につきましては、これは ドナー家族の同意がなくても開示するにしましても、その他の具体的項目につきまして は、基本的にご家族のご承諾に基づいて個別事例に則した判断によって開示するべきか どうかを決定するという方針がとりまとめられたわけでございます。  また一方、臓器提供手続きに関しましては、第三者の立場から検証を行い、その結果 を国民に公表することは、臓器移植に関する国民の信頼を確保し、その定着を図る上で 非常に重要であるということで、第三者の立場による検証が行われる旨のご指摘もいた だいております。  それを受けまして平成12年3月22日「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」先ほ ども座長からもコメントございましたが、大臣が参集する会議として第1回目が開催さ れたわけでございます。  ちょっと前に戻っていただきます。平成12年2月でございますが、従来、意思表示カ ードにおきまして、特に脳死下で提供可能な臓器として眼球というのが明示されていな かったということから、第2例目の事例などにおいて具体的な支障が生じたものですか ら、このカードの記載のうちの、特に眼球、脳死下での提供可能臓器として眼球(角 膜)を明記するという改定もさせていただいております。  次に3月22日の検証会議の第1回目でございます。その枠組みの中にございますよう に、この検証会議は5例目以降の脳死下の臓器提供事例について、事後的な検証を行う ために参集をしていただいております。具体的な検証事項としては、そこにございます ようにドナーに対する救命治療の状況、ドナーに対する臨床的脳死診断、法的脳死判定 から臓器摘出に至るまでの状況、日本臓器移植ネットワークによる臓器の斡旋業務の状 況、これにはドナーの家族に対する精神的支援の状況を含めますが、これらを検証する こととされております。  以後、5例目以降の脳死下での臓器提供事例が順次発生し、先ほど課長から申しまし たように、去る11月4日には第10例目の脳死下での脳死判定が行われ、臓器摘出提供が 行われた次第でございます。以上これまでの経過を簡単にご紹介しました。  続きまして資料の2です。これには臓器提供意思表示カードの配付状況をご紹介をさ せていただいております。  法施行後、今年の10月31日までの累積の配付枚数でございます。ご覧のように各ネッ トワーク本部なり行政、国公立大学、バンク等々、郵政省、それぞれに配付をした枚数 の総計が一番下の欄にございます。6,720 万枚を越える枚数に至っております。  続きまして資料の3です。これはこれまでの臓器移植の実施状況について簡単に数字 をまとめております。そのページの上段には臓器提供者数、下段には臓器移植の実施件 数を取りまとめており、平成9年度から今年度の10月31日まで、眼球につきましては データの都合上、9月30日までになっておりますが、数字を集計し、右にはそれの累計 をまとめております。  下段の臓器移植実施件数の臓器別の累計数は、ご覧の通りに心臓は6件、肺3件、肝 臓7件、腎臓につきましては心臓死下のものも含めまして470 件、膵臓1件、眼球が 4,926件という数字になっております。  続きまして次のページを捲ってください。移植希望登録者数の数でございます。今年 の10月31日現在、眼球につきましては9月30日現在でございますが、移植希望登録者数 は全国で心臓が46名、肺が22名、肝臓が34名、腎臓が13,237名、膵臓が29名、小腸1 名、眼球が5,422 名という数字になっております。  臓器提供施設数でございます。ご案内の通りにその枠組みにあります4類型の施設に 該当するもののうち、必要な体制を整えている施設に限定をさせていただいております が、4月15日現在、324 施設ということになっております。  また移植実施施設につきましては、心臓は3施設、肺4施設、肝臓9施設、膵臓13施 設、小腸9施設という施設数になっております。  続きまして資料の4をご覧ください。これはこれまで起こりました臓器移植法に基づ く過去10例の脳死下での臓器提供事例を、それぞれドナー、経過、レシピエントの状 況、検証結果の概要について簡単に取りまとめております。  第1例目から第4例目につきましては、既にこの専門委員会におきましてご説明を し、ご議論もいただいておりますので省略をいたします。この資料の4ページの5例目 以降から簡単にご紹介をさせていただきます。  第5例目の臓器移植の事実関係でございます。関東甲信越地方の医療機関に入院して おられました20代の女性の方につきまして、平成12年3月28日にご承諾を経て脳死判定 が実施されております。資料の5ページです。3月29日から30日にかけて心臓・肺・肝 臓・腎臓についてご覧のような病院において移植実施施設が無事実施をされておりま す。  その後レシピエントの方は、私どもが現時点で報告を受けておりますのは、肺、肝 臓、腎臓の方のお一人については既に退院されているということですが、心臓、腎臓移 植を受けた方の一人は現在なお入院中ということでございます。  検証結果の概要です。これは検証会議において行われました検証結果です。詳しくは 資料8に報告書の現物を添付しておりますので、後ほどお時間がありましたらお目通し 願いたいと思います。そのポイントのみご紹介させていただきます。  まず医学的評価です。実は脳波測定において第1回目の判定で、基準電極導出と双極 導出の両方で行うべきところ、基準電極導出のみで行っているということが判明しまし た。これは必ずしも十分な検査方法とは言えない訳ですが、ただ基準電極導出のみでも 平たん脳波の確認は可能であったということから、総合的に判断され、脳死と判定でき ると評価をされております。  一方、臓器斡旋業務に関わる評価につきましては、特に膵臓の移植患者候補者の意思 確認に関し、他の臓器と比較して若干時間を要したということから、今後は各移植実施 施設における連絡体制を十分に整備し、手続きを迅速に行うようにすべきとの指摘がな されております。  これを踏まえて既に日本臓器移植ネットワークにおいては、所要な対応が措置されて いると報告をうけております。  第6例目の臓器移植です。これは東北地方の医療機関に入院しておられました40代の 女性の方です。今年の4月15日に脳死判定が行われ、翌16日から17日にかけて移植が行 われました。この方につきましては、肝臓のみ移植が実施され、現在このレシピエント の方は退院をされているということでございます。  この事例についての検証につきましては、まだ報告書をとりまとめておりませんが、 第3回・第4回の検証会議で既に検証が行われ、医学的評価、臓器斡旋業務に関わる評 価、いずれにつきましても、一応、適正に行われたという結果をいただいております。  第7例目の臓器移植でございます。関東甲信越地方の医療機関に入院しておられた50 代の女性です。平成12年4月25日に脳死判定が行われ、同日から翌日にかけてご覧のよ うな臓器、病院において移植が実施されております。この事例についてはレシピエント の方はいずれも退院をされております。  検証結果は、第7例目以降はまだ行われておりませんのでご紹介はできない状況で す。  第8例目です。東海北陸地方の医療機関に入院しておられた中年の女性、6月6日に 脳死判定が実施されております。この事例につきましては、承諾を得られた臓器の提供 が、医学的理由によっていずれも残念ながら行うことができなかった事例でございま す。  次に第9例目です。これは九州沖縄地方の医療機関に入院しておられた20歳前の女性 です。7月7日から8日にかけまして脳死判定が行われて、同日から翌日にかけまして 8ページにありますような臓器が医療機関において移植が実施され、レシピエントの方 はいずれも退院をされております。  最後にこの11月4日に行われました10例目でございます。北海道地方の医療機関に入 院しておられた60代の女性です。11月4日に脳死判定が行われ、5日にご覧の臓器につ いて移植が実施され、これはまだ実施されたばかりですのでレシピエントの方は入院中 ということでございます。  続きまして資料5でございます。これは厚生科学研究事業におきまして、3つほど関 係する報告書が出されましたのでご参考までにご紹介をさせていただきます。  まず小児における脳死判定基準に関する研究班報告書でございます。これは現在、竹 内基準において対象外となっておりました、6歳未満の小児の脳死判定基準を作成する ために、平成9年度から3カ年にわたる検討が行われたものでございます。  この研究班では暫定基準案を元にしまして、延べ全国1,220 の医療施設において行っ た実態調査の結果、解析対象症例は139 例でございますが、これを解析していただき、 合わせまして諸外国の文献的考察を行った上で「小児における脳死判定基準」をご提案 いただいたものでございます。  具体的には中程の小さな字にございますような内容になっております。基本的には成 人の脳死判定基準と同様でございます。除外例のところで年齢による除外、出産予定日 から数えまして修正齢12週未満につきましては、過去の研究報告等を踏まえて除外をす るということになっております。  また4点目が判定間隔です。成人の場合は6時間以上でございますが、1回目と2回 目の判定の間隔でございますが、これは脳の障害に対する抵抗力が成人と比べて強いと いうことから、24時間以上ということになっております。  次のページにはこの研究班の名簿を載せております。  次に3ページでございます。これは先ほど申し上げました昨年9月の東海北陸地方に おけます鼓膜損傷事例を踏まえての研究報告でございます。法的脳死判定について、何 らかの補完方法の有無についてご検討いただいたものでございます。  結論は2)に簡単にご紹介をしております。聴性脳幹反応、短潜時体性感覚誘発電位に つきましては検討に値する検査である。加えまして脳循環検査は、最近、定量的な評価 が十分に可能になっているということから、その種類や方法によっては、脳死判定の項 目として検討に値するというご結論が得られております。また今後は各種補助検査の標 準化等を踏まえて、さらに具体的な検討が必要であるということになっております。  なおその他にございますように、鼓膜損傷事例について、鼓膜のみの損傷の場合につ いては、注意深く注水刺激を行っていただければ前庭反射検査は可能であろうというこ とですが、ただ鼓膜損傷に加えまして外耳道の閉塞、或いは髄液漏等がある場合につい ては難しいというご結論でございます。  続きまして最後の5ページでございます。これはきょうご出席の町野先生をご中心に おまとめいただきました「臓器移植の法的事項に関する研究班報告書」のポイントでご ざいます。この研究班は小児臓器移植につきましてこの実現のための法改正をなすべき か、すべきであれば、その内容はいかなるものか、について検討を行っていただいたも のでございます。  最終的な結論としましては、そこにございますように、本人が書面により意思表示を してない場合でも、拒否の意思表示をしていない限り、遺族の書面による承諾によって 臓器摘出を認めること。  死亡した者が未成年であるときは、承諾する遺族は親権者であったものとする。死亡 した方の臓器提供に関する意思は遺族に確認されなければならない。また「脳死した者 の身体」の語を改め「脳死体」とし、脳死判定の要件としての本人の書面による意思表 示及び家族の承諾を廃止する、というご提言をいただいております。  続きまして資料の6でございます。これはこの10月16日の丸3年を迎えまして関係団 体のほうからさまざまな要望書を厚生大臣宛にいただいておりますので、付けさせてい ただいているものでございます。  1ページは、臓器移植推進連絡会から臓器移植に関する広報活動等々、そこにご覧の 4点について要望いただいております。  2ページは、脳死臓器移植による人権侵害監視委員会・東京から、現行の臓器移植法 の凍結廃止などについての抗議声明ということでいただいてございます。  3ページです。これは人類愛善会・生命倫理問題対策会議から同様でございますが、 臓器移植は本来は撤廃するべきであるという署名をいただいております。  4ページです。これは宗教法人大本会から、本人の承諾なしに臓器摘出が行われるこ とがないように処置をする等々、5点の要望項目をいただいております。  5ページです。これは日本法医学会からであります。5ページの一番最下段にありま すが、法医学会としては「適正・確実に診断された脳死は人の死と定義し、脳死状態に 陥った患者に対しては、臓器提供の有無に関わりなく判定基準に従って脳死判定を実施 する」というようなご要望です。6ページの最後の文章ですが、「心停止を以して死亡 としている際には、家族から死亡判定のための同意を得てないのと同様に、脳死判定に もこの考え方を以て当たるべき」だというご提言をいただいております。  7ページです。これは社団法人・日本臓器移植ネットワークから、わが国における臓 器移植の現状と問題点ということで、現行の法制を改正しなければ実現できない項目に 加えまして、現行の法制の中でも改善できると思われるもの、ということで、本人の意 思表示をなるべく生かすような制度の構築、8ページにわたりますが、臓器提供施設の さまざまな負担の軽減、プライバシーの保護、腎臓提供の減少を何とかするべきだ、或 いは意思表示カードの更なる配付、ということについてご提言を頂戴しております。  次に資料の7です。今年の8月下旬に公表されました総理府が実施しました世論調査 の概要でございます。  これは全国の20歳以上の方3,000 人を対象としまして、回収率71.9%の結果を取りま とめたものでございます。調査時期は、今年の5月でございます。結果の概要です。% の数字の( )内は2年前の調査の数字でございまして、それと比較をしていただきた いです。 まず法律の周知度です。脳死と判定された者からの臓器移植が可能となったことを知っ ていた方が、実に95%にのぼっております。前回は8割弱でございましたので、かなり の周知度が図られたものと受け止めております。  2点目。意思表示カード等に関する意識でございます。