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第2回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会議事要旨

1.日 時: 平成12年10月16日〈月〉14時〜16時10分
2.場 所: 厚生省特別第1会議室
3.参加者: 内海、奥田、杉田、寺田、福井、吉冨、吉原、米澤、若杉、鷲尾
(五十音順、敬称略)

4.議事要旨(○は委員、●は事務局の発言)

《前回検討会の議事要旨について》

委員、ご了解

《検討事項とこれまでの検討状況について》

○ 委託運用に関して、どのような株式を保有しているのか把握できるのか。
● 当然把握している。しかしながら、委託者である基金は債券等の対象資産についての指図はできても、個別銘柄の指図まではできない。
○ 自家運用の対象資産は債券のみか。
● そのとおり。株式の自家運用は法律上、禁止されている。
○ 今後、時価評価が導入されるが、市場性・換金性が低い資産をどのように評価するのか。そういう資産は時価ベースの評価は高いが、実際その価格で売れるかどうかは、具体的な資産内容を見ないと分からないのではないか。
● 特に海外資産の場合は、信用リスク・流動性リスクを総合的に判断して管理運用方針において基準を書くとともに、委託運用機関との交渉において細部を決めることとなる。
● 現在の年金福祉事業団の委託運用機関に示すガイドラインにおいては、国内債券はBBB格以上、海外資産はA格以上を運用対象資産とすることにより、流動性の面についても配慮している。
○ 「自主運用」は「市場運用」を意味しており、市場性のあるものに投資することが前提。そういった流動性の低い商品は投資対象となってこないと思われる。
○ 財投協力については、どこまでが国において決められ、どこからが我々の検討対象となるのか。引受財投債のウェイトが高い場合、我々の判断できる部分とは分けて管理運用することは可能か。
● その点は最も重要な課題と考えている。引受財投債の問題については、量とその条件の2つの要素があるが、量は予算や市場規模を踏まえて年末に決定される。条件についてはどのようなものが年金にとって有利なのか検討頂きたい。財投機関サイドの意向もあり、こちらの要望がどこまで反映されるか不明だが、この場での議論を踏まえて交渉に臨みたい。評価については、一方的に引き受けるのであれば財投債のみ別評価も可能だが、年金積立金全体の評価を行う場合には、そのような引受財投債も含めて評価することが必要となってくるのではないか。
○ 国内債券というのは国債か、社債か。
● 国債・社債・政府保証債を含めて現在NOMURA―BPIといったベンチマークを構成しているものが対象と考えている。
○ もともと年金福祉事業団の基本ポートフォリオにおいて流動性のある国債が相当程度入っているのではないか。
● 財投債を引き受けることにより、国内債は相当程度ふくらむことになる。
○ 年金財政の収支が悪化するという統計資料はどこにあるのか。
● 今回の配付資料には入っていない。相当厳しい状況で、現在も運用収益の一部を給付に充てている。最近の低金利で、運用収益となる資金運用部への預託金利も低下している。
○ 各資産におけるベンチマークによって、対象となる銘柄は実際のところ限定されることになる。
○ 公的年金の運用のありうべき姿と実際の年金制度の間に齟齬があるのではないか。年金制度そのものと年金積立金の運用の関係についてどのように考えればよいのか。
● 年金制度と運用は密接な関係がある。現に存在している年金制度及び140兆円の年金積立金を前提に、どのような運用がいいのか議論をお願いしたい。

《株主議決権の行使、同一企業発行銘柄に対する投資制限について》

○ 議決権の行使に関しては、受託機関に具体的な条件を提示すべきではないか。
○ 基金としては、議決権の行使に関する大きな考え方を示すべきというのが専門部会での検討内容。
○ 投資先企業から基金等への事業内容などの説明についてはどう考えるか。
○ アメリカのIR活動は、インサイダー情報の問題というよりも、投資先企業のトップが基金等の投資家に直接会いにいって、信頼を得ることに意味があるということではないか。
○ 株主名簿上、基金や国の名前は出てこない以上、受託機関を通じて基金の利益を代弁させるほかないのではないか。その際には、運用受託機関ごとに行使内容が大きく異ならないように、行使に当たっての一定の基準を設けることが必要と考えられる。
○ 資料にある「株式価値の極大化」との文言では、配当ではなくキャピタルゲインを伴う内部留保を目指すような誤解を受けるのではないか。
○ 「株式価値」には配当も含むという理解でいいのではないか。純然たる投資家として行動し、政策的配慮はしないという趣旨。
○ 「株式価値の極大化のみ」とするのは問題ではないか。反社会的な会社(労働団結権を制限するような会社、児童労働を行っているような会社)の株式議決権の行使については考慮が必要ではないか。ICFTU・OECDにおいても年金基金の議決権の行使に関して、そのような会社については別の扱いをするべきではないか、との議論が行われている。公的年金であるがゆえに留意すべきではないか。資料にある「運用機関A」の例のように「反社会的な行為」に関する規定を盛り込むべきではないか。
○ 仮に不当行為で短期的には収益が上がっていても、長期的には収益は下がる。ご指摘の問題はsocial investmentの問題ではないか。この問題は、高収益の運用を目指す、という運用目的との関係で難しい問題が生じてくることとなるのではないか。
○ 資料によると、ヨーロッパの年金基金においては議決権を行使していないようだが、その理由は何か。
○ 独占禁止法の5%ルールは全ての会社に適用されるのか。
● 適用される。
○ 問題にしているのはドコモのような時価総額の非常に大きい銘柄が存在するとインデックス運用をしても5%を超過してしまう、ということか。
● インデックスから乖離するリスクと分散リスクをどう考えるかの問題。
○ TOPIXはその計算方法において限界があり、実際の流通株式数を考慮したフリーフロートのインデックスであればドコモ株式のような問題は解決される。

〜以上〜


〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
 夜 間 3501−3450


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