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第4回「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)」
検討委員会議事要旨

1.日時 平成12年10月12日(木)16:00-18:30
2.場所 中央合同庁舎第5号館(26階)共用第9会議室
3.出席者  
委員(敬称略 50音順)
 垣添委員長、齋藤(雨宮委員代理)、位田、上田、宇津木、小幡、具嶋、黒木、櫻井、地神、清野、高芝、福嶋、辰井(町野委員代理)、丸山、南、山口
 (欠席) 金澤、笹月
オブザーバー
 作業委員会 (塚田、二見、吉田)
 厚生省 堺審議官、本間、中垣、野口、(福原、岡田)
 文部省 黒崎
 通商産業省 山本
 科学技術庁 郡、(有賀)
  *括弧内のオブザーバーは、討議に参加せず。
4.議題
(1)「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)」策定のためのアンケート調査の結果について
(2)「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)」(事務局たたき台)について
(3) その他

5. 配付資料

資料1 「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)調査」アンケート結果
(1−1.機関長用 1−2.研究者用)
資料2 「ヒトゲノム解析研究に関する倫理指針(案)」(事務局たたき台)
(2−1.形式 2−2.たたき台本文)
資料3 作業委員会委員名簿
資料4 今後の日程
参考資料1 「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)調査」ミレニアム指針研究実施状況等調査
<最終集計結果>(1―1.機関長用 1−2.研究者用)
参考資料2 比較参考資料帳票(2−1.基本原則、ミレニアム指針との比較 2−2.考え方、メーリングリスト・アンケートの主な御意見、諸外国等の指針等の状況について)
机上配布資料 「個人情報保護基本法制に関する大綱(要旨、概要)」

6. 議事内容

事務局

本日の一部新聞報道において、本日ご議論いただく指針のたたき台について報道がされた。4省庁の事務局としては、本日の資料2「事務局たたき台」の原案をメーリングリストを通じて、5日に検討委員の先生方、作業委員の先生方に配付した。事務局としては、あくまでもその段階においてはたたき台の原案、作業途上のペーパーであるという認識である。これらを公表したり、あるいはその内容について取材に応じた事実はない。今日の朝まで、訂正の作業を行っていて、報道されているように11日に原案が明らかになったという事実もない。この作業途上の資料などの管理、これを厳格に行うというのは言うまでもなく、事務局として、今一度、気を引き締めるとともに、作業委員の先生方にも同様に適正な管理をお願いしたいと考えている。

(個人情報保護基本法制に関する大綱(要旨、概要)について)

事務局より資料についての説明が行われた。

委員長

既に発表されたものではあるが、そのエッセンスをご報告いただいた。このように個人情報保護の話が進んでいるということである。

<議題:「ヒトゲノム解析研究に関する共通指針(案)」策定のためのアンケート調査の結果について>

事務局より資料についての説明が行われた。

委員長

ミレニアムプロジェクトがスタートして約半年である。機関長からの回答では、問題点は4つ挙げられ、倫理審査委員会の構成、インフォームド・コンセントの取得の現実性、既提供試料の取り扱い、カウンセリング体制の整備であった。このアンケート調査の結果も参考にしながら、共通指針の取りまとめに生かしていきたいと思う。

<議題:「ヒトゲノム解析研究に関する倫理指針(案)」(事務局たたき台)について>

事務局より資料についての説明が行われた。

(研究と診療の問題について)

