00/11/14 第5回精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会             公衆衛生審議会精神保健福祉部会        第5回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会                 議  事  録            厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課             公衆衛生審議会精神保健福祉部会      第5回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会議事次第 日 時 平成12年11月14日(火)16:00〜18:10     於  厚生省特別第1会議室  1 開 会  2 議 事   1.精神病床の設備構造等の基準   2.その他  3 閉 会 【重藤補佐】  定刻となりましたので、ただいまから「第5回精神病床の設備構造等の基準に関する 専門委員会」を開催させていただきます。  本日の委員の方々の出席状況でございますが、本日は委員13名全員にご出席というこ とでご案内をいただいております。しかしながら、現在、池上委員、池原委員、伊藤 (弘)委員におかれましては、まだお見えになってございませんけれども、ご欠席とい うことでは伺っておりませんので、ほどなくいらっしゃられるものと考えております。  会の進行ですけれども、これから吉川委員長にお願いいたします。よろしくお願いし ます。 【吉川委員長】  それでは、とりあえずこの委員会の第5回の会を始めさせていただきます。  まず、事務局から本日の資料のご説明を先にしていただけませんか。 【重藤補佐】  それでは座ったままでございますけれども、資料の確認をさせていただきます。本日 の資料でございますけれども、第5回精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会 の議事資料の一覧でございます。  資料としまして【報告書のたたき台(第5回専門委員会)】という資料でございます。 これは前回のたたき台をさらに前回の議論を踏まえて訂正をしたものでございます。  それから、参考資料1といたしまして、津久江委員からの提出資料でございます。参 考資料2として、山崎委員からの提出資料ということでございます。  以上が、事務局から用意させていただいた資料でございます。過不足等ございました ら、事務局までお申しつけいただければと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。ただいま参考資料として2つついているという話がござい ましたけれども、私のところにお申し出がありました参考資料はまだ幾つかございまし て、現在印刷中でございます。後ほどまた配らせていただきたいと思いますし、そのほ かでも、もう既に一部たしか伊藤(哲)先生からの資料が配られておると思います。ま だ、あと幾つか出てくると思いますが、それも含めて、きょうの参考資料とさせていた だきたいと思います。  それでは、第5回の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会を開かせていた だきます。本日は前回の専門委員会でお出しいたしました報告書のたたき台をもとにい たしまして、前回の議論を踏まえて加筆訂正をさせていただいたものを事務局から読み 上げさせていただきます。本日はこれに沿いまして、さらに議論を深めさせていただき たいと思っております。  ただ、今もお話が出ましたように、参考資料として幾つかの資料を提出させていただ きますので、それらにつきましても、本日のこの委員会の中でご説明をいただき、そし て、このたたき台を議論していただくところで参考にしていただければと思っておりま す。  精神病院の設備構造につきましては、先ほど申しましたように、委員の先生方にはそ れぞれいろんなご意見をいただきました。理想的なことから現実的な問題までさまざま なご意見をいただいてきたわけでございますけれども、現在医療法の審議も衆議院を通 過いたしまして、現在参議院で審議中ということでございます。そろそろ具体的に報告 書の中身もつくっていかなければいけない段階に来ておりますので、ぜひ十分なご検討 をいただきたいと思っております。  精神医療の診療に関しまして、スタッフの問題もちろんのことでございますが、いず れにいたしましても、患者さんたちの療養環境というものを十分に勘案しなければいけ ないことでございます。したがって、委員のだれしもが、この問題については十分な関 心をお持ちであろうと思いますし、同時にこの環境をよくしていくためのお考えという 点でも決して意見が違っているとは私は思っておりません。ただ、その結論に達します 道筋の問題であるとか、あるいはゴールに向かう年次的な問題であるとかというところ で多少の意見の違いはあると私も認識しておりますので、できるだけその辺のところ を、どのように形で現実的にも可能な案としてやっていくのかということをこれからご 検討いただきたいと思っているわけです。理想と現実というものの双方考慮しながら、 折り合いをつけていくということがこれからの精神科の医療に対しまして非常に重要な 点だろうと思いますので、その意味でぜひ皆様方のご意見をいただきたいと思っており ます。  それでは、この議論に入ります前に、とりあえずそのたたき台をまた訂正いたしまし た。それにつきまして事務局からご説明をいただきます。ごめんなさい。その前に国会 の状況について、とりあえずご報告いただいた上で、たたき台についてご説明いただき たいと思っています。それではお願いします。 【重藤補佐】  それでは事務局より簡単に国会の状況につきまして、ご報告させていただきます。医 療法についてでございますけれども、衆議院を10月3日に提出をいたしました。数回の 委員会での審議の後、委員会で11月1日に採決、本会議で11月2日に採決をして、衆議 院を現在通過しております。参議院につきましては、11月6日に提出をされまして、今 現在委員会において審議中ということでございます。本国会の会期末が12月1日という ことで、今のところその予定でございます。  したがいまして、今後の審議状況にもよりますけれども、本国会中に可決・成立する ということが考えられるということでございます。ただ、これは国会の状況等でまだ確 定ではございませんけれども、そういう状況でございます。 【吉川委員長】  ありがとうございました。それでは、先ほど申しましたように、報告書のたたき台、 加筆訂正されたものについて、重藤補佐からご説明をいただきたいと思います。 【重藤補佐】  本日、お出ししている資料でございます。【報告書のたたき台(第5回専門委員会) 】という資料でございます。黒丸のところは前回議論が詰められていない項目でござい ます。アンダーラインが加筆訂正した部分でございます。加筆訂正した部分につきまし ては、まずご報告をさせていただきます。  まず「1.基本的な考え方」でございますが、中ほど3つ目の丸のところ、「特に、 医療法上の旧規定による総合病院(内科、外科、産婦人科、耳鼻科、眼科を有する 100 床以上の病院。以下『総合病院』という。)」というふうに改めました。これは前回池 上委員より総合病院の定義をきちんとすることが必要だということでご指摘いただきま したので、そのように変えさせていただきました。  同じく、3つ目の丸のところの後半部分、「大学病院(大学医学部附属病院。ただ し、特定機能病院及び単科の精神病院を除く。以下同じ。)」ということになっており ますが、これもきちんと定義をしなさいということでございました。  特定機能病院を外したということでございますが、特定機能病院の基準といたしまし ては、全病院の病床にかかって医師数が8対1、看護基準が 2.5対1ということでかな り手厚くなっておりますし、精神病床ということで各科ごとの計算にはなっておりませ んので、これは厚い基準となっておりますので、ここのところは外したと。  それから、大学附属病院でありながら、単科の精神病院が2つございます。これは単 科ということでございますので、合併症とはいうことからは多少ずれるということでご ざいまして、これも一応外したというところで、大学病院ということできちんと明確に 定義をさせていただきました。  それから、4つ目の丸のところですが、前回、野中委員より薬物の専門病棟もこの専 門病棟に入れることが必要ではないかということで、その文言については法律上の文言 があるというようなことも、吉川委員長よりご指摘いただきましたので、「精神作用物 質による急性中毒又はその依存症に対する医療」ということで入れさせていただきまし た。  同じく4つ目の丸のところでございますが、「政策的に必要な」ということでござい ます。これは前回、竹島委員より「政策医療」とはだかで使いますと、いろいろ国立病 院等の政策医療と紛らわしいということでご指摘いただきましたので、「政策的に必要 な」ということで文言を入れさせていただいております。  それから、3ページでございます。2つ目の丸で「精神病棟に」ということで入れて ございます。これは同じく池上委員より、いろいろ精神病院の中で医療を提供するのは 病棟単位でしょうということでご指摘をいただきましたので「病棟」ということにして おります。  3つ目の丸でございますけれども、ここのところにつきましては、前回、精神科医師 の確保というものが難しいものがあるということでございまして、そこら辺の確保のこ とについても委員会の中でも議題になりましたので載せさせていただきました。  それから、3ページ目の真ん中より下の6つ目の丸の一番最後でございます。「患者 5人に1人以上で76.9%である」ということでございます。これは前回、津久江委員か ら、患者5人に1人のことも入れるべきであるということでご指摘をいただきましたの で入れさせていただきました。  それから、黒丸のところのアンダーラインの部分でございますが、全ての病院に平均 的に看護婦を配置したとするということで最初はなってございます。そこは池原委員よ り「平均的に」というとちょっと問題な表現ではないかということでありますので、 「全ての病院に患者4人に1人の看護婦等を配置したと仮定すると」ということで文言 を訂正させていただきました。  4ページでございますが、一番上の行でございますが、「奨学資金の貸与制度を充実 すること」ということでございます。これは西島委員から奨学資金の活用を図るべきだ というご意見をいただきましたので、そのように直させていただきました。  真ん中ほどの5つ目の丸のところの「精神病棟」、同じく池上委員より病棟単位とい うことで統一をさせていただきました。  それから、「おわりに」のところ、下から2番目の丸のところですが、伊藤委員よ り、「より良質な精神科医療を提供するために」というようなことがぜひとも文言とし て必要だということでご意見をいただいておりましたので入れさせていただきました。  また、委員会の中の議論として、要するに検討は検討としても、いつまでに検討する のかという期間設定をやはり明確にすべきではないかということでご指摘をいただきま したので、「人員配置に関する経過措置の期間とされている医療法施行後5年の間に一 定の方向を示すべきである」ということで、ある期間を設定をさせていただきました。  最後の丸でございますけれども、竹島委員より「地域精神医療の体制の充実状況」と いうものも今後の精神医療で必要である。そういう状況を踏まえて見直すべきという意 見をいただきましたので、それも入れさせていただきました。  