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第5回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会専門部会議事要旨


1.日時: 平成12年11月10日〈金〉14時〜17時15分
2.場所: 共用第18会議室
3.出席者: 浅野、鮫島、寺田、中田、三浦、米澤、若杉(五十音順、敬称略)
4.議事要旨 (○は出席者、●は事務局の発言)

第3回専門部会、第4回専門部会の議事要旨については、配布資料のとおり確定。

《基本ポートフォリオについて》

基本ポートフォリオ専門部会案については、配付資料のとおり決定。
《移行期のシミュレーションについて》
○ インフレによるライアビリティの変動を考慮して、実質ベースで見ないとミスリーディングになるのではないか。評価の尺度としてライアビリティを考慮することが必要。金利シナリオも4%に収斂するというものだけでは不十分ではないか。また、直線補間のイールドカーブでは、長期債のプレミアムを捨象してしまうのではないか。
● ご指摘のライアビリティの問題点については、よく検討したい。
○ 簡便法として年間給付費の何年分を保有しているのか、という数字であれば可能ではないか。
○ イールドカーブ予想で2011年に短期金利が2.5%になっている理由如何。
● イールドカーブの直線補間と同様に、1つの割り切りとして数字を置いたもの。
○ フォワードレートから計算したスポットレートの活用など、現在得られる情報を最大限活用することも考えるべきではないか。また、確率変動の要素を取り入れることが必要ではないか。
● ご指摘の点については、今後のシミュレーターの改善の際に検討したい。
○ 今回の資料は、あくまで大枠を示すものであって、出発点であるということをご理解いただきたい。
○ 先ほどのご意見の趣旨は、基本ポートフォリオへの接続時期をもっと遅らせるべきではないか、との趣旨か。
○ そうではなく、4%に収斂するケースだけだと、おおむね丸く収まる結果しかでないことを考えると、ライアビリティとの関係でもっと色々なケースを検証する必要がある、ということ。確率変動を盛り込むことも一案だが、シミュレーターの構築が大変だから、金利シナリオをもっと増やすべきである。少なくともずっと低金利がずっと続くパターンや金利が大幅に上昇するパターンも必要ではないか。
○ 金利シナリオの変化によって相関係数も変化する可能性があるのではないか。
○ ライアビリティも考慮すると、各アセットのリスクの大小も逆転する。公的年金は積立方式ではないが、保険料の上昇を抑えるためにこの程度の積立金が必要という数字をライアビリティと捉えることによって可能ではないか。厳密にはそのシミュレーションごとに財政再計算を行うことが必要となってくる。
○ 年金制度が安定期に入っていれば、給付費の何年分という数字をターゲットにできるが、現在のように制度が変動期に入っていれば、この時期ではこのくらいの値が適当という判断が必要になってくるのではないか。様々な金利シナリオを用意するよりも、ストレステストを行うべきではないか。
● 将来の金利水準については様々な議論がありますし、ライアビリティについては現在凍結されている保険料がどうなるのかによって大きく変わる。そのような意味で不確定要素が大変多いわけですので、この場では、定性的というか実際の運用に当たっての留意事項のような点についてご議論をお願いしたい。
○ 保険料の凍結や足下の運用環境を考えると、非常に厳しい状況も考慮することが必要であり、様々なシナリオを検討することが必要ではないか。
○ 運用環境が厳しいことは給付額の伸びの抑制で相殺される面もあり、そのような意味でも給付額も考慮しながらのシミュレーションが必要。
● 財政再計算における将来の積立金見通しを予定積立金とみなして、これをシナリオに沿った金利等で出したものを比較することで対応することとしたい。
○ リスクの一部がモデルに入っていないことから、最適化は不可能ではないか。様々なシナリオを試すことにより、コンセプトとして最適化を行ったという理解になるのではないか。
● このシミュレーションから考えられることをもう少しお願いしたい。
○ 現在のシミュレーションで引き受けパターンごとにあまり差がないことの原因は、金利シナリオが4%に収束するものしかないことが考えられる。また、20年債・30年債のプレミアムが考慮されていないことも原因。インフレ連動債や変動利付債も含めて欲しい。
○ インフレ連動債とか変動利付債のプライシングは、オプションコストを考慮すると、それほど意味はなく、むしろデュレーションマッチングが重要ではないか。
○ デュレーションマッチングは、給付がインフレ連動するため不可能ではないか。また、金利が予想通りに変動してこなかったことを踏まえると、現在のイールドカーブから算出されるオプションコストを払ってもペイするのではないか。
○ 必ずしもペイしないからこそオプション性があると考えるべきではないか。これだけ債券ウェイトの大きいポートフォリオであればデュレーションマッチングを考慮することは十分に意味があるのではないか。
○ デュレーションマッチングはライアビリティが固定していることが前提であり、実質ベースで給付額とライアビリティが決まる公的年金の場合は、実質ベースのリターンをもたらす債券がない限りデュレーションマッチングはできないのではないか。

《管理運用業務について》

○ バランス型から特化型へ移行するに当たり、厚生年金基金連合会でも取り入れている資産クラス別担当制を新基金でも採用してはどうか。
● 昨年から資産別に変えている。
○ パッシブ運用が中心になるとしても、市場流通量が少ない一方で、インデックスにおける比重が大きいような一部の銘柄に対する対応をどうするのか、検討が必要。
○ 巨額の資金全体が一つの意思で一つの方向に動くのは危ないような気がする。複数の運用機関を採用することにより、自然なマーケットの動きに沿うことができる。
○ インデックスもフリーフロートをベースにしたものが開発されつつあると聞いている。アクティブ運用に関しては、アクティブマネージャー全体のインフォメーションレシオを足し上げた数字で判断することになるのではないか。また、ETFのような商品の利用も考えるべきではないか。リスクバジェットのような考え方も取り組む価値があるのではないか。

《デリバティブの利用について》

○ 資金規模を考えると、一律に使用しないというのは硬直的すぎないか。
○ 長期運用である以上、為替ヘッジは例外として派生商品であるデリバティブは不要ではないか。
○ アメリカの年金基金においては積極的にデリバティブを使っている。日本でも年金資産運用の目的に資する利用方法は認めるべきではないか。デリバティブはトランザクションコストが安く、大量の取引も可能であるというメリットを生かすべきではないか。
○ パッシブ運用中心であれば、必然的にデリバティブの利用は極めて限定されるのではないか。
○ デリバティブで収益を狙うというのではなく、市場の流れに沿うような調整のために利用すべきではないか。
○ 資料にあるような規制の仕方であれば、為替オーバーレイができないのではないか。
○ 為替オーバーレイは不要ではないか。為替ノンヘッジで基本ポートフォリオを導出していることと説明がつかないのではないか。
○ 使おうと思えば使えるような余裕を残しておくべきではないか。
● 公的年金の運用においては、株式投資でさえ非常に根強い反対論がある。デリバティブを積極的に活用するということになると、批判が大きくなってしまう。まずは限定的な形で自主運用を開始した上で、今後、その活用の途を広げていくのが適当ではないか。
○ 資料にあるとおりの考え方でいいのではないか。

〜以上〜


〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
  夜間 3501−3450


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