これは(2) のカードの所持者 の割合です。前回は2.6 %であったのに対しまして9.4 %です。約1割弱の方がお持ち であるということです。従いまして、当然カードを持っていない方は9割ということで ございます。そこにございますように、意思表示カードをお持ちでない方の中にも、 カードを持ちたいという方が23.8%、また、持ってない理由の中で抵抗感があるという 方はしかたないわけですが、臓器移植についてよく知らない、或いはカードの入手方法 がわからない方という方がそれぞれに13〜14%おられますので、私どもとしてはここら あたりに更なる普及をしていかなければならないのかなという受け止め方をしておりま す。  次に2ページです。臓器移植に関する意識についてです。(1) まず自分が脳死と判定 された場合には、臓器を提供したい・したくない・どちらともいえない、という方が若 干の数字の差はありますが、前回と同様に約3割ずつという実態でございます。  (4) 脳死での臓器提供についてです。本人の意思表示のみでよく、家族の承諾はいら ないという方は20%、家族の承諾だけでいい・本人の意思表示は不要であるという方は 2%、現行の制度はこうなっているわけですが、本人の意思表示と家族の承諾、いずれ も必要であるという方は約7割という状況でございます。  (5) は、現在は認められていない小児への臓器移植について移植ができるようにする べきだというご意見をお持ちの方は67.9%ということでございます。  最後に政府に対する要望でございます。移植を受けた患者の費用負担の軽減、これが 一番多くて60.4%、次に多かったのが臓器移植に関する個人のプライバシーの保護とい うことでございます。  資料の8は検証関係の報告書でございますが、時間の関係で説明は割愛させていただ きます、後ほどご覧いただきたいと思います。簡略な説明で大変恐縮でございますが以 上で説明を終わらせていただきます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。いろいろと説明がありまして、この間にもいろいろな委員 会とか検討とかが実際に進んでいるわけです。今言ったようなアンケート調査というよ うなこともあります。そこでこの3年間の施行状況についてのご意見をいただきたいと いうことです。  先ほども課長がいわれましたが、特に制度の運用事項を中心にご意見をいただければ と思います。特にアジェンダとしてはこれだということはありませんが、確かにネット ワークの活躍の状況を見ていると、去年をみても、ネットワークで一番多いのはもちろ ん腎臓ですが、150 〜160 がネットワークを通じて行われています。が、実際は生体腎 移植がどのくらい行われているのかという話になると、結構立派なもので550 やられて いるのです。だからトータルで700 の腎移植が行われているというのが、移植をやって いる先生方のご努力にもよるわけですが、実際に腎移植を必要としている人が今は 14,000人くらい登録をしている人がいます。透析の患者さんは、今は20万人を越えてい まして、そのうちの半分が65歳以上、3分の2が60歳以上です。ですからそれより若い 人達というのは、どうしても移植の対象としてはそのうちの一部にはなるかもしれませ んが、家族からの移植というのが年間500 くらいはやられていると言われております。  腎臓の場合には心臓死でもいいわけです。実際に心臓死でどの医療機関でもいいので すが、臓器提供指定をしていることになってしまうと、一般の医療機会からなかなか心 臓死のときに情報が入りにくい、ということは確かにあるかなということはあります。 移植の数が増えるということは、ドナーになるかならないかというのはご本人の意思で ありまして、このアンケートにあるように3分の1ずつということでありますが、そう いうこともあります。そういうことも含めて先生方にお伺いできればと思います。  丁度3年経ちました。最近、激論21世紀とかというようなテーマで、激論というシリ ーズをどこかが企画しているらしいのですが、脳死臓器移植についてという話で、私に 何か書いてくれと言われて相手は梅原猛先生ですが、梅原先生の原稿は見てないのです が、私も書かせていただいたので、またお目にとまると思います。そういうことで誰で もご自由にお願いします。 〇井形委員  ネットワークの抜粋がここに出ておりますが、現状報告と将来の健全なる普及を目指 してというタイトルの報告書を出して、厚生省にもお届けしました。もちろん書いてあ ることは小児にも広めてほしいということも書いてございます。今日、嘆願書に脳死に これだけのものが出ているというのは、脳死下の臓器移植に対しては、これだけ定着し た時代に、少し驚きでありました。  ドナー情報があるのに、移植に結びつかなかったというのは非常に多いのですね。死 後にドナーカードが見つかったとか、或いは後でわかったとか、そういうケースが多い ので報告書の中にも書きましたが、できれば、入院のときに、そういう情報がもっと早 くわかる仕組みが欲しいという事を書いてございます。  救うための病院に、死んだときにどうしますかという項目を作るのは、かなりきつい ことでありますので、私の個人的なものとしては、医療行為について、ご希望、ないし は意思がおありですか?という項目を作って、その中の一つに例えばドナーカードなど とか、尊厳死であるとか、エホバの証人の輸血拒否とか、そういう代表的な項目を幾つ かあげて、その中にさらりとドナーカードをお持ちですかということを書くようなこと で、病歴の間に普及させるのは、少なくともドナーの情報がありながら移植に結びつか なかった例が非常に多いのは、一部解消するのではないかと思います。 〇黒川委員長  ありがとうございます。それから、先ほどのデータにもありますが、心臓、肝臓、 肺、が脳死からのところでやられています。少なくとも今のところは移植についてはす べてうまくいっている。心臓の方がまだ一人、3月の方ですが入院しておりますが、腎 臓の方もおりますが、基本的にはすべての方が退院されて、それに関してはある程度時 間がたつといろいろなことがあるにしても、移植医療ということについては、かなりク リティカルなケースもあったわけですが、すべてうまくいっているということは大変に 喜ばしいことです。その意味では移植医療そのものについては、技術的な問題、その他 のことはほとんど国際的なレベルまでいっているのは素晴らしいことであると評価でき ると思います。 〇井形委員  忘れました。私たちの報告書の最大の観点は、脳死下の臓器移植の全例が成功してい るということの評価が一番の眼目でありました。それでもこれらの中の何例か死亡して いるというようなことであると、実験段階の技術を、人を犠牲にしてやっているという 批判は必ず起こるわけです。その意味では日本の移植医療のレベルが非常に高いという こと、また移植というものを社会に定着させる大きな力になった、これは報告書の最大 の報告でありました。言い忘れました。 〇小柳委員  3年目の日を迎えるときに、非常に特殊な日が来るとは思っておりませんでしたの で、2年くらい前から実際にできることは何かと考えてまいりました。先ほど、麦谷課 長がおっしゃった局長のお話の中にある、法の本則以外でできること、というのは意外 と多いと思っておりまして、そういう作業を移植学会を基盤にして大分やってまいりま した。  現場からのフィードバックもかなりありましたので、いろいろ学会では検討しており ますが、個人の意見として今日申し上げるとすれば、この専門委員会にお諮りできるこ とはかなりあります。例えば、ネットワークから移植施設へのご連絡の時期がもう少し 早くならないかとか、実際に患者さんの意思の確認とか、インフォームド・コンセント の最後のものをとるとか、術前の準備とか、摘出チームの派遣、三次評価、全部含めま すと、今は2回目の脳死判定以降ではとても対応できない。  それはなかなか難しいことかもしれないのですが、日本中が一つのネットワークで動 いている時期でありますので、夜間とか遠隔の時期でありますとほとんど対応できない ということになる可能性があります。  2回目の脳死判定の後でなければ、ネットワークから直接に連絡してはいけないとい うことに一応はなっております。または法解釈で解釈権は厚生省にあると、私は過去に いわれたことがありますが、そうしますと今は、ネットワークは1回目の脳死判定の後 で移植を前提に患者さんの検索を既にしていますね。ですからコーディネーターも派遣 されています。1回目の脳死判定以降にね。ですからそこには矛盾があるかなと思って います。1回目の脳死判定以降に移植施設への連絡、という一行を加えていただくだけ で実現可能ではないか、対応ができるのではないかと思います。これは法の原則ではあ りませんで、専門委員会で検討していただければいいかなと思います。  あとは、レシピエントの選択基準、これも大変に問題があります。これも専門委員 会、ドナー適用基準になりますと合同委員会でしょうか、どちらも法の原則ではないの ですが、肺移植における肺の大きさは藤村先生がいらっしゃるのでお話しいただければ いいと思いますが、非常にストリクトに決まっておりまして、対応しにくいということ があると思っております。  それから膵の場合には、かなり順位の決定が今は難しい現状であります。ドナーの適 用基準になりますと、器質的疾患があるものという言葉がありまして、そうしますと、 直径1センチの良性腫瘍でもはじかれるということになります。そういうことで諦めた 臓器もこの10例の中に随分ございます。そういうことを見直していただける準備をして おるわけです。心も肝臓も腎臓もそれぞれに問題があって、記述についてかなりストリ クトすぎて判断が入りにくいところがあります。言葉だけで除外されてしまうことがあ ろうかと思っております。  まとめますと、本則に関係なく専門委員会或いは合同委員会にお願いすることで、随 分、臓器提供の善意を生かせるのではないかと思うような事例がたくさんありますの で、今後ともよろしくお願いしたいと思っております。 〇谷川委員  先ほどの世論調査をみますと、国民の約30%くらいは自分が脳死と判定された場合に 提供したい。しかも今はカードをもっている人が約10%いる。カードをもっていない人 の20数%がカードを持ちたいという。それを総計しますと30%ぐらいは国民の中でド ナーカードをもって積極的な提供をしたいという潜在的な人達がいるということが前提 で、国民の皆さん方も随分脳死移植に積極的になっているという背景があるわけです。  それでいま一番重要なのは、ドナーの提供が非常に少ないということです。過去3年 で10例あっても、ぼくたち肝臓をやっているものにとっては、臨床的には出発したとし ても本当の医療にはまだなってないところであると思います。  その意味からいいますと、先ほど井形先生がおっしゃった、臓器移植ネットワークの 中で、これから法を改正しなくても改善するということの一番大きな点は、いろいろな 医療機関に入院された方、或いは救命に入った人はドナーカードを持っているかどうか を、きちんとチェックするということは非常に重要なことではないか。  少なくとも外国では、個人の意思というものを、もし個人の意思が脳死の場合に提供 したいというときに、回りの人ができなかったということになると、これは個人の意思 に対して十分に応えられなかったということで、一番大変な基本的な問題にも関わるこ とでございますから、入院患者或いは救命の方々にドナーカードを、井形先生もおっし ゃったように多少は微妙な点もございますが、ここをうまくして、ドナーの提供が多い ように努力することはこれから重要なテーマであると思います。 〇大塚委員  3年たちまして法の改正は当然やらないといけないと私も思っております。いろいろ な問題でいまお二方お話になりました。提供側としては、その中にもかなり問題があり ます。ひとつは、今のような状況を見ておりますと、本当に死はどの段階かというのは かなり実は迷うのです。臨床的な脳死診断のときは死なのか、第1回目の法的診断をや ったときが死なのか、第2回目をやったときが死なのか。極めて死のタイミングが曖昧 なのです。現場ではそれは非常に困るのです。  小柳先生のおっしゃったこともよく理解できるのですが、例えばきちんと脳死に至る まで救命救急医療が貫徹されたかどうかといわれましたなら、これは当然ながら第2回 目の脳死判定で脳死というふうにいったときでないと先に進めないのです。もっと極端 にいいますと、臨床的脳死というものはもうやめてもらいたいです。非常にこれは臨床 の中では混乱してしまうのです。一般に臓器提供に向かわない脳死もいっぱいいるので す。そういう場合の脳死判定と、臨床的脳死判定との区別は全くついてないのです。  ですから臨床的脳死判定の中では、無呼吸テストはやらなくてもいいといっているの ですが、現実にはやっているところもあります。やらないところもあるというふうに非 常に曖昧です。  そういう意味では、私は本当に脳死は死であるということを徹底するのであれば、き ちんと2回目をやった段階で脳死というふうにいっていただきたい。その前に、勿論、 臓器移植の術前の準備はありますからお気持ちはよく分かりますが、そこは難しい、救 命医療をちゃんとやったのかといわれると、私のほうは困ってしまいます。  それから井形先生がおっしゃったように、救命センターに入院されるときに、ドナー カードを出しなさいというのも、これも救命センターの中ではかなり異論があります。 そういうことをやることによって患者さん側にとってみると、脳死になったら臓器を取 られるのではないかと思われてしまう。非常にそのあたりは微妙です。ですからその辺 りのことをもう少し整理していただいてクリアにしていただくことがまず重要ではない かと思っております。 〇桐野委員  提供側から私も発言させていただきます。大塚先生がおっしゃったのと同じような印 象をもっております。脳外科医は大体は患者さんが何とか持ち直してくれることを期待 していろいろやっているわけで、救命救急の先生方と立場はほとんど同じであります。 臨床的脳死というものが、厚生省からの通達で成文化されているということで、非常に 困っているのが実情です。