00/11/14 公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事録    公 衆 衛 生 審 議 会 精 神 保 健 福 祉 部 会                 平成12年11月14日            ( 精 神 保 健 福 祉 課 )  日 時:平成12年11月14日(火) 10時00分〜11時55分 場 所:法曹会館 高砂の間 出席者:高橋部会長 北川部会長代理 阿彦委員 岡谷委員 伊藤委員 大熊委員     窪田委員 佐野委員 吉澤委員 谷中委員 町野委員 牧野田委員 新田委員     西島委員 津久江委員 白倉委員 吉川委員     今田部長 松本課長 仁木課長 内藤指導官 重藤補佐 片倉補佐 田中補佐     大澤専門官 高階専門官 1.開 会 2.議 事  (1)社会福祉事業法改正に伴う「精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する    基準」の改正について  (2)厚生労働省の組織について  (3)平成13年度厚生労働省予算概算要求等の概要について  (4)「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」の審議状況について  (5)その他 3.閉 会 1.開 会 【高橋部会長】  皆様、おはようございます。  定刻となりましたので、ただいまから公衆衛生審議会精神保健福祉部会を開催させて いただきます。  それでは、事務局の方から、本日の部会の委員の出席状況についてご報告をお願いい たします。 【重藤補佐】  本日の委員の方々の出席状況をご報告いたします。  本日は、委員23名中17名の委員にご出席いただいております。ご欠席の委員につ きましては、浅井委員、池原委員、木下委員、小西委員、高杉委員、富永委員の6名で ございます。過半数の委員がご出席されておりますので、部会は成立いたしておりま す。  それでは、これより会の進行を高橋部会長にお願いいたします。 資料確認 【高橋部会長】  それでは、事務局から本日の資料の確認をしていただきたいと思います。 【重藤補佐】  本日の資料の確認をさせていただきます。  本日の資料でございますけれども、まず『公衆衛生審議会精神保健福祉部会議事次 第』でございます。それから、資料1として『社会福祉事業法改正に伴う「精神障害者 社会復帰施設の設備及び運営に関する基準」の改正について』というものでございま す。資料2でございますが、『厚生労働省の組織について』というものでございます。 資料3『平成13年度厚生労働省予算概算要求等の概要について』でございます。資料 4といたしまして、『「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」の審議状況 について』でございます。以上、過不足等ございましたら、事務局までお申しつけいた だきたいと思います。 【高橋部会長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。 委員の異動について  【高橋部会長】  それでは、前回の部会から本日までの間に、委員の異動がありましたので、事務局よ りご紹介をお願いいたします。 【重藤補佐】  前回の部会からこれまでの会に委員の異動がございましたので、事務局よりご紹介い たします。  (社団法人)日本看護協会の人事異動に伴いまして、生田委員に代わりまして岡谷委 員が委員として就任いただいております。一言ご挨拶いただきますお願いいたします。 【岡谷委員】  日本看護協会の専務理事をしております岡谷でございます。生田理事が5月末で退任 ということになりましたので、代わりまして私がここの委員につかせていただきまし た。よろしくお願いいたします。 【高橋部会長】  岡谷委員、本部会は非常に重要な議題を討議しまして、時には難しい議論が起こるか もしれませんが、ご活躍のほどをご期待していますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。  それでは、議事に進む前に、本日の部会の開催の趣旨を含めて今田部長からご挨拶を いただきたいと思います。お願いいたします。 今田部長挨拶 【今田部長】  おはようございます。  本日は、お忙しいところ、当部会にご出席いただきましてありがとうございます。  きょうご検討いただきますのは、後ほど詳しくご説明申し上げますけれども、先般6 月に社会福祉事業法等の一部を改正する法律が可決・成立いたしまして、12月には施 行という段階になってまいりました。その中で、とりわけ小規模作業所の扱いにつきま して、この社会福祉事業部等の中でもいろいろ議論されたわけでありますが、特に小規 模作業所について一定規模以上のものについては、法定企業ということでこれを社会福 祉事業の中で位置づけたということと、そのための要件といたしまして、法人化を取得 することができるわけですけれども、従来の資産規模あるいは人的要件の緩和を図った ということがございます。これに伴いまして、それにかかります基準について変更が生 じるということから、本日ご提案申し上げるわけであります。  この小規模作業所の制度化につきましては、当部会におかれましても、また合同企画 分科会等をつくりまして、皆さん方にいろいろご意見を賜りまして、その結果としてよ うやく法定化できたという点に関しましては、これまでのご審議に非常に感謝申し上げ たいと思っております。  この基準の基本的な考え方でありますけれども、従来から知的障害者、精神障害者、 身体障害者、それぞれに小規模作業所があったわけでありますし、現在、約5,000く らいがそういった活動をされていらっしゃると。この小規模作業所については、それぞ れ自主的に、また地域で創意工夫をして、ある程度バリエーションをもって活動してい らっしゃるということもございまして、あまり細かく規定をすることなく運用していた だける、従来の活動がそんなに損なわれることがないようにということで、比較的ゆる やかな基準をつくらせていただいたわけであります。来年度予算におきましても、これ にかかります予算を従来1カ所110万の補助を間接的に行っておりましたけれども、 今度は直接的に1,100万の予算補助とさらに施設整備費、設備整備費もあわせて予算 化させていただいておりまして、そういった意味では一つ大きな進歩だというふうに私 どもも自負している次第であります。  それともう一つは、従来から社会福祉施設におきましては、知的障害者や身体障害者 と非常に劣っているというような批判もございました。逐次、いろいろな社会福祉施設 についてはそういった知的障害あるいは身体障害に少しでも近づくようにということで これまでも改善を進めてまいりましたが、今回の小規模作業所を小規模授産施設として 法定化するに当たりましては、そこにかかります補助体系、それから施設基準を、多少 語呂は違うところはあるのですが、全く同じレベルに置いたということから、知的障 害、精神障害、身体障害が一斉に並んだ最初の施設体系であろうかという点から見て も、特に精神が遅れていると我々批判されている中では、ようやくその意味での第一歩 が踏めたという点も私ども自負しているわけであります。  そういうことから、この小規模作業所につきましては、基準もそこにかかる費用も同 じでありますので、相互利用が自由にできると。つまり、身体障害者のための小規模作 業所に、例えば地域に一人だけ精神障害者がいらっしゃれば、その方もそこに一緒に入 ってやっていただくことも可能でありますし、その逆も可能と。つまり、出る金が同じ でありますので、そういった意味で制度的にこれを阻害する必要がなくなったという点 から、今後、この3障害ができるだけ相互に利用できるような展開を図りたいという、 一つの流れの中の第一歩であるという位置づけをいたしております。  いずれにしても、この制度が今後円滑に運営されるよう、あるいはこの施設体系が発 展するよう、これからもその内容の充実に努めていかなければならないということにお いては、私ども、今後重要に受け止めて対応していきたいと考えております。  きょうは、そのための設置基準に関します内容についてご意見を賜りたいということ が主な趣旨でございます。あわせまして、来年の概算要求につきましてご報告申し上げ たいと考えております。今後も、また衛生保健政策、いろいろご支援いただくことにな ろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。 【高橋部会長】  今田部長、どうもありがとうございました。  この間、事務局の異動がございましたので、事務局の方からご紹介をお願いいたしま す。 【仁木課長】  先の人事異動によりまして、障害福祉課長から企画課長に就任いたしました仁木でご ざいます。よろしくお願いいたします。 2.議 事 (1)社会福祉事業法改正に伴う「精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する基 準」の改正について 【高橋部会長】  それでは、議事に移りたいと思います。  まず、議題の1番でございますけれども、社会福祉事業法改正に伴う「精神障害者社 会復帰施設の設備及び運営に関する基準」の改正についてということでございますが、 これに関しましては、事務局の方からまずご説明をお願いいたします。 【大澤専門官】  資料1に基づきまして、ご説明させていただきます。  資料1の1ページをごらんください。  『精神障害社会復帰施設の設備及び運営に関する基準改正案概要』という資料でござ います。これにつきましては、委員の先生方も既にご案内のとおり、本年6月に社会福 祉事業法が改正され、社会福祉法というようになりました。その背景といたしまして は、我が国の福祉制度は戦後につくられた福祉制度がもとになっているわけであります が、今後の福祉政策の量的拡大あるいは質的向上を図っていく、また利用者の権利の確 保など、そういった観点から社会福祉構造改革という流れがあったわけでございます が、その一連の流れとして社会福祉法の改正があったわけでございます。  