00/10/25 健やか親子21検討会第9回議事録 健やか親子21検討会第9回議事録 厚生省児童家庭局母子保健課 第9回健やか親子21検討会議事次第 日時:平成12年10月25日(水)13:30〜16:32 場所:はあといん乃木坂(健保会館) 1.開 会 2.議 事 最終報告書について 3.局長挨拶 4.閉 会 ○大平課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第9回「健やか親子21」検討会を開催いたしま す。本日も、大変お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。 本検討会 も、2月3日に第1回を開催して以来、今日で第9回目になりますが、その間短期間で はありますが皆様方には日程的にも非常に無理を言いながら、本日まで突っ走ってきた というような感じがいたしております。そんなことが非常に名残惜しいような気がいた しております。 それでは、本日もよろしくお願いいたしたいと思います。これからの議事進行、平山 座長よろしくお願いいたします。 ○平山座長 先生方こんにちは、今日はまた天気が何となくはっきりしません中、また違った会場 までお越しをいただきましてありがとうございました。 今、大平補佐のごあいさつにもありましたけれども、お陰様で本日が本当に最終回に なりました。先生方にはお忙しい中を、また先生によっては大変遠路からもおいでいた だき、またハードスケジュールで、間でいろいろなお願い事をしながら進めてまいりま して、本当に御協力いただきましてありがとうございました。お名残惜しいという話も ございましたが、ほっとしたという部分も進行役にはございますけれども、今日これか ら最後の報告書に向けて御審議をいただきます。 なお、3時半ごろに児童家庭局長がお見えになって、お礼をごあいさつをなさるとい うふうに伺っておりますので、よろしくお願いをいたします。 それでは、いつものように本日の資料の確認を事務局からお願いをいたします。 ○椎葉課長補佐 本日の資料ですが、シンプルでして「議事次第」と「健やか親子21検討会報告書」母 子保健の2010年までの国民運動計画、平成12年10月、健やか親子21検討会という、この 報告書1部でございます。 ○平山座長 ありがとうございました。それでは、早速今日の議題に入らせていただきたいと思い ます。本日の最終報告について討議ということになりまして、今まで委員の皆様方から いただいた御意見や資料の中に盛られていたようなことを、文章の形にまとめていただ いたということでございます。速達で届いたかと思いますが、余り十分お読みいただく 時間がなかったかと思いますけれども、今日これから事務局の方の椎葉補佐に一応読み 上げていただきながら、御説明を加えていただきたいと思います。よろしくどうぞお願 いします。 ○椎葉課長補佐 それでは、報告書について御報告申し上げます。まず、表紙ですけれども、タイトル は「健やか親子21検討会報告書」そして母子保健の2010年までの国民計画ということで 整理しております。 それから、年月を平成12年10月と書いておりますが、若干訂正があるようでしたら、 11月ということで出したいと考えています。 目次をお開きいただければと思います。2枚にわたっておりますが、全体的な構成 は、前回御説明したとおりですが、まず「はじめに」がきまして、そして第1章前回は かなり長ごうございました。今回は、完結に第1節から第4節までの基本的な考え方を 整理しています。 まず第1節が「健やか親子21」の性格、第2節が基本的視点、そし て第3節が課題設定、それで第4節に推進方策ということで、まずヘルスプロモーショ ンの理念を示すということと、それから「健やか親子21」の推進方策を記載しておりま す。第2章ですが、これはこの報告書の基本になる部分です。  すべての課題に共通しますが、問題認識、取組の方向性、そして具体的な取組という 形に整理しています。そして、その取組の方向性につきましては、基本的にタイトルが 具体的な取組と一致するように整理をしております。 例を申しますと、思春期保健に関しましては、取組の方向性の(1)思春期の健康と 性の問題と思春期の心の問題の2つに分けて整理して、そして具体的な取り組みでは、 その2つの問題についてそれぞれどうやっていくかに整理をしております。第2節も同 様でして、妊娠・出産の安全性と快適さの確保と、不妊への支援に分けまして整理をし ました。 また、第3節、小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備ということで、こ れはタイトル自身が、前は「維持向上」でしたが、「維持・向上」という形で整理をし ています。 取組の方向性で、前回はいろんなことが、どちらかというとばらばらに記載されてい たところを、地域保健と小児医療の2つに絞って整理をしています。具体的な取組はそ れを具体的にどうするかという形で、この2つの項目についてまとめています。 第4節、次のページです。項目といたしまして、子どもの心と育児不安対策について と、児童虐待対策という2つに分けて整理をしています。第3章ですが、これは前回お 示ししたものと体裁的には同じですが、第1節に「健やか親子21」の推進方策を具体的 に記載しています。第2節に各主体の寄与しうる取組の内容を明確化するということ で、国民から民間団体まで記載をしています。第3節ですけれども、前回の報告書案で は、これが第2節の中に埋もれておりましたが、これを独立させまして「健やか親子21 推進協議会」の設置ということで、節を1つ設けて記載しています。そして、第4節の 目標の設定については、前回とほぼ同じです。別表ということで、各課題についての取 組の目標、2010年までの目標を掲げて、前回はこれに資料も付いておりましたが、資料 は今回、割愛して短くということで、この取組の目標のみにしています。 最後ですが、参考資料、これは前回の本分中にあったものですけれども、これを参考 資料の方にまとめて運動展開の手法ということで、プレシード・プロシードモデルや、 地域づくり型保健活動、ソーシャルマーケティングについて手法を参考資料という形で 整理させていただいております。 最後に「おわりに」が来まして、健やか親子21「検討会開催状況」と健やか親子21 「検討会委員名簿」という構成になっております。 引き続き御説明してよろしいですか。 ○平山座長 そうですね。少し本文の方を読みながら説明してください。全部でなくてもいいんで すけれども。 ○椎葉課長補佐 それでは、全体的な構成の次に、最初に「はじめに」の方から読み上げさせていただ きます。 「健やか親子21」は、これまでの母子保健の取組の成果を踏まえ、残された課題と新 たな課題を整理し、21世紀の母子保健の取組の方向性を提示するものであると同時に、 目標を設定し、関係者、関係機関・団体が一体となって推進する国民運動計画である。 「健やか親子21」は、安心して子どもを産み、健やかに育てることの基礎となる少子 化対策としての意義に加え、少子・高齢社会において、国民が健康で明るく元気に生活 できる社会の実現を図るための国民の健康づくり運動(「健康日本21」)の一環となる ものである。 平成12年2月に関係専門家等による検討会を設置し、母子保健に関する主要課題とし て、(1)思春期の保健対策の強化と健康教育の推進、(2)妊娠・出産に関する安全性と快 適さの確保と不妊への支援、(3)小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備、 (4)子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減、の4課題を設定し、約9か月に わたり9回の検討会を開催し議論を進めてきたが、今般、その報告書をとりまとめた。 今後、この報告書を踏まえ、住民一人一人が自らの健康をコントロールする能力を高 めることと、健康を支援する地域の環境づくり、を柱とする公衆衛生戦略であるヘルス プロモーションの基本理念に基づき、国民をはじめ地方公共団体、国、関係専門機関、 民間団体等が連携し、21世紀における「健やかな親子像」を目指した国民的な運動がな されることを期待する。 引き続いて第1章に移ってよろしいですか。 「はじめに」につきましては、ヘルスプロモーション、基本理念のことを入れた方が いいという御指摘がございまして、入れさせていただきました。 前回には、委員の方からいろんな資料を提出いただいて、3,000 ページにも上るとい う記載がございましたが、これは後書きの方に入れておりまして、カットしています。 ○平山座長 前回までの御議論と、その後何かお気付きの点を送っていただくようにお願いしまし たのも入っている、直せるものは直していただいてあると思いますけれども、章ごとぐ らいに御意見をいただきながらいきたいと思いますが「はじめに」のところで何か特に ございましょうか。顔みたいなところですから、余り変なことがあっては困るわけです けれども、何か御意見ございましたらお願いをいたします。 よろしゅうございますか。それでは、第1章お願いいたします。 ○椎葉課長補佐 それでは、1ページです。 第1章 基本的な考え方 第1節「健やか親子21」の性格 「健やか親子21」は、21世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンであり、か つ関係者・機関・団体が一体となって推進する国民運動計画である。 同時に、安心して子どもを産みゆとりを持って健やかに育てるための家庭や地域の環 境づくりという少子化対策としての意義と、少子高齢社会において国民が健康で元気に 生活できる社会の実現を図るための国民健康づくり運動である健康日本21の一翼を担う という意義を有している。 名称については、主として母子保健が対象となるものの、目指すものが、父親や広く 祖父母も含め、親と子が健やかに暮らせる社会づくりであるので、本運動計画のそうし た意義を踏まえて「健やか親子21」とした。 この国民運動計画の対象期間は2001年から2010年までの10年間とし、中間の年となる 2005年に実施状況を評価し、必要な見直しを行うこととしている。 第2節「健やか親子21」の基本的視点 我が国の母子保健の様々な指標は、これまで関係者が努力を続けた成果として20世紀 中に既に世界最高水準に到達している。その成果を踏まえ、21世紀の母子保健の主要な 取組を展望するに当たり、以下の4つの基本的視点に立脚した。 (1) 20世紀中に達成した母子保健の水準を低下させないために努力する(母子保健シス テムの質・量の維持等) (2) 20世紀中に達成しきれなかった課題を早期に克服する(乳幼児の事故死亡率、妊産 婦死亡率、予防接種率等の世界最高水準の達成等) (3) 20世紀終盤に顕在化し21世紀にさらに深刻化することが予想される新たな課題に対 応する(思春期保健、育児不安と子供の心の発達の問題、児童虐待等の取り組みの強化 等) (4) 新たな価値尺度や国際的な動向を踏まえた斬新な発想や手法により取り組むべき課 題を探求する(ヘルスプロモーションの理念・方法の活用、根拠に基づいた医療(EB M)の推進、生活の質(QOL)の観点からの慢性疾患児・障害児の療育環境の整備や 妊娠から出産に至る環境の整備、保健・医療・福祉・教育・労働施策の連携等) 第3節「健やか親子21」の課題設定 「健やか親子21」においては、前節の基本的視点を踏まえ、以下の4つを21世紀に取 り組むべき主要な課題として設定した。 (1) 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進 (2) 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援 (3) 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備 (4) 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減 それぞれの課題ごとに「問題認識」、「取組の方向性」、「具体的な取組」について 第2章において記述した。 「問題認識」では、現状に対する見解と主要課題として選定した理由等を示し、「取 組の方向性」では、取組に当たっての基本的な方向性や枠組みを提示した。これを受け て「具体的な取組」では可能な限り具体的な形での方策を提言しているが、実施可能性 を必ずしも厳密に担保したものではなく、各課題の解決に寄与すると期待されうる方策 を厳選した。各課題の性格・内容の相違により必ずしも均一な記述ではないが、上述の 趣旨に沿い、実践面を重視し記述した。この提言を参考として関係者等が可能な範囲で 自主的な取組を行い課題解決に貢献していくことが期待される。 留意すべきは、この4課題に含まれないものが重要でないということではなく、主要 課題の選定に当たっては総花的な取組を避け、国民運動として集中的に取り組むべき課 題を精選したということである。したがって、小児の歯科保健や栄養の分野は、「健康 日本21」における生活習慣病予防に関わる部分に譲り、また、アトピーなどの個別疾患 対策も対象としていない。これら「健やか親子21」に掲げた主要課題に含まれないが重 要なものについても、従来に引き続いて着実に取り組んでいくことが期待される。 第4節「健やか親子21」の推進方策 1 基本理念 「健やか親子21」の国民運動の推進にあたり、その理念の基本をヘルスプロモーショ ンにおいた。   ヘルスプロモーションは、1986年にオタワで開催されたWHO国際会議において提唱 されたもので、(1)住民一人一人が自らの健康をコントロールする能力を高めること、 (2)健康を支援する環境づくりを行うこと、を2本の柱として展開する公衆衛生戦略であ る。 従来の健康教育が、「健康」を最終的な目標にして考える傾向が強かったのに対し て、ヘルスプロモーションは、「QOLの向上」を最終的な目標に据え、健康は「より よい生活のための資源の一つ」として位置づけていることが特徴である。 図1に母子保健分野における従来の健康教育とヘルスプロモーションの考え方の違い を示した。従来の健康教育は「安全な妊娠・出産と正しい育児」を目指して、専門家が 母親に対して手とり足とり指導をしていた関わりが中心であったが、ヘルスプロモーシ ョンは、妊娠・出産・育児を通じて人間として成長しながら、親子が「豊かな人生」を 送れるように、子どもの育ちに関して個々の親子を支援するとともに、地域・社会の構 成員が一緒に「子どもの育ち」の玉を押せるように支援し、更に坂道の傾斜を緩やかに しようというものである。「子どもの育ち」の玉を押す力を強くすることは、ヘルスプ ロモーションの柱の一つである、住民一人一人が自らの健康をコントロールする能力を 高めることにあたり、坂道の傾斜を緩やかにする取組はもう一つの柱である健康を支援 する環境づくりにあたる。 2「健やか親子21」の推進方策 「健やか親子21」で掲げた主要課題はいずれもその達成に向けて、国民をはじめ保 健・医療・福祉・教育・労働関係者・機関・団体がそれぞれの立場から寄与することが 不可欠な内容を有している。上述したヘルスプロモーションの基本理念に基づき「健や か親子21 」が国民運動計画として展開していくために、以下の3つを主要な方策として位置づけ た。 (1) 関係者、関係機関・団体が寄与しうる取組の内容を明確にして自主的活動を推進すること (2) 各団体の活動の連絡調整等を行う中央レベルの「健やか親子21推進協議会」を設置 すること (3) 計画期間と達成すべき具体的課題を明確にした目標を設定すること 第3章に、国民、地方公共団体、国、専門団体、民間団体の寄与しうる内容を各課題 ごとに記述した。これらの各団体の取組を効果的に調整・推進するために、関係者等の 行動計画のとりまとめや進捗状況の報告を統括する健やか親子21推進協議会を中央に設 置することも提起した。さらに、国民運動計画を推進するに当たり、計画期間と達成す べき具体的課題を明確にした目標を示した。 以上でございます。 ○平山座長 ありがとうございました。この部分は、この「健やか親子21」の総論の部分でござい ますし、ヘルスプロモーションという考え方の解説もここに挙げてございますが、委員 の先生方の御意見ございましたらお願いいたします。 どうぞ岡本先生。 ○岡本委員 余り大したことではないんですけれども、図の1の専門家のところで医師、保健婦、 保育士と載っていますけれども、ここは母子保健の専門家等、何かそういう名称にして いただいた方が、いろんな職種が入っておりますので、これだけだとまたちょっといろ んな誤解があるかなと思いましたので。 ○平山座長 わかりました。ほかにございましょうか。 小林先生どうぞ。 ○小林委員 私も、書き方だけですが、図1のところの上の絵と下の絵の間に、大きな矢印でも入 れていただいて、これが変化の目標ということでしていただけたらと思います。 ○平山座長 わかりました、そういたしましょう。ほかにございましょうか。 どうぞ。 ○安達委員 「はじめに」のところと、それから2ページ目一番下のところで同じことばなのです が「住民一人一人が自らの健康をコントロールする」という言葉があります。コント ロールという言葉が本当にいいでしょうか、何か健康を調節するとか操るというような 意味に取れるのですけれども。その次に「能力を高めることにあたり」というので、健 康を高めるという言い方をするとダブってしまうので、コントロールという言葉に書か れたのかもしれないんですけれども。 ○平山座長 藤内先生どうぞ。 ○藤内委員 これそのものは、オタワ宣言の本文をそのまま翻訳すると、健康をコントロールする という表現が出てくるんですが、このコントロールするというのは、単に病気にならな いような予防とか健康増進という意味だけではなくて、例えば慢性疾患を持っている人 が自分の疾患、あるいは障害と上手に付き合っていくというようなことも含めた、コン トロールという表現のようなんです。