これはほとんど法と同じように扱われておりますので、施設 によっては施設脳死判定をきちんとやった上で、厚生省通達の臨床的脳死判定をきちん とやった上で、その上で法に基づく脳死判定を2回やるという4回判定方式を取らざる を得ない。ほとんどナンセンスです。  しかし、法で、或いは通達で定められて成文化されている以上、これを踏まざるを得 ない。そういう意味では臨床的脳死判定というものが、完全に一人歩きになってしまっ て、我々としては非常にやりにくいということです。脳死判定についてはそういうふう に思います。 〇藤村委員  本日はこの法律の制度の運営についてということでお話をということを伺いました。 今までの話を伺ったところで、私が思っていることをお話し申し上げたいと思います。  ひとつはネットワークからの施設への連絡の問題と、レシピエントの選択基準の見直 しというのが、一番初めのお話になったわけです。ネットワークから施設への連絡をめ ぐる問題ということから脳死の件について議論が進んでいます。私はそれではなく、む しろレシピエントの選択基準の見直しということから意見を述べたいと思います。  肺のレシピエントの適用基準というのは、臓器移植法が施行されたときに急いで作っ たという経緯がございますが、その時はなにしろ日本ではこれまで経験されていない前 人未到のことをやるわけですから、外国等の事例でできるだけうまくいく事例を見まし て、それを参考にして作らざるを得なかったというのは当然であると思います。  その時も例えば大きな問題は、肺について申し上げますと、肺のサイズの問題でござ います。これも作った当初は少し幅を持たせて、例えば90%から130 %くらいというよ うに幅を持たせて作ったわけでございます。それが実際にやってみますと、それでもな お、ストリクトすぎるという批判を受けたわけでございます。  ただ私は思いますに、他の臓器も含めてですが、最初にレシピエントの選択基準等も 厳しく作ったからこそ、高い成功率が得られたという評価も得られたのではないかと思 います。非常に矛盾することではあります。  ですから今回、私はそのストリクト過ぎると言われたものを、そういう観点からそれ で上手くいったから、もう少し幅を持たせるということに目標をおきまして、見直すと いう点については賛成でございます。  もう一点あります。移植が成功するか、しないかについては、ひとつには虚血時間が 長いか短いということがありますが、短いほどいいわけでございます。これは当然で す。予後についても虚血時間の長短が非常に関係するわけです。特に肺などはそうで す。すると、これは、心肺移植関連学会協議会でもつい数日前に行われまして話が出た わけですが、地域性に鑑み施設の数は増やさないのか、増やすことはできないのかとい うことがあります。これについてはそのような希望をもっております。肺については全 国で3か所か4か所というところで、しかも東京にはそういうのがないという問題があ ります。施設がある程度増えたほうが虚血時間についても短くなって、移植も予後が悪 くなるということはないのではないか、ということを考えながら今日はその2点につい てお話し申し上げました。 〇黒川委員長  そういう問題は幾つかあると思います。今の藤村先生の肺の適用、それはもちろん専 門の先生からこうするほうがいいのではないか、その理由はなぜか、そういう話さえし て、それについてちゃんと責任をとっていただければいいわけです。肝臓もどんどん変 わってきていますし、心臓も変わってきています。施設を増やすのも、施設のクオリテ ィがそちらで責任をとっていただければ差し支えないのではないかという気はします。 今は1例ですから、これはまた増えてくるとね。  実際に肝臓はどんどん変わってきています。心臓も変わってきておりますから、その 辺りはよろしくお願いすればいいかなという気はします。  今のお話を聞いていると、確かに1回目の脳死で連絡できるのかという具体的な話と か、臨床的脳死とは何か、これは最初から問題になっています。この辺りは十分に考え るポイントであると思います。実際に救急の先生方の立場からいうと、どちらにしても 臨床的脳死判定というのは臨床の救急の現場の話ですから、その辺りをちょっと意見を 聞いてどのように変えたらいいか。際の現場の患者はどうかという話は十分に意見を聞 いていきたいと思います。 〇大島委員  臓器移植の問題に関して日本の場合に、明らかに諸外国と違った経過をとってきたわ けで、理念と現実とが違うというのはいつもあることですが、特に日本の場合に、脳死 下での移植がはじまるための前提条件というのが幾つか決まっています。それは公平性 であるとかいろいろなことがあるわけです。そのプロセスの中で基本的なベースにあっ たのは、医療側に対する不信感がベースに非常に大きくあった。その不信感は何かとい うのは私もよくわからないところがありますが、技術に対する問題については、これは 井形先生がお話ししましたように、この10例である程度は払拭されただろうと思うので す。  医療人に対する、或いは特に最初のうちは移植医に対する不信感が、何をやられるか わからないという不信感というのが非常に強くベースにあった。それで社会がこの問題 に対して、ダイレクトに介入してきた。  そのこと自体は、新しい展開で非常にいいことであると思ってはいるのですが、ただ 私が思うには、例えばアメリカ、諸外国についても脳死判定とか、いろいろな医療の純 粋な技術的な問題に関しては、言葉は正確には覚えていませんが、その時の妥当な医療 水準の判断によってというふうにほぼ決められているのです。それは裏を返せば専門家 にお任せする、要するに医学医療の具体的な内容について専門家にお任せするというの が、諸外国の基本的なスタンスであって、ところが日本の場合には、本当に細かい医学 医療の専門家の裁量で本来あるべきだというところまで社会が介入してきた。  介入せざるを得ないような状況があったとは思いますが、その結果、医学専門家が本 来もっている裁量権であるとか判断が、どんどん押し込められていって、悪い言葉でい えば、世の中の顔色を伺いながら、相談しながら、最終的に決まってきたというプロセ スがあると思っています。  しかし、これは信頼回復をするひとつのプロセスであると考えれば、これは、日本の 特殊な状況を考えた場合に、やむを得ない状況であると思ってきたのですが、本来専門 家が判断するべきことは専門家が判断するというようなことも、世の中に訴えていくと いうことは必要ではないかと思います。先ほどから大塚先生とか桐野先生がおっしゃら れたことについても、本来は専門家の考えることであると思います。これからは世の中 に、今までの実績と、医療人が具体的に行ってきた内容等を含めてきちんと説明し、我 々はこう考えるがいかがなのでしょうかという問い掛けを出していってもいいのではな いかと思っております。 〇黒川委員長  これで移植の医療機関側の先生のご意見をいろいろと伺いました。そのレビューをさ れた小泉先生からお願います。 〇小泉委員  本日は検証結果の報告が資料8に大変詳しく、また適切にまとめられておりまして、 以前この専門委員会の中の作業班で行っておりましたことを思い出しながらご尽力に敬 意を表します。  この中にもありますように、先ほどから大塚委員が問題提起された臨床的脳死と法的 脳死については、混乱を招いております。この報告書には注意深く臨床的な脳死の診断 という表現が使われております。  臨床的脳死という言葉を使わないほうがいいと思いますが、もし使ってもそれは正式 にはこうであるということを十分に理解した方が使うということでなければ、大変な混 乱を招くのではないかと思います。日本医師会の会員の間でもそういう声が非常に強い ので、この際、申し上げておきます。 〇黒川委員長  ありがとうございました。そこで今までの議論の中でご発言はございますか。 〇菊地委員  ご意見を伺いまして、提供病院に対する負担を軽減しない限りは、臓器移植の推進と いうのはあり得ないと私自身は考えております。そこで、過去4例におきましては、こ の審議会において検証会議を行っていただきました。現在は第三者検証会議において検 証が行われております。こちらの資料にもありますように、検証する項目につきまして は、ドナーに対する救命治療の状況、ドナーに対する臨床的脳死診断、法的脳死判定か ら臓器提供に至るまでの状況、ネットワークにおきましては臓器の斡旋、業務の状況、 ドナーの家族に対する精神的支援の状況、を含むと書かれております。  この中でドナーの家族に対する精神的状況を含むという項目があります。ネットワー クのコーディネーターが行いました精神的支援の状況の検証ということであれば理解で きるのですが、現在、その検証の方法においては、かなり多量のアンケートを行った り、臨床心理士を派遣して、ご家族と面談を行うというようなことが考えられていると ころです。 しかし、そういうところまでご家族に踏み込んでいいものかと私自身は懸念していま す。検証におきましては、提供病院の先生方から業務に対する負担がふえるというふう にも聞いております。  この検証会議がどれくらい続けられるのかは私自身は理解しておりませんが、院内に おきましては倫理委員会等がありますし、ネットワークにおいても中央評価委員会が設 置されております。そちらでしっかりと検証していただき、公表することとしても、そ ろそろいいのではないかと考えているところです。 〇大久保委員  幾つかお話をします。今の菊地先生からのお話です。先ほど大島先生がおっしゃった ように日本における医療不信というのは、今まであまり大きく出てなかったのですが、 近頃新聞紙上でもいろいろな事例が出てきたりしています。そこで国民全般に医療に対 する不信というものが払拭されている状況ではないと、私は思っております。  非常に残念ですが、その状況においては、第三者の検証機関における検証はもうしば らく続けるべきだとは思っております。それはひとつの問題です。  あとは、今の日本における移植医療を進める点において、ひとつは法律をどう見直し ていくか、先ほどの先生方のお話にありました臨床的脳死、私もこれは本当に誤解を招 くものであって、なるべく早くこういう臨床的脳死という言葉が使われないような、脳 死というのは一本であるというようになっていただきたいと思っております。これはお そらく今の法律を見直さないとできないことであると思っております。法律の見直しに 関しては、私は臨床的脳死ということをなくす、脳死は人の死であるということをきち んと規定することがまず一番であると思っております。  それからお話は出ていませんが、15歳未満に関する提供について、この2点について はこれは法律の見直さなければいけないわけで、この2点については、ぜひ法律を一日 も早く見直しをしていただきたいと思っております。その法律の見直しなしに、今の状 況の中でどうすれば移植医療というのをもう少し進めるかということになりますと、先 ほどからお話が出ていますように、どうすれば実際の提供の意思のある方の意思を生か すか。いまカードを持たれている方は約1割ということですし、実際に脳死での提供を 考えていらっしゃる方が3割ほどいらっしゃるのですから、この方々にどうしたら意思 表示カードをもっていただけるか。その持っていらっしゃるカードの意思をどう生かす か、この点に絞っていけば、私はそれほど悲観するほどの数ではなく、もっとたくさん の方の提供が得られるだろうと思います。すると提供を得られるためにも、カードの普 及以外に何が必要かというと、これは大塚先生や桐野先生の提供側の方々のご協力以外 にはないと思っております。  私たちも正直いって、どうすれば一番いいのかという方法論自体が浮かんでこないの が実情です。非常に難しい問題を含んでいると思うのですが、この提供側の先生方、提 供施設のご協力を、どういうふうに得れば、実際に提供意思の持っていらっしゃる方々 の意思生かすことができるのか、この一本に絞って、今回でこの会議は終わりですが、 次の会議において、是非この点をご議論いただいて、一つずつ解決していくことが、今 の法律内においては一番早道ではないかと考えております。 〇桐野委員  これまでの脳死臓器移植の提供事例をご覧になれば、体力的には必ずしも十分とは言 えない、つまり大病院ではないところの最先端の脳外科医が、本当にまじめに対応して きたと考えております。ある日突然そのような事例に遭遇し、ほとんど三日三晩不眠不 休くらいの努力をして提供までなんとか患者さんの意思を生かしてこぎ着けたという事 例が多いというふうに私は思っています。  しかしその結果としておきることは、病院側は体力のない病院の持ち出し、そして疲 れ果てた脳外科医に対して追いかけてくるのは、ほとんど非常に細部さ末なことに関す る非難、これでは本当に現場で働いている脳外科医としてはやれない、これは正確な統 計をとった意見ではございませんが、いろいろな方から聞いている意見としては、病院 は持ち出し、非常に懸命になって仕事をした、これはもちろん臓器移植をやっておられ る方々の経緯をもっているから、或いは患者さんが何とかこれで利益を得てほしいと思 っているからやるわけでありまして、それ以上のことは何もないと思いますが、あまり にもそれに対して、何もリウォードがほしいといっているわけではないのです。そうで はなく支える体制が少な過ぎる。少なくともできることは病院の持ち出しにならないよ うに最低それくらいはしていただきたい。そうでないと民間の病院で脳外科医が3〜4 人でやっているような、小さいところはそれくらいの規模になりますので、立ち向かえ ないという印象をもっていると思います。 〇菊地委員  先ほど提供病院の先生のご協力が得られないと大久保委員がおっしゃったのですが、 現場としましては、すべての病院とはいえませんが、先ほど桐野委員がおっしゃいまし たように、臓器提供の情報をいただいたおりには、先生方は誠心誠意ご家族の意思を叶 えようと動いておられます。ですから必ずしもご協力がいただけていないということで はないと思います。  