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第2回管理栄養士・栄養士養成施設カリキュラム等に関する検討会議事要旨

1 日時  平成12年11月16日(木)10:30~12:30

2 場所  厚生省共用第18会議室

3 出席者(敬称略)

足達、五十嵐、小林、鈴木、高橋、田中、中村、八倉巻、山崎、山本、渡辺
(厚生省)髙倉生活習慣病対策室長、古畑栄養指導官他

4 議題

(1)管理栄養士・栄養士養成施設カリキュラム等の検討について
(2)その他

5 議事要旨

 事務局より資料の説明が行われた後、各委員より意見が表明された。概要は、次のとおり。

(1)カリキュラム改正の基本的考え方、教育内容、目標

<専門基礎分野について>

○科目の大綱化を行ったとき、その内容としての○○学等の科目はすべて教えるものとするが、各科目への時間の割り振りは養成施設が自由に設定するなど柔軟性を持たせるべき。

○専門基礎分野に「生体の構造と機能」「疾病の成り立ちと予防」とあるが、「予防」は、「社会・環境と健康」に入るのではないか。

○解剖生理学、病理学などの担当教員が、栄養士養成課程でどの程度学ばせたらよいか位置づけがなされていないように見受けられる。

○薬理学は、「食べ物と健康」に組み込んでもいいのではないか。

○医学部におけるearly exposure的発想が管理栄養士のカリキュラムにおいても必要である。「社会・環境と健康」をinitiationとして1番上にもってきてはどうか。

○「社会・環境と健康」については、国民衛生全般を理解できるぐらいの能力を養うという意義があるのでは。食文化、食嗜好などを理解できなければ、栄養指導も単に指導者個人の価値観を押しつけるだけになる。

○格好のいい科目名が並んでいるが、教えることのできる人はいるのか。

○教員が足りないから確保できる範囲でカリキュラムを組むというのではなく、管理栄養士として何を学ぶべきかと言う視点で検討すべき。 「社会・環境と健康」の内容については画期的だと思った。医学の公衆衛生学分野においても最近では行動科学が含まれている。

○心の問題も必要。行動科学・人間関係学・臨床心理学等の分野を加えるべき。

○心理学や臨床行動心理学は人を理解する基礎として重要。カウンセリング論となると単なる技術論になる恐れがある。

<科目名とその内容について>

○科目名における「学」「論」の見直しを図る必要があるのではないか。

○語尾の問題だけではなく、教科名についても見直しが必要である。例えば、「薬理学」というより、むしろ管理栄養士として必要な「薬のしくみ」等名称にかえる必要があるのではないか。

○教育内容の中味として○○学という言葉を並べると、栄養と無関係に○○学の内容を教えがちになる。これを避けるために、栄養との関わりの中でもっと具体的に記述すべきではないか。

<「臨床栄養学」について>

○「臨床栄養学」は、医師に任せると病気の話ばかりになる。「臨床栄養学」の前段の「各種疾患の成因、症状(→病態)、診断、治療等」はここから切り離して、「臨床医学」の入門として、基礎専門分野に位置づけてはどうか。

○「臨床栄養学」は「臨床医学」と「食事療養」から構成されているので、「臨床医学」は基礎専門分野に入れるべき。

○解剖生理など細かい部分を教える前に、「臨床医学入門」を行い、疾病と栄養の関連など全体像を最初に学ばせることが大切。

<栄養指導論について>

○栄養指導という用語は古くなっているのではないか。

○栄養士法では、栄養士の行う業務は全て「栄養指導」。栄養改善法でも使われており「栄養指導」の科目名は残すべき。

○基礎と応用を統合できる能力を身につけるのが栄養指導の分野である。従来の栄養指導は広い意味での栄養士活動であって、これからは健康人も含めた栄養管理や栄養教育が必要。質的な内容も検討すべきである。