・ 前回からずっと申し上げているが、遺伝子解析の倫理指針というのが必要であって、その中に研究と診療というのを位置付けて、それぞれのガイドラインを策定すべきだと申し上げている。これはかなり後退した原案だと思う。
・ グレーゾーンをどのようにするかということで、「診療において実施され、解析結果が……医学的に確立されている臨床検査及びそれに準ずるヒトゲノム解析など」と、これは「例えば」となっているが、この「例えば」というのがなくなると、少し広範になると考える。
委員長
本日のご議論で何か結論を出すという気持ちはなく、たたき台が初めて出てきましたので、これに関するフリーディスカッションという位置付けでご発言いただきたい。
事務局
「例えば」を削った方が良いというご指摘については、その通りと思う。さらに事務局で文案を詰めたいと思う。
・ 診療も含めるべきだと思っていたが、こうなってくると、ゲノム研究をきちんと定義した上で、それから診療を外す方に行かないといけないと思う。「体細胞遺伝子解析研究(体細胞のDNAに起きた病的な変化を調べるため、DNAまたはmRNAからつくられた相補DNAの塩基配列等の構造を解析する研究をいう)」は、がん研究では日常的に行われている研究である。問題として指摘されるのは、それを調べる時は、正常細胞をコントロールとして調べることが行われる。この体細胞遺伝子研究は、ヒトゲノム研究から外さないと、例えば、がん研究は非常に大きな支障を受けると思っている。それから、タンパクあるいは遺伝子発現に関するものは、プロモーター、つまり遺伝子発現をコントロールしているところは非常に多くの可能性を秘めている。これはまだゲノム研究には入らないと思う。研究という方針でこれを作るとしたら、ゲノム研究の範囲を限定していただきたい。
・ 例えばこれからDNAチップとか、マイクロアレーとかというような手段で、数千個あるいは万の単位で簡単に遺伝子発現のパターンがわかるようになると考えられる。将来的なことではあるが、そのような情報は、例えば遺伝子の変異検索と同じように、確定的な診断になる可能性もあると思う。その辺はどのように扱ったらよいか。
・ この指針は基本的にDNAチップとか、マイクロアレーをどうやって使っていくかは、あまり考えてないと思う。例えばインフォームド・コンセントで、こういう遺伝子を調べたいということを患者さんに言ったとしても、それをマイクロアレーで調べるときには、数千個の遺伝子を調べることになる。その表を渡すということは、見てもほとんど意味がない。その中には意味のないような遺伝子もたくさん含まれているわけである。マイクロアレーを使うような総括的・網羅的な遺伝子発現あるいは遺伝子変異に関する研究は、これからどう進歩していくかわからないので、別の項目を設けて考えたほうが現実的ではないかと思う。現在の段階では、どうやってもこういう点は除外したほうが良いのではないかとか、いくら考えても矛盾する点というのは出てくると思う。現在、一生懸命努力して、それを解決したとしても、2〜3年の内にはまた新しい問題点が出てくると思う。やはり常に改良していくという姿勢は必要だろうと思う。特にマイクロアレーに関しては、こういう遺伝子だけを検査するということは不可能なことになってしまうと思う。
・ 組織特異的なチップなどがかなり進歩してくると考えられる。そういったものと遺伝子変異解析の解釈とを別個に扱って良いのかと疑問を持ったので質問をした。
・ この指針はあくまでも研究者が自分自身で、自分の研究はこれに属するものか否かということを決める形の指針である。そこはミレニアムの指針と非常に大きく異なる点である。DNAチップの問題に関しては、その構造等にかかわるような情報を得る可能性があるものは除くと書いてあるので、それで整理されるのではないかと思っている。この「なお」書きのところは少し複雑である。作業委員会の中で議論があったが、体細胞を見ていると、その評価をするためには正常細胞の構造を見なければ大きな支障が出るという理由だけでは理解が得られないと思ったので、体細胞は入れたという経緯がある。
・ 診断・治療に限られても、体細胞の遺伝子というものを調べないと、コントロールとしての意味がないと思う。非常に難しい問題が含まれていると思う。病気の細胞だけを調べるのはほとんど意味がない。
体細胞を常にコントロールしておかなければならないということである。
・ 先程の発言は、体細胞遺伝子の研究と生殖細胞系列の研究を明確に分けていた。スタートは体細胞と思っていたが、調べていくうちに生殖細胞系列に入ってくるというケースが考えられる。正常細胞を全部、これでカバーするのは少ししんどいと思うが、そういう可能性をどこかでうまく回避できれば良いと思う。

(ヒトゲノム解析研究の定義について)

・ 「臨床検査及びそれに準ずるヒトゲノム解析など、診断、治療等におけるヒトゲノム解析」と書いてあるが、これは普通、ヒトゲノム解析と一般の人は言わないと思う。遺伝子検査とか、遺伝子解析というものが一般的な用語として使われていると思う。この表題からそうであるが、「ヒトゲノム解析研究に関する倫理指針」というところを、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」と遺伝子を入れていただきたい。

(個人情報識別管理者について)