先ほどの負担ということでいいますと、例えば、移植に関わる保険点数が認められ て、ある程度のサポートが提供病院に対して行えるとか、誠心誠意協力いただいた先生 方に対するまた新たな検証というものもかなりの負担になって、それを続けていくこと によって、今まで協力しようと思われていた先生方も協力ができないような体制になる ということの方が私は心配です。 〇黒川委員長  現場の感じとしては多分そういうのが非常に多いのではないか。ネットワークでもそ ういう可能性のある患者さんがいたときに、一生懸命やっておられるが、しかそうなっ てくると、むしろたくさんいろいろなことが起こるということになって、いろいろな人 が聞きにきて、さあどうだ、こうだということになって、しかも持ち出しが多いとなる と、何もないほうがいいという話になって、気がなえてしまいますね。それは確かにそ うです。  それはお金だけではなく、医療機関が一番望んでいるのが社会的なサポートですね。 本当にご苦労さまという一言だと思うのです。そういう気持ちが今の日本にあるのかと いうのは一般的にどうかという気は確かにします。それは大島先生のコメントでもある のですが、メディカルなジャッジメントについてどんどん押し込まれたというのは、医 療機関側にも問題があるわけですが、これは今までの日本のすべての組織がそうです ね。  雪印を見ても、三菱自動車をみても、金融をみても、そごうをみても皆同じですね。 いままではバレなかっただけの話ですね。新潟の県警もそうですね。神奈川県警もそう ですね。そこまで押し込まれてどうだと言われているから、皆が元気がなくなっている といのは困るのですがね。それはマスコミはその意味ではある程度国民にニュースを媒 体するという使命ということでそれはいいわけですが、しかしマスコミも考えてみれ ば、よくいうように単なるサラリーマンでニュース性のあるものは出すが、そのニュー ス性というのは社会的な価値観ではなく自分の出世を考えているのかもしれないが、い いことは書かない。 悪いことは書くというのが基本的であります。  きょうの朝日新聞のカール・ウォルフレンさんもいったが、日本のマスコミのスタン スというのは非常にインマチュアーであるということも書いてあります。それは大蔵省 のつっこんだところまでは絶対に書かないとか、だから国民には何も知らせない。マス コミは何をしているのかという話は常に問題になると書いてありました。  その意味ではインフォームされてないというのが、今までの日本のあり方ですから、 インフォームする媒体はどこにあるのかというと、マスメディアですが、ある特定の新 聞は、あるところについての書けないような財政的な状況もあるようですが、そういう ことでは困るという気は確かにします。  さてそこで臨床的脳死の問題というのがひとつあります。いま実際に9%の方がカー ドを持っておられて、そのうちの半分くらいの人がそういう意思をもっているのだが、 そのほとんどの人が例えば80歳以上というのなら話にならないが、たぶんそういうこと ではなくある程度はイーブンにディストリビュートした年齢層に10%弱もっているとす ると、どうなのか。もちろん皆さんが亡くなっていくプロセスというのはいろいろある わけで、毎年大体90万人くらいの方が死んでいるわけです。するとそのうちの90%くら いが医療機関で亡くなっているわけだから、80万人が何らかの格好でお医者さんとか看 護婦さんの診ているところで亡くなっているという現象です。するとカードを持ってお られる方は8万人です。  その時に家族も本人も含めて、私たちはカードを持っていますということを国民の側 から言えるようになるといいのだが、その上で対話が進んでいくと非常にいいのではな いかと思うのに、全て医療機関側にどうですかといっているのも、ちょっとパブリック のあり方としては、40%が意思をもっていて、家族も議論をしているはずだが、言いだ さないというのは、気も動転しているからこれはしょうがないわけで、なかなか難しい ですね。 実際にドナーカードが出てきたといっても、実際に見てみると3分の1は自 殺をされた方の後で見つかっている。心停止の後といっても、実際の医療現場ではなく 自殺というのが結構多い。内容を見ているとそうなっているのかなと思います。  パブリックとメディカルの大島先生の話もありましたが、これは日本の社会のあり方 の問題にすべてかかっているのではないかという気はします。  そこで臨床的脳死の話です、先ほど報告書が町野先生から死の問題について先がご研 究されて提言もされましたのでお願いします。 ○町野委員 先ほど臨床的脳死のことで少し混乱があるということですが、その根源 は、基本的に現在の臓器移植法にあるわけです。臓器移植法が脳死を人の死とするの は、臓器の提供のときに限ってである。するとそれが許されるときだけ判定するという ことになっていますから、臓器の提供が許される条件、つまり本人が同意して家族も承 諾する、その時にはじめて脳死判定に入るということになっているために、本当に脳死 らしいということをまず判定するので、そういうときに臨床的脳死というのが出た。結 局はそっちに引っ張られているわけですから、臓器移植法自身が、脳死を人の死とする ことに、今のようなやり方をとっている限りは、私はこの混乱は続くのではないかと思 います。  基本的にこれを解釈によって何とかすることは可能だとは思いますが、法律の条文が あのようになっている以上は、どうしても判定と脳死がくっついてしまうから、これは 致し方ない。基本的に法律を少し見直さないといけないというのは、この点についても 私は思います。  もうひとつ余計なことです。先ほどの第三者の検証です。拝見しておりましたら、資 料の中でドナーの家族に対する精神的支援の状況を含んで斡旋業務のそれを見るとなっ ています。これは事後的なものでしょうか。精神的な支援というのは。それだとする と、これはそこまでやるべきなのかどうかというのは、私にはわからないところがあり ます。これはどのような意思でこのような方針になったのでしょうか。 〇大澤室長  第1回目の検証会議におきまして、ドナーの家族に対する精神的支援状況を含めた検 証をするべきだということで、会議の結論とて、こういう結果になっているわけです。  ただ、これをどのようにやるのかという方法論を目下検討していただいているところ でして、先生がご指摘のように、ややその辺りに混乱があるのは事実でございます。  ただ、私どもとしてはあくまでも菊地委員もおっしゃいましたように、ネットワーク が行っていただくことの事後的な検証というのは、本来の検証会議の役割だとも思いま すので、その辺りはこれから十分に検証会議の先生方ともご議論させていただきたいと 思っております。 〇黒川委員長  確かに、そういう議論は時々出てくるのは、いろいろなニュースとか書き物とかいろ いろなもので聞こえてきます。ドナーの家族の検証というのは、実際に確かに外国でた くさん事例があるところでは、少しずつボランタリーに始まっていたり、NGOのよう な格好でやったり、そういうのがあると、たまたまそういう話を聞くと、こうあるべし という話になるのは、ある国の特徴的なことで、一つしか回答がないようなことの専門 家という人がすぐに出てきてしまうわけです。  その辺りの多様な対応とか、多様な価値とか、ほっといてくれという人もいるわけだ し、前の心臓死の腎臓の移植のドナーの間でもそうです。前の移植の学会もそうだと思 うのですが、生体腎移植ではなく、まったく死体からの腎移植の場合には、もちろんフ ォローアップして、ドナーの家族は1年して例えば電話でいかがでしょうかという話を すると、もうほっておいてくれという人もすごく多いということを、十分に認識してい るのか。そういうことはやめてくださいという人もいるし、いかがですかというと、会 いたくはないが、そういうことをしてくれると何となく思い出していいという人もい る。だからするべしもいいのだが、まだ数が非常に少ないので、べしといわれてもちょ っと皆さんに抵抗があるのではないか。そういうのは、プライバシーの問題とかいろい ろありますね。  例えば移植先進国のアメリカで心臓移植したドナーの家族は、コンタクトできないこ とになっているのだが、家族がだんだんと何年もたってくると、どうしてもうちの子ど ものあの心臓をもっている子に会いたいということで、そのファミリーを最後に自分で 探してしまって、何かテレビに出ると、それみろだからいいのだ、と言われても、それ は何万分の1を見ているだけの話ではないか。それをそうあるべしといって、私は専門 家と言う人が結構いるのではないかという気もします。  ある国はすぐに意見が一つしかないようなことをいう人もいますから、非常にインマ チュアな皆が幼稚園の生徒のようなことをいう人が結構います。その辺りも大変ですよ ね。パブリックは、我々は専門家といっても専門家でもないわけですから、こういう議 論をしているだけの話ですから、なるべく議論はいろいろな多面的な側面があるのだと いう話を、皆がそれぞれ認めあうことも必要だが、大島先生がいったようにメディカル プロフェッシンという人達は、救急の現場も移植の現場も、それだけパブリックにアカ ウンタブルな自分たちに非常に厳しくトレーニングしているのか。ここが一番ですね。  今まではしょうがないのですが、難しいなと思います。自分たちはいいと思っている のだが、その先生の仲間にいろいろ聞いて歩くと、そうでもないような人もいないわけ ではないのだろうから、その辺りは問題かなという気もします。  さてここで一度も発言しておられない先生、よろしくお願いします。 〇眞鍋委員  目に関しまして、途中でカードを変えてもらったりしたこともあるのですが、角膜と いうのは組織でありまして臓器移植とちょっと違う点があるというのが一つあります。  心臓死でもいいということで、脳死移植に対しても眼球そのものが臓器移植の仲間に 入っているのですが、実際に移植しているのは角膜で、組織移植です。現在組織移植医 療研究会というのが開かれまして、角膜もぜひ入れということで、私も去年会長をさせ られたりして、組織移植のほうでも頑張っています。  この辺りは心臓死の場合と脳死の場合とちょっと混乱が起こっているのも事実です。 臓器移植ができて以来、腎臓もそういう現象があったようですが、角膜も混乱があると いうのは、少し減った状態でして、提供が減ったのはなぜかということをいろいろと聞 いてみますと、脳死でないと角膜も提供してはならないのかという誤解がひとつあると いうことです。  法律の中に今までの角腎法は廃止するとちゃんと書いてありますので、全部が臓器移 植法に統合されたのだから、角膜も脳死でないと提供できないということで、提供する のが減っているというのがあるのではないか。我々としては、心臓死の場合にぜひ提供 できますよということをPRはしているのですが、なかなか回復してこないという状態 であります。  もうひとつ、アイバンクは一つの統一したネットワークがあるわけではありませんの で、各アイバンクがそれぞれやっております。非常によくどんどんと提供が増えていく アイバンクと、あるが実際に活動はほとんど休止しているのではないかというアイバン クができてきたわけです。その原因についていろいろと検討してみますと、アフターケ アといいますか、提供した家族に対するアフターケアを一生懸命やっているところが、 どんどん増えているし、何かミスがあって、ちょっと眼球をいただきに行ったときの医 者側のミスかもしれないのですが、とくかく少し出血が止まらなかったとかというミス があったりしてうまくいかなかった例があると、二度と眼球を提供したくないと家族が いいます。そういう声が一つ上がってきますと、そういう意見がぐっと広がるのです。  あっという間に減ってしまうということがあります。だからアフターケアについは非 常に大事であります。アフターケアをしっかりやっているアイバンクは発展するし、そ うでないアイバンクはしぼんでいくということがはっきりしております。これは絶対に 大事なことであると思います。ぜひドナーに対するアフターケアを考えていただきたい と思っております。 〇黒川委員長  ありがとうございます。確かにアイバンクの問題は心臓死による腎臓の提供が冷えて しまったのと同じ経緯で、歴史的な経緯があって、確かに今は臓器の提供の施設という のは、そこに限られているのではないかというようなところがあるので、その辺りをど う解決するのかというのは結構問題ですね。特に腎臓の場合にはアイバンクと同じ心臓 死でよくて、しかもウエイティングの登録している人が14,000人もいるわけです。もう ちょっと何かやらないといけないということは、常に心配はしています。患者さんもど うして動かないのかという、あなた任せのところがあります。  またもうひとつは、救急の先生方のご意見を聞きたいのです。そこの救急のところで ドナーが出られて、アフターケアの話です。ドナーのファミリーの気持ちの一番葛藤の 現場というのは、提供した場所だったわけですね。コーディネーターが入っているのは ドナー側のコーディネーターも必要だというようないろいろな話の議論があったと思い ます。いまはマンパワーの問題であるとか、財政とかなかなかドナー側のコーディネー ターというのは、むしろ病院についている人、或いは病院側の人で、ネットワーク側で はないような感じがします。  でもそういうものを支えるだけの財政的な基盤もないし、どういう職業かというのは もちろんボランティアでもいいのかもしれないのですが、でもあるコミュニティをカ バーしている病院からすると、当然ドナーのフォローアップというか、ドナーの家族も またそこの病院になんかあったら診療されるということが結構多いのではないかと思う のです。そういう方たちが今の先生たちの話だと、そういう方がまた来られると大変で したねという一言のフォローアップのほうが、大事な面になるかもしれませんね。先生 方と一緒になって、先生方も非常に辛い思いをして、桐野先生がおっしゃったようにい ろいろな持ち出しもあって、病院中が、特にそれほど大病院でなければいろいろなこと かあるわけですね。その意味ではドナーの遺族のフォローアップ、またご家族の病気で 通っている可能性も多いのではないかと思うのですが、その辺りは何か考えられるかな という気もしないではないのです。今の話を聞いて感じました。 〇野本委員  発言するような立場ではないと思います。