その中で、精神障害者の社会復帰施設に関します事項といたしまして、従来の小規模 作業所と言われてきたものが今後法的施設として移行しやすくなる、あるいは新しい設 置しやすくなるように規制緩和がなされたわけで、第1に書いていますように、常時し ている方が10人以上というように、従来20人以上であった通所授産施設の法定要件 を10人以上というように緩和したわけでございます。  これに関しまして、少し小規模作業所の特徴をお話しさせていただきますと、小規模 作業所は地域に根づいたものということで、就労が困難な方や日常生活において活動の 場を確保する必要がある方につきまして、家族の方などを中心とした自主的な運営によ りましてこれまで拡大してきたわけでございます。  そのように発展した経緯から、小規模作業所というのは、地域において地域の実情に 合った形で展開されてきたわけであります。また、地域の各施設の整備状況ですとか、 都市あるいは山間部といった地域の特性、また地域の人材というようなことも関連しな がら発展したわけでございます。  これらの小規模作業所と言われてきております特徴といたしましては、ニーズに沿っ て必要なサービスが提供できるというような利点がございます。また、これまで法定施 設でなかったということで、比較的開設が容易であり、規模も実態に応じた形で柔軟な 設置ができてきた、また地域に身近な存在ということで利用者も利用しやすかったとい うようなメリットがありました。また、運営も利用者、家族が比較的参加するような形 で、柔軟に行われてきたというような特徴があったわけでございます。一方で、自主的 な運営を中心としてきたデメリットといいますと、運営に関する財源という問題あるい はマンパワーの確保、設備など不十分なこともあったり、メリット、デメリットがあっ たわけでございます。  こういった中で、これまでの小規模作業所のメリットを生かしつつ、より利用者に即 してよりよいサービスを提供するという形で、今回10人以上の通所授産施設の規制緩 和が行われたわけでございます。今回、法定社会復帰施設として小規模の通所授産施設 を位置づけるに当たって、法定施設に当たるための設備基準並びに運営に関する基準を 定めたものがこの「第二 改正の概要」に書いてあるところでございます。  以下、続きまして、従来の通所授産施設との違いといったところを中心にお話しさせ ていただきます。  まず、設備でございますけれども、「1 設備の基準」。従来の省令の第25条に改 正が行われるわけでございますけれども、備えるべき設備といたしまして、1〜5まで に書いてございますように、作業室又は作業所、静養室、食堂、洗面所、便所というも のを必要とする施設としております。この但し書きとして、食堂にあっては作業室又は 作業所、もしくは静養室と兼用ができるというような、これまでの柔軟の運営といった ものを尊重しつつ、兼用できるという規定を設けたわけでございます。  また、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより、当該精神障害者小規模通所 授産施設の効果的運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がな いというように判断されたときは、以下に掲げる設備の一部を設置しないということも 認めております。  ここで、従来20人以上でございます通所授産施設との違いでございますが、免除さ れたものが集会室兼娯楽室、事務室で、これまでの柔軟な運営を尊重しながら、比較的 規模に見合った設備基準としたわけでございます。  2番目でございますけれども、作業室に関しましては利用者が安心してこの施設を利 用できるように、この施設におきましては作業の安全を確保するための設備という、安 全配慮の観点から規定を設けております。  続きまして、2の職員の配置の基準でございます。マンパワーにつきましても、若干 の緩和をしておりまして、施設長が1名、精神保健福祉士、作業療法士又は精神障害者 社会復帰指導員が2名以上というものを配置要件としておりますが、施設長に関しまし ては精神保健福祉士、作業療法士、精神障害者社会復帰指導員と兼任が可能としており ます。  (2)施設長は、精神障害者の社会復帰に理解と熱意を有し、施設を運営する能力を 認められる方でなければならないということでございます。これにつきましては、20 人以上の通所授産施設につきましては、精神保健に関する実務経験5年以上の方を施設 長の要件としたわけでございますけれども、比較的開設しやすいようにということで、 熱意のある方で能力のある方については、その要件をなくしたということでございま す。  (3)でございますけれども、施設の職員は最低1名以上、常勤でなければならない という要件を設けてございます。  職員の関係でございますが、20人以上の通所授産施設に配置要件となっております 医師につきましては、小規模授産施設の配置の要件とはしておらない、緩和したという ことでございます。  続きまして、「3 授産種目」等につきましては、(1)に書いてございますよう に、地域の実情、製品の需要状況等を考慮して選ぶということ、また利用者の生活訓練 にも資するよう多様な工程を用意し、作業の能力及び適性に配慮しなければならないと いうようなことでございます。  また、(2)にございますように、負担にもならないように、作業時間、作業量等配 慮していただきたいという規定がございます。  「4 工賃の支払」に関しまして、施設は、職業に従事している方に、事業収入から 事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないと いう、工賃の支払いの規定を設けてございます。  続いて、5番、6番でございますが、社会復帰施設というように法定施設という位置 づけでございますので、精神障害者あるいは障害者の方の社会復帰自立と社会参加を促 進するということ、あるいは利用者の人権、権利に対する配慮ということから、処遇に 関する規定を設けてございます。  5番の(1)でございますが、施設においては利用者の心身の状況、病歴、環境ある いは家族の希望等を勘案し、もちろんその利用者の同意を得て処遇に関する計画を作成 しなければならないということで、規定を設けております。また、必要に応じて見直し を行っていただきたいという規定を設けてございます。  「処遇の方針」でございますけれども、社会復帰施設ということで利用者の社会復帰 の促進、自立と社会、経済活動への参加の促進に資するよう、その方の心身の状況に応 じた処遇を行ってくださいということでございます。また、計画が漫然にならないよう に、適切に、個々のニーズに合った計画を行っていただきたいということでございま す。  また、利用者が安心して利用できる施設ということで、その説明、処遇に当たっては 懇切丁寧に行っていただきたい、また理解しやすいように行っていただきたいという規 定でございます。  (4)でございますけれども、処遇に当たっては生命の危機あるいは身体の保護、緊 急やむを得ない場合を除きましては、身体拘束、その他利用者の行動を制限する行為は 行ってはいけないという規定を設けたわけでございます。これが処遇に関する状況でご ざいます。  続きまして、「生活指導等」ということでございますけれども、運営が漫然とならな ように、この利用者の生活習慣を確立するという目的をもって、社会生活への適用性を 高めるような生活指導を行ってくださいという規定でございます。また、常に利用者の 家族と連携を図っていただくということで、家族との交流も確保するようにしてくださ いということでございます。  これにつきまして、20人以上の通所授産施設につきましては、教養娯楽設備等を設 置し、レクリエーション、事業を行うということでございますけれども、そこはこの小 規模授産施設では免除しており、自主的な活動を尊重するというようにしてございま す。  8番でございますけれども、「衛生管理」につきましては、その施設において飲食に 使う食器、飲用に供する水について、衛生的な管理を行ってくださいという規定でござ います。  9でございますけれども、その施設の建物につきましては、従来どおり、従来どおり 準用いたしまして、建築基準法に規定しております耐火建築物、準耐火建築物というこ とで、建物の安全性にも配慮し、利用者が安心して利用できる施設を目指しておりま す。ただし、経過措置といたしまして、当分の間、適用しないというようにしておりま す。  10番でございますけれども、施設におきましては利用者の意向を尊重して、必要に 応じて医療機関、保健所、精神障害者地域生活支援センターなど、関係する機関との連 絡体制を行っていただきたいという規定でございます。  その他、従来からの社会復帰施設に関しての省令の総則の部分、苦情への対応、非常 災害対策といった利用者の安全確保、権利などに関する規定が設けられて、従来どおり 規定されております。  続きまして、4ページが新旧対照ということで、改正後が上段でございますけれど も、10人以上20人未満のものを小規模通所授産施設というように位置づけたわけで ございます。建築面積につきましては、20人以上の通所施設につきましては、1人当 たり15.8平米の面積規定がございましたけれども、小規模授産施設については規定は 設けていないということでございます。  設備基準につきましては、先ほど話させていただきましたように、集会室、娯楽室、 事務室等の設備は規定から外して緩和したわけでございます。  続いて5ページでございますけれども、4の1〜5号に掲げる設備を最低限の設備と しておるわけでございます。続いて、マンパワーにつきましても先ほどお話しさせてい ただきましたように、配置に関して緩和を行ったということでございます。  続いて6ページでございますけれども、29条につきまして、準用規定の2でござい ますが、18、19、20条というところが準用になっておりますけれども、これは先 ほどのペーパーでお話しさせていただいた処遇に関すること、生活指導に関すること、 衛生に関することなどの規定でございます。  