審議会議事録 HOME

第6回「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)」
検討委員会議事要旨


1.日時 平成12年11月16日(木)14:00-19:00
2.場所 中央合同庁舎第5号館(26階)共用第9会議室
3.出席者
委員(敬称略 50音順)
垣添委員長、雨宮、位田、上田、宇津木、小幡、金澤、具嶋、黒木、地神、清野、福嶋、町野、丸山、南、山口
(欠席) 櫻井、高芝、笹月
オブザーバー
作業委員会 (塚田、二見、吉田)
厚生省 堺審議官、本間、中垣、野口、(福原、岡田)
文部省 黒崎(大城)
通商産業省 福島、(山本)
科学技術庁 郡、(小郷)
農林水産省 (小林)
*括弧内のオブザーバーは、討議に参加せず。

4.議題

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(原案)」について

5. 配付資料

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(原案)」

参考資料

1.比較表(第5回検討委員会提出「(素案)」、各委員の御意見、第6回検討委員会提出「(原案)」との比較)

2.第5回検討委員会提出「(素案)」に対する通商産業省化学品審議会個人遺伝情報保護部会からの意見

3.各省庁審議会の開催日程

4.検討委員会に対する先天性四肢障害児父母の会からの意見書

6. 議事内容

事務局

本日の配布資料は、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する共通指針(原案)案と書いた資料及び参考資料としまして、比較表、通産省の化学品審議会からの意見、各省庁審議会の今後の日程、先天性四肢障害児父母の会からの意見書の4つです。
委員長
今説明があったように、13日に開かれた厚生省先端技術評価部会からの意見、通産省の審議会からの意見、市民団体としての先天性四肢障害児父母の会からの意見を事務局のほうから紹介いただいた。こういうことが前回の議論以降あったということで、必要な部分は取り入れて最終案にまとめていくということになるかと思う。
・ この審議会等々のご意見というのは、作業委員会のメンバーには、多分時間的な関係があってまだ流されていないと思う。今事務局のほうで修文をされたというが、ただ、そう簡単にいかない問題が多々含まれているように思う。今後の問題として、各審議会がこれから何度か繰り返されて、そこで意見が出てくる。大きな問題が出てきた場合は、事務局としてどのように処理をしていくことになるのか。
事務局
本日、通産省の審議会並びに厚生省の審議会での議論を紹介したのは、この検討会でまとめた報告というのは、各省庁の審議会に報告され、そこでのディスカッションがされていくわけである。したがって、予想される問題、各省庁の審議会でのご意見をあらかじめ踏まえた形での議論を願ったほうがスムーズにいくのではなかろうかというような趣旨で、報告したところである。最終的な決定というのは各省庁の審議会でなされるわけで、今後、今回検討会の報告をもとに、各省庁の審議会でディスカッションがされ、さらにパブリック・コメントがされ、パブリック・コメントの意見も参考に、最終的に各省庁の審議会で議論されると考えるが、この検討会では、当初の案を、その審議会に出す案を議論願うわけで、各省庁の審議会で手が入るということになった際には、委員長とも相談をして、必要に応じてまた集まり願うとか、あるいは文書で報告するという形で対応を続けていきたいと考えている。
・ 今日は16日だが、この参考資料3の開催日程についてを見ると、説明のあった通産省のものは13日、厚生省のものも13日と。この2つの部会の意見は一応取り入れて原案をつくられているという、そういう趣旨だと思うが、今日ここで議論をしたその結果は、もう一度各省庁の、文部省、科学技術庁、通産省、厚生省それぞれ11月16日の後に出てくるので、その結果、各審議会での議論の結果は、どうまとめるのだろうか。つまり、今後の審議の日程として、この検討委員会が一体どこまで関与するのかというのがよくわからない。同時に、作業委員会もまだ動いていると思うので、作業委員会の議論がどこまで、どういう形で取り入れられるのか、日程、作業の流れというのがよく見えないので、そこを説明願いたい。
事務局
この検討会の第1回目の会合だった思うが、この検討会は、各省庁の審議会に提出するための案をまとめるということで、その趣旨を踏まえて、この検討会の名称も、ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)検討委員会と、異例ではあるが、そこに(案)をつけているというのはまさしくその趣旨であり、その点から言うと、案が作成された段階で、一応この検討会としては終わりということになろうかと思う。ただ、先ほど説明したのは、各省庁の審議会に対し、せっかく案をまとめたのだから、任務が終りということではなく、大きな点に変更があれば、それは委員長とも相談をして、(案)の検討会という名称のままになると思うが集まり願い、一定の意見を伺いたいというふうに考える次第である。また、作業委員会については、作業委員会自体がこの(案)の検討会の作業を促進するために、できるだけ広く意見を聞くための形で設けられので、作業委員会の意見も含めて、今回事務局で修文し提出するが、この案を決定するのはあくまでこの委員会であって、この委員会でのディスカッションというのが最終的なものとなると考えている。また、今後各省庁の審議会での審議、あるいはパブリック・コメントということになるが、メーリングリスト自体は引き続き開けたままにしておき、いろんなディスカッションをされていくと考える。そのディスカッションというのは、言うなればパブリック・コメントで寄せられる意見と同じ位置づけで取り扱っていきたいと考えている。
・ そうすると、今日がこの検討委員会の最後、一区切りということだと理解するが、そうすると、検討委員会の案として出されるには、2日前に現原案が出てきて、多分今日だと思うが、当日になってから原案がメールで送られて来ている。どういうふうに、委員のほうでは検討する時間をいただいているのか。これほど短い時間で検討して、今日決めてしまえと言われるのは、委員会として非常に責任を持ちにくいと思うが。
委員長
ご指摘のとおりで、大体この検討会の設定自体が、最初は12月末までということで、それが今年度中ということに延びたが、これだけ大きな問題をこれだけ短期間に議論するということ自体がかなり無理があることを、最初のときに申し上げたか思う。その中で今ご指摘のようなことが起きているが、これは、今日もし一応の取りまとめができれば非常にありがたいが、これは行政側からの要請で、委員長としてはそのように考えているわけであり、これを強行せよとは考えていない。当然今日の議論を聞き、特に前回議論が外れて、全然されずに残ってしまった既採取試料の取り扱いとか、あるいは体細胞遺伝子解析をどうするかといったそういう問題、かなり大きな問題が残っているので、それからさらに、全体を通じてもう一度ながめてみたときにいろんな問題が起きてくるという、そのときに、場合によったら、これで取りまとめを強行するということはできないということが当然起こってくると思うので、それは状況で考えさせて頂きたい。

(試料等の取扱いについて)

事務局より資料についての説明が行われた。

・ 研究後から、指針後研究前、それから指針前、3種類ある。原則という考え方からすると、指針後で、かつ研究を開始するとき以降はこの指針に従うと、これはもうはっきりしている。指針後で研究前の試料については、それの例外であるというふうに理解をしている。さらに、その指針前に提供された試料については、さらにその例外が強まるというのか、例外の例外と言ったほうがいいのかもしれないが、そういう順番で考えるべきだと思う。
・ 確認ですが、あくまでも、既に提供されていた試料をどこかの研究で使うと。
・ そうです。
・ 既に提供されたという試料という観点から言うと、時期的には2つ、その指針の前、それからもう一つは指針後研究前、それでその同意の程度によってA、Bと分かれて、それでCが全くないと。ですから、トータル6種類という考え方です。
・ 結構です。それで、その各、6種類なら6種類をどういうふうに細則で規定するかということであるが、6種類完全にばらばらということではなくて、基本的にその時点で考えると、研究前から指針前、例えば時間的にこう上からいくと、つまり一番今の時点に近い、今の時点というか将来だが、研究を開始するということから考えると、研究開始前、これは指針ができてからという意味だが、それがまず一番上に来て、一番厳しいのはこの指針に従うことなので、研究計画がつくられてから以降の話、これはこの指針に完全に従うと。それから、研究が行われる前で、しかし指針はもう既につくられているという期間のもの、それから、その指針がつくられる以前のもの、大きく分ければこの3つぐらいで、それについてインフォームド・コンセントがどういうふうに与えられるべきかと、得られるべきかということが原則的な考え方だと思う。そのインフォームド・コンセントの中身が遺伝子解析研究に使う、もしくは医学研究に使う、何も与えられていないという、それぞれの2段階になると思うので、全体的には6種類であるということについてはそのとおりだと思う。例外の部分は、研究前については6種類だと思いますが、その場合には、やはりそのインフォームド・コンセントの程度ということで、そのインフォームド・コンセントが要るか要らないかというのが指針の、厳しいインフォームド・コンセントが要るというのが指針の中身だろうと思う。そういうことから考えると、確実にインフォームド・コンセントを取り入れなさいというのが指針後、研究後の話だろうと思う。それからすると、ここに挙げられているように、A群の細則、B群の細則、C群の細則という形で並んでいるが、本来はA群で書かれているように、本指針施行後に提供されたA群試料の利用に関する細則、それからB群についても、やはり本指針施行後に提供されたB群試料の利用に関する細則というのが本来上に来て、それでここに書かれているような要件が挙げられて、ただし、指針前のものについてはその要件が若干緩和されると、そういう形で本来並ぶべきものだろうと思う。同じことはC群についても言えると思うので、本指針施行後に提供されたC群試料の利用に関する細則というのが前に来て、それから、その後で、にもかかわらず指針前のものについてはその程度が若干緩和されると、こういうふうに並ぶべきものではないかと思った。その上で、その指針施行後の試料の利用に関する細則の中で、例えばA群試料について、他のヒトゲノム・遺伝子解析研究の利用に関し、研究目的や匿名化等の方法と。また、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の意義といったものも、やはり説明をしておく必要があるのではないか。同じことがB群の試料についても言えると思う。それから、B群試料について、本指針施行後に提供されたものに関しては、やはり、この指針があるということを本来認識して試料を集めるのだろうと思うので、そのヒトゲノム・解析研究を使うかもしれないということを説明いただくことが必要だろう、そういう説明をしなくて、しかし医学的研究に用いるということであれば、最終的には、何らかの形で同意の撤回という道を細則の中に、まずその可能性を書いておくべきではないかと。A群のほうは、遺伝子解析研究に使うことは言っているので、その遺伝子解析研究に使うということの中身を詳しく、ここに書かれているものにプラスアルファ、遺伝子解析研究の意義というものを加えていただければそれでいいのではないかとは思うが。
・ もしからしたら誤解しているといけないので念のために申し上げますと、指針が策定された後出てくる、指針が策定後に研究計画をつくった時点では、それはもう既提供試料は使うかもしれないけれども、それ以降使うものというのは、その研究計画の中でこの討議がなされていますから、そこには既提供試料が出てくる要素はない。
・ それはA群?
・ A群も含めて、B群もあり得ると思うのだが。それで、その後で出てくるとすれば、あくまでも2次利用の同意が問題になってくると思うので、その後の試料に関しては2次利用の形で出てくる。それは結局、指針後の研究前と、次の研究にとってはそうなるので、群分けとしては、さっきの6でいいと思う。その上で、その書き方が逆ではないかという点に関しては、将来的には多分そうなると思うのだが、現時点でどの程度の数の試料があるかというと、現時点では圧倒的に指針前の試料が多いので、当然そこから読んでいただくべきだと思ってこういう書き方になっている。ただ、これは将来の見直しの段階で、指針が普及した時点でさきほどのような形になることは全く問題がないと思うが。
 同意の撤回等に関しては、そのとおりという気がしている。
・ 研究実施後に取得される試料のことも念頭に置かれていると思うが、それは本則の対象ですね。
・ 実施後のは念頭には置いていない。
・ それと同意について触れましたが、ここのルールというのは、11の(4)にあるが、本則は記載どおり、再同意の際には、ゲノム研究の意義など説明事項を尽くさないといけないが、再同意が得られない場合にどうすれば研究に利用できるかというところに焦点が定められているので、再同意の場合の規定についてから書くというのは、かなり煩雑になるのではと思うのだが。逆に言うと、再同意が得られる場合、あるいは研究者の側から再同意をする場合というのは、その点については本則に戻ってルールを適用すれば、インフォームド・コンセントの要件を満たすルールを適用すればよいということになるのかと思う。それができない場合に、すべて研究に試料を使うこと、既存の試料を使うことを認めないかと、そうではなくて、一定の要件が満たされる場合には研究利用を認める。その条件が、Aの場合でしたらあまり問題ないのだが、B、研究利用についてだけ同意が得られている場合、あるいはC、その研究利用についてさらに同意が得られていない場合、どういう要件が満たされれば再同意なくして利用できるか。特にその問題のあるのは、指針実施後に同意要件が尽くされていない場合なので、その点やや厳しく要件が定められているという構造だろうと思う。
・ 細則に書かれていることは同意が得られない場合にどうするかということなので、まず再同意を得るというのが本則であるというのはそのとおりだと思う。その指針策定後、研究前、もしく指針策定前のものについて、その取り扱いを問題にしているのは、同意がとられていない、再同意が与えられていないものについての細則なので、その書き方が、やはり基準は指針施行という時点に置くべきだろうと思う。そういう意味で指針施行後にとられるものであれば、それはその研究前であっても、やはり基準を厳しくするべきものではないか。それ以前のものは、もともとこの指針もない時期にとらえるわけなので、それについては若干その基準は緩やかになっても仕方がないだろうと。指針策定後、しかも研究が始まってから以降、それからその前の指針が施行後、研究前の段階、そしてそのもう一つ前という形で並べるのが、本則、例外、そのもう一つ例外といいますか、緩和された条件という形で並べるのが本来ではないかなと思う。
委員長
これは論理的に考えれば言われるとおりかもしれないが、多分それをきっちり書くと、読んだ方には何のことかさっぱりわからないという事態が生ずるのではないかという心配が多分にある。つまり、研究者はこれを、共通指針が出たということで、例えば既にとった試料をどう扱うかということがどう書かれているという観点で見ると思う。こういうことに関心のある一般の方々は、そういう同意のはっきりしない、あるいは既にとられたサンプルがどんなふうに研究に使われるのかという観点で見るときに、今の、確かに網羅されているが、そういうふうに書かれると、よくわからないということになるのではないかと思う。
・ これは何のためにつくっているかと考えれば、わかりやすくしていただかないとどうにもならない。前のもので一見よさそうに見えるものでも、例えば当方の研究者に見せたら、全くわからない。今度のはもっと難しくなりますから、とても無理です。したがって、大事なことではあるが、例えば表にするとか、あるいは何か視覚にうったえてとか、時系列をつくって、そうでもしない限りわかりらない。
・ ここの部分は、2次利用の問題はわかりにくくなっていて、11の(1)と(4)が、関係が、本当に、普通に読んでいる人にはわかりにくくなっているんじゃないかと。つまり、(1)はある意味では現実的本則を言っているわけだが、倫理審査委員会の承認を得ればできると。(4)の場合は、B群、C群については、原則として新たに同意を得ない限り利用してはならないと、こう書いてある。だから、ある意味では相反することが同じ11の中に書いてあると、普通に読むとそうとしか思えない。図で書くとかすればわかると思う。本則がどこにあるのか、論理的には別個のことが同じところに書いてあるという。確かに難しいが、何とか工夫はできないかと思う。
・ 1をなぜあえて書いてあるかという点だが、少なくとも外国の一部の指針には、この提供試料実施前というのをそもそもこういうものの対象にしないと書き込んである。だから、そういうものを意識して、ただ、今回の指針はかなり厳しくそこも規定するということを明確にする目的で書いた面があるが、確かに後ろから読み直してみると、おっしゃる点、あると思うので、そのあたりはまた事務局を中心に修文されるかと思う。
・ 11(1)の倫理委員会の承認を得た上で、研究機関の長が決定するという、その倫理委員会の承認を与えるかどうかの基準が(3)、(4)である。A試料については(3)の基準、B、C試料については(4)の基準を適用して、倫理審査委員会が承認を与え、それに基づいて機関の長が許可をするという仕組みなので、それなりに構造がなっているが、わかりにくいことは否めないかと思う。
・ 総括ですから、明確に(1)が本則ということ。ここでは同意の有無だけでなくて、(4)は再同意を得なければ利用できない原則と書いてある。ところが本則である(1)というのは、それは同意がなくてもできると、そう読むしかない。同意の有無、または提供された時期を踏まえ、承認を得た上で決定すると。だから、そこの部分はどうしてもそこがあるので。あるいは(4)の文章をいじるということでも構わないかもしれない、(1)の本則ということを強調したいのであれば。いずれにしても、文章上、お考えいただければと思う。
・ 確かに本則がわかりにくくなっているので、基本原則に立ち返ると、基本原則の第9の1で、既に提供されている試料で、提供されたときに同意が与えられていなかったものは新たに同意を得た場合に限り使用することができる。それから2のところで、既に提供されている試料で、提供されたときに同意が与えられていたものはその同意の範囲内に限り使用することができる。これが本則だと思う。できれば、これを頭に入れて、同意が与えられていなかったもの、もしくは同意が与えられているけれども、具体的にこの研究に使いますよというふうには必ずしも言われていないものについては、現在の(1)の例外というか、それが当てはまる、そういうことではないかと思っている。その一番前の部分が抜けているのかもしれない。
・ 前にも申し上げたが、基本原則のこの部分は、先ほどの時期の関係を無視しているので、採用できない。何らかの修正は絶対に必要だと思うので。
事務局
事務的な補足だが、前回の素案では、(1)に当たるところに、以下に定めるところに従ってという部分があり、(2)以下のところとの関係ははっきりしていたと思う。今回はおっしゃるとおり、なくなってしまっているので、それがわかりにくいところと思う。あるいは表にしてわかりやすくすべきというのは、例えばその辺の関係を参考資料として明示をするとか、そういういろいろ事務的な工夫はあり得ると思う。
委員長
この原案の今の14に関しては、要するに一言で言うとわかりにくいということだと。指針施行の時期と採取されていた試料の同意の中身によって取り扱いがどういうふうになるかというところをもう少しわかりよく修文していただくということで取りまとめてよいか。本来は同意をとらなくてはいけないけれども、例外としてどういうような細則があるかというのが一読してわかるような形にしていただければありがたい。