・ 研究実施機関の長の責務というところで、(5)に「個人識別情報管理者を置かなければならない」、そして6.(1)研究実施担当者の責務に「研究実施担当者は、原則として個人識別情報管理者により匿名化された……を用いて、ヒトゲノム解析研究を実施しなければならない」となっている。自ら提供を受けて、ヒトゲノム解析研究を実施するというときは、そこに個人識別情報管理者を置くということで良いのか。別案として書かれている(5)に「ヒトゲノム解析研究を行う機関の長」とする方が良い。研究実施担当者との関係が若干不明確だと思う。もう一点は、この個人識別情報管理者の要件に関する細則で、「医師、薬剤師等でなければならない」と厳しくして、そこで担保しているのは良いが、ヒトゲノム解析研究を行う機関、例えば民間の研究機関等の場合に、医師・薬剤師等がいないような場合に、この細則を課すと非常に研究が困難になるのではないかと思う。その点はどのように考えているのか。
事務局
まず最初のご質問、どういう機関に識別情報管理者を置くかという議論だが、この指針は、科学技術会議で議論された基本原則もそうだが、研究自体は匿名化された状態でやるという原則に立っている。ボランティアの方からいただいた試料は、そのいただいたところで匿名化されるというのが原則である。ミレニアム指針では、試料等の提供が行われる機関と書いてある。そこに例外があって、研究計画の中身としてどうしても匿名化しないほうが適切であると倫理審査委員会で認められた場合には、匿名化しないで試料が流れるという事態を例外措置として認めている。試料をいただいたところでなくても、個人情報が流れていくことが例外的にあり得る。例外的にあり得るとすれば、別の機関に流れたところで、匿名化をすることを責務とする個人情報識別管理者ではなくて、個人情報の厳格な管理をする意味での識別情報管理者というのがあり得ると考えている。匿名化されていないのをどうやって管理するのかという点がある。個人情報がある機関という形の定義の方が良いと提案しているところである。
事務局
医師・薬剤師の問題は、今回、「刑法により」というところを一部変えて、「法令により」と書いてある。例えば身分法、臨床検査技師法では、刑法では規定されていないが、職務上得た情報の守秘義務がある。その範囲までは少なくとも拡大しないと、先ほどのご指摘のような機関においては、医師・薬剤師では厳し過ぎると考えている。これをどこまで拡大できるのかというのは、とりあえず法令において、そういう規定があるところまでは、コンセンサスが得られるのではないかと考えている。これでも厳しいという意見は相当出てくるとは思っている。
・ 個人識別情報がある限りは、そこに個人識別情報管理者を置くというのは当然の結果である。そういうことであれば、別案の方が良いと思う。
・ 原則は、採取機関で匿名化し、例外として、採取機関で名前付きのもの、あるいは暗号化しても連結可能なものとして、研究機関のほうに譲り渡して、そこで匿名化する場合もあり得る。そうなると、この別案「試料等の提供が行われる機関の長または研究実施機関の長」であるが、採取機関あるいは提供を受ける機関というのは落とさないということを確認したい。
事務局
試料等の提供が行われる機関では、当然のことながら、個人情報を扱うので、個人情報を取り扱う機関で読めるのではないかと考えて、別案とした。意味をはっきりさせるには「試料等の提供が行われる機関など」とするとか、少し工夫が必要と考えている。
・ その辺はきちんと書いておいた方が良い。こことこことここは必ず置くということは、どこかではっきり書いて、それをまとめて「等」という形は構わないと思う。個人情報をどこで匿名化するかというのが、用語の定義あたりで何となくわかるが、どの段階で匿名化するか、それで、匿名化するためには連結不可能にするかということをきちんと本文のところでうたっておかないと、混乱を生じると思う。
事務局
4ページの6.(1)(2)(3)で書いたつもりである。特に(2)で、研究実施担当者は、この場合は一番最初に提供をいただいた方も研究実施担当者と呼んでいる。匿名化されていないものを原則として譲り渡してはいけないということであるから、研究者に譲り渡すときに匿名化されると読んでいる。ご指摘のとおり、もっと詳しく、わかりやすく書く工夫を考えたい。
・ 試料等の提供が行われるところで、どういうふうにするかということの原則があれば非常にわかりやすいと思う。
委員長
個人情報保護法と個人識別情報管理者、この関係はどう考えればよいのか。
事務局
1つは、個人情報保護基本法における研究の位置付けが、まだ明確にはなっていない。ただ、報道等に準ずるという取り扱いになっているので、基本原則の考え方については努力義務的なものが課されると思う。個人情報基本法の大綱上で、個人情報管理者みたいなものは今の段階では明文はない。基本的な精神としては、個人情報を扱うところについては、きちんと管理ができる体制をとらなければいけないというのは、努力義務としては基本的に望ましく、やるべきということになると思う。
・ ミレニアム指針の時もわかりにくかったが、同一の機関で採取と研究をする場合が、どこに書かれているのか。採取機関で研究する場合も、他の機関に提供する場合と同様にするという文章がどこかに入っているのか、あるいは入ってなければ入れた方が良いと思う。