だから、これをもう少し詳しく中身を説明すれ ば、その方がいいのかなとは思うんですけれども、それをくどくど言わずに、一言で言 ってしまうと健康をコントロールする能力という表現になるようなんですけれども。 逆に言えば、もう少しわかりやすく、今、言ったように砕いて、疾病の予防と。そう すると言い切れない部分が出てるんです。疾病の予防や、健康増進、あるいは慢性疾患 や障害の管理とかコントロールという表現になってしまうので、その辺がちょっと難し い感じがするんですけれども。 ○平山座長 これは、翻訳の言葉が混っているんで、こうなってしまっているんですけれども、ど うでしょうか。 どうぞ。 ○安達委員 一言で言うのは多分難しいんだと思いますが、恐らく自分の心身の状態を知り、自ら の状態を知り、そしてその状態をよりよいものに持っていくというような内容ですね。 今のお話ですと。だから、健康と言うと疾病がないこと、障害がないことという言葉に どうしてもつながりやすいので、そこを多分配慮されているのだと思うですが。コント ロールという言葉が少し難しいかなと思います。 ○平山座長 戸田委員どうぞ。 ○戸田委員 コントロールという言葉の中には、管理していく、調節していくということだけでは なくて、健康については自分で意思決定していくと、また医療との関わりの中で、医療 者との協議の上決定に参与していくと言ったような、力関係の意味も多少含まれている と思うんです。そういった意味で、ぴたっとくる日本語というのはなかなかないので、 やはり藤内先生がおっしゃったように、これは多少説明を加えてコントロールというの がいいのではないかと感じております。 ○平山座長 WHOの健康の定義そのものも、何か今、スピリッチュアルという言葉を入れるとか いうような動きがありますので、QOLとか自己実現とかいうようなニュアンスが非常 に大事にされてきているとは思いますが。田中先生。 ○田中委員 ここのところで、ヘルスプロモーションにつながるというのの説明なのかもしれない んですけれども、私はその自ら健康をということなんですが、自らの健康と同時に次世 代への子どもたちの健康というようなのが、何か入らないのかなと。というのは「健や か親子21」ということで、お母さん、お父さんの健康だけではなしに、次世代の健康を というような意味合いのことも、何か入れられるとこの検討会としてふさわしいのかな と。 ただ、ヘルスプロモーションを説明したということだったら、これでいいのかもしれ ないんですけれども、その辺ちょっと御検討いただけたら大変ありがたいと思います。 ○平山座長 わかりました。ほかにございましょうか。どうぞ。 ○小野委員 3ページのこの推進方策の項なんですが、この推進方策は3章にもわたって書いてご ざいますが、国におきまして、中央と申しますか、そこには「健やか親子21推進協議」 を設置するということを、新しい協議会として入ってございますが、この関連でやはり 私などはつい「健康日本21」の団体の仕組みを頭の中に描いてしまうと、あちらにおき ましては、市町村とか県の役割がひとつきちんと図表されているわけなんです。その中 で、私の方は先日の会議のときも申し上げたと思いますが、大変これに似ているような 会議が、今、県、市町村で行っております。例えば県でおきますれば、厚生省が8年度 に通知いたしました、都道府県母子保健医療推進事業の実施についてという通知により ますと、この中で評価委員会の設置というのがございます。これは、11年度まで予算が 付きまして、ちょっと12年度は予算が落ちているんですが、この要項がもしまだ十分に 生かされているとしたら、ほとんどこれで母子保健の委員会を活性化しております。私 の関係している保健所はほとんどこの委員会を運営して、そして母子保健の指標、そし て市町村のサービスのレベルの調整なども全部この委員会で行っております。 そして、また市町村におきましては、母子保健計画、お陰様で母子保健計画はこの章 の全体の中に入れていだきまして、ありがとうございました。その母子保健計画を立ち 上げたときからの委員会をずっと運営して、そして市町村の水準を落とさないように継 続しております。そういった、もし新しい設置が難しければ、何らかの手立てで組織、 委員会としてのハード面の運営を県、市町村に置くことで、団体とのひとつのテーブル に付く、そしてこの「健やか親子21」がどの程度浸透しているかとか、進んでいるかと いう、そういう協議する場があると、確かなものになるのではないかなということを。 新しくつくることはなくても、既存のもので転化できるものがあるということを、ここ で書くか3章の中で書くかで、もしそういうことを位置づけていただくと助かるなとい うことを御提案させていただきたいと思います。 ○平山座長 椎葉さん。 ○椎葉課長補佐 第1章の性格が、この全体の文章がどういう構成であるかというのを説明すること で、短めにしたいというのが一点と。それから、推進方策については、基本的にいろん な関係団体が、地方公共団体も含めてですが、自主的な活動を推進していだくというこ とと、中央レベルに協議会を設けて、目標を設定してやっていくということでして、そ の地方自治体の関連につきましては、第3章のところに、23ページ以降に、地方公共団 体はどうすべきかということを24ページに、例えば地域において地方公共団体の中で、 各課題などを設定したり、評価を行ったり、関係者の研修などをやるとか、それから市 町村母子保健計画をつくる際に、都道府県がいろいろと支援をするとか、そういうくだ りがありますので、第1章におきましては、こういう基本的な三大推進方策を掲げて、 整理させていただきました。 ○平山座長 よろしゅうございますか。このヘルスプロモーションに関わる説明につきましては、 誤解があるのは困りますので、その辺はもう少し考えていただいて、もしよりよい表 現、親切な表現ができましたら、少し書き換えるようにさせていただきましょう。 藤内先生どうぞ。 ○藤内委員 一応さっきの田中委員の意見まで入れるのは、ちょっと次世代の健康というと難しい かと思ったんですが、そこのAのヘルスプロモーションの説明を、これは提案ですけれど も、住民一人一人が自ら決定に基づいて、健康増進や疾病の予防、更に障害や慢性疾患 をコントロールする能力を高めること、というふうにすると、ある程度最初の健康をコ ントロールするという表現よりは、中身が少し見えるかなと。 それから、戸田委員の御指摘のように、本当に自らの決定というのをこの中に入れる 必要があると思いましたので、今のような表現でいかがでしょうか。 ○平山座長 結構な御提案だと思いますので、メモさせていただいて、後ほど整理させてくださ い。 ほかにございましょうか。もしよろしければ、また最後に全員に御発言いただきたい と思いますけれども、一応先が長うございますので、御発言の御趣旨はよくわかりまし たので、第2章の主要課題のところに進まさせていただきましょう。お願いします。 ○椎葉課長補佐 第2章 主要課題 第1節 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進 1 問題認識 近年、思春期における性行動の活発化・低年齢化による人工妊娠中絶や性感染症の増 加、薬物乱用、喫煙・飲酒、過剰なダイエットの増加等の傾向が見られており、これら の問題行動が思春期の男女の健康をむしばんでいることが指摘されている。併せて、心 身症、不登校、引きこもり、思春期やせ症をはじめとした、思春期特有の心の問題も深 刻化、社会問題化しており、また、子どもの自殺、殺人、暴力といった問題が顕在化し てきているが、これは生命の尊さを子どもに十分に伝えることのできない大人側の問題 でもある。 このような事態の拡がりは我が国の社会環境の変化を反映したものであり、現代の特 徴が強く刻印された今日的な問題でもある。これらは解決がきわめて困難ではあるが、 改善に向けての努力を強化していく必要があり、21世紀に取り組むべき主要な課題とし て位置付け、集中的に取り組むまねばならない。 また、思春期保健の問題は、幼少期の発達過程と深い関連を有しており、特に乳幼児 期の発達体験の影響を強く受けていることを認識する必要がある。我が国では、このよ うな思春期の心の問題に対応する児童精神科医師数や児童精神科医療提供体制は、諸外 国と比較して極めて貧弱な状況にあり、その改善を急ぐ必要がある。 2 取組の方向性 (1)思春期の健康と性の問題 思春期は大人と子どもの両面を持つ時期である。したがって、親を始め周囲の大人 が、思春期の子どもに接する際に、まず、子どもっぽさへの不安や心もとなさを許容す ると同時に、半ば大人の能力を獲得した存在として彼らの尊厳を保障し、その発言に耳 を傾けていくことが必要である。 また、思春期における問題行動は、本人の現在の問題に留まらず、将来にわたる健康 障害や、時には次世代への悪影響をも及ぼしかねない問題であり、それを当事者に理解 させ、問題行動の是正を図ることが必要である。 そのために、家庭、学校、地域等の連携による教育・啓発普及・相談を通じて、問題 の理解と情報の提供を目指すことになるが、これまでの同種の試みが十分な成果をあげ られていないことに鑑み、十分な量的拡大と質的転換を図っていくことが不可欠であ る。 量的拡大に関しては、医療、地域保健、児童福祉、学校保健をはじめとした各分野で の取組の強化と、青少年の非行防止、薬物対策等の啓発キャンペーンの強化が求められ る。また、民間団体やボランティア団体の活動やマスメディアの協力も不可欠である。 質的転換に関しては、まず教育・啓発に当たってより明確なメッセージをできる限り 効果的に提供する教材、媒体、教育手法の開発を急ぎ、思春期の性の逸脱行動や薬物乱 用などの行動が望ましくないことを理解させ、行動変容につなげることが必要である。 特に、性教育については、男女の関係や相互理解の必要性を説明するとともに、避妊方 法等も含めた説明も避けることなく行うべきである。また、生命の尊さや自分たちが将 来、子育ての当事者になることの自覚を促すことも必要である。 性と生殖に関しては、自ら判断し、決定し、相互に尊重するということが特に重要で ある。このため、自分や相手の身体について正確な情報を入手し、自分で判断し、自ら 健康管理できるように、学校や地域における性教育や健康教育を一層充実させるよう努 める必要がある。性教育は、青少年の性行動が低年齢化・活発化し、また性情報に触れ る機会が増大したという現実を踏まえ、思春期の子どもの置かれたストレスの多い複雑 な状況の実態をよく理解して充実することが必要である。 地域における母子保健対策、性感染症対策、薬物乱用対策等の各種対策が、十分に連 携して推進される必要がある。特に厚生労働省と文部科学省が連携し、取組の方向性に 関して、明確なメッセージを示し、地域における保健、医療、福祉、教育等の連携を促 進することが必要である。 (2)思春期の心の問題 子どもの心の問題は、最初に身体上の異常など何らかのサインが発せられることが多 く、初期に発せられるこのサインを見逃さないよう、親に対する学習の機会を提供する ことが必要である。また、乳幼児期からかかりつけ医を持つことにより、親の学習の機 会を確保し、このようなサインを親が早期に発見し、適切な指導が受けられるようにす ることも必要である。 近年、思春期の女子に増加している思春期やせ症(神経性食欲不振症)は早期発見と 予防を急務とする問題の一つである。特に十代の発症は、思春期の成長・発達のスパー ト期に体重減少と多臓器障害が生じ、深刻な心身両面の発達障害が生じる。また、大人 になり妊娠、出産、育児でつまずきやすく、我が子を可愛がれない、離乳食を食べさせ られないなどの育児障害により、次の世代の心の発達に悪影響を及ぼすことが知られて おり、早期の発見にむけた体制の整備が求められる。 不登校対策については、不登校を心の成長の助走期ととらえ、学校内外の専門家等を 利用した補充指導や不登校の子どものための野外体験活動等の実施など、ゆとりを持っ た対応を推進していくことが求められる。 親への教育・支援を含めた心の問題を有する者へのケアの充実が具体的成果を実現し うる有力な方法である。そのための関係者・機関の連携の強化が重要であるが、特に、 学校保健と医療・地域保健・児童福祉との連携をシステム化して相互に日常的な活動と して位置付けることが重要である。多大な労力を要する仕事となるので組織的対応と管 理者・関係者の理解が必要である。 心の問題の取組を支えるためには人材の確保が必要である。特に思春期の精神保健問 題の初期治療にあたるかかりつけ医に加えて、発達障害や情緒障害、行為障害などの疾 患・障害の二次あるいは三次のケアの専門家である児童精神科医や相談業務に従事する カウンセラー等の専門職を確保することが重要である。さらに、児童精神科医療の提供 体制の整備は大きな課題である。また思春期保健に関係するその他の職種についても、 それぞれの役割に応じた知識の習得とカウンセリング技術の修得等が求められる。 3 具体的な取組 (1)思春期の健康と性の問題  ア 量的拡大 学校における思春期の相談体制の強化、養護教諭などの教職員の相談活動等や資質向 上を目指した研修の実施、学校医活動の充実、スクールカウンセラーの配置の促進、保 健室の相談機能の充実(養護教諭の複数配置の充実を含む)、専門の相談室の整備等に 取り組む。 地域における相談体制を一層強化する。特に、地域における保健福祉機関(保健所・ 市町村保健センター・精神保健福祉センター・児童相談所・福祉事務所等)における本 人や家族の相談体制の整備、民間団体による思春期の悩み相談機能を強化する。 思春期の健康問題について関係機関からのパンフレット、ポスター等による啓発普及 活動に加え、テレビやラジオ、雑誌、インターネットなどの若者の興味を引きつけるメ ディアを通じた広報啓発活動を強化する。特に避妊や性感染症の予防、薬物乱用防止等 を重点に広報啓発活動を実施する。 乳幼児期から思春期を対象とした書籍や雑誌における思春期に関する正確な情報を提 供する一方、思春期の子どもを持つ親を対象とした情報雑誌、マスメディアを通じて思 春期の健康問題に関するキャンペーンやテレビでの教育番組等による学習機会の提供等 を行う。  イ 質的転換 (ア)学校における取組 学校での健康教育は、基本的な知識と、それを実践する能力・技術を身に付けるよ う、以下のような取組を行う。 学校においては教職員が一体となって、教育活動全般を通じて学校保健を推進するこ とが大切である。特に、教科指導及び特別活動等においては、担任や教科担当の教諭だ けでなく養護教諭、あるいは、学校医、学校歯科医、学校薬剤師といった専門性を有す る教職員の参加・協力を得て、思春期の健康に関する指導を一層推進する。 特に、教科「体育・保健体育」における健康教育を、養護教諭の参加・協力を得て推 進する。また、性教育や薬物乱用防止教育などについては、学校外の専門家(医師、薬 剤師、助産婦、保健婦・士、警察職員、麻薬取締官OB等)などの協力を得つつ推進す る。 (イ)地域における取組 同世代から知識を得るピア・エデュケーション(仲間教育)の取組は、性教育、薬物 乱用防止のためにも有効であり、今後、青少年の声を思春期保健活動に反映させるため の会議の開催や、ピア(仲間)・カウンセラーの養成とピア(仲間)・カウンセリング の実施などの思春期の子ども自身が主体となる取組を地域において推進する。 地域レベルでの実情に応じた避妊具の無料提供プログラムを含む、避妊方法の学習機 会も提供する。 各種の事情で学校に通っていない思春期の問題行動に対するアプローチとして親に対 するカウンセリングや助言等の実施や、学校へ復帰するための支援対策の実施、さらに 妊娠・出産により教育を受ける機会が妨げられることのないよう取組の推進を行う。 子どもの心に影響を与えるメディアの有害情報の問題も看過できず、特にマスメディ アなどに対して、性をもてあそぶ考え方のような有害情報への対策をとるよう働きかけ を行う。メディアを選択し、主体的に読み解き、自己発信する能力(メディア・リテラ シー)を向上させるための支援を積極的に行う。また、普及が著しいインターネットな どの媒体を通じた、思春期に関する情報提供を推進する。  ウ 関係者・機関の連携 学校、地域の関係機関が、相互に学習の場を提供したり、定期的に情報や意見の交換 を実施する場を設置する。 個別の問題ケースが発生した場合に、関係者や関係機関による検討を行い、最適な サービスの提供に向けた取組を行う場を設ける。 学校における学校保健委員会の充実を図るとともに、地域にある幼稚園や小・中・高 等学校の学校保健委員会が連携して、地域の子どもたちの健康問題の協議等を行う地域 学校保健委員会の設置を促進する。 保健所による学校保健との連携強化のため、専門職の派遣を推進(性・性感染症・薬 物等)し、学校保健委員会・地域学校保健委員会への参加推進を図る。PTA組織と連 携した親を対象とした家庭における思春期学習を実施する。 (2)思春期の心の問題 学校における心の問題に対応した養護教諭など教員の相談活動を強化するための研修 や、健康相談における学校医の積極的な活動、スクールカウンセラーの配置、養護教諭 の複数配置、心の居場所としての保健室の役割を重視する。 地域での相談機関(保健所・市町村保健センター・精神保健福祉センター・児童相談 所等)や医療体制(思春期外来・思春期病棟)の整備を促進する。 自殺の予防対策として、匿名の思春期の電話相談を充実する。さらに、関係者に対す る自殺願望のある生徒への早期の対応方法等の講習を行う。 また、思春期の心の健康づくり対策として、精神保健福祉センターと児童相談所が中 心となり、地域ネットワークづくりを行うとともに、医療機関・保健所・教育委員会な どの関係機関による事例検討や援助活動を行うモデル事業等を推進する。 