(用語の定義について (1)〜(8))

事務局より資料についての説明が行われた。

委員長

16ページから17ページは、結局、共通指針の対象として体細胞遺伝子解析研究を含めるか、含めないかということで、両論併記の形になっている。特に研究の現場の先生方からのご発言も含めて、ご意見を求めたい。
・ 最初に、生殖細胞系列ゲノム・遺伝子解析とか体細胞系列ゲノム・遺伝子解析研究というものの定義が非常にわかりにくいということがあったと思う。それで、16ページ、17ページの両方に注として生殖細胞系列ゲノム・遺伝子解析研究と体細胞についての定義が書いてある。それをまずはっきりと書かないと。例えばこれが実施されるときには、倫理審査委員会に任せられるわけで、その倫理審査委員会の中で理解しやすい言葉でないといけない。生殖細胞系列ゲノムで誤解を受けると困ると思ったのは、例えば卵巣とか精巣の細胞を直接調べるのが生殖細胞系列と、言葉だけからとるとそういうふうになってしまう。生殖細胞の遺伝子というものは常に体細胞、正常細胞に受け継がれているわけですから、末梢血液とか、あるいはほかの細胞を調べるのが結局、生殖細胞のゲノムを調べることになるのであって、それは遺伝されるべき遺伝情報であるということをはっきりさせる。そのときに生殖細胞系列で調べるのが体細胞であるので、複雑になるが、この場合、ここでいっている体細胞ゲノム・遺伝子解析研究というのは、生殖細胞から受け取った遺伝子の上にさらにその体細胞において、病変部において加わったゲノム、遺伝子の解析に変異について解析するということになると思う。したがって、この研究というのは、主としてがん研究において非常に重要な対象になっていることであり、そこでがん細胞に見られる遺伝子変異、あるいはゲノムの変異というものは、次の世代には遺伝されないものである。従って、ゲノム・遺伝子解析研究の中では、遺伝され得る研究と遺伝されない研究があるということを明確にして、その上で体細胞というものをどう扱うかということを考えるのが正しいと思う。ここに案−1と2で体細胞を含める場合と含めない場合の2つが併記されているが、随分迷っている。がん研究というのは、ほとんど体細胞の変異を見ているわけだが、非常に多くの場合、同時に正常細胞を対象としてとっている。したがって、正常細胞を見れば、それは生殖細胞からのゲノムの遺伝子の配列を見ていることになるので、当然、遺伝し得る変異を見るということにる。実際、例えば大腸がんの中である変異が正常細胞に見つかれば、それは遺伝性の大腸がんであるということがわかってしまう。したがって、もし体細胞を含めないとしても、正常細胞、生殖細胞系列に触れないときだけをここに書くべきだと考えて、そういうふうにこの16ページの原案では書いてある。さらにもう一つ問題なのは、体細胞だけを例外として扱うことは非常に難しいのではないか。そうすると体細胞のゲノム・遺伝子解析に関するもう一つの指針をつくらなければならないのではという話があった。そうすると、生殖細胞系列と体細胞系列という2つの指針ができるということは、現場を非常に混乱させてしまうので、これは避けたほうかいいだろうと。それだったら、生殖細胞系列案−2の体細胞を含めてしまったほうがいいかとも考た。ただもう一つそこで考えるのは、その体細胞の遺伝子変異というのは、ヒト材料をどうやって扱うかという非常に一般的な原則を決める中でも含めることができるのではないか。遺伝発現は入っていないが、それもやはり免疫染色とかいろいろなことを考えると、ヒトの材料をどうやって使うかということに入ってくると思う。ヒトの材料を使うという非常に難しい指針となると思うが、その中に体細胞の変異を含めるという形で、ここでは案−1をとった方ががん研究の進展には非常によいというふうに考えている。ただ、ヒト組織をどうやって扱うかということを言うまでに、何にも規定がないのは困るので、それはヘルシンキ規定に従う。つまり、その中では最初からインフォームド・コンセントとか倫理審査委員会の審査に従うということは当然の理として書いてあるので、それがあるということを明記するという形で案−1を何とかとれないかなというふうに考えている。
・ 生殖細胞系列というのがジャムセルとジャムラインという2つの言葉が非常に混乱しており、普通、ジャムセルのことを生殖、睾丸とか卵巣ということをイメージされるのだが、これは受精卵由来の遺伝子構成ということなので、その個体の持つすべての細胞に共通の遺伝子構成を研究するというのが生殖細胞系列の研究ということになる。すべての細胞だから、睾丸の細胞、卵巣の細胞もそういう遺伝子構成を有する。だから、次の世代にも伝え得るということに引き続きなってくるわけだが。非常にわかりにくいので、次の世代に伝え得るという、そこだけが強調されるので、すべての細胞に共通の遺伝子構成を研究する研究が生殖細胞系列の研究という様に、その様に定義を変えていただくとわかりやすいのでは思う。それで体細胞の遺伝子研究を含めるか含めないかということは、これはやはり目的によって決まるのだろうと思う。通常のヒトゲノム解析研究、遺伝子研究というのは、その個体を構成する細胞すべてに共通する遺伝子変異を研究しようという研究である。主にがんの研究というのは、がん細胞の遺伝子変化を研究するのが目的であって、たまたま何千分の1、何万分の1、生殖細胞系列の変化が見つかってくるということがあるかもしれないが、そういう可能性は非常に低い。従来の研究においても、こういう遺伝情報というものがたまたまわかってしまうということは、遺伝子を扱わなくても起きるわけである。それと同じように扱っていけばいいのではないか。ヒト組織を使った研究の指針をつくる、それに従う。それまではヘルシンキ宣言に従うというのは非常に妥当なご意見だろうと思う。
・ 少し立場が違うのだが、これは主にがん組織のことになると思うが、明確に正常細胞とがん細胞から来るものがはっきりと分けられるかどうかが問題にならないかということが1つ。もう一つは、確かに子孫には伝わらないということはわかるが、個人にとっては非常にシリアスな情報にもなり得るということを考えると、2案の方、体細胞を含めるという立場をとりたい。
委員長
この指針の対象として、体細胞解析研究も含めるべきであるということ?
・ それと関連して、発現研究に関して、Aという遺伝子がX、Y、Zという遺伝子の発現を規定しているとすると、Aという遺伝子の変異によって、例えば仮にX、Y、Zの遺伝子がほとんどなくなるという場合であれば、例えばX、Y、Zの遺伝子の発現を見ることによって、Aの変異をほとんど確定できることもあり得ると思う。その場合に、例えば仮にマイクアレーとかマイクロチップを用いて、一挙に遺伝子発現のパターンを見ることによって、変異を確定できるという可能性についてこの指針では考えられていないのかどうか伺いたい。
・ 基本的に発現は外すという形なので、マイクロアレーでもいろいろな種類があるが、発現を中心というのは一応、外れると思う。X、Y、Zの発現を見れば、Aの遺伝子の変異が予測され得ると思う。現状は常に、本当に変異があるかということを決定するためにシーケンスにいくと思うので、その時点でこの指針の対象になるという考えだ。
・ 今、発現の話だが、それはたんぱくを調べても、遺伝病はわかる。それについて全く今、何もない状態で、それと同じように考えられるのではないかと思う。遺伝子の発現を見たから、即、遺伝病がわかるとか、そういうことではないと思う。だから、やろうという研究は生殖細胞系列の変化を明らかにしようという、その目的で行われるのかどうか、その目的で行われるのであれば、この指針に従ってくださいという目的で決めるというのが一番わかりやすいのではないかと思う。たまたま付随してわかるものを、わかってきた情報をどう扱うかということまで含めると、これは大変なことになってしまうと思う。
委員長
もう一度、この体細胞系列の解析研究をこれの対象に含めるか否かという議論に戻って、もう少し議論をと思う。
・ 後々、組織に関するものを何か指針のようなものをということについては、診断などについてはどうせやっていただかざるを得ないので、そういう中で含めると、可能ではないかと思う。いずれにしても、今回に関しては別で構わないと思う。ただし、1つだけお願いがあり、やはりジャムラインということは理解しにくい。それから体細胞という言葉が出て、実際はがんのようだ。遺伝しないものという、そういう概念自身が一般の方々に理解していただくには非常に難しいと思う。だから、別の名前を考えてもいいと思う。例えば受精卵由来とか。問題は体細胞の方である。とにかくこの言葉は2つとも適切ではないと思う。
・ この指針がゲノム解析に関しての指針であるということをはっきりさせる必要がある。例えば15ページの14の(1)に試料等というのがあるが、ここの文章だけを読むと、研究全般のガイドというふうにとらえかねない。だから、冒頭の研究に用いる血液云々の研究というところに、ゲノム解析とかを載せておかないといけないと思う。
・ もし体細胞を含めないということなら、体細胞に関する遺伝子解析研究は一体何にのっとってやるのかということがはっきりしない。ヘルシンキ宣言にのっとってと言われても、この指針そのものは政府が作成するが、それ以外はある意味では政府が実施できない。ヘルシンキ宣言にリファーをして研究がなされると。生殖細胞系列についてはこの指針があるのに、それ以外については、国で定めるものが何もないというのは、やはりちょっとバランスが悪いのではないかと思う。科学の立場から見て可能であれば、体細胞に関するヒトゲノム・遺伝子解析研究についても、この指針の理念にのっとって行われるべきであるというのを一文入れることができれば、それで少しはカバーできるかなという気がする。本来なら、ヒトの試料の指針を一般的につくっておいて、その中の特別な例がこの指針であるという、本来ならそういう並びになると思うが、今はそれがないので、この理念にのっとって体細胞の場合にも行われるべきであると、そういうのを入れたらどうか思う。
・ 最初に診療に関する指針というものをこの中に含めて大きいものにすべきだというのを随分主張したのだが、それがだめになって、今、研究だけができているわけだから、やはりこれだけでは手落ちで、ゲノムの研究というのとそれから診断に関するものとヒト材料に関するものという、そういう3つぐらいのものがワンセットになってできないと、我が国の医療、あるいはこういうバイオサイエンスというものはちゃんと発達しないのではないかと思う。だから、ここで出てきた問題は、次の問題として引き継がれるべき問題だろうと思う。15ページの(1)を見ると、試料等というのは、ヒト材料をどうやって使うかということに書かれるべきものだと、非常に広い範囲にわたっているので、これは誤解を与えるもとだと思う。
・ この指針の前提とするものを考えると、インフォームド・コンセントにおいて血液を提供する際に説明されるべき内容として、危険のとらえ方、あるいは遺伝カウンセリングのあり方、あるいは研究結果について血縁者への開示の問題を考えていること等からいって、先ほど説明にありましたすべての細胞に共通して次の世代に遺伝するというものを念頭に置いて、このガイドライン、作成されてきたのではないかと思う。それをどこかに明確に打ち出すというのは、先ほどからご指摘されているところだが、前文の中でそれがあったように思うが。前文の第2パラグラフのところにヒトゲノム・遺伝子解析研究は、個人を対象とした研究に大きく依存し、また、研究の過程で得られた遺伝情報は試料等提供者やその血縁者の遺伝的素因を明らかにし、その取扱いによっては様々な倫理的、法的、社会的問題を招く可能性があると。ここの背景には、今、念頭に置かれている遺伝子解析研究はこういう特質を持つからこうなるのだということがあればわかりやすいと思う。生殖細胞系列に限定して、このガイドラインを考えるならば、特質をここに明らかにして、そういうものの問題点に十分目配りをして、このガイドラインをつくったということを説明すれば、その対象もおのずと明らかになると思う。
委員長
研究の現場に身を置かれる方からはこの共通指針の対象としては体細胞解析研究を含めない、つまり生殖細胞の解析研究を対象とすることで意見が大体一致しているのではと考える。そのように取りまとめると、もう一つの議論は、つまり今規定されていないこの指針の外に置かれた体細胞解析遺伝子研究の扱いをどうするかということをこの指針の中にどううたっておくかということが問題になるかと思うので、その部分をもう少し議論いただきたい。前文の中に盛り込むか、あるいは14の用語の定義の中に体細胞の解析に関してはというような一項を設けるのか、何かそのあたりになるのではないかという気がする。
・ 例えば理念、あるいはヘルシンキ宣言の趣旨でも結構ですけれども、インフォームド・コンセントを問うということと、倫理審査委員会を通すということと、個人の情報の秘密の厳守という、その3つを守るということをただ書くという程度ではだめであろうか。
委員長
それは指針の中にずっとうたわれているわけですね。今言われたことをどこに。
・ 体細胞に関しては外すけれども、そういうことは従うということを。
委員長
言ってみれば、全体に盛られていることをもう一度ここに再確認する、繰り返しになるということですね。
・ 前文と試料と、用語のところですか、両方を入れたほうがはっきりするのではないかと思う。前文のところでは、丸山委員が言われたように、この議論は次の世代にまで影響を及ぼすというような観点でのガイドラインと理解していたが、それをはっきりと前文で出す。それから、試料のところ、用語のところでは、体細胞遺伝子解析というものの定義をここではっきりしていて、それについての扱い方については、先ほどから議論があるような一般的なヘルシンキ宣言、そういったものを遵守してやるべきであるという、注意書きを記述する。要するに2つの視点で押さえておく必要がある。その理由は、このガイドラインが何のためにつくられているかということをはっきりさせるということで、非常に大事ではないかと思う。
委員長
次の世代に影響するような生殖細胞系列の解析研究を行う指針の対象とし、それ以外の、つまり、体細胞の研究に関してはヘルシンキ宣言その他、あるいはインフォームド・コンセント、倫理審査委員会、この中で繰り返し議論したことを踏まえて実施するということを前文、それから定義の両方に加えるということで取りまとめてよいだろうか。
・ 注のところで生殖細胞系列ゲノム・遺伝子解析研究と体細胞ゲノムを定義されているが、発現研究とたんぱく質の構造機能を解析する研究について定義されていない。体細胞解析研究と発現研究、ときどきごっちゃにしてしまう傾向があるので、できたら、あと2つについても簡単に説明いただくと、文化系の者もわかりやすいかと思うで、もし可能であればお願いしたい。
・ 体細胞、特にがんの研究を分けるというのは、わかりやすくていいと思うが、その場合、がんの研究でがんの遺伝子変異だけを見る研究だと、全部カバーされないので、いくらでもやっていいということになりかねないので、がんの研究といっても、それを扱う解析の研究、大部分は遺伝される正常な遺伝子であるし、それは当然、これに含まれる。それから個々の変異以外に変異をもたらす、不安定性をもらたす遺伝子の変化というのも遺伝されるわけで、そういう場合にはカバーされると、これで規定されるということを念のために入れておいたほうがわかりやすいのではないか。
事務局
生殖細胞系列で体細胞という言葉を変えるというのが一番の難問ではないかと考える。ここは何らかのご示唆をいただきたい。
・ 生殖細胞系列というのは、既にある言葉かどうかわからないが、受精卵の由来のゲノム・遺伝子解析研究などである。それともう一つのほうは、後天的ゲノム・遺伝子変異解析研究だと思う。内容的には。そういう言葉があるかどうかわからないが、少なくとも体細胞解析研究よりは良いと思う。
・ がん研究者では使われている言葉ですが、わかりにくいのは確かですので、英語から直訳する必要はないはず。もし必要だったら、括弧にジャムラインということを入れておいてもいいいが、体細胞の後天的ゲノム、何か矛盾する内容も入っているような気もする。
・ 後天的変異ですよ。
・ 後天的変異ですね。
・ あるいはゲノム・遺伝子後天的変異でもいい。
・ 後天的変異だったら、まあまあいいと思うけれども。
委員長
この場で言葉まで決めるのはなかなか難しいと思うので、一応、後ろに生殖細胞、体細胞、ゲノム解析、括弧をつけるとして、その前の言葉をもう少し、特に一般の方にわかりやすくということで、事務局にご協力いただければと思う。この言葉を少しでもわかりよくし、かつ定義もすっきりさせる。それからこの指針の対象としては、体細胞を含めないという整理にさせていただきたいと思うが、よいだろうか。(一同了承)

