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第1回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会議事要旨

1.日 時: 平成12年9月5日〈火〉15時15分〜17時15分
2.場 所: 厚生省特別第1会議室
3.出席者: 内海、奥田、杉田、竹内、寺田、吉冨、吉原、米澤、若杉、鷲尾
(五十音順、敬称略)

4.議事要旨(○は出席者、●は事務局の発言)

《厚生総括政務次官の挨拶》

 厚生政務次官の福島豊でございます。第1回年金積立金の運用の基本方針に関する検討会の開催にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
 お忙しい中、本検討会へご参加いただきまして感謝いたします。また、快く本検討会の委員をお引き受けいただきありがとうございます。
 厚生省が所管する公的年金の年金積立金は、平成12年3月で約144兆円にものぼる巨額なものとなっております。この年金積立金は、これまで、大蔵省の資金運用部にその全額が預託され、財政投融資の原資として社会資本整備等に活用されてきました。
  しかしながら、先般成立いたしました年金制度改正法及び財投改革法により、来年4月から、年金積立金はその全額預託義務が廃止され、厚生労働大臣が自主運用を行うこととされております。もとより年金積立金は、国民から強制的に徴収した保険料の集積であり、将来の年金給付となる貴重な資金であります。このように国民からお預かりしている貴重な年金積立金について、保険者たる厚生労働大臣が専ら被保険者の利益のために最もふさわしい方法で運用する仕組みがいよいよ始動するものであり、その実施に当たっては、安全、確実かつ効率的に、また、透明性の高い運用を行うことが重要であります。
 具体的には、厚生労働大臣が運用の基本方針を定め、それに従い新たに設立される年金資金運用基金が年金資金の管理運用を行うこととなっており、この運用の基本方針が今後の自主運用のまさに核となるものであります。このような重要性に鑑み、今般、厚生省として運用の基本方針に関する検討を開始することとし、皆様のお力添えをお願いした次第でございます。
 どうか忌憚のないご意見をいただき、貴重な年金積立金が安全、確実かつ効率的に運用されるようなご指導、ご鞭撻をお願いいたしまして私の挨拶に替えさせていただきます。

《座長の挨拶》

 本検討会の目的は、年金積立金の運用の基本方針を策定すること。運用の在り方によって将来の年金給付及び保険料負担は大きく異なってくる。年金そのものの在り方にも影響する。また、世界に類を見ない資産運用を行うことでもあり、この検討会においてその答を作り出すもの。日本の知恵が世界から問われることにもなる。
 よろしくお願いします。

《検討会設置趣旨、検討会の議事及び配付資料の取扱いについて》

 事務局が資料のとおり説明。
 議事を非公開とすること等を決定した。

《年金積立金の運用の現状及び自主運用に向けての最近の動きについて》

○ 経過措置の3省合意について、2分の1の意味は何か。
● 資金運用部は短期で調達した資金を長期で貸し付けており、預託義務を廃止し、年金資金及び郵貯資金が一方的に流出してしまうと資金繰りがつかない。したがって、既往の貸付け分及び金利上昇への配慮からこのような経過措置をとることとなった。2分の1というのは、当初は3分の2程度で最終的には3分の1と見込まれることから2分の1としている。
○ 結局のところ、厚生省が自主運用できる額はいくらか。
● 積立金が現在のままだとすれば、7年後には140兆円。そのうち幾分かは財投債を引き受けることとなる。
○ (1)年金福祉事業団が外国債を国内債として扱っている理由、(2)基本ポートフォリオによる管理とは、同じ資産構成割合を各受託機関に強制しているということか、(3)ファンドマネージャーと話をしていると、年金資金は長期の運用が可能であるにもかかわらず、四半期の運用成績を気にするなど不自然なことが多いと聞くがどうか。
● (1)長期的に見れば、外国債券のリターンは為替で調整され、実質的には内外債のリターンは同程度となるという理論及び外債の現地市場ベースのリターンは魅力的だがそれ以上に為替リスクが大きいことから国内債として取り扱っていると聞いている、(2)受託機関はバランス型、特化型とあり、すべての受託機関が同じ資産構成割合ではない、(3)ご指摘のとおり、年金資金の運用は長期的な観点から行うべきものと考える。
○ 経過措置のうち、市場への影響に配慮するものの内容について、もっと詳しく教えていただきたい。
● 理財局が市場と対話した結果のもの。財投債の発行量については、国債の発行計画において明示されるが、市中発行額がどの程度かはそこからは不明。年金で引き受けるのは、市中発行と同じ価格で引き受けるが、手数料の面での優遇はあり得る。
○ 資金の供給量自体が変わらないのであれば、国債を引き受ける形態は変わってもマクロ的に考えれば、資金の流れは変わらない。大きな影響が生じるというのであれば、それは国債市場に欠陥があるということ。日本の国債市場はバイアンドホールドが多く、流動性が低い。円の国際化を阻む要因にもなっていると考えている。
 「リスクを取る」ということの受託者責任は厚生労働省の職員が負うのか。
● 市場運用を行う以上、結果責任を問うことは不適当。職務に応じた忠実・注意義務を法定している。
● 非常に端的に言えば、厚生労働省の職員、年金資金運用基金の役職員、社会保障審議会年金資金運用分科会の委員も受託者責任を問われる。
○ その責任の内容如何。
● 結果責任ではない。運用プロセスに応じた責任を負うということ。
○ 具体的な内容は。
● 役人であれば、場合によっては懲戒処分ということもあり得る。
○ 以前の年金積立金自主運用検討会においてもこの点についてはかなり議論した。インセンティブを与えるために投資専門委員には高給を払う必要があるのでは、という議論もでた。