以上、前回の委員会の審議を受けて訂正をした部分でございます。以上でございま す。 【吉川委員長】  ありがとうございました。とりあえず今訂正をしていただいたところに関して何かご 意見があれば、それを先にお伺いいたします。そこで特別なことがなければ、先ほどお 話をいたしましたように、それぞれの委員の先生方あるいは外部からのいろんなご意見 もいただいておりますので、それらにつきまして、この委員の中でご説明を担当してく ださる方がおられれば、そのご説明を受けながら、個々の項目について検討していきた いと、このように思っております。  とりあえず、今、私たちの方でまとめました先回の議論を踏まえての一部の加筆訂正 につきまして、何らかのご意見があればいただきたいと思います。いかがでございまし ょうか。  もし、なければ、これで終わりというわけではございませんで、この後、ご説明を受 けながら、当然またこのところへ戻ってまいりますので、とりあえず今ないということ であれば、いただきましたさまざまなご意見をご説明させていただきたいと思います。 それではどういたしましょうか。今、手元に来ているのは、先ほど話が出ました津久江 委員から出ておりました資料からご説明をいただきましょうか。よろしゅうございます か。 【津久江委員】  これは日本精神病院協会の臨時代議員会が11月2日に開かれまして、やっとコンセン サスをこれだけのことを得たものでございまして、これのたたき台というのが、実は日 精協見解というのがもし少しコンクリートなものがあるわけなんですが、非常にコンパ クトなものにしてここへまとめて提出させていただきました。  ここに書いてありますように、伊藤先生と同じく、我々は良質な医療に努めたいのだ と、今までやってきているのだということをまず頭書きに置きまして、ただ、地域格 差、看護婦さん、准看護婦さんの養成が減少していると、官民格差が拡大しているので はないかというようなことを頭書きに入れております。  それから、1番の看護職員の人員配置を4対1にした場合には39%の病院、これは第 2回の委員会でも提出したと思いますけれども、また看護職員を5対1としました場合 には、18.1%の病院がその基準を満たしてない。  これは本日の資料として、3ページにありますのでいきますと、データが少し違いま して、日精協のデータは81.9%ですから、18.1%のドロップアウトだと。国全体でいき ますと23.1%ですから、日精協データの方がよくなっている。ちょっと奇妙な現象でご ざいますが、そういうものが、どちらにしても日精協のデータでいきますと18.1%。本 日の厚生省の精神保健課から提出されたデータですと23.1%がドロップアウトするとい うことが、まずこれがぎりぎりのところであるということを1番にうたっております。  2番は、これはちょっと本筋から欠けるかと思いますけど、日精協の30万床の病院の 包括病棟は25%を占めているということで、この包括病棟のシステムは何らかの方法で 残していただきたいということをここへつけ加えておきました。  3番は、西島先生がよくおっしゃることでございますが、精神科看護婦さんの確保す るための養成の国の努力をすべきではないか、責任を持つべきではないかということを つけ加えた。  設備構造につきましては、今回も出ておりますが、やはり精神科病院の特性を踏まえ て慎重に検討したい。一般科が 6.4の 2.7なら、それを横並びという、ただ単純にそう いうものではないのではないかということを書き加えております。 最後に、我々はこれが限界なんだと、この現状が理解していただけないのならば、今 後重大な決意をもって事に当たらざるを得ないと。何を重大な決意かといいますと、こ れはまだ内緒でございまして、発表する段階でないと、こういうことでございます。  それから、次の資料、2と書いてありますのが、これは日精協の病院でございまし て、これは一番右下の角を見ますと、 1,163病院の病院の許可病床数と入院基本料の分 布を見てみました。3ページを見ていただけますと、簡単に書いてありますが、 1,213 病院、今日精協ありますけれど、ベッド数で30万 1,598床でございますが、その平均ベ ッド数は248.6 床でございます。 その中で、一般精神病棟を設置している病院は 1,163ということで、その 1,163の、 先ほど申しました病床規模に 100ずつに切ってみました。 500以上、 100以下という段 階で切ってみますと、というのが、今一般科が病床規模によって経過措置を2年半ある いは5年という分け方をしておられるようなので、そういう分け方が日精協でもできる のではないかということで検討をしてみたわけでございます。  ページの5を見ていただきますと、「病床区分別入院基本料の分布」というのがあり ますけど、これはどう見ましても、病床規模によって基準看護がきれいな格差が出ない という結論が3ページに私が書いたありますように、定まった分散を見出すことができ ない。病床規模が小さいからといって、基準看護がいいかというとそうでもない。ある いは大きいからいいのかといったら、そうでもない。いいのも悪いのもどちらにも分布 しているというような、そういうデータでございます。  以上でございます。 【吉川委員長】  どうもありがとうございました。津久江委員から、日精協の要望書を中心にしてご説 明いただいたわけでございまして、先ほど皆様方の笑いも誘いましたけれども、もしこ ういうことが通らないようであれば、日精協としては重大な決意というふうにお話があ りました。そういうことはともあれ、日精協からのご意思を、今、津久江委員からご説 明をいただいたわけでございます。  それでは、第2の方に移りますが、山崎委員から提出されました、これは個人的な意 見といってもよろしいですね。それがございますので、それを。 【山崎委員】  前回の委員会がありましてから、今回の委員会まで日精協に対していろんな方面から ご批判が大分集中しておったわけですけれども、基本的な、これは私の姿勢というか、 日精協の姿勢だと思うんですけれども、16対1、3対1に反対しているということでは ないわけでありまして、機能分化に対しても反対してはおりません。ただ、スタンスが 違うというか、今はできないと。英語で言えば、Yes I will,but I  cannot now ということでして、する意思はあるのですが、現状ではできま せんよという話であります。あたかも欲張りな経営者団体がごねて、劣悪な精神の治療 環境を引き延ばしているといったとらえ方をされているというのは非常に協会としても そうですし私としても心外であります。むしろ若手の経営者というのは、これからどう いうふうにして、精神医療を質のいい医療に立ち上げていこうかということを本当に真 剣に考えています。  私のきょうの資料は、看護婦さんの配置についての意見ですが、1番目の1ページの 資料ですと、看護婦さんの配置については、4対1にするについては、7万 6,000人の 看護婦さんが必要で、現在7万 4,000人働いているから、もう少し頑張ればできるだろ うという事ですが、これは前回の委員会でも申し上げましたが、公立病院と民間病院の 看護配置がどの程度のパーセントになっているか。つまり 2.5対1の配置があったり、 3対1があったり4対1があったりということと、一方では6対1、5対1の配置があ るわけですから、それを単純に看護婦さんの数だけで平均化するのもおかしいと思いま すし、それと公立病院の上の方の看護の配置というのが実数としてどれぐらいあるかと いうのがはっきりしていない。  それから、今後の看護婦さんの配置というものを考えると、当然現在就業している看 護婦さんの平均年齢がどれぐらいにあるのかというふうな統計もないわけでして、そう いうふうなもっと客観的に数字を推量できるようなデータがほしいと思います。  それと、民間の精神病院は、ここにも書いてありますように、准看の看護婦さんが55 %でして、ご存じのように、准看の養成校がこのところ相当いじめられて、養成校が少 なくなってきている。それと准看の授業のカリキュラムが今度 1,890時間と、大幅に増 えましたので、高等学校の衛生看護科の准看の養成コースも相当数減ってきて全滅に近 いといった状態を考えた場合、准看の養成あるいは高等衛生看護科の養成校にかわるも のをきちんと高看ならば高看の新設校をつくらないでおいて、果たして将来看護婦の需 給関係が足りるかというのは非常に大きな疑問であります。 それと2ページの今後の見通しというのも、今お話したように、看護婦さんの数とい うのはこれから少なくなることはあっても、十分な医療を確保するだけの看護婦さん が、現在の養成の体制でできるとはとても思えないような状態であるということであり ます。  それと最後に書いた、この5年間という話なんですけれども、この経過措置をつける ときに、必ず病院側の努力目標というふうにとらえられちゃうのですけれども、本来は 看護婦さんの養成、医師の養成は国がする話でありまして、これだけ看護婦さんが少な かった原因というのはきちんと医療に必要な看護婦さんを国が養成しなかったというこ とでありまして、何年間経過措置をくっつけるということは、病院について、おまえ、 何年でしなさいよという話ではなくて、反対に国とか看護協会に対して、何年たてば我 々の病院に十分な看護婦さんを養成してくれるのかという考え方が基本的な考え方だと 思います。  それと、3ページの表ですけれども、これが先ほどお話した准看護婦学校と高等看護 婦の平成11年と12年の募集人員の変化であります。見ておわかりのように、平成11年と 平成12年度で准看護婦が 1,647名募集定員が減っております。看護婦学校の方は、平成 11年、12年で 557名の定員が少なくなっております。両方合わせますと、 2,200人とい った定員が減っているわけです。この准看の数字というのは、これからもっと減る可能 性があるわけでして、そういうふうな養成の状態で看護婦の看護単位を上げろというの は非常に無理なのではないかと思います。 それと、その次の4ページ目と5ページ目は、日精協の会員病院の平均年齢の表であ ります。これで見ていただいてもわかるのですが、非常に高齢化してきているといった ことがあります。  それから、6ページ目の表なんですが、これは前回もお話した、伊藤先生の病院を例 に挙げて、怒られたのですが、公立A病院というのが伊藤先生の病院です。病床数が 270ベッド、平均のベッドの回転率が 190名ということで、70%の回転率なんですね。 医療収益が12億 3,000万。職員の給与だけで17億 9,000万かかっている。5億 6,000万 ぐらいの、単純に人件費だけの赤字で、累積赤字が72億と。 これは伊藤先生を別段いじめるつもりで出したデータではなくて、公立病院というか 自治体病院はほとんどこういうふうな数字なんですね。これにつきまして、最近、自治 体病院に外部監査が入りまして、給与が高過ぎるということを相当数の自治体で指摘さ れております。 こういったことで、実質ここで見ると、看護婦さんが3対1の配置になっているので すが、70%で病床が回っているということは、2対1の看護で現在しているということ になりまして、では2対1の看護でどういう話なのかというと、前回の委員会で西島先 生も伊藤先生にお聞きして、措置入院の患者さんが4人しか入ってない。7割の回転率 の病床で2対1の看護で措置入院の患者さんが4人しか入ってないで十何億の赤字が出 ているといった医療というのは一体何だという話になるわけでして、こういったところ をもうちょっときちんと整理をしていただきたいと思います。  最後のページの7ページなんですが、日精協の会員病院の総合調査で出した平均給与 と、伊藤先生の病院の給与を比較させていただきました。