(用語の定義について (9)〜(21))

事務局より資料についての説明が行われた。

・ 9の代諾者等のところで、注1にも2にもあるが、倫理審査委員会の承認を得るということ、具体的にどういうことになるのだろうか。特に注の2のところだが、亡くなってしまう、そのご家族からご了解をいただくときに。
委員長
だれが代諾者になるかということ。
・ 倫理委員会から承認を得てなんて、おおよそあり得ない。その辺はどういう考え方ですか。
委員長
補足してください。
事務局
ここで想定しているのは、そもそも代諾者がいないと、研究が成り立たないのかどうか。どうしても代諾者の代諾を得て行う必要があるのだということを前提として、さらにその場合には代諾者というのはどういうふうに選ばれたのかということを書くことになっていて、それを含めて研究計画書の審査の中で倫理審査委員会のご判断をいただく、そういう意味である。この部分だけ取り上げて特に個別ご意見をいただくことは必ずしもしなくてもいいのではというイメージである。
・ 難しい。難しいと申し上げたのは遺族の問題、つまり、病院管理法の問題が出てくると、大変厄介なのだ。なぜかとうと、するしないにかかわらず、病理学の、病理学的な形態のものも含めてケンサクをさせていただくことに関しては、また別の概念がある。つまり、病理学会でも今、どういう形で遺族の方々にご了解をいただくべきかを検討しているところではある。だからそういう状態なので、それをゆだねるのはどうかな。これをどういうふうにやるべきか。今はそれに答えはないが、あまり深く突っ込まないほうがいいような気がしている。これは矛盾してくると大変困るので、現場は。
委員長
注2が出てきたのはどういう経緯か。
事務局
通商産業省の審議会の意見の中で、死者と生者を区分けして、それぞれについて基準を明確化すべきだというご意見が出されたことを踏まえたものである。
委員長
そうすると、そこをやっておかないと、今度、通産省の審議会にこれが出ていくと当然問題にされるということだ。
・ 以前、科技庁の生命倫理のところで、今の病理解剖の話でどういうふうにできるのかという問題があり、結局、未確定のままだった。10ページの(3)の細則の上から2つ目ですが、「試料等提供者が死者であって、その生前における明示的な意思に反しない場合」という言い方をしているが、ただこれは(3)のところに死者が含まれるということになると、いずれにしても倫理審査委員会が承認するというのがかぶってくるというふうに少なくともなっている、本則のほうでも。確かに現実にはかなりきついのかなと思ったが、たたそうなっており、その前の9の本則で「倫理審査委員会の承認」というのが入っていて、それであれば同じことであろうと。そこで、代諾者が一体だれかということをはっきりさせればよいと思う。問題は、今の病理解剖との関係でいえば、9の本則のところで現実とはギャップがあって、とんでもないのかどうかということになってくるのではと思う。
・ 18ページ、19ページの注2を先に取り上げたいが、まず関係者間の協議により選定されるということだが、大きく定義せよということ、それから基本的には死体解剖保存法に従うべきものについて、ここで特別のルールを定めていると思う。死体解剖保存法では遺族の承諾と、同意だったかもしれないが、承諾を得てとなっていたと思う。このガイドラインというか、ミレニアムのときからだが、1人を選ぶというところが非常に強調されて、ここでも関係者間の協議による選定ということが書かれているが、むしろ望ましい姿とすると、臓器移植法における遺族の取り扱いである。臓器移植の場合は死の直後ということになるから、喪主あるいは遺族の代表者とみなされる人が遺族の総意を代弁する形で同意をするということが望ましいのではないかと思う。そう考えると、倫理審査委員会の承認とあわせて研究実施機関の長の許可だが、これは個別的な承認を求めるとなると、非常に難しいことになるかと思う。おそらくプロトコルの審査の際になし得るのは、一定の基準で、死者についてはこういう人の同意を得ますということしか決められない。個別的に亡くなっているAさんの試料について、この人を遺族として選定しますということを、一々倫理委員会の承認を得て、長の許可を得て決めるというのは難しいかと思うので、ここは厳し過ぎるのではと思う。その前のところだが、提供者の生前の推測される意思。これは本人の意思を尊重するというのは望ましいと思うが、利益を最もよく代弁できるのは死者についてまで考えなくてはならないのかというと、亡くなった後の段階では、死者が生前に表示された意思の尊重も重要だが、遺族が遺族として持っている固有の死体の管理権というか、死体について処理を決める権限というのも認められてよいと思うで、未成年者等の場合に書かれているのと同じような文言をそのままここへ移して、利益等についても代弁というところまで書く必要はないかと考える。もう少しあいまいに書いておいた方がよいのではないか。遺族に含まれるものとしては、配偶者、成人の子、父母、孫、祖父母、あるいは兄弟、姉妹があってもいいかもしれない。そういう関係になくても同居している親族をいうと。同意をとる人は、その中でまさに慣習、家族構成等を勘案して、代表となるべき人というふうにいってもいいのかと思う。注1の生きている人の場合については、任意後見人、親権者、後見人、保佐人と挙がっていて、その後、配偶者、成人の子等が挙がっているが、確かにこれらの人から、そして人のだれかから同意をとるということはそのとおりだが、先ほども死者について、倫理審査委員会の承認を得て、研究実施機関の長の許可のもとに、関係者間の協議により選定するというところをもう少し控えめに書かれるほうが実態に即するような気がする。現実には家族会議なり、親族会議なりを開くかもしれないが、それを関係者間の協議とまで言ってしまうのはどうかなという感じがする。
・ 1人1人の死者もしくは未成年者等も含めて、1つ1つ審査委員会にかけないといけないのかどうかという、そこの問題だと思う。それは必要ではないと思う。そんなことをやっているととても研究が進まないと思いますので、ここで倫理審査委員会の承認を得てというのは、研究計画をつくるときに死者もしくは未成年者が含まれているときには、こういう人を選びますという基準を研究計画の中に書いて、その基準を倫理審査委員会が承認をする。具体的には、研究責任者なり何なりが未成年者の家族もしくは遺族と接する中で、どなたが代諾者になるかというのは決まってくると思うので、そのときには場合によっては研究実施機関の長の許可は必要かもしれないが、ここで倫理審査委員会の承認を得てと書いてしまうと誤解もあると思うので、ここは倫理審査委員会の承認を得てという言葉は外してもいいのではないか。むしろ(9)の代諾者等の中に「研究計画の中にどういった基準で代諾者を選ぶかということを明記しておくものとする」とか、そういうことで処理できるのではないか。具体的には、個別のケースについては現場の研究者の方にゆだねる。
事務局(通産省)
通産省の部会での議論でも、個別の事項について、倫理審査委員会でチェックをしろという議論ではなかったと記憶している。前回の検討委員会で出たたたき台では、「代諾者の選定は試料等提供者の置かれている状況によって個別に判断されるべきであり、死んで一義的に定義しない」という書き方をしていたので、研究者だけの基準で選ばれるのではないかということで、どういった形で代諾者を選んだかということについて、第三者の目でチェックする必要があるのではないかという背景のもとに出された意見というふうに考えている。代諾者等の考え方を研究計画書に記載することになっているので、その内容について妥当かどうかというのを、研究計画書の審査の際に倫理審査委員会において議論をしていただくというやり方が適当ではないかと考えており、適当な文言になるように事務局のほうで相談しながらつくっている。
・ 今の点はそれでよろしいと思う。あんまり突き詰めると問題になってしまうかもしれないが。本文の9ページの(3)に戻って、ここの現実的なインフォームド・コンセントのやり方として、「研究が成り立たないと倫理審査委員会が承認し、研究実施機関の長が許可した場合」というのは、そういう基準のような形で、この研究については未成年者がどうしても必要であるからという形でよいという理解だろうか。そうすると、細則の場合、「死者であって、生前における明示的な意思に反していない場合」とか、そういうふうに書くと、そこら辺が個別的にこの場合はどうか、この場合はどうか。先ほどの注の書き方もそうなってしまうのだが、そういうふうな雰囲気がするのが気になるところである。現実的に動かないものをつくってもしようがないわけであり、ここら辺は文章表現かと思うので、ちょっと工夫したほうがよろしいのではないか。少なくともそうでなければいけないという誤解を、8の(3)のところから受けてしまうということだ。先ほどの注については少し厳し過ぎるのではないかと思う。
委員長
注2に関してご議論は煮詰まったようで、もう少し現実に即した形で修文するということで取りまとめる。関連して、9ページの8の(3)も少し修文をしていただくということでよろしいか。
・ 注1だが、同じ問題だが、この注1だと、今、生きている方に関しては個々の事案に即して1人1人というふうに読めるのだが、これは現実になかなか大変だと思う。
事務局
注1も注2も選定の基準、あるいは選定の考え方を計画書に書いてもらって、それを審査していただくという形に改めたいと思う。
・ バンクのことで気になっているのでお伺いしたいが、メールリストの問題が少しあったかと思う。用語の説明の最後、20ページ(21)のバンクのところで、「匿名化の上保存し」という、ただの匿名化が使われて。本文のほうに戻り、15ページの12の(2)バンクへの寄託というところだが、だれがどう確認するのかをはっきりさせたいが、2行目のところ、「分譲するに当たり、連結不可能匿名化がなされることを確認するとともに」という表現がある。バンクという性格がわからないので伺いたいが、バンク自身が保存するのに連結可能匿名化という状態があるという理解でつくらているのだろうか。なされるという言い方を本文でしているが、バンクという性格も非営利的事業をいうということで、よくわからないので説明いただきたい。
事務局
匿名化のところ、すなわち15ページの(2)のバンクへの寄託のところで、「分譲するに当たり、連結不可能匿名化がなされる」と。すなわち保存している、あるいは受け入れる段階では連結可能な場合があるのだろうと。例えばA病院から引き受けるときに、A病院の中で連結可能匿名化された状態で来ると。それで、バンクの中でもう1回乱数表かなんか用いて連結不可能匿名化にしてしまう。すなわち出ていく段階では連結不可能にされておるということを想定しているわけで、最後の20ページの保存のところで匿名化という状態を削っているのは、例えば幾つかの家族性の糖尿病のもので非常に有名な外国のバンクでも、匿名化しないで持っている例があるということだから、定義の中でそれをいうのはやめておいたほうがいいのではないか。現実と衝突が起きてしまう。
・ だからそのバンク自体の中に2つの匿名化状態があるという理解。そうすると、連結不可能匿名化がなされるという本文のほうは、ここはどういうふうに考えたらいいのか。だから、バンクによっては連結可能状態の匿名化で持っているところがあると。
事務局
保存状態です。
・ 分譲のときに連結不可能匿名化をしてくれればよいということ。そこのバンクにおいては、もちろんほかの国際的なバンクもあるだろうから、こちらで何も言えないところもあると思うが、連結可能匿名化状態で持っている場合は個人識別情報管理者がいる。そこら辺がどういう状況かなと。
事務局
当初、その議論もあって、バンクの規定も書くのだろうかという議論をしたわけだが、先ほどの体細胞と全く同じであり、これはバンクの指針ではないので、個人情報保護法でるとか、ほかのいろいろな指針等、あるいは学会で決めた指針等があると聞いているが、当然そのあたりはなされるべきものだろうと考えている。それから、この指針の限界として、ヒトゲノム解析研究の指針であるということから、そのような規定は置いてない。
・ 今、小幡委員の意見は、このバンクに限らず、連結不可能匿名化という時期に関して時々迷うことがある。実際に審査をやっていると。これを例にとれば、バンクにとってみれば連結可能だけれども、それが外の別な研究者に提供されたときには連結不可能匿名化になっていることを、ちゃんとそうやってくれますねということを確認して提供することになると思う。だから、もらっている研究者にとっては確かに全くわからないが、バンクの中ではわかる。これは一体連結可能なのか不可能なのかよくわからないという議論が、特にこの2つの機関で議論しているときによく起きてきたものだから。私もよくわからないところがあるので、教えていただければと思う。