事務局
13ページの用語の定義のところの(13)で、外部の機関の定義で「試料等の提供を行う機関が試料等の提供を受けると同時にその機関において……研究も行う場合には……所属外(これは用語が間違っていて、外部のということ)の研究機関とみなされる」と記述している。
事務局
わかりにくい点はクリアにしたいと思う。
・ しばしば、連結可能という言葉が出てきている。これは個人識別情報との連結だと思うが、どこかで明記して欲しい。この連結可能が問題かどうかということの一番大きい理由は、遺伝子のデータが出たときに、なにがしかの医学情報に照らし合わせたいということが後々出てきたときに、つなげるかどうかということが一番の問題だと思う。匿名化のナンバーというところで、すぐに医学情報とつながればほとんどプライバシーを侵すことにならないと思う。
事務局
12ページの匿名化の定義の中で、連結可能、連結不可能、両者を含めて匿名化ということで取り扱っている。連結可能匿名化、連結不可能匿名化として定義している。
・ その場合の連結可能とはどのような意味か。
事務局
ここでは「本人にさかのぼれるように、その人と新たに付された符号または番号の対応表を残す方法による匿名化」である。つまりサンプルに番号が書かれ、その番号は誰かということは別の台帳みたいなものがあって、その別の台帳は誰かが管理して、外には出ないことになっているというのが、連結可能匿名化のイメージである。
・ 研究過程で欲しいのは医学の情報の連結である。一番もとまで戻らない形の連結というのが可能であれば、それが一番のベストと思う。
事務局
それは個人に戻らないということであれば、連結不可能匿名化に当たると思う。この指針で予定されているのは、Aという機関で試料採取が行われる。ここは連結可能で匿名化した。そこから試料がBという機関に渡る。Bという機関では、コード名しかわからない。それをAという機関に問い合わせたところで、通常は絶対に開示しない。それが場合によってはバンクに寄託される。そういうところになって、一体どこまで連結不可能性というのは、世界中だれも戻れない状態を呼ぶのか、それとも、先ほどの例で言うと、Aのところは連結可能匿名化して、そこから出されたサンプルは、もうコード番号しかないから、Bという機関にとっては連結不可能と解釈していいのか、そのあたりは法律を中心とした先生方にぜひ教えてもらいたいと思っている。
・ ゲノムの解析をして、それが医学的なデータと連結しないと、その解釈がうまくいかないし、ほとんど意味がない例が随分あると思う。研究者にとって例えば個人名に連結するというのは全く意味がないことであって、医学情報と連結するのは非常に重要なことだと思う。もう少し連結可能・不可能ということを掘り下げて、個人的連結(そういう言葉があるかどうかは知らないが)、医学的連結というような中身で、その連結の内容をきちんと整理してほしい。つまり個人情報とゲノムの解析との間に、もう1段階、匿名化というか、連結の段階を置けば医学研究としては非常に進むことになると思う。
・ ミレニアム指針でもそうであったが、この試料等の提供者の診療情報が含まれるので、病気、あるいは健康に関する情報はこの試料等で、とりあえず連結可能・不可能の問題からは除去されて、試料に連結されていても、まさに構わないという扱いに、このガイドラインはなっていると思う。
・ その患者さんが将来どうなったかということを見るためには、ある程度個人に連結していないと、うまくいかない場合があると思う。そのことも考えに入れて欲しい。
・ 予後が非常に大事だと思う。
・ サンプルをもう一度取り直したいということになると、個人まで連結しなければならないことがある。その辺を考慮して欲しい。
・ 例えば1年後、2年後どうなっているかを見る。場合によっては5年後、10年後に見るということであれば、連結点はどこかに残しておかない見られない。これは連結可能な匿名化でしかないと思う。もとへ戻るとすれば、連結可能な匿名化であるから、採取したところで個人識別情報管理者は要る。場合によっては、カルテが一緒について回って、内容が名前と一緒についてきた場合に、コード化はされているけれども、次の研究実施機関まで一緒にやって来たとすると、ここでも個人識別情報管理者というのは要ると思う。コード化は提供したところで実施しているけれども、コードが一緒についてきて、実際に研究はコードだけでやっていて、名前とかはわからないけれども、しかし、それはまたもとへ戻るということであれば、今度は研究実施機関でも、やはり個人情報がついてくることになるので、個人識別情報管理者というのがいる。そういう形にしないと、予後も見るということであれば解決できないのではないかと思う。
・ 特に腫瘍の研究の場合に、ゲノムというのは人の一生で変わらないものではなく、たとえ体細胞であっても、不安定性によって変化して、腫瘍化するということを、後でフォローしなければならないことがある。そのルートは残すべきだと思う。
・ 研究の推進という観点から、絶対、連結不可能にしなければいけないということは言っているわけではない。ただ、匿名化はして連結可能点を持っているとすれば、そこの部分には個人識別情報があるので、管理者をしっかり置いて、そこでプライバシー保護を十分しなければいけないというレベルの問題だと思う。