平均年齢が若干違うのです が、それでも、看護婦さんの給与にしますと月給で20万違うんですね。准看護婦さんで は32万違うと。これは年収でなくて月給です。そうするとこういった給与差があって、 それで実際民間病院というのはこのような状態で、なおかつ看護婦さんを集めて、それ で精神医療を行っているといった実態があるということをご理解いただきたいと思いま す。  以上です。 【吉川委員長】  ありがとうございました。さまざまなご意見があることははっきりしておりますし、 今も山崎委員からご説明ありました。特に視点が、先ほどの津久江委員とは少し違って おりまして、かなり具体的に看護婦さんの給与も含めて、そして養成の過程と看護婦さ んの配置の問題、そうしたところまで含めて検討するなり、あるいはこうした医療法上 のいろんな検討するに当たって、やはりそこのところをしっかりと踏まえた検討をしな ければいけないのではないかというご意見だったと思います。  それでは、もう一つ来ておりますので、いわゆる七者懇といわれている団体がござい ますけれども、その中の5つの団体からまとめて、厚生大臣及び両局長、今田部長、松 本課長宛にたしか出ているのだろうと思いますが、文書がほぼ同文だと思いますけれど も、出ておりますので、それらにつきまして、金子委員からご説明をいただくというこ とでございます。金子委員からお願いいたします。 【金子委員】  今ほど吉川委員長よりご説明いただきましたように、精神科七者懇談会というのがご ざいます。これに加盟しております団体は、日本精神神経学会、これは精神科の医師の 学会、これは日本国内最大のものでございます。日本医学会にも加盟しております。次 は、精神医学講座担当者会議、これは全国80余りの大学の精神医学講座の担当の教授の 会でございます。3番目が、国立精神療養所院長協議会、これは全国に20余りあります 精神療養所の院長の会でございます。4番目が全国自治体病院協議会、これも全国で千 数百ある自治体系の病院の会でございます。日本総合病院精神医学会、これは会員数が 1,500名程度の総合病院に勤務する精神科医の学会です。 その5つの団体に加えまして、日本精神病院協会、日本精神神経科診療所協会が加わ りまして精神科七者懇談会といいます。日本精神病院協会はきょうも委員の先生が出て おられますので、あえて説明しませんけれども、診療所の方は、今千数百会員がおられ るようですが、そういう七団体が集まりまして、精神科医療医学等に関する諸問題につ いて検討する場が設けられております。  年間で数回の総会を行っておりまして、また幾つかの分科会がございます。1つは法 とシステムに関する委員会といいまして、これは今般の医療法改正等に関するような問 題を検討しております。もう一つは、医療経済の委員会がございます。これは診療報酬 改定等に関する検討をいたしております。  七者懇の総会におきまして、今回の医療法改正についてどう考えるかということがご ざいまして、法とシステムに関する委員会にその検討が振られました。  そこで検討いたしました結果、精神神経学会を中心にまとめさせていただいたのがこ の要望書でございます。これを七者懇に加盟します7つの団体にお諮りいたしまして、 ここに連名でよろしいかということをお伺いしましたところ、日本精神病院協会から は、連名にできないとご返事いただきました。診療所協会の方は、反対ではないのだ が、意見が割れていてまとまらないので保留とさせていただくというお返事をいただい ております。  ということで、残りの5つの団体で、このたび厚生大臣又両局長、今田部長宛、松本 課長宛にご説明をし要望したということであります。  それでは中身について説明させていただきますが、公衆衛生審議会の精神保健福祉部 会でも今までも検討が行われてきたわけですが、1月25日の基本的な考え方を見まして も、機能区分と読めるようなことが書いてありますし、今回の医療法改正は絶好の機会 と、精神科特例をなくすためには外してはならない機会だと認識しているということで す。ただ、一律に精神科特例を外すには、特に精神科医の不足が著しく、全ての病床に 一般科と同じ医師配置を求めていくこと。一般科と同じというのは、一般病床と同じと いう意味ですが、その医師配置を求めるということは現時点では困難であり、次善の策 として機能区分を行った方がよろしいというのがこの5団体の意見です。  一般病床と療養病床というのが今回の医療法の本則で病床区分されたわけですが、そ れに準じたように精神病床の中も、どういう言葉が適当かわかりませんけれども、例え ば精神一般病床と精神療養病床と分けたらどうかと。精神一般病床は一般病床と同等 に、精神療養病床は療養病床と同等の基準がよろしいのではないかということです。  精神一般病床にするべき病棟としましては、4点挙げました。1つは、急性期治療病 棟の入院料を算定している病棟。これは現行の診療報酬上の規定でございますが、厳密 に基準が決まっておりますので、基準のないところはなかなか規格しにくいというご意 見もあるようなんですけれども、これは十分に可能ではないかと考えております。つま り救急から急性期に至るところを手厚くして、なるべく早く患者さんに治っていただい て、地域に帰っていただくと。それがひいては患者さんのためでもあり、地域のためで もあるということです。  2点目は、児童・思春期の専門病棟です。これも何をもって専門病棟というか、また 児童・思春期の専門家の精神科医が少ないではないかというご意見もございますが、そ ういうことを考えますと、逆に現時点で指定する病棟数は全国ではさほど多くないとい うことを考えますと、むしろ容易ではないかと考えます。  3番目は、覚醒剤等の薬物依存専門病棟です。薬物依存を専門に取り扱っている病棟 の規定を決めなければなりませんが、全国で幾つもございません。そこできちんと手厚 い治療を行うということは、薬物依存にいかに有効な治療をして社会参加につなげられ るかという非常に大切なところだと考えております。  4点目は、今までも事務局案にも出てきておりましたけれども、身体合併症の治療等 を行う必要性のある旧総合病院の精神科病棟です。  なお、これは議論のあったところですが、措置入院や応急入院、また34条移送により 医療保護入院の患者さんが入院する病棟も手厚い方がいいという意見と、いや、現行で は無理だろうという意見とございまして、別途検討した方がいいのではないかというこ とといたしております。  また、もう一つ、医療圏の問題でございますが、将来的にはやはり一般科医療と同等 に、二次医療圏単位で精神科も医療計画を、これは身近な地域で医療を受けるためには 必要で欠かすことのできない要件だと思いますので、将来的には二次医療圏としたい。 ただ、当面の間は無理だと思いますので、精神科救急ブロック等の何らかのサブ3次な 医療圏を使うことが必要であるということを提言させていただきます。  また、第2回の専門委員会でも、参考人の3名の方々から、医療法施行規則の10条の 3、16条の1の6という一般病棟と隔絶したであるとか、精神科の患者さんを精神病室 以外入院してはいけないというような規定について廃止してくれというお話がございま したが、この5つの団体はそれについても検討が必要だということを指摘しました。  この5つの団体というのは、日本の精神科医療、特に医者の団体としてはかなりの パーセンテージを占める、つまりマジョリティであると考えておりますので、ぜひこの 意見も専門委員会で検討していただいた上で、適切、なお国民のためになるような結論 を出していただければと思っております。  以上です。 【吉川委員長】  ありがとうございました。ただいま金子委員から、いわゆる七者懇の意見ということ でお話をいただきましたが、その七者懇の中から、日本精神病院協会及び診療所協議会 は、それぞれ事情があって、この七者懇の要望書の中には入っておられないようでござ います。ただ、全体的にはかなり多くの、精神科医という話がありましたけれども、精 神科医療に非常に深い関係のある方々が所属している団体からの要望だということであ ったと思います。  このほかに、伊藤先生から、私のところにも来ておりましたし、皆様のお手元にも今 お渡ししてあると思いますが、「精神病床の設備構造等の基準について」ということ で、本日皆様方にご提示いたしました、いわば加筆訂正の1つの形のように、伊藤先生 自身が加筆訂正されたものがお手元に参っていると思いますか、伊藤先生から少しご説 明いただけませんでしょうか。 【伊藤(哲)委員】  それでは説明させていただきますが、その前にちょっと山崎委員から、私の方にいろ いろと公立病院の在り方についてありましたので、この間から一方的にお話しされてい ますので、私も一言そのことだけ。  山崎先生の出されたデータはこのとおりだと思います。それはよろしいのですが、そ の考え方ですけれども、例えば措置入院少ないから公的な機能を十分果たしてないので はないかというのはちょっと一方的な言い方でして、私どもの病院としては、児童・思 春期の病棟、これが非常に赤字の原因になっております。これは北海道にはたった2つ しかないという病棟を持っております。それからリハビリテーションの施設を持ってお ります。これも病院の経営には余り寄与しない部分であります。そういうようなことを 果たしていますので、地域の中としては十分公的な病院の機能を果たしていると思って おります。  もう一つは、職員がたくさんいて給与高いというお話ありましたけど、給与の面につ いては、これは公務員の給与というのは決まってまして、動かしがたいものがあるわけ ですけれども、これは山崎先生おっしゃったようにもう一回見直す必要はあるのではな いかと私も考えております。  それから職員が多いということは確かにあるんですけれども、医療の効率ということ から言えば、平均在院日数が私どものところは 130日台で、今 140日台になっています けれども、そういうことを考えまと、日本の平均在院日数が 400日、今、 390日ぐらい になりましたけれども、そうしますと医療の効率性ということから言えば、必ずしもそ の赤字がそっくり赤字になっているわけではなくて、医療費を使わないという面もある わけですね。そういうことも総合的に考えないと、1施設が赤字であるかどうかという ことでなくて、全体として医療費も保険も税金なわけですね。その税金が個々の病院で は赤字出しているけれども、地域全体としては、私のところは入院患者さんが地域全体 として非常に少ないわけですから、見方を変えれば、決してマイナスというふうに考え なくてもできるのではないか。  病院の経営という面から見れば、確かにまずいわけで、私も困っているわけですけれ ども、そういう見方もしないと、単純に1つの病院が赤字か黒字かということだけでは 論じられない。  それから、もう一つは、給与の問題についても、看護婦さんの給与は私は高い方がい いと。できたら元気よく働いてもらうためには安いからいいという言い方にはならな い。経営が苦しいから安いということはもちろんそういうことでやむを得ないんです が、むしろ医療費を上げる努力、効率よい医療をして、その医療費を看護婦さんなど、 正式な職員を十分雇えるぐらいの給与体系に持っていくということが大事なのであろう と思います。現時点では、確かに山崎先生おっしゃっているとおりで問題があると思っ ています。  そこはそのぐらいにさせていただきます。  私の先ほどのたたき台についてですが、きょうのたたき台と少し比較してみたりし て、あえて言うことがないところもありますので飛ばさせていただきますけれども、下 に二重線でアンダーラインを引いているのが書き直してみたとこです。