以上のような小規模授産施設に関する規定でございますけれども、要点をまとめます と、従来の通所授産施設の違いといいますと、設備に関して集会兼娯楽室、事務室等が 緩和されておるということ、食堂は作業室、作業場あるいは静養室と兼用を可能とした こと。マンパワーについて、施設長は精神保健福祉作業療法士、精神障害者社会復帰指 導員の兼務でもよいということ、また医師は置かなくてよいというように緩和したこと でございます。また、施設長の従事年数に関する資格要件につきまして、廃止したとい うことでございます。  以上のようなところが、従来の20人以上の通所授産施設との違いでございます。  続きまして、7ページでございますが、これらは今後、従来からの小規模作業所から 法定施設である小規模通所授産施設に移行した場合の助成措置でございますけれども、 予算といたしまして、1の運営費に関しましては地方公共団体を通しまして、1カ所当 たり年額1,100万円の運営費補助を予算要求しております。また施設整備に関しまし て、施設を整備する際には2,400万円を限度として国庫補助、設備を整備する際には 800万円を上限とした予算補助を予算で要求しております。このように、従来の小規 模作業所に対する予算措置より充実させた補助が行われるという予算要求になってござ います。  以上が、今後、新たに法定化を位置づけました小規模通所授産施設に関しての説明で ございます。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  先ほど、今田部長のお話にもありましたように、これで身体障害、知的障害の方々の レベルに一歩近づいたという、大変うれしい今回の改正かと思いますが、この件につき まして、ご質問、ご意見等ございましたら、お伺いしたいと思います。 【窪田委員】  ただいまのご説明の中で、私が危惧したのはマンパワーの面で、顧問医の設置が今回 なくていいということなのですが、今後、地域ケアがより進展する時代の中で考えます と、医療と福祉との協力関係といいますか、そういった連携というものが大変重要にな ってくるだろうと思います。にもかかわらず、この小規模授産施設の中に顧問医がない ということは、現状でも既に小規模作業所がそういった運営がスタートして15年から 20年近くたつのですが、やはり先ほどの説明で、マンパワーの問題ということがあり ましたけれども…。病院がよく閉鎖的だと言われますけれども、地域のこういった作業 所も長い年月の間に閉鎖的な集団になっていくということがありますので、いろいろな 人が出入りするような構造が必要ではないだろうかと思います。さらに、精神障害者の ケアにおいては医療が基本にもあるということがありますから、顧問医の設置は必要な のではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 【高橋部会長】  事務局の方からお願いいたします。 【内藤指導官】  今、委員がご指摘の点、私どもも社会復帰施設の運営に対して、十分そこら辺は検討 させていただきました。  基準の省令の総則に医療機関との連携のところがございます。それから、もとよりこ の小規模作業所の職員配置につきましては、実態に即した形でというところで、実態調 査等も実施してございまして、実態を見つつ、必要最低限のところを基準に盛り込んだ といったところでございます。医療機関との連携は非常に大事なことだと思って、総則 で読んでございます。 【高橋部会長】  よろしゅうございますか。 【窪田委員】  この総則のところで、「連携体制を整備しなければならない」とありますが、これで はちょっと弱いのではないだろうかと思います。むしろ、こういった小規模作業所は、 国の補助のもとに実施されるとすれば、この段階で改めてこれまでの授産施設と同じよ うな顧問医を設置するという枠組みが必要なのではないだろうかと思うのですが。 【内藤指導官】  国会等でも決議がございまして、「実態に即した形で」というところで、あくまで新 たなハードルをつくるというところには非常に問題があるという整理を私ども前提条件 としてございます。また、医療機関との連携も非常に大事なことだというところも意識 してございます。  そういったところで、現在の小規模に係る基準につきましては、3障害あわせたとい うところで、こういう整理を職員のマンパワーの配置につきましても、実は実態調査を やりますと、現在の小規模作業所は3名程度でございます。そこのところを補助的な要 素も込めまして、3.5人の配置というようなところまで運営費補助を考えて、医療機関 との連携は大事な話というのはわかっているのですが、そこでとりあえず整理したとこ ろでございます。 【高橋部会長】  よろしゅうございますか。医療機関との関連は非常に重要だと思いますが……。 【窪田委員】  診療所の立場からしますと、やはり町の中で非常に近くにあるにもかかわらず、その 間のつながりがほとんど何もなくなってしまうというのは、今後、地域でやっていく上 で大変やりにくさを感じるものですから、この点は強く主張したいというふうに思って いるところです。 【仁木課長】  ちょっと補足させていただきますが、この医療機関の問題は身体障害者の施設また知 的障害者の施設も同じように、万が一のときには医療の確保ということが重要になるわ けでございまして、並びの議論としてあるわけでございますけれども、この基準の中に は書いておりませんけれども、いわゆる協力医療機関というものを必ず施設は確保して いただいて、いざというときにはすぐ診ていただける体制を確保するように、これは通 知レベルになろうかと思いますけれども、きちんと指導してまいりたいと思っておりま すし、また予算の中でも1,100万という計上になっておりますけれども、その中にも 協力医療機関の確保のための経費を明確に計上しておりまして、そういう形で必要な医 療は確保できるようにきちんと指導していきたいと思っているところでございます。 【高橋部会長】  それでは、医療機関と十分密接な関係がとれるように、検討していただきたいと思い ます。  では、谷中委員。 【谷中委員】  私たちの社会復帰施設協会といたしましては、授産施設の小型化ですから、本来的に は20名のところの10名は、設備も2分の1、予算も2分の1、人的配置も2分の 1、仕組みも同じ、こういう主張をしたのです。  しかし、一方、この問題は従来の小規模作業所が何とか安定した基盤をかちとりたい ということがありまして、むしろその点では私は評価しているのです。それで、今のこ とを含めまして、今後の進め方については、まず3障害がこれによってスタートすると いうことの意味は大変大きくて、できるならば、授産その他のことも全部これから横並 びをしていくべき進め方をすべきだというふうに思っております。  ただ、授産あるいは法人化ということで、作業ということを中心にかぶせますと、今 までの自由度が失われてしまうのではないかという恐れをちょっと持っておりますの で、先ほどのご説明の中で、作業が中心であることはわかるのですが、並びに交流とい う、自由度を十分に認めていただけるものかどうかということが1点、これは確認で す。  それから、この運営なのですが、今、医療法人並びに民法上の法人が社会復帰施設を 運営しておりますが、この小規模授産は社会福祉法人格ということを取らせるがための ものなのですが、既に運営している法人の小規模作業所の運営が可能がどうかというこ とがもう一つ。  それから、もしこれから小規模作業所を医療法人なり、民法上の法人が運営したいと いうときに、それを認めていくのかどうか。  それから、どの程度の見通しを来年度、現行の小規模作業所の方々がこの法の改正に よって小規模授産になりたいというふうに思っているのかどうか。  さらに先ほどの医師の関係なのですが、医療機関との連携はもとよりなのですが、将 来的には小規模授産が地域生活支援センターと連携して、ここで医療並びに医師との連 携を強めていくような方向が望ましい。ですから、言わんとすることは、一つひとつの 作業所に顧問医なり、嘱託医なりを張りつけるのではなくて、一つのエリアの中で、生 活支援センターの中における顧問医の役割が大きくなりますが、そういうことが一つ医 療とのあり方だろうと思っているのです。  そこで、もう一つ、最後に質問は、この小規模授産は生活支援センターを運営できる ことになっておりますが、それを積極的に進めていかれることがいいというふうに思い ますし、もう一つ、グループホーム等もかなり重要なので、この小規模授産の法人立ち 上がりによって、どんな可能性が秘められているかということも少しご説明いただける とありがたいのですが。 【高橋部会長】  よろしいでしょうか、5つほど質問が出たのですが。 【内藤指導官】  小規模作業所は従来からの法定施設でないということで、非常に自由度の高い運営を なされてきたと思っております。その前提で、この基準もつくってございます。例え ば、処遇計画というようなところで、従来からやられている、それぞれ障害者に合わせ た形で取り組んでいただきたいというところで、そこのところもいろいろな各団体から ご指摘を受けておりますので、その線でやりたいと思っております。  それから、医療法人が手を挙げた場合にできるかと。これはできるというふうに考え ております。  それから、どのくらいの施設を想定しているのかですが、13年度は3障害あわせて 120の施設を予算要求させていただいております。これは、私ども勝手に決めた話で はなく、小規模作業所の法人移行といいましょうか、5年以内にどれくらい取り組まれ ますかという希望をとりまして、その数を計上してございます。  ちなみに、17年度くらいまでの5カ年でとっておるわけでございますが、850程 度の小規模作業所が法人化の意向の示してございます。また、施行されました後の段階 でいろいろ変わってくるかと思います。  あと、その他、支援センターとの連携とか、グループホームとの関係、既存の社会復 帰施設と協調してやっていくというところは、より法内施設になることによって連携が 深まるのではないかと考えております。 【高橋部会長】  谷中委員、ただいまの説明でよろしいでしょうか。 【谷中委員】  はい。 【高橋部会長】  ほかに何かご質問、ご意見ありますか。 