児童精神医療提供体制を整備するためには診療報酬面での改善、医学系大学における 講座の開設、医療法上の標榜の課題、思春期の心の問題に対応できる医師や児童精神科 医及びその他の医療スタッフの育成、児童精神科医の児童相談所や情緒障害児施設への 配置、学校教育における活用等を検討する。 以上です。 ○平山座長 第1の柱の部分でございます。各論に入りましたので、内容は少し細かくなっており ますが、何かお気付きの点、気になる点等ございましたお願いいたします。 どうぞ戸田委員さん。 ○戸田委員 質的転換のところで、学校における取組は、この文章の印象ですと、ここでは専門家 が入って、学校の生徒たちに講義をすると。それから、地域だとピア・エデュケーショ ンで、もっと同じ立場の人たちが話し合いをしたりというようなことで、教え合うとい うような印象を受ける文章なんですけれども、教育の効果から言いますと、例えば学校 のOBで、ちょっといろんな経験をしてしまったみたいな子が、授業に入り込んで話を する方が、よっぽど専門家が講義をするよりも効果があるというように感じるんですけ れども、その辺のところはどうしてこういうふうに分かれているのかお聞きしたいと思 いました。 ○椎葉課長補佐 これにつきましては、学校でやるものを(ア)に整備いたしまして、地域というのは 学校を含めた地域という意味で、ちょっと広くとらえております。 ○平山座長 アメリカでは、今おっしゃるような教育がかなり入り込んでいるんですが、日本はま だ慣れていないんですけれども、しかし伺うところによると、今度総合的学習の時間と いうのができて、横断的にかなり時間を掛けた内容の時間帯ができるそうですので、そ ういうところでうまく活用していただけるといいんじゃないかと思います。今日は、文 部省の方おられますか。何か御意見があったら。 ○椎葉課長補佐 今日はいらっしゃいません。 ○平山座長 今日はお休みですね。これは文部省へもお話をしておかないといけないと思います し、この部分は大体調整済みだと思いますので、ほかにございましたお願いいたしま す。どうぞ。 ○雪下委員 今の中で、例えば学校側の体制や何かのところに、養護教諭などの教職員の相談活動 とか、その他学校のスクールカウンセラー等が出てくるんです。それが何ヶ所かあるん ですが、25ページのところを見ますと、地方公共団体の取組のところに「保健主事の資 質の向上」というのが、ここには出ているんですが、今の文の中で保健主事という言葉 が一言も出てこないのです。文部省の方にお聞きしようと思っていたんですが、その保 健主事の扱いというのをどういうふうにもっていくのか、どう考えておられるか。保健 主事の資質の向上と言うならば、御承知だと思いますが、今、東京都と神奈川と大阪は 保健主事制度そのものを廃止して、実際は保健主事がないというのが現実にあるわけで す。それがこの学校保健活動には大いに影響しているということがあるわけなんで、そ の辺のところをちょっとお聞きしたいなと思っております。 ○椎葉課長補佐 25ページの「保健主事の資質の向上」につきましては、文部省の方から入れてほしい ということで入れたのですが、例えば6ページの(1)のアの量的拡大のところの「養 護教諭などの教職員の相談活動等や資質向上を目指した研修の実施」で、ここに保健主 事という言葉を入れるなり、いずれかのところに保健主事というのを入れて整理をした いと思います。 それから、保健主事自体の扱いについては、ちょっと文部省のことで我々も把握は、 していないんですが、そういう御意見があったということを伝えたいと思います。 ○雪下委員 3か所ぐらいあるんです。例えば4ページの今、言われたところとか、あるいはその 後、量的転換のところの5、6行目のところにも「養護教諭、あるいは」と書いてある し、7ページの思春期の心の問題のところにも「養護教諭など教員の相談活動」とあり ますので、その辺のところをよろしくお願いしたいと思います。 ○平山座長 ほかにございましょうか。 どうぞ長井先生。 ○長井委員 5ページの取組の方向性の(1)の9段のところです「思春期の子どもの置かれたス トレスの多い複雑な状況の実態」というのは、言葉では十分背景を何となく理解できる んですけれども、ストレスというのは安易な言葉ではないかなと少し感じたんです。 ストレスというのは、大人の場合には自分の主体的なものがあって、その葛藤において ストレスが掛かるとか、あるいはいい意味のスパイスのストレスというのがあるんです けれども、子どもにとってのストレスというのが、この状況において自分で感じるもの というよりは、むしろ大人が性教育の中で勝手に与えてしまったものの中におかれてい るというような、そういうストレスという意味なのか、もっと漠然と子どもの学校教育 の状況だとか、家庭環境だとか、そういうことを含めてストレスというのか、ちょっと 非常に漠然とした表現のように思ったんですけれども、何かほかに具体的に書けてらい いんじゃないかと思うんですが。 ○椎葉課長補佐 これは、渡辺委員からこれを入れてほしいと。それから、これまでの会議の中でも、 今の社会状況はストレスフルだということの御発言があり、そういう御要望があったの で入れさせていただきましたが、どうしましょうか。 ○平山座長 この文章を拝見していると、いろんな意味のストレスを全部ひっくるめているんだと 思うんですけれども。 ほかにございますか。戸田委員さんどうぞ。 ○戸田委員 今のところなんですけれども、子どもが辛いと感じること全般という意味で言えば、 それにぴったりする言葉というのがなかなかないんじゃないかというふうに思うんです けれども、多分、性行動云々ということだけではなくて、子どもの生活全般において、 子どもが辛いなという窮地に立たされるような状況が非常に多いんだという、そこから 取り組んでいかなければいけないんじゃないかという意味、というふうに私はとらえま した。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかにございましょうか。 ○徳永委員 思春期の心の問題の最後の方に書いてあります「精神保健福祉センターと児童相談所 が中心となり、地域ネットワークづくりを行う」という、これはとてもこれから大事な ことだと思うんですが、これの実際に目標となる値等は入ってないんですけれども、精 神保健福祉センターと児童相談所が連携を取るということは、これまで余りされていな かったと思うんです。この辺については、今後厚生省の方でも、精神保健福祉課等とい ろいろと連携を取り、このようなモデル事業が行われるということで解釈してよろしい んでしょうか。 ○椎葉課長補佐 厚生省の障害福祉部の精神保健福祉課の方で、思春期の心のケア対策事業というの を、来年度からモデル的に行うとにしています。その辺のことを意識してこの辺りは書 いております。 厚生省としても、思春期の心のケアについて、児相と精神保健福祉センターが連携し て、いろいろと事例検討だとか、それからいろんな相談事業などを今後積極的に取り組 むという意味で記載しております。 ○平山座長 ありがとうございました。大体よろしゅうございますか。では、第2節にまいります か、1人で読んでいて大丈夫ですか。ではお願いします。 ○椎葉課長補佐 水も届きましたので、大丈夫でございます。 第2節 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援 1 問題認識 妊娠・出産・産褥期の女性は、短期間での大きな心身の変化に加えて、父親とともに 生まれてくる子どもに愛情を注ぎ、育てるという長期にわたる責任を負うこととなるた め、ライフスタイルの変化を要求される時期にある。そのため、長期的な視野を持っ て、この時期における母子と家族の健康を、社会的・精神的側面からも支え、守ること が、母子保健医療の社会的責任として求められている。この時期の支援は、良好な母子 の愛着形成を促進していくものであり、子どもの心の安らかな発達の促進にも寄与しう るものであるという認識を持つ必要がある。 これまでの周産期医療や母子保健を中心とする活動の結果、我が国の母子保健水準は 世界のトップクラスとなっているが、妊産婦死亡率は、更に改善する余地が残されてい る等、一層の安全性の追求が求められる。 妊娠・出産に関するQOLの向上を目指すことは時代の要請であり、妊娠期間中の 種々の苦痛や不快感を解消・軽減するための社会的支援が求められている。 不妊治療については、現在、約28万5千人が受けているものと推定されており、こ のような治療を求める夫婦に対して、医学進歩の成果を享受できるように、生殖補助医 療技術を含む適正な技術が、広く普遍的に適用される体制が整備される必要がある。 また、国際的動向としての「女性の性と生殖に関する健康・権利(リプロダクティ ブ・ヘルス/ライツ)」への対応、少子化対策としての「安全で安心して出産できる環 境の実現」についての関心が強まっており、これらに応えるべく、本分野を21世紀の 主要な取り組み課題として位置付ける必要がある。 2 取組の方向性 (1)妊娠・出産の安全性と快適さの確保  ア 医療機関 妊娠、出産に関する安全性を確保しつつ快適さを追求するためには、医療・保健関係 者が極めて大きな役割を担うが、特に出産に関与する専門職の意識の変革、産科医療に おける診療所・助産所と病院及び病院間の連携、産科医と助産婦との連携、分娩・入院 環境の改善、産科医と小児科医の連携、地域保健サービス内容の転換、産業医を含む職 場における母性健康管理体制と産科医との連携の一層の推進等が求められる。 妊産婦死亡率が他の周産期指標の中でやや高い理由については、産科医療の夜間や休 日における救急システム等の問題も一部で指摘されているが、今後も引き続きハイリス ク妊産婦を中心に、妊娠・出産における母体・胎児の安全を最大限に追求していく必要 がある。併せて、正常分娩から緊急処置を要する状態への急変に的確に対応できる体制 整備も死亡率改善には不可欠である。 一方、妊娠・出産に関しては、その治療等に伴う処置、検査等に関するインフォーム ド・コンセントの充実、母子の希望する支援環境と退院後のフォローアップ等に関する 必要な情報提供が求められており、今後はこれらの動きに積極的に応えていく必要があ る。また、利用者と医療・保健関係者との信頼と協力関係が不可欠であるため、利用者 が求めるケアを利用できるようにするための必要な情報の公開、利用者が医療・保健関 係者を選択できる環境の整備等利用者の声を反映できるようにするための取組の推進が 必要である。 また、最近では、ともすると画一的になりがちな安全第一の分娩より も、自然かつ家族が希望する形態で分娩をしたいという要望や、妊産婦が自らの責任に 基づいて分娩方法を決めるために情報提供を求める場合がある。これらの要望に対し て、利点や欠点についての十分な説明がなされ、合意が得られた場合には、安全性を確 保しつつ、これに応えていくことが求められる。 また、妊娠・出産・産褥期については、慢性疾患や障害を持つ親や社会的ハンデキャ ップを持つ親についての支援や妊産婦の不安などの心の問題にも対応したきめ細やかな 対策を推進し、母と子の愛着形成を推進するためのソフト・ハード面の体制の整備を図 る必要がある。  イ 妊産婦を取り巻く社会環境 妊婦に対して理解のある家庭環境や職場環境の実現、受動喫煙の防止、各種交通機関 における優先的な席の確保等の社会システムづくりや国民各層、産業界への啓発がより 一層求められる。特に、妊娠、出産後も働き続ける女性が増えていることから、働く女 性の妊娠・出産が安全で快適なものとなるよう、職場における環境づくりも重要であ る。 (2)不妊への支援 誰もが希望に応じて不妊治療を受けられる社会環境の整備が望まれる。不妊相談をは じめとした情報提供体制の整備とカウンセリングを含む利用者の立場に立った治療方法 の標準化が不可欠である。 また、我が国では、不妊治療に伴って生じる多胎に対する減数手術の是非等の倫理的 な問題や、第三者の配偶子を使用した体外受精や代理母等への対応、親子関係の確定の 問題等についての法制度をはじめとした十分な体制が必ずし整っておらず、今後、こう した体制の整備が求められる。また、これらの技術の存在のために、却って混乱や不安 を生じることのないよう対策が求められる。 3 具体的な取組 (1)妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保  ア 医療関係 (ア)分娩の安全性の確保 診療所・助産所や病院においては、分娩に対する安全性の確保が最も重要であり、そ のためにも産科医療機関間における連携を推進するとともに、休日・夜間体制を整備 し、正常分娩急変時に高次医療機関に搬送できる体制を整備する必要がある。このため の基礎となるガイドラインを作成する。また、リスクに応じた分娩形態の採用や、助産 婦を活用したチーム医療の採用、高次の病院のオープン化等に取組む。 緊急を要する母体・胎児に対しては、各都道府県ごとにそうした母体・患児の受け入 れや搬送が可能な三次医療を担当する総合周産期母子医療センターを整備し、これを中 心として、地域ごとに二次医療を担う地域周産期母子医療センターや初期医療を担う一 般産科病院・診療所・助産所を含めた周産期ネットワークシステムを構築し、母体・新 生児の搬送体制の確保、周産期医療に関する情報提供、医療従事者の研修等を推進す る。 (イ)情報提供 妊娠、出産に関する医療サービスについて、利用者に対してそのサービスの内容等を 情報提供することを推進する。特に、医療施設は、利用者が希望するサービスの内容を 幅広く選択できるような取組を推進する。 (ウ)分娩のQOLの確保 病院・助産所において、正常分娩で自然な形態の分娩を希望する妊婦に対しては、そ うしたサービスを提供できるように対応することが望まれる。助産所において、そうし たサービスが提供される場合には、緊急時の責任は、選択した本人と助産婦に帰属する が、安全性の確保の観点からは、異常分娩か否かの早期の判断と産科医療機関への搬送 が必要であるかどうかの判断力の向上と、出生した新生児に対しての異常をできるだけ 早期に発見し、合理的に対処できる体制が必須である。そのためにも助産所と産科や新 生児科の医療機関との連携システムの構築が必要である。また、正常分娩において、助 産婦が中心的な介助・ケアを提供し、必要がある場合に医師のコンサルテーションを受 ける病院内のバースセンター方式の導入は、安全性と快適性を調和させる有力なアプ ローチと考えられる。 QOLの確保と有効な医療を追求する観点から、日常の分娩に 関わる処置の適用のあり方やその他の産科技術について、リスクに応じた適用の検討や EBMによる見直しを行う。 医療機関等において参加型の出産準備教育や個々のニー ズに対応する継続的なケアとカウンセリングも重要で、例えば、母乳のみで哺育できる ような出産前からの教育や支援、子どもとの愛着形成を支援できるような体制を整備す る。但し、十分な母乳栄養ができない母親に対し、母乳哺育がすべてであるような重圧 をかけてはならない。また、家族の立ち会い分娩や母子同室、居住型の分娩施設を利用 したいという希望にも対応する。 (エ)心の問題への対応 妊婦の心の問題に対応した健診体制や出産形態の採用、専門職によるカウンセリング の強化等に取り組む。また、育児不安軽減のための取組としてプレネイタルビジット (出生前小児保健指導)を含む産科・小児科の連携による心のケアを推進する。慢性疾 患や障害を持つ親の出産や周産期異常(流産・死産)による母親の反応性障害について は、産科、小児科と内科や精神科等との連携や心理職による相談体制を整備する。社会 的ハンデキャップを持った妊産婦についての社会的な支援も求められる。 (オ)基盤整備 安全性を確保しつつ、個々のニーズに対応するためには、施設面の整備と医師、助産 婦などの人員体制の整備が必要である。 また、産科医療を担う医師や助産婦の確保や、女性医師の勤務しやすい環境整備に努 める(16ページ ア参照)。  イ 地域保健・産業保健 (ア)地域保健 都道府県レベルでは、妊産婦死亡率等の改善を図るために、初期から三次医療を担当 する産科医療機関の連携システムを構築する。 二次医療圏においては、医療機関、助産所、保健所、市町村保健センター等の連携推 進を図るとともに、保健所・市町村保健センターが中心となった母子保健情報の提供 や、母子保健に関する学習機会の提供や両親教育の実施、育児サークルの育成等を積極 的に行う必要がある。特に、赤ちゃんを見るのも抱くのも初めてという親が増えている 状況の中、「両親教育」の指導型から体験や仲間づくりの場への転換を図る。 市町村においては、妊婦の出産・育児の不安を軽減するために、母子健康手帳交付時 からのハイリスク者のケア実施。妊産婦の負担を解消するため、産褥期のホームヘルプ サービスの提供などの取組も行う。 妊娠初期の妊婦に対する社会的配慮を喚起するための方策として、妊婦バッチの普及 の試みも意味がある。 (イ)産業保健 働く女性の妊娠・出産が安全で快適なものになるような職場環境の実現を図る。職場 における母性健康管理指導事項連絡カードの活用、産業医と産科医の連携、事業所内に おける健康管理部門と人事管理部門との連携等により、妊娠中及び出産後の女性労働者 の状況に応じた配慮がなされる妊婦に優しい職場環境の実現を目指す。今後、働く男女 が不妊治療を受けやすくなるよう配慮して、不妊治療のための休暇等を提供していくこ とも考えられる。 (2)不妊への支援 不妊治療に関する相談体制及び医療提供体制を整備する。 相談体制については、各都道府県に不妊専門相談センターを整備する。 医療提供体制については、安全性の確保のための治療の標準化や相談体制等に関する ガイドラインを作成する。さらに、治療への不安や子どもができないことによる家族や 社会からの精神的圧迫などに対する十分な心のケアを提供する。また、不妊治療に伴う 処置、検査、予後等について適切な情報提供がなされた上で治療方法の選択・決定がで き、治療中の不安に対しても十分に対応できる相談体制を整備する。