<給食管理の単位数を増やすことについて>

○今回の法改正においては、「傷病者に対する栄養指導」を明確化している。現在、臨床の場において、実戦力となるまでに短大卒業者で5年、4年生大学卒業者で2年かかる。さらに、管理栄養士の場合、1病院に1名程度の配置なので、現場における指導者がいない。また、管理栄養士と栄養士の業務分担を明確化するために、カリキュラムに差を付ける必要がある中、なぜ「給食管理」の単位を増やす必要があるのか。

○「給食管理」とは、単なる集団給食施設の給食づくりととられているが、本来は人的・衛生的・経済的管理を含めたトータルマネージメントのことであり、そこが管理栄養士としての業務と考える。就職先としてもこの分野が大きく、今後高齢者等施設において、給食システムのマネージメントが重要となる。なお、重要な分野ということで、単位を増やすかどうかは別と考える。

<総単位数、各分野の単位数について>

○80単位という単位数は多いのではないか。

○規定する単位数は少ない方がよい。専門基礎分野は、3つ、各々10単位づつでもよいのではないか。

○今回の法改正を踏まえると、単位数を増やすことは、前向きな姿勢を示しており良いと思う。

2.校外実習の充実強化について

<単位数について>

○校外実習の単位数は5単位ではなく4単位以上として、ゆとりをもたす必要があるのではないか。

○臨床栄養学の2単位以上ははずして、単位数の振り分けはしない方が良いのではないか。

<施設について>

○公衆栄養学は市町村保健センター、健康増進センターでも可能ではないか。

<担当する教員、受け入れ施設の担当者の業務としての位置づけ>

○校外実習を担当する教員は、事前の準備や事後のフォローなど目に見えないところで大変苦労しており、そのことが評価されるようにすることも大切である。

○公衆栄養学の実習生を受け入れる行政サイドに仕事としての認識が低いのではないか。行政サイドの業務としての位置づけを明確にする方法はないのだろうか。

<施設認定について>

○校外実習の単位数の増加は受入側の施設準備が重要である。受入施設に付加価値を付けるという意味でも施設を認定することは良い制度と思う。さらに、受入施設の管理栄養士にも実習指導者として認定して付加価値を付けられるような制度の整備が必要ではないか。

○実習施設の認定は、現場の栄養士のレベルアップのためにも必要。栄養士会の生涯学習からでも、まずはスタートさせることが大切。

○医学部では、すでに臨床教授といった肩書きを与えるということも行っている。

○学生の実習効果は施設の実習指導者によって強く影響を受けるので、施設の認定は必要である。

○栄養士としての就職率は30%と低く、必ずしも就職と結びついていない。また実習生の熱意も低く、受け入れ施設によっては迷惑と考えるところもある。こういったなかで、おそらく施設認定を受けてもメリットがないのではないか。公衆栄養の校外実習も、保健所の数が減ってきており、都道府県が実習を受け入れてくれない現状もある。

3.教員の要件について

○公衆栄養学の担当は、疫学を教える能力があれば医師でも良いのではないか。

○「管理栄養士」とあるが、他職種においても栄養に関する業務の十分な経験を有している者がいるので、「管理栄養士と同等」という記述も必要ではないか。

○専門基礎分野で「臨床医学」を行うのであれば、「3名以上」に「うち、少なくとも1名は医師であること」を入れるべき。

4.設置すべき設備について

○臨床栄養学実習室は、「臨床栄養・栄養管理実習室」としてはどうか。栄養管理のための身体計測等を行うための実習室であって、調理を行う実習室ではないことをきちんと表現すべきである。

○基礎分野の実験室について1つにくくることはできないか。

○情報処理などの学内のどこかにあるものを活用する形でもよいものと、養成施設として規定しなければいけないものは分けて考えるべき。

6 次回の日程

平成12年12月1日(金)15:30~17:30


問い合わせ先 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課生活習慣病対策室
担当 古畑(内2343)、河野(内2344)
電話 [現在ご利用いただけません](代)

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