・ 私がほかで倫理審査委員をやっているとき、ヒトゲノムではないが、バンクから細胞をもらうので、個人情報についてはこちらでは把握しませんので、大丈夫ですという形で時々上がってくる。だから、それは分譲としては、完全に連結不可能匿名化されているものを使うというのでよいのだろうが。要するにこちらがバンクへ寄託をする場合、バンクがどのぐらいあるのか私も承知してないが、かなり小さなものもいろいろあるようで、そこのバンク自身がしっかりしてもらわないと、ほんとうは気軽に寄託してもらっては困るという状況があるのは確かではないかと。ただ、そこが限界だと言われれば、これはあとの個人情報保護法等々を待ってということにならざるを得ないのかもしれない。
・ 小幡先生の発言で答えは出ていると思うが、定義の(21)のところはバンクの中では匿名化だけで連結可能というものも認める。ここは分譲という言葉を使われているが、分譲の際には連結不可能にして、研究者もそうだし、バンクのほうも研究者の手元に渡ったサンプルについてはだれのものかわからない状態にしてしまうというのが、15ページのバンクへの寄託の連結不可能匿名化がなされることの確認における連結不可能ということで理解したらよい、あるいはすべきではないかというふうに考えてきたが、違うだろうか。
・ それだと実情と全く合わないことになるから、これは連結不可能というのをとってほしい。匿名化されていればいいはずなので。研究者がだれのものかということがわからなければいいはずだから。ここで連結不可能匿名化ということになると、これもまた定義がさまざまだろう、1人1人の考えが。そうすると、細胞バンクで連結可能匿名化されている場合は、外に出ると連結不可能になると、細胞バンクも連結不可能にしなきゃいけないなんていう変な理屈になるから。
事務局
保存しているときは連結可能だが、分譲に当たってそれをもう1回リシャッフルするとか、ほかの番号を振り直すとかいう形でわからなくした上で、外に出していくということだろうと思う。もちろん昔から、例えばヒダ細胞とか人の名前をつけた細胞があるわけで、当然のことながら連結不可能でなくても、人の名前があるわけだからあれだが、少なくともこの指針で得られる細胞の状態としては、バンクから出されるときは連結不可能匿名化されるというのを考えている。
・ 細胞バンクで将来というか、間もなく使われるのは、いろんな人からの細胞を集めて保存する。それがゲノム解析の材料として使われるということになると思う。今までは何かの研究目的に使うという細胞だったが、ゲノム解析のための細胞バンクで収集するということもあり得るので、そうすると出すときには連結不可能であって、保存するときには後でさかのぼるように、連結可能匿名化という状況のほうがいいのではと思う。
委員長
議論を聞いていると、研究の現場に身を置かれる立場からすると、今、言われたような形になるのでしょうね。
・ 必ずしもそうではありません。バンクの話だと、全体の研究とずれてくる部分がある。しかし、いずれにしてもバンクに保存している間は連結可能でないと意味がない。したがって、匿名化ではいけない。特定できないといけないので。ただ、外に出る場合も、特定な人であるということがわからなくてもいい研究と、わからなければいけない研究があるわけだから、それをこっちのほうで規定することはできない。だから、バンクはこうあるべきなんていうことをここで言う必要はないと思う。だから、そこの部分にあまり触れないほうがいいと思う、本来は。機能としてのバンクがもともとあるわけだから。実際、私たちは何をやっているかというと、患者さんあるいは家族の方々にバンクにご提供いただくことが可能ですかという問いかけをしているす。そういう内容はきちんとご説明しますから、それでもいいんだと言う方の場合には提供するが、そうでない場合は提供しない。例えば現実にはそういうことやっているわけだ。そこは少しお考えいただきたい。
・ 確認だが、病歴だけでは不十分ということか。住所、氏名、年齢、性別。
・ そのような情報はいらない。
・ それは連結不可能匿名化になるので。
・ そうではない。例えば年齢、名前、性、どこから提供されたか、病名は当然入る。
・ そのうちの病名、性は入ってはいいと思うが、名前とかはどうして必要になるのか。
・ それは今までのバンクの必要性からやっているのであって。今はどうなっているか知らない、現実は。二、三年前まではそうだった。つまり1つは、イニシャルでやると、2つしか変数がないわけだ。ところが、そういうときに一番問題になるのは間違いが起こる。したがって、できるだけたくさんのインフォメーションがあったほうがいい。私たちは少なくとも考えとしては、名前のほうがいいだろうと思っている。ただ、こういう現実だから、なかなか難しいということはわかるので、今の段階で名前までとは言わないが、とにかく間違いが起こらないということも非常に大事なことだということはご理解いただきたい。
・ 間違いが起こるということだが、どういう際に間違いが起こるかということで、名前等をつけるというのは何らかの研究成果とリンクする際の間違いだと思う。
・ 処理扱いのときの間違いですね。
・ それはコード番号で十分じゃないかと思うが。
・ 今はそうなっているかもしれないので、あんまり固執しません。名前を入れてなければいいという問題だけではないと思う。
・ バンクでは名前もついているが、それを一端、外の研究者に渡すときに新たな番号と病名を渡せば、これは連結不可能匿名化なのか。
・ 個人情報は生年月日とか氏名、住所なので、病歴とかはついていても構わない。
・ 匿名化とどこが違うのか。
・ 名前がついている。
・ 名前はついてない。匿名化だから。
・ 匿名化です。その上でかつ匿名化して名前を外しますね。番号とかをつけて、その番号をたどれば氏名にたどり得るというのが連結可能匿名化。
・ だから、バンクに戻ればできるわけ。
・ けれども、提供された段階で試料はたどれないような番号をつけるから、外に出た試料についてはたどれない。だけど、まだバンクに残っているサンプルについてはたどれるということだろうと思う。だから、基本的には、先ほど黒木先生がおっしゃったプランで私は大丈夫だと思うが、バンクの中にある間は連結可能匿名化で、外に出される際には連結不可能匿名化にして試料を提供するのが原則。
・ そうすると、バンクで連結がなくなるわけだ。
・ バンクの中にある試料については連結可能なのです。
・ どこにいつ出したかなんてすぐわかるわけですよね。
・ ですけど、500出すと500の。
・ そういう研究だけではない。1個だけ、非常に特殊な病気だけやる。
・ それならわかります。
・ ですから、匿名化でいいかと思う。
・ 匿名化だけだと、あと出したものがたどれるかたどれないかのどちらかだと思う。
・ 議論の根本がマッチしてないように思うのだが、私の質問も含めて、連結不可能匿名化というのは、この定義の中でもその施設の中で、例えば研究者も個人識別情報管理者もすべてこの試料はだれのものとか一切わからなくなったものだと私は理解している。それがまずほんとうに正しいのかどうかが第1点。それから、これはバンクも含めて2つの施設間で、1つの施設から別な施設に試料が移る話あが、もともと採取された試料では、だれのものかがわかっている試料を番号を変えて別な施設に送る。そこからの問い合わせに関しては一切受け付けないという形は、2番目の施設においては連結不可能匿名化という言葉を使っていいのかどうか、それが我々はよくわからなくて、世の中すべての人が連結不可能になってないと、連結不可能匿名化とは呼ばないのだとみんな理解していると思うが、研究者の多くが。その点はどういう理解なのか教えていただければと思う。
・ 私どもがつくっている際には、NBACの4つに区分する定義に大体従っていて、先ほどの発言の繰り返しになるが、バンクの中では連結可能な状況の試料を外に出すときは、全く違う番号をつけてしまう。違うと番号とバンクの中での個人情報とは、連結できない番号をつけて出してしまう。だから、研究者のほうもこの試料について、病歴等はついていても別に構わないが、だれのものであるかということはわからないし、こちらに問い合わせても複数であればだれのものか区別できない番号がつけられているので、提供者側もだれの試料か判別できないものをアンリンクド・サンプルというふうに考えいる。
・ NBACの基準は、連結不可能、連結可能に加えて別な基準をもう1つ入れて、アンリンクドとか、提供されたときに既に連結不可能になっていたとか、別な基準が入っている、あの指針は。それをここで2つだけでまとめようとするところに、もしかしたら問題があるのかなという気がするがいかがか。
・ 入っているというか、最初からだれのものでも構わないといって収集した試料とか、最後まで名前つきの試料とか、あるいは連結可能な状態で研究者に渡す場合も定義しいるが、パラメーターが2つあるというのはないと思う。
・ 初めにご質問したのは、バンクに寄託することについて同意を得ないとけないのであれば、どういうバンクであるかということがある程度明確になっていないと同意の求めようがないのではないか。つまり提供者からしてみればですよ。それがあったものから、それではバンクというのはどういう定義だろうというので用語の定義を見ると、非常に簡単だったものから、これでどういう説明ができるのかなという感じがしたのが初めの疑問だった。今の連結不可能、連結可能匿名化の2分類では足りないのではないかと言われるのは、確かに18ページの匿名化のa、bというのだけで見ると、バンクというのはうまく入らない。だから、バンクはそもそも特別な目的を持ってつくられたものであるし、当然そこでは非常にしっかりした情報管理がなされるべきものであると。そうでないと簡単にバンクとして、あなたの情報はバンクに寄託しますよ、いいですねと言えないはずではないかなと思うが、ともかくそれはなかなか難しいにしても、だから「ここで連結不可能匿名化がなされることを確認するとともに」というのは、用語の定義からいうとそぐわなくはないが、せめてあったほうがバンクはこういうものだという、保存はいいけれども、分譲されたほうにとってみれば、連結不可能になっているということをここの文章で言い切っているとすれば、やや定義とそごはあるが、このままでもいいかなというレベルの感じがする。望むらくは、バンクについてほんとうはもう少ししっかりしたものが欲しいという希望はある。
・ 匿名化というのは、要するにコードをつけることで個人の名前が出てこないということで、これは当然だと思うが、連結可能と不可能には2つのレベルがあって、1つは個人の名前までさかのぼれる連結可能あるいは不可能と、それから病歴までさかのぼれる連結可能、不可能というのがあって、個人の名前までさかのぼることが必要なのは、その人が将来どういう病気になるかとか、そういうことをコホートのような形でフォローアップして、それとゲノムとを結びつけるときには、どうしても連結可能にしておかないと研究が成り立たない。そのときには病歴と連結可能であればよいわけであって、個人名との連結は不可能であるけれども、個人の病歴をフォローしている人はちゃんとつかまえておいてくれなければならないというふうに理解している。
・ 例えば研究の発展で遺伝子を解析する試料がなくなってしまったときに、もう一度さかのぼれないと、そこでストップしてしまうということが十分あり得る。そうすると、最終的にはその人にたどれないと不都合が起こるということがあると思う。
・ どういう不都合があるかというのを教えていただきたい。研究結果を返すというあたりの不都合なのか。それともさっきのコホート等を念頭に置くと、複数の研究結果をリンクさせて、その意味を見出す際の不都合なのか。具体的な明示をお願いしたい。
・ 例えばバンクからもらった試料あるいはDNAを解析する。そのときにそれを使い切ってしまった。だけど、研究はまだ途中である。そのとき、完全に連結不可能であればたどれないわけだ。そうしたら、その場合は研究をそこで中断しなければならない。そういう不都合。
事務局
これはバンクなので、普通の培養したりPCRで増やしたりしたものを次々と持っていくわけで、親株から次々子株をつくっていくのではないかと思っている。
・ ただ、細胞でも、すべて完全にメンテナンスできている場合はいいが。
委員長