時間がありませ んので、少し飛ばしますけれども、1ページのところで、「ニーズに応えるために必要 な精神病床の種類と病床数」というようなことも、あるいは「整備し得る医療資源の量 などを踏まえて」というところ、書き入れてありますけれども、これはある地域の中 で、どんな機能を持った病床が、どのぐらい要るのかということもちゃんと計算した上 で考えていくべきであるということで、今すぐはできない問題も入っているんですけれ ども、そういう病床の種類、あるいは病床機能ごとの必要病床数というのはきちんと考 えた上でやっていくべきだろうということを書いたものです。  それから1ページ目の最後のところは、先ほど覚醒剤のことは触れられましたので飛 ばしますけど、ただ、救急医療と同時に急性期の患者さんを診る病棟も少し積極的な医 療といいましょうか、手厚い医療をするところに入れておいた方がいいのではないかと いうことで「急性期」という言葉をつけ加えさせていただきました。  2ページ目に入りまして、これまで、今の病床数に看護婦さん、医師を割り当てた場 合の計算をずっと出してきたわけですけれども、私はその計算ではやはり限界があるの で、社会的入院をどうやって減らしていくのか、どこまで減らせるのか、そういうこと も視野に入れて精神病床の人員配置ということを考えなければならないのだということ を明確に書き込むべきだと思って、つけ加えさせていただきました。  社会的入院の定義の問題、何%あるかというのは議論のあるところですが、私の今ま での調査から得られた資料では、少なくとも30%はさまざまな条件つきでありますけれ ども、退院できる人たちだろうと。そうしますと10万床は減るだろうというようなこと を考えた上で出発した方がいいのではないかということで、今すぐではないですけれど も、経過措置を含めて、そういう前提の上で人員配置も考えた方がよろしいのではない かということを書き込んでいただきたかったわけです。  ちょっと飛ばしてしまいますが、2ページ目の真ん中よりちょっと下ですが、二重丸 にして下線を引いているところですが、これは当事者の方からの指摘が再三なされてい るところですけれども、医療法施行規則に「精神病床以外の病室に精神障害者を収容し ないこと」あるいは「精神病室には危害防止のために遮断その他の方法を講ずること」 の規定があるわけですが、それに対する改善・見直しというのがあるわけですが、それ についてやはり応えるべきだということで、ここに、精神障害者差別を助長するこのよ うな規則は廃止して、特別な病室への入院を必要とするものについては、それを例外規 定としてこれを定めることが望ましいのではないか。そういうことを検討すべきである ということを、設備構造の基準のところに入れるべきではないかと、つけ加えさせてい ただきました。  それから、3ページ目の下の方になりますが、たたき台では総合病院とか大学病院を 16対1ということで進めてきましたけれども、既にたたき台にも入っているのですが、 早期の社会復帰を目指した積極的な医療を提供する病床、あるいは措置入院を診る病床 と、それが挙がっていましたけれども、さらに先ほどから挙がっている児童・思春期と か覚醒剤精神病も加えまして、実際に16対1の医師が配置された病棟の中から、という のは今の時点ですけれども、実際にはこういう病棟もできる得る可能性あるわけですか ら、配置ができるところから一定の条件をつけて、先ほどから挙がっている「総合病院 や大学病院に準じた病床」として位置づけまして、事実上の病床の機能分化を推進を早 速すべきであるということを書き込むということでこういう文章にしてあります。これ については議論があるところだと思いますけれども、そういうことを願っているもので す。  次に看護婦さんの配置ですけれども、4ページの真ん中ですが、一応たたき台では4 人に1人の水準を確保することが可能であるので、4対1にするというようなたたき台 なわけですが、下線の部分をつけ加えさせていただきました。「しかし、看護の必要度 は、疾病の状態や時期によって異なるものであり、すべての精神病床に一律に患者4人 に1人の看護婦配置するのでなく、当面は、現行の患者6人に1人の看護婦配置の病棟 を残しながら、一方で患者3人に1人の看護婦配置を基準とした精神病床を設定する方 がより合理的である」ということで、たたき台とはここは大幅に変わっているところで あります。  したがって、総合病院や大学病院は当然3対1なわけですけれども、先ほど挙げまし たように、医師が16対1に上げるべきと思われる病棟については、看護婦さんの方も合 わせまして3対1に配置していくべきであるということで、下線の部分を追加させてい ただきました。  それから、一番最後ですけれども、看護婦さんの不足ということが言われているわけ ですが、やはり看護婦さんの働きがいのある病院づくりということと、精神科看護の魅 力を啓発していくということをつけ加えたらいかがかということで少し書き改めさせて いただきました。  5ページ目の薬剤師に関しては、大学とか総合病院だけでなくて、医師が16対1、あ るいは看護婦さんが3対1になるような病棟について、薬剤師さんも70人に1人にした 方がよろしいのではないかということであります。  それから「おわりに」ですが、最後の下線の部分だけ読み上げますが「患者の病態に 見合った医療を適正に提供できる体制を作るために、今後、病床機能分化を進めなが ら、5年以内に設備構造等の基準を抜本的に見直す必要がある」。これは先ほど出たき ょうのたたき台と同じような文になっております。  それから、一番最後に、21世紀のビジョンを早急に立ててほしいということで、「精 神科医療改善7か年行動計画」を立てて、提言をつくり、具体的な作業を進める時期に 来ているのではないかという追加の文章を入れていただきたいということです。  以上です。 【吉川委員長】  ありがとうございました。伊藤先生の方から、本日皆様方にご提示いたしましたたた き台を、伊藤先生の視点からさらにこのように変えてはどうかというご提案があったと 受けとめたいと思います。  それでは、私の手元に来ておりますのは、これらのご意見でございますが、これらも 含めまして、先ほど重藤補佐からお話がありましたたたき台について少しずつ検討して いきたいと思います。この検討に関しまして、どのような進め方をしたらいいのかとい うことでございますけれども、何かご意見がございましたらばいただきたいと思いま す。 【伊藤(哲)委員】  質問よろしいでしょうか。 【吉川委員長】  どうぞ。 【伊藤(哲)委員】  看護さんの今後の需給見通しなんですが、この辺、山崎先生は非常に悲観的なお話だ ったんですけれども、私があちこちから聞いているのでは、むしろ看護婦さんが余って くるのではないかというお話を聞くわけです。その辺が看護関係の方からでも説明して いただければと思いますけれども。 【吉川委員長】  よろしいですか、日看協の方から。 【岡谷委員】  厚生省の方が、平成4年ですか、平成12年度末をめがけて、最初に看護婦の需給見通 しというのを策定して立てたわけですけれども、その需給見通しは、今、准看護婦、看 護婦を合わせて看護職員が全国で約 109万人就業しているというのがデータであるので すが、平成12年度末には 104万か 105万ぐらいで需給見通しを立てていて、それはかな り順調に需給の見通しは、厚生省の策定どおりに、それを上回って達成されつつあると いうことだったんですね。 ただ、最近医療法の改正のときに、医療審議会でもいろいろと審議がされたんですけ れども、10年前ぐらいから比べて確かに看護婦の配置というのは、基準が実際には診療 報酬上の手当などで上がってきているんですね。ですから大体平均しますと2.5 対1ぐ らい。7割ぐらいの病院がそういう配置をしていると。確かに増えているんですけれど も、実際には看護婦は現場では人数が増えているにもかかわらず、忙しさの度合いとい いますか、そういうものが非常にずっと続いているわけですね。  それはなぜかというと、やはり質がどんどん変わってきていることと、病院の中で24 時間体制でケアしているのは看護婦だけで、夜勤のときの、医療も複雑になってきてい るのですが、そういう中で患者の重症度が増してきているために夜間もほとんど患者さ んのケアに振り回されるという状況があって、そのために協会としては、夜勤で1人の 看護婦が最低10人を受け持てばいいという数値を出すと、1.5 対1という数値が出てく るわけですね。配置基準としては。  ですから増えてはいるんですけれども、今、提供している医療の仕組みの中で、その 質や効率を考えると非常に看護婦はまだまだ足りないと。その質を上げていくというこ と、安全で良質な医療・看護を行うということをもっと考えていこうとするとやはり足 りないのが今の現状で、ではどのぐらいの需給の見通しが立てられるのかということ を、これから5年間の今看護婦の需給見通しの策定を各都道府県が行っているところ で、本当はもう結果が出ているはずなんですが、47都道府県できちんと結果を出してい るところが半分ちょっとぐらいしかまだ出ていないということで、今その策定が始まっ ているというところです。 確かに精神科は非常に看護婦が少ない、働く人が少ないと か、ある特定の分野については非常に配置のアンバランスがあることは確かです。例え ば訪問看護やる地域でのケアというのはもっと人員が必要なんですけれども、やはり看 護職員の90%近くが医療機関に今入っていますので、訪問看護婦が今2万人ぐらいです か、だけど、やっぱり5万人とかそのくらいの人数は必要だと。それは新たなそういう ケアの提供システムの中でそこに供給しないといけないという形で必要になってきてい る部分もありますので、全体から見ればまだまだ看護婦は必要なんだということは言え ると思います。ただ、それを医療法のときにも 1.5対1を主張して、そんなに看護婦を 増やすと医療費が膨大になっていくとかいろいろな障害があって、なかなかそういうふ うには増えていかない。だけど、本当に患者さんがケアをちゃんと受けようと思えば、 まだまだ必要だということはあると思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。当然のことながら、地域的なバランスの問題、診療科ごと のバランスの問題ということがあると思いますので、その辺のところで末安委員から、 精神科看護という視点から、今看護婦さんの需給の関係で何かご意見ございますか。 【末安委員】  今まで議論があった中で、先ほど山崎先生も強くおっしゃったんですけど、国の努力 とか計画というところが不十分だったのではないかというご指摘が繰り返しあったんで すけれども、我々教育の方の現場からすれば、大きな計画があって、その中で努力する という側面と、現場がどういう看護をしているから、そこにどういう人を迎え入れたい という意思を持っているかということが、若い人たち、つまり学生たちから見た場合は 重要だという側面がどうしてもあるわけです。  これ、理想論と言われてしまうかもしれませんけれども、私はわずかな時間ですけれ ども、医学部の1年生にも授業をさせていただいているんですけれども、医学部の人た ちも同じ感覚を持っているということを実感しております。諸外国の例を出すと医療制 度が違うとか医療のシステムが違うのだというご批判もあるのですけれども、患者にど ういう医療を提供するかという考え方がなくて、経済原則とか現実原則だけで進んでい くと、結局最後大きい計画がないからそこで終わりという話だけになってしまうという ことがあって、精神科の看護、精神科の医療を魅力あるとか、あるいは利用者の国民の 側から見て、使いやすい、すごく身近になってきたと思うのにはやはり病院が開いてい くとか、そこで働いている人たちがどういう表情を持って働いているのかということを 示せるような、計画だけではなくて教育そのものも変えていかなければいけないといっ たことを強く思います。