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第3回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会議事要旨


1.日 時: 平成12年11月15日〈水〉15時〜17時10分
2.場 所: 厚生省特別第1会議室
3.参加者: 内海、杉田、竹内、寺田、福井、吉冨、米澤、若杉、鷲尾
(五十音順、敬称略)

4.議事要旨(○は委員、●は事務局の発言)

《株主議決権の行使について》

○「反社会的」というのは国又は基金では判断がつきにくいという説明があったが、明白な反社会的行為を認めたときの行動については明記するべきではないか。反社会的な会社に投資しているのかどうかをチェックできる体制を整備しておくことが必要。
●明白に反社会的と判断できる例もあるが、公的資金による経営への介入につながってしまうこととなりかねないのではないか。したがって受託機関に判断を委ねることが適当ではないか。
○「反社会的」が「反政府的」や「反政党的」にもなりかねない。また、「反社会的」の内容も時によって変わる。年金資金の運用としてそこまでは踏み込めないのではないか。
○ルール違反はルール違反としてチェックできるようなことにしておくことが必要ではないか。
○法律違反の企業にはそもそも投資しないはず。また、自主運用開始後は、審議会に運用状況が報告される。
○文章にしっかりと書かれることが必要。基本方針に記載され、それをチェックできる場があるのであればそれで構わない。
○資料にある「裁量」と「長期的」との文言が気になる。今後、企業価値の判断はますます困難になるが、その点についての判断をすべて受託機関に丸投げするということになるのではないか。
○その時々の利用しうる情報をすべて用いて判断することを求めるのであり、運用受託機関に結果責任を求めるものではない。
《同一企業発行銘柄に対する投資制限について》
○ 5%とすると、例えば7機関で35%にも達することがありうる。そうなると企業の重要案件を否定できることとなり、適当ではないのではないか。
○ 議決権の行使内容は、個々の運用受託機関の自由な判断に委ねており、投資家として運用受託機関がそのように判断するのであれば仕方ないのではないか。
○ 受託機関相互で基金からの受託資産における株式の議決権行使に関して情報交換はするのか。そのようにして統一行動を取りうるのであれば、国による企業支配の問題が生じるのではないか。
● 受託機関には守秘義務が課せられており、相互にどのような銘柄で運用しているか他には漏らさないこととされている。また、個別受託機関の受託資産の5%であり、足し上げてもそれほど大きくはならない。
《デリバティブズの利用について》
○ 基本方針研究会報告書の「なお、今後の金融技術革新の成果を速やかに取り込むことが重要であり、その動向について常に研究を行う」の部分を入れておくべきではないか。
○ 民間の運用機関と異なり運用資金が公的な資金であることを考えると、安全性を求めるべきではないか。「なお…」を挿入することにより、その点の規律が緩むようなことがあるのであれば反対する。
○ マーケットニュートラルなロング・ショート手法のようなものを活用できないと問題ではないか。
○ 受託者責任の考え方に立つと、最大のリターンは許されたリスクの下で目指すのが当然のことではないか。
○ この検討会において検討するにしては細かすぎるのではないか。もっと大きな構造で考えるべきであり、チェック構造があるかどうかが重要ではないか。
● 新しい自主運用の仕組みにおいては、運用状況を審議会に報告することとしており、その審議会において運用の在り方も議論することとなる。
《基本ポートフォリオについて》
○ 政策的アセットミックスの意味はどのようなものか。すべての運用受託機関がこの割合での運用を行うのか。
○ 乖離許容幅の設定が残っているが、様々な受託機関に委託している運用資産を足し上げると、政策的アセットミックスから乖離許容幅の範囲内にあるということ。
○ 間違いはないと思うが、ここまで固定的に設定できるのか。例えばリターンについても理論的にはこうかもしれないが、実態はそうはいっていないのではないか。
○ アメリカの運用が成功している背景にはこのような方法に基づく運用を行っていることがある。現在、考えられる方法・知恵を使い切って考えたもの。
○ この基本ポートフォリオは移行期を終えた7年後の姿。そのときにはどうなるのか現段階では分からない。外債≦外株となっているが、為替裁定や購買力平価は長期的にのみ妥当するものであり、短期的には経常収支なども影響する。固定的にせず、弾力性を認めるべきではないか。
○ 経験上、市況により戦略的・機動的にウェイト変更をするよりも長期運用が可能という年金資金の資金性格を生かして、長期の資産配分比率を作り堅持することが適当である。実際、長期的には、運用収益の90%はアセットミックスによって決まるということが実証されている。
○ 我々が責任を負えるのか。
○ この検討会がどこまで議論するのかの問題。この場は基本的な部分を議論するとともに、厚生労働省及び年金資金運用基金をチェックする場である。今後の7年間でどのような引受が適当かという点を検討するべきではないか。
● 長期の基本ポートフォリオを決めなければならないということは法律においても規定されている。基本方針は毎年、検討を加え、必要があれば見直しをする。一度決めてしまうと、未来永劫そのままということではない。責任問題については、合理性のある手順を踏まえて意思決定を行ったかどうかについて問われるものであり、結果責任ではない。
○ 余りに固定的に決めてしまうと実際の運用の現場で困るのではないか。
○ 長期的な運用と言いつつ、評価が短期的なものであれば長期運用が可能という年金資金の資金性格が活かせないのではないか。
○ 長期運用が可能という長所を活かすために基本ポートフォリオを策定するものである。
○ 期待収益率等の推計値は、合理的な投資家の乏しかった時期のマーケットのデータも入っており、あまりヒストリカルデータを信用できない。市場のプロの運用機関のポートフォリオより多少保守的なものにするのが適当ではないか。引受財投債を相当程度保有するが、その部分が生きた運用にならないかもしれない。これらを考えると、ゼロ・スタートでもあり、幅をもった形で柔軟に資産比率を動かして行くのが適当と思う。
○ 積立金の規模を考えると、市場にとってはoversupplyの問題が生じるのではないか。
○ 規模は大きな問題。シミュレーションの途中であまりに大きな市場占有率とならないような制約をかけている。外国資産に投資する趣旨は、国内市場への影響に配慮するねらいもある。
○ 我々は責任ある立場であり、基本ポートフォリオの策定について説明責任が求められる。
○ 例えば、年金福祉事業団の現在のポートフォリオと今回の案を比べることにより、この案がよりよく理解できるし、また、センシティビティ・アナリシスを行うのも、一つの方法。データの取り方については、議論を始めると何も進まないこととなってしまう。
○ 移行期について検討するためには基本ポートフォリオをゴールとして考えることが必要。

〜以上〜

〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
TEL 5253−1111(内線3348)
夜間 3501−3450

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