それでは、バンクの定義をもうちょっとしっかりしてくださいというご希望があったから、それは可能ですね。
事務局
バンクの定義をもう1回というか、別の問題があるのではないかと思うが。
・ 少なくともこの指針の上で連結不可能匿名化と言っている限りは、研究はそこでストップ。一切できない。そういう試料を連結不可能匿名化とし、そこで終わりだと。絶対に困るというものについては、連結可能匿名化でインフォームド・コンセントを得なければならないという基本ですべてここでは書かれているので、それはご理解いただいていると思う。
・ それはもちろん。バンクのことに関して提供される場合。
・ バンクの定義のほう、12の(2)に寄託と書いているが、バンクに組織等が移転される場合は譲渡されると思う。寄託というのは諸要件がもとの譲渡人のところに留保されるので、バンクの場合はバンクに諸要件が移るというイメージだと思うので、寄託じゃなくて譲渡。譲渡がちょっと強ければ、提供ぐらいの方がよいと思う。
委員長
結局、バンクに試料が入る場合には連結可能匿名化で、研究目的でバンクの外に出る場合には連結不可能匿名化という整理ではいけないのか。
・ いろいろな研究があるので、研究を制限するようなことはやめていただきた。匿名化されているものだから。
委員長
そうすると、研究の制限で、今度はサンプルを提供した人の人権問題の議論だと思うのだが。
・ だから、個人識別情報管理者がいるわけ。人権が侵されないようにきちっと見ているというところ、そこで縛りがかかっているわけだから、連結可能であっても全然心配はないと思う。
事務局
まず、現実問題として、連結可能匿名化で出しているバンクはあるのか。
・ ですから、どこにどの試料を送ったかという記録は残して譲渡する。連結不可能ということは、問い合わせてもわからないということを連結不可能といっている。そうされては困るということ。
・ どの試料を送ったかはわからないが、送ったことはわかる。
・ この試料を送ってくれと言って頼むわけだから、バンクには。
・ ただ、複数あった場合にごちゃまぜにしてやるから、だれがどれかわからなくなる。
委員長
そうしたらトレードすることができなくなると。要するにごちゃまぜにしてわからなくなるということであれば。
・ それは連結不可能ですよね、言われているのは。
・ だから、細胞バンクのカタログでは名前はついてなかったと思うが。
・ 名前はついてない。
・ だから、名前なのだ。
・ だから、これは定義の問題ですね、連結不可能というのは。
・ 連結可能か不可能かというのは個人にたどれるかどうかである。
・ 18ページ(6)のbの連結不可能匿名化というのは、個人識別情報に結びつけられないように。個人識別情報というのはその前の(5)のところで、個人の氏名、身元など、その人を特定する情報。福嶋先生が匿名化でいいのではないかというのは、その人に結びつかないといけないという趣旨だろうか。そうではない。それであれば連結不可能匿名化でいけると思うが。
・ 対応表を残さない。
・ だから、バンクの中では対応表が残っている。これは構わない。それはバンクでちゃんと管理しているわけ。バンクから提供されたときに病歴がついて出てくるのは構わない。これは連結不可能匿名化の範囲内ですね。そのバンクから出てくる試料について、人の名前とか要らないわけですよね。そうすると、それは連結不可能匿名化ということで、理解をここではしていると思うんが。
・ バンクにある番号と研究者に渡した番号との対応表は残していいのか。
・ ですから、バンクに提供するときですね。
・ ではなくて、バンクから研究者に譲渡するとき。
・ バンクから提供者に譲渡するときに、研究者の側が例えば500番なら500番という番号がついた試料をもらっている。Aという機関に渡した500番という試料は、バンクの中ではだれさんのということがわかっている。しかし、研究者の側が500番というのはだれのですかという問い合わせには答えない。しかし、500番でもらった試料をもう一度もらいたいというときは、バンクの中でははっきりわかっていますから、それは当然バンクのほうで記録が残っているわけです。ですから、500番の試料をもう1回くださいと言った場合には可能なので。
・ 言っていることが違う。
・ 最後のは妙なところで、そのあたりがボーダーでしょうね。
・ だから、対応表を残すか残さないかということ。
・ たどれるのではなくて、試料をもらうということですから。
委員長
試料にたどれるかということなのですよね、同一の試料。
・ そうすると、対応表を残さないとだめですよね。
事務局
連結可能匿名化と不可能匿名化の境はどこだと。実質的にその人にたどれないというところだと思う。バンクが対応表を非常に厳しく管理するということをバンクの生命線にしてるから、500番はだれのですかと聞いても答えないから、結局その試料は連結不可能匿名化だと言っていて、これはバンクみたいなところじゃなくて、これはAさんですよというようなところであれば、AからBに渡ったところは連結不可能匿名化と言えないのではないかと。要は、結局、AからBという機関に渡ったときに匿名化されていて、コードにされている。そのもとの対応表がどれぐらいの厳しい管理状態にあるのか、実質的に個人をたどれるのかたどれないのかというところが連結可能匿名化と不可能匿名化の違いなのだろうと。バンクというのは個人情報を出さないということを1つの生命線にしているわけだから、この場合は不可能匿名化といって一向に差し支えないのではないかということなんだろうと思う。
・ 扁桃腺バンクというのがあって、こういうことをやるためにはどういう問題が起きるかということで、この1年来やっている。一番よろしいのは、連結不可能型の匿名化を臨床サイドでやってくれている。バンクは全く連結不可能型の試料をもらう。ただし、その場合には検体情報はつけてもらう。したがって、そこから後のことは、バンクの人間もユーザーも個人という意味ではもとをたどれないという格好ですべてを管理する。ただし、すべての臨床が連結不可能匿名化という作業ができるかという問題がある。だから、その場合には何か方法を講じて、バンクの職員がこっちへ来る前に臨床の枠を連結不可能型にして持ってくる。それから、先ほど来さかのぼれないと困るというお話があったが、もしもケーススタディーのようなことであれば、バンクの試料を利用するのは無理であり、1つのプロジェクトとして臨床の中で研究をされていくというのが本来ではないか。そうでないと、バンクというのは不特定多数の人に供給するという役目がありますので、いろんな制限がつくと、バンク事業ができなくる。理想的にはバンク自身が完全に連結不可能型の匿名化の中で動いていないと動きがとれないと思っている。
委員長
これは結局、連結可能あるいは連結不可能匿名化のバンクを議論の場としていたが、実はこの検討会の骨子にかかわる問題であるということで、大分議論いただいたが、バンクの実態をよく知らないが、ここをどう取りまとめたらよろしいか。
・ 質問だが、バンクという意味も、ある程度公的で、いろんなものを扱って、要望があればどこにでも出すというものと、各研究グループごとにこの研究をやるためにとっておこうというものもあると思う。以前のもだと、かなり大きな研究所でやっているようなものしか扱わないのかと思っていたが、これを見ると小規模なものも含まれるような形で書いてある。だから、バンクとはこうであるということはなかなか言えないと思うので、ストックしておくようなものはすべてバンクとして患者さんにもそうやって説明して、了解を得るとことになると思う。
・ その点に関しては、20ページの用語のところで非営利的事業を行うから、事業として行わないとここでいうバンクではないということだと思う。例えば研究所で試料を保存しておくというのは、バンク的なことかもしれないが、それはここでいうバンク、つまり非営利的事業とは言わない。何とかバンクというのが事業として行われていて、そこへ試料を譲渡するということだ。
・ 厚生省の細胞バンク事業にかかわっているが、細胞バンクで行うのはこれからゲノムの材料というので、随分寄託あるいは分譲があると思うが、そのときに配る相手は、例えばこういう研究を行うからということで、きちんと倫理審査委員会とか何かで認められているわけではなくて、そういうところへ出すわけだから、そうすると出すときには非連結であるが、内部で連結していれば、それにさかのぼっていろんな情報があれば、十分に機能することだろうと思う。だから、いろんな人に出す以上は非連結型でないとバンクとしては、つまり外に非常にオープンな事業なので、安心できないのではないかと思う。
・ 作業委員会の中の議論で、今どういうものを想定しているかというお話があったので、非常に具体的に申しますと数カ所。それで、JCRBと遺伝子のほうをやっているのと理研の細胞バンク、武田製薬がやられている公的なもの、その数カ所というイメージでこれは書かれている。公的という言葉をぜひ入れてくれないかという議論があったけれども、公的というのがまたいろんな行政的な意味にもなるし、それじゃ、武田は公的なのかという話にもなるので、公的という言葉を抜いて品質管理とか、非営利的事業とか、そういうことで縛れば、その数カ所に自然となるだろうという意図のもとに、こういう定義になっているが、もう一工夫要るのかなと考えている。
事務局
1つの提案としては、20ページの(21)の定義で、グループ間の小規模なものを除くために、多くのところを不特定多数のという形にして、そこをはっきりさせるというのが1つ。2番目には、グループで閉鎖された四、五人、あるいは10でも20でもいいと思うが、それは7ページの(7)、外部機関への提供という形で読んでいるんだと。バンクとは不特定多数に分ける人たちをいっていて、閉鎖的なものは外部への提供という形で読んでいる。さらに3番目に、バンクとは一体何かとわかるようにまず説明が大事じゃないかというのは、実はインフォームド・コンセントの中で説明することになっていて、バンクの学術的意義、当該バンクが運営されている機関の名称、寄託される、この寄託というのも提供されるか、譲渡されるか、何かとしないといけないのだろうが、試料の匿名化の方法及びバンクの責任者の氏名とまで書いているから、一応クリアしているのかなと思っている。
・ 厚生省の中でヒト組織バンクについてのガイドラインをつくろうとして、最終的にはうまくいかなかったと思うが、未完成のままだが、そのあたりのガイドラインで若干その定義とかをはっきりさせていただければと思う。
委員長
先ほどの少しの修文と、それから定義その他でバンクの取り扱いは取りまとめてよろしいだろうか。
(一同了承)
・ 15ページのV。「この指針は必要に応じて見直されなければならない」と非常に簡単に書いてあるが、必要に応じてというのはどういう必要で、だれが必要だと考えたときに、どういう処置をとるかということが全く書いてない。細則か規則か知らないが、例えば少なくとも3年後に一度検討をするとか、何か1つどこかに歯どめのようなものを、どうしてもしないといかん事態があるということを記入したほうがいいのではないか。
・ 多分3年というのは、非常に短過ぎて対応できないと思う。基本原則のほうは5年というのが解説の方で書いてあり、どのぐらいがいいかというのはヒトゲノム研究の判定の仕方にもよると思う。だから、3年がいいというケースもあり得るかもしれないが、長過ぎるのか早過ぎるのかよくわからない。
・ 3年でも5年でもいいが、またこういうふうに数カ月でつくるのは同じことを繰り返すことになるから、検討は常にしておくということをお願いしたいと思う。それから、ミレニアムの、特にヒトゲノムの疾病ゲノムの方では、法的、倫理的問題を検討する研究班もあるようなので、そのあたりで継続的にこの指針がうまく機能するか、あるいはどういうところを補正すればよいか検討して、いつでも必要があれば3年目、あるいは5年目に改定できるような作業がなされるべきだとか、なすぞという文言を入れていただければと思う。
委員長
わかりました。それでは、もう少し事務局の中で検討するが、3年とか5年とかしかるべき年限を入れて、あるいは継続してこの指針を検討していくという文言を入れるようにする。
事務局
5年を目途にということでご了承いただければありがたいと思う。
・ 3とか5とか申し上げたのは、必要がなくても3年ないし5年で見直すということだから、もし必要がなければ5年程度で十分だと思うし、必要があれば1年でも2年でも、必要の都度見直すということで、そういう意味では5年ぐらいが適当かなと思う。
委員長
わかりました。そういう含みを入れておけばいいですね。
・ 全く同じ意見。その都度見直すべきだ。