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方、お気付きの点あるいは御意見ご ざいましたらお願いをいたします。 岡本委員さん。 ○岡本委員 非常に重要なことで、以前の論議し逃したことで、昨年育児文化研究所等で、医師、 助産婦の立ち会いなしの出産による新生児死亡等が、やはり大きな社会問題になったん ですけれども、そういう点でやはり安全分娩の保証のためには、出産時には必ず医師、 助産婦が立ち会うことが必要であるというようなことを、地域の市町村保健センター等 で母子健康手帳等を渡すとき等に、その必要性の徹底のために広報していただけたらと 思います。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかにございますか。安達先生。 ○安達委員 後の方に出てくるんですが、この8ページの問題認識のところの下の方ですが「不妊 治療については、現在、約28万5千人が受けているものと推定されており」ここの文章 なんですけれども「このような治療を求める夫婦に対して、医学進歩の成果を享受でき るように、生殖補助医療技術を含む」というふうに続くんですけれども、その技術を受 けられるとか、そういう体制の整備も必要なんですが。今、働く女性も増えていること から、不妊治療を受けるための職場での時間的配慮や、やさしい環境の整備といったよ うな言葉も入れていただけたらと思います。 これは、後の方を読んでいきますと産業保健のところにも出てきているんですが、私 が実際に臨床の場に立っていますと、ハエナ誘発剤をずっと注射していても、実際その 当日に仕事が抜けられなくて、受けられなかったというようなことがたびたびありま す。非常にそういうような配慮がまず必要なんじゃないかなと思っておりますので、よ ろしくお願いします。 ○平山座長 ありがとうございました。長さの関係で重複して書くか、あるいはどうするか御検討 ください。多田先生。 ○多田委員 前にも議論したところですが、この10ページの分娩のQOLの確保というところで、 最初の1行目は「病院・助産所において」と書いてあるんですが、2行目からかなりの 部分が助産所を中心に書かれているように思います。診療所とか病院・助産所、みんな この分娩のQOLというところでは、共通の部分になるような気がするのですが、しい てこれを助産所においてとして、しかも「緊急時の責任は、選択した本人と助産婦に帰 属するが」という、この「選択した本人」というところまで、助産所を挙げて書く必要 があるのかなという気がします。医療機関を含めてQOLを高めるというところは共通 なのではないかと思います。それから、緊急事態になった場合には、連絡を取ってやる ということも共通のような気がするのですが、いかがでしょうか。 ○平山座長 これは、何かこういう表現の御要望があったんですか。 ○椎葉課長補佐 これにつきましては、この第2節の議論の際に、かなり突っ込んだ議論がなされきま した。まず9ページの一番下の分娩の安全性の確保ということで、基本的には安全が最 も重要だと言っておりまして、参加医療機関の連携だとか、休日・夜間の体制とか、急 変した際に高次の医療機関に搬送できるようにというのをうたって、(ウ)のQOLの ところは、特に助産所の場合には、こういうことが必要だということで、2〜3回、議 論を行い、大体今のような形に整理されてきたととらえています。今までの議論に基づ いて整理したものです。 ○平山座長 いかがでしょうか。 ○小野委員 きっと多田先生のおっしゃっていることと類似した意見なんですが、この2行目の後 段の「助産所において」からずっときて、最後の「必須である」というところまでが、 きっと文章が長くて、私削ってみたんですが、わかりにくい文体ですので、少し刈り取 りがわかる。どこまで何を、余りごっちゃに言い過ぎなんじゃないかなと思いますが、 整理していただけるとわかるんじゃないかなと思います。 例えば「判断力の向上と」と「出生した新生児に対しての」と言ったら、新生児の異 常という言葉でいいし、判断なら判断とで文章はすらっといくのかなと思いますが、意 見です。 ○平山座長 ありがとうございました。もう一回読み直して検討させていただきましょう。 ほか にございますか。では、いろいろありがとうございました。それでは、一応時間の関係 もありますので、次の第3節を読んでいただきましょう。お願いします。 ○椎葉課長補佐 12ページでございます。 第3節 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備 1 問題認識 21世紀の少子社会において生まれた子どもが健やかに育つように支援することは、小 児の保健と医療の主要な課題であり、多くの疾患を克服し、高い小児保健医療水準を20 世紀に達成した我が国においても、QOLの観点や健康な子どもの健全育成をも視野に 入れ、今後より一層の小児保健医療水準向上ための努力が求められる。 保健医療水準の向上に向けては、母体の胎内で発達を遂げながら出生の時を待つ胎児 期から手厚く支援することが必要である。このため、周産期医療・小児医療体制の整備 等を通じた更なる努力が必要である。また、新生児医療の進歩により救命された低出生 体重児等が健やかに育つための継続的ケア体制の整備も必要である。 一方、子どもを取り巻く育児環境については、乳幼児期の家庭での死亡事故が多いこ とが指摘されており、また、子どもが病気になった時のために、家庭や医療機関等で親 が看病しやすい体制や入院が長期にわたる場合の入院環境や在宅医療を支援する体制の 整備も求められている。 また、小児医療においては、小児医療の不採算に伴う小児病棟の縮小・閉鎖による小 児医療水準の低下、小児救急医療レベルの低下、小児科医師志望者の減少等の問題が生 じている。特に新生児医療、小児救急医療等の分野や細分化された専門分野の小児科医 師の不足が懸念されているが、研修体制の確保等、一朝一夕では解決できない問題を抱 えており、放置するならば小児医療体制の崩壊につながりかねない危険性を有してい る。 乳幼児期の健康診査(健診)システムは世界でも最も整備され、受診率も高いが、健 診の精度や事後措置などについて地域間の格差が大きいことや、心身障害児や慢性疾患 児のQOL向上のための地方公共団体のこれまでの対応は十分とは言えず、ともすると 個々の機関・施設又は個人の努力に委ねられてきたこと等が指摘されている。また、児 童福祉や学校保健との連携も課題となっている。 地方公共団体においては、本庁レベルで母子保健の技術職の担当が減少したところも あること、専門的・技術的機能が強化された保健所の母子保健業務において広域的な連 絡調整機能が低下したこと、市町村の介護保険部門等への業務の重点の移行に伴い、母 子保健の活動が低下したこと等が指摘されており、地域保健における母子保健サービス の水準の維持が問題となっている。 このように、これまで我が国が達成した世界最高レベルの小児保健医療水準や地域保 健サービスのレベルを低下させかねない事態も出現しており、その維持のための対策も 極めて重要である。 このようなことから、小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備を、21世 紀に取り組むべき主要な課題として位置付け重点的に進める必要がある。 2 取組の方向性 (1)地域保健 母子保健法に基づく地方公共団体が実施する体系的な母子保健サービスは、平成9年 度から市町村と保健所との役割分担もなされ、市町村で策定された母子保健計画等に基 づく施策が展開され、高水準が保たれてきている。しかし、その保健水準が一見良好で あるが故に、介護保険や高齢者対策など他の施策に比べて、その重要性に見合った適切 な資源投入が行われていない場合もみられ、事業の企画・実施にも、サービス提供のた めの人材投入においても他の施策に比べて等閑視される傾向がある。しかしながら、少 子化に伴い、母子保健サービスの必要性はむしろ高まっており、こうした状況の広まり により多くの社会的な問題が生じつつある。 医師・保健婦・士をはじめとする人材の本分野に関する専門性・経験や、母子保健・ 小児医療・児童福祉をはじめとした関係機関との連携システムは、一旦、失われると、 その回復・再構築は長きにわたる時間が必要となる。こうしたことから地方公共団体の 責任者をはじめ関係者の理解を得て、その予防のための体制の確保を図る必要がある。  ア 健康診査等 これまで培ってきた乳幼児期の健康診査システムは世界最高を維持し、健診の精度や 事後措置などについて、質の維持・向上を図り、乳幼児期の疾患や障害の早期の発見と 早期療育につなげるよう努力していく必要がある。  イ 事故等の予防 子どもを取り巻く育児環境を考えると、本人だけではなく、周囲の人の喫煙や飲酒等 も問題となる。特に20歳代、30歳代男女の喫煙率が諸外国に比べ高い状況であり、早産 や低出生体重児の出産につながったり、乳幼児突然死症候群(SIDS)、気管支炎、 気管支喘息等へも影響している。また、子どものタバコの誤飲・誤食等も起こってい る。これらの好ましくない育児法についての知識の普及を行い女性本人の禁煙と周囲の 人への分煙等を働きかける必要がある。 また、乳幼児が家庭の風呂場で溺死する事故や児童生徒の交通事故による死亡も多く 発生しており、家庭と学校、地域が一体となって小児期の事故防止対策を進める必要が ある。  ウ 予防接種 小児の死亡の減少に貢献してきた予防接種の接種率を向上させることが大きな課題で ある。予防接種は、地域における接種率が概ね95パーセントを超えるとその地域にお ける感染抑止効果が大きいとされる。 予防接種率については、従来まで中学生の時期の女子に接種を行っていたが平成6年 度より幼児期の男女に行われることとなった風疹の予防接種に関して、平成7年度から 平成15年度までの間に中学生の時期に行われる女子の接種率が低く、これらの多くの未 接種者が妊娠初期に風疹に罹患した場合に、その子どもの先天性風疹症候群の発生が懸 念されている。また、予防接種のある疾患の中で麻疹についてみると、平成元年からの 10年間の死亡者数は230 人で、うち10歳未満が約80パーセントを占め、依然として解決 すべき小児の重要な疾患の一つとなっている。近年、大人の麻疹が国際的にも問題とな っており、小児期において適切に予防接種を受けることの重要性が指摘されている。予 防接種は、対象となる疾患の病像が十分に知られていないこと、予防接種に伴う副反応 に関する情報の氾濫による安全性への不安が強いことなどから、関係者等の接種への理 解が十分でないことが指摘されている。予防医学の効果が最も期待できる分野におい て、効果とリスクを冷静に判断し最善の注意を払った上で、その成果が生かされるよう 関係者に理解を求めていく必要がある。 (2)小児医療 小児医療は、単に疾患の診断や治療だけでなく、乳幼児の発育発達の評価、育児上の 問題に関する相談、予防接種を中心とした疾患の予防、家庭内や学校における健康上の 問題の解決など、医療や保健の広い範囲の活動が求められている。今後、少子化が進行 するにつれて、育児上の不安を覚える両親が増え、身近なところでそうした活動を含め た小児医療を受けたいとの要望はますます強まるものと推測され、このような要請にも 応えていく必要がある。 一方、小児医療の不採算性から、小児病棟を縮小・閉鎖する病院の増加が危惧されて いる。また、小児科医について、採算性の問題や、他科と比較して当直が多く勤務体制 が激務であること、少子化により患者数の増加が見こめないことなどから、小児科医を 志望する医学生が減少していることが指摘されている。 このような小児医療の特殊性を踏まえ、他科と比較して遜色なく小児医療が確保でき るよう、診療報酬の改善を図る等の医療経済面を含む制度的なアプローチが不可欠であ るとともに、医療関係者の努力も必要である。  ア 小児救急 小児救急医療については、従来からの初期、二次、三次といった体系的な救急医療体 制が十分に機能しているとは言い難いとの指摘がなされている。患児の保護者の側から 見れば夜間も診てくれる信頼できる小児科医が近くにおらず、医療提供側から見れば特 定の医療機関に重症度にかかわらず患児が過度に集中し、小児科医の過重労働等の問題 が生じているということである。この理由としては、共働き夫婦の増加により家庭で子 どもの異常に気付くのが以前より遅い時間帯になっていること、核家族化に伴い子ども の健康に関する祖父母の経験と知識が生かされていないこと、保護者が小児専門の医師 による診断・治療・説明を希望する傾向にあることなどがあげられる。これらの点に留 意し、小児救急医療体制の整備を早急に行う必要がある。  イ 小児の入院環境・在宅医療 心身の発達・発育に障害を有する児童や長期にわたる治療が必要な児童のQOL向上 のため、医療機関は、児童福祉、療育、特殊教育などの機関と連携し、小児の入院環境 や在宅医療の整備に向けた総合的な取組を行う必要がある。 小児の入院については、成長・発達途上にある小児の特性を踏まえた生活環境の整備 を行う必要がある。また、長期に入院する患児の心のケアのため対策や、患児の家族の 支援体制の整備を推進する必要がある。さらに、子どもが病気になった時に、子どもを 家庭や医療機関等で看病できるよう親が周囲に気兼ねなく休めるような社会環境を実現 していく必要がある。 また、NICUに長期に入院する患児や急性期を乗り切ったハイリスク児、長期慢性 疾患児について在宅医療を推進するための体制を整備する必要がある。 3 具体的な取組 (1)地域保健 妊娠・出産から乳幼児期にわたり保健サービスの提供や評価を行う母子保健業務は、 極めて技術的でかつ専門性が高いことから、医師等の技術職を確保することや、母子保 健の専門分野について関係職員の一層の研修の充実を図る。 また、世界でも最高の水準にあると言われる我が国の母子保健の水準を今後も維持し ていくために、住民に身近なサービスを提供する市町村においては、保健相談・保健指 導・訪問指導・健康診査等の母子保健のサービスを低下させないよう雇い上げによる関 係専門職種の活用も含め人的体制を確保していく。  ア 健康診査等 乳幼児期の健康診査は、健診の精度や事後措置などについて、住民のニーズを踏ま え、質の維持・向上を図っていく。また、健康診査等で早期に発見された障害児や障害 児には該当しないが心身の発達が正常範囲にないなど将来、精神・運動発達面等におい て障害を招来するおそれのある児童への支援を充実する。そのために、障害等の早期発 見体制の整備や親に対する適切なインフォームド・コンセントの実施、効果的な早期療 育のプログラムの策定を行うとともに、地域の療育関係機関ネットワークを整備し、地 域の療育機能の充実を図り、障害児と親へのコミュニティ・サポート機能の強化を図 る。  イ 小児の事故等 小児の事故の大部分は予防可能であることから小児の発達段階に応じた具体的な事故 防止方法について、家庭や乳幼児・児童を扱う施設の関係者に対し、あらゆる機会を利 用して情報提供、学習機会の提供を行う。家庭と地域における事故防止対策を浸透させ るために、まず都道府県と市町村レベルに協議会を設け、地域における目標を設定し、 事故防止対策の企画・立案、推進・評価を行う。 保健所等に事故防止センターを設置し、家庭や乳幼児・児童を扱う施設の関係者に対 し、事故事例の紹介、具体的な事故防止方法の教育の実施、乳幼児の模型を用いた心肺 蘇生術等の応急手当の学習機会の提供等を行う。地域で生じた小児事故事例について医 療機関等から定期的に把握し、原因の分析等を行うとともに、関係者に対しその情報提 供を行う。事故は家屋や施設の構造上に問題があるなど物理的な環境で生じることも多 いことから、物理的環境の改善を進める等の取組も考えられる。併せて、マスコミを通 じた広報も活用していく。 SIDS予防対策は、関係者が常に子どもの動静に関心を持つように情報提供を行う とともに、欧米諸国と同様に、A仰向け寝の推進、B母乳栄養の推進、C両親の禁煙の3つ の標語をもとに、11月のSIDS対策強化月間を含めた全国的なキャンペーンを継続す る。今後は、マスコミの協力も得て広報活動を量的に拡大していく。  ウ 予防接種 予防接種の接種率を向上させる対策としては、予防接種への関係者の関心が高まるよ うに情報提供の質的な転換が基本となる。具体的には、予防接種の持つ効果とリスクに 関してバランスのとれた情報を幅広く提供し、乳幼児健診の際にわかりやすく説明する などにより親や関係者の理解を得る。また、これまでの医学的な情報中心の広報の方法 を転換し、疾患の病像や予防接種の意義について理解を深めるような若者向けの漫画や アニメを使ったわかりやすいパンフレットの作成、インターネット等の電子媒体を利用 した広報等の取組を行う。 併せて、地域における感染症対策の主体である都道府県が感染症対策を的確に行い、 乳幼児の感染症を減少させることも重要である。感染症の集団発生に際して迅速で的確 な対応を行うことにより、保護者等の信頼感を増していくことが必要である。今後も、 感染症発生動向等の利用による地域における感染症の発生動向や乳幼児の健診の機会を 利用して接種率等を定期的に把握し、必要な情報提供を行うとともに効果的な予防対策 を推進していく。 (2)小児医療  ア 小児医療 小児医療においては、疾患の診断・治療、育児上の問題点に関する相談、疾患の予 防、家庭内や学校における健康上の問題点の解決などの幅広い要請にも十分に応えてい く。 小児の病床確保については、都道府県において、地域の実情を踏まえ、適切な小児医 療提供体制を確保する観点から関係者の理解を得つつ対策を進める。 小児科医の確保対策については、即効性のある対策はないが、中長期的な課題とし て、小児医療に魅力を覚えるような報酬面を含む環境整備のための方策を関係者間で検 討する。中でも、勤務が過重にならないよう小児科の定員枠の確保は必須である。