【西島委員】  先ほどからお話が出ていますが、医療機関と連携体制ということでございますが、先 ほど谷中委員の話の中で、生活支援センター、そこからということのお話でございまし たが、これはそれぞれの施設が責任を持つという意味で考えますと、医療機関とその施 設との直接の連携体制、これは重要でございまして、ワンクッション置くことによって 認識が薄れてくるわけです。そういう意味では、その施設と医療機関と連携体制をきち んと整備することは非常に大事なことだと思っております。特に、精神障害の場合は、 ほかの身体障害、知的障害とちょっと違うところがございます、必ず医療が必要になっ てくる部分がございますので、これは強調しておきたいと思います。 【高橋部会長】  ありがとうございました。  それでは、吉川委員。 【吉川委員】  私が質問したいことはそんなに深いことではございませんで、今、医療機関との関係 の問題が出ましたけれども、これは恐らく通所授産施設でございますから、今後ここで 訓練等を受けた方々は社会へ出ていくわけで、職業を持っているわけです。その職業と の関係の話でございますが、今、ご説明いただきましたように、基準改正案の概要の2 ページの3の中に「施設が与える職業の種目は」と書いてあるのですね。ここまでの間 には、すべてこの施設でやるのは“作業”という言葉を使って説明をしてきた。したが って、作業場とか何かという作業という言葉で説明していますけれども、ここにきて、 いきなり“職業”という言葉を使っているわけです。ここで“職業”という言葉に変え られた理由は何だろうかというふうに先ほどから私は考えているのです。  3種目のところと、4の「工賃の支払い」のところに“職業”という言葉が出ていま して、3カ所、“職業”という言葉が出ているのです。“職業”と言うからには、この 授産施設でやっていることは職業と判定するのかということになるわけです。これから 労働省との関係もありますけれども、恐らく、現在の労働行政の方から言えば、こうい うものを職業というような認定をすることはまずないだろうと思います。ですから、そ の言葉の使い方として、わざわざあげられた理由をご説明いただけないかということ と、これを作業とかあるいは何らかの業務とかという言葉に変えることの方が適切では ないか。少なくとも通所授産に関してはそういうふうに変えることの方が適切ではない かという気がしているのですが、いかがでございましょうか。 【高橋部会長】  事務局の方、お願いいたします。 【仁木課長】  ただいまの件についてお答えさせていただきます。  “職業”という言葉をなぜ使っているかということでございますが、従来から20人 以上の授産施設の基準が省令で定められておりますけれども、これまでの授産施設の授 産種目等という規定の中でこのような表現が使われておるということで、それをそのま まこちらの方でも引用したということでございまして、あえて“作業”をここで“職業 ”という言葉に置き換えたということではございませんで、従来の施設がそういう表現 ぶりをしておったということで、ここに揃えたということでございますが、一般で言う “職業”と若干違った意味合いで使っているようにも思います。  当然のことながら、小規模授産施設あるいは作業所もそうでございますけれども、基 本的には雇用関係はないわけでございまして、そこで必要な訓練を受けて、そして一般 雇用につなげていこうというのが基本的な施設の性格でございますので、そういう意味 では一般の世の中に使われている職業という言葉とはちょっと違った意味合いで使われ ているわけでございます。その辺の一般に使われている言葉とのずれみたいなものは、 確かにございますので、ここは従来の施設との並びの問題もありますけれども、委員の ご指摘の趣旨を踏まえて検討してみたいと思います。 【高橋部会長】  よろしいでしょうか。よろしくご検討いただきたいと思います。  窪田委員、どうぞ。簡潔にお願いいたします。 【窪田委員】  どうも私はまだ顧問医ということにこだわっているのですが、なぜ私がこのことにこ だわるかといいますと、私も実際に地域の共同作業所の運営委員になったり、さまざま な形でかかわっているのですけれども、長い経過の中ではしばしは不適切なケアがある のですね。そして、そのことに対して、私は医者としてかかわっていて、それはやはり まずいのではないかということをかなりはっきり言う機会がしばしばあります。  そういう意味では、我々のかかわりというのは、ある意味でのオンブズマン的な役割 も果たしているのだなと私は感じているのですが、これが先ほども話がありましたよう な、協力機関という立場はなかなか言えません。協力医療機関の者が「そのケアはちょ っとまずいのではないか」とか、「それは患者さんに対する人権侵害ではないだろう か」とか、さまざまなことを言ったときに、「あなた、来なくていいですよ」という形 でやられてしまうと、ほとんど何も意見が言えなくなってしまう。  日本中で共同作業所は2000カ所くらいあると思いますが、その中で大変良いとこ ろもあれば、さまざまな問題を抱えたところもあると思うのです。そういったところ で、等しく患者さんの人権が守られて、よりよいケアがなされるために、何らかの安全 弁といいますか、一つのシステムが必要ではないだろうかというふうに私は思うので、 やはり顧問医が必要だということは強く私は主張したいと思います。 【佐野委員】  関連してよろしいですか。 【高橋部会長】  どうぞ。 【佐野委員】  今の窪田委員のご意見ですけれども、私も協力医療機関といいますと、例えば地域に 2つ病院があって、そこに1つ小規模作業所があった場合に、片方の医療機関が協力医 療機関になって、片方がそうではないという事態も起こると思うのです。ですから、顧 問医というふうなフリーな立場で置いた方が、医療との連携がうまくいくのではないの かなという気がいたします。ですから、その点を少し検討していただければと思いま す。  それから、もう一つ、先ほど出ておりました地域生活支援センターの問題と小規模作 業所をグループで云々というお話がございましたけれども、前のこの部会で窪田委員の 質問に対して、単独の地域生活支援センターには嘱託医を置かなくていいのだというふ うになっていましたね。そういうふうな格好で、顧問医といいますか、嘱託医がどんど ん外されていった場合、一つ、私が心配するのは、平成14年に市町村に福祉的なサー ビスに関する社会福祉施設の斡旋等、そういう相談が入ってくる。そういった場合に、 地域生活支援センターで市町村の相談業務をやることができるということになってござ いますね。  そういった場合に、例えば保健所の今までの相談との整合性からしますと、保健所に は当然精神科の嘱託医がいるわけですね。市町村にも、私は精神科の嘱託医を置くべき だろうと思うのです。ところが、地域生活支援センターが市町村の相談を一部もし受け ると、地域生活支援センターに精神科の嘱託医も入れないというふうなことは、そうい う整合性からもおかしいのではないかというふうに思います。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。この点に関して、事務局から何かコメントはござい ますか。 【今田部長】  いわゆる医療機関との連携が必要である−−これはだれも否定されることはないと思 いますし、私どもは地域におりればおりるほど、個別性が高くなる。つまり、施設体系 というのは、そのシステムが持つ医療的バックアップ体制というものがいわば嘱託医で あったり、専属であったりと。  例えば、先ほど例に出されたホームヘルパーさんの相談をするのに顧問医の意見を聞 くのかと。そういう個別性が高いばかりに、私は主治医との連携の方がむしろ重要にな ってくると思うのです。つまり、主治医の先生方とどう連携していって、その人にどう いうサービスの治療を受ければいいのかという点においてはきちんとしなければならな いと思うのですが、例えば20人、30人いるところの全体の中に顧問医なりを置くと いうのは、その場面そのものが非常に大きなウエートを持つと思うのですけれども、非 常に小規模にやっているところで、しかもそれにどうにかして法人格をとらせてやりた い、そのためにはできるだけ基準を下げてやりたいときの要件にそれを入れるというの は、今はそれを要件にするのはきつい。しかし、主治医との連携は厳然と存在してい る、そこは大事にしてくれという意味も含めて、「今後きちんと指導しろ」とおっしゃ ることについては私ども十分配慮いたしますが、それを要件にする、しかもその人の管 理を受けなければならないという仕組みを取り込むには、まだそこまで至っていない。 ただ、今後の問題として、そういったものがむしろ主治医の関係だけで完結するにはい ろいろ問題があるということになれば、それはもちろんこれからの課題として私どもと らまえていきたいと思います。  ただ、今、私どもは、最初に申し上げたように、主治医との関係をまずベースに置い て、それから全体の必要性を考慮し、考えていく必要があるということと、今、法人格 をどうしてとらせてやろうかと。それには、できるだけ今とあまり差がない形で運用で きるようにするには、とりあえず最低限としてここだけを押さえておこうという意味で 申し上げたので、皆さん方がおっしゃることを拒否しているつもりでもないし、置くこ とを拒否するわけではないのですか、最低限としてそこをやらせてくださいと。それが 普遍的に必要だということであれば、いずれにはそれに対する費用とか予算をつけて、 それを一つの要件として今から育てていくという意味では、我々もそういう努力をちゃ んと今からしろよというおっしゃる点については、真摯に受けとめるつもりでございま す。  もう一つは、ちょっと余談ですけれども、この小規模授産施設は授産施設のいわゆる 安い版だと私どもは理解していないのです。これは小規模作業授産施設と言いますけれ ども、新しい施設体系なのだと。