(前回の議論の結果による修正について)

事務局より資料についての説明が行われた。

・ 今の2の本指針の適用範囲の細則で、現在実施中のヒトゲノム・遺伝子、これはミレニアムプロジェクトに入るか。
事務局
ミレニアムプロジェクトはミレニアム指針が当然あるわけだが、ミレニアム指針と今後つくっていただける指針というのは一体化する。すなわちミレニアム指針を廃止するというふうに考えているが、ミレニアムプロジェクトについてはミレニアム指針が今既に適用されているわけであり、適用しないというところをちょっと検討して、ミレニアムプロジェクトについては当然適用するということになると思う。
・ 前文と基本的考え方のところでかなり文章が変えられているので、非常に問題がある箇所が何カ所かあると思う。1つは、前文の第2段落が「様々な倫理的、法的、社会的問題を招く可能性があるという特殊な側面」ということになっているが、別に倫理的、法的、社会的問題を招く可能性があるのはヒトゲノム研究だけではなくて、科学研究一般について言えることで、このヒトゲノム研究に関してはそういう側面は強いとは思うが、特殊な側面というのは少し違うのではないか。したがって、招く可能性があるということでフルストップでとめておけば、それでいいのではないか。また、4行ぐらい下の真ん中辺で「この特殊な側面について」となっていて、そういう問題を招く可能性があるということについてという、そういう形で処理していただければと思う。国民の理解ということだが、外国人はどうするかという問題も出てくるので、私は前から申し上げているが、社会の理解ということにするべきだと思う。前文の一番最後の行で「すべての関係者が、この指針を遵守することが期待される」というのは、「しなければならない」と書いていただかないと、期待してだめだったと言われても困る。その次の2ページ目ですが、「人の尊厳及び人権の尊重」という項目と「適正な研究の推進」というのは、両方「以下を基本方針としている」と書いてあり、これは前は「適正な研究の推進」というのがなかったから、それなりにすっきりしていたが、今回は基本方針が2カ所に分かれているというのはちょっと解せないので、どうも二重になっているような気がする。それから、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究の特質を踏まえ」という「特質」というのが、一般の人にとってみればあまりはっきりしないのではと思う。(1)個人の人権と福祉の尊重とあるが、「個人の尊重」というのは前に宇津木委員から出された話だと思うが、人権の尊重ということではなくて、個人の尊重だと思う。それによると、個人の人権と福祉の尊重というのは、もともと人の尊厳及び人権の尊重を図るために個人の人権と福祉を尊重する、というのはどうも文章としてはおかしいと思う。個人の尊重というだけならわからないわけではない。その後に出てきている「適正な研究の推進」ということが別立てになっているが、これは(4)として前に入っていたと思うが、なぜ(4)ではだめで、別に挙げられたのかというのがよく理解できない。その項目の中の問題だが、「人類の知的基盤、健康、福祉へ貢献する研究の実施」を基本方針とされるのは構わないと思うが、これは前文で言うべき話かなと思う。(2)のところが一番大きな問題だと思うが、「個人の不利益に見合う研究の社会的有益性の確認」というのはどういう意味なのか全くわからない。というのは、その後に「及び個人の人権の保障の優先」と書いてあるわけだから、ここでは個人の不利益と研究の社会的有益性のバランスという話ではないと思う。個人の人権の尊重で、人権保障の優先というので十分じゃないかと思うが、これを一般の人が読めば、こういう言葉をつけ加えられた意図が、研究優先だという非常に強い印象を与えるので、これは不適切な用語法だと思う。そのあと(3)(4)はもともとその前のバージョンでは(4)(5)ということで、上のところに入っていたものを少し詳しくしただけだと思うが、これについてはあまり文句はない。
事務局
参考資料3に各省庁審議会の開催日程というのがある。今日が11月16日ですので、文部省、科学技術庁、通産省、厚生省と24日ごろから審議会に入るという予定を組ませていただいている。これは2つの問題があり、言うまでもなく年末に入って先生方は審議会を動かすのも非常に難しい。もう1つには、もっと根本的な問題として、来年1月には省庁再編があるので、例えば文部省と科学技術庁が一緒になるとか、厚生省と労働省が一緒になるとかいうような問題があって、審議会自体が1回なくなってまた発足する。そういう意味からいうと、年末までにパブリックコメントにたどり着きたい。すなわち審議会で1回の粗ごなしをやって、これでパブリックコメントをやってもいいよというようなオーケーをいただきたい。そういう観点から、11月24日ぐらいから審議会での審議を考えている。
事務局
人権の部分と研究の部分と分けさせていただいたのは、研究の適正性の確保あるいは研究の透明性の確保という意味で、研究を実施するという立場から見た場合わかりやすいのではないかということで分けたが、場合によって、この基本方針が2つに分かれるのはわかりにくいということであれば、これを一緒にして再整理をするというやり方もあり得るかなと思う。研究の意義のような、そもそも研究がこういう知的基盤なり健康、福祉へ貢献しなきゃいけない、あるいはその以下に書いてある研究の社会的有益性、個人の人権の保障、わかりやすくいえば個人の利益の優先のような原則を明記すべきだというのは作業委員の先生方から結構いただいている意見で、あるいは先ほどの通産省の部会の意見の中にもその趣旨は盛り込まれていたかと思うので、それを入れたのであるが、逆にこの辺についてどのような取り扱いをするかをまたご議論いただければと思う。
・ そもそもこの部分は作業委員の議論の中で、倫理審査委員会等で審査をする1つの審査基準を総論的にまとめてもらったほうが、単なる手順よりもいいだろうという議論がまずあり、それは確かにそのとおりだと思ってここに書いたが、ただ作業委員の中で語られていることと、先ほどの指摘されたことがかなり違っているが、ここはなぜこういう文面が出てきたのか。どこかの審議会の意見をとらえた部分なのかどうかということはどうだろうか。
事務局
申しわけありませんが、この表現は事務的に整理しただけなので、特にどこかの意見を取り上げてきたということではない。
・ だから、今のご意見に沿って修文可能だ。
・ 人の尊厳と適正な研究の推進と2つに分けてあるのは、この方がわかりやすいと思う。
委員長
これを分けていることに関してほかに意見はあるか。つまり前回の議論でわかりにくいということで、事務局はいろいろと苦労して分けたわけだが、どうだろう。
・ あんまり意見がないようなので申し上げるが、1ページの目的のところに2つのことが、つまり人の尊厳及び人権の尊重と研究を適切に推進するということが2つ並列されているわけですから、それをそれぞれ説明するのは何ら問題はないと思う。これでいいと思う。
委員長
よろしいでしょうか。それでは、目的の部分は前回の議論をもとにしてこのように修文されたということで、2つに分けて記述するという形で、細かな文章のあれはあるとしても、大きな構成はこのままでいくということにしたいと思う。
・ 適正な研究の推進というのは、人の尊厳及び人権の尊重ということが前提になっているから、適正な研究の推進なんだろうと思いますので、中は2つに分かれても構いませんけれども、完全に2つに分けられるものではないと思っている。人の尊厳、及び人権の尊重のために適正な研究の推進があると思っているので、そういう意味で基本方針が二重になっていのではないかと思う。
・ 人の尊厳というのはヒトゲノム研究の一番土台に来るべきものなので、それを外れた研究はできないと思うので、そういう趣旨が出るような形のほうがよろしいのかなと。もちろん個人情報保護というのは、どちらかといったら人権の尊重という観点ですね。だから、人の尊厳自身は大もとに来ないといけないのかなと。ちょっと切り離されてしまっているのかなという感じがある。それから、先ほど適正な研究の推進、(2)の「個人の不利益に見合う」というところだが、これは同じ言葉が3ページの(2)にもあるが、これは必要ないと思う。研究の社会的有益性の確認でよいと思う。
委員長
(2)に関しては、多分ほかの検討委員の先生もご了解いただけるのではないかと思う。今の適正な研究の推進の(2)と3ページの3の部分を修文していただくようにお願いする。人の尊厳及び人権の尊重が一番の根本であるということは皆さんご認識のとおりだと思ううが、これを分けることに関して、ストラクチャーの問題でどうだろうか。そのほうがわかりいいということと、分けるとかえってぐあいが悪いという意見が対立しているわけだが。
事務局
1つの解決策としては、分けるという発想はそもそも倫理審査委員会の審査基準みたいなところから出てきたのであれば、最初の基本方針のところは人の尊厳及び人権の尊重の(1)(2)(3)及び適正な研究の推進のところの(3)(4)を載せることとして、適正な研究の推進の(1)(2)に当たるもの等を、倫理審査委員会の責務のところに「倫理審査委員会においては、審査に当たって、当該研究が人類の知的基盤、健康、福祉へ貢献するものであること、また研究の社会的有益性の確認並びに人の尊厳人権の尊重に対する十分な配慮がなされていることを確認しなければならない」みたいな規定を置くということでどうだろうか。
・ 「個人の人権と福祉の尊重」というところは、今の枠組みはそれで結構だと思うが、(1)の「個人の人権と福祉の尊重」のところを「人間の尊重に対する十分な配慮」というふうに入れたほうが、大きく人を対象とするという研究の特質が出てくるので、いいかなと思う。
・ 人間の尊重とおっしゃったのは、尊厳ですね。ここではその直前の部分で「人の尊厳及び人権の尊重を図るため」となっていて、(1)「人間の尊厳に対する十分な配慮」というのは、意図はよくわかりますので、反対をしているわけではないけれども、言葉遣いを少し。
・ 「人の尊厳及び人権の尊重」のところは、「人間の尊厳及び尊重を図るため以下を基本方針としている」と。それで、人間の尊厳のほうが(1)の今の案で、人権の方はおそらく具体的には(2)(3)、それに尽きるのではないが、代表的なのはそういうことになるかなと思う。
委員長
わかりました。基本的な構成は2つに分けるけれども、中の個々の文章のその他に関しては、先ほど事務局のほうから提案されたような形に取りまとめるということで整理する。修文は事務局にお任せください。
事務局
1点だけ確認したいが、前文においても「人の尊厳」と出ているし、2ページ目の括弧書き一番上の1行目でも「人の尊厳」と、おそらく数カ所「人の尊厳」という言葉が出ているわけだが、これは「人間の尊厳」という形にすべて変えるということでよいだろうか。(一同了承)
・ 適用範囲のことだが、2ページの下から3行目、「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析は、本指針の対象としない」と断定しているが、ここは断定する必要はなくて、「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析においても、本指針の趣旨を踏まえた適切な対応が望まれる」とした方がよいと思う。断定すると後を読まなくなるということもあるので。その際、遺伝子解析を行う意思は関連学会等において作成される指針等を参考にするべきである。できれば注意書きとして、現在、8学会合同で共通の遺伝学的検査に関するガイドラインというのを急遽作成中なので、そういうものがあるという具体的なものを記載していただきたい。どこを見たらそういうものがあるかということがすぐアクセスできるような形を、ここに記載していただきたいと思う。
事務局
まだ存在も見ていない、検討会でも議論していないものを具体的にどうのこうのというのはなかなか難しいのではないかと。それを細則とか、要するに指針の一部として採用するというのは非常に難しいかと。それをパンフレットに示すときに、事務局としての参考みたいな形で掲げる、あるいは例えばホームページですと、ホームページのアドレスを入れておいてアクセスできるようにするというのはまた考えてみたい。本指針の対象としないと言い切るのではないということであり、これば適用範囲の問題であるから、ここは適用する、ここは適用しないというのがまずあって、望ましいべき論があるんだろうということで、こういう構成にしているのであるが、ほかの先生方の意見もまた聞いてみたいが、「対象としないが」で続けていくとか、それぐらいしかお答えはないんだろうと。すなわち適用するかしないかという、ある面でいくと生命線のところであるから、ここは1回はっきりした態度を示すべきではないか。その後に要望するであるとか、望ましいとかいう議論があるのだろうと考えている次第である。
委員長
これに沿って適切な対応が望まれるという形にすると、この指針の対象が非常にあいまいになる危惧があると思う。この検討会の最初の部分でここは相当議論した末の結論なので、これははっきりと、診療におけるヒトゲノム解析はこの指針の対象としないというのをうたっておいたほうがよろしいのではないか。
・ やむを得ないと今は思っている。ただし、今日、通産省から参考資料2で話があったように、ここは極めて大事なことなんだということを認識していただきたいということだ。あれをあのままにしないでいただきたい。法律等の担当の方々からそういうご意見が強く出ていたということだけは追加をしておく。つまり現場の人間が言ったことだけではないということだ。それをよく理解していただきたい。おそらく外から見ている方々もここが非常に気になるところであって、いつこういうものができるのかということを非常に期待されていると思うから、コメントでも結構なので、どこかで言っていただきたい。それなしでは認められないぐらいに強く考えている。
事務局
この件につきましては、前々回健康政策局からも管理職が出て説明をし、当然その結果というのは健康政策局の局長まで報告がされているわけであるが、改めてその趣旨はまた伝えておきたいと思う。
・ グレーゾーンを何とかいうのは前にも言ったが、下から3行目の「など」の次、「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析は」という言葉は絶対必要か。「なお、診療において実施され云々、確立されている臨床検査及びそれに準ずるヒトゲノム・遺伝子解析などは本指針の対象」としないで、「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析は」というふうにしたほうがよろしいかと思う。このほうが広いですから、そこがなければ準診療だということが明確になりやすいのではないかと思うが、どうだろうか。
委員長
もう一度文章を言っていただけますか。
・ 「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析は」というところをなくしてもいいのではないかと。ただ、あえてこれを残すことによってもう少し広くとっているつもりであれば趣旨が違ってきてしまうが。そこら辺は診療でも非常に研究にグレーゾーンがあるというお話が現場の先生方からあったので、そうであればそちらは絞るという形はどうかということだ。
・ ここは抜くと、多分、意図したこととちょっと違う意味になってしまうと思う。前半の部分は例えば保険で認められているものとか、高度先進医療で認められているものを多分意識して書いていて、その次の部分の「準ずる云々」のところはほぼ診療で用いられるけれども、そういう形でコンファームがなされていないもの。その2つをまとめて「診療における云々」という文章になっているが、もしこれを抜くと、「それに準ずる云々」のところが診療に非常に近いという意味が消えてしまうのかなと思っている。
・ 準ずるですから、当然、そこは非常に近いわけだ、前の文章と。前の文章に準ずるは、そこはくっつけて読めるので。今のお話であれば、それのみをとって「診療におけるヒトゲノム・遺伝子解析」という文章としておつくりになったのであれば、むしろない方が、疑義がないのではないか。
委員長
抜いても多分意図が伝わるような感じがするがが、これは文章上のことで、少し検討させていただく。
・ 前回定期的にというところを年1回少なくともということを主張して、異論というか、そこまではというご意見が結構多かったのでだめかな思ってあきらめたが、あと多少外国のものを調べたり、考えてみたら、審査後の研究の実施のモニタリンクは重要であるし、他方、年1回という要件を課して負担が大きいかというと、現在でも厚生科研、あるいは文部省の科学研究費をもらっている研究であれば、年度末に報告を出さないといけないし、委託研究などとなりますと年に2回の報告が求められていると思うので、ちゃんと研究が実施されている機関については新たな負担とはならないと思う。むしろそうでないところに守ってほしいということで、改めてこの定期的というのは、5ページの上から5行目以下(6)研究の実地状況の把握にある1行目の定期的な報告、本来は後のほうのものですが、そこに引かれている。それとあわせて、2行目の外部の有識者による定期的な実地調査について最低年に1回。それから、6ページの下から11行目の(5)の、先ほども触れられております研究責任者の定期的な報告義務、この2カ所について少なくとも年1回ということを加えていただきたいと思う。先ほどちょっと触れましたけれども、ほかのガイドラインを見ると、アメリカの厚生省の規則についても「not less than once par year」という文言が入っているし、英国ロイヤルカレッジのフィジシャンの指針を見ても「annual」というのが入っているし、WTOの倫理委員会のガイドラインを見ても「at least once a year」というのが入っている。これらの指針はすべて遺伝子解析研究に限定しない医学研究全体に適用されるもので、そういうものでさえ1年に1回というのが明記されているのに、より厳しい指針が適用されるべき遺伝子解析研究においてより間隔が広くても構わないと読める。定期的というのは、1年に1回少なくともというふうにとらえますけれども、そういうふうに理解しない人もいる表現を使うというのはまずい、対外的にもよろしくないと考えるので、少なくとも年1回という言葉を入れてほしいと思う。