(倫理審査委員会の設置、構成について)

・ 8.(1)で、「倫理審査委員会は、研究実施機関の長から研究計画の実施の適否等について意見を求められた場合」とあるが、ヒトゲノム解析研究に関してはすべて倫理審査委員会を通すということが原則であるので、求められなければ研究は実施できると読めないわけではないので、これは要らないのではないかと思う。
事務局
3ページの5.(1)の研究責任者の責務のところで、そもそも研究責任者はヒトゲノム解析研究を実施する場合には、研究計画書を作成し、所属機関の長に許可を求めなければならないということで、勝手にはできない、所属機関長の許可を得なければいけないということになっている。2ページの4.(3)で所属機関長が許可するにあたっては、まず倫理審査委員会を原則として設置しておいて、その倫理審査委員会で承認を得た上で実施の可否を決定しなければならない。指針上は、そういうことをしなければいけないということになっている。ただ、明確にするために、確かに「意見を求められた場合」というのが要るかと言われると必要ないような気もするので、さらに検討したい。
・ 6ページに市民の立場というのが2回ぐらい出てくる。市民の立場というのは、具体的にどういう立場なのか。
事務局
一般的な常識を持った方と考える。倫理とか、法学とか、社会科学系の有識者あるいは科学の有識者ばかりでいいのかという反省もあり、ミレニアム指針のときに随分議論した。もっと良い表現があれば、ぜひ取り入れたいと考えている。
・ 6ページの上の(3)で、倫理審査委員会の構成において外部委員を半数以上置くことが原則であるが「確保が困難な場合、少なくとも複数名」は、複数とは2名以上であるので、できるだけ半数に近い数と限定をつけた方が良い。例えば10名位のときに2名置けば良いということになってしまう。
・ 倫理審査委員会は適切に構成し運営されなければならない、というのは少し茫漠としている。もう少し内容を踏まえて、「学際的かつ多元的な審査ができるように」とか、ご検討をお願いしたい。
・ ミレニアムのときには、既存の倫理審査委員会との関係というのは記載されていたと思う。その点がわかりにくいと思う。
事務局
構成・組織等が新しい指針に合っていれば、従来からある倫理審査委員会をもって当てることができるという規定だと思う。その精神というのは、あまりに当然なので今回書いていない。さらに検討したい。
・ 倫理審査委員会の構成に関する細則の中で、遺伝子とか、遺伝学の専門家というのが、どうしても必要だと思う。研究の中身について、きちんと評価できる人が中に加わっていないといけない。科学面の有識者というのは、必ずしも遺伝子に詳しいわけではないと思う。その点もご検討いただきたい。
・ 良識ある人あるいは一般市民が入るということに関して、普通の医学部に置かれている倫理審査委員会でも、この条件を満たしていれば置きかえることはできるのか。ゲノム倫理審査委員会を特別に作る必要はないのか。
事務局
この規定を満足していれば、当然置きかえることはできると思っている。
・ 産業界においては「外部委員を半数以上置くことが原則であるが、相当の努力を行っても」という、その「相当の努力を行っても」というところが非常に助かった面がある。相当努力しても、半数というのは非常に難しい。そういうことで、2名を置いてやり始めている。それで今はとりあえず走っているが、倫理面では支障をきたしていないと思う。半数に近い複数というのは、産業界のところでは少し厳しいと思う。
・ 産業界のことがよくわからないので、どのように難しいのかご説明いただきたい。
・ 各企業が、限られた外部の方を求めると、かなり重なり合ってくるのではないかと危惧される。そういう点で、2名ぐらいであれば、何とかなると考える。
・ 企業の倫理審査委員会は何名の構成なのか。
・ 大体8名から10名である。
・ 独立した意見を言うというのが、数が少ないと非常に言いにくいところがある。半数に近いというのを努力していただいた結果、2人ということですのでそれ以上申しませんが、常に努力していただくことと思う。そういう意味で、2人で良いというのは問題があるので、努力した結果、半数にいかなかったというのは構わないと思うが、単に複数ということになると、2名で良いだろうという話になる。あまり最初から敷居を低くしないほうが良いと考える。
・ 例えば産業界でもJBICというのがある。そこは全員が外部委員でやっている。それからもう一つ、製薬協の中で薬物同定関連遺伝子のコンソーシアムを組んで今やろうとして、倫理委員会をつくろうとしている。その場合は8人で、半数を外部の委員でやろうとしている。そういう特殊のケースは半数ないしそれ以上の努力はしている。
・ この倫理審査委員会の構成は、遺伝子の審査であるから特にということで理解してよいのか。
事務局
はい。
委員長
細則のところで、「相当の努力を行っても、その確保が困難な場合には、少なくとも複数名」というのは、これまでの議論、アンケートの結果等を踏まえた、かなり苦労した表現ではないかという感じがする。今ご議論をいただいた内容をふまえ、生かせるところは生かしていきたいと思う。
・ 8.(2)の議事内容について原則として公開と書かれている。たたき台の原案では議事の要旨ということになっていた。議事内容というのを、もう少しはっきりさせておく必要があるのではないか。
事務局
議事の要旨という表現が、1行でもって要旨と読む人もいたのでそれはまずいと考えた。議事録というので一言一句というのも、またこれも厳し過ぎると思う。ある程度、倫理審査委員会の中でご議論いただく方が良いと考えている。もう少し事務局としてアイデアがあれば良が、議事の中身がわかるくらいの程度の議事録という意味である。
・ 議事要旨と最初にあったときは、これはまずいのではないかと思った。議事の内容となっていたので、少し広くなったというか、詳しくなったと思う。議事の内容と言ってしまうと、一体どこまでを公開したらいいのかという基準がはっきりしなくなる。現場というか、倫理審査委員会の方が困るのではないかと思う。例えば細則で、議題と許可するなら許可する、否定するなら否定する、そしてできれば議事録、場合によっては内容がわかるような、できるだけ詳細な議事要旨とか、少し例示的に書いておいた方が良い。

(1群から4群の試料の分類について)