20人30人の大きな規模があるというのではなく て、本当にこの小さな規模が比較的自由にいろいろな地域に芽生えていくという、一つ の施設体系なものですから、あまり一般の授産施設と比べてどうだこうだということよ りも、この良さをどう生かしていくかという意味においてのご意見を今後引き寄せて、 それを費用なり、いろいろなものに反映させていくことになるのですが、とりあえず今 回スタートということでありますので、110万しかもらえない施設を1,1 00万もら える施設にしてあげたい、その中で最低限ここだけやっておいてくださいということを 決めさせていただいている。  したがって、いろいろ連携が大事だということは私も拒否いたしませんし、これから の課題としてそういったものをとらまえていく。ただ、最初に私が申し上げたように、 主治医との関係はきちんと大事にしておかないといけない、これは個別にかかる話です ので、これは現実論としてスタートする時点からきちんとその辺の連携は守っていただ きたいという指導はしていきたいと思います。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  只今の問題に関係した質問ですか。どうぞ。 【伊藤委員】  顧問医については、私は今の事務局の考えでよろしいと思っています。といいますの は、私どものところでも小規模な共同作業所をつくりましたけれども、私もつくる過程 では最初は顧問医でした。しかし、だんだんいろいろな病院の患者さんが利用するよう になりまして、顧問医が一人というのはまずいと。結局、私はやめましたが、主治医が いるわけですから、主治医にお願いすればよろしいかと思います。  ただ、何かあったときには、やはりすぐ連絡をとったりしなければならないので、そ こを利用している患者さんの親病院で、主治医になっている方は全部顧問医に名前だけ 連ねてもらいましょうと。実質的にはあまり何もしないわけですが、そういうことで、 あまり法律というか、規則の中に書き込むのではなくて、その施設がやりやすいよう に、個々の先生にお願いすればいいわけです。もちろん、お金の問題が絡みますけれど も、そこについては予算がない施設の中に顧問医を置けば、また顧問医のお金もかかる わけですから、そういうことを書き込まないで、施設が必要に応じて複数の顧問医を逆 にお願いできるくらいに、自由度を高めておいた方がよろしいのではないかと思いま す。  もう一つ、特定の協力医療機関を設けることがいいかどうか、それについても、私は そこまで必要があるのかどうか、疑問は感じております。それは、先ほど谷中先生だっ たでしょうか、お話になったと思いますけれども、あまり特定の機関と結びつくより は、自由にいろいろな医療機関と連携を保つ幅を持たせた方がよろしいのではないか と。むしろ、このあたりのところは施設にお任せしたらというふうに考えております。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。医療との連携は非常に重要なことでありますので、 それをどう図っていくかということ、これは実際にこの改正された法律が施行されてい ろいろ出てきた段階でまた検討していただいて、この施設が円滑に運営されるようにぜ ひ関係の方々にお願いしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。  時間の関係もございますので、簡潔にお願いいたします。 【牧野田委員】  1つは、今の医療機関と顧問医のことですけれども、医療機関との連携あるいは主治 医の連携は大変大事だと思うのですが、私も作業所にかかわっておりまして、顧問医を お願いしたいと思っても、ほとんど断られてしまう、そういう状況なのですね。ですか ら、今、小規模作業所が小規模授産施設になろうというときに、この顧問医というのが 書かれますと、なれないところがたくさん出てくると思うのです。特に、私は神奈川県 川崎にかかわっておりますけれども、このあたりは大変小規模作業所が多いところです から、それが小規模授産施設に変わろうというときに、それでなれないという困難が一 つあると思うので、その辺は医師がそういう場合に協力するという体制をつくっていた だくのがまず第一かなと思いますので、今すぐここで顧問医ということを掲げるのはち ょっと困難かなというのが1つです。  それから、もう一つはほかのことなのですけれども、13年度の概算要求の年間1,1 00万枠ということですが、職員3名ということでこのお金でやっていけるところがあ るのかなというのが非常に疑問なので、1,100万の根拠をお聞きしたいと思います。 【高橋部会長】  それでは、1,100万の予算要求の根拠がございましたら、ご説明をお願いいたしま す。 【仁木課長】  1,100万円の積算についてでございますけれども、この1,100万につきましては 全国の小規模の作業所の実態を調査いたしましたところ、職員の平均人数が3.6名とい うことでございました。これは常勤、非常勤あわせて平均的に3.6名の職員の方が施設 にいらっしゃるということでございますして、3.5名の職員を確保するという前提で積 算しております。1名の常勤職員、2.5名の非常勤職員という前提での1,100万とい う積算になってございます。 【高橋部会長】  よろしいでしょうか。  では、どうぞ。 【窪田委員】  今の「医者に嘱託医を頼んでも引き受けないではないか」というご意見があったので すが、私は今までの小規模作業所の場合、引き受けた場合にどのような責任をとらせら れるかわからない、その枠組みが不明確だったということが背景にあるだろうと思うの です。もし、今回のようにこうした法的な位置づけができて、そういった責任の枠組み が明解になってくれば、もちろん地域の中に医者が出ていかなければいけませんので、 それを引き受ける医者もふえてくるし、もちろん診療所協会としてもそういったものを ぜひ受けるようにという形で応援するつもりはございますので、これが実態としてない ということはないのではないかというふうに私は思います。  ただ、懸念するのは、ここで原案のまま成立しますと、いずれもし必要だったら嘱託 医をといっても、恐らく10年はこのままでいってしまうのではないかという懸念があ ります。ただでさえ地域の中でうまくさまざまな人たちがかかわって患者さんを支援し ていく体制がつくりにくい中で、ますます医療が町へ出ていけなくなるような形を、逆 にいえばこの制度が保証してしまって、医療と福祉の分断が起きてくるのではないかと 思って、私は大変懸念いたします。  どうもこのまま通すということの全体の雰囲気なようなので、私は大変当惑しており ます。 【高橋部会長】  もし何か問題があれば、10年待たずとも、例えば先ほどお話がありましたけれど も、次官通達とかそういったレベルで内容をモデファイしていくことは可能でございま すね。ですから、これから実際上のいろいろな問題が出てくるかと思いますが、その点 は十分に配慮いただけるように関係の方にもお願いしたいと思います。  そういうことでよろしゅうございましょうか。  それでは、次の議題に移らせていただきます。  次は、議題2の厚生労働省の組織についてでございますが、事務局の方からご説明を お願いいたします。 (2)厚生労働省の組織について 【田中補佐】  お手元の資料2、3枚組を開いていただきたいと思います。  大きく2つ分かれておりまして、2枚目が厚生労働省の組織でございます。3枚目が 審議会の整理合理化でございます。  厚生労働省の組織についてご説明申し上げます。  平成13年1月6日に厚生省と労働省がいわば合併いたしまして厚生労働省が発足す ることになります。その中で大きな変更でございますが、左上をごらんいただきたいと 思うのですが、今まで省庁には政治部門の方からは大臣及び政務次官あるいは大きな省 であれば政務次官2名ということで、2〜3名の政治部門の方が入られるということで あったわけですが、これからは厚生労働大臣のほか厚生労働副大臣2名、厚生労働大臣 政務官2名ということで5名の方が入るということになっております。  それから、次に障害保健福祉部はどうなるかということでございますが、現在、大臣 官房というところに所属しておるわけですが、下の右から5つ目に社会・援護局という のがありますが、そこの下の方にそっくりそのまま移るということになっております。  ほかに主な変更点でありますが、左から4つ目に医薬局というのがございます。これ は、従来、医薬安全局それから生活衛生局というふうに分かれておりました食品と薬の 関係を一緒にいたしまして1つの局にしたというものでございます。  主な変更点のもう一つでありますが、右から6つ目、雇用均等・児童家庭局というの がございます。これは、以前、労働省に雇用均等局というのがございまして、また厚生 省に児童家庭局があったわけですが、これを一緒にしたということでありまして、いわ ばもとの省の壁を越えて統合する局としてはかなり全省的にも珍しい例でございます。  いずれにいたしましても、我が障害保健福祉部はそっくりそのまま社会援護局のもと の部として存続するということでございます。  続きまして、審議会の整理合理化の資料のご説明に移りたいと思います。  まず、審議会につきましては、中央省庁との再編に伴いまして、内閣府におきまして 大幅に整理合理化するという方針が示されております。政策立案が基本的には政治の責 任であるという考え方のもと、審議会はなるべく基本的なものに限っていくという方針 が示されたところでございます。  各省の関係の審議会、いったんは全部廃止しまして、必要なものだけをまた設置して いくということになっております。この表は、便宜上、左の旧の審議会が右の方に再編 したというような書き方になっておりますが、法的な整理では今まであるのは全部なく なって、新しいものを新たにつくったということでございます。ただし、この表の意味 といいますのは、左の方のものが大体右の方に移っていっているということを示してい るものであります。  一つひとつ見ていきますが、左の旧の欄の人口問題審議会から年金審議会までの一つ のブロックでありますが、ここで扱われていた事項はおおむね社会保障審議会という新 しい審議会で扱われることになります。  ただし、左の上から5行目「障害程度の認定」については、右の上から3つ目のブロ ックである「疾病・障害者認定審査会」に移ることになっております。