特に外国で重視しているのは、薬をどれくらい使うのか、その 薬がどれくらい必要なのかということを伝えられるような教育がちゃんと行われている 病院なのかどうかとか、そういう基準を、ここはその基準を議論する場ではないという ことを承知していますけれども、そういう基準をもつくっていく。  先ほど伊藤先生言われた行動計画なんかもそうだと思うんですけれども、そういうも のを同時に示していけるようなものにしていければいいのではないかと思います。 【吉川委員長】  もう少し具体的なところで、需給の問題に日精看としてはお考えがありますか。 【末安委員】  今までは看護の役割というのは非常に限定されていて、特に山崎先生のデータにもご ざいますけれども、高齢者の職員が多かったり、看護婦は全科に対応できるようにオー ルマイティーの教育を医学部と同じように受けているんですけれども、その卒後教育の 責任ということで十分果たせなかった面があったと思うんです。ただ、魅力ある病院を つくろうだけではなくて、そのためにどのような努力をするのかということが我々に足 りなかった面があるのは事実だと思うんです。  しかし、精神科でも、先ほど岡谷委員も言いましたけれども、さまざまな医療の質の 変化が起こっていて事故が起こったり、精神科も同じようにそういうことがあるわけで すけど、今後はどのような教育体制を日精看としてつくっていくのか検討しています。 今までは一般的な教育でやってきたんですけれども、これからはより継続的に看護が行 われる、あるいは拘禁とか拘束を少なくできるというような計画を研修・研究の中で行 っていきたいと今考えています。 【吉川委員長】  ありがとうございました。 【伊藤(哲)委員】  今の非常に看護婦さん増えても相対的には足りなくなっているという状況が話された わけですけれども、私は逆に言えば、そういう状況の中で、精神科が現実には難しいか ら低い基準にしておくということにもしなったとすれば、ますます差が広がっていっ て、精神科の方に看護婦が集まりにくい状況をつくってしまうという逆に危機感を覚え るわけですね。ですからある意味では無理しても少し高いレベルをつくっておかなけれ ば、ますます診療科ごとの看護婦の偏在というのが起こるのではないかという危機感を 覚えるわけですね。ですからある意味では無理しても少し高いレベルをつくっておかな ければ、ますます診療科ごとの看護婦の偏在というのが起こるのではないかという危機 感を逆に覚えるわけですね。  そういう意味で、ぜひそういうことも含めて考え、現状が足りないから、それに合わ せちゃうということでは、かえって将来に禍根を残すのではないか、そういうことを今 感じたわけです。 【末安委員】  1つだけつけ加えてよろしいですか。 【吉川委員長】  どうぞ。 【末安委員】  津久江先生の資料の中にもありますけれども、療養病床が非常に増えてきているわけ です。日精看としては、療養病床の中でも非常にご苦労されて、療養病床だから質が低 いということではない。本来は看護の基準を十分満たしているんだけれども、有資格者 の配置を高くする。そのことによって療養病棟からも社会復帰への道を開いていくとい うふうに相当な努力されている病院があるわけです。もちろん療養病床で看護補助者の 割合が高くなって、それで済むという話ではなくて、療養病床の中でも社会復帰を目指 した医療を展開していくというふうに努力されているところでは、実際は人件費は現実 的にはかなりかさむわけです。  日精看としても、そういうプラスアルファの人員配置をして積極的な医療を提供する ところに対しては、それを経済措置してほしいというのを、ことしの診療報酬の改定で も要望したりしてきています。 【吉川委員長】  山崎委員、今、ご意見が出ていますが。 【山崎委員】  一連の討論を聞いていますと、理想論と現実論のぶつかり合いといった感じがするん ですけれども、我々は実際、先ほども申し上げたように、良質の精神医療を提供するに はどうすればいいかということを前向きに真剣に考えているわけです。しかし現状の中 でできることとできないことがあるわけで、今回の場合は、政省令を決める委員会です から、実際政省令で数字がつくられると、それについて今度は法律違反というペナルテ ィーがつくわけでして、その辺はやはり現実論に立った法整備というものを考えていか ないといけないと思います。 【岡谷委員】  私は山崎先生が出してらっしゃる精神科看護婦の需給の問題というのは確かにそうだ と思うんですけれども、現状がこうだからといって、じゃあ、患者さんがそれでがまん をすればいいのか、患者さんががまんすれば、それで問題が解決するのかということで はないのだろうと思うんですね。本当に看護婦を補充して、もっといい良質の精神科医 療をやっていこうということを考えるのであれば、それは本当にもっと国の努力とか、 あるいは先ほど言った需給の問題は、確かに病床数を考えないで需給のことを言ってい る、そこだけの側面では言えない部分があると思うんですが、そういうことをもっと統 合的に考えて、本当にどうするのかということを一緒に考えていけるのではないかとい うふうに思っているのですけれども。 【津久江委員】  結局、山崎先生のお話も、私の話も一緒になると思うんですが、我々日精協の代表で 出させていただいておるわけでございますから、この要望書に沿った意見を言わざるを 得ない。決して治療を向上させる、人を集めていい医療を提供することにひとつもやぶ さかではない。しかしながら、4対1とか3対1とか、そんな途方もない数字を先に出 されて、それが先にあるということが我々はおかしいと思うんですね。現実は我々の データでいくと、2割ドロップアウトするけれど、5対1が限界であるというデータが あるわけでございますから、現実のデータから踏まえて5対1が我々の譲る最低の今の 最高の努力ではないかということを言っているわけでございまして、手を抜いて悪質な 医療をやりたいということを決して思っているわけではございません。  それともう一つ、これは委員長がおっしゃるかと思いまして黙っておったんですが、 伊藤先生のと金子先生の学者さんが書いた文章で、ちょっと字句のおかしいところがあ るので、このたたき台では、今度の新しい精神保健法で「精神作用物質による急性中毒 又はその依存症」、これは一番新しい言葉ですから、「覚醒剤」ということを表に出す よりは、覚醒剤だけではなくて、先生、思春期をやっておられるわけでございますし、 思春期によりますと、誘吸剤もありますし、ハルシオンもあるし、エンゼルダストもあ るし、いろんな薬が今あるわけで、「精神作用物質」とか「依存性薬物」という言葉に 切り替えて覚醒剤を表に出すのはよくないと私は思っております。 【伊藤(哲)委員】  その辺はそのとおりで、私もそれでよろしいと思います。 【吉川委員長】  前段の方でございますけれども、前段の方でお話が出ました決して悪質な医療を恒常 化するつもりはないというのは、これはここの委員会の中でたびたびお話が出たことで ございまして、良質な精神科の医療をどう提供するかということに関しては、私は一致 を見ていると思うんですね。ですから、そこのところでの後の手順の問題だろうと思い ますけれども、1つはあるべき姿をどこかに示しておかなければ、やはり後退する危険 性があると考えるか、あるいは現実にのったものをまず提示しておいて、それをどうい うふうに改善していったらいいのかという改善していく手順をきちんと明示をするか、 私はどちらかの方法だろうと思うんですね。  私は国民がどのような医療を期待しているのか。もちろん先ほどは患者さんという話 が、岡谷委員から出ましたけれども、患者さんだけの問題ではなくて、これは国民がみ んな注目をしていると考えなければいけない問題でございまして、どのような精神科医 療を今後提供するつもりなのかということで、私たちは国民から見られているというふ うに思っていますので、先ほど申しましたように、あるべき姿をまず提示した上で、そ の上でどのような手順でそこへつなげていくのかということを考えるか、あるいは現在 ある状態をどのような形で改善していくか、そうした手順。同じように聞こえると思い ますけれども、しかし、そこのところにはかなり大きな国民に対するアピールの仕方が 違うと私は思っています。  こうした意味で、どのような議論をこれから進めていったらいいのかということを考 えていただきたいと思っています。これは既に検討を通して今まで提示をしてまいりま したけれども、この提示を場合によったらば全部ひっくり返してでも、すなわちあるべ き姿というものを考えるときにどういうふうに今後していったらいいのかということも 考えなければいけないかもしれませんし、あるいは比較的ここまで議論してきたこと は、現実に今ある状態をどのような状態としてまず認識した上で、その上でできること をどのように進めていったらいいのかというまとめ方をしてきたと思いますから、後者 でももちろん構わないんですけれども、現状認識だけでいっていたのでは、恐らくこれ からは先へ進まないと思うんですね。  ですから日精協が言われるように、5対1というのがもうぎりぎりだとおっしゃる意 味はもちろんわかりますけれども、この5対1でいいのかと言われたときに、国民に対 する返事ができないんですよね。ですから、それを4対1はゴールなんだとか、あるい は3対1がゴールなんだということをどこかで明示しなければ、5対1であるという現 実を国民の方々が認識してもらえないと思うんですね。5対1しかできませんよという 言い方だけでは、私は恐らく通らなくなってしまうのではないかという気がします。  きょうここまでいろんな方々のご意見をご披露していただいて、その上で、これから この委員会が最終的に結論を出していくための、あとは作業をしていかなくてはいけな いわけで、その作業の中で、ぜひこの辺のところの視点を決めた議論をしていただけれ ばなと、こう思っています。ぜひお願いしたいと思います。  西島委員どうですか。 【西島委員】  きょう伊藤委員からこういう資料が出てきたわけでございますが、これは公衆衛生審 議会の精神保健福祉部会の中で、まだいろんな環境整備しなければいけない問題がある ということで、今回は精神病床1つということで、これは決められたはずでございまし て、また同じような議論をここで蒸し返されるのかという気が私は非常にしておりま す。先生も委員でございますので、そういう点は深くお考えになって、こういう報告案 というのはお出しいただきたかったなというふうに実際思います。  それと同時に、あのときにいろんな問題を私出してまいりました。それは精神医療の 質をよくするために出していった問題でございますので、それを今後5年間の中できち んと体制を国がやっていくと。今まで全部この言葉がいいのかどうかわかりませんが、 食い逃げをされていったわけですよ。いろんな法律が変わってきましたけれども、精神 保健福祉法が変わってきたにもかかわらず、実際には必要な環境整備が全くなされない ままきたことは間違いないことなんです。  ですから精神病床を2つに分けること。例えば、先生がおっしゃったように、急性期 とか慢性期とか分けることは必要です。必要だけれども、環境整備が何もないまま、そ れだけが先にいってしまって、また環境整備がおくれてしまうということを私は指摘し たはずなんです。だからこの5年間の間に国がちゃんとやれよと。やれば、その後で当 然そういう見直しは必要だろうと、こういうお話、私させていただいたと思うんです が、その中で、今回は精神病床1つという形で今医療法で上に上がっているはずでござ いますね。  ですから、ここに課せられた使命は、精神病床をどうするのか。