・ 組織細胞の扱いについての基本ルールがないところで、遺伝子の検査についてだけ論ずるという形になってしまっているわけである。今日の参考資料として挙げられている比較の資料の中で、MRCの報告書は、基本的にヒト組織の扱いについての報告書で、遺伝子については別にガイドラインが出るというスタイルになっている。組織を被験者からいただく場合のルール、廃棄のルール、それからバンクという組織を受け渡していく過程というのが入ってこざるを得ない。具体的な点で言うと、例えばヒト組織をいただくときに謝礼はどうするのかとか、提供機関からのヒト組織を別の機関に出すときに実費等はどうするのか、管理者が最終的にだれになるのかというのもわからないままである。ある提供機関のヒト組織を受け取って、それを他の機関に分配したとき、そこで解析されたデータは、もとのヒト組織の管理者のところへ戻ってきて、このヒト組織についての、今までいろいろな人が集めたデータというのは、ここに行けばわかるというような形にしないと、そのヒト組織についての研究を積み重ねていく上ではいけないのではないかと思う。
事務局
ヒト組織あるいは臓器を提供いただいてこれを使うときの一般的なルールは、我が国において薬事法上の臨床試験にだけ決められている。それ以外の臨床研究では、厚生科学審議会で議論された手術時に組織をいただくときのルールというのはある。改訂されたヘルシンキ宣言の中では、medical research involvement human subject include research on identifiable human material or identifiable dataというのが新しく追加になっている。同定できるヒトの組織あるいはデータを使う研究は、メディカル・リサーチの中に入るということを明文化されたことが1つの特徴ではないかと考える。これらについて、どう考えているかということだが、これは厚生科学審議会の先端技術評価部会の中に専門の委員会をつくって、今議論をいただき始めたところである。
・ そこでの議論も時々流していただければと思う。
・ 1群から4群のことですが、復活させた方が良いと思っている。私どもの倫理審査委員会で、既に1群であるか、2群であるかということを倫理審査委員会のメンバーに配りまして、それで判断を仰いでいる。かなり審議の短縮になり、活用している。どのような理由で省いたか説明していただきたい。
・ この指針の中で、1群から4群というのが、どこにも出てこない指針という形になっている。あえて分ける必要もないと考えた。そのほうが一般の理解も得やすいだろうということを考慮している。
・ ミレニアム指針は対象が限定されていて、国立の研究機関ということで、1群から4群をつくられてよかったと思う。要するに十分に説明がされて、きちんと同意が取られるかということだと思う。状況によって、現在の1群から4群に分けたような形で実際に説明をして、同意を取られるということを現場でお考えいただければ、ここで必ずしも1群から4群にきちんと分けて、それぞれ手続が違うんだという必要はあまりないと思う。多分、その方がすっきりしますし、ミレニアム指針はかなり複雑というか、読んでいてややこしくて、少し大変という気もする。実質的にきちんとインフォームが行われて、同意が取られるという体制をとる。そのときには当然、倫理審査委員会で研究計画を審査するときに、こういうふうにインフォームしますよということも出てくるはずなので、それでカバーできるのではないかと思う。
・ 1群から4群の場合、診療の過程から全くのボランタリーな提供からという幾つかに分けている。これはむしろ採取の段階での意思の確認とか、あるいは診療にかかわる場合の意思の確認というのは非常に難しい部分がある。分けてインフォームド・コンセントの中もきちんと分けたガイドをするということが必要という気がする。もう一度読み直してみて、また意見を言わせていただく。
・ 基本的には1群は単一遺伝子異常で、2群、3群は複数遺伝子が関与する者ということになると思う。
しかし、これからはおそらく例えば2つの遺伝子変異を持っていたら100%病気が発症して、もうほとんど1群と変わらないようなケースも出てくると思う。従って、遺伝子異常を持つ者とそれ以外の者とに分けられると思う。基本的には遺伝子異常を持つ者と持たない者に分類する方が現実的と思う。
・ この共通指針案はミレニアム指針より、かなり簡略化された書き方になっている。ここで1群から4群まで入れてしまうと、非常にバランスというか、読んでいる方がかなり大変ではないかと思う。ある部分は非常に細かくて、ある部分は非常に簡単であるということで、機関も国立研究機関だけではなくて、オールジャパンでということで、この程度の比較的簡単でわかりやすい方が良いと思う。

(遺伝情報の開示について)

