00/11/12 生殖補助医療技術に関する専門委員会(第25回)議事録     厚 生 科 学 審 議 会 先 端 医 療 技 術 評 価 部 会      生 殖 補 助 医 療 技 術 に 関 す る 専 門 委 員 会                 ( 第 25 回 )                 議   事   録         厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        生殖補助医療技術に関する専門委員会(第25回)議事次第 日 時 平成12年11月12日(日) 10:30〜16:45 場 所 はあといん乃木坂2階 211号室  1 開 会  2 議 事   (1)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方について   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕   中 谷 委員長   石井(ト)委員  石井(美)委員  加 藤 委 員 高 橋 委 員 辰 巳 委 員 田 中 委 員  丸 山 委 員  矢内原 委 員 吉 村 委 員 ○小林主査  ただいまから「第25回厚生科学審議会先端医療技術評価部会・生殖補助医療技術に関 する専門委員会」を開催します。  本日は大変お忙しい中、日曜日ということですが、お集まりいただきましてありがと うございました。  それでは、議事に入りたいと思います。中谷委員長、議事の進行をよろしくお願いい たします。 ○中谷委員長  本日は日曜日にもかかわらず、地方からも全員ご出席いただきましてまことにありが とうございます。 それでは、本日の議事に入ります前に、事務局からきょうの資料の確認をお願いいた します。 ○小林主査  本日の資料でありますが、まずいつもどおり「議事次第」ということで1枚ございま して、2つ目「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書 (案)」がございまして、一つは見え消しが入っていないもの、もう一つは今回、前回 までの案を報告書全体の中に入れ込んだのですが、その中の変更があった部分につい て、見え消しで書いたものです。  それで今、たたき台の方の資料を用意しておりますので、後ほど、この報告書案とた たき台との関係についてご説明しようと思うのですが、基本的にはたたき台に沿って、 この場で議論のあったことを事務局で整理して書かせていただいたということです。資 料がまた来ましたらご説明いたします。 ○母子保健課長  大体このあたりを、ご説明したら。 ○小林主査  たたき台がないのでわかりにくいかもしれませんが、先に説明した方がいいというこ とですので。目次のところをご覧いただけるとありがたいのですが、まず最初に「はじ めに」というところがございまして、1の「本専門委員会による検討を必要とした背 景」ということでして、これはたたき台にも同じ題名のものがございまして、そこのと ころに書かれていたものを、この場であった議論を踏まえてふくらませて書かせていた だいたということです。  次は2ですが、「本専門委員会における検討の経緯について」ということで、こちら はたたき台にはないのですが、かなりの回数ご検討いただいておりますので、どういっ た検討をしてきたかこらちの方で書かせていただきました。  次のIIの「意見集約に当たっての基本的考え方」ということですが、これも同じ題名 がたたき台の方にございまして、ここに書いてあることをまた報告書(案)の方にも書 かせていただいたということです。  次がIIIの「本論」、まず1の「精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療の是非 等について」というところですが、このうち(1)「精子・卵子・胚の提供等による生 殖補助医療を受ける者の条件について」、この部分は前回まで提出させていただいたも のに若干修正を加えましてこちらの方にも書かせていただいたということです。  次の(2)の「各生殖補助医療の是非について」というところですが、これは前回順 番を、従来は(3)だったのですが前にした方がいいというご意見があったと思います ので、こちらの方を前にさせていただいたということです。 4が、すいません、ワープ ロのミスでして、余剰卵の移植と書いていますが、正しくは「余剰胚の移植」です。  次の(3)「精子・卵子・胚の提供者の条件等について」というところですが、この 部分も前回まで提出させていただいたものに若干修正を加えてこちらの方にも入れさせ ていただいたということです。なお、そのうちの 4なんですが、これは前回議論がござ いまして、そこの中で匿名性の保持とは別立てで兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提 供について書いた方が整理がよかろうということでしたので、こちらは別項目というこ とで立てさせていただきました。   5から10が、今回初めて報告書の形式で出させていただいたものですが、基本的には これもたたき台に書かれていたものを、委員会におけるご議論を踏まえまして中身をふ くらませて書かせていただきました。  次に2「規制方法及び条件整備について」、まず(1)「規制方法」というところで すが、ここは前回までの案の冒頭にあった罰則のところをこちらの方に移して、あと、 ご指摘がありました、秘密を漏らした者に対するものも組み込んだということになりま す。  これは少しご議論いただいた方がいいのかと思うのですが、見え消しのものの26ペー ジになりますが、代理懐胎に関する罰則を今回も書かせていただいているのですが、こ れは前回のものを引き続いてということですが、書き方が「代理懐胎の実施・実施の斡 旋」ということでして、要は罰則の対象になるものが実際に施術した医者なのか代理懐 胎を依頼した者なのか、あるいは代理懐胎を依頼されて受諾した者なのか、その範囲が いまひとつ不確かだということでして、そこはご議論いただいて、もう少し詳細に書い た方がいいかと思っております。  あと、今の段階では、あえて営利、非営利ということを書いてないのですが、もし委 員会の先生方のご議論が、これは上の「精子・卵子・胚の授受・授受の斡旋」と同じよ うに、営利目的の場合だけについて罰則をかけた方がいいのではないかということであ れば、ここもそういった形に修正した方がよいのかと思っております。  それで戻りまして、次の(2)「条件整備」ですが、 1「親子関係の確定」というと ころですが、そちらももともとたたき台にあったものをほぼそのまま写させていただい て、それに理由等をつけさせていただいたということです。   2の「出自を知る権利」ですが、これは前回提出させていただいたものをそのまま今 回も転記しました。   3と 4ですが、これもたたき台にあったものを少し内容をふくらませて書かせていた だいたということです。  最後に「終わりに」ですが、この部分はたたき台でいうと付記に当たる部分を文章を 起こして若干ふくらませて書かせていただきました。たたき台にもあるように、この報 告書に合わせて、前もってご議論をいただいておりました「多胎・減数手術」について も、別添という形で併せて添付させていただいております。  簡単ですが以上でございます。 ○中谷委員長  どうもありがとうございました。それでは、どうぞご自由にご発言をいただきたいと 思います。 ○石井(美)委員  議論に入る前にあれなんですが、きょう別添の「減数手術」のところまでいきます か。いくのであれば、これはちょっと違いますよね。従来のあれを、書き直されたのだ とは思うのですが、前にまとめられたのをそのままではない。 ○小林主査  そのはずですが、違いますか。 ○石井(美)委員  わからないので、私手元にちょっとなかったもので、従来のところがあったら欲しい と、きのうファックスを送ろうと思ったら、なぜか厚生省は休みだった。でも休みでも ファックスは動くはずなんですね。 ○小林主査  停電だったんですね。 ○石井(美)委員  停電だったんですか。何でかなと。いくのであればちょっと確認はしたかったんです が、ただ、きょうそこまではいかないのではないかなという気もいたしますので。 ○小林主査  未定稿という形でつくっていただいたものをそのままつけたつもりだったんですが、 それは確認させていただきます。 ○丸山委員  どこかの段階から1字ずれているんですけれども、37ページの下から3行目。 ○石井(美)委員  どっちを使うかをはっきり決めませんか。 ○丸山委員  参考でない方。 ○石井(美)委員  見え消しでない方ですね。 ○丸山委員  37ページの下から3行目。よろしいですか。例のすったもんだしたところというか、 議論が沸騰したところです。「四胎以上、やむを得ない場合によっては」というのは、 これはどこかの段階でそうなったんですか。当初は「あっては」だったんです。「やむ を得ない場合にあっては三胎以上」。 ○加藤委員  「やむを得ない場合には」ではいけないんですか。 ○丸山委員  いいんですよ。 ○中谷委員長  「場合には」の方がいいですね。 ○丸山委員  それだったら「よって」を全部とってしまう。「やむを得ない場合には」、外部の雑 誌にも「よっては」のまま引用されて掲載されているのがありますので、ちょっとまず いなと思って。 ○小林主査  そうですか。 ○丸山委員  ホームページに載っている議事録が「よっては」になってしまったんですね、どこか の段階で、それでそのまま。 ○母子保健課長  私どもの理解としては、最後に減数手術の議論をしていただいたのは昨年7月ごろで したね。会議中に修正が入って、その修正したものを記者レクのときに、私の前任の課 長が報告、こんなふうな修正があってということで、原文とその修正したものを説明し て、その段階で止まっているんですね。一応それをお示ししたつもりなのですが、確認 をさせていただきます。 ○丸山委員  当事者団体が出す資料の中でここがおかしいから、適当に直してくれているんです ね。ですから、こちらの方もお願いします。 ○小林主査  わかりました。 ○辰巳委員  ついでによろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○辰巳委員  その前の36ページの5の2つ目の丸の下から2行目で、「また、受精卵をタイミング よく子宮に移植することにより」という部分がございますが、この文章は非常にあいま いというか、もう一つ何を言っているかわからない。この部分削除した方がいいのでは ないかと思います。「また、受精卵2個の移植でも相当の妊娠率が得られるという指摘 もある」としてしまった方がいいように思います。 ○石井(美)委員  こういう形で直すならばあれなんですが、これが最終案だとしても、多分私最後のと きに、これ、そのままにはしませんよねという確認はとっているはずなので、私、この 2をこのまま出す、行政関係学会のこれでいいかというのがちょっと疑問があるもので すから、その点は留保させていただきたいと思うんですね。 ○母子保健課長  これはあくまでも案という形でつけていますので、ご議論いただくなり、またご意見 をファックスでいただいて、それを入れながら議論していただくという前提で考えてお ります。  1点、恐縮なんですけれどもご説明させていただきます。きょうこれを一応報告書案 ということで、見やすい形で、全体はこういう姿になりますがということでお示しさせ ていただいたわけですけれども、もし可能であれば、前回までにお示しした中核になる 部分のご議論を既に大分していただいたといいますか、実際には近親者の関係でほぼそ れだけで時間が終わったわけですが、あそこの部分が報告書の中心部分になるのかなと 思っておるのですが、そのほかの部分の確認といいましょうか、特に個別技術について コンディショナルな周辺部分がこういう条件ならばどうかという形で論理が展開されて おるわけですけれども、そこの骨格部分について、ある程度議論を深めていただいて、 概ねこの試案の形でいけるのかどうかをまずご議論いただければと思います。もちろん 決定ということではありませんが、そういうことがある程度議論されて、あと全体のこ とも含めて議論していただけるとありがたいかなと思っております。これは事務局とし ての日程が限られている中で中心部分がある程度固まっていかないと難しいのかなとい う思いでおります。周辺部分については、これまでの議論の中でかなり枠組みとしては 提示がされていて、それを踏まえた上での個別技術の議論はできる段階にはなってきた のかなと事務局的には考えておりまして、先生方よろしければ、その辺、ご配慮願えれ ばと思います。 ○中谷委員長  案でありますから、これで確定するわけではありませんけれども、それでも中核がふ らふらしているのではしようがありませんから、最初から見ていきますか。 ○吉村委員  兄弟姉妹からのことはこの前随分話したんですが。 ○中谷委員長  どれの? ○吉村委員  今までの経過を言っているだけなんですけど、今までは卵子提供をずっと話しまし て、兄弟姉妹を話してきたんですね。その後が「書面による同意」それ以下が加わりま したね。「書面による同意以下」で文章的にもおかしいところはありますし、それか ら、言っていることがわからないところもあるわけです。それをやっていかないと、初 めからやるとまたもとに戻っちゃうというような感じがしますので、今回のページだ と、15ページの 5の「書面による同意」というところからは話されていないと思うの で、ここからやっていったらどうかと思うのですが。それまでに今まで読まれたところ でおかしいところがあったら言えばいいということにしたらどうでしょうか。 ○石井(美)委員  賛成するのですが、殊に文章的な問題ではないので四角に囲った中を一度全部通した 方がいいのではないかと思います。その議論の前提として、下はまず読む必要あると思 いますけれども、字句の訂正は後で可能だと思うので、四角の中が合意できるかどうか 確認していくのがいいのではないかと思うんですが。 ○中谷委員長  そうしますと最初は。 ○石井(美)委員  ただ、13ページの 4はこの間のをまとめたの、これでいいのかどうかはやらなくては いけないのだろうと思います。 ○吉村委員  ここから始めたらどうでしょうか。 ○石井(美)委員  その前にもう一つ、言葉からいけば、この間の「第三者」だけをとったの、初めの方 だけ直っていて後の方はまた使っているんですよね。 ○小林主査  整理としては「第三者」と「提供」があると重なっておかしいのでと、「提供」と書 いていたところについては「第三者」はとっています。ただ「第三者の精子・卵子・胚 を用いた」という場合には「第三者」をとると、自分の精子・卵子・胚も入ってしまい ますから、そこは「第三者」を残しています。そういう整理です。 ○石井(美)委員  というよりは、言葉を使い分けないで1つの言葉にした方がいいのではないかとは思 うんですけれども。 ○小林主査  もし、そういうご意見であれば。 ○石井(美)委員  繰り返し同じ長い言葉が出てくるのがいいのかどうかというのがよくわからないんで すけど、私などからいくと「非配偶者間」という言葉がとってもわかりやすいんだけれ ども、法律家でない人にとってはその方がわかりにくいか、その辺をちょっと、非配偶 者間の人工授精、体外受精ということで言えばとらえられるのだけれども、そういうと 法律家でない人にとってはかえってわかりにくい言葉だとすれば、それはやめた方がい いかもしれません。ただ、読んでいるととても長い言葉が繰り返し繰り返し出てくるの で読みにくいなと思います。それで後で使い方が違った使い方も出てくるので、とても わかりにくいんですね。 ○中谷委員長  吉村委員、矢内原委員いかがですか。法律家の目から見るとそうだけれどもというこ とがもしありましたら。 ○石井(美)委員  それは最後のときでもいいかと思います。どういう形で表現するかというのは。 ○丸山委員  私は「第三者の精子・卵子・胚を用いた」の方がわかりやすいような気がします。 ○石井(美)委員  「第三者」をとっちゃいましたよね。 ○丸山委員  さっきの提供がないところは入っていますね。 ○石井(ト)委員  きょう渡された読売新聞の記事の状況説明をお願いできますか。 ○石井(美)委員  「第三者提供」と書いてありますね。 ○加藤委員  石井さんは「第三者」は嫌い。 ○石井(ト)委員  専門委員会から、新聞の資料が出ましたので。 ○中谷委員長  わからないから……。 ○石井(ト)委員  これはもうわからないということで無視していいんですね。 ○吉村委員  無視していいそうです。 ○石井(ト)委員  無視していいんですか。 ○加藤委員  例えば夫婦がいて、また兄弟がいて、それよりももっと外の第三者という意味に使う ということはあり得ないんですね。例えば夫婦の兄弟と夫の弟なんていうのは第三者に 入らないという解釈をされる可能性はないんですね。 ○丸山委員  それは場合によってはあると思いますが、ここでは依頼人で、カップルが当事者です から、それ以外の第三者という意味で使っている。 ○加藤委員  どんなに身近な人でも「第三者」と言うということですね。 ○吉村委員  父も第三者ですね。 ○加藤委員  一般の人だとその辺は誤解の余地はあるのではないでしょうか。 ○石井(美)委員  というので、この間は、私は「第三者」をとった方がいいのではないかと言ったんで すけど。 ○加藤委員  非常に身近な人を「第三者」と言わないものね。 ○丸山委員  誤解の可能性をなくするためにその言葉をやめましょうという趣旨なんですか。 ○石井(美)委員  この間外したのはそういう趣旨です。 ○中谷委員長  「非配偶者間」。 ○丸山委員  「非配偶者間」になると、どっちが依頼者か、どっちがカップル、主体かというのが はっきり出ないような気が私はするんですね。配偶者でない者同士が体外受精するとい うような感じがして。 ○加藤委員  「他人」という言葉も、身近な人は「他人」と呼ばないという形で「他人」と言って いる場合と、私以外の人は皆「他人」だという意味で使っている場合と両方あるんです よね。 ○丸山委員  当事者以外の者、当事者の範囲をどこに置くかで違ってくると思うんです。 ○石井(美)委員  この場合の当事者が夫婦であることはここで合意できると思うんですけど、ただ、肉 親の話が出てくるものですから、そこでまた「第三者」という言葉を使うと、区別して 使っているのかなという誤解を招くのではないか。 ○小林主査  1つのやり方としては、今の、第三者の精子・卵子・胚を用いた生殖補助医療、を全 部そろえて、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療、とするというのは1つの手だ と思いますが、それでよろしいということであれば。 ○石井(美)委員  私は提供を前に持ってきた方が、提供精子・提供卵子・提供胚という形になれば、後 でも同じ言葉が使えるかなと思ったんですね。それは言葉の問題ですので、それは後で 調整は可能かと。ここでは「第三者」といっても、言葉の合意はなされているから大丈 夫だと思います。 ○中谷委員長  最初に出てくるときに「『第三者』とはこういうものをいう。以下同じ」というふう にしておけばいいわけです。 ○小林主査  そうですね。適当な短い言葉があれば、確かに長いのを何度も言うのはよくないの で、今、石井(美)委員が言われたような、この委員会の場で適当な言葉が出てくれ ば、全部「以下」ということにした方がいいかと思いますが。 ○母子保健課長  具体的な提案がありましたら、こちらにいただければ、それをもとにして修文の可能 性も出てきますので。 ○石井(美)委員  13ページまで行かないあいだに、よろしいですか。ちょっと四角の中で気になったの ですけど、9ページ 4の「余剰胚の移植」で、ただし書き、3番目の丸のところで、 「精子提供又は卵子提供を受けなければ妊娠できない〜」ということで、精子の提供の 必要の場合、丸2まで拡大するという案はなかったのではないかと思ったんです。 ○小林主査  前回ちょっとご説明させていただいたんですが、なぜ精子提供を入れたかというと、 対価を認めないことに基本的になっていますから、卵子の方が身体的なリスクがあると いうことで、より提供者がいないということが起こりうると思うんですが、精子も提供 者がいなくなるということは想定できると思うんですね。そういう可能性があるのであ れば、本当はそういうことも起こらないのかもしれませんが、ここの言葉としては精子 提供も書いておかないと、理屈としてちょっと合わないのかなということで入れたので すが。 ○石井(美)委員  私自身は卵子の提供というのは、提供者にかなりの負担を課すことになるから、余剰 胚の方がいいという選択というふうに吉村先生が説明されて、それは本来は丸2の場合 に限るのだけれども、例外的にただし書きで認めようという趣旨だと思った。精子の提 供で足りるところにまでそれを広げる必要があるのかなと思うんですけれども、確かに 男女の平等に反するという考え方はあるかもしれませんが、そこは平等、卵子と精子の 違いがあるのではないかと思ったものですから。 ○小林主査  より難しいのは、身体的リスクのある卵子の方だと思うのですが、無償ということに なりますとどうなのか。もし、それでも卵子ということであれば、ここは削除というこ とでもよろしいのかと思います。 ○丸山委員  卵子の場合はとりわけ難しいから例外的というか、多少理屈は通らないのだけれど も、卵子については……。 ○石井(美)委員  認めてもいい。 ○丸山委員  入手困難だから余剰胚の方を認めてもいいとしたので、精子まで入れると、AIDを しないで胚を提供してもらおうということを認めることになってしまいますね。バラン スを気にするような箇所ではなくて、むしろ例外的にやむを得ず卵子については認める というところで。 ○吉村委員  それは私もそう思います。 ○小林主査  そうしましたら提供精子のところは全体的にここは消すということで、もしご異論の ないようであればそういたします。 ○加藤委員  この趣旨は、精子がだめな場合でも胚の提供を受けることができる、そういう趣旨な んですね。 ○小林主査  無償ですので、精子もあり得るかということで記載したのですが。 ○高橋委員  そういう場合も中にはあるでしょう。だけど、非常に少なく例外的ですね。 ○吉村委員  AIDを受ければいいわけですから。 ○石井(ト)委員  矛盾していますよね。AIDや精子の場合はだめで、ですから「ただし」のところは 「精子」を削除してもらいたいと思います。卵子は考えられますけど。 ○小林主査  そういうことでよろしいということであれば削除します。 ○吉村委員  石井先生は前にもらったもので言っているんですね。 ○石井(美)委員  いや、今は同じ9ページ。 ○矢内原委員  9ページまでは同じなんです。 ○母子保健課長  わかりにくくて申しわけありません。この「資料」と右肩に書いたあるものが見え消 しでなくてきれいになったものです。右上に「参考資料」と打ってあるのが見え消しの ものです。今、一応資料ということできれいな方で見ていただいているということで。 ○加藤委員  ここまではいいわけですか。 ○辰巳委員  7ページの 2「提供精子による体外受精」、その次の 3「提供卵子による体外受精」 のところもそうなんですが、2つ目の丸、「ただし、この際、精子の提供に併せて卵子 の提供を受け、新たに胚をつくることはできない」、これはこのままで最終的にいいの でしょうか。余剰胚がないような状況でも起こりうると思うので、精子も卵子もないと いった場合に、精子もドナー、卵子もドナーという状況を認めるということを禁止する べきであるのかどうか。 ○加藤委員  私はこれは要らないと思いますね。水は口に入れてもいいけど、砂糖水は危険だとい うような、おかしな感じで。 ○中谷委員長  余剰胚がよければ、両方の提供があってもいいわけですよね。 ○辰巳委員  余剰胚がない可能性もあるというのと、それから、余剰胚というのはある夫婦の胚で すよね。ところがこの場合の胚というのは全く無関係の人からできた胚ですから、ちょ っとニュアンスが違うと思うんですね。 ○中谷委員長  余剰胚を受けるのは胚をつくったご夫婦とは違う人でしょう。 ○辰巳委員  胚の思い入れが、胚自身が……。 ○加藤委員  両方提供の場合には、精子の提供者と卵子の提供者は夫婦でない場合もあるわけです ね。ですからそれを禁止する必要があるかということですね。私はないのではないかと 思います。要するに我々が合意しているのは、卵子の提供の場合に提供者に新しい身体 的な危険を与えるということでしょう。 ○吉村委員  まず、それは個別に語っていった方がいいと思うんですけど、ここで言っている 2の 「提供精子による体外受精」に関しては奥様は卵子を持っているわけですね。提供精子 による体外受精の場合は奥様は卵子を持ってないと提供精子による体外受精できません よね。その場合に卵子の提供を受けてはいけませんということなんですよ。 ○加藤委員  それならわかります。 ○辰巳委員  ある人が来られまして、無精子症とわかりましたと。それで奥さんを調べてみたら卵 子がなかったという場合。 ○吉村委員  それは 2と 3には入ってこないですよ。 ○辰巳委員  そうですか。そういう場合は。 ○加藤委員  自分の卵子があるのに、他人の卵子を使ってはいけないと、そういうことですね。 ○吉村委員  他人の卵子を使ってはいけないということです。 ○辰巳委員  そういう場合はどこに入るんですか。 ○吉村委員  そういう場合は今のところないですね。胚の提供にしかならないですね。だから、そ こはもし入れるとするならば、胚の提供でその意見を言わなくてはいけないということ ですね。だから、先生の条件は、胚を提供を受けなければ妊娠できない夫婦になるわけ ですね。その場合の条件として入れなくてはいけない。 ○加藤委員  7ページの方は、自分の卵子があるのに人の卵子を使ってはいけない、そういう趣旨 になるわけですね。 ○吉村委員  はい。 ○加藤委員  8ページの場合もそうですか。 ○吉村委員  8ページの卵子の場合は、だんなに精子があるのにという意味です。 ○加藤委員  自分の精子があるのに他人の精子を使ってはいけないということですね。9ページは どうなんですか。 ○矢内原委員  9ページは両方ないから胚。 ○吉村委員  そこにそういった余剰胚がない場合に精子も卵子も提供を受けることはどうしたらい いか、そういうことですね。 ○辰巳委員  はい。 ○加藤委員  9ページの場合に、ただし書きがなければ、全然別の第三者から精子と別の第四者か ら卵子をもらって子どもを産む場合というのは禁止になるということになりますね。 ○吉村委員  言及してないですね。 ○石井(美)委員  「提供される胚は、余剰胚に限る」と書いてありますから、それが禁止されていると いうこと。 ○吉村委員  禁止されているということになりますね。 ○加藤委員  「提供される胚は、余剰胚に限る」のだから、両方からもらってくるのはだめという ことになるわけですね。それが必要かどうかという問題ですね。 ○吉村委員  そういうことです。それが新たに今出された問題ですね。 ○石井(美)委員  たたき台案はそうだったもので、見出しから「余剰胚の移植」になってしまって、胚 提供という話はなくなった。 ○加藤委員  私は事情がよくわからないのだけれども、卵子の提供は提供者が危険を与えるという 理由が使われているわけですが、自分が不妊で卵子を採取してもらう場合に、例えば10 個採取して、そのうちの1個を人に提供する場合も危険が増えるんですか。 ○吉村委員  いえ、増えません。 ○加藤委員  増えないわけですね。ただ、実際には妊娠の成功率が低くなるから提供に同意しない だろうと。 ○吉村委員  それはシェアリングということで、一応提供卵子による体外受精の丸の中に書いてあ るんです、そういうのも認めましょうと。 ○加藤委員  そうですね。リスクが増えないでも卵子が提供されて、なおかつ精子が提供されれば 出産できるという場合に、「提供胚は余剰胚に限る」とすると、それを禁止することに なりますよね。 ○田中委員  辰巳先生の言われたケースはあると思うんですね、少ないですけれども、両方……。 ○加藤委員  それを禁止する理由がないと思うんですけど。 ○田中委員  禁止というか、まだその問題は触れてないですよね。 ○加藤委員  「提供される胚は、余剰胚に限る」という文言があれば、これは事実上禁止になるん ですね。 ○田中委員  確かに症例は少ないと思うんですが、ご主人が悪くて、ずっと年限がたって顕微授精 が出てきて、やっと男性がオーケイとしたときには女性が年とっていたとか手術したと か、そうやって両方だめになることもあるんですね。だから両方の配偶子を使った治療 を希望されることはまれですけど、ゼロではないと思います。 ○石井(美)委員  ただ、加齢によるのはだめですから、今の話はだめなんだと思いますが。 ○田中委員  条件として、そういう両方が妊娠できないような条件はあると思うんです。 ○石井(美)委員  だから余剰胚を認めるという、その場合は余剰胚にしてくださいというのが私たちの 案だったわけです。余剰胚がないのではないかと言われると、現実には余剰胚というも のはあるわけですね。それを提供する人がいないのではないかという問題ですね。要す るに自分たちの子どもがどこかにいると思うことが嫌だと。自分たちの子どもではな い。自分の子ではあってもということで。 ○中谷委員長  私も田中委員のように考えまして、そういう場合を認めてもいいのではないかと思っ て発言をしたのですけれども、それはだめだと。石井(美)委員の方から。 ○矢内原委員  Aさんから卵子をもらって、Bさんから精子もらって、Cさんに、よくないという。 ○加藤委員  積極的に禁止する理由はないのではないか。 ○吉村委員  先生の理論から言うとありません。だから私たちもそれに対して反発はないけれど も、初めからすべてをすべて、何でもありになるわけです。そうすると先生、基本的 に。 ○矢内原委員  何でありでもいいではないかという。 ○吉村委員  先生の何でもあり理論に関しては、なかなか反発することができないんですよ。とこ ろがまず胚に関しては余剰胚でやってみて、卵子に関してはやってみて、それからでも 遅くはない。 ○加藤委員  でも「提供される胚は、余剰胚に限る」となると、もうほかの可能性は禁止というこ とになるんですよね。それは禁止の理由として、どう考えても危険が増えるという理由 が使えないとすると、この禁止はできないということになると思いますよ。 ○矢内原委員  これは卵子の提供よりか、先にこっちの方がやりいいだろうということで、卵子の提 供の方を……。 ○加藤委員  ですから、極力余剰胚で問題を解決してほしいという趣旨はよくわかるんだけれど も、余剰胚でなければ使ってはいけないというのはやり過ぎだと思うんですけれども ね。 ○石井(美)委員  卵子の提供ということ自体が少ないだろうと私たちは予想しているので、それは精子 はあるけど、卵子がだめという人にまず機会を与えて、両方だめな人は余剰胚をしてく ださい、そういう趣旨なんですね。 ○加藤委員  それはいいんですよ。そういう順番でやりましょうというので、それでもだめな人だ っているじゃないかということだし、そういう提供の機会が得られるかどうかはわから ないし。 ○吉村委員  そういうケースは非常に少ないですけど、極めてまれだと思います。加齢を除けば、 ほとんどが加齢が関係してきますから。そういう患者さんで、今まで私が会ったことが あるかというと……。 ○加藤委員  非常に少ないのだから、それを許容しても、実際にそれがしょっちゅう行われるとい うことではないわけでしょう。それをわざわざ禁止するということも必要ないわけでし ょう、実用上ほとんど。「提供胚は、余剰胚に限る」という根拠のない制限をそこで加 えた形になるんですよね。 ○石井(美)委員  根拠がないとは思わないですね。余剰胚を活かす方がいいという判断ですね。 ○加藤委員  それは勧告なんです、禁止にはならないんですよ。余剰胚を活かすのがいいというの はあくまで勧告の線でとどめるべきで。 ○中谷委員長  もし、これを「原則として、余剰胚に限る」としたらどうですか。 ○加藤委員  それは政治的な解決ですね。私は「原則として、余剰胚に限る」という禁止はできな いと言いたいわけですね。 ○丸山委員  人を専ら生殖の手段として扱ってはならないという点から考えるとこの場合は、精子 の提供または卵子の提供ではなくて、2人の提供が必要になりますよね。他方、余剰胚 の場合はそういう新たな負担が起きないので、そういう道具性の禁止のあたりから説明 はできないですか。 ○加藤委員  無理だと思います。 ○丸山委員  無理ですか。 ○加藤委員  それはカントの誤解だと思うんですけれども、人を手段としてのみ使ってはいけない という条項を実際使えると思っている人はいますけれども、私はそれはほとんど実用的 には使えないと思います。それは時間がないから説明しませんけれども。 ○中谷委員長  1970年代にはドイツではそういう理論がかなりありまして、特に女性を孵卵器のよう に扱ってはいけないという主張はたくさんありましたけれども。 ○加藤委員  孵卵器のみ使うということは事実上不可能だと思うんです。 ○丸山委員  代理母の場合と借り腹の場合とは違いますけれども、ここは提供だけなので。 ○加藤委員  実際には提供される卵子というのは不妊治療でまだ受精してない状態の卵子を使うわ けでしょう。それで精子の提供者は別にいるという条件ですよね。非常に珍しくても、 それまでどうしてもいけない理由は成り立たないと思います。 ○中谷委員長  私も、その必要がある場合にあるだろうというふうに考えていたものですから、この 前もそれを申し上げたんですけれども、どうでしょうか。 ○加藤委員  「提供される胚は、余剰に限る」という条項を削れば問題ないんじゃないですか。 ○中谷委員長  完全に削除というのはどうでしょうか。矢内原委員いかがですか。 ○矢内原委員  一番最初の項目を外しちゃうんですか。 ○加藤委員  はい。 ○吉村委員  そうすると胚をつくるということになりますね、人為的に。 ○加藤委員  提供専用に。 ○矢内原委員  専用に胚をつくる、余剰胚に限らずね。 ○丸山委員  現実には少ないだろうという見通しのもとにですね。 ○吉村委員  現実に少ないだろうけど、それは関係ないとして、そういうために胚をつくっていい のか。それは倫理的に全然問題ならないですか。 ○加藤委員  問題にならないんですよ。その胚をつくって、出産以外の目的で使う場合、例えば、 それでもってエンブリオニック・ステームセールの培養をする場合にはそれをやっては いけないという考え方はNIHでも使っているんですよ。だけど、それでもって子ども をつくる場合には構わないという考えなんですよ。 ○吉村委員  先生、それはそうですか。 ○加藤委員  だから、それで子どもをつくる以外の目的で、受精卵を意図的につくって、それを子 どもつくる以外の目的で使うと人工妊娠中絶問題と同じ問題が起こると。 ○吉村委員  クローンの科技庁から出ている案においても、意図的につくって、それを移植しては ならないという項目がすべてのものに入っていますよね。 ○加藤委員  それは核移植した場合でしょう。 ○吉村委員  核移植もそうですけれども、そういった配偶子と配偶子を合わせてつくって、それを 移植してはならない。 ○加藤委員  それでは体外受精できないじゃないですか。 ○吉村委員  そうではなくて、それは全く婚姻関係にも何もない、卵子をもらってくる、精子をも らってくる。あの場合にはもちろん核移植やったり、細胞……。 ○加藤委員  クローンの場合の禁止条項は全然ここに関係ないと思いますけれども。 ○吉村委員  胚をつくるために配偶子を両方からもらっていいと。 ○矢内原委員  辰巳先生と田中先生に伺いたいんですけれども、実際に3人インボルグするわけです ね、精子提供者、卵子提供者、そしてそれを受ける人がいますね。それをタイミングよ く3人を合わせて、妊娠のために胚をつくるということは可能……。 ○吉村委員  それは可能ですよ。それは全然難しくない。 ○矢内原委員  じゃあ、ストックしておかなければいけないんじゃないかと思う、そのために。 ○吉村委員  男性はいつ来てもらってもいいわけだし、精子は凍結しておけばいいわけだから、卵 子だけですよ。 ○加藤委員  要するに男性に来てもらってそこでサケの産卵みたいなことをやれば、ぱっとできち ゃうんじゃないですか。 ○吉村委員  それは男性は来なくてもいいんです。1週間前に来ていて凍結しておけば、女性だけ 合わせればいいわけですよ。 ○加藤委員  男性は冷凍品を使えるんだ。 ○吉村委員  それは難しくはないですけど。 ○加藤委員  矢内原先生、この例が非常に少ないか多いかという問題ではなくて、どんなに少なく ても禁止できないのではないかということを言っているわけですよ。 ○吉村委員  それはわかります。 ○田中委員  技術的なレベルで言いますと、第三者の配偶子を使った治療というのは、凍結技術が 根底にあるというのが大原則なんですよ。凍結技術がないと治療にならないんです。で すから精子も卵子も受精卵も、卵子の場合は未受精卵ではなく受精卵ですが、それがあ れば、精子は前もって凍結する、卵はシェアリングして、卵子をもらったときに希望者 の精子と一緒にして、また凍結すると。 ○矢内原委員  対象者がいないのに凍結してそういうストックをしておくというような分野が新たに できちゃうのではないかと思ったんです。それは商業的なものにすごく結びつきやす い。例えば長い間順番を待っていて、やっと胚ができましたよというのだったら可能 なんですけれども、めったにあるものではないわけでしょう、卵をただでくれるのは、 精子はあるにしても。そうすると今度来る人のためにとっておきましょうという意図が 図られたときに、余剰卵のストック場ということが非常に商業主義につながるのではな いかということをおそれているんですね。確かにそれは禁止に値することではないとい うことはよくわかりましたけれども。 ○石井(美)委員  加藤先生流に言うと、何でもありという言い方はともかくとして、もともとすべて許 されている。私たちは今あることを禁止しようとして考えているのかというと、そうで はなくて、私たちは基本的に、これは普通の子どもをもつ持ち方ではないというわけで すよね。どのような場合に人為的な手助けをして子どもを持つことを認めましょうかと いう観点から考えて、だから、こういう場合は許されるという観点で、私たちは書い て、これは禁止されるべきことなんだという、そういう発想ではもともとなかったとい うことがあると思うんですね。  それで余剰胚がなかったら、提供者がいなかったらどうするのか。私はそのときには 子どもを持つことはあきらめてもらってもいいのではないかと、極端な話、自分たちの 精子でも卵子でもないということであるならば、養子という方法もあり得るわけですか ら、無理してという、余剰胚を……。 ○加藤委員  ここであきらめるか、もう一つ、ワンチャンス考えてからあきらめるかというのは、 クライアントの方の事情であって、石井先生のご判断というのは関係ないんじゃないで すか。私も余り深追いはしない方であきらめの早い方なんですけれどもね。 ○矢内原委員  余剰胚というのは本当にたくさん出てきますか。要するに15%の成功率という、今の ことから考えると、たとえ10個の胚を凍結したとしても、2つずつ戻して1回10個全部 使って、やっと1回妊娠するというのが理解でしょう。 ○吉村委員  それよりも、先生、これだけ両方ともそうやって受けなくちゃいけない人がどのくら いいるかということの方が問題ですから、私は別に余剰胚が、それが足りるか足りない かというのはやってみないとわからないですよ。 ○加藤委員  物すごく不足するんじゃないですか。薬品会社が物すごい手をまわしてどんどん買い 占めていきますよ、下手をすると、ヤミで。 ○吉村委員  だからそれはわからない。 ○石井(美)委員  そういうことは認められません。 ○吉村委員  だから、それはやってみないとわからないですよ。卵子がなくて精子がなくて、とい う人が本当にどのくらいいるのか。私は加齢以外の人でそういう患者さんに会ったこと ないですから、加齢を含めてそういう人もいるのだということになれば、それは私には わからないですけれども、どこまでを加齢とするかということだってまた問題ですし、 それは拡大解釈によってどういう解釈もできますから、今のガイドラインだと。そうす るとクライアントがどの程度いるかということですね。 ○中谷委員長  私は適格なカウンセラーがいれば、子どもが必ずしもいなくたって、人生は充足でき るのだという、そういうカウンセリングをやれば一番いいと思っていますけれども、個 人的には。でもそうは言ってられないみたいですね。 ○矢内原委員  そういう方法があるのだから、 100人のうちの1人でも、うんと少なくても、それを シャットアウトしてしまうほどのことではないというのが加藤先生の理論ですよね。チ ャンスは残しておいてあげなさいと。 ○石井(美)委員  その例外的な場合も余剰胚では足りないと考えるかどうかということですね。私もう 一つ懸念するのは、胚になってしまうと、精子・卵子というのはそれだけでヒトにはな らないんですけれども、胚はヒトになる可能性があるもので、それのやりとりというこ とになると、もう少し生まれる子どもについての配慮に慎重であるべきではないかとい う気になるんです。 ○田中委員  外国ではエンブリオ(胚)を対象とした治療は余りないように思います。配偶子、半 分ずつの染色体を持ったものの第三者の提供というのはあるんですけど、エンブリオど うこうというのはほかの国でやっていますか。余りないような気がするんですよ。だか ら石井先生のおっしゃったように、エンブリオを使うということに対しては、配偶子、 すなわち精子・卵子を使うものと違った見方というのはあるかもしれませんね。 ○辰巳委員  でももらった時点では、卵子と精子をもらうので、そこから胚ができるわけですか ら、それは胚の授受というふうな感じにはならないのではないでしょうか。 ○田中委員  だからエンブリオをもらうときで、両方、片一方ずつもらう。 ○辰巳委員  今はそういう話ですか。 ○加藤委員  田中さんが言っているのは、むしろ余剰胚のやりとりということ自体が非常に異様な 感じがするということですか。 ○田中委員  私は今までの流れで、胚の授受は意外と少ないような気がするんですよ。それは先ほ ど言いましたように、自分の子どもと同じ子どもがどこかに生まれるということで胚の 提供を承諾してくれるような夫婦は余りいないのではないかと思います。また、精子と 卵子をいただけるようになるのであれば、半分ずつ自分の血を流したい、というのが人 情ではないか。 ○丸山委員  半分ずつの場合は問題はないんですね。だから両方別の無関係の精子と卵子を提供し てもらって、あとはそこでわざわざクライアントのために体外受精という操作を行うと いうことが新たに胚をつくる場合には含まれるので、そこまで依頼者にサービスするこ とはないのではないかと思いますね。さっきの道具性とつながることですけど……。 ○中谷委員長  そういう場合、出産してもらって養子にした方がいいような気がしますけれどもね。 ○丸山委員  既存の受精卵、胚の提供の方を利用してもらった方が、精子の提供を得て、卵子の提 供を得て、そして体外受精を行い、胚の作成といいますか、胚をつくることまで依頼者 にしてあげるというのは。 ○中谷委員長  高橋先生のご経験では、余剰胚の提供を受けたという場合。 ○高橋委員  私もある病院で「余剰胚というのは実際にありますか」と聞いてみたのですが、そこ では、保管はしていますけれども余剰胚によって妊娠させることは今まで考えたことが ないということです。それは新しい治療法のように思います。 ○加藤委員  この委員会で発明した案みたいな感じなんですね。 ○高橋委員  ある人の卵を採って、10個なら10個、15個なら15個採った中の幾つかをいただいて、 そこに夫の精子を入れて受精卵をつくる、そういう話……。 ○中谷委員長  それは理解できるんですよね。 ○高橋委員  商業主義にならないように実費の半分ですか、負担させると、お金のない人でもそれ だったら「私もやってみたい」、そういう希望を持つ人もいるでしょう。また実際に実 用性があるのではないかと思ったんです。 ○加藤委員  そのケースはここではちゃんと許容しているわけでしょう。 ○矢内原委員  許容しています。 ○加藤委員  ただ、問題は両方とももらい合わせというケースですね。 ○高橋委員  今度初めて何人かに聞いたら、なるほど、そういうやり方もありますねと。2〜3年 たっても保管料を持ってくる人もいるけれど、1年でも保管料を出さない人もあります というような、やはり困っているところもあるようです。先生方、実際はどうですか。 ○辰巳委員  うちで大体1年に 400ぐらい採卵して、年間、凍結しているのを廃棄してくださいと いうのが20件ぐらいです。 ○矢内原委員  生まれた人ですか。 ○田中委員 割合どのくらいなんですか。 ○辰巳委員 400 採卵で、廃棄希望は 20ぐらいです。。私どもは凍結を割合積極的にしている方だ と思います。 ○田中委員 私も治療の半分は凍結を使うんですね。うちの患者は継続してくれと言いますね。 ○辰巳委員 継続が大半なんですけど、廃棄が年間 20例ぐらい。 ○加藤委員 赤ちゃんができても継続してくれと。 ○田中委員 やっぱり次を考えるんですね。とりあえずとっておいてくれと言います。 ○加藤委員 もう一人産む場合の用意。 ○田中委員 ええ。 ○辰巳委員 でも結構、もういいのかなと思うんですけど、もう廃棄してくださいとおっしゃる方 もいらっしゃいます。 ○矢内原委員 イギリスが5年とかという期限を切ったおかげでたくさん胚を捨てたんですね。 ○田中委員  その卵を廃棄するときに、例えば言い方として、これを他人のそういう方にいいです かと言ったらどういう返事されると思う。 ○辰巳委員  全然わからないけど、ほとんどの人は「嫌だ」とおっしゃるんじゃないでしょうか。 ○加藤委員  自分の産んだ子どもと全然見ず知らずの兄弟がどこかでできているわけでしょう。う す気味悪いというか、嫌だという人多いと思います。ただ卵子だけだったなら、まあい いという。 ○高橋委員  嫌だという人もいるだろうけれども、数少ない中にはいいという人もいるでしょう ね。 ○田中委員  いい人もいるでしょうね。 ○中谷委員長  どのくらいの期間凍結しておられますか。 ○吉村委員  それは何年でも。 ○中谷委員長  何年でも、10年でも。 ○矢内原委員  10年でも。 ○吉村委員  ただ、我々のところは生まれてから1年以内には廃棄しますよ。それは初めからの契 約ですから、私のところは廃棄します。私のところは兄弟はつくらないというふうにし てますから、1年で廃棄。例えばその子どもを流産する場合もありますから、1年間ぐ らいはとっておきますけれども。 ○丸山委員  ES細胞をつくるときは余剰胚を使わなければならず、新たに胚をつくることは認め ない。それと同じルールなんですね。 ○加藤委員  ただ、理由は子どもを産まない目的で胚をつくるから、それは禁止。 ○丸山委員  こちらは依頼者の子どもだけど、子どもをつくるんだから……。 ○加藤委員  生命の尊厳には反していない。 ○丸山委員  反していない……。 ○辰巳委員  丸山先生のご意見に対してですが、そこのところ、私なんかに言わせれば、ドネーシ ョンを認めるのだったらそこから先、両方とももらうのも片方だけもらうのもそんなに 差はないと思うんですね。新たに精子と卵子をもらって胚をつくる。片方の場合はよく て、両方ともない場合は認められないと丸山先生はおっしゃいますけれども、もうド ネーションになったら、サービスは同じようなレベルではないかと思うんですね。  あと具体的な例として卵子の提供者が近親者にいたとします。でも男性は無精子症だ ったというふうなケースでもあると思うので、そういった場合にだめと言えるのかな と、そういうふうに考えるのですけれども。 ○矢内原委員  卵子はなくて妹さんから、精子はどこかの学生さんからと、それでクライアントに、 そうすると余剰胚ではなくなるわけですね。私はもともと卵子の提供は反対しましたか ら、だったら余剰胚しかないなと思ったんですよ。ですから、ここのところ議論が先に 進んだと思うんですね。 ○辰巳委員  サービスのレベルとしてはそんなにすごい違いがあるような気はしないんですけど。 ○矢内原委員  卵子の提供もいいのだということになってしまうと、そのために胚をつくったって同 じかななんて思いますね。そんな人がいれば。ただ心配なのは胚生産工場的なものにな っていくのが心配だと。 ○高橋委員  私は余りそういうことは心配ないのではないかと思います。実際にこういうことを受 ける人は本当にわずかだと思います。それから施設もわずか。実際に管理機構ができれ ば、こういうのもコントロールできるでしょう。それから、卵をたくさん採ったから、 その卵を使ってこうしていいかといった場合に、それにイエスという人も非常に少ない と思います。 ○矢内原委員  少ないですね。 ○高橋委員  ですからここに戻って、「提供される胚は、余剰胚に限る」、これは削除していいと 思いますね。 ○矢内原委員  卵子の提供というところが攻防戦だったんですね。そこが崩れた。加藤先生に崩され たらもう。 ○吉村委員  これは皆さんがそうおっしゃるならばしようがないですね。私たちは加藤先生の意見 には反対ですし、配偶子の尊厳とかいろんなことを考えていくと、尊厳が崩されていく のではないかということを非常に思います。それは崩されないのではないかと思ってい る人とは意見が違うわけですから。ただ、実際に我々やる人間として、卵子の提供が許 されれば非常に危険な状態になると私たちは思います。  だから、社会がそういうものを、それはしようがないからやむを得ない、こういうガ イドラインに従ってやってくださいということであるならば、それはやむを得ないこと だと思いますね。やりたいという医師もいるわけですから。私たちみたいに非常に危険 だと思う人間もいる。アメリカへ行って卵を買ってくる人もいるだろうし、アメリカで だれかに産んでもらいたいという人もいるだろう。そういったことが、今までずっと続 いてきたことがどこかで歯止めが切れちゃって、どういう時代になっていくのかなとい うふうには私は思います。それはこういったガイドラインでちゃんとやっていくという ことであるならば、これはやむを得ないですね。 ○石井(ト)委員  やむを得ないというより、我々はガイドラインを出すということは、ある程度我々委 員の中で合意するということではないのですか。今までの話のプロセスの中では、卵子 の提供ということでかなり議論があって、それでまあいいでしょうということで、余剰 胚というところまできたわけなんですけれども、余剰胚に限るということが、私はそこ がわからないんです、どうしてこれがいけないのか。 ○中谷委員長  余剰胚を使うことは別によくないとは……。 ○石井(ト)委員  余剰胚はいいんですけれども、余剰胚に限ると制限することがいけないのかというと ころで加藤先生が強調なさっていたものですから。 ○中谷委員長  それ以外の場合にはあり得るということで。 ○石井(ト)委員  だから、それが私は今までの話のプロセスの中でも認められないんですね。吉村先生 の意見と全く同じなんです。 ○吉村委員  私はそうではなくて、もう認めないのではない。 ○石井(ト)委員  だからしようがないのではないかということですけど、しようがないのではなくて、 ある程度もうちょっとガイドライン出すのですから、余り無制限に、何でもありきにな るんですよ、本当にそうなりますと。 ○石井(美)委員  もし認めるのであれば、私はこれはこのまま活かしていただきたい。胚の提供ではな いと。胚の提供は余剰胚に限るのであって、ただし、余剰胚が得られない場合におい て、提供卵子、提供精子を受けることも認められる。というただし書きではないか。胚 の提供ではない。 ○中谷委員長  私はそれに賛成。 ○石井(美)委員  入れるならばそうであって、私は入れたくはないですね。 ○石井(ト)委員  同じですよね、言葉のあやで。 ○石井(美)委員  私は余剰胚に限った方がいいと思います。余剰胚があるにもかかわらず、多分そうじ ゃない方がいいということになる。求める方も、だれかの子よりは片方の方がいい。 ○加藤委員  提供する方も、自分たち夫婦でつくった子どもがどこかで兄弟持っちゃうよりは、片 一方ずつだったら少し安心ができるのではないですか。 ○石井(美)委員  やっぱり日本人の感覚は、卵子というか胚そのものに命を見ないから、廃棄すること には抵抗感がない。 ○矢内原委員  私は胚からも非常に人格を感じますね。 ○石井(ト)委員  そうですね。 ○石井(美)委員  なるべくそれは活かした方がいいという。 ○矢内原委員  活かした方がいいですね。 ○石井(美)委員  という発想からいけば、余剰胚の利用を促した方がいいと思うのですが、私は。 ○田中委員  確かに胚というのは、私も配偶子とは違うという気持ちで見ています。ただ、胚を使 うというのと、半分ずつのDNAを持つ精子・卵子は違うような気がするんですね。 ○矢内原委員  それはわかるんですけれども、今の話は全く違う配偶子が来るわけでしょう、夫婦の 間で。そういうものをつくっていいかどうかということなんです。 ○田中委員  個人的にはちょっと違うんですよ。私は胚に関しては、自分としては余りやりたくな いという気がするんです。精子を半分ずつ使うということは問題にならないんですけ ど、全く違うものが、要するに胚というのは生命の息づいている部分があるという気が あるものですから、私個人としては余剰胚をいろんな意味で使うということは実際どう かなというのは多少あるんですよ。 ○矢内原委員  精子も卵子もない人はどうしたらいいんですか。 ○田中委員  それはやっぱり希望すればやらせていただきたいと思うんですけど、個人的に勧める 立場としては、何とか頑張って、どっちかの配偶子を使って、という気持ちはあります ね。だから安易に精子と卵子をもらってきてつくるということには私は抵抗がありま す。 ○中谷委員長  どうですか、提供される胚は、余剰胚に限る。そして、ただし、何とかという。 ○田中委員  限るとなって、できないのでは困るんですけれども。 ○辰巳委員  これは2番が提供精子、3番が提供卵子、4番に提供精子及び提供卵子による体外受 精、5番が余剰胚にして、4番を成立させるかどうかを決めたらいかがでしょうか。 ○加藤委員  それでもいいですね。 ○辰巳委員  その方がすっきりすると思います。 ○石井(美)委員  正面から。 ○矢内原委員  石井先生が言われたみたいに、原則論を加藤先生受けていただければ、ただし、その 場合には……。 ○加藤委員  提供される胚というのは、胚ができてから、はいと言って渡すことでしょう。だから 「提供された胚は、余剰胚に限る」というのは、ある意味で当たり前みたいになっちゃ うんですね。 ○吉村委員  提供される胚は、そうなりますよね。この文章は同じことを2回言っているような感 じも確かに。 ○丸山委員  だけど後の方の提供される余剰胚は不妊治療で女性側の子宮に戻そうとしてつくられ た胚で、当事者がもはや必要としなくなったものという意味なんですね。 ○石井(美)委員  ちゃんと限定がしてあります、括弧で。 ○丸山委員  解説の方ですね。 ○矢内原委員  そこの3つある丸の一番上だけは外すということですね。 ○加藤委員  石井さんの案は、それは活かして。 ○矢内原委員  加藤先生の案。 ○加藤委員  私の案は、これとっちゃえば、それですっきりするのではないかと思うんだけれど も、でもごちゃごちゃしたのでもいいですよ。 ○吉村委員   4が提供胚の移植になるかな。 ○田中委員  そうですね。 ○石井(美)委員  もとに戻るということですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○石井(美)委員  胚提供を認めるか。要するに妻が子どもを産むことができるということのメリットで すね。 ○加藤委員  そうですね。だから自分のおなかを使うということですね。 ○石井(美)委員  卵子はなく、夫も精子もないけれども、夫婦でおなかが大きくなってくるときから子 育てができるということが養子とは違うと。 ○丸山委員  とても大きいんじゃないですか、意味が。母乳の分泌もあるんですね。 ○石井(ト)委員  当然。 ○吉村委員  それはありますよ。 ○石井(美)委員  あくまでも自分たちの子ども。親を必要としている子どもがほかにいて、育てる人を 求めているとするならば、社会政策的にはそういう子どもを育ててくださいと言っても いいのかなという気もしますけれども。 ○丸山委員  養子の方ですか。 ○石井(美)委員  ええ。そういう自分たちのどちらの子でもないというのであれば、という気もします けれども、そもそも養子が少ない社会ですから。 ○加藤委員  でも実際問題、養子とは全然次元が違うんじゃないですか。おなかを痛めたというこ との意味、子どもが大きくなっていくわけだし、おなかの中で。私は経験したことない けど。 ○矢内原委員  これはすごく大きなことですよね。代理母や借り腹を我々が否定したのと、その逆で すからね。 ○高橋委員  借り腹の逆みたいなことですね。 ○石井(美)委員  借り腹はだめだけれども、つまり女性が産むことは保障しましょう。 ○丸山委員  哺乳動物だから、さっきは当然ですと言われたけど、授乳も結構大きいんじゃないで すか。 ○田中委員  それと女性の機能というのは出産することによって完成するというか……。 ○石井(美)委員  それはちょっと差別発言です。 ○吉村委員  それはちょっと。 ○石井(ト)委員  機能を言っているだけです。 ○吉村委員  それはだめですね。そういうことは一切言っちゃいけません。 ○田中委員  不妊の場合には、例えば子宮体がんのリスクが高いとか卵巣がんのリスクが高いと か、不妊であるがゆえのリスクがあると思います。私はそれを言っているんです。そう いう意味で、女性が妊娠して出産することによりリスクが低くなるという意味で私は言 ったので。産んでない人は未熟だと、そういう意味ではないんです。 ○吉村委員  先生、それは医学的に正しくないですよ。 ○田中委員  そうですか。 ○吉村委員  だから、それは医学的には言えないから、そういうことは一切言わない方がいいで す。それは間違いです。 ○田中委員  わかりました。 ○石井(美)委員  だんだん何でもあり論ということになって。 ○母子保健課長  そうしますと、タイトル 4が余剰胚の移植が「胚の移植」となる。 ○吉村委員  提供胚。 ○母子保健課長  移植となって、それで最初の丸が消えるわけですね。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  ということでよろしいのでしょうか。 ○中谷委員長  石井(美)委員、ご意見があるのではないですか。 ○石井(美)委員  私の意見ではないということになるわけですね、それは。 ○矢内原委員  さっき先生が言ったことのあれを、余剰胚に限るの次に「ただし」ということをもう 一遍言っていただけますか。 ○石井(美)委員  「ただし、余剰胚が得られない場合には、卵子の提供を受け、精子の……」 ○加藤委員  「余剰胚を得られない場合には、配偶子の提供を得ることができる」でもいいわけで しょう。 ○石井(美)委員  はい。 ○矢内原委員  それぞれの配偶子の提供による胚を。 ○石井(美)委員  胚の提供ではないと、それは言った趣旨です。もらうのは精子と卵子であって、胚を もらうわけではないですね。 ○母子保健課長  そうすると「余剰胚が得られない場合は、提供精子、提供卵子を併せて受けることが できる」ということでしょうか。 ○石井(美)委員  そういうことですね。そうすると前のときの文章とどう矛盾するかということです ね。 ○母子保健課長  それは石井先生の文章。 ○丸山委員  とってしまって、考えたらどうですか。今度強力に理論武装して、また。 ○石井(美)委員  そうすると無原則性になっていきますよね。余剰胚が優先するというところも明らか になる。 ○丸山委員  現実には余剰胚が優先する見通しが強い。そういう見通しで我々。 ○石井(美)委員  それは報告書の中ではっきりそう出さない限りはそうならないですね。見通しの問題 ……。 ○中谷委員長  でも、ただし書きの方だから。 ○石井(美)委員  いえ、そうではなくて、ただし書きにしないという案になると、原則性がわからなく なっていく。 ○吉村委員  原則論をどう書くかによって違いますけど、プラクティカルには、辰巳さんが言った 方が多いですよ。その方が絶対にやりやすいし、実際やる方としては。卵子をもらい、 精子をもらってやった方がやりやすいです。余剰胚をインフォームド・コンセントをと って、その夫婦からもらうよりも、絶対やりやすいですよ。 ○丸山委員  卵子の提供は非常に難しいとおっしゃいましたね。 ○吉村委員  それは余剰胚の提供もインフォームド・コンセント得てもらうよりも難しいかもしれ ないから、卵子の提供が、例えば姉妹が許されたわけでしょう。そしたら姉妹連れてき ます、精子はどこからもらってください、その方が絶対やりやすいです。 ○高橋委員  そうですね。 ○吉村委員  だから私は、実際にやりやすい方向性にずっと進んでいっていいのかということを言 っているのです。余剰胚はほとんどESだけに使われて、こういうものには使われなく なりますよ。だから田中先生もそれを昔から言っているのは、胚そのものをもらう人は 本当にいますかと、あげる人はいますかということですね。もらう人ではなくて。もら う人はもらうかもしれないけれどもあげる人がいますか、これは非常に少ない方だと思 うんです。ですから現実面でこうやって提供胚の移植といっても実際にくれる人は少な いだろうと私は思っていますし、実際にやるとなると、こういうことが許されるとそっ ちの方へみんないきますね。姉妹の妹さんを連れてきて、例えばご主人の精子がなけれ ば、どこかの精子をもらって、胚をそのためにつくると、その方がやりやすい。  だから今、現実面としてもしそういうことが許されるならば、余剰胚はほとんどその ために使われることはないのではないかという危惧感がありますね。だけど、余剰胚が そうやってやると、実際に余剰胚をくれる人がやっぱりいないのではないかということ になると、この提供胚に関しては、もしそういうことが許されるならばそっちの方向ば っかりにいくのではないですか。 ○中谷委員長  そうしますと、結論として、 4は「提供胚の移植」ということで。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  「提供される胚は、余剰胚に限る」、これはこのままですね。「ただし、余剰胚の提 供を受けられない場合には、精子と卵子の提供を受けることができる」とするんです か。 ○加藤委員  そういう趣旨ですね。 ○中谷委員長  そういうふうにしてよろしいのですか。 ○石井(ト)委員  ここに「提供胚」としますと、前の7ページの 2 のただし書きと矛盾しますね。「た だし、この際、精子の提供に併せて卵子の提供を受け、新たに胚をつくることはできな い」ということでただし書きが書いてあり、それと矛盾してくるんです。 ○吉村委員  そうです。 ○石井(美)委員  この制限が、さっきの吉村先生のおっしゃったような注意書きであるとすれば、精子 がある場合に精子を受けることができないのだよということをはっきりさせるというこ とですね。 ○加藤委員  そうです。だから、どこかへかためて、精子があるのに精子の提供を受けてはならな い。卵子があるのに卵子の提供受けてはならない。そういうことを書いておけば、あと はこれを全部削っていいわけですね。 ○丸山委員  石井(美)委員の第1の文章にそれが書いてありますか。 ○中谷委員長  どこに。 ○丸山委員  精子の場合でしたら 2のところに「精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」に 限るとされています。胚提供の場合にもそれを及ぼすということですか。 ○加藤委員  「新たに胚をつくることはできない」というのが行き過ぎなんだと思うんです。です から精子があるのに精子の提供は受けてはならないとか、卵子があるのに卵子の提供を 受けてはならないと、そう書けば十分なので。 ○丸山委員  そうですね。 ○矢内原委員  それは、この「余剰に限る」というところの考え方があったから、そうなっていたん ですよ。 ○丸山委員  とったらそれも今度は新たに入れないと。 ○矢内原委員  文面が変われば、前は削らなければいけない。 ○吉村委員  削らなくても、今、加藤先生がおっしゃったように、夫に精子がある場合には、その 精子を使わなければならないというような文章を入れればいい。 ○小林主査  今のはただし、この際、精子の提供に併せて卵子の提供は受けてはならない、受ける ことはできないとか、その胚をつくるというのを抜かせばいいのかと思うのですが。 ○吉村委員  それでもいいですね。 ○小林主査  それでもよろしければ、それがいいかと思うんですが。 ○中谷委員長  「卵子の提供は受けることはできない」。 ○吉村委員  それでいいと思います。 ○中谷委員長  そうすると8ページの 3もそれに合わせて変えるわけですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  「提供卵子による体外受精」ということで。丸の2つ目は、「ただし、この際、卵子 の提供に併せて精子の提供を受けることはできない」とするわけですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢内原委員  「新たな胚」というところを削る。 ○中谷委員長  それを。これで平仄が合うことになりますが、よろしいですか。 ○石井(美)委員  ちょっと表現としては矛盾する可能性がありますよね。両方もらうということですか ら、先ほどのあれは。これは提供卵子と提供精子の体外受精を認めるわけですよね、先 ほどの意見は。だから、併せてできないと書いてしまうと。 ○中谷委員長  併せてできないということですよね。 ○石井(美)委員  という表現は矛盾するんじゃないですか。 ○吉村委員  矛盾しますか。 ○石井(美)委員  これに書くよりは、先ほど言った加藤先生のような表現をどこか別個に設けた方が矛 盾はしないんじゃないですか。 ○加藤委員  そうですね。誤解の余地もないと思いますね。自分の精子が使えるのに精子をもらっ てはいけない。自分の卵子が使えるのに卵子をもらってはいけない。あと、こういうの を全部削っても同じことになるわけですね。 ○石井(美)委員  その方がはっきりするんじゃないですか。ここにただし書きを設けるよりは、どこか に明確に。要するに自分のものが使えるのにほかの人のをもらってはいけない。 ○加藤委員  浮気をしてはいけないのと同じ理由だ。 ○石井(美)委員  そう。 ○中谷委員長  そのことと大分違いますね。浮気をするなといったって、わからない。 ○石井(美)委員  だから、便宜的な利用を認めないということの明確化ということですよね。便宜的な 利用はだめだということはそういうことだということですね。  ただ、余剰胚のことはちょっと留保させてください。きょうは、私これは変わるとは 思ってこなかったので、次回異議を申し立てるかもしれない。 ○加藤委員  これが終わればすべておしまいで、あとは審議する必要は何もない。 ○小林主査  すいません、よろしいですか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○小林主査  確認させていただきますけれども、 4に新たにつける「ただし、余剰胚の提供を得ら れない場合には」と、2と 3のただし書きを合わせたものを他のところにつくる。 ○母子保健課長   2、 3は……。 ○吉村委員   3は必要なんでしょう。 3は精子提供を除いた文章は必要なんでしょう。卵子提供に 余剰胚を担保していくということは必要。 ○小林主査   2の「提供精子による体外受精」と 3の「提供卵子による体外受精」のただし書きの 部分、これをまとめたものを他のところにつくるということでしょうか。 ○石井(美)委員  場合によったら、1の(1)の「提供を受ける条件」というのがありますね。そこの 中の一般原則の中に、自分のものが使えるのに使ってはいけないという趣旨の「加齢に より妊娠できない夫婦は対象とならない」と同じような形で入れておいたら、大原則と して、の方が通りはいいかもしれないですね。 ○矢内原委員  自分のものは使えるのに。 ○石井(美)委員  いや、そういう言い方ではなくて、書き方の問題ですけど、そういう形で入れた方が AIDも含めてということですね。 ○丸山委員  例えば今、加藤先生がおっしゃっているのは、胚をつくるときに、精子について自分 のものがあるのに第三者からもらってはいけないということでしょう。 ○加藤委員  書いてあります、既に。 ○丸山委員  例えば、9ページの 4の「余剰胚の移植」と、今変わりは……。 ○加藤委員  今、石井さんがおっしゃったのは、いろんな各条項ごとに書いてあるのをやめて、全 部一緒くたにどこかにまとめて、自分のものがあるのに人のものを使ってはいけないと いう趣旨のことをどこかへかためて書いた方がわかりやすいのではないかということ で、ここに書いてないという趣旨ではないんですよ。 ○矢内原委員  でも前どおり入れてもいいんじゃないですか。 ○丸山委員  逆に言うと、例えば 4の2つ目の丸の「胚の提供を受けなければ妊娠できない」とい うのは、精子も卵子も欠けているという意味なんですね。その文章の意味がなくなって きませんか、自分のものがあるときに提供を受けてはいけないと書くと。 ○石井(美)委員  わかりました。そうするとやっぱり 3、 2だけ明確にする必要性がある。 ○母子保健課長  そうしましたら、 2と 3の「提供精子の体外受精」と「提供卵子の体外受精」の2つ 目の丸を「ただし」ではなくて、並列的にもう一つ丸をつけて、 2の場合は、夫婦間で 卵子が得られる場合に卵子の提供を受けてはならないと明確に書くと。 