人員基準、構造基準 をどうするのかということであって、また同じような議論が蒸し返されているような気 がしてしようがないわけでございます。それが1点でございます。  それから、これはぜひ看護協会にお願いをしたいわけでございますが、今、やはり看 護協会がなかなか精神科看護というのに積極的に取り組んでおられないと私は思ってま す。それはどうしてかというと、1つには日精看に投げておられるという部分もありま すが、やはり看護協会が積極的に精神科に対する理解と啓発活動を看護協会本体がぜひ していただきたいと思うんですね。私も看護学校を持っていますので、そういうのはよ くわかっています。  それともう一つは、これから先も、看護婦がこういう形で増えてくるのか。数は増え るでしょうけれども、看護婦になる人の質。実は実際看護学校をやっておりまして、ど んどん成績下がってきていることは間違いないんですね。しかも国家試験が合格率が下 がってきております。そういう中で質をどう担保していくのか、これは非常に重要な問 題であろうというふうに思いますので、数さえそろえればいいという問題でもないよう な気がいたしております。以上です。 【吉川委員長】  どうもありがとうございました。  看護に関しては、西島先生のご意見はたびたび伺っておりますし、それから、恐らく 日本看護協会の方としてもお考えはあると思いますけれども、私の方から、先ほど末安 委員の方にお話を回しましたのも実はそのことでございまして、必ずしも日本看護協会 が精神科看護に関して熱心であるとは私自身も受けとっていないんですよね。だからこ そ日本精神看護協会の方としてはどういうような考え方を持っているかということを末 安先生に私はボールを回したぐらいでございますので、その辺のところは、日本看護協 会としても、今後の取り組みとして、精神科看護協会とぜひ手を組んでいただいて、精 神科看護に携わる者の質的な向上ということと、また、実際に精神科に入ってくるよう な看護教育を考えていただく、そうした努力をしていただきたいと私は思っておりま す。  座長の権限を使わせていただいて、ぜひ岡谷委員にはそれだけはお願いをしたいと思 って発言をさせていただきました。  前段で西島委員がお話になられたことは、先ほど伊藤先生のこととも関係しますの で、伊藤先生の方からまた、どうぞ。 【伊藤(哲)委員】  現実的な問題として、「機能分化」という言葉を使うかどうかという大きな問題もあ りますけれども、日精協の要望書を見ましても、実際に包括病床の方は6対1の世界を 残すという前提で要望書が出ているわけですし、総合病院とか大学病院については3対 1あるいは16対1というのを使うというのは、現実的には機能分化、たたき台の中で、 実際上はそういう形になって、そうでなければ看護の配置や医師の配置ができないとい う現実から出てきているわけですから、それの少し延長線上に考えていいのではない か。つまり、単科の精神病院でも高規格の病棟があってもいいのではないかということ で出してきているのであって、たたき台の基本的な考え方から、それほど逸脱している というふうに私は思ってないんです。既に現実的にそういうたたき台の中に機能分化が 入っているわけですから。 【吉川委員長】  西島委員、何か。 【西島委員】  旧医療法上の総合病院というのは、現実的にも要するに4対1の16対1なんですよ ね。そういうことでしょう。ですから、それはそれなりの役割があるからということ。 ところが今までの総合病院がその役割を果たしてきたのかという疑問があるわけです よ。つまり合併症の患者さんが行く場がないということは全国的に、例えば家族会でも やっぱりそういうことを言っておられる。だから、旧医療法上の総合病院、先ほど出ま した定義のこのあたりはしっかりとそういうような役割を果たしていただきたいと考え て、実は私はこういうものをしようがないだろうと考えているところなんですね。です から先生がおっしゃるような、精神病床の中での機能分化というのはちょっと違うよう な気がするんですけれども。 【伊藤(哲)委員】  これはどうとらえるかの問題です。実質的にどうするかということが問題なので、そ れはそれで、西島先生の主張はわかります。 【吉川委員長】  西島委員は機能分化という言葉にかなり反論してらっしゃるというか、そういうふう に考えていいのではないかとこう思っています。実質的なものに関しては、西島委員も 当然お認めになっていらっしゃるわけでございますし、現実的にこの辺のところから手 をつけていかなければいけないんだということは、西島委員も十分認識しておられると いうことで、私は今の議論はそれでおさめさせていただきますが、よろしくお願いしま す。  ほかに何かございますでしょうか。 【岡谷委員】  先ほどの看護協会のことなんですけれども、日本看護協会は確かに日精看がございま すので、日精看と連携をとりながら、精神科のことは実際には考えて言ってきていま す。ただ、ほかのことに比べて取り組みがそういうふうにはっきりとは見えないという ことはあるかもしれませんが、例えば准看護婦問題の取り組みにしても、全体的なとこ ろで、やはり精神科だけを特別に扱うということでなくて取り組んでいますし、診療報 酬で精神科の看護の診療報酬の引上げ等については、看護協会はかなりそこの部分での 改善ということについては貢献してきたというふうに思っておりますし、一方的にそう いうふうに言われることについては、内容をもう少しアピールするような形で、これか らは活動していきたいとは思っております。 【吉川委員長】  金子委員どうぞ。 【金子委員】  先ほど精神科の看護婦さんの数が増えたって質が悪ければ困るだろうというご意見が ありましたが、私は精神科の医者ですが、やはり医者もそういう点をきちんと考えるべ きだろうと思っています。ナーシングホームの機能を入れたからといって、 300日台の 平均在院日数というのは世界的に見てどう考えてもおかしいことですから、我々の診療 技術を上げて、平均在院日数を短くすることによって、例えば病床を少なくしていくの だという計画はなぜ立てられないのかと思います。これが国民にも納得していただける と先ほど委員長がおっしゃったけれども、そういうことの根幹にあるのだと思います。 翻ってみれば、診療報酬上でも、乱暴な言い方をすれば、精神科の患者さんは1カ月 に30万、内科は60万と倍違うわけです。例えば平均在院日数を半分にすれば、同じ財源 であろうとも単価は倍に上げられるわけですし、そこで多少なりとも高基準を目指す。 例えば病床が削減されるからこそ、そういう見通しを立てるからこそ高配置を目指すと いうことがなぜ精神科の医者として1つも考えられないのだろうかと少し恥ずかしく思 いました。以上です。 【吉川委員長】  ちょっときつい言い方だったと思いますけれども、津久江委員何か。 【津久江委員】  私も精神科の医者でございまして、先生のおっしゃることもよくわかるんですが、そ ういうことを、今、西島先生おっしゃったように、今後この委員会では間に合いません よ。今から5年の間に機能分化をして、平均在院日数が減ることに努力したらいいので はないかと思います。私の病院でも急性期治療病棟あります。60日です、平気在院日 数。それから療養棟もあります。だけどすべての病院で60日か70日です。そういう機能 分化というものは、今後もっと煮詰めて進めていくことは非常に大切だと思います。そ れが平均在院日数が減ることにつながると思います。 【吉川委員長】 個々の分野の問題を考えればそのとおりだと思います。 【西島委員】 私、以前に資料をお出ししたかと思いますが、今の日精協の資料をちょっとお貸しい ただいてお出しした資料だと思うんですが、新しく入院して来る患者さんの平均在院日 数は物すごく短くなっているんですよ。ですから問題は、非常に平均在院日数が長いと いうのは、現在長期入院されている患者さんたちがおられて、その方々の受け皿がない というところからそういうことが起きているわけでございまして、だから、そういう環 境整備をしなさいということを私言っているわけです。 きょうの朝の公衆衛生審議会では、小規模の作業所の部分が出てまいりましたけれど も、そういうことの受け皿とあとは住むところが今後きちんと整備していかなければい けないだろうと思います。そういう中で初めて平均在院日数を減らすことができる。医 療機関は必死になって努力しているわけですね。しかも急性期治療病棟というのはちゃ んとしばりがございますので、その間に退院させていかなければいけないという条件も ございますし、今後急性期治療病棟をとりやすいような環境も必要になってくるのかな というふうに思います。 【吉川委員長】 どうぞ竹島委員。 【竹島委員】 私は手元のデータの中から話をさせていただきたいと思います。在院と入院と分けた ときに、入院というところでは、国民の精神科医療へのニーズが拡大し変化してきてお り、それに対応していくような入院治療の在り方が問われているのではないかという気 がいたします。 それから、先ほど西島先生からお話がありましたけど、新たに入院した患者さんが1 年後にどれぐらい残っているかというところから、1年後の残留率で病院群に区分して 見てみたところでは、看護体制の中で、5対1、6対1はやはり残留率の高いところに どうしても多くなってしまいます。1年後の残存率が低いところは看護体制の高いとこ ろに多い。そのなかで、4対1というところがちょうどそういった長期在院の問題も片 方では抱えながら、地域の病院としては急性期への対応もやっているというところで、 非常に重要な分岐点のところに4対1というところがあります。  そういったところから見た場合に、将来の国民の精神保健のニーズというものをとら えた場合に、やはり4対1の病院が通過点としてもう少し増えていく必要があるのでは ないか。さらにその後にはもう少し充実した体制も病床としては増えていく必要がある のではないか。  ただし、そういうことを考えていくためには、同時に長期在院者のための処遇という ものについて、今地域ケアという方向の一本で語られておりますけれども、長期在院の ための施設等についても明確に整理していかないとこの問題は解決していかないのでは ないか、そんなふうに考えております。 【吉川委員長】  どうぞ、野中委員。 【野中委員】  私も今の先生のお話と同じように、伊藤先生の2ページに書いてあります、「いわゆ る社会的入院を地域ケアの推進によって解消し」というところで疑問に思っていたんで すけれども、といいますのは、毎月審議委員会で診断書を見せていただいて、診断書だ けなんですけれども、長期入院の方が大分たくさんおりまして、慢性化しているのかよ くわかりませんけれども、ほとんど引受け手がないのでしょうか。だから、その方を社 会に復帰させる方法がないような形、まただれも受け取らないというようなのが診断書 上出ておりまして、ここに伊藤先生がお書きになった「社会的入院を地域ケアの推進に よって解消し」と言いますけれども、やっぱり何らかの形で、今も先生がおっしゃった ような形で、何かその辺の解消ができるようなことができればいいなというように希望 しております。 【吉川委員長】  ありがとうございました。西島委員が環境整備とおっしゃっているのもそのことだと 思います。ほかに何かご意見はありますでしょうか。  ちなみに本日は最終的に結論を出すつもりはもちろんございませんし、きょうはそれ ぞれの先生方のご意見を、そして先ほど来、ご説明いただいた各会からいただきました 御意見を勘案いたしまして、できるだけ時間をかけてきちんと議論をしたいなと思っ て、ここまでやってまいりました。どうぞ、活発にご意見をいただきたいと思います。 金子委員。 【金子委員】  ただいま周辺状況の整備をということで、西島先生、野中先生からご意見ございまし たが、私もそれはそのとおりだろうと思います。