ま た、医学教育においては、小児科に魅力・生きがいを見出せるような教育の実施やそう した教育を行うための研修指導に係る教育スタッフの充実を図る。 今後、小児科医における女性医師の割合は増加すると予想される。しかしながら、離 職者も多く、対策が急務である。特に、女性医師が育児と仕事の両立ができる体制を整 備することが重要である。今後、産休期間の代替要員の確保、病院内の保育所や病後児 保育施設の整備、ベビーシッターの利用の便宜、また育児休業後の円滑な職場復帰が可 能な環境づくりを行う。  イ 小児救急医療 より良い小児救急医療体制を地域で構築するためには、まず、医療関係者と行政機関 が地域における小児救急は地域全体で支えていくという合意の下に取組を進めていくこ とが必要である。小児救急医療体制の整備は、都道府県が果たすべき重要な責務である ことから、医療計画において計画性をもって行うことが基本である。 具体的には、初期救急医療体制については、休日・夜間急患センターにおいて、小児 科医を広域的に確保し外来機能を強化することが考えられる。人材確保に関しては在宅 当番医制等を活用することが考えられる。二次救急医療体制については病院小児科の輪 番制の充実が急務である。しかしながら、輪番制のみでは重篤な病状には対応が困難な ことも想定されるため、三次救急医療体制として、小児科医を重点的に確保した概ね人 口100 万人につき1ヶ所の拠点となる医療機関を医療計画において明確に位置付け整備 することが考えられる。 上記の施設及び設備を整備し人材を確保するために、地域医師会、大学医学部、関係 病院による支援体制を確立することが重要である。このようなシステムを地域で構築す るにあたって消防機関等の関係者を交えた小児救急医療に特化した協議会等を設置し、 地域の実情に応じた多様な形態での対策を検討していくことが必要である。利用者の立 場に立ったシステムとするためには、地域の小児救急医療体制を評価し、地域住民に公 開するといった評価事業も重要である。 また、運営などの財政面の対応を確立することは不可欠であり、診療報酬面での改 善、国による運営等の助成も当分の間必要である。  ウ 小児の入院環境と在宅医療 小児の入院については、成長・発達途上にある小児の特性を踏まえ生活環境の整備を 行う。特に、病室内に親が付き添うためのスペースの確保や院内における患児の日常生 活介助のための環境の整備、また、長期に入院する患児の心のケアのための心理職や院 内保育士の確保、プレイルームの整備、院内学級の整備による教育機会の提供等の取組 を行う。また、患児の家族のために医療機関併設の宿泊施設の整備や、長期入院する患 児の家族が持つ悩み等を気軽に相談できる体制を整備する。さらに、子どもが病気にな った時に、親が周囲に気兼ねなく休める社会環境を実現していく。 NICUに長期に入院する患児や急性期を乗り切ったハイリスク児、長期慢性疾患児 について在宅医療を推進するための体制を整備する。また、地域における児童福祉施設 や養護学校などの教育施設とのコーディネート機能の強化や、訪問看護ステーションや 患児を一時的に預かるショートステイなどの在宅医療を支援する体制の整備を図る。 ○平山座長 ありがとうございました。小児関係でございますが、いかがでしょう、何かお気付き の点ございましたでしょうか。田中先生。 ○田中委員 特にということではないんですけれども、13ページのイの事故等の予防というところ なんですけれども、文章がどちらかというと最初のところにたばこの話が非常に大きく 出ているようなんで、ちょっと不釣合いかなという気もするんで、育児との関連でお話 ししているならいいと思うんですけれども、ちょっともし御検討していただければとい うふうに思っております。よろしくお願いいたします。 ○平山座長 ありがとうございました。どうぞ神谷先生。 ○神谷委員 ディスカッションのときにも申し上げたんですが、12ページのところの、まず一つに は「母子保健の技術職の担当が減少したところもあること」というような表現だけなん ですけれども、私はこのときにも申し上げたように、専門的な母子保健もずっとやって いくような人をここへつくってもらわないと、どんどん変わっていってしまったんで は、母子保健を2年か3年やったら今度はお隣りに行ってしまって、今度来た人は全く 知らないというようなことが、現実に地方ではもうしょっちゅう起こることなので、何 とかそういう問題をここに、専門性を持った者を養成するというような意味合いのこと を、是非入れていただきたいと思います。 次に、13ページの予防接種のところなんですけれども、ちょっとこれ少し誤解を受け ると思いますので、少し文章を直させていただきたいんですが、これ私ちょっと届かな かったので、細かくなりますから、後で申し上げたいと思いますけれども、要はこれは 予防接種法を変えた移行期の問題ですので、移行に際して谷間となった年齢の学童生徒 に対して、その中の女性の未接種者が風疹に罹患した場合というのがこの後の方にくる わけで、ですからここは男も女も打たなかった人はあるわけですから、ここの文章は後 で椎葉さんの方に申し上げたいと思いますので、よろしくお願いします。 3つ目ですが、14ページの小児救急医療体制の整備のところですけれども、後の方で 一応具体的にはうたってあるんですが、この理解としては地域がそういう整備を、これ ですと努力も必要であるという程度では、とてもじゃないけれどもできないと思うの で、地域がやるということは後ろの方でそう読んでよろしいんですか。 ○椎葉課長補佐 はい。 ○神谷委員 いいんですね。はい。 それから、次の具体策の方の16ページの予防接種のところで、ここで学校教育の中で やってほしいという話が、これも前出ていたと思うですが抜けていると思いますので、 乳幼児の健診の際にわかりやすく説明するということと、あとは学校教育の中で予防接 種の説明をきちっとやってほしいということを入れていただきたいと思います。 最後のところ、17ページのまず上のところですが、2行目の「休日夜間急患セン ター」というのは、これ誤解を受けやすいんですが、休日の次のポツが入いると考えて よろしいでしょうか。 ○椎葉課長補佐 はい。 ○神谷委員 休日もやるけれども、夜間もやるということですね。 それから、17のウのところで「院内学級の整備」ということは、それはそれでいいん ですけれども、養護学校の問題が全くここで抜けてしまっているわけですが、結局は 今、養護学校がやはりその慢性疾患についてはかなり役割を果たしているので、養護学 校の問題をどこかに入れていただきたいと思いますので御検討ください。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。 ほかにございますか、徳永委員さん。 ○徳永委員 問題の認識のところの、13ページの健診等のところなんですが、健診が大変大事だと いうことは、ここでの議論もいろいろあったんですが、私は健診は4番目の育児不安と もリンクした考え方で書いていただきたいと思うんです。子どもの疾患や障害の早期発 見、早期療育だけでは、今の健診はやはり不十分だと思います。もっと母子関係や、親 の育児不安、虐待のリスクにも目を向けた健診が行われて、早期発見ができるような健 診の取組が必要であるというふうに書いていただきたいということと、健診でいろいろ と子どもの発育、発達をチェックするアンケートをこれまで取っているんですが、それ に加えて、やはりそういうお赤さんの不安であるとか、出産の気持ちであるとか、いろ いろ家族の困っていること等も取れるようなスクリーニングシートを開発して、もっと 健診の内容を充実させていかなければならないのではないかなと考えているんですが、 その辺を盛り込んでいただきたいと思います。 後ろの育児不安のところをちょっと見たんですが、そういう書き方は少ないかなとい うふうに思いましたので、ちょっと検討していただきたいと思います。 ○椎葉課長補佐 今のご意見につきましては、第4節の20ページの具体的な取組の(1)のアの地域保 健の第2パラグラフから「従来の乳幼児健診は」というところから次のページの第1パ ラグラフぐらいまで、かなり量的には記載したのでありますが、この部分の記載が抜け ていますんで、ちょっと第4節との関連で少し継ぎ足したいと思います。 ○平山座長 よろしくお願いをいたします。あとはよろしゅうございますか。どうぞ。 ○岡本委員 15ページの具体的な取組の(1)の地域保健のところなんでございますけれども、神 谷先生の方からも、あるいは前論議したときも、小児専門の保健婦とかいう表現も出て きたんですけれども、余りにも市町村保健センター等に母子保健の看護職の専門家であ る助産婦の数が少ないために、いろんなことが起こっていると思われることに関して、 是非最後の一文に特に現状では活用度の低い助産婦の活用が望まれるというような表現 あるいはそこが無理であれば、関係専門職種のところに助産婦等という言葉を入れてい ただけたらと思います。よろしくお願いします。 ○平山座長 ありがとうございました。よろしくどうぞ。よろしゅうございますか。文章が長いの で、思ったより時間が掛かっていて申し訳ございませんが、第4節へ入らせていただい て、お疲れでしょうが椎葉補佐読んでください。 ○椎葉課長補佐 それでは、18ページからです。 第4節 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減 1 問題認識 近年、親と子の心の健康についての関心が高まってきているが、この問題について は、予防を含めて保健医療分野の取組の必要性が大きくなっている。特に母子保健で親 と子の心の健康に取り組むことは、思春期を含む子どもの心の問題の予防につながるも のであり、意義が大きい。母子保健における心の健康は、(1)両親の育児不安・ストレ スと子どもの心の関係、(2)児童虐待に代表される親子関係、といった2つの大きな問 題が存在する。 乳幼児期の子どもの心の発達は、一番身近な養育者(多くは母親のため、以下は母親 と記す。)の心の状態と密接に関係があり、また、母親の心の状態は父親の態度や生活 状態に大きく影響される。乳幼児期の子どもの心の健康のためには、母親が育児を楽し めるよう育児環境を整備することが不可欠である。 現代の母親の多くは、以前に比べ妊娠期、出産、産褥期、その後の育児に至るまで間 断なく不安にさいなまれ、悩み続けている。また、産後うつ病の発生頻度も高く、全て の母親が何らかの不安を抱えているといっても過言ではない。また、我が国では父親の 育児参加も少ないため、父親も育児に自信がなく、母親を支え難くなっている。 我が国の育児について、社会問題化している母親の育児不安の問題に関して、以下の 点が指摘されている。 (1)社会環境による影響を強く受けること 一般に、母と子の心の関係の成り立ちは、(1)母の心の状態、(2)育児に関する親の知 識や技術、(3)社会や先輩や仲間からの育児の伝承、(4)育児の負担や楽しみを夫婦間で 分かち合う、(5)生活基盤の安定、などによって支えられ、形成され、発達し、確立する と言われている。しかしながら、少子化、核家族化、国際化、長時間労働が恒常的な職 場環境、父親が育児参加しないことを是とするような社会風潮、地域の育児支援能力の 低下等の社会環境は、これらの親子の健全な心の関係の確立の阻害要因となっている。 そのために早急に有効な対策が取られなければ、育児への不安感や孤立感を持つ母親の 数は今後増加していくことが予測され、その影響を受ける子どもの心の問題も増加し、 深刻化すると考えられる。 (2)次世代にも引き継がれること 子ども時代に大人から十分な愛情を受ける機会なく育った親は、子どもの気持ちや要 求を読みとりにくく子どもを愛する方法が分からないため、育児困難や虐待につながり やすいことが指摘されている。つまり親子関係の問題は、有効な対策が取られなけれ ば、21世紀の次世代へ連鎖されるといえる。 (3)問題の大きさと原因・結果の因果関係が存在していること 児童虐待の研究から、虐待では、(1)多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けてい なかったこと、(2)生活にストレス(経済不安や夫婦不和や育児負担など)が積み重なっ て危機的状況にあること、C社会的に孤立化し、援助者がいないこと、D親にとって意に 添わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)であること、の4つの要 素が揃っていることが指摘されている。 そのため、虐待を防止し、予防する方法は、これらの4要素を揃わないよう働きかけ ることである。例えば、援助者が虐待する親の相談相手になることは、虐待者の社会的 孤立を無くすことになり、その時から虐待は軽減される。そしてあらゆる社会資源を導 入して生活のストレスを軽減し、もし、子どもの健康問題がある場合には、親の負担を かけることなく改善し、再発を防止する。このような育児支援を、出生直後から、親に 対して行うことにより、虐待の予防につながると言われている。 しかしながらこれまで母子保健を担ってきた地域保健や地域医療の関係者は、妊婦や 母親の不安、子どもの心の問題、児童虐待を含めた親子関係の問題、育児を行う生活基 盤の調整等に対して、必ずしも十分に対応してきていなかった。 今後、妊娠・出産・育児に関する母親の不安を除去し、のびのびと安心して育児を楽 しみ、子どもに愛情を注げるよう、また子どもの豊かな心の成長を育むための取組を全 国的に総合的に講じることは、21世紀の母子保健上極めて重要な対策であるといえる。 2 取組の方向性 (1)子どもの心と育児不安対策 親と子の心の問題に対応するためには、まず、親を含めた関係者自らがこれらの学習 を行うことが重要であり、そのための支援を行うことが必要である。 子育ては日常的なことであり、育児不安は、ほんの些細なことから出現する。このよ うな目先のちょっとした不安を解決、納得させ、育児を楽しみに転換させていくことが 基本である。しかし、育児の方法は千差万別で、マニュアルによる画一的な支援を行う ことは困難である。また、個々人の経済的・文化的な環境への介入には限界があること を認識した上で、最善の方策を探ることが基本である。 子どものことについてよく知らない親の出現も指摘されているが、子育てについての 知識や技術や体験する機会の提供が必要である。特に、親が自分自身の子育てに対する 気持ちをしっかりと持つことが重要で、そのための支援策を、できるだけ早期に学校教 育から行うことが必要である。 育児不安には、子育ての中で起こる一般的な不安、他人と比較されることに対する不 安、第三者から言われたことに対する不安、子どものことを知らないで自分の思うよう に育たないことによる不安、子どもの持っている障害による不安など様々なものがあ り、これら各種の不安に適切に対応し、親が自信を持って子育てを楽しむようにするこ とが本来の支援といえる。 また、母親が育児で孤立化することを防ぐため、父親や家庭や地域の育児能力を高め ることや、育児を支援する能力を高めることが必要である。また、子育てをしやすい社 会状況の促進や、母親のみならず父親も積極的に育児休暇が取りやすい企業風土を育成 するなどの取組も進める必要がある。 このようなことから、妊娠―出産―産褥―育児期にかけて、育児に焦点を当てた心の 問題の観点からのケアシステムを構築し、一人の人間を最適な環境で見守っていくこと が必要となる。それには、母子健康手帳の交付から始まる地域保健での母子保健の流れ と妊産婦健診より始まる地域医療の流れの融合と、出産前のケアと出産後のケアの連続 性の担保が不可欠である。特に、親子の心の問題に対応するためには、地域保健・医療 機関においては、従来の疾病発見・スクリーニングを中心としたルーチン業務の形態 を、常に心の問題を意識して対応するものに変えていく必要がある。また、その推進に 当たっては、必要な施設整備費・人件費・運営費等の補助や診療報酬上の対応を検討す ることも必要である。 親子に直接触れる機会の多い、身近な医師、助産婦、保健婦・ 士、保育士等の人間的な心のぬくもりが重要で、これらの専門職のほんの一言が親を勇 気づけ、子育てを楽にしていくことが指摘されている。子育て支援の原点は、まさにこ の触れ合いの時にあることを銘記すべきである。 (2)児童虐待対策 児童虐待は、子どもの年齢によって発生する種類に違いがある。0〜3歳未満は、身 体的虐待・ネグレクトがほとんどで死亡事例も少なくない。3歳〜就学前は、身体的虐 待、ネグレクト、心理的虐待が多い。小学生は、就学前と同様であるが、心理的虐待が 目立ってくる。中・高校生は、身体的虐待が減るが、心理的虐待、性的虐待が多く見ら れる。このように発生する虐待の種類を年齢ごとに踏まえて適切に対応する必要があ る。特に、地域保健・地域医療での対応が児童虐待の予防と早期発見及び再発予防にき わめて大きな役割を果たし得るということと、継続的観察・介入が可能だということの 認識と位置づけを持つことが重要である。 3 具体的な取組 (1)子どもの心と育児不安対策  ア 地域保健 地域保健においては、これまで、ともすると疾病・障害の早期発見・早期療育など画 一的な保健指導が行われていたとも指摘されており、育児支援の観点からこうした体制 の見直しを行う。 従来の乳幼児健診は母親の育児力の形成や、生活改善につながっていないという指摘 もなされている。このため、健診が母親自身が育児力を持つための学習の場としての役 割を果たし、母親自身が子どもの発達の過程を認識し、自らが育児方法を生み出せる力 をつけさせられるような機能を果たすように健診のあり方を見直す。 乳幼児の集団健診は、疾患や障害の発見だけでなく親子関係、親子の心の状態の把握 ができるように、そして育児の交流の場として、話を聞いてもらえる安心の場として活 用するように健診のあり方を見直す。また、共働き夫婦や父親が参加しやすいよう休日 に健診を受けられるような体制の整備を図る。 