3の方は、精子 について、夫婦間において精子が得られる場合に、精子の提供を受けてはならないとい うふうに明示するというご意見でしょうか。 ○小林主査  「この際」と言っているので。 ○丸山委員   4の2つ目の丸はそこも含んでいるのではないか。例えば、今おっしゃった 2のとこ ろに、卵子が得られるのに、卵の提供を受けてはいけないということは胚をつくる場合 に適用されることですね、自分たちの。 ○吉村委員  でもよく考えてみると、 2と 3は「ただし」以降は要らないですね、もしそうなる と。 ○丸山委員  ただし書きは要らないと思うんです。 ○吉村委員  もし提供胚によるものを許すとするならば、これは要らなくなりますね。 ○丸山委員  そして 4のところを、「提供胚の移植」の最初の丸を、さっきおっしゃったとおりな んですが「提供される胚は、余剰胚に限る。ただし、余剰胚が得られない場合には、提 供された精子及び卵子から胚をつくることができる」とすれば、これで十分限定されま せんか。次の 4のところの2つ目の丸があるのですから。 ○吉村委員  厳密に言うと少し違うんだけど。 ○丸山委員  違いますか。それでは困りますので。 ○吉村委員  でも、これは 4でそれが入るならば、これはあえて書くと複雑にこんがらかるだけで すよ。コンプリケートするだけ、なしの方がいいかもしれないですね。 ○丸山委員  普通は自分の配偶子がある人は配偶子を使うだろうけれども、自分よりいい配偶子を 使うような人がいては困るという趣旨ですね、皆さんがおっしゃっているのは。それは 十分防げるような気がする。 ○加藤委員  それでも後でまた問題になることがあると思うんですね。例えばある病気を持ってい て、自分の卵子ではなくて、別の卵子で子どもをつくりたい場合に、もうそれは禁止に なるのかというふうになると、そういう病気もあり得るのではないですか。何かの病気 の回避するために、自分の卵子で出産ができないわけではないんだけれども、他人の卵 子で出産したいと。 ○丸山委員  例えば提供精子の体外受精の場合で、女性側が筋ジスの保因者で……。 ○吉村委員  いろんな問題が起こってきますね。 ○中谷委員長  いろんな問題が起こってきますね。 ○丸山委員  もらうにしてもこれは 4の2つ目の丸で「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫 婦」とは言えないので大丈夫だと思うんですが、漏れるところがありますでしょうか。 ○吉村委員  いや、漏れるところはないと思うんですよ。 ○石井(美)委員  加藤さんは、認めるという考え方。 ○加藤委員  そういう一種の治療目的で、厳密に言えば、自分の卵子で赤ちゃんを産むことができ るけれども、しかしそれでは赤ちゃんにどうしても病気が残っちゃうので、それで他人 の卵子で産んでもらいたいというケースを今この案では排除しているんですね。それは いずれ問題になるだろうと。患者の団体から抗議が来るだろうと思いますよ。 ○中谷委員長  むしろそれを明示した方が、患者の団体からのクレームが来ますよ。 ○吉村委員  明示した方が来ます。 ○丸山委員  将来の課題じゃないでしょうか。 ○加藤委員  ただ、そこまで議論をずっとしてこなかったし、今まで、そこまではもう言及しない という方がいいのではないかと思うんですね。 ○中谷委員長  遺伝子診断がどうせ進んできますから、当然そういうことが問題になってくるわけで すよね。 ○田中委員  顕微授精が世に出てもう10年近くなるんですけど、精子はいるんだけど非常に成長が 悪かったり少なかったり、動きが悪い場合は遺伝子の微小欠損があり、これが次世代へ 伝播していくということがかなり注目を浴びています。ですから将来ご主人に、精子は ありますが遺伝子に異常があるので提供精子を使った方がいいですよと言うような時代 が私は来ると思うんですよ。 ○吉村委員  それは確かに先生がおっしゃったことは事実だけど、それを使っていいのか悪いのか ということは別問題ですね。ただ、それを今余り考える必要は私はないと思いますよ。 ○加藤委員  ただその場合、例えば目は茶色の子がいいとかスポーツのできる子がいいとかという 恣意的な選択とそれとを同類には扱えないですよね。 ○田中委員  それは先生のおっしゃるとおりですね。 ○中谷委員長  イギリスは今、イクシーについても……。 ○田中委員  批判的な文脈が目につきますね。批判的というか、警戒しているような。 ○中谷委員長  身体的な欠陥、それから精神的なものも、今ロングタイムで検査中ですよね。 ○田中委員  当然そういうことが問題になるときも来るかもしれませんね。 ○矢内原委員  イクシーの子どものフォローアップはやってないんですよね。 ○丸山委員  念のために、 4の2つ目の丸ですが、「胚の提供」の前に「精子及び卵子又は」をつ けますか。「精子及び卵子又は胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが〜」。 ○吉村委員  それはおかしい。精子と卵子……。 ○丸山委員  精子と卵子の提供を受けて、これから胚をつくってもらうか、既にある余剰胚をもら わなければ……。 ○吉村委員  言っていることはわかりましたが……。 ○丸山委員  妊娠できない夫婦のみと、そういうふうに念を押しておきますか。さっきの 2、 3で あえて加えるとおっしゃるなら。 ○吉村委員  これ、もう1項目増やせばいいんじゃないですか。一番初めをやめて、胚の提供を受 けなければ妊娠できない夫婦も余剰胚は受けることができる。余剰胚はこうやって受け ることができることにしておいて、「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦は、精 子及び卵子の提供を受けることができる」、そういうような項目を出していけば。 ○丸山委員  それは最初の丸のところに加えるんでしょう。「提供される胚は、余剰胚に限る。た だし、余剰胚が得られない・・・・・・」。 ○吉村委員  それだけでいいんじゃないですか。で、「ただし」は「卵子提供を受けることが困難 な場合には、余剰胚の提供を受けることができる」。 ○丸山委員  卵子ではおかしいでしょう、胚でないと。2つ目の丸ですね。 ○石井(美)委員  3つ目の丸は残しておくという趣旨。 ○丸山委員  3つ目の丸の話ですか。3つ目の丸も変になりますか。 ○中谷委員長  小林さん、おわかりになりましたか。 ○小林主査  すいません……。 ○中谷委員長  事務局で整理をする上でちょっと理解しにくいですので、ちゃんとご説明ください。 ○吉村委員  私のでいいのかな。 ○中谷委員長  どうぞ、吉村委員。 4は「提供胚の移植」。1個目の丸は。 ○吉村委員  除くわけでしょう。2個目の丸はそのまま生きる。 ○丸山委員  この丸をすっかり除くというのは、多数意見としてまとまってはいないと思います。 ○吉村委員  そうなの。 ○中谷委員長  1個目の丸は。 ○吉村委員  そういう話をしているんじゃないですか。 ○丸山委員  除くなら、私はもともと除いた方がいいとは思っているんですが。 ○高橋委員  私も除いた方がいいと思います。 ○吉村委員  そうじゃなくて、除くための意見を言っているんじゃないですか、今、違うんです か。 ○矢内原委員  私もそう理解した。除いてしまったとするならば、3番目の丸をどうしようかという ことだと思いますよ。 ○高橋委員  いつまでも議論が錯綜して、記録をとる方は大変だと思います。 ○中谷委員長  そうなんですよ。だから、確認をしてほしいの。 ○加藤委員  そういう趣旨だったんだけど、石井さんがどうしても、内容の解釈がちょっと変わる けど、文言としては残したいと、さっきおっしゃったんですよね。 ○中谷委員長  さっきはこれを残して、「ただし」、ただし書きがつきましたよね。 ○丸山委員  それをやめて。 ○中谷委員長  余剰胚の提供を……。 ○石井(美)委員  やめる派が多数だという。 ○吉村委員  そういう話だと思っていたから。 ○中谷委員長  余剰胚の場合ですか。 ○丸山委員  ですから、それをやめる案の方が多数であれば、私はそちらの方に。 ○矢内原委員  大分弱くなりますけれども、1番目は外しても、2番目の丸が活きていれば、原則的 に余剰胚を使うんですよというニュアンスは活かされていると思います。余り強過ぎる というご意見は。 ○石井(美)委員  1番はなくして2番から始めると。 ○吉村委員  そういうことです。 ○中谷委員長  2番はすぐ胚でなくて、精子・卵子又は胚の提供ですか、これは入らないんですか。 ○矢内原委員  精子及び卵子になっています。 ○中谷委員長  精子及び卵子又は胚の提供ですか。 ○吉村委員  これはこのままでいいんじゃないですか。 ○中谷委員長  2つ目の丸はそのまま。 ○吉村委員  はい。 ○中谷委員長  それでご確認。 ○矢内原委員  3つ目の丸でしょう。 ○吉村委員  3つ目の丸を先にするか、その間に1個入れるかどうかはわからないんですが、胚の 提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが提供精子……。 ○中谷委員長  提供された余剰胚の移植を受けることができる。これは2つ目。 ○吉村委員  2つ目ですけど。 ○矢内原委員  2つ目はこのまま活かしたいんですよ。じゃなければ、1つ目は……。 ○吉村委員  2つ目はいいんです。3つ目の丸が、「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦の みが提供精子及び提供卵子を受けることができる」ということなんでしょう。 ○矢内原委員  そのときに、ただし、余剰胚が得られない場合には、精子又は卵子の提供を受けるこ とができる。そしたら1番目は削った分だけ、原則としては余剰胚ですよという。 ○丸山委員  余剰を残すんですか。 ○矢内原委員  2番目の丸の余剰は残します。1番目の丸は全部切ったとしても、その精神を活かす ために2番目の丸のところを……。 ○加藤委員  矢内原さんは一気に両方もらえるというのでなくて、まず余剰胚の可能性を追求した 上で、その次にという、そういう段階を入れた方がいいというお考えですね。矢内原さ んが今おっしゃっているのは。 ○丸山委員  それは了解? ○加藤委員  私はもちろん。 ○小林主査  今のを聞いていて思ったんですが、そうなると1個目の丸を削って、2つ目の丸はそ のままで、3つ目を新たにつくって、例えば、胚の提供を受けなければ妊娠できない夫 婦のみが、提供された余剰胚の移植、基本的には余剰胚なんだということを言って、そ して、ただし先ほどおっしゃられた、提供精子や提供卵子が得られない場合には、とい うのをつくるということではどうでしょうか。 ○石井(美)委員  余剰胚が得られない……。 ○小林主査  余剰胚の提供を受けられない場合には、精子・卵子両方の提供を受けることができる とか、あるいは提供を受け生成した胚の移植を受けることができるとか、ここは胚の話 をしているので、生成された胚の移植はどうかなと。 ○吉村委員  そういう意見ですね。 ○丸山委員  提供された精子及び卵子から生成された胚を用いることができる。 ○小林主査  胚の移植を受けることができる。 ○吉村委員  くだらないことだけど、 3の括弧内の下の丸、丸の1個目の「採卵の際の子宮、卵 管」というよりも「卵巣等」の方がいいです。卵管をつついても、余り障害にならない から、「卵巣等」の方がいいです。 ○小林主査  この理由ですね。 ○吉村委員  卵管でなくて「卵巣等」の方がいいです。それが2カ所ぐらい、後で出てきますよ。 ○小林主査  全部変えた方がよいということですね。 ○吉村委員  卵管よりも卵巣の方がいい。 ○辰巳委員  一番卵巣が心配です。 ○吉村委員  そんなこと言うと膣壁だって心配ですね。だから卵巣、子宮等の方がいいかもしれな い。卵巣をつつくわけですか。 ○加藤委員  卵巣が1番目にした方がいいわけですね。 ○吉村委員  ええ。 ○中谷委員長  「採卵の際の子宮」。子宮は書いてあります。 ○吉村委員  子宮もいいですよ。子宮もつつくことあるから、めったにないけれど。 ○小林主査  「卵巣、子宮等の」ということですね。 ○吉村委員  その方がいい。 ○矢内原委員  田中先生、前に2回卵破したことがあるとおっしゃいましたよね。 ○田中委員  3回あります。 ○矢内原委員  どこをやったんですか。 ○田中委員  全部卵巣です。開腹したのは3例でした。10年間ですから確率としては1万分の1以 下ですが。腹腔鏡で焼いて止めたかったのですが、出血が多かったので開腹しました。 ○矢内原委員 膣壁の血腫は出てないですか。 ○田中委員  膣壁の血腫は意外と少ないんですよ。今、採卵する針のゲージを細くしています。18 ゲージを今、19ゲージに。 ○小林主査   4から読みます。 4提供胚の移植、一番最初の丸が「胚の提供を受けなければ妊娠で きない夫婦のみが、提供された余剰胚の移植を受けることができる」。その次に「ただ し、余剰胚の提供を受けられない場合には、精子・卵子の両方の提供を受けて生成され た胚の移植を受けることができる」。一番最後がまた「ただし」になるとちょっとおか しいですので「また」などになるかもしれませんが、「卵子提供を受けることが困難な 場合には、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、提供された余剰胚の移植を 受けることができる」ということでしょうか。 ○矢内原委員  いらないんじゃないですか、最後のところ。いりますか。 ○丸山委員  卵が確保しにくいというのは残っていますね。 ○石井(美)委員  でも矛盾しますよね。2番のただし書きというか、1番目に余剰胚が得られないとい う話を書いているのに、その余剰胚をほかにも使いましょうという話を書くわけですか ら。 ○矢内原委員  要らないですよ。またこんごらがっちゃう。「生成された」という言葉は嫌いだな。 ○加藤委員  卵子がだめな人も、どさくさまぎれに余剰胚をもらっていいという規定なんでしょ う。 ○石井(美)委員  これは余剰胚がたくさんあるという前提で成り立っているんですね。 ○加藤委員  だから要らないのではないでしょうか、どうでしょうか。 ○石井(美)委員  最初に余剰胚が足らないという話をしているのに、余剰胚がまた。 ○吉村委員  もし余剰胚をくれる人がいたならば、卵子提供を担保していくということはすごく大 切なことになるんです。 ○丸山委員  両方、道つけておいた方が。 ○石井(美)委員  どうなるかわからないから。 ○吉村委員  私は卵子提供より余剰胚をもらった方がいいと思いますからね。卵子提供をやるぐら いなら、余剰胚の方が第三者に何の危害も与えないし、商業主義も排除できる。これは 絶対的に担保しておいた方がよいと思います。 ○小林主査  確認させていただきたいんですけれども、一番最後ですが、「卵子提供を受けなけれ ば妊娠できない夫婦」、これは上の方で、場合によっては余剰胚でない場合もよくなり ますのでここも、胚の移植を受けることができる、余剰をとる、という書き方もあると 思うのですが。 ○石井(美)委員  それはないです。余剰胚だから認める。 ○小林主査  余剰胚だからいいと。わかりました。 ○吉村委員  それはそうですね。 ○丸山委員  それを踏まえると、この最後の「ただし」の方を先に置いた方がいいかもしれません ね。 ○吉村委員  そうですね。3番とあれを変えた方が。 ○石井(美)委員  でもわかりにくいと思いませんか。 ○丸山委員  だけど、最初の余剰胚の話が共通なんですよね。最後は。 ○吉村委員  そうそう。 ○石井(美)委員  でも余剰胚が得れない場合ということの、胚を提供を受けなければ妊娠できないとい うところがかかってくるわけだから、それのただし書きですね。その点では同じなんで す。 ○矢内原委員  今、事務局が言われた、3番目の意味がわからない。 ○丸山委員  精子・卵子がない、胚の提供を両方とも受けなければならない夫婦のみが余剰胚の移 植を受けることができる。  2つ目は、私の案だと、しかしながら、卵子だけが欠けている夫婦でも、同じように 余剰胚の提供を受けることができる。  その後、最後に、余剰胚が得られない場合には、両方からもらって、胚をつくってそ れをもらうこともできる。 ○中谷委員長   4は、前に余剰胚を提供胚に直しましたけど、これはまたもとに戻るんですか。余剰 胚の移植にするんですか。 ○吉村委員  いやいや。 ○丸山委員  表題は提供胚。 ○中谷委員長  提供胚の移植ですね。 ○矢内原委員  卵子が欠けている場合には卵子の提供で済むんじゃないですか。 ○吉村委員  卵子提供を、余剰胚で代用しようという概念です。絶対にこれだけは入れておいた方 がいいと思いますよ。卵子提供よりはこっちの方が絶対いいですからね。 ○石井(美)委員  それで入っているんですね。 ○加藤委員  形式的に考えるとひどく不合理に見えるけれども、でも実際には非常に行き届いた配 慮ではないですか。矢内原先生はもう……。 ○吉村委員  これは先生が初めに賛成された方法ですよ。 ○矢内原委員  ちょっともう一回言ってみて。 ○小林主査  思ったんですが、今の丸山先生の順番にすると、卵子の提供を受けなければ妊娠でき ない夫婦の場合にも余剰胚以外の胚も受けることができてしまうので……。 ○丸山委員  いや、そうはならない。余剰胚というのは、今の原案では3つ目の丸のところも余剰 胚にするんです。提供胚じゃない。余剰胚だから認めましょうというんです。 ○石井(美)委員  順番を入れ替えるという丸山先生の案になると、そういうふうに読めちゃう危険があ るのではないかと。 ○丸山委員  余剰胚と書きますよ。 ○石井(美)委員  余剰胚が得られない場合には、卵子提供で余剰胚を受けるとして、余剰胚が得られな い場合にはとなってしまうと、2番と例外になってしまいませんかということです。だ から順番は変えない方がいいでしょうということなんです。 ○小林主査  それから、もう一回、あえて、胚の提供を受けなければいけない……。 ○中谷委員長  ご確認ください。もめているところですから。 ○吉村委員  卵子提供は、胚と卵子の提供を受けることができないというふうにして書かないとい けなくなる、確かに。 ○石井(美)委員  読めなくはないですね。 ○矢内原委員  提供が困難な場合には、何て? ○吉村委員  卵子提供を受けることが困難な場合には、余剰胚でもって代用することができる。 ○石井(美)委員  もし可能だったら、一度整理したものを昼休み中なんかに打ち出していただいて。 ○丸山委員  小林さんはわかっていらっしゃるようですので。 ○吉村委員  わかっていますね。 ○石井(美)委員  それを配っていただけるとありがたいのではないか。 ○中谷委員長  そうですね。 ○辰巳委員  ちょっとすいません。今の 3のところなんですけれども、シェアリングの場合、医療 費の経費の半分以下というのはどういう根拠からこれは出てきたんですか。半分以下と いうのが突然出てきたように思うんですけれども。 ○吉村委員  これはアメリカがそうなんですよ。レス・ザン・ハーフなんですよ。不妊学会が。半 分以下で、半分を供与するんですよね。だから大体折半にしているわけですよ。卵も10 個採れたら5個あげなくちゃいけないんです。 ○加藤委員  日本の条件の場合、そこまでは言わないのね。 ○吉村委員  そこまでは言わないですけど、アメリカはそうしているんですね。レス・ザン・ハー フ、だから半分以下というのはそれで言われたのではないでしょうか。大体卵は半分あ げているみたいですね。10個採れたらどういうふうに分けるか知りませんけど、5個シ ェアリングした人にあげているみたいです。やっぱりかなりジレンマがあって、アメリ カでもこれは悩んでいるみたいなんですけど。要するにもらった人が妊娠してしまっ て、あげた人が妊娠できなかったというジレンマが。結構悩んでいるみたいですね。 ○母子保健課長  この点、確認なんですが、一応考え方として、採卵に要した費用というふうに言って おりまして、採卵の部分と、実際に子宮に戻してというプロセスが、本来の体外受精を している方にあるのでしょうが、エッグ・シェアリングするという意味では、採卵にか かった費用の部分の半分以下であれば商業主義的でないものというふうな、ここでは整 理してあるのですが、それでよろしいでしょうか。 ○吉村委員  これはそれでいいと思うんですけど、アメリカではドナーのトータルなIVFコスト となっているんですね。ですから採卵とおっしゃっているのがどこまでを含んでいるか わかりませんが、注射を打ち出してきて、採卵して戻して、あと黄体機能の、すべての 費用ですね。ですからやっぱり50〜60万はかかりますね、保険の費用も入れれば。 ○矢内原委員  戻すのは別々に費用つけます? ○辰巳委員  一応その段階でとまっちゃいますから。 ○矢内原委員  凍結がありますからね。戻すのは大体幾らぐらいなんですか、トータルとして。 ○吉村委員  戻すってどういう意味ですか。 ○石井(美)委員  子宮に戻す。 ○矢内原委員  ET。 ○吉村委員  ETだけの費用ですか。それはちょっと幾らか。 ○矢内原委員  それの調査ないんですよ。 ○辰巳委員  採卵が8万円、精子調整が2万円、あと1日目の胚培養が5万、2日目の胚培養が5 万円、胚移植が5万円。 ○矢内原委員  8、2、5、5、5。 ○辰巳委員  大体そんなものだったと思いますけれども、ですから採卵だけということになるとす ごい少なくなっちゃいますね。 ○加藤委員  最初の8だけが共通部分になるわけですか。 ○辰巳委員  外来の注射を打ち出してからという部分がありますから。 ○吉村委員  ですから、その場合は費用の半額以下というのは、トータルのIVFコストでないと だめです。 ○石井(美)委員  そうですか。でも矛盾するんじゃないですか。胚移植は本人のためにするのであっ て、そこまで負担する理由にはならないですね。 ○吉村委員  トータルなIVFコストから胚移植分だけ引くということでもいいですけれども、で も胚移植なんて、そんなにお金かからない。 ○矢内原委員  採卵は3万円だった。 ○石井(美)委員  採卵というのは、だから採卵に至るまでの経費ですよね。 ○加藤委員  採卵に至るまでは、ご両家共通で、採卵からはご両家別々だから、ご両家共通の部分 の半分以下ということでしょう。 ○石井(美)委員  そういうことですね。 ○母子保健課長  ここは一応そういう趣旨で書いてあるんですが、それが現場的にはどうなのかという ことをこの際確認させていただければと思ったんですが。 ○吉村委員  それは私たちやったことないので、どうなるかわかりませんけれども。 ○加藤委員  辰巳先生の話だと、どこまでが共通で、どこまでが別々だと、ちゃんとお金の計算が 出るんでしょう。 ○辰巳委員  はい。 ○中谷委員長  大体どのくらいになるんですか。 ○辰巳委員  外来の薬と注射代が、8万円ぐらい。その後の採卵が8万円として、その分、16万円 ぐらいですか、その部分が共通部分。そこに精子かける分からは別々になりますから、 そういうふうな計算になりますが、ちょっと安いかもしれません、うちは。わかりませ んが。 ○中谷委員長  その半分だと幾らになるんですか。 ○吉村委員  8万ぐらいですね。 ○辰巳委員  大体8万、精子調整2万円、それで10万円、それから1日目の胚培養で5万円、2日 目の胚培養が5万円、胚移植が5万円、全部で25万円。入院にかかる費用、あと外来に 8万円ぐらいかかると。大体そういう体系になっています。 ○中谷委員長  それの半分。 ○辰巳委員  最初の外来の8万円と採卵の8万円と合わせて16万円が共通部分になるわけですか ら、それの半分ということで、8万円とかそんな感じ。 ○吉村委員 アメリカはそんなことまでやってないみたいですね。すべてのトータル費用。すべて の周期にかかった費用の半分。 ○辰巳委員  その程度だったら、やっぱりあげないかもしれませんね。 ○中谷委員長  それだと25万円。 ○吉村委員  50万だったら25万ですね。 ○中谷委員長  8万円ぐらいならあげないでしょう。 ○吉村委員  あげないでしょう。 ○高橋委員  トータルの半分じゃないと、くれるという人は恐らくいないと思いますよ。 ○中谷委員長  そうだと思いますね。8万円ぐらいではね。 ○高橋委員  常識的な判断で決めないと大変。個々の技術料によって、ある人はこれだけは持つ、 これは持たないとかいうと、その施設によって分担金がまた変わってくるでしょう。 ○吉村委員  費用の全額を払ってもらってもいいぐらいですね。 ○辰巳委員  これは吉村先生のアドバイスで半分以下と。 ○吉村委員  それは私は全然言ってないです。 ○母子保健課長  これはこちらの方で従来の議論を踏まえて、商業主義の問題に対する懸念がありまし たので、それならばということで出した案ですので、どうされるかは再度議論していた だいても結構です。 ○吉村委員  それが大体英米ベースの案と一致していたという。 ○加藤委員  吉村さんの案だと半分の2倍以下ですね。トータルの同額でいいというんでしょう。 ○吉村委員  私はトータルでもいいと思います。 ○矢内原委員  精子を外して培養の1日目は取ってもいいんじゃないですか。 ○辰巳委員  でも培養は別の人から取る。 ○吉村委員  余りそういうことは書かない方がいいんじゃないですか。半分か要するに全部です よ。 ○辰巳委員  そこから精子が加わるわけだから。 ○矢内原委員  その値段も施設によって違うからね。 ○吉村委員  施設によって違いますね。 ○石井(美)委員  そこのところはどうするかということを、私、全体を見ていて思ったのは、この間の 高橋先生の話を伺っていて、結局同じ施設で提供されたものをやっているということに なっていると、何が行われるかというのが全くわからない状態になっていくんじゃない ですか。管理システムというものは、移植のネットワークのような、つまり提供のとき から、中央管理の何かのところで登録がなされていかないと、不透明な取扱いというこ とになっていくのではないかという気がしたんですね。 ○吉村委員  健全な運用をしていただくためには、日本全国で1施設ぐらいそれをつくって、国の 管理でやっていただくのが一番いいですよ。一般の開業医がやるべき問題ではないです よ。一般の大学のやるべき問題でもない。 ○矢内原委員  提供はね。 ○吉村委員  提供も全部。 ○中谷委員長  それはそうですね。 ○丸山委員  アメリカもイギリスも、数は把握していますよね。 ○吉村委員  アメリカはしていないんじゃないですか。 ○丸山委員  アメリカは各施設の把握がありますから、300施設の統計。 ○矢内原委員 この統計出しているのありましたよね。 ○中谷委員長 イギリスはオーソリティでやりますからね。 ○吉村委員 アメリカみたいに何でもありの国だったら、できるかもしれないですね。 ○丸山委員 何でもありだけど、透明化されている。 ○吉村委員 記録の保存がちゃんとできているかとか、それに関しては何十年も保存ができるかど うかとか、そういうことについては甚だ疑問なんじゃないですか。商業主義やっている わけですから。 ○石井(美)委員 アメリカがそうやっているというのは商業主義を前提にしている国と一緒にはできな いですね。 ○吉村委員  商業主義的代理母もあるわけですから。 ○丸山委員 消費者に対する情報提供なんですね。だから、数を示して成功率を示して、どこを選 ぶのか決めなさいという感じですね。 ○高橋委員 そうですね。 ○石井(美)委員 イギリスはそうですね、そういう意味ではね。 ○中谷委員長 イギリスも施設によって成功率がどうだとか、全部報告されている。 ○丸山委員 アメリカもしているんです、冊子になっている。 ○中谷委員長 日本にはそれはないですよね。 ○丸山委員 日本で施設ごとの成功率を見せなさいというのは余りやれないですね。 ○高橋委員 学会には登録されているけれども、公表はしてないでしょう。 ○矢内原委員 公表は全体の公表で、施設ごとには。 ○高橋委員 施設ごとはしてないです。 ○辰巳委員 妊娠率を上げようと思ったらいくらでも上がるし、それはどういうふうな人に体外受 精をするか、適応次第なんですね。だから、あれでいい成績が上がっているからといっ て、それはその施設がいいということでは絶対ない。 ○加藤委員 難しい患者を外して点数をよくする。できの悪い学生を退学させて、合格率をよくし ているのと同じだね。 ○石井(美)委員 初めから受けさせないで。 ○矢内原委員 だから怖いですよ、かえって出す方が。 ○丸山委員 1つの指標にすぎない。 ○矢内原委員 宣伝になってしまうんですね。 ○加藤委員 難しい手術やっている病院の方が死亡率高いかもしれないですね。 ○辰巳委員 すごくいい成績を出しているところを見ると、私はまず、どういう人に体外受精をや っているのかなと。その施設がすごくいいことをやっているんだなとは思わなくて。ど ういう人にしているのかな、突出していい成績を出しているところはそう思っちゃいま すね。 ○丸山委員 医師の免許の合格率みたいですね、違いますか。 ○矢内原委員 ベースが同じじゃないですから。 ○吉村委員 でもあれより悪いですよ、先生。ベースは同じなんだもの、国家試験は。でも患者の ベースが同じじゃないでしょう。だから、あれは70%と80%では明らかに80%の方がい いわけですよ、その時点ではできる。 ○石井(美)委員 でも初めから受けさせないんですよ。 ○吉村委員 でも、そういうことはないですよ。 ○石井(美)委員 慶應大学はしないかもしれませんが。 ○吉村委員 医師国家試験は最近そんなことないですよ。悪いところは必ず悪いです。受けさせな くて、また悪いです。 ○矢内原委員 受けさせなくても悪い。 ○吉村委員 今、そんな医師国家試験ないですよ。 ○石井(ト)委員 ちょっと言わせていただくのですが、3ページのところ、委員会の経過なんですけ ど、「本専門委員会においては」というくだりのところですが。5月からワーキンググ ループができましたね、それがいつごろ出されてということで書いていただかないと、 これは事務局に一生懸命やっていただいたのはよくわかりますが、既に事務局がたたき 台の試案をつくってやったというふうにとられますね。ですから、それを委員会がさら に検討を重ねて、それらをもとに事務局が1つのまた試案を出したと。それをまた今 ディスカッションする、というプロセスを踏んでいただかないと。今まで我々全員でデ ィスカッションしたということがわかるように、よろしくお願いします。 ○石井(美)委員  議論をもとにした試案、ということですね。 ○石井(ト)委員  よろしくお願いします。 ○石井(美)委員  これの方が、私たちの責任は免除される。 ○石井(ト)委員  何か言うとおりに私たちは思われちゃいますので、たたき台がすべて。 ○吉村委員  たたき台はほとんど変わりましたよ。 ○石井(ト)委員  そうですか。 ○石井(美)委員  どんどん変わって、私たちは何をやっていたのでしょう、というような。 ○石井(ト)委員  何をやっていたのでなくて、やっぱりたたき台が重要なので。                  (休 憩)                   再 開 ○母子保健課長  それではよろしくお願いいたします。 ○中谷委員長   4の「提供胚の移植」については、お手元に文書が回っていると思いますが、それを ご確認いただきたいと思います。 ○辰巳委員  矢内原先生、「生成」を変えたいとおっしゃっていたんじゃなかったですか。 ○矢内原委員  「精子・卵子両方の提供によって得られた胚」としたんですけれども。 ○中谷委員長  どこですか。 ○加藤委員  今の石井さんの案の一番最後の行です。 ○矢内原委員  その理由は、「生成された」という言葉は余りにも人工的な感じがするのと、「得 た」と言っても同じようなニュアンスなんで、「得られた」と言って多少。 ○中谷委員長  「提供によって得られた」……。 ○矢内原委員  「胚の移植を受けることができる」。 ○加藤委員  英語では、胚を「エスタブリッシュ」と言うんですか。 ○矢内原委員  言うと思います。 ○加藤委員  言わないですか。インビトロなんかの「エスタブリッシュ」と言うんですか。ほかに は何か。 ○矢内原委員  「オブティン」という言葉使っている。 ○吉村委員  「オブティン」とはちょっと違うでしょうね。「エスタブリッシュ」の方が近いです かね。配偶子を得るとか、そういうことを「オブティン」と言っていいんですけど、そ こで2つのものをかけ合わせるわけですね。 ○矢内原委員  それを使って胚の移植をするという次の段階があるときには「オブティン」で得られ たという言葉を使う。 ○加藤委員  細胞工学について書いてあるのは、大体日本で「樹立」がエスタブリッシュの訳です ね。ここで「樹立」という言葉を使うのは仰々しいですからね。 ○吉村委員  「エスタブリッシュ」が一番近いと思いますけど、英語では。 ○丸山委員  田中先生がおっしゃった「デベロップ」はどうですか。 ○矢内原委員  発生した。 ○田中委員  「プロデュース」とか「デベロップ」とか。 ○矢内原委員  「プロデュース」は個人的なことありますね。デベロップだったら自律的な意味があ りますね。 ○中谷委員長  「提供によって得られた」というのが一番いいじゃないですか。 ○小林主査  1つ確認よろしいでしょうか。先ほどちょっと議論のございました、 2の「提供精子 による体外受精」と、 3の「提供卵子の体外受精」のただし書きなんですが、これは場 所等、いろいろとご意見があったと思うんですが、このままでよろしいのでしょうか。 ○加藤委員  本当は 2と 3のただし書きは両方とも落としてしまって、さっき石井さんが言ってい た前の方というと4ページですか、「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない」 のところに、さらに自分の精子を使うことのできる人は精子の提供を受けられない。自 分の卵子を使うことのできる人は卵子の提供を受けられないと、そういうのをつけたら どうだと、さっき石井さんがおっしゃったんですね。それはなかなか明快でいいのでは ないかと思います。 ○石井(美)委員  ただ、それぞれのところに書いた、AIDのところもそう書いてあって、 4のところ もそう書いてあるからという話が出たんですね。 ○加藤委員  でも「新たに胚をつくることはできない」という表現は、いろいろ難しい条件を含ん でいるんですよね。 ○小林主査  それと先ほど、「新たに胚」とか「ただし、この際、精子の提供に併せて卵子の提供 を受けることはできない」と一度なって、それをどうするかという話だったんですが、 ここに置くのか、それとも今おっしゃったように前の方にまとめるのか。 ○加藤委員  さっき言ったように、自分の卵子が使える人は卵子の提供受けられないというふうに 書けば、ただし書きには理由が書いてないけれども、自分のものを持っている人は他人 のものを使えないという理由が入っているんですよね。だから私はその方がわかりやす いと思います。 ○母子保健課長  つまり、2つ目の丸のところと、「ただし」の分をまずとって、2つ目の丸として、 精子の提供の場合には、卵子が得られる場合には卵子の提供は得られないと、そういう ものをそれぞれに入れるという。 ○加藤委員  それでもいいですね。 ○丸山委員  そこまですると、さっきの繰り返しになりますが、要らないと思います。胚のところ に、胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供された余剰卵の、そうか、 余剰卵に限ったか、要るかな。余剰でない胚の場合がありますね。 ○石井(美)委員  やっぱり加藤先生が支持してくださったので、一番最初の大原則の中に入れておくと いうのは、まさしく大原則であって、すべてについて加齢によって認められないと同じ ように、自分のものは使える人は自分のものを使ってくださいという原則なんだという ことを明らかにしておくことがいいのではないかと思います。  で、後の方でもしダブることがあれば、それは除いてもいいという考え方。念のため に書いておいてもいいと思いますけど。 ○中谷委員長  それでよろしいかと思いますけれども、丸山委員、何かご意見があれば。 ○丸山委員  文言を出していただいた方が。 ○石井(美)委員  それはもう少し洗練された表現の方がいいと思います。 ○丸山委員  IIIの1の(1)に入れるんですね、4ページの。 ○加藤委員  4ページの。 ○丸山委員  「また、自らの精子・卵子が得られる者は、それらの提供を受けてはならない」、す っきりしていないですか。もうちょっとすっきりさせますか。 ○矢内原委員  総論のところで、どこに入れようというんですか、「加齢」の後に入れるというんで すか。 ○丸山委員  ええ。 ○高橋委員  新たに丸をつけて、その項目に入れたらどうですか。加齢とこれはちょっと違うんじ ゃないでしょうか。 ○石井(ト)委員  これは条件を、対象を言っているわけですから、この項目は。だから法律上を言って いて、子どもができない、法律の分と加齢は対象にならない。さらに、それをつけ加え るとなるとすごく複雑になるような気がするんです。すっきりしますか、かえって複雑 のような気がする。 ○高橋委員  丸として、加藤先生がおっしゃったことを入れたらどうでしょうか。 ○吉村委員  もし、そうだったら、加齢も丸を。 ○石井(美)委員  別にした方がいい。 ○吉村委員  別にして、精子も卵子も、丸3つにすればいい。 ○高橋委員  そうそう。 ○小林主査  これはなぜ丸をつけなかったかというと、これは「不妊症のために子を持つことがで きない」とあるので「加齢により」というのを念のため書いたのですが、ここで本当は 読めると思いますので、それであえて丸を1個立てなかったんですけれども。念のため の記述ですので、1項目立てた方がいいということであれば立てますが。 ○吉村委員  立てておいてもおかしくない。 ○矢内原委員  括弧内のは、それを入れた方がいいように思うんですね。その方が繰り返しになって もいいのではないか。私の意見はそういうことです。なるたけ、括弧内は少ない方がい いとなれば。 ○中谷委員長  私は法律上の夫婦に限らなくてもいいのではないかというふうにずっと考えてきたん ですけれども、この間、生命倫理学会で、加藤先生に会ったときに、外国の場合は、正 式婚姻夫婦とそうではないご夫婦の比率が全然違って、日本の場合は圧倒的多数が婚姻 夫婦で。 ○加藤委員  厚生省でもらった資料だと、デンマークで58%、イギリスで38%でしたか、生まれた 子どもがシングルマザーである割合。ところが日本の場合にはシングルマザー率が1% 台でずっと増えていこうとしてないんですよね。ですから今の英米やデンマークの場合 には正式夫婦という条件をつけると出産が激減するという、すごい社会的な大きな圧力 を加えることになるんだけれども、日本の場合には、それが1%台でほとんど変わって ないから、むしろその条件をつけるということで……。 ○中谷委員長  そういうふうに説明を受けまして、なるほどと思い納得いたしましたので説を変えま す。 ○加藤委員  これから少子対策というのがいろいろ言われるようになるときに、1つはシングルマ ザー優先策をとるかとらないかという社会的な意思決定が要求されてくると思うんです ね。そのとき、この委員会で、わざわざおせっかい出して、少子化のためにシングルマ ザー優先策をとるという態度を示す必要はないだろうと思うんですね。 ○石井(ト)委員  最初からそういうことは大原則です。ですからそういうシングルマザーについては言 及しないと。日本の民法そのものが夫婦の婚姻関係にあって、子の福祉が保障されてい るということを前提に考えれば、法律婚の夫婦に限る。そういう話できていますので、 ここは別に。 ○中谷委員長  社会情勢はだんだん動きつつはありますけれども……。 ○石井(ト)委員  そこまでは。 ○中谷委員長  しかし、これまでのあれはそうだからということで私は納得いたしました。 ○石井(ト)委員  先生、結局どういうふうになるんですか、つけるんですか、つけないんですか。 ○加藤委員  だから、現行のままで、中谷先生はいいとおっしゃった。 ○石井(ト)委員  さっきの精子と……。 ○矢内原委員  精子・卵子のある者はそれを使いなさい。 ○石井(美)委員  とりあえず丸山先生案で。 ○矢内原委員  文章はどうなりますか。 ○母子保健課長   2と 3の提供精子の体外受精、提供卵子の体外受精の2つ目の丸をまず落として、こ この4ページの(1)の「条件について」というところの囲みの中の丸を今1つなのを 3つにして、「加齢」によりをまず独立させて2つ目の丸して、3つ目につけ加えるも のとしていかがでしょうか。「自己の精子又は卵子が得られる場合は、その提供を受け ることができない」というのを3つ目に入れるというので、また文言はリファインはで きると思いますが、そういうことをとりあえず内容的には。 ○丸山委員  見出し(1)、4ページの下から9行目の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助 医療を受ける者」の、「者の」をとったらどうですか。 ○小林主査  「受ける条件」でしょうか。 ○丸山委員  受ける条件だと、分けなくてもその項目におさめることができる。 ○加藤委員  一番最初は「被術者の条件」と書いてあったんですね。「者」をとった方がただし書 きの内容に一致するということですね。 ○丸山委員  ちょっと広げるんですね。 ○母子保健課長  とりあえずそうしておいて。まだ時間がありますので。 ○石井(美)委員  まだ新しいところに入ってないんですね。 ○吉村委員  「書面による同意」ですよ。 ○丸山委員  15ページ。 ○石井(美)委員  兄弟姉妹も言ってないんですよ、これでいいか。 ○丸山委員  兄弟姉妹を始めるとそれで……。 ○石井(美)委員  終わっちゃうから、やってないところをやる。 ○丸山委員  まず「書面」をしましょうよ。 ○吉村委員  書面で、新しいところですね。わからないところ言っていいですか。 ○母子保健課長  どうぞ。 ○吉村委員  「書面による同意」の(ア)、(イ)の(イ)のところですね。「精子・卵子・胚を 提供する者の書面による同意」、この提供するものの示すものは何ですか。 ○小林主査  見出しのことでしょうか。 ○吉村委員  そうです、見出しの示すもの。ドナーさんですか。 ○小林主査  ドナーですね。ちょっとこれは正確ではないですね。「提供する者及び配偶者」と入 れないといけないですね。ドナーです。 ○吉村委員  ドナーとドナーの夫婦ね。 ○小林主査  そうです。 ○吉村委員  そうしますと、括弧の中でこれがずっと出てくるので、非常に初め、おかしいなと思 って私は読んでいたんですけど。 ○石井(美)委員  16ページ。 ○中谷委員長  16ページ。 ○吉村委員  「書面による同意」の(イ)です。 ○石井(美)委員  資料の方の16ページ。 ○吉村委員  (イ)の「提供する者の書面による同意」、これを直さなくてはいけないと思うんで すけど、括弧の中の丸、「第三者の精子・卵子・胚を用いた生殖補助医療のために精 子・卵子・胚の提供を受ける者は」、これは主語は何ですか、示すものは。 ○小林主査  「する者は」の間違いです。 ○石井(美)委員  する者の間違いですね。 ○吉村委員  提供する者。 ○小林主査  はい。 ○吉村委員  「〜は」となると、同意を得なけれはならないということですよね。ということは、 これはその本人が……。 ○石井(美)委員  同意をしなければならない。 ○吉村委員  提供する者……。 ○中谷委員長  書面による同意、これは同意する人は提供者ですよね。ドナーですよね。 ○吉村委員  日本語のSとVとOがわかりにくいんですよ。 ○加藤委員  間違っているんじゃないですか、わかりにくいではなくて。 ○石井(美)委員  もともと間違っている。 ○小林主査  今、ちょっと間違えて申し上げたのですが「受ける者は」であれば、得なければなら ない、でも間違いではないですね。 ○吉村委員  受ける者は、得なければならない。おかしいんじゃないですか。 ○加藤委員  同意書というのは、受ける人がドナーから同意書をとるという形になるんですか。そ れともお客さん同士でもって書面の授受をするわけですね。 ○吉村委員  これはだれが同意を得るのかということですよね。おかしいですよね。 ○石井(美)委員  中で出てくるのは病院が受ける者になっている、そういう感じで読むとわかるんで す。 ○吉村委員  医者が受けるんだとか、そういうふうにしておけば、何となくわかるんですけど、こ の辺の日本語は非常にわかりにくかったです。 ○矢内原委員  これは全部医者が受けるものだとばっかり思っていました。 ○石井(美)委員  そう読むと、最後の方はだんだんそうなってくる。 ○吉村委員  「提供を受ける医師は」だったらいいんですよ。 ○石井(美)委員  でも、医師は提供を受けるのかなと、言葉としてはちょっとひっかかった。 ○加藤委員  要するに書面による同意が必要だということの、いわば確保しなければならない義務 というのはお医者さんの場合に成り立つんでしょう。 ○石井(美)委員  そうです。 ○吉村委員  そうです。 ○加藤委員  大体、あんた、もらった人から受け取っておいてとかやることはできない場合もある わけですよね。 ○吉村委員  そうです、そうです。 ○石井(美)委員  原則はできない。 ○加藤委員  匿名性も必要だしね。 ○辰巳委員  さらに開示するならば「生殖補助医療を行う者は」なんでしょうね。 ○加藤委員  そうですね。「生殖補助医療を行う者は、提供者から同意を得なければならない」、 そういう形にしなければいけない。 ○石井(美)委員  そういう形にしなければいけない。 ○吉村委員  これがちょっとわからなかった。それが全部のところに当てはまるんですね。 ○石井(美)委員  これも「第三者の精子・卵子・胚を用いた」と書いてありますでしょう、ここは。 ○吉村委員  はい。 ○石井(美)委員  言葉はどうするかは、そこは決めないといけないですね。 ○小林主査  よろしいですか。「行う者は」にすると、提供を一時的に受ける機関と行う者が違う 場合もあり得るので、やはりもらう者に同意を得て、もらわなければならないのではな いかと思うのですが。 ○吉村委員  匿名の場合はどうなるんですか。匿名の場合は相手も知らないわけですから、同意を どうやって得るんですか。 ○石井(美)委員  だから、行う人とは限らない。提供を受ける施設の医師、ということがあるというこ と。 ○吉村委員  そういうことでしょう。 ○石井(美)委員  はい。 ○吉村委員  彼が言っているのはそうではないんじゃないですか。 ○石井(美)委員  そう言ったんですね。だから「行う者は」じゃ困るじゃないですかと言った。 ○小林主査  行う者が、必ずしもドナーから提供してもらうとは限らない。 ○吉村委員  「受ける施設は」ですね。 ○小林主査  そういうことです。 ○吉村委員  これだと要するにレシピエントがドナーの提供を同意を得なければならないというふ うになっちゃいます。 ○加藤委員  そう読める。 ○小林主査  紛らわしい。 ○吉村委員  紛らわしいのではなくて、それとれちゃう。 ○加藤委員  提供を受ける者というのが、あなたは、この文章は、提供を受けるドクターと考えた かもしれないけど、この文章を素直に読めば、提供を受ける者というのはドクターじゃ なくてクライアントだと。クライアントがドナーから承諾書もらってこいという文面に なっちゃうので、それだとちょっと困るんじゃないかということです。 ○小林主査  ここは全体的に言葉を変えます。 ○矢内原委員  概念はそうでしょう。精子・卵子を提供する者。 ○加藤委員  だから「提供を受ける医師」だとか、「提供を受ける医師及び医療施設は」とか、そ う書くなり何なりすればいいと思いますけれども。 ○小林主査  ここは文言を変えさせてもらいます。 ○石井(美)委員  「施設は」とかというよりは、「書面によって同意するものとする」みたいな形にし て、主体を「同意」にしちゃった方が。 ○吉村委員  楽かもしれないですね。主体を、例えばここだったらドナーさんにするんですよ。ド ナーは、書面による同意を出すとか、書面によって同意をするとか、そういうふうにす れば。 ○矢内原委員  (イ)はそうじゃないの、(イ)の上のところは。 ○吉村委員  この中身がだめだということです。 ○石井(美)委員  同意書が必要だと。 ○中谷委員長  この表題はいいんですよ、これで。 ○矢内原委員  表題には書いてあるから、その内容で私はいいと思います。 ○中谷委員長  内容がおかしいということで。 ○矢内原委員  内容にもそれを入れなさいということ。 ○吉村委員  内容がそういうふうにとれない。 ○石井(美)委員  そうそう、内容がこれは完全におかしいと私も思う。 ○吉村委員  その次の 6の「十分な説明の実施」においても、(イ)の項目がそうなんですよ、同 じ内容。 ○小林主査  わかりました、ここは文言を適正化させていただきます。 ○中谷委員長  表題はいいけれども、説明がちょっとおかしい。 ○吉村委員  そのとき、同意のことなんですけど、私、1つ、このときに疑問になったんですけ ど、例えば提供者が出血をしたと。被害を被った。その場合、治験なんかでは必ず治験 の会社がすべてを保障するわけです、医療費も……。 ○加藤委員  慰謝料。 ○吉村委員  慰謝料はどうするか知りませんけれども、医療費も少なくともそれを保障するわけで すね。この場合はだれがそれを保障することになるのか。要するにドナーが不利益を被 った場合に、だれが保障するのかということまで決めていかないと、これは成り立たな い。 ○加藤委員  一般的に決まるんですか。 ○吉村委員  一般的に決まるというのは。 ○加藤委員  ドナーに、例えば顔にあなをあけてしまったという場合、それは医者の責任なのか… …。 ○吉村委員  クライアントがそのお金を払うのかということを決めていかないと。 ○加藤委員  一般的に前もって決まるんですか。 ○吉村委員  一般的に前もって決めていくのではなくて、それをだれが保障するのかということを 決めていかないとだめだと思います。 ○加藤委員  ケース・バイ・ケースでしか決められないということにはならない。 ○吉村委員  簡単に言えば、医療費をだれが払うかということですね。 ○高橋委員  それは病院でしょうね。 ○加藤委員  普通は病院ですかね。 ○丸山委員  普通は病院ですよね。 ○石井(美)委員  だれに、特定して提供するわけではないから、クライアントに。 ○加藤委員  クライアントの負担になるとは言えないのではないですか、その場合。 ○高橋委員  クライアントの負担にはならない、病院。 ○吉村委員  例えば、そうしたらば、その場合には、医療側がそれを支払うということになるんで すか。 ○石井(美)委員  過失があると……。 ○加藤委員  そうなると、わざわざ書くまでもなく、当然に。 ○吉村委員  過失ではなくても起こりえますよね。出血なんか起こるわけだし、卵巣過剰刺激にな ることだってあるわけだし、OHSSだって当然それは過失でなくても起こるわけです から結構な頻度で入院はあると思うんですよ。10%ぐらいの割合で入院しているわけで すから、体外受精の場合。それは戻した場合が多いからもうちょっと減るかもしれませ んが、そうするとそれは医師が払うんですか。これは医師が払うのはおかしい。例えば クライアントが患者であれば、それはある医療行為として行ったわけですから、第三者 の場合には新しい問題点ができてくるのではないかと。それを医師が払ったら、それは とんでもないことだと思うんですけど、それ、先生どう思われますか。 ○田中委員  確かにそういう可能性あると思うんですね。それがボランティアベースでやった場合 には、だれがそれを使うかというのはわかりませんよね。 ○吉村委員  それが医者がやったら大変なことになりませんか。 ○石井(美)委員  でもある程度までカリキュレートして、それは卵子の価格といってはいけないんです けれども、提供される場合に要する費用の中のあれに上乗せする分として一律かかわっ てくるわけではないか。その場合だけでなくて平均的に、保険料みたいな形になってく る。 ○田中委員  そうすると、その費用はだれに請求するのか、病院は。 ○高橋委員  普通は医者の方じゃないでしょうか。というのは、そういうリスクが起きる場合を考 えてみても、すべての例でリスクが起きるとは限らないわけですよ。 ○吉村委員  もちろんそうです。ただ、先生、入院費とか、結構第三者が入院することがあると思 うんですよ。 ○高橋委員  ありますね。 ○吉村委員  そういう場合に今、エイズのウイルスの問題点がありますね。弁護士さんから言われ たことは、エイズウイルスを定量いたしまして、ウイルスのコピー数を算定して、精子 を洗浄して、全く1/4000以下レベルにウイルスを洗浄することによってウイルスが除去 できますと。エイズウイルスのある精液を使った人工授精をする場合、例えばクライア ントのご主人がエイズだったと。ご主人の精子を使って何とか子どもを産みたいといっ た場合、精子を洗浄してウイルスのコピー数を算定するわけです。ある一定のレベル以 下になりました。今のところ科学のできる範囲内ではウイルスはありませんと。そし て、そうやって人工授精をやってほしいといって先生が依頼されてくる。それを先生に 返しました。  その場合にウイルスが子どもに感染したといった場合に、そのエイズの子どもが感染 したときにだれが医療費を払うのか、そういうようなこともかかってくると、ここにお いては……。 ○加藤委員 その場合には、吉村さんが失敗したとは言えないですよね。いわばウイルスを除去す る技術の限界ですよね。その場合には、初めから、こういう場合には当然ウイルス感染 の危険がありますと言って、その場合の負担をクライアントに初めから要求して行うわ けでしょう。 ○吉村委員 そうです。そういうことを要求することができるとするならば、例えばそうやってや る場合、過排卵を誘起をしまして、卵を採ってくる場合に、卵巣過剰刺激が起こるとい うことは、ある意味ではこれはやむを得ないことなんですよ。これは別に何らかのミス をしたわけでも何でもありませんし、そういう場合に医療費をクライアントに請求でき るというようなことも決めていかないと、こういった医療できなくなってしまうのでは ないですか。特に第三者からもらう場合に。それが病院のせいになってしまったら、病 院でお払いくださいと言ったら、だれもやらないでしょうし。 ○加藤委員 病院側には過失がないわけですね。 ○吉村委員 過失はないですね。 ○高橋委員 卵巣過剰刺激症候群のような場合はそこまでは起きる可能性があると思います。そう でないと、採卵のときに上手に卵が採れませんから。しかしながら、採卵のときにどこ か臓器を損傷したとかあるいはそのために開腹手術をするようになったとすると、そう いう場合の医療費は医療側が持たなくてはならない。問題はその線引きですよ。卵を採 るまでは、これはクライアントでいいと思います。 ○石井(美)委員 クライアントといっても直接的ではないのではないですか。クライアントが受けるに 当たって、卵の提供の費用として請求される中にはその分も入っているわけですね。 ○高橋委員 そうです。ですからそれ以上の、開腹手術をするとか、何かおきた場合は医療側では ないかなと。 ○石井(ト)委員 「書面による同意」というところの、今、中の意味のことを言っているわけですよ ね。 ○吉村委員 同意をするために、何を同意するかということになりますね。 ○石井(ト)委員 そうなんですね。だから、ここで言う同意は、提供しましたよ、確かにいただきまし たという契約の成立だけの同意だと思うんですね。 ○加藤委員 当然同意書の中には、提供者に何か危険が起こった場合には……。 ○石井(ト)委員 それは次の議題なんですよ。だから次の議題で、リスクを負ったとき、どうするかと いうところまで含めて、この同意の文言を決めていくのかどうかということです。やる んですか。そこまでしないと……。 ○吉村委員 それは決めないと同意はとれないでしょう。何を同意するんですかということになっ ちゃう。 ○石井(美)委員 3つの意味があるんですね。 ○石井(ト)委員  レベルによって違ってくる。 ○吉村委員  それまでやっておかないと実際上はできない。 ○加藤委員  今ここで決める必要があるのは、書面の同意の下に提供を受けなければならないとい うことでしょう。その場合の起こった事故についての負担をどこにするかということ は、当然民事的な契約の中に含まれるとしても、このガイドラインには触れなくてもい いというふうには言えないですか。 ○石井(美)委員  事実有無の仕方。 ○吉村委員  触れないという手もありますね。 ○丸山委員  この場合提供先が当該病院ではないので、触れる必要があるのではないですか。 ○加藤委員  病気でないから? ○丸山委員  中央の機関に提供するのかそれとも個々の医療機関に提供するのか、どっちのイメー ジなのか。 ○田中委員  個々でしょう。 ○高橋委員  個々の医療機関でしょう。 ○丸山委員  個々の医療機関なんですか。 ○高橋委員  はい。 ○石井(美)委員  そこの場合でも匿名性なんだからイコールにはならないわけですね。クライアントと 提供ドナーが、ただ、イコールに転嫁はできる。 ○吉村委員  私は提供してもいいですよと、そういうドナーさんがお見えになって、提供するとい うことに対して同意してくれればいいと、そういうことはありますけど、その同意だけ では全く同意にはならない。今まで我々がやっている医療の同意では全くそういうこと はあり得ないですね。 ○石井(美)委員  危険性のこともみんな。 ○吉村委員  危険性を言い、そしてこういう可能性を言い、あらゆることを言って、そしてその同 意をもらわないと、ただ、杓子定規に同意を得られればいい、そういう問題ではない。 どういう内容の同意を得るかということは大切だと、非常に私は思うので、その辺を。 ○石井(美)委員  十分な説明の中身ですよね。 ○吉村委員  中身ですね。何を説明するかということの方がもっと大事で、実際にやる人間にとっ てみれば、非常に大きな問題になると思うんですね。これは必ず病院で、例えばうちの 病院でやったとすると、事務からは当然そういう問題点は出てきますよね。だれがその 医療費を払うんだと。 ○丸山委員  18ページの(イ)の中に、十分な説明の内容を列挙するのでしょうか、説明事項とし て。 ○吉村委員  そうですね。ここに入るのか、私が今言ったところに入るのか、十分な説明のときに どういうことが入るか。これは非常に大きな問題点だと私は思うんですよ。特に第三者 からもらった場合は。 ○田中委員  病院自体は受益はないですものね、これをしたとしても。 ○加藤委員  でも、第三者から提供してもらった場合に、この人の提供分については、この人にあ げるという、1対1関係はないわけでしょう。だから、この人の提供されたものは、何 年の後にだれにわたるかわからないわけでしょう。この人がけがしたときに、その治療 費をだれに押しつけていいかという、押しつけるというと言い方悪いけれども、それも はっきりしないわけですよね。ですから先生おっしゃったように、一般的な保険みたい に上乗せして取っちゃうよりしようがないですね。 ○石井(美)委員  そういう形だと思いますね。それを含めて、全体のシステム、さっき言われた、個々 の施設にするのか全体に提供するのか、それによっても全然違ってきますよね。コス ト、全体がどうバランスするかというのは違ってくるわけだし。 ○丸山委員  精子提供と胚提供は、施設に与えるというイメージに合致するんですけど、卵提供の 場合で夫側の精子を使うときは、施設に提供というイメージはちょっと合わない。クラ イアントに提供、という感じがしますけれども違うんですか。匿名だから一旦施設なん ですか。所有権らしきものは……。 ○中谷委員長  提供の場合の同意説明書と同意書みたいなもののひな型みたいなものをつくっておく んですか。 ○石井(美)委員  それはつくっておくのでしょうね。 ○吉村委員  それはそうでしょうね。 ○中谷委員長  そこで明らかにすれば。 ○加藤委員  でも、それはそういうことをきちんと決めてやりなさいということをガイドラインで 書けばいいので、その場合の危険負担が、提供者の負担とならないように十分配慮して 同意書をつくりなさいということをここで書いておけばいいので、その場合に、どちら の責任になるかとか何とかということをこのガイドラインで書く必要はないのではない かと私が言ったら、丸山さんは違うとおっしゃったんですよね。 ○丸山委員  そこにはまだ触れてないです。どっちがいいですかね、責任の帰属は。 ○加藤委員  民法の大原則全部書かなければならないみたいな感じがする。 ○丸山委員  実施医療機関の責任にせざるを得ないのではないですか。 ○石井(美)委員  それをどこに転嫁することを認めるかという問題、第一次的にはそうせざるを得ない のではないですか。 ○吉村委員  実際やるとなったら、どういうふうにして問題点が起こってくるかということを考え ますからね。 ○石井(美)委員  今、移植でも問題になっているのは、提供機関は何の利益もなくてお金だけ出ていく というのが問題になっているのでしょう。だからこそ提供が増えないと。 ○吉村委員  第三者は善意でやってくださった人がいるとすると、それをやっぱり保障しておいて あげないと。 ○加藤委員  それはそうですね。 ○石井(美)委員  どこまで保障するかですね。 ○吉村委員  それをだれが保障するか。 ○石井(美)委員  死んじゃったときの保障までということですね。 ○吉村委員  しっかりしておいてもらわないと提供する人もいなくなりますよね。 ○丸山委員  骨髄バンクは保険掛けていますよね。 ○石井(美)委員  保険は必要ですね。 ○丸山委員  だから生殖医療ネットワークとか何とかという全国機関を設けて、そこで保険を各傘 下施設に提供する。おかしいですか。 ○吉村委員  兄弟姉妹だったら、何となくどちらが払うかということは何となく決まりそうですけ れどもね。 ○丸山委員  匿名の第三者提供ですね。 ○矢内原委員  それが原則ですからね。 ○丸山委員  その場合の責任のあり方ですね。 ○吉村委員  これも非常に大きな問題だと思いますね。 ○中谷委員長  実際問題非常に大きいけど、18ページの(イ)の説明の内容は一応行き届いているの ではないでしょうか。「精子・卵子・胚を提供する者に対する十分な説明の実施」です けど、抽象的に言えば。 ○吉村委員  言われていることは、そういうことも含めてなっているんですけど、実際にやる側に なると、このガイドラインも実際にやるためのものでないと。 ○石井(美)委員  いや、そこは加藤先生がおっしゃったように、もう一段、実際にこの報告書によって 動き出すときにはもっと細かいガイドラインが必要になっていくのではないですか。 ○吉村委員  それでよければ。 ○石井(美)委員  そのとおりになるかどうかもわからない報告書。 ○丸山委員  大体こういう条件で何を認めるか。 ○石井(美)委員  そういうことも十分考えてやらないと動かないですよということは言っておかなくち ゃいけないんですね。要するに提供によって被害を被らないように、最大限の配慮をし なければならないと思うんですね。でもミスをしたお医者さんは、それによって免責は されない。それはそれ自身として責任がある。 ○丸山委員  ミスがあればそれで責任の帰属ははっきりするんですけど、なくても事故は起こるん でしょう。 ○吉村委員  体外受精においてミスということはまずほとんどないですね、これは医療的にみて。 例えば出血したってそれがミスかといったらミスではないですからね。この点に関して だけは私思えるんだけど、卵巣が過剰に腫れて1週間入院しても、おしっこが出なくな って腎不全になろうが、通常言われている医療ミスとは言えないと思いますね。 ○石井(美)委員  でもやっぱりある程度の水準を超えた量の排卵誘発剤を用いたり、そういうことにな ると。 ○吉村委員  開腹までいけば、どうなるか、それは私はわかりませんけれども。 ○高橋委員  卵巣出血もありますからね。 ○吉村委員  ええ。それはミスと言われても。 ○矢内原委員  何が起こるかわからないね。 ○石井(美)委員  ということは、説明していただかないとやっぱりいけないですね。 ○石井(ト)委員  事前にそういうような危険がある。 ○矢内原委員  説明するとは書いてありますね。 ○石井(ト)委員  書いてあります、全部。 ○中谷委員長  書いてあるんです。抽象的にはこれで十分だと思うんですよ。同時に「カウンセリン グの機会の保障」ということもありますので、これを具体的にどういうものとして提示 されるかということは、個々に任されることになるのではないかと思いますけど。 ○矢内原委員  まだ解決しない点がありましたよね、どこかに。あれと同じように、こういうことは 実施の段階で具体的に考慮しなければいけないというようなことを書いておかないと忘 れちゃう。 ○吉村委員  書いておいていただけますかね。 ○石井(美)委員  「終わりに」のところ。 ○吉村委員  「十分な説明の実施」のところでもいいですし、「書面による同意」のところでもい いですけれども、書いておいていただければ。普通に言いますと、ドナーが被る不利益 に対してだれが経済的、医学的、経済的なことですね。 ○丸山委員  だれが責任を負うか。 ○吉村委員  だれが責任を負うかということを。 ○石井(美)委員  責任というか負担するか。 ○吉村委員  負担ですね。 ○丸山委員  責任を引き受ける。患者側ではない、依頼者側が責任を引き受けるという言い方もす るでしょう。 ○矢内原委員  責任を負うですね。 ○小林主査  ドナーが受ける不利益に対して、不利益をだれが責任を負うかについて、あらかじめ ……。 ○丸山委員  あらかじめ定めておく必要がある。 ○吉村委員  実施の際にはですね。 ○小林主査  個々の実施に当たって、どっちがどういう割合で負担するかということを定める。 ○吉村委員  個々の実施かどうかわからない。 ○加藤委員  少なくともドナーが十分に保障されるということが必要だと思うんですね。ドナーの 負担にならないということですね。 ○矢内原委員  これらの実施に際しては、提供者が被る不利益について、その責任をどのように負う かをあらかじめ定める必要がある。 ○中谷委員長  矢内原委員、今の部分を何ページのどこにおくのですか。 ○矢内原委員  私は資料の方の18ページの一番最後、説明の後にと思ったんですけど。 ○中谷委員長  説明の実施の後。 ○矢内原委員  はい。 ○丸山委員  説明の実施とはどこですか。 ○矢内原委員  この実施の前です。 ○中谷委員長  実施の前でしょう。 ○矢内原委員  治療法について説明する必要がある。また、これらの実施に対しては、提供者が被る 不利益についてはその責任をどのように負うかあらかじめ定める必要がある。 ○吉村委員  そこでもいいですね。 ○中谷委員長  それではっきりしましたね。 ○丸山委員  これはクライアント側ですね。 ○小林主査  囲みの中ではなくて……。 ○中谷委員長  外です。囲みの前ですね。 ○吉村委員  それはそれでいいと思います。 ○小林主査  わかりました。 ○丸山委員  ドナー側にも言えますね、卵の提供の場合。 ○矢内原委員  これはドナー側の話です。 ○丸山委員  (ア)はレシピエント側ですね。 ○矢内原委員  レシピエントの方はもう。 ○丸山委員  (ア)はクライアントでしょう。 ○中谷委員長  (ア)はレシピエント側。 ○矢内原委員  そしたら、今度は(イ)の方の後ろですか。 ○吉村委員  ごめんなさい、(ア)ではなくて(イ)の方ですね。 ○中谷委員長  そうすると、20ページの 7の前ですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢内原委員  実施になったら、またいろんなことが出てくると思う、こういうことになると。 ○吉村委員  18ページの(イ)の説明の実施も、括弧の中がわからないんですね。「受ける者は」 とまたなっているんですけど。 ○小林主査  ここはまた同じように整理します。 ○吉村委員  同じように。 ○石井(美)委員  提供の仕方がどういうシステムになるかということを明確にしないと。 ○田中委員  例えば提供者・ドナーが結婚してなくて、成人していて1人の場合はどうしたらいい んですか。本人1人の意思でいいんですか。 ○加藤委員  卵子の場合には認めないんでしょう。 ○石井(美)委員  未婚の母は認めない。 ○吉村委員  未婚の母はだめなんです。 ○石井(美)委員  いいんです、未婚の母だって。 ○吉村委員  そうか。 ○石井(美)委員  提供者は。 ○中谷委員長  提供者はいいんですよ。 ○田中委員  配偶者がいればいいですけど、配偶者がいない場合には、普通は何かもう1人保護者 立てますよね、手術のときは。 ○吉村委員  お母さんとかね。 ○石井(美)委員  それは別問題、普通は手術の方法と同じように考えればいい。 ○吉村委員  本人だけでいいの。 ○田中委員  いや、何かあったときですよ。いろんな事故が起きたときに手術を……。 ○吉村委員  麻酔かけるわけですから、これはだめですよ。手術と同じですよ。当然そうです。 ○丸山委員  要らないです。 ○石井(美)委員  それはここで特に論じる問題ではない。 ○丸山委員  やる問題でなくて、通常の手術の。 ○石井(美)委員  医療の問題として考える。 ○吉村委員  それはそうですね。 ○石井(美)委員  これは特別だから特別にだれか、事実上の配偶者の同意が必要であって。 ○矢内原委員  臓器提供のときにはそういう議論はなかったんですか。実際に臓器提供しますね。 今、それをやる施設というのは経済的に負担をかかっていますよね。それはどこも保障 しないんでしょう。 ○中谷委員長  今はレシピエント側が払うことになっています。 ○丸山委員  ネットワークじゃないですか。提供病院、違いますか。 ○石井(ト)委員  機関に補助金があって、大体そこで払っている。 ○中谷委員長  補助金はあるにしても、レシピエントの方が搬送したりなんかする費用は払うんです よね。 ○丸山委員  搬送はネットワークじゃないですか。 ○矢内原委員  ヘリコプター使ったり飛行機使ったりしている費用。 ○中谷委員長  だから、そういう形になるから大変だということで騒いでいるわけですよね。 ○矢内原委員  それは前もって決めてなかったんですね。 ○中谷委員長  特別な機関をつくらなければいけないということになっているわけです。 ○丸山委員  ネットワークじゃなかったですか。 ○矢内原委員  ある病院では全くマイナスですからという意見もありますよ。夜中に職員が出てきた り、そんなの全部払わなければいけない。 ○丸山委員  古川病院では、六百何万か出していましたね。 ○吉村委員  臓器移植の場合にはならないでしょう。死体からの臓器を移植する。 ○中谷委員長  医療費でないから。 ○吉村委員  要するにその人は何も不利益を被らないわけですね、ドナーはね。この場合は、生き ている普通の人間ですから。 ○田中委員  ドナーは治療を受けて麻酔をするわけだから。 ○加藤委員  生体肝移植の場合には同じ問題が起こってくる。 ○吉村委員  そういうことですね。 ○石井(美)委員  ただ身内でやっているから問題にならなかった。 ○吉村委員  これも身内だったら余り問題にならないと思うんです、そういう医療費のこととか。 ○丸山委員  じゃあ、いいですか。 ○吉村委員  そういうことになっているんですよ。 ○矢内原委員  身内に限るにしますか。 ○吉村委員  いやいや、そういうことではなくて、現実面では余り問題にならないでしょうという ことを私は言っているだけですけど。 ○中谷委員長  それはその費用じゃないですからね。 ○石井(美)委員  でも事故があったらわからない。 ○中谷委員長  事故があれば。 ○吉村委員  わからないですよ。 ○中谷委員長  それは通常の医療過誤と同じことになるわけです。 ○矢内原委員  そうなると、医者はだれもやらなくなりますね。 ○吉村委員  やっぱりその辺はちゃんと明記しておかないとね。ここで明記することでなかった ら、それはそれでいいんですが。 ○矢内原委員  実施要綱やるときには忘れちゃうから、今までどおりにどこかにちょっとメモしてお いた方がいいですね。今度これが教科書になって実施要綱ができるでしょうから。 ○吉村委員  十分な説明をしなくちゃならない。 ○石井(美)委員  これは行う者については義務化をはっきりさせるという形で書いているということで すね。提供を受ける施設、この提供ってだれが受けるのか。一旦施設が受けて、それを 渡す。 ○丸山委員  匿名ですから、そうならざるを得ないですね。匿名の卵の提供というのはどうもイ メージわかないですね。 ○吉村委員  イメージというのは、実際にそういうことができるかどうかというイメージ。 ○矢内原委員  どういうような具体的にここにレシピエントがいて、ここにドナーがいてといって。 ○丸山委員  排卵の周期がやってきて、亭主の方の精子が用意されて受精させるんですよね、採卵 して。保存は凍結でするんでしょうけれども。 ○吉村委員  先生、そういうことを考えなくても、妻が違う人になって、妻が体外受精を受ける状 況と同じ状況を考えておけば全然問題ないわけですよ。 ○丸山委員  その妻が匿名なんですね。 ○吉村委員  あした採卵しますからご主人あした来てください、と言えばいい。そのことは別に、 妻が体外受精を受けるときと全く同じですよ。 ○矢内原委員  ETをすることを考えたときにはコンディショニングしておかないといかんでしょ う。 ○丸山委員  その場合は卵を直接クライアントがもらうイメージに近づいている。実施施設に一旦 卵が帰属するというイメージがちょっと薄くなるような感じがするんですね。 ○吉村委員  どういう意味ですか。 ○辰巳委員  もうそれは決まってますよね。やる前からレシピエントが、ということです。 ○吉村委員  そうです。 ○丸山委員  精子の場合でしたら凍結保存ができますから、一旦慶應病院に帰属してそれがたくさ んのクライアントに分けられるという感じで、一旦慶應病院への帰属がはっきりするん ですけど、卵の場合は未受精卵は凍結保存できませんし、ほどなくクライアント側の精 子と受精させるんでしょう。 ○吉村委員  すぐやらなくちゃいけないです。 ○丸山委員  そうなると、すぐクライアント側の帰属になりそうな気がするんですね。一旦施設に 所有権らしきものが、匿名のドナー、一旦ドナーから移るという構成をする必要がある のかなということです。 ○吉村委員  その場合に、恐らく同調をすぐさせていくということが不可能かもしれないし、精子 を受精させて、受精卵の2ないし4細胞帰胚で凍結するということをしないと、具体的 にはなかなか難しいだろうと思うんですよ。 ○丸山委員  全部凍結するわけではない。 ○吉村委員  全部凍結するわけではないけれども、なかなか合わせることは難しいと思いますよ。 ○丸山委員  今度はクライアント側の奥さんの方。 ○吉村委員  合わせなくてはいけないから。それは今ここで我々が考える……。 ○石井(美)委員  提供を受けた者という言い方の中の。 ○丸山委員  卵の帰属が刻々とどう移っていくのかという。 ○矢内原委員  1回病院に入って病院から行くのか。 ○丸山委員  ええ。 ○石井(美)委員  所有権というんです。 ○丸山委員  所有権らしきもの、管理権でもいいです。 ○吉村委員  それはないといけないんですか。 ○丸山委員  やっぱり同意文書の宛て名とか。 ○矢内原委員  だれに行くかはもちろんわかってないから。 ○吉村委員  私にはわからないけれども。 ○丸山委員  一旦はその病院に帰属するのだったら、病院あての同意文書でいいですね。卵を利用 します。もう一つ何でしたかね。 ○矢内原委員  病院が仲立ちをして両方やって、両方合わせないようにしているわけですから、病院 に1回行って。 ○丸山委員  建前はそうなんですね。 ○中谷委員長  病院長宛でしょうね。 ○丸山委員  胚と精子はそれでイメージも合うんですけど、卵がちょっと合わない。 ○辰巳委員  数時間は病院に帰属しているわけだから。 ○吉村委員  培養しますからね。 ○辰巳委員  同じでいいんじゃないでしょうか。 ○丸山委員  その数時間は、亭主の精子と合体しているんですよね。 ○辰巳委員  合体してない。少しあるんです。卵を採って精子かけるまでに。 ○吉村委員  3時間か4時間あるんですよ。 ○辰巳委員  はい。 ○吉村委員  それは私は別に。 ○丸山委員  受精した瞬間にクライアント側の所有に帰す。それならいいですね。 ○矢内原委員  大きな施設じゃなきゃわかっちゃうね。 ○吉村委員  まだ受精しても戻すまでは病院じゃないですか。 ○石井(ト)委員  戻して初めて施設の方に。病院に帰属しますね。 ○丸山委員  精子はクライアント側の精子でしょう。 ○吉村委員  そうですよ。 ○丸山委員  それとドネートされた卵が受精するでしょう。その瞬間は一旦クライアント側の精子 も病院側に帰属するんですか。 ○吉村委員  ということを言えば、要するに通常の体外受精でも、そしたらば、病院にあるのは先 生同じですよ。 ○丸山委員  通常の体外受精の場合には、クライアント側のものにしてもいいんじゃないですか。 ○吉村委員  先生がそういう考えであれば、それでいいし、別にそれが病院側のものでないといけ ないとか、何を先生が問題にしているのか。 ○丸山委員  同意の宛て名や事故が起きた場合の、事故はいいかな。 ○石井(美)委員  あると思いますよ。病院側が勝手に捨てちゃったりしたらいけないんですよ。 ○矢内原委員  例えばシャーレを運んで、培養のときに転んで全部すっ飛んじゃった。そういう事故 もゼロではないですね。 ○吉村委員  それはそれでしょうね。 ○矢内原委員  多少カビが生えちゃったとかそういうときに、そこまで要した費用はどうなるのか。 ○丸山委員  運送業者でもね。 ○石井(美)委員  病院側だって、ほかの人のものというか……。 ○石井(ト)委員  体に戻すまでは施設側の帰属になるんです。 ○中谷委員長  アメリカで1983年でしたか、培養中に問題になった例もありましたね。 ○石井(ト)委員  同じ考え方だと思うんです。 ○丸山委員  生体肝移植で、お母さんが息子に肝臓部分移植するときに、一旦病院に部分肝は帰属 して、それが子どもに行くということですか。 ○石井(ト)委員  子どもに行ったときに子どもが所有権になると。するまでの間は病院に帰属するとい う。 ○中谷委員長  そんな時間置くんですか。 ○丸山委員  置かなくても、摘出してから。 ○石井(ト)委員  置かなくても、ある一瞬、1秒でも2秒でも、その空間あるので、それで帰属のこと を丸山先生はずっと気にしていたもので、だから、今そういうふうな考え持ったのかな と思ったんです。だから、同意書のときに、宛て名をだれにするかというところでひっ かかってらっしゃる。要するに採って、とにかくレシピエントにあげるまでは病院側に 帰属するんです。だから、その間に、先ほど例を言ったように、シャーレを転んで壊し たとか、姓を間違えて他の人に移植したとか、そういうことになったら病院側の責任に なるんですよ。 ○丸山委員  それは過失によって責任が生じるので、だれの帰属であるかによって責任が決まるわ けではないので、必ずしもそこはリンクさせなくていいんです。 ○石井(ト)委員  先生はそういうことを求めているのではないかなと思って、私なりの考えを言いまし た。 ○丸山委員  私はちょっと、余計なことにこだわりすぎているのでしょうか。 ○吉村委員  その場合、そうすると帰属は病院でないとすれば、どうすればいいんですか。どうす ればいいんですかということを聞いた方が早い。 ○丸山委員  クライアントに即行くのかなという感じなんですけど、だけど匿名にするとやっぱり まずいので……。 ○吉村委員  かけないでしょう。 ○丸山委員  かけない方がいい。ですからさっき言いました生殖医療ネットワークのものにするの かなという。 ○加藤委員  保険ね。 ○石井(ト)委員  生殖医療のネットワークができるのでしょうか。 ○吉村委員  それはそれでもいいです。 ○矢内原委員  生殖医療ネットワークですか。 ○丸山委員  中央機関ですね。 ○中谷委員長  いつできるんですか。 ○石井(ト)委員  そういう性質のものじゃないと思うんですね。 ○丸山委員  すいません、もとに戻して下さい。 ○矢内原委員  凍結なんかのときにどこかで問題になりましたけれども、違った人のを入れたりなん かしちゃいましたよね。それは施設は完全に謝っていますよね。 ○丸山委員  落ち度があったから謝っているので。 ○矢内原委員  ということは責任もあるわけでしょう。 ○丸山委員  ええ。 ○矢内原委員  施設の責任になるんじゃないですか。渡すまでの間は。 ○丸山委員  受精卵を凍結保存する際の受精卵というのはだれのものだというイメージですか。 ○矢内原委員  お金もらって預かっているんだから、患者さんのものです。 ○田中委員  夫婦間でしょう。 ○石井(美)委員  それはそうでしょうね。 ○吉村委員  それはそうでしょうね。そういうことから言えば、物はだれのものですかといったら クライアントのものですよ。 ○丸山委員  余剰卵の場合だと、もとのクライアントの夫婦のもので、一旦病院のものになって、 匿名性でしょうから、病院が新たなクライアントに提供する。 ○高橋委員  ただ管理料、凍結保存料はクライアントが出しているから。 ○辰巳委員  要らないと言った時点で病院に帰属する。 ○高橋委員  帰属するんですね。 ○丸山委員  とりあえずすべて病院ですか。 ○辰巳委員  その方が簡単じゃないですか。 ○丸山委員  そうですね。同意書もドナー側が病院宛に。 ○田中委員  病院長ですね。 ○吉村委員  帰属がどうのこうのというふうに先生はおっしゃるんだけど、帰属は私は病院で、そ ういう意味で言えば、だれのものかといったら、それはクライアントのものだと思うん ですね。それはそうですよ。 ○石井(美)委員  クライアントが決まらない間があると。 ○吉村委員  それは病院でしかないじゃないですか。それは保存しているところにあるしかないじ ゃないですか。でもクライアントが決まらないまでは、もともとのドナーのものかもし れないじゃないですか。 ○石井(美)委員  そこをどうするかですね。だから提供するといって、提供しちゃった後はそこに関知 しえない。 ○丸山委員  精子の場合だったら、提供して、あげましたというイメージでしょう。それはよくわ かるけど、卵の場合はどうかなと。 ○石井(美)委員  それは精子でも卵子でも論理的には同じですね。 ○丸山委員  いや、凍結保存ができるというので意味は結構違います。 ○石井(美)委員  卵だって将来的には。 ○丸山委員  それはできるのであればね。 ○中谷委員長  今は日本ではできませんからね。 ○丸山委員  だけど、とりあえずは実施機関にしておけばいいですか。 ○石井(美)委員  帰属でいいかどうか、どこまでの処分権があるかですよね、そうすると。提供された もの。 ○中谷委員長  イギリスのように凍結保存するだけの機関があるわけですよね。そういう場合でも、 処分等についてはクライアントの方に処分権があるわけですからね。5年が基本ですけ れども、10年まで認めるとか、あるいはおりるとかという。 ○石井(美)委員  それは提供してない場合ですね。 ○丸山委員  それはそうです。提供があった場合どうなんですか。 ○中谷委員長  提供があれば、それはまた別ですけど、凍結保存だけの医療機関がありますから、そ ういう場合の。 ○丸山委員  辰巳先生に伺った例、それはそうですね。所有権はありますね。 ○中谷委員長  そうなんです。とりあえず……。 ○吉村委員  それは先生方で考えていただいて、私たちは余り……。 ○丸山委員  とりあえず医療機関に一旦帰属するにして進めましょう。 ○石井(美)委員  帰属の問題置いておいて、だれがだれに説明をして、説明する責任を負っているかと いうことは明確にする必要があって、その説明する責任がある人に対して同意書が提出 されるという形をとるんですね。 ○丸山委員  帰属する側が説明するんですよね。それが自然ですよね。 ○石井(美)委員  でもクライアントが説明するということは絶対にあり得ない。 ○丸山委員  だからクライアントにはすぐ行かない。だから一旦医療機関に帰属させて。 ○中谷委員長  医療サイドと法サイドとの思考が全く違うからおもしろい。 ○辰巳委員  やっぱりやめてくださいという場合には、ドナーの方の意思が通用するわけですよ ね。 ○中谷委員長  それはそうですよね。 ○吉村委員  それはそうですね。 ○石井(美)委員  そこをどうするかですね。 ○辰巳委員  移植するまでは、嫌だと言った場合……。 ○吉村委員  嫌だと言った場合はそれはそうでしょう。 ○丸山委員  精子返せって言えますか。 ○吉村委員  精子を捨てるわけですよ。精子がドナーとなりたくないと言ったら捨てればいい。 ○丸山委員  先生のところで一旦精子をもらうでしょう、 5,000円、 7,000円、1万円で。後で… …。 ○吉村委員  嫌だと言ったら、それは先生当然捨てますよ。 ○石井(美)委員  嫌だという権利あるんですか。 ○吉村委員  嫌だという権利は、別にそんなこと言っていた人ありませんけれども、嫌だと言った ら捨てますよ、それは、当たり前でしょう。 ○石井(美)委員   5,000円払っても。 ○吉村委員 それはしようがないじゃないですか。嫌だと言っているのに。 ○石井(美)委員 5,000 円返してくださいとは言わないんですか。 ○吉村委員 そんなことは言いませんよ。 ○辰巳委員 だから、帰属は病院だけれども、所有権はまだドナー側に。 ○丸山委員 買戻しはできると。 ○石井(美)委員 買戻し。 ○丸山委員 売買じゃないんですね。提供の撤回はできる。 ○石井(美)委員 いつまでできるかですよ。 ○吉村委員 それは永遠にできるでしょう。 ○丸山委員 使うまででしょう。 ○田中委員 戻すまで。 ○吉村委員 使うまででしょう。それはそうですよ。 ○石井(美)委員 帰属ということは考えられないですね、預かっているんですから。 ○小林主査 使用される前であれば。 ○吉村委員 それは当然だと思いますよ。 ○石井(ト)委員 帰属と所有権というのはどう違うんですか。 ○丸山委員  同じでしょう。 ○辰巳委員 我々は医療サイドは別に提供受けていると思ってないんです。お預かりしている。こ こで「提供受ける者」と言われると何となく違和感があるんですね。 ○吉村委員 それは違和感ありますよ。 ○辰巳委員 我々は提供されているわけでなくて、とりあえずお預かりしている。 ○吉村委員 私たちはそんなことやりたくないです。 ○丸山委員 だけど、まだなさってないんでしょう。 ○辰巳委員 してないですよ。 ○丸山委員 するようになった場合でも預かっているというイメージですか。 ○吉村委員  それはそうでしょう。 ○辰巳委員 お預かりしているので、私たちがもらったのではないと思いますよ。 ○石井(美)委員 それはそういうふうに考えてもいいと思います。 ○矢内原委員 そこで事故が、停電なりガスが足らなくなったりして凍結がだめになったとします ね。そのときはごめんなさいで済む。 ○吉村委員 それはしようがないじゃないですか。 ○辰巳委員 それは最初に言っておいて、そうなった場合にはこちらはしようがないと、ごめんな さいと。 ○矢内原委員  ごめんなさいと。 ○辰巳委員  はい。 ○吉村委員 私たちはお預かりしているだけです。 ○矢内原委員 お預かりしているものをだめにしてしまい、それでごめんなさいで済む。 ○吉村委員  それはしようがないじゃないですか、先生。 ○高橋委員 預かるとか提供するとかいうのはこちら側の表現の仕方によるもので、どう表現する かの問題だと思います。こういう文言にするときは提供でしょう、お預かりしているも のだから。 ○中谷委員長 預かっている最中にだれかが廃棄したような場合はどうなさいますか。以前、最初の ころにあったんですよ、アメリカでね。そしたら、精子の提供者は3ドルかな、卵の方 は3万ドルか、そういうので支払えという裁判所の判決が出たんですよ。 ○矢内原委員  3ドルと3万ドルですか。それを同列にしたくないんだ。 ○中谷委員長  そういうのがあった。それはごくごく初期のことですから。 ○加藤委員  精子1個についてじゃないですか。 ○中谷委員長  培養している最中に、こんなのは倫理に反するといって、同僚のお医者さんが。 ○矢内原委員  その結果どうなんですか、払った? ○中谷委員長  しようがないでしょう。 ○矢内原委員  3ドルとおっしゃいましたね。 ○中谷委員長  3ドルだか1ドルか3万ドルだったと思います。 ○辰巳委員  私、癌の治療でお預かりしている精子の所有者が生きているのか死んでいるのかわか らなくて、ずっとキープしているのがあるんですよね。捨てられなくて困っているのが だんだんたまってきて、本当に困っちゃいますね。 ○丸山委員  そういう事故のときの賠償責任に備えて保険を掛ける際にも、だれのものかというこ とは必要になってくるんじゃないですか。 ○中谷委員長  でしょうね。 ○吉村委員  でも、保険を掛けるというところまでいってませんからね。 ○中谷委員長  まだいってませんから。 ○丸山委員  先に進みましょう。 ○吉村委員  どこまでいったんですか。 ○矢内原委員  (イ)あたりまで。 ○吉村委員  カウンセリングまでいったんですか。 ○矢内原委員  そこのところにこれから入る。 ○辰巳委員  カウンセリングの、21ページの1つ目の丸「なお、現行においては、第三者の精子・ 卵子・胚を用いた生殖補助医療に関する専門知識を持ったカウンセラーに係る認定制度 等は存在せず」となっていますが、私的なもので存在しているので、「公式な認定制度 等は存在せず」など、そういうふうな形にしていただいた方がいいのではないですか。 ○矢内原委員  認定というのは公的だとばかり思っていましたから。 ○田中委員  辰巳先生が言っているのは、荒木先生がなさっているものでしょう。 ○辰巳委員  そうです。 ○田中委員  あれで、認定されたカウンセラーになるんですか。実際に出席されている方の大部分 は看護婦や検査技師で、とてもカウンセラーというものではないと思います。 ○石井(ト)委員  お話を聞きましたら、ある一定の時間数、かなりの時間数を終了しますと不妊カウン セラーと認められ、更にプラスして学習するとIVFコーディネーターとして認めると いうようになっている。 200人ぐらい既にいらっしゃるそうです。 ○中谷委員長 公的な資格が付与されているの。 ○石井(ト)委員 ないです。 ○中谷委員長 だから資格がなければないですね。 ○石井(ト)委員 これはどういうふうに、公的な制度はという形で。 ○辰巳委員 公式なという形に書いてませんよね、今回の案では。 ○矢内原委員 一番最後の方に。 ○小林主査 専門団体。 ○辰巳委員 専門団体等によるでしょう。国のじゃないですね。 ○小林主査 国とは書いてないです。 ○辰巳委員 専門団体ということになると、非常に。 ○丸山委員 団体ですか。 ○田中委員 プライベートです。 ○丸山委員 これからやるやつですよ。 ○辰巳委員 これからやる場合、もう少し明確にしておいた方がいいんじゃないでしょうか。 ○田中委員 それはこの前、矢内原先生おっしゃっていましたよね。公的な何か制度とか。 ○矢内原委員 なければ、そういうふうに私的なやつがたくさん今できているだろうと思っているの で、いずれ統括しなければいけないですね。 ○田中委員 これははっきり、早くした方がいいと思うんですよ。 ○矢内原委員 ですから、こういうものが公になるまで当分凍結するというふうにどこかに書いてあ りましたね、施行しない方がいいというのは。それをどこかに入れてほしいんですよ ね。 ○田中委員 カウンセラー育成といううたい文句で、不妊症をやっているところにダイレクトメー ルが来るんですよ。そうすると、今、新聞なんかでカウンセリングが必要だと出ている と、みんなそういうのが必要かなという錯覚に陥るんですよね。だから、主催者側はた くさん集まっていいんでしょうけれど、やっている内容は非常にレベルが低いと思うん ですよ。実態はそういうものです。だから、そういうものは将来認めないんだという 何々を出しておかないと、似たようなそういう講習会がいっぱい出てくると思うんです ね。 ○矢内原委員 これは、今、私がかかわっているのでは、日本産婦人科学会の中でカウンセリング制 度の検討委員会ができたんですね。それが1つと、もう一つは、厚生科学研究の中にカ ウンセリングシステムの提言みたいなものをつくろうということです。ですからどっち にしても3年間はできないと思いますね。 ○吉村委員  それは、先にいった方がいいんじゃないですか、それはそれとして。 ○石井(美)委員  でも「専門団体等による」という部分をわざわざ断らないで、「公的に認定を受け た」という形にしておいて、その公的認定の仕方としては、専門団体によるに場合もあ り得ると、実施のときは、それでいろんなものが出てくるのではなくて、きちんとした ものにしてほしいというのは、私たちの意向であったから、それはそうしていただいた 方がいいと思うというのが1点。  2番目の丸は、私はこの間、田中先生やら辰巳先生がおっしゃって入れられたのはわ かるんですけど、今おっしゃったように、3年後の実施ですから、それまでの間のこと をここに入れる必要性はないのではないか。説明の中にはできない間はこういうものが 代わりうるという説明としてお入れになるのはいいけれども、この四角の枠内にこれを 入れるのはどうかと思いますけれども。 ○吉村委員  それはそうでしょう。 ○小林主査  囲みの中の、2つ目の丸はとる。 ○石井(美)委員  とる方がいいと私は思うんですけれども、本来はそうでなくてはいけないけれども、 もしできなかった場合には、それまでは代わる、そういうことであって。 ○矢内原委員  そうですね。 ○中谷委員長   7の囲みの中の2つ目の丸ですね、これを削除。 ○矢内原委員  それは外に出しなさいと。 ○高橋委員   7の丸1。 ○田中委員  そうしますと、実施する前までのカウンセリングは、今行われているような組織ない しはそういうもので認可されたものでやってよろしいということなんですか。 ○吉村委員  いや、そうではなくて、この案ができないということは、法律も何もできないうちは やっちゃいけないんですから。 ○田中委員  そうですよね、そういうふうに書いてもらった方がいいですね。というのは、それに 似たような研究会やセミナーは多々あります。カウンセリング養成だとか何回出たら認 定書を授与するとか。そこに結構名前でどこかの教授などがあると、ああ、ここを出る ともらえるんだなという気になるんですよ。 ○矢内原委員  そういうのは無効ですよということを言ってほしい。 ○田中委員  それを無効ですよということを言ってほしいんです。ないしはそういうのもいいなら いいと、はっきり。そうしないと混乱してきますので。 ○高橋委員  今のカウンセリングというのは、生殖医療専門のカウンセリングとかエイズのカウン セリングとか、精神心理のカウンセリングとか、各疾患によって分かれているのでしょ う。本当のカウンセリングができるのは、精神学会の認定を受けた人たちだけだといわ れてる。 ○石井(美)委員  あれは違いますよね。あれは遺伝カウンセリング。 ○高橋委員  いや、違うんですよ。 ○中谷委員長  それもまた違う。 ○高橋委員  エイズについても私の病院はブロックの基幹病院になっていますけれども、そこにカ ウンセラーを1名置いています。それは国からお金をもらっているのではなくて、エイ ズのある協会、そこから出ているのです。 ○矢内原委員  そうですか。 ○高橋委員  そうです。いろんな形で出ていることは確かです。 ○石井(ト)委員  日本のカウンセラーにはスーパーバイザーがいないんです。普通でしたらスーパーバ イザーの指導があります。いずれはきっちりとしたカウンセラーの養成は必要だと思い ます。イギリスの話の中にもありましたけど4つの要素がある、治療的、意義的なカウ ンセラー、支援、サポート。そういうような4つの要素を入れたカリキュラムをつくっ てきっちり養成して、その人たちが責任を持って対応すると。それをまずやらなければ いけないと思います。 ○中谷委員長  カウンセラーの資格の確立までには時間がかかります。移植のときのコーディネー ターがそうでしたから。 ○矢内原委員  コーディネーターは公の養成の認定ができたんですか。 ○中谷委員長  ええ。 ○石井(ト)委員  あれはドナー側のコーディネーターであって、レシピエントコーディネーターはでき てないんです。だからドナー側、あくまでも臓器の斡旋なんです。 ○中谷委員長  それが準備委員会のときに、9回ありまして、私は8回までは出なかったんですよ。 9回目に、どういうわけか出ろと言ってきたんですよ。それで行ったら、ドナー側の コーディネーターばっかりなんですね。レシピエント側のコーディネーターは要らない んですかと聞いたわけ。要するにそのときまでに法律関係は、元の検事総長がお1人だ けだったんです。それで法律問題は全部私が聞かれ、8回まで出てないですから聞かれ てもどうしようもないわけで、答えられなかったんですけど、ただ1つ、レシピエント 側のコーディネーターはどうして考えないんですかと言ったら、レシピエントは利益を 得るだけであるからコーディネーターがつかなくてもいいんだと。それで唖然としたこ とがありましたけれども。  そういう制度ができるまではちょっと時間かかりますけれども、これはやむを得ない ですね。 ○矢内原委員  倫理委員会のときのカウンセラー。 ○吉村委員  どっちの方の。 ○矢内原委員  日産婦の方の。 ○吉村委員  生殖遺伝カウンセラー。 ○矢内原委員  その中のカウンセリングの小委員会ができたでしょう。 ○吉村委員  できましたよ。 ○矢内原委員  そういうものを対象にして。このぐらい資料が出ていたでしょう。ここは削ってくだ さいと、私、終わりの方、あれは理事会に上がったの。 ○吉村委員  上がりましたよ。 ○中谷委員長  それは産婦人科学会の。 ○矢内原委員  産婦人科学会の倫理委員会の中に。 ○中谷委員長  公認された。 ○矢内原委員  そういうものを考える検討小委員会ですね。 ○吉村委員  でも、あれはばさっと決まっちゃうんじゃないですか。 ○矢内原委員  決まっても、私はあれはちょっと……。 ○吉村委員  そんな簡単なものではない。 ○矢内原委員  簡単なものではないですね。 ○中谷委員長  資格認定と。 ○田中委員  カウンセラーというのは、院外、施設外の人がならなければいけないんですね。 ○中谷委員長  ええ。 ○田中委員  最低条件ですか。 ○石井(ト)委員  最低条件。 ○吉村委員  ここで言っているのはですよ。 ○高橋委員  意見が違うんでしょう。 ○田中委員  カウンセリングする人は、施設の関係ない人がするということですか。同一施設では だめなんですか。 ○加藤委員  本来はね。 ○辰巳委員  でも、それインプリケーション・カウンセリングですか。そういうふうなことに関し ては院内でもいいのではないでしょうか。カウンセリングの内容によって。 ○高橋委員  内容によって違うと思いますね。 ○辰巳委員  どういう治療をするのかといったこともカウンセラーの仕事の1つみたいですから、 そういうふうなことは病院でもいいんですね。 ○矢内原委員  それは院内でいいんですよ。 ○辰巳委員  括弧の中の2は削りますが、一番最後の丸は残していいんですか。 ○吉村委員  そうじゃないですか。 ○石井(ト)委員  受ける機会だから、それだけです。 ○高橋委員  専門知識を持つ者によるカウンセリング。 ○辰巳委員  できるまでの経過措置としては。 ○高橋委員  ええ。 ○吉村委員  従来の括弧の中の丸2は消すんですけど。 ○矢内原委員  文章はどこか外に出しておきましょう。 ○吉村委員  私は前ので見てますから、20ページですね。括弧の中の、私わからないところがある んですが、丸の2番目はとると言われましたが、これは後ろの方に同じ文章があるので ちょっと聞きたいのですが、下から2行目の「できうる限り当該生殖補助医療を行う者 〜以外の」というのは非常によくわかるんですが、「又は当該精子・卵子・胚の提供を 受ける者」、また、これもよくわからないんです。 ○石井(美)委員  さっきの病院を考えているから。 ○吉村委員  ですから、この辺もちょっと同じようにお願いします。 ○小林主査  わかりました。 ○石井(美)委員  そこのところも詰めないといけないですね。 ○吉村委員  22ページの 8なんですが、私はまた疑問を急に思い出したんですが、個人情報の提 供。 ○石井(美)委員  四角の中の。 ○吉村委員  四角ではないです。外の丸2、これは今のような医療がこうやって認められてくる と、血液型を合わせるということは全く必要なくなるのではないかと思うんですが、ど うですか。血液型を合わせるのは何のために合わせるのか。 ○石井(美)委員  知りたいと思ったときに知る得るのであり、他人がすぐにわからないようにするため には合わせる必要性があるのではないですか。 ○吉村委員  合わせる必要あるのですか。 ○矢内原委員  小学校に行くとき。 ○田中委員  小学校のときに名札に親と子どもの血液型書かせますね。 ○石井(美)委員  書かせるんですか。 ○田中委員  名札の下に。 ○吉村委員  こういう医療を認めようと皆さんなさるんでしょう。だから、こういったことを認め ようとするなら、別に血液型をなぜ合わせなくちゃいけないんですか。 ○中谷委員長  子どもの福祉を考えるからです。 ○吉村委員  子どもの福祉。 ○矢内原委員  あえて血が違うよとは教えなくてもいいのではないですか。 ○吉村委員  その辺がおかしいなと思う。血液型をまた合わせると、実際にやることは、卵子に関 しては特に難しくなるんですよ。 ○石井(美)委員  本人が合わせなくても、子どものことを考えると、本人が……。 ○吉村委員  だから、そういうことになってくるでしょう。あえて、こういうものは合わせなくち ゃいけないのかなと私思い出したんですよ。 ○田中委員  普通合わせてくれと言うんじゃないですか。先生、AIDやるときに。 ○吉村委員  もちろんAIDは血液型合わせていますよ。それは出自を知る権利を認めてなかった からです。要するに匿名性を完全に維持しているわけです。だから、あるときには、そ ういう先生方もそんなことはする必要ないのではないか。 ○丸山委員  知る権利を行使できるのは幾つ以上ですか。 ○石井(美)委員  成年になるとき。 ○丸山委員  でしょう。やっぱり小さいころは、人工的なARTを使わないで生まれたと思っても らった方がいいんじゃないですか。 ○吉村委員  この見解は、何となく終始一貫性がないんですね、先生方の考え方に。 ○矢内原委員  先生、開き直っちゃったんだ。 ○中谷委員長  外国では目の色とか髪の色とか、そういうもので気にするでしょう。 ○加藤委員  もちろん皮膚の色も合わせる。 ○吉村委員  合わせます。それは選べますから、精子も。 ○丸山委員  顔貌を選ぶのとは違って。 ○吉村委員  日本的ですけど、血液型だけ合わせるというのも非常に。 ○丸山委員  イギリスも合わせているんじゃないですか。 ○吉村委員  イギリスも合わせているんですか、知らないです。 ○田中委員  なるべく合わせると書いています。 ○吉村委員  なるべく合わせるだけでしょう。妹からもらうときに血液型が違うことだってあるで しょう。 ○田中委員  そうですね。 ○石井(美)委員  根津さんのところはどうなんですか。 ○吉村委員  だから、こういうところだけは何か皆さんこういうふうにおっしゃるというのも何か 変な感じがしますね。一貫性がないという。 ○石井(美)委員  一貫性はないんです。 ○吉村委員  ない。 ○矢内原委員  ないですよ。それは原則としてといって、それ以外のことがきっとまかり通るように なるのだから。 ○丸山委員  妹の場合は匿名ではないんでしょう。その場合と匿名の場合とでは、生まれた子が自 分はARTで生まれたことを認識する点で違いが。 ○吉村委員  わかりました、血液型は合わせます。 ○辰巳委員  でも合わせなくていけないということを、明記しているわけではないんですよね。 ○中谷委員長  そうですよね。 ○吉村委員  暗黙の了解のように血液型を合わせる必要性があるということは、今までやってきた ことが、AIDがそうだったからということだと思うんですけど、合わせる必要はない ということですね。 ○丸山委員  いや、それはどちらでも構いませんけど、説明事項で触れないといけないですね。 ○吉村委員  そうですか。できる限り合わせる。 ○丸山委員  血液型を合わせてやっていますとか、できる限りの程度ですから、保障の限りではあ りませんとか、それは説明しないといかんと思いますね。 ○矢内原委員  血液型合わないのがありますけど、いかがですかというのは。 ○吉村委員  そんなことは絶対。 ○田中委員  AB型とかなるとなかなかないと、AでもBでもいいですかと、逆に患者さん言うか もしれませんね。 ○高橋委員  子どもに現れる可能性のある血液型だったら、すべていいのではないでしょうか。 ○石井(美)委員  そういうことですね。合わせるというのは。 ○高橋委員  合わせるというのは。 ○田中委員  もちろんそうですけど。 ○高橋委員  そうすると選択の幅がすごく広くなるから、それでいいでしょう。 ○吉村委員  そこまでして……。 ○矢内原委員  あり得るものであればいいわけでしょう。 ○辰巳委員  やってみないとわからない。 ○加藤委員  それ以上のことはできないでしょう。卵子に、この血液型は何型なんてわかるわけが ないでしょう。 ○中谷委員長  それはわかるでしょう。 ○石井(美)委員  A、B、Oぐらいですね、合わせるのは。 ○吉村委員  それはそうです。そんなのを合わせて、この子どもたちができるころには、遺伝子は すぐ調べるかもしれないし、子どもたちが大きくなるころには、わざわざ苦労して血液 型を。 ○高橋委員  AIDも実際血液型調べてますか。 ○吉村委員  調べていますよ。 ○高橋委員   40年前にやったときは、何型だと聞いただけでその他の検査は何もしませんでした。 ○中谷委員長  AとOの夫婦からAB型は生まれないとか、そういうのをやるんですね。 ○吉村委員  例えば、先生が、私、A型ですと言って来られたって、絶対にもう一回来てもらって 必ず調べますよ。それはやっています。日本人というのはそういうことを非常に。もっ とほかでわかることいっぱいあるかもしれませんけれども、こういった医療がずっと許 されてくるときに、血液型をあえてそんなことまで言及しなくてもいいのではないかと 思います。 ○矢内原委員  先生、大分開き直っちゃった。 ○吉村委員  そういうことを気になさるのだったら、初めからやらない方がいいということを私は 言っているわけです。 ○丸山委員  当初の5年ぐらいは、この線でする。また5年たったら再検討すると。 ○高橋委員  これでいきましょう。 ○吉村委員  いいですけど。 ○石井(ト)委員  これは出自の権利を認めるということが前提ですね。 ○丸山委員  そうですね。 ○吉村委員  それがあるから出自を知る権利も認めるということがあって、そういう状況がありな がら、この血液型をなぜ合わせるのか、あえてやりにくいようになさるんですかと。こ れは質問です。 ○石井(ト)委員  もう一つ、赤ちゃんの取り違え事故があった場合、出自を知る権利ということが保障 されて、そこできっちりとできれば、間違えないで処理ができるかなと思って考えまし た。 ○吉村委員  なるほど。 ○石井(ト)委員  ありがとうございました。 ○中谷委員長  高橋委員、何か。 ○高橋委員  今の、子どもの取り違えという声がありましたが、久しぶりで、昔の話を思い出しま した。最近はないですね。 ○石井(ト)委員  あるんですけど、公にならないだけで。 ○吉村委員  今はリストバンドしかないですよね。 ○高橋委員  そうですね。 ○石井(美)委員  産まれたときにつける。 ○吉村委員  母親と一緒につける。 ○石井(ト)委員  つけるんですけど、外れて。 ○加藤委員  足の裏にマジックで書くというのはあった。 ○吉村委員  それはマジックが消えたりしますので、輪っかですね。 ○石井(ト)委員  マジックは消えたり、輪っかが折れたりとか。 ○矢内原委員  輪っかですね。 ○高橋委員  足と手とに、標識の輪をつけるのです。 ○吉村委員  そうです。 ○加藤委員  外れないように。 ○丸山委員  これは、これほど強く出自を知る権利を保障しなければならないものなんですか。と いうか、提供者がいなくなるんじゃないかというのを危惧しますけれども。逆に私は出 自を知る権利の価値をそれほど認めていないので、すべて提供を受ける者は、8の括弧の 中の最初の丸のところ「提供者に関する個人情報の提出を受けて、当該精子・卵子・胚 の提供を受けなければならない」、提供者は必ず個人情報を提出するというふうに読め るのですが、そういうものもそうでないのもありとしていいのではないかと思うのです が、そうすると生まれた子どもの出自を知る権利は保障できなくなるんですよね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○吉村委員  子どもに知られたくないという、クライアントの権利は絶対に許されない。 ○中谷委員長  そうではないでしょう。 ○母子保健課長  権利のところでまたありますから。 ○矢内原委員  加藤先生的な言い方をすると、要するにほとんどが知らないで一生を終えるかもわか らない。だけど、 100人のうち数人でも知りたい人がいたときに、その人たちの権利は 保障しなければいけない。 ○丸山委員 保障するためにはすべての提供者はドネートするときに情報を提供するのか……。 ○矢内原委員 知りたいときに、あなたは橋の下から拾ってきましたとは言えないですよ。 ○石井(美)委員 提供に責任を持ってもらう必要性もあるのではないでしょうか。だって、何の検査も しないんでしょう。 ○中谷委員長  検査はするわけですよね。 ○矢内原委員 検査しますから。 ○石井(美)委員 遺伝子検査までするわけじゃないでしょう。 ○田中委員 一般的なね。 ○吉村委員 遺伝子検査するといったら、また大きな問題になりますよ。 ○母子保健課長 よろしいですか。出自を知る権利との関係で、若干記載もコンフリクティングな部分 があるのかもしれませんが、今の21ページの 8の部分のところと、29ページの「出自を 知る権利」、いわゆる条件整備の方の2番目ということで、これが両者非常に密接に関 係しておって、前回この「出自を知る権利」はお出ししておりますので、そのままのも のですけれども、こちらの方の出自の知る権利のところでは、あくまでも提供者が承知 した、自分でそれは提供してもいいと、承認したものを提供できるということになるわ けですね。その範囲内で知れると。本人を特定することは認めないという立場なんです ね。それ以外で、本人の特定につながる以外は、提供者が自分はこの情報まで、身長と か何とか、それをいいと言った場合には、それはわかるようにしましょうと。そして、 あとは最低限出自を知る権利として絶対的に保障されるのは近親婚かどうかを知りたい と。一応そういう構成で「出自を知る権利」の方はまとめてございます。  今の提供・保存の方も、基本的にはそれを受けた形での情報の提供・保存という形に なるのだろうと思うんですが、今の……。 ○中谷委員長  これは子どもが満20歳にならなければ要求できないんですか。 ○母子保健課長  そうですね。成人後。 ○中谷委員長  成人ごとに。 ○母子保健課長  そこはご議論いただければと思うんですが、一応こちらの案としては、今までの先生 方のお話を踏まえて整理すると、そういうようなレベルでいかがかなというものであり まして。 ○加藤委員  子どもの側から見た権利は、事実上は29ページに書いてあって、21ページはどこかで 情報が保存されてなければならないということが書いてあるわけですね。 ○母子保健課長  そうですね。そのときにちょっと書き方として、21ページの最初の丸の3つ目の3行 目のところに、「保障のために必要な当該精子・卵子・胚を提供する者に関する個人情 報の提出を受けて」という部分が、「必要な」というと、強制的なように文面的にとら れがちなんですが、趣旨としては、本人が承知したものということになるわけですの で、場合によったら、ここの文言をちょっと……。 ○加藤委員  場合によっては、21ページの規定をむしろ「提供者のプライバシーを守る権利」とい う項目にして、そして最低限これだけの情報は安全のために提供しなければならないけ れども、それ以外の情報については、提供者の同意なしにはその情報は開示されないも のとするというふうに、提供者のプライバシーの権利という形で表現した方がいいかも しれないと思うんですけれども。 ○石井(美)委員  開示されるものと保存されるものは、イコールではないわけですね。 ○加藤委員  それはそうですね。ですから、これは保存されるもの。だから、できればもう一つ別 の項目をつくって「提供者のプライバシーの保護」という項目を入れる。 ○小林主査  それは「出自を知る権利」のところで本人が承認した範囲と書いてあり、最低限出さ なくてはいけないのは近親婚が確認できるものと書いてありますが。 ○加藤委員  だから29ページを見るとわかるんだけれども、それは子どもの側から見て権利がある という形になっているので、提供者の側から見て、プライバシーが守られるという形の 書き方をしておいた方がわかりがいいということですね。ここから逆算すれば、うん、 そうかとわかるけれどもね。 ○中谷委員長  その方がまたドネーションをする人もしやすくなるということもありますね。 ○田中委員  ここはしっかり書いておかないと、ドネーションする人が一番気にするのはそこだと 思うんですね。プライバシーの秘密を守るということは。 ○矢内原委員  「子どもの福祉」という観点から言うと、子どもが大きくなったときには、当然知る 権利があるというのも福祉に含まれますよね。それがうたい文句の一番最初にあるの で、「出自を知る権利の保障」という項目はどこかで立てておかないと根本が崩れるの ではないですか。 ○中谷委員長  それは29ページにあります、「出自を知る権利」。 ○矢内原委員  ここは置いておくわけでしょう。 ○中谷委員長  はい。 ○矢内原委員  本当は知らなくてもいいかもわからないんだね。 ○吉村委員  ええ。 ○石井(美)委員  さらに29と併せて論じるということになるわけですね。 ○加藤委員  そうですね。これのいわば裏返し版バージョンをつくるということですね。 ○中谷委員長  そういうことですね。 ○石井(美)委員  そうすると、私は反対のことを、少数であることを承知の上言わせていただくと、本 人がいいと言っても、特定できる情報は提供されないということになっているというこ とですね。提供者がいいと言ったらそれは認めてもいいのではないかということが1 点。個人の特定になる情報だったら、本人がいいと言ったら。 ○加藤委員  それはそう書いてあるんじゃないですか。 ○中谷委員長  そうでしょう。 ○石井(美)委員  そうでないと言って説明された。 ○小林主査  これは、特定できないものについて認めるということですので。 ○田中委員  そうしたら、匿名性じゃなくなるんじゃないですか。 ○石井(美)委員  この間やったように、匿名というのは、提供の段階において匿名ですね。成人後にお いてですから、子どもが知りたくない。 ○田中委員  成人後ですか。 ○石井(美)委員  はい。 ○加藤委員  でも、石井さんの言っているのは、精子の提供者が名前知りたいというんなら教えて あげるよと、ご当人がいいと言っていればいいというんでしょう。 ○石井(美)委員  成人後。 ○加藤委員  成人後に。 ○吉村委員  いいと言っていればいいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  そこではないです、私の言うのは。 ○矢内原委員  範囲内というのはどの程度なんですかね。記録の保存。 ○加藤委員  80年間ですか。 ○矢内原委員  80年間保存する内容、提供者の内容はどの程度かなと思って、開示することを承認し た範囲内というのは、具体的にどの程度。 ○吉村委員  だから何歳でしょう。 ○矢内原委員  何歳。 ○吉村委員  年齢でしょうね。身長、体重はあってもいいかもしれないですね。学歴をどうする か、それは知りませんね。 ○矢内原委員  身長、体重、つまらんことばかりですね。 ○吉村委員  つまらないことばかりですよ。だから、結局それをやったって、要するに近親婚じゃ ないかどうかだけなんですよ。そうやって一生懸命おっしゃるけれども。 ○矢内原委員  年齢、身長、血液型で近親婚があるかないかわからないじゃない。 ○吉村委員  それ以外ないですよ。近親婚かどうかだけですよ。そうじゃないと、特定に結びつい ちゃう。何県に住んでいます。 ○矢内原委員  国籍とか。 ○吉村委員  国籍はジャパンでしょう。 ○矢内原委員  それはわからない。 ○吉村委員  わからないですけど。 ○石井(美)委員  私は最終的には特定できる情報の開示の可能性を残すべきではないかと思ったんです ね。 ○加藤委員  だから、石井さんの言っているのは、提供者が自分で同意していれば……。 ○石井(美)委員  同意していればじゃなくても、将来の可能性として、今現在で。 ○加藤委員  同意しなくても、提供者は。それは無理だ。 ○石井(美)委員  提供するときには、今度からはそういう形の提供になるということですね。将来、提 供、特定のことが明らかにされる可能性がある。 ○丸山委員  氏名や生年月日を言わなければドネートはできない、としようというのですね。 ○石井(ト)委員  それは難しいんじゃないですか。イギリスではこの間、精子提供者が少なくなってき たと報告していましたね。 ○中谷委員長  ええ。 ○丸山委員  ドネートはできない。 ○田中委員  そうするとドネーションはできない。 ○丸山委員  それはドナーはなくなりますね。 ○田中委員  親族しかなくなっちゃう。 ○石井(ト)委員  自分のことが特定されることによって精子提供者は難しくなってきたということです から。保存はするけれども、特定はされたらまずいですよ。 ○高橋委員  提供された方が知りたいのは、頭がいい、能力があるとか、キャリアの人からもらっ たとか、そういうのを知りたいのでしょう。 ○矢内原委員  キャリアのことを知りたいですかね。 ○石井(美)委員  それはだめですね。 ○高橋委員  子どもにとっては、自分の親が能力のある人でこういう立場の人で、そういう人から いただいた。今はこうしている人ですよ、というふうなことを一番知りたいと思うんで す。身長がいくらで、なんてことはね。 ○吉村委員  そんなのはね。 ○高橋委員  そうですよ、実際は。キャラクターがいいとか、顔がいいとかスタイルがいいとか、 そういうことまで聞きたいんでしょう。 ○矢内原委員  そうすると個人の特定になりますよね。 ○田中委員  見たいじゃないですか、会いたい。 ○石井(美)委員  それは絶対認められない。 ○高橋委員  それは認められないから、あらかじめ……。 ○田中委員  石井先生の言っていることを、今決めようとすること、全くぶつかりますよね。矛盾 しますからね。ここの線引きが難しいんですね。 ○中谷委員長  でも日本は身分制度がないからいいですよね。イギリスみたいに、ドネーションによ って産まれた子は、夫が爵位なんかある場合は、その爵位は継承できないわけですか ら、そういうあれがないだけ幸せだと思う。 ○矢内原委員  日本人位あるんでしょう、従何位とか正何位とか。 ○中谷委員長  そういうのは一代限りですから。 ○丸山委員  何にも個人情報なり、身長や体重の情報も一切提供しない。そのようなドナーを認め るかどうか、それを決めないと。 ○石井(美)委員  それは個人の情報を本人のあれで限定できるという言い方は、私は2番目はそれなん です。最低限はやっぱり確保して、プラスアルファについて本人の承認のある範囲とい うことなんじゃないかなと。 ○丸山委員  最低限の例をちょっと、以前も聞いたけど、言ってほしいんですよ。 ○石井(美)委員  どこどこの出身でとかということはあり得るんじゃないですか、抽象的には。 ○中谷委員長  出身地。 ○石井(美)委員  出身地。 ○丸山委員  出身地、出生地、小学校在籍地。 ○石井(美)委員  どこで育った人かですね。本籍はどこにあるかということは意味がない。 ○丸山委員  小中学校、育ったところ。 ○加藤委員  今、この29ページに書いてあるやつを逆に言えば、当人が同意しない限りは、近親婚 であるかないかの情報以外は一切提供されないと、そういう趣旨ですよね。 ○中谷委員長  そういうことですね。 ○加藤委員  それ以外に身長とか何か、ご当人が気に入れば、ノーベル賞受賞者とか書いてもいい とか、いろいろあるわけですね。 ○丸山委員  近親者の関係でも、例えば慶應でも提供した、慈恵でも提供したといった場合に重複 調べを可能にするシステムをお考えなんですか。それはもうしようがないと。 ○吉村委員  それはどういう意味ですか。 ○加藤委員  精子の提供者がかけ持ちしている。はしごでもって提供しまくっているという。 ○吉村委員  それはないでしょうね。 ○高橋委員  あり得ますよ。 ○丸山委員  システムとして、それはしようがないと。 ○吉村委員  それは登録すればしようがないでしょう。 ○丸山委員  それを防ぐなら、氏名、生年月日ぐらい入手すればかなり防げると思うんですけど。 ○吉村委員  氏名、生年月日というのは。 ○丸山委員  ドナーの。 ○吉村委員  氏名、生年月日は私たち知ってますよ。 ○丸山委員  ですから、それを生殖医療機関の中枢に集めて照合すれば。 ○高橋委員  インターネットに。 ○石井(美)委員  私はそれをすべきだと思っています。 ○吉村委員  それはしますよ。 ○矢内原委員  ドナーに関してはします。 ○石井(美)委員  どこまで提示するかの問題だから、保存をする記録とは別に。 ○吉村委員  提示するかだけであって、保存は全部やりますよ。当然ですよ、それは。 ○丸山委員  近親婚を防ぐためにそれはやるんですね。 ○石井(美)委員  近親婚は、それじゃなければ防げない。 ○田中委員  施設ができないものね、そういう機能が。 ○吉村委員  それはやるべきではないですか。それは戸籍謄本だって持ってきてもらってもいいか もしれない、ドナーに。 ○矢内原委員  問題は子どもにどれだけ知らせるかいうことですね。 ○石井(美)委員  今の問題は別問題として、私、 8の問題と 9の問題に、それはかかわる問題ですね。 ○加藤委員  近親婚であるか否かの判定以外はドナーは自分の情報を知らされない権利を持つと。 ただし、ドナー、ご当人が同意すれば、その限りではないと。 ○高橋委員  そう書けばいいですね。 ○石井(美)委員  そうすると個人の特定に結びつかない情報は最低限のものとしてあってもいいのでは ないか。さっきの、ということですね。 ○吉村委員  いつも、私、先生の言っていることがわからないんです。要するに子どもが会いに行 きたいと言ったら会いに行けるような制度をつくれということですか。 ○石井(美)委員  1番はその場合。 ○吉村委員  要するに、本人が特定できて、会いに行きたいといったら会いに行ける。それだけで しょう、先生の言っていることは。 ○石井(美)委員  いや、私そこは迷ってはいるんです。ここに書いてあるところで、本当のところ、会 いに行ったときに、法的に関係がないということだけで問題は防げないんじゃないか。 小林さんがお書きになっている、そこのところ大変説得力があるけど。 ○吉村委員  そうですよ。 ○石井(美)委員  そこのところがあるので、絶対にそこまで認めなくちゃいけないと言い切れるかとい うことに自信がないんですけれども。 ○石井(ト)委員  私は会いに行けないというような形で歯どめをかけたいんですね。そうしませんと提 供しないと思うんです。 ○石井(美)委員  そこは提供する人がいなくなっちゃうということを、そんなに考えなくちゃいけない ことなのかという問題なんです。それは別問題であって。 ○吉村委員  それはわかります。 ○加藤委員  でも、それは石井さんの考えだと、会いに行く権利を子どもに保障するのでなければ 精子の提供は認めないということですね。 ○吉村委員  そこまで言ってみえないと思いますけど。 ○加藤委員  事実上、ほとんどそうだな。 ○丸山委員  いずれ会いに来ることは覚悟の上で。 ○吉村委員  提供者もますます減ってきますね。 ○加藤委員  そうでなくても、会いに来るんじゃないかと思ってはらはらしているんですけどね。 どこかに残してきたんじゃないかと思って。 ○中谷委員長  それでもいいという人がいれば、それはそれでいいけれども、それは拒否するという のであれば、それは強制できませんよね。 ○吉村委員  でも、そうやって、いろんなことやっていくと、先生、近親者しかいませんよ。 ○田中委員  最後そうなってくる。やっぱり近親者がよくなってきたでしょう。 ○吉村委員  いや、全然よくないですよ。そういうことでなくて、石井先生のように言ってくると 近親者しかないですよと。 ○石井(美)委員  いや、「子の福祉」ということをうたっている以上……。 ○吉村委員  近親者は絶対よくないですよ。 ○石井(美)委員  子どもにとって、本当に生物学的親を知らなくてもいいのだと言えるかということに ついて、私は疑問を持ってしまうものですから、ほかの場合においては、知りうるよう に手当てはしているわけですね。特別養子のときにも一応知りうるようになっている制 度なものですから、これはただし養子と違って、生まれたときから、その人が親、ほか に親はいないんだ。そこを前提として考えるならば、会いに行けなくてもいいかもしれ ないけど、生物学的な親であるのだから、生物学事実については知りえてもいいのでは ないかということなんです。あくまでね。生物学的な面でだけ、自分はそこの親とつな がっている。 ○矢内原委員  生物学的な記録というのはどういうことですか。 ○加藤委員  DNAシークレンスの表があるんですよ。 ○矢内原委員  将来的にはそうなるかもわからないけれども。 ○吉村委員  生物学的な親を知りたいという子どもの権利を認めるためには、石井先生のようにし かならざるを得ないということでしょう。 ○矢内原委員  私が生物として、何が知りたいかといったら、何ですかね。 ○吉村委員  要するにそれは親だから。 ○矢内原委員  親の身長なんて知りたくないし、職業も……。 ○吉村委員  だから特定できて、会いに行くということですよ。 ○田中委員  石井先生は不妊症の夫婦の子どもを持ちたいという願望よりも、産まれてくる子ども の親を知る権利の方を優先するということですね。一番最初そうおっしゃっていました ものね。相入れない部分ですよね。 ○矢内原委員  権利というか福祉ということですね。それが一番福祉につながるというのが先生のお 考えですものね。 ○石井(美)委員  そうです。 ○吉村委員  それはどうかわからないです。 ○加藤委員  それは子どもが不利益な状況で生まれたときに、親を訴えることができるかどうかと いう法律問題ありますよね。 ○石井(美)委員  それはできないです。としたいですけど。 ○加藤委員  アメリカのその問題の判断では、子どもが親を訴えることができないので、それはた とえ不利益ないろんな身体的な欠陥なんかをしょい込んだとしても、出生それ自体が不 正であったという判定はできないから、それは子どもの訴えを認められないというわけ ですよね。ですから子どもが自分のお父さんがわからないような条件で生みやがってひ どい親だといっても、その出生自体もよくなかったとは言えないのだから、だから、訴 えは認められないという判決例がありますよね。それと類比的に考えれば、確かにかわ いそうだと、親を知ることはできないのは。だからといって、出生それ自体がない方が よかったという判断は下せないというふうに考えれば、たとえ出生を知ることができな くても、社会としては子どもを生むことを認めるという判断でいいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  というふうに、ここでは選択するということですね。 ○加藤委員  選択するというか、ロングライフ訴訟から類比的に考えられるということですね。 ○石井(美)委員  それは生まれちゃった後で訴えることはできないということであって、ここでそうい う生まれ方を社会として認めるかどうかということを論議しているんですから、今それ と同じには論じられないと。 ○加藤委員  でも、社会でそう認めたということでもいいと思うんですよ。 ○石井(美)委員  だから皆さんがそれでも、子どもにとっては、たとえ知りたいと思っているときに知 ることができないとしても、その子にとっては、そういう生まれ方しかあり得ないんだ から、生まれてくることは幸せなんだから、その子はがまんして自分の生を受けなさい という、判断として。 ○加藤委員  私、自分の娘が文句言ったときには、たとえ、こんな親でも生まれた方がよかったん だぞと言うんだ。 ○辰巳委員  わかった方がよくなるよりも、悪くなる方が多くないでしょうかね。 ○吉村委員  それは絶対私もそう思いますよ。知らない方が。 ○加藤委員  確かに知る権利を認めてもらえない子どもが出ちゃうという結果にはなるけれど。 ○吉村委員  近親婚を防ぐためにはこれぐらいは認めてあげた方がいいとは思いますが、特定をす るということについては、私はこの案でいいと思いますけど。 ○丸山委員  後ろの29頁の方ですね。 ○吉村委員  ええ。 ○矢内原委員  具体的に聞かれると困りますよ。 ○田中委員  そうですね。 ○吉村委員  だから近親婚を防ぐ。 ○矢内原委員  近親婚ね……。 ○石井(美)委員  でも近親婚に当てはまると言われたら、逆にいうとすぐわかるんですよ、だれが提供 したかということは。近親婚の範囲内ということは親がだれであるかということがある 程度特定されるわけですね。 ○矢内原委員  数人に絞られる。 ○吉村委員  だから近親婚でありませんよと言えばいい。 ○石井(美)委員  そしたら意味がないじゃないですか。 ○吉村委員  だから、ありませんよということしか言わないんですから、いいんじゃないですか。 ○加藤委員  近親婚の可能性がある場合、可能性があると言わないんですか。 ○吉村委員  それは言うでしょう。 ○加藤委員  言うんでしょう。ネガティブな回答だけするというんじゃないでしょう。 ○石井(ト)委員  どこの誰かということは言わないで、ただ、可能性がありますよとかありませんよと かそれだけですよ、知らせるのは。 ○中谷委員長  現実、問題になったのは、そういう場合でもなかったということでしたからね。近親 婚にはならないという。 ○矢内原委員  そういうのは少ないでしょうね。 ○辰巳委員  近親婚ですよということで、別にそれは特定できないと思いますけど。 ○丸山委員  配偶子提供者が誰であるかはわからないでしょう。 ○石井(美)委員  でも、この中のだれかであるかということはわかるわけですね。 ○加藤委員  日本じゅうの提供者のリストが、例えば 3,000人で、こことここから出てきたという のがすぐつながらないと思います。 ○石井(美)委員 両方とも提供精子によって生まれるという可能性は少ないわけでしょう、提供者。片 方は自分の……。 ○丸山委員 自然生殖。 ○石井(美)委員 自然でしょう。片方が提供によって生まれているということになったら、自分の伯父 さん、伯母さんのだれかが提供している。ということになれば、兄弟なんか少ないわけ ですから、あの人だということに。そうなったら、絶対わかります。 ○田中委員 ドナーが一緒というんじゃないですか。 ○中谷委員長 そうじゃないですね。 ○加藤委員 なるほど、わかった。 ○吉村委員 それは私もわかりました。特定できるだろうと。 ○石井(美)委員 そのときの方が怖いですよ。ある日突然。 ○吉村委員 これは近親婚でないということを言うことの方が前提だから。 ○石井(ト)委員 何も特定しなくても、何々という伯母さん、伯父さんですよとは言わないで、近親婚 になりますよとか、ならないですよぐらいを知らせる。 ○母子保健課長 「出自を知る権利」については話題を呼ぶだろうと思います。それで一応ご確認願い たいのは、枠の後にこの結論に至ったという理由が書いてあって、今の本人がいいと言 っても、特定できないようにするという結論といいましょうか、ここの提案は、本人の ためというよりも、むしろ社会的な関心事としていろいろ悪影響が起きるのではないか ということが説明のところで書いてあるんですね。それも含めてそういう形でよろしい のかどうかを議論しておいていただいた方がよろしいのかなと、つまりこの委員会とし て。 ○加藤委員 石井さんは本人が全部名前まで出していいという場合は、出してもいいのではない か、それがここに盛り込まれていないじゃないかと言ったんですね。だけど、その次に は、本当はすべて名前も何も全部わかるような条件で提供しろというふうにおっしゃっ たんですね。中間案、本人が名前を明かしてもいいという場合には、当然その場合には 明かしていいのだという条項を盛り込むのは賛成なんでしょう。 ○石井(美)委員 はい。 ○加藤委員 私もそれは賛成ですよ、石井案。近親婚であるかどうかの判定以上の情報は一切提供 されないと書いて、ただし、当人が名前を明かしてもいいと言った場合には、それは明 かされる。 ○中谷委員長 それは当然でしょうね。 ○田中委員 そうすると、国の大原則に反しませんか。自分の意思で匿名にできるということです ね。 ○丸山委員 だから匿名というのは、さっきも石井さんおっしゃった、親に対する匿名なんです ね。 ○田中委員 でも匿名というのは、いろんな意味において、すべて匿名を今回は……。 ○丸山委員 いや、すべてじゃなくて、親に対する匿名ですね。 ○石井(美)委員 提供時点において、知りえないということですね。 ○丸山委員 子どもに対してではないんです。 ○田中委員 だから、子どもに対しても提供者が相手に知られるということですね。すべてを匿名 としたんでしょう。 ○丸山委員 いや、違います。親に対して、依頼者に対して匿名。 ○高橋委員 親の場合は、あるとき子どもが面会に来る場合もあり得るわけですね、そうなります と。親の方は自分の提供したスパームで子どもが生まれたかどうかというのを全然知ら ないわけですから、問題では・・・・・・。 ○丸山委員 その親でなくて依頼人の親の方に対する匿名ですね。 ○石井(美)委員 今もそうなんですよ。生まれた子どもについて提供者は知る権利はないですね。 ○高橋委員 知る権利がない。 ○石井(美)委員  どうなったかということについては。あくまで子どもが知る権利がある。提供者が自 分の生物学的子について知る権利ない。 ○高橋委員 知る権利がないわけです。ですから一方的なので、私は……。 ○田中委員 そうしますと、子どもは自分のルーツを知る権利があるとすると、提供者のプライバ シーが守れないわけでしょう。ということは、匿名性守られていないでしょう。○加藤 委員 いや、そうではなくて、普通の場合には教えてくれないんですよ。「僕のお父さ んだれ」と聞いてもだれも教えてくれないですよ。でも、「あなたの場合には名前明か してもいいですよと書いてありますけど、知りたいですか」と聞いて、「じゃあ、教え てください」と言うと、「田中さんです」と、そういう仕掛けです。 ○吉村委員 田中先生、自分が「嫌です」と言えばいいんですよ。 ○加藤委員 提供者は多分 100%、私は名前も何も明かしてもらいたくないと。だから、自分で将 来、子どもが成人した場合に子どもに伝えてもいいと思われる情報内容を次のコラムの 中に書いてくださいというと、みんなバツと書く人が大部分だけれども、しかし、中に は名前だとか本籍地で書く人もいるし。 ○田中委員 ただ、石井先生のおっしゃっている、子どもが出自を知る権利を認めるということ は、提供者のプライバシーは 100%守られないということですね。 ○加藤委員 自分のプライバシーを放棄した場合には守られないという。 ○田中委員 石井先生は全部を。 ○石井(美)委員 私の考え方からいけばですね。 ○田中委員 全部を、そういうことですね。 ○加藤委員 石井説、2段階あるわけ。一番過激な石井説は、プライバシー認めないとして、その 次の妥協石井案というのは、当人が開示してもいいと思われる情報については開示を認 めると。 ○田中委員  わかりました。 ○加藤委員  過激石井案は、全員大多数で否決。妥協石井案は、私は賛成する。田中さんはどうで すか、妥協石井案については。 ○田中委員  たしか2回ぐらい前のとき、匿名性という定義を課長さんがなさいましたよね。この 匿名性というのは、すべての立場の人間がわからなくなる。子どもも、治療を受けた夫 婦も、社会も、すべてをわからなくするのが匿名性という定義をされたので、それが第 三者の治療の原則であるならば、今、石井先生がおっしゃっているような、子どもが提 供者を知る権利というのは最初から認められないということになりませんか。 ○丸山委員  そのような合意はできなかったと思いますよ。 ○田中委員  だから一部分の人はいいんですけど、石井先生は全員をそういうふうにとおっしゃっ ていますよね。そういう発想は最初から認められてないということになりませんかと聞 いているんですよ。 ○加藤委員  だから田中先生は、過激石井案でなくて、妥協石井案は賛成なんですか、反対なんで すか。 ○田中委員  どうですかね……そういう人いないと思いますけれどもね。 ○高橋委員  個人の自由ですから、そこまで束縛することできませんよ。 ○石井(美)委員  具体的にトラブルが発生するのではないかというふうな。 ○辰巳委員  ドナーの配偶者は、そのときやっぱり同意必要ですよね。 ○田中委員  同意ですよ。 ○石井(美)委員  提供するときに。 ○丸山委員  その案ありましたよね、配偶者の同意。 ○辰巳委員  後で情報開示していいかということに関しても、ドナーの配偶者もやっぱり保障して あげないと、自分はいいと言っても。 ○母子保健課長  その場合の開示の確認は難しいですね。独身のときに提供しておいて、結婚した後の 奥さんの同意まで確認するのも。 ○吉村委員  なかなか精子の場合は難しい。 ○石井(美)委員  結婚するときに、自分は提供したよということを言うことが道義的責任はある。 ○吉村委員  それはちょっと。 ○中谷委員長  提供時のもので判断するよりしようがないですね。 ○母子保健課長  原則的にはそうなるんでしょうね。 ○中谷委員長  それ以上はちょっと望めないじゃないですか。 ○母子保健課長  提供時に結婚していれば、配偶者の同意を得るということでしょうか。そうします と、これはどちらかというと、社会的影響も含めてこの原案はつくってあるんですが、 むしろ先生方のご意向としては、本人がいいと言えば、社会的影響云々は問題にするこ となく、提供者を……。 ○加藤委員  本人がプライバシーを、情報を提供してもいいという人にまで、おまえ、提供するな というのはおせっかいじゃないかということですね。 ○母子保健課長  そこに余り社会的影響云々という形で……。 ○加藤委員  どうしても匿名にしなければならないから、おまえ、言いたくても黙っていてくれと いうのはやりすぎじゃなないかと思いますね。 ○母子保健課長  先生方のご意向で修正されて結構なんですが、そこの確認だけしていただければ。 ○石井(ト)委員  この間、自分の精子提供によっていずれはその子どもたちを集めて王国を築くことが ある、というようなインターネットを、私、見たことがあります。だから、男性でもそ ういうようなお考えの方がいるのかなと思いました。 ○田中委員  それはマニアックですよ。 ○石井(ト)委員  社会的な混乱を招くと思うんですね。それからもう一つは、子どもの発育段階におい ては、必ず自分の親を疑い、ほかに親がいるんじゃないかということを疑問に思う時期 があります。 ○中谷委員長  必ずあると言われると。 ○石井(ト)委員  あるんです、必ず。だから、おまえは橋の下から拾ってきたとか、何かそういうこと を言われたりとか、そのために証拠として、昔は臍帯あげたという経緯があったんです ね。 ○吉村委員  私はそれはあり得ると思いますよ。私はこれからツインの子は必ずそういう思いを持 つと思いますよ。これだけ多いと、先生おっしゃったこと私はあると思います。100 人 に1人がそうですから、今。もうじき、50人に1人になるわけですから。