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第4回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会専門部会議事要旨

1.日 時: 平成12年10月24日〈火〉14時〜17時15分
2.場 所: 共用第18会議室
3.出席者: 浅野、鮫島、寺田、中田、三浦、米澤、若杉(五十音順、敬称略)

4.議事要旨(○は出席者、●は事務局の発言)

《株主議決権の行使に関する基本的考え方》

○ 資料の1頁の2の部分において、議決権行使の判断の主体を明確化するために、「運用受託機関がその裁量に基づいて行う」としてはどうか。

《同一企業発行銘柄に対する投資制限》

○ 具体的な制限値を「5%かベンチマーク・インデックスにしめる割合の大きな方」としてはどうか。
○ 年金積立金の大きさを考えるとアクティブ運用を行った場合には発行済み株式総数の5%を超えてしまう場合が多いのではないか。
○ 「どちらか大きい方」として但し書きを無くしてしまうと、アクティブ運用で一部の銘柄に投資が集中してしまう場合に問題が生じるのではないか。
○ 東証一部の時価総額の7〜8%も占める額をアクティブ運用することは考えにくいのではないか。
● 具体的な制限値を「5%かベンチマーク・インデックスにしめる割合の大きな方」とすると、絶えずマーケットの動向を踏まえ、インデックスに占める割合を確認することが必要になってしまうのではないか。
○ 株式発行済み総額に対する制限は、各個社において5%未満となっていても積立金全体では運用対象が集中することとなってしまう。投資制限ではなくリスク管理において検討すべきではないか。
○ 原則5%とし、それを超えた場合には報告とするが、インデックスに占める割合が5%を超える場合は報告を不要にするというのでどうか。
○ 世の中には多くのインデックスが存在する。特殊なインデックスを作れば実態としてノーチェックになってしまうのではないか。
○ 「ベンチマークインデックス」となっており、運用受託機関が採用しているインデックスに占める割合とすればそのような問題は生じないのではないか。
○ ベンチマークとなるインデックスを基金が選択するようにすれば問題ないのではないか。
○ 前回も議論したが、プライベートエクイティやエクイティ型の証券化資産の扱いをどうするか。
● プライベートエクイティ等の取扱いについては、基本方針において規定するのか、管理運用方針において規定するのか、今後の検討課題と考えている。
● 運用対象とするには評価方法の確立、ベンチマークの存在が前提となる。
○ 公的年金資金において政府が推進する施策(例えばベンチャー育成)に配慮するようなことはしないのか。
○ 政治的判断に踏み込むようなことはすべきではない。政策的意図は入れない。
 そのようなことは財政投融資制度において行うべきもの。
○ 資料において(2)は株式に限定している理由は。
● 社債は随時償還され、発行済み総額を常に把握することは困難であることから

(2)では株式に限定。(1)は社債も含めて規制する。

○ 決めの問題でもあるが、具体的な規制値は両方とも5%としたい。

《基本ポートフォリオについて》

○ 資料の3頁において期待収益率を最初から絞り込んでしまうのはおかしいのではないか。ロジックとしては、絞り込みを行って出てきたリターンが適当かどうかを検討する、とした方がいいのではないか。
○ シャープの測度を信用すると高いリターンの組み合わせは排除されるのではないか。
○ 企業年金における運用のような考え方を公的年金の運用では取り得ない。リスクは取れないのではないか。
○ 資料にある政治・決済リスクだけでは国内株式のウェイトを高くする理由にはならないのではないか。
○ 諸外国でも通常はホームカントリーバイアスが強くかかっている。
○ ホームカントリーバイアスの説明は、(1)外国への投資はコスト(カストディアンの手数料等)がかかるが、アセットアロケーションの策定段階ではそのようなコストが考慮されていないこと、(2)情報収集が不十分となり、国内資産について把握しているリスクの水準ほどは捉えきれないことが挙げられる。ハイリスクハイリターンの場合の方がシャープレシオが高くなるというのは論理的におかしいのではないか。
● シャープの測度が高い組み合わせは、期待リターンが4.5%〜4.9%のものとなっている。
○ ヘッジの扱いについてよく分からない。名目的な議論になっている。もっと色々なバリエーションがあるのではないか。
○ この議論におけるヘッジは為替のエクスポージャーを取るかどうかの問題であり、ヘッジの手法は関係ないのではないか。
○ 実際のベンチマークをどうするのかという問題が生じてくる。基金にどのようなマンデートを与えるのか。
○ 今の御意見はアクティブ運用を想定しているようだが、アクティブ運用ならオーバーレイで対応できるのではないか。