委員長
いかがでしょう。定期的ということは具体的に年一回と。
・ 研究者サイドから報告するのは1年に1回というのはそんなに不可能なことではないが、例えば外部有識者の定期点検、実地調査を実施するというのは、10プロジェクト、20プロジェクトが実際に医学部で走るときに、現地調査のためにそれだけの人をいつも確保できるかという問題が現実的に起こってくるのではないだろうか。外部有識者の人に10プロジェクトや20プロジェクト毎年現地調査を実施していただくというのは、プラクティカルになかなか難しいように思う。
・ 逆に、今の発言自体に対する意見もあるが、2年に1回、3年に1回というのも難しのではないか思う。それから、前回1人の外部有識者という発言があったかと思うが、そんなに人員確保の点で難しいかなと思う。年1回難しければ、どれぐらいのスパンをお考えで定期的というのかというあたりを聞かせていただければと思う。
委員長
これはどんなふうにしているのか。
・ 今1回ぐらい。
委員長
年に1回?
・ ほんとうは2回ぐらいやることになっていたが、2回はなかなか難しくて、年に1回ぐらい。
委員長
そうすると、年一回くらいだったら何とかなると。
・ 1機関で、例えば1プロジェクトから2プロジェクトの場合はいいのだろうが、医学部の場合だったら20プロジェクトとか、極端な場合は30とかかなり走る。そのときには延べ人数で30人確保しなければならない。
・ 共通で。
・ その人が1年間30回?
・ 年1回、春ごろに。2月、3月ですね。3人ぐらいの委員会をつくって。
・ 集中的に行う?
・ おそらくそういうイメージでつくられた規定だと思う。
委員長
研究の現場の先生方は何か発言は。
・ 書類調査だと何とかなると思うが、実地調査ということになるとちょっとしんどいかなという気はする。それに応じて問題も出てくるし、そして受ける方は年に1回覚悟というか、意識を確認するというセレモニーとしては有効かなと思う。
委員長
確かに大変ではあるが、こういうふうに定期的とうたっているからには、それを年一遍という形で、より具体的に盛り込むということでよろしいでしょうか。(一同了承)
・ 確認したいのだが、以前に提起した問題で、こういう遺伝子の情報あるいは遺伝情報を完備に記載するということの問題点、これは診療に関係するから、この指針では扱わないと考えていいのだろうか。
 それからもう1つは、これもメールで問い合わせているが、個人識別情報の管理者が研究者を兼ねてはいけないと。確かに自分が使ったサンプルを勝手に管理してしまうのは非常にまずいということはわかるが、そうすると実際にその内容がわかっているような遺伝子を扱っていない研究者はなれないということになる。あるいは複数置いて相互に見るという形になるが、それでいいということだろうか。
事務局
複数置いて相互に見ることでも、それは差し支えないと考えている。
・ 同じく個人識別情報管理者のことだが、4ページの(3)のところに「必要に応じて、指揮命令系統を明確にした上で分担管理者を置くことができる」となっているが、この指揮命令系統を明確にした上でというのは、具体的にはどういうことか。
事務局
基本的には個人識別情報管理者がチーフ的にいるというイメージであるが、例えば仮に管理者の方が何らかの自分で携わっている研究があって、管理者ができないということになった場合には、それについては分担管理者が個人識別情報の管理を行うということをイメージしている。
・ イメージされているのは、例えば大学でいいますと、研究実施機関の長は個人識別情報管理者を置かなければいけない。だから、大学医学部に1人管理者を置くということでよろしいか。先日の文部省からの通達では、1人置くということで記載されたが、これもそういうふうに読んでよいか、それとも研究プロジェクトごとに管理者を置いていいか。
事務局
1人であるとか、プロジェクトごとであるとかいうのは、この指針の中で縛ってないので、2人置いても3人置いても構わないと考えている。
・ そこで、指揮命令系統を明確した上というのは、例えば多くの大学で今やられている方法というのは、医療情報部の教授に管理者をお願いして、各講座ごとに分担管理者を置こうとしているのが実際のところだが、そうした場合、指揮命令系統が明確になっているかということだ。
事務局
指揮命令系統というのは、基本的に今の例でいうと、ほかの部に置いた分担管理者が不始末をしたときに、情報部の教授が責任をとれるかどうかというところにかかってくるのだろうと。要するに縦割り社会だから、各部、各部でやっていて、情報部の教授という1並列した教授がこちらの分担管理者に物も申せないというようでは、指揮命令系統はないのだろうと思う。だから、それは指揮命令系統というわけだから、情報部の教授がほかの部の分担管理者に命令も出すし、こうしろと言うだろうし、命令に従わなければ処分をするかもしれないし、おまえは何をやっているんだと。それに従うのが指揮命令だと思う。そのかわりそこで何かあった不始末は、情報部の教授もとるということだろうと思う。
委員長
これは漏洩した場合には罰則が伴いから、上に立つ者は最終的な責任がとれるような立場になってないといけないというのが、この文章の意義だと私は理解していた。
・ そうすると、今の文部省からの通達とかなりこれが違ってくるということになると思うが、その点は文部省もよいのか。
事務局(文部省)
文部省としてイメージしていたものは、今、述べられたとおりのことであって、文章の読み取り方の問題かもしれないが、確かに最終責任者たる者を1人置いて、あとは講座ごとの分担者で実質的な管理は行うが、最終責任者は1人ちゃんと置いていただいてというイメージで文書を出したつもりである。
・ 医療情報部の教授は他講座の教官に命令はできないというお話だから、なれないのでは。
事務局(文部省)
実質的に責任をとるような体制を立てた上で、やっていただきたいということだと思う。
・ 具体的には、どうなればそういう責任の体制はとれるのだろう。
事務局
例えば医学部なら医学部の中で、医学部としての規定をつくって、情報部の教授を識別情報管理者とすると。情報部の教授は識別情報部の保護について最終的な責任を負うのだと。それぞれの部ごとにやられるものについては、分担の管理者を置くのだと。これらの人は情報部の教授が知らないところでやられてはいけないから、ここの連絡をどういう形でするのか。また、この分担管理者のやる範囲はそこの部だけなのか、ほかのものもやるのかという規定みたいなのをつくって、明らかにしていただくことなのだろうと思う。その責務の範囲と相互の関係と。
・ 医学部の場合だが、例えば今みたいに医療情報部の教授が最終的にそういった責任を負うという1つのやり方と、各講座でも最終責任者を置くという場合と、それは各医学部で決めたらいいということか?
事務局
部ごとに置くという考え方よりも、これは研究ごとに置くという考え方ですから、それを実態的に部ごとに置いておいて、その部で行われる研究、あるいは複数の部で行われる研究があると思うが、そのときにはだれがやりますというのが明らかになっていればそれでいいだろうと思う。医学部に1人でなくてはいけないとは考えていない。
・ そうすると、文部省の通達とこれはバッティングする。そうすると文部省から新たな通達が来るということですね。
事務局(文部省)
具体的に必ず1名置かなければいけない、あるいは複数名では不可であるという形の通達ではなかったかと思う。
・ 別の大学が問い合わせたときに1人ですというお答えをいただいている。
事務局(文部省)
失礼いたしました。通達をさせていただいたのがこの検討会が始まる前ということもあるし、この検討会の議論を踏まえて当然文部省内にこれは持ち帰るわけであるし、それを踏まえて当然新たな通達なりをお出しする形になると思うので、整合性はとれたものにさせていただきたいと思う。
・ 今度、文部省で24日にライフサイエンス部会を開くので新たに通達がいって、それはこの合同の指針に従うということに全国立大学がなると思う。
・ もう一度確認したいが、研究者が兼ねられないということになると、各教室に2人いるということですね。あるいは遺伝子の研究に一切タッチしない人が、この管理責任者ないし分担責任者にならざるを得ないわけですね。
事務局
そうであれば全く問題ないと思います。その研究にタッチしないということだ。
・ だから、2人必要になる。大抵の教室は複数のプロジェクトを持っているから。
事務局
何も教室単位に置けと言っているわけではないので、例えば医学部でいうと、これは医学部全体に置いても結構なわけで、教室ごとに置いても結構なわけである。
・ 多くの場合は教室ごとになると思う。そうでないと実態がわからない。
事務局
ただ、教室であれば、少なくとも複数名おられると思いますから、またそれも問題ないのだろうと思っている。
・ 4ページの(4)だが、研究実施機関の長はどうのこうのと。そこで、2行目に「ただし、試料等の提供が行われる機関が小規模であること等により」と、「等」が2つ出ていてよくわからないが、この「試料等の提供が行われる機関」はヒトゲノム・遺伝子解析研究を行う機関が小規模、これは入らないのだろうか。
事務局
「試料等の」「等」とうのは、「試料等」という定義をしているので、それを引いている。ここにおける「試料等の提供が行われる機関」というのは、基本的にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関することを想定している。
・ 研究を行う機関が小規模な会社とかベンチャー、こういうのは想定されてないわけですね。
事務局
ここの表現は実はミレニアム指針でこういう表現があったが、そこの後に「等」をつけているというところで、これは例示であり、そのほかもこれに準ずるようなさまざまな場合は想定され得るんだろうと考えている。
・ 今のご質問は提供のところを気にしておられると思うが、ミレニアム指針の場合の小規模云々というのは、小さな診療所のようなところで試料の提供を受けるという意味で使った言葉である。ミレニアムプロジェクトの場合はそういう状況しか想定できなかったものだから、今の意見は逆にそういう試料を用いて小さな研究機関で行う場合もここに入るのかと。要するに提供が行われる機関という言葉の中に研究をする側の小さな機関も入っているのかというご質問だと思う。
事務局
ですから、「小規模であること等により」の「等」で、準ずるというのは読むんだというお答えをしているわけですが、それで納得いかないということになると、この「ただし」の後の「試料等の提供が行われる機関」というのを、例えば研究実施機関に変えるとか、最後の「等」を削るとかいうことも1つの考え方なんだろうと思うが、今の文章のほうが「小規模であること等」ということで準ずるものが「等」の中に一定の範囲で含まれるというふうに解釈するので、そういう意味ではそちらのほうがより融通がきくやり方かなと思っている。
・ この場合、もう1つ共同研究機関、公益法人または学会によって設置されたところに、例えば公益法人のところにこれに準ずる公益団体とか、その辺はいかがか。
事務局
これに準ずる公益団体というのは世の中にどういうのが存在するのか。
・ 例えば製薬協とか、法人格を持たないところ。
事務局
一般に、例えば製薬協というのは製薬工業協会で任意の業界団体で、業界の利益のためにあるんだろうと考えると、公益法人とはかなり性格が違うんだろうと思う。
・ その場合、1つはJBICという財団があるから、そこを通してこういうのをつくればいいのかもしれないが。
事務局
基本的には、できれば法人格のあるところに置いていただければと思っている。法人格がない場合には、問題が起きたときにどういう責任になるのかというのがはっきりしなくなる。
事務局
これに準ずる公益団体ということで、製薬協を念頭に置いてよいのではないかということであれば、そうさせていただくので、そうでなくてはいけないということを言っているわけではない。
委員長
製薬協であれば何か困ることがあるのですか。何か問題が起きたときに責任がとれない。とれるでしょう。
・ 最初、見直しというのを1年ぐらいでやるのか。それだったらそのときでもいいと思ったのですが、5年間ということになったので、ご意見を申している。
委員長
それは必要があればという話がありましたのでね、その都度。公益法人等にしたらどうですか。
事務局
反対の意見もないということは、製薬協というある程度大きな業界の団体まではいいのではないかというのが、先生方のご理解だと考えてよろしゅうございますか。もしそうであれば、そういう理解をもとに修文を考えます。
・ もしそういうふうに考えるとすると、前に倫理委員会の構成のところで、外部の人は2人ぐらいしか見つけられないというのは、そこはできるだけ半数に近いというところで、少しバリアを高くしていただければと思う。
・ この辺になると非常に大きな問題になる。業界としては今後ヒトゲノム解析研究が相当やられるようになって、業界としてもきちんとした間違いのないような研究を行うために考えている。そういう点で小さいところとか、ベンチャーの社会に批判されるような研究を防ぐためにも、業界がそういう自主的な委員会とかを持った方がよいのではないかというのを少し検討している。意見を出させていただいた状況だが、今言われたことは一番つらいところで、そのために条件として半数以上になると。
事務局(通産省)
小規模なところがどこか外部で倫理審査委員会を受けられる道を開けばいいというのはそのとおりですが、その対象として任意の団体のもとに置かれる倫理審査委員会ということになると、倫理審査を置くために任意の団体をつくるという道も開かれることになってしまうので、極めて規定が難しくなると思う。ここでは仕切りとして、公的団体じゃなくて、公益法人というちゃんと法人格を持ったことにすればよいと思う。
・ 1つは、こういう研究がふえた場合にJBIC1つだけでは足りない、もう1つあったほうがいいかなと思って言っただけで、私の意見は撤回する。
・ 3の研究者の基本的責務のところで、1つは、(2)の「研究実施に伴う個人の不利益に見合う」というのは外していただきたい。(4)の「すべての研究者等は、事前の十分な説明と試料等提供者の自由意思による同意」とあるが、これは少し違うと思う。「提供者への事前の十分な説明とその者の自由な意思による同意」ということだと思う。主語がはっきりしないですから。同じところで、「遺伝子解析研究を実施することを基本としなければならない」というのは、何となくその例外があるような気がするので、これも「実施しなければならない」ということだろうと思う。(3)のところで「試料等の提供が善意に基づくものであることに留意し、できるだけ必要最低限とするよう努めなければならない」というのは、多分一番最後のところに置かれるべきものじゃないかと思う。要するに研究を始める前にどうするか、研究をする際にはどうするかというのがあって、全体にかけてできるだけ試料の提供を最低限にすると。そうでないと、(3)が上の方に来ますと、何となくこれが非常に重要な印象を与えますので、むしろ重要なのはインフォームド・コンセントと個人情報の保護でしょうし、そのために倫理審査委員会があるということだろうと思う。
委員長
(2)に関しては先ほどのご指摘のとおりで、前のページと一緒に直すことになっているので、よろしいかと思う。(3)を一番後ろに持っていく、あるいはもう1点の修文の件について、何かご意見があったらお受けしたいと思う。
・ 4番の「事前の十分な説明と試料等提供者」はよろしいんですか。それとも、説明の相手は試料等提供者には限らない。説明を聞いて提供しないという人もいるので、ここに置かれたのかなと理解していたのですが、そうでもないのか。
・ 試料等提供予定者と。試料等提供者の同意というのもおかしいですから。
事務局
ミレニアム指針のときにそういう議論があった。これは実施するというところにもかかっておりますから、「試料等提供者への十分な説明」でいかがか。(4)の「基本としなければならない」のところを「しなければならない」ということで、基本的な責務ですから、考え方を示したと思う。他のところから提供を受けてやるとか、既に研究実施前提供試料であるとか、こういうものとのそごが生じるのではないかというようなご指摘が先日の厚生科学審議会先端技術評価部会でありまして、「原則として」を入れるとか、あるいはというような議論があり、「基本としなければならない」としている。
・ 今の点は、今日見てきた中で全部処理できているのではないかと思う。この指針だけでは不十分な部分があるということですか、もしくはその中にそごを来す部分があるという厚生科学審議会のご意見でしょうか。
事務局
