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平成12年10月13日

公衆衛生審議会疾病対策部会
クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会(第9回)の開催について

1.本日、公衆衛生審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会 (委員長:佐藤 猛国立精神・神経センター国府台病院名誉院長)が開催されました。

2.委員会において、「遅発性ウイルス感染に関する調査研究」班クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会により平成11年4月より平成12年3月末までに調査された解析結果が報告・検討されました。

(1)平成11年4月より平成12年3月末までに把握されたクロイツフェルト・ヤコブ病患者数は、合計118例でした。このうち2例は、CJDが否定され(1例は、側頭葉・前頭葉萎縮症、他の1例は脊髄小脳変性症),4例は保留として今後とも情報収集を継続することとなりました。これらの6人を除く112例がCJDと報告されました(表1)。このうちの22例は以前の全国調査(平成8年実施)や平成11年3月まで実施された「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査」で報告された症例でした(表2)。従って今回新たにCJDとして登録された症例は90例でした。乾燥硬膜の移植歴のある症例は、新たに3名報告されました(表3)。従って、当該専門委員会において把握された乾燥硬膜移植歴を有する症例は、70例となりました。

(2)プリオン蛋白遺伝子検索は67例で施行されており、遺伝子異常が14例に認められました。家族性クロイツフェルト・ヤコブ病患者のうち、家系内集積性を示すものも認められました。家族性クロイツフェルト・ヤコブ病患者に対して、研究班として遺伝子解析結果の告知に関するガイドラインを作成すること、検査結果の告知については、研究班の専門医が窓口になることが報告されました。

(3)クロイツフェルト・ヤコブ病の診断について、新たにプリオン蛋白遺伝子検査、髄液特殊検査、画像診断等による検査を盛り込むことが了承されました。

(4)硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病患者を調査した結果、近接した時期に当該疾患が発生している2医療機関に対して、患者発生の集中している時期に脳外手術を受けた患者に対して健康調査を行うことが、佐藤委員長より提案され、委員会において了承されました。



表1.患者の性・発病年の分布
  報告例全員 新規登録例
35(31) 32(36)
77(69) 58(64)

発病年

-1995
1996
1997
1998
1999
2000
10( 9)
8( 7)
20(18)
27(24)
43(38)
4( 4)
5( 6)
4( 4)
13(14)
21(23)
43(48)
4( 4)
112(100) 90(100)
注)括弧内は、%

 

表2.患者の発病時年齢分布[病態別]
年齢(歳) 全患者 CJD GSS
孤発例1) 家族性2) 家族性3) 硬膜移植例
報告例全員
20-29
30-39
40-49
50-59
60-69
70-79
80-89
2( 2)
4( 4)
7( 6)
31(28)
40(36)
25(22)
3( 3)

1( 2)
3( 3)
23(27)
33(38)
23(27)
3( 3)


2(25)
1(13)
3(38)
2(25)



1
2(20)
1(10)
1(10)
3(30)
3(30)


2(29)
1(14)
3(43)
1(14)

112 86 8 1 10 7
平均(歳) 61.9 64.4 60.6 52.0 50.2 50.1
標準偏差(歳) 11.6 9.4 12.3   15.9 10.7
新規登録例
20-29
30-39
40-49
50-59
60-69
70-79
80-89
2( 2)
3( 3)
4( 4)
24(27)
29(32)
25(28)
3( 3)

1( 1)
2( 3)
19(25)
27(36)
23(31)
3( 4)


1(20)
1(20)
1(20)
2(40)



1
2(67)



1(33)

2(33)
1(17)
3(50)
90 75 5 1 3 6
平均(歳) 63.0 65.2 63.1 52 41.4 47.8
標準偏差(歳) 11.7 9.5 12.2   19.0 9.7
注1)プリオン蛋白遺伝子の検索を行っていない例を含む.
2)プリオン蛋白遺伝子の異常を認めた例.
3)プリオン蛋白遺伝子の異常を認めないが,CJDの家族歴がある例.
なお、括弧内は%

 

表3.硬膜移植例(3例)の詳細(新規)           
硬膜移植年月日 硬膜移植時の年齢 移植の原因疾患 発病時の年齢 硬膜移植から発病までの期間
1986年3月 12歳 動静脈奇形 26歳 13年10月
1984年9月 53歳 三叉神経痛 68歳 14年8月
1983年4月 14歳 脳腫瘍 29歳 15年3月1)
(硬膜移植から発病までの期間順)
注1)1999年12月までに感染症新法に基づいて届出があった硬膜移植歴を有する5例のうちの
  1例に都道府県,性,年齢,移植年月日が一致している.  


照会先: 厚生省保健医療局
エイズ疾病対策課
担当: 金谷、大竹
内線: 2368,2359
電話: 03-3595-2249


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