・ 「遺伝情報の開示に関する事項」は研究結果の告知ということでしょうか。だれがだれに開示するのかというのが、これではわからない。研究結果の告知をするかしないかということを、はっきりスペシファイした書き方のほうが良いと思う。
事務局
告知というのは、例えば研究していて何か大変なことがわかったからお知らせましょう、告げるである。ここで言っている開示は、教えてくださいと言われたから、データをお教えしましょう、お開きしましょうという意味である。
・ 要するに研究の結果がわかって、自分に関する情報を知りたいか知りたくないかということについての事項ですね。
・ 研究計画を立てる際に、ここでは遺伝情報を開示するのが原則だと書いてある。開示を原則としない研究というのもあると思う。研究結果は、特に匿名したような研究の場合には、個々人に知らせることはできなくて、そういう研究計画を立てる場合と、それぞれの患者さんが医療の向上に役立てられる情報も得られるかもしれないということで研究に協力していただいて、遺伝子解析をするということがある。その場合には研究結果をお知らせするのが原則で、意味があるかないか、研究結果はいずれにしてもお教えしますということで研究計画を立てるということがあると思う。その際に、いろいろな倫理的な問題も変わってくるし、遺伝カウンセリングの体制も変わってくる。その点でかなり扱いというのは変わってくると思う。知りたければ教えるけれども、知りたくなければ教えないというようなものではなくて、研究計画の最初のところで、ある程度きちんと分けられるんではないかと思っている。
・ 今の発言のご趣旨をもう少し明確にしたいのですが、要するに本人は知りたくないと言っているけれども、あなたの遺伝情報はこうですよと研究計画の最初から書いておいて、知らせる可能性がある。そういう趣旨ですか。ここの遺伝情報の開示の基本は、個人の情報なので、知りたいと思ったときには開示されるけれども、私は知りたくないといったときには開示されてはならないという原則だと思う。
・ もちろんそうだと思うが、知りたい場合、結果が得られて医療の場面で役立てられる可能性があるような遺伝子解析を行う場合に、もちろん知りたくないという場合には、それは尊重される。それは開示するのは原則である。しかし、開示されないものも当然ある。匿名化されたような場合である。
・ ここはインフォームド・コンセントのところですから、開示するのが原則というか、開示してほしくないという自由もある。研究計画上、全く研究結果について、望んでも教えるということがないという場合もあり得るということですね。開示に関する事項のところで、それは言わなければいけないと思う。
事務局
議論を整理しますと、この10.(1)の細則では研究計画上、開示しないものというのを2つ挙げている。これ以外に、どういう類型があるのか。もちろん連結不可能匿名化であれば、開示しようと思っても開示できないというのは当然だろうと思う。それ以外として、この2つを挙げているわけであるが、これ以外に何があるのかというのをご議論いただいた方がよろしいのかと思っている。
・ ここはミレニアム指針の4−1−4−12をそのまま受けているので、その中には、原則として本人の希望に応じて開示がされるし、それから4−1−4−12−5のところに、開示できないタイプの研究であれば、その旨、説明しなさいということもある。ミレニアム指針の4−1−4−12を踏まえて、もう少し詳しく記述した方がわかりやすいと思う。研究結果、特に遺伝情報に焦点を当てた研究結果の返し方について、提供者の希望に応じますよということと、この研究のタイプでは開示します、しませんということ、あるいは代諾が関係している場合は、特別の問題がありますと、そういうことをもう少し言葉を足された方がわかりやすいと思う。
・ 遺伝情報の開示というだけだといろいろなものが含まれてしまう。「研究により得られた遺伝情報の試料提供者への開示」と具体的に言っていただくとわかると思う。
委員長
今ご議論いただいた内容を含めれば、もっと明快になると思う。これは事務局に一任したいと思う。
・ 血縁者に対する開示というのも、基本原則の方では道を開いている。ここでは全く言及がないので、それをどうされるのか。
事務局
8ページの10.(1)のところの細則の3で、血縁者に対する開示のことを記述している。
・ 要するに9ページの(2)の「原則として、試料等提供者以外の者に開示されてはならない」とある。その例外でもある。ですから、それが上のほうにだけあるので、少し読みにくくなっている。
事務局
少し整理をさせていただきたい。

(既提供試料等の研究利用について)