また、左の上か ら2つ目のブロックですが、「中央障害者施策推進協議会」、これは障害者施策という のは何も厚生省所管の行政ツールだけで進むわけではないということで内閣府の方に移 管したということでございます。  3つ目のブロック、厚生科学審議会から中央環境衛生適正化審議会まで、これは新た にできます厚生科学審議会の方で取り扱うということでございます。これらのうち、公 衆衛生審議会の下にあります予防接種被害認定、それから生活環境審議会での化学物 質、家庭用品についてのことにつきましては、それぞれ右の方の疾病・障害者認定審査 会や薬事・食品衛生審議会の方に移るということになっております。  左側の4つ目のブロックであります原子爆弾被爆者医療審議会は、疾病・障害者認定 審査会に移るということであります。  5つ目の食品衛生調査会と中央薬事審議会ですが、これは薬事・食品衛生審議会とい うところで扱われるということになります。  医道審議会、医療関係者審議会、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整 復等審議会は、医道審議会に一括されまして、各種資格について審議するという整理に なっております。  一番下の中央社会保険医療協議会、援護審査会、社会保険審査会はそれぞれそのまま 存続ということになっております。  申し上げるのを忘れておりましたが、精神保健福祉の方はどうなるのかということで ございますが、この図でいきますと公衆衛生審議会のもとに精神保健福祉部会はあった わけで、厚生科学審議会の方に行くことになりそうなわけですが、これはほかの障害者 とともに審議する必要があるだろうということで、社会保障審議会の方で精神保健福祉 について扱うという整理になることとしております。  また、では、社会保障審議会のもとにこの部会などは置かれないのかということです が、現在、社会保障審議会令のもとで法定されている部会はここに掲げられている6つ の分科会でございまして、そのほか必要に応じて部会を置くことができるということに なっております。現在、他の障害者の関係の事項とあわせて精神保健福祉についてどの ような部会を置いたらいいのか、あるいはほかの分科会の下の組織にしたらいいのか、 そういったことについて検討しているところでございます。  いずれにしましても、精神保健福祉については新しい社会保障審議会の方で取り扱う ということでございます。以上でございます。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。省庁の再編成に伴ういろいろな組織の変更でござい ますけれども、何かご質問ございますか。  私から一つ。精神保健福祉指定の承認というのはこの部会の業務になっていますが、 それも同じようにするのでしょうか。 【田中補佐】  指定については、ほかのいろいろな資格の事項と同様に医療審議会の方に移ることと なっております。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  何かほかにご質問ございますか。よろしゅうございましょうか。  それでは、次の議題に移らせていただきます。議題3でございますが、「平成13年 度厚生労働省の予算概算要求の概要について」事務局からご説明をお願いいたします。 (3)平成13年度厚生労働省予算概算要求等の概要について 【片倉補佐】  それでは、資料3の「平成13年度厚生労働省予算概算要求等の概要について」ご説 明させていただきます。  13年度要求は、例年よりも若干変則的でございまして、大きく2つに分かれてござ います。通常分の予算要求と総理のご発案によります日本新生プランの特別枠での要望 分という2つに大きく分かれてございます。  資料1ページ、通常予算分からご説明させていただきます。  「平成13年度 精神保健福祉施策関係概算要求の概要」という資料でございます が、13年度の概算要求につきましては、省全体で約95億の増額の917億3,700 万円の要求をしているところでございます。これは対前年度11.6%に相当する額でご ざいます。上段のカッコ書きが精神保健福祉課の所管の予算分でございますが、この予 算額も対前年度約92億円増額の743億6,200万円の要求ということにしてござい ます。対前年度比が14.1%のアップということでございます。  基本的な予算要求の考え方といたしましては、障害者プランの着実な推進、それから 精神医療の確保、心の健康づくり対策の充実、それから先ほど来ご説明をいたしており ます小規模通所授産の創設等々について要求をしているところでございます。  1番目の「精神障害者社会復帰施設・事業等の充実」ということで、これが223億 6,600万円、対前年度比で申し上げますと約30億弱の増額要求15.1%増という形 になってございますが、この予算は基本的には障害者プランの施設整備運営の助成に係 る経費でございまして、全体の4分の1の額を占める経費でございます。  めくっていただきまして、2番目に2ページ目の「(2)精神障害者社会復帰施設運 営費の大幅な内容改善」というところでございますが、この予算が125億2,100万 円、29.4%のアップをしておりますが、平成12年から14年度までの社会復帰施設 での3カ年計画の職員の増員を図る等の経費でございます。  それから、(4)に「新規」と書いてございますが、これが「精神障害者小規模通所 授産施設運営費の創設」ということで、この運営に関する経費で約1億9,000万円、 一番下の欄の新規のエで「精神障害者小規模通所授産施設に対する施設・設備整備費の 創設」ということで、これは施設整備費含めて1施設2,400万円、設備整備費で80 0万円の予算要求という形になってございます。  それから、めくっていただきまして、3ページの2の「精神医療費の公費負担」、こ れが476億2,200万円。対前年度比で申し上げますと47億円の増額要求、11.1 %アップでございますが、この経費が全体の52%弱を占めてございます。これは精神 障害者の方の措置入院に係る経費、通院医療費に係る経費、それからこれは沖縄だけで ございますが、医療保護入院費に係る医療費全体に係る国費相当分でございます。  それから、3番目が「地域精神保健福祉施策の推進」ということで、59億4,100 万円の要求をしてございますが、対前年度6億円強の増額要求となっておりますが、こ の経費は14年度から実施されます精神障害者の在宅福祉サービスが円滑に実施されま すよう、(1)から(4)までがそれらの関係の試行的事業経費でございまして、ホー ムヘルプサービス、それからホームヘルプサービスの評価検討事業、介護指導者の研 修、職員の研修等々の経費でございます。そのほかに精神保健福祉センターの特定相談 事業、それから精神障害者に対します手帳交付事業等の経費が計上されております。  めくっていただきまして、4ページ目の新規の(10)で「心の健康づくり対策事 業」でございますが、アのPTSD対策事業、これは大規模災害とか大きな事故等によ る被害者に対する心のケアを充実するという観点から、メディカルの方、コメディカル の方、年間で400名の専門家の育成をしたいというふうに考えております。  2番のイの「思春期精神保健対策事業」ということで、思春期児童の相談体制の充実 を図るという観点から、これもメディカルな方、コメディカルの方あわせまして400 名の専門家の育成を行いますとともに、医療とか教育、警察、弁護士さん等々からなり ますチームの編成によりまして、いろいろなケースでのマネジメントを行うモデル事業 を実施したいと考えておりまして、2つあわせまして約5,600万円の要求をさせてい ただいております。  下の新規の(11)の「高次脳機能障害モデル事業」、約7,000万円の要求をさせ ていただいておりますが、交通事故等によります脳外傷者に対しますリハビリのプログ ラムの標準化ですとか、高次脳機能障害者の受け入れ体制づくり、地域での支援システ ムに関しますモデル事業を実施したいということから、要求させていただいておりま す。  4の「より良い精神医療の確保」ですが、18億8,300万円の要求をさせていただ いております。これは主には精神科の救急医療システムの整備事業ということで、従 来、各都道府県だけで実施していたものが指定都市においても実施させていただきたい という要求で、12カ所の増の要求をさせていただいております。  めくっていただきまして、5ページ目でございますが、「更生医療・育成医療の給 付」ということで、身体障害者又は身体に障害のある児童等の医療に係る経費でござい まして、84億1,200万円の要求をさせていただいております。  それから、7番目「労働省との連携施策」でございますが、新規として(2)の中に グループ就労を活用しました精神障害者の雇用促進モデル事業ということで、精神障害 者の地域生活支援センターが中心となりまして、事業所と請負契約を締結しまして、精 神障害者をグループで就労させるということで、そのモデル事業を実施していきたいと いうことで、これは予算は労働省において計上してございますが、約3,000万円の予 算要求になってございます。  それから、8ページに移りますが、「日本新生特別枠」ということで、厚生労働省の 予算要望ということでございます。  1番目が「企業等の事業所における授産活動の推進による障害者の就職の促進」とい うことで、要望額が約3億2,500万円。これは3障害全部あわせたものでございます ので、カッコ書きで(うち精神分が8,300万円)。事業内容といたしましては、授産 施設におられる障害者の方が企業等におきまして授産活動を行う。事業所において授産 活動を行うということのモデル事業を実施したいということで、47県1施設で実施し たいというふうに考えております。  それから、2番目が「自殺予防のための調査研究、相談体制の充実、啓発活動等の対 策」ということでございますが、要望額といたしまして3億5,000万円。カッコ書き で(うち精神分800万円)ございますが、これはうちの課の分だけでございますの で、そのほかに厚生省全体として2億円強、労働省といたしまして1億円強の予算要求 になってございます。  