引受け手がなく、ただ患者さんを地域 に出す。それも無理やり出すということは、精神科医療のやるべきことではないと思い ます。  今回の法律が改正されて、例えば平成13年4月1日からすべからくこうなるべきであ るというのであれば、私も反対します。ただ、経過措置の期間を設けて、その間、それ が何年になるか存じ上げませんけれども、大体平均5年程度でしょうか。そうなれば平 成14年で終わります障害者プラン7カ年戦略というのがございますが、それに追加した 形で計画を練ることは十分可能であると考えておりますし、周辺状況を5年のうちに整 備を行うというようなことは可能ではないのでしょうか。それを5年間おくらせるとい うことは、現在入院している患者さんが、その5年間がまんしなくてはならないという ことにもなるわけでございますし、ぜひ今回の機会を中心に、七者懇のうちの5団体の 要望書を今日ご紹介しましたけれども、そこで挙げた部分は、例えば35万床のうちの20 万床そうするとか、そういうことではありませんで、少なく見れば3万床、多くても5 万床のことです。何とか改善計画を立てていくことが必要なのではないかと考えまし た。以上です。 【山崎委員】  五者懇の意見を見ますと、急性期治療、児童・思春期、覚醒剤等の薬物依存、身体合 併という項目と、措置入院、応急入院、移送の問題を分けているんですね。別途検討す るというふうな格好で書いてあるのですが、公立病院は前の方を見て、民間病院の後ろ の方を見ろというふうな意図的な書き方のようにとれるんですが、いかがでしょうか。 【金子委員】  全くそういうことはありません。この原文を作成しましたのは、日本精神神経学会で す。全国自治体病院協議会ではありませんので、山崎先生の言いようはちょっと言いが かりかな思いますけれども、この点で意見の一致を見なかったのは幾つか理由がありま す。  というのは、1つは措置入院を新規措置においては、例えば官民の機能分担という部 分ではかなり分担はされているのではないかという意見もありました。では現在長期に 入院している措置入院の中に経済措置の患者さんはどの程度いるのかデータがないと。 措置入院の分析についても十分なデータがないというのが1点です。  もう一つは、応急入院については、事例が非常に少ないので、そこをわざわざ取り上 げる必要があるかというご意見もありました。また、精神保健福祉法34条によります移 送による医療保護入院につきましては、現時点で十数例ぐらいしかありませんので、そ こをわざわざ取り上げるべきかどうか。  ただ、この3点の共通は行政的な強制入院に近いものであるという点で、ここには何 らかの手当が必要であろうという意味においては、この5つの団体である程度のコンセ ンサスは得られた、また検討が必要だということです。  別に前段は官、後段は民ということではありませんので、ご了解ください。 【山崎委員】  実は現場で精神医療を精神科救急をも含めてしていると、本当に公立病院が当てにな らないんですね。大変なやつはみんな民間病院がしょっていまして、移送の委員会のと きにもお話したんですが、処遇困難の患者さんですとか、あるいは触法の患者さんのか なりの数の患者さんが民間病院に入っているわけでして、実際措置入院の患者さんも全 体数の92%が民間病院、公立病院が8%しか入ってないといった実態があるわけです。 精神保健福祉法上でいうと、公立病院というのは、私の記憶が間違っていなければ、全 ベッド措置ベッドになっているはずだと思うのですが、したがって、先ほどの伊藤先生 のお話にもあったのですが、結局三百何十ベッドのベッドは、あれは全部措置ベッドと して指定されているベッドのうちに措置入院の患者さんが4人しか入っていないといっ たお話で、話を蒸し返すつもりはないのですが、そういったことについての赤字のエク スキューズだと思っているんですが、どうもその辺の赤字の補填の部分のエクスキュー ズがはっきりしていないということと、それとあと、この自治体病院が抱えている不良 債権というのは、全部の病院を総合しますと、何千億円といった赤字を抱えています。 今政治的に問題になっています銀行ですとか、あるいはゼネコンの不良債権に匹敵する ような、そういうふうな債権があるわけですけれども、それは結局最後は国民の税金で 負担をしてエージェント化していくといった格好になるわけでして、その辺をもう少し はっきりさせていただきたいと思うんですが。 【吉川委員長】  少し議論がずれかけているような気がしますが、何か。 【伊藤(哲)委員】  何か措置の話ばかりになって困る。私のところは申しわけありませんけれども、民間 病院には措置は新規については一切お願いしていません。北海道広いものですから、札 幌の患者さんをうちの方に入れるということはないのですけれども、その地域でといい ますか、私の十勝医療圏という1万平方キロメートルぐらい広いところですけれども、 そこで発生した患者さんについてはすべて公立病院で診ております。むしろ取り合いに なっているといったらおかしいですけれども、ぜひ入れてくださいと私の方が保健所に お願いしています。そういうことです。誤解されると困りますので。 【吉川委員長】  個々の病院の実情その他をお話ししだしますと、先ほどの津久江委員もそうでござい ましたし、いろいろあると思いますので、できるだけここでは広い立場で議論をさせて いただきたと思います。 【末安委員】  1点だけどうしても言っておきたいことがあるんですけど、それは先ほどから看護の 問題が出ているんですけれども、病床数のうち精神科の占める割合は大体20%とかと言 われますけれども、看護者の数で、単純な割り算が妥当かどうかは別ですけれども、約 7〜8%の看護者で20%の患者さんを支えている。経済的な側面もあると思ういますけ れども、そういうことを国民はよく知らないのだと思うんです。病院に行くと、できる だけいい医療を受けたいという気持ちでどんな患者さんでもご家族も病院を訪ねるわけ ですけれども、そのとき精神病床だけケアが要らないわけではないけれども、看護者が 現実にいない。それは現実なんで、これは理想論ではありません。そういうアンバラン スを、このまま、ここに今の日本の精神医療のイニシアチブをこれからもとっていくと いう経営者の方もいらっしゃるし、病院の責任者の方もいらっしゃる。そういうところ で話し合っている内容で、そのアンバランスを放置しておいていいのだろうか。それは 理想論ではなくて、現実に根ざした話だと私は思います。  先々週でアメリカで学会があって、日本の制度を説明しろというので説明しました ら、やはり2人で60人か70人の夜勤をどうやって見ているのだと質問されました。それ はそういう技術があるのかと、それを病院と呼ぶのかという疑問を受けました。これは 全然笑えなくて、私は凍りついて答えができなかったんですけれども、そういう批判が ありました。それはアメリカだからと、言われる先生もあるかもしれませんけれども、 しかしケアとは何か。20%の病床を7%ぐらいで見れる技術とは何だ。それは技術と言 えるのかということを私は日本の看護者として突きつけられたなというふうに思って帰 って参りました。きょうお話を聞いていても、経済原則、これができるぎりぎりだとい うお話は現実に見えるかもしれませんけれども、それは患者にとっての現実をさらに否 定しているのではないかと感じられます。  事故のこととか、ここの場所で議論するのはふさわしくないかもしれませんけれど も、1つひとつ、看護者も責任を負わなければいない部分がたくさんありますけれど も、今までと同じように、これからも人が足りないからとか、教育が行き届いてないか らというようなことを言いわけしたくありません。これだけ巨大な経済力を持った国の 精神医療がこのままでいいのかどうかということを、ぜひ現実的な話として受けとめて いただきたいと思います。 【吉川委員長】  ありがとうございました。どうぞ、野中委員。 【野中委員】  私、素人で申しわけないんですけど、一般的に考えますと、精神病院が開放病棟だと は思ってない方が多いと思うんですね。精神病院に行くと格子の中に入れられて、その 精神病院に行った人はみんな危険でおそろしいというような、社会的なそういう考え方 というのが全然知らない方には多いように思われます。  それで精神病院に行っても開放病棟が主であるというようなことはやはりうたってい ただかないと、危険でおそろしいというような考えの方が先行しているような気がする のですけど、いかがでしょうか。 【吉川委員長】  ありがとうございました。その問題、そのものがこの専門委員会の目的とする議論で はございませんけれども、これに関しましては、厚生省としても、恐らく今までもかな り努力はしてきておられると思います。それから、それだけではなくて、行政的な働き かけというだけではなくて、各精神病院におかれましても、やはり地域にどれだけ密着 をしながら、地域の住民の人たちに精神病院を理解していただくようにするかというこ とも、これまた精神病院の役割として大きなものがあると思いますし、そこに関連する 従業員の者たち1人ひとりにとっても、それは非常に大きな役割だと思いますので、 今、野中委員からお話をいただきましたことは、これは精神科医療全体の問題として受 けとめさせていただきたいと思います。 【池上委員】  自由に意見を述べていいということでございましたので、時間も迫ってきましたので ちょっと2点だけ申し上げたいと思うんですけど、1点目は、この委員会の議題ではな いんですけど、結局のところ診療報酬がどのように設定されるかによって、これは精神 病院側にとってこれを満足できるか満足できないかは決まってきますので、診療報酬の 設定の仕方に言ってみればげたを預けられた形ですので、ここで余り概念的には人数が 多いということがいいというのであれば、それでいいと思うんですけど、結局のところ はそれが現実化できるかどうかは、診療報酬の設定の仕方で決まってしまいますので、 もし公的病院における給与水準並みの点数が設定されたら、公私における人員配置の格 差というのはたちどころに解消できると思いますので、ちょっとこの委員会ではこれ以 上議論しても、診療報酬の設定を見きわめないと何とも結論が出ないのではないかと思 います。  もう一点は、前言と多少矛盾しますけど、もし将来に対する目標という設定を、希望 という形で示すのであれば、果たして昭和23年以来できていた人員配置ということで質 の確保を担保するという考え方が適切であるかどうか。先ほど公的病院はいろいろな地 域全体に対する貢献度ということから総合的に評価してもらいたいということをおっし ゃいましたけど、それは公的病院だけではなく民間の病院も同じように評価されるべき であって、質の向上とか地域における貢献ということをもう少し外的な数値目標という 形で提示するのも1つの方法であって、余り人員配置ということにこだわると、さらに 言えば、看護婦という資格さえ持っていればいいのかどうか。精神科の専門看護婦とい うのをこのたびつくられて、まだ数人でしか持っておられませんけど、そういうものを 充実することによって一騎当千という看護婦さんもできてくると思いますので、ちょっ と後ろ向きの議論をしているのではないかという印象を、私は大学の研究者ですから、 象牙の塔の立場で申し上げているかもしれませんけど、ちょっとそういう印象を受けま したので述べさせていただきました。  ありがとうございました。 【吉川委員長】  議論の方向としてということで、今、池上委員からお話をいただきましたけれども、 これに関して何かご意見ございますでしょうか。今の議論の流れの中で、このように考 えている、あるいは感じたとおっしゃっていらっしゃるご感想も含めて、今お話をいた だいたわけでございます。