50人に1人の 人間が、50人の1人の中の、また、その50人に1人ぐらいが、おれは親が違うんじゃな いかと、必ず先生みたいに思われます。そういったことが近い将来来ますね。怖い世の 中です。 ○矢内原委員  AIDが50年やっていて、それで1万人ぐらい生まれていて、大きな問題なかったん ですよね。 ○吉村委員  そうですね。それは完全匿名で出自を権利を認めなかったから。 ○矢内原委員  認めなかったからですね。 ○吉村委員  それはそうですよ、先生。それは絶対にそう。それがいいかどうかは別ですよ。今の 子どもの権利条約を見ると、私はそういうのに賛成しませんけど、今まで問題が起こら なかったのはそれですよ。しかも親も知られたくない権利、要するにその医療を受ける 側が知られたくないという権利を非常に強くお持ちなんですね。だから、このガイドラ インではそのことについては触れてないですよね。親が知られたくないという権利に関 しては全く保障されていない。 ○田中委員  それは加藤先生が提供者のプライバシーをというのを言われたんです。 ○石井(美)委員  依頼者の方の親。 ○中谷委員長  依頼者のことですね。 ○吉村委員  だから依頼者の方が、私はこういった医療を第三者から卵子をもらって受けたいんだ けれども、だけど子どもには絶対知られたくないんだと。通常の親が思う、普通の感覚 ですよね。だからAIDを受ける人も一番心配しているのは、子どもに知られたくな い。この子どもがどう思ったらどうしようか、これを今まで一番心配していることなん で、顔が似ているとか似ていないとか、そんなことは心配してないんです。その辺が抜 けていますよね。出自を知る権利を考える場合も、そこをやっぱり考えておくことも大 切かなと。だからこの案ぐらいでいいのではないかと私は思いますけれども、あまり強 く、ね。だから先生の言い方だと、あなたたち、こうやって受けるんだから、あなたた ちは全部わかったってしようがないのよと、子どもの出自を知る権利もわかってもしよ うがないのよと、それは余りにも、受ける側に酷だと私は思います。そういうことを言 っていかないと、この医療はできないですよね。  受ける前にその夫婦に対して、あなたたちは精子をもらったんだから、この子どもは 出自を知る権利がありますよと。そして将来、生物学的な親に会いに行くこともできる かもしれませんよと、そういうことまで言わなくちゃいけない。やれないんです。 ○石井(美)委員  だったらいいじゃないですか。 ○田中委員  やめればいいですね。 ○吉村委員  それはそういう問題じゃないでしょう。だから、受ける側の人間のことも少しは、私 は別に、子どもの福祉を考えることが一番大切だと思いますけれども、そういうことだ ってあるでしょう。だから出自を知る権利をそこまで強く押さなくてもいいんじゃない ですか、このぐらいで。これでもかなりな線だと私は思いますよ。どうでしょうか。 ○丸山委員  これでもというのは。 ○吉村委員  この原案でも。 ○丸山委員  原案の内容……。 ○加藤委員  名前を知らせる、知られてもいいという奇人については考慮しないと、変わり者のこ とは考えない。 ○吉村委員  考えない。 ○丸山委員  そういうのは認めるにしても、逆の方で、子どもに何も開示してくれるなという条件 でも提供はできるとするんですか。 ○吉村委員  それはどうするかは、今まで話し合ってないでしょう。だから出自を知る権利に関し ては、このくらいでよろしいのではないですかということ。 ○丸山委員  いやいや、そうですが。 ○石井(美)委員  このぐらいの中身。 ○丸山委員  このくらいの中身。 ○吉村委員  ということはどういうことですか。 ○丸山委員  何も情報は伝えない、提供しないでくれという条件でドネートすることを認めると。 ○吉村委員  私はそれを認めてもいいと思いますけど、それはドナーによるんじゃないですか。 ○丸山委員  ですから一番極端に近親婚防止のための最低限の情報は言いますけど、それも子ども には言ってくれるな。近親婚であるかどうかのイエスかノーだけを伝えてほしい。個人 情報は一切言ってくれるなという条件でのドネーションを認める。 ○吉村委員  そういうことですね。 ○丸山委員  賛成。 ○中谷委員長  丸山先生はそれに。 ○丸山委員  私はもともと、出自を知る権利には否定的ですから。 ○中谷委員長  その理由は。 ○丸山委員  ドナーがいなくなるのではないかということが1つと、やっぱり育ての親の方が大事 で、そういう場合に遺伝子的な親を知る権利を保障する必要はないし、もし遺伝的な自 分の因子を知りたければ、自分の遺伝子を解析すればいいじゃないですか。自分の遺伝 子の中に含まれた情報を自分の因子として理解すれば、親まで知らなくてもいいと思い ます。変でしょうか。 ○加藤委員  遺伝子解読したって、親の遺伝子なんかわかるはずないんですよ。 ○中谷委員長  それはとてもとても。 ○丸山委員  親の遺伝子を知ることにそれほど意味は。 ○石井(ト)委員  ないです。だから結婚するときに自分の遺伝子と相手の遺伝子を考えていれば十分だ ということですね、先生がおっしゃることは。だから近親婚だけでいいということ。 ○丸山委員  それは別のところで言ったので、今は、さっきの全国照合システムで近親婚の有無を 確かめるのでいいと思いますけれども、自分の遺伝的な内容というのは自分の遺伝子の 中で調べればいいので、親にたどるべきものではないと。 ○田中委員  これは中央の施設にこういうAIDするときには申告しますよね。そのときはどうい う事項を申告するんですかね。ドナーのどこまで、それを聞きたい。 ○加藤委員  固有名詞を書いた記録を残しておいて、それを開示しないという方式なのか、それと もすべての固有名詞を抹殺してナンバーリングかなんかにして、でも照合する場合には ね。 ○吉村委員  固有名詞にしています。 ○中谷委員長  固有名詞を書いて、それを記号化して保存するという。 ○吉村委員  そのとおりです。使う場合には記号化して使って、固有名詞、もちろん住所、本籍書 いてあります。電話番号も、携帯番号すべて書いてあります。 ○矢内原委員  国家の機構としてそういうことは可能なんですか。50年後にすべて開示をしなければ いけないと、国家機密でも何でも。戸籍がありますよね、みんな戸籍を持っているわけ でしょう。そうすると何十年後に情報公開という形がありますが。 ○小林主査  そこは個人情報に当たると思いますので、情報公開法との関係では開示しろというこ とにはならないのかと思いますが。 ○矢内原委員  例えば犯罪者が出て、どうしても国を挙げて探さなければならないというときに、何 十年後に……。 ○加藤委員  それは認めなくていい。それは国で情報を管理している管理機関に守秘義務があっ て、それは犯罪捜査の目的であっても、その情報は開示できない、そういう扱いになる と思いますけれども。 ○中谷委員長  昔と違って、そういう前科の記載はしませんからね。 ○矢内原委員  というのは、個人の今戸籍から本人の名前から全部記録をしておいたときにいろいろ なつてで生まれた子どもがそこまでたどり着くことの可能性ができるかできないかとい うことが心配。 ○吉村委員  先生、それは個人的にできますかということですか。 ○矢内原委員  法的にそういう強制力が本人が行使をすることができるかどうか。これは法律の話だ から私はわからなかったので伺ったんです。 ○吉村委員  本人が知りたいと言っていけば……。 ○矢内原委員  例えば裁判で訴える。 ○石井(美)委員  それは、でもここで報酬取ったら裁判官は認めないということになるんでしょうね。 ○矢内原委員  それは裁判所が認めないと言えば認めないんですか。 ○丸山委員  裁判所が認めないのに、我々は認めるべきではないというのが背景にあるんですね。 ○石井(美)委員  それはそうですね。 ○丸山委員  今、個人情報保護基本法が言われるようになった背景には、住民基本台帳法の改正が あるんですね。それは国民総背番号制を考えていたんですね。だから3年後の実施時に はドナーに背番号がついている可能性はありますね。そうなると照合は簡単ですね。背 番号制ができない可能性はもちろんあるのでしょうけれども。 ○石井(美)委員  いろいろ反対はある。着々と進んではいる。 ○矢内原委員  次にいった親族からのドネーションに例外的なことで入っていくのでしょうけれど も、それと完全に矛盾をしますね。匿名性から個人の同定から。 ○丸山委員  親族の場合は、匿名性の例外で。 ○矢内原委員  だから例外でしょう。結局それが強く片方にあって、その全く対照にすべてを確証し ようとするものがドネーションになるわけですね。それが両立して、これが通ればス タートしますね。その辺が非常に不公平に私は思う。 ○中谷委員長  私なんかも当初は親族からのドネーションを認めるということに大反対だったんです けれども、でも皆さんが余りにもそれにとらわれている、余りというと語弊があります から、推進されるものですから……。 ○矢内原委員  私は反対する方にとらわれた。 ○中谷委員長  反対する方にですか。 ○矢内原委員  反対する方で主張したんですよ。というのは、原則が崩れるからです。 ○丸山委員  その前に、先ほど吉村先生のおっしゃってくださった私が賛成という内容は、皆さん に多数意見として認めていただけるのでしょうか。ちょっと危ういような気もするんで すけれども、個人情報は子どもに一切出すなという条件でするようなドネーションのあ り方を認めることは、構わないですか。 ○矢内原委員  私はたとえドナーがいなくなったとしても、出自を知る権利で近親婚じゃないですよ というだけのことだったら出自の権利にならないと思うんですよね。 ○丸山委員  ですから近親婚の有無については判定に必要な情報は提供してもらうんですけれど も、それ以外に生まれた子どもに知らせる情報は何もないという条件での提供は認める かどうか。 ○石井(美)委員  先ほどの読売新聞の見出しになるということですね。 ○丸山委員  親の属性すべて認めないような提供もある。ちょっと見出しとは違いますね。 ○石井(美)委員  提供もあるって、基本的に権利としては認められないと思いますね。 ○吉村委員  いや、そんなことないでしょう。認められるんでしょう。 ○母子保健課長  これは本人が承認したものについては認められるという案です。それで、本人の特定 だけはできないというのがこの原案です。 ○吉村委員  特定だけはできない。 ○母子保健課長  この記事は、内容的には前回お示ししたものを引用しているというふうに理解してお りますけど。 ○吉村委員  ということは、例えば、お書きになった「出自を知る権利」という内容では、こうい う見出しが出るんですか。 ○母子保健課長  出ないと思います。 ○吉村委員  出ないと思いますね。 ○母子保健課長  これはミスディーリングだと私は……。 ○石井(美)委員  今、丸山先生がおっしゃったのは、この見出しになるんですねとおっしゃった。 ○吉村委員  なるんですか。 ○丸山委員  ならない。 ○吉村委員  出自を知る権利は認めている。 ○丸山委員  そうではない。 ○母子保健課長  丸山先生が今おっしゃったのは、本人が提供してもいいよと言ってもだめだというふ うな形が。 ○丸山委員  いや、本人が提供してもいいよと言えば、それはいいんですけど、本人が一切生まれ た子どもには情報を伝えるなと。個人情報であれ、身長、体重であれ、伝えるなという ふうな条件でドネートすることを認めるかどうか。 ○母子保健課長  それは認めるということですね。 ○丸山委員  これは認めるで、皆さん。 ○石井(美)委員  いや、そうなれば、結論としては、子どもにとっては最低限保障されているものは近 親婚だけだから、権利は認められないということになるということで、この見出しにな るのではないですかと私は言ったんです。 ○母子保健課長  そうですか。 ○丸山委員  この見出しは、個人情報を認めずという趣旨ではないですか。 ○石井(美)委員  そういうことです。 ○吉村委員  この見出しは気にしなくてもいい。私はこの案でいいと思いますけど。 ○矢内原委員  これを変えているところには全部名前の……。 ○吉村委員  情報あります。例えば、もうこれ以上のことがもし知りたいと言ったら、裁判でも起 こしていただいて、最高裁へ行って、判例で、これは開示を認めますということが判例 にしていただければいいじゃないですか。 ○丸山委員  もとに戻って、21ページの 8の方は大幅に書き換えるということですね。 ○加藤委員  変える必要ないんじゃないですか。これは管理機関が保存すべき情報のことを書いて いるので、開示すべき情報ではないわけだから、書き換えなくていいんじゃないです か。 ○丸山委員  ですけど、例えば最初の丸の2行目から3行目にかけて、「生まれた子の出自を知る 権利の保障のために必要な当該精子・卵子・胚を提供する者に関する個人情報の提出を 受けて、当該精子・卵子・胚の提供を受けなければならない」。 ○吉村委員  これはあってもいいと思いますけれども。 ○加藤委員  でも、これは欺瞞的な感じにはなる。教えてくれないんだから、保存されていても。 ○吉村委員  だけど、先生、出自を知る人の近親婚はないということを確認するためにも、情報を 得ていかないとできないわけですから、それは欺瞞的ということではないんじゃないで すか。 ○加藤委員  欺瞞じゃないですね。必要なことなんですね。 ○丸山委員  近親婚の有無だけ教えられて、それで出自を知る権利になります? ○矢内原委員  そこなんですよ。 ○丸山委員  ちょっと意味が違いますね。 ○吉村委員  だから、例えば近親婚というだけであって。 ○丸山委員  例えばでもない。出自を知る権利というのは、生まれた子どもが、将来これから結婚 しようという相手と近親関係にあるかどうかを知る権利ではないんです。 ○矢内原委員  違うと思いますね。 ○丸山委員  親にたどれるかどうかなので。 ○吉村委員  そうですか。 ○加藤委員  だから、この案ではやっぱり出自を知る権利は認めてない。ただ、合理的な選択の権 利は認めているという。 ○母子保健課長  先ほどちょっと申し上げましたように、ここの、今の必要な情報云々というのは、出 自を知る権利の方の記載からいくと若干コンフリクティングな中身だというふうに私も 思っておりまして、この部分はもうちょっと書き換える余地が、もし、出自を知る権利 が、先ほど吉村先生おっしゃったような線で、この委員会がまとまるのであれば、原案 の形でよろしいのであれば、ここの21ページの方はちょっと書き込み過ぎかなと。ここ まで保障していないわけですが、そこは表現を変えることが当然必要になってくるかな というふうに認識しております。  前段の出自を知る権利の方が、この案でよろしいのかどうかを確認していただけれ ば、もしまずければ、こちらも変えることに当然なりますし、全体もまた考えるという ことになるだろうと思います。 ○矢内原委員  ここはすべての提供者の記録は、医療機関でなくて公的機関に行くのだから、医療機 関から公的機関に渡して、医療機関は公的機関に行きましたよと。最終的に裁判で争っ た場合にしても、子どもがどうしても知りたいというときには、裁判所に訴え出て、裁 判所の判定に任せるよりしようがない。そのときにすべてを知るということもあり得ま すよということがないと、子どもの出自を知る権利を保障したことにならないと思うん ですね。 ○丸山委員  裁判所がそれについて判定を下すときにはルールを適用するはずなんですね。その ルールを示さないですべて裁判所に任せるというのは、ちょっと無理なところがありま すね。 ○加藤委員  裁判所に訴えられると、この委員会の記録を見て、いや、そういう判断ではなかった ようだといって、だから却下するというんじゃないか。 ○矢内原委員  だから、公的機関にそういう義務があるのですかと伺ったのはそこなんです。 ○石井(美)委員  ただ、出自を知る権利というのは、西ドイツの連邦憲法裁判所のように、基本憲政だ という判断をしたら、ここの委員会が何を言っても、それはこの決定が間違っていると いう判断を裁判所は下す可能性はないわけではない。日本の裁判所がするとは思わない けれども、あると。 ○加藤委員  だから過激石井案が判決で出てくる可能性はありますね。恐らく人格権だということ になるのでしょうね。 ○吉村委員  私は出自を知る権利で、子どもが何を知りたいのかということの厳密なイメージが浮 かんでこないので近親婚、近親婚と言っているのですが、この書き方は「特定すること ができないものについて」と書いてあるわけでしょう。だったらそれでいいんじゃない ですか。それ以上話し合いをしてもしようがないじゃないですか。だから特定できない ものの出自を知る権利を認めましょうということを言っているわけだから、それはいけ ないんですか、丸山先生。 ○矢内原委員  それが出自を知る権利になるのだと。 ○中谷委員長  それはならないんじゃないですかね。 ○吉村委員  具体的に、そしたら、親がだれですかということが出自を知る権利なんですか。それ イコール。 ○矢内原委員  そう。 ○加藤委員  やっぱりパーソナルなコミュニケーションができるということが、子どもの要求だと いう意味だと思いますよ。 ○吉村委員  ということは、先生がおっしゃるように、「特定できないものについて」ということ は、「範囲内で知ることができる」というのは欺瞞であると。 ○加藤委員  欺瞞ですよ。 ○矢内原委員  欺瞞というか、そうね、欺瞞だね。 ○吉村委員  何か言っているけれども、実態のないものを言っていると。 ○石井(ト)委員  要するにガイドラインで言う、出自を知る権利はここの範囲までだということをうた っておけば欺瞞でも何でもないんですよね。本質論を言えば、まさに特定になるんです が、ここではここの範囲までだということですから。 ○石井(美)委員  でも、わざわざ修飾語として入れる必要のほどのことを保障してはいませんね。 ○石井(ト)委員  だから、これを変えると言っていました、さっき事務局で。ちょっと言葉を変える と。 ○小林主査  提供者の方が開示することを承認した情報とか、そういう感じで、こう書いちゃうと 確かに語弊があるかもしれないですよね。そこはまたちょっと文言を詰めさせていただ きます。 ○田中委員  他人の配偶子を使った治療で、治療している医者も、受けた患者も一番気にするのは 近親婚だと思います。私は今の、近親婚があるかないかだけを教えるというのでいいと 思います。先生のおっしゃっているように、すべてがわかるようになれば肝心の治療が できなくなるということにもなりかねませんので、これが一番いい方法ではないかと思 うんですけれども。 ○中谷委員長  近親婚に至るようなそういう確率はそんなにあるんですか。まずないんじゃないんで しょうか。 ○吉村委員  ないですね。 ○田中委員  近親婚かどうかを知るということでしょう。 ○加藤委員  実際に近親婚が起こる率ですよね。 ○中谷委員長  そういうのはまずないのではないですか。 ○石井(ト)委員  それはわからない。 ○田中委員  それはその人が何人産ませるかによるでしょう。 ○石井(美)委員  それは制限するんです。 ○吉村委員  10人以下だったらないです、先生。多分何%か知りませんけれどもね。 ○田中委員  普通、私たちが提供をお願いしたときに聞かれるのは、近親婚ということを一番気に しませんかね。 ○吉村委員  胚の提供が一番問題になると思うんですね。 ○矢内原委員  親族からの提供が一番近親婚の確率高い。 ○田中委員  そのときは親は近親婚をさせないんですよ。結婚させないように。 ○吉村委員  それはさせないでしょうね、親は知ってますから。 ○田中委員  本人はね。 ○矢内原委員  子どもがしたいと。 ○吉村委員  子どもは、でも知っちゃっているからね。 ○石井(美)委員  子どもが知っていることにはならない。 ○田中委員  確かに矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、私は……。 ○加藤委員  精子提供者からつくることのできる子どもの数は、何人に制限されているんですか。 ○吉村委員  10人。 ○矢内原委員  すべて10に合わせた。 ○加藤委員  もし卵子提供者もいたとしても、それもやっぱり10人でしたか。 ○吉村委員  10人。 ○矢内原委員  生まれた子どもですから。 ○石井(美)委員  ここも気になったんですけど、やっぱり提供の回数で制限しないと、実効性を持たな いんじゃないですか。生まれた子どもをきちんと把握できるシステムに必ずしもならな いなら、提供回数による制限。 ○石井(ト)委員  提供回数は決まっていたような気もしますけれども。 ○石井(美)委員  ここには生まれた子どもの数だけ10人となっていますよね。 ○吉村委員  そうです。ちょっと変わってました。 ○丸山委員  中央機関に届けるのは生まれてからですよね、この原案だと。違いましたか。 ○田中委員  治療する前。 ○吉村委員  妊娠したときですよ。その転機も言わなくちゃいけないというふうにどこかに書いて あったと思ったんですけど。 ○丸山委員  はしごしたドナーがいたら遅いですよね、妊娠した段階だと。 ○石井(美)委員  妊娠した段階で中絶しろとは言えないわけですから。 ○丸山委員  そういう人はいると思うんですよ、自分の子どもをたくさん見たいという人。 ○石井(美)委員  さっきの、王国をつくりたい。 ○高橋委員  ドナーを信じて、その人が10人まで提供したらやめるだろうという信頼の下での話で しょう。先生のおっしゃるようにはしごするドナーがいたら、根底からこの議論は崩れ ますね。近親婚の場合はそんなに数は多くないと思いますので、この原案で私はいいの ではないかなと。 ○石井(美)委員  中央管理システムをつくるのであれば、提供のときにすべて届け出て、それで……。 ○加藤委員  はしごした人はそこでチェックしちゃう。 ○石井(美)委員  チェックできる。提供されても、使わなければいいわけですね。 ○高橋委員  ただ、中央管理という1つの仮定の下での議論になると、ではそれまでの間どうする か。中央管理機構ができるまで、何年もあるのでしょう。 ○丸山委員  でも何かつくるんですね。 ○石井(ト)委員  3年以内につくるということで話し合っている。 ○石井(美)委員  前提にはなっている。 ○加藤委員  来年オープンですね。 ○高橋委員  10人といったら10人を信じてはしごはしないだろうと。そうしないと議論が進まない のではないか。 ○加藤委員  はしごをしないというその保障はないな。 ○高橋委員  なくても、今までそれで進めてきたんですよ。 ○石井(美)委員  今まではそんなに提供先がないという前提でしたから、今後もそうないんですよね。 ○吉村委員  保障のしようがないですね。 ○高橋委員  保障のしようがないから、もう。 ○吉村委員  兄弟姉妹は行う前にちゃんと許可を得なくちゃいけないわけだから、兄弟姉妹に関し てはそういうことはないわけです。でも第三者の全く関係のないドナーに関しては、卵 子提供なんかが少しでもお金がかかるとはしごということはあり得るかもしれないです ね。 ○高橋委員  アメリカで1人のドナーが 50人か30人に提供した、そういう報告がありましたね。 ○吉村委員  そうですか。 ○田中委員  産ませるんですか。 ○高橋委員  提供した。その中で実際妊娠したのが何人だったかは忘れましたが、随分昔にありま した。 ○矢内原委員  スパームですか。 ○高橋委員  ええ。しかしその人たち同士が結婚するという確率もまた少ないですよね。そこまで 議論すると果てしなく続くのではないかと思うので、私はこれで進めた方がよろしいの ではないかと思うのです。 ○田中委員  近親婚の心配はないということですね。 ○高橋委員  心配はあるけれども。 ○田中委員  実際にはなかろうと。 ○中谷委員長  何か議論が進んだような、堂々めぐりをしているような。 ○矢内原委員  進まないような。 ○丸山委員  これで出自をめぐる権利は終わったんでしょう。 ○田中委員  先生、今までAIDがこの50年間やってきてトラブルがなかったということは、やっ ぱりこの治療はいいということじゃないですか。たとえ匿名性をうたっていても、もし わかれば必ず慶應に来ると思うんですよ、教えろと言って。だから、50年というのは、 50歳になって次の子どもを産んでいるわけで、社会に定着しているということでしょう ね。 ○高橋委員  もうおじいさんですね。 ○田中委員  ということはこの治療は、匿名で今までやってきたということの正当性を認めてい る、一番大きな証しではないですか。 ○中谷委員長  それを継続してきたのが医療機関が限定されていたということがありますから、それ が一般化したときにどうかということがまた別論だと思うんですね。 ○田中委員  数としては慶應が一番多いんでしょうけど、やっぱりかなりほかでもやっていると思 うんですよ、数は少ないですけど、そこでも大きな目立ったトラブルはなかったとい う、これでいいんじゃないですか。あえて知る権利とかどうなんですか。 ○石井(美)委員  今まで余り「知る権利」などということを言われるようになったのは最近のことです からね。 ○高橋委員  そうですね。 ○田中委員  でも、もし子どもがそういうことを知った場合、だれだって、成人したら教えようと いう人なんていないでしょう、こういう治療をして。たまたま知った場合でしょう、前 提は。今までたまたま起こる可能性はこれから先も同じだと思うんですよ。たまたま知 る確率というのは。親が意図的に言わないわけですから、それでこの50年間に、知った ら、慶應に来ると思いますよ。親を知りたいというのは。 ○中谷委員長  「出自を知る権利」というのが意識されだしたのが1983年のスウェーデンとドイツの 判例ですからね。そういう意味では十何年間ですよね。 ○丸山委員  昔のは記録がないんでしょう。 ○中谷委員長  ありますよ。 ○吉村委員  記録はありますけど、ただ、本当にだれがどうなって、この人はだれだということが わかるようになったのは、この10年もない、5〜6年ですね。確定できるのは。カルテ があるうちは30年間はできていますけど、うちは30年カルテですから。 ○丸山委員  30年以上保存しないんですか。 ○吉村委員  30年以上保存してませんので、30年前以上のデータはないです。30年間は大体わかり ます。今は40年たってもわかるようになっています。 ○中谷委員長  1991年に日本比較法学会で調査をしたんですよね。 ○丸山委員  カルテの保存に関してですか。 ○石井(ト)委員  5年間ですよね、それ以上は。 ○丸山委員  それは医師法上のカルテの保存期間になるんですね。 ○矢内原委員  ドナー制度というのは別にこしらえた。 ○中谷委員長  そのときだと、慶應でやったAIDというのは、年間50件だというのでびっくりし て、その当時の法医の先生に言ったんです。そしたら法医の先生もびっくりして、確認 したら20例。1人の提供者から生まれた子どもは20人であるということだったので、20 人もちょっと多いですねと言ったことがありますけど。 ○吉村委員  今、凍結になってから、やっぱり半分ぐらいしか妊娠しませんので、かなり減ってい ます。 ○丸山委員  10%ぐらいの成功率なんですか。 ○吉村委員  そんなないです。 ○中谷委員長  そうですか。10%ないんですか。 ○吉村委員  10%もしません。 ○中谷委員長  そうですか。11%ぐらいだと思った。 ○吉村委員  AIDでしょう。 ○中谷委員長  ええ。 ○吉村委員  AIDは普通のAIHより悪いですよ。それはなぜかと言いますと、AIHは辰巳先 生のところに来られたら、辰巳先生のところでAIHされているでしょう、辰巳先生が ずっと診ておられるでしょう。極端なことを言えばAIDというのはどこかから来る人 が多いでしょう。あした行きなさいと言われて、排卵が終わっているとかいっぱいあり ますから、通常の配偶者間の人工授精よりも成績悪いですよ。だから4%から、せいぜ いあって5%。 ○中谷委員長  そんなに低いんですか。 ○吉村委員  そうですよ。 ○矢内原委員  凍結してやってますからね。 ○吉村委員  やってますから、もっと悪いです。 ○中谷委員長  いつも議論のこれからというときに時間になってしまうんですけれども。 ○丸山委員  あと2つですからやりましょうよ。 3と 4。 ○石井(美)委員  私、いつも留保させてばかりいただいて申しわけないんですが、少数意見をつける可 能性を留保させていただきたいということ。 ○吉村委員  「出自を知る権利」ですか。 ○石井(美)委員  はい。 ○吉村委員  それはいいです。 ○加藤委員  過激案で出すんですか。 ○石井(美)委員  過激案で出すかどうかも含めて、まず基本的になしと言っていいのかどうか。 ○吉村委員  これはそうすると、先生、各規制ですか。 ○丸山委員  実施機関の指定ですね。31ページの 3の。 ○辰巳委員  すいません、23ページの 9の「同一の者から提供された精子・卵子・胚の使用数の制 限」ですが、「同一の者の遺伝的要素を受け継いだ生存中の者」というのがちょっと理 解しにくいんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。 ○小林主査  同じ人間の遺伝的要素を受け継いだ者ということなので、提供した場合には、提供し た精子で生まれた子どもと、その提供者の実の子どもということです。 ○丸山委員  孫もですか。 ○小林主査  遺伝的要素というと、確かに孫なども入ってしまいますね。 ○吉村委員  これは私たちの前の案みたいに、AIDは○○とか、提供精子による体外受精は○○ とか、卵子による体外受精は○○というふうに書いた方がわかりやすいのではないでし ょうか。それではちょっと散漫だということで、こういうふうにお書きになったと思う んですが。 ○丸山委員  次の10はどうですか、24ページ。 ○加藤委員  最初に精子提供して、10人子どもができちゃって、結婚して子どもを産もうと思った けど、10人で満杯だからもう産んじゃいけない。 ○石井(美)委員  その可能性ありますね、これだとね。 ○小林主査  そうではなくて、第三者の精子・卵子・胚を用いた生殖補助医療に利用して、という ことです。 ○中谷委員長  十分わかってのご発言ですから。 ○母子保健課長  ここは、今の趣旨どおりに書き直せるか検討させていただきます。 ○吉村委員  そうですね。それはあると思いますね。 ○母子保健課長  紛れのないように。 ○丸山委員  24ページの10も片づけた方がいいじゃないですか。戻すのは3つまでという。 ○母子保健課長  ここの会場は若干延ばせますので、先生方のもちろんご都合でありますけれども、30 分前後は大丈夫ということは聞いておりますので、もし先生方、お時間があって継続し ていただけるのならありがたいと思います。 ○石井(美)委員  加藤先生は。 ○加藤委員  私はいいです。延ばしても5時前には終わるんでしょう。 ○吉村委員  5時ぐらいまでだと思います。3個までとする。 ○丸山委員  ここは別に提供を伴う場合には限らないですね。 ○吉村委員  どういう意味ですか。 ○丸山委員  夫婦間でやる体外受精の場合にも同じことが適用されるのでしょう。 ○吉村委員  そうです。 ○辰巳委員  でも原則として2個とかまではうたってない。 ○吉村委員  うたってないですね。こういった医療をするときには2個まで。 ○中谷委員長  原則として2個とうたっていますよ。 ○吉村委員  ここではうたってますけど、これは我々の希望がここに入っているんじゃないです か。 ○石井(美)委員  夫婦間体外受精については何も書いてないから、ここでこれを書く必要性があるとい うことですね。 ○辰巳委員  後半は「また、三胎出産する確実な意思があって医学的に耐えうると考えられる場合 にも1回に3個まで胚を子宮に移植できる」、この文章は……。 ○丸山委員  36ページの多胎妊娠の方で同じ文章ありますよ。下から3行目、2行目、1行目。 ○辰巳委員  移植する胚や子宮の状態が悪くなくても、本人が三胎出産する意思があって、医学的 にも耐えうると考えた場合には3個まで戻せるという意味なんですか。 ○小林主査  そういう趣旨ですね。 ○吉村委員  趣旨でしょう。先生、いいですか、大事なことですから、逃げないでください。2個 を3個にしているのは、例えば3個にしちゃうと、三胎の減数は許されないわけです よ。でも先生は、三胎の減数も認めてあげてくださいという意見でしょう。 ○丸山委員  ええ。 ○吉村委員  そうすれば、原則2個であれば、減数する必要はなくなるわけですよ。 ○吉村委員  減数との兼ね合いを言っているんです。だから、ここはこういう書き方でないと、 我々の中で自己矛盾に陥るわけです。 ○丸山委員  全然異論はないんですけど。 ○石井(美)委員  ここに書かなくてもいいんじゃないですかという趣旨ですね。 ○丸山委員  そうそう。ドネーションが伴う場合に限った話ではないということだけです。 ○吉村委員  私はこのときは2個までにしたんですよ。原則2個、必要に応じて、先生たちの意見 を入れて3個までと。 ○加藤委員  2個と3個で成功率は全然違うんですか。 ○吉村委員  余り変わらないんじゃないですかね。 ○矢内原委員  やっぱりまだ上昇ですね。2個から3個に関しては。 ○吉村委員  ちょっと上昇しています。 ○矢内原委員  3個以上だと、ほとんど。 ○辰巳委員  2個しか戻せない人と、それから3個まで戻せるけど2個だけ戻した人では大分違う んです。3個まで戻せるけど2個だけ戻した人の場合は、2個戻しても3個戻しても妊 娠率は余り上がらず、多胎率だけが上がる。 ○吉村委員  前、統計をとったときはちょっと違っていたんですね。 ○丸山委員  3個まで戻せる人と2個までしか戻せない人は、どういう違いなんですか。 ○矢内原委員  たくさん入れればいいだろうと、数撃てば当たるという発想ですよ。だから6個入れ ている人もたくさんいますよ。 ○辰巳委員  最終的に2個しかなかった。 ○丸山委員  母体の状態じゃなくて。 ○辰巳委員  はい。だから何個もあったけれども、そのうちの2個だけ。 ○吉村委員  それは当然。 ○辰巳委員  後半もやっぱり要るんですか。 ○高橋委員  「また、三胎出産〜」というのは要らないんじゃないでしょうかね。 ○吉村委員  私も要らないと思いますね。 ○母子保健課長  そういうことであればとります。 ○辰巳委員  どこから出てきたんですか。 ○小林主査  後ろの多胎減数のところの書き方と合わせたのですが。 ○吉村委員  「3個までとする」だけでよろしいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  でも3個までとして、この人たちは減数手術はできませんよという、「また」でなく てですね。3個戻すときには3個できたら産んでもらいます。生命の危険がない限りと いう趣旨。 ○矢内原委員  それは書いてありますよ。 ○石井(美)委員  じゃないんですか。人にもらってつくった卵を粗末にしてはいけない。 ○矢内原委員  2個にしているところ多いですよね。 ○母子保健課長  そうすると後半をとって、説明の方の2つ目の丸もカットということでよろしいわけ ですか。 ○吉村委員  これはあってもいいんじゃないですか。 ○母子保健課長  これはよろしいですか。 ○吉村委員  あっても。 ○母子保健課長  四角の中だけと思っていればよろしいわけですね。 ○吉村委員  と思います。 ○中谷委員長  同質案でしょう。多胎減数手術について出てくるわけだから、むしろない方がいいの ではないですか。重複ですから。 ○吉村委員  なくても。 ○小林主査  全く要らないという話であれば、全部消してもいいですか。 ○吉村委員  あっても私はいいと思いますけれども。 ○中谷委員長  なくてもいいのではないですか。 ○母子保健課長  本文の四角の中も説明の方も前段部分だけということでよろしいですか。 ○中谷委員長  ええ。 ○石井(美)委員  ただ、ここのところじゃなくて、これは1つの何か別につくられるんじゃないです か。ある意味で法的規制の枠組みの中でこれは出てくる。 ○矢内原委員  10は全部なくてもいいように思うんですけど。 ○石井(美)委員  減数手術の方も含めた形の生殖補助医療としての規制枠というのがつくられるかどう かによって違ってくるんじゃないですか。 ○中谷委員長  そうしましたら、多胎減数手術についての項目は不要と、場合によってはなくてもい いということですか。 ○石井(美)委員  いいえ、そうではなくて、つくられたときに、こっちは必ずしも、この案によれば、 行政関係学会に委ねられた形のことが出てくるわけですね。こちらはある程度何らかの 枠組みがつくられることになっていますね。その中でこの点も明らかにしておくという ことが必要な。 ○吉村委員  非配偶者間の体外受精という医療行為においても、胚に移植するという行為を必要な ので、一応入れておくということに対しては、私は入れておいた方がいいのではないか と思います。 ○石井(美)委員  そういうことです、私も。入れておくことに意味はあるかもしれないということで す。 ○辰巳委員  後半部分もですか。 ○吉村委員  後半は要らない。前半は入れておく必要あるでしょう。 ○辰巳委員  入れた方がいいと思います。 ○中谷委員長  前半はもちろん必要なんですよ、後半だけなんです。 ○吉村委員  後半は説明文もいい。 ○中谷委員長  説明文も不要、それでよろしいかと思います。 ○吉村委員  説明文もカットということ。 ○石井(美)委員  説明文はあってもいいんじゃないですか。説明も要らないんですか。 ○吉村委員  私はどちらでもいい。 ○辰巳委員  後半の説明文でしょう。 ○石井(美)委員  はい。 ○辰巳委員  これ、何か変だと思いますけれどもね。 ○矢内原委員  三胎、意思の話ね。 ○石井(美)委員  私は説明にはあってもいいのではないかと思う。 ○辰巳委員  できたら3個しない方がいいんじゃないでしょうか。 ○吉村委員  3個しない。 ○辰巳委員  3個戻すのはできるだけ避けた方がいいから、こういうことを書かない方がいいんじ ゃないですか。 ○石井(美)委員  そうですか。本人が産みたい。 ○辰巳委員  産みたいといっても、三胎というのはやっぱり避けた方がいい。 ○石井(美)委員  そうですか。お医者さんがそうおっしゃるなら。 ○矢内原委員  2個とするでおしまい。 ○吉村委員  場合によっては、3個まで残す。 ○矢内原委員  「また」以降は消す。 ○石井(美)委員  危険性があるのだから、なるべくやらない方がいいという趣旨。 ○中谷委員長  ではそれはそれで。 ○辰巳委員  条件の悪いものに関しては3個やってもいいけれども、産む意思があって、医学的に も大丈夫だから三胎前提で戻すというのはやめた方がいい。 ○石井(美)委員  やっぱり危険性が高いから。 ○辰巳委員  予期せぬ危険がいっぱい起こってくる。 ○石井(美)委員  わかりました。 ○中谷委員長  それでは、ご賛同得られましたでしょうか。その続きですね。 ○母子保健課長  お願いしたいのは、規制方法の項にいく前に、前段の方の、前回修正したところと か、こちらをもし先にやっていただければ、区切りがいいかなという感じがするのです が。 ○中谷委員長  何ページですか。 ○母子保健課長  12ページから13ページの精子・卵子・胚の匿名性の部分と兄弟姉妹と前2回をかけて やったところですが、修正案をお出ししてございますので、これでよろしいのかどう か。一応事実関係は前回確認したのですが、文章として今回修正してありますので、こ れでよろしいかどうかを確認していただけるとありがたい。 ○辰巳委員  ここのものは申請ではなくて報告なんですね。 ○小林主査  そこはご議論のあるところかとおもいます。 ○石井(美)委員  後の方は事前のようにも読める形に書いてある。 ○小林主査  出すのはこのままですので、事前です。 ○辰巳委員  事前に報告をする。 ○石井(美)委員  事前に届け出なければならない、の方がいいじゃないですか。 ○辰巳委員  運営機関の了承を得る必要はないんですか。 ○小林主査  ここは了承までは言ってないです。 ○辰巳委員  言ってないですね。届けだけでいいんですか。 ○丸山委員  もうちょっと踏み込んだ趣旨だったと思いますね。 ○石井(美)委員  審査すればいい話。 ○矢内原委員  こういう話は認可を取るような。 ○丸山委員  申請ぐらいの方がいいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  やってしまったらおしまいだと。やれないことにしておかないと。 ○丸山委員  やってしまって中絶というのはかわいそうですね。 ○石井(美)委員  それはあり得ない、絶対。 ○加藤委員  申請というと公的管理運営機関が申請を却下するかどうかを決めるわけですね。公的 管理機関というのは情報センターみたいなやつですか。 ○丸山委員  そこの審議機関ですね。 ○加藤委員  審議機関があるわけ。 ○矢内原委員  管理部門と審議部門と2つつくるんじゃないですか。 ○丸山委員  ガイドラインなんかを定めるというふうに。 ○母子保健課長  ここのところは実務的に前回からの流れで申しますと、前回事務局の案で出したのは 事後的な審査というものでしたが、これはなぜかというと、事実上審査が難しいのでは ないかという話と、実際にやっている医療機関が一番詳しいカウンセリング含めて話が わかるだろうと。事実上審査機関でできるのかという意味で事務局は案を出したのです が、やはりそれはまずいと、事前にチェックをかけるべきだというご指摘をいただい て、その条件の下に、厳格な下にやるのだということで、一応前回ああいう形での例外 を認めるという話になったわけですね。  今回書かせていただいたのは報告ということで、基本的にはそういう趣旨なのです が、ちょっとこれも表現が弱くなっておりますが、再度もう一度、審査というのをどこ でどうやるのかというイメージを明確にしていただいた方がよろしいのかなという趣旨 であります。事前に申請なりを出して、管理運営機関が当然受けることになると思うん ですが、そこでガイドラインなり何なりに沿って、どういったらいいのでしょうか、管 理運営機関で判断ができて、あなた方だめよというふうなことを言う形で事実上できる ようなイメージがあれば、これで審査して、そこでチェックでよろしいと思うんです ね。  それがもし難しい場合に、恐らくは今度はそこで外形的な情報を整理して、審議機関 とか、あるいは国の方に上げて、そこでチェックをさせて、どうするかというプロセス にならなくてはいけないかと思うんですね。後者の方になると、実際上はかなり複雑に なるのかなという思いがありまして、前段の方のイメージでかなりいけるのだというこ とであれば、そちらの方のところで、事前審査で、つまり申請して許可を得なければな らないとか、そこまで強く書けるのではないかと思っておるんです。  いずれにしても、事前でやるというこの前のご指摘でしたので、それを踏まえて出し たのですが、そこのところの表現が、実務的に、これから制度をつくって運用するとき にどこまで担保できるかという自信がいまだに十分にはなかったものでこんなふうにな っているということです。 ○加藤委員  報告というと、事実上は認めるのだけれども、ちょっとするするとはいかないと、ち ょっとチェックがかかっているという程度ですね。審査というと、だめならばあきらめ てもらうということですね。 ○矢内原委員  だめな理由が、どういう形でだめになるかなと思うのと、それから、どのくらいの件 数が来て、審査会をそんなにしょっちゅうやらなければいけないようになったらたまら ないなという2つありますね。 ○加藤委員  矢内原先生、審査員になる可能性高いんです。 ○矢内原委員  だからたまらないなと思って。 ○石井(美)委員  そんなに数はないという前提ではありましたよね。先ほどの率からいうと。 ○矢内原委員  それが公になったときには、私はかなり出てくると思います。根津先生のところで、 23年間で21例出したですかね。この3年間で。審査制度にしてだめだという理由をすご いきっちりしたガイドラインをつくってないとだめだとすべて言えなくなってしまうで しょう。 ○母子保健課長  もし外形的な審査、例えばもともとこれを動かすときにガイドラインをつくって、カ ウンセリングで本人が同意する場合に、どういうことを確認すべきだというのがある程 度できるだろうと思うんですね。例えばチェックリストがあって、それを記載する様式 があって、それを医療機関が公的機関の方に事前に申請書を出して、それが形式的に整 っていればいいということでよければ、ある程度簡単は簡単だろうと思うんですね。そ このいわゆるチェックが入るという意味でですね。それがもし虚偽の報告であれば、ど こかで発覚すれば、それは大変ペナルティーが来ると。それなのか、それとも実態的な 審査というのでしょうか、つまりそこで行われた、受ける側の反応なり提供する人の反 応なり、言ったことを全部書いて、その中身が適当かどうかということを、この公的管 理運営機関がもとのデータに戻って審査するという形になるのかということなんです ね。 ○石井(美)委員  私は前者を考えています。そんな実質まではできるとは思ってませんけれども。 ○母子保健課長  そうしますと、それが様式どおりといいますか、チェックリストどおりちゃんとやら れているということをチェックをした上でオーケイを出すということになるわけです か。 ○石井(美)委員  何か疑問あったときには問い合わせがあるし。それは実質審査権がないわけじゃない けれども、と思います。 ○加藤委員  矢内原先生はめくら判を押さないで、ちゃんと見て、はいはい、はい、大丈夫、こう いう調子でやるわけですね。 ○矢内原委員  私はいいです。 ○石井(美)委員  何か報告というと、全く審査がなされないような気がしますね。 ○石井(ト)委員  そうですね。報告だけではだめです。やっぱり審査しなければだめです。 ○矢内原委員  そういうフォーマット方式がいいですね。それなら具体性がありますね。 ○石井(美)委員  形式的にただチェックされている、危険性はあるけれども、ないよりはましですね。 ○辰巳委員  本人のサインをしっかりもらって。 ○石井(美)委員  そういうことです。出てきた施設がちゃんとした施設であるかどうかということも確 認はできるわけですね。 ○母子保健課長  運営機関に申請し事前の審査を受けなければならないということでよろしいでしょう か。 ○矢内原委員  そういうことになりますね。 ○吉村委員  ただ、その場合に、その医療機関というのは、初めに公的審議機関で審査を受けてい るわけですね。これは受けてないとできないわけですから。 ○母子保健課長  審議機関で、恐らく指定のガイドラインをつくって、それに基づいて指定された医療 機関ということ。 ○吉村委員  その指定された機関がなおかつもう一回受けるということになりますから、ですか ら、例えばマークシート方式で、これは終わったのか、同意書は得ているのか。それで 私はいいとは思うんですけど、ここで問題なことは、多分厳密にやっても、最も難しい のはカウンセリングだと思うんですね。兄弟姉妹からもらうときは本当にカウンセリン グをやってますかどうかということはこれは難しいことで、カウンセリング制度がしっ かりしてきて、第三者のその医療機関でないカウンセラーが行ってカウンセリングをす るわけですから。これはマークシートぐらいで、報告・審査しなければならないとか、 そうやって書いておけば、別にそれほど大変な、これをするためには二重チェックを受 けるわけですから、二重チェックというか。例えば田中先生のところでやってよろしい ですよと、まず受けて、田中先生がまた、こういった夫婦に関しては兄弟からもらいま す、姉妹からいただきますということをもう一回行くわけですからいいじゃないです か。 ○母子保健課長  あとは大体これはよろしいでしょうか。 3、 4に前回2つに分けて記載するというこ とで、いわゆる表現も「兄弟姉妹等からの」ということにして、範囲は決まりませんで したということも明示して書いてありますけれども、これでよろしければ、こういうこ とにさせていただきます。 ○辰巳委員  今のところなんですけれども、丸1の文章のメインは匿名であることを要しないみた いな感じになっていますよね。 ○母子保健課長  この13ページの 4の一番上の丸ですか。 ○辰巳委員  一番最初の結論が、「精子・卵子・胚を提供する者が匿名であることを要しなさい」 となっていると思うんですが、前の行の下から2行目の「問題がないものと認められる ものに限り認めることとする。なお、この場合には、精子・卵子・胚を提供する者が匿 名であることを要しない」というふうに分けた方がいい。 ○母子保健課長  論旨が明確になるということですね。確認いたします。1つ目の丸の5行目のところ に「認められる場合に限るものとする」として、その後に「なお、この場合は」という ことを入れるということでよろしゅうございますか。 ○丸山委員  「認められる場合に限るものとする」という文章はちょっとつながらない。さっき辰 巳先生がおっしゃった「認められる場合に限り認められるものとする」と、ちょっと認 めが重なりますけれども。 ○石井(美)委員  「ない場合に限り」と言っていいんじゃないですか。 ○丸山委員  そうですね。「問題がない場合に限り」。 ○母子保健課長  「問題がない場合に限り認められるものとする」。 ○吉村委員  そうですね。 ○石井(美)委員  「限り、精神・卵子・胚を提供する」。 ○辰巳委員  「認められる場合に限り認められるものとする」。 ○丸山委員  主語が要りますね。 ○石井(美)委員  何が認められるのか、ないんですよ。 ○小林主査  「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認められるものとする」。 ○石井(美)委員  そうですね。一番最初にそれを持ってくればいいんじゃないですか。「それ以外に提 供者がいない場合には」という形にする。 ○中谷委員長  これは、私なんかは基本的には賛成しないものですから、皆さん方がこれを賛成なさ ったからあれですけれども。 ○吉村委員  私も賛成しないです。 ○矢内原委員  私も賛成しないです。 ○石井(美)委員  ここは意見が分かれたところで。 ○吉村委員  私は先生、大反対ですよ。 ○中谷委員長  私も大反対なんですけど。 ○高橋委員  下にいろいろ書かれていますから、これでいいでしょう。 ○中谷委員長  皆さん方が血縁主義に大変好意的でいらっしゃるから、それは尊重いたしまして。 ○丸山委員  イギリスに倣ったんですね。 ○矢内原委員  これは本当に例外で、本当はだめなんだよというニュアンスをちゃんと出してくださ いね。 ○中谷委員長  本当にそう思いますね。 ○吉村委員  先生の考え方はマイナーじゃないですよ。 ○中谷委員長  そうですか。 ○吉村委員  ええ、マイナーじゃないです。少なくとも半分ぐらいの方は。 ○矢内原委員  1票差ぐらいですね。 ○吉村委員  1票差ぐらいですよ。 ○高橋委員  最大野党ですよ。 ○母子保健課長  ありがとうございました。お時間があれば、規制方法やこちらの相談の方に行ってい ただければ、議論がかなり進むかと思います。 ○中谷委員長  何ページでしょうか。 ○母子保健課長  24ページの「規制方法及び条件整備について」の「(1)規制方法」以下のもののお 話だと思いますが。 ○吉村委員  石井先生、罰則規定なんですけれども、括弧内「罰則を伴う法律による規制を課すこ ととする」となりますね。点の1、営利目的、これはいいんですけど、胚の授受、卵子 の授受、斡旋というと、この前の送られてきたものなどは日本人は罰せられるというこ とになりますか。この前、来ましたよね。 ○石井(美)委員  はい。 ○吉村委員  ああいうものは罰せられるということになりますね、ああいう業者は。 ○石井(美)委員  日本でやれば。 ○吉村委員  日本で今やっているんですけれども、アメリカへ斡旋する人、これやっているんです けど、代理母も斡旋しているんですけれども、ああいう人はこれが出ると罰せられる。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○吉村委員  それは結構だと思います。 ○中谷委員長  規制を課すといいますか。 ○石井(美)委員  規制をする。 ○中谷委員長  規制を行うとか。 ○加藤委員  「行う」が一番自然な感じですね。 ○吉村委員  「規制する」ではいけないんですか。 ○矢内原委員  「法律による」だから。 ○中谷委員長  「よって規制する」とか、「規制を行う」ぐらいの。 ○矢内原委員  「法律によって規制する」とか「法律による規制を行う」。 ○中谷委員長  「行う」の方が自然のような気がしますね。 ○矢内原委員  「法律によって規制する」の方がいいんじゃないか。 ○高橋委員  「法律によって規制する」と言いますね。 ○中谷委員長  それが一番自然ですね。 ○丸山委員  四角の中の最初の丸の2つ目の。 ○吉村委員  代理懐胎の実施。 ○丸山委員  実施というのは代理母の行為ですか。 ○吉村委員  実施というのは医師じゃないですか。胚を戻した人。 ○石井(美)委員  とすれば、明記しておいた方がいいかもしれない。代理母自身は罰せられないという ことを。 ○小林主査  先ほど申し上げたんですけど、確かに書き方が非常に曖昧で、1つは行った医者があ り得る、もう一つは代理懐胎を依頼した人で、もう一つは、代理懐胎の依頼を受けて行 う人がいるという、その三者のどこにかけるかということと、営利目的だけに限るの か、非営利でやった場合も入るのか、そこのところがちょっと明確ではありませんので ご検討いただければと思うんですが。 ○石井(美)委員  代理懐胎につながる生殖補助医療を行った。 ○吉村委員  それは医師ですね。 ○石井(美)委員  及び斡旋した者。 ○矢内原委員  石井先生は医師しか罰せられない。 ○吉村委員  いや、斡旋する者もだめです。 ○石井(美)委員  ですから、そういう行為をしたら。そこが気になっているんですけど、医師でなくて も行った人はなるんですね。 ○吉村委員  この前のコーディネーターの人はなる。 ○石井(美)委員  いや、コーディネーターだけでなくて、人工授精を医師でない人が行えば、医療行為 を行ったというところで罰せられるだけでなくて、これにひっかかると、そういうこと ですね。 ○中谷委員長  石井委員、1985年のサロゲートマザーの法律というか、規定をお持ちくださいました か。お願いしてあったと思いますけど。 ○石井(美)委員  それはあちらに言ってそのままです。気になっては、きょう来るとき、はっと思った んですけど。 ○中谷委員長  アレンジメント・オブ・サロゲートマザーという法律がありまして、それだと契約そ れ自体有効なんですよね。 ○石井(美)委員  強行できないだけ。 ○中谷委員長  強行できないだけで。 ○吉村委員  もうちょっとわかりやすく。 ○中谷委員長  約束に違反があっても強行はできないという、違反したからだめよということはでき ない。その約束のとおりにやれば、職業的なあれはだめだけれども、好意的なそういう 契約であれば、一応有効なんですよね。 ○丸山委員  自発的に支払われれば料金を受け取ることもできるし、子の引き渡しもそのままやっ て構わないということですね。 ○加藤委員  そのかわり、金を払わなかった場合、取り立てることもできないし、子どもを渡さな かったときに取り立てることもできないんですね。 ○中谷委員長  はい。日本語訳もあったはずですので、それをどうぞ、ご参照くださいますか。 ○矢内原委員  前、田中先生が質問されていましたよね。代理母で排卵誘発だけ打ってくれと頼まれ て、そういうのはどうでしょうかとね。それも斡旋に入るんですね。 ○吉村委員  罰せられる。 ○田中委員  斡旋になるでしょうね。禁止ですね。いいですよ。すっきりしていますから、一切、 術前検査もしないということですね。一切だめです。 ○吉村委員  術前検査してもしようがないですよ、先生。 ○加藤委員  やった患者は知らずに向こうへ行ってきてやってきたといって言い逃れしたらどうな るのか。 ○石井(美)委員  知っててやったということは刑罰を科す方が立証する責任を負いますから大丈夫で す。 ○吉村委員  患者さんはそういう人いっぱいいますよ。先生のところで体外受精受けたいというの でずっとやってもらって、そのままキャンセルして行っちゃうということだって、どこ かほかへ行ってということだってありますから、それはそこまで言ったらしようがない ですよ。 ○高橋委員  そこまで言ったらきりがないです、もう仕方がないと思います。ある程度こういうも のはあいまいでいいと思いますよ。斡旋といってもパンフレットを渡しただけでも斡旋 なのか、お金を取らなければ斡旋にならないのか。病院には必ず新患の初診料を払うわ けでしょう。ただ、田中先生、面会と言って来院して新患料を払って、そのときにこう いうパンフレットが置いてあるのを見て行ったら、これは斡旋なのか。だから、こうい う文言で私はいいと思います。 ○田中委員  先生、あるんですよ。パンフレットを置いていく人、患者に送ってくれというのがあ るんですよ。 ○石井(美)委員  でも倫理的には病院の入口にそういうのを置いておくこと自体は規定されるのだと思 いますね。そういうことをする病院は多分許可がされない。 ○吉村委員  私もそう思いました。 ○石井(美)委員  「罰則を伴う」というのは、別に懲役とかそういうことでなくて、罰金科料みたいな ものも含まれるわけですね。そうすると、これだけでいいのかなという気もしたんで す。 ○吉村委員  もっとあるの。 ○矢内原委員  医師を罰したいわけよ。 ○小林主査  代理懐胎なんですが、そうするとこれは代理懐胎をやるために胚を体内に戻した人と か、要は医師みたいなところだけで、あと、営利、非営利については非営利の場合もと いうことですか。 ○矢内原委員  代理懐胎そのものはいけないんだから、営利であろうが非営利でなかろうが。 ○中谷委員長  商業主義はそもそも全部だめになってますから。 ○丸山委員  外国に比べて厳しいということはないんですか、この代理懐胎を非営利でも罰すると いうのは。 ○吉村委員  それは厳しいです。 ○矢内原委員  そうですね。 ○吉村委員  でも先生、代理懐胎はやめるというコンセンサスが得られているわけですから。 ○石井(美)委員  非営利であろうと。 ○吉村委員  非営利であろうと営利であろうと。 ○小林主査  やめるというのは前段の方にあります。ただ、罰則をどこにかけるかというのはまた 別途の問題だと思いますので、それは別に考えなければならないことだと思います。 ○田中委員  質問なんですけど、卵子を例えばシェアリングでもらって、提供者に体外受精します よね。そのときにドナーにお金払うのはいいんですけど、その病院が患者さんにシェア リングした卵で体外受精した部分の費用というのは請求できるんですか。 ○丸山委員  胚移植の場合ですね。 ○田中委員  胚移植をした場合には。 ○矢内原委員  移植料は取っていいんじゃないですか。 ○田中委員  そこで営利目的にはならないんですか。 ○矢内原委員  ならない。 ○田中委員  それはいいんですね。 ○石井(美)委員  その人の治療に対してお金をもらう。 ○田中委員  いいんですね。よく聞いておかないとね。 ○石井(美)委員  その点は気になったんですが、医療費について、先ほど病院が負担することになるの ではないかという話だけが問題になっていたんですけれども、提供者については無償、 無償と言っているんですけれども、無償で得たものを、今度は病院が必要としている患 者に渡すときに、法外なお金を取らないということを覚悟しなくちゃいけないですね。 それのところについて十分な説明があるだろうということが、そこは許可のところでき ちんと制限することになるのでしょうけど、その点はどこかにはっきり、それによって 施設が不当な利得を得ないということを確保するようなシステムにしなくてはいけない ということをどこかに入れておいてほしいなと思ったんですけど。 ○田中委員  できたら、そういうものを具体的に決めてもらった方がやりやすいですね。 ○石井(美)委員  幾らというのを。 ○中谷委員長  それを引き渡すのと治療するというのは別ですから、医療費は医療費で取れるわけで すからね。 ○田中委員  先生、慶應のAIDというのは患者さんから幾らもらうんですか。 ○吉村委員  全部で2万 2,000円ぐらいじゃないですか。 ○田中委員 安いですね。 ○吉村委員 再診料と抗生物質と手技料と入ってですね。 ○矢内原委員 AIDで、ちょっと安過ぎる。 ○吉村委員 治費料ですから、2万 2,000円ぐらいだから、物すごい安いんじゃないですか。 ○矢内原委員  すごい安いね。感染症のチェック全部しているわけですね。凍結しているわけでしょ う。 ○吉村委員 そうそう。 ○中谷委員長 それは安いですね。 ○矢内原委員 赤字ですよ。 ○田中委員 赤字ですよ、多分。 ○吉村委員 いや、赤字ですよ。 ○中谷委員長 健康保険は適用されないでしょう。 ○吉村委員 適用されません。今おっしゃったとおりです。 ○小林主査 しつこいようで申しわけありませんが、今の代理懐胎のところは対象は医師のような 人になって、この人が行った場合には、無償というか非営利でやった場合にも対象にな ると。この書き方ですと、例えばお金をもらって代理懐胎を私はやりますといった人や お金をあげて行わせた人は罰則の対象にならないんですけれど、それはそれでよろしい ということですね。 ○丸山委員 先ほど石井美智子委員がおっしゃった書き方にするんですね。 ○石井(美)委員 実施した者というのはそういう限定で。 ○小林主査 わかりました。 ○石井(美)委員 だれかがやらない限り、自分たちでやる以外はだれかが介在するから、そこを押さえ れば大丈夫だろうと。 ○中谷委員長 依頼した者は何もならないんですね。教唆とか何とかにはならないんですね。 ○石井(ト)委員 依頼した者をどうするかだったんですね、質問は。 ○小林主査 そうですね。お金をあげて依頼したとか、逆にお金をもらって行う人というものです ね。胚・卵子・精子は、そういう人まで範疇に入っているわけなんですけれども。 ○石井(美)委員 それには入れなくてもいいのではないか。 ○石井(ト)委員 入れなくてもいいわけですか。 ○吉村委員 例えば泥棒をした人がいたと。泥棒を指示した人は罰せられる。泥棒をした人は罰せ られない。 ○加藤委員 共謀共同正犯ですか。 ○中谷委員長 共謀共同正犯なら罰せられるから、それはしない……。 ○吉村委員 一応当たっているかどうかわからないですけれども。 ○矢内原委員 これは泥棒じゃないと思って、置いてあるものを持っていくのは罰せられないんです よ。これは泥棒行為だと思えば罰せられるんですよ。 ○吉村委員 例えば代理懐胎をする者は、医師がインフォームド・コンセントしてなかったと。や ってもいいんですよ、いいんですよと言っていたと。知らなければ、これはしようがな いですけど、お金をもらえるから代理懐胎するわけですよね。代理懐胎した者が罰せら れないというのも何かおかしな話ですね。 ○中谷委員長 おかしいですね。 ○高橋委員 どこかの段階で、これはできませんよと言えばよい。ドクターさえ行わなければ代理 懐胎はできないのですから、いいじゃないですか。 ○吉村委員 私はいいですけど、私はそれを罰せられると思うんですけれどもね。 ○矢内原委員 胚のドネーションが利用の仕方によっては代理懐胎になってしまうのか、ならない か。戸籍上ならないですね。 ○丸山委員 そちらは金を取らないと処罰されませんので、営利で。 ○矢内原委員  2番目の代理懐胎の実施・実施の斡旋。 ○吉村委員  実施の斡旋はいいでしょう。実施する者は医師側と本当に代理懐胎する女性がいるわ けですよね。女性は罰せられないということなんでしょう。 ○丸山委員  恐らく事件になると、契約は強制的に履行させられることはないということですから 100万円ももらえず、妊娠した子どもは……。 ○石井(美)委員 自分が親になって育てなくちゃいけないんですよ。それだけで十分なんです。 ○吉村委員 いいですけど、別に。 ○石井(ト)委員 ザル法になっていますけど、堕胎法というのはどうなってました。 ○石井(美)委員 自己堕胎もみんなあれは処罰の対象になる。 ○石井(ト)委員 依頼した方も処分の対象でしょう。 ○丸山委員 それは処罰されますね。 ○加藤委員 今、空文化されているやつ。 ○丸山委員 自己堕胎、1年以下の懲役とか。 ○中谷委員長  本人、医師は1年以下の懲役。 ○小林主査  今の話ですと代理懐胎については、あくまでもかかるのは医師で、非営利の場合も入 ると。 ○丸山委員  医師と斡旋者。 ○小林主査  依頼した側と、依頼を受けた側は入らない。 ○中谷委員長  臓器移植の売買の斡旋とは違うんですね。 ○石井(美)委員  罰せられるんですか、提供した人も。 ○丸山委員  臓器提供に対する対価を受けてもだめ。 ○中谷委員長  受けてもだめ。だから、それと平仄が合わないなと思いながら聞いていたんですけれ どもね。だから、お医者さんはよっぽど覚悟を決めなさいということですよね。司法的 責任を追及されるのはお医者さん(実施者)ですよということ。 ○吉村委員  それはおかしな話だ。 ○高橋委員  臓器移植と一緒にしていいですね。 ○丸山委員  クライアント側ですね。代理懐胎する人は罰せられないんですね、それでも。依頼し た方を処罰してもいいのではないかということですか。 ○石井(美)委員  依頼する人がいて初めて成り立つことは確か。 ○中谷委員長  でも代理懐胎した人も高額な金銭をもらえるから代理懐胎するわけですから、そうい う意味では依頼者と同じですよね。 ○丸山委員  もらえるからやって、処罰されるのはかわいそうだというのはありませんか。 ○吉村委員  代理懐胎禁止しているんでしょう。禁止しているのだったら、すべてが罰則であって もいいですよ。 ○丸山委員  禁止していることを知らないかもしれないでしょう。 ○矢内原委員  そこなんですよ。ドクターはわかるけど、一般の人はわからない人いるのではないか と思う。 ○高橋委員  カウンセリングを行っているのですから、そのときによく教えておけば。 ○矢内原委員  代理懐胎のカウンセリングはしませんよ、先生。 ○吉村委員  いや、やっぱりするでしょう。 ○中谷委員長  やらなくてはいけない。 ○吉村委員  やっぱりやらなくては、先生。 ○矢内原委員  それはだめですよってカウンセリングするの。 ○吉村委員  やっぱりカウンセリングは大切ですよね。 ○石井(ト)委員  カウンセリングの中に法的なものと倫理的なものを含め、様々なリスクを含めること が当然重要です。 ○丸山委員  これも依頼者が相手ですね。 ○矢内原委員  それは医療施設がやるわけだから、「だめですよ」と言えば、それで済むでしょう。 私は罰せられますか。 ○石井(美)委員  罰せられますけど、やりますかという関係ですよ。 ○田中委員  そういうことを議論しちゃうと、どのくらいの罰ですとか。 ○矢内原委員  私が代わって払ってあげますなんていうか。 ○田中委員  「どのくらいの罰ですか」って聞きますね。そのくらいだったら、あえてやりましょ うかって、医者はいないでしょうね。 ○石井(ト)委員  そこはいないですよ。罪悪感ずっと残りますから。 ○吉村委員  医師だけでいいかな。 ○加藤委員  自己行為者は罰せられないけど、斡旋者は罰せられるという例は売春の場合あります ね。 ○中谷委員長  あります。 ○吉村委員  そうですか。 ○田中委員  そうなんですか。 ○加藤委員  売春も街路へ立って客をとると罰せられますけれども、売春という行為それ自体は罰 せられてない。違法とは書いてありますね。違法だけど科罰性はないんでしょうね。 ○中谷委員長  売春防止法。 ○吉村委員  そうすると医師と斡旋業者だけでもいいんですね。 ○加藤委員  本当はおかしいと思いますけれども、何かある行為があって、これは悪いから、それ を防止するために何かするなよと。この場合には斡旋という行為は悪いんだけど、その 行為それ自体は悪くないという変な話なんで、売春の場合もそうなんですね。 ○中谷委員長  そういうのを罰すると、結局みんな暗数として出てきますので、そういうものは捕ま らないというんですよ。だからかえってまずいんだと。 ○辰巳委員  根津先生なんかは、僕、罰則受けてもいいからやってあげるよと言われるかもしれま せんね。 ○矢内原委員  自分の信念で。 ○吉村委員  刑罰きてもいいから。 ○辰巳委員  聞くも語るも涙のことばかりだから、僕が全部罰則を引き受けてあなた方のためにや ってあげますよと言われるかもしれない。 ○田中委員  具体的にどの程度の罰則なんですかね。 ○小林主査  そこは刑罰の均衡を考えてだと思いますけれども。 ○加藤委員  罰金じゃないですか、とりあえず。 ○高橋委員  この前の話では何段階かに分け、違反の程度や回数によって、単なる斡旋だったら警 告か勧告か、あるいは免許の取り上げの警告をするとか。悪質であれば、免許を取り上 げる。ある程度段階的に分けて考えていくというような話でなかったでしょうかね。マ ッカーシーさんがおっしゃった意見は大体そうでしたね。 ○辰巳委員  医者だけで実効性を保てますかね。 ○吉村委員  まあ難しいでしょうね。斡旋が実際にもうあるわけですから。斡旋業者は結構いると 思いますよね。 ○田中委員  精子はインターネットに出ていますね。はっきりと、ドナーの顔まで出ますね。すご くいっぱいいますね。 ○吉村委員  きょうはここまでですか。 ○石井(美)委員  みんな疲れた顔をして、思考能力が低下しているからって。 ○吉村委員  今度は「規制方法」ぐらいからですか。親子関係、出自は終わった。 ○中谷委員長  この次で終わりますかね。 ○吉村委員  見えてきましたね。 ○母子保健課長  先生方、これからまた小林宛にご意見、修文でも内容でもどんどんいただいて、ファ ックスのやりとりなり何なりを含めて進めたいと思いますので、その点もよろしくお願 いしたいと思います。  中谷先生、そういうことで、私どもの方は。 ○中谷委員長  どうもきょうは大変長時間にわたってありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 椎葉(内線:7933) 小林(内線:7940)