大体今まで現場をはいずってきたほうで、 移植学会でも移植医の諸君と一緒になってはいずる。ネットワークではコーディネー ターと諸君と一緒になってはいずる。きょうの話は私の悲鳴くらいにお聞きください。  3年間一生懸命コーディネーターの諸君と、とにかく倒れないように、倒れるという のは国民が見放さないようにもっていこう、必死で歩いてみたら、たった10例であった というのが今の感じです。一方からは、法律ができてたった10例だ、あんな奴は引きず り出せという声はしょっちゅう入っていますからよく理解はしております。  一方では、提供施設の先生方も本当にあれは医療上のミスではないといくら言って も、お前は大体甘いということで味噌くそにやられます。ここ3年、よう頑張ったと言 われたことはまずございませんので、悲鳴といってお聞きいただいたらいいと思いま す。  幾つかの問題の実体験を踏まえてつぶやかせてください。結局3年間一生懸命やって 10例です。したがって、確かによくやったからこれから次の段階に一気にいこうという 状況ではありません。しかし少なくとも国民が移植医療はけしからんということはな い。移植医療の先生方は少ないといって怒ることはありますが、国民からお前のやって いるやり方がけしからんということはあまり聞かないと思いますので、一歩一歩踏み越 えていきながら、今の法律やガイドラインが本当に効果を発揮したという時点で、どこ に問題があるのかということが浮かび上がってくるのではないかと思います。  私の体験からいきますと、まだ法の問題も、症例の問題も、ガイドラインの問題も、 どこが問題だというのがはっきりと実感できないのです。なぜかというと、実感という のはいいところまでそれが機能を発揮した、ここが限界まで自分の力として発揮してみ た、だからここはこう展開するということが、これは実感をもっていえるのです、残念 ながらそこまではいってないという感じがします。あと10例、できるだけ一日も早く次 の10例を、これは大塚先生よろしく、何とかあと10例いきまして、トータル20例くらい にして、いろいろな問題を、ある統計的に処理して、国民に向かって次どうしますかと いうことが言えるのではないかという感じがしております。  とにかく1例1例きちんとするというしかないという段階で、法の云々ということ は、なかなかいいにくい。  子どもの移植ができなかったことですが、これは前の法を作るときも、自己決定権に 絞り込むということで、特に参議院の先生方が飲んでくれた。この間も元の参議院のあ る議員の方とお話をしましたら、野本君あの頃は酷かったね、お前だけがきつかったわ けではないよ、ワシも宗教戦争で疲れて随分苦労した、という話をされていました。  私もそのときにお話をしたのですが、子どもの問題はもう一回国民レベルで話をし て、国民の声を上げないと進んでいかない問題であると思います、という話をしまし た。元参議院議員でかつ宗教に関係のある方も同じようなお考えをもっているようでし た。  結局は多くの人が賛成をしているのです。だから今度、子どもの問題に関してけしか らん何をいうか、とはいわれないが、どのようにきちんとするかに関しては、ほとんど の国民が賛成とはいわないにしても理解はしたというところまでもっていかないといけ ない、という感じがいましております。慎重に考えてもっていかないと、身動きが取れ なくなってしまうという感じがしております。  2番目です。当然これは臓器移植がある程度進みましたから組織をどうするのか、今 は医療施設が自分のところだけ、ないしはチームを作ってやってくれている。ただチー ムごとにルールをきちんと作ってくださっていますから、4人です。したがって、あま りこれを臓器のときと同じように、また法で縛るというのは私は実際的ではないという 感じがしています。その上に法で縛りましたら、もう提供施設は身動きとれない。一切 できない。それで、この間も厚生省の臓器移植対策室と一緒に、場所は厚生科学審議会 であったと思いますが、組織移植と、組織の利用に関するガイドラインを作ったのです が、そのガイドラインを作るときも、法的な意味のガイドラインを作るというつもりは なくて、本当のガイドラインです。現場で組織移植をする人が、最低このラインを守っ ていれば国民を敵に回さない、こう考えたガイドラインを作ったのです。今のところは 法制化の問題との係わりがあって、ちょっと最終決定までは待っておれというのが状況 でございます。できたら法という形ではなくて、我々が守る規制的ガイドラインという のにしていただきたい。  やはりどうでもいいですよといいますと、後でそれが、どうでもいいのだからどうで もよくやった、何をいうのかといわれると非常に困ることが起こると思いますので、で きたらそういうものですね。  組織移植をやる人達の共通語です。共通語を作っておくという感覚でいいのではない か。今のところ、移植学会のメンバーが私のところで組織移植を本格的にはじめたいと いう話がありましたら、移植学会原案、ないしは国循の北村原案を参考にして、自分の ところのガイドラインを作りなさい。それでやって大きく間違うことはないから、その かわりに自分の責任でやりなさいというやり方をしております。いずれにしてもこれは 政府にお願いしておきたいのですが、法制化というのにはできる限り進まない努力をし ていただきたいと思います。  これ以上臓器提供現場を縛ると、身動きが取れないということです。今まで組織をや ってきておられる方が、ここ数年間で、臓器移植法の検討のプロセスで随分皆がクレ バーに自分たちのシステムを作ってくれました。お互いに相談しますから、いつの間に やら、大体共通のガイドラインになっている。だから私は共通語を作るということが必 要だろうと考えておりますので、そういう気持ちです。  生体間の移植に関しても、場合によるとルール化するべきであるという非常に厳しい 声もあるのですが、これは患者さんとお医者さん、せいぜい患者さんの家族とお医者さ んの閉鎖空間の問題で、従来の任意契約的な行動なので、これを法で縛るということに なると、一方では個人のプライバシーを非常に侵害する面が出てくるので、これはむし ろ学会のそれを担当する学会の会員のほうが、生命倫理上で許せないことはやらないと いう方向にもっていくほうがいいのではないかと私は考えております。  これは制度という形のルール化はあまり望ましくない。もしいろいろなことが起こる 危険性がありましたら、例えば移植学会なり何なりが、やらない、こういうことはしな い、移植学会を除名されても何ともないという人もおりますが、移植学会がちゃんと仕 事をすれば除名されたら困るという学会になるのではないかと思いますので、そういう ことも考えてください。  もうひとつ、井形先生、谷川先生、大塚先生のそれぞれからご意見の出た意思表示 カードの確認の時間です。  これは菊地君や小中君と対策本部長をやっているときにすごく悩むことです。確かに 何かの方法で、やわーと確認できる方法を考えていただけないか。とにかくどぎつくは いけません。どぎつく、お前見せろというルールを作ると僕も嫌だと思うのですが、や わーと何となく、抵抗なく、意思表示カードが出ているというのがやはり何とか工夫し ないといけない。これは工夫と知恵との問題かと思います。そのベースは患者さんやそ の周囲の人達に対する優しさがベースでやんわりにしていただきたい。我々の医療サイ ドからのやり易さでいきますと、どれほどシステムを作ってもリセットされますので、 大塚先生あたりいい知恵をお願いします。 〇大塚委員  困りましたね、たいへんに難しい宿題ですね。 〇野本委員  難しいと思いますがね。 〇大塚委員  私は現場で見ておりますと、ドナーカードというものも全面に100 %信頼できないの ではないかと思っているのです。と申しますのは、元気なときにはホイホイと○をつけ るのです。でも現実に土壇場になって、その時点になると、いやちょっと待てよという 考え方が動くのではないかという感じがするのです。  ですからドナーカードをもっている人がすべてもっていますよというふうに提出され るとは、私は思ってないのです。 〇野本委員  本当はもう少し安定してきて、ほとんどの人が当たり前ということになれば、お医者 さんと本人や家族のダイレクトの話から進むのが本当ですが、僕は今の日本の段階では しかたない、紙切れが介在せざるを得ないと思います。先生のおっしゃる通りであると 思います。本当のことを言えば、最終的には信頼を持たれる医師と、信頼をする本人や 家族との最後の時点でのお話で、これだけ人生を生きたのだから、先生頼みます、次の 人に渡してくださいというのが本当ですが、それは今の段階では法律がそうであるから というわけではなく、今のいろいろな状況から考えると、一応は一度は紙というものを 通していかざるを得ないなと思います。悲しい話です。先生いろいろとお考えくださ い。  もうひとつぶつかってきたのは、マスコミの報道の問題です。これはメディアが広く 公表してくれるものですから、意思表示カードの所持率が上がります。そういうプラス の面が非常にあります。そして理解も広げるのですが、提供者の脳死の家族へのプレッ シャーになるような記事はぜひやめていただきたい。これだけです。  当然国民がいろいろなことを知りたいと思うので、多くのことを知ってもらったほう が普及するのはわかっているのですが、提供者の家族が、あとで記事を聞いたり読んだ りして悲しむようなことだけは、わかっていても抑えてください。これはあくまでも紳 士的な意味でのお願いということです。  今まで厚生省記者クラブで私がお話をするような人達は守ってくれるのですが、時々 そうではない記事で、きついものがあります。それが真実であればあるほど、それはご 家族にとっては辛い話なのです。この辺りはいろいろな自主規制ということもできない し、協定を結ぶということもできないのですが、私はメディアの方々も一般市民で、い つ提供者の家族になるかわからない。提供者になるかわからない一般市民という気持ち で、優しさをもって対応していただきたい。  もうひとつ、最後に僕はこれは実際は私がいらないことを言ってはいけないことです が、提供施設の先生方や提供施設へ、何かバックアップができないか。これが一番の問 題です。私は元々は移植学会の理事長という立場からこの問題に入っていきました。移 植をする側、臓器をおくる側、移植という側のオピニオンリーダーは一生懸命やってき たつもりですが、脳死判定それから臓器提供の現場は、はっきりと線を引いて、ありが とうございます。ご苦労さまです。ご迷惑をかけます。それ以上を言ってはいけないと いう分野だと思うので、非常に言いにくいのですが、ぜひ政府もいろいろな医学界の関 係の人達も、そこを理解して、お願いしたいです。  例えばいろいろなところで井形先生とか小泉先生のような医学界のリーダーの方です といろいろな医療改革でどこを重点しようかというときには、救急や脳外科を重点化す るとか、いろいろなところでサポートを是非してあげていただきたいと思います。これ はいらんことですが、言ってはいけないことでしょうが、一言だけお願いします。常日 ごろ感謝しておりますが、提供施設や脳死現場に関しては、私の立場上、一言も発言し てはいけないと自分で考えておりますので言っておりません。今日はまとめて言いま す。ありがとうございます。 〇大塚委員  そういうことはありませんから、ぜひどんどん発言してください。 〇野本委員  以上です。つまらないことをいいました。 〇黒川委員長  いろいろな立場、3年間の医者の仕事と、実際に起こった話から、その間にいろいろ な調査とかやられていますし、専門班の問題、いろいろなところからのお願いといいま すかいろいろな文書もあります。またお目に通していただきたいと思います。  これが最後ということですので、最後といってはおかしいのですが、皆さんから一 言、言いたいこともたくさんあると思います。これから、次の委員会もできるのであれ ば、メッセージを残していただいてもいいです。 〇眞鍋委員  今は脳死からの提供というのはまだ10例ですので、リピーターというのはあまり考え ていないのかもしれないのですが、角膜のほうでは既に歴史も古く、リピーターという か、おじいさんも提供したからお父さんも提供をし、お母さも提供、息子も孫もという ふうに、どんどん続いて提供をしてくださっている家族がたくさんいらっしゃいます。 リピーターというのができるのは、結局はアフターケアによるわけです。  今のところは脳死からの提供はリピーターになるということはあまり考えられないの かもしれないのですが、我々の経験からいうと、その意味でもアフターケアが非常に大 事であるということです。是非コーディネーターの方の資質の向上、およびドナーコー ディネーターの方をぜひお願いしたいと思います。 〇町野委員  この改正は、私はこの会のメンバーとしてではなく研究会としてやったのです。基本 的に臓器移植法は本当に大きな影響をもった法律だとつくづく感じました。  ひとつは、こちらにも引用されております法の改正、こうしたらどうかというわけで すが、これは非常に反対が強く、反発はあるだろうと思います。しかし最初には国会に 提出された旧法律案ですね、それがこういう立場であったわけです。それに戻すことに ついてはこれだけのものがある。諸外国はほとんどこれでやっているわけですが、それ でもこれだけの反対があります。3年の間に、その意味では現在の臓器移植法が定着し たのかというのは、言えるのかもしれないと思います。  したがいましてこれは、いろいろ後から申し上げてもなんですが、法律をちょっと妥 協して変えて、何年かたったら見直して元に戻すというような安直な法律はなかったと いうことだろうと思います。これはいろいろと苦労された野本先生とかには非常に申し 上げにくいのですが、一回何か譲るということは、それなりの覚悟がいるのだ。おそら く3年で見直しはかなり難しくなってきたという具合に思うわけです。  さらにこの法律自体が、今の臓器移植法ですが、これがやはりどれだけの意味をもっ ているのかというのは、他の例えば組織移植についても、臓器移植はこれだけ厳格な要 件を決めているのだから、組織についてもこれでないといけないというふうに法律の趣 旨を及ぼすべきだという意見が当然出てきます。