どうぞ、西島委員。 【西島委員】  精神病床に関しましては、以前にも、これではなくて委員会が開かれまして、その中 で1つの報告書ができているわけでございますが、まさしく今池上委員がおっしゃった ように、要するに診療報酬上で経済的誘導をしていくと。そういう中で機能分化という のは進んでいくのではないかというふうな報告書にたしかなっていたと思うんですが、 それは非常に重要なポイントだと思いますけれども。 【吉川委員長】  今のご意見の中で、事務局の方としては何かお話しございますか。 【松本課長】  既に診療報酬でも、今、6対1以外のところで上の方でそれぞれ設定しておりますの で、西島委員もおっしゃったように、過去の議論から見ますと、診療報酬である程度誘 導を図りながら、ある程度のところで固まりができたところで機能的にそれぞれ分ける というのが1つの手法かなと思っていまして、その方向は重要な方向だと思っていま す。  あと、質をどう評価するかというのはなかなか難しいところございまして、これは相 当いろんな方々のご意見を賜りながらということで考えています。  また、事務局として考えておりますのは、診療報酬上、確かに先ほど末安委員から20 %の病院、看護の数は7%だとおっしゃっていましたけれども、診療報酬は30兆円の医 療費の中で5%ちょっとしかいかないという、確かに低うございます。長期の方々で言 えば、ひと月の医療費が30万ぐらいで済んでいると。特別養護老人ホームですとかほか と比べても、はるかにひと月対数万あるいは10万以上も差があるという現実のことがあ ります。  ただ、これはどうも私個人的なことを考えますと、精神科の場合は精神科の特性とい うことを強調して、もっと一般の他の科にわかるような形で説明してこなかったのでは ないかと。だから、これから先はそういう一般の方にわかるような、例えば病状の分 類、あるいはそういうことについてもわかりやすい形でやって、それで他の診療科ある いは保健所の理解を得て、診療報酬を引き上げていくことが将来的には必要であろうか というぐあいに考えています。 【池上委員】  そのことについて、質の評価は非常に難しいというのはおっしゃるとおりであります けど、この5年をめどにということであれば、この5年間かけてでも、新たな検討会で 質の評価を、今ある現実の環境でどうとらえるべきかと。それをこの検討事項あるいは 将来における方向性を示すのであれば、それもぜひ書き添えていただきたいと思いま す。難しいと言っている限りにおいては、そこから先進まないと思いますので、それだ けです。 【吉川委員長】  ありがとうございました。今、松本課長からお話を少しいただきましたけれども、確 かに政策的に見れば、診療報酬で誘導していく、そうした方向に今ありますし、またそ れが有効であるように見えますけれども、裏返してみますと、精神科の病床35万床のう ちの、それでは誘導されているものはどれぐらいかというと決してそんなに大きな流れ になってない。逆に言うと、35万床のうちの30万床近くは全部落ちこぼれみたいな形で いるわけですよね。これが今問題だと思いますし、この落ちこぼれを今度特例廃止の中 で固定化していっていいのかどうかということだと思うんですね。それが私はとても気 になることでございまして、今、落ちこぼれているという表現は適切でないかもしれま せんけれども、現実的に見ると、それを固定化するような議論というものをこの中で本 当にしていっていいのかということだと私は思うんです。  ですから、私は先ほど申しましたように、それでは1つはどういうステップで変えて いくのかという、そのステップをきちんと明示をするか、あるいはゴールはここだとい うことを明示しながら、みんなでそこへ向かって努力をするということをこの専門委員 会の中で考えていくかということ。いずれにしても、どちらかをやらなければ、私は固 定化することでもって、この専門委員会は終わってしまうような気がするんですね。そ こがすごく気になるんです。  そんなことを少し考えましたので、今、池上委員の話と、松本課長の話をつなげなが ら、今、私が私的な意見を少し述べさせていただきました。  そのほか、何か、今竹島委員の方から手が挙がっていましたので。 【竹島委員】  池上先生の先ほどのお話で、私も大変ヒントをいただいた思いがするのですけれど も、私の手元データで見ましても、公立病院と民間病院という区分では余り特徴が出て こない。というのは、公立病院にも長いところも短いところもある。そういうことで、 公立、民間で分けること自体に余り生産的な意味がないというふうに思っております。 ただ、それは1年後の残留率といったものを指標を加えますと、あるいは3カ月、4カ 月のうちの退院率といったところに比を加えますと随分と病院の特徴が明瞭になってく るという気がします。  もう一点必要なのは、そしたら急性期的なことをやっているところがいい病院であっ て、長い病院がいけない病院なのかということになったら、そういうことでもなかろう と。そんなところをもう少し冷静に、それぞれの役割・機能を重視して位置づけるとい うことが私はその次のステップで必要なのではないだろうか。ただ、一歩の前進を目の 前に示すためには、そこには具体的な数字といったものも目標として織り込まれないと わかりにくくなってしまうのではないかという気がいたします。  この会議では公、民という話が出ますけれども、それは余り意味がないのではないか と考えております。 【津久江委員】  竹島先生の話に追加するようになると思うんですが、先生、その前の発言のときも言 われたのですが、看護要員が多いと平均年数が減るんですよというようなデータがある のだということなんですが、実際は日精協の平均のベッド数が 250ですよね。というこ とは大体病棟が5つあると思うんですが、私の病院を例にとりましても、急性期治療病 棟で完結してないんですね。患者さんが60日で退院すると言いましたけれど、急性期治 療病棟にずっといらっしゃる患者さんじゃないんですよね。急性期治療病棟からは閉鎖 病棟でございます。ロックドア度から半開放、開放病棟、精神療養1型から退院してお られるというような、だから一概に切り口を看護婦さんの数だけで、その病院の評価と いうのはちょっと難しい。むしろ患者さんはどんどん動いていて、主治医がそれを追っ かけていて、開放病棟から退院していくのが普通の手法ではないかと思っているんで す。  それを結局進めていくと、今後5年間のうちに機能分化というものをもっと有機的に つくっていかないと、今のような、何かごちゃ混ぜのような治療しかできないなという 気がしております。  以上です。 【吉川委員長】  さていかがでございましょうか。そろそろ時間が参りましたけれども、それでは山崎 委員のご発言を最後にします。 【山崎委員】  前回の委員会でもお願いをしたんですが、民間の精神病院の場合は、建てて30年、40 年というふうに経過している病院がありまして、最初につくったときには郊外につくっ たものが、住宅が押し寄せてまいりまして、一種住専地域ですとか、そういうところに 病院があるというふうな病院が増えてまいりまして、それを建て替えるときに、これは 建築基準法の問題なんですが、全面改築した場合に、同じベッド数がつくれないといっ た話とか、それから 4.3m2のベッドを 6.4m2をとるという話になりますと、病床数が半 分ぐらいになってしまうといったことがありまして、これは精神病院に限らず、一般病 院でもそうなんですが、もとの建築基準法の建ぺい率とか高度制限とか、そういう事例 に関してのみ緩和するような法的な措置が必要であるということを盛り込んでいただけ ればいただきたいと思うですが。 【吉川委員長】 それに関しましては、確かに山崎委員から前にもお話をいただきましたし、少しまと めのところで考えさせていただきたいと思います。ただ、ここでは病床そのものの問題 でございますので、恐らく一般的な議論の中でそのことは何らかの表現をさせていただ くことはできるかもしれません。そんなふうに思っています。 【重藤補佐】 ただいまの問題ですけれども、これは精神病床に限らず、一般のその他病床、つまり 今度の一般病床になる部分についても同じ問題でございますし、それから、その他病床 から療養病床とるときも、いきなりそれは経過期間なしに適用されるということで、一 般も同じものでございますので、もちろん医療審議会の方に、公衆衛生審議会でそうい う意見があったということについてはお伝えすることはできますけれども、書く、書か ないということについても、また検討させていただきたいと思います。 【吉川委員長】 それでは少々6時を回りましたので、本日の議論をこの辺のところで閉じたいと思い ます。きょうは冒頭に申し上げましたように、先回までの議論でたたき台を出したりい たしましたが、それらのものを加筆補正いたしましたものを皆様方にお示しした上で、 それぞれ各会からいただきましたご意見をご披露させていただきました。  そして、その上で皆様方からのご意見をいただいたわけで、これらのご意見をいただ いた上で、最終的にこのまとめをしていかなければなりません。次にお集まりいただく ときには、その最終的なまとめの案を皆様方にお示しすることになるだろうと思いま す。とりあえず何点か、私が途中で申し上げましたが、この委員会そのものが精神科の 医療を後退させるようなことがあってはいいわけはありませんし、そうした考え方でこ の委員会が持たれているわけではございませんので、積極的にここまで皆様方の話をい ただいてきたわけでございまして、これらを踏まえまして、今後の我が国の精神科の医 療の在り方を考えた上で、最終的なまとめのところをさせていただきたいと思っており ます。  医療法の審議の状況を考えますと、12月1日までの今国会において成立するというこ とが恐らく考えられると思いますので、この専門委員会の結論に関しましても、公衆衛 生審議会を通じてまた出していかなくてはいけませんので、それらの手順を考えます と、そろそろまとめていかなければいけないというふうに考えています。  そんなわけで、次回の日程その他に関しまして、また、皆様方にいろいろと調整をさ せていただきたいと思います。報告書の案を作成できました段階で、それをお諮りした いと思っております。いかがでございましょうか。よろしゅうございますね。  それでは、そのように進めさせていただきます。そこで、事務局の方に次回の日程で ございますが、何かお考えがありますでしょうか。 【重藤補佐】  委員長よりお話がございましたように、今国会の会期が12月1日ということでござい ますので、そのころにはなにがしかのまとめということで考えますと、12月の最初の 週、12月4日(月曜日)でございますけれども、4日の月曜日、5日の火曜日のとこら 辺で、委員の先生方、ご都合をお聞きしまして、ここで決めていただければ幸いかと存 じますけれども、よろしくお願いいたします。 【吉川委員長】  この後、恐らく各先生方には、また、細かいことでご意見をちょうだいする機会があ ると思います。次回の委員会までの間にもさまざまご連絡をさせていただきながら、あ るべき姿を探っていきたいと思いますので、その節はご協力いただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。  それでは、本日の第5回の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会を閉じさ せていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 −了− 照会先  社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課 泉 内線3056