この指針の中でそごを来してしまうと。すなわち「すべての研究者は、インフォームド・コンセントを受けて実施しなければならない」という形にすると、既提供試料は場合によって、例えばC群ですと、特別な管理と特別な条件のもとで倫理審査委員会の承認を受けてやれる場合がある。この時にはインフォームド・コンセントがないのではないかと。そこで、この指針の中に衝突があるだろうという非常に例外的な話である。基本的な責務というところに小さいな例外まで考えた文章にする必要はないのではないか。
委員長 この文章の中に残してよいのではないか。
・ これは日本語の問題で、法律は通っているのかもしれませんが、インフォームド・コンセントを受けてというのはちょっと変な日本語に聞こえる。「得て」ではないかと前文を思っていたが、これはこういうふうに言いあらわしているのか
事務局
これはミレニアム指針のときにかなり大きな議論になった。「得る」というのは、どちらかというと指導的、「とる」というような感じを与えてしまう。インフォームド・コンセントというのは、あくまで提供者の善意に基づいて与えられるものだと。その能動的、受動的な関係をあらわすために、「受ける」という表現にすべきだという、かなり長い時間をかけてディスカッションがあった。
・ よくわかりました。それとは別に5ページの(8)ですが、ここにある「その」とかいう言葉の使い方が非常にわかりにくいので、こういうふうに変えてもらったらどうかと思うんですが、「研究実施機関の長は、試料等提供者からの問い合わせや苦情、あるいは相談等に対し窓口を設置するなど、適切な対応に努めなければならない」。この「その」というのは何を受けるのか内容がわからなかった。
・ 先程の「受ける」であるが、ミレニアムの作業部会メーリングリスト、あるいは共通指針の作業委員会メンバーの意見では、おそらく「得て」でいいという認識ではないかと思う。「とって」というのはまずいという人がおられるようですけれども、「得て」のほうが抵抗を感じない人が多いのではないかと思う。
・ 新たに加わった方は皆さん「受けて」のところにすごく引っかかって、非常に苦しい言葉遣いになっているのは事実である。ところが、それはさっきの「得る」「得て」ということを大変配慮した文章になっているのですが、そのときに、ただ「得る」はいけないが、「得た」という過去形はいいという話になっていた。「得た」を使うか、あるいはこの検討会ではそれはいいよと言っていただければ、非常に文章は楽になると思う。
委員長
文章がスムーズに流れるようになれば、「受ける」でも「得る」でもよろしいということで整理してよろしいでしょうか。
事務局
インフォームド・コンセントは「得る」と書いていいと。これはかなり大きな方針転換になるんだろうと思っている。
・ ミレニアム指針のときにインフォームド・コンセントは与えるものであって、「とる」というのはおかしいという話がありました。「得る」というのも、研究者の立場からの動詞だろうという理解があったと思う。そういう意味で「受ける」という、ある意味では研究者のほうが少しへりくだったような形で出てきた表現ですので、「受ける」の方がよいとは思う。
・ 「受けて」というときは英語で何を念頭に置かれるんですか。セーブ、アクセプトではないですね。例えばオビテインを念頭に置かれているんじゃないですか。だから、あんまり違わないような気がするのですが。
・ 主語が違っているわけです。研究者はオブテインするという場合には、もちろん「得る」とか「とる」ということなんですけれども、基本的には提供者が与える、つまりギヴだという理解から、「受ける」という言葉に変わってきた。それでは、主語を変えればよいではないかという話になってしまいますと、ここは「研究者は」ということになっていますので、したがって「得る」というのではなくて、「受ける」という言葉遣いということで、ミレニアム指針のときにはかなり細かな議論をしたと思っている。
委員長
ミレニアム指針で十分議論されたところをそのまま生かさせていただく。
・ 8ページの7の倫理審査委員会の(2)で、倫理審査委員会委員の守秘義務ですが、この規定だと個人情報のみ守秘ということであるが、それ以外の情報も正規のルートで公開すべきだと思うが、議事については基本的には守秘であるべきという意見でよいのではないか。「個人に関する」をとりまして、「職務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない」という方があるべき姿ではないかと思う。公開すべきものは正規の委員長なりから公開してもらう。
・ 3ページの3番の(3)で、「人からの試料等の提供を必要最低限とするよう努めなければならない」と書いてあるが、これの多くは研究者がこれを守らなければいけないわけで、研究者とすると、最も重要な責務というのは正確なデータを出す、社会にその成果を還元するということだったと思う。できるだけ多くの試料を集めて、正確な結果を出すというのが第1というふうに多くの研究者は考えていると思う。ここで「必要最低限とするよう努めなければならない」というのは、こそこそと何かやっているような気がするのですが。士気を低下させるのではないかと。
・ 1人1人という意味ではなくて、例えば既提供試料とかを可能な限り利用して、そういう機会をできるだけ減らせという意味だと思う。だから、個人をイメージしているのではなくて、社会をイメージしていると思う。
・ 5の研究責任者の責務というところの(2)で、「試料等提供者が単一遺伝子疾患等を有する場合」と限定されているが、これは限定する必要があるのか。これはいかなる場合であっても、試料提供者に予想されるさまざまな影響等を踏まえ、研究の必要性、不利益の防止等の方法を十分考慮しなければならないということと思う。「単一遺伝子疾患等を有する場合」と限定されていることの意味がよくわからない。
事務局
1つは単一遺伝子疾患等でありますので、「等」で読める場合もあるだろうということと、これは委員のご意見を踏まえてつくらせていただいたものでありますが、特に念頭に置かせていただきましたのは、その下に書いてある精神・知的障害を伴う方々について特に特別な配慮が要るのだと。そのことはくれぐれも強調をお願いしたいということを踏まえて書いた。それを一般的にルール化するとこういうことになるのかなということで、「等」の中で読み得るのではないかなと思っていたが、ご意見をいただければと思う。
・ 細則のほうに出てくることについては私も全く異存はないが、こういう形では、これこれこういう場合に限るというように読めてしまう。
事務局
単一遺伝子疾患の場合には特にという形で書くかどうかということも含めて、一般論にこれをするという方向で処理します。
・ ちょっと別な問題で、一番最初に審議会との関係で伺った点ですが、例えば今の議論の中で倫理審査委員会のモニタリングの機構とか、そういうのが審議会で意見が出てきている。もう1つ指針の統一化、一本化という問題が出てきている。作業委員会の中でこの2つの点については、ほとんど異論がなく進めるべきだという意見をいただいている。その点に関しては、指針一本化の問題では作業委員会のマターではないと。それから、倫理審査委員会のモニタリングのところに関しては、必要あればいいと思うけれども、とても現実的に行政でこの膨大な数のものをまとめ切れるものではないだろうということで一応整理はしている。審議会からこういう意見が今後出てきた場合、小さな修文は直しているが、こういう大きい問題は素通りしていくし、多分そうすべきと思う。検討委員会として案を出すだけですから。ただ、この点に関して、特に今後どういう対応を通産省としては考えているか。これはほかの省庁も同じ問題が起きてくると思うが。
事務局(通産省)
部会は通産省ではなく、通産省の行政に対して意見をいただくための部会で、ここでいただいた意見には2種類あると思っている。1つはこの指針に反映するべき事項というのと、もう1つは、この指針の運用に当たって、行政として留意すべき事項という2種類の違ったタイプの意見が出ていると思う。この指針自体に対する見直しの事項というのは、検討委員会でご議論いただいた上で反映させるべきだと思うが、例えば指針の一本化の話、あるいは倫理審査委員会のフォローアップの話等については、この指針自体というよりは、それの運用に伴う行政に対する意見であると受けとめていまして、こうしていただいた意見について、行政として対応可能なものについては極力反映していきたいと思っている。倫理審査委員会のチェックについてもどこまでできるかわかりませんが、それなりに行政としてバックアップできるような体制を整えていきたいと考えている。
委員長
要するに指針の一本化ということに関していえば、この検討会の義務を超えるといいましょうか、高度に行政的な判断を要する話であるという理解で整理しておきたいと思う。
・ 同じく責任者の責務のところの(3)ですが、先ほど協力、非協力というよりは、提供という言葉を使うというお話があったと思う。(3)の「特に」以下で、「事前な十分な説明と自由意思に基づく研究への協力又は非協力の決定(インフォームド・コンセントの手続、方法等)」というところはインフォームド・コンセントの手続、方法の話だと思いますので、(インフォームド・コンセントの手続、方法等)というのを前に出された方がよいのではないか。「事前の十分な説明と自由意思に基づく」、ここは同意で、これを括弧でくくるほうが妥当ではないかと思う。それを責任者が確認するという話だと思う。そこの細則の部分ですが、2つ目の括弧書きのところでも「単一遺伝子疾患等の場合の研究の必要性」と出てきているが、これはどういう意味を持っているのか。同じく細則のところで、下から10行目の「既提供試料等を使用する場合の同意の有無、同意がない場合の匿名化等の取扱い」というのは、こう書いてしまいますと同意がない場合に匿名化すれば使えるという感じを持ってしまうが、そこはこれでもよいのか。
事務局
単一遺伝子疾患等の場合のところにつきましては、先ほどの(2)並びに細則等で想定していたことを研究計画書にもきっちり書いていただいて、倫理審査委員会でもご判断いただこうという趣旨で盛り込まさせていただいた。先ほど(2)との修正の関係で、見直すべき部分についても検討してみたいと思っている。それから、この辺の同意がない場合の匿名化等の取り扱いというのは、もともとミレニアム指針に書いてあった記載すべき事項について、かなり簡略にまとめている面もある。その辺のご懸念も踏まえて工夫ができないかどうか確認してみたいと思う。
事務局
一般論として、先ほどの研究計画書のところで、全部に研究の必要性みたいなのを一々書かせるかどうかというのが議論としてあるんだろうと。例えば「特に」とか、何か書き方が少しあるんだろうと思っている。
・ 今回修正のあった部分ではないが、12ページの上のほうから始まる(2)ですが、「研究責任者は、試料等提供者が自らの遺伝情報の開示を希望していない場合には、開示してはならない」。その細則で結論的には開示してはならないとあるのですが、ここはいろんなところに諮って、細則の前に「なお開示を希望しない場合には、開示してはならない」ということで、ニュアンスは開示を希望すれば開示するということが念頭に置かれていると思う。本文のところでは本人が希望しない場合は開示してはならない。原則もついてない。一律開示してはならないとありながら、ここの細則では重大な影響を与えるようなものが判明したときは、開示する場合もあるということが書かれているということになるが、そうなるとこの太いところだけ読んで、一律開示はないというふうに受け取られて、細則まで読まれないこともあるのではないか。3番の方は「原則として」というのが入っているが、この細則に書かれていることが妥当かどうかちょっと疑問に思うが、書くのであれば太いところで「原則として」というのを入れるほうがいいのか。
事務局
この辺はまさにご議論のあるところかとは思うが、ここでの考え方は(2)のルールは、最後は徹底されるだろうということで、例外はないということで、例えば「原則として」という表現を(3)に比べてとっていない。だから、細則は何なのかというと、開示してはならないのですが、単純に開示してはならないのではなくて、それに至るまでの過程があるであろうという、その過程を補強したということである。この過程の中でもし本人の同意が得られれば、これはむしろ第1ルールのほうになる。同意が得られれば開示できるという整理にさせていただいたつもりである。
・ 「試料等提供者」、これはもう1つ「等」が要るのではないかと思う。これは血縁者というのをとらえたわけですが、他の大衆あるいは社会に迷惑を及ぼすような可能性のある、特に生命に及ぼすような重大な欠陥が見つかったときにはということを申し上げまして、上のところもそういう書き方になっておりますので、「等」を入れていただきたい。
・ 7ページの上から2つ目の(7)で、匿名化されていない試料等の話ですが、その下の細則のところの「試料等提供者等が同意し」というのは、匿名化をしないことに同意しているという意味なのか、匿名化を行わないでいるが、それを外部の機関に提供するということを同意しているのか、そのあたりがこの文章だけでははっきりしない。これは匿名化をしないということにもちろん最初に多分同意をするんだと思うし、もう1つ後の段階でその試料を外部に提供するということについても同意をするということをはっきり書いておくべきだ思う。
委員長
ご指摘のとおりだと思う。
・ もう1つ重要な問題ですが、倫理審査委員会のところで、9ページの(4)の細則になりますが、迅速審査手続に関する細則のところで、最初の2つは前のバージョンでもちろんあった分ですし、3つ目はこの間こういうのを入れたほうがいいということで合意をしていたと思うのですが、4つ目の「上記に準じ、人権に支障を来さないと考えられる研究計画の審査」というのは、前に丸山委員から危険がない場合という提案があったが、垣添委員長もその件を議論しはじめると収拾がつかない、という話で、これはここには載せないということにしたと思う。
事務局
事務的なご説明をさせていただきますが、前回の前提では限るという前提ではなくて、例えば何とかであるということがあったと思います。今回は以下に限るということで、まず最初の表書きが違っているということと、あと危険という考え方ではなかなか難しいのだというご議論だったと思う。危険というのを何かに言いかえられないかというご議論がまだ余地があったんじゃないかということで、実はミレニアム指針の表現の中で「試料等提供者の人権に重大な支障を来さないと考えられるものは迅速審査できる」というのがあったので、それを引いたと。ただ、重大な支障を来さないということについては、軽微ならいいのかというご意見があったものですから、「重大な」のをとって、「人権に支障を来さない」ということにすれば、安心ではないかというような経過があった。
・ 人権に支障を来さないかどうかという判断は、一義的に倫理審査委員会そのものがやるべきだと思っている。1回この種の研究は人権に支障を来さないということがわかった後で、同じような研究についてであれば迅速審査は構わないと思う。必ずしも構わないと納得して言っているわけではないが。しかしこう書くと、だれが人権に支障を来さないと考えるかということは、この場合、迅速審査ですから、1人の委員がこれは大丈夫だと言ってしまえば、それで通ってしまう可能性があるので、ほかの3つと比べると極めて重要な問題ですから、ここには書くべきではないと思う。
事務局
前回のバージョンだと、9ページの1行目の1で「迅速審査手続による審査に委ねることができる事項は、一般に次のとおりとする」と書いてあって、最後がなかったと。
・ それでいいかというのは、これを入れていいかという趣旨ですか。
事務局
9ページの1行目を「迅速審査手続による審査に委ねることができる事項は、一般に次のとおりである」として、4の「上記に準じ」のところを削る。前回に戻す。
委員長
当然じっくりごらんになればいろいろ出てくることは間違いないと思う。時間も限られているので、これで前文から始まって、Vまで通してごらんいただいたということにさせていただきたい。当初から申し上げていますように、大変厳しい時間の制約の中でこういう共通指針の原案を取りまとめていただいたことにまことに感謝申し上げる。今日いろいろご議論いただいたことを踏まえて、これは修文されるわけですが、これ以降は委員長の責任で取りまとめをさせていただきたいと思うが、ご了承いただけますでしょうか。
・ 基本的にはそれで結構だと思うが、きょう議論になった点以外の細かな文言の修正は今後構わないと思うが、きょう議論になった以外の点を修正することはおやめいただきたいと思う。
事務局
全体の体裁をとるための文言の修正というのは出てくると思うが、5時間もかけて論議していただきましたのに、本質にかかわる部分を訂正するということは考えていない。
事務局
検討会でいただきました案を各省庁の審議会に諮り、さらにパブリックコメントを行い、最終的な審議をしていくということで、おそらく今年度末の3月ぐらいまでかかっていくと考えている。また、この検討会の役割、任務と申しますのは、各省庁の審議会に出す案をつくるということで、そういう意味で達成していただいたと考えている。最初にお断り申し上げましたように、せっかくつくっていただいた案の本質にかかわるような部分を各省庁の審議会で訂正を入れるという事態も考えられないわけではないので、そのような点は、また委員長ともご相談をし、先生方の意見を聞くということもあると考えている。審議会等における議論の状況というのはメールあるいは文書で送らせていただきたいと考えている。
委員長
ありがとうございました。これをもって、この検討会を閉じさせていただく。

以上


照会先
厚生省大臣官房厚生科学課
課長補佐 野口尚
電話 [現在ご利用いただけません](内線:3804)


審議会議事録 HOME