これに抵抗するというか、お医者さん の好きなようにというか、我々を信頼してもらいたというのは、かなり言いづらくなっ ている。そしてそれは医療不信は、1968年だったか和田心臓移植のこんな昔のことで30 何年前のことが、未だに続いているばかりではなく、消え去ろうとするときに、次から 次に問題が起こるわけです。おそらく日本では、医療不信というのは終わらないという 感じが、この3年のうちにしてきました。  そこで法律をいじるというのはかなり難しい、先生方のいわれることは一々ご最もと いう感じが私にはするわけですが、ですから今回、法の改正ができるかどうかというの は、多くの人が考えている関心事であろうと思いますし、子どもについてだけ何とかし てくれというのは世論であるというのはわかりますが、それをどのような格好で生かす か。生かさないと、おそらく国会とか行政としては3年後の見直しを約束している関係 上はしないといけないと思いますが、どのようにしたらいいのかというのは、かなり大 変なことでございます。  うまくいくかどうか、次回の法の改正については妥協は譲るべきではないところは譲 らないという格好が、私には長い目で見たらいいのかなという感じがしております。ま だよくわからないところはありますが、感想めいたことです。 〇藤村委員  臓器移植法については当初3年目に見直すということで、10例程度が出て、移植が行 われているということで、その段階で全部がうまくいっているということもあります が、実際には見直しのタイミングはもうちょっと先のことではないかという気はしま す。私が考えるのに、現在の法律の中で、どのようにうまく適用し推進していくかとい うことを考えるほうが得策であろうと自分では考えております。先ほども申し上げまし たように、肺に関しては適用基準の見直し、それから施設の数を増やすということも視 野に入れて、進めていったほうが得策ではないかと考えております。 〇野本委員  さっきもいいましたが、次の10例を何とかデータ的に処理ができたらいいなと思いま す。オブラートに包んで情報がだせる症例というのは20例だと思うのですが、次の10例 を何とか転ばずに、20例に1日も早く達成したいです。それを思うだけです。どうした らという生意気なことはいわない、考えておりません。お助けください。 〇谷川委員  移植に関しては先ほども脳死判定のところでは、私どもは専門家ではないのでわかり ませんが、ぜひ脳死判定のところを、脳外科の先生方を含めて専門家を信頼していただ いて、より容易に判定できるというふうに改正していただきたいと思います。  肝臓に関しては、日本は先進国に比べるとはるかに肝疾患がすごく多い国です。した がって、肝移植の適用の人が、すごく多いという背景があります。肝移植は脳死からの 移植では7例しかなく、今は生体部分肝移植は非常に数が多くなってます。さきほども 野本先生もおっしゃいましたが、昨年は200 例を越して今は1,000 例を越えています。  アメリカの人口は日本の倍ですが、脳死肝移植は4,500 例です。しかしそれでも足り ないということで、アメリカでもその足りない部分を生体肝移植で補っているという状 態です。アメリカの行き方は、日本では生体肝移植は規則でいくと4等親内でのドナー の提供ということが書いてありますが、米国ではそれを越えて、親族でないところから のドナーの提供ということも考えられていてやっているわけです。  そういう点から考えますと、野本先生もおっしゃいましたが、日本もちょうど生体肝 移植は1,000 例を越えたという点で、もちろんこういう委員会よりも学会の中での検討 がいいと思いますが、1,000 例を越えた時点で、日本でも見直して、これからこういう 方向にいけばいいのではないかと思っております。  いずれにしましても生体肝移植というのは、正常の人からの肝臓をいただくというこ とで、相当のリスクも実際にはあるわけですから、ぜひ脳死からの肝移植をすすんでい ただきたいと念願しております。 〇小柳委員  法の法則につきましては多方面でかなり基本的な討論が行われることだと思います。 私どもには手が出ないことだと思っております。それ以外の省令・指針で何かしていた だけることはないかと思って問題点を洗ってまいりました。  ただ法成立後は、私どもは実際に登録患者を抱えている立場ですので、この立場をも っとお話しさせていただきたいと、これからはあまり遠慮しないで、そういう方の代弁 もしていかないといけないと思っております。  洗い出しました事項については、すべての学会と研究会を代理する形で形を整えて、 また来年以降の新しい委員会に提出をさせていただければと思っております。  野本先生が組織移植のことで、地域性とか現場のことをおっしゃいました。3年たち ますと各臓器の間に多少は地域性とかでは、私はかい離が起きていると思っておりま す。心が3で肺が4というのは非常に少ない施設で、オールジャパンでやっている臓器 と、13くらい施設がある臓器もありますので、そういう臓器の作業のときには、地域性 という言葉も出てまいりましたので、そういうことも多少は地域という考え方を、再び 臓器移植に取り入れる時期ではないかと思っております。それは従来の啓発活動とか費 用とかを考えましても、そろそろそういう考え方が登場してもいい時期ではないかと思 っております。 〇小泉委員  臓器移植全般ということで論議が大きく残されている問題に、費用負担があると思い ます。一つは医療費の問題です。移植医療の医療費負担はいかにあるべきかというとこ ろです。かなり時間をかけて、多面的に取り上げないといけない問題ではないかと思い ます。同時にまた、臓器移植ネットワークの運営費というか、それに関わる今後の活動 にいかなる形で財政的に負担かなされるべきか、という内容も残された問題ではないか と思っております。 〇井形委員  私はネットワークの現状報告と健全な臓器移植の推進を目指してという報告書を出し ました。内容はここに出ていますから繰り返しませんが、少なくとも理事会に図って皆 さんの了解を得た報告書です。現行の法制を15歳未満の人にも臓器移植の恩恵を及ぼし てほしい、法を改正してほしい、という気持ちは全員の理事会にあったということをご 報告させていただきたいと思います。  きょうは運用が話題でありますし、ネットワークそのものが運営機関ですから、あま りそこから戦闘的な提案をする立場にはありませんが、現実に特に移植を希望している 人達からの要望がもろに聞こえてきております。脳死臨調のときも、脳死になった人の 人権と、移植を受けないと死んでいく人達の責務の間で、辛うじて、亡くなっている人 に責務を果たすべきだというニュアンスが重かったので、ああいう結論になったと私は 思っているわけです。  できれば子どもにも恩恵を及ぼしてほしいということ、理事会でそういう意思がある ということだけは議事録に残しておいていただきたいと思います。  もうひとつの問題は、今は10例になっておりますが、成功したことを高く評価すると いうことと、先ほどの子どもに対する責務というのは、いろいろな今日の中にも、脳死 を人の死としないでというたくさんの意見書が出ておりますが、こういうのを見るたび にいつも思うのですが、では子どもに死ねと言うのですか、或いは外国にいくのはどう かということには触れてないのです。外国に行ってはいけないというのであれば、この 論拠は外国でこそ主張していただかないといけないのですが、こういうことになると、 皆が外国に行ってしまうわけです。脳死臨調のときも一番大きな議論は、子どもをどう するのかという議論が多かったのです。そのことを強調したいと思います。  もうひとつこの報告書の中で、提供病院に対する手当が足りないということを重大な 問題として認識したということが書いてあります。  もうひとつの問題は、死後の腎臓の提供が臓器移植法が成立してから減ったのです。 これは今までかなり順調に定着していたものが、脳死というものと死後というものの誤 解が先行したために減った。これについては我々の努力ないしは手当をするべきではな いかということです。  ネットワークは決して潤沢なお金をもってやっているわけではない。ぎりぎりという か赤字に近く、毎回厚生省にお願いしたり、或いは一般の社会にもお願いしてやってい るということです。こういうものがしっかりしないと臓器移植は定着しないと思いま す。以上です。 〇大久保委員  ここに患者の立場で出させていただいているのは私だけだと思います。患者にとっ て、町野先生のお話もありましたが、あの法律が成立するとき、患者団体としては苦渋 の選択でした。私もあの提案を受けたときには涙が出てきました。本当に情けないとい う状況で、我々はあの法律を受け入れたわけで、今でも法律に対しては、その成立以前 の過程からして私たちは非常に憤りは感じております。  患者として日本に生まれたばかりに移植を受けられない。井形先生がおっしゃいまし たように、海外に出ていかれる方はたくさんいらっしゃるが、でもそれはほんの一部で す。ほとんどの方は海外には行けなくて亡くなっているのです。今の現状としては毎 年、心臓移植を海外なら受けられて、元気になる人が何百人も、肝臓移植なら1,000 人 とか2,000 人という単位で実際に亡くなってしまっています。  我々としては次の法律の見直しも含めて、今後のこういう委員会も含めて、何とかこ ういう人達を救うことを皆さんで考えていってほしいと思っております。本当に毎日、 何人もの方が亡くなっているという現実です。確かに日本に移植医療を定着させるため には、まだまだ時間はかかるかもしれないのですが、その間に患者がどんどん亡くなっ ているということだけは忘れないでほしいと思います。  今の状況であってもいろいろとできることはあると思います。先ほども出ていました が、少なくとも意思表示カードで一割の人、そしてその半分程度の方が実際に脳死での 提供を記入されているわけですから、そういう方をどう生かすのかということをまずお 医者さん方、皆さん方、我々も含めてですが、知恵を絞って、できることはあると思い ます。私は別に提供病院の先生方が協力してないというのではなく、協力されているわ けで、したいという気持ちはあっても、まだできないこともいくらでもあると思いま す。本当に一部の先生方の提供で今まで10例できている。他の先生が提供したくないと いうことではないと思いますが、それはシステムとかサポートすることであるとか、い ろいろなことが不足してこういう状況があると思います。  どうすれば今後この移植医療を一般の国民の方々に理解していただいて、それこそ意 思表示カードが、ご家族から提示されるような社会的状況、それは先ほどの眞鍋先生の お話にもあったように、ドナー家族のサポートも非常に大事だと思います。日本ではド ナー家族が祝福される状況では今はないということです。これも非常に大きな問題で す。こういうことを一つひとつ今の法律の中でもできると思うのです。これを解決して いかないといけない。  私はもう15年、移植医療の推進のためにやってきましたが一向に進まない。いろいろ な方策があると思います。皆さんにはいろいろなご意見があると思います。でも現実に こういう人が亡くなっているわけです。それを何とか知恵を絞って、移植医療定着のた めに、この次の委員会にぜひこの方策を考えていただきたいと思っております。 〇大島委員  私は腎臓移植をずっとやってまいりました。卒業して以来30年間になります。最初の 頃は目の前の患者さんをどうするかということだけに必死でした。ある時期から多少は もう少し広い視野で係わらせていただくようになりました。  現場に身を置いていますと、ストレスというかいらいらというか、移植医療というの は本当にエネルギーや時間などをどれだけ費やしても報いの少ないというか、報いとい うか、好きでやっていることですからこういう言い方はよくないのかもしれないのです が、本当に見返りが少ないというか、反応が少ないということをずっと実感していまし た。  それは何かということをいろいろと考えてみたのです。多少は広い立場でいろいろと 見ないといけないという状況になって、特に今度の法律から全体のプロセスを見てみる と、日本自体がそういう混乱期にあったのかもしれないのですが、こういう政策レベ ル、生命に関するような国策レベルの話、或いは施策の決定というのはどういうプロセ スで決まるのかということを考えたときに、まったくサイエンスベースではないという ことも感じました。合理的でないということも感じました。ロジカルでないということ も感じました。全くとはいいませんが、少なくともエコノミックベースの考え方もな い。  最後の決め手は何か、これは私の偏見かもしれないのですが、日本の場合には非常に エモーショナルベースでこういう問題は決まる。そのこと自体が非常に大事なことであ るというふうにある時期からすごく認識しております。臓器提供の問題に関しても少な いことが大問題になっていますが、これは提供病院、提供施設、提供に関わるドク ター、或いはその周辺の方がキーパーソンであるに決まっているわけです。そのキー パーソンが動く仕組みが、システムとして保障されているのかというと、とても保障さ れていません。ネガティブの要因を数えると、どれだけ数えても出てくるくらいの、大 変な状況にあることは分かりきっているにもかかわらずです。  しかしそれでも私は非常に楽天的なところがありまして、自分の今までのキャリアの 中で、腎臓、献腎移植ですね、亡くなった方の腎臓提供ということで、名古屋で年間に 60件の提供が出ているという実績があります。いまでこそ腎臓に関しては経済的な保障 というのがある程度は出来ておりますが、動きはじめた当初というのは、今の脳死下の 移植とまったく同じような状況でありました。経済的な保障もなにもないというところ で、動きはじめたわけです。  それを考えてみますと、そういう状況の中で一定の実績をあげるためにはどうすれば よいのか。移植医療がどれだけ価値があるとかということは救急の先生であろうとどう いう人であろうと、一々いうまでもなく皆さんがわかっているわけで、医者であればそ ういうことは十分に理解できるわけですから理屈や理念の話ではない。