・ 10ページのところ、既提供試料の区分に応じた取り扱いに関する細則を非常に重く受けとめている。連結不可能匿名化というのは、世界中だれにもわからないような匿名化だと思って理解している。そうすると、その研究の遂行上、非常に支障を来しますし、連結不可能匿名化にするまでにデータの蓄積など、物すごい労力を必要とする。非常に重大なことを課せられていると受けとめている。それともう一つ、C群試料の場合のdですが、「ヒトゲノム解析の実施状況について情報の公開を図り」ということも、研究のプライオリティーを捨てて、情報を公開しなさいということで、かなり重く受けとめて考えている。ところが、研究者ではない方はこれが逃げ道ではないかと受けとめている方が多いということが気になった。これを研究者向けの言葉ではなくて、一般向けの言葉で書き直すことはできないだろうか。連結不可能匿名化というのは、世界中、だれにも情報がわからなくなってしまって、プライバシーは完全に保護されるということを、もう少し一般のマスコミを通じて、努力する必要があると思う。
・ 9ページの12.(1)の「研究の実施前に」とするか、「本指針の作成前に」とするかということであるが、研究の実施前ですと、本指針がつくられてから後でも、いつでも研究の実施前ということになってしまう。もし研究の実施前ということにしてしまうと、基本原則の第9で、既提供試料というのは解説のところに書いてあるが、この基本原則もしくは指針ができてから後に採取された試料は既提供試料には当たらないという書き方がしてある。別案のほうが本来の形だと思う。
・ 作業委員会では、そこが非常に議論になっていた。議論になる最大の理由が、基本原則も含めて、そこの記載が誤解を招く面がある。例えばこの指針が今年度の末にできたとする。そこで規定ができる。それから、新しい研究を例えば2003年に、だれか研究計画をつくって承認されたとする。そうすると、試料は3種類になる。1つは、この指針ができ上がる前の、例えば現在の試料。次に、指針ができ上がってから、その3年間に集められた、多分何らかの同意を得られた試料。それが2つ目のグループ。3番目が、研究計画に基づいて、新たに集められた試料。その大きく3つのブロックに分かれる。少なくとも既提供試料というのは、2003年の研究では、指針成立後3年間にためられたものはすべて、既提供試料になると思う。指針の作成で切ってしまうと、その試料はすべて使えないことに多分なってしまうと思う。
・ 基本原則でも、そこまで全く使っていけないという書き方はしてないと思う。一番最後の、つまり研究が始まってから採取するのは、これは当然、その研究計画に基づいてインフォームド・コンセントを取る。その前の2つの部分については、2000年より前に取られた試料については、多分ここに書かれているような形のインフォームド・コンセントがないので、できれば取り直していただきたい。それは無理な場合もあり得るので、倫理審査委員会の審査を経て、例えば1,000人とか2,000人とかある場合で、それが無理な場合には、使ってよろしいと。連結できるかどうかという問題もあるが、何らかの判断を倫理審査委員会が下すことになると思う。指針ができてから後は、何らかの形で同意が得られていると思うので、その同意の範囲の中で使うか、もしくは、その同意の範囲を外れて、2003年以降の研究計画に使おうと思う場合は、できればもう一度取り直すか、もしくは取り直すことが困難である場合には倫理審査委員会に諮って、場合によっては利用することができると。そういう取り扱い方だと思う。
・ 基本原則も、この指針の成立か否かということは本文には書かれていなくて、解説のところに、ある部分に関してだけ書かれているような読み方ができて、そこが非常に明確ではない。誤解を招いているということになる。それも既提供試料として、インフォームド・コンセントが何らかの形で得られているものを含めて整理をすれば、別にそれを既提供だとか、そうではないとかと言う必要はなくなるのではないかと思う。結果として、「研究の実施前に」という書き方をしておけば、すべてを包含するだろうというのがここの書き方の考え方である。
委員長
A群、B群、C群を問わず、研究の実施前に集められ、しかるべき倫理審査委員会の審査を経れば、それは研究試料として使えるという整理ということですね。
・ C群の扱いは、これは少し別の議論が必要だと思う。既提供試料という言葉の使い方について、少し整理をしておいていただきたいと思う。
・ 問題は、指針の作成時点の前と後で、インフォームド・コンセントを厳格にやるという認識を強調する必要があると思う。それを1つにしてしまうと、先に取っておけばいいではないかという方向に流れないかという不安が、これはむしろ科学者ではなくて一般からの印象がある。「研究前に」と言ってしまうと、インフォームド・コンセントに関して、指針を決めることの意味がやや薄れてしまうという気がする。
・ 既提供試料の中に、指針前のものと指針後のものがある。それをどう整理をするかは、今後の課題としたい。
事務局
指針策定後・研究計画策定前という新しい類型についての判断基準は、引き続き議論を深めたいと考える。
・ 8ページの2.で、試料等提供者が開示を希望しない場合でも開示する例外事項がある。「その遺伝情報が試料等提供者の生命に重大な影響を与える」と書いてあるが、例えば航空機のパイロットの方が、めまいとか、てんかんの発作が見つかったというような場合は、ご本人以外にも重大な生命な危険を及ぼすということがあり得るので、ここを「提供者など」と、もう一つ「など」を入れたらどうかと思う。その続きに「かつ、有効な治療方法があるとき」は、「有効な対処方法があるとき」が適正ではないかと思う。それから、倫理審査委員会に申請がどっときまして、とても審査委員だけではさばき切れなく、結局、審査に実際に当たるワーキンググループのようなものをつくって、そこで少なくとも1回目だけは、あらゆる種類について審査しないといけない。2回目以降は、おそらく迅速審査のような形でいいと思う。そういう下部組織をつくることについて、どこかに入れていただいたらどうかと思う。最後に、実際にこれが動き出すと、カルテに遺伝情報ないし、それに絡む情報を記載できないことになる。それが医療法上、問題がないかどうかという問題をはっきりさせていただきたい。
委員長
いずれも重要な問題ですので、受けとめさせていただく。特に最後の点は整理して、次回でもご報告をいただければと思う。
・ いろいろなアンケートの中にも、遺伝カウンセリングの体制の整備が必要だということが言われていたが、今回の議論ではなかったので、3ページの4.(6)で、試料等の提供が行われる機関の長は、いきなり紹介するなどといって、逃げている。ですから、努力目標として、「十分な遺伝カウンセリングが実施できる遺伝カウンセリング体制を構築するよう努力すること」。それができない場合には、「適切な遺伝カウンセリングを実施するものを紹介するなど」。少なくとも努力目標としては書いておいていただきたいと思う。
・ ここに書かれている内容についての文言とか、表現とか、そういうことについての議論はどういうふうにするつもりか。
委員長
今日は、幾つかのテーマに絞って議論いただいた。内容を事務局で整理させていただいて、次回、どこが今回と変わったかわかるような形で提示していただく。それから全体を通してご議論いただくことになると思う。

(作業委員会の委員の追加について)
事務局

前々から課題となっていた臨床の先生を作業委員会に追加することになった。

6.今後の日程

 検討委員会開催日程

 第5回 平成12年10月26日(木) 16:00-18:00 中央合同庁舎第5号館(26階)共用第17・18会議室

以上


照会先
厚生省大臣官房厚生科学課
課長補佐 野口尚
電話 [現在ご利用いただけません](内線:3804)


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