大きく分けまして、職場の対策を行うのが労働省、地域における対策を行うのが厚生 省という形になってございまして、有識者によります懇談会を開催いたしまして、自殺 防止対策に係る提言を行っていただきまして、それらをもとにいろいろな啓発活動、相 談活動の充実、調査研究等々を行おうということとしております。  以上でございます。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  平成13年度の概算要求のあらましをお話しいただきました。何かご質問ございます か。  よろしいでしょうか。  それでは、最後の議題に移らせていただきます。  4番目でございますが、精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」の審議状 況について、事務局からご説明をお願いいたします。 (4)「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」の審議状況について 【重藤補佐】  資料4でございます。まず、1ページ目をお開きいただきたいと存じます。  前回の部会でこの専門委員会の設置が決まったわけでありますけれども、そこの真ん 中辺の3番「検討状況」というところでございますけれども、これまでに4回の専門委 員会を開いてございます。  専門委員会の審議状況でございますけれども、まだ結論には至っておりませんで、幾 つかの点について今盛んに委員の先生方にご議論をいただいている最中でございます。 今、ご議論いただいている最中の状況だけ、簡単に触れさせていただきたいと思いま す。  2ページを開いていただきたいと思いますが、これは報告書のたたき台ということ で、前回9月12日の専門委員会に提出した資料でございます。  基本的な考え方でございますけれども、そこの中では、まず設備構造については病 室、廊下幅については、入院患者に快適な環境で、医療サービスが提供されるよう見直 すことが必要であるということになっております。それから、人員配置につきまして も、精神医療に求められるニーズや、整備し得る医療資源の量を踏まえた人員配置を基 準とすることが求められるということでございまして、現状の人員配置基準を上げると いうような方向で考えようということでございます。  それから、中でも特に旧医療法上の精神病院、それから大学病院においては、精神以 外の診療科を持っているわけでございますので、求められている合併症に対するニーズ を満たすという意味で、ここのところについては新たな医療法上の一般病床と同じ基準 −−つまり、患者さん16人に対して医師1人、それから看護婦さんの数が患者さん3 人に1人というような、一般の病床と同じ基準とすべきではないかということでござい ます。  それから、そのほか、思春期とか、痴呆とかうつ病とかの専門的な医療につきまして は、その提供のやり方については今後検討していこうということが基本的考え方として 示しております。この点につきましては、委員の先生方はほぼこのような考え方に沿っ て検討しようということでございまして、具体的な基準を検討しているところでござい ます。  特に、今ご議論をいただいているところは4ページでございますけれども、看護婦等 の配置の基準につきまして、今現在、6対1という精神病院の看護婦の基準を満たして いる病院がほぼ95%以上なので、看護婦の基準については上げるべきではないか。上 げるべきとすれば、どのくらいまで上げるべきかというところで、今、専門委員会で盛 んにご議論いただいているという状況でございます。  以上、簡単でございますけれども、状況等報告させていただきました。まだまだ議論 していただいておりますので、今後もさらに議論を深めて、専門委員会としての意見が 集約された時点で、また当部会にお諮りしたいと考えております。  以上でございます。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。まだ検討中の課題ということで、現状を簡単にかい つまんでお話しいただきましたけれども、予定の時間がまいっておりますが、少し意見 をお聞きしてもよろしいでしょうか。  それでは、どうぞ。 【大熊委員】  私どもの精神保健福祉部会で1月25日に「基本的考え方」というのを出しておりま す。そこでは、充実した専門スタッフによる集中的な医療を必要とする患者群というの を挙げておりまして、一般の病床とできるだけ格差のないものとすることが求められる ということを私どもは決めて、これを専門委員会にご討議いただいているのですが、今 拝見したたたき台を見ますと、大分これよりも望みが低い、貧しいといったらいいでょ うか、患者さんにとっては悲劇的と言ったらいいでしょうか、そういうものの方向に向 かっているというふうに思われます。  この最初の「基本的考え方」にきちんとのっとって議論が進んでいるのかどうかとい うことを一つ伺いたいと思います。  それから、もう一つ、この中に3ページ目の上から2つ目の丸ですが、「精神病院設 備構造に関する用語について、十分配慮するように」という言い回しになっております けれども、この専門委員会に呼ばれた、実際に精神病院に入ったことがある方たちが、 このような用語の配慮というものではなくて、廃止をしてほしいと。ここにあるような 言葉遣い、「危険防止」というのは、つまり患者さんが危険だからその防止のために設 備を厳重にして、ほかの病棟と隔離するのだというようなことがあるから、世の中に偏 見が広がってしまうのだから、なくしてくれということを強く要望されておりましたの で、これは配慮などということではなく、廃止というふうにすべきではないかと思いま す。  この専門委員会には、ぜひとも当事者の方たちがお入りいただくのがよいということ を前の審議会でさんざん申し上げて、「いえ、参考人のお話を十分聞きますので、委員 ではないけれども、大丈夫ですよ」というふうに事務局の方が言っておられたことを覚 えておりますけれども、確かに聞くのであるから大丈夫ということであるのかどうか。 その議論の進み具合をお教えいただきたいと思います。  それから、精神科的な病気を持っていらっしゃる方たちが他の病棟に入ったときの問 題について、「精神病患者を精神病床以外の病室に収容しないこと」という、これは医 療審議会の方でも日精協から出てこられた委員ともども、これを廃止するようにという ことを申し上げてありますので、この点もそちらの方向に向かっているのかどうかとい うことを伺いたいと思います。  今度、医療法改正が通りまして、看護婦さんの基準が3対1になりました。これは看 護協会が当初医療審議会で要望しておられた1.5対1に比べると非常に低くて、夜勤の 体制を考えると、国際的に見たら低い水準ですけれども、せめて精神病床についても3 対1というところまで引き上げないと、我々の出しました基本的考え方にそぐわないと いうふうに思います。  もちろん、全部を6対1から3対1にすると、看護婦さんを一挙にどこからか取り出 して倍にしなければいけないということでありますので、どこの国でもやっていますよ うに、それから日精協の方でもつねづねセンバ先生はじめ機能分化をして、6対1のも のは残すけれども、3対1のものととりあえずは2つに分けた上で、本当に今手厚く治 療すれば社会に出ていけるような形のところには手厚くという方向にやっていただきた いと思っておりますが、そのような方向にいっておりますでしょうか。  以上、とりあえず伺いたいと思います。 【高橋部会長】  5点ほどご質問がありましたが、事務局、お願いいたします。 【重藤補佐】  お答えさせていただきます。  1月の当部会の意見書に沿って議論は進んでいるのかということでございます。そこ につきましては、現在その方向で議論を進めておりまして、先ほど申し上げましたよう に、その基本的考え方のところはできるだけ良くしようということで、それはもう委員 の先生方のご総意だろうというふうに思います。ただ、そのところで現実の医療資源、 ニーズ、理想というものの狭間の中で、委員の先生方がどこら辺のところで−−要する に、理想だけではなかなか実態がついていきませんし、実態だけでも進みませんし、そ こら辺のところで熱い議論をしていだたいているというふうに事務局として考えており ます。  それから、用語につきましては、参考人として当事者の方をお呼びして意見を聞きま して、その中でも当事者の方々、用語については、これは失礼ではないかということで ございましたので、私ども報告書のたたき台の中で入れさせていただきました。  ただ、設備につきましては、一般科には一般科の、精神科には精神科の、結核の患者 さんに結核の患者さんの、感染症患者さんには感染症患者さんのそれぞれの特性を踏ま えた設備構造といいましょうか、病院の構造が必要であろうということでございますの で、すべて結核の病床も感染症の病床も精神の病床も全部同じ建物とか設備でなければ ならないということもなりませんので、やはり精神は精神としての必要といいましょう か、最もいい基準をどういうふうに考えていくのかということでございますので、そこ ら辺のところで要するに精神に必要な構造を省令として書くときには十分に配慮して書 くというふうにさせていただきたいと考えます。  それから、他の病床に入った−−要するに、精神病床には病室外の収容規定というの がありまして、精神患者さんは精神病院に入るということでありますけれども、それは 原則論でございまして、合併症をお持ちの方につきましては、今でもその他の病床に入 れることになっておりますし、特にそこら辺については今のところも問題としてはない というふうに理解しております。その点につきましては、今後、検討させていただきた いと思います。  ただ、今回の専門委員会につきましては、時間も限られている中で詰めなければいけ ない項目も非常に多くなってございますので、設備構造それから人員配置の基準という ところに絞ってご議論をいただいておりまして、そのほかのそうした病室外の収容です とか、その他のことについては、今後、また委員会を立ち上げて、その中できちんと2 1世紀の精神医療の方向性を決めるべく検討していきたいというふうに事務局としては 考えております。  