それを動かすの にお金の保障もない、時間も使っていかなければいけない、余分なストレスもどんどん 被っていかないといけない、こういうところで動かすとすればエモーショナルなものし かない、と私は思っております。  その点では、日本人は時間はかかるけれども理解さえしてくれれば動かすことはでき る。ただ、法律とかシステムというのは、最低限のミニマムの保障だけはしていかない と、これは絶対に長続きしない。  町野先生もおっしゃいましたが、譲ってはいけないことは譲ってはいけないというの は、非常に強く思っております。専門家としては特にそうです。それとあまり、細かい ところまで、あれもこれもと議論をしはじめると分からないことがいっぱい出てきます から、次から次へとあれもこれもといっていっぱい付け加えるということも、決してよ ろしくない。譲ってはいけない、絶対にこれはおかしいということははっきりさせ、そ れをミニマムにして一方システムとして、少なくとも最低限これだけは保障しなくては いけないということも、きちんとやっていかないと、継続的には続かないと思っており ます。 〇大塚委員  いま大島委員の言われたことは私も大賛成です。各論的に申しますと、法律の改正が 困難であるというのであれば、ガイドラインの見直しはやっていただきたいという感じ はします。  これは過去何回か実は見直しがあったのですが、その都度、かなり実は細かくなって いるのです。それはいま大島先生が言われたように、このガイドラインができますと、 ガイドラインに沿った行為をやっていきませんと、いろいろと批判をうけてしまうとい うことで、どんどん細かいところに注目がいくということです。  きょうも資料8で、脳死下での臓器提供の検証会議の報告が出ておりますが、こんな に細かいところまで必要なのか、私はメンバーですのでちょっと言いにくいのですが、 こんな細かいところまで必要なのかと、実はそう思っているのです。  このガイドラインなりマニュアルというのは作れば作るほど厳しくなっていく。です から大島先生が最初にいっておられた、医師の裁量権というのがまったくなくなってし まうのです。もちろんマスコミの方々が、その医師の裁量権がいかんとおっしゃっる方 もいらっしゃいますが、医学というのはそういうものではないと私は信じております。 ですからもっと緩やかであっても、本質さえ逸脱しなければ、抹消のところはもっと緩 やかであってもいいのではないかというのがひとつです。  もうひとつは、2〜3ございますが検証会議です。これの見直しをやるべきではない かと思います。当初、確か10例くらいまではやりましょうということでスタートしたわ けですが、もう10例たっておりますので、この10例をすべて検証し終えたならば、これ から先はもう少し考えていただいて、検証会議を続けるなら続けてもいいのですが、も うちょっとスタイルの違った形にしていただきたいと思っております。以上です。 〇菊地委員  2点ございます。ネットワークとしましては普及啓発、適正な承諾手続き、公平な臓 器分配などが主な役割になっております。普及啓発に関しましては、国民に対する情報 の提供と、意思表示カードの所持率の増加、というのが主な目的になります。その普及 啓発と公平適正な承諾手続き、臓器分配というのが両輪になっていかないと、国民の理 解は得られないと考えております。  それには、コーディネーターの質の向上もそうですが、ネットワークにおける組織の 充実、ネットワーク独自の努力に加えて行政の協力を得て、さらなる充実を図っていく べきと考えております。  もう1点はマスコミ報道についてです。実感しますのは、厳粛であるべき見取りの時 期に、少なくなったとはいえ死と確定していない段階から、たくさんのマスコミが病院 に押し寄せてフラッシュをたいたり、カメラを回したりというのがございます。それが 嫌だということで提供を断念されたご家族が実際にございます。  そろそろ取材のあり方、マスコミの報道のあり方を、独自で考えていただいて、実施 していただきたいと考えます。以上です。 〇桐野委員  いろいろなご指摘がありました。1点だけ申し上げます。心・肝・だけをとっても15 例以上の移植がこの3年間に行われて、ほとんど問題なく進んでいるということは、あ る意味ではもっと強調されるべきことであって、その多くに我々仲間の脳神経外科医が 関与できたということは私は誇りに思っております。  医療不信ということがいわれますが、わが国においては、こういう形で移植外科の先 生が必死になって医療不信を克服しようとしても、一方で医療不信が発掘されますの で、なかなか難しい問題ではないかと思います。  やはり医療をよくしていくためには、本当に最前線で頑張っている医師をサポートす る気持ちがマスコミに生まれない限りは、なかなか難しいと思います。  判定の問題、或いは検証の問題は既に多くの先生が発言されましたのでほとんど同じ ように思いますが、やはり法的なさ末主義はそろそろ考え直さないといけない。例えば 今の法律でいえば、鼓膜が破れた人は脳死では死ねないという、何だか本末転倒のわけ のわからない仕組みになっています。これは法があってガイドラインがあってマニュア ルがあってというふうに、親切といえば親切、非常にさ末になっていって、逃れられな い矛盾なわけです。今の体制でいえば、鼓膜が破れ、或いは目が片一方潰れたら脳死に なれないというのが、論理的結果であって、真実の姿から著しくかけ離れていると思い ます。以上です。 〇黒川委員長  ありがとうございました。皆様にいろいろと今日意見をいただきまして、お互いにこ れの問題点を共有できたのではないかと思います。最後の委員会として次の委員会に伝 えていただきたいと思います。  この委員会を3年やらせていただいて、先生方のご賛同も得て、事務方のご賛同も得 て、これは全面的に公開したというのはそれなりに非常に良かったと思うのは、最初の 高知のことがあって、そのあとに1回目の臨時のものをやらせていただきましたが、そ のときも報道者関係を入れて150 人くらいは来ていたのではないかと思います。その意 味では皆さんの意見、検証のデータ等を見ていただいている場所でやる、これが全面的 に公開されたのは議事録とかではなく、それはこの委員会のひとつの社会に対する貢献 であったのではないかと思います。  それでマスコミのあり方ということも、聞いている人達とのキャッチボールができた ということで、その意味ではこのあり方は非常に良かったと思います。先生方の支持を 感謝したいと思います。  3年間、終わってみると、いくつか非常にポジティブなことが明らかであります。  ひとつはこのアンケートにもありますが、脳死の移植医療くらい日本人に知られた医 療はないということであります。95%の人が知っているわけですから、今さらよく知ら せようというのはとんでもない話です。これくらい知られた医療は、理解の点は別とし ても、世の中にはあり得ないというくらいに皆さんが知っているということでありま す。  3年で10例といわれますが、最初の1年しばらくは全然出ないわけですから、回りを 見ているということでして、実際に第1例が2月に出てからを見れば、18カ月で10例と いうふうに考えたほうが、よりポジティブかもしれない。出ると続けて出るのは何かと いうのは、そこのところに民意というのはおかしいのですが、それが動きはじめるきっ かけになっているのではないか、というポジティブにとらえる必要もあるかなと思いま す。  カードも行政にも一生懸命手を打っていただいて、大体9%以上の人が持っていると いうのは、相当な数ではないかと思います。これ以上増やせといっても、15%とか20% にいったからどうなるというよりは、もっと根本的な問題ではないかというのが、ご意 見ではないかという気がしました。しかし、そのうちの方で、もし自分がそうなった ら、実際になればそうはいかないというのが現実のことです。  最近はアメリカなどでもそうですが、アドバンスディレクティブという尊厳死のよう なものですが、自分がそういう状況になったり、植物人間になるようなことがあれば、 余計なことをしないでちょうだいという話とか、蘇生をしないでくれというアドバンス ディレクティブというのがあります。あらかじめ自分の意思をはっきりさせておくとい うのは、アメリカでは普通になってきてしまっています。例えば、心停止になったら蘇 生はしないでくれというのが張ってあります。そういうこともあるのですが、実は私ど もはそれを調べました。  それで医事新報にも書きましたが、そういうのがありまして、自分の意思を元気なと きに移植に限らずに書いたときに、実際にそうなったらあなたはその通りにやってほし いですかということを聞くわけです。すると、大体その通りにやってくださいというの が11%でした。もちろん家族とも話をしてですね。もしそうなったらどうしたらいいで すかと尋ねると、チョイスは幾つかあるのですが、1番多いのが、家族と先生方と相談 してくださいという、結局はあなた任せなんです。  これは日本の文化的なものなので、いちがいに非難する必要はないわけです。ドナー カードでも同じことです。見せていただいたとしても、先生方がおっしゃったように、 だからといってどんどん進むわけでもなんでもない。それを見せたから、どうかなると いう話ではない。手を抜くわけではない。  もうひとつ非常に良かったのは、これを契機として、移植をする側の先生方も、その 前の例えば5年前くらいの話とは随分違ってきたというのは、オールジャパンで対応す るようになった。国民に対してのプロフェショナルのアカウンタビリティをあげるのに 良かったと思う。何も規則が書いてあるわけではないのだが、自分たちでやりましょう ということで、心臓が大阪で二つくらい一緒になってやるとか、肝臓でも藤堂さんがい ったりとか、日本の肝移植の先生方が信州大学に集まっていろいろやるとか、その意味 では今までの大学の縦社会、日本は全部が村社会ですが、その幕をさっと外してしまっ て、オールジャパンで対応した。ボランタリーにどんどん進んだというのは非常に良か ったのではないかと思います。これを国民がどうメッセージとして受け取るのかという のが、だんだん良くなっていくひとつのきっかけになればと思います。  検証のプロセスにつきましては、最初の4例は随分ここでやって、それも全部公開の 場でやってデータも見せて、マスコミの方々も来ていて、私どももいったのですが、会 話をテープにとっている人もいる、ビデオを回している人もいる、あれもちょっと行き 過ぎかなと思ったのですが、あまりごたごた言わないでやってもらったというのも、こ この公開性については非常に問題がすごく開かれたということです。  検証のプロセスというのは大塚先生がおっしゃったように、今の委員会というのは5 例目からは、議事録を覚えてないのですが、10例くらいを検討したら、ある程度のガイ ドラインは見えてきますし、ここの4例の検証のプロセスでもどんどんここのやり方が 変わってきた。症例を加えることによって対応をどんどんリアリステックではない、書 けばかくほどおかしくなるというは当たり前の話です。バーチャルにどんどん書くの で、何もできなくなってしまう。桐野先生のように交通事故にあって脳死だが、鼓膜が 破れれば脳死にもなれないという馬鹿げた話になるわけです。  これは確か10例とか20例とか検証していくと、どういうポイントがあってというの が、もっと洗い出されてきますから、そこで具体的にやっていく、最初の4例だけで も、脳死のガイドラインからわーと変わって非常に見やすくなったという、すごいリア ルケースがポジティブになっていくわけです。そういうことをうんと評価していけばい い。  あのときもいったのですが、これがどんどん普及して、アメリカのように年間に2万 人の移植になったときに、もちろん生体移植もかなり多いわけですが、2万になったと きに、その検証委員会は本当にやるつもりかねということをいったつもりですが、1万 になったらそういうことはできることはないわけで、今はネットワークでさえも、全部 の検証をして、それを外部評価委員会に出して問題点を洗い流した上でどうしょうかと いうことをやっていますから、いずれはそうなっていくと思いますので、それを公開し ていくというプロセスに近いうちになるのではないかと思います。その辺りが整理とし ては大事かなと思います。  先生方がおっしゃった問題点であります。コストの問題、ドナーの病院へ問題、それ は非常に問題ですので、これはやれやれというのではなく、パブリックがどうサポート するのかという意思表示が非常に大事だと思います。これを公開しているのも、パブリ ックに対してキャッチボールをしようと、キャッチボールしながら、いい移植医療を作 っていきたいというのがこの委員会のメッセージだと思います。ネットワークの整備と 皆がいいますが、では誰がお金を払うのかとか、皆がボランティアしますか、皆ドネー ションしますかというと、そこのスポンテーニアスの動きがなかなか出ないというの が、またネットワークの広報が足りないといっても、マンパワーをどうしてくれるのか という、回りのサポートするパブリックのところが難しい問題であると思います。  小泉先生が最初の委員からネットワークのサポートといっている。サポートといって も結局はタックスペイヤーのお金があれば、タックスペイアーである国民がそれをした いという意思表示が出てこなければ当然できないわけです。厚生省がそういうことをい っても、大蔵省はうんとは言わない、それはパブリックがそういうふうに思っているの かというのが大事なところで、そこが難しいです。  臨床的脳死は非常に問題です。これはガイドラインなりなんなり、次の委員会でまた できるだけやっていただきたいということになります。  最初のいつ連絡をするのかというのは、リアリステックには確かにいろいろな技術的 な問題がある。それで最初の脳死判定がされたところで、連絡を始めてもいいのではな いかというか、セレクションのプロセスで一応はコンピューターで見るということは、 まったく外に出ないプロセスでやっていることは、構わないのかもしれないのですが、 実際に同時に問いかけるのはどうか、そのマッチングとかいろいろなテストもあります し、時間の問題もあるという話からいうと、しかし救急の場ではその間に2回目までい くというプロセスは非常に大事だということです。  