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第1回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会専門部会議事要旨

1.日 時: 平成12年9月18日〈月〉14時〜16時40分
2.場 所: 厚生省社会保険審査会審理室
3.出席者: 浅野、榊原、鮫島、中田、三浦、米澤、若杉
(五十音順、敬称略)

4.議事要旨(○は出席者、●は事務局の発言)

《年金局長の挨拶》

 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。2年前に同様の研究会を開催し、今回のメンバーの大半は当時と同じ方にお願いしました。##4月から年金積立金の自主運用が開始されることから、改めて基本方針の検討を開始することとし、先日、年金積立金の運用の基本方針に関する検討会を開催しましたが、専門的事項については別の場で議論していただくこととし、本専門部会の設置となりました。本専門部会においては基本ポートフォリオがメインの検討事項となりますが、経過措置の話もあるし、移行ポートフォリオの話もあります。最終的な基本方針は、新たに設置される社会保障審議会に諮問して定めることとされている。限られた時間ではありますが、よろしくお願いします。

《座長の挨拶》

 重大な責任を痛感していますが、最高のメンバーで検討を行えるということで頑張っていきたい。2年前の前回の研究会の時は、「本当に積立金の自主運用が行えるのか」という感じもしたが、いよいよ来年4月から自主運用が開始されることとなっている。もう待ったなしの時期に来ている。慎重な議論を尽くしたい。

《専門部会の議事及び配付資料の公表の扱いについて》

 事務局が資料のとおり説明し、出席者の了解を得た。

《年金積立金の自主運用、財政再計算の仕組みと平成11年財政再計算について》

○ 一年半ほど前のシミュレーションの際よりも財政状況が改善されているという理解でよいか。
● 平成11年財政再計算の結果、財政状況は改善している。
○ 経過措置として引き受ける財投債についても、年金資金運用基金が責任を負うこととなるのか。また、その引受部分についてのヘッジはどうするのか。
● 引受財投債の運用をどうするか、評価をどうするかについて、この専門部会での検討をお願いしたい。
○ 引き受ける財投債については、受託者責任の観点から難しい問題。最終的にはパフォーマンスで計られることとなる。引受量自体も決まっておらず、現段階では何とも言えない。
● 受託者責任は法律において規定されているが、財投債の引き受けについても関係規定は同じように適用されるよう法律で規定されており、法律的な問題は生じないものと考えている。

《経過措置について》

○ 経過措置について、資金運用部の貸付金の証券化は議論されなかったのか。
● 特にされていない。
○ 財投債を直接ではなく、市場で引き受けることは検討しないのか。
● 市場での引き受けは手数料がかかることもあり、直接引き受けることとした。
○ 引受財投債はインハウスでバイアンドホールドによる運用が基本となるのか。
● その点についてもこの専門部会で検討していただきたい。
○ 現実的には結果としてバイアンドホールドせざるを得ない。財投債を引き受ける際に金利(変動利付き)や年限などについて交渉の余地はあるのか。
● 市場の条件を踏まえて引受条件は決められる。インフレ連動債等年金サイドの要望を伝えることはできるが、それが実現するかどうかは不明。トータルリターンの獲得のための年金積立金の自主運用をかねてから主張してきた厚生省の立場からすると、単純なバイアンドホールドとすることも困難。
○ 年金積立金は巨大であり、リスク管理のためインフレ連動債も必要ではないか。
● 我々もそう思っている。
○ 「年金がマーケット」というロジックで主張するべきではないか。
● 社会保障審議会などの場で年金サイドの要望をまとめて大蔵省にぶつけたい。
○ クーポンのもらい方などについても検討の余地があるのではないか。
● 大蔵省は財投債は国債という理解。財投債特有のクーポンというよりもむしろ国債政策の一環となる。
○ 財投改革の趣旨からすると、市場の条件を踏まえることが必要ではないか。無理矢理押しつけられることについて、一大需要者として言うべきことは言うべきではないか。
● 大蔵省は資金運用部のALMを考えなければならず、大蔵省には大蔵省の立場がある。年金のALMでどこまで強く言えるかは難しい問題。
○ 財投債と国債は区別できるのか。
● 券面は同じ。財投債と国債で国債計画は作成されるが、それぞれの発行根拠規定による区別は可能。
○ 年金サイドとしては、引受財投債の流通も有りうべし、との立場の方が適当。
○ 原則市場運用であれば、市場参加者として議論することが重要。年金の運用サイドとしての商品性の議論は必要だが、過渡期に残る相対取引でも発行条件については市場実勢を尊重することが重要。ゆくゆくは年金積立金も市場プレーヤーになるのだから、市場の視点で考えることを重視すべきではないか。
○ そのとおりだと思う。経過措置は資金運用部の資金繰りのためのいわば「借り換え債」としては仕方ないところだろうか。
● 事務局としては、移行期、財投協力、リスク管理の重点的な検討をお願いしたい。リバランスも前回の検討から漏れている。デリバティブのヘッジやアセットについての検討もお願いしたい。
○ アセットのクラシファイ(分類)の議論も必要。