それから、機能分化を進めて、3対1という看護基準の非常に高い病院と療養所を中 心とした病院と分けるべきだということも、もちろん事務局としてもその方向で検討す べきだというふうに考えておりますが、現在、まだ機能分化についてまだまだ十分には できておりません。そういう状況の中で、医療法が今国会にかけられて衆議院を通った というような状況でございますので、そこまで詰めていたら今回の医療法改正のところ では間に合わないということでございますので、これもあわせて機能分化の方向性もき ちんと議論を詰めていきたいというところでございます。  専門委員会の意見としても、今回の医療法に合わせた議論とは別に、もっと基本的な ことをきちんと検討する場を設けて、早急に議論を詰めろというご意見をいただいてお りまして、資料4の5ページの「おわりに」というところの丸2番のところで、「した がって、精神病床の機能分化のあり方を含め、21世紀の精神医療の方向性については 別途検討を開始すべきである」というご意見をいただいておりまして、別途、早急にこ うした問題を議論を開始させていただきたいというふうに考えておるところでございま す。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  大熊委員、よろしゅうございますか。  では、吉川委員。 【吉川委員】  大熊委員から大変厳しいご指摘をいただきました。座長をあずかる者として、私とし ても改めて考えさせられることがあったことを正直にお話し申し上げておきます。  特に、第1点でお話しになられた今のこの議論のたたき台を見る限りでは、この公衆 衛生審議会精神保健福祉部会の方で、専門委員会の方に付託した内容から後退している のではないだろうかというご指摘であったと思います。この点に関しましては、私自身 は後退しているというふうには考えてはいないのですけれども、現実にそういうふうに ご指摘を受けるということをこのたたき台を読んでいただいた上で感じられるとすれ ば、やはり私どもの議論の仕方あるいは私自身が進めてきた進め方の中に問題があった のかなと思っております。きょうの午後にも行われますけれども、その際にも含めて今 後の専門委員会の運営に関して、私も考えなければいけないと思っています。  特に、第2点に関しましてはご指摘のとおりでございまして、私どもの委員会として もう少しきちんとした、当事者のご意見をどのような形で受けとめるかということは改 めて検討させていただきたいと思っております。ただ、今も重藤補佐の方から話が出ま したように、機能分化に関しましては、この専門委員会の中でそこまで踏み込んで十分 な議論をする時間的な余裕がないということが最初の段階で話し合われましたので、あ まりそこのところに踏み込まない形で、現在の医療法改正に伴うところで私どものいわ ば精神科病床に関しての特例廃止ということを前提にした方向をきちんと出そうという ことでございましたので、いずれ機能分化の問題その他に関しましては、もう一つまた 専門委員会をつくった上で、21世紀の精神病床のあり方に関して、やはり方向づけを 出し、その中で今の人員配置の問題を含めて考えていかざるを得ないだろうということ が議論として出てきたように思います。  ただ、私どもの議論の中で、今集約しているところは先ほど来お話が出ましたよう に、精神病床として大きく2つに分けて、急性期を含め、そして手厚く治療あるいは看 護を行うことによって、精神障害者のいわば長期化を防ぐ、入院その他の経過の長期化 を防ぐということが絶対的に必要だとすれば、そこのところに対してはきちんとした手 厚い医療を行うべきだと、そういうことだけは一致していると思います。  現実に、35万床のうちのどのくらいのところまでがこうした積極的な医療を行うべ きところというふうに判断するかどうかは、まだ最終的に議論が出てきていませんけれ ども、いわば長期的な経過を見なければいけないケースが要ることも確かでございます し、そのものに対してはどのような医療内容を提供するかということとあわせて、その 辺のところを議論するということになっておりますので、手厚く治療することによって 長期化を防ごうという、そうした意味合いに関してはさらにこの専門委員会の中で検討 させていただきたいと思っています。  現在、私の手元にもたくさんの要望書が来ております。それから、委員の方々の中に も個人的にいろいろな意見を言ってくださる方もおります。この委員会の中だけで議論 するのではなくて、さまざまな外からのご意見もいただいた上で、またこの委員会の中 に反映させたいと思いますので、この公衆衛生審議会の委員の先生方を含め、また周辺 の方々からのご意見も私ども専門委員会の中に投げていただきたいと思っています。  私としましては、この専門委員会の運営という点では、この中で寄せられたご意見に 関してはできるだけその場で説明もしていただきたいと思っておりますし、同時に寄せ られたご意見に関しましては、すべて各委員に対してお配りして、ご自身のご意見をつ くっていだたく材料にしていただきたいと思っております。  本日の午後から行います委員会の中でも、そのような考え方で委員会を進めさせてい ただこうと思っておりますので、厳しいご意見をいただきましたけれども、ぜひそれを またそれを体して運営したいと思っております。 【高橋部会長】  どうもありがとうございました。  どうぞ。 【大熊委員】  先ほど一つ言い忘れたことがありますが、それは薬剤師さんについてなのですが、専 門委員会には薬剤師さんが入っておられないので、薬剤師さんが精神病院でお薬のこと をきちんと説明されるかどうかで治療成績が非常に違うということも薬剤関係の学会な どでは報告されており、また日本薬剤師会の中の精神病院部会の方でもそういうことを 要望しておられるようですので、委員が入っておられないこの分野についてもご配慮を いただきたいと思います。  それから、前の審議会と今回の間で、国会でこの問題が論議されました。そこで、津 島厚生大臣が「日本の精神医療には構造的な問題があると認識しております」と答えら れました。また政務次官が「日本の精神病院で48対1というお医者さんの基準に満ち ていないところが29%ある」というお答えがありまして、なるほど、現況でさえ3割 が落ちこぼれてしまうのだったら、帰りたくないというふうに精神病院の方たちが思わ れるのはそういう事情なのかと納得というか、悲しい納得でありますけれども、したわ けであります。そのような低水準なところに引っ張られて、本来治るべき方たちが、社 会にすぐにでも出られる人たちが出ていけないというのは非常に不幸なことであると思 います。  この間、私も日精協のセンバ先生のご紹介で台湾の精神医療を見る機会がございまし た。ヨーロッパの国々が日本よりずっと機能分化をした上で、手扱い人員配置をしてい るということは既に広く知られていることですけれども、それは西洋の話で日本は違う というふうに言われていたので、そうかなと思ったのですが、例えば台湾の基準です と、機能分化した上で日本でいう「一般精神病棟」に当たるところはお医者さん10人 が10床に1人、ナースが3ベッドに1人、PSWが30人に1人、OTが30人に1 人、臨床心理士が30人に1人、薬剤師が50人に1人、カルテ管理士が100人に1 人というような、これが台湾の基準でありました。  ヨウ名誉教授に日本のことを話すときに、私は非常に恥ずかしい思いがしたわけであ ります。機能分化はまだ全然先が見えていないようなことを重藤さんはおっしゃいまし たけれども、重藤さんが本当に精神医療のことをご存じであるならば、ご自分が言って いらっしゃることが事実と違うことを内心忸怩たる思いでおられたのではないかと思い ます。  現実に、機能分化はこの日本でもされておりまして、ですからこそ、ここの審議会の メンバーでもあられる岡谷先生、伊藤先生、きょうご欠席の栗原先生、ほかに2人の方 たちが専門委員会に対して、このような病院についてとりあえず機能分化−−という言 葉は使っておられませんでしたけれども、そういうところは手厚くということを言って おられるわけですから、日精看それから看護協会、お医者さん方、家族の中の弁護士さ んというような方が十分検討された上で、とりあえずこれくらいは機能分化して手厚く ということを提言され、それが世の中にも知られているのにもかかわらず、専門委員会 が「機能分化はできていませんので、これはまた別途専門委員会をつくってゆっくり」 −−ゆっくりとはおっしゃいませんけれども、実際はゆっくり、省庁再編もありますか ら、ずっとずっと先送りというのは具合が悪いことではないかと思うのですが、いかが なものでございましょうか。 【高橋部会長】  いかがですか。では、事務局の方から簡単に。 【松本課長】  この精神福祉部会の委員の方々も専門委員会の委員に入っていただいている方もいら っしゃいますし、きょうの大熊委員の発言等々あるいはご専門の立場から、きょうの午 後、またいろいろなご意見をいただけるものと考えております。 【高橋部会長】  ありがとうございました。  それでは、きょうの午後、また専門委員会が予定されているということでございます し、専門委員会にはいろいろな分野の方が建設的な意見をお寄せいただいていると聞い ておりますので、そういう意見を十分踏まえた上で、今後の日本の精神医療が発展して いくような形でのご検討をぜひお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。  その他の議題は何かございませんか。 【重藤補佐】  ございません。 【高橋部会長】  次回の予定は決まっておりますでしょうか。 【重藤補佐】  また追って調整させていただきたいと思います。 3.閉 会 【高橋部会長】  そういうことでございます。また近いうちにこの部会が開催されると思いますけれど も、本日の公衆衛生審議会の精神保健福祉部会を閉じさせていただきます。どうも時間 をオーバーして申しわけございませんでしたが、ありがとうございました。                                     −了− 照会先  社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課 泉 内線3056