育児不安や子どもの心の問題がある場合の身近な相談の場として小児科医や心理職に よる個別相談の実施や、親同士や親子の自主グループ活動に対する支援を保健所や市町 村において行う。 さらに保健所が中心となり、二次医療圏において医療機関と連携し、ハイリスク集団 に対する周産期から退院後に向けてケアシステムの構築を行う。 各種の育児支援を行うに当たっては、保育所、乳児院、児童相談所、児童館等の福祉 分野との連携と自主的な民間の育児グループ等の育成を行う。 また、これらの連携・調整や組織化に地域保健関係者は力を注ぐとともにその技術を 身につけるよう努める。  イ 学校保健 現在の小・中・高校生は、少子化に伴い、子どもに接した経験が少なく、自分が親に なったときに育児不安に陥りやすいこともあることから、市町村の母子保健活動や保育 活動の機会を利用した生徒が乳幼児に触れ合う体験を推進する。また、子ども同士の触 れ合いや自然・動物との触れ合いの機会を提供する。  ウ 医療機関 (ア)周産期医療 産科では、出産の安全性や快適さに関わる事項に加え、妊産婦の育児への意識・不安 のチェックとそれに基づく地域保健機関や小児科への紹介を行う。さらに、妊娠中又は 出産直後から始める親と子の愛着関係を促進する支援策として、プレネイタルビジット や母子同室、母乳ほ育の普及等を図る。 また、心の問題の発生することの多い出産後について、マタニティブルーや産後うつ 病等の精神機能障害の予防・早期発見・治療の取組を推進する。 高度の周産期医療の対象となるハイリスク妊産婦・極小低出生体重児等は退院後も長 期に子の健康・発達や母の健康や愛着形成・養育などの点で問題が持続することが多い ことから、二次医療圏レベルでの医療機関と保健所を中心とした地域保健とで連携した フォロー体制を整える。 不妊治療への対応として、各種の情報提供を行うとともに、治療中の不安や妊娠の受 容や出産後の育児不安への対応を図る。特に、不妊治療を受ける女性は高齢のことが多 く、また、不妊治療の副作用として多胎や未熟児が出産することもあり、不妊治療を受 けていない妊婦に比べ不安が生じることが多いことから、これらの不安に十分に対応す る体制を整備する。 (イ)小児医療 小児科では、診察時の疾病の診断・治療に加え、親子関係や母親の心の様子、夫婦の 協力関係、子供の心の様子・発達への影響等を観察し、ケアやカウンセリングを行うよ う努める。また、プレネイタル・ビジットの実施による産科との連携強化を図るととも に、必要なケースを発見した場合のために児童精神科や保健福祉機関との連携を密にす る。 小児科外来に多くの心の問題を抱える小児が受診している実態を考えると、専門家 (児童精神科医、小児心身症の専門家、心理職など)だけでこれらに対応できるとは考 え難く、小児保健に携わる者は、子どもの心の問題に対応できる体制の整備を推進す る。 特に、医師、保健婦・士、助産婦、看護婦・士、育児支援者等については、心の問題 の早期発見や問題の受け皿、通常の相談・診療場面での担い手として、その養成、確 保・研修を図っていく。 中でも、臨床における子どもの心の問題に対応するために、小児科医のみならず、小 児科医以外の医師や看護婦・士、理学療法士、言語療法士などの小児医療に関連する職 種についても、子どもの心の問題に関する研修システムの確立を図る。 (2)児童虐待対策 乳幼児虐待は死亡も多く、乳幼児虐待を早期発見できる地域保健・地域医療の現場や 保育所等での体制整備も急がれるところであり、保健所・市町村保健センター等では、 これまで明確になっていなかった児童虐待対策を母子保健の主要事業の一つとして明確 に位置づけ、積極的な活動を展開する。 一次予防としては、特にハイリスク母子への周産期からの保健婦・士、助産婦等によ る家庭訪問等による育児サポートが重要で、地域保健においては、(1)子どもの発達に関 する知識を提供すること、(2)育児支援ネットワークをつくること、(3)公的なサービス につなげることの3つを基本とした取組を推進する。 また、被虐待児を発見、救出した後の保護についての児童福祉と連携した対策が重要 である。再発防止、子どもの心身の治療、親子関係の修復、長期のフォローアップにつ いて、医療機関と地域保健が協力して取組を進める。 これらの活動にあたっては、児童相談所、情緒障害児短期入所治療施設をはじめとし た福祉関係機関や医療機関、警察、民間団体等との連携を積極的に図る。 この分野におけるカウンセリングは特に重要であることから、専門家の電話による育 児不安や虐待防止のカウンセリングを無料で24時間、365 日提供できるような体制を整 備する。これらの体制には、民間団体の役割が期待される。 また、母親の心と身体に大きな影響をもたらす女性に対する暴力(ドメスティック・ バイオレンス)についても、これまで実施してきた地域におけるアルコール対策等との 連携も考慮しつつ、地域における取組を進める。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。最後の第4の柱でございますが、お気付きの点等ございま したらお願いいたします。 巷野先生どうぞ。 ○巷野先生 保育所に入っている子どもが病気のときに、お母さんが休める体制ということをこの 前申し上げましたが、第3節で加えていただきましてありがとうございました。そうい う体制を取っていただきたいというふうに、それでもだめなときに病児保育ということ になってくるわけです。 もう一つは、保育所に入っている子どもだけでなくて、専業主婦の場合どうするか と、非常にこれが育児に困っております。現在、各地で育児サークルなどが行われてお りますが、そういう育児サークルなどを積極的に各地で行うというようなことをどこか に入れていただけたらと。どこかありましたでしょうか。専業主婦というようなことで す。 それともう一つは、障害児を受け入れる社会ということで、今は随分と力が入ってお ります。道路をどうするとか、それから先ほどは妊婦さんの場合に、11ページに妊婦バ ッチということで、妊娠しているんですよということで、社会の人たちの目を向けると いうことがありましたが、子どもが生活の中で受け入れられているかというと、必ずし もそうではないようです。乗り物にも乗れない、ベビーカーがですね。そういった意味 で、生活の中に育児を取り込んでいくような、そういう雰囲気なり、あるいは具体的な ことを積極的に取り上げるというようなことをどこかに入れていただけたらというふう に思っております。 これは、運輸省の関係もあるでしょうし、あるいは建設省の関係もあるかもしれませ んが、そういった意味での生活の中に子育てがうまく、障害児や妊婦さんと同じように 堂々とやっていけるような社会体制をつくっていただきたいということでございます。 よろしくお願いいたします。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかにございますか。どうぞ。 ○古平委員 21ページの学校保健のところなんですけれども「現在の小・中・高校生は、少子化に 伴い、子どもに接した経験が少なく」と、子どもには違いないんですけれども、これは やはり乳幼児とか、小さい子ということを一応明記した方がいいと思います。 その3行下の「また、子ども同士の触れ合いや」というんですけれども、この子ども 同士の触れ合いというのは、乳幼児期での触れ合いというのが意味されているわけです ね。それが、ちょっと不明瞭なんで。乳幼児期にはどういうところで、どういう子ども 同士の触れ合いが必要かということが、少しここで書かれないとわからないと思いま す。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。文部省が言っているのは、年齢の違う子どもたちのという ような表現になっていますね。異年齢ですか。この辺、適当によろしくお願いいたしま す。ありがとうございました。 ほかにございましょうか。徳永先生どうぞ。 ○徳永委員 22ページの、臨床における子どもの心の問題に対応するために、小児科医のみなら ず、小児科医以外の医師や看護婦・士、云々と書いてあります。この中に、栄養士であ るとか、歯科衛生士も心の問題についての研修を受けてもらいたと思いますので、文言 を入れていただきたいと思います。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかにございましょうか。ほぼよろしければ、今いろいろ 御意見いただいた本文の部分は、可能な限り手を入れさせていただきたいと思います。 残り時間があと1時間ですので、残りの第3章ですけれども、この推進方策のところ などは表が多いのですが、表はちょっと読めませんし時間も掛かってしまうので、表に ついてはまた更にお目どおしをいただいて、お気付きの点がありましたら事務局の方に 教えていただくということを、至急お願いすることにいたしまして、第3章のところは 本文だけお願いいたします。 ○椎葉課長補佐 それでは、23ページです。 第3章 推進方策 第1節「健やか親子21」の推進方策について 第2章で述べた「健やか親子21」の主要課題に対する取組については、いずれもその 達成に向けて、一人一人の国民はもとより保健・医療・福祉・教育・労働などの関係 者・機関・団体がそれぞれの立場から寄与することが不可欠な内容を有している。国や 地方公共団体が単に補助事業や委託事業として予算化すればその成果が期待できるとい うものではない。 「健やか親子21」が、ヘルスプロモーションの基本理念に基づき国民運動計画として 展開されていくための推進方策として、次の3点が重要な柱となる。 (1)関係者・機関・団体の寄与しうる取組の内容の明確化 (2)「健やか親子21推進協議会」の設置 (3)目標の設定 第2節 各主体の寄与しうる取組の内容の明確化 基本的な視点として大切なことは、ヘルスプロモーションの基本理念に沿って、国民 が主体となった取組を第一義的なものとしていくことである。同時に、地方自治体が地 域の実情に応じた取組を展開し、関係者・機関・団体がそれぞれに貢献できる取組を認 識し、日常の活動に組み込んで展開していくことである。これらは、国が押しつけるの ではなく関係者の自主的な取組によるものでなければならない。 子どもの健康が重視され、思春期の子どもに対する適切な応援や妊産婦や不妊の夫婦 に対する優しい配慮がなされ、健康な子どもと障害や疾病を持つ子どもの育ちやその親 を支援できる地域社会の実現のための取組を国民一人一人が行えるようにすることが重 要であり、このような取組がなされるよう、関係者・機関・団体として国民、地方公共 団体、国、専門団体、民間団体の順にその寄与しうる取組内容を各課題ごとに記述し た。これらは、基本的に第2章に掲げた各課題についての「問題認識」「取組の方向 性」「具体的な取組」の記述を基に整理したものである。 1 国民(住民) 国民(住民)は、各課題に関する認識を深める活動に積極的に参画し、自分たちが直 面する健康上の諸問題に関して、自らの健康を自分で守る力(生きる力)を向上させ る。また、これらの問題を地域のものとして受け止め、関係機関と連携して、共同して その解決に向けて努力を重ねていく。 2 地方公共団体 地方公共団体は、地域特性を重視しながら、住民が各課題を地域の課題としてその解 決に取り組めるよう積極的な支援を行うことが必要で、地方公共団体同士や団体内の関 係部局等が連携して、地域における各課題の目標の設定と評価等を行うとともに、地域 における関係者への研修や関係団体の活動等を支援していく。 市町村においては、「健や親子21」の趣旨を踏まえ、今後、母子保健計画の見直し等 を行うことが考えられ、そのような場合には、都道府県においては、市町村の求めに応 じ、計画策定のために必要な支援を行うことが求められる。 3 国 国は、国民(住民)が、各課題を地域の課題として共同してその解決に取り組めるよ う、また、地方公共団体や関係機関がそうした活動を積極的に支援できるよう、必要な 情報の収集や調査研究等による科学的知見の集積及び健康教育・学習教材の開発・関係 者への研修等に努める。また、国としての目標・方向を提示し、啓発普及・広報・情報 提供や各種制度や基盤の整備等の取組を行うとともに、「健やか親子21」が国民運動と して展開されるよう各関係団体の積極的な参加を促進する。 4 専門団体 専門団体は、その専門性を活用し、各課題に関する相談、治療、調査研究、啓発普 及、人材の育成等に積極的に関わる。また、住民の積極的な支援を行うとともに国又は 地方公共団体の施策に協力する。 「健やか親子21」の各課題に関連があると考えられる専門団体の例を表1に示した。 次のページでございます。 5 民間団体 NPO(非営利組織)等の民間団体は、国民(住民)、地方公共団体、国、専門団体 間のコミュニケーションを円滑にするなど公益的視点から組織的に活動を行うことによ り、大きな役割を果たすことから、自主的・積極的にその活動を行う。 「健やか親子21」の各課題に関連があると考えられる民間団体の例を表2に示した。 各主体の寄与しうる取組として考えられる事項の例を表3〜表6に整理した。これに つきましては、割愛させていただきます。 29ページでございます。 第3節「健やか親子21推進協議会」の設置 第2節で述べた取組を効果的に調整・推進するために、関係者等の行動計画のとりま とめや進捗状況の報告・経験交流の実施等を統括する「健やか親子21推進協議会」を中 央に設置する。また、同協議会を通じて、インターネットによる情報提供や意見の収 集、全国大会を通じた国民運動計画推進の気運の醸成等の活動を実施する。 第4節 目標の設定 1 目標設定の考え方 「健やか親子21」が国民的な運動計画として推進されるためには、計画期間と達成す べき具体的課題を明確にすることが有力な方策と考えられることから、目標の設定を推 進方策の主要な柱と位置づけている。なお、目標達成年次は、2010年とした。 目標は、ヘルスプロモーションの基本理念に基づいて、指標を、次の三段階に分けて 策定した。 (1)保健水準の指標、 (2)住民自らの行動の指標、 (3)行政・関係機関等の取組の指標 「保健水準の指標」は、達成すべきQOLを含む住民の保健水準を示すものであり、 住民や関係機関等が目指すべき方向性の指標でもある。 「住民自らの行動の指標」は、各課題を達成する上で住民一人一人が取り組むべき事 項を示すものであり、親子や各家庭での保健行動や生活習慣に関する指標と、知識・技 術などの学習の指標が含まれる。なお、この指標に基づき地域で取組を進める場合に、 行政機関等からの住民に対する強制や押しつけにならないよう配慮する必要がある。 「行政・関係機関等の取組の指標」は、事業の実施、サービスの提供、施設・設備の 整備など資源・環境の整備に対して行政や関係機関・団体が寄与しうる取組を表してい る。 これらの三段階の指標は原則的には、それぞれが対応する関係にあるように選定 している。すなわち、一つの「保健水準の指標」を達成するものとして「住民自らの行 動の指標」を設定し、さらにその住民の行動を実現するためのものとして「行政・関係 機関等の取組」の指標を設定した。 こうした意味で、「保健水準の指標」は、取組の結果、最終的に得られる指標と言え る。一方、「行政・関係機関の取組の指標」はノルマ的な意味合いを持つ達成すべき努 力目標であり、「住民自らの行動の指標」は、行政・関係機関などの取組の成果をモニ タリングするための指標である。これらの対応する指標間には因果関係について証拠 (エビデンス)があることが求められるが、今回の設定に当たっては、大局的な観点か ら大まかに設定されたものや、実施されたか否かのような定性的なものも掲げられてい る。検討会においては、今回の指標として設定することによって、今後多くのデータが 収集され、因果関係などの証拠の収集が可能になると考えている。また計画策定の時点 でベースラインのデータが使用できないものについては、本計画策定後に必要な調査を 行い、可能な限り2000年に近い時点の数字の把握を行うこととしている。 掲げられた各指標は、第2章の主要課題における記述に対応していると考え得るもの を幅広くリストアップし、指標としての鋭敏性、解釈の明確さ、データの入手可能性、 重複の排除等の観点から指標を精選し、必要最小限に絞り込んだものである。したがっ て、主要課題において記述されたものの中で指標として示されてないものも数多くある ことに留意する必要がある。また、これらの指標は、我が国全体を対象として設定した ものであり、各地域での指標は、それぞれの実状に応じて独自に設定されるべきであ る。 2 指標設定のプロセス 平成8年度までに全国の各市町村で策定された母子保健計画において、収集した2362 の自治体の母子保健計画について、(1)保健水準の指標と(2)住民自らの行動の指標を設 定している212 の自治体の母子保健計画に盛り込まれている指標を抽出するとともに、 併せて当検討会のこれまでの議論から指標として取り上げるべき項目を抽出し、上記の 観点から優先順位をつけ、検討会での検討を経て、各課題の取組の指標を別表のように 設定した。 ○平山座長 ありがとうございました。それでは、お疲れでしょうが、下から、最後から2枚目の 「おわりに」もついでに読んでくださいますか。 ○椎葉課長補佐 「おわりに」 健やか親子21検討会は、31人の委員で構成され、21世紀の母子保健のビジョンに関し て幅広く検討してきた。2月3日の第1回の会議以来、4つの主要課題について、9回 にわたり議論を行った。 会議にあたっては、4つの主要課題について、特に制約を設けず、自由にかつ濃密な 検討を行った。会議の検討方法は、あらかじめ委員より提出された意見や資料をもとに 事務局でたたき台を取りまとめ、検討会で修正するという作業を繰り返した。これらの 意見や資料は、6分冊、約3000ページの資料集として別にまとめている。 