お互いの立場はわかるが、それよりより高い立場で議論するということも考えていか ないといけないと思いました。  もう一つアフターケアの問題がでました。これは確かにそれをネットワークがする問 題なのか、ドナー側のコーディネーターという話が最初から出てますが、勿論マンパ ワーがないし、ドナー側のコーディネーター、或いはそれは医療機関に属している人か もしれないし、とはいっても今の医療政策や医療経済の状況からいくと、そういうこと は異存はありませんが、だが医療機関は地元の医療機関でありますから、その家族もそ のあとでそこでお世話になる人も多いという気もします。そのあたりの配慮というの は、これからも課題です。やり方はいろいろあると思います。それを全国的にさあ調査 しましょうというのは、まだ時期尚早かなという気もします。むしろそこのドナー病院 になったところにかかりながら、いかがでしょうかというようなやさしい言葉をかける という配慮がかなり大事なことかもしれないと思いました。  子どもさんの問題、15歳の問題はどうしてもひっかかってきます。これは法律の問題 でもあり、町野先生のご意見もありました。これをどういうふうにするのかというの も、これもパブリックボイスということになるのかなという気もします。それはなかな か難しい、今日は時間もありませんし、責任を逃れるわけではありませんが、ぼくらだ けが言っていても仕方ないし、大久保委員たちだけが言っても仕方ない話なので、こう いうもの公開されて、僕等がいい逃していることを公開ということで、そういう媒体を もっている人達に私どもは伝えたいのです。  繰り返し私は言っておりますが、全国に1千万部も毎日新聞を売っている会社がある わけですが、一月に1回、10センチ四方のスペースさえもドネーションしてくださらな いという、メディアの陰謀ではないが、そういう話をしょっちゅうしていますが、どこ もしてくれません。そういうのを何とかできませんかといったら、来ている若い記者の 人達は、皆さんサラリーマンの下のほうだから出来ないのだという話もして、私はたま には取締役の人も連れてこいといったはずです。そういうことをやってくれない。そう いう話は上にも多分いかないのかなと思いますが、そういうことかと思っています。  移植大国のアメリカのことがつい出ます。ヨーロッパとかアメリカにしても、国によ って文化的精神的或いは価値観というのがみな違いますから、日本人からアメリカはア メリカはといわれてもそうはいかない。アメリカはできるだけ小さな政府、地方分権、 なにをいっているのだというのが大体の基本的なアメリカの意見ですが、日本は地方分 権ではなく、中央集権でなんでもおかみ頼みというように極端に違うわけですから、そ うはいかないのです。  実は最近面白い事に、アメリカで年間に今は2万の移植がされております。10年前は 1万5千です。10年前は2万人が登録しているから、大体1年から1年半以内で移植が できていたのです。2万登録して1万5千ですね。だけど移植技術が進めば進むほど移 植の適用が拡大されます。そうなると今は実際の数は増えません、ドナーはそう増える わけではない。今は2万です。10年かかって1万5千から2万になってますが、移植の 適用が増えてきてどうなったと思いますか。今は6万の人が登録している。  つまり前は1年か1年半でできたのが、今は3対1ですからまったくウエイティング が多くなってしまって、だから外国からきてもそういう人にやってあげられないという 現状になりつつあるわけです。自分の国民でさえも賄えないということです。そういう ことでミスマッチが起こってくる。  そうなると肝臓の生体肝移植、日本はもちろん家族です。アメリカでは家族ではない 人もいる。腎移植も家族でないリビングアンリレーテッド、夫婦間だけではなく友達と かもあるのですが、最近のニュースで出ていて非常にびっくりしたことがあります。ア メリカ人はこれは健全だと思うとか、人によって解釈は違うと思うのですが、私は一つ の腎臓をあげてもいいという人がいらっしゃる。例えば大島先生もそうかもしれないの ですが、私は40歳になってしまったから、50歳になってしまったからひとつの腎臓がな くてもあと30年は生きられる。そうなったときにレジスターするのです。それで私に一 番マッチした人にあげましょうという人が出てくるのです。  それで肝臓で他人とおっしゃったが、自分に一番いいマッチングで人にあげます。私 の仕事の都合もあるので、あらかじめいってくれれば1週間お休みしますというような 人が出てきているアメリカをどう思いますか。日本でそれが起こるだろうか。これをア ルトゥイズムというのかもしれないが、この辺りがかなりパブリックというものと、自 己に対する考えは全然違うのではないかと思いました。  アメリカは今はかなり景気がいいからお金が増えてきて、そのお金をどう使うかとい うアンケートをとったら80%の人が、それは財政の赤字を補填するのに使うべきであ る。タックスを安くして何とかという話はでない。日本だとそういうことになるか。今 は赤字でどうしょうもないが、これが黒字になったときに、その黒字をどうするかとい うことになると、おそらく日本はおかみから自分たちの予算に配るのを増やすだけの話 で、国民に返そうという発想はないと思うのです。整備新幹線とかをどんどん作るだけ の話ですよね。タックスペイヤーにいかにアカンタブルかというのは、政治家も行政も 皆がそういうふうに思っているし、国民もそれを受けて、もし黒字になったら自分たち に返さなくてもいいから、そういうことをやってというのが出てくるというのは、非常 にアルトゥイズム、自分の腎臓を誰でも一番マッチする人にあげるというような精神が 出てくるのは、市民というか地方分権というか、一人ひとりから国ができるという、ぜ んぜん日本とは違った全く逆かなと思いました。  移植を待っている人達の気持ちというのは、大久保委員の言われたとおりに、よくわ かるのですが、しかし救急の現場でも、その人達は患者さんですから、患者さんの気持 ち、ファミリーの気持ちになればベストの医療をやってほしい、それはスパンが短いか もしれないが、そういう葛藤がお医者さんの間でもあるわけですから、患者さんの立場 としても、パブリックがどう判断していくのかということを思いました。  もう一つ基本的なことです。ガイドラインなどの改正はそうですが、確かにあまり細 かいことをいわないで、そのあたりはジャッジしてください。ただ、プロフェッショナ ルなコミュニティが自分たちで厳しくするというのが、お互いにフィードバックしなが ら、厳しくしているというのが、非常に見える格好で出しているのがすごく大事なわけ です。そういうことがあまり細かくなってしまうと、一体何が起こるのかというと、そ のエグザンプルが、自分たちできちんとやっていればいいのに、きちんとやってないこ とを自分たちで隠してしまう。それがばれると益々、ガイドラインで厳しくなってリア リステックではなくなる。  その一番いい例が、最近の公務員の倫理規定です。公務員なのだから当たり前なのだ から、タックスペイアーのお金で生活しているのだから、だから当たり前なのに、それ をやらないから、5千円以上は駄目とか、昔の仲間は駄目とか、どんどんこのようにな っていってリアリステックではなく馬鹿げた法律になってしまうというのは、同じサイ コロジーである。これはThis is Japan のストーリーかもしれないが、自分たちが自分 たちのそれぞれの職業人としてのパブリックに対するアカウンタビリティが何かという のを一番の視点に置いてないというところに問題があるのではないかと思います。  実は学術会議の話で、1か月前にナショナルアカデミーに二日間いってきたのです が、それで一番感じたことです。これはアメリカだから当たり前と思っていたのです が、例えば学術会議はどうあるべきか、大学の先生はどうあるべきか、研究者はどうあ るべきかといったときに、向こうのナショナルアカデミーは、もちろん国からお金をも らっているわけではなく、あくまでも我々はサイエンティストだから独立しているべき です。我々の意見を、政党とか行政に関係あるサイエンスベースの提言をどんどんす る。そのための調査の研究をコントラクトする。それでいかにプロフェッショナルなグ ループとしてのアカウンタビリティをいかにパブリックに対するアカウンタビリティ、 クオリティを維持するのかというのは、一番大事なのだということをしきりにいうので す。  そのためには、ボランティアとしてのお金はいっさいもらわないとかというスピリッ トです。そういうことを先生たちはボランティアで一銭ももらわないでやるのかという ことを、一緒に行った先生たちは言っておりました。根本的にサイエンティスト、ドク ター、行政官、その人達の人生の価値観はあくまでもアメリカのパブリックに対して、 自分たちはいかに信用されるかだけのクオリティを維持するのか、それをいかに見える ようにして維持するのかというのが一番大事なのだ、ということを繰り返しいうので す。  でも日本の先生は政府の直轄機関でいたい、例えば学術会議とか、国立大学がありが たいと言っているのは、もう非常に開発途上国のメンタリティですね。開発途上国には 国立大学が必要です。でもマチュアな世界でね。例えばアメリカで国立大学はあります か。イギリスにはありますか。一流の研究はみなプライベートです。だから大学のよう なシステムはいいのですが、それがおかみからお金をいただいて、おかみのためにとい う発想は全然ないわけです。そういうところが根本的に違うのではないかと思いまし た。  あとはいろいろな法律の解釈とかがありましたが、法律の解釈は私にいわせると、そ ういうのは司法の仕事で行政の仕事ではないのではないかと私は思っているのです。立 法府が作って行政はそれをエクスキューズする、問題があったら訴訟になる。司法の前 例を作るというのは大事ではないかと思うのですが、すべて日本の95%くらいの法律は 政府でできて、いろいろな通達でそれを指導して、国を訴えれば99%は負けるというよ うな、こんな三権分立もないわけだから、そういうのもちょっと異常なのかなという話 です。  だんだんこれから世の中全体が変わってくると思うのです。その辺りがパブリックが どう国にやるかというところです。変わってくる一つのプロセスで一番よくみられてい るものとして移植医療、脳死の問題ということが出てきているのではないかというのが 私の感想です。  ちょっと長くなりました。次の委員会に向けて、ここでは一応最後ですので、皆さん に意見をいただいてまとめとして言わせていただきました。  脳死の判定の基準の問題、どういうプロセスでするのか、ドナーの適用の問題、レシ ピエントの問題がありました。そういうことですから、医学的な見地のいろいろな専門 的な議論は当然続けないといけないわけです。これについては実はこの委員会のできた かなり初期のときに、実は脳死の判定に関する作業班というのを作っていただいて、実 は大塚先生にやっていただきました。これはまだ存続していますから、これにやってい ただくという格好にしておいたらいいのではないか。  すると脳死、それから1回目の問題、いろいろありますので、この辺りの作業班を設 けていただく。もちろん委員を替えないといけないかもしれませんが、それは厚生省と 相談するのか、それを検討してください。委員についてはもし相談を受けたら私でも相 談を受けて、この辺りのバランスでいいのではないかというようなメンバーについて、 相談を受けたら任せていただけたらと思います。  きょう指摘された問題がいろいろとあります。法律改正に関わる事項というのがあり ました。法律の見直しについては、この臓器移植法というのが議員立法でできたという 経過を考えると、国会はじめそれぞれの関係者のほうからの議論がどうなってくるのか ということを見極めないといけないかなという気もしますので、それはそのような動き をとらえて行政が対応していくと思います。  ガイドラインとかいろいろなことについて、この3年間でも随分直してきましたが、 そのやり方については適宜、今の日本という枠組みの中で、厚生省の厚生科学研究とい う班会議を使っていただいてどういうアセスメントがでるか、あくまでもこれは研究で すが、それをこれで取り上げるか、或いは取り上げるのであればどうするのかという話 をいままでやってきましたから、ガイドラインにしてもそうです。これは省令は直すの は法律全体から来るのですか。 〇大澤室長  それは事柄によると思います。 〇黒川委員長  そうですね。その辺りは、先ほどからのいろいろなご意見を踏まえてどうするのかと いうことを、実際的にやっていただければと思います。  そういうところがこの委員会のご意見のまとめではないかと思います。このような方 針でやっていただければと思います。 〇大澤室長  会議の冒頭麦谷課長から申し上げましたように、実は来年1月の中央省庁の再編に伴 いまして、この臓器移植専門委員会の所属します公衆衛生審議会そのものが、厚生科学 審議会として再編成される予定になっております。その際には、厚生科学審議会の中に 引き続きこの専門委員会の機能を担う委員会を設ける方向ではいますが、そのメンバー は再編に伴いまして、全面的に任命替えをする予定になっております。  したがいまして現体制での委員会としましては、今回が最終の会合となるわけです。 これまで3年間にわたりまして臓器移植の推進のために大変なご尽力をいただきました ことにつきまして、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げまして最後の締めくく りとさせていただきます。ありがとうございました。 〇黒川委員長  ありがとうございました。                                  −終了− 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室  担 当    岩 崎(内2361)、木 村(内2364)  電 話    (代)03−3701−1711