《リスク管理について》

○ シミュレーションのモデルによっては浅野委員の説明とは異なり、基本ポートフォリオの数字までリバランスした方が適当ということもある。厚生年金基金連合会はどの程度までリバランスするのか。
○ 資料にあるIレベルまでリバランスする。
○ 過去の例から一般的な話はできない。系列相関とトレンドにもよる。80年代の日本ではリバランスをしない方が有利だった。
○ 資料にある株式の格付けとは何か。
● 企業の信用リスク、財務データによる評価の趣旨。
○ リスク管理にはどこまでの内容を含んでいるのか。アクティブ/パッシブ比率まで含むのか。
○ ベンチマークで決めたリスクでアセットアロケーションを作成しながら、アクティブを多くするのは問題があるのではないか。
○ パフォーマンス評価でアクティブ/パッシブ比率を管理する。90〜95%がパッシブといった感じか。
○ 年金福祉事業団の現在のアクティブマネージャーを足し上げるとパッシブ運用となっているのではないか。アクティブマネージャのマネージャーストラクチャーを検討するべきではないか。また、個々の運用機関のインフォメーションレシオではなく、足し上げたインフォメーションレシオをどうするか、という視点も必要ではないか。

《財投債の運用の在り方について》

○ 「市場原理にのっとって」とは「市場と同じ価格で市場を通じずに財投債を引き受ける」ということなのか、それとも「引き受ける財投債が市場に出ていれば付いていたであろう価格で引き受ける」ということなのか。後者の意味ではないか。
○ 引き受けたものがマーケットから隔離されるのであればマーケットには織り込まれない。潜在的にマーケットに供給されうる、ということが市場に織り込まれることが必要ではないか。市場から隔離して影響を与えないようにするのであれば、市場原理とは呼べないのではないか。
○ 「年金は市場」とすると、年金がマーケットメーカーになってしまうのではないか、
○ 引受の時点での市場を引き受け条件に反映することはできないのではないか。
○ 財投機関から財投サイドへの要求に市場原理が全然働いていない。財投改革は資金運用部の内部だけのコップの中の嵐のようなもの。
○ 年金としては「引き受けた財投債を売る」という意思表示をしていれば、市場は財投債が市場外で引き受けられたことを反映するようになるのではないか。他方、「バイアンドホールド」とするとマーケットとは全く別となるので、マーケットには存在しないようなインフレ連動債等を要求していくべきではないか。
○ 引受分が市場に出ることを踏まえたプライシングは実務上は困難。引受価格は、市場で形成される価格とせざるを得ないのではないか。一方で引受分が全く市場に出ないという前提を置くことも不適当。市場に与える影響に関する考え方の原則を踏まえる必要はあるが、全てをバイアンドホールドと考えなくてもよいと思う。「年金も市場の一部」と考える方が適当ではないか。高いクーポンは、年金が引き受ける分だけを有利な取扱とすることとなることを考えると不可能ではないか。
○ 「年金は市場である」の趣旨は「年金のニーズも踏まえた財投債にして欲しい」という趣旨。郵貯はバイアンドホールドと言っているが、年金はどうか。
○ 年金はマーケットを構成する主要な主体である、というスタンスが必要。最初からバイアンドホールドと考えるのは適当か。
○ 財投債は国の全体の資金調達の一環として発行する国債であり、年金のために特別の商品は出せないと言ってくるのではないか。
○ キャッシュフローマッチングとあるが、インフレによって掛け金収入も給付も変動するので、債務を確定させてそのキャッシュフローにマッチングさせるような通常のキャッシュフローマッチングは困難ではないか。むしろ、例えば、変動利付債等によって金利上昇による損失を防ぐことを重視すべきではないか。

〜以上〜


〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
 夜 間 3501-3450


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