《平成11年財政再計算を踏まえた財政見直しについて》

○ 財政再計算上の賃金上昇率は名目値か。
● 1%を実質上昇率と見込んだ名目値。
○ その数字はヒストリカルに導いたものか。
● 過去の実績上昇率から定めたもの。
○ この数字はマクロ的には不均衡な状態であり、長続きしない環境を想定している。
○ 人口推計が中位推計だと危ないのではないか。もっと低位にすべきでは。
○ 資料にある、保険料率を2.5%ずつ引き上げるというのは決まったものか。
● 年金制度改正案の検討の際に提示した5つの選択肢のうち、最も支持を集めたC案を踏まえ、年収の2割まで均等に引き上げるとの趣旨であり、決まったものではない。
○ 基礎年金の国庫負担はいつ2分の1になるのか。
● 改正法の附則に規定しているが、具体的な時期はまだ未定である。

《検討事項、専門部会の設置について》

○ 専門部会を設置するとしても、責任が部会に移るわけではない。
○ 民間運用機関に委託している運用資産の運用状況を細かく把握できるのか。合同運用されているのではないか。将来にわたる経済のファンダメンタルズについては、財政再計算が前提としているシナリオとは別に運用の面からもチェックするべき。悲惨なシナリオも想定することが必要ではないか。財投債や財投機関債は市場原理とはいえ、格付け等が不明朗ではないか。
● 運用機関の選択後、あるいは委託後の運用評価の中で、定性評価の重要事項と位置付けて各社の実態をベースに評価している。パフォーマンスについては、詳細なフォームを定めて各社統一的に把握する方法による対処もあるところ。ポートフォリオの前提となる将来の見通しをどう考えるのかはまさにこの検討会で議論すべき事柄と考えている。財投債、財投機関債は市場原理が働くことから透明性が高まるものと考えている。
● 年金福祉事業団は大口の投資家であり、資産が単独運用されていることから、毎月自己の資産の運用状況を把握している。
○ 運用対象資産の検討に当たってはベンチマークを何にするのかによって異なってくる。ベンチマークもヘッジの程度で大きく異なる。また、国内株式と一口で言ってもマザーズやプライベートエクイティも入ってくる。資料にあるリスク管理もはっきりした定義がなく、絞り込んで議論することが必要。資料には議決権行使が上がっているが、コーポレートガバナンスは議決権の行使に限定されるものではない。
○ 財投債のリスク、市場性については、国債と何も変わらないという理解でよいか。
○ 検討課題と策定のイメージ図の関係が不明確。
● お示ししている検討課題についての方向性をこの検討会で出していただき、それをもとに基本方針の案を厚生省で作成し、社会保障審議会に諮問する、ということ。
○ 前回の若杉研究会の報告書があることから、そちらで整理された論点を生かして、効率的な議論をすることが必要。

〜以上〜



〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL [現在ご利用いただけません](内線3348)
 夜 間 3501-3450


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