00/09/12 生殖補助医療技術に関する専門委員会(第20回)議事録     厚 生 科 学 審 議 会 先 端 医 療 技 術 評 価 部 会      生 殖 補 助 医 療 技 術 に 関 す る 専 門 委 員 会                 ( 第 20 回 )                 議   事   録         厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 保 健 課            厚生科学審議会先端医療技術評価部会        生殖補助医療技術に関する専門委員会(第20回)議事次第 日 時 平成12年9月12日(火) 15:00〜18:00 場 所 霞山会館(霞山ビル9F)  1 開 会  2 議 事   (1)第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方について   (2)その他  3 閉 会 〔出席委員〕                                    中 谷 委員長   石井(美)委員  高 橋 委 員 辰 巳 委 員  田 中 委 員  矢内原 委 員 吉 村 委 員 ○大平課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから「第20回厚生科学審議会先端医療技術評価部 会・生殖補助医療技術に関する専門委員会」を開催します。  本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。当初全員 出席の予定でございましたけれども、加藤委員、丸山委員は大雨のため新幹線が動かな いということで欠席になりました。石井委員も欠席でございます。  それでは、早速でございますが、議事に入りたいと思います。中谷委員長、議事進行 よろしくお願いいたします。 ○中谷委員長 きょうは大雨の影響がいろいろありまして、大変な中をご多忙中、お差し繰りの上、 ご出席いただきまして誠にありがとうございました。 本日の議事に入ります前に、いつものように、事務局から本日の資料の確認をお願い いたしますが、その前にちょっと私からご訂正を申し上げたいと思います。この前、ガ イドラインのご紹介でオーストラリアのガイドラインで、良心的拒否の規定があるとい うふうに申し上げましたけれども、私もイギリスの90年法は10年前のものですから記憶 が定かでなかったので、改めて見直しましたら、イギリスの90年法の中でちゃんとあり ましたので、それをご訂正させていただきたいと思います。申しわけありません。 では、事務局から、いつものように本日の資料の確認をお願いいたします。 ○小林主査 本日の資料になりますが、まず1枚目が「議事次第」がございまして、その次に、い つものように「たたき台」と、もう一つ「インターネットで寄せられたご意見」、こち らを参考資料ということで配付させていただいております。  なお、今回のたたき台ですが、別添1(調整案)というものを付けております。これ は今後の議論に際しての一つの材料にしていただくということで、委員長の方からご指 示いただきまして、前回の委員会までのご議論を踏まえて各委員の間である程度ご了解 いただいたのではないかと思われる事項を、事務局の方で「卵子提供による体外受精」 についての案文及び理由等として作成したものを、また、委員長にご確認いただき添付 させていただいているものでございます。  それから、まだ配付されておりませんが、法務省の方から資料を一部いただいており まして、後ほどそちらの方も配付させていただきます。 ○法務省  法務省でございます。今、お手元にはまだ資料をお届けしておりませんけれども、前 回、日本で法規制をしたとしても、海外に行って、例えば代理母契約を実施された場合 など子どもについてどうなるのかということでご質問いただきましたが、これについ て、従来の当省の担当者が議論を整理した論文を書いておりますので、これを参考まで に皆様にごらんいただこうと思いまして、きょう資料として用意しております。内容は かなり細かいところまで議論しておりますので、詳細な点について、ここで申し上げる と、それだけでかなり時間をとりますので、内容については、まず論文をご覧いただく ということでお願いしたいと思います。 ○中谷委員長  ありがとうございました。  それでは議事1の「第三者の配偶子提供による生殖補助医療のあり方について」に入 りたいと思いますが、前回の委員会ではたたき台、3ページの「提供卵子による体外受 精」についてまでご議論いただきましたところですが、議論が途中で終わっております ので、ただいま事務局からご説明がありました別添1の調整案を含めまして、引き続き この部分についてのご検討をいただきたいと思いますので、どうぞご自由にご発言いた だきたいと思います。 ○母子保健課長  もし、よろしければ、委員長、この調整案を簡単にご説明させていただいてよろしい でしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○小林主査  ちょっと先ほどご説明させていただいたのですが、趣旨といたしましては、前回、提 供卵子による体外受精のところ、大分深くご議論いただきまして、恐らくまだ各委員の 先生方いろいろとご意見あるということで、まだ詰まったという形ではないのではない かと思うのですが、概ね委員の間でご了解いただいているのかなと思われる事項をまと めまして、調整案ということで作成させていただいたものを委員長に確認をいただいた ということですが、案文に当たるところが別添1の囲みの中になります。  それから、このような考え方をとるのであれば、こういう理由だということで、こち らも前回のご議論を踏まえて事務局で、こういった観点からご議論いただいていたので はないかと思われる事項を、理由として記載させていただきました。  また、2ページ目に留意事項ということで黒の括弧で書かせていただいております が、こちらは仮にこの案をとるとした場合、基本的には余剰卵の提供があった場合につ いて卵子提供を認めるということだと思いますので、(提供者等の条件について)とい うところで「卵子提供者は、すでに子のいる成人に限り〜」という文言があるのです が、「すでに子のいる」というのが、恐らく削除しなければいけないのだろうというこ とで留意事項として一つ書かせていただいております。あともう一つは、こことはまた 別に、提供者をだれにするのだというところでまたご議論いただくことなのかもしれま せんが、姉妹(母)等の近親者からの卵子提供について、これを認めていくのかどう か。これは恐らく二つ側面があるかと思いますが、一つは、近親者だから多少リスクが あるのだけれども認めてもいいのではないかという観点と、もう一つは、提供者の匿名 性の観点から近親者ではだめではないのかという二つの論点があるかと思うのですが、 この点についても併せてご議論いただければということで留意事項として書かせていた だきました。 ○中谷委員長  課長、ほかに補足がおありですか。 ○母子保健課長  もしよろしければ、これをざっと読んで、このような形で調整しましたということを お示しさせていただければと思います。 ○小林主査  まず調整案ですが、「女性側が卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限っ て、提供卵子による体外受精を受けることができる。」ということです。ここの部分 は、従前の提供卵子による体外受精の(案1)の1文目と同じだということです。  次に、先に3文目を読ませていただくのですけれども、「また、併せて精子の提供を 受け、新たに胚をつくることはできない。」とあるのですが、これも従前の(案1)の 2文目、これを引き継いだものです。  この調整案の違うところは2文目、「ただし」以降なんですが、「この際の卵子提供 は、当該卵子の提供を行うために、第三者が新たな身体的リスクを負うことなく採取さ れたものでなければならない。」ということでして、この部分がこの調整案のポイント といいますか、(案1)と違うところでございます。  こういった調整案をつくらせていただいた背景は、下の(理由)のところに書いてあ るのですが、この前の委員会でのご議論の中で、委員の先生方がそういう意見で完全に まとまったということではないのかと思いますが、おおよそ提供卵子による体外受精は 卵子提供について、なぜだめなのかという理由のところで、第三者に対する侵襲性、リ スクの話をされていたのだろうということでして、逆に言えば、この前の議論でもお話 があったかと思うのですが、リスクがない部分については、それは認めていってもいい のではないだろうかというご議論があったと承知しておりまして、そういった議論の流 れを踏まえまして、この一文を入れさせていただいたものでございます。この案も案の 一つとして、また、さらにご議論いただければということでございます。 ○中谷委員長  医系の先生方にお伺いしたいのですけれども、「女性側が卵子の提供を受けなければ 妊娠できない夫婦に限って〜」云々とありますけれども、女性側に原因がある場合に、 男性側にはそういう因子はないんですか。男性側にも多少併せて問題があるという場合 はあり得ないんですか。 ○辰巳委員  もちろんございます。 ○中谷委員長  ありますね。 ○矢内原委員  その場合には胚の提供ということで代用できます。 ○中谷委員長  余剰胚ですか。 ○矢内原委員  余剰胚の提供。 ○中谷委員長  余剰胚の提供ということで処理しようと。ほかに何か。 ○辰巳委員  この調整案は、シェアリングのこと以外のことなどを想定しているのですか。 ○小林主査  この前いただいた議論では、基本的にはシェアリングの話以外は出ていなかったのか なと。あるいは将来的な可能性として卵子の凍結が技術的に可能になってきた場合、そ ういったものも含まれるかという議論もあったかと思いますが、前回の議論でお伺いし ていた範囲ではシェアリングというものがまず念頭に置かれるものではないかと考えた のですが。 ○辰巳委員  シェアリングと卵子凍結ということの二つを含めたという意味。というのは、前回の 議論の流れを経験していればわかるのですけれども、突然この文章が出てきた場合には 何のことかさっぱりわからないのではないかと思うので、だからシェアリングならシェ アリングというふうなことを入れた方がいいのかなと。それとも卵子凍結ということを 考えているから、こういう文章になったのかなと思うんです。 ○小林主査  その辺は囲みの文章の中では、なるべく簡潔に書いた方がいいだろうということで余 り細かく書いていないのですが、理由の5番目のマルのところに「他の夫婦が自己の体 外受精のために採取した卵子のうち当該夫婦の体外受精において使用しないものの提供 を受ける場合」、これがまさにシェアリングに当たるものということで書かせていただ いて、「等」は、今後の可能性として卵子凍結ができた場合のものを想定して書かせて いただいたわけでございます。 ○母子保健課長  若干補足いたしますが、これはあくまでも調整案ということでして、事務局としてこ れが好ましいという趣旨では全くございません。好ましいというか、事務局として意見 があるという趣旨ではなくて、前回のご議論でいろいろと議論されたものを多少取りま とめてみると、こんなようなニュアンスが比較的コンセンサスに近かったのかなという 意味で出させていただいたものです。議論の進行を容易にするためという趣旨ですの で、これを当然否定していただいて結構でありますし、どんなふうな形で扱っていただ いても全く構いません。  それから一番下に、1ページ目ですが、対価の考え方についてというのを一応分けて 整理をさせていただいたものであります。つまり卵子提供ということについて認めるの か認めないのかという原則的な考え方について、第三者にリスクを負わせるのでなけれ ば原則認めるという考え方に立つのかどうかという点をまず整理する。認めるとすれ ば、提供者がいるのかどうかという問題について、この一番下に書かれてある考え方が 整理されることによって、補完的なといいましょうか、それを担保しうるような道が開 かれているということを一応分けた形で論理を展開した上でトータルに考えたらどうか というものです。さらに、この試案の立場をとるのであれば、留意事項にあるようなこ とについてもまた検討が必要になってくるのではないかというという形で整理してご提 示したものとご理解いただければよろしいかと思います。 ○中谷委員長  今の課長のご説明で非常によくわかったわけですが、いかがでしょうか。なお、こう いう点はこういうふうにした方がいいのてはないかというご提案があればご自由に。 ○石井(美)委員  ある程度はわかった気はするのですけれども、調整案という形で出ているということ と、この文章全体からいくと、卵子提供はいわゆるシェアリングに限るというのが、こ れが一つの案と。これは送られてきたときに、多分調整案という形で出てきたのはそう なのかなと思って、どうしようか、私まだ結論はつかないのですけれども、この間の議 論のときは、これも一つの方法としてあり得るということだったのではないか。これ自 体の卵子提供は認めないというところまでの合意ではないのではないかという気はする のです。  ただ、卵子提供は反対と言っていた方も、これは認めていいのではないかというとこ ろの合意はあったのではないか。というので、矢内原先生も最後にシェアリングを文章 化してほしいという希望をおっしゃっていた。それがうまくできているという気はする のですけれども、この案で、全員これだけで調整案として合意できるかというとちょっ とまだ無理なのではないかという気はするんですけど。 ○小林主査  それはおっしゃるとおりでして、前回あった議論を踏まえて一つ材料として別の案を つくった方がいいのではないかというご指示を委員長からいただいたということでし て、当然、今おっしゃられたとおりこれが委員の皆様方のコンセンサスを得られている という意味で出したわけではございませんし、これは事務局の案というわけでもござい ませんので、もし、これがちょっと違うということであれば、これは全く否定していた だいて一からまた検討いただくという方法も当然あると考えております。 ○石井(美)委員  否定するつもりはなくて、これは一つの案とはなるけれども。 ○辰巳委員  これは(案3)ではないんですか。 ○小林主査  そう考えていただいてもよいかと思います。 ○石井(美)委員  そうですね。 ○辰巳委員  (案3)ですよね。 ○石井(美)委員  それと、さっき辰巳先生がおっしゃったことと関連するけれども、これ自身だと凍結 卵でなくても、今の段階で凍結はできなくてもシェアするということが可能な文章にな っているのではないか。この間は、仮に凍結しておいて、もう使わないということがは っきりしていた段階ということを考えていたように思うんです。ただ、3年後なんで す、実施されるのは。それを考えると、これでもいいのかなという気もしないでもない んですが、その辺がちょっと。  ということと、先ほどの中谷先生がおっしゃったことと関連すると、一番最後のマル のところの説明はちょっと説明不足というか、これでいくと、男性側に精子提供を受け る必要がある場合には精子提供を受けられるはずなのに、「併せて精子提供を受けるこ とは、容認させるべきではない。」という結論は、そことイコールにはならないのでは ないですか。 ○小林主査  ここは事務局の方で議事録等を拝見させていただいて、わかる範囲で書かせていただ いたものですので、当然、理由のところで直した方がいいということであれば、それを 取り入れさせていただきますが。 ○矢内原委員  この調整案をきょう出していただいたのは一つ大きな進歩があったなと私は理解をし ています。というのは、卵子提供はもともと反対だった理由は、最初に決めた原則に非 常に大きく抵触をしている。つまり人を生殖の道具にしてはいけないという原則の上に 立って、また、無償であるということ、卵子まで来た理由は、精子の提供を認めている から、そういう理論的な背景があります。実際に精子と同じように、また身体に害はな くて商業主義はなくてということは続いては論じられないので、ここに言っているとお り、どれかの原則を崩さないと卵子の提供はあり得ないということです。  そうなりますと、この前も出たように、余剰卵があればそれを受けてもいいだろう と。かつ匿名性は親子に限っては卵子だけ認めると。親・姉妹に関しては認めるという ことは、決して精子の提供の延長にはならないですね。ですから同列にもしそういう方 法があるならば、卵子がない人に対して受ける権利が女性側にあって、精子と同等のよ うな状態で匿名性を保ち、かつ第三者に危険を与えることなくということになるなら ば、こういう形にならざるを得ないのではないかと。そうすると整合性はとれてくるの ではないか。ですから、この案をベースに考えていくのであるならば、卵子の提供をず っと反対をしている立場としては容認できるかなというような感じがしてきました。 ○中谷委員長  まだいろんなご意見はおありだと思いますが、私は精子の提供と卵子の提供につい て、もし卵子の提供ということが許されるならば同じように考えてもいいのではないか と考えるわけですし、婚姻夫婦に限らなくてもいいのではないかというふうにも考える ものなんですけれども、それはそれとして皆様方のご意見が大筋でどうなのかというこ とはご確認させていただきたいと思うものですから、吉村委員、いかがですか。 ○吉村委員  この調整案はなかなかよくできているとは思うんですね。内容的にも私はこれだった らいいのではないかと思うんですが、最後の方の対価のところが私には少しわからない ところがあるんですけれども、例えば「〜当該卵子の採取に当たって要した医療費等の 実費の一部を負担することは〜」、これは現実面として、実費を負担することが必要に なってくるのでしょうけれども、私なんかは実際にやる側とすれば、商業主義には抵触 しないと思うのですが、その辺がどうなるのかということは少し気になります。  私は逆に田中先生にお聞きしたいのですけど、これでいいでしょうかということです よね。そうではなくて、全く関係ない第三者からいただくということも担保しておいた 方がいいのではないかというお考えではないかなと、私は逆にお伺いしたい。 ○中谷委員長  田中委員、いかがですか。 ○田中委員  一番の理想は、匿名の場合でも、親族の方も、すべて認められれば一番治療は円滑に 進むと思います。どれがいいとかどれが悪いとかいうことなしに。ただ、それぞれ今ま でこういう意見を聞いてきた背景にいろんなお考えがあるのはわかっておりますから、 それは調整してもらって結構だと思います。実用性の上から見るならば、私の考えで言 うならば、これからこういう治療がスタートして、卵子の提供をどこにソースを求める かというと、この調整案か私は親族になるのではと思います。無償のボランティアはほ とんどいないのではないかと思います。  それで先生よろしいですか。 ○吉村委員  そうするとこれはほとんどの場合が提供する卵子の方のことはわかってしまうという ことですね。これを匿名でやっていくということはかなり難しいことにはなりますね。 ○矢内原委員  いや、そうじゃない。 ○田中委員  匿名にするというふうにしておけばいいんじゃないですか。 ○矢内原委員  匿名になるのであれば。 ○中谷委員長  兄弟姉妹は別ですよね。 ○田中委員  ええ。お互いにわからないということを最初に。 ○中谷委員長  兄弟姉妹以外に。 ○田中委員  以外ですね。 ○石井(美)委員  だれが受けるかわからないけれども、余ったものはあげますという人がいて、余った ものがあったら欲しいという人がいる。 ○吉村委員  実際にやることになると、例えば、私のところへ来て、あるA夫婦が受けると。B夫 婦が欲しいと。ということは、やる私たちのスタッフはわかってしまうと。 ○田中委員  わかりますね。 ○中谷委員長  それはそうですね。その記録をどういうふうな形で保存するかはまた別の問題です ね。それは個人が特定できないような形で記録の保存というのは可能ですから。 ○吉村委員  そうですね。 ○石井(美)委員  場合によっては、同じ施設じゃなくするという方法もあり得ますね。 ○中谷委員長  あり得ますね。 ○吉村委員  そうですね。 ○田中委員  この方法の欠点は、前もってどのくらい採れるかというのが予測できない場合が多い ということです。だから、第三者の匿名の方からもらう場合には採取した卵を全て提供 されるというカウンセリングが十分できますよね、前もって。ところがこういうふうに 採卵するために注射を打って治療してきて何個できると。採卵がたくさん採れそうだと いうところからスタートするような気がするんですね。前もってそういう話をしておけ ばいいですがね。治療する前に、たくさん採れた場合にはこういう話もありますよとい うふうに言っておけば大丈夫ですかね。 ○中谷委員長  その場合は、費用はどうするわけですか。 ○田中委員  どうでしょうね。 ○中谷委員長  大体一回の費用はどのくらいなのか、よくわかりませんけれども。 ○田中委員  半分ぐらいですかね。 ○吉村委員  そうでしょうね。 ○田中委員  半分であるほうが、多分提供する人の考えでいけば、半分出してくれるのだったら少 しあげようという気になると思うんですね。 ○中谷委員長  一回幾らなんですか。 ○吉村委員  それは施設によって違いますよ。 ○田中委員  施設によって大分違いますよ。 ○矢内原委員  大体平均40万ぐらい。 ○中谷委員長  40万ぐらい。この間、私、今までやった方から相談受けたことがありまして、40万円 は非常にお安いのだと、ほかはもっと高いと聞きましたけれども、大体30万から40万弱 ぐらいだという。 ○吉村委員  30万から50万ぐらいの間ですね。 ○矢内原委員  30万から50万の間で、大体40万。場合によっては、卵巣刺激までの料金を、原則的に はこれは保険は使えないわけなんですけれども、それを入れるともうちょっと高くなる ところはありますですね。人によって反応の仕方が違ったり、量の使い方も。 ○中谷委員長 それは一回で済まないわけでしょう。 ○矢内原委員  ずっと注射を。 ○中谷委員長  ずっとやって、1クールでそうですか。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  一回ごとではないんですね。 ○矢内原委員  注射を打った料金は10万円かかったとしたら、それはまた別に採卵が40万ということ で、最初の10万のはもう少し少ない場合もありますし、多い場合もあり得る。 ○中谷委員長  採卵は一回で済むんですか。 ○吉村委員  一回で。 ○辰巳委員  今、先生方おっしゃっているのは、このシェアリングは、一旦凍結とするということ は考えずに、もうそのまま最初から話を決めて半分はということですか。それとも一 旦。 ○吉村委員  シェアリングができるとしたならば。 ○辰巳委員  シェアリングというのは、だから最初から一旦未受精卵を凍結しておいて、というの ではなくて、もう最初からシェアリングということですね。 ○吉村委員  そうです。 ○辰巳委員  今、一般に行われているシェアリングの方法で、それでオーケイということですね。 ○吉村委員  そうです。ですから卵子の場合だといろんな不都合があるかもしれませんけど、精子 であれば、例えばご主人に前の日に来てもらっても別にいいわけですし、当日来ていた だいてもいいわけですし、精子の場合には比較的簡単に出せるといいますか、簡単に採 取できますので、ですからそのときに来てもらって、新鮮の卵をするということです ね。 ○辰巳委員  わかりました。 ○高橋委員  よろしいでしょうか。 ○中谷委員長  どうぞ。 ○高橋委員  この前の回は学会に行って欠席しましたのでどういう議論があったのかわかりません が、この調整案は基本的には非常によくできていると思います。ただ、この文言に「第 三者が新たな身体的リスクを負うことなく〜」とありますが、“リスク”という言葉は 非常にきついのではないかと思います。医療、特に侵襲を伴う医療でリスクのない医療 はあり得ないのですから。 ○矢内原委員  それはクライアント、つまりある治療を受ける場合であって、ドネーションの場合は 医療ではないわけです、その人に対しては。 ○高橋委員  医療でなくてリスクを伴うのであれば、なおのこと、これは別な文言にした方がよろ しいのではないでしょうか。 ○中谷委員長  もちろんその場合はインフォームド・コンセントできちんとした承諾を得ているわけ ですよね。 ○高橋委員  一般に“リスク”という言葉を使った場合は、危険という意味でとられていますか ら。 ○矢内原委員  これは今ドネーションの場合ですから、献血に行きますですね。献血やるときは針刺 して採血しますね。それはリスクとは言わないですよね。 ○高橋委員  私が言うのはそういう意味でなくて、痛いとかいうのはリスクではないけれども。 ○矢内原委員  針が折れることもあり得るのではないですか。 ○高橋委員  あるでしょうね。それは何万分の1に。 ○矢内原委員  採卵ということを、ドネーションのために行うためには、提供者はこれはリスクだと 私は思いますね。 ○高橋委員  採卵のときのリスクというのは、場合によったら開腹する意味もありますし、麻酔し ているところのリスクもあるし、無麻酔のところでも穿刺によるリスクもあるでしょ う。 ○矢内原委員  治療を受ける側はいいんですけど、ドネーションということに関しては、私は意味が 違うと思うんですね。 ○高橋委員  私は「リスクを負うことなく〜」、この文言の中にも、身体的リスクを伴わない方法 というのはあり得ないのではないかと思うんです。そこがどう議論でなったのかという こともお尋ねしたいわけです。 ○石井(美)委員  自分自身の治療のためにリスクを負う、それだけであって、ドネーションのために新 たにリスクを負うことはないという趣旨ですよね。ここで言っているのは。リスクはあ る。あるけれども、それは人のためでなく自分のためのリスクである。決してドネーシ ョンをすることによって、卵を余計に採るために余計リスクがかかるようなことは絶対 あってはならない。あくまで自分の治療のためにリスクを引き受け、その結果、余計に 採れた卵をあげましょうという話ですよね。 ○高橋委員  そういう意味。 ○小林主査  自分のために第三者に新たなリスクを与えてはならないという趣旨ですので、今おっ しゃられたとおりだと思います。 ○石井(美)委員  ただ、さっきの議論で気になったのは、繰り返しになるのですけれども、先週の議論 では、凍結しておいて、本当に余ったときにあげるという話だったのではないかと思う んですね。今の成功率で本当に初めからあげて大丈夫なのか、3年後はわからないんで すけれども、この間出た議論は、あげてしまって、全部自分の卵がうまくいかなかった ときに後悔するのではないか。 ○吉村委員  それは議論で出ました。 ○矢内原委員  余剰胚も同じなんですね。 ○石井(美)委員  余剰胚は、だからもう自分は使わないということになる。そういう意味では余剰卵に 限るかどうかということなんだろうと思うんですね。 ○田中委員  そこでお金の問題が出てくるわけですよ、半分払ってもらえるというですね。無償で あればやっぱり多分だれもあげないですよ。 ○吉村委員  先生が言っている余剰卵というのは受精卵の余剰卵。 ○田中委員  採った卵です。 ○吉村委員  それは現実面では3年ではちょっと不可能だと思いますね。 ○田中委員  凍結はできないですね。 ○吉村委員  それはちょっとできないと思います。それは10年後にはできるかもしれないけれど も、現時点では無理。 ○石井(美)委員  でも、可能性としては余剰卵はあげるということはあり得るということですね。 ○田中委員  そうですね。凍結しないで生であげるということですね。 ○吉村委員  先生がいつも心配されていることは、要するに現在この後、4〜5年の間のいかに進 歩があっても、卵の凍結は難しいから困るわけです。卵の凍結が可能であれば、先生の 心配は一瞬に消え去るという、本人も使える余地を残しておき、で、実際にそれででき てしまったら、その余剰卵はあげてもよろしいですよということが可能であるならば、 非常に問題はないと思うんです。 ○石井(美)委員  考え方としては、そういう考え方をとっているということは報告書の中で明らかにし てもいいのではないかとは思うんですね。一つとして。 ○中谷委員長  限定するわけですか。 ○石井(美)委員  限定するかどうは別。 ○中谷委員長  「卵の凍結が可能になるまでの間は」という限定をつけますか。 ○吉村委員  そういうことですね。但し書きになりますよね。 ○田中委員  実際問題、卵がたくさん採れたからといって半分だけ今回受精させて使って残りを未 受精のまま凍結すると、全部だめになることがあるでしょう。やはり残すなら受精させ て分割して残すか、お金をもらってだれかにあげる、どっちかだと思うんですね。未受 精のまま残しておくのは危険性がかなり高いと思います。 ○辰巳委員  今の段階ではですね。 ○田中委員  ええ。 ○辰巳委員  でも、先々そういうことができれば、それにこしたことはないですね。 ○吉村委員  こしたことはない。 ○辰巳委員  そういうのを含みで入れておくというのは大事なことではないかと思います。 ○石井(美)委員  それと先ほどのリスクからいくと、身体的リスクはないけれども、精神的リスクはあ るということですよね。人にあげてしまうという、シェアリングには。 ○辰巳委員  シェアリング、お金をどれぐらいにするかわかりませんけど、実際問題として、40万 とかその辺の値段がネックで体外受精をあきらめている人たちがいっぱいいらっしゃる と聞きます。お金が出せないから、もうここで治療をあきらめている人がいっぱいい る。だから半分を出すということになると、それなら私たちもやらせてくださいという 人たちが随分出る可能性はあると思います。 ○吉村委員  それは現実面として体外受精に使う薬剤の治験があるわけです。この治験だけはほと んどがすぐ集まるんです。治験の場合でも、欧米ではもう使われている薬ですから、安 全性は確立されているのですけれども、日本はなかなか入らないということがあって、 そういう治験がある場合、体外受精の場合にはすぐ何十例と集まる。自分もやらせてく ださい、自分もやらせてください。  ということはどういうことかというと、体外受精に対する費用が不妊患者にとってネ ックになっていることだけは事実。ほかの治験はなかなか集まらない。体外受精でなく て排卵誘発やりますというと、「私、結構です」と言われるんですけれども、体外受精 に関しては、20例、30例というのはすぐ集まるというのも現実です。ですから、今、辰 巳先生がおっしゃったようなことは私たち実際にやっている上で本当によく感じること ではある。 ということを、逆に先生方にそういうことをお話しすると、それは商業主 義的なところに非常に近くなるのではないかということをまたご心配なされるのではな いかなと。 ○中谷委員長  生殖補助医療そのものの費用が結構高いということなんですかね。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  ここでは今まで余り出ませんでしたけれども、伺ってみたら、一回40万から50万とい うことですから、それを考えるとよく事情が納得できるんですけど。 ○矢内原委員  患者さんの一番の不満はそこです。ですから保険制度ということも学会も考えていま すし、厚生省ももちろん考えていますけれども、余りにも巨額なので、とても厚生省は 対応できないと思います。 ○田中委員  エンゼルプランかなにかないんですか。 ○中谷委員長  治療ではないから、ということなんですね。 ○高橋委員  それともう一つは、基準をどこに置くかという難しさがありますね。ある病院は20万 とか30万でやるところもあるし、そういうところだって、排卵誘発剤の注射は別の施設 にお願いして、採卵だけを自分のところでするとかいろんな手法を使っている。そうい う難しさがあるのです。  それと商業主義とか、またいろんなことが出るかもしれませんけれども、施設によっ て技術に対する評価、設備の評価、それによって値段が違うということがあります。そ ういういろんなことがありまして、結局は保険採用が見送られたという経過がありま す。しかし、保険採用のことは、分娩と同じように今でも議論の対象にはなっておりま す。 ○田中委員  この委員会とは全然趣旨が違うんですけど、今、話が出たので厚生省にぜひお願いし たいのですけれども、現在厚生省から新エンゼルプランとか少子化対策がいろいろ出て いますけれども、今、ARTで出産する数は大体1万人超えていますよね、体外受精の 出生児が。不妊治療をやめる人のほとんどがお金の問題ですから、体外受精に保険が適 用になれば出生児数は倍ぐらい増えると思うんです。すると年間の出生児数は 120万ぐ らいですから、体外受精で生まれる数は全体の2〜3%はいくと思うんです。1人産ん だ方は必ず2人、3人欲しいと言いますから、もっと出生児数は増えると思います。た とえ体外受精に国が補助したとしても、何百億じゃないですか、 1,000億いかないでし ょう。 ○矢内原委員 270 億ぐらいです。 ○田中委員 でしょう。予算の中でそのくらいのお金は何とかならないのでしょうか。公共事業の お金はもっとすごいじゃないですか。 ○矢内原委員 270 億ぐらいだったですね。 ○田中委員 そんなものでしょう。有効利用してほしいと思います。ぜひお願いしたいと思います ね。 ○石井(美)委員 でも保険適用になったら、シェアリングはできない。 ○田中委員 シェアリングだってもっと安くなっていいじゃないですか、負担が。 ○高橋委員 そうですね。 ○田中委員 それと保険適用になると、私思うんですけど、施設間の淘汰が出てくると思うんで す。多分全部フリーになるんじゃないでしょう。たしか何回、カバーできるのは。 ○矢内原委員  3回まで。 ○吉村委員  アメリカはそうです。 ○矢内原委員  2回までとか。 ○田中委員  そうすると、今、600カ所とか何百カ所と言われますけど、もし3回まで保険が効くと なると、患者さんはクオリティの高い施設にかかりたいですよね。そうするとクオリテ ィの低い施設は淘汰されていくでしょう。 ○中谷委員長 今、出生率が1.34ぐらいでしょう。少ない方から世界第2位です。 ○田中委員  G7でナンバーワンでしょう。 ○矢内原委員  10年前に 3,300人に1人がIVFのことがあったですね。去年、おととしの統計では 129人に1人、多分ことしは 100人に1人になる。ところがいわゆる出生率ということに 関してはそんなに影響を与えてないんです。実際に 120万人の1%弱増えていると思う けれども、実際に全体的に減っていることは間違いない。  それから、もう一つは、治療の実績、過去5年間の上昇がないですね。もうある程度 のレベルで一定してしまう。 ○中谷委員長  一時大分上昇でしたけれどもね。 ○矢内原委員  いや、まだ。その理由は幾つかあるのでしょうけれども、そういう根本的に、ある意 味では体外受精、胚移植の方法も考えなければいけない時期にきている。ですからエン ゼルプランで少子化の対策の一つにはどれだけあれしているかどうか、むしろ個々の患 者さんの中で、希望する方に今までできなかった方法を提供するという意味では大変な 福音だとは思っておりますけれども。 ○田中委員  私はお国のためになると思うんですけれどもね。 ○吉村委員  秋田県とか山口県は地方自治体が一回につき10万円でしたかね。 ○田中委員  バックアップしています。 ○吉村委員  していますね。 ○矢内原委員  きのう産婦人科学会の倫理委員会があって、7月31日の時点では 503施設になりまし た。これは前に人口で割ったことがあるんですけど、日本は人口割にすると施設の数は 世界一多いです。多い国は幾つかあるんですが、そこは施設の許可制をとってない、保 険採用がないというところが人口割合に対しては多い。いわゆるレジストレーション、 つまり規約法があって、かつ保険で何回カバーするところは人口割の施設の数が少な い。かつ中央化が行われているので、それも成績がよくなる一つの理由であると。 ○中谷委員長   503施設は登録されている施設ですね。 ○矢内原委員 日産婦は登録制ですから。 ○中谷委員長 登録外の施設もありますね。 ○吉村委員 ほとんどないです。 ○矢内原委員 1%以下だと思います。ですから5施設か10施設。 ○中谷委員長  実は広島に呼ばれまして話をしたことがあるんですが、そしたら、登録してない人が 随分いました。 ○矢内原委員  そうですか。それでもやっても別に違反ではないわけです。 ○中谷委員長  違反ではないわけですからね。 ○高橋委員  それはIVFに使う機械を売っている業者がよく言うことなんですね。登録外の施 設、登録が例えば 500とすると実際の機械は 800売れているのでIVFを行っている施 設は多分もっと多いのではないかと言いますけれども、地区によって随分違うのではな いでしょうか。 ○中谷委員長 そうですか。広島ヘ行ったのは何年前か忘れましたけれども、そのときに集まった方 の中では登録してないという方が結構来ておられましたのでびっくりしたんですけれど も。 ○高橋委員 宮城県でも国立の私のところで、未登録のまま、大学から来たIVFを経験している 医師が試みて、成功した後に登録しました。 ○中谷委員長 最初は登録施設はどのくらいだったんですか。 ○吉村委員 一番初めはどのくらいあったんですか、数字持ってこなかったですけど、20とか30と か、その辺からずっとウナギ登りに上がっていったんですね。 ○中谷委員長 イギリスは91年に登録制度ができまして、そのときが 114で、99年で 117ですね。 ○矢内原委員 今、74じゃないですか。 100超えました、イギリス。 ○中谷委員長 初めから。いろんな施設がありますから、AIDだけの施設、IVFだけの施設、両 方やる施設、凍結だけの施設、研究だけの施設というふうに、全部合わせまして。 ○石井(美)委員  未登録の施設があるという話を聞くと、やっぱり第三者提供だけを対象にするという ことは……。 ○吉村委員  未登録というのは本当に少ない。要するに1%は絶対ありませんよ。ですから根津先 生も含めて1%というか、1%以下ですから、99%のお話をすればよろしいんじゃない ですかね。 ○石井(美)委員  それで済むかどうか、1%で生まれてくる子どもの問題ですからね。もとに戻して、 シェアリングの話で、私、やっぱり留保はさせていただきたい。現段階で半分のお金を 持ってやることにすると、貧しい人を搾取するという形になるということはないのだろ うか。お金がないから体外受精ができない。自分の卵を売って体外受精をする。極端な 言い方をするとそういうことにならないか。20万で卵を売るということになりそうな気 もしてちょっと……。 ○中谷委員長  ありそうな気はしますけれどもね。 ○田中委員  そういう側面もありますよね。ただ、先生、そういう面ばかり見ないで、逆に本当の ボランティアの気持ちプラスお金、それであげたいという人もいますよ。献血しながら 自分の身を切り刻んでいく人もいるかもしれないけれども、いいですよ、提供しましょ うという人もいると思うんです、ボランティア精神の方が。それで少し経済的な援助を すると。 ○吉村委員  対価のことに関して商業主義にならないかと言ったことは、私は先生が言われたよう な意味も半分ぐらい含む。 ○石井(美)委員  余剰卵であれば、その問題は起きないんだけれども。 ○辰巳委員  卵子のドナーとしてはシェアリングと全くのボランティアと姉妹があるわけですね。 でもボランティアはまず難しいと。もしもシェアリングがそういうふうなことでだめに なった場合、もし姉妹ということがメインになった場合、姉妹ということになります と、不妊の問題自身が家の問題としてとらえられるようにならないかというのがすごく 心配なんですね。例えば、あなたのお姉さん夫婦ができないから、あなたが卵あげたら どうだとか、家長が、うちの長男のところにはできないから、あなたのところから何と かしなさいみたいな感じで、不妊の問題が個人の夫婦だけの問題じゃなくて、もっと家 の問題としてとらえられるようにならないかと。  だから、本当にこの治療を必要としているのは不妊患者さんの 100人に1人ぐらいな ものなんです。だけどきっと世の中はそういうふうなとらえ方はしなくて、不妊治療と いうのは妹さんの卵をもらったらすぐに妊娠できるのではないかといったとらえ方をす ると思うんですね。そうすると、今、ただでさえストレスを受けている人が、家族から も、家族の問題としてとらえられて、ますます肩身の狭い思いをするようになるのでは ないか。そういうのがすごく心配なんです。  だからシェアリングがないとしたら、姉妹がメインになるのかなと思っていたんです けれども、それがメインになっちゃうと、そういうふうな面ですごく問題が起こってく る可能性がある。世界で行われてないですから、日本でもし行われ始めて、そういうふ うなことになったら非常にまずいのではないか。 ○中谷委員長  私自身は兄弟姉妹からの提供を認めるということは場合によってあり得ても、それを こういう機関のガイドラインを決めるときに、それをうたうのがいいのかどうか、私は それを非常に疑問に思うんですけれども、委員のほとんどの方が、それを認めるという ことでしたから、それは……。 ○矢内原委員  兄弟姉妹ですか。 ○中谷委員長  ええ。 ○矢内原委員  認めませんよ、私は。 ○吉村委員  それはないです。 ○中谷委員長  そうですか。 ○矢内原委員  兄弟姉妹に対しては抵抗が多い人もいます。 ○中谷委員長  そうですか。 ○吉村委員  ええ。 ○中谷委員長  それでしたら、私はガイドラインとしては、それは認めない方がいいと思うんです よ。それを認めなくても違反といいますか、実際に行われることがあり得ても、ガイド ラインとしてはそれをちゃんとうたうということはどう考えても不都合なような気がし ているわけなんですけれども。 ○田中委員  それはそう思います。 ○石井(美)委員  ちょっと待ってください。ガイドラインで認めないで、実際に行うことはあり得ると いうのはちょっと問題だと思うので。 ○中谷委員長  それはいつの場合でも……。 ○石井(美)委員  兄弟姉妹だけを認めるというガイドラインを出すことの是非は別として、違反は行わ れるかもしれないということとは別です。 ○田中委員  今のお話での、ボランティアでなおかつお金がもらえないということになると、実質 上治療はできませんよね。だから、あくまでも委員会として……。 ○辰巳委員  ボランティアの一人として兄弟姉妹がやればいいわけだから、何も触れなくてボラン ティアという名前だけ残せば、それで。 ○矢内原委員  それで匿名性守れますか。 ○田中委員  そうすると匿名性にひっかかる。 ○中谷委員長  イギリスでも実際には兄弟姉妹からの提供もあり得るということでしたよね。 ○田中委員  理想的だとこの前ボーンホールの先生がおっしゃっていましたね。ただ、ほとんどな いということでしたね。 ○中谷委員長  非常に少ないけれども、あり得るような話でしたよね。 ○田中委員  前に戻るんですけれども、第三者の卵子提供を用いた不妊治療を認めるという立場を とるなら、どういう場合に実際治療可能となるかということを具体的にしていただきた い。今のままだと、容認されてはいるが、実際はできないと。そこをもっとわかりやす く、何を認めないというのではなくて、その中の一つとして兄弟姉妹も含まれるぐらい にしておけばいいのではないですか。そういうふうな案がないですかね。もちろん匿名 性ということを尊重するのはわかりますし、兄弟姉妹が、今、委員長が言われたように 非常に望ましいことではないというのはよくわかります。その一つひとつをとって、こ れがいいとか、これはだめというふうにすると障害出てくるので、何かやりやすい方 法、そのガイドラインはないですかね。どこかを犠牲にしないと、多分まとまらないと 思うんです。兄弟姉妹を譲るのか、それとも匿名性にしておいて少しお金をあげるの か。どこかを変えないと、この意見は多分まとまらないと思います。 ○吉村委員  おっしゃっていることは非常によくわかります。 ○田中委員  私たちが将来実際にやるとなったときに困ると思うんです、このまま決まると。肉親 はやめておいた方がいいし、ボランティア、お金をあげちゃいけませんとなると、絵に かいた餅ですよね。 ○中谷委員長  吉村委員いかがですか。 ○吉村委員  私は現実面としてやるということになると非常に難しいと。だから田中先生たちの理 解からすると私の方がスタンスが非常にわかりやすいと思うんです。現実面としてでき ないんだから、これはやめた方がいいですよという方が非常にわかりやすい話だと思う んですね。だから、これを全部よくしてうまくやろうと思うと、どこかで何らかのこと を許さないと、これはなかなか難しいと思うんですね。 ○田中委員  吉村先生は基本的には卵子提供は反対されてますから、先生の言っていることはよく わかるんですよ。実際はできないんだよということになるのでね。私は基本的にはやっ てあげたいので、このままでは困るというか、どこかで解決の糸口をつくってほしいと 思います。 ○中谷委員長  辰巳委員はいかがですか。 ○辰巳委員  本質的には個人的には反対なんですね。ただこの前も加藤先生に、それを法律で罰す るほどのことではないのではないかと。やった人に対して法律で罰せよというふうなこ とまでして反対かと言われると、そこまでしてこれを潰そうというふうなつもりはな い。ですから認められるということで、この委員会の、認められるという方向であれ ば、別に最後まで絶対反対を唱えるというわけではありません。個人的には不妊治療は 2人の間で行うべきで、少なくとも他人に危害というかリスクを負わせるものであって はいけない、それは私の信念ですけれども、それを法律で縛らなくちゃいけないかと言 われると、そこまでのことは思っていないというところですね。 ○中谷委員長  刑法で医療者自身については罰則が適用されますよね。 ○辰巳委員  されるんですよね。もし、これでいけば。 ○中谷委員長  ここのガイドラインに規定しなくても。 ○吉村委員  例えば先生がおっしゃった兄弟姉妹を認めるとか認めないとかというのはガイドライ ンに入れるべきではない。私もその意見には賛成なんですけれども、例えば、それは兄 弟姉妹をしたからといって、それはいつも加藤先生がおっしゃるように、それをやった から罰則にするというような性格のものではないということですよね。 ○矢内原委員  兄弟姉妹はいけないという国はありますか、そういうことをガイドラインに明記した 国は。 ○中谷委員長  私は寡聞にして知りませんけれども、でもイギリスでも、この前のお話では実際には そういう例もあるようでしたよね。 ○吉村委員  兄弟姉妹というのはいろんな問題が起こってくるだろう。 ○矢内原委員  私も反対ですね。 ○中谷委員長  難しいんですね、後から。 ○吉村委員  後からね。 ○中谷委員長  非常に難しい問題が出てきますので。それならば兄弟姉妹が産んだ子を養子縁組すれ ばいいじゃないのというふうになるわけですけれども。 ○吉村委員  本当にそう思います。 ○石井(美)委員  夫については自分の子だということですし……。 ○田中委員  自分の子ですね。養子とはちょっと違いますね。 ○石井(美)委員  女性は産むんですよ。 ○吉村委員  産むという行為は違いますけれども、それが例えば卵子提供に関して、またちょっと 飛んじゃうような感じですけど、それがなぜ余剰胚であってはいけないのか、私はそう 感じますね。余剰胚で代用してあげてもいいじゃないか。そんなに産みたいのだったら という感じになるんですよ。  田中先生がおっしゃるには、ご主人の精子は自分のものを使いたいと。そこに何か不 妊夫婦のエゴを感じますね。 ○石井(美)委員  もともとエゴですね、自分の子どもが欲しいというのは。 ○中谷委員長  でもイギリスの90年法の27条によりますと、母親というのは産んだということではな いんですよね。生殖補助医療によって妊娠した者、あるいはかつて妊娠したことのある 者、これが母親になります。出産ではないんですよね。だから、出産した者が母親とい う規定ではないんですね。きのうかおとといか、それを確認いたしまして、あらあらと 思ったんですけど。 ○矢内原委員  あっちが立てばこっちが立たない、こっちが立てばあっちが立たないということは当 然起こってくるだろうと思いましたけれども、今回の議論の中で一番スタートでよかっ たと思うのは原則論だと思うんですね。最初の原則の五つの原則に即して考えていけ ば、そうしなければ先へ進まないですよ。あれは皆さん合意していただいたのですか ら。 ○高橋委員  実際にこのルールで卵を採るとすると、子どもがいる人で子宮筋腫で子宮をとるとき に卵をいただくというようなケースが入るでしょうね。それは可能だと思います。しか しながら、卵の移譲があるとすると、同じところ、例えば田中先生のところで筋腫の手 術をしてそのときに採った卵をそのまま別の方に譲るというようなケース以外はちょっ と難しいでしょう。これはごく稀なケースになるし、普通の場合だと別な施設で子宮を とったときの卵巣、そこに卵胞があって、排卵しそうなところから卵を採って持ってい くというようなケースしかないのではないかと思います。  商業主義云々といいますけれども、ほとんどすべてのIVFの医療は商業主義的行為 ではないかと思います。商業主義なしに世の中で働いている人はいないのではないでし ょうか。商業主義商業主義と余りおっしゃると、今、医療を行っている人で商業主義的 行為から外れている人がどのくらいいるのかなとなるので、ある程度の、例えば治験費 程度の額を出す。細則でもいいですから。特に医療を私費でやっている場合は商業主義 因子が入る率が高くなります。 ○矢内原委員  職業という欄には大抵、「医師」と書きますからね。 ○吉村委員  この商業主義と言っているのは、例えば卵を売る人があるわけですよね。それを主に 言っているわけであって、今、先生がおっしゃったような商業主義は私も商業主義をし ていますし。 ○田中委員  こういうのはどうですか。匿名性を合意をするとして、お金、これはなるべく最低限 度が望ましいぐらいにしたらどうですか。だめですか。 ○石井(美)委員  その場合には、今、高橋先生がおっしゃった子宮摘出にかかわる卵というのは。 ○田中委員  多分現実的に私は無理だと思います。筋腫でとる人は大体40代ですね。そのころの卵 巣は余りいいのは残ってないんですね。 ○高橋委員  これは35歳以下になっているでしょう。ですからそのときには、35歳をとって「40歳 以下」とかにする。 ○田中委員  そういう研究が進むかもしれませんね、そうすると。 ○石井(美)委員  子宮筋腫で卵巣をとるんですか。 ○高橋委員  いやいや、とらなくても、子どもが3人も4人もいる人であれば、そのときに、あら かじめ卵胞を大きくしておいて卵をいただくという。 ○矢内原委員  卵巣とるのではなくて卵胞だけいただく。 ○高橋委員  開腹したときに排卵しそうな場合もあるでしょう。そのとき採るわけです。 ○吉村委員  それは事前にHMGを打っておくわけですね。 ○高橋委員  はい。 ○石井(美)委員  また新たなリスクは負わせるんですね。 ○高橋委員  リスクはないです、それは。 ○田中委員  開腹するからね。ただ、現実問題いい卵は余り採れないと思うんですね。35過ぎたら よくないですね。一つの方法ですけれども、一時そういう研究、体外受精始まったころ ありましたよね。 ○吉村委員  ありました。 ○中谷委員長  ということは、法律面では全然わかりませんから、今お話伺って初めて。 ○吉村委員  ありますけれども、非常に難しいと思いますけれどもね。 ○矢内原委員  さきのIVFのときには自然排卵の卵を使ったんだそうですね。だからステプトのあ れもそうですね。 ○吉村委員  そうです。 ○矢内原委員  そうなると、今のリスクの大きいのは、確かに針を刺して採卵するということもある リスクはあるんですけれども、それよりかも排卵誘発剤で刺激をしていった前後の方が 怖いんですね。この間、田中先生おっしゃったもう何万例かやった中で、2例おなかを あけたことあるというのも、多分それは出血だとおっしゃいましたけれども、もし、そ れが穿刺による出血ならば、逆に言えば、穿刺だけだったらリスクは少ないかもわから ないという考え方ありますね。だとしたら多少自然排卵の人からのドネーションという のはあり得るかなと。 ○中谷委員長  いろんな課題が残ってきますね。 ○田中委員  でもだんだん近づいていますね。矢内原先生も、だんだん。 ○吉村委員  石井先生はだんだん離れていく。 ○中谷委員長  もう一つ私が気にしているのは、代理母は禁止ということです。これは完全にそれで よろしいんですけれども、卵巣が残っていて、卵子、排卵ができて子宮のない人の場合 に、それは産んじゃだめということになるのか。 ○矢内原委員  貸し腹。 ○中谷委員長  借り腹もだめなのかという。 ○矢内原委員  だめです。 ○中谷委員長  それがだめなのか、そういう場合、例外的にそういうのは認めてあげることにするの か、難しいですね。10カ月の懐胎という事実が問題だと、石井(美)委員がおっしゃる から。 ○矢内原委員  それが一つとリスクの問題と、産んだ人が母親であると。母親という定義を、産んだ 人が母親であるというふうに法律的に決めた場合にはそうですね。 ○中谷委員長  それは最高裁判所の判例でそうなっていますから。 ○矢内原委員  今回もそういう母親の定義を決めるとするならば、今までの流れではそうなろうとい うことになっています。 ○中谷委員長  この法律で、イギリスの法律みたいに、それによって妊娠した人とか何とかというふ うに変えるかどうかという問題がやっぱり残ってきますね。そういう意味で、詰めなけ ればならない問題がかなり残っていますけれども、大体収斂してきていますので、最後 の12月の答申まで詰めなければならない問題を11月末までぐらいには。 ○吉村委員  石井先生はこの調整案は。 ○石井(美)委員  そもそも調整案は調整案として置くかどうか、さっき第3案とおっしゃったんですけ れども、(案2)はなくなるということでよろしいんですか。 ○吉村委員  (案2)ですか。(案2)というのは何でしたか。 ○石井(美)委員  提供卵子、3ページ。 ○吉村委員  認めることができないということですか。 ○石井(美)委員  というのはなくなるんですね。 ○吉村委員  なくなるかどうかはわからないですけど、皆さんのご意見で。 ○石井(美)委員  この調整案がそれに変わるということ。 ○矢内原委員  入れておいてもいいのではないんですか。 ○石井(美)委員  残る。 ○矢内原委員  残る。 ○吉村委員  それをやっていると、いつまでたっても進まない。 ○石井(美)委員  文の表現もあれですけど、調整案とすれば認めると、これは言い方の問題ですね。 (案2)に但し書きをつけて、この場合については認めるという形になるという書き方 もあり得ることですよね。この調整案の書き方。 ○矢内原委員  書き方のあれですね。胚、提供卵子。 ○石井(美)委員  認めない、但し、だから与えないシェアリングのものは認めるという、そういう形の 書き方に(案2)を変えるか。矢内原先生と吉村先生が、この調整案を支持されるので あれば(案2)はなくなるのかと思った。 ○田中委員  (案2)というのはボランティアでしたっけ。 ○吉村委員  (案2)は認めない。 ○辰巳委員  認めないとシェアリンクをくっつける。 ○矢内原委員  要するに単一だけのファクターで卵子がいいか悪いかではないんですよね。それに加 わる匿名性の問題とか親族だけを例外にするかとか、そのときの費用はどうするか、一 つだけを取り上げただけでは決して解決はつかないと思います。ですから原則をもとに 考えていただければ、おのずと答えは出てくるように思うんですね。道は開いておる と。現実は不可能でも可能になるかもわかりません。先生、現実に子どもできない、そ んな人はいなくなりますよとおっしゃるかもわからないけれども、卵の凍結もいずれは できるように思うし、そういう余剰卵というものも存在してくるように思いますけれど もね。 ○中谷委員長  そういうことが可能になるまではだめということですか。 ○矢内原委員  可能の道をあけておけばいいんですよ。それで原則を踏まえておけば、ですから、こ の調停案は、最後のお金の分担のところ以外はいいかななんて思います。 ○吉村委員  私もある意味では、今までの中では一番現実可能で、問題点を最も調整できている案 だと思います。 ○石井(美)委員  対価なしでは成り立ちませんか。 ○吉村委員  これが難しいんですけど、私はある意味での費用のシェアも必要になってくる。これ が一番そういう意味では、商業主義もある程度カバーできているし、リスクもカバーで きている。その意味では非常に現実的な、これだったらでき得る可能性を残した案だと 思いますけど。 ○矢内原委員  石井先生が心配されている生体の切り売りにはならないと思うんですね。逆にドネー ションを受ける人にとっては、そこに感謝があるし、あげた方も痛みわけと言ったらお かしいですけれども、気持ちの上では非常に楽になる。経済的な、お金のそこにやり取 りがあっても、それはほかから来たお金や第三者の入ったものでなくて、2人でシェア をするという考え方になりませんか。 ○吉村委員  もうちょっと言えば、例えば、私も一番こういうので心配することは、体外受精を本 来受けるべき人間が、もらった人間が妊娠をして、私、妊娠しなかったと。当然後悔の 念は出ますよね。 ○中谷委員長  それは再三出ていましたね。 ○吉村委員  それが出ますよ。もし、そういうのを前面に押し出していくのであれば、この卵子提 供はできないんです。卵子提供はすべきではないんです。そういうことまで考えておく ならば。(案3)、(案2)がすべきではないという結論にならざるを得ないと私は思 いますけど、姉妹もどうするという、辰巳先生がおっしゃったように、私も姉妹という のはやめた方がいいのではないかと思うんですよね。そうなると卵子提供はだめだとい うふうになっちゃうんじゃないでしょうかね。 ○中谷委員長  調整案について、特にこれだけは何としても訂正すべきだという点がおありでした ら。 ○矢内原委員  調整案に関して、もっとやるとするなら、費用の分担に関して、ここではっきり明記 を、一部を負担するですか、そこのところがちょっと気になるだけですけれども。 ○吉村委員  書くときはこう書かざるを得ないのではないか。 ○矢内原委員  負担することも……。 ○石井(美)委員  考えられる。 ○矢内原委員  あり得るけれども、禁止するものではないとか。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  禁止するものではない、やっぱりあり得るぐらいに。 ○石井(美)委員  不妊夫婦のうち提供卵が必要な体外受精を行う夫婦と提供卵が必要な夫婦との割合と いうのは 100対1ですか。 ○吉村委員  ちょっと意味がわからないですけど、すいません。 ○田中委員  辰巳先生はそうおっしゃいましたね、 100人に1人。 ○辰巳委員  大体今 1,000人ぐらい診ていて10人ぐらい、そんな感じですね。 ○中谷委員長 1割ぐらい。 ○辰巳委員  1%。 ○吉村委員  そうでしょうね。 ○矢内原委員  これは吉村先生がいつも心配しているのは、年齢制限を設けない限り、あきらめてし まった閉経後の婦人がどっと来る。 ○吉村委員  どっと来ますね。 ○石井(美)委員  それは認められているんですか、原則は。 ○吉村委員  それを言うのは非常に医学的に……。 ○矢内原委員  生殖年限に限るということをすればね。 ○吉村委員  難しいですよね。45にするのかとか、そういうことですよね。 ○中谷委員長  このごろ、閉経年齢が高くなっていますでしょう。 ○吉村委員  明治の時代とそれほど変わってないんですよ、これが。早くはなっているんですけ ど、終わりは明治の時代と1年ちょっとしか違わないです。 ○中谷委員長  そうですか。私の知っている女性は50過ぎてから閉経という人が多いものですから。 ○吉村委員  大体52〜53だと思います。 ○矢内原委員  ちょっと1〜2年高くなったかなという程度で、昔から50歳と言われている。何千年 前からそうなんです。 ○石井(美)委員  そこが大原則だと私は思っていたんですけど。 ○矢内原委員  生殖年齢。 ○田中委員  治療を受けられる年齢ですね。この前検討しませんでしたか、何歳までというのを。 ○吉村委員  45ぐらい。 ○辰巳委員  もっと上でもいいとかいうお話はなかったですか。 ○吉村委員  50歳でしたかね。 ○田中委員  50というのが。 ○矢内原委員  数値を見たら52歳で3人ぐらい生まれていた、1年間に。 ○吉村委員  そうです。それは卵をもらったのではないかと言ったんですけど。 ○矢内原委員  出産者の中に52歳の人がいた。 ○吉村委員  これは結構いるんですよ。私、これを見てびっくりしたので、50歳ぐらいかなと言っ たんです。 ○高橋委員  学会で発表されたのは、53歳でアメリカに行って、卵をもらって。 ○矢内原委員  体外受精ですね。 ○高橋委員  そうですね。 ○辰巳委員  アメリカの不妊学会のガイドライン……。 ○辰巳委員  ガイドラインでも卵子のレシピエントの年齢は一応45歳。それ以上に関しては産科学 的な危険度とかいろんなこと、精神的な面からのカウンセリング、全部受けて大丈夫と いう人に限ってオーケイ。45を一応アメリカでも一つのガイドラインとしては区切って いるんですね。 ○吉村委員  一応日本で第1子を45歳以上で産んでいる方は1年に99名ですね。 ○辰巳委員  その中にどれぐらい卵をもらっている人がいるか。 ○吉村委員  卵をもらっている人が10人や20人はいるかもしれませんね。わかりませんけど。 ○辰巳委員  先生、48歳で1人お産されたとおっしゃいましたけど、それ以下はどんなものです か、45歳以上でたくさんいらっしゃいますか。 ○田中委員  少ないです。40前半までですね。 ○吉村委員  44までしかないですね。44で妊娠。 ○矢内原委員  卵が自分の卵だからでしょう。 ○田中委員  ええ。 ○矢内原委員  他人の卵のときだったら、どのくらいになるかということですね。 ○田中委員  それは多分もっと上でもいいんじゃないですか。 ○吉村委員  うちは53と48ですかね。 ○田中委員  ただ、それは着床するだけで、産むとなるとかなりリスクは高くなりますね。 ○吉村委員  それは高くなりますね。妊娠期間中ほとんど入院です。 ○辰巳委員  45歳で切ったとしても、例えば43〜44歳の人が本当に年齢だけでできないのかと言え る証拠はどこにもないわけで、受精障害があるのではないか、私の卵が悪いのではない かというので、若い人の卵を下さいということになれば、 100対1が大きく崩れること はあり得ると思います。 ○石井(美)委員  卵子の提供を受けなければ妊娠できないというのも大前提ですね。提供受ける。 ○吉村委員  どう判断するかです。そうなってくると、例えばうちなんかに来る患者さんにおいて も、38〜39歳の人が、私、卵が悪いのではないかと思うと。新聞に卵子提供が許される と書いてあったけれどもと。 ○石井(美)委員  悪いんじゃないかと思うじゃ困るんですね。 ○吉村委員  だから、しようじゃなくて、そういう可能性のある患者さんはいると。「私は卵子を もらえるようになるのでしょうか」というようなことをお聞きになる患者さんはかなり 多くお見えになりますから、例えば30人に1人とか25人に1人になっても、全然おかし くはないですね、不妊患者のうちの。 ○辰巳委員  体外受精して、卵がきれいにならなければ、やっぱり卵の方に問題があるのではない かということになって、そういう人たちも適用を広げるということになると、それは相 当な数の人が受けたいと言って来られる可能性はある。 ○吉村委員  特に今、晩婚化しているでしょう。私のところへ来ている人は35以上の人ばかりです から、そしたらその人たちは1〜2回体外受精でできないと、卵をいただきたいという 方は非常に増えると思いますね。それを現実面でやっていく上においては、こういうこ とが許されれば。卵子提供受けなければ妊娠できないということについては事実ですか ら、体外受精を自分で2回やって妊娠できなければ、そういう基準も非常に難しくなる と思います。  その点については、田中先生どう思われますか。 ○田中委員  今まで私たちは不妊の治療に携わってきましたが、その中でいろいろな技術が開発さ れました。この新しい技術を始める際の未知な物へのリスクに対して、私達は学会のガ イドラインに沿っているということで納得してきました。学会のガイドラインはよくで きております。ですから今回の第三者の配偶子を用いた不妊治療においても、是非作っ ていただきたい。  ただ、私は基本的に学問的に卵子の提供の適用という症例は、卵巣が早く機能がなく なる早発閉経、それが一番の適用だと思います。ただ、臨床上それだけではありま せん。例えば内膜症で手術して卵子が出なくなったということもありますし、他にもあ るでしょう。それを 100%がんじがらめにして規制するのは私は難しいと思うんです ね。そこは学会として、細かい、学問的に認められる適応を決めておいて、後は医師の 裁量でいいのではないでしょうか。 それはすべてのことに私は言えると思うんです。一応委員会として、だれが見ても正 しいそういうものをつくって、ほかの部分というのは医師の裁量、患者さんとの間の話 し合いでどうでしょうか。そういう意味では卵子の提供は、今、皆さん心配されている ような部分というのは当然出てくると思います、可能性は。そこで適応の中でしっかり 書けばいいのではないですか。 3回やってできない、4回目でもできない人はやはり次もできない可能性がうんと高 くなりますから卵子の提供という選択は出てくると思うので、そこは適応として、こう いう場合にのみ適用を認めると細かく書いていただければ、我々はやりやすいです。 ○石井(美)委員  細かい摘要は医学界にお任せするのだろうと思うんですけれども、安易な利用という ことだけは防ぐべきだと思うのでありまして。 ○田中委員  それはわかって言っているんです。医師の裁量で、これはいくら書いても何しても、 その部分は。 ○辰巳委員  しかし、これに関しては、年齢の高い人がほとんど適用になるといえばなるので、ち ょっとたがが外れちゃうと、これは物すごい使われ方になっちゃう危険はあると思うん ですよ。 ○吉村委員  私もそう思います。 ○田中委員  そこに規制をたくさん書いたらどうですか。こういう症例のみに限ると。 ○辰巳委員  そういう形をとらないと……。 ○田中委員  早発閉経とかFSGいくらになったとか、その中には、例えば体外受精何回やっても できないということが当然入ってきますよね。そういうのも入れておけばどうでしょ う。 ○辰巳委員  入れるんですね。 ○田中委員  ええ。 ○辰巳委員  アメリカなんかでは何回かやってできなかったら、すぐドナー・エッグという形にな っていきますよね。そうするとすごい需要になってくると思います。 ○田中委員  そうですね。 ○辰巳委員  だから早発閉経ということのためにということであれば、少ないんですけれども…。 ○吉村委員  でも、精子提供による体外受精よりは、卵子提供の方が圧倒的に多いと思います。 ○辰巳委員  そうなるとすごく多くなっちゃいます。 ○吉村委員  AIDということが普通にできるわけですから、精子提供による体外受精を受ける人 よりも、卵子提供による体外受精を受ける人の方が圧倒的に数は多いと思います。10倍 以上あると思います、頻度として。 ○石井(美)委員  その場合、精子提供は二重の不妊ということですね。 ○吉村委員  そういうことです。 ○中谷委員長  そういう場合の具体的な表記の方法というのがあるだろうと思いますが、それはまた 詰めていただくことにいたしまして、ちょっとこの辺で15分ほどひと休みいたします。                   休 憩                   再 開 ○中谷委員長  そうしますと今度は親子関係の確定ですか。 ○吉村委員  これはもう。 ○中谷委員長  これはいいんですね。 ○石井(美)委員  きょう、いらっしゃらないから結論は出せないでしょう。 ○中谷委員長  そうですね。 ○吉村委員  胚は先生どうなったんでしょうか。提供胚はもういいのでしょうか。 ○石井(美)委員  余剰胚。 ○吉村委員  余剰胚。 ○石井(美)委員  でも二つあるんですよね。 ○田中委員  卵子の提供をもう少し結論を出すまで討論しておかないと、また蒸し返しになります よね。 ○矢内原委員  3人いらっしゃらないので、ご意見が伺えないから。 ○田中委員  そうですか。 ○石井(美)委員  割に容認派の3人。 ○矢内原委員  容認派の3人が。 ○吉村委員  容認派ですよね。 ○田中委員  大体7対3ですよね。 ○石井(美)委員  ここでやると田中先生には不利なんです。 ○田中委員  7対3で3人おられるから、3が0になって。 ○矢内原委員  4人いるかもわからない。 ○中谷委員長  いいですか、一応それはこの次ということで。 ○田中委員  わかりました。 ○中谷委員長  親子関係の確定はよろしいですね。 ○辰巳委員  それはどこでしたっけ。 ○石井(美)委員  提供胚の方は。 ○吉村委員  提供胚。 ○辰巳委員  提供胚も丸山先生が一言、二言ありそうな感じでしたね。 ○石井(美)委員  おっしゃっていましたね。 ○田中委員  両方、不妊治療した人の胚は、何とかとおっしゃいました。 ○吉村委員  ICSIした胚であると、遺伝子の欠失があるのではないかと。 ○石井(美)委員  だから丸山先生は余剰胚も認めないという趣旨なのか、そうではなくて別の胚を認め るということなのか、そこが違う。 ○吉村委員  丸山先生はその意見をおっしゃったのは、私たちが言った卵子提供による体外受精を 提供胚によって代用しようかと言ったことに対して反対なすったんですよね。 ○石井(美)委員  卵のシェアリングを認めたら、卵子提供で可能な人にまで胚提供を認めるんですか。 ○吉村委員  それはそうなると思いますけれどもね。 ○石井(美)委員  余剰胚ならもっと望ましいからですか。 ○吉村委員  もっと望ましいというよりも、余剰胚の方が第三者に対するリスクも少ないし、商業 主義ももっとよりよく排除できる。田中先生はその意見はちょっと違うんですね。やは り夫婦で精子が正常であれば、ご主人の精子を使ってあげたいという。 ○田中委員  そう思います。もう一つは、どうしても実際やる段となったときに果たしてどのくら いできるかという点から考えますと、胚が余ったからといってそれをくれる人は少ない のではないかという気がするんですよ。自分のお子さんと同じ子がどこかに生まれるわ けですよね。片一方の配偶子であれば半分違う血が入るので自分の子とDNAは違って きますけど、胚だと全く同じ兄弟姉妹が日本のどこかに生まれる。そうなると意外とく れないのではないかと、そこをちょっと懸念するんですね。  ただ、第三者の提供という、一つの選択肢とするならばこれはいいと思います。これ だけとなると問題があると思います。 ○高橋委員  先生は、卵の提供を認めるのであれば胚の提供も認めてもいいだろう、そういう意見 ですね。 ○田中委員  そういう立場です。やはり卵子の提供が第一で、そのほかにもこういうことも場合に よってはいいですよというふうにしていただければと思います。 ○高橋委員  私も同感ですね。よろしいですか。 ○中谷委員長  はい、どうぞ。 ○高橋委員  一旦こういう規制とか法律が決まりますと、これから少なくとも10年、20年という期 間は続くわけです。自分たちの代だけでなしに、次の代の方々のことも考えた場合はい ろいろな選択肢を残しておいた方が私はいいと思います。 この度「FIGO」でワシントンD.C.に行ってきましたが、日本で体外受精する時胚 についてのgenetic diagnosis をやっている大学もあって、FIGOのワークショップ で発表しているんです。インターナショナル・国際的なことを考えた場合に、日本だけ がいろんな規制をして厳しくその規制を守らせると、研究ができなくなります。ドイツ の方もワークショップで発表していましたけれども、ドイツは余りにも規制が厳しくて 困るということを話していました。やはり日本はもう少し選択肢を多く残しておいた方 がいいというのが私の考えです。 ○中谷委員長  ドイツはたしか1990年11月のEmbryonenschutzgesetz ですよね。非常に厳しく、限定 されてまして、ほとんど何もできないような形になっていますからね。 ○高橋委員  日本からもある某大学の方が発表しているんです。 ○矢内原委員  それは着床前診断のことですか。 ○高橋委員  それからプレ・インプランテーションというセクションがありました。今、体外受精 の一番の問題点はインプランテーションではないかというようなワークショップで、卵 のセクションもありましたけれども、どちらかというとインプランテーションが一番問 題だろうというので、いろんな演題が出ていました。移植の問題です。着床をどうする か。 ○矢内原委員  二つ問題あると思うんですけど、一つは着床のembryoの遺伝子を含めてのクオリティ の問題と内膜の環境ですね。どっちに重きがあったんですか。 ○高橋委員  胚についての検査を十分にすると、要するにクオリティの高い胚だけ残る。例えば染 色体異常とかジェネティックに問題があるようなもの除いて移植を行えばmiscarriage はなくなるから……。 ○矢内原委員  20%が5〜6%に減るんですよね。 ○高橋委員  20%以上の。 ○中谷委員長  着床前診断にしても、出生前診断にしても、厚生省の委員会はお手上げだったんです よね。例の障害者の団体の大反対にあって、結局審議ができなかったんですね。 ○吉村委員  いや、そんなことはないです。 ○矢内原委員  日産婦では疾患を審議会で決めていいということであるならば構わないだろうという ことで。 ○中谷委員長  そうですか。どういう疾患ですか。 ○矢内原委員  それはデュシェンヌ型の筋ジストロフィー、まだ一例も認可にはなっていませんけれ ども、申請ありませんから、今のところ……。 ○高橋委員  だめですね。 ○中谷委員長  デュシェンヌ型の筋ジストロフィー、それはドイツの。 ○矢内原委員  それも申請があったのは、性別による診断しかできてないので、そうではなくてもう 少し遺伝子を限定したもので。 ○中谷委員長  ドイツは厳しいEmbryonenschutzgesetz の第3条でデュシェンヌ型の筋ジストロフ ィーの場合の男女の産み分けはいいとしているんですよね。 ○矢内原委員  男女の産み分けでもいいんですか。 ○中谷委員長  それだけはいいんだということで認めてますから。 ○矢内原委員  確かに障害者団体からのことをすごく意識した、反対されましたから、産婦人科学会 では、今ある意味でがんじがらめになってしまって、出生前診断……。 ○中谷委員長  フランスを参考になさればいい。フランスの生命倫理法では着床前診断も出生前診断 にしても、本当にすごいメンバーの構成による審議会があって、そこで一応審議して、 それでいいということになれば、具体的にそれについて……。 ○矢内原委員  疾患ですか、個々の症例ですか。 ○中谷委員長  個々の症例です。そういうふうになっていますね。あれを参考になさるとどうかなと 思いますけど、それはそれとして。 ○矢内原委員  胚ですか、今度は。 ○中谷委員長  いかがでしょうか。 ○辰巳委員  吉村先生、もし前回の、卵子のところで、調整案の方がオーケイということになった 場合は、提供胚に関しては(案2)ということになるわけですか。(案1)はもうなし ですか。 ○吉村委員  私は(案1)でもいいような気がしますけれども。 ○辰巳委員  もし卵子がオーケイということになっても(案1)を残す。 ○吉村委員  私は提供卵子を調整案のようにするのであれば、(案1)の方が。 ○矢内原委員  (案1)は両方入っているから。 ○吉村委員  両方入っているからいいかなと思うんですけれども。 ○辰巳委員  卵子の人は卵子だけにしなさいというのではなくて、胚もいいですよということでい いということですか。 ○吉村委員  もし調整案にするならば、特に(案2)にしなければいけないとは私は感じないんで すけど。 ○石井(美)委員  でも胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦の方が優先するということはないんで すか。先ほど田中先生がおっしゃったように、余剰胚で提供する人は少ないのではない かとすると。 ○吉村委員  ええ。どちらでもいいと言ったら、いいかげんな言い方かもしれないですけど、私、 この提供胚に関しては、卵子提供にしても、そういう可能性を残しておいた方が……。 ○石井(美)委員  余剰胚であるならば、第三者の……。 ○吉村委員  意外と調整案でも難しい点はあるかもしれないと思うんですよね。例えば、先ほど外 で話しましたけど、医師が強要するとかいろんな問題点は調整案においてもあると思う んですよね。そうすれば(案1)でもいいのではないかと思っている。(案2)でなく てはいけないということではないような気がするんですけど。 ○中谷委員長  ほかの委員のご意見はいかがですか。 ○吉村委員  矢内原先生は(案2)ですよね。 ○矢内原委員  私は卵子が条件付でオーケイということになれば(案2)になります。ただ今言った みたいに門戸を広げるという意味では両方含んでいるわけですから、卵子でもいいかな とも思っています。 ○中谷委員長  田中委員はいかがですか。 ○田中委員  (案1)です。 ○中谷委員長  辰巳委員は。 ○辰巳委員  こういう経緯がなければこれは(案2)だと思うんですけれども、どちらでもいいと 思います。 ○吉村委員  私もどちらでもいい。 ○矢内原委員  (案1)の場合はちょっとこんがらがる可能性があると思うので、(案2)の方がす っきりしますね。 ○吉村委員  (案2)の方がすっきりしますね。 ○中谷委員長  高橋委員はいかがですか。 ○高橋委員  (案1)です。 ○中谷委員長  (案1)だけというのは高橋委員だけですか。 ○田中委員  私も。 ○中谷委員長  田中委員は、場合によっては(案2)でもいいと。 ○田中委員  夫婦のみということがありますから、場合によったら、いろんな事情があると思うの で、胚の提供でも、夫の血が入ってなくてもいいですよという方がおられれば、胚を使 えれば。(案2)だと、夫がいい場合には入りませんよね。 ○吉村委員  入りません。 ○田中委員  そうするとできなくなるので(案1)にしてください。 ○吉村委員  石井先生はどうなんですか。 ○石井(美)委員  私は(案2)だったんですけど、なるべく治療性からいけばいいとは思っていたんで すが、確かに余剰胚である限りにおいて、自分たちの子で、血にこだわる必要性がどこ まであるのかということを考えると、もらえるなら(案1)でもいいのかなと思い出し てもいる。ただ、さっき言ったように、優先性からいけば、胚提供でなければならない という夫婦が優先すべきであると考えるんです。余剰胚が限られているとすれば。 ○矢内原委員  同じようにランクを二つを並べるというのはそこに差をつけなければイコールなよう な感じがしませんよね、(案1)の場合に。亭主の精子は嫌だなんていう人いるかもわ からない。私のも違うんだから、あんたのも違えなさいと。 ○田中委員  確かにそういう方おられます。 ○矢内原委員  事実ありますでしょう。 ○田中委員  ありますね。 ○中谷委員長  それにこだわらなければ、多数のご意見は(案1)ということですか。 ○石井(美)委員  胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦は余剰胚の移植を受けることができる。場 合によっては卵子の提供を受けなければ妊娠できないものについても認められるという 形にする。 ○吉村委員  そういう書き方の方がいいかもしれないですね。 ○中谷委員長  そういう修正を加えて。 ○母子保健課長  ちょっとよろしいでしょうか。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  確認ですが、きょうは3名の先生お見えになってないので、もちろんまたご意見いた だくということになるとは思うんですが、今の先生方のご意見ですと、一応遺伝学的な 親由来でないということは、特段この判断の基準として問題ないという、この場では大 体そういうご意見だったという理解でよろしいでしょうか。 ○石井(美)委員  (案3)はないということですね。 ○中谷委員長  (案3)はない。 ○母子保健課長  あと3名の先生、またどう言われるかわかりませんので、それはわかりませんが、今 の先生方のご議論はそういうことであった。 ○中谷委員長  そういうことですね。ではこれはそのように理解してよろしいわけですね。何か、小 林主査から。 ○小林主査  変える場合に「場合によっては」というのを、どういう場合なのかというのがあった 方が、明確になりよろしいかと思います。 ○吉村委員  「卵子の提供が得られない場合」ではどうですか。 ○石井(美)委員  余剰胚が十分にあるというと変ですけれどもね。 ○吉村委員  「場合によっては」の方が何かいいような気がしますけれども。 ○矢内原委員  この場合、極度な精子減少症とかね。 ○石井(美)委員  説明としては、こういうことを考えているということであって、そこまで書かない と。 ○小林主査  書き方としては「卵子の提供を受けることができない場合等に関して」といったよう に、「等」を入れるという書き方もあります。特に書かない方がいいということであれ ば、とりあえず今回は「場合によっては」ということで。 ○吉村委員  この点に関しては、丸山先生が大分ご反対の意見あると思うんですね。この前おっし ゃっていましたので、胚ができるような状況においては、例えば精子が少ない方はIC SIした場合があるだろうと。こういった場合にはまた精子が少ない方のいろんな遺伝 的な異常が伝播される可能性もあるということを気にされていましたので、この点につ いては丸山先生がかなりおっしゃるのではないか。 ○中谷委員長  ご出席の上で。 ○吉村委員  ですから、丸山先生はこれはだめだとおっしゃるかもしれない。だから(案3)も、 今のところ担保しておいた方が。 ○中谷委員長  不問に付すということはないということで。 ○母子保健課長  次回は、これを(案4)という形で付けておきましょうか。今、言われた「場合によ っては」という書き方をしたものを(案4)として出すと。 ○吉村委員  その方がいいかもしれません。 ○中谷委員長  よろしゅうございますね。  では、続きまして、5)の代理懐胎(代理母・借り腹)。 ○石井(美)委員  中谷先生は、借り腹が認められる。 ○中谷委員長  例外的に認められる場合があるのではないかということだけで、原則的にこれを禁止 するのも当然ですから。 ○石井(美)委員  その案は例外も認めないんですよね。 ○中谷委員長  その案だと例外は認めないですね。 ○吉村委員  ただ、例外とおっしゃいますけれども、それ以外、代理母を必要とするときってあり ますか。 ○辰巳委員  自分で産みたくない。 ○吉村委員  自分で産みたくない以外に。 ○中谷委員長  子宮がない。 ○辰巳委員  ということじゃないですか、以外というのは。 ○吉村委員  子宮がない人以外に代理母を依頼することありますか。 ○辰巳委員  今言った人以外に。 ○吉村委員  人以外にないですよね。 ○石井(美)委員  着床ができない。 ○吉村委員  着床ができない。そういうのも子宮がないと同じことですね。 ○田中委員  妊娠が禁忌な人ですね。 ○吉村委員  それはがありますね。合併症があって。 ○田中委員  子ども欲しいけど、妊娠すると母体により危険性が高まるから妊娠できない。 ○吉村委員  例えば全身性疾患がある場合にそうですね。そういう場合は入りますね。 ○田中委員  血液疾患とかありますね。 ○吉村委員 ありますね。 ○高橋委員  先天性の原因とかあります。 ○吉村委員  でも、それを区別することは非常に難しいですよね。 ○田中委員  難しいですね。時々、妊娠させてみたものを途中で母体のために中絶ということがた まにありますね。 ○吉村委員  あります。だから子宮がない人とそれは同じことですよね。 ○石井(美)委員  懐胎できないということですね。 ○吉村委員  そういうのも非常に難しくなりますね。 ○中谷委員長  例外的なものは一切カットしておいて、一応ここに書いた代理母・借り腹禁止という ことにしておけば。 ○高橋委員  原則付ではどうでしょうか。原則禁止。 ○中谷委員長  もちろん原則禁止。 ○高橋委員  管理委員会などの委員会が出たときに、どうしても自分は例外的に欲しいという申請 をそこにすることによって認められるということもあってもいいのではないでしょう か。 ○田中委員  医学的な根拠があると認められた場合のみ例外として。 ○中谷委員長  イギリスの場合、Surrogacy Arrangements Actに関する規定、その法律が1985年にで きて90年の法律でそれを修正しているわけです。 ○矢内原委員 商業主義なしでこういうことがあり得ますか。 ○吉村委員 代理母をしていただくということはあり得ますか、母親とか。 ○田中委員 身内でしょうね。お姉さん、妹、友人。 ○吉村委員 妹、お姉さんも難しいかもしれないですね。 ○田中委員 家系の病気があるかもしれない。 ○中谷委員長 兄弟姉妹の場合は養子縁組をすればいいと私は思うんですけれども、そういうことを しないで。 ○田中委員 遺伝性疾患ですね。危ないですね。 ○吉村委員 そうですね。 ○石井(美)委員 卵子提供は兄弟姉妹はいけないと言っているのに。 ○田中委員 それはおかしいね。 ○高橋委員 社会はおもしろいもので、こういう事情でこうだからお願いしますといって広告を出 すと、中にはボランティアのような方も出てくる可能性はあると思います。ですから、 それは一条残しておいてもいいと思います。 ○矢内原委員 金銭の授受なしでこれはありますか。 ○高橋委員 中にはいるかもしれないです。 ○辰巳委員 子ども産んでみたい、でも育てるのは嫌だ。 ○田中委員  逆な人が……。 ○吉村委員 それはちょっとね。 ○中谷委員長 バーチャル妊娠とか。 ○高橋委員 商業主義でなければいいという、その商業主義の範囲から外れた条件というのがもし 緩和されるのであれば、それを受ける方は出るかもしれないです。将来のことですから 何ともわからないですね。 ○中谷委員長 東北、仙台ですか、ほかの人に産んでもらって、そしてすぐ養子縁組。あの事件のと きは、産んだ人はお金はもらっているんですか。 ○高橋委員 もらっています。 ○中谷委員長 無償だと言っているけど、2人が同時に入院したことにしていますから……。 ○高橋委員 いただいているそうです。 ○中谷委員長 いただいているわけですよね。 ○高橋委員 彼はいただいてないと言っていますけれども、何例もしてますから、その中の何人か に全部聞いてみたら、やはりお金出したという方が出てきたそうです。ほとんどの方は 医師の肩を持って私は出しませんと言ったそうですけど。 ○石井(美)委員 だれにお金を出したんですか。 ○吉村委員 産んでくれた人に。 ○矢内原委員 合意ということですから。 ○中谷委員長 公文書偽造だし、新聞に広告を出しているわけですからね。 ○石井(美)委員 でも依頼して産んでもらったわけじゃないですよね。 ○矢内原委員 たまたま要らない子どもができちゃった、中絶するぐらいならば、養子縁組をしよう と。ところが戸籍に書かれるから偽造の出生証明書を書いたんですね。 ○石井(美)委員 だから妊娠は別に人のためにしたわけではない。 ○田中委員 そうですね。 ○吉村委員 妊娠継続は人のためにしたのかもしれない。 ○中谷委員長 妊娠継続はね。 ○石井(美)委員 でも中絶がもうできない時期だからというのでそうしたという説明はされている。 ○吉村委員 説明はされている。そうじゃないと金銭面が動かないです。 ○中谷委員長 動かないですからね。結構たくさんの例があったんですよね。1例や2例じゃないで すね。何十例か。 ○高橋委員  そうです。 ○田中委員  「代理母を特定な場合のみ認める」というふうな付記を付けて書くなら、妊娠を出産 まで継続するリスクということを考えると、卵子のリスクを最初に、それで卵子の提供 を反対している部分がありましたよね。あれと整合性ないような気がするんですね。医 学的な理由で代理母を認めるというふうにした場合は、10カ月産むリスクは採卵よりも 高い可能性がある。 ○吉村委員  それは高いでしょう。 ○田中委員  そういうふうにした場合には、卵子のときに認めない理由としてリスクが高いからと いう理由は整合性はないような気がします。 ○吉村委員  そうですね。 ○田中委員  だったら、この代理母の方を一切認めないか、採卵の方を認めないか。 ○吉村委員  そうですね。 ○中谷委員長  代理母を認めないというのは当然のことではないですか。 ○矢内原委員  アンケートでは借り腹が要望がすごく多かったですね。代理母は反対が多い。 ○吉村委員  これは禁止の方がいいと思いますけれども。 ○石井(美)委員  私も禁止案です。 ○高橋委員  原則禁止においた方がよろしいのではないかと思います。 ○中谷委員長  禁止以外に方法はないのではないですか。 ○高橋委員  バイ・ローの細則で処理することもあるのでは。 ○中谷委員長  残る問題は親子関係で、日本の最高裁の判決など産んだ人が、産んだという事実で母 子関係ができるということであれば、その親子関係ですよね。 ○矢内原委員  この間は、まだ母親の定義というものをそういうふうにしましたから、そういう意味 では、代理母も借り腹の場合も産んだ人は母親にはならないわけですね。 ○石井(美)委員  いや、産んだ人が母親になる。 ○矢内原委員  産んだ人が母親になっちゃうわけですね。 ○中谷委員長  依頼者は母親にならないわけです。 ○矢内原委員  依頼者は母親にならない。 ○吉村委員  これはこのままでいいと思います。 ○中谷委員長  ただその場合に、そうすると生まれた子どもの人権というか、産んだ人の子どもとし ていいんですか。代理母の子どもであり、代理母の夫との子どもだと推定するというこ とでよろしいんですか。 ○石井(美)委員  本来、産まれないはずのものだから、もし万一産まれちゃったとしてもそうするとい うことですね。だれかが違反して行ったとしても。 ○吉村委員  そういうことですか。 ○中谷委員長  その場合には。 ○矢内原委員  そのときに養子縁組があれば、戸籍上は養子であっても、遺伝的には自分の子どもだ と言って、本人たちは納得して……。 ○中谷委員長  父親の方は認知をすればいいですけれども、母親の方は認知ではないから。 ○矢内原委員  いや、産まれた子どもがクライアントに養子縁組すればいいわけでしょう。 ○石井(美)委員  養子縁組は可能だと。 ○中谷委員長  養子縁組は可能です。それでいいのかということです。 ○吉村委員  そうなりますね、それは。 ○中谷委員長  ええ。 ○石井(美)委員  それが嫌だったら、おやめなさいということですよね。 ○矢内原委員  そういう行為そのものを今度認めるということになりますね。 ○中谷委員長  そうなんですね。 ○吉村委員  でも、それはそうじゃない。 ○中谷委員長  禁止されている行為によって産まれた子だから、その子どもは一般に生まれた子ども とは親子関係についても違う関係を認めるのかということですよね。それが難しいんで すよね。 ○法務省  今の整理でいけば、一般の子どもと全く違わない扱いをするということになるだけだ というふうに理解できたんですけれども。 ○中谷委員長  クライアントの方ですか。 ○法務省  いえ、産んだ人の子どもにするということですから、今のたたき台の案でいけば、こ の生殖補助医療技術を使った場合は、必ず出産した女性が母親になるという決めを既に 打たれているわけですから、代理母が行われようがIVFで……。 ○中谷委員長  それは当然のことでわかっているんだけれども、それでいいのかということなんです よ。 ○法務省  それでいいのかというところは、ここで議論していただくレベルの話ですね。 ○中谷委員長  それを議論しているわけですから、代理母と代理母の夫との間の子どもになるわけだ けれども、それでいいのかということなんです。 ○法務省  今の問題を裏返して言いますと、代理母の場合、第三者から精子提供受けて出産する 場合というふうにとらえることができますし、借り腹の場合は、自分の子宮を使って他 人の卵子と精子を受精させて入れると、体外受精を行うと。そのことを裏から言ってい るだけでございますから、その点、何か。 ○中谷委員長  それは疑問はない。 ○法務省  疑問がないのであれば、それはよろしいんですけれども。 ○中谷委員長  それは疑問がないけれども、子どもとしてはそれでいいのかということなんです。 ○法務省  逆に言いますと、その場合に……。 ○中谷委員長  養子縁組をクライアントとの間でやれば、養子縁組ということになるわけですよね。 ○矢内原委員  それが明らかにわかって、医師がそれに加担をすることになるわけですから、認知を すれば、それはしてはいけないわけですよね。ただ、借り腹をする人が、私はこの方法 でなければ子どもが産めないんだということを申し出た場合に胚の提供ということにな りますよね。そういう逃げ道は出てきますね。 ○石井(美)委員  匿名でなくて認めるかということですね。そうすると胚の提供、余剰胚しかないんで す、胚提供は。 ○矢内原委員  そうですね。 ○中谷委員長  イギリスの例で言えば、そういう場合は裁判所で、代理母が産んだ子だけれども、実 はクライアントの嫡出子であるということを裁判所の決定で決めるんですけれども、日 本で裁判所で決定するということはあり得ますか。 ○石井(美)委員  ないと思いますね。 ○中谷委員長  私はまずないと思うし、本人もそれを希望しないと思うんですね。なるべく自然に生 まれた子のようにしたいわけですから、それをどうするのかという問題、これは提案と してご検討していただきたいと思います。  だからイギリスは法律の規定によると、出産した者が母親ではなくて、生殖補助医療 によって妊娠した人、あるいはかつて妊娠したことのある人が母親、そういう規定です からちょっと違うんですけど、日本は判例としても確定してますから、産んだ人が母親 ということになっていますよね。 ○石井(美)委員  妊娠した人と出産した人とは同じじゃないんですか。途中で卵を採り出して移植する ということをしない……。 ○中谷委員長  Surrogacy Arrangements Actの方の規定が関連してきますから、イギリスの場合は。 ○石井(美)委員 でも妊娠した人と出産した人は今はイコールですね。 ○中谷委員長 そういう場合違うわけですよね。 ○法務省 そこでの妊娠というのは、受精卵が着床した状態を言っているのではないんですか。 ○吉村委員 一緒だと思うんだけど。 ○法務省 あとは出産までいくだけというふうに思えるんですが。 ○中谷委員長 出産したことは要件になってないんですよね、あの規定では。 ○法務省 ただ、出産しなければ子どもがいないわけですから。 ○石井(美)委員 そうだと思うんです。書き方の問題だろうと思うんですね。分娩というか……。 ○中谷委員長 サロゲートマザーの場合がありますから、それは別だということですね。 ○吉村委員 サロゲートとして、精子をだれかからもらって人工授精して、その人が妊娠したとい っても、代理母であるサロゲートマザーが妊娠するわけですから、出産も先生、同じに なると私は思うんですけど、どうなんでしょう。 ○中谷委員長 胚も移植するという。 ○吉村委員 胚を移植すると、これは借り腹になりますよね。 ○中谷委員長 借り腹。 ○吉村委員 それも妊娠した人と出産する人は同じだと思うんですけど。 ○田中委員 DNAが夫婦のものである場合と違う場合という意味ではないですか。 ○吉村委員 DNAがどうのこうのということは法律上は全然関係ないでしょう。 ○田中委員 そうですか。 ○矢内原委員 embryoになった時点に一つの人格を与えているんじゃないの。 ○吉村委員 そうかもしれないです。それだったら……。 ○石井(美)委員 妊娠と言わないで受精ですね。 ○吉村委員 受胎ですね。 ○石井(美)委員 受胎というのは、でも着床じゃないんですか。 ○吉村委員 着床でしょう。 ○中谷委員長 受精。 ○吉村委員 受精。それはembryoが別の人格だということを考えても、でも妊娠したということと 出産するということは同じ行為だと私は思うんですけれども。 ○石井(美)委員 将来的には違う可能性はあるかもしれない。 ○中谷委員長 でも着床しなければ。 ○吉村委員 着床しなければ……。 ○法務省 着床しない段階で妊娠というのでしょうか。 ○矢内原委員 嫡出ということはあり得ませんよね。ですからembryoそのものに一つの人格を与えて しまっているんですよ。そういう定義でスタートしているんじゃないですか。 ○吉村委員 それはそうかもしれないですね。 ○中谷委員長 初めはそういうことを全然意識しないで条文読んでましたから、今度、確認のために 読んだら、そういう表記になってましたから、おやおやと。 ○矢内原委員 生殖補助医療によって妊娠、先生、今おっしゃった……。 ○中谷委員長 受精。 ○矢内原委員 受精。 ○中谷委員長 した者は、かつて受精したものという。 ○矢内原委員 受精したもの。 ○吉村委員 体外受精ということですね。 ○中谷委員長 そういうことですね。 ○石井(美)委員 今の問題でいくと、逆に体外受精は代理母で違反して行って、精子提供を受けて妊娠 して、出産した者が母であるのはいいんですけれども、父がだれになるかという問題 は、今のところ提供者は父とならないという、その提供者の概念に……。 ○矢内原委員 産んだ人のご主人でしょう。違いないですね。 ○石井(美)委員 それは、でも必ずしもなるというふうに言えるかどうか、またありますね。 ○中谷委員長 石井委員の前の意見だと、そういう形によって出産した子どもの場合は夫の同意は推 定されるという。 ○石井(美)委員 私の案はそうです。 ○法務省 そういう場合、想定……。 ○石井(美)委員 してなかったですよね。 ○吉村委員 例えば禁止すると言っている項目に対しても、そういうことは考えなくちゃいけない んですか、親だだれだとか。 ○石井(美)委員 ここで考える必要はないかもしれませんが、立法するときには考えていただかなくて はいけないということですね。ただ、提供者は父とならないということの提供者の意味 は、代理母も禁止しているから、その人は仮に提供して、だれかに産んでもらったとし ても父にならない、ということを我々は考えている。それでいいわけですね。 ○吉村委員 それはそうですね。 ○中谷委員長 それはそうだけど、子どもにしてみれば、そういう形で産まれた子どもは、普通に夫 婦間で産まれた子どもとは全く違った身分だというのはやっぱりおかしい。 ○石井(美)委員 仕方がないですよね。養育責任だけは何らかの形で負っていただくと。父としての養 育料を払ってもらう。父かどうかは別として、契約に基づく。 ○中谷委員長 実際に生殖補助医療を担当される方はそこまで説明なさいますか。 ○吉村委員 いや、そんなことは考えもつかないでしょうね。 ○中谷委員長 でも、もし、そういう結果になったときに。 ○吉村委員 そうですよね。 ○中谷委員長 問題が出てきやしませんか。やっぱり子どもの保護というのを優先させるというのが この立場ですから、クライアントの保護というよりは、子どもの人権というか、そうい うものを保障しようというのが建前だとすると、子どもの法的な身分について十分な配 慮をしなければいけないと。 ○吉村委員 今の代理母みたいなことは、例えばご主人の精子だと思って、私は持って参りました と言ったのが、他人の精子であったと。それと同じことでしょう。それと同じことにな りますよね、基本的には。 ○石井(美)委員 そうですね。 ○中谷委員長 でも、それはガイドラインで決めてあって、ご主人のものであると、ご主人の同意を 得ているということの確認をしなければ、それは先生方の責任になりませんか。 ○石井(美)委員 そうです。それは責任になると思います。 ○辰巳委員 人工授精のときに話をつけておいて、別の人の精子を持ってきてすれば、それで代理 母はできちゃいます。それで罰則を……。 ○吉村委員 「私のだんなのです」とか言って持って来られて……。 ○辰巳委員 照合しようがない。 ○中谷委員長 少なくとも最初はご主人が来て同意するということについて契約書か何か……。 ○辰巳委員 普通の人工授精に関してはそんなことはしないです。 ○中谷委員長 しないですか。 ○辰巳委員 配偶者間の人工授精に関しては。 ○中谷委員長 配偶者間、それはAIH。 ○辰巳委員  AIHをするといって、ほかの夫婦と、代理母になってくださいというふうな感じで 話をつけておいて、自分の精子を持ってきて、その人に入れてください。持ってきた人 は、これはだんなの精子だといって持ってきたら、我々はわかりませんから。 ○中谷委員長  それはお医者さんとしたら責任問題ですよね。 ○石井(美)委員  やっぱりAIHも含めて、全部ある程度まできちんとやっていただかないと困るとい うことになる。 ○吉村委員  やるといったってね……。 ○石井(美)委員  だからやるといっても、違反して行われてしまうことは仕方がないけれども、きちん となされるというシステムはつくる必要性があるということです。 ○辰巳委員  それは防止しようがないです、そんなことされたら。その人のご主人の精子……。 ○石井(美)委員  だから、そこまでやられたら仕方がないということだけれども。 ○辰巳委員  代理母をやろうと思えばできる。 ○石井(美)委員  だから、その場合にも父親にはなれないですね。 ○辰巳委員  もちろんそうですね。 ○石井(美)委員  だから。 ○法務省  今のたたき台の考え方でいくと、先ほど言ったように、裏返しの問題としてみれば、 代理母になる女性が人工授精を受けるわけですよね。とすると、適用がなければ、そも そも医師はやれないというふうに仕組んでいるわけではないんですか。 ○吉村委員  それはもちろんそうなんですけど。 ○法務省  夫婦でなければいけないわけですし、夫婦であっても夫の方が妊娠できないような状 態でなければ、AID自体できないのですから。 ○吉村委員  AIHですね。人工授精ですから。 ○法務省  この場合は他人から精子をもらうわけですから、代理母を依頼する夫が精子を提供す るんですから。 ○吉村委員  ちょっと違うと思うんです。ちょっといいですか、説明して。例えばAという患者さ んが来ましたと。Aという患者さんはだんなもいますと、だんなさんと検査しました と。これはAIHの適用だと思ってやっているとしますね。でもあるBという男の人と 例えば関係があったと。Bという人はAという人に自分の子どもを産んでほしいと思っ たということだってあり得ると思うんですね。Bという人の間でAIHをすれば代理母 ということにはなるでしょう。そういうことだってあり得る可能性は私は結構あると思 うんですね。非常に難しいケース。でも代理母というのはそうやってすることもでき る。 ○中谷委員長  代理母ですか、その場合。 ○法務省  そういうのを代理母というのか、よくわからない。 ○中谷委員長  AIHではなくてAIDになるだけの話。 ○吉村委員  そうなんです、先生。でも現象面的には代理母と同じような状況になるということで すね。 ○法務省  逆に言えば、代理母というのは、産む女性にとってはAIDをやるかどうかという、 それだけの話なんですよね。裏返しに見ていけばAIDができる場合というのは厳しく この場合は区切っているわけですから、それでできてしまうというのは実施した医師の 方に責任があるということにつながるのではないかということを申し上げたいだけで。 ○矢内原委員  それはごまかそうと思えば、「これは私の亭主です」と言って、精子のAIDに適用 になるような男を連れてきたときにはドクターはごまかされますよね。だから、そこま で仕組まれたらもう防止できない。 ○中谷委員長  お医者さんは責任がないということですよね。 ○矢内原委員  2組みの夫婦ともう一人の男が組めば、これは我々はごまかされますね。 ○中谷委員長  それは奥さんの責任であって先生方の責任ではないということです。 ○法務省  ここで代理母といって議論しているのはそういうものとはちょっと違うのかなと思っ ていたものですから。 ○吉村委員  それは全然違う。これは禁止ということで。 ○中谷委員長  はい。 ○母子保健課長  これは一応例外なしということでよろしいわけですね。 ○中谷委員長  はい。 ○辰巳委員  提供者等の条件についてよろしいでしょうか。 ○中谷委員長  はい。 ○辰巳委員  精子提供者は成人で満40歳以下となっていますが、コード・オプ・プラクティスでは 一応55歳になっておりますけれども、やはりデータで父親の年齢が40歳以上になるとダ ウン症妊娠が増えるとか、染色体に関係のない重い出生児の欠陥などが40歳以上になる と増えるというデータがあるそうで、コード・オプ・プラクティスでは40歳以下にする かどうか検討中である。                              アメリカの不妊学会のガイドラインというのがあるんですけれども、これだとやっぱ り40歳以下ということになっている。 ○中谷委員長  40歳の誕生日までという。 ○辰巳委員  そうするとおじいさんとかお父さんはできなくなっちゃいますけど、これは田中先 生。 ○田中委員  ヨーロッパとかアメリカのドネーションは完全に匿名ですから、肉親が入ってないで すから、そういう制限あると思う。その中に肉親をもし設けたいのであれば、その年齢 制限はもっと高くしてもいいと思うんです。要するに父親の精子を使うというのはぜひ 残してほしいと思います。そういう方、結構おられるんですよ。 ○中谷委員長  今まで父親のを認めていましたか。 ○吉村委員  いえいえ。 ○中谷委員長  兄弟姉妹は。 ○矢内原委員  匿名ですから、それは一切ないです。 ○石井(美)委員  精子提供者は得られないことはないということであれば、わざわざ父とか兄とかを認 める必要性は……。 ○田中委員  肉親はだめということはないでしょう、精子提供は。 ○吉村委員  精子提供、AIDに関しては肉親はやってませんけど。 ○矢内原委員  匿名ですから。 ○田中委員  それは慶應はでしょう。 ○吉村委員  ええ。 ○石井(美)委員  ここではそういう原則ですよね。 ○中谷委員長  匿名。 ○田中委員  精子提供は肉親はだめなんですか。 ○矢内原委員  あらゆるドネーションは匿名であるという。 ○吉村委員  匿名を原則にするということの観点から、匿名で得られない場合は、また兄弟姉妹と いう議論もあったかもしれないですけれども、精子提供に関しては匿名でいい、私はそ う理解しました。 ○田中委員  私はそうは言っていませんよ。 ○石井(美)委員  匿名性の(2)はたしか配偶子はあれだった。 ○田中委員  議事録見てもらうとわかりますけれども、精子提供は父親と兄弟というのを入れてほ しいと思います。 ○矢内原委員  それは先生言っておられたのはわかっておりますけれども。 ○田中委員  それをぜひ残してほしいと。 ○中谷委員長  ここでは父親は入らなかったですよね。 ○吉村委員  ええ。 ○中谷委員長  兄弟はということはあったかもしれないけれど、どうしても父親を入れなければだめ ですか。 ○田中委員  ええ、入れてください。結構そういう方おられるんですよ。もちろんそういうことを 望まない方もおられますけど、逆に父親を連れてきて、何とかという方は少なくないで す、私の経験では。 ○中谷委員長  そうすると、夫にしてみれば兄弟ができるということですね。 ○田中委員  自分の兄弟ですね。 ○中谷委員長  兄弟であり、父母であるという複雑な親子関係。 ○吉村委員  丸山先生のお考えでは、1ジェネレーション違ったものはやめましょうという考えで したんです。先生、それは親を入れておかなければならないという理由は何なんでしょ うか。 ○田中委員  お父さんがいい理由は、要するに自分の血を残したいという強い願望がまずあります ね。その場合には父親か兄弟しかないんです。兄弟はずっとそばにいる可能性があり、 お父さんの場合は、子どもがある程度年を取ったときは他界しておりいないため子ども にとっても親にとっても精神的影響が少ないと、そういう理由なんです。 ○吉村委員  そうするとその本人が匿名でありたいと。 ○田中委員  わかると思うんですよね。ただ、大きくなったとき、お父さん病気で、残念ながら、 おまえつくれなかったけど、おじいちゃんだから、お父さんの血が流れているんだよと いったときに、一番説得力があるというか、みんな丸くおさまるような気がするんです よね。 ○中谷委員長  それは兄弟でもやっていますよね。 ○田中委員  ところがおじさんはずっといるわけですよ。おじさんの方も、あれは僕の精子ででき た子だなという、ということをご夫婦がおっしゃるんですよね。肉親だと……。 ○吉村委員  それは何となくわかるような気がしますね。 ○矢内原委員  わかるような気がする。 ○田中委員  兄弟でも、いとこ同士集まっても、本当はこっちもいとこだけど、こっちの兄弟と か、それがひっかかりますが、お父さん(おじいちゃん)だと、あと20年後には亡くな っていらっしゃらないこともある。 ○矢内原委員  お嫁さんを見る目がぎらぎらしてきたら困っちゃうね。 ○田中委員  私は、もちろん勧めないけど禁止はしてほしくない。 ○中谷委員長  不倫ぽくて嫌なの。 ○矢内原委員  私は嫌ですね。 ○中谷委員長  私も嫌です。 ○田中委員  先生と同じようなことをおっしゃる方もおられるんです。いや、そんなの気持ち悪い とか、例えば、逆にそういう方もおられるんですよ。田舎だとかいろんな社会の方がお られて、実際、本家の第何代目だとかですね……。 ○中谷委員長  そういう方がいらっしゃることは理解できますけれども、それをこういうところで認 めるかどうかということはまた別論だと。 ○石井(美)委員  さっき辰巳先生がおっしゃった、家が入ってくる。 ○田中委員  家が入ってきますね。彼が言った家というのはそういう意味の家じゃないと思うんで すよ。 ○吉村委員  そういうのも含めてだと思います。 ○田中委員  含めてですけど、私が言っているのは、要するに血ということなんですよ。自分の血 を絶やしたくない。これはそういう意味では家ですよね。 ○矢内原委員  家ですね。 ○田中委員  これは古いと思うかもしれないけれども。 ○中谷委員長  古くさい考え方ですよね。 ○田中委員  これはあるんですよ、根強いものが。勧められないけど禁止をしてほしくない。父親 はだめだというふうに禁止をしてほしくないと思います。 ○矢内原委員  先ほどの辰巳先生の話じゃないけど、子どもというのは夫婦の問題であって、それが 一族郎党に及ぼすのは好ましくないという観点に立てば、もし父親ということが、先生 がおっしゃるような正当論になると、子どもがない夫婦、どうしてもできない夫婦の社 会的な弾圧や苦しみがもっと増すのではないですか。 ○田中委員  そう言われるとね。 ○中谷委員長  委員の皆さんは先生のお気持ちはよくおわかりだと思うんですよ。おわかりだけれど も、やっぱりそういうものをこういう場合の提案としては認めにくいと、先生以外は皆 さんそのように思いますので。 ○吉村委員  私も。先生、そこにおいて考えなくちゃいけないことは、何かを第三者から提供され る、それにおいて、私はこうでなくちゃいけないということを言うというのはやっぱり 権利として与えられることなんでしょうかね。それはドナーの精神からいうと、余りそ ぐわないものではないですか。例えば家を守りたいから父親のものをいただきたいと か。 ○田中委員  これは基本論になりますけど、私の考えは、治療というものは患者にも権利があると 思います。その患者が望んで、その行為が社会的に違反しない、第三者に危害を与えな い、人間の尊厳を傷つけないものであれば、私は患者が望むならばそれを得る権利があ ると私は思います。個人はあらゆる治療を受ける権利があると。レズビアンやシングル マザーへの治療を認めろと、そういうことを言っているのではないんです。さっきも言 ったように、今の常識の範囲内で許容されるものであるならば、やはり患者が望めば、 それがリスクがありネガティブなものであったとしても、それを十分話した上で望んだ 場合には、私個人としては与えてやりたいという気はします。 ○中谷委員長  その場合に父親の強制的なものなくして、お嫁さんは受け入れるでしょうか。私はち ょっと考えられないんですけど。 ○田中委員  それは先生の個人的な中では受け入れないものだと思うんですけど、実際にそういう 方はおられますし、逆にお父さんの精子をもらっては、禁止するということがどうして 私は言えるかができたら教えてほしいんです。兄弟の精子はよくてお父さんの精子はだ め。卵子はわかると思うんです、卵子は老化していきますからね。お母さんの卵子の提 供は医学的にわかるんですけど、精子の場合にはある程度生殖能力というのは保たれて いますから、お父さんは禁止しますと……。 ○石井(美)委員  それは40歳という医学的理由があると、辰巳先生はおっしゃった。 ○田中委員  それはボランティアです。 ○石井(美)委員  でもお父さんにも当てはまるわけですね。だからお父さんはいけないとは言わない。 40歳で切る。40歳のお父さんはいないかもしれない。 ○田中委員  40歳のお父さんは、それは患者ですよね。だからボランティアを入れるならば、年齢 制限は、例えば50までが望ましいとか、「禁止」という言葉を入れてほしくないんです よ。禁止すると罰則がついて回るでしょう。その結果としてペナルティが出ますから。 ○石井(美)委員  ペナルティがつくかどうかわからないです。 ○吉村委員  そのときに本当に女性の方が、お父様であるということを強要されてないかというこ とですね。 ○中谷委員長  そういうこと。 ○田中委員  それは私たちもよく話を聞きます。個別に聞きます、奥様だけと、だんなさんを一緒 にしないで、それは時間をかけて。そうすると奥さんの方が望む方はおられるんです よ、夫の血を入れてほしいと。他人のは嫌だという人もいます、かえって。全く知らな い血だったらまだ夫の血が半分入った方がいい、そういう人もおられます。田舎の方だ とまだあるんですよ。そのときに肉親の血を入れてはいかんというふうにもとれるんで すよ、父親がだめだというふうになると。だから、この道はぜひ閉ざさないでおいてほ しいと思います。 ○矢内原委員  匿名性ということは配慮ですから。 ○田中委員  匿名性、兄弟からの提供では匿名性が守られることはあるかもしれませんが、父親か らの場合は出自を知っているのは両親と夫婦の4人だけで、まず父親が自分の息子のプ ライバシーを侵すようなことはないと思いますので生まれてくる子どもと社会に対して は匿名になると思いますが。 ○中谷委員長  先生の熱意は皆さんも非常によく理解できたと思いますけれども、きょうはご欠席の 方がいらっしゃいますから結論は出せませんので……。 ○田中委員  結論はいいんですけど、禁止という結論は出さないでください。 ○中谷委員長  それはどうなるかわかりませんけれども、ほかの委員もおそろいのところで結論を出 させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○辰巳委員  あと卵子提供ですが、21歳から34歳になっているんですけど、アメリカの不妊学会の 方では今度は35歳以下になる。別にどっちでもいいと思うんですけれども、何か合わせ ていった方がいいのかなという気もします。 ○石井(美)委員  未満。 ○辰巳委員  未満、どうでしょうか。 ○吉村委員  35歳未満にしましょうかね。 ○中谷委員長  35歳以下でもいいですけれども、前に、35歳のお誕生日までというふうにすればはっ きりするわけで。 ○辰巳委員  いいんですが、ほかの国と同じの方がいいかなと、何の意味もないんですけれども。 ○石井(美)委員  誕生日までではないですね、以下だと。 ○吉村委員  以下は36歳の誕生日の前日まで。 ○高橋委員  35歳でいいでしょう。 ○辰巳委員  大したことではないんですけれども、ほかの国と一緒に……。 ○石井(美)委員  40歳の方は以下なんですか。 ○辰巳委員  ヤンガー・ザン。 ○吉村委員  ヤンガー・ザンということは、39歳までですね。 ○石井(美)委員  未満ですね、やっぱり。 ○吉村委員  39歳と未満ですね。 ○高橋委員  「すでに子のいる」というのは残るのですか。 ○吉村委員  39歳と何カ月までということです、40歳未満ということは。 ○田中委員  結局卵子の提供に全部関わってきます。卵子の提供のソースを、肉親でいいのか第三 者にするのか。年齢制限とかソースをどうするかということもすべて、卵子の提供の ソースをどこまで認めるかにかかってくると思うんです。  それは精子だって一緒ですよね。精子の提供者には、子どもを産んだという条件はな かったですよね。というのはなぜかといったら学生だからでしょう、提供のほとんど が。だから第三者の配偶子の提供者をだれにするかをどこまで認めるかによっていろい ろ変わってくるんじゃないですか、付随した条件が。だから来週あたりでぜひ卵子提供 の枠組みといいますか、そこを委員長の決断でバチッと決めたらどうですか。 ○中谷委員長  私の決断で決めるわけにいかない。 ○田中委員  もう決めろと言って。 ○中谷委員長  委員会ですから、委員の皆さんのご賛同如何によって決まるわけですから。 ○吉村委員  そうすると胚の提供も何歳ということになると結構難しくなる。私も簡単に考えてい たんですけど、卵子をここまで厳しくやっていくと、胚も妻が幾つで男性が幾つという ことになっちゃいますね。 ○石井(美)委員  余剰胚のうち、使えるか使えないかはそのお医者さんの判断じゃないんですか。 ○高橋委員  5年たったら胚が38歳になったなんていう。 ○矢内原委員  余剰胚は40歳未満、35歳未満の夫婦から得たものに限ると。 ○吉村委員  そうなるでしょう。こちらでこういう基準を決めるのだったら、胚の提供だってそう なっちゃうでしょう。 ○中谷委員長  そうですよね。 ○吉村委員  この場合、余剰胚であれば、年齢制限はこれには準じないとかそういうことを書いて いかないと。 ○石井(美)委員  でも卵の提供と精子の提供についてだけだから、胚については今は何も書いてない。 余剰胚、制限を設けるべきだという考えであれば設けるべきなんで。 ○辰巳委員  こちらは精子と卵子しかないですね。 ○吉村委員  ないですね。 ○辰巳委員  embryoドネーションに関しては年齢は書いてません。 ○石井(美)委員  受精できる卵であれば大丈夫だと。 ○田中委員  多分子どもができて残った胚だから。 ○吉村委員  そういうことなんでしょうね。 ○田中委員  そういう意味じゃないですか。 ○吉村委員  そうでしょうね。 ○辰巳委員  でも精子は40歳超えたら悪くなる、そんなに思わないですよね。すごい大きなデータ を解析したりしたのでしょうか。 ○中谷委員長  精子、卵子についての年齢制限があるとすれば、余剰胚だってその範囲でできたもの ですからよろしいんじゃないですか。 ○石井(美)委員  余剰胚は不妊夫婦が自分たちの卵と精子であれば、50歳と45歳の夫婦だってあるわけ です。 ○吉村委員  理論的にはあるわけですよね。 ○中谷委員長  一応50歳だったら父親はあり得ますか。 ○田中委員  50歳の父親はたくさんいますよ。 ○吉村委員  そうではなくて、先生の。 ○田中委員  お父さんですか。 ○中谷委員長  お父さん。 ○田中委員  いや、50という方は少ないですね。50代ならいますね。無精子症ということが早くわ かっている場合はいいですけれどもね。AIDを受ける男性というのは意外と、治療を 若いときから始めますから。 ○吉村委員  そうですね。 ○田中委員  結果がすぐ出ますから、意外と若いお父さんはおられるかもしれませんけれどもね。 ○中谷委員長  いずれにせよ、結論は委員の全員がそろったところでということにさせていただきま す。 ○吉村委員  胚の提供まで。 ○小林主査  すみません、確認なんですが、提供者等の条件のところは、とりあえず次回は今のま まの通りということでしょうか。 ○辰巳委員  以下を未満に変える。 ○小林主査  胚の場合は特には。 ○吉村委員  まだ、今のところ。 ○石井(美)委員  ペンディングですね。何のために年齢制限を設けているかですよね。 ○矢内原委員  そこが何回もやられるかもわからない。 ○吉村委員  女性の場合はいいと思うんですけれどもね。 ○矢内原委員  結局一番最初の話に戻ってしまうように思うので、子どもとは一体何かという、血筋 なんですか。 ○田中委員  私の個人の意見じゃないんですよ。 ○矢内原委員  患者の意見で、もっと自由にしなさいということですか。 ○田中委員  患者にはいろんな社会的な背景を持っている人がたくさんおられますので、そういう 人たちを禁止したり、そういうことはしないでほしいということなんです。 ○吉村委員  加藤理論ですね。 ○中谷委員長  そう。 ○吉村委員  加藤先生はいつもそうおっしゃっています。 ○田中委員  禁止はできないから肯定するということですか。 ○矢内原委員  権利をいつも出してあげようと、可能性を。 ○吉村委員  それを禁止するほどのことはないと。 ○田中委員  禁止という言葉はほんとにちょっと困ります、ペナルティがすぐくるので。 ○中谷委員長  ほかに何かご意見はありませんか。 ○吉村委員  配っていただいたこれはいろんなことが書いてありますけど、ちょっと説明していた だけますか。全部読んだ方がいいのでしょうか。こういうのは難しいので。 ○法務省  一応法律家が書いているものはこういうものもあるということで、ちょっとごらんい ただければと思いますが、目次の中の5番目に「代理母の出産した子の法的地位」とい う項目がありまして、そのうちの2番目、「代理母から出生した子の身分関係」という ところがございます。この中で、例えばアメリカや韓国で代理母によって出生した子の 身分関係はどうなるかということの検討がされておりますので、前回、問題になった点 の一つの考え方。これがすべてということではないということはご留意いただきたい。 今後の議論いかんによってはこの考え方もいろいろなものがあり得るというふうに思っ ておいていただいた方がいいかと思います。 ○矢内原委員  逆に日本の法律では適用してアクセプタブルだということにもなるんですか、ここに 書いてあることは。 ○法務省  具体的な例をちょっと申し上げれば、例えばアメリカに行ってアメリカ人の女性に代 理母になってもらって、日本人の夫婦が依頼して子どもをつくるということになると、 恐らくその場合、アメリカでも判例等の考え方いろいろあるかもしれませんが、基本的 には出産した女性が子どもの母になるというのが一般的な考え方であろうと思われます ので、その考え方でいけば、その女性が独身であるということであれば、その女性の代 理母の非嫡出子ということで、子どもの身分は決まってしまうだろうというのが一つの 筋であろうと。  仮に婚姻されているということであれば、アメリカの州法にもよりますけれども、そ の代理母夫婦の嫡出子ということにならざるを得ないのが基本的な考え方ではないかと いうことがここで述べられております。  前回、私申し上げたような話でいくと、例えばアメリカで日本人の女性に代理母にな ってもらうというような場合があると、その場合、日本法が適用されるということが考 えられるんですけれども、やはり産む女性がアメリカ人というようなことになります と、その方の本国法ということでアメリカの、ここは州によって法律が違いますので、 その各州法によって決まってくることになるのではないかというのがこの論文の概要と いうことでございます。もう少し細かい検討もございますので、そこはまた。 ○中谷委員長  実例によると、出産した者、出生証明書があるわけですが、それを偽造してご夫婦間 の子どものように登録をして、そしてこちらへ持ってきたという例はありますね。それ は原則はこうでも、実例はまたいろいろだというふうにご理解いただければよろしいの ではないでしょうか。  それでは、大体定刻になりましたので、きょうは長時間にわたって非常に適切なご審 議をいただきましてありがとうございました。 ○小林主査  次回の日程になりますけれども、9月26日(火曜日)10時半から12時半です。9月26 日の次は10月3日(火曜日)15時15分から18時15分、場所は商工会館です。地図はまた お送りいたします。 照会先:雇用均等・児童家庭局母子保健課 03−5253−1111(代) 椎葉(内線:7933) 小林(内線:7940)