報告書をまとめるに当たっては、抽象的な表現をなるべく避け、母子保健の観点から 具体的なものとなるよう心がけたが、4つの主要課題に焦点をしぼって検討を行ったた め、各委員から出された母子保健に関連した貴重な意見を割愛せざるを得なかったとこ ろもある。また、具体的な取組については、すぐに実施できないものについても母子保 健分野の資源や環境を10年の間に整備していくという観点から、努力目標として幅広く 取り入れた。 検討会は公開としたが、その議事録については、厚生省のホームページ に掲載されているので、本報告書とともに参考にしていただければ幸いである。 健やかな親子は、単にそれぞれの家庭の希望ではなく、社会全体の希望である。 本報告書に基づき、子どもの健康が重視され、思春期の子どもに対する適切な応援や 妊産婦や不妊の夫婦に対する優しい配慮がなされ、健康な子どもと障害や疾病を持つ子 どもの育ちやその親を支援できる地域社会の実現に向けた国民運動が展開されるよう希 望するとともに、皆様の今後のご理解とご協力を心からお願いしたい。 以上でございます。 ○平山座長 ありがとうございました。では、先ほどお願いしましたように、この表になっている 部分と、資料の部分につきまして何か御希望、御要望等ございましたら、メモで事務局 に連絡していただくように、再度お願い申し上げまして、今、読み上げていただいた本 文部分、これについて何か御意見ございましょうか。 戸田委員さん。 ○戸田委員 私は、この検討会に凡人がこうやっているということだけで意味があるというふうに 思っているんですけれども、なぜかと言うと、住民が自ら決めた指標と、今後の指標と いうような言葉がいっぱい出てきておりまして、多分それというのは私がここに入って いるということなのだろうというふうに思っているわけです。これが、まだまだ、いろ いろな住民の方から意見があると思うんですけれども、各都道府県、市町村レベル、あ るいは何か病院を建てるとか、センターをつくるといった事業一つひとつに至るまで、 その計画の段階から住民が参加して、そして話し合いが行われ、そのアイディアや意見 が取り入れられていくということが期待されるといったような趣旨が、もうちょっと明 確にここに記載されているとうれしいなというふうに思いました。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかにございますか。どうぞ。 ○小野委員 最初にも意見として申し上げました、地方自治体の役割を担う拠点と申しますか、そ れがこれではちょっと不十分なような気がするんですけれども、市町村のところははっ きり、この計画の見直しをするということで大変いいかと思いますが、この二次医療圏 的な保健所等の役割は、ページにしますと23〜24になりますでしょうか。前の文章ばか り読んでいたんで、そこのところにもう一つ何らかの。やはり、都道府県も計画を位置 づけるかどうか、はっきり読み取れるとしたら、目標として計画を行うというところに おいて、各種団体との協議会というか、そういうものを位置づけていくことをしない と、何となくなし崩しになりそうな予感がするんです。案外と役所は、はっきりしたも のが見えないと、では保健所は何も役割もないんじゃないかなと思ってしまうような感 じがするんです。ということを、私は危惧いたしておりますので、できましたらこうい うような「健康日本21」のような役割設定で、保健所もきちんと計画、推進をするとい うような役割が認識できるとありがたいなと思うんですけれども。 ○椎葉課長補佐 地方公共団体の役割に関しましては、櫃本委員などのご意見や、多くの方々が押し付 けにならないようにと、あくまでも地方公共団体の自主性に任せてほしいという要望が 第1回の会合からありましたので、あくまでも自主的な取り組みを進めていただくとい うことで、あえて書かずに自主性に任せるという形で、このような形で整理させていた だいたところでございます。 ○小野委員 ヒントとして、先ほどのところでも母子保健委員会をきちんとやっておりまして、市 町村の指標をテーブルの上に乗せて、サービスのレベルをチェックしているというよう なところが実態だというふうに、私も今まで関わった保健所では全部そうやっておりま したから、そういうものがすごくこれから拡大で、その場で評価のことができれば大変 ありがたく思えますので。少しここのところを拡大して、言葉を入れていただくという 工夫をしていただくと、押し付けはいけませんが、押し付けてないと逃げられるという 欠点もございますので、私も役人根性は知っておりますのでよろしくお願いいたしま す。 ○平山座長 ありがとうございました。ほかに是非という方いらっしゃいますか。 ありがとうございました。ほぼ予定の時間が近づいてまいりましたが、やはり今日も いろいろ御意見をいただきました。それから、先ほどお願いしましたように、表や何か についてはまた御希望、あるいはお気付きの点を教えていただきますが、今日が最終の 検討会なので、一応形式的にはこの報告書につきましては座長預かりということにさせ ていただいて、厚生省とまた相談しながら、今日伺いました御意見も含めまして、極力 盛り込むようにお話し合いをさせていただきたいと思います。本当にありがとうござい ました。 それでは、そういうことをお願いをさせていただきますけれども、前回、今日お休み の委員の方には、今日が最後だというので前回ごあいさつをいただいたもんですから、 今日が本当の最後でございますので、各委員の皆様方から簡単にお1人1分以内ぐらい で、この「健やか親子21」の検討会に参加していただいて、この「健やか親子21」の今 後についての思いでも、期待でも結構でございますが、それをごあいさつを兼ねまし て、一言ずつお願いをしたいと思います。50音順で恐縮ですが、安達委員さんからお願 いをいたします。 ○安達委員 検討委員会が何回かございましたけれども、大体半分ぐらいの出席しかできなかった ので、それをまずお詫申し上げます。 ただ、私は産婦人科医ですので、思春期、妊娠・出産、不妊症、こういったところを 中心にさせていただきました。総理大臣の諮問機関で少子化対策有識者会議というのが ありましたけれども、そこから始まりまして、少子化対策、それから母子保健事業をこ こずっと3年ぐらい、委員会やいろいろな研究会に出席させていただき、自分なりに意 見を言わせていただきましたし、また勉強もさせていただきました。大変ありがたく思 っております。 今回も、例えばですが、健やかな母子ということで、具体的なことを言って申し訳な いんですが、母乳栄養の確立とかそういったことに重点が置かれる、これは当然のこと です。しかし、実際の現場の中では母乳が十分にあげられない方、母乳を子どもにあげ ることができない方、医学的な理由であげることができない方もいますし、一生懸命頑 張っても、母乳を十分にあげられない方もいます。こういった方たちへの配慮とか、そ ういうことも実際の現場にいませんと、どうしてもわからない点があるのではないかと 思いまして、そういうようなことを文章で提出させていただきまして、取りあげていた だけましたことを大変感謝申し上げております。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。岡本委員さんお願いします。 ○岡本委員 出席だけは毎回来させていただきました。特に出産期周辺というのが、助産婦の主な 仕事と理解されておりますけれども、思春期を始め一緒に、それにまつわるヘルプロの 勉強をしておりますので、ここでもいっぱい助産婦もやらせていただきたいというよう なこととか、あるいは小児保健のところでも、もっと市町村保健センター等に助産婦を 置いてほしいというようなことを言わせていただきましたけれども、今後とも母子保健 に関しまして本当に力を入れて頑張っておりますので、いろんなところで、特に弱いの は行政面に余り入っていない部分ですので、今後更にその辺のところを力合わせて、そ して課題をいっぱいいただきましたので、これからまた帰ったときに、各専門団体とし て助産婦、あるいは看護職の団体で具体的に詰めるということの課題をいただいたと思 っております。どうもありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。では小野委員さんお願いします。 ○小野委員 途中から入れていただきまして、ありがとうございました。地域代表のつもりで発言 させていただきました。 地域の実状につきましては、先ほど各種委員会の中に、戸田さんがおっしゃいました けれども、民間を委員会の中に入れるということは、最近必ず位置づけておりまして、 大勢の民間の方が入って意見を言っているのが実態ではないかなと思っております。 母子保健につきましては、もし手薄になったとしたら、やはり大変老人の事業などが 入ったときに、人材が増えない実態は、私も大変憂いておりまして、10人でやっていた ところが6人になってしまったとかという実態は、間違えなく起こっておりますが、母 子保健をないがしろにするような市町村は、少ないのではないかなと思っております。 市町村の母子保健は、保健所でやっていた市町村にやった分、大きな落とし穴があっ たと思って見ていますのは、やはり保健所には医師、所長を含めた医師がリーダーシッ プをきちんと取っていただけたもんですから、医師の配置というのは大変確立しており ました。そして、母子保健をやるなら必ず小児科の先生の顧問を持って、そして母子保 健をやれたといういい時代を過ごしましたが、市町村が無医村地区のように、医師が大 変お客様的存在で、母子保健をやっている実態。医師会の先生には申し訳ないんです が、本当にお医者さんをタクシーで迎え、タクシーで送り、そして保健婦がその周辺の お世話を大変御苦労しているというのが、ローテーションで医師を迎えるもんですか ら、大変そこに指導と申しますか、きちっとした医師との関わりが、行政の中にないと いう手薄を、十分目の前で見てまいりましたので、この計画ではそこがつくられません でしたが、このような、母子保健担当医師が市町村に配置されたらもっといい時代を迎 えるのではないかなと思っております。 ○平山座長 ありがとうございました。神谷先生お願いします。 ○神谷委員 最初の1、2回を聞いているときには、これは一体本当にまとまるのかなと思って、 藤崎課長も大変なことを始められたなと思っておりましたけれども、今日こういうふう に、それなりの立派な方針がまとまって、大変よかったと思っています。 また個人的には、自分の視野の狭いところを非常にいろんな先生方から教えていただ きまして、本当にありがとうございました。 いろんなディスカッションや、いろんなお気持ちを持った方が先頭に立って、それぞ れのところが頑張っていらっしゃるということがよくわかりましたので、私も小児科医 の端くれとして、また厚生省の慢性医療をやる病院の一員として頑張ってきましたけれ ども、更にまたこれに勇気を得て頑張っていきたいと思います。 是非、こうやってつくったものが、ものとなって実際現場で活用できることを強く願 っております。ありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。巷野先生お願いいたします。 ○巷野委員 私も始め、いろんな職種の方がこうやって検討会をやりまして、どうやってまとまっ ていくんだろうかなと、毎回心配していたんですけれども、実に見事に毎回文章をまと めていだきましてお見事でございます。ありがとうございました。 最近、私、文部省のある会議に出ましたところ、そこで感じたのが、文部省は高等教 育、中等教育、それから義務教育と、上からずっと下がってきて乳幼児の問題を検討し ているんです。しかし、小児科医は、妊娠からずっと新生児、乳児、幼児と育っていく 子どもにとって、乳幼児はどうしたらいいかと考えます。 そこで両省のとりあげ方は、ちょうど幼児期の辺りでずれているような感じがしてし ようがないんです。そんなことで、これから来年省庁も変わりますけれども、文部省の 方のお仕事と厚生省の方が、乳幼児のところでまずドッキングするようにしていただけ たらというふうに思っております。 今までは大人社会でございまして、そのことが今回の文章の中にも随分出ておりま す。老人の方にみんな目が向いておりますが、21世紀には是非とも子ども時代というこ とで、ひとつお願いしたいというふうに思っております。我々も協力したと思います。 是非よろしくお願いいたします。 ○平山座長 ありがとうございました。古平先生お願いします。 ○古平委員 私も、最初のころどうなるかなと思っていた一員でございますけれども、4つの柱が ありまして、これは自分には余り関係ないところの討議に入るときは、小委員会をつく って専門的に話し合った方が、うまくいくんじゃないかなと思ったんですけれども、今 になってみますと視野が広がってよかったと思っております。 私が常々言っておりました3人子政策、兄弟が多い方がいいんじゃいなか。乳児のテ レビの影響、今、便利な育児道具となっているテレビも、どれだけ乳児に影響をこれか ら与えるのか。最近、よく言われております三間起こしと言って、間というのは間です けれども、仲間、時間、空間、これを乳幼児がうまく利用できるような三間起こしをや っていただきたいと思います。 以上です。 ○平山座長 ありがとうございました。小林先生お願いします。 ○小林委員 この会に参加させていただきまして、本当に勉強させていただきました。ありがとう ございました。 小児保健を中心とする仕事を30年してきました立場としましては、母子保健が心の世 紀にこれで入れそうだという、うれしい気持ちが私の中ではあります。 そして、虐待につきましては、今までどちらかというと、児童虐待防止法も含めてそ うなんですが、通告から分離という、後追い的な施策が今の考えてきた施策だと思いま す。母子保健が取り組んで、初めて予防や治療という形の、本当にひどい取り組みにな っていて、虐待の対策が体系的できるというふうに思います。 この「健やか親子21」が、その予防から治療までのことを考える虐待対策の、大きな 転換点をこの内容の中に含んでいただけているというふうに思いますので、そのことで も感無量なところがあります。 ただ、これが本当に現場の一人ひとりの虐待をしている、されている子どもと親のと ころに、きっちり届くような形で、どんな形で仕事を展開していくのかということが次 の課題だと思いますので、また現場で頑張っていきたいと思います。どうもありがとう ございました。 ○平山座長 ありがとうございました。澤先生お願いします。 ○澤委員 池袋保健所は、県型の保健所と違いまして、母子保健も従来どおり行っている、昔の 保健所という形の保健所なんですけれども、その中で私たちは母子保健に本当に入れ込 んで仕事をしてまいりまして、ただやはり一時伝えではどうしようもないような、大き な問題、解決できないような大きな問題があって、どういうふうにこういうことを世の 中にアピールしたらいいのかなということで、公衆衛生学会や小児保健学会を利用しな がら、いろいろやってまいりましたけれども、今回この「健やか親子21」をとおして、 ほんの少しですけれども、いい方向に向かっていくような気配が感じられて、非常にう れしく思っております。 もう一つ、全力投球しながら、一人よがりで保健所だけが、何か私たちが独自の考え で、自分勝手に一人よがりの世界にいるのではないかというような、不安もたびたびあ るわけです。そういう中で、このように会議に出させていただいて、ほとんど多くのい ろんな分野からの先生方と意見が一致できたということは、非常に私にとって大きな財 産だというふうに思っています。 これからも、母子保健もやっている保健所として母子保健に関しては全力投球で、職 員ともども進んでいければなというふうに思っております。本当にありがとうございま した。 ○平山座長 ありがとうございました。新家先生お願いします。 ○新家委員 途中で体調を崩しまして、1、2回休ませていただきましたけれども、私どもの会と いうのは、思春期から介護保険まで、女性の一生の健康を増進するということが一番大 きな目的でございますので、全国レベルで余り凸凹がないように、既にこの事業の中で もうでき上がっているものもありますと、来年の事業に新しく追加しろと言ったものも 含まれておりますので、なるだけ早く私どもで整理をいたしまして、全国の会議に伝 達、指導をしていくということを、まずやりたいと思っております。 一番難しいのが、戸田委員がおっしゃった、より快適ということが非常に難しいと思 いますけれども、それも期待に添えるように努力していきたいと思います。ありがとう ございました。 ○平山座長 ありがとうございました。多田先生お願いします。 ○多田委員 医療の現場をやっておりますと、医療の問題だけではなくて、そこから発展して保健 とか福祉とかいうところとも、これから子どもたちのためには強調してやっていかない といけないんではないかと痛感しておりましたが、この検討会ではいろいろとそこら 辺、医療の問題も取り上げていただきましたし、それから保健や福祉、更には民間とか NPOの問題なんかも入って協議をしていただいたことは、大変すばらしいことだった と思いますし、私たちにとっても勉強になったと思っております。 少子化の問題はこれからますます大きくなりますが、少子化対策というと、子どもの 立場が今まで余り強調されなかったように思うんですが、この検討会でそこを取り上げ ていただきましたのは、みんなにとってすばらしいことだと思います。 先ほど各先生からのお話がありましたが、大変な問題をこれだけまとめてくださった 母子保健課の先生たちに、本当に感謝をいたします。是非これを推進協議会の方に続け ていただいて、10年後の成果を期待したいと思っております。今後ともよろしくお願い いたします。 ○平山座長 ありがとうございました。田中先生お願いします。 ○田中委員 今回の検討会によって、母子保健の重要性というのがよくわかったというふうに、私 自身はそう思ったんですけれども、どうもともすれば母子保健は解決済みというような 流れがあって、我々も母子保健をやっていく者にとっては、本当にそうなのかなとい気 がしていました。 私事でございますけれども、国立公衆衛生の機構改革においても、母子保健学部とい うのはもういらないと、ちょっと言葉が悪いかもしれないですけれども、なくなるとい うふうに。どうしてなのと聞くと、母子保健は課題が解決したからというようなニュア ンスの回答、はっきりはわからないですけれども、そんな中で今回やはり母子保健とい うものは、我が国の保健政策基本なのかなということを再確認できたということは、機 構がどうなろうが私自身としては、非常にうれしかったなというふうに思っておりま す。 今回の検討会によって、いろいろ検討されたことが着実に実行されて、次世代の子ど もたちが健康で、そして幸せで楽しくというふうなことに、少しでも役立てばいいのか なというふうに思っています。どうもありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。藤内先生お願いします。 ○藤内委員 私は、まずこの検討会の中でヘルスプロモーションということについて、本当にみん なと真っ正面から議論ができたことをとても喜んでいます。そして、これからも何人か 御指摘があったように、これから地域でどう展開するか、あるいは地方計画といいます か、市町村の母子保健計画にどう反映されるか、そしてそこに住民が参画できるかとい うことがとても重要だろうと思っています。 今回「健康日本21」と「健やか親子21」で、例えば子どもたちの栄養のことというの は、ちょっと住み分け的な関係から今回議論ができなかったんですけれども、子どもた ちの栄養の問題は、生活習慣病対策だけでなく、その親子の絆であるとかいうものがと ても重要なので、その辺の議論がちょっと今回出てこなかったというのが、これはむし ろこれから市町村で「健康日本21」と「健やか親子21」をドッキングさせた形で議論す る中で、是非重要な課題として議論すべきだというふう考えています。ありがとうござ いました。 ○平山座長 ありがとうございました。徳永委員さんお願いします。 ○徳永委員 私も現場の立場から、この会に参加させていただいて、本当に勉強になりまして、日 ごろこつこつとやっていた母子保健というものが、心の問題が大事だということを思っ ていたんですが、こういう形で国の施策の中に入れていただいて、母子保健と精神保健 をリンクした形の地域計画が策定されていくということで、大変私はうれしく思ってお ります。日ごろは文献でしかお見めに掛かれないような先生方と、こういう場で一緒に 勉強させていただいて、視野が開かれた思いがします。 さっき藤内先生もおっしゃったんですが、母子保健の中にやはりヘルスプロモーショ ンという概念が取り入れられたことで、今、現場で「健康日本21」の地域版を策定して いるんですが、これらとうまくリンクする形で、地域の計画を策定していかなければな らないかなと思います。 全国いろんなところで、やはり「健やか親子21」については、関心も大変高くって、 話を聞きたいというような要望も入っておりますので、現場でこれがうまく展開できる ようになれたらいいなと思っております。どうもありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。戸田委員さんお願いします。 ○戸田委員 こういう普通のおばさんを呼んでいただきまして、本当に感謝しております。皆さん に心配の種を振りまいていた側ではなかったかと反省しておりますが、まず最初に表明 する日でした。日ごろから医療保健関係者の皆さんが、大変過酷な労働条件の中で、日 々命を向き合って、高度な技術、人間性、それから深い地域、広い見識を要求されると いう意味では、本当に心から敬意を表したいと思います。失礼なことをたくさん申し上 げましたけれども、これに懲りず、ほかの市町村の場でもこういう住民の声が聞かれる ということを期待しております。ありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。長井先生お願いします。 ○長井委員 この会議に、ほとんど半分参加できなかったことを、まずお詫申し上げたいと思いま す。自分のいろいろな立場から、本当にこれに参加していいんだろうかという、非常に 最初は戸惑いもありました。私の立場で本当にここで発言することが正しいのかとい う、今でもまだ最終的には疑問が解けていない部分もあるんですけれども、ただやはり 産業保健の場合にも、勿論大学関係者の立派な先生方がおられて、本来はその先生方に ここに来ていただいて、発言する方がどれほどか重みがあるのかなと思ったりしたこと もあったんですが、現実私自身は、企業の現場を知っているという意味では、本来産婦 人科を経験した産業医という立場で、妊娠・出産に関わる女性のことを発言して帰って こようと最初は思っていたんですけれども、子どもの実態をよくよく皆さん方の話から 勉強していくうちに、現実問題としてはやはり今、企業の現場でのメンタルヘルス、心 の問題が非常に大事でして、もう親の方が、特に父親の方が非常に逼迫した状況で働い ていると。それを、子どもたちがどんなふうに見て育っているのかなと思ったときに は、やはりこの文言でたくさん入れていただきましたけれども、父親をこの問題の中に 引きずり込まなくて、母子保健政策は成り立たないだろうと、そこだけはとにかく言っ て帰ろうと、今やそういう思いになりました。 それと、恐らくまだ若いということで許されると思いますけれども、今後逆に言う と、私自身が20年、30年とこの問題を産業保健の立場で考えていく上で、勉強しなさい という課題を与えられたと認識して頑張っていきたいと思っております。 一方で、小児科の先生方が産業保健の方に興味を持たれて入ってきている現状も知っ ておりますので、今後ともまたいろいろと御指導よろしくお願いいたします。本当にあ りがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。樋口委員さんお願いします。 ○樋口委員 私は、児童相談所の心理職としてこの会に出席させていただきましたが、このような 会議に出席するのは初めてで、本当に視野を広げる勉強をさせていただいて感謝してお ります。ありがとうございました。 児童相談所は、間もなく児童虐待防止法が施行されますことで、虐待に関しての通報 とか相談がますます増加することを予想しております。数年前から、虐待防止連絡会議 という地域でのネットワークづくりに努めてきておりますけれども、これから更に虐待 の早期発見、子どもの保護、加えて今後は加害者である親へのカウンセリング、指導と いう対応のために、ますます保健所とか今後は精神保健福祉センターというような機関 との連携が、重要なものになってくるというふうに認識しております。 従来の児童相談所というのは、問題が発生してその相談を受けて解決するというシス テムできておりますけれども、これからはそれでは虐待という命に関わる相談が、ます ます急増してくるというところでは、地域の母子保健の方と協同してやっていく、そう いう体制、児童相談所の整備が求められているなと痛感して勉強させていただきまし た。本当にありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。矢内原先生お願いします。 ○矢内原委員 何人かの方がおっしゃいましたけれども、当初一体どんなものか、何を目的に置かれ ているのかというような感じがした会議のスタートだったと思います。私自身、産婦人 科医でございますから、3つの言語の中で、避妊の問題と、妊娠・出産、それから心身 の問題と、私の役割はどこかなということを考えながらずっと聞かせていただいていま した。 最終的には、見事にいい文章をつくっていただきまして、目的も目標の時期も決めて いただいたということで、問題はこれをいかに具体的に達成させていくかということに 掛かってくるなというふうに思っております。どうもいろいろな先生方の、いろんな分 野の方のお話を伺って、勉強させていただいてありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。次は柳澤先生ですが、柳澤先生には副座長をお願いしてお りまして、陰ながら御支援をいただいておりましたが、今日は最後なので最後に座長団 ということでごあいさつをお願いしますので、飛ばして山縣先生お願いいたします。 ○山縣委員 公衆衛生学をやっているわけですが、その最後の推進方策の中での、推進協議会の設 置の中でも触れられていましたけれども、その地域やほかの各関係団体の取り組みの状 況、その情報提供を中心としたホームページの開設というものにまず期待をしたいと思 います。これを掲示版とかデータベースの両方の機能の達成というためには、まずそう いう情報収集とか、利活用の方法を検討していく必要もあるだろうなということを感じ ました。 こういった情報を住民が知ることによって、他の地域の状況なんかを知ることによっ て、いい意味で住民と行政が緊張感を持って「健やか親子21」を推進できるのではない かなというふうに考えております。 私といたしましては、紹介させていただきましたソーシャルマーケティングの手法を 用いて、住民のニーズと欲求と、重要と言いますかデマンドをきちんと把握した上で、 住民の満足度というのを最終的な評価とした、母子保健サービスというか、親子保健 サービスといった方がいいのか、そういう策定をするならお手伝いさせていただきたい と思います。どうもありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。雪下先生お願いいたします。 ○雪下委員 2回目か3回目からか出席させていただいたわけですが、トイレに行きたくても行け ないような、丸3時間の会議というのは余りほかにないんで、私は始め、皆さん言われ たように、どうなるのかなと不安でしたが、大変立派な報告書がまとまって、大変よか ったと思います。 今回のような少子化対策に取組む前は老人問題、介護保険を担当して、今年の4月か らスタートするまでに、大変な思いをしてきたわけですが、その中で特に保健、医療、 福祉の連携の重大さということを、つくづく感じました。今回母子保健においても特に 少子化対策等はこれから保健と医療と福祉がやはりがっちり組んで、お互いに連携しな がらいかなければだめだということがつくづくわかりまして、今後の参考にさせていた だきたいと思います。 そのほか、学校医にとって心の問題に対応することの重大さといいますか、特に思春 期の問題では、産婦人科の先生と小児科の先生との連携の必要性をつくづく感じまし た。又小児精神科の先生方を増やしていくということは大事でありますが、一朝一夕に できるものではないので、その先生方からの指導を受けて学校医や現場の小児科の先生 方は、心の問題等についてのこれからの対応が必要だというような感じがいたしまし た。 小児の救急問題を含めて、小児医療対策につきましては、皆さんの言われるとおりで あります。それについてはもう早急に何とか対応していかなければならないと思いま す。これから、日本医師会といたしましても、当会の議論を大いに参考にしながら取り 組んでまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。 ○平山座長 ありがとうございました。それでは最後に柳澤先生ごあいさつをお願いいたします。 ○柳澤委員 御紹介のように、副座長を仰せ付かりながら、座長の平山先生に対して全く何のお手 伝いもいたしませんで、唯一今ここで最後のごあいさつをすると、それだけであったこ とを非常に申し訳なく存じます。 私自身、小児科医の立場でこの会に加えていただいて、本当に勉強させていただきま した。視野が本当に広がったというように感じます。 小児医療に関して、昨今、危機感を持っていたわけですけれども、その問題点を非常 に幅広く取り上げていただき、その方向性を示していただいたということについて、私 としては大変ありがたく感謝申し上げます。 これから、21世紀初頭の10年間という目標がありますけれども、その間に子どもを取 り巻く医療、母子の医療が必ず改善していくだろうという希望を持つことができまし た。大変大きなインパクトを与える報告書ではないかと思います。 私自身、小児科学会が中心ですけれども、専門団体として挙げられている団体の中の 12の団体に加わっています。それぞれの団体でこの報告書を真剣に取り上げて、自分の 団体としてどういうことができるかということを、検討していかれるのではないかと思 います。 ちょっと話が違いますけれども、20世紀の始まりに、スウェーデンのエレン・ケイと いう女性が20世紀は子どもの世紀というようなことを言ったわけですけれども、実際は 20世紀は決して子どもにとって幸せな世紀ではなかったというように思います。特に、 昨今の日本の子どもたちを見るとです。 21世紀が、是非名実ともに子どもの世紀になってほしいという中で、我が国の母子保 健についてと言うか、この「健やか親子21」が広範な国を挙げての国民運動して展開さ れること、この報告書ができたということは、その最初の一歩だと思いますので、これ から国民運動として展開されることを心から願っております。どうもありがとうござい ました。 ○平山座長 今日、局長にお見えいただきまして、議論の最後のところをお聞きいただいたのと、 特に委員の全員の方の思いのほどをお聞きいただきましたので、ここで事務局の方へお 返しいたしますので、よろしくお願いいたします。 ○大平課長補佐 どうもありがとうございました。それでは、ここで眞野児童家庭局長よりごあいさつ 申し上げます。 ○眞野児童家庭局長 児童家庭局長の眞野でございます「健やか親子21」検討会、今日で最後ということ で、一言御礼を申し上げたいと思います。 本当なら、2月の一番最初のときに出席をさせていただきまして、私どもの問題意識 など御説明すべきところでしたが、出席できずに申し訳ございませんでした。 また、少子化対策ということに関しましては、もう既に御承知のとおり昨年末に関係 省庁からなります、政府の推進閣僚会議が基本方針を決め、そしてその実行計画である 「新エンゼルプラン」を決めております。5年前の「エンゼルプラン」との違いといい ますと、いろいろな省庁に入ってもらったということもありますが、厚生省関係では、 ともすると保育中心の緊急計画から母子保健を1つの柱としてやっていこうということ でございます。ただ残念なのは、1年前にこの会議をやっておれば、「新エンゼルプラ ン」の母子保健の中身も、もう少し今の課題を的確に応え、やるべき方向性というもの を示し得たんではないかと思います。このように新エンゼルプランでは、母子保健を1 つの柱には立てましたけれども、大きな柱だと胸を張って言えるほどの計画目標を示し 得なかったと、正直そういうふうに思っております。 先生方が御熱心な御議論をつくされ、今回こういう形でおまとめをいただきました。 4つの課題以外にも、おっしゃられましたように大きな課題がありながら、とにかく1 つのまとめということで、御議論の範囲をある程度限定させていただいたこと、誠に申 し訳なく思っております。がしかし、この後書きにもございましたように、3,000 ペー ジにも及ぶ先生方からお出しをいただいた資料が、これは歴史に残りますので、この4 つの課題以外にどういう問題があって、どういう御議論をしていただいたかというの が、また次の機会がもしあれば、そういうときにもまた大変役に立つと思っておりま す。 本当に平山先生を始め、先生方の御熱心な御議論によりましておまとめをいただきま したが、この報告書は言わば「第一歩」だと考えております。行政とすれば、このおま とめいただきました報告書の中には行政としての達成すべき目標が示されておるわけで ございますので、厚生省のみならず自治体のご協力をいただき、それぞれの地域でのこ ういう問題意識を持った取組を推進していく努力をしたいと思っております。国民運動 としての「健やか親子21」ということを考えますと、この検討会に御参加をいただきま した先生方が、それぞれの分野でこの問題意識、これに盛り込まれた議論の方向性とい うものを、各所で御発言をいただきまして、情報発信をしていただき、我が国の持てる いろいろな分野の力を総動員していただきたいとも思っております。我々もできる限り の努力はいたしますが、役所としてはなかなか手が回らない部分もありますので、関係 方面のリーダーである先生方に言わば「健やか親子21」の発信元になっていただきまし て、いろいろな地域や場面で、このPR並びに実践をお願いをしたいと思っておりま す。 あとは、座長の平山先生と調整をさせていただきまして、報告書を完成・公表し、 我々としてはできる限りいろいろな場面でPRをし、活動を進めていきたいと思ってお ります。 本当に長期間、またかなり非人間的な拘束をしたようでございますが、誠に申し訳な く思っておりますが、お許しをいただきまして、また御協力をお願いするとともに、一 言御礼を申し上げまして、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。どうもありがとう ございました。 ○大平課長補佐 以上で「健やか親子21」検討会をすべて終了させていただきます。平山座長始め、各 委員の皆さん9か月間にわたりまして本当にありがとうございました。 ○平山座長 どうもありがとうございました。それでは、よろしくお願いをいたします。 +--------------------------------------------------------+ |照会先:児童家庭局母子保健課  椎葉(内線 3173) | +--------------------------------------------------------+