《政策的資産構成割合の策定手順について》

○ 説明にあった基本ポートフォリオの策定方法は既定なのか。負債サイドの金利や予定利率を固定していると、インフレに伴う年金給付額の伸びなどが考慮に入らないのではないか。
○ 財政再計算上、確定した数字で出てくる予定利率との関係で数字を置くことが必要。
● 25年間の負債サイドに合致するように、資産サイドを設定している。資産サイドでは、各資産のベースである短期金融資産の期待収益率に負債サイドと同じ値でインフレ率を織り込み、負債サイドと同期するようになっている。そして、5年に1回の財政再計算で、負債を見直すこととなっており、必要があれば、この時にポートフォリオの見直しも行い得るような仕組みになっている。なお、前回研究会でも負債サイドを確率論で捉える方法について議論があったが、見送られている。
○ 再計算というアジャストメントがあるにもかかわらず、それを無視してシミュレーションを走らせることにどこまでの意味があるのか。
○ 給付額に対する資産残高を考えるもの。予想外のインフレでは債券はキャピタルロスもあり、リスク性資産となる。インフレへの対応は株式又はインフレ連動債となる。
○ 給付額に対して一定割合の資産残高を維持するという考え方が必要では。説明された方法だと債券が過大評価されているので多くなるが、それではインフレの際にリスクが大きくなってしまう。
○ 今提起された点はリバランスの問題であり、これから決めること。
○ 今の予測の範囲内でできることでやろうということは分かるが、変動が生じたときはマーケットは既に動いてしまっている。その動くときにどう対処するかが問題。あらかじめヘッジポートを作っておくべきではないか。
● 公的年金制度は5年ごとに制度改正を行うこととされており、その制度改正の前提と異なる数字を置くことはできない。改正の前提を受けての基本方針である。##経済環境が大きく変わるのであれば、制度改正を行うこととなる。経済環境の大きな変化があれば、制度改正を行う。その点まで配慮した基本方針は不要。
○ ビルディングブロック方式でリスクプレミアムを導き出すことが合理的か。期待リターンを誤って設定していないか。
○ 数値の設定方法が硬直的で、議論の深みに欠けているのではないか。パラメーターなど確率変数を利用しないと対応できないのではないか。
● 資産・負債の両サイドを確率変動させることを前回も検討したが、分かりやすさという点から世の中に説明するためにこのような手法となった。
○ 予測数値の整合性とリスクコントロールは別問題。リスクを入れることによってどの程度資産をヘッジさせるようになるかが問題。
○ アセットの分類で対応することが必要。現段階では4つのアセットだが、インフレ・ヘッジ資産として基本ポートにどのようなものを入れるのかの議論になる。
○ 制度改正の際の負担を軽減するためには、ライアビリティの変動も考慮することが必要ではないか。
○ 今ご指摘いただいた点について、意見を出された方はそれぞれのシミュレーションの案を提出いただきたい。
● 事務局としてはあとの移行ポートフォリオの問題が大きいと考えており、基本ポートフォリオはなるべく早く固めたいと考えている。具体的なご意見を頂きたい。
○ 基本的には前回研究会の際のアプローチでも構わないが、補助シナリオを用意するべき。
○ ポートフォリオ策定の方法論は今回決めたものが今後も踏襲されることとなるのか。
● 策定方法については、重要な進歩があれば適宜取り入れて見直すことが必要。

〜以上〜


〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
 夜 間 3501-3450


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